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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】車両用空調装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/00 20060101AFI20231121BHJP
   B60H 1/22 20060101ALI20231121BHJP
   B60N 2/56 20060101ALI20231121BHJP
   A47C 7/74 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
B60H1/00 102V
B60H1/22 651B
B60N2/56
A47C7/74 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020043949
(22)【出願日】2020-03-13
(65)【公開番号】P2021142933
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】田邊 博隆
(72)【発明者】
【氏名】小林 崇幸
(72)【発明者】
【氏名】立野井 秀哲
(72)【発明者】
【氏名】羽瀬 知樹
(72)【発明者】
【氏名】太田 将弘
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-181574(JP,A)
【文献】特開2016-107931(JP,A)
【文献】特開2012-011929(JP,A)
【文献】特開2015-131563(JP,A)
【文献】特開2014-218237(JP,A)
【文献】国際公開第2015/188351(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00
B60H 1/22
B60N 2/56
A47C 7/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が循環する冷凍サイクルと、
前記冷凍サイクルにより加熱される液状の第1熱媒体が循環する高温サイクルと、
前記冷凍サイクルにより冷却される液状の第2熱媒体が循環する低温サイクルと、
車室内に設けられ、互いに近接して配置される温流路と冷流路とを有する座席シートと、を備え、
前記温流路は前記高温サイクルの途中に設けられ、
前記冷流路は前記低温サイクルの途中に設けられる、
車両用空調装置。
【請求項2】
前記車室内に設けられ、前記車室内に供給される空気の温度を調節する温度調節機構を備え、
前記温度調節機構は、
供給される空気を加熱する加熱器と、供給される空気を冷やす冷却器と、を備え、
前記加熱器は、前記高温サイクルの途中に、前記温流路と並列に設けられ、
前記冷却器は、前記低温サイクルの途中に、前記冷流路と並列に設けられる、
請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記冷凍サイクルは、
前記冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機で圧縮された前記冷媒を凝縮させる凝縮器と、
前記凝縮器で凝縮された前記冷媒を減圧させる減圧部と、
前記減圧部で減圧された前記冷媒を蒸発させる蒸発器と、を備え、
前記高温サイクルは、前記凝縮器を流れる前記冷媒と前記第1熱媒体とを熱交換させる高温側熱交換器を、備え、
前記低温サイクルは、前記蒸発器を流れる前記冷媒と前記第2熱媒体とを熱交換させる低温側熱交換器を、備える、
請求項1または請求項2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記温流路における前記第1熱媒体の流れる向きと前記冷流路における前記第2熱媒体が流れる向きとが逆向きである、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両用空調装置。
【請求項5】
前記車室内に設けられる複数の前記座席シートと、
それぞれの前記座席シートに設けられる前記温流路および前記冷流路と、
前記高温サイクルから前記複数の前記座席シートに供給される前記第1熱媒体の量を調節する第1総量弁と、
前記低温サイクルから前記複数の前記座席シートに供給される前記第2熱媒体の量を調節する第2総量弁と、を備える、
請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の車両用空調装置。
【請求項6】
複数の前記温流路のそれぞれが設けられる第1分岐流路と、
複数の前記冷流路のそれぞれが設けられる第2分岐流路と、
前記第1分岐流路のそれぞれに設けられ、複数の前記第1分岐流路に供給される前記第1熱媒体の流量を調節する第1個別弁と、
前記第2分岐流路のそれぞれに設けられ、複数の前記第2分岐流路に供給される前記第2熱媒体の流量を調節する第2個別弁と、を備える、
請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の車両用空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車室内に設けられる座席シートの温度調節ができる車両用の空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の室内に加えて座席シートの温度調節ができるシステムが提案されている。
例えば、特許文献1は、ブライン―冷媒熱交換器において可燃性ガスの蒸発潜熱を用いて、ブラインを冷却する。特許文献1は、この低温ブラインを車室内に設置したシートを含む冷却用熱交換器に循環させて、車室内の快適性を向上させる。なお、ブラインとは、凍結温度を低くする成分が添加された水のことをいう。
【0003】
また、特許文献2は、温度調節された空気がシート用送風ダクトを通じてシート内のエアチャンバに送られ、通気性シートから風を吹き出させることにより、シートに着座する乗員の快適性を向上させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4677960号公報
【文献】特許第6558490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1の提案においては、室内熱交換器には低温ブライン回路のみが接続されている構造であるため、冬季や寒冷地で需要のあるシートの加熱ができない。
また、特許文献2の提案においては、温度調節される空気の蓄熱量が不足するため、乗降時や装置の停止時には、快適性が即時に失われる。
以上より、本開示は、シートの冷却および加熱ができるのに加えて、乗降時や装置の停止時に快適性を維持しやすい車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る車両用空調装置は、冷媒が循環する冷凍サイクルと、冷凍サイクルにより加熱される液状の第1熱媒体が循環する高温サイクルと、冷凍サイクルにより冷却される液状の第2熱媒体が循環する低温サイクルと、車室内に設けられ、互いに近接して配置される温流路と冷流路とを有する座席シートと、を備える。
本開示に係る車両用空調装置において、温流路は高温サイクルの途中に設けられ、冷流路は低温サイクルの途中に設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本開示の車両用空調装置によれば、座席シートに温流路と冷流路とが互いに近接して配置される。温流路と冷流路のそれぞれを流れる第1熱媒体と第2熱媒体の量を調整することにより、座席シートの冷却および加熱ができる。また、座席シートの温流路と冷流路のそれぞれに供給される第1熱媒体と第2熱媒体は液状であるから、乗降時や装置の停止時に快適性を維持しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態に係る車両用空調装置の構成を示す回路図である。
図2図1の車両用空調装置にシート温度調節機能を加え、暖房運転を行っているときの回路図である。
図3図1の車両用空調装置にシート温度調節機能を加え、除湿暖房運転を行っているときの回路図である。
図4図1の車両用空調装置にシート温度調節機能を加え、冷房運転を行っているときの回路図である。
図5図2から図4までの温度調節機能を有するシートにおける冷水および温水の経路を示す図である。
図6図1の車両用空調装置に複数のシートの温度調節機能を備える回路図である。
図7図6の車両用空調装置が暖房運転を行っているときの回路図である。
図8図6の車両用空調装置が除湿暖房運転を行っているときの回路図である。
図9図6の車両用空調装置が冷房運転を行っているときの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態に係る車両用空調装置1を説明する。
車両用空調装置1は、1次ループを構成する冷凍サイクル10と、冷凍サイクル10とは独立した流路を有する、2次ループを構成する高温サイクルHSおよび低温サイクルCSと、を備えることにより、シートの冷却および加熱ができるのに加えて、乗降時や装置の停止時に快適性を維持しやすい。車両用空調装置1は車室内INの暖房および冷房に用いられるのに加えて、車室内INに設けられる座席シートの加熱および冷却に用いられる。冷凍サイクル10は、冷媒Rが循環する。高温サイクルHSおよび低温サイクルCSは、それぞれが液状の第1熱媒体HWおよび第2熱媒体CWが循環する。
【0010】
[全体構成]
車両用空調装置1は、図1に示すように、冷凍サイクル10と、冷凍サイクル10で冷却および加熱された冷媒Rに基づいて車室内の暖房または冷房をする、一例としてHVACユニット(Heating Ventilation and Air Conditioning Unit)からなる温度調節機構30と、第1熱媒体HWの熱を大気に放熱する放熱部50と、を備えている。車両用空調装置1は、冷凍サイクル10、温度調節機構30および放熱部50が配管で繋がれることで、高温サイクルHSおよび低温サイクルCSが構成される。高温サイクルHSを流れる第1熱媒体HWおよび低温サイクルCSを流れる第2熱媒体CWが、車室内INに設けられる座席シート60に供給される。
【0011】
[冷凍サイクル10]
冷凍サイクル10は、冷媒Rが循環し、冷媒Rを圧縮および減圧などすることによって、低温サイクルCSを循環する第2熱媒体CWから吸熱し、高温サイクルHSを循環する第1熱媒体HWに放熱する。
冷凍サイクル10は、図1に示すように、圧縮機11、凝縮器(コンデンサ:condenser)13、減圧部15および蒸発器(エバポレータ:evaporator)17を備える。凝縮器13と蒸発器17は冷媒流路L1および冷媒流路L2で接続される。冷媒流路L1には圧縮機11が設けられ、冷媒流路L2には減圧部15が設けられる。冷凍サイクル10は、車両の車室外OUTに設けられる。
【0012】
圧縮機11は、一例として電動型の圧縮機11が適用される。
圧縮機11は、蒸発器17から放出される低温・低圧の冷媒Rを吸入して圧縮し、高温・高圧のガス状の冷媒Rとして凝縮器13に向けて吐出する。
凝縮器13は、ガス状の高温・高圧の冷媒Rを凝縮して高温・高圧の液状の冷媒Rにする。凝縮器13は、加熱用の熱交換器であって、高温・高圧の冷媒Rの熱によって高温サイクルHSを構成する高温側熱交換器23を流れる第2熱媒体CWを加熱する。つまり、凝縮器13は、冷凍サイクル10と高温サイクルHSとの間の熱交換を実現する、水-冷媒熱交換器である。
【0013】
減圧部15は、凝縮器13から出た高温・高圧の液状の冷媒Rを減圧、膨張して、蒸発器17に向けて吐出する。
蒸発器17は、減圧部15によって減圧された冷媒Rを蒸発させて低温・低圧のガス状の冷媒Rにする。蒸発器17は、冷却用の熱交換器であって、冷媒Rの蒸発によって低温サイクルCSを構成する低温側熱交換器21を流れる第2熱媒体CWを冷却する。つまり、蒸発器17は、凝縮器13と同様に、冷凍サイクル10と低温サイクルCSとの間の熱交換を実現する、水-冷媒熱交換器である。
【0014】
[温度調節機構30(車室内IN)]
次に、温度調節機構30について説明する。
温度調節機構30は、図1に示すように、図示を省略する内外気切替えダンパを介して車室内からの内気または外気のいずれかを切替えて導入された空気(内気または外気)を下流側に圧送するブロア31を備えている。また、温度調節機構30は、ブロア31に連なりダクト38の内部の空気流路39に設けられる冷却器33と、冷却器33よりも下流側に設けられる加熱器35と、冷却器33と加熱器35の間に設けられる温調ダンパ37と、を備えている。
【0015】
温度調節機構30は、例えば、車室内INの前方のインストルメントパネル内に設置され、冷却器33および加熱器35により温調された空気を、車室内に向けて開口されているデフ吹出し、フェイス吹出し、フット吹出しのいずれかの吹出しモードに従って車室内INに吹出し、車室内を設定温度に調節する。
【0016】
[放熱部50(車室外OUT)]
次に、放熱部50は、低温側熱交換器21を流れる第2熱媒体CWの熱を外気に放熱する。放熱部50は、上流側に設けられるラジエータ51と、ラジエータ51の下流側に設けられるファン53と、を備える。
ファン53は、モータが回転駆動されることによって、空気流れを発生させて、ラジエータ51を空気が通過して、ラジエータ51における熱交換を促進させる。これによってラジエータ51では、外気と内部を流れる第2熱媒体CWとが熱交換され、外気に放熱される。
【0017】
[高温サイクルHS]
車両用空調装置1は、高温・高圧の冷媒Rが流れる凝縮器13と熱交換する高温側熱交換器23を要素とする高温サイクルHSを備える。高温サイクルHSは、高温側熱交換器23で加熱された第1熱媒体HWを用いて車室内の温度調節をするとともに、車室内の座席シート60の温度調節を行う。
【0018】
高温サイクルHSは、温度調節機構30の加熱器35を要素として含み、さらに以下の要素を含む。
まず、第1熱媒体HWの流路として、高温側熱交換器23と加熱器35を接続する高温流路HL1と、高温流路HL1とは反対側で加熱器35に接続される高温流路HL2と、を備える。高温流路HL1には、高温側熱交換器23の側から高温側ポンプ34と、三方弁36と、がこの順で設けられる。高温側ポンプ34は、高温側熱交換器23を通過した第1熱媒体HWを加熱器35に向けて送給する。三方弁36は、高温流路HL1を流れる第1熱媒体HWの向きを制御する。
高温サイクルHSは、一端が接続点P4に接続され、他端が低温サイクルCSの要素である三方弁24に接続される高温流路HL4と、一端が三方弁36に接続され、他端が低温サイクルCSの要素である四方弁25に接続される高温流路HL5と、を備える。
三方弁24は、流路24A、流路24Bおよび流路24Cの三つの流路を備えており、それぞれ独立して開閉が制御される。他の三方弁32,36も同様である。
四方弁25は、流路25A、流路25B、流路25Cおよび流路25Dの四つの流路を備えており、それぞれ独立して開閉が制御される。他の四方弁41も同様である。
【0019】
[低温サイクルCS]
また、車両用空調装置1は、低温・低圧の冷媒Rが流れる蒸発器17と熱交換する低温側熱交換器21を要素とする低温サイクルCSを備える。低温サイクルCSは、低温側熱交換器21で冷却された第2熱媒体CWを用いて車室内の温度調節をするとともに、車室内の座席シートの温度調節を行う。
【0020】
低温サイクルCSは、放熱部50のラジエータ51を要素として含み、さらに以下の要素を含む。
まず、低温サイクルCSは、第2熱媒体CWの流路としてラジエータ51と低温側熱交換器21を接続する低温流路CL1と、一端が低温流路CL1とは反対側で低温側熱交換器21と接続され、他端がラジエータ51に接続される低温流路CL2と、を備える。低温流路CL1には、ラジエータ51の側から四方弁25および低温側ポンプ27がこの順で設けられる。また、低温流路CL2には、三方弁24が設けられる。さらに、低温サイクルCSは、一端が接続点P1で低温流路CL2と接続され、他端が冷却器33に接続される低温流路CL3と、一端が冷却器33に接続され、他端が四方弁25に接続される低温流路CL5と、を備える。
【0021】
高温サイクルHSと低温サイクルCSとは、同じ成分の第1熱媒体HWと第2熱媒体CWがそれぞれを循環している。この熱媒体は、使用する圧力・温度範囲で相変化を起こさない、例えば、ブライン、つまり不凍液入りの水とすることができる。高温サイクルHS(温流路61)と低温サイクルCS(冷流路63)とは、第1熱媒体HWと第2熱媒体CWがそれぞれ個別に独立した流路を流れる。
【0022】
高温サイクルHSは、高温側ポンプ34と加熱器35を含んで構成される。高温側ポンプ34は、高温サイクルHSの内部において第1熱媒体HWを循環させる。高温側ポンプ34は、凝縮器13を流れる冷媒Rと高温側熱交換器23を流れる第1熱媒体HWとが対向流となるように送水方向が制御される。
【0023】
高温側ポンプ34によって、高温側熱交換器23を通過した第1熱媒体HWが加熱器35に流入する。第1熱媒体HWは、高温側熱交換器23を通過する際に、凝縮器13を流れる高温・高圧の冷媒Rによって加熱される。したがって、加熱器35には、高温の第1熱媒体HWが流入する。
【0024】
低温サイクルCSは、ラジエータ51および低温側ポンプ27を含んで構成される。低温側ポンプ27は、低温サイクルCS内に第2熱媒体CWを循環させる。低温側ポンプ27は、蒸発器17を流れる冷媒Rと低温側熱交換器21を流れる第2熱媒体CWとが対向流となるように送水方向が制御される。
【0025】
低温側ポンプ27によって、低温側熱交換器21を通過した第2熱媒体CWがラジエータ51に流入する。第2熱媒体CWは、低温側熱交換器21を通過する際に、蒸発器17を流れる低温・低圧の冷媒Rによって冷却される。
【0026】
[シート温度調節機能]
本実施形態は、図1に示される車両用空調装置1を用いて、車室内に設けられる座席シート60の温度調節する例を、図2図5を参照して説明する。
はじめに、図2を参照して、座席シート60の温度調節機能を有する車両用空調装置1の図1と異なる構成を説明する。流量調節弁29の代わりに三方弁32が設けられ、また、三方弁36の代わりに四方弁41が設けられる。また、接続点P4と四方弁41は高温流路HL6で接続される。また、三方弁32と接続点P4は低温流路CL4で接続される。
また、図2に示すように、車室内には、座席シート60が設けられ、座席シート60の内部には温流路61と冷流路63が併設されている。なお、理解を容易にするため、ここでは一つの座席だけを抽出して説明する。この回路は図3および図4においても同様である。温流路61は高温流路HL6の途中に設けられ、冷流路63は低温流路CL4の途中に設けられる。また、温流路61における第1熱媒体HWの流れる向きと冷流路63における第2熱媒体CWが流れる向きとが逆向きをなす。
【0027】
[暖房運転]
図2を参照して、車両用空調装置1が暖房運転される際の冷媒R、第1熱媒体HWおよび第2熱媒体CWの流れを説明する。
車両用空調装置1における暖房運転は、高温側熱交換器23で加熱された第1熱媒体HWを高温流路HL1および高温流路HL2を循環させることで加熱器35に第1熱媒体HWを継続して供給して車室内の暖房を行う。冷却器33に第2熱媒体CWが流れていないため、ブロア31で圧送される空気は冷却器33で冷却されることなく加熱器35に至る。
なお、図2において、第1熱媒体HWおよび第2熱媒体CWが流れる流路は太く描かれている。図3以降も同様である。
【0028】
これに加えて、車両用空調装置1における暖房運転においては、座席シート60の温度調節を以下のようにして行う。
高温側熱交換器23で加熱された第1熱媒体HWを高温流路HL1、高温流路HL2および高温流路HL6を循環させることで温流路61に加熱された第1熱媒体HWを継続して供給する。また、低温側熱交換器21で冷却された第2熱媒体CWを低温流路CL3、低温流路CL4、低温流路CL5および低温流路CL1と低温流路CL2の一部を循環させることで冷流路63に冷却された第2熱媒体CWを継続して供給する。車両用空調装置1は、温流路61と冷流路63で熱交換することで、座席シート60の温度調節を行う。
【0029】
暖房運転の際に、加熱器35を通過した第1熱媒体HWは、高温流路HL2を介して高温側熱交換器23に流れる。
また、暖房運転の際に、低温側熱交換器21を通過した第2熱媒体CWは、低温流路CL2と低温流路CL3に分岐して流れ、低温流路CL2を流れる第2熱媒体CWはラジエータ51に至り、低温流路CL3を流れる第2熱媒体CWは冷流路63に至る。冷流路63を通過した第2熱媒体CWは、四方弁25を通って低温流路CL1に流れ込み、低温側熱交換器21に至る。
【0030】
暖房運転の際の三方弁24、四方弁25、三方弁32および四方弁41の各流路の開閉状態は以下の通りである。なお、図2において、これらの弁の閉じられている流路は黒く塗りつぶされている。図3図4なども同様である。
三方弁24 流路24A:開,流路24B:開,流路24C:閉
四方弁25 流路25A:開,流路25B:開,流路25C:開,流路25D:閉
三方弁32 流路32A:開,流路32B:開,流路32C:閉
四方弁41 流路41A:開,流路41B:開,流路41C:開,流路41D:閉
【0031】
[除湿暖房]
次に、図3を参照して、車両用空調装置1が除湿暖房運転される際の冷媒R、第1熱媒体HWおよび第2熱媒体CWの流れを説明する。なお、除湿暖房運転においては、図2を参照して説明した暖房運転と共通する部分があるため、以下では暖房運転との相違点について、除湿暖房運転を説明する。
【0032】
図3に示すように、除湿暖房運転においては、三方弁32の三方の流路が開いており、第2熱媒体CWが冷却器33に向けて流れ、冷却器33を通過した第2熱媒体CWは、低温流路CL5を通って四方弁25に至り、低温側熱交換器21に流れ込む。このように、三方弁32の流路の開閉を制御することにより、暖房運転と除湿暖房運転を切り替えることができる。
【0033】
座席シート60の温度調節については、暖房運転においては第2熱媒体CWの全てが冷流路63に供給されていたのに対して除湿暖房においては第2熱媒体CWの一部が除湿のために用いられる点で相違する。
【0034】
除湿暖房運転の際の三方弁24、四方弁25、三方弁32および四方弁41の各流路の開閉状態は以下の通りである。図2に示される暖房運転との違いは、三方弁32の流路32Cの開・閉である。
三方弁24 流路24A:開,流路24B:開,流路24C:閉
四方弁25 流路25A:開,流路25B:開,流路25C:開,流路25D:閉
三方弁32 流路32A:開,流路32B:開,流路32C:開
四方弁41 流路41A:開,流路41B:開,流路41C:開,流路41D:閉
【0035】
[冷房暖房]
次に、図4を参照して、車両用空調装置1が冷房運転される際の冷媒R、第1熱媒体HWおよび第2熱媒体CWの流れを説明する。なお、冷房運転においても、図3を参照して説明した除湿暖房運転と共通する部分があるため、以下では除湿暖房運転との相違点について、冷房運転を説明する。
【0036】
冷房運転は、高温側熱交換器23で加熱された第1熱媒体HWの一部が四方弁41を通って高温流路HL5に流れ込み、さらに四方弁25を通ってラジエータ51に供給される。ラジエータ51を通過した第1熱媒体HWは、三方弁24を通って高温流路HL4を流れ高温側熱交換器23に至る。
【0037】
以上の通りであり、冷房運転においては、冷却された第2熱媒体CWについて、低温側熱交換器21と冷却器33を含む循環経路が形成される。この循環経路が形成されることにより、冷房運転が実現される。また、加熱された第1熱媒体HWについて、冷凍サイクル10の高温側熱交換器23と座席シート60の温流路61を含む循環経路と、冷凍サイクル10の高温側熱交換器23と放熱部50のラジエータ51を含む循環経路とが形成される。
【0038】
冷房運転の際の三方弁24、四方弁25、三方弁32および四方弁41の各流路の開閉状態は以下の通りである。
三方弁24 流路24A:開,流路24B:閉,流路24C:開
四方弁25 流路25A:開,流路25B:開,流路25C:開,流路25D:開
三方弁32 流路32A:開,流路32B:開,流路32C:開
四方弁41 流路41A:開,流路41B:閉,流路41C:開,流路41D:開
【0039】
[座席シート60における流路]
次に、図5を参照して、座席シート60における温流路61と冷流路63の配置例を説明する。この例における温流路61および冷流路63は可撓性の管部材から構成され、互いに近接して設けられる。本開示における近接とは、接していてもよいし、少しの間隔をあけて離れていてもよい。
座席シート60は、座面60aと、座面60aから立ち上がる背もたれ60bと、背もたれ60bの上部に取り付けられるヘッドレスト60cと、を備える。
【0040】
温流路61は、図5に示すように、加熱された第1熱媒体HWの導入口61aと、加熱された第1熱媒体HWの排出口61bと、が座面60aに設けられている。導入口61aは導入口61aと排出口61bの間には配管61cが設けられており、導入口61aから供給された第1熱媒体HWは配管61cを通って排出口61bから排出される。配管61cは、座面60aおよび背もたれ60bの順に蛇行して設けられており、背もたれ60bの上部において矢印にて示されるように下向きに折り返し、背もたれ60bおよび座面60aの順に蛇行し、座面60aにおいて排出口61bに繋がる。
【0041】
冷流路63は、図5に示すように、冷却された第2熱媒体CWの導入口63aと、冷却された第2熱媒体CWの排出口63bと、が座面60aに設けられている。導入口63aは導入口63aと排出口63bの間には配管63Cが設けられており、導入口63aから供給された第2熱媒体CWは配管63cを通って排出口63bから排出される。配管63cは、座面60aおよび背もたれ60bの順に蛇行して設けられており、背もたれ60bの上部において矢印にて示されるように下向きに折り返し、背もたれ60bおよび座面60aの順に蛇行し、座面60aにおいて排出口63bに繋がる。
【0042】
温流路61の配管61cと冷流路63の配管63cは、座面60aおよび背もたれ60bにおいて、蛇行しながら互いに隣接して設けられる。したがって、温流路61と冷流路63のそれぞれを流れる第1熱媒体HWと第2熱媒体CWの量を調整することにより、温流路61と冷流路63は互いに熱交換しながら、座席シート60の冷却および加熱ができる。
【0043】
[第1実施形態の効果]
次に、車両用空調装置1が奏する効果を説明する。
【0044】
[効果1]
本開示の車両用空調装置1によれば、座席シート60に温流路61と冷流路63とが互いに近接して配置される。温流路61と冷流路63のそれぞれを流れる第1熱媒体HWと第2熱媒体CWの量を調整することにより、座席シート60の冷却および加熱ができる。
【0045】
[効果2]
また、本開示の車両用空調装置1によれば、座席シート60の温流路61と冷流路63のそれぞれに供給される第1熱媒体HWと第2熱媒体CWは液状であるから、熱媒体として液体を用いているため、空気に比べて蓄熱性が高く、乗降時や装置の停止時においても快適性を維持することができる。
【0046】
[効果3]
さらに、本開示の車両用空調装置1によれば、温流路61と冷流路63とは、それぞれが個別に独立している。
したがって、第1実施形態によれば、第1熱媒体HWと第2熱媒体CWを混合しないため、混合するために必要な容積が不要となる。
また、第1熱媒体HWと第2熱媒体CWとしての役割を維持することができるため、他の車載機器に対する熱マネジメントを行うことができる。
【0047】
〔第2実施形態〕
[複数座席シートの温度調節]
次に、図6図9を参照して、第2実施形態を説明する。第2実施形態は、複数、具体的には四つの座席シート60(60A,60B,60C,60D)のそれぞれを個別に温度調節できる車両用空調装置2を提案する。
【0048】
[回路構成]
はじめに、図6を参照して、車両用空調装置2の回路構成を説明する。なお、車両用空調装置2は車両用空調装置1と共通する回路構成を備えているため、以下では車両用空調装置1と相違する部分を中心に車両用空調装置2を説明する。また、図6図9において、車両用空調装置1と同じ部位、部材には図1と同じ符号を付す。
【0049】
[高温サイクルHS]
車両用空調装置2は、高温流路HL6が第1分岐流路HL6A、HL6B、HL6CおよびHL6Dの四つに分岐する高温サイクルHSを有している。高温流路HL6は、第1分岐流路HL6A、HL6B、HL6CおよびHL6Dに流入する第1熱媒体HWの量の大小を調節する第1総量弁43を備え、この第1総量弁43は四方弁41と高温流路HL6が分岐する部位との間に設けられる。第1総量弁43は、第1熱媒体HWが流れる向きを基準にすると、高温流路HL6が分岐する部位よりも上流に設けられる。高温流路HL6における上流および下流はこの基準に従う。
【0050】
第1分岐流路HL6A、HL6B、HL6CおよびHL6Dには、座席シート60A,60B,60C,60Dのそれぞれの上流側に第1個別弁65A,65B,65C,65Dが設けられている。第1個別弁65A,65B,65C,65Dのそれぞれは、座席シート60A,60B,60C,60Dに設けられる温流路61A,61B,61C,61Dに流れ込む第1熱媒体HWの量の大小を調節する。つまり、車両用空調装置2は、温流路61A,61B,61C,61Dを流れる第1熱媒体HWの量を個別に調節できる。
【0051】
[低温サイクルCS]
車両用空調装置2は、低温流路CL4が第2分岐流路CL4A、CL4B、CL4CおよびCL4Dの四つに分岐する低温サイクルCSを有している。低温流路CL4は、第2分岐流路CL4A、CL4B、CL4CおよびCL4Dに流入する第2熱媒体CWの量の大小を調節する第2総量弁45を備え、この第2総量弁45は四方弁41と低温流路CL4が分岐する部位との間に設けられる。第2総量弁45は、第2熱媒体CWが流れる向きを基準にすると、低温流路CL4が分岐する部位よりも上流に設けられる。低温流路CL4における上流および下流はこの基準に従う。
【0052】
第2分岐流路CL4A、CL4B、CL4CおよびCL4Dには、座席シート60A,60B,60C,60Dのそれぞれの上流側に第2個別弁67A,67B,67C,67Dが設けられている。第2個別弁67A,67B,67C,67Dのそれぞれは、座席シート60A,60B,60C,60Dに設けられる冷流路63A,63B,63C,63Dに流れ込む第2熱媒体CWの量の大小を調節する。つまり、車両用空調装置2は、冷流路63A,63B,63C,63Dを流れる第2熱媒体CWの量を個別に調節できる。
【0053】
[暖房、除湿暖房、冷房運転]
次に、図7図9を参照して、車両用空調装置2における暖房運転、除湿暖房および冷房運転を説明する。これらの運転においても、車両用空調装置1との相違点を中心に説明する。
【0054】
車両用空調装置2は、車両用空調装置1と同様に冷凍サイクル10を動作させて、暖房運転(図7)、除湿暖房運転(図8)および冷房運転(図9)を行うことができる。それぞれの運転における高温サイクルHSおよび低温サイクルCSにおいて、第1熱媒体HWおよび第2熱媒体CWが以下のように流れることで、座席シート60A,60B,60C,60Dの温度調節が行われる。
【0055】
[高温サイクルHS]
暖房運転において、四方弁41の流路41Aと流路41Cが開いているため、第1熱媒体HWは第1総量弁43を通って、温流路61A,61B,61C,61Dに流れる。このとき、第1総量弁43において温流路61A,61B,61C,61Dの全体に対して流れる第1熱媒体HWの量が調節される。また、温流路61A,61B,61C,61Dのそれぞれに流れる第1熱媒体HWの量が調節される。
【0056】
[低温サイクルCS]
暖房運転においては、三方弁32の流路32Aと流路32Bが開いているため、第2熱媒体CWは第2総量弁45を通って、冷流路63A,63B,63C,63Dに流れる。このとき、第2総量弁45において冷流路63A,63B,63C,63Dの全体に対して流れる第2熱媒体CWの量が調節される。また、冷流路63A,63B,63C,63Dのそれぞれに流れる第1熱媒体HWの量が調節される。
【0057】
以上の通りであり、車両用空調装置2は、温度調節機構30により暖房運転、除湿暖房または冷房運転がなされながら、温流路61A,61B,61C,61Dと冷流路63A,63B,63C,63Dに流れる第2熱媒体CWの量を調節することで、座席シート60A,60B,60C,60Dの温度調節を行うことができる。特に、車両用空調装置2は、温流路61A,61B,61C,61Dと冷流路63A,63B,63C,63Dのそれぞれに流れる第2熱媒体CWの量を調節することができる。
【0058】
[第2実施形態の効果]
第2実施形態にかかる車両用空調装置2は、車両用空調装置1が奏する効果1~効果4に加えて、以下の効果5~効果6を奏する。
[効果5]
車両用空調装置2によれば、温流路61A,61B,61C,61Dと冷流路63A,63B,63C,63Dのそれぞれに流れる第2熱媒体CWの量を調節することができる。したがって、複数の座席シート60A,60B,60C,60Dのそれぞれにおいて乗員の好みに応じた個別の温度調整が可能である。
【0059】
[付記]
以上の実施形態に記載の車両用空調装置1は、以下のように把握される。
【0060】
[第1の態様に係る車両用空調装置1の構成]
第1の態様に係る車両用空調装置1は、冷媒が循環する冷凍サイクル10と、冷凍サイクル10により加熱される第1熱媒体HWが循環する高温サイクルHSと、冷凍サイクル10により冷却される第2熱媒体CWが循環する低温サイクルCSと、車室内に設けられ、互いに近接して配置される温流路61と冷流路63とを有する座席シート60と、を備える。
車両用空調装置1において、温流路61は高温サイクルHSの途中に設けられ、
冷流路63は低温サイクルCSの途中に設けられる。
【0061】
[第1の態様に係る車両用空調装置1の効果]
第1の態様に係る車両用空調装置1によれば、座席シート60に温流路61と冷流路63とが互いに近接して配置される。温流路61と冷流路63のそれぞれを流れる第1熱媒体HWと第2熱媒体CWの量を調整することにより、座席シート60の冷却および加熱ができる。
また、車両用空調装置1によれば、座席シート60の温流路61と冷流路63のそれぞれに供給される第1熱媒体HWと第2熱媒体CWは液状であるから、熱媒体として液体を用いているため、空気に比べて蓄熱性が高く、乗降時や装置の停止時においても快適性を維持することができる。
さらに、車両用空調装置1によれば、温流路61と冷流路63とは、それぞれが個別に独立している。したがって、第1実施形態によれば、第1熱媒体HWと第2熱媒体CWを混合しないため、混合するために必要な容積が不要となる。また、第1熱媒体HWと第2熱媒体CWとしての役割を維持することができるため、他の車載機器に対する熱マネジメントを行うことができる。
【0062】
[第2の態様に係る車両用空調装置1の構成]
第2の態様に係る車両用空調装置1は、車室内INに設けられ、車室内に供給される空気の温度を調節する温度調節機構30を備え、温度調節機構30は、供給される空気を加熱する加熱器35と、供給される空気を冷却する冷却器33と、を備える。加熱器35は、高温サイクルHSの途中に、温流路61と並列に設けられ、冷却器33は、低温サイクルCSの途中に、冷流路63と並列に設けられる。
【0063】
[第2の態様に係る車両用空調装置1の効果]
第2の態様に係る車両用空調装置1によれば、車室内INの暖房、冷房などの温度調節を行いながら、座席シート60の冷却および加熱ができる。
【0064】
[第3の態様に係る車両用空調装置1の構成]
第3の態様に係る車両用空調装置1における冷凍サイクル10は、冷媒を圧縮する圧縮機11と、圧縮機11で圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器13と、凝縮器13で凝縮された冷媒を減圧させる減圧部15と、減圧部15で減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器17と、を備える。
高温サイクルHSは、凝縮器13を流れる冷媒と第1熱媒体とを熱交換させる高温側熱交換器23を、備え、低温サイクルCSは、蒸発器17を流れる冷媒と第2熱媒体とを熱交換させる低温側熱交換器21を、備える。
【0065】
[第3の態様に係る車両用空調装置1の効果]
第3の態様に係る車両用空調装置1によれば、車室内INの暖房、冷房などの温度調節を行いながら、座席シート60の冷却および加熱ができる。
【0066】
[第4の態様に係る車両用空調装置1の構成]
第4の態様に係る車両用空調装置1において、温流路61における第1熱媒体HWの流れる向きと冷流路63における第2熱媒体CWが流れる向きとが逆向きである。
【0067】
[第4の態様に係る車両用空調装置1の効果]
第4の態様に係る車両用空調装置1によれば、対流を起こすためのファンが不要となる。
【0068】
[第5の態様に係る車両用空調装置1の構成]
第6の態様に係る車両用空調装置1において、車室内に設けられる複数の座席シート60と、それぞれの座席シート60に設けられる温流路61および冷流路63と、高温サイクルHSから複数の座席シート60に供給される第1熱媒体HWの量を調節する第1総量弁43と、低温サイクルCSから複数の座席シート60に供給される第2熱媒体CWの量を調節する第2総量弁45と、を備える。
【0069】
[第5の態様に係る車両用空調装置1の効果]
第5の態様に係る車両用空調装置1によれば、複数の座席シート60において第1熱媒体HWと第2熱媒体CWの流量のバランスを調節することで、温度調節機構30からの空気の吹き出し温度に依存せずに各個人の好みの温度にすることが可能となる。
【0070】
[第6の態様に係る車両用空調装置1の構成]
第6の態様に係る車両用空調装置1によれば、複数の温流路61のそれぞれが設けられる第1分岐流路HL6A,HL6B,HL6C,HL6Dと、複数の冷流路63のそれぞれが設けられる第2分岐流路CL4A,CL4B,CL4C,CL4Dと、を備える。加えて、車両用空調装置1によれば、第1分岐流路HL6A,HL6B,HL6C,HL6Dのそれぞれに設けられ、複数の第1分岐流路HL6A,HL6B,HL6C,HL6Dに供給される第1熱媒体HWの流量を調節する第1個別弁65A,65B,65C,65Dと、第2分岐流路CL4A,CL4B,CL4C,CL4Dのそれぞれに設けられ、複数の第2分岐流路CL4A,CL4B,CL4C,CL4Dに供給される第2熱媒体CWの流量を調節する第2個別弁67A,67B,67C,67Dと、を備える。
【0071】
[第6の態様に係る車両用空調装置1の構成]
第6の態様に係る車両用空調装置1によれば、個別の温度調節に必要な熱媒体の全流量を第1総量弁43および第2総量弁45の開度によって調節する。これにより、乗員の一人が座席の温度を変化させた時に伴う流量バランスの変化が、他の座席の温調に与える影響を最小限に抑えることができる。また、乗員がいる座席だけでエネルギーが消費されるため、省エネ効果が期待できる。
【0072】
上記以外にも、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0073】
1,2 車両用空調装置
L1 冷媒流路
L2 冷媒流路
HS 高温サイクル
HL1,HL2,HL4,HL5,HL6 高温流路
HL6A,HL6B,HL6C,HL6D 第1分岐流路
CS 低温サイクル
CL1,CL2,CL3,CL4,CL5 低温流路
CL4A,CL4B,CL4C,CL4D 第2分岐流路
R 冷媒
HW 第1熱媒体
CW 第2熱媒体
10 冷凍サイクル
21 低温側熱交換器
23 高温側熱交換器
24,32,36 三方弁
25,41 四方弁
27 低温側ポンプ
30 温度調節機構
31 流量調節弁
43 第1総量弁
45 第2総量弁
60,60A,60B,60C,60D 座席シート
61,61A,61B,61C,61D 温流路
63,63A,63B,63C,63D 冷流路
65A,65B,65C,65D 第1個別弁
67A,67B,67C,67D 第2個別弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9