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特許7388989電子機器、可搬型記憶媒体、および、アダプター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】電子機器、可搬型記憶媒体、および、アダプター
(51)【国際特許分類】
   H01H 3/02 20060101AFI20231121BHJP
   G06F 3/02 20060101ALI20231121BHJP
   H01H 19/14 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
H01H3/02 Z
G06F3/02 510
H01H19/14
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020116184
(22)【出願日】2020-07-06
(65)【公開番号】P2022014043
(43)【公開日】2022-01-19
【審査請求日】2022-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂田 真隆
(72)【発明者】
【氏名】石川 智章
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-031867(JP,A)
【文献】実開昭58-152003(JP,U)
【文献】特開2001-166858(JP,A)
【文献】特開2002-251243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 3/02
G06F 3/02
H01H 19/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部を備えた電子機器であって、
前記操作部は、
可動部と、
前記可動部に設けられ、外部機器のコネクタを接続可能な接続部と、
前記コネクタが前記接続部に未接続の場合に前記接続部を覆うカバー部と、
前記可動部に着脱可能に設けられるつまみ部と、
を有し、
前記操作部は、前記コネクタが前記接続部に接続された前記外部機器の少なくとも一部を利用して操作可能であり、
前記つまみ部は、前記可動部に装着された場合に、前記カバー部として兼用される、電子機器。
【請求項2】
操作部を備えた電子機器であって、
前記操作部は、
可動部と、
前記可動部に設けられ、外部機器のコネクタを接続可能な接続部と、
前記コネクタが前記接続部に未接続の場合に前記接続部を覆うカバー部と、
前記可動部に取り付けられ、前記接続部の一部を囲むつまみ部と、
を有し、
前記操作部は、前記コネクタが前記接続部に接続された前記外部機器の少なくとも一部を利用して操作可能であり、
前記カバー部は、前記つまみ部に着脱可能に設けられる、電子機器。
【請求項3】
回転型の操作つまみである操作部を備えた電子機器であって、
前記操作部は、
回転可能な可動部と、
前記可動部に設けられ、外部機器のコネクタを接続可能な接続部と、
前記可動部を含み、第1基板に支持される中空エンコーダと、
前記可動部に固定されるホルダと、
前記ホルダに保持され、前記接続部が配置される第2基板と、
前記第2基板と前記第1基板とを電気的に接続する導通部材と、
を有し、
前記操作部は、前記コネクタが前記接続部に接続された前記外部機器の少なくとも一部を利用して操作可能である、電子機器。
【請求項4】
前記可動部は、回転可能であり、
前記操作部は、回転型の操作つまみである、請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記外部機器は、可搬型記憶媒体である、請求項1からのいずれか1項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、可搬型記憶媒体、および、アダプターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばディスプレイオーディオ又はカーナビゲーション等の表示画面を有する電子機器が車両に搭載されている。このような電子機器においては、表示画面の周囲に配置される枠体部分(ベゼル)に、ボタン、ノブ、レバー、或いは、USBコネクタを接続する接続部等が配置されることがある。
【0003】
特許文献1には、ノブを備え、USBコネクタによりPCに自由に接続できるコントローラが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-251243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、上述したディスプレイオーディオ等の表示画面を備える電子機器においては、機器のサイズが大きくなることは抑制されつつ、表示画面が大きくされる傾向がある。この結果、ベゼルが小さくされ、ベゼルに設けることができるボタン等の数が制限される傾向がある。
【0006】
特許文献1の技術を利用して、ベゼルに設けられるUSBコネクタの接続部に、必要な時だけノブを有するコントローラを接続することが考えられる。このようにすれば、USBコネクタの接続部の多機能化を図れ、ノブ等を配置するスペースの省スペース化を図ることができる。しかしながら、当該手法では、コネクタの接続部に取り付ける機器を頻繁に変えたい場合等に、ユーザが煩わしく感じる虞がある。すなわち、省スペース化を図ることができる他の手法が望まれる。
【0007】
また、USBコネクタの接続部は、被水防止、および、静電気の影響の抑制を目的として、通常、カバーで覆われる。このカバーが設けられるために、コネクタの接続部は大きくなり易い傾向がある。すなわち、コネクタの接続部が設けられる場合でも省スペース化を図ることができる技術が望まれる。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑み、外部機器のコネクタと接続可能な接続部を、省スペース化を実現しつつ配置することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の電子機器は、操作部を備えた電子機器であって、前記操作部は、可動部と、前記可動部に設けられ、外部機器のコネクタを接続可能な接続部と、を有し、前記操作部は、前記コネクタが前記接続部に接続された前記外部機器の少なくとも一部を利用して操作可能である構成(第1の構成)になっている。
【0010】
上記第1の構成の電子機器において、前記操作部は、前記コネクタが前記接続部に未接続の場合に前記接続部を覆うカバー部を更に有する構成(第2の構成)であることが好ましい。
【0011】
上記第2の構成の電子機器において、前記操作部は、前記可動部に着脱可能に設けられるつまみ部を更に有し、前記つまみ部は、前記可動部に装着された場合に、前記カバー部として兼用される構成(第3の構成)であってよい。
【0012】
上記第2の構成の電子機器において、前記操作部は、前記可動部に取り付けられ、前記接続部の一部を囲むつまみ部を更に有し、前記カバー部は、前記つまみ部に着脱可能に設けられる構成(第4の構成)であってよい。
【0013】
上記第1から第4のいずれかの構成の電子機器において、前記可動部は、回転可能であり、前記操作部は、回転型の操作つまみである構成(第5の構成)が好ましい。
【0014】
上記第5の構成の電子機器において、前記操作部は、前記可動部を含み、第1基板に支持される中空エンコーダと、前記可動部に固定されるホルダと、前記ホルダに保持され、前記接続部が配置される第2基板と、前記第2基板と前記第1基板とを電気的に接続する導通部材と、を更に有する構成(第6の構成)であってよい。
【0015】
上記第1から第6のいずれかの構成の電子機器において、前記外部機器は、可搬型記憶媒体である構成(第7の構成)であってよい。
【0016】
上記目的を達成するために本発明の可搬型記憶媒体は、電子機器の操作部に設けられた接続部に接続可能な可搬型記憶媒体であって、前記接続部に接続されるコネクタと、前記コネクタを保持し、操作つまみを模した形状を有する本体部と、を備える構成(第8の構成)になっている。
【0017】
上記目的を達成するために本発明のアダプターは、電子機器の操作部に設けられた接続部に接続可能なアダプターであって、前記接続部に接続されるコネクタと、前記コネクタを保持し、可搬型記憶媒体を前記コネクタに電気的に接続可能に収容する本体部と、を備え、前記本体部は、操作つまみを模した形状を有する構成(第9の構成)になっている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、外部機器のコネクタと接続可能な接続部を、省スペース化を実現しつつ配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】電子機器の構成を説明するための概略平面図
図2】操作部の構成を示す概略断面図
図3】操作部に外部機器のコネクタが接続された状態を示す概略断面図
図4A】操作部に外部機器のコネクタを接続する手順を説明するための模式図
図4B】操作部に外部機器のコネクタを接続する手順を説明するための模式図
図5】可搬型記憶媒体の一例を示す概略斜視図
図6】アダプターの一例を示す概略斜視図
図7】第1変形例の操作部を示す概略断面図
図8】第2変形例の操作部を示す概略断面図
図9】第3変形例の操作部を示す概略断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図面においては、適宜、3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、鉛直方向(すなわち上下方向)を示し、+Z方向が上側であり、-Z方向が下側である。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向を指し、その一方向および逆方向を、それぞれ+X方向および-X方向とする。例えば図1において、+X方向が右側であり、-X方向が左側である。Y軸方向は、Z軸方向およびX軸方向の両方と直交する方向を指し、その一方向および逆方向を、それぞれ+Y方向および-Y方向とする。例えば図1において、+Y方向が手前側であり、-Y方向が奥側である。ただし、これらの方向は単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定する意図はない。
【0021】
<1.電子機器の概要>
図1は、本発明の実施形態に係る電子機器100の構成を説明するための概略平面図である。本実施形態の電子機器100は、車両に搭載される。すなわち、電子機器100は車載電子機器である。図1に示すように、電子機器100は、車両のダッシュボード110の所定位置に取り付けられる。本実施形態では、所定位置は、ダッシュボード110のX軸方向(左右方向)の中央部に位置する。すなわち、電子機器100は、運転席と助手席との左右方向間に位置する。
【0022】
なお、本発明の電子機器は、車両以外の移動体に搭載されてもよい。また、電子機器100を設ける位置については、本実施形態の構成から適宜変更されてよい。また、本発明の電子機器は、例えば家庭用又は事務用の電子機器であってもよい。
【0023】
図1に示すように、電子機器100は、表示パネル101と枠体102とを備える。表示パネル101は、例えば、液晶パネル又は有機ELパネルである。枠体102は、表示パネル101に対して+Y方向側に配置され、表示パネル101の外縁を覆う。枠体102は、表示パネル101を支持する機能を有する。枠体102は、例えば金属製又は樹脂製であってよい。
【0024】
詳細には、表示パネル101は、Y軸方向からの平面視において矩形状である。また、枠体102は、Y軸方向からの平面視において矩形環状である。ただし、これらの形状は適宜変更されてよい。表示パネル101は、好ましい形態として、タッチパネルを含む。ただし、タッチパネルは含まれなくてもよい。枠体102には、操作ボタン1および操作つまみ2が配置される。操作ボタン1および操作つまみ2の数は、それぞれ、単数でもよいが、本実施形態では複数である。電子機器100は、タッチパネル、操作ボタン1、および、操作つまみ2により操作可能に設けられる。
【0025】
本実施形態の電子機器100は、例えばディスプレイオーディオ又はナビゲーション装置等であってよい。
【0026】
<2.操作部>
(2-1.概要)
電子機器100は、操作部10を備える。操作部10は、電子機器100の操作に使用されるだけでなく、外部機器を接続可能に設けられる。すなわち、操作部10は、外部機器を接続するための構造を備える。外部機器は、例えば、USBコネクタを有する機器である。外部機器は、例えば、USBメモリやUSBケーブルである。外部機器がUSBケーブルである場合、電子機器100は、USBケーブルを介して、例えばスマートフォン等の携帯端末と接続することができる。外部機器は、AUX端子(AUXプラグ)を有するオーディオケーブル等であってもよい。
【0027】
本実施形態では、操作部10は操作つまみ2である。操作つまみ2は、例えば、音量の調整や、ラジオの受信周波数の選局に使用される。詳細には、電子機器100には、2つの操作つまみ2が枠体102に配置される。すなわち、電子機器100は、複数の操作部10を有する。2つの操作つまみ2は、表示パネル101により構成される表示画面に対して、+X方向側(右側)と-X方向側(左側)とに対称的に配置される。2つの操作つまみ2のうちの一方が、音量調整に使用され、他方が、ラジオの受信周波数の選局に使用される。
【0028】
なお、本実施形態では、2つの操作つまみ2のいずれもが、外部機器を接続するための構造を備える操作部10として構成されているが、いずれか一方だけが、操作部10として構成されてもよい。また、操作部10の数は、3つ以上であってもよい。また、操作部10は、操作つまみ2ではなく、例えば操作ボタンであってもよい。
【0029】
(2-2.構造)
図2は、操作部10の構成を示す概略断面図である。図2は、XY平面に平行な面で切った概略断面図である。なお、図2には、理解を容易とするために、電子機器100が備える枠体102および第1基板103の一部も示されている。第1基板103は、詳細には、表示パネル101に含まれる回路基板である。
【0030】
図2に示すように、操作部10は、可動部11と接続部12とを有する。可動部11は、電子機器100のユーザが操作部10に対して操作を行った際に動く部分である。接続部12は、可動部11に設けられ、外部機器のコネクタを接続可能に設けられる。例えば外部機器のコネクタがUSBコネクタである場合、接続部12はUSBポートである。また、外部機器のコネクタがAUX端子である場合、接続部12はAUXポートである。
【0031】
本実施形態では、可動部11は回転可能である。すなわち、可動部11は、ユーザの操作部10に対する操作により回転する。操作部10は、回転型の操作つまみである。回転型の操作つまみは、枠体102に対して突出して設けられるために、外部機器の接続を可能とする構造を設け易い。なお、操作部10は、レバー型の操作つまみ(操作レバー)であってもよく、この場合には、可動部は回転ではなく、直線的な移動を行う構成とされる。
【0032】
操作部10は、カバー部13を更に有する。カバー部13は、外部機器のコネクタが接続部12に未接続の場合に接続部12を覆う。カバー部13が設けられることにより、接続部12に水および塵埃が入ることを防止できる。また、カバー部13が設けられることにより、静電気による影響を受けることを抑制することができる。
【0033】
操作部10は、つまみ部14を更に有する。つまみ部14は、ユーザが操作部10による操作を行う際につまむ部分である。本実施形態では、つまみ部14は、有蓋円筒状である。詳細には、つまみ部14は、Y軸方向に延びる円筒部分を有し、当該円筒部分の+Y方向側の端部が塞がれた形状である。つまみ部14は、例えば指でつまんだ場合に滑りにくいように、円筒部分の外周面に微小な凹凸が多数設けられる。なお、つまみ部14の形状は、指でつまみ易い形状であればよく、他の形状とされてもよい。
【0034】
本実施形態では、つまみ部14は、可動部11に着脱可能に設けられる。つまみ部14は、可動部11に直接的に取り付けられても、間接的に取り付けられてもよい。本実施形態では、つまみ部14は、スナップフィットを用いて可動部11に直接的に取り付けられる。つまみ部14は、可動部11に装着された場合に、可動部11とともに回転可能である。
【0035】
また、本実施形態では、つまみ部14は、可動部11に装着された場合に、カバー部13として兼用される。このような構成とすれば、操作部10における部品点数の増加を抑制することができ、電子機器100の製造コストを低減することができる。なお、つまみ部14が可動部11から取り外されることにより、接続部12が外部に露出する。すなわち、外部機器のコネクタを接続部12に取り付ける場合には、つまみ部14が可動部11から取り外される。取り外されたつまみ部14の紛失が生じないように、つまみ部14は、電子機器100の本体部分に一端が連結されるケーブル等の可撓性線状部材の他端と連結されることが好ましい。電子機器100の本体部分には、枠体102が含まれてよい。
【0036】
詳細には、操作部10は、中空エンコーダ15と、ホルダ16と、第2基板17と、導通部材18と、を更に有する。
【0037】
中空エンコーダ15は、可動部11を含み、第1基板103に支持される。第1基板103は、XZ面と平行な方向に広がる。可動部11は、Y軸方向に延びる円筒状である。有蓋円筒状のつまみ部14は、円筒状の可動部11の+Y方向側から被せられ、可動部11に着脱可能に取り付けられる。中空エンコーダ15は、Y軸方向に延び、可動部11を囲む環状の固定体151を更に含む。固定体151は、第1基板103に固定される。固定体151は、可動部11を回転可能に支持する。
【0038】
ホルダ16は、可動部11に固定される。詳細には、ホルダ16は、Y軸方向に延びる円柱状であり、円筒状の可動部11の内部に固定される。すなわち、ホルダ16は、可動部11とともに回転可能である。固定方法としては、例えば、接着剤、ねじ、スナップフィット等が利用されてよい。本実施形態では、ホルダ16の+Y方向側の端面には、-Y方向に向けて凹むホルダ凹部161が設けられる。ただし、ホルダ凹部161は、設けられなくてもよい。
【0039】
第2基板17は、ホルダ16に保持される。詳細には、第2基板17は、ホルダ凹部161に収容される。第2基板17は、例えば接着剤或いはねじによりホルダ16に固定される。第2基板17は、第1基板103と平行に配置される。第2基板17には、接続部12が配置される。第2基板17には、接続部12と電気的に接続される回路パターンが形成されている。すなわち、第2基板17は回路基板である。なお、第2基板17に配置される接続部12は、Y軸方向に延びる穴を有し、当該穴に外部機器のコネクタを挿し込むことが可能になっている。
【0040】
導通部材18は、第2基板17と第1基板103とを電気的に接続する。導通部材18は、例えば、フレキブルプリント基板又はケーブルである。本実施形態では、可動部11の+Y方向の端部に第2基板17を覆う蓋体19が設けられる。この点を考慮して、可動部11の側面には、引き出し孔20が設けられる。引き出し孔20は、可動部11の側壁を貫通する貫通孔である。引き出し孔20は、円筒状の可動部11の周方向に延びる。導通部材18は、引き出し孔20を介して可動部11内から可動部11外へと引き出される。
【0041】
なお、可動部11は、回転量が制限されている。可動部11は、Y軸方向からの平面視において、例えば、基準位置から時計回り方向と反時計回り方向とのそれぞれに、90°回転可能に設けられる。可動部11は、基準位置から時計回り方向と反時計回り方向のいずれに回転させた場合にも、手を離すと自動的に基準位置に戻る構成とすることが好ましい。
【0042】
本実施形態によれば、中空エンコーダ15を用いて可動部11が構成されるために、操作部10の中央部に容易に接続部12を配置することができる。操作部10の中央部に接続部12を配置することができるために、操作部10が必要以上に大きくなったり、電子機器100の見栄えが悪くなったりすることを抑制することができる。
【0043】
(2-3.作用効果)
図3は、操作部10に外部機器200のコネクタ201が接続された状態を示す概略断面図である。図3において、外部機器200は可搬型記憶媒体である。詳細には、外部機器200はUSBメモリである。USBメモリは、市販される一般的なUSBメモリ(汎用型のUSBメモリ)であってよい。USBポートとして構成される接続部12には、USBメモリ200のUSBコネクタ201が挿し込まれている。
【0044】
図4Aおよび図4Bは、操作部10に外部機器200のコネクタ201を接続する手順を説明するための模式図である。コネクタ201の接続は、図4A図4Bの順に進められる。図4Aおよび図4Bは、電子機器100を+Z方向側からZ軸方向に沿って見た図である。
【0045】
図4Aに示すように、コネクタ201を取り付けるに際しては、カバー部13として兼用されるつまみ部14が取り外される。本実施形態では、つまみ部14は引き抜かれる。つまみ部14が引き抜かれることにより、接続部12が外部に露出される。これにより、コネクタ201を接続部12に接続することが可能になる。
【0046】
図4Bに示すように、露出した接続部12にコネクタ201が挿し込まれる。これにより、外部機器200は電子機器100と電気的に接続される。例えば、外部機器200の情報が電子機器100内に取り込まれる。操作部10は、コネクタ201が接続部12に接続された外部機器200の少なくとも一部を利用して操作可能である。詳細には、操作部10は、外部機器200の少なくとも一部を掴んで操作可能である。図4Bに示す例では、ユーザは、外部機器200であるUSBメモリをつまみ部14の替わりにつまんで回転操作を行うことができる。すなわち、ユーザは、USBメモリを使って操作部10の操作を行うことができる。
【0047】
外部機器200のコネクタ201と接続可能な接続部12が操作部10に設けられるために、操作つまみや操作ボタンと独立して枠体102に接続部を設ける場合に比べて、省スペース化を図ることができる。このために、枠体102に関する設計の自由度を向上することができる。例えば、操作ボタンの数を多くすることができる。
【0048】
また、本実施形態では、外部機器200のコネクタ201が接続部12に接続された状態では、つまみ部14の替わりにUSBメモリをつまんで操作部10の操作を行うことができる。例えば、USBメモリは、つまみ部14よりも手前側に突出する可能性が高い。このために、ユーザは、自身により近い位置にある物をつまんで操作部10の操作を行うことが可能となり、操作部10の回転操作を容易に行うことができる。
【0049】
また、本実施形態では、接続部12が枠体102の+Y方向側の面よりも手前側に突出した構成となっているので、外部機器200のコネクタ201を接続部12に接続する際に広い空間を確保し易くできる。すなわち、本実施形態の構成によれば、接続部12に取り付けることができる外部機器200のサイズに対する制約を減らすことができる。
【0050】
また、本実施形態では、左右に配置される2つの操作つまみ2が操作部10として構成されているために、電子機器100にバランス良く接続部12を配置することができる。また、本実施形態の構成によれば、右ハンドルの車両と左ハンドルの車両とで、電子機器100の構成を変更する必要性を排除するが可能となり、製造コストを抑制することができる。
【0051】
<3.可搬型記憶媒体>
図5は、可搬型記憶媒体200Aの一例を示す概略斜視図である。可搬型記憶媒体200Aは、上述の外部機器200の一例である。可搬型記憶媒体200Aは、電子機器100とセットでの利用に好適な構成を有する。
【0052】
可搬型記憶媒体200Aは、電子機器100の操作部10に設けられた接続部12に接続可能である。可搬型記憶媒体200Aは、コネクタ201Aと、本体部202Aとを備える。コネクタ201Aは、接続部12に接続される。本体部202Aは、コネクタ201Aを保持する。コネクタ201Aは、本体部202Aから外部に突出する部分を有する。コネクタ201Aは、詳細にはUSBコネクタである。これらの点は、以上で説明した、USBメモリとして構成される外部機器200と同様である。
【0053】
本体部202Aは、操作つまみを模した形状を有する。可搬型記憶媒体200Aは、この点が上述のUSBメモリとして構成される外部機器200と異なる。図5に示す例では、本体部202Aは、外形円柱状である。そして、円柱状の本体部202Aの外周には、微小な凹凸が全体的に設けられている。なお、操作つまみを模した形状は、操作つまみと同様の形状であると一般的に認識される形状が広く該当する。本例の可搬型記憶媒体200Aによれば、可搬型記憶媒体200Aが接続部12に接続された場合に、つまみ部14と同様の感覚で回転操作を行うことができる。
【0054】
<4.アダプター>
図6は、アダプター200Bの一例を示す概略斜視図である。アダプター200Bは、上述の外部機器200の一例である。アダプター200Bは、電子機器100および汎用型の可搬型記憶媒体300とセットでの利用に好適な構成を有する。ここで言う汎用型の可搬型記憶媒体300は、例えば、平板状の細長く延びる可搬型記憶媒体であり、より詳細には、平板状の細長く延びるUSBメモリである。
【0055】
アダプター200Bは、電子機器100の操作部10に設けられた接続部12に接続可能である。アダプター200Bは、コネクタ201Bと、本体部202Bとを備える。コネクタ201Bは、接続部12に接続される。本体部202Bはコネクタ201Bを保持する。コネクタ201Bは、本体部202Bから突出する部分を有する。コネクタ201Bは、詳細にはUSBコネクタである。
【0056】
本体部202Bは、可搬型記憶媒体300をコネクタ201Bに電気的に接続可能に収容する。本体部202Bは、コネクタ201Bが突出する面2021に対して、コネクタ201Bの突出方向の反対側となる面2022に凹部2023を有する。凹部2023は、コネクタ201Bの突出方向と平行な方向に延びる。凹部2023は、可搬型記憶媒体300の全体を収容する構成としてもよいが、一部がはみ出た状態で可搬型記憶媒体300を収容する構成としてもよい。凹部2023によって形成される空間は、例えば直方体形状であってよい。凹部2023の底面には、可搬型記憶媒体300が有するコネクタ(例えばUSBコネクタ)と接続される不図示の接続ポート(例えばUSBポート)が設けられる。当該接続ポートは、コネクタ201Bと電気的に接続される。
【0057】
本体部202Bは、操作つまみを模した形状を有する。図6に示す例では、本体部202Bは、外形円柱状である。そして、円柱状の本体部202Bの外周には、微小な凹凸が全体的に設けられている。なお、操作つまみを模した形状は、操作つまみと同様の形状と一般的に認識される形状が広く該当する。本例のアダプター200Bによれば、アダプター200Bが接続部12に接続された場合に、つまみ部14と同様の感覚で回転操作を行うことができる。
【0058】
<5.変形例>
(5-1.第1変形例)
図7は、第1変形例の操作部10Aを示す概略断面図である。上述した実施形態の操作部10においては、カバー部13と兼用されるつまみ部14が可動部11から取り外されることにより、接続部12が露出する構成とした。
【0059】
当該構成と異なり、第1変形例の操作部10Aにおいては、可動部11Aとつまみ部14Aとが単一部材で構成されている。すなわち、つまみ部14Aは、可動部11Aから取り外すことができない。その替わりに、つまみ部14(可動部11A)の+Y方向側の端部に、着脱可能なカバー部13Aが配置されている。カバー部13Aが取り外されることにより、接続部12が露出して、外部機器のコネクタを接続することができる。
【0060】
なお、本変形例では、可動部11A(つまみ部14A)は、Y軸方向に延びる有蓋円筒状であり、+Y方向側の端部に位置する蓋部分に可動部貫通孔111が形成される。可動部貫通孔111は、Y軸方向に貫通する。外部機器のコネクタを接続部12に接続しない場合には、カバー部13Aにより可動部貫通孔111が塞がれる。外部機器のコネクタを接続部12に接続する場合には、カバー部13Aが取り外されて、可動部貫通孔111を介して接続部12が外部に露出する。
【0061】
(5-2.第2変形例)
図8は、第2変形例の操作部10Bを示す概略断面図である。本変形例では、操作部10Bは、可動部11に取り付けられるつまみ部14Bを有する。つまみ部14Bは、接続部12の一部を囲む。つまみ部14Bは、Y軸方向に延びる有蓋筒状であり、+Y方向側の端部に位置する蓋部分につまみ部貫通孔141が形成される。つまみ部14Bは、つまみ部貫通孔141が設けられるために、接続部12の全体を囲まない構成となっている。接続部12は、つまみ部貫通孔141を介して外部に露出した状態となっている。
【0062】
本変形例では、接続部12を覆うカバー部13Bは、つまみ部14Bに着脱可能に設けられる。カバー部13Bは、つまみ部貫通孔141を塞ぐように取り付けられる。カバー部13Bは、例えば、ゴム等の弾性部材で構成することができる。本変形例の構成では、つまみ部14B全体を着脱可能とするのではなく、つまみ部14Bに取り付けられるカバー部13Bを着脱可能とするために、接続部12を露出する作業を行い易くすることができる。
【0063】
また、本変形例では、第2基板17と第1基板103とを電気的に接続する導通部材18Bは、スリップリングである。この点も、上述した実施形態と異なる。導通部材18Bは、第1部材181と第2部材182とを有する。第1部材181は、可動部11の内部に配置されるホルダ16Bに保持される。すなわち、第1部材181は、可動部11とともに回転する。第2部材182は、第1基板103に固定される。第1部材181および第2部材182は、Y軸方向に延びる円筒状である。第1部材181の内周面に設けられる複数の金属リング(不図示)が、第2部材182の外周に設けられるブラシ(不図示)と接触して、電力および電気信号の伝達が行われる。
【0064】
本変形例のように導通部材18Bとしてスリップリングが用いられると、接続部12が操作部10Bの中央部に設けられるにもかかわらず、つまみ部14Bの回転量の制限をなくすことができる。
【0065】
(5-3.第3変形例)
図9は、第3変形例の操作部10Cを示す概略断面図である。第3変形例の操作部10Cは、上述の実施形態の操作部10の構成と殆ど同じである。
【0066】
第3変形例の操作部10Cは、第2基板17の+Y方向側の面にスイッチ21が設けられる点が上述の実施形態に係る操作部10と異なる。スイッチ21は、電子機器100内のメモリに格納されたソフトウェアの実行中に不具合が発生した場合にリセットを行うためのスイッチである。本変形例では、蓋体19にY軸方向に貫通する蓋体貫通孔191が設けられる。スイッチ21は、蓋体貫通孔191を介して針状の部材を可動部11の内部空間に入れることにより押すことができる。本変形例の構成は、操作部10Cに接続部12を一体的に設ける構成が採用されたために得られる構成である。
【0067】
<6.留意事項>
本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態および変形例のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態および変形例は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態および変形例の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。また、本明細書中に示される複数の実施形態及び変形例は可能な範囲で適宜組み合わせて実施されてよい。
【符号の説明】
【0068】
2・・・操作つまみ
10、10A、10B、10C・・・操作部
11、11A・・・可動部
12・・・接続部
13、13A、13B・・・カバー部
14、14A、14B・・・つまみ部
15、15A・・・中空エンコーダ
16、16B・・・ホルダ
17・・・第2基板
18、18B・・・導通部材
100・・・電子機器
103・・・第1基板
200・・・外部機器
200A、300・・・可搬型記憶媒体
200B・・・アダプター
201、201A、201B・・・コネクタ
202A、202B・・・本体部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9