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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】遮水壁の構築方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 5/18 20060101AFI20231121BHJP
   C09K 17/06 20060101ALI20231121BHJP
   C09K 17/02 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
E02D5/18 101
E02D5/18 102
C09K17/06 P
C09K17/02 P
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020073494
(22)【出願日】2020-04-16
(65)【公開番号】P2021169732
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2023-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000115463
【氏名又は名称】ライト工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯尾 正俊
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-299319(JP,A)
【文献】特開2012-006999(JP,A)
【文献】特開2016-176198(JP,A)
【文献】特開2006-322285(JP,A)
【文献】特開2014-171977(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 5/18
E02D 3/12
C09K 17/00-17/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベントナイトの泥水を地盤に供給して遮水壁を構築する方法であり、
前記泥水は、アルカリ金属塩を含む水溶液にベントナイトを添加することで作液
前記泥水として供給するベントナイトとしてNa型ベントナイトを使用し、
前記泥水は、前記アルカリ金属塩の濃度がNa型ベントナイト添加量の1(w/w)%以上の水溶液にNa型ベントナイトを添加することで作液する、
ことを特徴とする遮水壁の構築方法。
【請求項2】
ベントナイトの泥水を地盤に供給して遮水壁を構築する方法であり、
前記泥水は、アルカリ金属塩を含む水溶液にベントナイトを添加することで作液し、
前記泥水として供給するベントナイトとしてCa型ベントナイトを使用し、
前記アルカリ金属塩としてイオン交換剤として機能するものを使用し、
前記泥水は、前記イオン交換剤の濃度がCa型ベントナイト添加量の5(w/w)%以上の水溶液にCa型ベントナイトを添加することで作液する、
ことを特徴とする遮水壁の構築方法。
【請求項3】
ベントナイトの泥水を地盤に供給し、その後にベントナイトの粉体を地盤に供給する、
請求項1又は請求項2に記載の遮水壁の構築方法。
【請求項4】
前記泥水は、ベントナイトの濃度が10~150(w/v)%である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の遮水壁の構築方法。
【請求項5】
前記アルカリ金属塩が炭酸塩である、
請求項1~4のいずれか1項に記載の遮水壁の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮水壁の構築方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遮水壁の構築方法としては、例えば、地盤にNa型ベントナイトの泥水を供給する方法が存在する。しかしながら、Na型ベントナイトは膨潤し易いため、濃度の上限が10%程度になる。したがって、この工法においては、汚泥発生を抑えるために、Na型ベントナイトを泥水として供給した後に、更にNa型ベントナイトを粉体で供給している。しかしながら、Na型ベントナイトの粉体は自身の急激な吸水力によって地盤中において継粉状になってしまい、均一な分散に難がある。
【0003】
また、遮水壁の構築方法としては、特許文献1が開示するものが存在する。同文献が開示する方法は、Ca型ベントナイト等の泥水を地盤に供給し、その後にCa型ベントナイトをNa型ベントナイトに改質するイオン交換剤を液体として地盤に供給する。同文献は、Ca型ベントナイトの粉体を投入すると均質な混合性に問題があるとし、Ca型ベントナイト及びイオン交換剤を液体で供給するとするものである。また、同文献の方法においては、地盤中においてCa型ベントナイトをNa型ベントナイトに改質する。
【0004】
しかしながら、同方法によると、地盤に供給する水分が多く、遮水壁が柔らかくなってしまうと思われる。また、遮水壁の構築においては、従来から一般的にNa型ベントナイトが使用されており、Na型ベントナイトを使用することができる遮水壁の構築方法も求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6163173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする主たる課題は、ベントナイトと地盤との混合性に問題がなく、かつ十分な強度を有する遮水壁を構築することができる遮水壁の構築方法を提供することにある。好ましくは、加えてNa型ベントナイトを使用することができる遮水壁の構築方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述特許文献1の方法において地盤中においてCa型ベントナイトをNa型ベントナイトに改質するのは、改質して得たNa型ベントナイト(活性Na型ベントナイト)も膨潤し易く、濃度の上限が10%程度になることからすると、合理的であった。しかしながら、本発明者等は、アルカリ金属塩を含む水溶液にNa型ベントナイトを添加すると、浸透圧の影響でNa型ベントナイトの膨潤が抑制されることを知見した。この知見に基づけば、地盤中においてCa型ベントナイトを改質する必要が無く、そもそもNa型ベントナイトの使用が可能になる。また、この泥水は地盤中において地下水によって希釈されるため、アルカリ金属塩の濃度が低下し、Na型ベントナイトの膨潤力が復活することも知見した。さらに、本発明者等は、アルカリ金属塩としてイオン交換剤として機能するものを使用し、当該イオン交換剤を含む(Ca型ベントナイトをNa型ベントナイトに改質する量を超えるイオン交換剤を含む。このような量は、従来、余剰と考えられていた量である。)水溶液にCa型ベントナイトを添加すると、浸透圧の影響で改質されたCa型ベントナイト(活性Na型ベントナイト)の膨潤が抑制されることを知見した。この知見に基づけば、地盤中においてCa型ベントナイトを改質する必要が無い。また、この泥水は地盤中において地下水によって希釈されるため、イオン交換剤の濃度が低下し、活性Na型ベントナイトの膨潤力が復活することも知見した。さらに、残余のイオン交換剤は、後から粉体としてCa型ベントナイトする場合は、このCa型ベントナイトの改質に利用される。以上のような知見に基づいて想到するに至ったのが、下記に示す上記課題を解決するための手段である。
【0008】
(請求項1に記載の手段)
ベントナイトの泥水を地盤に供給して遮水壁を構築する方法であり、
前記泥水は、アルカリ金属塩を含む水溶液にベントナイトを添加することで作液
前記泥水として供給するベントナイトとしてNa型ベントナイトを使用し、
前記泥水は、前記アルカリ金属塩の濃度がNa型ベントナイト添加量の1(w/w)%以上の水溶液にNa型ベントナイトを添加することで作液する、
ことを特徴とする遮水壁の構築方法。
(請求項2に記載の手段)
ベントナイトの泥水を地盤に供給して遮水壁を構築する方法であり、
前記泥水は、アルカリ金属塩を含む水溶液にベントナイトを添加することで作液し、
前記泥水として供給するベントナイトとしてCa型ベントナイトを使用し、
前記アルカリ金属塩としてイオン交換剤として機能するものを使用し、
前記泥水は、前記イオン交換剤の濃度がCa型ベントナイト添加量の5(w/w)%以上の水溶液にCa型ベントナイトを添加することで作液する、
ことを特徴とする遮水壁の構築方法。
【0009】
(請求項に記載の手段)
ベントナイトの泥水を地盤に供給し、その後にベントナイトの粉体を地盤に供給する、
請求項1又は請求項2に記載の遮水壁の構築方法。
【0010】
【0011】
【0012】
(請求項に記載の手段)
前記泥水は、ベントナイトの濃度が10~150(w/v)%である、
請求項1~のいずれか1項に記載の遮水壁の構築方法。
【0013】
(請求項に記載の手段)
前記アルカリ金属塩が炭酸塩である、
請求項1~のいずれか1項に記載の遮水壁の構築方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、ベントナイトと地盤との混合性に問題がなく、かつ十分な強度を有する遮水壁を構築することができる遮水壁の構築方法になる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態を説明する。なお、本実施の形態は本発明の一例である。本発明の範囲は、本実施の形態の範囲に限定されない。
【0016】
本形態の遮水壁の構築方法は、ベントナイトの泥水を地盤に供給し、その後に必要によりベントナイトの粉体を地盤に供給するものである。そして、ベントナイトの泥水は、アルカリ金属塩を含む水溶液にベントナイトを添加することで作液する。ベントナイトとしては、Na型ベントナイト及びCa型ベントナイトの少なくともいずれか一方を使用することができる。以下では、Na型ベントナイトを使用する場合を第1の形態として、Ca型ベントナイトを使用する場合を第2の形態として説明する。
【0017】
(第1の形態)
本形態の遮水壁の構築方法においては、Na型ベントナイト(ナトリウム型ベントナイト)の泥水を地盤に供給し、その後に必要によりNa型ベントナイトの粉体を地盤に供給する。また、Na型ベントナイトの泥水は、アルカリ金属塩の濃度が質量基準でNa型ベントナイト添加量の1(w/w)%以上の水溶液にNa型ベントナイトを添加することで作液する。なお、本明細書においてベントナイトとは、モンモリロナイトを主成分とする粘土を意味する。
【0018】
Na型ベントナイトは、膨潤性や、増粘性に優れる。したがって、遮水壁を構築するのに適する。しかしながら、Na型ベントナイトを泥水(液体)にする場合においては、Na型ベントナイトを高濃度化するのに困難を伴い、地盤に対する水分の注入量が多くなる。そこで、本形態においては、アルカリ金属塩が高濃度の水溶液にNa型ベントナイトを添加する。アルカリ金属塩が高濃度であると、Na型ベントナイトの膨潤が抑制され、したがってNa型ベントナイトを高濃度化することができる。しかも、地盤に供給された泥水は、地盤中の地下水によって希釈され、アルカリ金属塩の濃度が下がるため、Na型ベントナイトの膨潤抑制能力が低下し、Na型ベントナイトの膨潤力が復活する。
【0019】
アルカリ金属塩の濃度は、Na型ベントナイトの膨潤を抑制する濃度、好ましくはNa型ベントナイト添加量の1(w/w)%以上、より好ましくはNa型ベントナイト添加量の3~40(w/w)%、特に好ましくはNa型ベントナイト量の5~35(w/w)%である。濃度がNa型ベントナイト量の1(w/w)%を下回ると、Na型ベントナイトの膨潤が抑制されない可能性がある。他方、濃度がNa型ベントナイト量の40(w/w)%を上回ると、塩の種類、ベントナイト濃度、液温等の条件にもよるが溶解度以上の添加量となり溶解しなかったり、液温の変化で析出したりするおそれがある。なお、アルカリ金属塩の濃度はNa型ベントナイトの添加量を基準とするが、Na型ベントナイトの添加はアルカリ金属塩の添加よりも後になる。
【0020】
アルカリ金属塩としては、電解質である無機酸塩、有機酸塩が良く、例えば、汎用性が高いものとして炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、硫酸塩、塩化物等を使用することができる。ただし、アルカリ金属塩としては、炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩を使用するのが好ましい。これらのアルカリ金属塩を使用すると、コストが安く、Na型ベントナイトに含まれる一部のイオン交換可能なアルカリ土類金属イオンをイオン交換し、膨潤能を大きくすることができる。しかも、地下水中に膨潤阻害物質である多価金属イオンが存在する場合、これらの物質を不溶化する。
【0021】
泥水のNa型ベントナイトの濃度は、高濃度である場合において本形態の効果が遺憾なく発揮され、好ましくは10~150(w/v)%、より好ましくは20~120(w/v)%、特に好ましくは30~100(w/v)%である。濃度が10(w/v)%を下回る配合の場合は、アルカリ金属塩で膨潤抑制しなくてもNa型ベントナイト掘削泥水として作液が可能である。しかしながら、排泥量の増加、粉体として供給するNa型ベントナイトの増量等、従来の問題が解決されない。他方、濃度が150(w/v)%を上回るものとするには、作液が困難になる可能性がある。
【0022】
なお、Na型ベントナイトの濃度は、スラリー(泥水)作液用水1m当たりにおけるベントナイトの質量(kg)を意味する(外割)。したがって、例えば、1~20(w/v)%であれば、10~200kg/mを意味する。
【0023】
地盤1m当たりのNa型ベントナイトの液体(濃度1~150(w/v)%の泥水)の注入量は、好ましくは10~400L、より好ましくは20~300L、特に好ましくは50~200Lである。注入量が10Lを下回ると、遮水壁の遮水性が劣るおそれがある。他方、注入量が400Lを上回ると、排泥量が多くなるおそれがある。
【0024】
本形態においては、必要によりCa型ベントナイトをNa型ベントナイトと併用することができる。この点、Ca型ベントナイトは、膨潤性や、増粘性に劣る。したがって、遮水壁を構築するには不向きである。そこで、Ca型ベントナイトを併用する場合においては、イオン交換剤を併用するのが好ましく、イオン交換剤として機能するアルカリ金属塩を使用するのがより好ましい。イオン交換剤を使用してCa型ベントナイトをNa型ベントナイトに改質(イオン交換)するというものである。
【0025】
なお、Ca型ベントナイト(Be-Ca)をイオン交換(改質)して得たNa型ベントナイト(Be-Na)は、改質Na型ベントナイトや活性Na型ベントナイトなどとも言われる。また、炭酸ナトリウムを使用してイオン交換した場合の反応式は、次のとおりである。
Be-Ca + NaCO → Be-Na + CaCO
【0026】
イオン交換剤としては、Ca型ベントナイトをNa型ベントナイトに改質(イオン交換)することができる薬剤一般を使用することができる。具体的には、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、過炭酸ナトリウム等からなる炭酸系のイオン交換剤や、リン酸系のイオン交換剤、珪酸ナトリウム等のケイ酸塩系のイオン交換剤などの中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。ただし、本形態においては、泥水にアルカリ金属塩が添加されているため、アルカリ金属塩の種類によってはイオン交換剤の併用が不要になる。このような観点からは、アルカリ金属塩として、イオン交換剤として機能する炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩を使用するのが好ましい。
【0027】
また、ナトリウムイオン等のアルカリ金属イオンとカルシウムイオン等のアルカリ土類金属イオンとをイオン交換し、析出したアルカリ土類金属イオンを不溶化又はキレート化して沈降させるイオン交換剤を使用するのも好ましい。このようなイオン交換剤としては、例えば、炭酸塩系塩、硫酸系塩、リン酸系塩、ケイ酸系塩、エチレンジアミン塩、カルボン酸系塩等のイオン交換剤を使用するのが好ましく、炭酸ナトリウムを使用するのがより好ましい。
【0028】
イオン交換剤の使用量は、Ca型ベントナイト1kgに対して、好ましくは0.01~0.2kg、より好ましくは0.02~0.15kg、特に好ましくは0.03~0.1kgである。使用量が0.01kgを下回ると、Ca型ベントナイトを十分に改質することができないおそれがある。他方、使用量が0.2kgを上回ると、イオン交換剤の余剰となるおそれがある。
【0029】
なお、使用量は、イオン交換剤として機能するアルカリ金属塩として使用された分量が除かれるものであり、したがってアルカリ金属塩の種類及び濃度によっては、イオン交換剤を新たに供給する必要がない場合もある。
【0030】
本形態においては、前述したように、地盤にNa型ベントナイトを泥水として供給した後、必要により粉体として供給する。先に泥水として供給するNa型ベントナイトの濃度を高濃度化しておけば、粉体として供給するNa型ベントナイトの量を減らすことができ、分散性の問題を緩和することができる。
【0031】
(第2の形態)
本形態の遮水壁の構築方法においては、まず、Ca型ベントナイト(カルシウム型ベントナイト)の泥水を地盤に供給し、その後に必要によりCa型ベントナイトの粉体を地盤に供給する。また、Ca型ベントナイトの泥水は、イオン交換剤として機能するアルカリ金属塩(以下、単に「イオン交換剤」とも言う。)の濃度が質量基準でCa型ベントナイト添加量の5(w/w)%以上の水溶液にCa型ベントナイトを添加することで作液する。
【0032】
前述したように、Na型ベントナイトは、膨潤性や、増粘性に優れる。したがって、遮水壁を構築するのに適する。しかしながら、Na型ベントナイトを泥水(液体)にする場合においては、高濃度化するのに困難を伴う。また、この特性は、Ca型ベントナイトをNa型ベントナイトに改質して得た活性Na型ベントナイトにもあてはまる。そこで、本形態においては、イオン交換剤として機能するアルカリ金属塩を高濃度で含む水溶液にCa型ベントナイトを添加する。イオン交換剤はCa型ベントナイトをNa型ベントナイトに改質する薬剤であるが、イオン交換剤が高濃度であると、活性Na型ベントナイトの膨潤が抑制され、したがって泥水を高濃度化することができる。しかも、地盤に供給された泥水は、地盤中の地下水によって希釈化され、イオン交換剤の濃度が下がるため、活性Na型ベントナイトの膨潤抑制能力が低下し、活性Na型ベントナイトの膨潤力が復活する。さらに、このイオン交換剤は、後から粉体として供給されるCa型ベントナイトの改質にも使用され、後からCa型ベントナイトと共に供給するイオン交換剤の量を減らすことができ、あるいは不要とすることができる。
【0033】
イオン交換剤の濃度は、Ca型ベントナイトをNa型ベントナイトに改質するのに必要な量を超える量とするのが好ましい。具体的には、イオン交換剤の濃度を、Ca型ベントナイト添加量の5(w/w)%以上、好ましくはCa型ベントナイト添加量の10~40(w/w)%、より好ましくはCa型ベントナイト添加量の15~35(w/w)%とする。濃度がCa型ベントナイト添加量の5(w/w)%を下回ると、改質Na型ベントナイトの膨潤が抑制されない可能性がある。他方、濃度がCa型ベントナイト添加量の40(w/w)%を上回ると、液温によっては溶解度以上となり溶解しなかったり、液温の変化で析出したりして膨潤抑制が不安定となるおそれがある。なお、イオン交換剤の濃度はCa型ベントナイトの添加量を基準とするが、Ca型ベントナイトの添加はイオン交換剤の添加よりも後になる。
【0034】
イオン交換剤としては、例えば、炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩等を使用することができる。ただし、イオン交換剤としては、炭酸ナトリウムを使用するのが好ましい。炭酸ナトリウムを使用すると、コストが安く、活性化作用以外に地下水中に膨潤阻害物質である多価金属イオンが存在する場合、これらの膨潤阻害物質を不溶化し再膨潤後の膨潤力を大きくすることに寄与する。
【0035】
また、泥水のCa型ベントナイトの濃度は、好ましくは10~150(w/v)%、より好ましくは20~120(w/v)%、特に好ましくは30~100(w/v)%である。濃度が10(w/v)%を下回る配合の場合は、活性化させる塩量で泥水が作液できるので、膨潤抑制しなくても掘削泥水として使用可能である。しかし、排泥量の増加、粉体として供給するベントナイトの増量等、従来の問題が解決されない可能性がある。他方、濃度が150(w/v)%を上回るものとするには、作液が困難になるおそれがある。
【0036】
なお、Ca型ベントナイトの液体の濃度は、スラリー(泥水)作液用水1m当たりにおけるベントナイトの質量(kg)を意味する(外割)。したがって、例えば、1~20(w/v)%であれば、10~200kg/mを意味する。
【0037】
地盤1m当たりのCa型ベントナイトの液体(濃度1~150(w/v)%の泥水)の注入量は、好ましくは10~400L、より好ましくは20~300L、特に好ましくは50~200Lである。注入量が10Lを下回ると、遮水壁の遮水性が劣るおそれがある。他方、注入量が400Lを上回ると、排泥量が多くなるおそれがある。
【0038】
なお、Ca型ベントナイトをイオン交換(改質)して得たNa型ベントナイトは、前述したように改質Na型ベントナイトや活性Na型ベントナイトなどとも言われる。
【0039】
イオン交換剤としては、Ca型ベントナイトをNa型ベントナイトに改質(イオン交換)することができる薬剤一般を使用することができる。具体的には、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、過炭酸ナトリウム等からなる炭酸塩系のイオン交換剤や、リン酸系のイオン交換剤、シリカ系のイオン交換剤などの中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。ただし、本形態においては、イオン交換剤として炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩を使用するのが好ましく、炭酸ナトリウムを使用するのがより好ましい。
【0040】
また、ナトリウムイオン等のアルカリ金属イオンとカルシウムイオン等のアルカリ土類金属イオンとをイオン交換し、析出したアルカリ土類金属イオンを不溶化又はキレート化して沈降させるイオン交換剤を使用するのも好ましい。このようなイオン交換剤としては、例えば、炭酸系塩、硫酸系塩、リン酸系塩、ケイ酸系塩、エチレンジアミン塩、カルボン酸系塩等のイオン交換剤を使用するのが好ましく、炭酸ナトリウムを使用するのがより好ましい。
【0041】
なお、Ca型ベントナイトの改質のみを行うのであれば、イオン交換剤の使用量は、Ca型ベントナイト(1kg)に対して、好ましくは0.01~0.2kg、より好ましくは0.02~0.15kg、特に好ましくは0.03~0.1kgである。使用量が0.01kgを下回ると、Ca型ベントナイトを十分に改質することができないおそれがある。他方、使用量が0.2kgを上回ると、イオン交換剤の余剰となるおそれがある。ただし、この余剰が現実には、活性Na型ベントナイトの膨潤抑制に有用であったことを知見したのが本形態の基礎にある。
【0042】
本形態においては、前述したように、地盤にCa型ベントナイトを泥水として供給した後、次いで必要により粉体として供給する。先に泥水として供給するCa型ベントナイトの濃度を高濃度化しておけば、粉体として供給するCa型ベントナイトの量を減らすことができ、分散性の問題を防ぐことができる。
【0043】
(その他)
以上の工法(方法)は、例えば、特開2005-16295号公報に開示されるような「移動可能なベースマシンと地盤を溝掘削するカッターとを備えたチェーンカッター方式掘削装置」を用いて遮水壁を構築する場合(等厚式)や、特開2006-291703号公報に開示されるような「単軸又は多軸の掘削軸を備えた掘削装置」を用いて遮水壁を構築する場合(柱列式)、バケットが備わるバックホー用いて遮水壁を構築する場合などに適用することができる。
【0044】
また、本形態の工法においては、必要によりNa型ベントナイトをCa型ベントナイトと併用することができる。
【0045】
さらに、Ca型ベントナイトを使用する場合においてアルカリ金属塩としては、イオン交換剤として機能するもの(活性剤として機能する塩)と、イオン交換剤として機能しないもの(活性剤として機能しない塩)とを組み合わせて使用することもできる。したがって、例えば、炭酸ナトリウム、更には炭酸ナトリウムよりも溶解度の小さい重曹の場合、Ca型ベントナイトの濃度が高く活性化させることはできるが膨潤抑制する濃度まで重曹を溶解することができない場合は、溶解度の大きい活性効果がない塩の併用で膨潤を抑制する方法も考えられる。
【0046】
アルカリ金属塩がイオン交換剤として機能する塩である場合は、粉体として供給するベントナイトをCa型ベントナイトとすると、当該Ca型ベントナイトが地盤中においてNa型ベントナイトに改質されると共に、イオン交換反応でアルカリ金属塩の濃度が低下するため、泥水として供給したベントナイトが膨潤化されやすくなる。しかも、Ca型ベントナイトの粉体はNa型ベントナイトの粉末よりも膨潤性が小さく水中への分散性が高いため、地盤中での分散問題も緩和される可能性がある。
【実施例
【0047】
次に、本発明の実施例について説明する。
(泥水の粘性に及ぼすアルカリ金属塩濃度とNa型ベントナイト濃度との関係)
アルカリ金属塩を含む水溶液にNa型ベントナイトを添加すると、浸透圧の影響でNa型ベントナイトの膨潤が抑制され、故に高濃度の泥水を作液することができる。このことを明らかにするために、アルカリ金属塩を含む高濃度Na型ベントナイト泥水の作液直後及び経時における粘度を測定した。
【0048】
この試験においては、アルカリ金属塩として炭酸ナトリウムを使用した。炭酸ナトリウムは、Na型ベントナイト量の7.5~15(w/w)%溶解させて水溶液とした。この水溶液にNa型ベントナイトを40~70(w/v)%添加、撹拌して泥水とした。この泥水について、ファンネル粘度計で経時的に粘性を計測した。なお、泥水として使用可能な粘性条件は、60秒以下がより好ましく、40秒以下が特に好ましい。各種条件及び結果を表1に示した。
【0049】
【表1】
【0050】
炭酸ナトリウム量が多くなるに従い粘度が小さくなっていることから、浸透圧の影響で膨潤が抑圧されていることが分かる。泥水の作液直後から徐々に膨潤し粘性が大きくなる現象が見受けられるが、これはNa型ベントナイト及び炭酸ナトリウム溶解水の浸透平衡時間の影響と考えられ、炭酸ナトリウム溶解濃度が高いほど影響は小さくなる。したがって、作液から施工までに時間がかかる場合、例えば1時間以上かかる場合は、炭酸ナトリウム量を多くしておくのが好ましい。
【0051】
表1からアルカリ金属塩を使用すれば高濃度Na型ベントナイト泥水の作液が可能であることが分かる。また、作液から数時間経過しても使用できる泥水としては、Na型ベントナイト配合量が40(w/v)%においては炭酸ナトリウムがNa型ベントナイト量の7.5(w/w)%以上、50(w/v)%においては炭酸ナトリウムがNa型ベントナイト量の9(w/w)%以上、60(w/v)%では10(w/w)%以上であると好ましいことが分かる。
【0052】
(泥水の希釈率とブリージングとの関係)
アルカリ金属塩の浸透圧の影響でNa型ベントナイトの膨潤が抑制されている泥水が、地盤中の地下水で希釈されることにより泥水中のNa型ベントナイトの膨潤が復活することを明らかにするために、膨潤が抑制されているNa型ベントナイト泥水の希釈とブリージング率との関係の測定試験を行った。
【0053】
この試験においては、炭酸ナトリウムで膨潤を抑制した50(w/v)%のNa型ベントナイト泥水を水で1~6倍に希釈し、24時間後の泥水のブリージング率の測定を行った。各種条件及び結果を表2に示した。また、泥水を地盤中で混合撹拌したときに地下水で希釈された泥水の想定配合でブリージング試験を実施した。各種条件及び結果を表3に示した。
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
表2から、希釈倍率が大きくなることでブリージング率が0となることから、希釈により膨潤が復活していることが分かる。
【0057】
表3から、Na型ベントナイト濃度が同じである場合、炭酸ナトリウム濃度が低くなるほどブリージング率は小さくなる傾向にあり膨潤性が復活していることが分かる。このことは、希釈前の泥水中の炭酸ナトリウム濃度を低くしておけば、膨潤の回復が大きくなることを意味する。また、泥水の炭酸ナトリウム濃度が高くても、地下水の長期間通水で炭酸ナトリウムだけが流亡して濃度が低くなるためNa型ベントナイトの膨潤性はさらに復活すると考えられる。
【0058】
(アルカリ金属塩を含む高濃度Na型ベントナイト泥水使用時の遮水性試験)
アルカリ金属塩を含む高濃度Na型ベントナイト泥水を使用した遮水壁が通常のNa型ベントナイト泥水使用の遮水壁と遮水性能に差がないことを明らかにするために、高濃度Na型ベントナイト泥水使用の試料土及び通常のNa型ベントナイト泥水使用の試料土について透水試験を行ない、遮水性能を比較した。
【0059】
この試験においては、地盤の単位体積当たりに使用する泥水量及びNa型ベントナイト量が同じとなるように試料土を作製した。試料土の配合条件を表4に、透水試験結果を表5に示した。
【0060】
なお、通常のNa型ベントナイト泥水(濃度:5w/v%)及びアルカリ金属塩を含む高濃度Na型ベントナイト泥水(濃度:50w/v%)は、水飽和地盤1mに100~140L、Na型ベントナイト総量が100~140kgとなるように試料土を作製した。海水混入地盤では、飽和水として海水混入水(海水濃度:25%、50%)を使用した。また、透水試験は、表4の配合に基づいて作製した試料土に対して、水又は海水混入水(海水濃度:25%、50%)を通水して実施した。
【0061】
【表4】
【0062】
【表5】
【0063】
通常地盤(海水濃度0%)ではほぼ同じ透水係数を示し、遮水性能に問題ないことが分かった。また、海水混入地盤においては、通常のNa型ベントナイト泥水(濃度:5w/v%)配合よりアルカリ金属塩を含む高濃度Na型ベントナイト泥水の方が低い透水係数を示し、遮水性能が高いことが分かった。
【0064】
(アルカリ金属塩を含む高濃度Na型ベントナイト泥水使用海水混入地盤の遮水性についての試験)
海水混入地盤に対してはアルカリ金属塩を含む高濃度Na型ベントナイト泥水が通常のNa型ベントナイト泥水よりも高い遮水性能を示す原因を明らかにするために、水と海水混入水とでそれぞれ泥水を希釈し、ブリージングを測定する試験を行った。
【0065】
試料土作製時に地盤の飽和水によって希釈される倍率が4~5倍であることから、この試験においては、希釈倍率を4~5倍で希釈したベントナイト泥水のブリージングを測定することとした。水による希釈後のブリージング測定結果を表6に、海水混入水による希釈後のブリージング測定結果を表7に示した。
【0066】
【表6】
【0067】
【表7】
【0068】
泥水濃度が50w/v%のアルカリ金属塩を含む高濃度Na型ベントナイト泥水が地盤中で4~5倍希釈されると泥水濃度が10.8~8.5w/v%(80~110kg/m)になる。この濃度で炭酸ソーダ、海水が混じっていない状態では、膨潤しておりブリージング率が0である。炭酸ソーダ濃度が変わらず56~57kg/mあるときは膨潤が抑制され、ブリージング率が72~77%となる。
【0069】
地盤混合時に4~5倍希釈された泥水のブリージング率は、25%海水混入水で41~44%、50%海水混入水で60~68%、100%海水で66~72%となる。いま、地盤中での希釈倍率を4.5倍とし、ブリージング率から算出される見掛けの体積を希釈泥水中のベントナイトの膨潤体積と考えた場合、希釈される過程での体積変化は、25%海水混入水での希釈で2.2倍、50%海水混入水で1.4倍、100%海水で1.2倍となり、体積が増加する。
【0070】
すなわち、アルカリ金属塩を含む高濃度Na型ベントナイト泥水中のベントナイト粒子は過剰塩で膨潤が抑制されており、海水混入地盤においては希釈される過程で膨潤し土粒子間隙を閉塞する。一方、通常泥水中のベントナイト粒子はすでに膨潤している。いま、地盤中での希釈倍率を4.5倍とし、ブリージング率から算出される見掛けの体積を希釈泥水中のベントナイトの膨潤体積と考えた場合、希釈される過程での体積変化は、25%海水混入水で0.57倍、50%海水混入水で0.36倍、100%海水で0.31倍となり、体積減少する。すなわち、通常のNa型ベントナイト泥水中の膨潤したベントナイト粒子は、海水混入地盤においては希釈される過程で収縮するため土粒子間隙に隙間ができると考えられる。これらのことが海水混入地盤に対してアルカリ金属塩を含む高濃度Na型ベントナイト泥水が通常のNa型ベントナイト泥水より高い遮水性能を示す原因と考えられる。
【0071】
また、希釈率が同じでも海水混入割合によって塩濃度が変わるので膨潤体積増加量が異なることが遮水性能の差になり得ると考えられる。
【0072】
さらに、アルカリ金属塩を含む高濃度Na型ベントナイト泥水中の炭酸ソーダにより膨潤を抑制する海水中のアルカリ土類金属イオン(Ca、Mg)が不溶化していることも遮水性を向上させる一要因と考えられる。
【0073】
(泥水の粘性に及ぼすアルカリ金属塩濃度とCa型ベントナイト濃度との関係)
Ca型ベントナイトを活性化させるアルカリ金属塩を活性反応に必要な量以上含む水溶液にCa型ベントナイトを添加すると、Ca型ベントナイトは活性化剤により改質され活性化Naベントナイトになるとともに、活性化剤として使用されなかったアルカリ金属塩の浸透圧の影響で活性Na型ベントナイトの膨潤が抑制され、高濃度の活性Na型ベントナイト泥水を作液できることを明らかにするために、Ca型ベントナイトの活性剤として機能するアルカリ金属塩を活性反応必要量以上含む高濃度Ca型ベントナイト泥水の粘性を経時的に測定した。
【0074】
この試験においては、Ca型ベントナイトの活性化剤として作用する炭酸ナトリウムをアルカリ金属塩として使用した。このアルカリ金属塩はCa型ベントナイト量の12.5~22(w/w)%溶解した水溶液とし、この水溶液にCa型ベントナイトを40~60(w/v)%添加、撹拌して泥水を作液した。この泥水について、作液直後及び経時における粘性をファンネル粘度計で計測した。なお、泥水として使用可能な粘性条件は60秒以下が好ましく、40秒以下がより好ましい。各種条件及び結果を表8に示した。
【0075】
【表8】
【0076】
炭酸ナトリウム量が多くなるに従い粘度が小さくなっていることから、浸透圧の影響で膨潤が抑圧されていることが分かる。また、泥水作液直後から徐々に膨潤し粘性が大きくなる現象が見受けられるが、これはCa型ベントナイト及び炭酸ナトリウムの活性化反応と反応後の炭酸ソーダ溶解水の浸透平衡時間の影響と考えられ、炭酸ナトリウム溶解濃度が高いほど影響は小さくなる。したがって、作液から施工までに時間がかかる場合、例えば1時間以上かかる場合は、炭酸ナトリウム量を多くするのが好ましい。
【0077】
表8から次のことが分かる。すなわち、アルカリ金属塩として炭酸ソーダを使用したアルカリ金属塩を含む高濃度活性Na型ベントナイト泥水は、作液可能である。また、作液から数時間経過しても使用できる泥水としては、Ca型ベントナイト配合量が40(w/v)%においては炭酸ナトリウムがCa型ベントナイト量の12.5(w/w)%以上、50(w/v)%においては炭酸ナトリウムがCa型ベントナイト量の14(w/w)%以上であるのが好ましい。
【0078】
(アルカリ金属塩を含む高濃度活性Na型ベントナイト泥水の希釈率とブリージングとの関係)
アルカリ金属塩濃度がCa型ベントナイトの活性化反応に必要な量以上が存在するとき、アルカリ金属塩の浸透圧の影響で活性Na型ベントナイトの膨潤が、Na型ベントナイト泥水と同じように抑制される。そこで、次に、この泥水が地盤中の地下水で希釈されことにより泥水中の活性Na型ベントナイトの膨潤が復活することを明らかにするため、膨潤が抑制されている活性Na型ベントナイト泥水の希釈とブリージング率との関係の測定試験を行った。
【0079】
この試験においては、炭酸ナトリウムで膨潤を抑制したアルカリ金属塩を含む50(w/v)%活性Na型ベントナイト泥水を水で1~6倍に希釈し、24時間後のブリージング測定を行った。各種条件及び結果を表9に示した。
【0080】
【表9】
【0081】
表9から、希釈倍率が大きくなることでブリージング率が0となることから、希釈により膨潤が復活していることが分かる。
【0082】
(アルカリ金属塩を含む高濃度活性Na型ベントナイト泥水使用時の遮水性試験)
アルカリ金属塩を含む高濃度活性Na型ベントナイト泥水を使用した遮水壁が通常のNa型ベントナイト泥水使用の遮水壁と遮水性能に差がないことを明らかにするために、アルカリ金属塩を含む高濃度活性Na型ベントナイト泥水使用の試料土と通常のNa型ベントナイト泥水使用の試料土とについて透水試験を行ない、遮水性能を比較した。
【0083】
この試験においては、地盤の単位体積当たりに使用する泥水量及びベントナイト量が同じとなるように試料土を作製した。試料土の配合条件を表10に、透水試験結果を表11に示した。
【0084】
なお、通常のNa型ベントナイト泥水(濃度:5w/v%)及びアルカリ金属塩を含む高濃度活性Na型ベントナイト泥水(濃度:50w/v%)が水飽和地盤1mに100~140L、Na型ベントナイト総量が100~140kgとなる試料土配合とした。
【0085】
また、海水混入地盤では飽和水として海水混入水(海水濃度:25%、50%)を使用した。さらに、表10の配合に基づいて作製した試料土に対して、水又は海水混入水(海水濃度:25%、50%)を通水して透水試験を実施した。
【0086】
【表10】
【0087】
【表11】
【0088】
通常地盤(海水濃度0%)ではほぼ同じ透水係数を示しており、遮水性能に問題ないことが分かる。また、海水混入地盤においては、通常のNa型ベントナイト泥水(濃度:5w/v%)配合よりアルカリ金属塩を含む高濃度活性Na型ベントナイト泥水の方が低い透水係数を示しており、遮水性能が高いことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、遮水壁の構築方法として利用可能である。