(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】容器洗浄設備
(51)【国際特許分類】
B08B 3/02 20060101AFI20231121BHJP
B08B 5/02 20060101ALI20231121BHJP
B08B 9/34 20060101ALI20231121BHJP
B65B 55/24 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
B08B3/02 G
B08B5/02 Z
B08B3/02 F
B08B9/34
B65B55/24
(21)【出願番号】P 2020162268
(22)【出願日】2020-09-28
【審査請求日】2022-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】小川 直彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 匡史
(72)【発明者】
【氏名】井上 高志
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 俊樹
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-027874(JP,A)
【文献】特開2018-094462(JP,A)
【文献】特開2017-51897(JP,A)
【文献】特開2001-187369(JP,A)
【文献】実開昭56-100398(JP,U)
【文献】特開平5-208180(JP,A)
【文献】国際公開第1989/000953(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/02
B08B 5/02
B08B 9/34
B65B 55/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が充填される前の容器の内面を洗浄可能な容器洗浄設備であって、
前記容器を、少なくとも前記容器が有する開口部が下方を向いた倒立姿勢で搬送する搬送手段と、
前記搬送手段による前記容器の搬送経路に沿って、搬送中の前記容器の前記開口部を介して前記容器の内面に洗浄空気を噴射する洗浄空気噴射手段と、搬送中の前記容器の前記開口部を介して前記容器の内面に洗浄水を噴射する洗浄水噴射手段と、が備えられて
おり、
前記搬送手段は、前記倒立姿勢の上流側において前記開口部が側方を向いた横倒姿勢によって前記容器を搬送するように構成され、
前記洗浄空気噴射手段は、前記横倒姿勢の前記容器の前記開口部に前記洗浄空気を噴射可能に配置されていることを特徴とする容器洗浄設備。
【請求項2】
前記洗浄水噴射手段は、前記容器の搬送方向に直交する方向に沿って広がるスプレーパターンを有する第一水ノズル、及び、前記容器の搬送方向に沿って広がるスプレーパターンを有する第二水ノズルを備えている請求項1に記載の容器洗浄設備。
【請求項3】
前記第一水ノズルは30度~50度の範囲の噴射角度を有し、前記第二水ノズルは80度~100度の範囲の噴射角度を有している請求項2に記載の容器洗浄設備。
【請求項4】
前記洗浄水噴射手段は、前記倒立姿勢の前記容器の前記開口部に前記洗浄水を噴射可能に配置されている請求項1から3のいずれか一項に記載の容器洗浄設備。
【請求項5】
前記洗浄空気噴射手段は、前記洗浄空気の噴射方向に直進するスプレーパターンを有する空気ノズルを備えている請求項1から4のいずれか一項に記載の容器洗浄設備。
【請求項6】
前記洗浄空気噴射手段は、前記容器の開口部の高さを1としたときに最下部から0.75~0.85の高さとなる位置から前記洗浄空気を噴射可能に配置されている請求項
1から5のいずれか一項に記載の容器洗浄設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物が充填される前の容器の内面を洗浄可能な容器洗浄設備に関する。
【背景技術】
【0002】
食品製造工場の一例として、飲料製造工場は、飲料が充填される前の缶を貯蔵する貯蔵設備、当該缶を洗浄する容器洗浄設備、洗浄後の缶に飲料を充填する充填設備、飲料が充填された缶に蓋をする巻締設備、及び缶飲料を所定数量ずつ梱包する梱包設備等を備えている。
【0003】
容器洗浄設備の例として、特許文献1には、搬送される缶の内面に洗浄水を噴射して洗浄する容器洗浄機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような容器洗浄機において、異物を確実に除去しながらも洗浄水の節水の要請があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、洗浄水の節水が可能な容器洗浄設備を提供することを目的とする。
【0007】
上述の目的を達成するための、本発明に係る容器洗浄設備の特徴構成は、内容物が充填される前の容器の内面を洗浄可能な容器洗浄設備であって、前記容器を、少なくとも前記容器が有する開口部が下方を向いた倒立姿勢で搬送する搬送手段と、前記搬送手段による前記容器の搬送経路に沿って、搬送中の前記容器の前記開口部を介して前記容器の内面に洗浄空気を噴射する洗浄空気噴射手段と、搬送中の前記容器の前記開口部を介して前記容器の内面に洗浄水を噴射する洗浄水噴射手段と、が備えられている点にある。
【0008】
容器の内面に付着した毛髪、シュリンクフィルム、シート、紙粉のような異物を洗浄水のみで除去しようとすると、大量の洗浄水が必要である。上述の構成によると、洗浄水噴射手段の上流側に洗浄空気噴射手段が備えられていることから、容器の内面に付着した異物を洗浄空気によって容器の内面から浮かせて容易に除去することができる。したがって、洗浄水のみによって洗浄する場合に比べて大幅な節水が可能となる。洗浄空気によっては除去されない異物があったとしても、下流側に備えられている洗浄水噴射手段により噴射される洗浄水によって容器から確実に洗い流すことができる。
【0009】
なお、洗浄水噴射手段の下流側に洗浄空気噴射手段が備えられている構成であると、先に噴射された洗浄水によって異物が容器の内面に付着することがあり洗浄効果が減少する虞がある。しかし、上述の構成によるとこれを回避することができる。
【0010】
本発明においては、前記洗浄水噴射手段は、前記容器の搬送方向に直交する方向に沿って広がるスプレーパターンを有する第一水ノズル、及び、前記容器の搬送方向に沿って広がるスプレーパターンを有する第二水ノズルを備えていると好適である。
【0011】
発明者は鋭意研究の結果、洗浄水噴射手段は、上述のようにスプレーパターンの異なる二種類の水ノズルを備えることによって、洗浄水が容器の内部にまんべんなく噴射されるため、異物の除去能力が高くなるという知見を得た。
【0012】
本発明においては、前記第一水ノズルは30度~50度の範囲の噴射角度を有し、前記第二水ノズルは80度~100度の範囲の噴射角度を有していると好適である。
【0013】
例えば202径のツーピース缶のような容器の開口部の内径(52.7mm)は、211径のツーピース缶のような容器の開口部の内径(65.9mm)よりも小さいため、211径のツーピース缶を洗浄するために最適化された容器洗浄設備では洗浄水が効果的に内面に噴射されないため、異物が十分に除去されない虞があった。しかし、発明者は鋭意研究の結果、上述の構成によると、202径のツーピース缶のような内径の容器であっても、内面に付着している異物を確実に除去できるという知見を得た。
【0014】
本発明においては、前記洗浄水噴射手段は、前記倒立姿勢の前記容器の前記開口部に前記洗浄水を噴射可能に配置されていると好適である。
【0015】
上述の構成によると、洗浄水は、開口部が下方を向いた倒立姿勢である容器に対して噴射されるとともに水切りされるため、洗浄水の噴射と水切りとを別に行うよりも洗浄にかかる時間を短くすることができる。
【0016】
本発明においては、前記洗浄空気噴射手段は、前記洗浄空気の噴射方向に直進するスプレーパターンを有する空気ノズルを備えていると好適である。
【0017】
上述の構成によると、噴射方向に直進するスプレーパターンを有する空気ノズルから噴射された洗浄空気は、容器の開口部を介して容器の底部に達し、そこから内周面を伝って開口部から外部に排出される。この洗浄空気の流れによって、容器の内面に付着している異物は除去される。
【0018】
本発明においては、前記搬送手段は、前記倒立姿勢の上流側において前記開口部が側方を向いた横倒姿勢によって前記容器を搬送するように構成され、前記洗浄空気噴射手段は、前記横倒姿勢の前記容器の前記開口部に前記洗浄空気を噴射可能に配置されていると好適である。
【0019】
洗浄水による洗浄においては、水切りのために容器が倒立姿勢であることを必要とするが、洗浄空気による洗浄においてはその必要がない。したがって、例えば、容器の開口部が下方を向いた倒立姿勢へと移行する途中の横倒姿勢である領域に対応して洗浄空気噴射手段を備えることができる。洗浄空気噴射手段が、容器が倒立姿勢である領域に対応して備えられた場合は、洗浄空気によって異物が除去されるのを待って洗浄水による洗浄を行う必要があることから、容器が倒立姿勢である区間を長く設ける必要があるが、上述のように構成することによって、容器が倒立姿勢である領域の長さを短くすることができ、容器洗浄設備をコンパクト化することができる。
【0020】
本発明においては、前記洗浄空気噴射手段は、前記容器の開口部の高さを1としたときに最下部から0.75~0.85の高さとなる位置から前記洗浄空気を噴射可能に配置されていると好適である。
【0021】
発明者は鋭意研究の結果、上述の構成によると洗浄空気による異物の除去能力が高くなるという知見を得た。なお、容器が横倒姿勢である領域において、当該横倒姿勢の前記容器の開口部の高さを1としたときに最下部から0.75~0.85の高さとなる位置とは、容器が202径のツーピース缶であれば、開口部の内径が52.7mmであるため、開口部の下端から約40mm~43mmの位置に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の容器洗浄設備の実施形態について図面を参照しながら説明をする。
【0024】
図1に示すように、食品製造工場の一例としての飲料製造工場は、飲料を充填する前の缶2を貯蔵する貯蔵設備3、缶2を洗浄する容器洗浄設備4、缶2に飲料を充填する充填設備5、飲料が充填された缶2に蓋をする巻締設備6、及び缶飲料を所定数量ずつ梱包する梱包設備7等を、備えている。
【0025】
本実施形態においては、飲料が本発明に係る食品であり、缶2が本発明に係る容器である。缶2は、金属缶(202径250グラムのツーピース缶)から構成されている。缶2は、蓋が取り付けられていない状態のまま、パレット8上に所定数量ずつ段積みされ、貯蔵設備3に貯蔵されている。
【0026】
貯蔵設備3は開梱装置、いわゆるデパレタイザを備えている。該開梱装置によってパレット8に段積みされている缶2が開梱され容器洗浄設備4に供給される。
【0027】
容器洗浄設備4は、後述するように、貯蔵設備3に貯蔵されていた缶2の少なくとも内面を、缶2に飲料を充填する前に洗浄する設備である。
【0028】
充填設備5は、容器洗浄設備4において洗浄された缶2を受け取り、該缶2に所定の入味量の飲料を充填する設備である。
【0029】
巻締設備6は、充填設備5から所定の入味量の飲料が充填された缶2を受け取り、該缶2に蓋を巻締する設備である。
【0030】
梱包設備7は、巻締設備6によって蓋が締められた缶飲料を所定本数ずつ梱包する設備である。梱包設備7によって梱包された缶飲料は、その後出荷される。
【0031】
上述した容器洗浄設備4について詳述する。
図2に示すように、容器洗浄設備4は、缶2を連続的に搬送する搬送手段9、缶2の内面に洗浄空気を噴射する洗浄空気噴射手段10、缶2の内面に洗浄水を噴射する洗浄水噴射手段11等を備えている。なお、洗浄空気噴射手段10及び洗浄水噴射手段11は、搬送手段9による缶2の搬送経路に沿って上流側からこの順に備えられている。
【0032】
搬送手段9は、缶2の搬送経路を構成する複数本の案内レール9aから構成されている。これら案内レール9aに囲まれた空間が缶2の搬送経路となる。なお、各案内レール9aは、例えばステンレス鋼の棒材から構成されている。搬送手段9は、缶2の単位時間当たりの搬送個数(搬送速度)が調節可能であり、本実施形態においては、毎分1250個~1500個に設定されている。したがって、缶2は、直径が約53mmであることから、約1.1m/s~1.3m/sの搬送速度で搬送される。
【0033】
缶2の搬送経路は上流側から下流側にかけて、全体として、水平線に対して下方に20~30度の範囲内で、好ましくは25度傾斜している。缶2は自重や上流側の缶2から押されることによって搬送経路に沿って上流側から下流側に連続的に搬送される。
【0034】
なお、搬送手段9は、缶2の姿勢維持や搬送を円滑にすることを目的として、缶2の側面や底面に対して空気や水を噴射するバランスノズル及び推進ノズルを適宜備えてもよい。
【0035】
搬送手段9は、各案内レール9aどうしの相対的な位置を維持したまま、搬送経路が捻られることによって、開口部2aが上方を向いた正立姿勢により貯蔵設備3から受け渡された缶2を、開口部2aが下方を向いた倒立姿勢へと姿勢変更させ、当該倒立姿勢から再度正立姿勢、つまり充填姿勢へと姿勢変更させて充填設備5へ渡すように構成されている。
【0036】
なお、正立姿勢、横倒姿勢及び倒立姿勢の各姿勢は搬送経路における缶2の姿勢をいう。したがって、正立姿勢において開口部2aが上方を向くとは、搬送経路の傾きだけ鉛直上方から傾いた方向を向くことをいい、倒立姿勢において開口部2aが下方を向くとは、搬送経路の傾きだけ鉛直下方から傾いた方向を向くことをいう。
【0037】
搬送経路は、洗浄水噴射手段11が備えられている領域を超えてすぐに缶2を倒立姿勢から充填姿勢へと姿勢変更させるのではなく、洗浄水よって洗浄された缶2の水切りがされるのに十分な距離だけ、缶2の倒立姿勢が維持された後に充填姿勢へと姿勢変更させるように構成されている。洗浄水による洗浄後の缶2の内面は、充填設備5に到達するまでの搬送中に自然乾燥される。洗浄水中の溶存酸素が製品に混入すると缶飲料の品質に影響を及ぼす虞があるが、乾燥により上記のような虞が回避される。
【0038】
図2、
図3に示すように、本実施形態においては、搬送経路に沿って、特に、缶2が正立姿勢から倒立姿勢へと移行する途中の横倒姿勢となっている領域に対応して、洗浄空気噴射手段10が備えられている。また、搬送経路に沿って、洗浄空気噴射手段10の下流側において、缶2が完全に倒立姿勢となる領域に対応して洗浄水噴射手段11が備えられている。
【0039】
洗浄空気噴射手段10は、空気の供給源(図示せず)と、空気配管12と、缶2の開口部2aを介して缶2の内面に洗浄空気を噴射する空気ノズル13を備えている。洗浄空気噴射手段10は、空気ノズル13から噴射する洗浄空気から異物を除去する異物除去フィルタ等を備えた濾過機構を備えている。
【0040】
洗浄空気噴射手段10は、搬送手段9の制御に連動して、缶2の搬送がされたときに洗浄空気の噴射がされ、缶2の搬送が停止されたときに洗浄空気の噴射が停止されるように制御可能に構成されている。
【0041】
空気ノズル13は、洗浄空気の噴射方向に直進するスプレーパターンを有する。したがって、噴射された洗浄空気は缶2の内面のうち側面にあたることなく底面に到達し、缶2の内面を伝って開口部2aから排出される、洗浄空気の流れを生じさせる。
【0042】
空気ノズル13は、噴射した洗浄空気を缶2の内面のうち底面に確実に届かせる観点から、横倒姿勢の缶2の開口部2aの通過領域において、当該横倒姿勢の缶2の開口部2aの高さを1としたときに最下部から0.75~0.85の高さとなる位置(開口部2aの内径が52.7mmであることから、約40mm~43mmの位置に相当する。)において、洗浄空気の噴射方向が缶2の搬送方向に対して直交するように配置されている。
【0043】
なお、本実施形態においては、缶2の搬送方向に沿ってそれぞれ60~100mmの間隔をあけて、本実施形態においては60mmの間隔をあけて、複数の、本実施形態においては三つの空気ノズル13が配置されている。空気ノズル13の数や間隔を上記のように設定することによって洗浄効果を十分に得ながらも洗浄空気の使用量の低減を図ることができる。しかしながら、空気ノズル13の数や、間隔は例示であり上記に限らない。空気ノズル13を複数設ける場合は、その仕様を異ならせてもよいし、また仕様に応じて隣り合うものどうしの間隔を異ならせてもよい。
【0044】
空気ノズル13から噴射する洗浄空気の流量や圧力は、空気ノズル13の数、口径等に応じて適宜設定される。なお、空気ノズル13から噴射される洗浄空気の流量は100L/min~200L/minの範囲、噴射圧力は0.10MPa~0.20MPaの範囲内である。なお、洗浄空気噴射手段10は洗浄空気の噴射量が、搬送手段9による缶2の単位時間あたりの搬送個数(搬送速度)に応じて調節可能に構成されている。空気ノズル13から噴射される洗浄空気の条件を上記のように設定することによって洗浄効果を十分に得ながらも洗浄空気の使用量の低減を図ることができる。
【0045】
洗浄水噴射手段11は、洗浄水の供給源(図示せず)と、水配管15と、搬送経路から一定の距離を維持しながら設置されたヘッダ管16と、ヘッダ管16に所定間隔ごとに備えられた複数の水ノズル17とを備えている。洗浄水噴射手段11は、水ノズル17から噴射する洗浄水から異物を除去する異物除去フィルタ等を備えた濾過機構を備えている。
【0046】
水ノズル17は、缶2の開口部2aの中心をとおる軸心と一致し得る洗浄水の噴射方向を中心とし、缶2の搬送方向に沿って40度の噴射角度を有して広がる第一のスプレーパターンを有する第一水ノズル17a、缶2の搬送方向に直交する方向に90度の噴射角度を有して広がる第二のスプレーパターンを有する第二水ノズル17bから構成されている。第一水ノズル17aや第二水ノズル17bは、缶2の開口部2aから30mmの距離をあけて配置されている。
【0047】
なお、第一水ノズル17aや第二水ノズル17bの噴射角度や、開口部2aからの距離は例示であり上記に限らない。例えば第一水ノズル17aは30度~50度の範囲の噴射角度を有し、第二水ノズル17bは80度~100度の範囲の噴射角を有していればよい。また、第一水ノズル17aや第二水ノズル17bの、開口部2aからの距離は第一水ノズル17aの噴射角度や第二水ノズル17bの噴射角度に応じて決定することができる。また、洗浄水噴射手段11は、第一水ノズル17aのみを備える構成や、第二水ノズル17bのみを備える構成であってもよいし、その他の仕様の水ノズル17を備える構成であってもよく、これらを組み合わせてもよい。水ノズル17を複数設ける場合は、その仕様を異ならせてもよいし、また仕様に応じて隣り合うものどうしの間隔を異ならせてもよい。
【0048】
本実施形態においては、缶2の搬送方向に沿ってそれぞれ180mmの間隔をあけて二つの第一水ノズル17a及び一つの第二水ノズル17bから水ノズル群が構成され、缶2の搬送方向に沿って二つの水ノズル群が配置されている。なお、各水ノズル17どうしの間隔は、搬送手段9による缶2の単位時間当たりの搬送個数(搬送速度)に応じて設定される。なお、二つの第一水ノズル17a及び一つの第二水ノズル17bを設ける間隔は例示であり、缶2の搬送方向に沿ってそれぞれ180mm~230mmの間隔をあけてあればよい。例えば、第一水ノズル17aどうしの間隔は180mmとし、第一水ノズル17aと第二水ノズル17bとの間隔を230mmとしてもよい。
【0049】
なお、水ノズル群の数は、空気ノズル13の噴射圧力に応じて決めることができる。例えば、空気ノズル13の噴射圧力が0.15MPa程度であるときは二つの水ノズル群があれば異物が十分に除去でき、空気ノズル13の噴射圧力が0.20MPa程度であるときは一つの水ノズル群があれば異物が十分に除去できる。
【0050】
水ノズル17から噴射する洗浄水の流量や圧力は、水ノズル17の数量、口径等に応じて適宜設定される。水ノズル17から噴射される洗浄水の流量は4L/min(本実施形態においては六つの水ノズル17が備えられているため合計24L/min)程度、洗浄水の圧力は0.21Mpa~0.25MPaであることが好ましい。
【0051】
水ノズル17から噴射された洗浄水は、缶2の内面を洗浄したあとに回収されフィルタ機構によって異物が除去されたあと、洗浄水として、例えば、巻締工程後に外部に付着した飲料の洗浄に利用される。
【0052】
なお、洗浄空気噴射手段10及び洗浄水噴射手段11の周囲は、筐体に覆われていることが好ましく、その際、筐体の内部は陽圧に維持されると、新たな異物の混入が防止できる点で好ましい。搬送手段9は、この筐体に貫通するように配置され、少なくとも筐体からの出口部には、水切りカバーが備えられている。
【0053】
上述のように構成された容器洗浄設備4において、貯蔵設備3から搬送されて正立姿勢で搬送されてきた缶2が、搬送手段9の各案内レール9aによって区画された搬送経路に沿って連続的に搬送されるなかで、正立姿勢から横倒姿勢と姿勢変更され、開口部2aを搬送方向の正面視において真横に向けた状態となり洗浄空気噴射手段10の空気ノズル13から噴射された洗浄空気によって洗浄され、横倒姿勢から倒立姿勢へと姿勢変更され、開口部2aを搬送方向の正面視において真下に向けた状態となり洗浄水噴射手段11の水ノズル17から噴射された洗浄水によって洗浄される。洗浄が完了した缶2は、内面に付着した洗浄水が倒立姿勢の間に水切りされ、充填姿勢へと姿勢変更され、充填設備5に搬送される。
【0054】
以上のように、缶2を洗浄水によって洗浄する前に、空気ノズル13から供給した洗浄空気によって洗浄する構成としたことにより、缶2の内面に付着した、洗浄水のみでは除去しにくい異物、例えば毛髪、シュリンクフィルム、シート、紙粉のような異物であっても、缶2の内面から浮かせて除去することができる。
【0055】
なお、上述の実施形態においては、洗浄空気噴射手段10は、搬送経路に沿って、缶2が正立姿勢から倒立姿勢へと移行する途中の横倒姿勢となっている領域に対応して備えられていたがこの限りではない。洗浄空気噴射手段10は、搬送経路に沿って、缶2が倒立姿勢となっている領域に備えられてもよい。
【0056】
上述の実施形態においては、容器が202径250グラムのツーピース缶である場合を例に説明したが、これに限らない。容器は、例えば202径160グラムないし202径190グラムのツーピース缶であってもよく、その他の形状の容器であってもよい。また、容器に充填される内容物は飲料に限らない。
【0057】
上述した実施形態は本発明の一例であり、該記載により本発明が限定されるものではなく、各部の具体的構成は本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能である。
【符号の説明】
【0058】
2 :缶(容器)
2a :開口部
4 :容器洗浄設備
9 :搬送手段
10 :洗浄空気噴射手段
11 :洗浄水噴射手段
12 :空気配管
13 :空気ノズル
15 :水配管
17 :水ノズル
17a :第一水ノズル
17b :第二水ノズル