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特許7388986医療品、医薬品または化粧品の用途の対象物を無菌包装するための包装材および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】医療品、医薬品または化粧品の用途の対象物を無菌包装するための包装材および方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20231121BHJP
   B32B 7/12 20060101ALI20231121BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20231121BHJP
   B32B 27/12 20060101ALI20231121BHJP
   A61B 50/00 20160101ALI20231121BHJP
【FI】
B65D65/40 D
B32B7/12
B32B27/00 H
B32B27/12
A61B50/00
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020110777
(22)【出願日】2020-06-26
(65)【公開番号】P2021006476
(43)【公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】19183002
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】323000376
【氏名又は名称】ショット ファーマ アクチェンゲゼルシャフト ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト アウフ アクチェン
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT Pharma AG&Co.KGaA
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr.10,55122 Mainz,Germany
(73)【特許権者】
【識別番号】323001797
【氏名又は名称】ショット ファーマ シュヴァイツ アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT Pharma Schweiz AG
【住所又は居所原語表記】St. Josefen-Strasse 20, 9000 St. Gallen, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ヴォルフ
(72)【発明者】
【氏名】グレゴア フリッツ ドイチュレ
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー ルパートゥス
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-228284(JP,A)
【文献】特表2018-516209(JP,A)
【文献】特開2016-061671(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0016708(US,A1)
【文献】特開2018-203333(JP,A)
【文献】特開2017-111017(JP,A)
【文献】特開2002-74332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/40
B65D 77/20
B32B 7/12
B32B 27/00
B32B 27/12
A61B 50/00
B65B 7/28
B65B 51/10
B65B 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに結合した第一のウェブおよび第二のウェブからの少なくとも1個のバッグを含む、医療品、医薬品または化粧品の用途の対象物を無菌包装するための包装材において、
- 第一のウェブ(1)が、選択的透過性不織布(3)から成り、
- 第二のウェブ(2)が、少なくとも3個の層を有する貼り合わせフィルムから成り、ここで、第一の層(4)が、前記バッグの外側に配置されたポリマーフィルムであり、第二の層(5)が、貼り合わせ接着剤であり、第三の層(6,7)が、前記バッグの内側に配置されたポリマーフィルムであり、ここで、第一の層(4)の前記ポリマーが、第三の層(6,7)のシール開始温度よりも少なくとも20℃高い融点を有し、
- 第二のウェブ(2)の層のうちの少なくとも1個が、1種以上の顔料を含有し、
- シールシームが、透過光のもと撮影され、かつコントラスト正規化された8ビットの濃淡階調画像において、50~200の濃淡値範囲で写され、
- 前記シールシームが、拡散反射のもと2°の観察者によりDIN5033-1:2009-5に従って測定された場合に10%~40%の透過度τvisを有する、
ことを特徴とする包装材。
【請求項2】
第二のウェブ(2)について、第一の層(4)が、ポリエステルフィルムまたはポリアミドフィルムであり、第三の層(6,7)が、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリエステルのホモポリマーまたはコポリマーからのフィルムであることを特徴とする、請求項1記載の包装材。
【請求項3】
第一のウェブ(1)の選択的透過性不織布(3)が、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)またはポリエチレンテレフタレート(PET)からの微細繊維不織布であることを特徴とする、請求項1または2記載の包装材。
【請求項4】
第二のウェブ(2)の第三の層(5)のポリエチレンが、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)または直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の包装材。
【請求項5】
第二のウェブ(2)の第一の層(4)のポリエステルフィルムまたはポリアミドフィルムが、顔料不含であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の包装材。
【請求項6】
第二のウェブ(2)の第一の層(4)のポリエステルフィルムが、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリブチレンテレフタレート(PBT)から成ることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の包装材。
【請求項7】
前記シールシームが、透過光のもと撮影され、かつコントラスト正規化された8ビットの濃淡階調画像において、前記シールシームを囲む領域の濃淡値よりも少なくとも30単位高い濃淡値を有することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の包装材。
【請求項8】
バッグ形成のための前記バッグのウェブ(1,2)の結合が、シールまたは接着により行われ、充填された前記バッグの密閉が、シールシームにより行われることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の包装材。
【請求項9】
前記バッグの前記シールシームが、均質な着色を有することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の包装材。
【請求項10】
前記バッグの前記シールシームが、DIN EN868-5:2009別紙Dに従って測定された場合に少なくとも20N/15mmのシールシーム強度を有することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の包装材。
【請求項11】
DIN EN14477:2004に従って100mm/分の試験速度および0.8mmの先端径で測定された前記バッグの第一のウェブ(1)の突刺強度が、少なくとも10Nであり、かつ/または前記バッグの第二のウェブ(2)の突刺強度が、少なくとも4.5Nであることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の包装材。
【請求項12】
前記バッグ内に、タブが、任意でその内部に配置された保持体とともに、またはトレイが、対象物を収容すべく配置されていることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の包装材。
【請求項13】
前記タブまたはトレイが、選択的透過性不織布を用いて、シールまたは接着により密閉されていることを特徴とする、請求項12記載の包装材。
【請求項14】
前記バッグが、1個以上のさらなるバッグにより封入されていることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の包装材。
【請求項15】
拡散反射のもと2°の観察者によりDIN5033-1:2009-5に従って測定される前記シールシームおよび第一のウェブ(1)の透過度τvisが、30~75パーセントポイントの差を有することを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載の包装材。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか1項記載の包装材が使用されることを特徴とする、医療品、医薬品または化粧品の用途の対象物を無菌包装するための方法。
【請求項17】
選択的透過性不織布(3)からの第一のウェブ(1)と、少なくとも3個の層を有する貼り合わせフィルムから成り、ここで、第一の層(4)が、バッグの外側に配置されたポリマーフィルムであり、第二の層(5)が、貼り合わせ接着剤であり、第三の層(6,7)が、バッグの内側に配置されたポリマーフィルムであり、ここで、第一の層(4)のポリマーが、第三の層(6,7)のシール開始温度よりも少なくとも20℃高い融点を有し、かつここで、第二のウェブ(2)の層のうちの少なくとも1個が、1種以上の顔料を含有する、第一のウェブ(1)と結合した第二のウェブ(2)とからのバッグにおけるシールシームを制御する方法であって、
- 前記シールシームが、透過光のもと撮影され、かつコントラスト正規化された8ビットの濃淡階調画像において、50~200の濃淡値範囲で写され、前記シールシームが、拡散反射のもと2°の観察者によりDIN5033-1:2009-5に従って測定された場合に10%~40%の透過度τvisを有するように、前記バッグのウェブを用意する工程、
- 前記シールシームを透過光のもとカメラシステムで撮影して8ビットの濃淡階調画像を生成し、それをコントラスト正規化する工程、
- 前記シールシームの濃淡値における不均一性について、コントラスト正規化された8ビットの濃淡階調画像を評価する工程
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療品、医薬品または化粧品の用途の対象物、殊に、無菌の医薬品用一次包装材、例えば、バイアル、アンプル、シリンジまたはカートリッジを無菌で保管および輸送するための包装材、ならびに包装する方法に関する。
【0002】
従来技術
医薬品用一次包装材、例えば、バイアル、アンプル、シリンジ、カートリッジおよびシリンジは、充填に際して、メーカーから製薬会社へと、一般的に無菌で、いわゆるタブおよびトレイに包装されて搬入される。これらのタブは、たいていの場合、多数の一次包装材を支える保持体、いわゆるネストと、保持体が挿入される槽または皿とから成る。これらのトレイでは、多数の一次包装材がトレイに直接挿入される。ここで通常、タブおよびトレイは、DuPont社のTyvek(登録商標)という商標名で知られる、フラッシュ紡糸法で製造された高密度ポリエチレン(HDPE)製微細繊維不織布により密閉されている。Tyvek(登録商標)不織布は選択的透過性を示すため、タブまたはトレイ内部は、密閉された状態でも、微生物バリアを生成しながら、エチレンオキシドまたは蒸気により無菌化することができる。無菌化の前に、タブおよびトレイは、一般的に1個または2個のバッグにより封入される。
【0003】
製薬会社において、無菌の一次包装材は、管理された無菌条件のもと開梱され、充填される。その際、より高いクラスのクリーンルームクラスからより低いクラスのクリーンルームクラスに移行する場合、いわゆる殺菌工程が実施される。これらは、包装層、例えばバッグの除去であってもよいが、特に、電子ビームによる、過酸化水素による、またはアルコール溶液での拭き取りによる生物学的な浄化であってもよい。Tyvek(登録商標)シールフィルムが除去され、続いて一次包装材への有効医薬成分の詰め替えが行われる無菌領域にタブまたはトレイが送られる前に、まずさらなる浄化工程が行われる。これは、タブまたはトレイの外側の無菌性を保証することができないため、必要である。
【0004】
バッグとは、一般的に、注入口を除いて、3つの側面のうちの少なくとも1つが、シール、溶接または接着されていないと、すなわち、ハーフチューブから、または折り畳まれたフラットフィルムもしくはフルチューブから製造されたサイドシームバッグまたはボトムシームバッグであると定義される。それに対して、一般的な定義において、パウチは、2個または複数個の別個のフィルムウェブから製造されるため、3つの側面すべてに溶接シームもしくはシールシームまたは接着結合部を有する。よって、密閉されたパウチは、すべての面に、溶接、シールまたは接着の結合部を有する。本願の枠組みにおいて、総称的な上位概念としての「バッグ」という用語は、バッグとしても、パウチとしても使用される。
【0005】
バッグの包装材の無菌性を保証できない理由は、シールシームの稠密性および耐久性にあるとされる。製造におけるバッグのシールおよび充填後のバッグの引き続くシールのどちらにおいても、最適なパラメーター外の下側シールまたは上側シールと称されるシールにより引き起こされる様々な欠陥が、シールシームにおいて生じ得る。下側シールにおいて、層は、十分な温度、接触圧力またはシール時間がないことから十分には結合されず、そのため、形成されるシールシームは、僅かな接着性しか有しない。生じるエラーパターンは、シールシームにおける分離、またはチャネルおよびキャビティの形成である。
【0006】
それに対して、上側シールにおいては、温度、接触圧力またはシール時間が高過ぎることにより、ピンホールと称される小さな孔がシールシーム内に生じ、完全に溶融したポリマーを脇へずらし、それにより薄過ぎるシールシームが残り、これがさらに、残りのフィルムへの移行領域においてなおもより薄くなり得るか、または極端な場合には、ポリマーが熱により損傷する。
【0007】
製造プロセスの実施中におけるシールシームの検査は、シールシームの通常のカメラ検査においてフィルム側からでは欠陥が不十分にしか認識されないため、十分に可能ではない。結晶性Tyvek(登録商標)不織布は、シールシームの領域におけるシールにて溶融し、それによりその白色を失うため、透明なシールシームおよびその欠陥箇所を低いコントラストにより光学的に認識することは、ほぼ不可能である。
【0008】
課題
本発明は、従来技術のこれらの欠点を克服するべきである。殊に、内容物の無菌性をしっかりと確実に保証する包装材を提供し、それにより、製薬会社におけるさらなる無菌化工程が必要なくなることが望ましい。
【0009】
さらなる態様では、シールシーム瑕疵の検知改善が可能になることが望ましい。
【0010】
発明の説明
この課題は、互いに結合した第一のウェブおよび第二のウェブからの少なくとも1個のバッグを含む、医療品、医薬品または化粧品の用途の対象物を無菌包装するための包装材において、第一のウェブが、選択的透過性不織布から成り、第二のウェブが、少なくとも3個の層を有する貼り合わせフィルムから成り、ここで、第一の層が、バッグの外側に配置されたポリマーフィルムであり、第二の層が、貼り合わせ接着剤であり、第三の層が、バッグの内側に配置されたポリマーフィルムであり、ここで、第二のウェブの層のうちの少なくとも1個が、1種以上の顔料を含有することを特徴とする包装材により解決される。
【0011】
一実施形態において、第一の層のポリマーは、第三の層のシール開始温度よりも少なくとも20℃高い融点を有する。
【0012】
本願の枠組みにおいて、ポリマーの融点とは、20K/分の加熱速度での示差走査熱量測定(DSC)における第二の加熱サイクルの融解ピークのピーク最小値の温度であると理解される。本願の枠組みにおいて、ポリマーのシール開始温度とは、バッグの双方のウェブのシールの際に、DIN EN868-5:2009別紙Dに従って測定された場合に、少なくとも4N/15mmのシールシーム強度が達成される温度であると理解される。
【0013】
一実施形態において、シールシームは、透過光のもと撮影され、かつコントラスト正規化された8ビットの濃淡階調画像において、50~200の濃淡値範囲で写される。
【0014】
本願の枠組みにおいて、コントラスト正規化とは、画像の濃淡値スケールを8ビットスケールの0~255の全範囲に線形拡張し、コントラストが最大になることと理解される。gminおよびgmaxを写真の最小濃淡値および最大濃淡値と定義する場合、拡張された濃淡値スケールは、以下の式に従って計算される:
【数1】
【0015】
一実施形態において、シールシームは、拡散反射(Remission)のもと2°の観察者によりDIN5033-1:2009-5に従って測定された場合に10%~40%の透過度τvisを有する。また透過度τvisは、12%~38%、14%~36%、16%~34%、18%~32%、20%~30%、22%~28%または24%~26%であってもよい。
【0016】
一実施形態において、拡散反射のもと2°の観察者によりDIN5033-1:2009-5に従って測定されるシールシームおよび第一のウェブ(1)の透過度τvisは、30~75パーセントポイントの差を有する。この差は、35~70、40~65、45~60または50~55パーセントポイントであってもよい。
【0017】
一実施形態において、シールシームは、透過光のもと撮影され、かつコントラスト正規化された8ビットの濃淡階調画像において、シールシームを囲む領域の濃淡値よりも、少なくとも30単位、40単位、50単位、60単位、70単位、80単位、90単位または100単位高い濃淡値を有する。
【0018】
第二のウェブにおいて、第一の層は、ポリエステルフィルムまたはポリアミドフィルムであり、第三の層は、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリエステルのホモポリマーまたはコポリマーからのフィルムであることが好ましい。
【0019】
バッグのこの構造により、同じく複数の利点が得られる。第二のウェブを貼り合わせフィルムとして構成することにより、個々のフィルムの押出成形時に生じ得るピンホールによるバッグの漏れのリスクが低減される。使用されるフィルム層の間に施与される貼り合わせ接着剤層により、場合によって存在するピンホールが封止され、それにより、フィルムにおける漏出を排除することができる。
【0020】
殊に熱の導入がポリエステル側またはポリアミド側から行われる場合、外側のポリエステル層またはポリアミド層によりシールシーム端部領域が改善される。そのために、外側の第一のフィルム層は、融点が、内側の第三の層のシール開始温度よりも、少なくとも20℃、少なくとも25℃、少なくとも30℃、少なくとも35℃または少なくとも40℃高くてもよい。第一のフィルム層の融点は、例えば、少なくとも200℃、少なくとも210℃または少なくとも220℃であってもよい。よって、外部層は、シールにおいて一緒に溶融するのではなく、シール層として機能する内部層のみが融解する。それにより、不織布のシールされていない領域へのシールシームの移行部は、例えば、Tyvek(登録商標)不織布に対してシールされるHDPEからの一般的な単一のフィルム層よりも負荷がかなり少なくなる。それにより、シールシームにおけるTyvek(登録商標)層または不織布層の欠陥が低減される。さらに、不織布層がシールシームを通して完全に溶融し、それにより、シールシーム強度が向上した層の結合がより良好になり、シームが透明または半透明になる。とりわけ、ポリエステル層またはポリアミド層による貼り合わせ複合材により、バッグのフィルム側の突刺強度の向上もさらに達成することができる。
【0021】
1個以上のフィルム層を着色することにより、最終的にコントラストが改善され、下側シールおよび上側シールの双方の申し分ない検知が可能になる。シールシームが透明または半透明であるため、シームを透過光のもとカメラで調べることができる。着色によりコントラストがさらに向上されるとともに、カメラを包装材の白色不織布に向けると、シールシームが特に著しく目立つ。よって、透過光写真の濃淡階調分析において、シールシームのあらゆる欠陥をしっかりと検知し、バッグを選別することができる。検知可能な最小の欠陥箇所のサイズは、カメラシステムの解像度によってのみ制限されている。
【0022】
ここで本発明によると、使用すべき顔料は、量、粒径および色に応じて、透過光または入射光におけるシールシームおよびその欠陥箇所の光学検知にとって最適なシールシームの外観が生じるように選択すべきである。そのため、顔料の量、粒径および色は、コントラスト正規化された8ビットの濃淡階調写真において、シールシームが、50~200、60~190、70~180、80~170、90~160、100~150または110~140の濃淡階調スケール範囲で写されるように調整されることが好ましい。濃淡階調の値は、200未満、190未満、180未満、170未満、160未満、150未満であることが好ましい。それにより、シールされていない不織布層からの周囲領域よりも特に良好なコントラストを得ることができる。
【0023】
さらに、シールシームのために、殊に顔料の量および粒径により、拡散反射のもと2°の観察者によりDIN5033-1:2009-5に従って測定される透過度τvisも、10%~40%、12%~38%、14%~36%、16%~34%、18%~32%、20%~30%、22%~28%または24%~26%に調整してもよい。コントラストの向上と、それにより達成されるシールの曇りとの相互作用により、個々のシール欠陥の瑕疵写真を特に良好に検知することができる。シームにおける不均一なマット度は、シール要素の不均質な溶融挙動または不適切な接触圧力の兆候である。シールシームにおけるチャネルの形成も、これらがマットな周囲とは明らかに異なるため、同様に非常に良好に認識することができる。
【0024】
また、拡散反射のもと測定される透過度τvisを顔料のみで調整するのではなく、透過を同程度に低減させることのない、後方散乱光(zurueckgestreutem Licht)の割合を増加させ、それにより拡散反射のもと測定される透過度τvisを増加させる散乱添加剤をさらに使用することも有利であり得る。よって、透過光におけるシールシームの通過後に、画像のための光がより多く残り、またこのことが、可能なコントラストにとって都合が良い。それ自体が着色されていてもよいそのような散乱添加剤は、例えば欧州特許出願公開第0269324号明細書から、基本的に当業者に知られている。ここで、散乱添加剤は、顔料と同じ層(複数可)中で使用されても、またはそれとは別々に使用されてもよい。
【0025】
第二のウェブの第一の層のポリエステルフィルムまたはポリアミドフィルムは、顔料不含であることが好ましい。このことには、上側シールが特に良好に検知可能であるという利点がある。透明または半透明なポリエステル層またはポリアミド層は、最適なシール条件では一緒に溶融しない。上側シールの際に、その下にある、ポリエチレンおよび/または貼り合わせ接着剤の着色層がずらされると、透過光でのカメラ写真において、両側が透明な領域により区切られた着色領域が、それ以外白色の外観の不織布内に生じる。
【0026】
第一のウェブの選択的透過性不織布は、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)またはポリエチレンテレフタレート(PET)からの微細繊維不織布であってもよい。例えば、本発明による目的には、DuPontのTyvek(登録商標)シリーズのHDPE不織布が適している。そのコーティングされていないタイプのもの(例えばTyvek(登録商標)1073B)が使用されることが好ましい。不織布の選択についての重要な条件は、その適合性があることであり、無菌化可能な微生物バリアを形成することができること、すなわち、微生物に対する遮断作用に関連した選択的透過性を有し、同時にエチレンオキシドまたは過酸化水素の蒸気のような無菌化媒体に対する透過性を有することである。
【0027】
第二のウェブの第三の層のポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリエステルであってもよい。ここで、ポリマーは、50%超が前述のモノマーから成るホモポリマーまたはコポリマーとして使用されてもよい。ここで、ポリマーは、シール性能を最適化するために、不織布のポリマーに相応して選択されることが好ましい。ここで、ポリマークラスを同等にするだけであっても、または同じポリマータイプさえ使用してもよい。
【0028】
第二のウェブの第三の層のポリエチレンは、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)もしくは直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、または50%超が前述のモノマーから成るそれらの各コポリマーであってもよい。これは、HDPE、MDPEまたはLDPEであることが好ましい。HDPEには、包装材が、エチレンオキシドまたは過酸化水素の蒸気に加えて、蒸気でも無菌化可能であるという利点がある。放射線による無菌化は、すべての変形形態において可能である。
【0029】
第二のウェブの第一の層のポリエステルフィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリブチレンテレフタレート(PBT)から成っていてもよい。第二のウェブの第一の層のポリアミドフィルムは、PA6、PA6.6またはPA12から成っていてもよい。これらにより、それぞれ良好な透明度で、バッグの良好な突刺強度が保証される。これらは、2つの観点で、包装材の保証可能な無菌性の所望の目的に寄与する。これらは、一方では、欠陥箇所による包装材表面全体の漏れ、および機械的負荷におけるフィルムの欠陥を防止し、他方では、包装材のシールシームにおける欠陥箇所の検知改善に寄与する。
【0030】
第二のウェブの第二の層の貼り合わせ接着剤は、ポリウレタン系(PUR)接着剤であることが好ましい。殊に、これは、非反応性PURホットメルト接着剤であることが好ましい。双方のフィルムの貼り合わせにより、一方では、フィルム全体における連続穴(ピンホール)がすでに回避される。さらに、個々のフィルムにおいて場合によって存在するピンホールは、PUR系貼り合わせ接着剤により特に効果的に封止される。貼り合わせ接着剤の施与量は、0.5~15g/mまたは1.0~12g/mまたは1.2~10g/mまたは1.4~8.0g/mまたは1.6~6.0g/mまたは1.8~5.0g/mまたは2.0~4.0g/mであってもよい。
【0031】
本発明の実施形態において、バッグ形成のためのバッグのウェブの結合は、シールまたは接着により行われて、充填されたバッグの密閉は、シールシームにより行われる。バッグの成形および充填されたバッグの密閉のどちらも、シールシームにより行われることが好ましい。このように、バッグの場合、シームのカメラ検査により透過光のもと稠密性を全面について調べることができる。さらに、シールシームは、接着結合よりも丈夫である。
【0032】
バッグのシールシームが、DIN EN868-5:2009別紙Dに従って測定された場合に、少なくとも20N/15mm、少なくとも22N/15mm、少なくとも25N/15mmまたは少なくとも30N/15mmのシールシーム強度を有することが極めて好ましい。
【0033】
DIN EN14477:2004に従って100mm/分の試験速度および0.8mmの先端径で測定されるバッグの第一のウェブの突刺強度は、少なくとも10N、少なくとも11N、少なくとも12N、少なくとも13Nまたは少なくとも14Nであることが好ましい。
【0034】
DIN EN14477:2004に従って100mm/分の試験速度および0.8mmの先端径で測定されるバッグの第二のウェブの突刺強度は、少なくとも4.5N、少なくとも5.0N、少なくとも5.5N、少なくとも6.0Nまたは少なくとも6.5Nであることが好ましい。
【0035】
本発明の一実施形態において、バッグの内部には、槽または皿の形状のタブが、対象物を収容すべく配置されている。タブ内には、保持体、いわゆるネストが配置されることが好ましい。任意で、ネストは、タブと強固に結合しており、好ましくは単一部品の構造物である。本発明の別の実施形態において、バッグの内部には、トレイが、対象物を収容すべく配置されている。多くの場合、多数の医薬品用一次包装材、例えば、バイアル、カートリッジまたはシリンジが、ネストまたはトレイ内に収容されて、安全に配置される。
【0036】
タブまたはトレイは、選択的透過性不織布を用いて、シールまたは接着により密閉されていることが極めて好ましい。これは、バッグの形成にも使用される同じ不織布であってもよい。ただし、選択的透過性に関して同じ特性を有するが、例えばタブまたはトレイの材料とのシールに良好に適した材料から成る別の不織布が使用されてもよい。
【0037】
本発明のさらなる実施形態において、バッグは、1個以上のさらなるバッグにより封入されている。好ましくはここで、バッグは、第一のバッグと同じ構造であり、好ましくは、単に相応してより大きく寸法取りされている。そのようにもたらされた包装材全体は、ますますクリーンな環境での段階的な開梱プロセスにおいて、内容物を雑菌混入なく製薬会社の使用場所または充填場所へと運ぶことに適している。よって、ここで、2個のバッグ封入包装材(Beutelumverpackungen)を有するシールされたタブまたはトレイからの包装材の場合、クラスCのクリーンルーム環境では、第一のバッグが開封され、クラスBでは、第二のバッグが開封され、クラスAでは、最後にタブまたはトレイが開封される。
【0038】
医療品、医薬品または化粧品の用途の対象物を無菌包装するための本発明による方法は、先に記載の包装材のうちの1つが使用される点で優れている。
【0039】
さらに、選択的透過性不織布からの第一のウェブと、少なくとも3個の層を有する貼り合わせフィルムから成り、ここで、第一の層が、バッグの外側に配置されたポリマーフィルムであり、第二の層が、貼り合わせ接着剤であり、第三の層が、バッグの内側に配置されたポリマーフィルムであり、ここで、第一の層のポリマーが、第三の層のシール開始温度よりも少なくとも20℃高い融点を有し、かつここで、第二のウェブの層のうちの少なくとも1個が、1種以上の顔料を含有する、第一のウェブと結合した第二のウェブとからのバッグにおけるシールシームを制御する方法であって、
- シールシームが、透過光のもと撮影され、かつコントラスト正規化された8ビットの濃淡階調画像において、50~200の濃淡値範囲で写され、シールシームが、拡散反射のもと2°の観察者によりDIN5033-1:2009-5に従って測定された場合に10%~40%の透過度τvisを有するように、バッグのウェブを用意する工程、
- シールシームを透過光のもとカメラシステムで撮影して8ビットの濃淡階調画像を生成し、それをコントラスト正規化する工程、
- シールシームの濃淡値における不均一性について、コントラスト正規化された8ビットの濃淡階調画像を評価する工程
を含む方法が、本発明によるものである。
【0040】
よって、本発明による包装材系により、上側シールおよび下側シールのどちらの場合でもシール欠陥のしっかりとした認識を可能にする光学制御を、すでに目視により、またカメラ検査システムにより自動化して確立することができる。それに応じて、シールシームに欠陥箇所を有するバッグすべての選別を行うことができる。さらに、シールシームの可能な最適化により、検知を改善するその透明度または半透明度のみならず、シールシーム強度の改善ももたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】実施例1のバッグの層構造を示す。
図2】実施例2のバッグの層構造を示す。
図3】実施例1の不良なシールシームの評価プロファイルを示す。
図4】実施例1の良好なシールシームの評価プロファイルを示す。
【0042】
図1および2において、層厚の記載は、縮尺通りではなく、おおよそ近似的に示されているだけである。
【0043】
実施例
以下、本発明について実施例を用いて説明する。実施例は、本発明による実施形態の例示的な説明のためにのみ用いられるのであって、限定するものとして理解されることはない。
【0044】
実施例1
第一のウェブ(1)および第二のウェブ(2)からのバッグを製造した。第一のウェブ(1)は、約180μmの厚さを有するDuPont社のコーティングされていないTyvek(登録商標)1073BタイプのHDPE不織布(3)から成っていた。第二のウェブ(2)は、厚さ12μmのPETフィルムからの外側に配置された第一の層(4)と、PUR系ホットメルト貼り合わせ接着剤からの2.5g/mの第二の層(5)により第一の層と結合したLDPEからの厚さ50μmの第三の層(6)とから成っていた。LDPEからの第三の層(6)は顔料で青色に着色されており、別の2つの層は無色透明であった。この層構造は、図1に図示されている。
【0045】
バッグの形成を、幅3mm、6mmまたは10mmの3個のシールシームを、Accu Seal6300-25-Xインパルスシーラーにより、180~190℃、5.5~6barの圧力および3~4秒のシール時間で取り付けることにより行った。熱の導入を、ポリエステルフィルム側から片側で行った。充填されたバッグを密閉するために、さらなるシールシームが設けられており、それにより、全面でシールされた包装材が存在する。シールにおいて、不織布層が透明に溶融し、かつ青色のLDPE層がはっきりと認識可能なシールシームを得た。シールシームをカメラ検査にかけ、その際、透過光のもとシールシームをカメラで撮影し、続いて、写真を分析した。そのために、正規化された濃淡階調図において、評価ソフトウェアにより、シールシームについて直角にプロファイルプロットを作成した。図3および図4にはそれぞれ、例えば、シールシームの個々のプロファイル部分が示されている。ここで、グレースケール値を、調べる距離にわたりプロットする。製造プロセスにおけるシールシームの判断については、当然のことながらソフトウェアによりシールシーム全体の画像を評価する。
【0046】
図3には、欠陥のあるシームが図示されている。明るいピークで認識可能なシーム端部において透明な箇所が明白である。ここでは、不適切な温度および/または不適切なシールジョー圧により、着色されたLDPEシール層が完全に溶けてなくなっており、そのため、端部は、無色透明なPETフィルムによってのみ形成され、透過光のもとではグレースケール値の白色範囲で見られる。
【0047】
それに対して、図4は、曲線図において理想的な長方形の曲線に非常に近い申し分ないシールシームを示す。
【0048】
実施例2
第一のウェブ(1)および第二のウェブ(2)からのバッグを製造した。第一のウェブ(1)は、約180μmの厚さを有するDuPont社のコーティングされていないTyvek(登録商標)1073BタイプのHDPE不織布(3)から成っていた。第二のウェブ(2)は、厚さ12μmのPETフィルムからの外側に配置された第一の層(4)と、PUR系貼り合わせ接着剤からの2.5g/mの第二の層(5)により第一の層と結合したHDPEからの厚さ50μmの第三の層(7)とから成っていた。HDPEからの第三の層(6)は顔料で青色に着色されており、別の2つの層は無色透明であった。この層構造は、図2に図示されている。
【0049】
バッグの形成を、幅3mm、6mmおよび10mmの3個のシールシームを、Accu Seal6300-25-Xインパルスシーラーにより、180~185℃、5.7~6.2barの圧力および3.5~4.5秒のシール時間で取り付けることにより行った。熱の導入を、ポリエステルフィルム側から片側で行った。充填されたバッグを密閉するために、さらなるシールシームが設けられており、それにより、全面でシールされた包装材が存在する。シールにおいて、不織布層が透明に溶融し、かつ青色のHDPE層がはっきりと認識可能なシールシームを得た。実施例1のように、シールシームをカメラ検査にかけ、その際、透過光のもとシールシームをカメラで撮影し、続いて、写真を分析した。ここでも、シールシームは、はっきりと検知可能であり、欠陥箇所は、十分に認識可能であった。
【0050】
測定法
シールシーム強度を、DIN EN868-5:2009-09に従って求めた。試験用包装材料において、幅15mmおよび長さ5cmの5個の条片を切り出した。その際、試料をシールシームに対して直角に切り出した。さらに、条片を、試験用シーム全体にわたって、ただし外縁に対して2cmの最低距離をあけて切り出した。続いて、シールシームを包装材の内側に向けた後に、各条片に、シールシームに平行して3cmの距離を描き入れた。これらは、固定用マーキングとして用いた。下部で条片端部を完全に下側クランプに固定した。シールシームは、上側クランプ端部に平行であった。試験片の別の端部を上側クランプに固定し、それにより、描き入れたマーキングが上側クランプのすぐ下端にあり、かつ試験片にまだ応力がかからないようにした。その後、試験サンプルの欠陥が観察されるまで、フラッグ(Faehnchen)を補助せずに200mm/分の試験速度で試験を実施した。
【0051】
突刺強度をDIN EN14477:2004に従って求めた。すべてのサンプルを、少なくとも48時間にわたり23℃/相対湿度50%の気候で貯蔵した。続いて、これらをこの気候で試験した。試料1個ごとに、10回の個別測定を考慮した。これらのフィルムを、試験装置内で、内側を上に向けて固定した。直径0.8mmのプローブを、欠陥が生じるまでフィルムに100mm/分の試験速度で押し込んだ。
【0052】
拡散反射のもと2°の観察者によりDIN5033-1:2009-5に従って測定される透過度τvisの測定は、拡散反射モードで使用され、360nm~780nmの範囲で記録する、60mmの積分球と11°未満の試料ホルダーとを備えるPerkin Elmer社の分光計、Lambda900タイプを用いて行った。標準光源D65を用いて照明を行った。評価を、2°の観察者によりDIN5033-1:2009-5に従って実施した。
【0053】
シールシーム強度
先に記載のように、シールシーム強度を測定するために、形成されたバッグから、シールシームの試験条片をすべての面で取り出した。ここで、表に記載の測定値はそれぞれ、測定された最小値を示す。
【0054】
そのようにして得られた試験条片を先に記載のように測定した。比較例としては、DuPontのウェブTyvek(登録商標)1073B(130~180μm)とウェブHDPE(80μm)とを有する一般的な実施形態におけるバッグを用いた。測定結果は、表1に記載されている。
【0055】
【表1】
【0056】
測定された値は、積層ウェブを有する本発明によるバッグの場合、Tyvek(登録商標)1073BとHDPEとを有する従来の変形形態よりも、平均で約2~3倍大きなシールシーム強度を示した。
【0057】
突刺強度
実施例1および2、ならびに比較例1および2のバッグから、双方のウェブの試料を取り出し、先に記載の方法により測定した。ここで、比較例1は、DuPontのウェブTyvek(登録商標)1073BとウェブHDPEとを有するバッグに相応し、比較例2は、ポリプロピレン微細繊維不織布からのウェブ(88~98g/m)と、ポリエステルフィルム(12μm)およびポリプロピレンフィルム(38μm)の積層体からのウェブとを有するバッグに相応する。これらの結果は、表2にまとめられている。
【0058】
【表2】
【0059】
測定された値は、本発明によるバッグ層構造により、シールシーム欠陥箇所の検知改善が可能になるのみならず、同時に包装材がさらに丈夫になることも示す。
【0060】
透過度τvis
実施例1および2のバッグについて、シールシーム、ならびにウェブ(1)および(2)の双方をそれぞれ、先に記載のように拡散反射のもと測定した。ここで、ウェブの試料を、調べるシールシーム箇所の位置から10mm横方向に距離をあけて採取した。
【0061】
【表3】
【0062】
実施例3
実施例1に記載のバッグ構造を用いて、Tyvek(登録商標)1073B層により密閉された槽内のネストに貯蔵されたバイアルを、自動包装ラインで包装した。ここで、密閉された槽を2個の封入バッグで包装した。ここで、バッグのシールを、取り付けられたカメラ検査システムを用いて、Tyvek(登録商標)側に向いた透過光のもと制御した。ここでも、シールシームは、はっきりと検知可能であり、欠陥箇所は、十分に認識可能であった。
図1
図2
図3
図4