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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】排ガス浄化装置
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/63 20060101AFI20231121BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20231121BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
B01J23/63 A ZAB
B01D53/94 222
B01D53/94 245
B01D53/94 280
F01N3/28 301A
F01N3/28 301Q
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020036471
(22)【出願日】2020-03-04
(65)【公開番号】P2021137714
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000104607
【氏名又は名称】株式会社キャタラー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 幸司
(72)【発明者】
【氏名】西岡 寛真
(72)【発明者】
【氏名】三好 直人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 あけみ
(72)【発明者】
【氏名】村脇 啓介
(72)【発明者】
【氏名】池部 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】太田 貴也
(72)【発明者】
【氏名】中島 諒太
(72)【発明者】
【氏名】小里 浩隆
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-262144(JP,A)
【文献】国際公開第2010/064497(WO,A1)
【文献】特開2021-037453(JP,A)
【文献】特開平09-253454(JP,A)
【文献】特開2018-199094(JP,A)
【文献】特開2019-198838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
B01D 53/94
F01N 3/00 - 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハニカム基材と触媒層とを備える排ガス浄化装置であって、
前記排ガス浄化装置は、ストレートフロー型の三元触媒であり、
前記ハニカム基材は、流入側端面から流出側端面まで延びる複数のセルを画成する隔壁を有し、
前記触媒層は、前記隔壁のセル側の表面上に設けられた粉末状のOSC材にパラジウムが担持された触媒付担体からなる下層と、前記下層の表面上に設けられた粉末状のOSC材にロジウムが担持された触媒付担体からなる上層とを有し、
前記下層に含まれる前記粉末状のOSC材の体積基準の粒度分布における累積50%粒径Da50は、0.5μm以上10μm以下の範囲内であり、
前記累積50%粒径Da50は、前記上層に含まれる前記粉末状のOSC材の体積基準の粒度分布における累積50%粒径Db50より小さいことを特徴とする排ガス浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム基材とハニカム基材の隔壁に設けられた触媒層とを備える排ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等における内燃機関から排出される排ガスには、CO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、NOx(窒素酸化物)等の有害成分が含まれている。これらの有害成分を排ガスから除去するために、ハニカム基材の隔壁に触媒金属粒子及び触媒金属粒子を担持する担体を含む触媒材料が塗布された排ガス浄化装置が使用されている。
【0003】
このような排ガス浄化装置には、酸化物担体に貴金属粒子を担持させて貴金属担持触媒とする工程と、還元雰囲気中で貴金属担持触媒を加熱処理して、貴金属担持触媒に担持されている貴金属粒子の粒径を所定の範囲に制御する工程とを含む製造方法により製造される触媒材料が用いられることが知られている(特許文献1)。この触媒材料では、触媒金属粒子の粒子径が、粒径分布が狭く、かつ微細でありながらも触媒反応に適した大きさに制御されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-147256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動車等の排ガス浄化システムにおいて、上流側排ガス浄化装置(スタートアップ触媒(S/C))の下流側に配置された下流側排ガス浄化装置(アンダーフロア触媒(UF/C))に流入する排ガスの組成は、上流側排ガス浄化装置の浄化性能及びエンジンの運転条件に依存する。エンジンの運転条件がストイキからずれた際には、上流側排ガス浄化装置における酸素吸放出能(OSC:Oxygen Storage Capacity)を有するOSC材で酸化剤(NOx/O)又は還元剤(HC/CO)の量論を調整している。しかしながら、高速域等のエンジンからの排出が多い領域では、上流側排ガス浄化装置のOSC材での酸素の吸放出では浄化処理が賄えなくなり、リッチ時にはHC及びCOのみが、リーン時はNOxのみが下流側排ガス浄化装置に流入し、HC及びCOとNOxとがリッチ時及びリーン時に交互に流入することになる。
【0006】
リッチ時に無酸素に近い状態でHC及びCOのみが下流側排ガス浄化装置に流入すると、HCが触媒層に吸着することで、下流側排ガス浄化装置は被毒し、本来の浄化性能が徐々に喪失される。さらに、排ガスが600℃以上である場合には、HCのコーキング(重合)が起こり、HCの重合体が物理的に触媒層の表面を覆うことにより、更なる浄化性能の低下が起こる。
【0007】
これに対し、特許文献1に記載された触媒材料が用いられる排ガス浄化装置では、触媒金属粒子の粒子径が触媒反応に適した大きさに制御されてはいるものの、無酸素に近い状態でHC及びCOのみが流入した場合に、HCにより被毒が起こり、浄化性能が低下することを抑制することは困難であった。特に、SULEV30やSULEV20システムのような高浄化性能が求められるシステムにおいては、下流側排ガス浄化装置の浄化性能は重要であるから、このような現象は致命的である。
【0008】
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、触媒層の被毒を抑制することで、浄化性能を向上することができる排ガス浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく、本発明の排ガス浄化装置は、ハニカム基材と触媒層とを備える排ガス浄化装置であって、上記ハニカム基材は、流入側端面から流出側端面まで延びる複数のセルを画成する隔壁を有し、上記触媒層は、上記隔壁のセル側の表面上に設けられたOSC材を含有する粉末状の担体及び該粉末状の担体に担持された触媒金属粒子を含む下層と、上記下層の表面上に設けられたOSC材を含有する粉末状の担体及び該粉末状の担体に担持された触媒金属粒子を含む上層とを有し、上記下層に含まれる上記粉末状の担体の体積基準の粒度分布における累積50%粒径Da50は、0.5μm以上10μm以下の範囲内であり、上記累積50%粒径Da50は、上記上層に含まれる上記粉末状の担体の体積基準の粒度分布における累積50%粒径Db50より小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、触媒層の被毒を抑制することで、浄化性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る排ガス浄化装置の一例を概略的に示す斜視図である。
図2】(a)は、図1に示される隔壁で画成されるセル内を排ガスが流れる様子を概略的に示す斜視図である。また、(b)は、(a)における破線枠内の隔壁及び触媒層を拡大して示す概略断面図であり、(c)は、(b)における破線枠内の触媒層をさらに拡大して示す概略断面図である。
図3】従来のストレートフロー型の三元触媒の排ガス浄化装置における触媒層を拡大して示す、図2(c)に対応する概略断面図である。
図4】実施例及び比較例の排ガス浄化装置のHC浄化率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の排ガス浄化装置に係る実施形態は、ハニカム基材と触媒層とを備える排ガス浄化装置であって、上記ハニカム基材は、流入側端面から流出側端面まで延びる複数のセルを画成する隔壁を有し、上記触媒層は、上記隔壁のセル側の表面上に設けられたOSC材を含有する粉末状の担体及び該粉末状の担体に担持された触媒金属粒子を含む下層と、上記下層の表面上に設けられたOSC材を含有する粉末状の担体及び該粉末状の担体に担持された触媒金属粒子を含む上層とを有し、上記下層に含まれる上記粉末状の担体の体積基準の粒度分布における累積50%粒径Da50は、0.5μm以上10μm以下の範囲内であり、上記累積50%粒径Da50は、上記上層に含まれる上記粉末状の担体の体積基準の粒度分布における累積50%粒径Db50より小さいことを特徴とする。
ここで、「流入側」とは、排ガス浄化装置において排ガスが流入する側を指し、「流出側」とは、排ガス浄化装置において排ガスが流出する側を指す。
【0013】
実施形態において、隔壁の延伸方向は、特に限定されないが、通常、ハニカム基材の軸方向と略同一であり、セルの延伸方向は、特に限定されないが、通常、隔壁の延伸方向と略同一である。以下の説明では、「延伸方向」とは、隔壁及びセルの延伸方向、すなわち流入側及び流出側が対向する方向であって、ハニカム基材の軸方向と略同一の方向を指す。
【0014】
最初に、実施形態の排ガス浄化装置の概略について、例示して説明する。
ここで、図1は、実施形態に係る排ガス浄化装置の一例を概略的に示す斜視図である。図2(a)は、図1に示される隔壁で画成されるセル内を排ガスが流れる様子を概略的に示す斜視図である。また、図2(b)は、図2(a)における破線枠内の隔壁及び触媒層を拡大して示す概略断面図であり、図2(c)は、図2(b)における破線枠内の触媒層をさらに拡大して示す概略断面図である。
【0015】
図1及び図2に示すように、実施形態に係る排ガス浄化装置1は、いわゆるストレートフロー型の三元触媒である。排ガス浄化装置1は、ハニカム基材10と触媒層20とを備えている。ハニカム基材10は、円筒状の枠部11と枠部11の内側の空間をハニカム状に仕切る隔壁14とが一体形成された基材である。隔壁14は、ハニカム基材10の流入側端面10Saから流出側端面10Sbまで延びる複数のセル12を画成する多孔質体である。隔壁14の形状は、複数のセル12の延伸方向に垂直な断面が正方形になるように、互いに離間して平行に配置される複数の壁部14Lと、これらの複数の壁部14Lと直行しかつ互いに離間して平行に配置される複数の壁部14Sとを含み、延伸方向に垂直な断面が格子状となっている。複数のセル12は、隔壁14を挟んで互いに隣接するものであり、流入側端12a及び流出側端12bが開口している。
【0016】
触媒層20は、図2(b)及び図2(c)に示すように、隔壁14のセル12側の表面14s上に設けられたセリア-ジルコニア複合酸化物(OSC材)からなる粉末状の担体22a及び粉末状の担体22aに担持されたロジウム、パラジウム、白金をそれぞれ含有する多数の触媒金属粒子24aを含む下層20aと、下層20aの表面20as上に設けられたセリア-ジルコニア複合酸化物(OSC材)からなる粉末状の担体22b及び粉末状の担体22bに担持されたロジウム、パラジウム、白金をそれぞれ含有する多数の触媒金属粒子24bを含む上層20bと、を有している。
【0017】
下層20aに含まれる粉末状の担体22aの体積基準の粒度分布における累積50%粒径Da50は、0.5μm以上10μm以下の範囲内となっている。さらに、下層20aに含まれる粉末状の担体22aの累積50%粒径Da50は、上層20bに含まれる粉末状の担体22bの体積基準の粒度分布における累積50%粒径Db50より小さくなっている。
【0018】
ここで、図3は、従来のストレートフロー型の三元触媒の排ガス浄化装置における触媒層を拡大して示す、図2(c)に対応する概略断面図である。
【0019】
図3に示すように、従来の触媒層20は、隔壁14のセル12側の表面14s上に設けられたセリア-ジルコニア複合酸化物(OSC材)からなる粉末状の担体22及び粉末状の担体22に担持されたロジウム、パラジウム、白金を含有する多数の触媒金属粒子24を含む単一の層のみを有している。従来の触媒層20に含まれる粉末状の担体22の体積基準の粒度分布における累積50%粒径D50は、実施形態に係る触媒層20の上層20bに含まれる粉末状の担体22bの累積50%粒径Db50と同一となっている。
【0020】
従来の排ガス浄化装置では、触媒層20の全体において、粉末状の担体22の累積50%粒径D50が大きいことで粉末状の担体22の粒子間の隙間が大きくなっている。このため、排ガス浄化装置で排ガスが流入側端面から流入し流出側端面から外部に流出する際に、排ガスが触媒層20に沿って流れるときには、図3に示されるように、排ガスは触媒層20の全体に移流で入り込むことになる。この場合には、触媒層20の全体において、リーン時に流入するNOx及びリッチ時に流入するHCが粉末状の担体22に接触し、粉末状の担体22に含有されるセリア-ジルコニア複合酸化物の酸素の吸放出が速く起こる。これにより、触媒金属粒子24のロジウム等での反応によりNOxから乖離した酸素がセリア-ジルコニア複合酸化物に吸蔵されることでセリア-ジルコニア複合酸化物を構成するCe(III)がCe(IV)になって、Ce(IV)がHCの吸着点となりHCが粉末状の担体22に吸着して被毒することにより、粉末状の担体22の酸素吸放出能が失われる。この結果、本来の浄化性能が徐々に喪失されることになる。さらに、排ガスが600℃以上である場合には、HCのコーキング(重合)が起こり、HCの重合体が物理的に粉末状の担体22の表面を覆うことにより、更なる浄化性能の低下が起こることになる。
【0021】
これに対し、実施形態に係る排ガス浄化装置1では、触媒層20の上層20bに含まれる粉末状の担体22bの累積50%粒径Db50が従来の触媒層20に含まれる粉末状の担体22と同一となっている一方で、下層20aに含まれる粉末状の担体22aの累積50%粒径Da50は、0.5μm以上10μm以下の範囲内であり、上層20bに含まれる粉末状の担体22bの累積50%粒径Db50より小さくなっている。これにより、触媒層20の上層20bでは粉末状の担体22bの粒子間の隙間が大きくなっている一方で、下層20aでは粉末状の担体22aの粒子間の隙間が小さくなっている。このため、排ガス浄化装置で排ガスが流入側端面から流入し流出側端面から外部に流出する際に、排ガスが触媒層20に沿って流れるときには、図2(c)に示されるように、排ガスは、触媒層20の上層20bには移流で入り込む一方で、下層20aには移流で入り込むことが難しく、拡散で入りこむことになる。
【0022】
この場合には、触媒層20の上層20bでは、リーン時に流入するNOx及びリッチ時に流入するHCが粉末状の担体22bに接触し、粉末状の担体22bに含有されるセリア-ジルコニア複合酸化物の酸素の吸放出が速く起こるために、従来の触媒層20と同様にHCが粉末状の担体22bに吸着して被毒するおそれがある。その一方で、触媒層20の下層20aでは、リーン時に流入するNOx及びリッチ時に流入するHCが粉末状の担体22aに接触することが抑制され、粉末状の担体22aに含有されるセリア-ジルコニア複合酸化物の酸素の吸放出が遅くなるために、HCが粉末状の担体22aに吸着して被毒することは免れる。さらに、下層20aに含まれる粉末状の担体22aに含有されるセリア-ジルコニア複合酸化物で遅く起こる酸素の放出によって、上層20bに含まれる粉末状の担体22bに吸着するHCを酸化することができる。これにより、上層20bの被毒を抑制することができる。
【0023】
従って、実施形態の排ガス浄化装置においては、触媒層の被毒を抑制することで、浄化性能を向上することができる。
【0024】
続いて、実施形態の排ガス浄化装置の各構成を詳細に説明する。
【0025】
1.触媒層
触媒層は下層と上層とを有する。
【0026】
(1)下層
触媒層の下層は、上記隔壁のセル側の表面上に設けられたOSC材を含有する粉末状の担体及び該粉末状の担体に担持された触媒金属粒子を含む。
【0027】
下層に含まれる粉末状の担体は、OSC材を含有するものであれば特に限定されないが、酸素吸放出能を有していない担体の材料を含有するものでもよい。すなわち、粉末状の担体としては、OSC材からなる粉末状の担体のみを含有するものでもよいし、OSC材からなる粉末状の担体及び酸素吸放出能を有していない担体の材料からなる粉末状の担体を含有するものでもよい。
【0028】
OSC材は、特に限定されないが、例えば、セリア及びセリアを含む複合酸化物等が挙げられる。セリアを含む複合酸化物としては、例えば、セリア-ジルコニア複合酸化物系複合酸化物等が挙げられる。OSC材としては、セリア-ジルコニア複合酸化物系複合酸化物等が好ましい。
【0029】
酸素吸放出能を有していない担体の材料としては、例えば、アルミナ(Al)、シリカ(SiO)、マグネシア(MgO)、酸化チタン(TiO)等の金属酸化物等が挙げられる。
【0030】
下層に含まれる粉末状の担体の体積基準の粒度分布における累積50%粒径Da50は、0.5μm以上10μm以下の範囲内であり、上層に含まれる粉末状の担体の体積基準の粒度分布における累積50%粒径Db50より小さければ特に限定されないが、中でも1μm以上7μm以下の範囲内が好ましく、特に2μm以上5μm以下の範囲内が好ましい。これらの範囲内であることにより、触媒層の被毒を効果的に抑制できるからである。
【0031】
下層に含まれる粉末状の担体の体積基準の粒度分布は、累積50%粒径Da50が上記条件を満すものであれば特に限定されないが、例えば、粒径が1μm以上15μm以下の粒子が体積基準で90%以上を占めるものが好ましく、中でも粒径が3μm以上8μm以下の粒子が体積基準で90%以上を占めるものが好ましい。体積基準で90%以上の粒子の粒径がこれらの範囲内であることにより、触媒層の被毒を効果的に抑制できるからである。
【0032】
なお、実施形態において、粉末状の担体の体積基準の粒度分布における累積50%粒径及び体積基準で90%以上を占める粒子の粒径の範囲は、例えば、レーザー回折粒度分布測定装置等により測定して求めることができる。
【0033】
触媒金属粒子の材料は、特に限定されず、一般的な材料を用いることができるが、例えば、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)等の貴金属等が挙げられる。触媒金属粒子の材料は、1種の金属又は2種以上の金属でもよいし、2種以上の金属を含有する合金でもよい。触媒金属粒子の材料としては、ロジウム等が好ましい。
【0034】
触媒金属粒子の平均粒径は、特に限定されず、一般的な平均粒径を用いることができるが、例えば、0.1nm以上20nm以下の範囲内が好ましい。平均粒径がこの範囲の上限以下であることにより、排ガスとの接触面積を大きくできるからである。なお、触媒金属粒子の平均粒径は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)により測定される粒径から求められる平均値を指す。
【0035】
触媒金属粒子の含有量は、特に限定されず、一般的な含有量を用いることができるが、触媒金属粒子の材料によって異なり、例えば、材料がロジウム、パラジウム、又は白金である場合には、0.1g以上10g以下の範囲内が好ましい。含有量がこの範囲の下限以上であることにより、十分な触媒作用が得られるからであり、含有量がこの範囲の上限以下であることにより、触媒金属粒子の粒成長を抑制できると同時にコスト面で有利になるからである。ここで、「触媒金属粒子の含有量」とは、下層に含まれる触媒金属粒子の質量を、下層の延伸方向の長さと軸方向の長さが同一である、ハニカム基材の軸方向の一部の体積で割った値を指す。
【0036】
下層の密度は、特に限定されず、一般的な密度を用いることができるが、例えば、10g/L以上200g/L以下の範囲内が好ましい。密度がこの範囲内であることにより、浄化性能を向上することが容易となるからである。なお、「下層の密度」とは、下層の合計の質量を、下層の延伸方向の長さと軸方向の長さが同一である、ハニカム基材の軸方向の一部の体積で割った値を指す。
【0037】
下層の厚さは、特に限定されず、一般的な厚さを用いることができるが、例えば、隔壁の厚さの5%以上の範囲が好ましい。厚さがこの範囲内であることにより、浄化性能を向上することが容易となるからである。
【0038】
粉末状の担体及び触媒金属粒子の合計の質量に対する触媒金属粒子の質量比は、特に限定されず、一般的な質量比を用いることができるが、例えば、0.01質量%以上10質量%以下の範囲内が好ましい。質量比がこの範囲の下限以上であることにより、十分な触媒作用が得られるからであり、質量比がこの範囲の上限以下であることにより、触媒金属粒子の粒成長を抑制できると同時にコスト面で有利になるからである。
【0039】
下層の形成方法は、特に限定されず、一般的な方法を用いることができるが、例えば、スラリーを隔壁のセル側の表面に供給した後に、乾燥して焼成する方法が挙げられる。なお、触媒金属粒子を粉末状の担体に担持させる方法は、特に限定されず、一般的な方法を用いることができるが、例えば、触媒金属塩(例えば、硝酸塩等)又は触媒金属錯体(例えば、テトラアンミン錯体等)を含有する水溶液に粉末状の担体を含浸させた後、乾燥して焼成する方法等が挙げられる。
【0040】
スラリーは、特に限定されないが、通常、溶媒並びに粉末状の担体及び触媒金属粒子を含む。溶媒は、特に限定されず、一般的な溶媒を用いることができるが、例えば、イオン交換水等の水、水溶性有機溶媒、又は水及び水溶性有機溶媒の混合物等が挙げられる。スラリーは、さらにバインダ及び添加剤等の任意の成分を適宜含んでもよい。
【0041】
スラリーに含まれる粉末状の担体の粒径並びにスラリーの固形分濃度及び粘度等の性状等は、スラリーが隔壁の内部領域に浸透しないように適宜調整することができる。
【0042】
スラリーを隔壁のセル側の表面に供給する方法は、特に限定されず、一般的な方法を用いることができるが、例えば、スラリー中にハニカム基材を流入側又は流出側の端面側から浸漬し、所定の時間が経過した後、スラリーから取り出す方法等が挙げられる。
【0043】
スラリーを隔壁のセル側の表面に供給した後に、乾燥して焼成する方法において、乾燥条件は、特に限定されず、一般的な条件を用いることができるが、ハニカム基材又は粉末状の担体の寸法により左右されるが、例えば、80℃以上300℃以下の範囲内の温度で1時間以上10時間以下の範囲内の時間乾燥する条件が好ましい。焼成条件は、特に限定されず、一般的な条件を用いることができるが、例えば、400℃以上1000℃以下の範囲内の温度で1時間以上4時間以下の範囲内の時間焼成する条件が好ましい。
【0044】
なお、下層の密度、厚さ、及び気孔率等の性状等は、スラリーの供給量、スラリーに含まれる触媒金属粒子、粉末状の担体、及び助触媒等の各成分の形状、粒径、及び含有量、スラリーの性状、乾燥条件、並びに焼成条件等により調製できる。
【0045】
(2)上層
触媒層の上層は、上記下層の表面上に設けられたOSC材を含有する粉末状の担体及び該粉末状の担体に担持された触媒金属粒子を含む。
【0046】
上層に含まれる粉末状の担体の体積基準の粒度分布における累積50%粒径Db50は、下層に含まれる粉末状の担体の体積基準の粒度分布における累積50%粒径Da50より大きければ特に限定されないが、例えば、1μm以上15μm以下の範囲内が好ましく、中でも3μm以上8μm以下の範囲内が好ましい。これらの範囲内であることにより、浄化性能を向上する効果が顕著となるからである。
【0047】
上層に含まれる粉末状の担体の体積基準の粒度分布は、累積50%粒径Db50が上記条件を満すものであれば特に限定されないが、例えば、粒径が2μm以上20μm以下の粒子が体積基準で90%以上を占めるものが好ましく、中でも粒径が3μm以上15μm以下の粒子が体積基準で90%以上を占めるものが好ましい。体積基準で90%以上の粒子の粒径がこれらの範囲内であることにより、浄化性能を向上する効果が顕著となるからである。粉末状の担体については、ここで説明した構成を除いて、下層に含まれる粉末状の担体と同様である。
【0048】
触媒金属粒子については、下層に含まれる触媒金属粒子と同様である。触媒金属粒子の含有量は、特に限定されず、一般的な含有量を用いることができるが、触媒金属粒子の材料によって異なり、例えば、材料がロジウム、パラジウム、又は白金である場合には、0.1g以上10g以下の範囲内が好ましい。含有量がこの範囲の下限以上であることにより、十分な触媒作用が得られるからであり、含有量がこの範囲の上限以下であることにより、触媒金属粒子の粒成長を抑制できると同時にコスト面で有利になるからである。ここで、「触媒金属粒子の含有量」とは、上層に含まれる触媒金属粒子の質量を、上層の延伸方向の長さと軸方向の長さが同一である、ハニカム基材の軸方向の一部の体積で割った値を指す。
【0049】
上層の密度は、特に限定されず、一般的な密度を用いることができるが、例えば、20g/L以上200g/L以下の範囲内が好ましい。密度がこの範囲内であることにより、浄化性能を向上することが容易となるからである。なお、「上層の密度」とは、上層の合計の質量を、上層の延伸方向の長さと軸方向の長さが同一である、ハニカム基材の軸方向の一部の体積で割った値を指す。
【0050】
上層の厚さは、下層の厚さと同様である。粉末状の担体及び触媒金属粒子の合計の質量に対する触媒金属粒子の質量比は、下層における粉末状の担体及び触媒金属粒子の合計の質量に対する触媒金属粒子の質量比と同様である。
【0051】
上層の形成方法は、特に限定されず、一般的な方法を用いることができるが、例えば、スラリーを下層の表面に供給した後に、乾燥して焼成する方法が挙げられる。
【0052】
スラリーは、特に限定されないが、通常、溶媒並びに粉末状の担体及び触媒金属粒子を含む。溶媒は、下層の形成方法で用いる溶媒と同様である。
【0053】
スラリーに含まれる粉末状の担体の粒径並びにスラリーの固形分濃度及び粘度等の性状等は、スラリーが下層の内部領域に浸透しないように適宜調整することができる。
【0054】
スラリーを下層の表面に供給する方法は、下層の形成方法でスラリーを隔壁のセル側の表面に供給する方法と同様である。
【0055】
スラリーを下層の表面に供給した後に、乾燥して焼成する方法において、乾燥条件及び焼成条件は、下層の形成方法における乾燥条件及び焼成条件と同様である。
【0056】
なお、上層の密度、厚さ、及び気孔率等の性状等は、スラリーの供給量、スラリーに含まれる触媒金属粒子、粉末状の担体、及び助触媒等の各成分の形状、粒径、及び含有量、スラリーの性状、乾燥条件、並びに焼成条件等により調製できる。
【0057】
2.ハニカム基材
ハニカム基材は、流入側端面から流出側端面まで延びる複数のセルを画成する隔壁を有する。
【0058】
ハニカム基材は、枠部と枠部の内側の空間をハニカム状に区切る隔壁とが一体形成された基材である。
【0059】
ハニカム基材の軸方向の長さは、特に限定されず、一般的な長さを用いることができるが、例えば、10mm以上500mm以下の範囲内が好ましく、中でも50mm以上300mm以下の範囲内が好ましい。ハニカム基材の容量、すなわち、セルの総体積は、特に限定されず、一般的な容量を用いることができるが、例えば、0.1L以上5L以下の範囲内が好ましい。
【0060】
ハニカム基材の材料は、特に限定されず、一般的な材料を用いることができるが、例えば、コージェライト、炭化ケイ素(SiC)、チタン酸アルミニウム等のセラミックス、ステンレス等の合金等が挙げられる。
【0061】
枠部の形状は、特に限定されず、一般的な形状を用いることができるが、例えば、円筒形の他、楕円筒形、多角筒形等の筒形が挙げられる。枠部の他の構成は、特に限定されず、一般的な構成を用いることができる。
【0062】
隔壁の形状は、特に限定されず、一般的な形状を用いることができる。隔壁の延伸方向の長さは、特に限定されないが、通常、ハニカム基材の軸方向の長さと略同一となる。隔壁の厚さは、特に限定されず、一般的な厚さを用いることができるが、例えば、50μm以上2000μm以下の範囲内が好ましく、中でも100μm以上1000μm以下の範囲内が好ましい。隔壁の厚さがこれらの範囲内であることにより、基材の強度を確保しつつ、十分な浄化性能を得ることができるからである。
【0063】
隔壁の構造は、特に限定されず、一般的な構造を用いることができるが、例えば、排ガスが透過可能な多孔質構造となる。
【0064】
隔壁で画成される複数のセルは、枠部の内側の空間を隔壁が区切ることで形成されたものであり、セルは隔壁を挟んで互いに隣接する。各セルは、通常、延伸方向に垂直な方向が隔壁で囲まれている。
【0065】
セルの延伸方向に垂直な断面形状は、特に限定されず、一般的な形状を用いることができ、排ガス浄化装置を通過する排ガスの流量及び成分等を考慮して適宜設定することができる。断面形状としては、例えば、正方形等の矩形、六角形等を含む多角形、円形等が挙げられる。セルの延伸方向に垂直な断面積は、特に限定されず、一般的な断面積を用いることができるが、例えば、1mm以上7mm以下の範囲内である。セルの延伸方向の長さは、特に限定されないが、通常、ハニカム基材の軸方向の長さと略同一となる。
【0066】
3.排ガス浄化装置
排ガス浄化装置は、ハニカム基材と触媒層とを備えるものであれば特に限定されず、ストレートフロー型でもよいし、ウォールフロー型でもよいが、ストレートフロー型が好ましく、中でも三元触媒が好ましい。触媒層の被毒を抑制することで浄化性能を向上する効果が顕著に得られるからである。
【0067】
なお、排ガス浄化装置がストレートフロー型である場合には、ハニカム基材の隔壁で画成される複数のセルは流入側端及び流出側端の両方が開口する。排ガス浄化装置がウォールフロー型である場合には、ハニカム基材の隔壁で画成される複数のセルは隔壁を挟んで隣接する流入セル及び流出セルを含み、流入セルは流入側端が開口し流出側端が封止され、流出セルは流入側端が封止され流出側端が開口し、排ガス浄化装置は、通常、流入セルの流出端及び流出セルの流入側端を封止する封止部をさらに備える。
【0068】
排ガス浄化装置の用途は、排ガス流路において、エンジンの直下に配置された上流側排ガス浄化装置(スタートアップ触媒(S/C))でもよいし、上流側排ガス浄化装置の下流側に配置された下流側排ガス浄化装置(アンダーフロア触媒(UF/C))でもよいが、下流側排ガス浄化装置が好ましい。リッチ時に無酸素に近い状態でHC及びCOのみが流入し、HCが触媒層に吸着することで被毒することを抑制できるからである。
【実施例
【0069】
以下、実施例及び比較例を挙げて、実施形態の排ガス浄化装置をさらに具体的に説明する。
【0070】
[実施例]
ストレートフロー型の排ガス浄化装置を作製した。まず、ハニカム基材を準備した。ハニカム基材は、円筒状の枠部と枠部の内側の空間をハニカム状に仕切る隔壁とが一体形成された基材である。隔壁は、ハニカム基材の流入側端面から流出側端面まで延びる複数のセルを画成するものである。複数のセルは、隔壁を挟んで互いに隣接するものであり、流入側端及び流出側端が開口している。ハニカム基材の構成は下記の通りである。
【0071】
(ハニカム基材)
材質:コージェライト製
サイズ:外径×軸方向の長さ=103mm×105mm
隔壁の厚さ:64μm
セル密度:1平方インチ当たり600個
セル断面形状:六角形
【0072】
次に、触媒層の下層用の粉末状の担体に触媒金属粒子を担持させた触媒付担体と溶媒とを混合することで下層用スラリーを準備した。次に、下層用スラリーを隔壁のセル側の表面上に供給した後に、乾燥して焼成した。これにより、隔壁のセル側の表面上に触媒層の下層を形成した。下層用の粉末状の担体及び触媒金属粒子並びに下層の構成は下記の通りである。
【0073】
(下層用の粉末状の担体)
構成材料:セリア-ジルコニア複合酸化物
体積基準の粒度分布における累積50%粒径Da50:2μm
【0074】
(下層用の触媒金属粒子)
構成材料:パラジウム
【0075】
(下層)
担体密度:170g/L
※ここで、下層の担体密度とは、下層に含まれる担体の質量を、下層の延伸方向の長さと軸方向の長さが同一である、ハニカム基材の軸方向の一部の体積で割った値を指す。
触媒金属粒子の含有量:2.0g/L
【0076】
次に、触媒層の上層用の粉末状の担体に触媒金属粒子を担持させた触媒付担体と溶媒とを混合することで上層用スラリーを準備した。次に、上層用スラリーを触媒層の下層の表面上に供給した後に、乾燥して焼成した。これにより、下層の表面上に触媒層の上層を形成した。以上により、排ガス浄化装置を作製した。上層用の粉末状の担体及び触媒金属粒子並びに上層の構成は下記の通りである。
【0077】
(上層用の粉末状の担体)
構成材料:下層用と同一
体積基準の粒度分布における累積50%粒径Db50:5.5μm
【0078】
(上層用の触媒金属粒子)
構成材料:ロジウム
平均粒径:下層用と同一
【0079】
(上層)
担体密度:100g/L
※ここで、上層の担体密度とは、上層に含まれる担体の質量を、上層の延伸方向の長さと軸方向の長さが同一である、ハニカム基材の軸方向の一部の体積で割った値を指す。
触媒金属粒子の含有量:0.2g/L
【0080】
[比較例]
ストレートフロー型の排ガス浄化装置を作製した。まず、実施例と同一のハニカム基材を準備した。
【0081】
次に、粉末状の担体に触媒金属粒子を担持させた触媒付担体と溶媒とを混合することでスラリーを準備した。次に、スラリーを隔壁のセル側の表面上において実施例の触媒層と同一の領域に供給した後に、乾燥して焼成した。これにより、隔壁のセル側の表面上に触媒層を形成した。以上により、排ガス浄化装置を作製した。粉末状の担体及び触媒金属粒子並びに触媒層の構成は下記の通りである。
【0082】
(粉末状の担体)
実施例の上層用と同一
【0083】
(触媒金属粒子)
実施例の上層用と同一
【0084】
(触媒層)
担体密度:実施例の上層の担体密度及び下層の担体密度の合計と同一
※ここで、触媒層の担体密度とは、触媒層に含まれる担体の質量を、触媒層の延伸方向の長さと軸方向の長さが同一である、ハニカム基材の軸方向の一部の体積で割った値を指す。
触媒金属粒子の含有量:実施例の上層及び下層における触媒金属粒子の含有量の合計と同一
【0085】
[評価]
実施例及び比較例の排ガス浄化装置について、耐久試験後に性能評価を行った。
【0086】
〈耐久試験〉
実施例及び比較例の排ガス浄化装置をガソリンエンジンベンチの排気系に設置し、触媒床温1000℃で46時間にわたり、リッチ、ストイキ、及びリーンの雰囲気の排ガスを交互に一定時間ずつ繰り返して流すことにより行った。
【0087】
〈性能評価〉
耐久試験後の実施例及び比較例の排ガス浄化装置をガソリンエンジンベンチの排気系に設置して、空燃比(A/F)が14.4であり、入りガス温度が520℃である排ガスを、26.5g/secの流量で流す定常条件において、HC浄化率を測定した。測定結果を表1に示す。図4は、実施例及び比較例の排ガス浄化装置のHC浄化率を示すグラフである。
【0088】
【表1】
【0089】
表1及び図4に示すように、実施例の排ガス浄化装置のHC浄化率は比較例の排ガス浄化装置より5%程度高くなった。
【0090】
以上、本発明の排ガス浄化装置の実施形態について詳述したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【符号の説明】
【0091】
1 排ガス浄化装置
10 ハニカム基材
10Sa ハニカム基材の流入側端面
10Sb ハニカム基材の流出側端面
12 セル
12a セルの流入側端
12b セルの流出側端
14 隔壁
14s 隔壁のセル側の表面
20 触媒層
20a 下層
22a 下層の粉末状の担体
24a 下層の触媒金属粒子
20as 下層の表面
20b 上層
22b 上層の粉末状の担体
24b 上層の触媒金属粒子
図1
図2
図3
図4