(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】無線通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 56/00 20090101AFI20231121BHJP
H04W 84/08 20090101ALI20231121BHJP
【FI】
H04W56/00 110
H04W84/08
(21)【出願番号】P 2019226868
(22)【出願日】2019-12-16
【審査請求日】2022-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】小林 大晃
【審査官】桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-171124(JP,A)
【文献】特開2009-206735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一周波数を用いて無線通信を行う無線通信システムであって、
移動局と無線通信を行う複数の基地局と、
前記複数の基地局に有線で接続し、前記基地局に対する回線制御を行う回線制御装置とを備え、
前記基地局が、
前記回線制御装置から前記移動局との通信を行うよう選択され、前記回線制御装置との接続がされている状態では、前記移動局からの送話信号を受信すると、前記回線制御装置に送出し、前記回線制御装置から折り返し送信の指示を受信すると、前記指示に含まれる送話信号を自局の通信圏内に折り返し送信し、
前記回線制御装置との接続が切断された状態では、前記移動局からの送話信号を受信すると、前記基地局の通信圏内での折り返し送信を行い、
前記回線制御装置が、予め前記回線制御装置から前記複数の基地局までの伝送時間を記憶しておき、前記基地局のいずれかからの送話信号を受信すると、前記複数の基地局に同時に到達するよう、前記伝送時間に基づいて送信タイミングを調整して、前記複数の基地局に、前記送話信号の基地局折り返し送信の指示を送信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
回線制御装置は、記憶された最長の伝送時間より長い特定の時間から、前記各基地局の伝送時間を差し引いた時間を、前記各基地局の調整時間として記憶しておき、
前記各基地局に対して、送話信号を受信してから、前記各基地局に対応して記憶された調整時間が経過したタイミングで、指示を送信することを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
調整時間をフレーム数で表したことを特徴とする請求項1又は2記載の無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一周波数を用いた無線通信システムに係り、特に、基地局間の干渉を抑え、移動局からの送話による複数の基地局を介した基地局折り返し通話を実現することができる無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[先行技術の説明]
業務用無線通信システムは、防災行政無線、道路事業者用無線、消防救急無線、タクシー用無線等様々な用途に用いられている。
業務用無線通信システムには、FDMA(Frequency Division Multiple Access:周波数分割)方式を用いたものがある。
FDMAを用いたシステムでは、基地局毎に異なる周波数を用いて通信を行うため、複数の基地局を介した基地局折り返し通話を行っても干渉が発生することはなかった。
ここで、基地局折り返し通話とは、移動局間の直接通話ではなく、移動局が基地局を介して通話を行うことを指すものとする。
【0003】
これに対して、SCPC(Single Channel Per Carrier)方式を用いた業務用デジタル無線通信システムもある。
SCPC方式の無線通信システムでは、全ての基地局が同一の運用波(周波数)を用いて通信を行う。
【0004】
従来のSCPC方式を用いた無線通信システムにおいては、同じ回線制御装置に接続される複数の基地局を介した運用は、一斉通報やグループ通話に限定されており、基地局折り返し通話は、上位装置からの送信によるものしか行うことができない。
移動局側からの送信による複数の基地局を用いた基地局折り返し通話では、基地局のエリアが重なる地域において干渉が発生するため、実現することができなかった。
【0005】
[従来の無線通信システムにおける基地局折り返し通話の概要:
図4]
従来の無線通信システムにおける基地局折り返し通話の概要について
図4を用いて説明する。
図4は、従来の無線通信システムにおける基地局折り返し通話の概要を示す説明図である。尚、ここでは、消防救急無線システムを例として説明する。
図4に示すように従来の無線通信システムは、指令センター1と、無線回線制御装置2と、複数の基地局3a,3b,3c(基地局3と称することもある)とを備え、ここでは、複数の移動局4a,4b,4c,4d(移動局4と称することもある)がシステムの通信圏(エリア)内に存在している。
【0006】
指令センター1は、指令台や通信卓を含む消防本部に設けられた機器全体を示す。
無線回線制御装置2は、指令センター1の複数の機器や、複数の基地局3が接続されており、これらの間の回線制御を行う。
基地局3a,3b,3cは、無線回線制御装置2と有線で接続されて通信を行うと共に、自己のエリア内に位置する移動局4と無線通信を行う。
移動局4は、基地局3と無線通信を行う。ここで、移動局4a,4bは、基地局3aのエリア内に位置し、移動局4cは、基地局3bのエリア内に位置し、移動局4dは、基地局3cのエリア内に位置している。
【0007】
そして、例えば、移動局4aから送話があった場合、エリア内に移動局4aが位置している基地局3aが折り返しを行う。
具体的には、移動局4aからの無線信号を受信した全ての基地局3は、受信信号の強度(例えば受信電界強度)を付して、無線回線制御装置2に通知する。無線回線制御装置2は、最も受信信号の強度が強い基地局3(ここでは基地局3a)を選択して、移動局4aとの通信を行うように指示する(基地局自動選択)。
【0008】
この状態で、移動局4aから発呼があり、送話信号が送信されると、基地局3aがこれを受信して、自己の通信圏内で折り返し送信を行う。
これにより、基地局3aにおける、移動局4aと他の移動局4との間の基地局折り返し通話を実現する。
つまり、基地局3aのエリア内にいる移動局4bは、移動局4aとの通話を行うことができるが、基地局3b,3cのエリアにいる移動局4c,4dは、移動局4aとの通話を行うことはできない。
【0009】
[従来の基地局折り返し通話のシーケンス:
図5]
従来の無線通信システムにおける基地局折り返し通話のシーケンスについて
図5を用いて説明する。
図5は、従来の無線通信システムにおける基地局折り返し通話のシーケンス概略を示す説明図である。
基地局自動選択後、
図5に示すように、基地局Aの管内(通信圏内、エリア内)にいる移動局A(4a)から送話がある(S11)と、選択された基地局A(3a)は、自己のエリア内にいる全ての移動局4宛てに当該送話信号を折り返して送信する(S12)。
【0010】
これにより、基地局A(3a)の管内にいる移動局B(4b)は移動局Aからの送話信号を受信する。しかし、基地局Bの管内にいる移動局C(4c)は、受信できない。
このように、従来の基地局折り返し通話では、基地局間の干渉を防ぐため、送話元の移動局A(4a)が位置する基地局A(3a)からしか折り返しを行わないようになっている。
【0011】
[関連技術]
尚、無線通信システムに関する従来技術としては、特開平6-343063号公報「時分割多重通信方法及び装置」(特許文献1)がある。
特許文献1には、無線通信システムにおいて、基準局を設け、1つのタイムスロットを報知スロットに割り当て、端末局が報知スロットを受信してタイムスロットのフレーム同期を確立することで、全ての端末局が基準局からの信号に同期して動作することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述したように、従来のSCPC方式を用いた無線通信システムでは、移動局から送話した場合、複数の基地局を介した基地局折り返し通話を行うと干渉が発生してしまうため、移動局からの送話による基地局折り返し通話を実現することができず、不便であるという問題点があった。
【0014】
尚、特許文献1には、無線回線制御装置が、複数の基地局への伝送時間を記憶しておき、基地局を介して移動局からの送話信号を受信すると、当該送話信号を基地局折り返し送信する指示を、各基地局への伝送時間に基づいて、送出タイミングを調整して送信することで、全ての基地局に同時に到達させることは記載されていない。
【0015】
本発明は上記実状に鑑みて為されたもので、基地局間の干渉を抑え、移動局からの送話による複数の基地局を介した基地局折り返し通話を実現することができる無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、同一周波数を用いて無線通信を行う無線通信システムであって、移動局と無線通信を行う複数の基地局と、複数の基地局に有線で接続し、基地局に対する回線制御を行う回線制御装置とを備え、基地局が、回線制御装置から移動局との通信を行うよう選択され、回線制御装置との接続がされている状態では、移動局からの送話信号を受信すると、回線制御装置に送出し、回線制御装置から折り返し送信の指示を受信すると、指示に含まれる送話信号を自局の通信圏内に折り返し送信し、回線制御装置との接続が切断された状態では、移動局からの送話信号を受信すると、当該基地局の通信圏内での折り返し送信を行い、回線制御装置が、予め回線制御装置から複数の基地局までの伝送時間を記憶しておき、基地局のいずれかからの送話信号を受信すると、複数の基地局に同時に到達するよう、伝送時間に基づいて送信タイミングを調整して、複数の基地局に、送話信号の基地局折り返し送信の指示を送信することを特徴としている。
【0017】
また、本発明は、上記無線通信システムにおいて、回線制御装置は、記憶された最長の伝送時間より長い特定の時間から、各基地局の伝送時間を差し引いた時間を、前記各基地局の調整時間として記憶しておき、各基地局に対して、送話信号を受信してから、各基地局に対応して記憶された調整時間が経過したタイミングで、指示を送信することを特徴としている。
【0018】
また、本発明は、上記無線通信システムにおいて、調整時間をフレーム数で表したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、同一周波数を用いて無線通信を行う無線通信システムであって、移動局と無線通信を行う複数の基地局と、複数の基地局に有線で接続し、基地局に対する回線制御を行う回線制御装置とを備え、基地局が、回線制御装置から移動局との通信を行うよう選択され、回線制御装置との接続がされている状態では、移動局からの送話信号を受信すると、回線制御装置に送出し、回線制御装置から折り返し送信の指示を受信すると、指示に含まれる送話信号を自局の通信圏内に折り返し送信し、回線制御装置との接続が切断された状態では、移動局からの送話信号を受信すると、当該基地局の通信圏内での折り返し送信を行い、回線制御装置が、予め回線制御装置から複数の基地局までの伝送時間を記憶しておき、基地局のいずれかからの送話信号を受信すると、複数の基地局に同時に到達するよう、伝送時間に基づいて送信タイミングを調整して、複数の基地局に、送話信号の基地局折り返し送信の指示を送信する無線通信システムとしているので、回線制御装置との接続がされている状態では、全ての基地局が同時に基地局折り返しの指示を受信して、同時に折り返し送信を行うことにより、干渉を防ぎ、移動局からの送話による複数の基地局を介した基地局折り返し通話を実現することができ、回線制御装置との接続が切断されて基地局間同期が外れた場合に、干渉の発生を防ぐことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本無線通信システムにおける基地局折り返し通信の概要を示す説明図である。
【
図3】本システムにおける基地局折り返し通話のシーケンスを示す説明図である。
【
図4】従来の無線通信システムにおける基地局折り返し通話の概要を示す説明図である。
【
図5】従来の無線通信システムにおける基地局折り返し通話のシーケンス概略を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る無線通信システム(本無線通信システム)は、無線回線制御装置が、接続される複数の基地局について、無線回線制御装置からの伝送時間を記憶しておき、基地局が、移動局からの送話信号を受信すると、当該送話信号を無線回線制御装置に送出し、無線回線制御装置が、当該送話信号を基地局折り返し送信する指示を、各基地局への伝送時間に基づいて、全ての基地局に同時に到達するよう、送出タイミングを調整して送信するものであり、基地局間同期を実現して、全ての基地局が同時に送信開始することができ、基地局間の干渉を抑え、移動局からの送話による複数の基地局を介した基地局折り返し通話を行うことができるものである。
【0024】
[本無線通信システムにおける基地局折り返し通信の概要:
図1]
本無線通信システムにおける基地局折り返し通信の概要について
図1を用いて説明する。
図1は、本無線通信システムにおける基地局折り返し通信の概要を示す説明図である。
図1に示すように、本無線通信システムは、指令センター1と、無線回線制御装置5と、基地局6a,6b,6c(基地局6と称することもある)とを備えており、移動局4a,4b,4c,4dが基地局6の通信圏内に存在している。
これらの内、指令センター1と、移動局4は従来と同様であり、説明は省略する。
【0025】
このように、本無線通信システムの基本的な構成は、
図4に示した従来の無線通信システムと同様であるが、無線回線制御装置5、基地局6の構成及び動作が従来とは異なっており、基地局間の干渉を防いで移動局からの送話による基地局折り返し通話を実現可能としている。
【0026】
無線回線制御装置5は、従来と同様の回線制御に加えて、本システムの特徴として、移動局4からの送話があった場合に、全ての基地局6に対して基地局折り返し通話を行うよう、制御するものである。
具体的には、無線回線制御装置5は、基地局6を介して移動局4からの送話信号を一旦受信し、全ての基地局6に対して、当該送話信号を基地局折り返し送信するよう指示(基地局折り返し指示)を送出するが、その際、各基地局6までの伝送時間に応じて、送話信号の送出タイミングをずらして送信する。
【0027】
つまり、遠くの基地局6aには早いタイミングで送話信号を送信し、近くの基地局6cにはそれより遅いタイミングで送信を行う。これにより、当該送話信号は全ての基地局6に同時に到達し、全基地局6から同時に折り返し送信されるものである。
これにより、基地局6の通信エリアが重なっている地域でも干渉を防ぎ、全ての基地局6を介した基地局折り返し通話を実現できるものである。
【0028】
基地局6への基地局折り返し指示の送信タイミングは、無線回線制御装置5の記憶部に記憶された調整時間の情報に基づいて決定される。無線回線制御装置5は、調整時間の情報を記憶する調整時間テーブルを備えている。調整時間テーブルについては後述する。
【0029】
また、基地局6は、基地局自動選択後、移動局4からの送話があった場合に、従来のように直ちに基地局折り返しを行うのではなく、無線回線制御装置5に送話信号を送出する。
また、基地局6は、無線回線制御装置5からの基地局折り返し指示に従って、送話信号を折り返し送信する。つまり、自己の圏内にいる移動局4からの送話がなくても、無線回線制御装置5からの指示で基地局折り返し送信を行うものである。
【0030】
これにより、
図1に示すように、基地局6aのエリアにいる移動局4aから送話があった場合に、同じ基地局6aのエリアにいる移動局4bだけでなく、基地局6bのエリアにいる移動局4cや、基地局6cのエリアにいる移動局4dも、移動局4aからの送話信号を受信できるものである。
【0031】
[調整時間テーブル:
図2]
次に、無線回線制御装置5に設けられている調整時間テーブルについて
図2を用いて説明する。
図2は、調整時間テーブルの説明図である。
図2に示すように、無線回線制御装置5に設けられた調整時間テーブルは、無線回線制御装置5に接続された基地局6毎に、伝送時間と、調整時間とを対応付けて記憶している。
伝送時間は、無線回線制御装置5から当該基地局6までの伝送に要する時間であり、距離に応じた時間である。伝送時間は、実測やシミュレーションによって求めておく。
調整時間は、無線回線制御装置6に移動局4からの送話信号が入力されてから、当該基地局6に基地局折り返し指示を送出するまでの時間である。
【0032】
調整時間としては、例えば、予め無線回線制御装置から最も遠くに設置された基地局の伝送時間を基に、当該時間より長い特定時間(T)を設定しておき、特定時間(T)と各基地局の伝送時間(ti)との差分の時間(T-ti)を調整時間(Δti)として記憶しておく。調整時間は、フレーム数の情報であってもよい。
【0033】
そして、無線回線制御装置5は、移動局4からの送話信号が入力されると、調整時間テーブルに基づいて、各基地局6の調整時間だけ遅らせて、各基地局6に対して基地局折り返し指示を順次送出する。
これにより、全ての基地局6では、無線回線制御装置5に送話信号が入力されてから、特定時間(T)後に基地局折り返し指示を受信して、一斉に当該送話信号を折り返し送信することになる。
【0034】
調整時間をフレーム数で表した場合、無線回線制御装置5は、送話信号が入力されると、各基地局6に対応して記憶されているフレーム数だけ遅らせて、基地局折り返し指示を送出する。この場合にも、全ての基地局6で同じタイミングで折り返し指示を受信して、同時に折り返し送信を行うものである。
本無線通信システムでは、このようにして基地局間同期を実現して、複数の基地局6を用いた基地局折り返し通話を行った場合の干渉を防ぐものである。
【0035】
[本システムにおける基地局折り返し通話のシーケンス:
図3]
次に、本システムにおける基地局折り返し通話のシーケンスについて
図3を用いて説明する。
図3は、本システムにおける基地局折り返し通話のシーケンスを示す説明図である。
尚、
図3は、
図1に示した無線通信システムにおけるシーケンスに対応している。
図3に示すように、基地局自動選択により基地局A(6a)が選択された状態で、移動局A(4a)からの送話を受信すると(S21)、基地局A(6a)は、当該送話信号を無線回線制御装置5に送出する(S22)。
【0036】
無線回線制御装置5は、送話信号を受信すると、全ての基地局6に、遅延テーブルに記憶されている調整時間(フレーム数)だけ遅延させたタイミングで、当該送話信号を含む基地局折り返し指示を送信する。
図3の例では、基地局折り返し指示を、まず最も遠い基地局A(6a)に送信し(S23)、次に基地局B(6b)に送信し(S24)、次に基地局C(6c)に送信する(S25)。
上述したように、基地局折り返し指示は、各基地局6の無線回線制御装置5からの距離に応じた伝送時間を考慮して、タイミングをずらして送信される。
【0037】
そして、これにより、基地局A(6a)、基地局B(6b)、基地局C(6c)は、同時に基地局折り返し指示を受信して、それぞれ、受信した送話信号を圏内に折り返し送信する(S26,S27,S28)。
基地局A(6a)、基地局B(6b)、基地局C(6c)の折り返し送信は、同時に行われるものであるが、分かりやすくするために、図では若干ずらして記載している。
【0038】
そして、基地局A(6a)のエリアにいる移動局B(4b)、基地局B(6b)のエリアにいる移動局C(4c)、基地局C(6c)のエリアにいる移動局D(4d)が送話信号を受信する。
このようにして、本無線通信システムにおける基地局折り返し通話が行われるものである。
なお、各移動局の基地局選定は、基地局から回線制御装置までの距離に応じて行ってもよいし、基地局から回線制御装置に対する周波数信号の大きさに応じて行ってもよい。回線制御装置に対する周波数信号の大きさに応じて基地局を選定する場合には、最も周波数信号の大きい基地局を選択して送信信号を受信し、同一回線制御装置内のすべての基地局内の同一波の移動局へ折り返し通信を行うようにしてもよい。
【0039】
[無線回線制御装置との接続が切れた場合]
また、送話元の移動局4が在圏する基地局6が、無線回線接続装置5との接続が切断された状態にある場合は、基地局間同期が維持できないため、従来と同様に、当該基地局6のみにおける基地局折り返し通話を行う。
これにより、干渉発生を防ぐことができるものである。
【0040】
[実施の形態の効果]
本無線通信システムによれば、無線回線制御装置5が、接続される複数の基地局6について、無線回線制御装置5からの伝送時間を記憶しておき、基地局6が、移動局4からの送話信号を受信すると、当該送話信号を無線回線制御装置5に送出し、無線回線制御装置5が、送話信号を受信すると、当該送話信号を基地局折り返し送信する指示を、全ての基地局6に同時に到達するよう、各基地局6への伝送時間に基づいて、送出タイミングを調整して送信するようにしているので、全ての基地局6から一斉に送話信号が折り返し送信されることにより基地局間干渉を抑え、移動局4からの送話による複数の基地局6を介した基地局折り返し通話を実現し、送話元の移動局4とは異なる基地局6のエリアにいる移動局4も送話信号を受信することができ、利便性を向上させることができる効果がある。
【0041】
また、本無線通信システムによれば、移動局4については仕様変更することなく実現することができ、低コストで簡易に導入することができる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、基地局間の干渉を抑え、移動局からの送話による複数の基地局を介した基地局折り返し通話を実現することができる無線通信システムに適している。
【符号の説明】
【0043】
1…指令センター、 2,5…無線回線制御装置、 3,6…基地局、 4…移動局