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▶ シャープ福山レーザー株式会社の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/33 20060101AFI20231121BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20231121BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20231121BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20231121BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20231121BHJP
   H01L 33/60 20100101ALI20231121BHJP
【FI】
G09F9/33
G02F1/1335 505
G09F9/00 313
G09F9/30 349Z
H01L33/50
H01L33/60
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019227520
(22)【出願日】2019-12-17
(65)【公開番号】P2021096362
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】319006036
【氏名又は名称】シャープ福山レーザー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】前川 真澄
(72)【発明者】
【氏名】井口 勝次
(72)【発明者】
【氏名】高橋 幸司
【審査官】村上 遼太
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0371866(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0121176(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0211979(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0343855(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0242228(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0211265(US,A1)
【文献】特開2019-153783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/133-1/1335
1/13363
1/1339-1/1341
1/1347
G09F 9/00-9/46
H01L33/00
33/48-33/64
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つ以上のサブ画素により構成される画素を複数有する表示装置であって、
前記3つ以上のサブ画素として、
第1の波長の光を放射する第1の光源を有する第1のサブ画素と、
第1の波長の光を放射する第2の光源と、前記第2の光源から放射された前記第1の波長の光を第2の波長の光に変換する第1の波長変換部と、を有し、かつ、前記第1のサブ画素と隣り合って配置される第2のサブ画素と、
第1の波長の光を放射する第3の光源と、前記第3の光源から放射された前記第1の波長の光を第3の波長の光に変換する第2の波長変換部と、を有し、かつ、前記第2のサブ画素と隣り合って配置される第3のサブ画素と、を含み、
前記表示装置は、さらに、前記第1の波長の光を反射し、かつ、前記第2の波長の光および前記第3の波長の光を透過する第1の層を備え、
前記第1の層は、前記第1の波長変換部における前記第2の波長の光を放射する側の表面と、前記第2の波長変換部における前記第3の波長の光を放射する側の表面と、を覆い、かつ、最大で前記第1の光源の一部と対向する大きさであり、
前記第1の層における、他の側面よりも前記第1のサブ画素の近くに配置される2つの近接側面のうち、少なくとも1つの前記近接側面が、該1つの前記近接側面の最も近くに配置される前記第2のサブ画素、または該1つの前記近接側面の最も近くに配置される前記第3のサブ画素に向けて傾いている、表示装置。
【請求項2】
3つ以上のサブ画素により構成される画素を複数有する表示装置であって、
前記3つ以上のサブ画素として、
第1の波長の光を放射する第1の光源を有する第1のサブ画素と、
第1の波長の光を放射する第2の光源と、前記第2の光源から放射された前記第1の波長の光を第2の波長の光に変換する第1の波長変換部と、を有し、かつ、前記第1のサブ画素と隣り合って配置される第2のサブ画素と、
第1の波長の光を放射する第3の光源と、前記第3の光源から放射された前記第1の波長の光を第3の波長の光に変換する第2の波長変換部と、を有し、かつ、前記第2のサブ画素と隣り合って配置される第3のサブ画素と、を含み、
前記表示装置は、さらに、前記第1の波長の光を反射し、かつ、前記第2の波長の光および前記第3の波長の光を透過する第1の層を備え、
前記第1の層は、前記第1の波長変換部における前記第2の波長の光を放射する側の表面と、前記第2の波長変換部における前記第3の波長の光を放射する側の表面と、を覆い、かつ、最大で前記第1の光源の一部と対向する大きさであり、
前記第1のサブ画素は、前記第1の光源から放射された前記第1の波長の光を散乱または透過する第2の層を有しており、
前記第1の波長変換部および前記第2の波長変換部の少なくとも一方は、前記第2の層よりも前記第2の波長の光の放射方向に突出しており、
前記第1の波長変換部および前記第2の波長変換部の少なくとも一方における、前記第2の層よりも前記第2の波長の光の放射方向に突出している部分の側面は、前記第1の層に覆われている、表示装置。
【請求項3】
前記第1の層の少なくとも一部は、2種類以上の機能層が積層された構造になっており、
前記2種類以上の機能層は、前記第1の波長の光に対する屈折率がそれぞれ異なっている、請求項に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1の層は、
該第1の層における前記第1の波長変換部および前記第2の波長変換部と対向する裏面と反対側の表面に対して垂直な方向に、前記2種類以上の機能層が積層された第1の部分と、
前記第2のサブ画素または前記第3のサブ画素に向けて傾いている前記近接側面である傾斜側面の傾斜方向に対して垂直な方向に、前記第1の波長の光を反射し、かつ、前記第2の波長の光および前記第3の波長の光を透過する2種類以上の機能層が積層された第2の部分と、を有している、請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1の層における、前記第2のサブ画素または前記第3のサブ画素に向けて傾いている前記近接側面である傾斜側面を含む端部は、
前記第1の光源の一部と対向しており、
前記第1の波長の光を反射し、かつ、前記第2の波長の光および前記第3の波長の光を透過する2種類以上の機能層が積層された構造になっており、
前記端部は、最も前記第1の層の中央寄りの部分から先端部分に向かうにつれて前記2種類以上の機能層の積層数が減っている、請求項3に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1の層における前記第1の波長変換部および前記第2の波長変換部と対向する裏面以外の面は、パッシベーション膜で覆われている、請求項1から5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1の波長変換部の側面および前記第2の波長変換部の側面は、前記第2の波長の光および前記第3の波長の光を反射する第1の反射層で覆われている、請求項1から6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1の波長変換部における前記第2の光源と対向する裏面、および前記第2の波長変換部における前記第3の光源と対向する裏面は、前記第2の波長の光および前記第3の波長の光を反射する第2の反射層で覆われている、請求項1から7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
3つ以上のサブ画素により構成される画素を複数有する表示装置であって、
前記3つ以上のサブ画素として、
第1の波長の光を放射する光源と、前記光源から放射された前記第1の波長の光を散乱または透過する第2の層と、を有する第1のサブ画素と、
前記光源と、前記光源から放射された前記第1の波長の光を第2の波長の光に変換する第1の波長変換部と、を有し、かつ、前記第1のサブ画素と隣り合って配置される第2のサブ画素と、
前記光源と、前記光源から放射された前記第1の波長の光を第3の波長の光に変換する第2の波長変換部と、を有し、かつ、前記第2のサブ画素と隣り合って配置される第3のサブ画素と、を含み、
前記表示装置は、さらに、
前記第1の波長の光を反射し、かつ、前記第2の波長の光および前記第3の波長の光を透過する第1の層と、
前記第2の層、前記第1の波長変換部および前記第2の波長変換部と、前記光源と、の間に、前記第2の層、前記第1の波長変換部および前記第2の波長変換部から放射される各光の光量を調整するシャッター部と、を備え、
前記第1の層は、前記第1の波長変換部における前記第2の波長の光を放射する側の表面と、前記第2の波長変換部における前記第3の波長の光を放射する側の表面と、を覆い、かつ、最大で前記第1のサブ画素の前記光源の一部と対向する大きさであり、
前記第1の層における、他の側面よりも前記第1のサブ画素の近くに配置される2つの近接側面のうち、少なくとも1つの前記近接側面が、該1つの前記近接側面の最も近くに配置される前記第2のサブ画素、または該1つの前記近接側面の最も近くに配置される前記第3のサブ画素に向けて傾いている、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロLED素子は、例えばAR(Augmented Reality)用メガネ型端末およびヘッドアップディスプレイ(HUD)用の表示素子として期待されている。このようなマイクロLED素子を複数備えた画像表示素子は、例えば、光源における光源光を放射する側の面に、光源光である青色光を透過するバンドパスフィルタ、および波長変換層が配置された構造となっている。波長変換層は、青色光の波長を波長変換する蛍光体とカラーフィルタとを積層した構造が考えられる。また波長変換層の光放射面上には、従来から、液晶表示素子や光源光の漏れを防ぐために、光源光を反射するとともに波長変換後の光を透過するバンドパスフィルタが配置されている。
【0003】
上述した従来の画像表示素子を備える画像表示装置として、例えば、特許文献1には、蛍光体とカラーフィルタとのセットについて、互いに隣り合う2つのセットがブラックマトリックスで区分けされた表示装置が開示されている。このブラックマトリクスは、前記2つのセット間での光の進入を遮る遮光材として機能する。また、特許文献1の表示装置には、カラーフィルタにおける光を放射する側の面に対向基板が設けられている。この表示パネルには、直視型の比較的大きな表示素子が用いられる。
【0004】
また例えば、特許文献2には、赤色着色層、緑色着色層および青色着色層における光を放射する側の面に、基板本体と外光フィルタとの積層体が設けられた表示装置が開示されている。他に、特許文献3には、赤色変換層、緑色変換層および青色変換層における光を放射する側の面に、第三基板が設けられた表示装置が開示されている。特許文献2の積層体および特許文献3の第三基板はともに、光源光の漏れを防ぐために該光源光を反射し、かつ着色層(変換層)から放射された光を透過する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2010/143461号
【文献】特開2013-213932号公報
【文献】特開2014-89281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1に開示された表示装置は、カラーフィルタにおける光を放射する側の面の全面に対向基板が設けられている。また、上述の特許文献2および3に開示された表示装置も、着色層(変換層)における光を放射する側の面の全面に積層体(第三基板)が設けられている。そのため、例えば特許文献1~3に開示された表示装置の小型化および画素サイズの微細化を進めたとき、対向基板および積層体(第三基板)自体が導光路となったクロストークが発生する虞がある。また、特許文献1の対向基板等は光源光である青色光を反射することから、対向基板等を上述のように設けてしまうと青色光を取り出せないという問題もある。
【0007】
本発明の一態様は上記の各問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、クロストークを低減すること、および光源光である青色光を効率よく取り出すことの少なくとも一方を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る表示装置は、3つ以上のサブ画素により構成される画素を複数有する表示装置であって、前記3つ以上のサブ画素として、第1の波長の光を放射する第1の光源を有する第1のサブ画素と、第1の波長の光を放射する第2の光源と、前記第2の光源から放射された前記第1の波長の光を第2の波長の光に変換する第1の波長変換部と、を有し、かつ、前記第1のサブ画素と隣り合って配置される第2のサブ画素と、第1の波長の光を放射する第3の光源と、前記第3の光源から放射された前記第1の波長の光を第3の波長の光に変換する第2の波長変換部と、を有し、かつ、前記第2のサブ画素と隣り合って配置される第3のサブ画素と、を含み、前記表示装置は、さらに、前記第1の波長の光を反射し、かつ、前記第2の波長の光および前記第3の波長の光を透過する第1の層を備え、前記第1の層は、前記第1の波長変換部における前記第2の波長の光を放射する側の表面と、前記第2の波長変換部における前記第3の波長の光を放射する側の表面と、を覆い、かつ、最大で前記第1の光源の一部と対向する大きさであり、前記第1の層における、他の側面よりも前記第1のサブ画素の近くに配置される2つの近接側面のうち、少なくとも1つの前記近接側面が、該1つの前記近接側面の最も近くに配置される前記第2のサブ画素、または該1つの前記近接側面の最も近くに配置される前記第3のサブ画素に向けて傾いている。
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る表示装置は、3つ以上のサブ画素により構成される画素を複数有する表示装置であって、前記3つ以上のサブ画素として、第1の波長の光を放射する第1の光源を有する第1のサブ画素と、第1の波長の光を放射する第2の光源と、前記第2の光源から放射された前記第1の波長の光を第2の波長の光に変換する第1の波長変換部と、を有し、かつ、前記第1のサブ画素と隣り合って配置される第2のサブ画素と、第1の波長の光を放射する第3の光源と、前記第3の光源から放射された前記第1の波長の光を第3の波長の光に変換する第2の波長変換部と、を有し、かつ、前記第2のサブ画素と隣り合って配置される第3のサブ画素と、を含み、前記表示装置は、さらに、前記第1の波長の光を反射し、かつ、前記第2の波長の光および前記第3の波長の光を透過する第1の層を備え、前記第1の層は、前記第1の波長変換部における前記第2の波長の光を放射する側の表面と、前記第2の波長変換部における前記第3の波長の光を放射する側の表面と、を覆い、かつ、最大で前記第1の光源の一部と対向する大きさであり、前記第1のサブ画素は、前記第1の光源から放射された前記第1の波長の光を散乱または透過する第2の層を有しており、前記第1の波長変換部および前記第2の波長変換部の少なくとも一方は、前記第2の層よりも前記第2の波長の光の放射方向に突出しており、前記第1の波長変換部および前記第2の波長変換部の少なくとも一方における、前記第2の層よりも前記第2の波長の光の放射方向に突出している部分の側面は、前記第1の層に覆われている。
【0009】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る表示装置は、3つ以上のサブ画素により構成される画素を複数有する表示装置であって、前記3つ以上のサブ画素として、第1の波長の光を放射する光源と、前記光源から放射された前記第1の波長の光を散乱または透過する第2の層と、を有する第1のサブ画素と、前記光源と、前記光源から放射された前記第1の波長の光を第2の波長の光に変換する第1の波長変換部と、を有し、かつ、前記第1のサブ画素と隣り合って配置される第2のサブ画素と、前記光源と、前記光源から放射された前記第1の波長の光を第3の波長の光に変換する第2の波長変換部と、を有し、かつ、前記第2のサブ画素と隣り合って配置される第3のサブ画素と、を含み、前記表示装置は、さらに、前記第1の波長の光を反射し、かつ、前記第2の波長の光および前記第3の波長の光を透過する第1の層と、前記第2の層、前記第1の波長変換部および前記第2の波長変換部と、前記光源と、の間に、前記第2の層、前記第1の波長変換部および前記第2の波長変換部から放射される各光の光量を調整するシャッター部と、を備え、前記第1の層は、前記第1の波長変換部における前記第2の波長の光を放射する側の表面と、前記第2の波長変換部における前記第3の波長の光を放射する側の表面と、を覆い、かつ、最大で前記第1のサブ画素の前記光源の一部と対向する大きさであり、前記第1の層における、他の側面よりも前記第1のサブ画素の近くに配置される2つの近接側面のうち、少なくとも1つの前記近接側面が、該1つの前記近接側面の最も近くに配置される前記第2のサブ画素、または該1つの前記近接側面の最も近くに配置される前記第3のサブ画素に向けて傾いている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、第1の光源から放射された第1の波長の光と、第1および第2の波長変換層から漏れ出た第1の波長の光とのクロストークを低減すること、および第1のサブ画素から第1の波長の光を効率よく取り出すことの少なくとも一方を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る画像表示装置の構造を模式的に示す断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る画素領域を模式的に示す平面図である。
図3】前記画像表示装置の各サブ画素から放射される光の光路を模式的に示す断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る青反射層の構造を模式的に示す断面図である。
図5】符号301で示す図は、前記青反射層の第1・第2の部分の構造を模式的に示す断面図である。符号302および符号303で示す図は、前記第1・第2の部分の構造のバリエーションを模式的に示す断面図である。
図6】前記第2の部分の傾斜側面が平面形状の場合における、前記画像表示装置の構造を模式的に示す断面図である。
図7】前記第2の部分の傾斜側面が円弧形状の場合における、前記画像表示装置の構造を模式的に示す断面図である。
図8】符号401~404で示す図は、本発明の一実施形態に係る画像表示装置の製造方法の一部を模式的に示す断面図である。
図9】符号501~504で示す図は、本発明の一実施形態に係る画像表示装置の製造方法の一部を模式的に示す断面図である。
図10】符号601~603で示す図は、本発明の一実施形態に係る画像表示装置の製造方法の一部を模式的に示す断面図である。
図11】本発明の一実施形態に係る画像表示装置の第1の変形例の構造を模式的に示す断面図である。
図12】本発明の一実施形態に係る画像表示装置の第2の変形例の構造を模式的に示す断面図である。
図13】本発明の一実施形態に係る画像表示装置の第3の変形例の構造を模式的に示す断面図である。
図14】本発明の一実施形態に係る画像表示装置の第4の変形例の構造を模式的に示す断面図である。
図15】本発明の一実施形態に係る画像表示装置の第5の変形例の構造を模式的に示す断面図である。
図16】符号701で示す図は、本発明の比較例に係る画像表示装置の構造を模式的に示す断面図である。符号702で示す図は、前記比較例の他の例に係る画像表示装置の構造を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔画像表示装置の全体構成〕
図1および図2を用いて、本発明の一実施形態に係る画像表示装置90の全体構成について説明する。本実施形態に係る画像表示装置90は本発明に係る表示装置の一例であり、青サブ画素5、赤サブ画素6および緑サブ画素7により構成される画素4を複数有している。なお、画像表示装置90の画素4を構成するサブ画素は、青サブ画素5、赤サブ画素6および緑サブ画素7に限定されない。画像表示装置90の画素4は、3つ以上の何らかのサブ画素により構成されていればよい。図1に示すように、画像表示装置90は、画素領域1と、ダミー領域2と、外周部3と、を備える。
【0013】
<画素領域>
画素領域1は、駆動回路基板30の一部分に複数の矩形状の画素4(図2参照)が載置された構成となる。駆動回路基板30における画素領域1に対応する部分には、各画素4の画素駆動回路(不図示)が実装される。画素領域1を平面視した場合、画素領域1には、図2に示すように複数の画素4がアレイ状に配置されている。なお、図2では、説明の簡略化のため2×3個の画素4のみがアレイ状に配置されているが、実際にはm×n個(m、n:2以上の自然数)の画素4がアレイ状に配置されている。
【0014】
(青サブ画素、赤サブ画素、緑サブ画素)
図2に示すように、画素4は、青サブ画素5、赤サブ画素6および緑サブ画素7を含む。青サブ画素5、赤サブ画素6および緑サブ画素7の各形状も、画素4の形状と同様に矩形状が代表的な形状となる。
【0015】
青サブ画素5は本発明に係る第1のサブ画素の一例であり、青色光Bを放射する(図3参照)。青色光Bは本発明に係る第1の波長の光の一例であり、第1の波長が380~490nmとなる。赤サブ画素6は本発明に係る第2のサブ画素の一例であり、赤色光Rを放射する(図3参照)。赤色光Rは本発明に係る第2の波長の光の一例であり、第2の波長が570~830nmとなる。緑サブ画素7は本発明に係る第3のサブ画素の一例であり、緑色光Gを放射する(図3参照)。緑色光Gは本発明に係る第3の波長の光の一例であり、第3の波長が490~570nmとなる。青サブ画素5、赤サブ画素6および緑サブ画素7のそれぞれから放射される各光の強度およびピーク波長の少なくとも一方を調整することで、画素5から様々な色の光を放射することができる。
【0016】
赤サブ画素6は、青サブ画素5と隣り合って配置される。緑サブ画素7は、赤サブ画素6と隣り合って配置される。画素領域1全体を平面視すると、複数の青サブ画素5が直列に並んで配置された青サブ画素5の群が形成される。また、複数の赤サブ画素6が直列に並んで配置された赤サブ画素6の群が、前記青サブ画素5の群に沿って形成される。さらに、複数の緑サブ画素7が直列に並んで配置された緑サブ画素7の群が、前記赤サブ画素6の群に沿って形成される。
【0017】
なお、各サブ画素5~7から放射される光は、青色光B、赤色光Rおよび緑色光Gに限定されない。また、画素4、青サブ画素5、赤サブ画素6および緑サブ画素7のそれぞれについて、平面視の形状は図2に示す矩形状に限定されない。画素4等の平面視の形状としては、例えば、六角形および円形などが考えられ得る。さらに、青サブ画素5、赤サブ画素6および緑サブ画素7のそれぞれの配置は、上述の配置に限定されない。
【0018】
図1に示すように、青サブ画素5は、青色光Bを放射するマイクロLED素子201を有する。具体的には、青サブ画素5を構成する駆動回路基板30の一部分に、マイクロLED素子201が載置される。マイクロLED素子201は、本発明に係る第1の光源の一例である。赤サブ画素6は、青色光Bを放射するマイクロLED素子202を有する。具体的には、赤サブ画素6を構成する駆動回路基板30の一部分に、マイクロLED素子202が載置される。マイクロLED素子202は、本発明に係る第2の光源の一例である。緑サブ画素7は、青色光Bを放射するマイクロLED素子203を有する。具体的には、緑サブ画素7を構成する駆動回路基板30の一部分に、マイクロLED素子203が載置される。マイクロLED素子203は、本発明に係る第3の光源の一例である。
【0019】
マイクロLED素子201~203は、窒化物半導体層14、P電極191およびN電極192を有している。P電極191およびN電極192は、マイクロLED素子201~203の内部において、駆動回路基板30と対向する側の面に配置される。
【0020】
P電極191は、駆動回路基板30におけるマイクロLED素子201~203と対向する側の面に配置されたP側電極31と接続される。N電極192は、駆動回路基板30におけるマイクロLED素子201~203と対向する側の面に配置されたN側電極32と接続される。マイクロLED素子201~203は、該マイクロLED素子201~203のそれぞれと対応するP側電極51から電流が流れることにより、青色光Bを放射する。マイクロLED素子201~203が青色光Bを放射する方向は、マイクロLED素子201~203の配置位置を基準として駆動回路基板30が配置されている側と反対側の方向である(図3参照)。
【0021】
窒化物半導体層14は、マイクロLED素子201~203における青色光Bを放射する側の面から駆動回路基板30が配置されている側に向けて順に、N側層11、発光層12およびP側層13が積層配置される。また、N側層11およびP側層13における駆動回路基板30側の面、ならびに発光層12の側面は、保護膜17で覆われる。
【0022】
窒化物半導体層14の厚さ方向に導通する必要があるため、N側層11は、内部に高抵抗層を含まない方が好ましい。またN側層11は、窒化物半導体層14の厚さ方向の全体を通してN型の良導体であることが好ましい。発光層12は、InGaN層やGaN層からなる多重量子井戸層を含む。N側層11およびP側層13は、それぞれ種々の多層構造となる。保護膜17は、例えば二酸化ケイ素などの絶縁材料である。
【0023】
本実施形態において、N側層11、発光層12およびP側層13の具体的な構成は特に限定されるものではなく、例えば、従来のLED素子が採用しているN側層、発光層およびP側層の構成を適宜採用することができる。したがって、本実施形態では、N側層11、発光層12およびP側層13の具体的な構成に関する説明を省略する。
【0024】
マイクロLED素子201~203は、それぞれ画素分離溝15によって分割される。画素分離溝15には、埋込材20が充填される。埋込材20は、各サブ画素5~7における光を放射する側の表面を含む面の平坦化を第1の目的とする材料である。埋込材20は、例えば樹脂材またCVD膜で形成される。また例えば、隣接するサブ画素に光が漏れ出ることを防ぐために、埋込材20は光を吸収する顔料またはカーボンブラック等を含む樹脂で形成されてもよい。あるいは、画素分離溝15での光の反射を強化して各マイクロLED素子の光出力を向上させるために、埋込材20は反射材となる白色顔料または散乱粒子等を含む樹脂で形成されてもよい。
【0025】
マイクロLED素子201~203を画素分離溝15で分割することにより、サブ各画素間で生じるクロストークをより低減することができる。なぜなら、互いに隣り合う2つのマイクロLED素子の窒化物半導体層14が接続されていると、一方のマイクロLED素子で発生した青色光Bの一部が、窒化物半導体層14を介して他方のマイクロLED素子から放射されることになる。この青色光Bの一部が他方のマイクロLED素子を有するサブ画素から放射されるときに、クロストークが生じるためである。クロストークは、画像のコントラストおよび色純度を低下させるため好ましくない。
【0026】
マイクロLED素子201における青色光Bを放射する側の面には、散乱部21が載置される。散乱部21は本発明に係る第2の層の一例であり、マイクロLED素子201から放射された青色光Bを画像表示装置90の外側に向けて散乱する。散乱部21は、散乱粒子を含む透明の樹脂パターンで構成される。散乱部21は、マイクロLED素子201から放射された青色光Bを、散乱粒子によって放射方向を広げつつ、該青色光Bを波長変換することなくそのまま画像表示装置90の外部に放射する。マイクロLED素子201における青色光Bを放射する側の面に散乱部21を載置することにより、光ムラを低減することができる。
【0027】
なお、散乱部21は散乱粒子を含んでいなくてもよく、青色光を透過する機能だけを有するものであってもよい。また、散乱部21は透明の樹脂パターンで構成されていなくてもよい。つまり、散乱部21は、マイクロLED素子201から放射された青色光Bを散乱または透過する光透過性の部材であればよい。さらに、青サブ画素5は散乱部21を有していなくてもよい。
【0028】
マイクロLED素子202における青色光Bを放射する側の面には、赤色変換部22が載置される。赤色変換部22は本発明に係る第1の波長変換部の一例であり、マイクロLED素子202から放射された青色光Bを波長変換して赤色光Rを生成し、生成した赤色光Rを画像表示装置90の外側に向けて放射する。赤色変換部22は、青色光Bを波長変換して赤色光Rを生成することができる材料を含む樹脂パターンで構成される。なお、赤色変換部22は、前記の樹脂パターンで構成されていなくてもよい。
【0029】
マイクロLED素子203における青色光Bを放射する側の面には、緑色変換部23が載置される。緑色変換部23は本発明に係る第2の波長変換部の一例であり、マイクロLED素子203から放射された青色光Bを波長変換して緑色光Gを生成し、生成した緑色光Gを画像表示装置90の外側に向けて放射する。緑色変換部23は、青色光Bを波長変換して緑色光Gを生成することができる材料を含む樹脂パターンで構成される。なお、緑色変換部23は、前記の樹脂パターンで構成されていなくてもよい。
【0030】
図1および図2に示すように、散乱部21と赤色変換部22との間、赤色変換部22と緑色変換部23との間、および緑色変換部23と散乱部21の間には、遮光部材24が配置される。遮光部材24は、マイクロLED素子、散乱部21、または色変換部から漏れ出た光を吸収または反射してクロストークを低減する部材である。
【0031】
なお、遮光部材24は、光を吸収する顔料またはカーボンブラックを含んだ樹脂で形成されてもよい。また例えば、遮光部材24は、サブ画素の光の取り出し効率を向上させるために、反射材として機能する白色顔料または散乱粒子を含んだ樹脂で形成されてもよい。また例えば、遮光部材24は、樹脂で形成された遮光部材本体の全面を金属膜で覆ったものでもよいし、金属材料で形成されてもよい。金属膜および金属材料は、反射率が高い銀またはアルミニウムが好ましい。
【0032】
(青反射層)
図1および図2に示すように、赤サブ画素6の赤色変換部22における赤色光Rを放射する側の表面221、および緑サブ画素7の緑色変換部23における緑色光Gを放射する側の表面231には、青反射層25が配置される。具体的には、表面221および表面231が青反射層25によって覆われる。青反射層25は本発明に係る第1の層の一例であり、青色光Bを反射し、かつ、赤色光Rおよび緑色光Gを透過する。青反射層25は、例えば酸化チタン薄膜と二酸化ケイ素薄膜とが積層された誘電体多層膜である。青反射層25の積層構造の詳細については後述する。なお、青反射層25は誘電体多層膜に限定されない。青反射層25は、青色光Bを反射し、かつ、赤色光Rおよび緑色光Gを透過する部材であればどのような部材であってもよい。
【0033】
以下、青反射層25に入射した青色光Bの挙動について説明する。説明の簡略化のため、赤色変換部22から漏れ出た青色光Bの挙動についてのみ説明する。青反射層25によって反射された青色光Bは赤色変換部22に再度入射した後(図3参照)、一部の青色光Bは赤色変換部22に一旦吸収される。赤色変換部22に吸収されずにマイクロLED素子201に入射した残りの青色光Bは、最終的にP側層13とP電極191との間の領域に入射し、該領域に閉じ込められる。
【0034】
このように、赤色変換部22から漏れ出た青色光Bは、青反射層25によって反射されるとともにその一部がP側層13とP電極191との間の領域に閉じ込められる。そのため、赤色変換部22から漏れ出た青色光Bが画像表示装置90の外側に放射される現象は大幅に低減される。また、赤色変換部22に一旦吸収された青色光Bは、少なくとも一部が波長変換されて表面221から赤色光Rとして放射される。
【0035】
赤色光Rに変換されずに赤色変換部22から再度漏れ出た青色光Bも、上述した一連の挙動をとる。そのため、赤色変換部22から漏れ出た青色光Bが上述した一連の挙動を繰り返す毎に、青色光Bの赤色光Rへの波長変換が進んで青色光Bの変換効率が高くなる。このように、画像表示装置90に青反射層25を設けることで、赤色変換部22から漏れ出た青色光Bが画像表示装置90の外側に放射されるのを大幅に低減し、かつ、赤色変換部22の青色光Bの変換効率を高めることができる。そのため、青色光Bの変換効率が高まる分だけ、赤色変換部22の厚さをより薄くすることができる。以上の説明は、緑色変換部23から漏れ出た青色光Bについても妥当する。
【0036】
図1および図2に示すように、青反射層25における4つの端部のうち、赤色変換部22の長手側の端部を覆う第1の端部251は、青サブ画素5の散乱部21における赤色変換部22の最も近くに配置される端部も覆う。また、前記4つの端部のうち、緑色変換部23の長手側の端部を覆う第2の端部252は、青サブ画素5の散乱部21における緑色変換部23の最も近くに配置される端部も覆う。言い換えれば、第1の端部251は、マイクロLED素子201におけるマイクロLED素子202の最も近くに配置される端部と対向する。また、第2の端部252は、マイクロLED素子201におけるマイクロLED素子203の最も近くに配置される端部と対向する。
【0037】
図1に示すように、青反射層25における第1の端部251の傾斜側面26は、該傾斜側面26の最も近くに配置される赤サブ画素6に向けて傾いている。第1の端部251の傾斜側面26は、その全面が青サブ画素5の散乱部21における赤色変換部22の最も近くに配置される端部を覆う。また、青反射層25における第2の端部252の傾斜側面26は、該傾斜側面26の最も近くに配置される緑サブ画素7に向けて傾いている。第2の端部252の傾斜側面26は、その全面が青サブ画素5の散乱部21における緑色変換部23の最も近くに配置される端部を覆う。傾斜側面26は、本発明に係る近接側面および傾斜側面の一例である。また、第1の端部251および第2の端部252は、本発明に係る傾斜側面を含む端部の一例である。
【0038】
なお、これらの傾斜側面26の配置はあくまで一例である。例えば、第1の端部251の傾斜側面26は、その一部の面が青サブ画素5の散乱部21における赤色変換部22の最も近くに配置される端部を覆ってもよい。この場合、第1の端部251の傾斜側面26における、前記一部の面以外の他の面は、傾斜側面26の一部の面に覆われた散乱部21と、赤色変換部22との間に配置された遮光部材24を覆う。あるいは、前記他の面が前記赤色変換部22の長手側の端部まで覆っていてもよい。
【0039】
また例えば、第2の端部252の傾斜側面26は、その一部の面が青サブ画素5の散乱部21における緑色変換部23の最も近くに配置される端部を覆ってもよい。この場合、第2の端部252の傾斜側面26における、前記一部の面以外の他の面は、傾斜側面26の一部の面に覆われた散乱部21と、緑色変換部23との間に配置された遮光部材24を覆う。あるいは、前記他の面が前記緑色変換部23の長手側の端部まで覆っていてもよい。
【0040】
傾斜側面26の面形状は、本実施形態では平面形状となる。傾斜側面26の面形状は特に限定されないが、平面形状および画像表示装置90の外側に凸となる円弧形状が好ましい(図6および図7参照)。なぜなら、これらの形状の方が他の形状よりも傾斜側面26の加工が容易であり、かつ、赤色・緑色変換部22・23における赤色・緑色光R・Gを放射する側の表面の高い平坦性を確保することが容易なためである。この効果により、結果として、傾斜側面26から隣接するサブ画素に漏れ出る青色光Bの量を低減できる。傾斜側面26が第1・第2の端部251・252に入射した青色光Bに及ぼす影響については後述する。
【0041】
<ダミー領域、外周部>
ダミー領域2は、画像表示素子200の画素領域1に隣接して形成される領域であり、画像表示装置90の表示面の平坦性を確保するために設けられる。図1に示すように、ダミー領域2を構成する駆動回路基板30の一部分に窒化物半導体層14が載置される。ダミー領域2の窒化物半導体層14と、該ダミー領域2の窒化物半導体層14と隣り合うマイクロLED素子203の窒化物半導体層14とは、埋込材20で形成された画素分離溝15によって分割される。ダミー領域2の窒化物半導体層14における外側の側面は、埋込材20で覆われる。また、ダミー領域2において、窒化物半導体層14、画素分離溝15および埋込材20は、平面視で遮光部材24によって覆われる。言い換えれば、ダミー領域2の遮光部材24は、側面視で、散乱部21、赤色変換部22および緑色変換部23の配置位置と同じ位置に配置される。
【0042】
ダミー領域2を構成する駆動回路基板30の一部分には、例えば行選択回路、列信号出力回路、画像処理回路および入出力回路等が配置される。ダミー領域2の窒化物半導体層14は光を放射しない。ダミー領域2の窒化物半導体層14に含まれるP側電極およびN側電極は、電流が流れないダミー電極33である。ダミー電極33は、窒化物半導体層14を、ダミー領域2を構成する駆動回路基板30の一部分に固定するとともに、上述した行選択回路等の各種回路を遮光する。ダミー領域2の窒化物半導体層14に含まれるP電極およびN電極も、電流が流れないダミー電極193である。
【0043】
外周部3は画像表示装置90の外縁を構成する。外周部3には、画像表示装置90を個片化するための不図示の切断領域が形成される。また外周部3を構成する駆動回路基板30の一部には、画像表示装置90とワイヤーボンドパッド等の外部回路とを電気的に接続するため外部接続電極34が設けられる。一方、外周部3には窒化物半導体層14は設けられない。
【0044】
〔第1の端部および第2の端部に傾斜側面が形成されることのメリット〕
図3図5図16を用いて、青反射層25における第1の端部251および第2の端部252のそれぞれに、傾斜側面26が形成されることのメリットについて説明する。
【0045】
<従来の画像表示装置および比較例に係る画像表示装置の問題点>
従来の画像表示装置(不図示)は、画像表示装置90の散乱部21に相当する部分における、青色光が放射される側の面が全面に亘ってバンドパスフィルタ等で覆われる。そのため、従来の画像表示装置にはクロストークおよび青色光の取り出し効率低下の問題がある。
【0046】
そこで、前記の問題を解決し得る画像表示装置の構成を、比較例を挙げつつ考えてみる。まず、例えば図16の符号701で示す図のように、散乱部21における青色光Bが放射される側の面のすべてが外部に露出するようにした画像表示装置96が考えられる。画像表示装置96は、青反射層25における、全面が散乱部21の近傍に配置される側面261が、散乱部21における青色光Bが放射される側の面に対して略垂直に配置される。側面261は、画像表示装置96は、散乱部21における青色光Bが放射される側の表面のすべてが外部に露出することから、青色光Bの取り出し効率は従来の画像表示装置よりも格段に向上する。
【0047】
しかしながら、画像表示装置96では、赤色変換部22から斜めに漏れ出た青色光B(図中の破線矢印)の一部が青反射層25に所定の入射角度で入射後、側面261に到達してしまい、該側面261で反射されることなく透過してしまう。所定の入射角度は、赤色変換部22における赤色光Rが放射される側の表面に対して30度以上である。そのため、側面261を透過した青色光Bと散乱部21を透過した青色光Bとの間でクロストークが生じてしまう。
【0048】
次に、例えば図16の符号702で示す図のように、青反射層25の端部253が散乱部21の一部を覆うようにした画像表示装置97が考えられる。画像表示装置97も、青反射層25における、全面が散乱部21の近傍に配置される側面262が、散乱部21における青色光Bが放射される側の面に対して略垂直に配置される。
【0049】
画像表示装置97は、端部253が画像表示装置96における側面261を含む端部よりも散乱部21側に突出している。そのため、赤色変換部22から斜めに漏れ出た青色光Bの一部が青反射層25に所定の入射角度で入射しても、側面262にまで到達することがなく、青反射層25によって反射されてしまう。したがって、赤色変換部22から漏れ出た青色光Bと散乱部21を透過した青色光Bとの間でクロストークが生じることを低減することができる。
【0050】
しかしながら、画像表示装置97は、散乱部21における青色光Bが放射される側の表面の一部が端部253に覆われることから、該面の一部から放射された青色光Bも端部253によって反射されてしまう(図中の破線矢印)。そのため、画像表示装置97の青色光Bの取り出し効率は、従来の画像表示装置よりは向上するものの画像表示装置96よりは低下する。
【0051】
<第1のメリット>
一方、画像表示装置90によれは、従来の画像表示装置が抱えていた上述の2つの問題点が解決される。まず画像表示装置90は、図3に示すように、散乱部21における青色光Bが放射される側の表面の一部が、第1の端部251および第2の端部252に覆われる。なお説明の簡略化のため、図3では、散乱部21における青色光Bが放射される側の表面の一部が第2の端部252に覆われる状態は図示しない。そのため、画像表示装置97と同様にクロストークの発生を低減することができる。
【0052】
次に、画像表示装置90は、青サブ画素5における青色光Bの取り出し効率を、散乱部21における青色光Bが放射される側の表面のすべてが外部に露出される場合と同程度に維持することができる。以下、その理由を説明する。
【0053】
図4に示すように、青反射層25は、第1の機能層40である酸化チタン薄膜と、第2の機能層41である二酸化ケイ素薄膜とが積層された誘電体多層膜である。第1の機能層40の青色光Bに対する屈折率は、第2の機能層41の青色光Bに対する屈折率と異なる。
【0054】
勿論、第1の機能層40が二酸化ケイ素薄膜で第2の機能層41が酸化チタン薄膜であってもよい。また、第1・第2の機能層40・41ともに、酸化チタン薄膜および二酸化ケイ素薄膜以外の膜であってもよい。つまり青反射層25は、その少なくとも一部が、青色光Bを反射し、かつ、赤色光Rおよび緑色光Gを透過する、2種類以上の機能層が積層された構造になっていればよい。但し、2種類以上の機能層は、青色光Bに対する屈折率がそれぞれ異なっているのが好ましい。
【0055】
具体的には、図5の符号301で示す図のように、青反射層25の一部を構成する第1の部分8において、青反射層25の平坦面254に対して垂直な方向に、第1の機能層40と第2の機能層41とが交互に積層される。平坦面254は、青反射層25における赤色変換部22および緑色変換部23と対向する裏面257と反対側の表面であり、赤色変換部22における赤色光Rを放射する側の表面と略平行となる。また平坦面254は、緑色変換部23における緑色光Gを放射する側の表面とも略平行となる。
【0056】
青反射層25における第1の部分8以外は、傾斜側面26を含む2つの第2の部分9で構成される。一方の第2の部分9は第1の端部251の一部を構成し、他方の第2の部分9は第2の端部252の一部を構成する。
【0057】
第2の部分9を構成する第1・第2の機能層40・41はすべて、第1の部分8を構成する第1・第2の機能層40・41と同じ種類である。また、第2の部分9を構成する第1・第2の機能層40・41はすべて、第1の部分8を構成する第1・第2の機能層40・41のそれぞれと連なって形成される。さらに、第2の部分9においても、青反射層25の平坦面254に対して垂直な方向に、第1の機能層40と第2の機能層41とが交互に積層される。なお、第1の部分8および第2の部分9のいずれにおいても、第1の機能層40と第2の機能層41とが交互に積層されなくてもよい。
【0058】
このように青反射層25が多層膜で形成された場合、第1・第2の機能層40・41の材質と厚さ、あるいは第1・第2の機能層40・41の積層数に応じて青反射層25の波長選択性が異なってくる。ここで、青反射層25における第1・第2の端部251・252に傾斜側面26が形成されていることから、第2の部分9は、最も青反射層25の中央寄りの部分255から先端部分256に向かうにつれて各機能層の厚さが薄くなる。例えば、第2の部分9における最も青反射層25の中央寄りの部分255では、最も平坦面254寄りに配置された第2の機能層41の端部が、その先端に向かうほど薄くなる。一方、第2の部分9の先端部分では、すべての第1・第2の機能層40・41の先端部分が、その先端に向かうほど薄くなる。
【0059】
さらに、第2の部分9は、最も青反射層25の中央寄りの部分255から先端部分256に向かうにつれて第1・第2の機能層40・41の積層数が減る。例えば、第2の部分9における最も青反射層25の中央寄りの部分255では、第1・第2の機能層40・41の積層数が第1の部分8における第1・第2の機能層40・41の積層数と同数である。一方、第2の部分9の先端部分256では、第1の機能層40の積層数が1層となり第2の機能層41の積層数が0層となる。
【0060】
このような第1・第2の機能層40・41の積層態様により、第2の部分9は、最も青反射層25の中央寄りの部分255から先端部分256に向かうにつれて、波長選択性、特に青色光Bに対する反射性が低下する。そのため、第1・第2の端部251・252における第2の部分9に垂直に入射した青色光Bは、そのほとんどが反射することなく第2の部分9を透過する。ここで、「第2の部分9に垂直」の「垂直」は、具体的には第2の部分9における散乱部21との接触面(マイクロLED素子201の一部と対向する面)に対して垂直であることを意味する。以上のことから、青サブ画素5における青色光Bの取り出し効率を、散乱部21における青色光Bが放射される側の表面のすべてが外部に露出される場合と同程度に維持することができる。
【0061】
図5の符号302で示す図のように、第2の部分9を構成する第1・第2の機能層40・41のそれぞれを、傾斜側面26の傾斜方向と同じ方向に傾斜させてもよい。この場合、各機能層の傾斜角度はそれぞれ傾斜側面26の傾斜角度と異ならせる。具体的には、傾斜側面26からの距離が遠い機能層ほど、該機能層の傾斜角度が小さくなるようにする。ここで、傾斜角度は、各サブ画素5~7における光が放射される側の各表面を基準表面として、第2の部分9を構成する各機能層における傾斜側面26側の表面と基準表面とのなす角度を指す。無論、各機能層の傾斜角度は上述の傾斜角度に限定されない。
【0062】
このように各機能層を傾斜させることで、第2の部分9は、最も青反射層25の中央寄りの部分255から先端部分256に向かうにつれて各機能層の厚さが一様に薄くなる。また、最も青反射層25の中央寄りの部分255から先端部分256に向かうにつれて第1・第2の機能層40・41の積層数が減る。例えば、第2の部分9の先端部分256では、第1・第2の機能層40・41の積層数がそれぞれ1層となる。そのため、青サブ画素5における青色光Bの取り出し効率を、散乱部21における青色光Bが放射される側の表面のすべてが外部に露出される場合と同程度に維持することができる。
【0063】
なお、第1・第2の機能層40・41の積層態様は、図5の符号301および302で示す図の例に限定されない。例えば、第2の部分9を構成する第1・第2の機能層40・41のそれぞれを、傾斜側面26の傾斜方向と同じ方向に傾斜させ、かつ、各機能層の傾斜角度を傾斜側面26の傾斜角度と同じにしてもよい。この場合、第2の部分9を構成する第1・第2の機能層40・41の厚さは変化しないものの、最も青反射層25の中央寄りの部分255から先端部分256に向かうにつれて第1・第2の機能層40・41の積層数が減る。つまり、第2の部分9は、最も青反射層25の中央寄りの部分255から先端部分256に向かうにつれて、少なくとも第1・第2の機能層40・41の積層数が減るように構成されればよい。
【0064】
<第2のメリット>
次に、画像表示装置90によれは、青反射層25を簡易に加工しつつ高解像度を実現することもできる。以下、その理由を説明する。画像表示装置90では、青反射層25における第1・第2の端部251・252が、青サブ画素5のマイクロLED素子201の一部と対向する。つまり、第1の端部251が、赤色変換部22の長手側の端部よりも散乱部21側に突出して散乱部21の一部を覆う。同様に、第2の端部252も、緑色変換部23の長手側の端部よりも散乱部21側に突出して散乱部21の一部を覆う(図1図3参照)。
【0065】
そのため、第1の端部251の傾斜側面26が赤サブ画素6に向けて若干傾くだけでは、赤色変換部22の長手側の端部が第1の端部251の傾斜側面26に覆われない。同様に、第2の端部252の傾斜側面26が緑サブ画素7に向けて若干傾くだけでは、緑色変換部23の長手側の端部が第2の端部252の傾斜側面26に覆われない。したがって、青サブ画素5と赤サブ画素6との間のピッチ、および青サブ画素5と緑サブ画素7との間のピッチを短くしても、傾斜側面26の傾斜角度を厳密に調整する必要性が低減する。
【0066】
それゆえ、傾斜側面26の傾斜角度をある程度ラフに調整しても、青反射層25の平坦面254が、赤色・緑色変換部22・23における赤色・緑色光R・Gを放射する側の表面の全面を覆う程度に、平坦面254の面積を確保することができる。このことは、赤色変換部22における赤色光Rを放射する側の表面および緑色変換部23における緑色光Gを放射する側の表面に対する、青反射層25の平坦性の向上を意味する。以上のことから、青反射層25の簡易な加工で高解像度の画像表示装置90を実現することができる。
【0067】
<第3のメリット>
画像表示装置90において、例えば図5の符号303で示す図のように、第2の部分9を構成する第1・第2の機能層40・41のそれぞれを、傾斜側面26の傾斜角度と同じ角度に傾斜させてもよい。言い換えれば、第2の部分9を構成する第1・第2の機能層40・41のそれぞれを、傾斜側面26の傾斜方向に対して垂直な方向に積層させてもよい。具体的には、傾斜側面26を含む第1の機能層40または第2の機能層41を第2の部分9に形成する。そして、この傾斜側面26を含む機能層に順次、第1・第2の機能層40・層41を傾斜側面26の傾斜方向に対して垂直な方向に積層させる。
【0068】
本実施形態では、第2の部分9における各機能層の厚さは、第1の部分8における各機能層の厚さよりも薄い。なお、第2の部分9における各機能層の厚さと第1の部分8における各機能層の厚さとの関係に特段の限定はない。例えば、第2の部分9における各機能層の厚さが第1の部分8における各機能層の厚さと同じであってもよいし、第2の部分9における各機能層の厚さが第1の部分8における各機能層の厚さよりも厚くてもよい。
【0069】
第2の部分9における各機能層の積層態様を上述のようにすることで、第1・第2の端部251・252における青色光Bの反射性がさらに向上する。そのため、赤色・緑色変換部22・23から斜め方向に漏れ出た青色光Bが青反射層25を透過することをさらに低減でき、青サブ画素5から放射された青色光Bと赤色・緑色変換部22・23から漏れ出た赤色・緑色光R・Gとのクロストークをさらに低減できる。
【0070】
なお、図5の符号303で示す図の第2の部分9は、第1の機能層40または第2の機能層41が傾斜側面26を含んでいなくてもよい。つまり、前記の第2の部分9は、第1・第2の端部251・252の先端に形成されなくてもよい。前記の第2の部分9は、第1・第2の端部251・252におけるいずれかの領域に形成されていればよい。
【0071】
<補足事項>
上述した第1~第3のメリットは、第1の部分8を構成する第1・第2の機能層40・41のすべてが、第2の部分9を構成する第1・第2の機能層40・41の種類と同じ場合にのみ得られるわけではない。第1の部分8を構成する第1・第2の機能層40・41の種類が、第2の部分9を構成する第1・第2の機能層40・41の種類と全部または一部が異なっていても、上述した第1~第3のメリットを得ることができる。具体的には、第1の部分8を構成する第1・第2の機能層40・41、および第2の部分9を構成する第1・第2の機能層40・41の少なくとも一方の材質・厚さ等を適宜調整することで、上述した第1~第3のメリットを得ることができる。
【0072】
〔青反射層、各サブ画素および遮光部材の各寸法等の決定方法〕
図6および図7を用いて、青反射層25、各サブ画素5~7および遮光部材24の各寸法等の決定方法について説明する。図6に示すように、傾斜側面26を例えば平面形状に加工した場合、青反射層25、各サブ画素5~7および遮光部材24の各寸法等を以下のように決定することが好ましい。前記の寸法等を以下のように決定すれば、青サブ画素5から放射される青色光Bの強度を低下させることなく、赤・緑サブ画素6・7における赤色・緑光R・Gの強度の向上と青色光Bの漏れ量の低減との両立を図ることができる。
【0073】
具体的には、図6に示すように、まず、散乱部21の短手側の幅W1と赤色変換部22の短手側の幅Wzとを略同じ寸法にするのが好ましい。無論、幅W1の寸法と幅Wzの寸法とが異なっていてもよい。また、第1の端部251における傾斜側面26の傾斜角度θを、幅Wxと青反射層25の厚さWaとでおおよそ規定するのが好ましい。つまり、tan―1(Wa/Wx)の値を傾斜角度と見做すのが好ましい。幅Wxは、青反射層25の裏面257における、散乱部21を覆う部分の短手側の幅である。このことは、図示しないものの、第2の端部252の傾斜側面26の傾斜角度についても同様である。また、遮光部材24の短手側の幅Wyは、画素4の画素サイズを微細化する観点から1μm以下にするのが好ましい。
【0074】
さらに、幅Wa、赤色変換部22の厚さWbおよび幅Wzの各寸法を、Wz/(Wa+Wb)<1の条件を充足するように決定するのが好ましい。青反射層25の反射・透過性能は青反射層25に入射した光の入射角度に依存する性質があり、一般的に入射角度が略45度を超えると、青反射層25が所望の反射・透過性能を発揮しなくなる。
【0075】
その点、前記の条件を充足するように幅Wa、厚さWbおよび幅Wzの各寸法を決定すれば、赤色・緑色変換部22・23から漏れ出た青色光B(図6に不図示)の入射角度が45度以下になり、青反射層25が所望の反射性能を発揮するようになる。ここで、青反射層25の反射・透過性能とは、青反射層25が、該青反射層25に入射した光を反射する能力および透過する能力を指す。
【0076】
なお、Wz/(Wa+Wb)<1の条件を充足しなくても、言い換えれば入射角度が45度を超えるように幅Wa、厚さWbおよび幅Wzの各寸法を決定しても、青反射層25が所望の反射・透過性能を発揮するのであれば何ら問題ない。
【0077】
次に、図7に示すように、傾斜側面26を例えば画像表示装置90の外側に凸となる円弧形状に加工した場合、青反射層25、各サブ画素5~7および遮光部材24の各寸法等を以下のように決定することが好ましい。前記の寸法等を以下のように決定すれば、青反射層25の領域Xで加工バラツキを吸収することができる。そのため、赤色変換部22における赤色光Rを放射する側の表面および緑色変換部23における緑色光Gを放射する側の表面に対する、青反射層25の領域Yの平坦性を確保することが容易になる。
【0078】
ここで、領域Xは、青反射層25における、散乱部21と赤色変換部22との間に配置された遮光部材24の直上に配置された部分である。また、領域Yは、青反射層25における、赤色変換部22および緑色変換部23(図7に不図示)の直上に配置された部分であり、平坦面254を含む部分である。
【0079】
具体的には、図7に示すように、まず、幅W1と幅Wzとを略同じ寸法にするのが好ましい。但し、幅W1の寸法と幅Wzの寸法とが異なっていてもよい。また、幅Wyは、画素4の画素サイズを微細化する観点から1μm以下にするのが好ましい。また、幅Wa、厚さWbおよび幅Wzの各寸法を、Wz/(Wa+Wb)<1の条件を充足するように決定するのが好ましい。但し、青反射層25が所望の反射・透過性能を発揮するのであればWz/(Wa+Wb)<1の条件を充足しなくてもよい。これらのことは、上述の傾斜側面26を平面形状に加工した場合と同様である。
【0080】
〔画像表示装置の製造方法〕
画像表示装置90は、例えば図8図10に示す各工程を行うことで製造される。具体的には、まず図8の符号401で示す図のように、成長基板10上にN側層11、発光層12、およびP側層13をこの順番で積層することにより、窒化物半導体層14を形成する。成長基板10は、例えばサファイア基板であり表面に凹凸を形成してもよい。成長基板10は、シリコンまたは炭化ケイ素等で形成してもよい。また、成長基板10は駆動回路基板30と同じ大きさであることが好ましい。
【0081】
窒化物半導体層14を構成する物質としては、例えばGaN系の半導体を用いることができる。窒化物半導体層14を成長基板10上で成長させる装置としては、例えばMOCVD装置を用いることができる。成長基板10上に窒化物半導体層14を形成した後、成長基板10を室温下に戻した段階で、成長基板10の反りが小さいことが好ましい。例えば8インチウエハの場合には、後述する成長基板10と駆動回路基板30との貼り合せを容易にするため、成長基板10の反りが35μm以下であることが好ましい。成長基板10の反りの低減は、例えばN側層11内に適切なバッファ層を設けることで実現することができる。
【0082】
なお、N側層11の厚さは一般的に10μm以下であり、5μm±2μm程度にする場合が多い。発光層12の厚さは一般的に10nm以上200nm以下であり、50nm以上100nm以下程度にする場合が多い。P側層13の厚さは一般的に50nm以上1000nm以下であり、100nm以上300nm以下程度にする場合が多い。
【0083】
次に、図8の符号402で示す図のように、N側層11、発光層12およびP側層13の一部をエッチングして複数のメサ16を形成する。次に、図8の符号403で示す図のように、窒化物半導体層14におけるメサ16が形成された側の面上に保護膜17を形成する。次に、図8の符号404で示す図のように、メサ16の頂面上に形成された保護膜17の部分をエッチングしてP側コンタクトホール161を形成する。また、メサ16の底面上に形成された保護膜17の部分の一部をエッチングしてN側コンタクトホール162を形成する。
【0084】
次に、図9の符号501で示す図のように、P側コンタクトホール161にP電極191を形成し、N側コンタクトホール162にN電極192を形成する。次に、図9の符号502で示す図のように、メサ16の底面を含む、保護膜17と窒化物半導体層14とで形成された部分をエッチングして画素分離溝15を形成する。図示しないものの、画素分離溝15が形成された成長基板10を研磨した後、該成長基板10を画像表示装置90単位で切断することで個片化する。
【0085】
次に、図9の符号503で示す図のように、個片化された成長基板10と駆動回路基板30とを貼り合せる。具体的には、成長基板10に形成されたP電極191およびN電極192を、駆動回路基板30上に配置されたP側電極31、N側電極32およびダミー電極33と接続することで、成長基板10と駆動回路基板30とを貼り合せる。駆動回路基板30はウエハ状態でもよいし、あるいは画像表示装置90単位に分割されたチップ状態でもよい。本実施形態では駆動回路基板30がウエハ状態であるとして説明する。
【0086】
次に、図9の符号504で示す図のように、成長基板10のみを駆動回路基板30から剥離する。成長基板10の剥離は、例えばエッチング、研磨またはレーザーリフトオフ等によって行うことができ、剥離の手段は問わない。なお、成長基板10と駆動回路基板30とを貼り合せた状態では、P電極191およびN電極192と、P側電極31、N側電極32およびダミー電極33とを仮接続するに留め、成長基板10の剥離後にこれらを本接続するのが好ましい。成長基板10の熱膨張率と駆動回路基板30の熱膨張率とが異なる場合、成長基板10と駆動回路基板30とが貼り合わさった状態で大きな温度上昇を伴う本接続を行うと、意図しない変形が生じるからである。
【0087】
次に、図10の符号601で示す図のように、画素分離溝15に埋込材20を充填する。また、ダミー領域2の一部および外周部3の一部を形成する空間にも、埋込材20を充填する。埋込材20の充填は、成長基板10を駆動回路基板30から剥離する前に行ってもよい。
【0088】
次に、図10の符号602で示す図のように、散乱部21を、マイクロLED素子201を構成するN側層11上に載置する。また、赤色変換部22を、マイクロLED素子202を構成するN側層11上に載置する。さらに、緑色変換部23を、マイクロLED素子203を構成するN側層11上に載置する。
【0089】
併せて、散乱部21と赤色変換部22との間、赤色変換部22と緑色変換部23との間、および散乱部21と緑色変換部23との間を、遮光部材24で充填する。また、ダミー領域2の一部および外周部3の一部を構成する、N側層11上および埋込材20上に、遮光部材24を載置する。
【0090】
この工程における各色変換部の載置は、例えば波長変換粒子を混合したネガ型レジストを用いて、フォトリソグラフィ技術により実現することができる。波長変換粒子は、蛍光体粒子でもよいし、量子ドットまたは量子ロッドでもよい。散乱部21、赤色変換部22および緑色変換部23は、それぞれの厚さを略同じにするのが好ましい。なぜなら、これらの厚さが異なるとサブ画素間の配光性の相違が顕著になり、画像表示装置90を見る方向によって色味が異なって見えてしまうという問題が生じるからである。また、散乱部21、赤色変換部22および緑色変換部23の厚さを略同じにすることで、各サブ画素5~7における光を放射する側の表面を含む面の平坦性を確保することができる。そのため、青反射層25および後述するパッシベーション膜27の形成を容易に行うことができる。
【0091】
次に、図10の符号603で示す図のように青反射層25を形成する。具体的には、散乱部21、赤色変換部22および緑色変換部23のそれぞれにおける光を放射する側の表面、ならびに、遮光部材24における外部に露出している側の面に誘電体多層膜を堆積させる。そして、堆積させた誘電体多層膜が散乱部21の長手側の端部、赤サブ画素6の全面および緑サブ画素7の全面に残るよう加工する。誘電体多層膜の加工時には、該誘電体多層膜における、散乱部21の長手側の端部を覆う部分の端面が所定の方向に傾くように加工する。加工後の端面が傾斜側面26となる。この加工は、例えば通常のフォトリソグラフィ技術によるパターニングによって行うことができる。
【0092】
次に、図示しないものの、外周部3の遮光部材24および埋込材20を除去し、外部接続電極34を外部に露出させるより、画像表示装置90の製造が完了する。駆動回路基板30上に形成された画像表示装置90は、最終的には個別に切断し、パッケージに実装する。
【0093】
〔変形例〕
図11図15を用いて、本発明の一実施形態に係る画像表示装置90の変形例について説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0094】
<第1の変形例>
まず図11に示すように、散乱部21の裏面211、赤色変換部22の裏面222および緑色変換部23の裏面232が赤/緑反射層28で覆われる画像表示装置91が、画像表示装置90の変形例として想定される。裏面211はマイクロLED素子201と対向しており、裏面222はマイクロLED素子202と対向しており、裏面232はマイクロLED素子203と対向している。赤/緑反射層28は本発明に係る第2の反射層の一例であり、青色光Bを透過し、かつ、赤色光Rおよび緑色光Gを反射する。赤/緑反射層28は、例えば誘電体多層膜である。
【0095】
また、画像表示装置91は、赤/緑反射層28と裏面211・222・232との間にパッシベーション膜27が配置される。画像表示装置91のパッシベーション膜27は、吸湿性が高く劣化し易い誘電体多層膜を保護するための保護膜である。パッシベーション膜27は、例えば窒化シリコン膜のようなCVD膜で形成されてもよいし、シリコーン樹脂のような樹脂材料で形成されてもよい。
【0096】
赤/緑反射層28を設けることにより、赤色変換部22からにマイクロLED素子202に向けて放射された赤色光R、および緑色変換部23からマイクロLED素子203に向けて放射された緑色光Gが赤/緑反射層28によって反射される。そのため、赤・緑サブ画素6・7における光の取り出し効率を向上させることができる。なお、画像表示装置91にパッシベーション膜27を設けることは必須ではない。また、散乱部21の裏面211は赤/緑反射層28で覆われなくてもよい。
【0097】
<第2の変形例>
次に、図12に示すように、青反射層25における裏面257以外の面、具体的には、平坦面254および2つの傾斜側面26がパッシベーション膜27で覆われる画像表示装置92も、画像表示装置90の変形例として想定される。平坦面254および2つの傾斜側面26は、本発明に係る「第1の層における第1の波長変換部および第2の波長変換部と対向する裏面以外の面」の一例である。
【0098】
画像表示装置92のパッシベーション膜27も誘電体多層膜を保護するための保護膜であり、誘電体多層膜である青反射層25を保護する。パッシベーション膜27は本発明に係るパッシベーション膜の一例である。上述のパッシベーション膜27を設けることにより、青反射層25が水分吸着等によって劣化するのを防いて青反射層25の正常な機能発揮を維持することができる。
【0099】
なお、画像表示装置92は、画像表示装置91と同様の箇所にパッシベーション膜27および赤/緑反射層28が設けられている。しかしながら、これらの部材のいずれか一方、または両方とも、画像表示装置92に設けられていなくてもよい。
【0100】
<第3の変形例>
次に、図13に示すように、赤色変換部22の側面223および緑色変換部23の側面233が光反射膜29で覆われる画像表示装置93も、画像表示装置90の変形例として想定される。光反射膜29は本発明に係る第1の反射層の一例であり、青色光B、赤色光Rおよび緑色光Gを反射する。光反射膜29は、例えば誘電体多層膜または金属膜である。
【0101】
光反射膜29を設けることにより、赤色変換部22の側面223から漏れ出た赤色光Rが、光反射膜29によって青反射層25に向けて反射される。同様に、緑色変換部23の側面233から漏れ出た緑色光Gも、光反射膜29によって青反射層25に向けて反射される。そのため、赤・緑サブ画素6・7における光の取り出し効率を向上させることができる。
【0102】
同時に、マイクロLED素子201~203(図1参照)のそれぞれから斜めに照射され、該マイクロLED素子201~203のそれぞれの隣に配置された各サブ画素5~7に入り込む青色光Bを低減することも、光反射膜29を設けることで実現できる。例えば、マイクロLED素子202から斜めに照射された青色光Bが光反射膜29によって遮られることにより、青サブ画素5の散乱部21に前記の青色光Bが入り込むことを低減することができる。
【0103】
また、画像表示装置93では、散乱部21の側面212も光反射膜29で覆われる。散乱部21の側面212を光反射膜29で覆うことにより、例えば赤色変換部22の側面223を覆う光反射膜29から漏れ出た赤色光Rを青反射層25に向けて反射することができる。同様に、緑色変換部23の側面233を覆う光反射膜29から漏れ出た緑色光Gも青反射層25に向けて反射することができる。そのため、赤・緑サブ画素6・7における光の取り出し効率をさらに向上させることができる。
【0104】
<第4の変形例>
次に、図14に示すように、赤色・緑色変換部22・23の側面224・234が青反射層25に覆われる画像表示装置94も、画像表示装置90の変形例として想定される。側面224・234は、赤色・緑色変換部22・23における、散乱部21よりも赤色・緑色光R・Gの放射方向に突出している部分の側面である。画像表示装置94は、赤色変換部22、緑色変換部23、散乱部21の順で厚さを厚くすることで、赤色変換部22および緑色変換部23を散乱部21よりも赤色・緑色光R・Gの放射方向に突出させている。
【0105】
この厚さの順番はあくまで一例であり、例えば緑色変換部23、赤色変換部22、散乱部21の順で厚さを厚くしてもよいし、赤色変換部22の厚さを緑色変換部23の厚さと同じにしてもよい。また、散乱部21、赤色変換部22および緑色変換部23の各厚さを変えることで、赤色・緑色変換部22・23を散乱部21よりも赤色・緑色光R・Gの放射方向に突出させる必要は必ずしもない。さらには、赤色変換部22のみ、あるいは緑色変換部23のみを、散乱部21よりも赤色・緑色光R・Gの放射方向に突出させてもよい。
【0106】
赤色・緑色変換部22・23の側面224・234を青反射層25で覆うことにより、赤色・緑色光R・Gの放射方向に突出している部分の側面224・234から漏れ出る青色光Bを青反射層25で反射させることができる。そのため、赤色・緑色変換部22・23の厚さが散乱部21の厚さより厚くても、赤・緑サブ画素6・7に含まれるマイクロLED素子202・203(図1参照)から放射された青色光Bと、赤・緑サブ画素6・7のそれぞれに隣接するサブ画素から放射される赤色・緑色光R・Gとのクロストークを低減できる。
【0107】
なお、画像表示装置94は、画像表示装置91と同様の箇所にパッシベーション膜27および赤/緑反射層28が設けられている。しかしながら、これらの部材のいずれか一方、または両方とも、画像表示装置94に設けられていなくてもよい。
【0108】
<第5の変形例>
次に、図15に示すように、マイクロLED素子201~203のすべてを1つのマイクロLED素子204で代替した画像表示装置95も、画像表示装置90の変形例として想定される。マイクロLED素子204は本発明に係る光源の一例であり、マイクロLED素子201~203と同様の構成で青色光Bを放射する。画像表示装置95では1つの画素4毎に1つのマイクロLED素子204が設けられるが、例えば複数の画素4毎に1つのマイクロLED素子204が設けられてもよい。
【0109】
画像表示装置95は、散乱部21、赤色変換部22および緑色変換部23とマイクロLED素子204との間にシャッター部50が配置される。シャッター部50は、例えば液晶材料で形成される。画像表示装置95では、シャッター部50の光透過性を制御することにより、散乱部21、赤色変換部22および緑色変換部23から放射される各光の光量を調整して画素4の光出力を定める。
【0110】
<第6の変形例>
図示しないものの、画像表示装置91~95以外にも、画像表示装置90の変形例が複数想定される。例えば、青反射層25において、傾斜側面26が第1の端部251または第2の端部252の一方のみに形成されてもよい。この場合、第1の端部251または第2の端部252のうちで傾斜側面26が形成されていない方は、青反射層25における傾斜側面26以外の他の側面よりも青サブ画素5の近くに配置される近接側面(不図示)となる。
【0111】
近接側面は、散乱部21における青色光Bを放射する側の面に対して略垂直な面であり、具体的には、近接側面の全面が、散乱部21における青色光Bを放射する側の面上に配置される。青反射層25における傾斜側面26および近接側面以外の側面は、一部の面のみが、散乱部21における青色光Bを放射する側の面上に配置される。
【0112】
このように、第1の端部251または第2の端部252の一方が近接側面を含んでいても、なお青サブ画素5の青色光Bの取り出し効率を許容範囲に留めることができる。かつ、青サブ画素5から放射された青色光Bと、赤色・緑色変換部22・23から漏れ出た赤色・緑色光R・Gとのクロストークを低減することができる。
【0113】
また例えば、第1の端部251および第2の端部252の少なくとも一方が、散乱部21の長手側の端部を覆わなくてもよい。言い換えれば、第1の端部251および第2の端部252の少なくとも一方が、マイクロLED素子201の長手側の端部と対向しなくてもよい。さらに付言すれば、青反射層25は、最大でマイクロLED素子201の一部と対向する大きさになればよい。この場合、散乱部21における青色光Bを放射する側の面について、外部に露出する部分がより多くなる。
【0114】
このように、第1の端部251および第2の端部252の少なくとも一方が散乱部21の長手側の端部を覆わないことで、青サブ画素5の青色光Bの取り出し効率がさらに向上する。また、青反射層25の加工容易性およびクロストークの低減についても、許容範囲に留めることができる。
【0115】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る表示装置(画像表示装置90~95)は、3つ以上のサブ画素により構成される画素(4)を複数有する表示装置であって、前記3つ以上のサブ画素として、第1の波長の光(青色光B)を放射する第1の光源(マイクロLED素子201)を有する第1のサブ画素(青サブ画素5)と、第1の波長の光を放射する第2の光源(マイクロLED素子202)と、前記第2の光源から放射された前記第1の波長の光を第2の波長の光(赤色光R)に変換する第1の波長変換部(赤色変換部22)と、を有し、かつ、前記第1のサブ画素と隣り合って配置される第2のサブ画素(赤サブ画素6)と、第1の波長の光を放射する第3の光源(マイクロLED素子203)と、前記第3の光源から放射された前記第1の波長の光を第3の波長の光(緑色光G)に変換する第2の波長変換部(緑色変換部23)と、を有し、かつ、前記第2のサブ画素と隣り合って配置される第3のサブ画素(緑サブ画素7)と、を含み、前記表示装置は、さらに、前記第1の波長の光を反射し、かつ、前記第2の波長の光および前記第3の波長の光を透過する第1の層(青反射層25)を備え、前記第1の層は、前記第1の波長変換部における前記第2の波長の光を放射する側の表面と、前記第2の波長変換部における前記第3の波長の光を放射する側の表面と、を覆い、かつ、最大で前記第1の光源の一部と対向する大きさである。
【0116】
前記構成によれば、第1の層が第1の光源と全く対向しない程度の大きさだった場合、第1の光源における第1の波長の光を放射する側の表面のすべてが外部に露出する。そのため、第1の層が第1の光源の一部と対向する程度の大きさだった場合に比べて第1のサブ画素における第1の波長の光の取り出し効率を向上させつつ、第1のサブ画素から第1の波長の光を取り出すことができる。
【0117】
また前記構成によれば、第1の層が第1の光源の一部と対向する程度の大きさだった場合、第1・第2の波長変換部から斜めに漏れ出た第1の波長の光が第1の層に所定の入射角度で入射しても、第1の層における近接側面まで到達することがない。ここで、「近接側面」とは、第1の層における、他の側面よりも第1のサブ画素の近くに配置される2つの側面を指す。そして、第1・第2の波長変換部から斜めに漏れ出た第1の波長の光は、第1の層によって反射されてしまう。そのため、第1・第2の波長変換部から漏れ出た第1の波長の光と、第1の光源から放射された第1の波長の光との間でクロストークが生じることを低減することができる。
【0118】
さらに、第1の層が第1の光源の一部と対向する程度の大きさだったとしても、第1の光源の残りの一部は第1の層と対向していないことから、第1のサブ画素から第1の波長の光を取り出すこともできる。以上より、前記のクロストークを低減すること、および第1のサブ画素から第1の波長の光を効率よく取り出すことの少なくとも一方を実現することができる。
【0119】
本発明の態様2に係る表示装置は、前記態様1において、前記第1の層における、他の側面よりも前記第1のサブ画素の近くに配置される2つの近接側面(傾斜側面26)のうち、少なくとも1つの前記近接側面が、該1つの前記近接側面の最も近くに配置される前記第2のサブ画素、または該1つの前記近接側面の最も近くに配置される前記第3のサブ画素に向けて傾いている。
【0120】
前記構成によれば、2つの近接側面の少なくとも一方が、その近接側面の最も近くに配置される第2のサブ画素または第3のサブ画素に向けて傾いている。そのため、第1の波長変換部から漏れ出た後、第1の層に特定の角度で入射した第1の波長の光については、近接側面を透過することなく第1の層の内部で反射する。したがって、第1の光源から放射された第1の波長の光と、第1の波長変換部から漏れ出た第1の波長の光とのクロストークを低減することができる。また、第1の光源の少なくとも一部は第1の層と対向しないことから、前記のクロストークを低減することと、第1のサブ画素から第1の波長の光を取り出すこととを両立させることができる。
【0121】
本発明の態様3に係る表示装置は、前記態様2において、前記第1の層の少なくとも一部は、2種類以上の機能層(第1の機能層40、第2の機能層41)が積層された構造になっており、前記2種類以上の機能層は、前記第1の波長の光に対する屈折率がそれぞれ異なってもよい。
【0122】
前記構成によれば、第1の層中のある機能層が第1の波長の光を透過しても、透過した第1の波長の光をある機能層と屈折率の異なる別の機能層で反射させることができる。そのため、第1の層が2種類以上の機能層の積層構造になっていない場合に比べて、第1の層から第1の波長の光が漏れ出ることを低減することができる。
【0123】
本発明の態様4に係る表示装置は、前記態様3において、前記第1の層は、該第1の層における前記第1の波長変換部および前記第2の波長変換部と対向する裏面(257)と反対側の表面(平坦面254)に対して垂直な方向に、前記2種類以上の機能層が積層された第1の部分(8)と、前記第2のサブ画素または前記第3のサブ画素に向けて傾いている前記近接側面である傾斜側面の傾斜方向に対して垂直な方向に、前記第1の波長の光を反射し、かつ、前記第2の波長の光および前記第3の波長の光を透過する2種類以上の機能層(第1の機能層40、第2の機能層41)が積層された第2の部分(9)と、を有してもよい。
【0124】
前記構成によれば、第1の機能層が第1の部分および第2の部分のいずれか一方を有していない場合に比べて、第1の層から第1の波長の光が漏れ出ることを低減することができる。また、第1の層が第2の部分を有していない場合に比べて、第1のサブ画素の光源から放射された第1の波長の光と、第1の波長変換部から漏れ出た第2の波長の光とのクロストークをさらに低減することができる。
【0125】
本発明の態様5に係る表示装置は、前記態様3において、前記第1の層における、前記第2のサブ画素または前記第3のサブ画素に向けて傾いている前記近接側面である傾斜側面を含む端部は、前記第1の光源の一部と対向しており、前記第1の波長の光を反射し、かつ、前記第2の波長の光および前記第3の波長の光を透過する2種類以上の機能層が積層された構造になっており、前記端部は、最も前記第1の層の中央寄りの部分(最も青反射層寄りの部分255)から先端部分(256)に向かうにつれて前記2種類以上の機能層の積層数が減っていてもよい。
【0126】
前記構成によれば、第1の層における傾斜側面を含む端部(以下、傾斜端部)が第1の光源の一部と対向している。そのため、第1のサブ画素と第2のサブ画素との間のピッチを短くしても、傾斜側面の傾斜角度を厳密に調整する必要性が低減し、第2の表面および第3の表面に対する第1の表面の高い平坦性が確保し易くなる。したがって、第1の層の簡易な加工で高解像度の表示装置を実現することができる。ここで「第1の表面」とは、第1の層における、第1の波長の光および第2の波長の光を放射する側の表面を指す。また、「第2・第3の表面」とは、第1・第2の波長変換部における、第1・第2の波長の光を放射する側の表面を指す。
【0127】
また前記構成によれば、傾斜端部について、最も第1の層の中央寄りの部分から先端部分に向かうにつれて、波長選択性、特に第1の波長の光に対する反射性が低下する。そのため、傾斜端部に垂直に入射した第1の波長の光は、そのほとんどが反射することなく傾斜端部を透過する。そのため、第1のサブ画素における第1の波長の光の取り出し効率を、傾斜端部が第1の光源と全く対向していない場合と同程度に維持することができる。なお、「傾斜端部に垂直」の「垂直」は、具体的には傾斜端部における第1の光源の一部と対向する面に対して垂直であることを意味する。
【0128】
本発明の態様6に係る表示装置(画像表示装置94)は、前記態様1から5のいずれかにおいて、前記第1のサブ画素は、前記第1の光源から放射された前記第1の波長の光を散乱または透過する第2の層(散乱部21)を有しており、前記第1の波長変換部および前記第2の波長変換部の少なくとも一方は、前記第2の層よりも前記第2の波長の光の放射方向に突出しており、前記第1の波長変換部および前記第2の波長変換部の少なくとも一方における、前記第2の層よりも前記第2の波長の光の放射方向に突出している部分の側面(224、234)は、前記第1の層に覆われてもよい。
【0129】
前記構成によれば、第1のサブ画素に第2の層を設けて第1の波長の光を散乱させることにより、光ムラを低減することができる。また前記構成によれば、第1の波長変換部および第2の波長変換部の少なくとも一方における、第2の層よりも第2の波長の光の放射方向に突出している部分の側面から漏れ出た第1の波長の光および第2の波長の光の少なくとも一方を、第1の層が反射する。したがって、例えば、第1の波長変換部および第2の波長変換部の少なくとも一方の厚さが第2の層の厚さより厚くても、第1の光源から放射された第1の波長の光と、第1の波長変換部から漏れ出た第1の波長の光とのクロストークを低減することができる。
【0130】
本発明の態様7に係る表示装置(画像表示装置92)は、前記態様1から6のいずれかにおいて、前記第1の層における前記第1の波長変換部および前記第2の波長変換部と対向する裏面(257)以外の面は、パッシベーション膜(27)で覆われもよい。
【0131】
前記構成によれば、第1の層における第1の波長変換部および第2の波長変換部と対向する表面以外の面がパッシベーション膜で保護される。そのため、第1の層がゴミ・水分吸着および酸化によって劣化するのを防いて、第1の層の正常な機能発揮を維持することができる。
【0132】
本発明の態様8に係る表示装置(画像表示装置93)は、前記態様1から7のいずれかにおいて、前記第1の波長変換部の側面(223)および前記第2の波長変換部の側面(233)は、前記第2の波長の光および前記第3の波長の光を反射する第1の反射層(光反射膜29)で覆われてもよい。
【0133】
前記構成によれば、第1の反射層は、第1の波長変換部の側面から漏れ出た第2の波長の光を第1の層に向けて反射する。同様に第1の反射層は、第2の波長変換部の側面から漏れ出た第3の波長の光も第1の層に向けて反射する。そのため、第2のサブ画素における第2の波長の光の取り出し効率、および第3のサブ画素における第3の波長の光の取り出し効率を向上させることができる。
【0134】
本発明の態様9に係る表示装置(画像表示装置91)は、前記態様1から8のいずれかにおいて、前記第1の波長変換部における前記第2の光源と対向する裏面(222)、および前記第2の波長変換部における前記第3の光源と対向する裏面(232)は、前記第2の波長の光および前記第3の波長の光を反射する第2の反射層(赤/緑反射層28)で覆われてもよい。
【0135】
前記構成によれば、第2の反射層が、第1の波長変換部から第2の光源に向けて放射された第2の波長の光、および第2の波長変換部から第3の光源に向けて放射された第3の波長の光を反射する。そのため、第1・第2の波長変換部から第2・第3の光源に向けて、言い換えれば意図しない方向に放射された第2・第3の波長の光も第2・第3のサブ画素から取り出すことができる。したがって、第2のサブ画素における第2の波長の光の取り出し効率、および第3のサブ画素における第3の波長の光の取り出し効率を向上させることができる。
【0136】
本発明の態様10に係る表示装置(画像表示装置95)は、3つ以上のサブ画素により構成される画素(4)を複数有する表示装置であって、前記3つ以上のサブ画素として、第1の波長の光(青色光B)を放射する光源(マイクロLED素子204)を有する第1のサブ画素(青サブ画素5)と、前記光源と、前記光源から放射された前記第1の波長の光を第2の波長の光(赤色光R)に変換する第1の波長変換部(赤色変換部22)と、を有し、かつ、前記第1のサブ画素と隣り合って配置される第2のサブ画素(赤サブ画素6)と、前記光源と、前記光源から放射された前記第1の波長の光を第3の波長の光(緑色光G)に変換する第2の波長変換部(緑色変換部23)と、を有し、かつ、前記第2のサブ画素と隣り合って配置される第3のサブ画素(緑サブ画素7)と、を含み、前記表示装置は、さらに、前記第1の波長の光を反射し、かつ、前記第2の波長の光および前記第3の波長の光を透過する第1の層(青反射層25)を備え、前記第1の層は、前記第1の波長変換部における前記第2の波長の光を放射する側の表面と、前記第2の波長変換部における前記第3の波長の光を放射する側の表面と、を覆い、かつ、最大で前記第1のサブ画素の前記光源の一部と対向する大きさである。
【0137】
前記構成によれば、第1~第3のサブ画素の各光源として、例えば共通する1つの光源が用いられている表示装置について、本発明の態様1に係る表示装置と同様の効果を奏する。
【0138】
〔付記事項〕
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0139】
4 画素
5 青サブ画素(第1のサブ画素)
6 赤サブ画素(第2のサブ画素)
7 緑サブ画素(第3のサブ画素)
8 第1の部分
9 第2の部分
21 散乱部(第2の層)
22 赤色変換部(第1の波長変換部)
23 緑色変換部(第2の波長変換部)
25 青反射層(第1の層)
26 傾斜側面(近接側面)
27 パッシベーション膜
28 赤/緑反射層(第2の反射層)
29 光反射膜(第1の反射層)
40 第1の機能層(2種類の機能層)
41 第2の機能層(2種類の機能層)
90 画像表示装置(表示装置)
201 マイクロLED素子(第1の光源)
202 マイクロLED素子(第2の光源)
203 マイクロLED素子(第3の光源)
204 マイクロLED素子(光源)
221 表面(第1の波長変換部における第2の波長の光を放射する側の表面)
222 裏面(第1の波長変換部における第2の光源と対向する裏面)
223 側面(第1の波長変換部の側面)
224 側面(第1の波長変換部および第2の波長変換部の少なくとも一方における、第2の層よりも第2の波長の光の放射方向に突出している部分の側面)
231 表面(第2の波長変換部における第3の波長の光を放射する側の表面)
232 裏面(第2の波長変換部における第3の光源と対向する裏面)
233 側面(第2の波長変換部の側面)
234 側面(第1の波長変換部および第2の波長変換部の少なくとも一方における、第2の層よりも第2の波長の光の放射方向に突出している部分の側面)
251 第1の端部(第1の層における傾斜側面を含む端部)
252 第2の端部(第1の層における傾斜側面を含む端部)
254 平坦面(第1の層における第1の波長変換部および第2の波長変換部と対向する裏面と反対側の表面)
255 最も青反射層の中央寄りの部分(最も第1の層寄りの部分)
256 先端部分
257 裏面(第1の層における第1の波長変換部および第2の波長変換部と対向する裏面)
B 青色光(第1の波長の光)
R 赤色光(第2の波長の光)
G 緑色光(第3の波長の光)
図1
図2
図3
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