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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】開口部開閉装置及び開口部開閉システム
(51)【国際特許分類】
   G21C 9/004 20060101AFI20231121BHJP
   E06B 5/18 20060101ALI20231121BHJP
   E06B 7/16 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
G21C9/004
E06B5/18
E06B7/16 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020052016
(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公開番号】P2021148754
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊川 浩
(72)【発明者】
【氏名】木村 剛生
(72)【発明者】
【氏名】杉田 大河
(72)【発明者】
【氏名】入澤 啓
(72)【発明者】
【氏名】大久保 享一
(72)【発明者】
【氏名】能地 宏行
(72)【発明者】
【氏名】船曳 一央
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-106494(JP,U)
【文献】特開昭55-070798(JP,A)
【文献】特開2003-293658(JP,A)
【文献】特開2015-081829(JP,A)
【文献】特開2016-085070(JP,A)
【文献】特開2019-086377(JP,A)
【文献】特開2019-120537(JP,A)
【文献】特開2019-219230(JP,A)
【文献】特許第6494850(JP,B1)
【文献】特許第6588182(JP,B1)
【文献】米国特許第04788999(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 9/004
E06B 5/18
E06B 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
留め具により留められて建屋の開口部を閉止していて、前記建屋の内圧の上昇により前記留め具が外れて前記開口部を開放するブローアウトパネルと、
前記建屋の外壁に沿って移動する遮蔽体を有し、前記遮蔽体を移動させて開放された前記開口部を前記遮蔽体で閉止する閉止装置と、
前記ブローアウトパネルと連結部材で連結されて前記ブローアウトパネルを前記連結部材を介して牽引して前記ブローアウトパネルを前記遮蔽扉が通過する位置よりも外部に移動する強制開放機構とを備えるとともに、
前記ブローアウトパネルの開閉を検出する第1検出部と、
前記強制開放機構の動作により前記ブローアウトパネル及び前記連結部材を前記遮蔽体が通過する位置よりも外部に移動したことを検出する第2検出部と、
前記強制開放機構を制御して前記ブローアウトパネル及び前記連結部材を前記遮蔽体が通過する位置よりも外部に移動させる第1制御部と、
前記第1検出部で前記ブローアウトパネルの開放を検出し、かつ/又は、前記第2検出部で前記ブローアウトパネル及び前記連結部材が前記遮蔽体が通過する位置よりも外部に移動したことを検出したことを条件に、前記閉止装置を制御して前記遮蔽体を移動させて開放された前記開口部を前記遮蔽体で閉止する第2制御部とを備え、
前記第1制御部は、前記強制開放機構を制御して、その動作前には前記遮蔽体の移動を阻害する位置にあった前記連結部材を前記ブローアウトパネルの移動後には前記遮蔽体の移動を阻害しない位置に誘導して当該位置で拘束するように動作することを特徴とする開口部開閉装置。
【請求項2】
前記第1制御部は、前記強制開放機構を制御して前記ブローアウトパネルの外部への移動に際して当該ブローアウトパネルを前記遮蔽体の移動を阻害しない位置に誘導して当該位置で拘束するように動作することを特徴とする請求項1に記載の開口部開閉装置。
【請求項3】
前記閉止装置は、前記遮蔽体で前記開口部を閉止する前に前記強制開放機構で前記ブローアウトパネルを外部に移動するときに前記ブローアウトパネルの開放の邪魔にならない位置にあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の開口部開閉装置。
【請求項4】
前記遮蔽体が前記開口部の閉位置、開位置にあるときにそれぞれ当該位置で前記遮蔽体に閂をかける2つの閂機構を備え、
前記各閂機構は、前記遮蔽体側に設けられた閂ブロックの孔内に前記閂機構が備える閂ピンを挿入することによって閂をかける構造であり、
前記閂ブロックの孔の入口及び前記閂ピンの先端部はテーパ形状であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかの一項に記載の開口部開閉装置。
【請求項5】
前記遮蔽体を移動して前記開口部を閉じている際に前記遮蔽体が最終停止位置に近い所定位置に達したことを検出する第3検出部と、
前記第3検出部で前記遮蔽体が最終停止位置に近い所定位置に達したことを検出したときは、それ以前よりも前記遮蔽体の移動の速度を低減するように前記閉止装置を制御する第3制御部とを備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかの一項に記載の開口部開閉装置。
【請求項6】
前記建屋に請求項1乃至請求項5のいずれかの一項に記載の開口部開閉装置が複数台設けられ、
前記第1制御部によって前記ブローアウトパネル及び前記連結部材を前記遮蔽体が通過する位置よりも外部に移動させ、続いて前記第2制御部によって前記遮蔽体を移動させて開放された前記開口部を前記遮蔽体で閉止する動作を行う際には、複数の前記開口部開閉装置で動作開始時間が異なるものが存在するように複数の前記開口部開閉装置を制御する第4制御部を備えることを特徴とする開口部開閉システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部開閉装置及び開口部開閉システムに関する。
【背景技術】
【0002】
原子炉建屋壁面に既設のブローアウトパネルが、建屋内部の高圧水蒸気で万一開放した場合に、その開口部を閉止し、原子炉建屋の気密性を確保する安全装置が開発されている。
このような安全装置として、特許第6430055号公報(特許文献1)がある。この公報には、「建屋の開口部を塞いでいるブローアウトパネルと重ならない開位置に設けられ、前記ブローアウトパネルが開放された後に前記開口部を塞ぐように閉位置までスライド移動可能な遮蔽扉と、前記遮蔽扉の上部を前後可動なアームで吊り下げると共に上レールで支持し、閉位置に来た前記遮蔽扉を押さえるための上押さえを有する上枠部と、前記遮蔽扉の下部を下レールで支持し、閉位置に来た前記遮蔽扉を押さえるための下押さえを有する下枠部と、前記遮蔽扉の側部を押さえ、閉位置に来た前記遮蔽扉を押さえるための側押さえを有する側枠部と、前記開口部を囲むように取り付けられ、閉位置に来た前記遮蔽扉と前記開口部の隙間を密閉するためのシール材と、を備え、前記遮蔽扉は、前記上レールを挟持するように上ガイドが設けられ、前記下レールを挟持するように下ガイドが設けられ、さらに閉位置に来たときに前記上下押さえ及び前記側押さえによって前記シール材に押されるように上下カム及び側カムが設けられ、前記上下レールは、前記アームに吊下された前記遮蔽扉を前記シール材に押し付けたときに前記上下ガイドが抜けるように切欠きが設けられる、ことを特徴とする遮蔽扉の気密維持機構。」と記載されている(特許請求の範囲参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6430055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
原子力建屋には、ブローアウトパネルが建屋内部の高圧水蒸気で万一開放した場合に、ブローアウトパネルを完全に開放させて遮蔽扉などの遮蔽体の閉止の邪魔にならない位置に移動させる強制開放機構が設けられている。
しかしながら、強制開放機構の部材の一部は、強制開放機構が未動作の場合は、遮蔽体が閉止動作するための障害となる位置に存在していて、遮蔽体を閉止することができないという不具合がある。
【0005】
そこで、本発明は、強制開放機構の部材の一部が、遮蔽体が閉止動作するための障害となることを確実に防止することができる開口部開閉装置及び開口部開閉システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、留め具により留められて建屋の開口部を閉止していて、前記建屋の内圧の上昇により前記留め具が外れて前記開口部を開放するブローアウトパネルと、前記建屋の外壁に沿って移動する遮蔽体を有し、前記遮蔽体を移動させて開放された前記開口部を前記遮蔽体で閉止する閉止装置と、前記ブローアウトパネルと連結部材で連結されて前記ブローアウトパネルを前記連結部材を介して牽引して前記ブローアウトパネルを前記遮蔽扉が通過する位置よりも外部に移動する強制開放機構とを備えるとともに、前記ブローアウトパネルの開閉を検出する第1検出部と、前記強制開放機構の動作により前記ブローアウトパネル及び前記連結部材を前記遮蔽体が通過する位置よりも外部に移動したことを検出する第2検出部と、前記強制開放機構を制御して前記ブローアウトパネル及び前記連結部材を前記遮蔽体が通過する位置よりも外部に移動させる第1制御部と、前記第1検出部で前記ブローアウトパネルの開放を検出し、かつ、前記第2検出部で前記ブローアウトパネル及び前記連結部材が、前記遮蔽体が通過する位置よりも外部に移動したことを検出したことを条件に、前記閉止装置を制御して前記遮蔽体を移動させて開放された前記開口部を前記遮蔽体で閉止する第2制御部とを備え、前記第1制御部は、前記強制開放機構を制御して、その動作前には前記遮蔽体の移動を阻害する位置にあった前記連結部材を前記ブローアウトパネルの移動後には前記遮蔽体の移動を阻害しない位置に誘導して当該位置で拘束するように動作することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、強制開放機構の部材の一部が、遮蔽扉が閉止動作するための障害となることを確実に防止することができる開口部開閉装置及び開口部開閉システムを提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施例である原子炉建屋の開口部に設けられた開口部開閉装置の断面図。
図2】本発明の一実施例である開口部開閉装置における閉止装置の正面図である。
図3】本発明の一実施例である開口部開閉装置における閂ピンと閂ブロックとの拡大図である。
図4】本発明の一実施例である開口部開閉システムの制御系の機能ブロック図である。
図5】本発明の一実施例である開口部開閉装置における閉止装置で遮蔽扉を閉じる動作を行う際に開口部開閉制御部が実行する制御の内容を示すフローチャートである。
図6】本発明の一実施例である開口部開閉装置における閉止装置で遮蔽扉を開く動作を行う際に開口部開閉制御部が実行する制御の内容を示すフローチャートである。
図7】本発明の一実施例である1台目の開口部開閉装置における閉止装置及び強制開放機構の動作を説明するタイミングチャートである。
図8】本発明の一実施例である2台目の開口部開閉装置における閉止装置及び強制開放機構の動作を説明するタイミングチャートである。
図9】本発明の一実施例である3台目の開口部開閉装置における閉止装置及び強制開放機構の動作を説明するタイミングチャートである。
図10】本発明の一実施例である4台目の開口部開閉装置における閉止装置及び強制開放機構の動作を説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
まず、開口部開閉装置50の構成について説明する。図1は、原子炉建屋の開口部に設けられた開口部開閉装置50の断面図である。原子炉建屋の外壁100には、外部に開いた開口部101が設けられている。この開口部101は留め具となるクリップ11によって開口部101に留められたブローアウトパネル1を備えている。これによって、ブローアウトパネル1は、常時は開口部101を閉止している。そして、原子炉建屋の内圧が上昇したときは、その圧力によってクリップ11が外れて、ブローアウトパネル1が開き、原子炉建屋内の圧力や水素が開放される。
【0010】
原子炉建屋の外壁100の外側には、外壁100に沿ってスライド移動する遮蔽扉21(遮蔽体)を有していて、遮蔽扉21を所定の機構によりスライド移動させて開放された開口部101を遮蔽扉21で閉止する閉止装置2が設けられている。
【0011】
図2は、閉止装置2の正面図である。閉止装置2の遮蔽扉21は、例えば水平方向にスライド移動可能である。図2において、実線で示される遮蔽扉21の位置が遮蔽扉21の開位置71である。開位置71は、前記のようにブローアウトパネル1が開いたときに、開口部101が開いた状態を維持し、後述する閂を遮蔽扉21にかけて固定できる位置である。図2において、2点鎖線で示される遮蔽扉21の位置が遮蔽扉21の閉位置72である。閉位置72は、前記のようにブローアウトパネル1が開いたときに、開口部101を完全に閉じて後述の閂を遮蔽扉21にかけることができる位置である。すなわち、遮蔽扉21が閉位置72にあるときは、遮蔽扉21が開口部101を覆い、開口部101を閉じる。
【0012】
モータM1は、遮蔽扉21のスライド移動の駆動源となるモータである。閉止装置2は、開位置71で遮蔽扉21が動かないように遮蔽扉21に閂をかける閂機構22を備えている。閉止装置2は、閉位置72で遮蔽扉21が動かないように遮蔽扉21に閂をかける閂機構23も備えている。閂機構22,23の下端部は、それぞれ所定位置に強固に固定されている。閂機構22と閂機構23とは基本的に同じ構成である。すなわち、閂機構22,23は、モータM2,M3を駆動源としてパワーシリンダ22b,23bを駆動することで、鉛直上下方向を長手方向とする軸状の昇降部材22c,23cを昇降する。昇降部材22c,23cの最上部及び中間高さからは、それぞれ支持部材22d,23dが遮蔽扉21側に張り出している。各支持部材22d,23dの下部からは先端を鉛直下方に向けて閂ピン22e,23eが延出している。遮蔽扉21の左右の側縁部には、それぞれ閂ブロック21a,21bが設けられている。閂ブロック21a,21bは、遮蔽扉21の左右の側縁部において比較的高い位置と、比較的低い位置とにそれぞれ設けられている。昇降部材22c,23cが下降することによって、閂ピン22e,23eを閂ブロック21a,21bの図2において図示しない孔内に挿入させることで閂をかけることができる。また、この状態から昇降部材22c,23cを上昇させることによって、閂ピン22e,23eを閂ブロック21a,21bの図2において図示しない孔内から抜き出して閂を解除することができる。このようにして、閂機構22,23は、それぞれ上下の2箇所で閂をかけることができる。
【0013】
ところで、図1に示すように、連結部材となるワイヤ31、チェーン32は、強制開放機構3の駆動前においては、遮蔽扉21を閉じる際の障害となる位置に存在している。また、原子炉建屋内の内圧の上昇によりブローアウトパネル1が外れたときも、ブローアウトパネル1は遮蔽扉21を閉じる際の障害となる位置に存在している可能性がある。そこで、これらの部材を遮蔽扉21のスライド移動の邪魔にならない位置に移動させ、その事実を確認した上で遮蔽扉21により開口部101を閉止する動作を行いたい。以下では、このような動作を行う制御等を中心に説明する。
【0014】
図3は、閂ピンと閂ブロックとの拡大図である。閂ピン22e,23eの先端部22e1,23e1と、閂ブロック21a,21bの孔21a1,21b1の入口21a2,21b2とは、それぞれ鉛直下方に向かってテーパ形状である。図2図3において、ガイド部材21e,21fは、一定位置に固定されていて、閂ピン22e,23eと閂ブロック21a,21bとの嵌合をガイドする。
【0015】
図2に戻り、閉止装置2に用いられているセンサ類について説明する。なお、本実施例で用いられているセンサ類は、一例を挙げればリミットスイッチであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、センシング用途に応じて各種のセンサを用いることができる。
【0016】
ロック検出部LS1,LS5は、閂機構22,23において閂(閂ピン)がかけられていることを検出するセンサである。ロック検出部LS1,LS5は、昇降部材22c,23cの上部が移動可能な最下端まで動いたときにONになる。アンロック検出部LS2,LS6は、閂機構22,23において閂がかけられていないことを検出するセンサである。アンロック検出部LS2,LS6は、昇降部材22c,23cの下部が移動可能な最上端まで動いたときにONになるセンサである。定位置検出部LS3,LS7は、パワーシリンダ22b,23bが定位置に戻ったことを検出するセンサである。定位置検出部LS3,LS7は、パワーシリンダ22b,23bが定位置に戻ったときにONになるセンサである。ロック検出部LS4,LS8は、閂機構22,23において閂がかけられていることを検出するセンサである。ロック検出部LS4,LS8は、昇降部材22c,23cの下部が移動可能な最下端まで動いたときにONになるセンサである。
【0017】
遮蔽扉21の上端部における左右方向の所定位置には、上方に向けて所定高さまで検出端部21eが延出している。開検出部LS9は、遮蔽扉21が正しい開位置71に位置していることを、検出端部21eを検出することで検知する。加減速位置検出部LS10,LS11は、遮蔽扉21をスライド移動させる際に、遮蔽扉21の動きを加速又は減速させる位置に遮蔽扉21が達したことを、検出端部21eを検出することで検知する。加減速位置検出部LS10,LS11は、遮蔽扉21がスライド移動する際に最終停止位置に近い所定位置に達したときに、検出端部21eを検出することができる。加減速位置検出部LS10,LS11は第3検出部となる。閉検出部LS12は、遮蔽扉21が正しい閉位置72に位置していることを、検出端部21eを検出することで検知する。
【0018】
図1に戻り、BOP検出部LS13は、ブローアウトパネル(BOP)1の開閉を検出する第1検出部となるものである。BOP検出部LS13がONのときにブローアウトパネル1は閉じており、OFFのときには開いている。BOP検出部LS13としては、例えば、反射型光センサなどを用いることができる。
【0019】
図1を参照して、強制開放機構3について説明する。強制開放機構3は、ブローアウトパネル1と連結部材となるワイヤ31などで連結されて、ブローアウトパネル1を、ワイヤ31を介して牽引して、ブローアウトパネルを遮蔽扉21がスライド移動の際に通過する位置よりも外部に移動する(図1において、2点鎖線で示す位置に移動する)。ブローアウトパネル1の上部の左右2箇所にはチェーン32の各一端が連結されている。チェーン32の各他端は、外壁100の開口部101の上部から外側に張り出したチェーン連結部材33の先端に連結されている。外壁100の開口部101の下部からはウインチ支持部34が外側に張り出している。ウインチ支持部34には図示しない一対のウインチが固定されている。ブローアウトパネル1の下部の左右には、それぞれワイヤ31の各一端が連結されている。この2本のワイヤ31の各他端側は、それぞれ前記した図示しないウインチに連結され、当該ウインチによりワイヤ31はそれぞれ巻き取り可能である。図示しない2台のウインチの動力源はそれぞれモータM4,M5である。
【0020】
ブローアウトパネル1が開くような事象が発生したときは、開いたブローアウトパネル1は中途半端な位置でとどまる場合も多い。そこで、強制開放機構3で図示しないウインチを駆動すれば、ブローアウトパネル1はワイヤ31によって牽引されて強制的に開放され、図1において2点鎖線で示す位置に移動する。この際、ブローアウトパネル1はチェーン32を介してチェーン連結部材33の先端に吊り下げられる。巻取り検出部LS14,LS15は、各ワイヤ31の巻き取り完了を検出する。巻取り検出部LS14,LS15は、強制開放機構3の動作によりブローアウトパネル1を遮蔽扉21が通過する位置よりも外部に移動したことを検出する第2検出部となるものである。巻取り検出部LS14,LS15としては、前記した図示しないウインチの回転角度を検出する回転センサなどを用いることができる。
【0021】
以上が、開口部開閉装置50の装置構成である。原子炉建屋には、通常、開口部101が複数個設けられ、それぞれに前記のような開口部開閉装置50が設置されている。すなわち、原子炉建屋は複数台の開口部開閉装置50を備え、この複数台の開口部開閉装置50によって開口部開閉システム60(図4)を構成する。
【0022】
図4は、開口部開閉システムの制御系の機能ブロック図である。本実施例では、便宜上、4台の開口部開閉装置50が用意されていて、これらを制御する例について説明する。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、開口部開閉装置50を5台以上設置していても良いし、3台以下でもよい。各開口部開閉装置50に設けられているセンサ類61、アクチュエータ類62は、前記した開口部開閉装置50のセンサ類、アクチュエータ類を包括的に示している。制御系は例えばコンピュータにより構成され、それぞれ各開口部開閉装置50を制御する。各開口部開閉制御部63は、当該コンピュータにより実現する機能を示す機能ブロックである。第4制御部64は、各開口部開閉装置5による各開口部開閉装置5の動作開始タイミングを調整する。
【0023】
各開口部開閉制御部63は、閉止装置2及び強制開放機構3を制御する。特に、各第1制御部65は、強制開放機構3を制御してブローアウトパネル1を遮蔽扉21が通過する位置よりも外部に移動させる。
各第2制御部66は、第1検出部となるBOP検出部LS13でブローアウトパネル1の開放を検出し、かつ/又は、第2検出部となる巻取り検出部LS14,LS15でブローアウトパネル1が遮蔽扉21が通過する位置よりも外部に移動したことを検出したか否か判断する。そして、これらを検出したことを条件に、閉止装置2を制御して遮蔽扉21をスライド移動させて開放された開口部101を遮蔽扉21で閉止する。
【0024】
さらに、第3制御部67は、第3検出部となる加減速位置検出部LS10,LS11で遮蔽扉21が最終停止位置に近い所定位置に達したことを検出したときは、それ以前よりも遮蔽扉21のスライド移動の速度を低減するように前記閉止装置2を制御する。
【0025】
次に、本実施例の作用効果について説明する。
まず、開口部開閉装置50の強制開放機構3及び閉止装置2の動作について説明する。図5は、閉止装置2で遮蔽扉21を閉じる動作を行う際に開口部開閉制御部63が実行する制御の内容を示すフローチャートである。ブローアウトパネル1が原子炉建屋内の圧力の上昇によって開いたときは、原子炉建屋の管理者が所定の操作スイッチを操作することにより、各開口部開閉制御部63は動作を行う。開口部開閉制御部63において、まず、第1制御部65が、ロック検出部LS1,LS5並びに開検出部LS9がONか否かを判断する(S1)。ロック検出部LS1,LS5がONのときは、閂機構22,23で閂がかかっており、開検出部LS9がONのときは、遮蔽扉21が正しい開位置71に存在している。これによって、遮蔽扉21が正しい開位置71に存在して、閂機構22によって閂がかかっていることを確認する。ブローアウトパネル1が閉じている通常時は、遮蔽扉21がやたらに動かないように、閂機構22によって遮蔽扉21に閂をかけている。このとき、遮蔽扉21の閉位置72で閂機構23によって閂をかけているのは、閂機構23の閂ブロック21dの孔21b1内にごみ等が入り込まないようにするためである。ロック検出部LS1,LS5並びに開検出部LS9のいずれかがOFFのときは(S1のNo)、強制開放機構3及び閉止装置2がすでに動作済みの場合等、一連の処理の開始条件が不成立であるため、一連の処理を終了する。
【0026】
ロック検出部LS1,LS5並びに開検出部LS9がONのときは(S1のYes)、第1制御部65が、ブローアウトパネル1の強制開放巻取りを行う(S2)。すなわち、モータM4,M5を駆動して、ワイヤ31でブローアウトパネル1を牽引して強制開放する。これによって、ブローアウトパネル1が図1の2点鎖線の位置に移動したときは、第2制御部66は、巻取り検出部LS14,LS15がONになったことを検出する(S3のYes)。すなわち、巻取り検出部LS14,LS15がONになることで、ブローアウトパネル1が図1の破線の位置に移動するのに必要な長さのワイヤ31を巻き取ったことを検出する。これによって、ワイヤ31をこれ以上牽引する必要がなくなったので、第1制御部65は、モータM4,M5によるワイヤ31の巻取りを停止する(S4)。
【0027】
次に、第2制御部66は、BOP検出部LS13がOFFになることによって(S5のYes)、ブローアウトパネル1の開放を検出すると、S6,S7に進む。なお、図5の処理では、S3でYesかつS5でYesの場合にS6,S7以下の処理に進む構成としているが、S3でYes又はS5でYesの場合にS6,S7以下の処理に進む構成としてもよい。S6,S7では、第2制御部66は、開位置71、閉位置72で、閂ピン22e,23eをモータM2,M3の駆動によって上昇させる。閂ピン22e,23eが最も高い位置まで上昇することによって、アンロック検出部LS2,LS6がONになるので(S8のYes,S9のYes)、それまで、第2制御部66は閂ピン22e,23eの上昇動作を継続する(S8のNo,S9のNo)。アンロック検出部LS2,LS6がONになると(S8のYes,S9のYes)、閂ピン22e,23eは最も高い位置まで上昇しているので、第2制御部66はモータM2,M3を停止して閂ピン22e,23eの上昇を停止する(S10,S11)。これによって、遮蔽扉21の開位置71、閉位置72で、閂が外れる。よって、開位置71にある遮蔽扉21はスライド移動が可能となる。
【0028】
次に、第2制御部66は、モータM1の駆動によって遮蔽扉21の閉動作を開始する(S12)。この遮蔽扉21のスライド移動は所定の低速で行う。そして、加減速位置検出部LS10がOFFになったときは(S13のYes)、加減速位置検出部LS10で検出端部21eを検出できない位置まで遮蔽扉21がスライド移動したということである。このような検出ができなくなった位置は、遮蔽扉21がスライド移動の加速を開始する位置であるため、第2制御部66は遮蔽扉21の閉動作を加速する(S14)。
【0029】
加減速位置検出部LS11がONになったときは(S15のYes)、加減速位置検出部LS11で検出端部21eを検出できる位置まで遮蔽扉21が閉位置72側にスライド移動したということである。かかる位置は、遮蔽扉21が閉位置72に到達する直前でスライド移動の減速を開始する位置であるため、第3制御部67が遮蔽扉21の閉動作を減速する(S16)。閉検出部LS12がONになったときは(S17のYes)、スライド移動した遮蔽扉21が閉位置72に到達したということである。その場合は、第2制御部66が、遮蔽扉21の閉動作を停止する(S18)。そして、第2制御部66は、遮蔽扉21が閉じたことを示す扉閉信号を所定の出力先に出力して(S19)、遮蔽扉21が閉じたことを報知する。
【0030】
このように、遮蔽扉21が閉じたので、第2制御部66は、モータM2,M3を制御して閉位置72側、開位置71側の閂ピン22e,23eを下降させる(S20,S21)。ロック検出部LS1,LS5は、昇降部材22c,23cの上部が移動可能な最下端まで動いたときにONになる。ロック検出部LS4,LS8は、昇降部材22c,23cの下部が移動可能な最下端まで動いたときにONになる。それは、閂ピン22e,23eが閂ブロック21c,21dの孔21a1,21b1に完全に挿入されたということである。そこで、ロック検出部LS1,LS5並びにロック検出部LS4,LS8がONになったときは(S22のYes,S23のYes)、第2制御部66は、閂ピン22e,23eの下降を停止する(S24,S25)。
【0031】
次に、第2制御部66は、モータM2,M3を駆動して、昇降部材22c,23cを介して閂ピン22e,23eを駆動するパワーシリンダ22b,23bを定位置に戻す(S26,S27)。定位置検出部LS3,LS7は、パワーシリンダ22b,23bが定位置に戻ったことを検出するので、定位置検出部LS3,LS7がONになるまで(S28のYes,S29のYes)、S26,S27の処理を継続する(S28のNo,S29のNo)。定位置検出部LS3,LS7がONになったときは(S28のYes,S29のYes)、第2制御部66は、パワーシリンダ22b,23bを停止する(S30,S31)
【0032】
次に、ロック検出部LS1,LS5並びに閉検出部LS12がONか否かを判断する(S32)。ロック検出部LS1,LS5並びに閉検出部LS12がONであるときは(S32のYes)、遮蔽扉21は閉位置72に正しく位置し、閉位置72、開位置71で閂がかかっているため、遮蔽扉21の閉動作が完全に完了したことを確認できる。よって、この場合は、第2制御部66は一連の処理を終了する。閉位置72で閂機構23によって閂をかけるのは閉位置72から遮蔽扉21が不用意に移動しないようにして、開口部101の閉鎖を確実にするためである。
【0033】
なお、S2以下の処理を予め定められた所定時間内に完了することができなかったときは、一連の処理を終了し、異常事態の発生として、開口部開閉制御部63が管理者に報知する。
【0034】
次に、遮蔽扉21を開く動作について説明する。図6は、閉止装置2で遮蔽扉21を開く動作を行う際に開口部開閉制御部63が実行する制御の内容を示すフローチャートである。原子炉建屋の管理者が所定の操作スイッチを操作することにより、各開口部開閉制御部63が動作を行う。まず、第2制御部66は、ロック検出部LS1,LS5並びに閉検出部LS12がONか否かを判断する(S41)。前記のとおり、ロック検出部LS1,LS5がONのときは、遮蔽扉21の閉位置72、開位置71において閂機構22,23の閂がかかっている。また、閉検出部LS12がONのときは遮蔽扉21は閉位置72に存在する。ロック検出部LS1,LS5並びに閉検出部LS12がONのときは(S41のYes)、S42,S43に進む。ロック検出部LS1,LS5又は閉検出部LS12がOFFのときは(S41のNo)、閉止装置2がすでに動作済みの場合等、一連の処理の開始条件が不成立であるため、処理を終了する。
【0035】
S42,S43では、遮蔽扉21の開位置71、閉位置72においてモータM2,M3を制御して閂ピン22e,23eを上昇させる。閂ピン22e,23eが最も高い位置まで上昇することによって、アンロック検出部LS2,LS6がONになるので(S44のYes,S45のYes)、それまで、第2制御部66は閂ピン22e,23eの上昇動作を継続する(S44のNo,S45のNo)。
【0036】
アンロック検出部LS2,LS6がONになることで(S44のYes,S45のYes)、閂が外れるため、遮蔽扉21の開位置71、閉位置72においてモータM2,M3を制御して閂ピン22e,23eの上昇を停止する(S46,S47)。
【0037】
次に、第2制御部66は、モータM1を制御して遮蔽扉21をスライド移動して遮蔽扉21の開動作を開始する(S48)。加減速位置検出部LS11がOFFになったときは(S49のYes)、加減速位置検出部LS11が検出端部21eの位置を越える位置まで遮蔽扉21が開位置71側にスライド移動したということである。かかる位置は、遮蔽扉21のスライド移動の加速を開始する位置であるため、第2制御部66が遮蔽扉21の開動作を加速する(S50)。加減速位置検出部LS10がONになったときは(S51のYes)、スライド移動した遮蔽扉21が開位置71に近づいたということである。その場合は、第3制御部67が遮蔽扉21の開動作を減速する(S52)。開検出部LS9がONになったときは(S53のYes)、遮蔽扉21が開位置71に達したということである。よって、この場合は、第2制御部66がモータM1を制御して、遮蔽扉21の開動作を停止する(S54)。
【0038】
このように、遮蔽扉21が開いたので、第2制御部66は、モータM2,M3を制御して閉位置72側、開位置71側の閂ピン22e,23eを下降させる(S55,S56)。ロック検出部LS1,LS5は、昇降部材22c,23cの上部が移動可能な最下端まで動いたときにONになる。ロック検出部LS4,LS8は、昇降部材22c,23cの下部が移動可能な最下端まで動いたときにONになる。それは、閂ピン22e,23eが閂ブロック21c,21dの孔21a1,21b1に完全に挿入されたということである。そこで、ロック検出部LS1,LS5並びにロック検出部LS4,LS8がONになったときは(S57のYes,S58のYes)、第2制御部66は、閂ピン22e,23eの下降を停止する(S59,S60)。
【0039】
次に、第2制御部66は、モータM2,M3を駆動して、昇降部材22c,23cを介して閂ピン22e,23eを駆動するパワーシリンダ22b,23bを定位置に戻す(S61,S62)。定位置検出部LS3,LS7は、パワーシリンダ22b,23bが定位置に戻ったことを検出するので、定位置検出部LS3,LS7がONになるまで(S63のYes,S64のYes)、S61,S62の処理を継続する(S63のNo,S64のNo)。定位置検出部LS3,LS7がONになったときは(S63のYes,S64のYes)、第2制御部66は、パワーシリンダ22b,23bを停止する(S65,S66)。
【0040】
次に、ロック検出部LS1,LS5並びに開検出部LS9がONか否かを判断する(S67)。ロック検出部LS1,LS5並びに開検出部LS9がONであるときは(S67のYes)、遮蔽扉21は開位置71に正しく位置し、閉位置72、開位置71で閂がかかっているため、遮蔽扉21の開動作が完全に完了したことを確認できる。よって、この場合は、第2制御部66は一連の処理を終了する。
【0041】
なお、S22以下の処理を予め定められた所定時間内に完了することができなかったときは、一連の処理を終了し、異常事態の発生として、開口部開閉制御部63が管理者に報知する。
【0042】
前記のとおり、開口部開閉装置50は原子炉建屋に例えば4台設置されている。図7図10は、各開口部開閉装置50における閉止装置2及び強制開放機構3の動作を説明するタイミングチャートである。まず、一例として、原子炉建屋内で内圧が高まりブローアウトパネル1が開くような特定の事象発生から原子炉建屋内の負圧確立までに40分の時間を想定しているものとする。40分中、最初の30分は原子炉建屋の電源復旧に要する時間と想定している。また、その40分中、最後の5分間は、所定の排気機構を駆動して、原子炉建屋内の負圧確立に要する時間と想定している。電源復旧に要する時間と所定の排気機構を駆動する間の時間において、ブローアウトパネル1の強制開放及び遮蔽扉21の閉動作に要する時間は4分間と想定している(これらの想定時間はあくまでも一例である)。そこで、全ての開口部開閉装置50における閉止装置2及び強制開放機構3の動作を前記の4分間で完了させる。以下では、その一連の動作について説明する。
【0043】
図7は、1台目の開口部開閉装置50における各装置の動作を説明するタイミングチャートである。図7において、横軸は経過時間を示す。縦軸は閉止装置2、強制開放機構3の各装置の機器名及び動作名を示している。タイミングチャート中には前記した各種センサのON,OFFのタイミングも示している。
原子炉建屋の管理者が所定の操作スイッチを操作して各開口部開閉装置50の動作開始を指示したときは、第4制御部64は、この1台目の開口部開閉装置50の開口部開閉制御部63に対して一連の動作開始の指示を出す。これを受けて1台目の開口部開閉装置50の開口部開閉制御部63の第1制御部65は、開検出部LS9のONでモータM4,M5による巻取り動作を開始する。このときのタイミングをタイミングチャート上では「閉止開始」として示している。
【0044】
タイミングチャート上の符号“A”は、ワイヤ31の余長巻取時間である。この後、ワイヤ31の余長が巻取られると、ワイヤ31がブローアウトパネル1を牽引し、ブローアウトパネル1がワイヤ31の牽引に対して踏ん張るBOP(ブローアウトパネル)踏ん張り時間が存在する(タイミングチャート上の符号“B”)。このBOP踏ん張り時間の間にブローアウトパネル1が外れ、その後、タイミングチャート上の符号“C”で示すBOP巻取時間でワイヤ31が巻き取られて、ブローアウトパネル1が図1で2点鎖線で示す位置に移動する。巻取り検出部LS14,LS15がONになると、ワイヤ31の巻取りが完了して、モータM4,M5は停止する。
【0045】
このとき、BOP検出部LS13のOFFによってブローアウトパネル1の開放が検出され、このタイミングで、第2制御部66は、遮蔽扉21の開位置71側、閉位置72側のパワーシリンダ22b,23bに対して待機位置から上昇端に向かって上昇を開始させる。アンロック検出部LS2,LS6のONによって、パワーシリンダ22b,23bによって閂ピン22e,23eが上昇端まで上昇して、遮蔽扉21の開位置71側、閉位置72側で閂が外れたことを確認したときは、第2制御部66がモータM1を動作させて、停止の状態から低速動作に移行させて遮蔽扉21のスライド移動を開始する。その後、加減速位置検出部LS10のOFF、加減速位置検出部LS11のONの検出に基づき、第2制御部66は、モータM1による遮蔽扉21の動作を低速動作から定常動作(前記の加速動作)に移行し、再度低速動作に移行する。その後、閉検出部LS12のONにより、遮蔽扉21は閉位置72に到達したので、第2制御部66はモータM1を停止する。この際、前記の扉閉信号を出力する。
【0046】
そして、遮蔽扉21の開位置71側、閉位置72側のパワーシリンダ22b,23bを上昇端から下降端まで下げて、遮蔽扉21の開位置71側、閉位置72側で閂をかける。その後、遮蔽扉21の開位置71側、閉位置72側のパワーシリンダ22b,23bを待機位置に移動して、一連の処理を終了する。
【0047】
図8は、2台目の開口部開閉装置50における各装置の動作を説明するタイミングチャートである。図8において、処理内容は図7に準じるが、一点異なるのは、図7が「閉止開始」直後から一連の動作を開始しているのに対して、2台目の開口部開閉装置50は第4制御部64が「閉止開始」からt秒(T=t)遅れて一連の動作を開始する点である。
【0048】
図9は、3台目の開口部開閉装置50における各装置の動作を説明するタイミングチャートである。3台目の処理も図7に準じるが、3台目の開口部開閉装置50は第4制御部64が「閉止開始」から2t秒(T=2t)遅れて一連の動作を開始する。
【0049】
図10は、4台目の開口部開閉装置50における各装置の動作を説明するタイミングチャートである。4台目の処理も図7に準じるが、4台目の開口部開閉装置50は第4制御部64が「閉止開始」から3t秒(T=3t)遅れて一連の動作を開始する。
このように、4台の開口部開閉装置50は互いに時間差で動作を開始するが、全ての動作は所定の時間(本例では前記の4分)内に完了する。
【0050】
以上説明した本実施例の開口部開閉装置50、開口部開閉システム60によれば、ブローアウトパネル1が開放されたことを確認する(S5のYes)。また、ワイヤ31を必要な長さだけ巻き取ったことで(S3のYes,S4)、ブローアウトパネル1が原子炉建屋外部の図1に2点鎖線で示す位置まで移動したことも確認する。これらを確認した後に図1の2点鎖線で示す位置までブローアウトパネル1を図示しないウインチで巻き取られるワイヤ31によって誘導し、当該位置で拘束する。また、このとき、ワイヤ31、チェーン32も図1の2点鎖線で示す位置まで図示しないウインチの動作によって誘導され、当該位置で拘束される。これによって、ブローアウトパネル1、ワイヤ31、チェーン32は、遮蔽扉21の移動を阻害しない。その上で、遮蔽扉21を閉位置72まで移動して(S12~S18)、開口部101を閉止することができる。すなわち、ブローアウトパネル1、ワイヤ31、チェーン32が邪魔になることなく遮蔽扉21を確実に閉止することができる。
【0051】
また、閉止装置2、具体的には遮蔽扉21は、開口部101を閉止する前に強制開放機構3でブローアウトパネル1が図1の2点鎖線の位置に移動するときに、ブローアウトパネル1の動きの邪魔にならない開位置71に位置している。そのため、遮蔽扉21がブローアウトパネル1を完全に開放するための障害にならないようにすることができる。
【0052】
また、遮蔽扉21が開位置71、閉位置72に到達した場合であっても(S17のYes,S53のYes)、閂ピン22e,23eの先端部22e1,23e1と、閂ブロック21a,21bの孔21a1,21b1との間に誤差による位置ずれが生じる可能性がある。しかしながら、図3に示すように、閂ピン22e,23eの先端部22e1,23e1と、閂ブロック21a,21bの孔21a1,21b1の入口21a2,21b2とは、それぞれ鉛直下方に向かってテーパ形状である。そのため、閂ピン22e,23eを閂ブロック21a,21bの孔21a1,21b1に差し込む際に前記の位置ずれが補正されて、確実に閂をかけることができる。
【0053】
さらに、遮蔽扉21がスライド移動して閉位置72、開位置71に近い位置まで達すると(S15のYes,S51のYes)、遮蔽扉21の移動を低速とする(S16,S52)。そのため、遮蔽扉21を閉位置72、開位置71に正確に停止させることが容易となる。そのため、この点でも、閂ピン22e,23eと、閂ブロック21a,21bの孔21a1,21b1とは正確に位置決めされやすくなる。そのため、閂ピン22e,23eを閂ブロック21a,21bの孔21a1,21b1に正確に差し込んで、確実に閂をかけることができる。
【0054】
また、各開口部開閉装置50を駆動する場合、それぞれの開口部開閉装置50の動作開始時に最も高い電力が必要とされるのが一般的である。そのため、開口部開閉システム60において各開口部開閉装置50を同時に始動したのでは過大な電力負荷が電力供給システムにかかる。その点、開口部開閉システム60は、各開口部開閉装置50をt秒差の時間差で順次駆動していく(図7図10)。そのため、電力供給システムにかかる電力負荷を問題のないレベルまで低減することが可能となる。
【0055】
なお、前記の実施例では各開口部開閉装置50を1台ずつ時間差をつけて始動しているが、電力供給システムにかかる電力負荷の問題がないのであれば、例えば2台ずつ開口部開閉装置50を始動するようにしてもよい。
【0056】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
例えば、前記の実施例では、遮蔽体としてスライド移動する遮蔽扉21を水平方向に移動させる構成である。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、遮蔽体はシャッター等、開口部101を開閉できる様々な装置で実現できる。また、遮蔽体となる遮蔽扉21やシャッター等は水平方向への移動に限定されず、上下方向に移動するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 ブローアウトパネル
2 閉止装置
3 強制開放機構
11 クリップ(留め具)
21 遮蔽扉(遮蔽体)
21a1,21b1 孔
22a2,22b2 入口
21c,21d 閂ブロック
22e,23e 閂ピン
22e1,23e1 先端部
22,23 閂機構
31 ワイヤ(連結部材)
50 開口部開閉装置
60 開口部開閉システム
64 第4制御部
65 第1制御部
66 第2制御部
67 第3制御部
71 開位置
72 閉位置
101 開口部
LS13 BOP検出部(第1検出部)
LS14,LS15 巻取り検出部(第2検出部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10