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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】車載装置及び乗降車判定方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/20 20170101AFI20231121BHJP
【FI】
G06T7/20 300B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020137304
(22)【出願日】2020-08-17
(65)【公開番号】P2022033426
(43)【公開日】2022-03-02
【審査請求日】2022-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北原 俊夫
【審査官】佐藤 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-25523(JP,A)
【文献】特開2006-177086(JP,A)
【文献】特開2014-219913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客を輸送する車両に搭載される車載装置であって、
前記車両に設置され、所定の撮影領域内の撮影を行うことで時系列上に並ぶカメラ画像列を取得するカメラ部と、
前記カメラ画像列を形成する各カメラ画像から人物の顔の画像である顔画像を検出する顔検出部と、
各カメラ画像における前記顔画像のサイズ、及び、前記カメラ画像列における前記顔画像の動きに基づき、前記顔画像に対応する人物が、前記車両に乗車する人物であるか否か、又は、前記車両から降車する人物であるか否かを判定する判定部と、を備えた
、車載装置。
【請求項2】
前記カメラ部は、前記車両に乗車するために移動する人物を撮影可能な位置に設置された乗車客用カメラを有し、
前記乗車客用カメラにて前記カメラ画像列が取得され、
前記判定部は、前記カメラ画像列における特定のカメラ画像において、所定の基準サイズ以上のサイズを有する前記顔画像が検出された後、前記カメラ画像列における前記特定のカメラ画像以降の複数のカメラ画像において前記顔画像の所定の向きへの移動が検出されたとき、前記顔画像に対応する人物が、前記車両に乗車する人物であると判定する
、請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記カメラ画像列における前記特定のカメラ画像以前の複数のカメラ画像において前記顔画像のサイズが時間経過とともに増大し、且つ、前記特定のカメラ画像において、前記所定の基準サイズ以上のサイズを有する前記顔画像が検出された後、前記カメラ画像列における前記特定のカメラ画像以降の複数のカメラ画像において前記顔画像の前記所定の向きへの移動が検出されたとき、前記顔画像に対応する人物が、前記車両に乗車する人物であると判定する
、請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記カメラ部は、前記車両から降車するために移動する人物を撮影可能な位置に設置された降車客用カメラを有し、
前記降車客用カメラにて前記カメラ画像列が取得され、
前記判定部は、前記カメラ画像列における特定のカメラ画像において、所定の基準サイズ以上のサイズを有する前記顔画像が検出された後、前記カメラ画像列における前記特定のカメラ画像以降の複数のカメラ画像において前記顔画像の所定の向きへの移動が検出されたとき、前記顔画像に対応する人物が、前記車両から降車する人物であると判定する
、請求項1に記載の車載装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記カメラ画像列における前記特定のカメラ画像以前の複数のカメラ画像において前記顔画像のサイズが時間経過とともに増大し、且つ、前記特定のカメラ画像において、前記所定の基準サイズ以上のサイズを有する前記顔画像が検出された後、前記カメラ画像列における前記特定のカメラ画像以降の複数のカメラ画像において前記顔画像の前記所定の向きへの移動が検出されたとき、前記顔画像に対応する人物が、前記車両から降車する人物であると判定する
、請求項4に記載の車載装置。
【請求項6】
乗客を輸送する車両に設置されたカメラ部にて所定の撮影領域内の撮影を行うことで時系列上に並ぶカメラ画像列を取得する取得ステップと、
前記カメラ画像列を形成する各カメラ画像から人物の顔の画像である顔画像を検出する顔検出ステップと、
各カメラ画像における前記顔画像のサイズ、及び、前記カメラ画像列における前記顔画像の動きに基づき、前記顔画像に対応する人物が、前記車両に乗車する人物であるか否か、又は、前記車両から降車する人物であるか否かを判定する判定ステップと、を備えた
、乗降車判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置及び乗降車判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バスに乗車する人物又はバスから降車する人物をバスに設置されたカメラの撮影画像を用いて検出する方法が提案されており、それらの方法の一種では人物の顔画像の撮影を通じて、乗車する人物又は降車する人物を検出する(下記特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-175782号公報
【文献】特開2018-106315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
但し、乗車する者を撮影するカメラ(以下、乗車客用カメラと称することがある)の撮影フレームに人物の顔が映り込んだだけで、当該人物がバスに乗り込む乗客であると判断する方法では、誤検出のおそれがある。例えば、運転手にバスの行き先を尋ねるべく一時的にバス内に入って来たものの、その結果を受けてそのままバスから出ていく人物を、誤ってバスに乗車した人物と誤検出する場合がある。降車に関しても同様である。
【0005】
本発明は、人物の車両への乗車又は車両からの降車の検出高精度化に寄与する車載装置及び乗降車判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車載装置は、乗客を輸送する車両に搭載される車載装置であって、前記車両に設置され、所定の撮影領域内の撮影を行うことで時系列上に並ぶカメラ画像列を取得するカメラ部と、前記カメラ画像列を形成する各カメラ画像から人物の顔の画像である顔画像を検出する顔検出部と、各カメラ画像における前記顔画像のサイズ、及び、前記カメラ画像列における前記顔画像の動きに基づき、前記顔画像に対応する人物が、前記車両に乗車する人物であるか否か、又は、前記車両から降車する人物であるか否かを判定する判定部と、を備えた構成(第1の構成)である。
【0007】
上記第1の構成に係る車載装置において、前記カメラ部は、前記車両に乗車するために移動する人物を撮影可能な位置に設置された乗車客用カメラを有し、前記乗車客用カメラにて前記カメラ画像列が取得され、前記判定部は、前記カメラ画像列における特定のカメラ画像において、所定の基準サイズ以上のサイズを有する前記顔画像が検出された後、前記カメラ画像列における前記特定のカメラ画像以降の複数のカメラ画像において前記顔画像の所定の向きへの移動が検出されたとき、前記顔画像に対応する人物が、前記車両に乗車する人物であると判定する構成(第2の構成)であっても良い。
【0008】
上記第2の構成に係る車載装置において、前記判定部は、前記カメラ画像列における前記特定のカメラ画像以前の複数のカメラ画像において前記顔画像のサイズが時間経過とともに増大し、且つ、前記特定のカメラ画像において、前記所定の基準サイズ以上のサイズを有する前記顔画像が検出された後、前記カメラ画像列における前記特定のカメラ画像以降の複数のカメラ画像において前記顔画像の前記所定の向きへの移動が検出されたとき、前記顔画像に対応する人物が、前記車両に乗車する人物であると判定する構成(第3の構成)であっても良い。
【0009】
上記第1の構成に係る車載装置において、前記カメラ部は、前記車両から降車するために移動する人物を撮影可能な位置に設置された降車客用カメラを有し、前記降車客用カメラにて前記カメラ画像列が取得され、前記判定部は、前記カメラ画像列における特定のカメラ画像において、所定の基準サイズ以上のサイズを有する前記顔画像が検出された後、前記カメラ画像列における前記特定のカメラ画像以降の複数のカメラ画像において前記顔画像の所定の向きへの移動が検出されたとき、前記顔画像に対応する人物が、前記車両から降車する人物であると判定する構成(第4の構成)であっても良い。
【0010】
上記第4の構成に係る車載装置において、前記判定部は、前記カメラ画像列における前記特定のカメラ画像以前の複数のカメラ画像において前記顔画像のサイズが時間経過とともに増大し、且つ、前記特定のカメラ画像において、前記所定の基準サイズ以上のサイズを有する前記顔画像が検出された後、前記カメラ画像列における前記特定のカメラ画像以降の複数のカメラ画像において前記顔画像の前記所定の向きへの移動が検出されたとき、前記顔画像に対応する人物が、前記車両から降車する人物であると判定する構成(第5の構成)であっても良い。
【0011】
本発明に係る乗降車判定方法は、乗客を輸送する車両に設置されたカメラ部にて所定の撮影領域内の撮影を行うことで時系列上に並ぶカメラ画像列を取得する取得ステップと、前記カメラ画像列を形成する各カメラ画像から人物の顔の画像である顔画像を検出する顔検出ステップと、各カメラ画像における前記顔画像のサイズ、及び、前記カメラ画像列における前記顔画像の動きに基づき、前記顔画像に対応する人物が、前記車両に乗車する人物であるか否か、又は、前記車両から降車する人物であるか否かを判定する判定ステップと、を備えた構成(第6の構成)である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、人物の車両への乗車又は車両からの降車の検出高精度化に寄与する車載装置及び乗降車判定方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係るバスの概略的な平面構造図である。
図2】本発明の実施形態に係るバスサービスシステムの構成図である。
図3】本発明の実施形態に係るカメラ画像列の構成図である。
図4】本発明の実施形態に係り、カメラ画像が定義される画像座標系の説明図である。
図5】本発明の実施形態に係り、顔画像の特性の説明図である。
図6】本発明の実施形態に係る乗降車データベースの構成図である。
図7】本発明の第1実施例に係り、カメラの撮影領域を示す図である。
図8】本発明の第1実施例に係り、バスに乗車する人物の移動の様子を示す図である。
図9】本発明の第1実施例に係り、人物がバスに乗車する過程で得られるカメラ画像列を示す図である。
図10】本発明の第1実施例に係り、乗車判定処理のフローチャートである。
図11】本発明の第1実施例に係り、乗車判定処理の第1変形フローチャートである。
図12】本発明の第1実施例に係り、乗車判定処理の第2変形フローチャートである。
図13】本発明の第2実施例に係り、カメラの撮影領域を示す図である。
図14】本発明の第2実施例に係り、バスから降車する人物の移動の様子を示す図である。
図15】本発明の第2実施例に係り、人物がバスから降車する過程で得られるカメラ画像列を示す図である。
図16】本発明の第2実施例に係り、降車判定処理のフローチャートである。
図17】本発明の第2実施例に係り、降車判定処理の第1変形フローチャートである。
図18】本発明の第2実施例に係り、降車判定処理の第2変形フローチャートである。
図19】本発明の第3実施例に係り、カメラの撮影領域を示す図である。
図20】本発明の第3実施例に係り、バスに乗車する人物の移動の様子を示す図である。
図21】本発明の第4実施例に係り、カメラの撮影領域を示す図である。
図22】本発明の第4実施例に係り、バスに乗車する人物の移動の様子を示す図である。
図23】本発明の第5実施例に係り、2つのカメラの撮影領域を示す図である。
図24】本発明の第5実施例に係り、バスから降車する人物の移動の様子を示す図である(第1降車パターン)。
図25】本発明の第5実施例に係り、バスから降車する人物の移動の様子を示す図である(第2降車パターン)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量又は部材等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。例えば、後述の“33”によって参照される個人識別用データ保持部は(図2参照)、個人識別用データ保持部33と表記されることもあるし、保持部33と略記されることもあり得るが、それらは全て同じものを指す。
【0015】
図1に本発明の実施形態に係る車載装置(後述する図2の車載装置10に相当)が搭載されるバス1の、概略的な平面構造図を示す。バス1は多くの乗客を輸送することのできる大型輸送車両であり、乗客は輸送の対価として運賃をバス1の運転手又はバス1の運営会社に支払う。バス1には実際には屋根が設けられているが、図1では、屋根を除いたバス1の内部の様子(上面図)が示されている。
【0016】
バス1の車内には、運転席2と、運賃箱3と、扉4及び5と、複数の座席6と、が設けられている。ここでは、説明の具体化のため、バス1の前後方向との関係において、実空間上のワールド座標系を以下のように定義する。ワールド座標系は互いに直交するWX軸、WY軸及びWZ軸から成る三次元座標系である。バス1が水平面に平行な路面上に位置しているとき、WZ軸は鉛直面(重力の働く方向に平行な面)に平行であり、WX軸及びWY軸は水平面に平行である。バス1が前進する向きが前向きあり、WY軸は前後方向に平行である。バス1の後端から前端に向かう向きはWY軸の正側に向かう向きに相当し、バス1の前端から後端に向かう向きはWY軸の負側に向かう向きに相当する。バス1の車内であって且つバス1の前端付近にバス1を操舵するためのステアリングホイール及び運転手の座席である運転席2が設置される。運転手は運転席2において前を向いて座っている。右側、左側は、運転手から見た右側、左側に相当する。バス1の左端から右端に向かう向きはWX軸の正側に向かう向きに相当し、バス1の右端から左端に向かう向きはWY軸の負側に向かう向きに相当する。
【0017】
運賃箱3は運転席2の左側に設置される。乗客は現金を運賃箱3に投入することで運賃の支払いを行うことができる。また、運賃箱3にはカードリーダ(不図示)が設けられており、乗客は所定のカードをカードリーダに読み込ませることで、プリペイド方式又はポストペイ方式で運賃の支払いを行うこともできる。
【0018】
扉4及び5はバス1の車体の一部を構成し、バス1の左端側側面部に設けられる。より具体的には、扉4はバス1の左端側側面部における運転席2の左横に設置され、扉5は左端側側面部における中央付近に設置される。扉4は扉5よりも前方側に設置される。バス1の走行中には扉4及び5は閉鎖状態にある。バス1の停止中には、バス1の所定機器に対する運転手の操作に基づき扉4又は5が開放状態となる。扉4が閉鎖状態にあるとき乗客は扉4を通じて乗車又は降車することはできず、扉4が開放状態にあるときに限り乗客は扉4を通じて乗車又は降車することができる。同様に、扉5が閉鎖状態にあるとき乗客は扉5を通じて乗車又は降車することはできず、扉5が開放状態にあるときに限り乗客は扉5を通じて乗車又は降車することができる。
【0019】
本実施形態において、乗車とは、或る人物がバス1の外部空間から扉4又は5を通じてバス1の車内(バス1の内部空間)に入ってバス1の乗客となることを指す。降車とは、バス1の車内(バス1の内部空間)にいる乗客が扉4又は5を通じてバス1の外部空間に出ることを指す。或る人物がバス1に乗車する地点を乗車地点と称し、或る人物がバス1から降車する地点を降車地点と称する。
【0020】
図1において、符号7及び8はバス1の車内における通路を表している。通路7は運線席2と扉4との間に位置される通路である。扉4を通じてバス1に乗車する乗客又は扉4を通じてバス1から降車する乗客は通路7を通る。通路8は通路7よりも後方側に設けられる。扉5を通じてバス1に乗車する乗客又は扉5を通じてバス1から降車する乗客は通路8を通る。尚、乗車する乗客とは、換言すれば、バス1に乗るためにバス1の外側からバス1の内側(車内)へと移動する人物を指す。降車する乗客とは、換言すれば、バス1から降りるためにバス1の内側(車内)からバス1の外側へと出てゆく人物を指す。
【0021】
乗降車に関するバス1の構造として乗降車口専用構造及び乗降車口兼用構造があり、バス1は乗降車口専用構造及び乗降車口兼用構造の何れをも採用しうる。乗降車口専用構造に係るバス1は、バス1に乗車する乗客専用の入り口である乗車口と、バス1から降車する乗客専用の出口である降車口と、を別個に備える。乗降車口兼用構造に係るバス1は、バス1に乗車する乗客の入り口及びバス1から降車する乗客の出口の双方として機能する乗降車口を備える。乗降車口兼用構造に係るバス1において乗降車口が複数設けられることがあっても良い。
【0022】
扉4及び通路7にて、乗車口、降車口及び乗降車口の何れかを形成することができ、同様に、扉5及び通路8にて、乗車口、降車口及び乗降車口の何れかを形成することができる。
【0023】
乗降車口専用構造に係るバス1においては、扉4及び通路7にて乗車口が形成され且つ扉5及び通路8にて降車口が形成される第1構造パターンと、扉4及び通路7にて降車口が形成され且つ扉5及び通路8にて乗車口が形成される第2構造パターンと、があり、それらの何れの構造パターンをも採用可能である。乗降車口兼用構造に係るバス1においては、扉4及び通路7にて乗降車口が形成される第3構造パターンと、扉5及び通路8にて乗降車口が形成される第4構造パターンと、扉4及び通路7にて第1乗降車口が形成され且つ扉5及び通路8にて第2乗降車口が形成される第5構造パターンと、があり、それらの何れの構造パターンをも採用可能である。第3構造パターンの採用時にはバス1から扉5及び通路8が削除されて良く、第4構造パターンの採用時にはバス1から扉4及び通路7が削除されて良い。
【0024】
図2に、本実施形態に係るバスサービスシステムSYSの構成図を示す。バスサービスシステムSYSは、バス1に搭載される車載装置10と、バス1及び車載装置10の外部に設けられる外部装置であるサーバ装置SVと、を備える。サーバ装置SVは1以上のコンピュータ装置にて構成されていて良い。サーバ装置SVが複数のコンピュータ装置にて構成される場合、所定の通信網を介して接続された複数のコンピュータ装置が協働することでサーバ装置SVの機能が実現される。また、サーバ装置SVは、クラウドコンピューティングサービスを利用して実現しても良い。車載装置10は、カメラ部20、信号処理部30及び通信部40を備える。
【0025】
カメラ部20はバス1に設置された1以上のカメラから成り、カメラ部20に設けられる個々のカメラを単位カメラと称する。単位カメラは、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサやCCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサなどの撮像素子及び光学系を備え、自身の撮影領域(換言すれば視野)内の撮影を行って、撮影により得られた画像(即ち撮影領域内の像)を示す画像データを生成する。撮影領域内の撮影とは、詳細には、撮影領域内の被写体の撮影を意味する。単位カメラにより生成された画像データを、以下、カメラ画像データと称し、カメラ画像データにて表される二次元画像をカメラ画像CIと称する(但し、単にカメラ画像と称されることもある)。単位カメラにより生成されたカメラ画像データは信号処理部30に出力される。単位カメラは所定の撮影フレームレートにて自身の撮影領域内の撮影を周期的に繰り返し行う。撮影フレームレートは1秒間当たりの撮影の回数に相当する。撮影フレームレートは任意であるが、例えば30[フレーム/秒]である。単位カメラにおいて撮影フレームレートの逆数の間隔で静止画像としての1枚のカメラ画像CIが得られる。
【0026】
時系列上に並ぶ複数枚の静止画像により動画像が形成されるが、図3に示す如く時系列上に並ぶ複数枚のカメラ画像CIを特にカメラ画像列と称する。カメラ画像列は撮影フレームレートの逆数の間隔で並ぶ複数枚のカメラ画像CIから成る。時刻t[i]の撮影により得られたカメラ画像CIを特にカメラ画像CI[i]と称する。iは任意の整数を表す。任意の整数iに関し、時刻t[i+1]は時刻t[i]よりも後の時刻であるとする。また、図4に示す如く、カメラ画像CIは、互いに直交するIX軸及びIY軸から成る二次元の画像座標系に定義される。IX軸方向はカメラ画像CIの水平方向(横方向)に対応し、IY軸方向はカメラ画像CIの垂直方向(縦方向)に対応する。カメラ画像CIは、IX軸及びI軸方向にマトリクス状に配列された複数の画素から構成される二次元画像である。
【0027】
図2を再度参照し、信号処理部30は、顔検出部31、乗降車判定部32、個人識別用データ保持部33、個人識別部34、日時データ取得部35、地点データ取得部36及び乗降車管理部37を備える。
【0028】
顔検出部31は、カメラ画像データに基づき顔検出処理を実行する。顔検出処理において、顔検出部31は、カメラ画像CI内に人物の顔の画像が含まれているか否かを検出する。カメラ画像CI内に人物の顔の画像が含まれている場合、顔検出部31は、カメラ画像CI内に含まれる人物の顔の画像を顔画像として検出して顔画像データを生成及び出力する。顔検出処理はカメラ画像CIごとに実行される。このため、カメラ画像列を形成する各カメラ画像CIから顔画像が検出される(但し、各カメラ画像CIに顔画像が含まれていることが前提)。顔検出処理の方法自体は周知であるので、その詳細な説明は割愛する。尚、カメラ画像CIにおいて、顔画像の画像データが存在する画像領域を顔画像領域と称することがある。
【0029】
図5に、或るカメラ画像CIと、当該カメラ画像CIから検出された顔画像FIとの関係を示す。顔画像FIの形状は任意であって良いが、ここでは、IX軸方向及びIY軸方向に平行な辺を有する矩形画像として顔画像FIが検出されるものとする。顔画像FIは、顔の画像データが存在する画像領域を内包する最小の矩形画像であって良い。図5において、PPは顔画像PIの中心位置を表し、XSIZEは顔画像FIのIX軸方向のサイズ(即ちIX軸方向の大きさ)を表し、YSIZEは顔画像FIのIY軸方向のサイズ(即ちIY軸方向の大きさ)を表す。中心位置PPは、画像座標系上の座標値として表現される。顔画像FIのIX軸方向、IY軸方向における画素数を、夫々、サイズXSIZE、YSIZEとすることができる。サイズXSIZE及びYSIZEの積を記号“SSIZE”にて表す。即ち“SSIZE=(XSIZE×YSIZE)”である。サイズXSIZE、YSIZE及びSSIZEは何れも顔画像FIのサイズを表す量である。サイズXSIZE及びYSIZEは顔画像FIの一次元方向の大きさで顔画像FIのサイズを表しており、サイズSSIZEは顔画像FIの面積で顔画像FIのサイズを表している。顔検出処理においてカメラ画像CIから顔画像FIが検出されたとき、顔検出部31は、顔画像FIの中心位置PP並びに顔画像FIのサイズXSIZE、YSIZE及びSSIZEを含む顔検出データを生成する(図2参照)。顔検出データは乗降車判定部32及び個人識別部34に送られる。図5に示される記号“FSIZE”については後述される。
【0030】
乗降車判定部32は動き検出部32aを有する。動き検出部32aは、顔検出データに基づき、必要に応じてカメラ画像データを参照しつつ顔画像FIの動きを検出する。検出される顔画像FIの動きは、カメラ画像列内における画像座標系上の顔画像FIの動きである。実空間上で(即ちワールド座標系上で)顔画像FIに対応する顔の位置が変化すれば、変化の方向に依るが、画像座標系上においても顔画像FIの位置が変化する。詳細な具体例は後述されるが、カメラ部20に含まれる1以上の単位カメラは、乗車する乗客の顔又は降車する乗客の顔を撮影可能な位置及び取り付け角度にてバス1に設置されている。このため、乗車する乗客又は降車する乗客の顔の画像を含んだカメラ画像CIをカメラ部20にて取得することができる。
【0031】
乗降車判定部32は、各カメラ画像CIにおける顔画像FIのサイズと、カメラ画像列における顔画像FIの動き(即ち動き検出部32の検出結果)と、に基づいて、乗降車判定処理を行う。乗降車判定処理は後述の乗車判定処理及び降車判定処理から成り、乗降車判定処理において、乗降車判定部32は、顔画像FIに対応する人物が、バス1に乗車する人物(乗客)であるのか否か、又は、バス1から降車する人物(乗客)であるのか否かを判定する。この判定に参照される顔画像FIのサイズを、以下、顔画像サイズと称し、必要に応じて記号“FSIZE”により参照する。乗降車判定部32は、サイズXSIZE、YSIZE及びSSIZEの内の任意の何れかに比例する量を顔画像サイズFSIZEとして用いることができるが(図5参照;比例係数は1でも良い)、通常は、サイズSSIZEを顔画像サイズFSIZEとして用いて良い。
【0032】
バス1に乗り込むべく乗車口又は乗降車口を通過する人物の顔を所定位置に設置されたカメラで撮影したとき、顔画像サイズFSIZE及び顔画像FIの動きに、乗車する乗客固有の特徴が内在する。同様に、バス1から降りるべく降車口又は乗降車口を通過する人物の顔を所定位置に設置されたカメラで撮影したとき、顔画像サイズFSIZE及び顔画像FIの動きに、降車する乗客固有の特徴が内在する。これに着眼し、上述の乗降車判定部32を設ける。これにより、乗客の乗車又は降車を精度良く検出することが可能となる。
【0033】
個人識別用データ保持部33は登録人物についての個人識別用データを保持する。個人識別用データ保持部33は、個人識別用データを不揮発メモリによって保持しても良い。登録人物の人数は1以上であり、登録人物が複数存在するとき、登録人物ごとの個人識別用データが保持部33に保持される。登録人物は、バスサービスシステムSYSに対して予め登録された人物である。以下では、登録人物が複数存在するものとする。
【0034】
個人識別部34は、カメラ画像データ及び顔検出データと保持部33に保持される個人識別用データとに基づいて、カメラ画像CIに含まれる顔画像FIに対応する人物の個人識別(換言すれば個人認証)を行う。個人識別により、顔画像FIに対応する人物が何れの登録人物と合致するかが特定される、或いは、顔画像FIに対応する人物が何れの登録人物にも合致しないと判断される。
【0035】
個人識別用データはバス1を利用する人物の個人識別を行うために有益なデータであり、或る登録人物についての個人識別用データは当該登録人物の顔情報を含む。登録人物の顔情報は、登録人物の顔を撮影した画像そのものであっても良いし、それに加えて又はそれに代えて、登録人物の顔の撮影画像から抽出した登録人物の顔の特徴量データであっても良い。何れにせよ、カメラ画像CIに或る人物の顔画像FIが含まれている場合において、当該人物が特定の登録人物と一致するとき、特定の登録人物の個人識別用データと、特定の登録人物の顔画像FIを含むカメラ画像CIとに基づき、必要に応じて顔検出データを参照しつつ、個人識別部34により、当該カメラ画像CI中の顔画像FIに対応する人物は特定の登録人物であると判断される。尚、個人識別用データは、サーバ装置SVから通信部40を介して信号処理部30に提供されるものであって良い。
【0036】
日時データ取得部35は現在の日付及び時刻を表す日時データを取得する。地点データ取得部36はバス1の現在地を表す地点データを取得する。地点データ取得部36はGPS(Global Positioning System)を用いて地点データを取得して良い。
【0037】
乗降車管理部37は、メモリ37aを有し、バス1の乗客に関する情報を管理して管理情報をメモリ37aに保存する。メモリ37aは、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリで構成されて良い。例えば、乗降車管理部37は、特定の時間帯又は特定のバス運行区間内においてバス1に乗車した乗客の人数をカウントする乗車客数カウント処理、及び、特定の時間帯又は特定のバス運行区間内においてバス1から降車した乗客の人数をカウントする降車客数カウント処理を実行できて良く、この場合、乗車客数カウント処理によるカウント値及び降車客数カウント処理によるカウント値をメモリ37aに保存することができる。
【0038】
また、乗降車管理部37は、図6に示すような、1以上の乗降車データセットから成る乗降車データベースDBを生成してメモリ37aに保存しても良い。特定の登録人物がバス1の乗客となったとき、日時データ及び地点データを利用しつつ乗降車データセットが生成され、特定の登録人物に対する乗降車データセットは、特定の登録人物の個人IDと、特定の登録人物のバス1への乗車日時及びバス1からの降車日時を表すデータと、特定の登録人物のバス1への乗車地点を表すデータ(例えば乗車したバス停)及びバス1からの降車地点を表すデータ(例えば降車したバス停)と、を互いに関連付けた状態で含む。
【0039】
通信部40は、所定の無線通信網を介しサーバ装置SVと任意の信号及びデータの双方向通信を行う。信号処理部30は、通信部40を用いてサーバ装置SVと双方向通信が可能である。メモリ37aに保存される任意の情報が通信部40を介してサーバ装置SVに提供されて良い。乗降車管理部37又はメモリ37aはサーバ装置SVに設けられるものであっても良い。故に、乗降車データベースDBはサーバ装置SVにて生成又は管理されるデータベースであっても良い。
【0040】
登録人物は、バスサービスシステムSYSにおいて、オート決裁機能を利用できる。オート決裁機能において、サーバ装置SVは、乗降車データベースDBを用い、各登録人物のバス1の利用に対する運賃の自動決済を行う。尚、サーバ装置SVは、決裁を行うために必要な各登録人物の決済情報(クレジットカード情報又は銀行口座情報や、それらに紐付けられた電子決済サービスの個人情報)を保持している。オート決裁機能を利用する際、登録人物は、バス1の乗車又は降車に際し、運賃箱3への現金投入により運賃の支払いを行う必要はなく、所定のカードを運賃箱3のカードリーダに読み込ませることによる運賃の支払いを行う必要も無い。
【0041】
以下、複数の実施例の中で、バスサービスシステムSYSに関する幾つかの具体的な動作例、応用技術、変形技術等を説明する。本実施形態にて上述した事項は、特に記述無き限り且つ矛盾無き限り、以下の各実施例に適用される。各実施例において、上述の事項と矛盾する事項がある場合には、各実施例での記載が優先されて良い。また矛盾無き限り、以下に示す複数の実施例の内、任意の実施例に記載した事項を、他の任意の実施例に適用することもできる(即ち複数の実施例の内の任意の2以上の実施例を組み合わせることも可能である)。
【0042】
<<第1実施例>>
第1実施例を説明する。第1実施例では、乗客の乗車の検出にのみ注目し、乗車の検出のための構成及び動作の例を説明する。第1実施例では、単位カメラの1つとしてカメラ21がカメラ部20に設けられ、図7に示す如く、カメラ21は運転席2の近傍の所定位置P21に設置される。図7において、斜線領域SR21はカメラ21の撮影領域を表している。カメラ21の光軸はWX軸に平行であって且つ所定位置P21から扉4に向けて伸びており、撮影領域SR21は所定位置P21から扉4に向けて(即ちWX軸の負側に向けて)広がる扇型状の領域である。当該扇型の中心角はカメラ21の撮影画角に対応する値を持つ。第1実施例において、扉4及び通路7によりバス1の乗車口又は乗降車口が形成される。カメラ21は、扉4及び通路7を通じて乗車する人物(バス1に乗車するために移動する人物)を撮影可能な位置に配置される。第1実施例における以下のカメラ画像CIは、カメラ21の撮影に基づくカメラ画像CIを指す。
【0043】
今、図8に示す如く、人物PSが、移動軌跡511に沿って移動した後、移動軌跡512に沿って移動することで、バス1に乗車するケースを考える。移動軌跡511は、バス1の外側の位置513からバス1内の位置であって運賃箱3の左横の位置514に向かう軌跡である。移動軌跡512は、バス1内の位置514からバス1内の位置515に向かう軌跡であって、位置515は位置514をWY軸に沿ってWY軸の負側に所定距離だけ平行移動した位置であるとする。つまり、人物PSは、バス1へ乗車する際、移動軌跡511に沿ってバス1の外側から内側に移動し、その移動の過程で扉4及び通路7から成る乗車口又は乗降車口を通過し、その後、移動軌跡512に沿って(バス1の後側に向けて)移動する。
【0044】
乗降車判定部32は顔検出部31と協働してカメラ画像CIに基づく乗車判定処理を行う。人物PSが図8に示す移動軌跡511及び512に沿って移動することでバス1に乗車する際、図9に示す如く、移動軌跡511に沿って人物PSが移動する過程で、カメラ画像CI中の人物PSの顔画像サイズは徐々に増大していった後に所定の基準サイズ以上となることが期待され、更に、移動軌跡512に沿って人物PSが移動する過程で人物PSの顔画像が画像座標系上で所定の向きに移動していって、最終的には所謂フレームアウトが発生することが期待される。このような特性を考慮して乗車判定処理を行う。
【0045】
図10は乗車判定処理のフローチャートである。撮影領域SR21内に位置する人物であって顔検出部31により顔が検出された人物の夫々が対象人物として取り扱われ、各対象人物に対し乗車判定処理を行うことができる。図10の対象人物に関する乗車判定処理において、顔画像サイズFSIZEとは対象人物の顔画像サイズFSIZEを指す。対象人物(例えば人物PS)の顔画像FIを夫々に含んだ複数のカメラ画像CIを有するカメラ画像列520(図9参照)に注目する。カメラ画像列520は、カメラ21の撮影結果に基づく時系列上に並んだカメラ画像CI[k-N]~CI[k+N]から成る。図9には、カメラ画像CI[k-N]~CI[k+N]の全部又は一部であるカメラ画像CI[k-4]~CI[k+4]が示されている。k、N及びNは任意の正の整数である(但し、本例において“N≧4”且つ“N≧4”)。カメラ画像CI[k-N]~CI[k+N]は、夫々、時刻t[k-N]~t[k+N]にて撮影及び取得されたカメラ画像CIである。カメラ画像列520の撮影期間530は、時刻t[k-N]から時刻t[k+N]までの期間である。対象人物の顔がカメラ21により撮影される期間の全部が、撮影期間530に相当する、又は、撮影期間530に内包される。
【0046】
乗車判定処理では、対象人物がバス1に乗車したか否かが判定される。図10の乗車判定処理はステップS11~S15の処理から成る。
【0047】
図10の乗車判定処理では、まずステップS11の処理が実行される。ステップS11では、第1乗車判定条件の充足又は不充足が判定される。具体的には、ステップS11では、対象人物について顔画像サイズ増大期間が存在するか否かが判定される。対象人物について、顔画像サイズ増大期間が存在するとき、第1乗車判定条件が充足して(ステップS11においてY)ステップS11からステップS12に進み、顔画像サイズ増大期間が存在しないとき、第1乗車判定条件が充足せずに(ステップS11においてN)ステップS11からステップS15に進む。
【0048】
対象人物について、顔画像サイズ増大期間とは、時間経過と共に対象人物の顔画像サイズFSIZEが増大する期間(例えば徐々に増大する期間)を指す。例えば、撮影期間530内にて検出される顔画像サイズFSIZEを所定間隔(例えば0.2秒間隔)で抽出し、抽出した複数の顔画像サイズFSIZEにおいて、顔画像サイズFSIZEが徐々に増大する期間が存在するとき顔画像サイズ増大期間が存在すると判定し、顔画像サイズFSIZEが徐々に増大する期間が存在しないとき顔画像サイズ増大期間が存在しないと判定する。図9の例では、時刻t[k-4]及びt[k-1]間の期間において時間経過と共に顔画像サイズFSIZEが増大しているため、顔画像サイズ増大期間が存在すると判定される。尚、所定時間(例えば1秒)以上の期間に亘って時間経過と共に顔画像サイズFSIZEが増大している期間が存在しているときに限り、当該期間を顔画像サイズ増大期間とみなすようにして良い。微小期間だけ顔画像サイズFSIZEが増大するような状況を無視するためである。
【0049】
ステップS12では、第2乗車判定条件の充足又は不充足が判定される。具体的には、ステップS12では、第1乗車判定条件の充足を経て所定の基準サイズREF1以上の顔画像サイズFSIZEが検出されたか否かが判定され、その判定が“肯定”であるとき第2乗車判定条件が充足し(ステップS12においてY)、その判定が“否定”であるとき第2乗車判定条件は不充足となる(ステップS12においてN)。即ち、対象人物について、顔画像サイズ増大期間の後、基準サイズREF1以上の顔画像サイズFSIZEが検出されたときに第2乗車判定条件が充足し、それ以外では第2乗車判定条件が充足しない。
【0050】
図9の例では、時刻t[k-4]及びt[k-1]間の期間(顔画像サイズ増大期間)の後、時刻t[k]で撮影及び取得されるカメラ画像CI[k]から基準サイズREF1以上の顔画像サイズFSIZEが検出されることが想定されている。このため、第2乗車判定条件が充足する。ステップS12において、第2乗車判定条件が充足する場合にはステップS13に進み、第2乗車判定条件が充足しない場合にはステップS15に進む。
【0051】
ステップS13では、第3乗車判定条件の充足又は不充足が判定される。具体的には、ステップS13では、第2乗車判定条件の充足を経て対象人物の顔画像FIが所定の乗車対応向きに移動したか否かが判定され、その判定が“肯定”であるとき第3乗車判定条件が充足し(ステップS13においてY)、その判定が“否定”であるとき第3乗車判定条件は不充足となる(ステップS13においてN)。つまり、図9のカメラ画像列520において、基準サイズREF1以上の顔画像サイズFSIZEがカメラ画像CI[k]にて検出されたことを前提に、その後に取得される複数のカメラ画像CI[k+1]~CI[k+N]において(換言すればカメラ画像CI[k+1]~CI[k+N]から成る動画像において)顔画像FIが所定の乗車対応向きに移動している場合に第3乗車判定条件が充足する。
【0052】
図8の如く設置されたカメラ21が用いられる場合において、被写体が位置514から位置515へと移動すると、当該被写体は画像座標系上でIX軸の負側から正側に移動するものとする(図4参照)。この移動の向きが乗車対応向きに設定される。故に、第1実施例において、乗車対応向きはIX軸の負側から正側に向かう向きである。図9の例では、基準サイズREF1以上の顔画像サイズFSIZEがカメラ画像CI[k]にて検出された後、カメラ画像CI[k+1]~CI[k+4]から成る動画像の中で顔画像FIが乗車対応向き(IX軸の負側から正側に向かう向き)に向けて移動することが想定されている。このため、第3乗車判定条件が充足する。
【0053】
尚、顔画像FIが乗車対応向きに向けて移動するとは、顔画像FIの移動が乗車対応向きへの移動の成分を含んでいるという意味であり、顔画像FIの移動が乗車対応向きに直交する方向への移動成分を含んでいても、顔画像FIの移動が乗車対応向きへの移動の成分を含んでいるのであれば、顔画像FIが乗車対応向きに向けて移動すると解釈される。また、基準サイズREF1以上の顔画像サイズFSIZEがカメラ画像CI[k]にて検出された後(即ち時刻t[k]の後)、所定時間(例えば0.5秒)以上の期間に亘って顔画像FIが乗車対応向きに向けて移動する期間が存在しているときに限り、第3乗車判定条件が充足すると判定するようにしても良い。微小期間だけ顔画像FIが移動するような状況を無視するためである。ステップS13において、第3乗車判定条件が充足する場合にはステップS14に進み、第3乗車判定条件が充足しない場合にはステップS15に進む。
【0054】
ステップS14では対象人物がバス1に乗車したと判定される(即ち対象人物がバス1に乗車する乗客であると判定される)。ステップS15では対象人物がバス1に乗車していないと判定される。ステップS14又はS15の判定を以って図10の乗車判定処理が終了する。
【0055】
図10の乗車判定処理からステップS11の処理を省略しても良い。即ち、図10の乗車判定処理を変形し、図11の乗車判定処理を行うようにしても良い。図11の乗車判定処理では、ステップS11が省略されているので第1乗車判定条件の充足又は不充足は判定されない。図11の乗車判定処理では、第1乗車判定条件の充足又は不充足に関係なく、第2及び第3乗車判定条件の双方が充足している場合には(ステップS12及びS13の双方においてY)対象人物がバス1に乗車したと判定され、それ以外の場合には(ステップS12又はS13においてN)対象人物がバス1に乗車していないと判定される。図11の乗車判定処理では、ステップS11が省略されているが故に、ステップS12において第1乗車判定条件に関わる考慮は行われない。即ち、図11の乗車判定処理におけるステップS12では、顔画像サイズ増大期間の存否に関係なく、基準サイズREF1以上の顔画像サイズFSIZEが検出されたときに第2乗車判定条件が充足する。
【0056】
このように、乗車客用カメラとして機能するカメラ21はバス1に乗車する人物(詳細にはバス1に乗車するために移動する人物)を撮影可能な位置に配置され、カメラ21にて対象人物(例えば人物PS)の顔画像FIを含むカメラ画像列(520)が取得される。図10又は図11の乗車判定処理を用いる場合、乗降車判定部32は、カメラ画像列(520)における特定のカメラ画像CI(図9の例においてカメラ画像CI[k])において所定の基準サイズREF1以上のサイズを有する顔画像FIが検出された後(ステップS12のY)、カメラ画像列(520)における特定のカメラ画像CI以降の複数のカメラ画像CI(図9の例においてカメラ画像CI[k+1]~CI[k+4])において顔画像FIの所定の乗車対応向きへの移動が検出されたとき(ステップS13のY)、顔画像FIに対応する対象人物(例えば人物PS)が、バス1に乗車する人物(バス1に乗車するために移動する人物)であると判定する(ステップS14)。
【0057】
このような乗車判定処理により乗客の乗車を精度良く検出することが可能となる。特に、第3乗車判定条件を考慮することにより、運賃箱3付近までバス1内に入って来たものの、そのままバス1から出ていく人物(例えば運転手にバス1の行き先を尋ねて、その結果を受けてバス1から出ていく人物)を、誤ってバス1に乗車した人物と誤認識することが抑制される。
【0058】
図10の乗車判定処理を用いる場合にあっては、乗降車判定部32は、カメラ画像列(520)における特定のカメラ画像CI以前の複数のカメラ画像(図9の例においてカメラ画像CI[k-4]~CI[k-1])において顔画像FIのサイズが時間経過とともに増大し(ステップS11のY)、且つ、特定のカメラ画像CI(図9の例においてカメラ画像CI[k])において所定の基準サイズREF1以上のサイズを有する顔画像FIが検出された後(ステップS12のY)、カメラ画像列(520)における特定のカメラ画像CI以降の複数のカメラ画像CI(図9の例においてカメラ画像CI[k+1]~CI[k+4])において顔画像FIの所定の乗車対応向きへの移動が検出されたとき(ステップS13のY)、顔画像FIに対応する対象人物(例えば人物PS)が、バス1に乗車する人物(バス1に乗車するために移動する人物)であると判定する(ステップS14)。このような乗車判定処理により乗客の乗車を更に精度良く検出することが可能となる。
【0059】
第1乗車判定条件も考慮した図10の乗車判定処理の方が、対象人物の乗車の有無をより精度良く判定することが可能であるが、用途によっては、図11の乗車判定処理でも十分な場合も多い。
【0060】
第1乗車判定条件の充足又は不充足を考慮して、信頼度を付加した形で乗車の有無判定を行っても良い。即ち図12の乗車判定処理を行うようにしても良い。図12の乗車判定処理もステップS11~S15の処理から成る。但し、図10の乗車判定処理とは以下の点で相違する。
【0061】
図12の乗車判定処理では、ステップS11の第1乗車判定条件の充足又は不充足の判定は行うが、第1乗車判定条件の充足又は不充足に関係なく、ステップS12に進んで第2乗車判定条件の充足又は不充足を判定するようにする。この際、ステップS11にて第1乗車判定条件が充足している場合に限り(ステップS11においてY)、初期値がゼロの所定の評価値Vに“1”を加算する。そして、第1乗車判定条件が充足している場合にあっては、顔画像サイズ増大期間の後、基準サイズREF1以上の顔画像サイズFSIZEが検出されたときに第2乗車判定条件が充足すると判定し(ステップS11のYを経由してステップS12においてY)、それ以外では第2乗車判定条件が充足しないと判定する(ステップS11のYを経由してステップS12においてN)。第1乗車判定条件が充足していない場合にあっては(ステップS11においてN)、顔画像サイズ増大期間が検出されていないので顔画像サイズ増大期間の存否に関係なく、基準サイズREF1以上の顔画像サイズFSIZEが検出されたときに第2乗車判定条件が充足すると判定し(ステップS11のNを経由してステップS12においてY)、それ以外では第2乗車判定条件が充足しないと判定する(ステップS11のNを経由してステップS12においてN)。ステップS12において第2乗車判定条件が充足すると判定された場合に限り(ステップS12においてY)、評価値Vに“1”を加算する。第2乗車判定条件の充足後に進むステップS13の処理は上述したとおりである。但し、ステップS13において第3乗車判定条件が充足すると判定された場合に限り(ステップS13においてY)、評価値Vに“1”を加算する。
【0062】
これにより、図12の乗車判定処理において、第1~第3乗車判定条件が全て充足する場合には“V=3”の状態でステップS14に進み、第1乗車判定条件が不充足で且つ第2及び第3乗車判定条件が充足する場合には“V=2”の状態でステップS14に進む。第2又は第3乗車判定条件が充足しない場合にはステップS15に進む。ステップS14では対象人物がバス1に乗車したと判定される(即ち対象人物がバス1に乗車する乗客であると判定される)。ステップS15では対象人物がバス1に乗車してないと判定される。ステップS14又はS15の判定を以って図12の乗車判定処理が終了する。
【0063】
評価値Vは対象人物がバス1に乗車したとの判定の信頼度を表す。乗降車判定部32は、信頼度を表す評価値Vを付加した乗車判定処理の結果を乗降車管理部37に出力することができる。乗降車管理部37は、例えば、対象人物がバス1に乗車したと判定された場合において、評価値Vの値が“2”であるときには対象人物に対してオート決裁機能による決済(クレジット決済等)を許可せず、評価値Vの値が“3”であるときには対象人物に対してオート決裁機能による決済を許可する、といったことが可能である。乗車人数を単にカウントする用途では“V=2”であっても問題は生じない又は少ないかもしれないが、オート決裁機能による決済(クレジット決済等)を利用する場合には高い信頼度を要求すべきだからである。
【0064】
<<第2実施例>>
第2実施例を説明する。第2実施例では、乗客の降車の検出にのみ注目し、降車の検出のための構成及び動作の例を説明する。第2実施例では、単位カメラの1つとしてカメラ22がカメラ部20に設けられ、図13に示す如く、カメラ22は運転席2の近傍の所定位置P22に設置される。図13において、斜線領域SR22はカメラ22の撮影領域を表している。カメラ22の光軸はWY軸に平行であって且つ所定位置P22からバス1の後方に向けて伸びており、撮影領域SR22は所定位置P22からバス1の後方に向けて(即ちWY軸の負側に向けて)広がる扇型状の領域である。当該扇型の中心角はカメラ22の撮影画角に対応する値を持つ。第2実施例において、扉4及び通路7によりバス1の降車口又は乗降車口が形成される。カメラ22は、扉4及び通路7を通じて降車する人物(バス1から降車するために移動する人物)を撮影可能な位置に配置される。第2実施例における以下のカメラ画像CIは、カメラ22の撮影に基づくカメラ画像CIを指す。
【0065】
今、図14に示す如く、人物PSが、移動軌跡561に沿って移動した後、移動軌跡562に沿って移動することで、バス1から降車するケースを考える。移動軌跡561は、バス1内の中央付近の位置563からバス1内の位置であって運賃箱3の左横の位置564に向かう軌跡である。移動軌跡562は、バス1内の位置564からバス1外の位置565に向かう軌跡であって、位置565は位置564をWX軸に沿ってWX軸の負側に所定距離だけ平行移動した位置であるとする。つまり、人物PSは、バス1から降車する際、移動軌跡561に沿ってバス1内を移動した後、移動軌跡562に沿って扉4及び通路7から成る降車口又は乗降車口を通過する。
【0066】
乗降車判定部32は顔検出部31と協働してカメラ画像CIに基づく降車判定処理を行う。人物PSが図14に示す移動軌跡561及び562に沿って移動することでバス1から降車する際、図15に示す如く、移動軌跡561に沿って人物PSが移動する過程で、カメラ画像CI中の人物PSの顔画像サイズは徐々に増大していった後に所定の基準サイズ以上となることが期待され、更に、移動軌跡562に沿って人物PSが移動する過程で人物PSの顔画像が画像座標系上で所定の向きに移動していって、最終的には所謂フレームアウトが発生することが期待される。このような特性を考慮して降車判定処理を行う。
【0067】
図16は降車判定処理のフローチャートである。撮影領域SR22内に位置する人物であって顔検出部31により顔が検出された人物の夫々が対象人物として取り扱われ、各対象人物に対し降車判定処理を行うことができる。図16の対象人物に関する降車判定処理において、顔画像サイズFSIZEとは対象人物の顔画像サイズFSIZEを指す。対象人物(例えば人物PS)の顔画像FIを夫々に含んだ複数のカメラ画像CIを有するカメラ画像列570(図15参照)に注目する。カメラ画像列570は、カメラ22の撮影結果に基づく時系列上に並んだカメラ画像CI[k-N]~CI[k+N]から成る。図15には、カメラ画像CI[k-N]~CI[k+N]の全部又は一部であるカメラ画像CI[k-4]~CI[k+4]が示されている。k、N及びNは任意の正の整数である(但し、本例において“N≧4”且つ“N≧4”)。カメラ画像CI[k-N]~CI[k+N]は、夫々、時刻t[k-N]~t[k+N]にて撮影及び取得されたカメラ画像CIである。カメラ画像列570の撮影期間580は、時刻t[k-N]から時刻t[k+N]までの期間である。対象人物の顔がカメラ22により撮影される期間の全部が、撮影期間580に相当する、又は、撮影期間580に内包される。
【0068】
降車判定処理では、対象人物がバス1から降車したか否かが判定される。図16の降車判定処理はステップS21~S25の処理から成る。
【0069】
図16の降車判定処理では、まずステップS21の処理が実行される。ステップS21では、第1降車判定条件の充足又は不充足が判定される。具体的には、ステップS21では、対象人物について顔画像サイズ増大期間が存在するか否かが判定される。対象人物について、顔画像サイズ増大期間が存在するとき、第1降車判定条件が充足して(ステップS21においてY)ステップS21からステップS22に進み、顔画像サイズ増大期間が存在しないとき、第1降車判定条件が充足せずに(ステップS21においてN)ステップS21からステップS25に進む。
【0070】
対象人物について、顔画像サイズ増大期間とは、上述したように、時間経過と共に対象人物の顔画像サイズFSIZEが増大する期間(例えば徐々に増大する期間)を指す。例えば、撮影期間580内にて検出される顔画像サイズFSIZEを所定間隔(例えば0.2秒間隔)で抽出し、抽出した複数の顔画像サイズFSIZEにおいて、顔画像サイズFSIZEが徐々に増大する期間が存在するとき顔画像サイズ増大期間が存在すると判定し、顔画像サイズFSIZEが徐々に増大する期間が存在しないとき顔画像サイズ増大期間が存在しないと判定する。図15の例では、時刻t[k-4]及びt[k-1]間の期間において時間経過と共に顔画像サイズFSIZEが増大しているため、顔画像サイズ増大期間が存在すると判定される。尚、所定時間(例えば1秒)以上の期間に亘って時間経過と共に顔画像サイズFSIZEが増大している期間が存在しているときに限り、当該期間を顔画像サイズ増大期間とみなすようにして良い。微小期間だけ顔画像サイズFSIZEが増大するような状況を無視するためである。
【0071】
ステップS22では、第2降車判定条件の充足又は不充足が判定される。具体的には、ステップS22では、第1降車判定条件の充足を経て所定の基準サイズREF2以上の顔画像サイズFSIZEが検出されたか否かが判定され、その判定が“肯定”であるとき第2降車判定条件が充足し(ステップS22においてY)、その判定が“否定”であるとき第2降車判定条件は不充足となる(ステップS22においてN)。即ち、対象人物について、顔画像サイズ増大期間の後、基準サイズREF2以上の顔画像サイズFSIZEが検出されたときに第2降車判定条件が充足し、それ以外では第2降車判定条件が充足しない。尚、基準サイズREF2は上述の基準サイズREF1とは異なる(但し、それらの値が偶然一致することもあり得る)。
【0072】
図15の例では、時刻t[k-4]及びt[k-1]間の期間(顔画像サイズ増大期間)の後、時刻t[k]で撮影及び取得されるカメラ画像CI[k]から基準サイズREF2以上の顔画像サイズFSIZEが検出されることが想定されている。このため、第2降車判定条件が充足する。ステップS22において、第2降車判定条件が充足する場合にはステップS23に進み、第2降車判定条件が充足しない場合にはステップS25に進む。
【0073】
ステップS23では、第3降車判定条件の充足又は不充足が判定される。具体的には、ステップS23では、第2降車判定条件の充足を経て対象人物の顔画像FIが所定の降車対応向きに移動したか否かが判定され、その判定が“肯定”であるとき(ステップS23においてY)第3降車判定条件が充足し、その判定が“否定”であるとき(ステップS23においてN)第3降車判定条件は不充足となる。つまり、図15のカメラ画像列570において、基準サイズREF2以上の顔画像サイズFSIZEがカメラ画像CI[k]にて検出されたことを前提に、その後に取得される複数のカメラ画像CI[k+1]~CI[k+N]において(換言すればカメラ画像CI[k+1]~CI[k+N]から成る動画像において)顔画像FIが所定の降車対応向きに移動している場合に第3降車判定条件が充足する。
【0074】
図14の如く設置されたカメラ22が用いられる場合において、被写体が位置564から位置565へと移動すると、当該被写体は画像座標系上でIX軸の正側から負側に移動するものとする(図4参照)。この移動の向きが降車対応向きに設定される。故に、第2実施例において、降車対応向きはIX軸の正側から負側に向かう向きである。図15の例では、基準サイズREF2以上の顔画像サイズFSIZEがカメラ画像CI[k]にて検出された後、カメラ画像CI[k+1]~CI[k+4]から成る動画像の中で顔画像FIが降車対応向き(IX軸の正側から負側に向かう向き)に向けて移動することが想定されている。このため、第3降車判定条件が充足する。
【0075】
尚、顔画像FIが降車対応向きに向けて移動するとは、顔画像FIの移動が降車対応向きへの移動の成分を含んでいるという意味であり、顔画像FIの移動が降車対応向きに直交する方向への移動成分を含んでいても、顔画像FIの移動が降車対応向きへの移動の成分を含んでいるのであれば、顔画像FIが降車対応向きに向けて移動すると解釈される。また、基準サイズREF2以上の顔画像サイズFSIZEがカメラ画像CI[k]にて検出された後(即ち時刻t[k]の後)、所定時間(例えば0.5秒)以上の期間に亘って顔画像FIが降車対応向きに向けて移動する期間が存在しているときに限り、第3降車判定条件が充足すると判定するようにしても良い。微小期間だけ顔画像FIが移動するような状況を無視するためである。ステップS23において、第3降車判定条件が充足する場合には(ステップS23においてY)ステップS24に進み、第3降車判定条件が充足しない場合には(ステップS23においてN)ステップS25に進む。
【0076】
ステップS24では対象人物がバス1から降車したと判定される(即ち対象人物がバス1から降車した乗客であると判定される)。ステップS25では対象人物がバス1から降車していないと判定される。ステップS24又はS25の判定を以って図16の降車判定処理が終了する。
【0077】
図16の降車判定処理からステップS21の処理を省略しても良い。即ち、図16の降車判定処理を変形し、図17の降車判定処理を行うようにしても良い。図17の降車判定処理では、ステップS21が省略されているので第1降車判定条件の充足又は不充足は判定されない。図17の降車判定処理では、第1降車判定条件の充足又は不充足に関係なく、第2及び第3降車判定条件の双方が充足している場合には(ステップS22及びS23の双方においてY)対象人物がバス1から降車したと判定され、それ以外の場合には(ステップS22又はS23においてN)対象人物がバス1から降車していないと判定される。図17の降車判定処理では、ステップS21が省略されているが故に、ステップS22において第1降車判定条件に関わる考慮は行われない。即ち、図17の降車判定処理におけるステップS22では、顔画像サイズ増大期間の存否に関係なく、基準サイズREF2以上の顔画像サイズFSIZEが検出されたときに第2降車判定条件が充足する。
【0078】
このように、降車客用カメラとして機能するカメラ22はバス1から降車する人物(詳細にはバス1から降車するために移動する人物)を撮影可能な位置に配置され、カメラ22にて対象人物(例えば人物PS)の顔画像FIを含むカメラ画像列(570)が取得される。図16又は図17の降車判定処理を用いる場合、乗降車判定部32は、カメラ画像列(570)における特定のカメラ画像CI(図15の例においてカメラ画像CI[k])において所定の基準サイズREF2以上のサイズを有する顔画像FIが検出された後(ステップS22のY)、カメラ画像列(570)における特定のカメラ画像CI以降の複数のカメラ画像CI(図15の例においてカメラ画像CI[k+1]~CI[k+4])において顔画像FIの所定の降車対応向きへの移動が検出されたとき(ステップS23のY)、顔画像FIに対応する対象人物(例えば人物PS)が、バス1から降車する人物(バス1から降車するために移動する人物)であると判定する(ステップS24)。
【0079】
このような降車判定処理により乗客の降車を精度良く検出することが可能となる。第2及び第3降車判定条件の双方を考慮することにより、バス1の座席6の最前列付近において降車することなくうろつく人物を、誤ってバス1から降車した人物と誤認識することが抑制される。このためにも、対象人物が運賃箱3近辺にまで近づいて初めて対象人物の顔画像サイズFSIZEが基準サイズREF2に達するよう、基準サイズREF2を定めておくと良い。
【0080】
図16の降車判定処理を用いる場合にあっては、乗降車判定部32は、カメラ画像列(570)における特定のカメラ画像CI以前の複数のカメラ画像(図15の例においてカメラ画像CI[k-4]~CI[k-1])において顔画像FIのサイズが時間経過とともに増大し(ステップS21のY)、且つ、特定のカメラ画像CI(図15の例においてカメラ画像CI[k])において所定の基準サイズREF2以上のサイズを有する顔画像FIが検出された後(ステップS22のY)、カメラ画像列(570)における特定のカメラ画像CI以降の複数のカメラ画像CI(図15の例においてカメラ画像CI[k+1]~CI[k+4])において顔画像FIの所定の降車対応向きへの移動が検出されたとき(ステップS23のY)、顔画像FIに対応する対象人物(例えば人物PS)が、バス1から降車する人物(バス1から降車するために移動する人物)であると判定する(ステップS24)。このような降車判定処理により乗客の降車を更に精度良く検出することが可能となる。
【0081】
第1降車判定条件も考慮した図16の降車判定処理の方が、対象人物の降車の有無をより精度良く判定することが可能であるが、用途によっては、図17の降車判定処理でも十分な場合も多い。
【0082】
第1降車判定条件の充足又は不充足を考慮して、信頼度を付加した形で降車の有無判定を行っても良い。即ち図18の降車判定処理を行うようにしても良い。図18の降車判定処理もステップS21~S25の処理から成る。但し、図16の降車判定処理とは以下の点で相違する。
【0083】
図18の降車判定処理では、ステップS21の第1降車判定条件の充足又は不充足の判定は行うが、第1降車判定条件の充足又は不充足に関係なく、ステップS22に進んで第2降車判定条件の充足又は不充足を判定するようにする。この際、ステップS21にて第1降車判定条件が充足している場合に限り(ステップS21においてY)、初期値がゼロの所定の評価値Vに“1”を加算する。そして、第1降車判定条件が充足している場合にあっては、顔画像サイズ増大期間の後、基準サイズREF2以上の顔画像サイズFSIZEが検出されたときに(ステップS21のYを経由してステップS22においてY)第2降車判定条件が充足すると判定し、それ以外では(ステップS21のYを経由してステップS22においてN)第2降車判定条件が充足しないと判定する。第1降車判定条件が充足していない場合にあっては、顔画像サイズ増大期間が検出されていないので顔画像サイズ増大期間の存否に関係なく、基準サイズREF2以上の顔画像サイズFSIZEが検出されたときに(ステップS21のNを経由してステップS22においてY)第2降車判定条件が充足すると判定し、それ以外では(ステップS21のNを経由してステップS22においてN)第2降車判定条件が充足しないと判定する。ステップS22において第2降車判定条件が充足すると判定された場合に限り(ステップS22においてY)、評価値Vに“1”を加算する。第2降車判定条件の充足後に進むステップS23の処理は上述したとおりである。但し、ステップS23において第3降車判定条件が充足すると判定された場合に限り(ステップS23においてY)、評価値Vに“1”を加算する。
【0084】
これにより、図18の降車判定処理において、第1~第3降車判定条件が全て充足する場合には“V=3”の状態でステップS24に進み、第1降車判定条件が不充足で且つ第2及び第3降車判定条件が充足する場合には“V=2”の状態でステップS24に進む。第2又は第3降車判定条件が充足しない場合にはステップS25に進む。ステップS24では対象人物がバス1から降車したと判定される(即ち対象人物がバス1から降車する乗客であると判定される)。ステップS25では対象人物がバス1から降車してないと判定される。ステップS24又はS25の判定を以って図18の降車判定処理が終了する。
【0085】
評価値Vは対象人物がバス1から降車したとの判定の信頼度を表す。乗降車判定部32は、信頼度を表す評価値Vを付加した降車判定処理の結果を乗降車管理部37に出力することができる。乗降車管理部37は、例えば、対象人物がバス1から降車したと判定された場合において、評価値Vの値が“2”であるときには対象人物に対してオート決裁機能による決済(クレジット決済等)を許可せず、評価値Vの値が“3”であるときには対象人物に対してオート決裁機能による決済を許可する、といったことが可能である。降車人数を単にカウントする用途では“V=2”であっても問題は生じない又は少ないかもしれないが、オート決裁機能による決済(クレジット決済等)を利用する場合には高い信頼度を要求すべきだからである。
【0086】
尚、バス1の座席構造によるが、座席6の最前列に座っていた乗客がバス1から降車するべく立ち上がって運賃箱3付近に向かうとき、顔画像サイズ増大期間の検出を経ずに、基準サイズREF2以上の顔画像サイズFSIZEが検出されることもあり得る。このような事情を考慮して、図16図17及び図18の何れかの降車判定処理を実行すれば良い。
【0087】
<<第3実施例>>
第3実施例を説明する。第3実施例では、乗客の乗車の検出にのみ注目し、乗車の検出のための構成及び動作の例を説明する。第3実施例では、単位カメラの1つとしてカメラ23がカメラ部20に設けられ、図19に示す如く、カメラ23はバス1の車内中央付近且つ右端側の所定位置P23に設置される。図19において、斜線領域SR23はカメラ23の撮影領域を表している。カメラ23の光軸はWX軸に平行であって且つ所定位置P23からWX軸の負側に向けて且つ扉5に向けて伸びている。故に、撮影領域SR23は所定位置P23から扉5に向けて(即ちWX軸の負側に向けて)広がる扇型状の領域である。当該扇型の中心角はカメラ23の撮影画角に対応する値を持つ。第3実施例において、扉5及び通路8によりバス1の乗車口又は乗降車口が形成される。カメラ23は、扉5及び通路8を通じて乗車する人物(乗車するために移動する人物)を撮影可能な位置に配置される。第3実施例における以下のカメラ画像CIは、カメラ23の撮影に基づくカメラ画像CIを指す。
【0088】
今、図20に示す如く、人物PSが、移動軌跡611に沿って移動した後、移動軌跡612a又は612bに沿って移動することで、バス1に乗車するケースを考える。移動軌跡611はバス1の外側の位置613からバス1内の位置614に向かう軌跡である。位置614は位置613をWX軸に沿ってWX軸の正側に所定距離だけ平行移動した位置であるとする。移動軌跡612aはバス1内の位置614からバス1内の位置615aに向かう軌跡であり、移動軌跡612bはバス1内の位置614からバス1内の位置615bに向かう軌跡である。位置615aは位置614をWY軸に沿ってWY軸の負側に所定距離だけ平行移動した位置であるとし、位置615bは位置614をWY軸に沿ってWY軸の正側に所定距離だけ平行移動した位置であるとする。つまり、人物PSは、バス1へ乗車する際、移動軌跡611に沿ってバス1の外側から内側に移動し、その移動の過程で扉5及び通路8から成る乗車口又は乗降車口を通過し、その後、移動軌跡612a又は612bに沿って(バス1の後側又は前側に向けて)移動する。
【0089】
乗降車判定部32は顔検出部31と協働してカメラ画像CIに基づく乗車判定処理を行う。人物PSが図20に示す移動軌跡611と移動軌跡612a又は612bとに沿って移動することでバス1に乗車する際、移動軌跡611に沿って人物PSが移動する過程で、カメラ画像CI中の人物PSの顔画像サイズは徐々に増大していった後に所定の基準サイズ以上となることが期待され、更に、移動軌跡612a又は612bに沿って人物PSが移動する過程で人物PSの顔画像が画像座標系上で所定の向きに移動していって、最終的には所謂フレームアウトが発生することが期待される。このような特性を考慮して乗車判定処理を行う。
【0090】
第3実施例において、乗車判定処理の内容は第1実施例で示したものと同様であり、カメラ画像列520に基づいて乗車判定処理を行うことができる。但し、第3実施例において、カメラ画像列520は、カメラ23の撮影結果に基づく時系列上に並んだカメラ画像CI[k-N]~CI[k+N]から成ると解される(図9参照)。
【0091】
また、図20の如く設置されたカメラ23が用いられる場合において、被写体が位置614から位置615aへと移動すると当該被写体は画像座標系上でIX軸の負側から正側に移動するものとし、被写体が位置614から位置615bへと移動すると当該被写体は画像座標系上でIX軸の正側から負側に移動するものとする(図4参照)。第3実施例では、これらの移動の向きが乗車対応向きに設定される。つまり、第3実施例において、乗車対応向き(図10のステップS13参照)には、IX軸の負側から正側に向かう向きである第1乗車対応向きと、IX軸の正側から負側に向かう向きである第2乗車対応向きとがある。故に、ステップS13では、第2乗車判定条件の充足を経て対象人物の顔画像FIが第1又は第2乗車対応向きに移動したか否かが判定され、その判定が“肯定”であるとき第3乗車判定条件が充足し、その判定が“否定”であるとき第3乗車判定条件は不充足となる。例えば、カメラ23の撮影結果に基づくカメラ画像列520(図9参照)において、基準サイズREF1以上の顔画像サイズFSIZEがカメラ画像CI[k]にて検出されたことを前提に、その後に取得される複数のカメラ画像CI[k+1]~CI[k+N]において(換言すればカメラ画像CI[k+1]~CI[k+N]から成る動画像において)顔画像FIが第1又は第2乗車対応向きに移動している場合に第3乗車判定条件が充足する。
【0092】
第1実施例で上述した乗車判定処理の内容は矛盾なき限り全て第3実施例に適用可能である。従って、第3実施例においても、図10図11及び図12の何れかの乗車判定処理を行うことができる。
【0093】
<<第4実施例>>
第4実施例を説明する。第4実施例では、乗客の乗車の検出にのみ注目し、乗車の検出のための構成及び動作の例を説明する。第4実施例では、単位カメラの1つとしてカメラ24がカメラ部20に設けられ、図21に示す如く、カメラ24はバス1の車内中央付近且つ扉5の近傍の所定位置P24に設置される。図21において、斜線領域SR24はカメラ24の撮影領域を表している。カメラ24の光軸はWX軸及びWY軸に対して斜めを向いており、その向きはWX軸の負側に向かう成分とWY軸の正側に向かう成分を含む。撮影領域SR24は所定位置P24から扉5に向けて斜め向きに広がる扇型状の領域である。当該扇型の中心角はカメラ24の撮影画角に対応する値を持つ。第4実施例において、扉5及び通路8によりバス1の乗車口又は乗降車口が形成される。カメラ24は、扉5及び通路8を通じて乗車する人物(乗車するために移動する人物)を撮影可能な位置に配置される。第4実施例における以下のカメラ画像CIは、カメラ24の撮影に基づくカメラ画像CIを指す。
【0094】
今、図22に示す如く、人物PSが、移動軌跡631に沿って移動することでバス1に乗車するケースを考える。移動軌跡631はバス1の外側の位置633からバス1内の位置634に向かう軌跡である。位置634は位置633をWX軸に沿ってWX軸の正側に所定距離だけ平行移動した位置であるとする。つまり、人物PSは、バス1へ乗車する際、移動軌跡631に沿ってバス1の外側から内側に移動し、その移動の過程で扉5及び通路8から成る乗車口又は乗降車口を通過する。位置634は撮影領域SR24外である。位置634に達した後の、人物PSのバス1内の移動は任意である。
【0095】
乗降車判定部32は顔検出部31と協働してカメラ画像CIに基づく乗車判定処理を行う。人物PSが図22に示す移動軌跡631に沿って移動することでバス1に乗車する際、カメラ画像CI中の人物PSの顔画像サイズは徐々に増大していった後に基準サイズ以上となることが期待され、その後、人物PSの顔画像が画像座標系上で所定の向きに移動していって、最終的には所謂フレームアウトが発生することが期待される。このような特性を考慮して乗車判定処理を行う。
【0096】
第4実施例において、乗車判定処理の内容は第1実施例で示したものと同様であり、カメラ画像列520に基づいて乗車判定処理を行うことができる。但し、第4実施例において、カメラ画像列520は、カメラ24の撮影結果に基づく時系列上に並んだカメラ画像CI[k-N]~CI[k+N]から成ると解される(図9参照)。
【0097】
また、図22の如く設置されたカメラ24が用いられる場合において、被写体が位置633から位置634へと移動する過程で当該被写体は画像座標系上でIX軸の正側から負側に移動するものとする(図4参照)。第4実施例では、この移動の向きが乗車対応向きに設定される。つまり、第4実施例において、乗車対応向き(図10のステップS13参照)はIX軸の正側から負側に向かう向きである。
【0098】
第1実施例で上述した乗車判定処理の内容は矛盾なき限り全て第4実施例に適用可能である。従って、第4実施例においても、図10図11及び図12の何れかの乗車判定処理を行うことができる。
【0099】
第3実施例に示したカメラ23(図20参照)及び第4実施例に示したカメラ24(図22参照)の双方をカメラ部20に設け、カメラ23及び24の各カメラ画像CIに基づいて対象人物のバス1への乗車有無を判定するようにしても良い。複数のカメラのカメラ画像CIを参照することで乗車有無判定の精度向上が期待される。
【0100】
<<第5実施例>>
第5実施例を説明する。第5実施例では、乗客の降車の検出にのみ注目し、降車の検出のための構成及び動作の例を説明する。第5実施例では、2つの単位カメラとしてカメラ25及び26がカメラ部20に設けられ、図23に示す如く、カメラ25は扉5近傍の所定位置P25に設置され、カメラ26は扉5近傍の所定位置P26に設置される。図23において(後述の図24及び図25も参照)、斜線領域SR25はカメラ25の撮影領域を表しており、ドット領域SR26はカメラ26の撮影領域を表している。カメラ25の光軸はWX軸及びWY軸に対して斜めを向いており、その向きはWX軸の正側に向かう成分とWY軸の正側に向かう成分を含む。撮影領域SR25は所定位置P25からバス1の前方斜め向きに広がる扇型状の領域であって、当該扇型の中心角はカメラ25の撮影画角に対応する値を持つ。カメラ26の光軸はWX軸及びWY軸に対して斜めを向いており、その向きはWX軸の正側に向かう成分とWY軸の負側に向かう成分を含む。撮影領域SR26は所定位置P26からバス1の後方斜め向きに広がる扇型状の領域であって、当該扇型の中心角はカメラ26の撮影画角に対応する値を持つ。第5実施例において、扉5及び通路8によりバス1の降車口又は乗降車口が形成される。図23の例において、位置P26は位置P25をWY軸の正側に向け所定距離だけ平行移動した位置に相当するが、位置P25及びP26の関係は任意である。何れにせよ、カメラ25及び26の夫々は、扉5及び通路8を通じて降車する人物(降車するために移動する人物)を撮影可能な位置に配置される。第5実施例における以下のカメラ画像CIは、カメラ25又は26の撮影に基づくカメラ画像CIを指す。
【0101】
バス1の車内に位置する人物PSが扉5を通過してバス1から降車するパターンとして、図24に示す第1降車パターンと、図25に示す第2降車パターンと、がある。
【0102】
第1降車パターンにおいて、人物PSは、バス1内をバス1の後方側に向けて移動した後、扉5を通過してバス1から降車する。具体的には、図24の第1降車パターンでは、人物PSが移動軌跡661に沿って位置663から位置664までの移動した後、移動軌跡662に沿って位置664から位置665まで移動する。位置663及び664はバス内の位置であって、位置665はバス1外の位置である。移動軌跡661はWY軸に平行であって、位置664は位置663をWY軸に沿ってWY軸の負側に所定距離だけ平行移動した位置であるとする。移動軌跡662はWX軸に平行であって、位置665は位置664をWX軸に沿ってWX軸の負側に所定距離だけ平行移動した位置であるとする。
【0103】
第2降車パターンにおいて、人物PSは、バス1内をバス1の前方側に向けて移動した後、扉5を通過してバス1から降車する。具体的には、図25の第2降車パターンでは、人物PSが移動軌跡671に沿って位置673から位置674までの移動した後、移動軌跡672に沿って位置674から位置675まで移動する。位置673及び674はバス内の位置であって、位置675はバス1外の位置である。移動軌跡671はWY軸に平行であって、位置674は位置673をWY軸に沿ってWY軸の正側に所定距離だけ平行移動した位置であるとする。移動軌跡672はWX軸に平行であって、位置675は位置674をWX軸に沿ってWX軸の負側に所定距離だけ平行移動した位置であるとする。
【0104】
第5実施例では、カメラ25の撮影結果に基づくカメラ画像CIを用いて第1降車パターンによる乗客の降車の有無を判定し、カメラ26の撮影結果に基づくカメラ画像CIを用いて第2降車パターンによる乗客の降車の有無を判定する。人物PSが図24の第1降車パターンにてバス1から降車する際、移動軌跡661に沿って人物PSが移動する過程で、カメラ25のカメラ画像CI中の人物PSの顔画像サイズは徐々に増大していった後所定の基準サイズ以上となることが期待され、更に、移動軌跡662に沿って人物PSが移動する過程で人物PSの顔画像が画像座標系上で所定の向きに移動していって、最終的には所謂フレームアウトが発生することが期待される。図25の第2降車パターンにてバス1から降車する際も同様である。このような特性を考慮して降車判定処理を行えば良い。
【0105】
第5実施例において、乗降車判定部32は、カメラ25の撮影結果に基づく降車判定処理(以下、特に第1降車判定処理と称する)とカメラ26の撮影結果に基づく降車判定処理(以下、特に第2降車判定処理と称する)とを行う。それらの降車判定処理の内容は第2実施例で示したものと同様である。但し、第2実施例の記載を第5実施例に適用する際、第1降車判定処理においてカメラ画像列570(図15参照)は、カメラ25の撮影結果に基づく時系列上に並んだカメラ画像CI[k-N]~CI[k+N]から成ると解され、且つ、第2降車判定処理においてカメラ画像列570は、カメラ26の撮影結果に基づく時系列上に並んだカメラ画像CI[k-N]~CI[k+N]から成ると解される。
【0106】
また、図24の如く設置されたカメラ25が用いられる場合において、被写体が位置664から位置665へと移動すると(図24参照)当該被写体はカメラ25の画像座標系上でIX軸の負側から正側に移動するものとする。故に、第1降車判定処理における降車対応向き(図16のステップS23参照)は、IX軸の負側から正側に向かう向きに設定される。図25の如く設置されたカメラ26が用いられる場合において、被写体が位置674から位置675へと移動すると(図25参照)当該被写体はカメラ26の画像座標系上でIX軸の正側から負側に移動するものとする。故に、第2降車判定処理における降車対応向き(図16のステップS23参照)は、IX軸の正側から負側に向かう向きに設定される。
【0107】
第2実施例で上述した降車判定処理の内容は矛盾なき限り全て第5実施例に適用可能である。従って、第5実施例の各降車判定処理においても、図16図17及び図18の何れかの降車判定処理を行うことができる。
【0108】
<<第6実施例>>
第6実施例を説明する。バス1の構造等に応じて第1~第5実施例を任意の組み合わせることができる。
【0109】
例えば、図7及び図8に対応する第1実施例と図13及び図14に対応する第2実施例とを組み合わせることができ、この場合、扉4及び通路7によりバス1の乗降車口が形成される(この際、扉5及び通路8は削除されても良い)。勿論、図7及び図8に対応する第1実施例と図23図25に対応する第5実施例とを組み合わせても良い。
【0110】
また例えば、図19及び図20に対応する第3実施例又は図21及び図22に対応する第4実施例と、図23図25に対応する第5実施例とを組み合わせることができ、この場合、扉5及び通路8によりバス1の乗降車口が形成される(この際、扉4及び通路7は削除されても良い)。勿論、図19及び図20に対応する第3実施例又は図21及び図22に対応する第4実施例と、図13及び図14に対応する第2実施例とを組み合わせても良い。
【0111】
尚、カメラ部20に1台又は2台のカメラが設けられる場合を想定した幾つかの実施例を上述したが、カメラ部20に設けられるカメラの台数は1以上であれば任意であり、複数のカメラを用いることで、バス1への乗車又はバス1からの降車の判定精度を高めることが可能である。
【0112】
上述の各実施例において想定したカメラの設置状況に応じた乗車対応向き及び降車対応向きを説明したが、乗車対応向き及び降車対応向きは、実際のカメラの設置状況及びバス1の構造に応じて様々となる。
【0113】
乗車を輸送する車両としてバスを想定したが、本発明に係る車載装置10が搭載されるべき車両はバスに分類されない車両であっても良い。
【0114】
乗降車判定部32は、乗車判定処理及び降車判定処理の双方を行う判定部であっても良いし、乗車判定処理及び降車判定処理の内、一方の処理のみを行う判定部であっても良い。
【0115】
本発明に係る任意の装置(例えば車載装置10又は信号処理部30)である対象装置を、集積回路等のハードウェア、或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって構成することができる。対象装置にて実現される機能の全部又は一部である任意の特定の機能をプログラムとして記述して、該プログラムを対象装置に搭載可能なメモリに保存しておいても良い。そして、該プログラムをプログラム実行装置(例えば、対象装置に搭載可能なマイクロコンピュータ)上で実行することによって、その特定の機能を実現するようにしてもよい。上記プログラムは任意の記録媒体に記憶及び固定されうる。上記プログラムを記憶及び固定する記録媒体は対象装置と異なる機器に搭載又は接続されても良い。
【0116】
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
【符号の説明】
【0117】
1 バス
2 運転席
3 運賃箱
4、5 扉
6 座席
7、8 通路
10 車載装置
20 カメラ部
21~26 カメラ
30 信号処理部
31 顔検出部
32 乗降車判定部
33 個人識別用データ保持部
34 個人識別部
35 日時データ取得部
36 地点データ取得部
37 乗降車管理部
40 通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25