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特許7388937通気性織物とその製造方法及びこれを用いた衣服
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  • 特許-通気性織物とその製造方法及びこれを用いた衣服 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】通気性織物とその製造方法及びこれを用いた衣服
(51)【国際特許分類】
   D03D 9/00 20060101AFI20231121BHJP
   A41D 13/00 20060101ALI20231121BHJP
   A41D 31/00 20190101ALI20231121BHJP
   A41D 31/04 20190101ALI20231121BHJP
   A41D 31/14 20190101ALI20231121BHJP
   D03D 15/20 20210101ALI20231121BHJP
【FI】
D03D9/00
A41D13/00 102
A41D31/00 502B
A41D31/00 503C
A41D31/00 503G
A41D31/00 503M
A41D31/04 C
A41D31/04 Z
A41D31/14
D03D15/20 200
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020012920
(22)【出願日】2020-01-29
(65)【公開番号】P2021116508
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001096
【氏名又は名称】倉敷紡績株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】村佐 浩章
【審査官】大▲わき▼ 弘子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0218737(US,A1)
【文献】特開2019-123970(JP,A)
【文献】特開昭49-035662(JP,A)
【文献】特開2019-044317(JP,A)
【文献】特開2011-089231(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D1/00-27/18、
A41D31/00-31/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経糸と緯糸で構成される通気性織物であって、
前記経糸は、コットン100質量%紡績糸及びコットンとポリエステルの混紡紡績糸から選ばれる少なくとも一つの紡績糸であり、
前記緯糸は、ポリエステルコンジュゲートマルチフィラメント糸であり、
前記経糸及び緯糸には糸不存在部があり、前記糸不存在部は空隙部となっており、
前記経糸の糸不存在部は経糸10~30本に1本の割合であり
前記緯糸の糸不存在部は緯糸8~16本に1本の割合であり
前記織物の緯糸方向の伸長率は8%以上であり、かつ前記織物のJIS L1096のA法(フラジール法)による通気性が、25~150cm 3 /cm 2 ・secであることを特徴とする通気性織物。
【請求項2】
前記緯糸のポリエステルコンジュゲートマルチフィラメント糸は、熱水収縮率が5~15%である請求項1に記載の通気性織物。
【請求項3】
前記経糸及び緯糸の糸不存在部と直角方向の糸は表側又は裏側でブリッジ構造となっているか、又は前記糸不存在部の両脇の糸と交差する構造となっている請求項1又は2に記載の通気性織物。
【請求項4】
前記通気性織物の単位面積当たりの質量は60~300g/m2である請求項1~のいずれか1項に記載の通気性織物。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載の通気性織物を使用した衣服。
【請求項6】
前記衣服は、作業用衣服又は夏期用ユニフォームである請求項に記載の衣服。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1項に記載の通気性織物の製造方法であって、
経糸は、コットン100質量%紡績糸及びコットンとポリエステルの混紡紡績糸から選ばれる少なくとも一つの紡績糸とし、
緯糸は、ポリエステルコンジュゲートマルチフィラメント糸及びアルカリ水溶液可溶型ポリエステル糸を独立して併用し、
前記経糸は、空羽による糸不存在部を部分的に作り、
前記緯糸は織物を精練する際に、アルカリ水溶液により前記アルカリ水溶液可溶型ポリエステル糸を溶解除去することを特徴とする通気性織物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業服、夏期用ユニフォーム等に好適な通気性織物とこれを用いた衣服及び通気性織物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
暑い時期に着用する服や発汗を伴う作業服は、生地を薄くしたり、メッシュを形成して蒸れ感を抑制し、清涼感を付与するなどの工夫が必要である。特許文献1には、ナイロンなどの合成繊維からなるフィラメント糸を使用し、単位面積当たりの質量(目付)を15~50g/mと軽くし、蒸れ感の少ない軽量織物が提案されている。特許文献2には、溶解しない繊維としてポリエステルフィラメント糸を使用し、溶解する経糸及び緯糸の双方にアルカリ可溶性ポリエステルを使用し、タテ方向及びヨコ方向の双方を部分的に溶解除去して通気性を上げることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-223020号公報
【文献】特開2011-089231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の通気性織物は、通気性は良くても保形性に問題があり、安全性が重視される作業服や、ストレッチ性を有すると共にしっかりした形が重要視される夏期用ユニフォーム等に適用するには問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するため、ストレッチ性及び保形性が良好で、通気性があり、家庭洗濯も可能で、かつ着用感も良好な通気性織物とその製造方法及びこれを用いた衣服を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の通気性織物は、経糸と緯糸で構成される通気性織物であって、
前記経糸は、コットン100質量%紡績糸及びコットンとポリエステルの混紡紡績糸から選ばれる少なくとも一つの紡績糸であり、
前記緯糸は、ポリエステルコンジュゲートマルチフィラメント糸であり、
前記経糸及び緯糸には糸不存在部があり、前記糸不存在部は空隙部となっており、
前記経糸の糸不存在部は経糸10~30本に1本の割合であり
前記緯糸の糸不存在部は緯糸8~16本に1本の割合であり
前記織物の緯糸方向の伸長率は8%以上であり、かつ前記織物のJIS L1096のA法(フラジール法)による通気性が、25~150cm 3 /cm 2 ・secであることを特徴とする。
【0007】
本発明の衣服は、前記の通気性織物を使用した衣服である。
【0008】
本発明の通気性織物の製造方法は、前記の通気性織物の製造方法であって、
経糸は、コットン100質量%紡績糸及びコットンとポリエステルの混紡紡績糸から選ばれる少なくとも一つの紡績糸とし、
緯糸は、ポリエステルコンジュゲートマルチフィラメント糸及びアルカリ水溶液可溶型ポリエステル糸を独立して併用し、
前記経糸は、空羽による糸不存在部を部分的に作り、
前記緯糸は織物を精練する際に、アルカリ水溶液により前記アルカリ水溶液可溶型ポリエステル糸を溶解除去することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の通気性織物は、経糸はコットン100質量%紡績糸及びコットンとポリエステルの混紡紡績糸から選ばれる少なくとも一つの紡績糸であり、緯糸は合成繊維製フィラメント糸であり、経糸は空羽による糸不存在部を空隙部とし、緯糸は溶解型繊維を溶解させることによる糸不存在部を空隙部とし、前記経糸の糸不存在部は経糸10~30本に1~4本の割合で存在し、前記緯糸の糸不存在部は緯糸6~20本に1~4本の割合で存在しており、織物の緯糸方向の伸長率は8%以上とすることにより、ストレッチ性及び保形性が良好で、通気性があり、家庭洗濯も可能で、かつ着用感も良好な通気性織物とその製造方法及びこれを用いた衣服を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は本発明の一実施形態の通気性織物の模式的表面図である。
図2図2は本発明の一実施形態の通気性織物のブリッジ構造を示す模式的断面図である。
図3図3は本発明の一実施形態の通気性織物の交差構造を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の通気性織物は、経糸はコットン100質量%紡績糸及びコットンとポリエステルの混紡紡績糸から選ばれる少なくとも一つの紡績糸とすることにより、着心地を良好に保てる。コットンは吸湿性、吸水性があり、肌にも優しく、発汗を伴う作業服や、夏期用ユニフォーム等に好適である。混紡紡績糸の場合は、混紡紡績糸を100質量%としたとき、コットン20質量%以上100質量%未満、ポリエステル0質量%を超え80質量%以下が好ましく、さらに好ましくはコットン30質量%以上100質量%未満、ポリエステル0質量%を超え70質量%以下である。
【0012】
経糸は、空羽による糸不存在部を空隙部としている。ここで「空羽(からは)」とは、経糸を綜絖通しする際に、糸を部分的に綜絖通しないことをいう。これにより糸不存在部を作り、空隙部とする。
【0013】
緯糸は、合成繊維製フィラメント糸及びアルカリ水溶液可溶型ポリエステル糸を独立して併用し、織物を形成した後、前記アルカリ水溶液可溶型ポリエステル糸を溶解除去させて空隙部とする。緯糸として残るのは合成繊維製フィラメント糸である。合成繊維製フィラメント糸としては、例えばポリエステル仮より糸、ポリエステルコンジュゲートマルチフィラメント糸などが好ましい。前記ポリエステルコンジュゲートマルチフィラメント糸は熱水収縮率5~15%が好ましい。これにより、織物とした後の染色工程などの熱水処理により、伸長率が8%以上、好ましくは10~25%、さらに好ましくは10~20%となり、好ましいストレッチ性が発現する。なお、熱水収縮率は、JIS-L-1013(化学繊維フィラメント糸試験方法)の(8.18.1 熱水収縮率,かせ収縮率A法)に記載の試験方法に準じて測定を行った。試験回数は5回とし、その平均値を熱水収縮率とした。
【0014】
ポリエステルコンジュゲート糸は、複数のポリマー成分をサイド・バイ・サイド(バイメタル)型、シースコア(芯鞘偏心)型などに長さ方向に連続して複合紡糸としたものである。ポリエステル成分としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PPT)、またはこれらの共重合体などを任意の組み合わせが可能である。このポリエステルコンジュゲートマルチフィラメント糸は、熱水処理によりクリンプなどが発生して見掛け上収縮するが、荷重をかけると伸びる性質があり、伸縮性を発現する。このようなポリエステルコンジュゲートマルチフィラメント糸として、例えば東レ社製、商品名:EPOYシリーズがある。
【0015】
経糸の糸不存在部は10~30本に1~4本の割合で存在させるのが好ましい。緯糸の糸不存在部は6~20本に1~4本の割合で存在させるのが好ましい。これにより、通気性と保形性を両立できる。不存在となる緯糸の本数の好ましくは8~16本に1本又は2本の割合、さらに好ましくは8~16本に1本の割合である。経糸は、糸を通す一つの羽に2本の糸を通すことが多く、5~15羽に1羽の割合で糸を配置させないことが好ましい。ただし、織物時や後工程の染色時等のテンションにより2本分の割合が1本分に見えることもあるので上記割合としている。なお、好ましくは、7~14羽に1羽の割合で糸不存在の空羽を配置させる。これにより、空隙部を形成して通気性が向上するとともに、保形性を保ち、型崩れしにくい。経糸及び緯糸のいずれか一方の不存在の糸割合が多くなると保形性は確保しにくく、不存在の糸割合が小さくなると通気性が低下する。
【0016】
本発明の通気性織物の好ましい製造方法としては、前記経糸は10~30本に1~4本の割合で織物製造時に存在させないことで空隙部を形成し、前記緯糸は6~20本に1~4本の割合で可溶性糸、例えばアルカリ水溶液可溶型ポリエステル糸や水溶性ビニロン糸を配置して織物とし、織物製造後に前記アルカリ水溶液可溶型ポリエステル糸や水溶性ビニロン糸を除去するのが通常であるが、アルカリ水溶液可溶型ポリエステル糸を配置して織物とし、織物製造後に前記アルカリ水溶液可溶型ポリエステル糸を除去するのが好ましい。
【0017】
通気性織物のJIS L1096のA法(フラジール法)による通気性は、25~150cm3/cm2・secが好ましく、より好ましくは30~130cm3/cm2・secであり、さらに好ましくは36~110cm3/cm2・secである。前記の範囲であれば夏期用衣料に好適である。なお、このような通気性を発現するために不存在部は、経糸及び緯糸共に1~9mm間隔程度で存在させるのが好ましい。
【0018】
前記経糸及び緯糸の不存在部と直角方向の糸は表側又は裏側でブリッジ構造になっているか、又は前記糸不存在部の両脇の糸と交差する構造となっているのが好ましい。ブリッジ構造は、織物製造後にアルカリ水溶液可溶型ポリエステル糸を除去することで形成される。あるいは、空打ちの場合は奇数回空打ちすることでブリッジ構造が形成される。糸不存在部の両脇の糸と交差する構造は、空打ちの場合は偶数回空打ちすることで形成される。このとき、偶数回空打ちしても、空隙部の間隔は奇数回空打ちとほぼ同一となる。なお、空打ちは緯糸についての技術用語であるが、経糸は綜絖通しの際の経糸を10~30本に1本又は2本の割合で抜くことにより、不存在にすることができる。
【0019】
通気性織物を構成する経糸及び緯糸は、紡績糸とする。経糸及び緯糸に紡績糸を使用することにより、経糸と緯糸が滑りにくく、経糸と緯糸の交差点を動きにくくし、空隙部があっても保形性を保持できる。紡績糸は、メートル番手で単糸は(20/1)~(80/1)番(分子はメートル番手、分母は糸の本数。以下同じ。)が好ましく、より好ましくは(25/1)~(70/1)番である。双糸は(40/2)~(100/2)番が好ましく、より好ましくは(50/2)~(90/2)番である。この範囲であれば通気性と保形性を両立した織物を構成できる。なお、本発明の機能を損なわない範囲で制電糸等を経糸又は緯糸の一部に用いることは何ら差し支えない。
【0020】
アルカリ水溶液可溶型ポリエステル糸は、例えば、5-ナトリウムスルホイソフタル酸成分等を共重合したエチレンテレフタレート糸が使用できる。このポリエテルは、アルカリ易容性ポリエステル糸(カチオン染料可染型ポリエステル糸)ともいわれる。アルカリ水溶液可溶型ポリエステル糸は、50~200デニールが好ましく、特に50~100デニールのフィラメントを2本より合わせて100~200デニールとして用いるのが好ましい。
【0021】
通気性織物の単位面積当たりの質量は60~300g/m2が好ましく、より好ましくは70~200g/mである。この範囲であれば発汗を伴う作業服や、夏期用ユニフォーム等に好適である。
【0022】
本発明の衣服は、前記の通気性織物を使用した衣服である。衣服は通常、縫製によって作られる。好ましい衣服は、作業用衣服又は夏期用ユニフォーム等である。シャツやジャンパー等の上衣、ス本やスカート等の下衣に好適である。その他、帽子、家庭着、パジャマ等にも好適である。
【0023】
本発明の通気性織物の第1の製造方法は次の工程からなる。
(1)主たる経糸及び緯糸は、コットン100質量%紡績糸及びコットンとポリエステルの混紡紡績糸から選ばれる少なくとも一つの紡績糸とする。前記において、「主たる」とは、下記のアルカリ水溶液可溶型ポリエステル糸を除く意味である。なお、通気性や保形性を阻害しない範囲で制電糸やその他糸を用いることもできる。
(2)前記経糸は10~30本に1~4本の割合で織物製造時に存在させないことで空隙部を形成する。経糸を通す羽に空羽部分を配置することにより糸不存在部が形成できる。
(3)前記緯糸は合成繊維製フィラメント糸及びアルカリ水溶液可溶型ポリエステル糸を使用し、6~20本に1~4本程度の割合でアルカリ水溶液可溶型ポリエステル糸を配置し織物を織製する。
(4)前記織物を精練する際に、アルカリ水溶液によりアルカリ水溶液可溶型ポリエステル糸を溶解除去する。通常、コットン100質量%紡績糸及びコットンとポリエステルの混紡紡績糸から選ばれる少なくとも一つの紡績糸は、精練工程が必須であり、この精練工程でアルカリ水溶液可溶型ポリエステル糸を溶解除去することは、同じく可溶性糸である水溶性ビニロン糸を用いた場合、別工程で水処理が必要な点をふまえると製造コスト的に利点がある。
(5)その後、染色する。染色は常法に従う。染色は熱水で処理するのが好ましく、この時合成繊維製フィラメント糸は収縮し、ストレッチ性が付与される。
【0024】
以下図面によって本発明の通気性織物を説明する。図1は本発明の一実施形態の通気性織物1の模式的表面図である。この織物は経糸2と緯糸3で構成される平組織織物であり、経糸2は22本に2本の割合で存在しておらず、空隙部4が形成されている。緯糸3も12本に1本の割合で存在しておらず、空隙部5が形成されている。空隙部4と空隙部5は格子模様を形成している。
【0025】
図2は本発明の一実施形態の通気性織物のブリッジ構造を示す模式的断面図である。経糸2と交差して緯糸3が配置されているが、空隙部4の部分はブリッジ構造6となっている。ブリッジ構造6の形成方法は前記のとおりである。この例は緯糸3のブリッジ構造6を示したが、経糸についても同様である。図3は本発明の一実施形態の通気性織物の交差構造を示す模式的断面図である。経糸2と交差して緯糸3が配置されているが、空隙部4の部分は交差構造7となっている。同一織物の中にブリッジ構造6と交差構造7を混在することもできる。
【実施例
【0026】
以下実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。なお本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0027】
(実施例1)
綿(コットン)35質量%、ポリエステル(PET)短繊維65質量%の混紡紡績糸の単糸(メートル番手34番)を経糸に使用し、高い伸縮性を持ったポリエステルコンジュゲートマルチフィラメント糸を緯糸に使用した。緯糸のポリエステルコンジュゲートマルチフィラメント糸は、市販されているPET/PBTコンジュゲート糸、繊度168decitex,24フィラメント、強度3.3cN/decitex,伸度3.3%,熱水収縮率8.48%を使用した。組織は平織組織とし、経糸は1羽あたり2本の単糸を通し、18羽に2羽の割合で空羽とした(18本に1本の割合で不存在)。緯糸は12本に1本の割合で均等にアルカリ水溶液可溶型ポリエステル糸を配置した。アルカリ水溶液可溶型ポリエステル糸は、KBセーレン社製、製品名”ベルピュア”を用い、75デニール3本を引き揃えて使用した。そして、平織物を精練する際に、アルカリ水溶液によりアルカリ水溶液可溶型ポリエステル糸を溶解除去した。漂白及び染色は、常法に従った。得られた織物の単位面積当たりの質量は140g/mであった。不存在部の間隔は経糸及び緯糸共に約5mmである。織物評価は表1にまとめて示す。
【0028】
(比較例1)
綿(コットン)35質量%、ポリエステル短繊維65質量%の混紡紡績糸の単糸(メートル番手34番)を経糸と緯糸に使用し、平織組織(サラシ)とした以外は実施例1と同様に実験した。比較例1のJIS L1096のA法(フラジール法)による通気性は、3.5(cm/cm・sec)であった。
【0029】
【表1】
【0030】
表1から明らかなとおり、本発明の実施例1の織物は伸長率及び通気性が良く、洗濯後の寸法安定性が良かった。また、本発明の実施例1の織物を使用して、作業着(上着)を縫製した。この作業着(上着)は、ストレッチ性、保形性が良好で、通気性があり、家庭洗濯も可能で、かつ着用感も良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の通気性織物は、作業用衣服、夏期用ユニフォーム等のほか、シャツやジャンパー等の上衣、ズボンやスカート等の下衣に好適である。その他、帽子、家庭着、パジャマ等にも好適である。
【符号の説明】
【0032】
1 通気性織物
2 経糸
3 緯糸
4,5 空隙部
6 ブリッジ構造
7 交差構造
図1
図2
図3