(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】検査装置及び検査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 29/32 20060101AFI20231121BHJP
G01N 29/04 20060101ALI20231121BHJP
G07D 7/08 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
G01N29/32
G01N29/04
G07D7/08
(21)【出願番号】P 2020148073
(22)【出願日】2020-09-03
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】中井 豊
(72)【発明者】
【氏名】小野 富男
(72)【発明者】
【氏名】山本 紀子
(72)【発明者】
【氏名】逸見 和弘
【審査官】比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-158772(JP,A)
【文献】特開2001-351141(JP,A)
【文献】特開2013-063820(JP,A)
【文献】特開2018-132481(JP,A)
【文献】特開平07-286999(JP,A)
【文献】特開昭58-198332(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0108473(US,A1)
【文献】米国特許第04976150(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N29/00-G01N29/52
G07D 7/00-G07D 7/207
G01B17/00-G01B17/08
A61B 8/00-A61B 8/15
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1周期Tpの複数のバースト波を含む第1超音波を送信可能な送信部と、
前記第1超音波が入射し、前記入射した前記第1超音波に応じた信号を出力可能な受信部と、
前記送信部と前記受信部との間に設けられ検査対象を支持可能な支持部と、
を備え、
前記第1周期Tp(s)、距離Dx(m)、及び、速度vx(m/s)は、
2Dx/{(n+1)・vx} < Tp < 2Dx/(n・vx)
を満たし、
前記nは、
1であり、
前記距離Dxは、第1距離及び第2距離の長くない方の距離であり、
前記第1距離は、前記送信部と前記支持部との間の前記送信部から前記受信部への第1方向に沿う距離であり、
前記第2距離は、前記支持部と前記受信部との間の前記第1方向に沿う距離であり、
前記速度vxは、前記送信部と前記受信部との間の空間における前記第1超音波の伝搬速度であ
り、
前記第1方向は、前記送信部と前記受信部とを直線で結んだときの前記直線上における方向であり、
前記複数のバースト波の1つは第1時間幅Twを有し、
前記第1周期Tp(s)、前記距離Dx(m)、前記速度vx(m/s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
Tw < (2Dx/vx-Tp)×2
を満たし、
前記第1周期Tp(s)、前記距離Dx(m)、前記速度vx(m/s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
Tw< (2Tp-2Dx/vx)×2
を満たす、検査装置。
【請求項2】
第1周期Tpの複数のバースト波を含む第1超音波を送信可能な送信部と、
前記第1超音波が入射し、前記入射した前記第1超音波に応じた信号を出力可能な受信部と、
前記送信部と前記受信部との間に設けられ検査対象を支持可能な支持部と、
を備え、
前記第1周期Tp(s)、距離Dx(m)、及び、速度vx(m/s)は、
2Dx/{(n+1)・vx} < Tp < 2Dx/(n・vx)
を満たし、
前記nは、
1であり、
前記距離Dxは、第1距離及び第2距離の長くない方の距離であり、
前記第1距離は、前記送信部と前記支持部との間の前記送信部から前記受信部への第1方向に沿う距離であり、
前記第2距離は、前記支持部と前記受信部との間の前記第1方向に沿う距離であり、
前記速度vxは、前記送信部と前記受信部との間の空間における前記第1超音波の伝搬速度であ
り、
前記第1方向は、前記送信部と前記受信部とを直線で結んだときの前記直線上における方向であり、
前記複数のバースト波の1つは第1時間幅Twを有し、
前記第1周期Tp(s)、前記距離Dx(m)、前記速度vx(m/s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
Tw < (2Dx/vx-Tp)×2
を満たし、
前記第1周期Tp(s)、前記距離Dx(m)、前記速度vx(m/s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
Tw< (2Tp-2Dx/vx)×4/3
を満たす、検査装置。
【請求項3】
第1周期Tpの複数のバースト波を含む第1超音波を送信可能な送信部と、
前記第1超音波が入射し、前記入射した前記第1超音波に応じた信号を出力可能な受信部と、
前記送信部と前記受信部との間に設けられ検査対象を支持可能な支持部と、
を備え、
前記第1周期Tp(s)、距離Dx(m)、及び、速度vx(m/s)は、
2Dx/{(n+1)・vx} < Tp < 2Dx/(n・vx)
を満たし、
前記nは、
1であり、
前記距離Dxは、第1距離及び第2距離の長くない方の距離であり、
前記第1距離は、前記送信部と前記支持部との間の前記送信部から前記受信部への第1方向に沿う距離であり、
前記第2距離は、前記支持部と前記受信部との間の前記第1方向に沿う距離であり、
前記速度vxは、前記送信部と前記受信部との間の空間における前記第1超音波の伝搬速度であ
り、
前記第1方向は、前記送信部と前記受信部とを直線で結んだときの前記直線上における方向であり、
前記複数のバースト波の1つは第1時間幅Twを有し、
前記第1周期Tp(s)、前記距離Dx(m)、前記速度vx(m/s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
Tw < (2Dx/vx-Tp)×2
を満たし、
前記第1周期Tp(s)、前記距離Dx(m)、前記速度vx(m/s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
Tw< (2Tp-2Dx/vx)
を満たす、検査装置。
【請求項4】
前記送信部は、前記第1超音波を出射する変形可能な第1膜部を含み、
前記第1距離は、前記第1膜部と前記支持部との間の前記第1方向に沿う距離であり、
前記受信部は、受信した前記第1超音波により変形可能な第2膜部を含み、
前記第2距離は、前記支持部と前記第2膜部との間の前記第1方向に沿う距離である、請求項1
~3のいずれか1つに記載の検査装置。
【請求項5】
前記送信部と前記支持部との間に設けられ、前記第1超音波が通過する第1導波路と、
前記支持部と前記受信部との間に設けられ、前記第1超音波が通過する第2導波路と、
をさらに備え、
前記第2導波路を通過した前記第1超音波が前記受信部に入射する、請求項1~
4のいずれか1つに記載の検査装置。
【請求項6】
前記第1導波路は、前記支持部から離れ、
前記第2導波路は、前記支持部から離れた、請求項
5記載の検査装置。
【請求項7】
第1周期Tpの複数のバースト波を含む第1超音波を送信部から検査対象に向けて送信し、
前記検査対象を通過した前記第1超音波を受信部で受信して前記検査対象を検査し、
前記第1周期Tp(s)、距離Dx(m)、及び、速度vx(m/s)は、
2Dx/{(n+1)・vx} < Tp < 2Dx/(n・vx)
を満たし、
前記nは、
1であり、
前記距離Dxは、第1距離及び第2距離の長くない方の距離であり、
前記第1距離は、前記検査対象と前記送信部との間の前記送信部から前記受信部への第1方向に沿う距離であり、
前記第2距離は、前記検査対象と前記受信部との間の前記第1方向に沿う距離であり、
前記速度vxは、前記送信部と前記受信部との間の空間における前記第1超音波の伝搬速度であ
り、
前記第1方向は、前記送信部と前記受信部とを直線で結んだときの前記直線上における方向であり、
前記複数のバースト波の1つは第1時間幅Twを有し、
前記第1周期Tp(s)、前記距離Dx(m)、前記速度vx(m/s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
Tw < (2Dx/vx-Tp)×2
を満たし、
前記第1周期Tp(s)、前記距離Dx(m)、前記速度vx(m/s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
Tw< (2Tp-2Dx/vx)×2
を満たす、検査方法。
【請求項8】
第1周期Tpの複数のバースト波を含む第1超音波を送信部から検査対象に向けて送信し、
前記検査対象を通過した前記第1超音波を受信部で受信して前記検査対象を検査し、
前記第1周期Tp(s)、距離Dx(m)、及び、速度vx(m/s)は、
2Dx/{(n+1)・vx} < Tp < 2Dx/(n・vx)
を満たし、
前記nは、
1であり、
前記距離Dxは、第1距離及び第2距離の長くない方の距離であり、
前記第1距離は、前記検査対象と前記送信部との間の前記送信部から前記受信部への第1方向に沿う距離であり、
前記第2距離は、前記検査対象と前記受信部との間の前記第1方向に沿う距離であり、
前記速度vxは、前記送信部と前記受信部との間の空間における前記第1超音波の伝搬速度であ
り、
前記第1方向は、前記送信部と前記受信部とを直線で結んだときの前記直線上における方向であり、
前記複数のバースト波の1つは第1時間幅Twを有し、
前記第1周期Tp(s)、前記距離Dx(m)、前記速度vx(m/s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
Tw < (2Dx/vx-Tp)×2
を満たし、
前記第1周期Tp(s)、前記距離Dx(m)、前記速度vx(m/s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
Tw< (2Tp-2Dx/vx)×4/3
を満たす、検査方法。
【請求項9】
第1周期Tpの複数のバースト波を含む第1超音波を送信部から検査対象に向けて送信し、
前記検査対象を通過した前記第1超音波を受信部で受信して前記検査対象を検査し、
前記第1周期Tp(s)、距離Dx(m)、及び、速度vx(m/s)は、
2Dx/{(n+1)・vx} < Tp < 2Dx/(n・vx)
を満たし、
前記nは、
1であり、
前記距離Dxは、第1距離及び第2距離の長くない方の距離であり、
前記第1距離は、前記検査対象と前記送信部との間の前記送信部から前記受信部への第1方向に沿う距離であり、
前記第2距離は、前記検査対象と前記受信部との間の前記第1方向に沿う距離であり、
前記速度vxは、前記送信部と前記受信部との間の空間における前記第1超音波の伝搬速度であ
り、
前記第1方向は、前記送信部と前記受信部とを直線で結んだときの前記直線上における方向であり、
前記複数のバースト波の1つは第1時間幅Twを有し、
前記第1周期Tp(s)、前記距離Dx(m)、前記速度vx(m/s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
Tw < (2Dx/vx-Tp)×2
を満たし、
前記第1周期Tp(s)、前記距離Dx(m)、前記速度vx(m/s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
Tw< (2Tp-2Dx/vx)
を満たす、検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば超音波などを用いた検査装置がある。検出感度の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、検出感度を向上できる検査装置及び検査方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、検査装置は、送信部と、受信部と、支持部と、を含む。前記送信部は、第1周期Tpの複数のバースト波を含む第1超音波を送信可能である。前記受信部は、前記第1超音波が入射し、前記入射した前記第1超音波に応じた信号を出力可能である。前記支持部は、前記送信部と前記受信部との間に設けられ検査対象を支持可能である。前記第1周期Tp(s)、距離Dx(m)、及び、速度vx(m/s)は、2Dx/{(n+1)・vx} < Tp < 2Dx/(n・vx)を満たす。前記nは、1または2である。前記距離Dxは、第1距離及び第2距離の長くない方の距離である。前記第1距離は、前記送信部と前記支持部との間の前記送信部から前記受信部への第1方向に沿う距離である。前記第2距離は、前記支持部と前記受信部との間の前記第1方向に沿う距離である。前記速度vxは、前記送信部と前記受信部との間の空間における前記第1超音波の伝搬速度である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式的側面図である。
【
図2】
図2(a)~
図2(f)は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式図である。
【
図3】
図3(a)~
図3(f)は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式的側面図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係る検査方法を例示するフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式的側面図である。
図1に示すように、実施形態に係る検査装置110は、送信部10と、受信部20と、支持部60と、を含む。
【0009】
送信部10は、第1超音波10wを送信可能である。第1超音波10wは、第1周期Tpの複数のバースト波を含む。第1超音波10wの例については、後述する。
【0010】
受信部20には、第1超音波10wが入射する。受信部20に入射する第1超音波10wは、送信部10から出射した第1超音波10wの直接波の他に、第1超音波10wが種々の部材で反射した反射波を含んでも良い。受信部20は、受信部20に入射した第1超音波10wに応じた信号Sdを出力可能である。
【0011】
支持部60は、送信部10と受信部20との間に設けられる。支持部60は、検査対象80を支持可能である。
【0012】
この例では、支持部60は、第1搬送部61(例えばローラ)及び第2搬送部62(例えばローラ)により搬送される。支持部60の上に検査対象80が置かれる。支持部60の搬送に伴って、検査対象80が搬送方向60Dに沿って搬送される。
【0013】
検査対象80は、例えば紙幣などである。検査対象は、有価証券などの書類でも良い。検査対象80の材料は任意である。
【0014】
例えば、送信部10は、変形可能な第1膜部11を含む。第1膜部11は、第1超音波10wを出射する。送信部10に送信回路10Dが接続される。送信回路10Dからの駆動信号Svにより、第1膜部11が変形して、第1超音波10wが出射する。第1膜部11の変形は、例えば、圧電素子などにより生じる。
【0015】
例えば、受信部20は、変形可能な第2膜部21を含む。第2膜部21は、受信した第1超音波10wにより変形する。第2膜部21の変形に伴って信号Sdが得られる。例えば、第2膜部21の変形が、圧電素子などにより電気信号に変換される。
【0016】
例えば、制御部70が設けられても良い。制御部70は、例えば、送信回路10Dに制御信号Scを供給する。送信回路10Dは、制御信号Scに応じて、第1膜部11を変形させる。これにより、送信部10から第1超音波10wが出射する。送信部10から出射した第1超音波10wは、例えば、検査対象80を通過して、受信部20に入射する。受信部20に入射する第1超音波10wは、検査対象80の状態に応じて、変化する。変化する第1超音波10wが受信部20で受信される。受信部20から出力される信号Sdは、検査対象80の状態を反映している。例えば、信号Sdが、制御部70に供給される。制御部70は、信号Sdを処理して、検査信号S1を出力可能である。検査信号S1は、検査対象80の検査結果に関する情報を含む。
【0017】
検査装置110は、送信回路10D及び受信回路20Dを含んでも良い。検査装置110は、制御部70を含んでも良い。制御部70は、CPU(Central Processing Unit)などの電気回路(例えばコンピュータなど)を含んでも良い。
【0018】
送信部10から出射する第1超音波10wは、送信回路10Dからの駆動信号Svにより制御される。例えば、第1超音波10wの第1周期Tpが、駆動信号Svにより制御できる。例えば、複数のバースト波の1つの時間幅が、駆動信号Svにより制御できる。送信回路10Dからの駆動信号Svは、制御部70からの制御信号Scで制御されても良い。この場合、例えば、第1超音波10wの第1周期Tpが、制御部70により制御されても良い。例えば、複数のバースト波の1つの時間幅が、制御部70により制御されても良い。
【0019】
実施形態において、第1超音波10wは、適切に制御される。これにより、検出感度を向上できる。
【0020】
図1に示すように、送信部10から受信部20への方向を第1方向D1とする。第1方向D1は、搬送方向60Dと交差する。第1方向D1は、搬送方向60Dに対して傾斜しても良い。
【0021】
送信部10と支持部60との間の第1方向D1に沿う距離を第1距離L1とする。支持部60と受信部20との間の第1方向D1に沿う距離を第2距離L2とする。例えば、第1距離L1は、第1膜部11と支持部60との間の第1方向D1に沿う距離である。例えば、第2距離L2は、支持部60と第2膜部21との間の第1方向D1に沿う距離である。
【0022】
検査対象80の厚さ(第1方向D1に沿う長さ)が十分に薄い場合、第1距離L1は、送信部10と検査対象80との間の距離と見なすことができる。第2距離L2は、検査対象80と受信部20との間の距離と見なすことができる。
【0023】
第2距離L2は、第1距離L1と同じでも、異なっても良い。距離Dxを、第1距離L1及び第2距離L2の長くない方の距離とする。第2距離L2が第1距離L1と同じ場合、距離Dxは、第1距離L1(または第2距離L2)に対応する。第2距離L2が第1距離L1よりも長い場合、距離Dxは、第1距離L1に対応する。第2距離L2が第1距離L1よりも短い場合、距離Dxは、第2距離L2に対応する。
【0024】
実施形態において、第1周期Tp(s)、距離Dx(m)、及び、速度vx(m/s)は、
2Dx/{(n+1)・vx} < Tp < 2Dx/(n・vx) …(1)
の(1)式を満たす。(1)式において、「n」は、1または2である。これにより、以下に説明するように、検出感度を向上できる。以下では、説明を簡単にするために、第2距離L2が第1距離L1よりも長い場合について説明する。
【0025】
図2(a)~
図2(f)は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式図である。
図2(a)~
図2(f)は、第1超音波10wに含まれる複数のバースト波のパルス幅(パルス時間)が比較的短い場合に対応する。これらの図の横軸は、時間tmである。
図2(a)は、送信部10から出射する第1超音波10wを例示している。
図2(a)に示すように、第1超音波10wは、複数のバースト波10bを含む。複数のバースト波10bの周期は、第1周期Tpである。複数のバースト波10bは、例えば、第1パルス波P1、第2パルス波P2及び第3パルス波P3などを含む。
【0026】
図2(b)は、送信部10から出射する第1超音波10wの強度Intを模式的に例示している。第1パルス波P1、第2パルス波P2及び第3パルス波P3に対応して、高い強度Intが生じる。
【0027】
図2(c)~
図2(e)は、受信部20で受信される第1超音波10wの強度Intを模式的に例示している。
図2(c)には、第1パルス波P1、及び、第1パルス波P1に対応するパルス波が、抜き出されて例示されている。
図2(d)には、第2パルス波P2、及び、第2パルス波P2に対応するパルス波が、抜き出されて例示されている。
図2(e)には、第3パルス波P3、及び、第3パルス波P3に対応するパルス波が、抜き出されて例示されている。
【0028】
図2(c)に示すように、受信部20において、パルス波Ra1、Rb1及びRc1などが観察される。パルス波Rb1の強度Intは、パルス波Ra1の強度Intよりも低い。パルス波Rc1の強度Intは、パルス波Rb1の強度Intよりも低い。パルス波Ra1は、例えば、第1パルス波P1の直接波に対応する。パルス波Rb1及びRc1は、例えば、第1パルス波P1の反射波に対応する。パルス波Rb1は、例えば、第1パルス波P1の1回の反射波に対応する。パルス波Rc1は、例えば、第1パルス波P1の2回の反射波に対応する。
【0029】
直接波は、送信部10から支持部60を経由して受信部20に最短時間で到達する信号成分である。直接波は、多重反射などの迂回を経ないで、受信部20に到達する。直接波は、検査対象80の透過率などの情報を正確に有している。ノイズの影響を抑制して直接波を受信することで、検出感度が向上できる。
【0030】
反射波は、送信部10から支持部60を経由して受信部20に到達する過程で、例えば、送信部10、支持部60、受信部20または他の部材で反射した後に、受信部20に到達する。例えば、第1超音波10wが送信部10から支持部60に到達した後に、支持部60で反射した第1超音波10wの一部の成分が、送信部10に戻る。送信部10に戻った第1超音波10wが、送信部10で反射して支持部60に到達した後、受信部20に到達する。このような第1超音波10wが、反射波に対応する。反射波は、直接波よりも時間的に遅れて受信部20に到達する。
【0031】
反射波は、検査対象80以外の透過・反射情報を含む。複数の反射波が重畳される場合もある。反射波は、検査対象80の検出におけるノイズ成分となる。従って、例えば、直接波と反射波との時間的な重畳を抑制することが望まれる。例えば、直接波と反射波とが過度に重畳されないことことが望まれる。
【0032】
第2距離L2が第1距離L1よりも長い場合、パルス波Rb1は、例えば、第1超音波10wが、送信部10と支持部60との間で1往復反射した結果に対応すると考えられる。この場合、第1超音波10wの伝搬距離の増加量は、距離Dxの2倍である。パルス波Rc1は、例えば、第1超音波10wが、送信部10と支持部60との間で2往復反射した結果に対応すると考えられる。この場合、第1超音波10wの伝搬距離の増加量は、距離Dxの4倍である。
【0033】
図2(c)に示すように、パルス波Ra1とパルス波Rb1との間の時間Tdは、2Dx/vxに対応する。パルス波Rb1とパルス波Rc1との間の時間Tdは、2Dx/vxに対応する。パルス波Ra1の開始の時間tmを基準「0」とすると、パルス波Rb1の開始の時間tmは、時間Tdとなる。パルス波Rc1の開始の時間tmは、時間Tdの2倍となる。
【0034】
図2(d)に示すように、受信部20において、パルス波Ra2、Rb2及びRc2などが観察される。パルス波Rb2の強度Intは、パルス波Ra2の強度Intよりも低い。パルス波Rc2の強度Intは、パルス波Rb2の強度Intよりも低い。パルス波Ra2は、例えば、第2パルス波P2の直接波に対応する。パルス波Rb2及びRc2は、例えば、第2パルス波P2の反射波に対応する。パルス波Rb2は、例えば、第2パルス波P2の1回の反射波に対応する。パルス波Rc2は、例えば、第2パルス波P2の2回の反射波に対応する。
【0035】
図2(e)に示すように、受信部20において、パルス波Ra3及びRb3などが観察される。パルス波Rb3の強度Intは、パルス波Ra3の強度Intよりも低い。パルス波Ra3は、例えば、第3パルス波P3の直接波に対応する。パルス波Rb3は、例えば、第3パルス波P3の反射波に対応する。パルス波Rb3は、例えば、第3パルス波P3の1回の反射波に対応する。
【0036】
図2(f)には、
図2(c)~
図2(d)のパルス波が重ねて描かれている。
図2(f)に示すように、この例では、パルス波Ra1、Ra2及びRa3などの直接波は、他のパルス波(反射波)と重ならない。これにより、直接波が反射波の影響を受けることが抑制される。直接波に反射波が重なると、反射波がノイズとなり、直接波の信号強度が変化し、検出感度が低下する場合がある。実施形態においては、直接波が反射波の影響を受けることが抑制できる。これにより、検出感度を向上できる検査装置が提供できる。
【0037】
図2(c)~
図2(e)に示す例では、パルス波Rb1は、パルス波Ra2の後であり、パルス波Ra3の前である。パルス波Rb1の開始の時間tmは、時間Tdである。パルス波Ra2の開始の時間tmは、「0」を基準として、第1周期Tpの時間tmに対応する。パルス波Ra3の開始の時間tmは、「0」を基準として、第1周期Tpの2倍の時間tmに対応する。
【0038】
例えば、Tp<Tdのときに、パルス波Rb1がパルス波Ra2の後になる。例えば、Td<2Tpのときに、すなわち、Td/2<Tpのときに、パルス波Rb1がパルス波Ra3の前になる。既に説明したように、時間Tdは、2Dx/vxに対応する。したがって、「Dx/vx < Tp 」のときに、パルス波Rb1がパルス波Ra3の前になる。「Tp < 2Dx/vx」のときに、パルス波Rb1がパルス波Ra2の後になる。このような条件により、例えば、直接波が反射波の影響を受けることが抑制できる。これにより、検出感度を向上できる検査装置が提供できる。
【0039】
パルス波Rb1はパルス波Ra3の後に到達しても良い。その場合はTd<3Tpのときにパルス波Rb1が別のパルス波の前になり、2Tp<Tdのときにパルス波Rb1がパルス波Ra3の後になる。一般化することで、
2Dx/{(n+1)・vx} < Tp < 2Dx/(n・vx)
の(1)式の条件が得られる。「n」は、1以上の整数である。
図2(a)~
図2(f)は、「n」が1の場合に対応する。
【0040】
以下、複数のバースト波10bのパルス幅(パルス時間)が比較的長い場合の例について説明する。
図3(a)~
図3(f)は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式図である。
図3(a)~
図3(f)の横軸は、時間tmである。
図3(a)は、送信部10から出射する第1超音波10wを例示している。
図3(a)に示すように、第1超音波10wは、複数のバースト波10bを含む。複数のバースト波10bの周期は、第1周期Tpである。複数のバースト波10bの1つ(それぞれ)は、第1時間幅Twを有する。この場合も、複数のバースト波10bは、例えば、第1パルス波P1、第2パルス波P2及び第3パルス波P3などを含む。
【0041】
例えば、
図3(c)に例示するパルス波Rb1の開始の時間Tdは、
図3(d)に例示するパルス波Ra2のピークの時間(Tp+Tw/2)よりも後であることが好ましい。例えば、「(Tp+Tw/2)<Td」であることが好ましい。この条件は、「Tw<(Td-Tp)×2」であることに対応し、「Tw<(2Dx/vx-Tp)×2」に対応する。
【0042】
すなわち、実施形態において、第1周期Tp(s)、距離Dx(m)、速度vx(m/s)、及び、第1時間幅Tw(s)は、
Tw < (2Dx/vx-Tp)×2 …(2)
の(2)式を満たすことが好ましい。これにより、直接波が反射波の影響を受けることがより抑制できる。
【0043】
例えば、
図3(c)に例示するパルス波Rb1の終了の時間「Td+Tw」は、
図3(e)に例示するパルス波Ra3のピークの時間(2×Tp+Tw/2)よりも前であることが好ましい。例えば、「(Td+Tw)<(2Tp+Tw/2)」であることが好ましい。この条件は、「Tw<(2Tp-Td)×2」に対応し、「Tw<(2Tp-2Dx/vx)×2」に対応する。
【0044】
すなわち、実施形態において、第1周期Tp(s)、距離Dx(m)、速度vx(m/s)、及び、第1時間幅Tw(s)は、
Tw< (2Tp-2Dx/vx)×2 …(3)
の(3)式を満たすことが好ましい。これにより、直接波が反射波の影響を受けることがより抑制できる。
【0045】
例えば、
図3(c)に例示するパルス波Rb1の開始の時間Tdは、
図3(d)に例示するパルス波Ra2のピークの時間(Tp+Tw/2)と終了の時間(Tp+Tw)との間の中点の時間よりも後であることが好ましい。中点の時間は、(Tp+3Tw/4)に対応する。例えば、「(Tp+3Tw/4)<Td」であることが好ましい。この条件は、「Tw<(Td-Tp)×4/3」に対応し、「Tw<(2Dx/vx-Tp)×4/3」に対応する。
【0046】
すなわち、実施形態において、第1周期Tp(s)、距離Dx(m)、速度vx(m/s)、及び、第1時間幅Tw(s)は、
Tw< (2Dx/vx-Tp)×4/3 …(4)
の(4)式を満たすことが好ましい。これにより、直接波が反射波の影響を受けることがより抑制できる。
【0047】
例えば、
図3(c)に例示するパルス波Rb1の終了の時間「Td+Tw」は、
図3(
e)に例示するパルス波Ra3の開始の時間とピークの時間(2×Tp+Tw/2)との中点の時間よりも前であることが好ましい。中点の時間は、(2Tp+Tw/4)に対応する。例えば、「(Td+Tw)<(2Tp+Tw/4)」であることが好ましい。この条件は、「Tw<(2Tp-Td)×4/3」に対応し、「Tw<(2Tp-2Dx/vx)×4/3」に対応する。
【0048】
すなわち、実施形態において、第1周期Tp(s)、距離Dx(m)、速度vx(m/s)、及び、第1時間幅Tw(s)は、
Tw< (2Tp-2Dx/vx)×4/3 …(5)
の(5)式を満たすことが好ましい。これにより、直接波が反射波の影響を受けることがより抑制できる。
【0049】
例えば、
図3(c)に例示するパルス波Rb1の開始の時間Tdは、
図3(d)に例示するパルス波Ra2の時間(Tp+Tw)の後であることが好ましい。例えば、「(Tp+Tw)<Td」であることが好ましい。この条件は、「Tw<(Td-Tp)」に対応し、「Tw<(2Dx/vx-Tp)」に対応する。
【0050】
すなわち、実施形態において、第1周期Tp(s)、距離Dx(m)、速度vx(m/s)、及び、第1時間幅Tw(s)は、
Tw< (2Dx/vx-Tp) …(6)
の(6)式を満たすことが好ましい。これにより、直接波が反射波の影響を受けることがより抑制できる。
【0051】
例えば、
図3(c)に例示するパルス波Rb1の終了の時間「Td+Tw」は、
図3(
e)に例示するパルス波Ra3の開始の時間(2×Tp)時間よりも前であることが好ましい。例えば、「(Tp+Tw)<2Tp」であることが好ましい。この条件は、「Tw<(2Tp-Td)」に対応し、「Tw<(2Tp-2Dx/vx)」に対応する。
【0052】
すなわち、実施形態において、第1周期Tp(s)、距離Dx(m)、速度vx(m/s)、及び、第1時間幅Tw(s)は、
Tw< (2Tp-2Dx/vx) …(7)
の(7)式を満たすことが好ましい。これにより、直接波が反射波の影響を受けることがより抑制できる。
【0053】
図3(f)に示すように、反射波であるパルス波Rc1及びRc2などが、直接波であるパルス波Ra4及びRa5に重なっても良い。パルス波Rc1及びRc2の強度Intは、パルス波Ra4及びRa5の強度Intに比べて十分に低い。このため、このような反射波が直接波と重なっても、直接波に与える影響は小さい。
【0054】
例えば、受信回路20Dまたは制御部70などは、ピークホールド回路を含んでも良い。これにより、強度Intが高い直接波の信号強度を効率的に検出することができる。
【0055】
以上の条件は、パルス波Rb1の位置によって同様に、1以上の整数である「n」を用いて、一般化できる。
すなわち実施形態において、第1周期Tp(s)、距離Dx(m)、速度vx(m/s)、及び、第1時間幅Tw(秒)は、
Tw < (2Dx/vx-n×Tp)×2
を満たすことが好ましい。これにより、直接波が反射波の影響を受けることがより抑制できる。
【0056】
実施形態において、第1周期Tp(s)、距離Dx(m)、速度vx(m/s)、及び、第1時間幅Tw(秒)は、
Tw< ((n+1)Tp-2Dx/vx)×2
を満たすことが好ましい。
【0057】
実施形態において、第1周期Tp(s)、距離Dx(m)、速度vx(m/s)、及び、第1時間幅Tw(秒)は、
Tw< (2Dx/vx-n×Tp)×4/3
を満たすことが好ましい。
【0058】
実施形態において、第1周期Tp(s)、距離Dx(m)、速度vx(m/s)、及び、第1時間幅Tw(秒)は、
Tw< ((n+1)Tp-2Dx/vx)×4/3
を満たすことが好ましい。
【0059】
実施形態において、第1周期Tp(s)、距離Dx(m)、速度vx(m/s)、及び、第1時間幅Tw(秒)は、
Tw< (2Dx/vx-n×Tp)
を満たすことが好ましい。
【0060】
実施形態において、第1周期Tp(s)、距離Dx(m)、速度vx(m/s)、及び、第1時間幅Tw(秒)は、
Tw< ((n+1)Tp-2Dx/vx)
を満たすことが望ましい。
【0061】
実施形態において、「n」は、1または2であることが好ましい。nが3以上の場合、距離L1及び距離L2が過度に長くなる。このため、検査装置110が大きくなる。距離が長くなると、超音波が減衰し、所望の感度を得ることが困難になる。実施形態においては、「n」が1または2であることで、小型で実用的な検査装置110が提供できる。「n」が1または2であることで、高い感度が維持できる。これにより、検出感度を向上できる検査装置を提供できる。「n」が1であると、「n」が2である場合と比べて、距離がより短くなる。減衰がより低減できる。
【0062】
図4は、第1実施形態に係る検査装置を例示する模式的側面図である。
図4に示すように、実施形態に係る検査装置111は、送信部10、受信部20及び支持部60に加えて、第1導波路15及び第2導波路25を含む。検査装置111におけるこれ以外の構成は、検査装置110の構成と同様で良い。
【0063】
第1導波路15は、送信部10と支持部60との間に設けられる。第1導波路15を第1超音波10wが通過する。例えば、第1導波路15は、第1超音波10wを導波する。第2導波路25は、支持部60と受信部20との間に設けられる。第2導波路25を第1超音波10wが通過する。例えば、第2導波路25は、第1超音波10wを導波する。第2導波路25を通過した第1超音波10wが受信部20に入射する。
【0064】
例えば、第1導波路15は、支持部60から離れる。第2導波路25は、支持部60から離れる。支持部60は、第1導波路15と第2導波路25との間で移動できる。
【0065】
導波路が設けられることで、第1超音波10wの広がりを抑制できる。検出感度をより向上できる。
【0066】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態に係る検査方法を例示するフローチャート図である。
図5に示すように、実施形態に係る検査方法は、第1周期Tpの複数のバースト波10bを含む第1超音波10wを送信部10(
図1など参照)から検査対象80に向けて送信する(ステップS110)ことを含む。検査方法は、検査対象80を通過した第1超音波10wを受信部20(
図1など参照)で受信(ステップS120)して、検査対象80を検査することを含む。
【0067】
実施形態に係る検査方法において、第1周期Tp(s)、距離Dx(m)、及び、速度vx(m/s)は、上記の(1)式を満たす。距離Dxは、第1距離L1及び第2距離L2の長くない方の距離である。第1距離L1は、検査対象80と送信部10との間の、送信部10から受信部20への第1方向D1に沿う距離である。第2距離L2は、検査対象80と受信部20との間の第1方向D1に沿う距離である。速度vxは、送信部10と受信部20との間の空間における第1超音波10wの伝搬速度である。このような条件により、直接波が反射波の影響を受けることがより抑制できる。検出感度を向上できる検査方法が提供できる。
【0068】
実施形態において、上記の(2)式~(7)式の少なくともいずれかが満たされることがより好ましい。直接波が反射波の影響を受けることがより抑制できる。検出感度を向上できる検査方法が提供できる。
【0069】
例えば、実施形態に係る検査方法においては、超音波送信手段(送信部10)から受信手段(受信部20)へ、所定の周期で超音波バースト波を送信する。受信手段の出力信号を検出することで、検査対象80を検査する。周期は、送信手段から検査対象80を介して受信手段に直接に到達する直接波が受信手段に到達する時刻と、送信手段から直接波が到達した後に受信手段に最初に到達する反射波が受信手段に到達する時刻と、の差よりも短い。周期は、バースト波のパルス長よりも長い。反射波は、受信手段に直接到達する複数の直接波の時間的な間隙にある。
【0070】
実施形態は、以下の構成(技術案)を含んでも良い。
(構成1)
第1周期Tpの複数のバースト波を含む第1超音波を送信可能な送信部と、
前記第1超音波が入射し、前記入射した前記第1超音波に応じた信号を出力可能な受信部と、
前記送信部と前記受信部との間に設けられ検査対象を支持可能な支持部と、
を備え、
前記第1周期Tp(s)、距離Dx(m)、及び、速度vx(m/s)は、
2Dx/{(n+1)・vx} < Tp < 2Dx/(n・vx)
を満たし、
前記nは、1または2であり、
前記距離Dxは、第1距離及び第2距離の長くない方の距離であり、
前記第1距離は、前記送信部と前記支持部との間の前記送信部から前記受信部への第1方向に沿う距離であり、
前記第2距離は、前記支持部と前記受信部との間の前記第1方向に沿う距離であり、
前記速度vxは、前記送信部と前記受信部との間の空間における前記第1超音波の伝搬速度である、検査装置。
【0071】
(構成2)
前記nは1である、構成1記載の検査装置。
【0072】
(構成3)
前記送信部は、前記第1超音波を出射する変形可能な第1膜部を含み、
前記第1距離は、前記第1膜部と前記支持部との間の前記第1方向に沿う距離であり、
前記受信部は、受信した前記第1超音波により変形可能な第2膜部を含み、
前記第2距離は、前記支持部と前記第2膜部との間の前記第1方向に沿う距離である、構成1または2に記載の検査装置。
【0073】
(構成4)
前記複数のバースト波の1つは第1時間幅Twを有し、
前記第1周期Tp(s)、前記距離Dx(m)、前記速度vx(m/s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
Tw < (2Dx/vx-Tp)×2
を満たす、構成1~3のいずれか1つに記載の検査装置。
【0074】
(構成5)
前記第1周期Tp(s)、前記距離Dx(m)、前記速度vx(m/s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
Tw< (2Tp-2Dx/vx)×2
を満たす、構成4記載の検査装置。
【0075】
(構成6)
前記第1周期Tp(s)、前記距離Dx(m)、前記速度vx(m/s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
Tw< (2Dx/vx-Tp)×4/3
を満たす、構成4または5に記載の検査装置。
【0076】
(構成7)
前記第1周期Tp(s)、前記距離Dx(m)、前記速度vx(m/s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
Tw< (2Tp-2Dx/vx)×4/3
を満たす、構成4~6のいずれか1つに記載の検査装置。
【0077】
(構成8)
前記第1周期Tp(s)、前記距離Dx(m)、前記速度vx(m/s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
Tw< (2Dx/vx-Tp)
を満たす、構成4または5に記載の検査装置。
【0078】
(構成9)
前記第1周期Tp(s)、前記距離Dx(m)、前記速度vx(m/s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
Tw< (2Tp-2Dx/vx)
を満たす、構成4または5に記載の検査装置。
【0079】
(構成10)
前記送信部と前記支持部との間に設けられ、前記第1超音波が通過する第1導波路と、
前記支持部と前記受信部との間に設けられ、前記第1超音波が通過する第2導波路と、
をさらに備え、
前記第2導波路を通過した前記第1超音波が前記受信部に入射する、構成1~9のいずれか1つに記載の検査装置。
【0080】
(構成11)
前記第1導波路は、前記支持部から離れ、
前記第2導波路は、前記支持部から離れた、構成10記載の検査装置。
【0081】
(構成12)
第1周期Tpの複数のバースト波を含む第1超音波を送信部から検査対象に向けて送信し、
前記検査対象を通過した前記第1超音波を受信部で受信して前記検査対象を検査し、
前記第1周期Tp(s)、距離Dx(m)、及び、速度vx(m/s)は、
2Dx/{(n+1)・vx} < Tp < 2Dx/(n・vx)
を満たし、
前記nは、1または2であり、
前記距離Dxは、第1距離及び第2距離の長くない方の距離であり、
前記第1距離は、前記検査対象と前記送信部との間の前記送信部から前記受信部への第1方向に沿う距離であり、
前記第2距離は、前記検査対象と前記受信部との間の前記第1方向に沿う距離であり、
前記速度vxは、前記送信部と前記受信部との間の空間における前記第1超音波の伝搬速度である、検査方法。
【0082】
(構成13)
前記nは1である、構成12記載の検査方法。
【0083】
(構成14)
前記複数のバースト波の1つは第1時間幅Twを有し、
前記第1周期Tp(s)、前記距離Dx(m)、前記速度vx(m/s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
Tw < (2Dx/vx-Tp)×2
を満たす、構成12または13に記載の検査方法。
【0084】
(構成15)
前記第1周期Tp(s)、前記距離Dx(m)、前記速度vx(m/s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
Tw< (2Tp-2Dx/vx)×2
を満たす、構成14記載の検査方法。
【0085】
(構成16)
前記第1周期Tp(s)、前記距離Dx(m)、前記速度vx(m/s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
Tw< (2Dx/vx-Tp)×4/3
を満たす、構成14または15に記載の検査方法。
【0086】
(構成17)
前記第1周期Tp(s)、前記距離Dx(m)、前記速度vx(m/s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
Tw< (2Tp-2Dx/vx)×4/3
を満たす、構成14~16のいずれか1つに記載の検査方法。
【0087】
(構成18)
前記第1周期Tp(s)、前記距離Dx(m)、前記速度vx(m/s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
Tw< (2Dx/vx-Tp)
を満たす、構成14または15に記載の検査方法。
【0088】
(構成19)
前記第1周期Tp(s)、前記距離Dx(m)、前記速度vx(m/s)、及び、前記第1時間幅Tw(s)は、
Tw< (2Tp-2Dx/vx)
を満たす、構成14または15に記載の検査方法。
【0089】
実施形態によれば、検出感度を向上できる検査装置及び検査方法が提供できる。
【0090】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、検査装置に含まれる送信部、受信部、支持部、送信回路、受信回路及び制御部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0091】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0092】
その他、本発明の実施の形態として上述した検査装置及び検査方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての検査装置及び検査方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0093】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0094】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0095】
10…送信部、 10D…送信回路、 10b…バースト波、 10w…第1超音波、 11…第1膜部、 15…第1導波路、 20…受信部、 20D…受信回路、 21…第2膜部、 25…第2導波路、 60…支持部、 60D…搬送方向、 61、62…第1、第2搬送部、 70…制御部、 80…検査対象、 110、111…検査装置、 D1…第1方向、 Dx…距離、 Int…強度、 L1、L2…第1、第2距離、 P1~P3…第1~第3パルス波、 Ra1~Ra5、Rb1~Rb3、Rc1、Rc2…パルス波、 S1…検査信号、 Sc…制御信号、 Sd…信号、 Sv…駆動信号、 Td…時間、 Tp…第1周期、 Tw…時間幅、 tm…時間