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7389012ケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物、パターン形成方法及びケイ素化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】ケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物、パターン形成方法及びケイ素化合物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20231121BHJP
   C08G 77/14 20060101ALI20231121BHJP
   G03F 7/40 20060101ALI20231121BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
G03F7/11 503
C08G77/14
G03F7/40 521
H01L21/30 573
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020214294
(22)【出願日】2020-12-23
(65)【公開番号】P2022100122
(43)【公開日】2022-07-05
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】新井田 恵介
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 佑典
(72)【発明者】
【氏名】荻原 勤
【審査官】高草木 綾音
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-118960(JP,A)
【文献】特開2020-184062(JP,A)
【文献】特開2013-167669(JP,A)
【文献】特開2013-224279(JP,A)
【文献】国際公開第2020/085508(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004-7/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上の下記一般式(1)で示されるケイ素化合物(A-1)の加水分解物もしくは加水分解縮合物のいずれか、又はその両方を含むものであることを特徴とするケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物。
【化1】
(上記一般式(1)中、Rは、水素原子又は炭素数1~30の1価の有機基であり、Rは、アルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン原子である。n1は0、1又は2である。R、Rは、それぞれ独立に水素原子であるか、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、又はケイ素原子を含んでいてもよい炭素数1~6の有機基であって、RとRとが結合して環を形成してもよい。Rは、炭素数1~30の1価の有機基である。n2は0、1、2又は3である。Yは単結合又はケイ素原子を含んでいてもよい炭素数1~6の2価の有機基である。Zは炭素原子又はケイ素原子である。)
【請求項2】
前記ケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物が、前記ケイ素化合物(A-1)と1種以上の下記一般式(2)で示されるケイ素化合物(A-2)との混合物の加水分解物もしくは加水分解縮合物のいずれか、又はその両方を含むものであることを特徴とする請求項1に記載のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物。
【化2】
(上記一般式(2)中、Rは、水素原子であるか、又は炭素-酸素単結合、炭素-酸素二重結合、ケイ素-ケイ素結合、炭素-窒素結合、炭素-硫黄結合、酸で分解する保護基、ヨウ素原子、リン原子もしくはフッ素原子を含んでいてもよい炭素数1~30の1価の有機基であり、Rは、アルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン原子である。mは0、1、2又は3である。)
【請求項3】
さらに、架橋触媒を含むものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物。
【請求項4】
前記架橋触媒が、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、又はスルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、及びアンモニウム塩のうちのいずれかを構造の一部として有するポリシロキサンであることを特徴とする請求項3に記載のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物。
【請求項5】
更に、下記一般式(P-0)で示される化合物の1種以上を含むものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物。
【化3】
(上記式中、R300は1以上のフッ素原子で置換された2価の有機基、R301及びR302はそれぞれ独立にヘテロ原子で置換されていてもよく、ヘテロ原子が介在してもよい炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。R303はヘテロ原子で置換されていてもよく、ヘテロ原子が介在してもよい炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状の2価炭化水素基を示す。また、R301とR302、あるいはR301とR303は互いに結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。L304は単結合又はヘテロ原子で置換されていてもよく、ヘテロ原子が介在してもよい炭素数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状の2価炭化水素基を示す。)
【請求項6】
上記一般式(P-0)で示される化合物が、下記一般式(P-1)で示される化合物であることを特徴とする請求項5に記載のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物。
【化4】
(式中、X305、X306はそれぞれ独立して水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基のいずれかを示すが、全部が水素原子になることはない。n307は1~4の整数を示す。R301、R302、R303及びL304は上記されるとおりである。)
【請求項7】
被加工体上に塗布型有機下層膜材料を用いて有機下層膜を形成し、該有機下層膜の上に請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物を用いてケイ素含有レジスト下層膜を形成し、該ケイ素含有レジスト下層膜上にフォトレジスト組成物を用いてフォトレジスト膜を形成し、前記フォトレジスト膜を露光、現像してレジストパターンを形成し、該パターンが形成されたフォトレジスト膜をマスクにして前記ケイ素含有レジスト下層膜にドライエッチングでパターン転写し、該パターンが転写されたケイ素含有レジスト下層膜をマスクにして前記有機下層膜にドライエッチングでパターン転写し、さらに該パターンが転写された有機下層膜をマスクにして前記被加工体にドライエッチングでパターンを転写することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項8】
被加工体上に炭素を主成分とするハードマスクをCVD法で形成し、該CVDハードマスクの上に請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物を用いてケイ素含有レジスト下層膜を形成し、該ケイ素含有レジスト下層膜上にフォトレジスト組成物を用いてフォトレジスト膜を形成し、前記フォトレジスト膜を露光、現像してレジストパターンを形成し、該パターンが形成されたフォトレジスト膜をマスクにして前記ケイ素含有レジスト下層膜にドライエッチングでパターン転写し、該パターンが転写されたケイ素含有レジスト下層膜をマスクにして前記CVDハードマスクにドライエッチングでパターン転写し、さらに該パターンが転写されたCVDハードマスクをマスクにして前記被加工体にドライエッチングでパターンを転写することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項9】
前記レジストパターンの形成において、波長が10nm以上300nm以下の光を用いたリソグラフィー、電子線による直接描画、ナノインプリンティング、又はこれらの組み合わせによってレジストパターンを形成することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のパターン形成方法。
【請求項10】
前記レジストパターンの形成において、アルカリ現像又は有機溶剤現像によってレジストパターンを現像することを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項11】
前記被加工体を、半導体装置基板、又は該半導体装置基板上に金属膜、合金膜、金属炭化膜、金属酸化膜、金属窒化膜、金属酸化炭化膜又は金属酸化窒化膜が成膜されたものとすることを特徴とする請求項7から請求項10のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項12】
前記被加工体を構成する金属がケイ素、ガリウム、チタン、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、クロム、ゲルマニウム、銅、銀、金、インジウム、ヒ素、パラジウム、タンタル、イリジウム、アルミニウム、鉄、モリブデン、コバルト又はこれらの合金とすることを特徴とする請求項7から請求項11のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項13】
下記一般式(1)で示されるケイ素化合物。
【化5】
(上記一般式(1)中、Rは、水素原子又は炭素数1~30の1価の有機基であり、Rは、アルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン原子である。n1は0、1又は2である。R、Rは、それぞれ独立に水素原子であるか、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、又はケイ素原子を含んでいてもよい炭素数1~6の有機基であって、RとRとが結合して環を形成してもよい。Rは、炭素数1~30の1価の有機基である。n2は0、1、2又は3である。Yは単結合又はケイ素原子を含んでいてもよい炭素数1~6の2価の有機基である。Zは炭素原子又はケイ素原子である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物、パターン形成方法及びケイ素化合物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
大規模集積回路(LSI)の高集積化と高速度化に伴い、パターン寸法の微細化が急速に進んでいる。リソグラフィー技術は、この微細化に併せ、光源の短波長化とそれに対応するレジスト組成物の適切な選択により、微細パターンの形成を達成してきた。
【0003】
近年注目を浴びている微細化技術の一つとして、1回目の露光と現像で第1のパターンを形成し、2回目の露光で第1のパターンの丁度間にパターンを形成するダブルパターニングプロセスが挙げられる(非特許文献1)。ダブルパターニングの方法としては、多くのプロセスが提案されている。例えば、(1)1回目の露光と現像でラインとスペースが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクを加工し、その上にハードマスクをもう1層敷いて、1回目の露光で得られたスペース部分にフォトレジスト膜の露光と現像で第2のラインパターンを形成し、ハードマスクをドライエッチングで加工して初めのパターンの半分のピッチでラインアンドスペースパターンを形成する方法が挙げられる。また、(2)1回目の露光と現像でスペースとラインが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクを加工し、その上にフォトレジスト膜を塗布してハードマスクが残っている部分に2回目の露光によってパターンを形成し、それをマスクとしてハードマスクをドライエッチングで加工する方法が挙げられる。いずれも2回のドライエッチングでハードマスクを加工する方法である。
【0004】
更に、ドライエッチングを1回で済ませるために、1回目の露光でネガ型レジスト材料を用い、2回目の露光でポジ型レジスト材料を用いる方法がある。また、1回目の露光でポジ型レジスト材料を用い、2回目の露光でポジ型レジスト材料が溶解しない炭素が4個以上の高級アルコールに溶解させたネガ型レジスト材料を用いる方法もある。
【0005】
その他の方法として、1回目の露光と現像で形成された第1のパターンを、反応性の金属化合物で処理し、パターンを不溶化した後、新たに第1のパターンとパターンの間に露光、現像で第2のパターンを形成する方法が提案されている(特許文献1)。
【0006】
一方、近年においては、ArF液浸リソグラフフィー、EUVリソグラフィーなどの登場により、より微細なパターンの形成が可能となりつつあるが、一方で超微細パターンは接地面積が小さいため極めて倒れ易く、パターン倒れの抑制が非常に大きな課題である。このため、パターン倒れ抑止効果の高いケイ素含有レジスト下層膜の開発が急務となっている。
【0007】
このように、より微細なパターンを形成するために様々な手法が検討されているが、その中で共通している課題は、形成される微細パターンの倒れを防止することである。これを達成するため、上層レジストパターンとレジスト下層膜の間の密着性の更なる改善が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2008-033174号公報
【0009】
【文献】Proc.SPIE Vol.5754 p1508(2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、ネガ現像、ポジ現像に関係なく、いずれのレジストパターンに対しても密着性が良好であり、さらにEUV露光のようなより微細なパターンに対しても密着性が良好なレジスト下層膜を形成できるケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物、パターン形成方法及びケイ素化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明では、1種以上の下記一般式(1)で示されるケイ素化合物(A-1)の加水分解物もしくは加水分解縮合物のいずれか、又はその両方を含むものであるケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物を提供する。
【化1】
(上記一般式(1)中、Rは、水素原子又は炭素数1~30の1価の有機基であり、Rは、アルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン原子である。n1は0、1又は2である。R、Rは、それぞれ独立に水素原子であるか、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、又はケイ素原子を含んでいてもよい炭素数1~6の有機基であって、RとRとが結合して環を形成してもよい。Rは、炭素数1~30の1価の有機基である。n2は0、1、2又は3である。Yは単結合又はケイ素原子を含んでいてもよい炭素数1~6の2価の有機基である。Zは炭素原子又はケイ素原子である。)
【0012】
このようなケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物であれば、ネガ現像、ポジ現像に関係なく、いずれのレジストパターンに対しても密着性が良好であり、さらにEUV露光のようなより微細なパターンに対しても密着性が良好なレジスト下層膜を形成できる。
【0013】
また、本発明では、前記ケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物が、前記ケイ素化合物(A-1)と1種以上の下記一般式(2)で示されるケイ素化合物(A-2)との混合物の加水分解物もしくは加水分解縮合物のいずれか、又はその両方を含むものであるケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物を提供する。
【化2】
(上記一般式(2)中、Rは、水素原子であるか、又は炭素-酸素単結合、炭素-酸素二重結合、ケイ素-ケイ素結合、炭素-窒素結合、炭素-硫黄結合、酸で分解する保護基、ヨウ素原子、リン原子もしくはフッ素原子を含んでいてもよい炭素数1~30の1価の有機基であり、Rは、アルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン原子である。mは0、1、2又は3である。)
【0014】
このようなケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物であれば、ネガ現像、ポジ現像に関係なく、いずれのレジストパターンに対しても密着性がより良好であり、さらにEUV露光のようなより微細なパターンに対しても密着性がより良好なレジスト下層膜を形成できる。
【0015】
また、本発明では、さらに架橋触媒を含むものであるケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物を提供する。
【0016】
このようなケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物であれば、ネガ現像、ポジ現像に関係なく、いずれのレジストパターンに対しても密着性がさらに良好であり、さらにEUV露光のようなより微細なパターンに対しても密着性がさらに良好なレジスト下層膜を形成できるものとなる。
【0017】
このとき、前記架橋触媒が、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、又はスルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、及びアンモニウム塩のうちのいずれかを構造の一部として有するポリシロキサンであることが好ましい。
【0018】
本発明のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物には、このような架橋触媒を用いることができる。
【0019】
また、更に、下記一般式(P-0)で示される化合物の1種以上を含むものであることが好ましい。
【化3】
(上記式中、R300は1以上のフッ素原子で置換された2価の有機基、R301及びR302はそれぞれ独立にヘテロ原子で置換されていてもよく、ヘテロ原子が介在してもよい炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。R303はヘテロ原子で置換されていてもよく、ヘテロ原子が介在してもよい炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状の2価炭化水素基を示す。また、R301とR302、あるいはR301とR303は互いに結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。L304は単結合又はヘテロ原子で置換されていてもよく、ヘテロ原子が介在してもよい炭素数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状の2価炭化水素基を示す。)
【0020】
上記一般式(P-0)で示される化合物が含まれている場合、本発明のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物と組み合わせることで、上層レジストのLWRを保持したまま断面形状の矩形化に寄与できるレジスト下層膜を得ることができる。
【0021】
このとき、前記一般式(P-0)で示される化合物が、下記一般式(P-1)で示される化合物であることが好ましい。
【化4】
(式中、X305、X306はそれぞれ独立して水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基のいずれかを示すが、全部が水素原子になることはない。n307は1~4の整数を示す。R301、R302、R303及びL304は前記と同様である。)
【0022】
上記一般式(P-0)で示される化合物が、上記一般式(P-1)で示される化合物である場合、本発明の効果がより十分に発揮される。
【0023】
また、本発明では、被加工体上に塗布型有機下層膜材料を用いて有機下層膜を形成し、該有機下層膜の上に上記ケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物を用いてケイ素含有レジスト下層膜を形成し、該ケイ素含有レジスト下層膜上にフォトレジスト組成物を用いてフォトレジスト膜を形成し、前記フォトレジスト膜を露光、現像してレジストパターンを形成し、該パターンが形成されたフォトレジスト膜をマスクにして前記ケイ素含有レジスト下層膜にドライエッチングでパターン転写し、該パターンが転写されたケイ素含有レジスト下層膜をマスクにして前記有機下層膜にドライエッチングでパターン転写し、さらに該パターンが転写された有機下層膜をマスクにして前記被加工体にドライエッチングでパターンを転写するパターン形成方法を提供する。
【0024】
このようなパターン形成方法であれば、ケイ素含有レジスト下層膜の下に塗布型の有機下層膜を形成するパターン形成方法において、ネガ現像、ポジ現像のいずれの場合にも、パターン倒れの発生を抑制しながら微細なパターンを形成することができる。
【0025】
また、本発明では、被加工体上に炭素を主成分とするハードマスクをCVD法で形成し、該CVDハードマスクの上に上記ケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物を用いてケイ素含有レジスト下層膜を形成し、該ケイ素含有レジスト下層膜上にフォトレジスト組成物を用いてフォトレジスト膜を形成し、前記フォトレジスト膜を露光、現像してレジストパターンを形成し、該パターンが形成されたフォトレジスト膜をマスクにして前記ケイ素含有レジスト下層膜にドライエッチングでパターン転写し、該パターンが転写されたケイ素含有レジスト下層膜をマスクにして前記CVDハードマスクにドライエッチングでパターン転写し、さらに該パターンが転写されたCVDハードマスクをマスクにして前記被加工体にドライエッチングでパターンを転写するパターン形成方法を提供する。
【0026】
このようなパターン形成方法であれば、ケイ素含有レジスト下層膜の下にCVDハードマスクを形成するパターン形成方法において、ネガ現像、ポジ現像のいずれの場合にも、パターン倒れの発生を抑制しながら微細なパターンを形成することができる。
【0027】
また、前記レジストパターンの形成において、波長が10nm以上300nm以下の光を用いたリソグラフィー、電子線による直接描画、ナノインプリンティング、又はこれらの組み合わせによってレジストパターンを形成することが好ましい。
【0028】
また、前記レジストパターンの形成において、アルカリ現像又は有機溶剤現像によってレジストパターンを現像することが好ましい。
【0029】
本発明のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物を用いるパターン形成方法では、このようなレジストパターンの形成手段及び現像手段を好適に用いることができる。
【0030】
このとき、前記被加工体が、半導体装置基板、又は該半導体装置基板上に金属膜、合金膜、金属炭化膜、金属酸化膜、金属窒化膜、金属酸化炭化膜又は金属酸化窒化膜のいずれかが成膜されたものであることが好ましい。
【0031】
本発明のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物を用いるパターン形成方法であれば、上記のような被加工体を加工してパターンを形成することができる。
【0032】
また、前記被加工体を構成する金属がケイ素、ガリウム、チタン、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、クロム、ゲルマニウム、銅、銀、金、インジウム、ヒ素、パラジウム、タンタル、イリジウム、アルミニウム、鉄、モリブデン、コバルト又はこれらの合金であることが好ましい。
【0033】
本発明のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物を用いるパターン形成方法の被加工体には、上記のような金属が好ましい。
【0034】
また、本発明では、下記一般式(1)で示されるケイ素化合物を提供する。
【化5】
(上記一般式(1)中、Rは、水素原子又は炭素数1~30の1価の有機基であり、Rは、アルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン原子である。n1は0、1又は2である。R、Rは、それぞれ独立に水素原子であるか、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、又はケイ素原子を含んでいてもよい炭素数1~6の有機基であって、RとRとが結合して環を形成してもよい。Rは、炭素数1~30の1価の有機基である。n2は0、1、2又は3である。Yは単結合又はケイ素原子を含んでいてもよい炭素数1~6の2価の有機基である。Zは炭素原子又はケイ素原子である。)
【0035】
このようなケイ素化合物であれば、ネガ現像、ポジ現像に関係なく、いずれのレジストパターンに対しても密着性が良好であり、さらにEUV露光のようなより微細なパターンに対しても密着性が良好なレジスト下層膜を形成できるケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物を与えるケイ素化合物となる。
【発明の効果】
【0036】
以上のように、本発明のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物を用いてレジスト下層膜を形成すれば、アルカリ現像(ポジ現像)においても、有機溶剤現像(ネガ現像)においても、レジストパターンに対するレジスト下層膜の密着性が良好となるため、パターン倒れが発生せず、表面ラフネスも良好なパターン形成が可能である。更に、当該レジスト下層膜は、EUV露光のようなより微細なパターンに対しても、パターン倒れの抑制が可能となる。また、実際の半導体装置製造工程において、すべてのパターン形成工程がネガ現像に置き換えられるわけではなく、ごく一部の超微細な工程が置き換わるのであって、従来のポジ現像工程もそのまま残ると考えられる。その際、ネガ型専用レジスト下層膜、ポジ型専用下層膜と専用化すると装置的にも組成物の品質管理においても煩雑になる。これに対し、ポジ型、ネガ型両方の工程において適用可能であり、さらにより微細なEUV露光にも適用可能な本発明のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物であれば、装置的にも品質管理的にも合理的な運用が可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
上述のように、ネガ現像、ポジ現像に関係なく、いずれのレジストパターンに対しても密着性が良好であり、さらにEUV露光のようなより微細なパターンに対しても密着性が良好なレジスト下層膜を形成できるケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物の開発が求められていた。
【0038】
従来技術として、ArF露光のネガ現像パターンにおけるパターン倒れ防止として、下層膜の接触角を上層レジストパターンの接触角に合わせる方法が知られている(特開2012-237975号公報等)。しかしながら、よりパターン線幅の微細なEUV露光においては、この方法では先端プロセスで適用できるパターン線幅を形成することが出来なかった。そこで、本発明者は鋭意検討した結果、レジスト下層膜と上層のレジストの間で化学結合を形成できる官能基を導入することで、EUV露光で形成されるネガ現像パターン、ポジ現像パターンのいずれの微細なパターンに対しても倒れを防止することを達成し、本発明を完成するに至った。また、上述したEUV露光でレジスト下層膜と上層のレジストの間で化学結合を形成できる官能基と従来技術のように接触角を上層のレジストパターンの接触角に合わせる官能基を併せ待つ部分構造を導入することで、ArF露光においても倒れ防止効果を達成することができた。
【0039】
即ち、本発明は、1種以上の下記一般式(1)で示されるケイ素化合物(A-1)の加水分解物もしくは加水分解縮合物のいずれか、又はその両方を含むものであることを特徴とするケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物である。
【化6】
(上記一般式(1)中、Rは、水素原子又は炭素数1~30の1価の有機基であり、Rは、アルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン原子である。n1は0、1又は2である。R、Rは、それぞれ独立に水素原子であるか、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、又はケイ素原子を含んでいてもよい炭素数1~6の有機基であって、RとRとが結合して環を形成してもよい。Rは、炭素数1~30の1価の有機基である。n2は0、1、2又は3である。Yは単結合又はケイ素原子を含んでいてもよい炭素数1~6の2価の有機基である。Zは炭素原子又はケイ素原子である。)
【0040】
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書中、Meはメチル基、Etはエチル基、Acはアセチル基、Clはクロロ原子を示す。
【0041】
<ケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物>
本発明のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物は、下記一般式(1)で示されるケイ素化合物(A-1)の加水分解物もしくは加水分解縮合物のいずれか、又はその両方を含むものである。また、本発明のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物は、下記一般式(1)で示されるケイ素化合物(A-1)を加水分解もしくは加水分解縮合、又はその両方を行うことにより得られることを特徴とするものである。本発明のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物は、一般式(1)で示されるケイ素化合物(A-1)のベンジル位が、熱、酸、又はその両方の作用により、上層のレジストパターンと反応し結合を形成することで、ネガ現像、ポジ現像に関係なく、いずれのレジストパターンに対しても密着性が良好なものとなる。
【化7】
【0042】
以下、一般式(1)で示されるケイ素化合物(A-1)、およびその加水分解物もしくは加水分解縮合物のいずれか、又はその両方を含むケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物、及びこの組成物に含まれる熱硬化性ケイ素含有材料について、詳細に説明する。
【0043】
[熱硬化性ケイ素含有材料]
本発明において、熱硬化性ケイ素含有材料は一般式(1)で示されるケイ素化合物(A-1)を加水分解もしくは加水分解縮合、又はその両方を行うことにより得られる。一般式(1)で示されるケイ素化合物(A-1)は、その特徴的な構造として、フェノール系水酸基とベンジルアルコールを環状構造を形成することで保護している。本発明では、熱、酸、又はその両方の作用で、以下に示されるように露光部、又は未露光部で、一般式(1)で示されるケイ素化合物(A-1)のベンジル位とレジストパターンとの間で結合が形成されると考えられる。例えば、未露光部では、熱、酸、又はその両方の作用で、一般式(1)で示されるケイ素化合物(A-1)のベンジル位とレジストパターン中の芳香環(Ar)が直接反応し、結合が形成されると考えられる(下記スキームの上段参照)。露光部では、熱、酸、又はその両方の作用で、Z含有保護基が脱離した後に、反応活性種(アリールカチオン)が発生し、反応活性種とレジストパターン中の芳香環(Ar)とが反応し、結合が形成されると考えられる(下記スキームの下段参照)。このように、一般式(1)で示されるケイ素化合物(A-1)のベンジル位とレジストパターンとの間で結合が形成され、レジスト下層膜と上層のレジストパターンとの間で結合が形成されるため、結果として、パターンに対する密着性が向上し、パターン形状にも優れる膜が得られる。
【0044】
【化8】
【0045】
なお、このとき、一般式(1)で示されるケイ素化合物(A-1)のベンジル位との反応の相手としては、レジストパターン中の水酸基やカルボキシル基等も挙げることができる。
【0046】
さらに、このとき一般式(1)で示されるケイ素化合物(A-1)のベンジル位との反応の相手としては、芳香族親電子置換反応されやすい化合物、例えば電子供与性置換基を有する化合物等も挙げることができる。具体的には、フェノール-ホルムアミド樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂などのフェノール性水酸基を有する樹脂を例示できる。
【0047】
ArF露光の場合、未露光部では、上記一般式(1)で示されるケイ素化合物(A-1)の環状保護基は、脱保護されずに有機性を維持するため、レジストパターンとの親和性が高く、ポジ現像においてパターン形状に優れる膜が得られる。
【0048】
ArF露光の場合、露光部では、上記一般式(1)で示されるケイ素化合物(A-1)の環状保護基は、熱、酸、又はその両方の作用で容易に脱保護可能であり、フェノール系水酸基とベンジルアルコールが生成され、接触角が低下するため、ネガ現像においてもパターンに対する密着性が向上し、パターン形状に優れる膜が得られる。
【0049】
一般式(1)中、Rは、水素原子又は炭素数1~30の1価の有機基である。炭素数1~30の1価の有機基の好ましい例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ビニル基、プロペニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、ノルボルニル基、グリシドキシプロピル基、アミノプロピル基、クロロプロピル基、フェニル基、トリル基、ヒドロキシフェニル基、アニシル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、ナフチル基、及びヒドロキシナフチル基等を挙げることができる。
【0050】
一般式(1)中、Rは、アルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン原子である。なお、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等が好ましい。アシルオキシ基としては、アセトキシ基等が好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素等が好ましい。
【0051】
一般式(1)中、n1は0、1又は2である。この場合、R又はRは同一であっても異なっていてもよい。一般式(1)で示されるケイ素化合物(A-1)は、n1=0、1であるものがより好ましい。即ち、下記一般式(1a)又は(1b)がより好ましい。
【化9】
【0052】
一般式(1)中、R、Rは、それぞれ独立に水素原子であるか、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、又はケイ素原子を含んでいてもよい炭素数1~6の有機基であって、RとRとが結合して環を形成してもよい。なお、R、Rとしては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基等が好ましい。
【0053】
また、上記のように、RとRは結合して環状構造を形成してもよく、RとRが結合して形成される脂環基としては、以下に示す基を例示できる。なお、式中の「Z」はRとRが結合している炭素原子又はケイ素原子を示す。
【化10】
【0054】
一般式(1)中、Rは、炭素数1~30の1価の有機基である。炭素数1~30の1価の有機基の好ましい例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ビニル基、プロペニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、ノルボルニル基、グリシドキシプロピル基、アミノプロピル基、クロロプロピル基、フェニル基、トリル基、ヒドロキシフェニル基、アニシル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、ナフチル基、及びヒドロキシナフチル基等を挙げることができる。
【0055】
一般式(1)中、n2は0、1、2又は3である。n2が2又は3の場合、Rは同一であっても異なっていてもよい。一般式(1)で示されるケイ素化合物(A-1)は、n2=0であるものがより好ましい。即ち、下記一般式(1c)がより好ましい。
【化11】
【0056】
一般式(1)中、Yは単結合又はケイ素原子を含んでいてもよい炭素数1~6の2価の有機基である。炭素数1~6の2価の有機基の好ましい例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、及び分岐又は環構造を持つこれらの基の構造異性体等を挙げることができる。また、エーテル性酸素原子、カルボニル基、及びカルボニルオキシ基から選ばれる1種以上を含んでもよく、含む場合には、式中のケイ素原子(Si)と直接結合しない位置であれば、いずれの箇所に含まれていてもよい。
【0057】
一般式(1)中、Zは炭素原子又はケイ素原子である。
【0058】
ケイ素化合物(A-1)は後述するようにジオール体を、RZ基(ZはC又はSi)を有する化合物で保護することで得ることができる。ケイ素化合物(A-1)は後述するように、RZ基(保護基)で、まずサリチルアルコール誘導体を保護してから、官能基変換してもよいし、最終段階で保護基を導入することも可能である。サリチルアルコール誘導体は市販品を用いてもよいし、常法により合成してもよい。
【0059】
一般式(1)中、Zが炭素原子であるケイ素化合物の合成方法については特に限定されないが、例えば、N雰囲気下、5-ブロモ-2-ヒドロキシベンジルアルコール、2,2-ジメトキシプロパン、アセトンを混合し、p-トルエンスルホン酸一水和物を加え、反応させてc1を合成し、c1にMgを作用させ、グリニャール試薬を調製した後に、テトラメトキシシランと反応させて、c2を合成する方法が挙げられる。
【化12】
【0060】
一般式(1)中、Zがケイ素原子であるケイ素化合物の合成方法については特に限定されないが、例えば、下記式のように5-エテニル-2-ヒドロキシ-ベンゼンメタノールとジメチルジクロロシランを反応させてa1を合成し、a1を白金触媒下、トリメトキシシランと反応させて、a2を合成する方法(A法)や、5-ブロモ-2-ヒドロキシベンジルアルコールとジメチルジクロロシランを反応させてb1を合成し、b1にMgを作用させ、グリニャール試薬を調製した後に、テトラメトキシシランと反応させて、b2を合成する方法(B法)が挙げられる。
【化13】
【化14】
【0061】
一般式(1)で示されるケイ素化合物(A-1)としては、以下のものが例示できる。
【化15】
【0062】
【化16】
【0063】
【化17】
【0064】
【化18】
【0065】
【化19】
【0066】
【化20】
【0067】
【化21】
【0068】
【化22】
【0069】
【化23】
【0070】
【化24】
【0071】
【化25】
【0072】
【化26】
【0073】
【化27】
【0074】
【化28】
【0075】
本発明は、前記ケイ素化合物(A-1)と1種以上の下記一般式(2)で示されるケイ素化合物(A-2)との混合物の加水分解物もしくは加水分解縮合物のいずれか、又はその両方を含むものであるケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物を提供できる。また、本発明は、前記ケイ素化合物(A-1)と1種以上の下記一般式(2)で示されるケイ素化合物(A-2)との混合物を加水分解もしくは加水分解縮合、又はその両方を行うことにより得られるものであることを特徴とするケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物を提供できる。
【化29】
【0076】
一般式(2)中、Rは、水素原子であるか、又は炭素-酸素単結合、炭素-酸素二重結合、ケイ素-ケイ素結合、炭素-窒素結合、炭素-硫黄結合、酸で分解する保護基、ヨウ素原子、リン原子もしくはフッ素原子を含んでいてもよい炭素数1~30の1価の有機基である。
【0077】
一般式(2)中、Rは、アルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン原子である。なお、本発明において熱硬化性ケイ素含有材料に用いられる加水分解性モノマーとしては、アルコキシシランを用いるのがより好ましい。
【0078】
一般式(2)中、mは0、1、2又は3である。ケイ素化合物(A-2)は、具体的には、ケイ素上に上記Rと加水分解性基Rとして1個、2個、3個または4個の塩素、臭素、ヨウ素、アセトキシ基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基またはブトキシ基等を有するものであり、さらに、Rとして水素原子又は上記炭素数1~30の1価の有機基をケイ素上に有しているものであってもよい。
【0079】
一般式(2)で示されるケイ素化合物(A-2)の例としては、以下のものが挙げられる。
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、トリイソプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリプロポキシシラン、イソプロピルトリイソプロポキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、ブチルトリイソプロポキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、sec-ブチルトリメトキシシラン、sec-ブチルトリエトキシシラン、sec-ブチルトリプロポキシシラン、sec-ブチルトリイソプロポキシシラン、t-ブチルトリメトキシシラン、t-ブチルトリエトキシシラン、t-ブチルトリプロポキシシラン、t-ブチルトリイソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、シクロプロピルトリメトキシシラン、シクロプロピルトリエトキシシラン、シクロプロピルトリプロポキシシラン、シクロプロピルトリイソプロポキシシラン、シクロブチルトリメトキシシラン、シクロブチルトリエトキシシラン、シクロブチルトリプロポキシシラン、シクロブチルトリイソプロポキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリプロポキシシラン、シクロペンチルトリイソプロポキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリプロポキシシラン、シクロヘキシルトリイソプロポキシシラン、シクロヘキセニルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルトリエトキシシラン、シクロヘキセニルトリプロポキシシラン、シクロヘキセニルトリイソプロポキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリエトキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリプロポキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリイソプロポキシシラン、シクロオクチルトリメトキシシラン、シクロオクチルトリエトキシシラン、シクロオクチルトリプロポキシシラン、シクロオクチルトリイソプロポキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリメトキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリエトキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリプロポキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリイソプロポキシシラン、ビシクロヘプテニルトリメトキシシラン、ビシクロヘプテニルトリエトキシシラン、ビシクロヘプテニルトリプロポキシシラン、ビシクロヘプテニルトリイソプロポキシシラン、ビシクロヘプチルトリメトキシシラン、ビシクロヘプチルトリエトキシシラン、ビシクロヘプチルトリプロポキシシラン、ビシクロヘプチルトリイソプロポキシシラン、アダマンチルトリメトキシシラン、アダマンチルトリエトキシシラン、アダマンチルトリプロポキシシラン、アダマンチルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ベンジルトリプロポキシシラン、ベンジルトリイソプロポキシシラン、アニシルトリメトキシシラン、アニシルトリエトキシシラン、アニシルトリプロポキシシラン、アニシルトリイソプロポキシシラン、トリルトリメトキシシラン、トリルトリエトキシシラン、トリルトリプロポキシシラン、トリルトリイソプロポキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、フェネチルトリプロポキシシラン、フェネチルトリイソプロポキシシラン、ナフチルトリメトキシシラン、ナフチルトリエトキシシラン、ナフチルトリプロポキシシラン、ナフチルトリイソプロポキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジプロポキシシラン、ジプロピルジイソプロポキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジプロポキシシラン、ジイソプロピルジイソプロポキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジブチルジプロポキシシラン、ジブチルジイソプロポキシシラン、ジsec-ブチルジメトキシシラン、ジsec-ブチルジエトキシシラン、ジsec-ブチルジプロポキシシラン、ジsec-ブチルジイソプロポキシシラン、ジt-ブチルジメトキシシラン、ジt-ブチルジエトキシシラン、ジt-ブチルジプロポキシシラン、ジt-ブチルジイソプロポキシシラン、ジシクロプロピルジメトキシシラン、ジシクロプロピルジエトキシシラン、ジシクロプロピルジプロポキシシラン、ジシクロプロピルジイソプロポキシシラン、ジシクロブチルジメトキシシラン、ジシクロブチルジエトキシシラン、ジシクロブチルジプロポキシシラン、ジシクロブチルジイソプロポキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジプロポキシシラン、ジシクロペンチルジイソプロポキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシラン、ジシクロヘキシルジプロポキシシラン、ジシクロヘキシルジイソプロポキシシラン、ジシクロヘキセニルジメトキシシラン、ジシクロヘキセニルジエトキシシラン、ジシクロヘキセニルジプロポキシシラン、ジシクロヘキセニルジイソプロポキシシラン、ジシクロヘキセニルエチルジメトキシシラン、ジシクロヘキセニルエチルジエトキシシラン、ジシクロヘキセニルエチルジプロポキシシラン、ジシクロヘキセニルエチルジイソプロポキシシラン、ジシクロオクチルジメトキシシラン、ジシクロオクチルジエトキシシラン、ジシクロオクチルジプロポキシシラン、ジシクロオクチルジイソプロポキシシラン、ジシクロペンタジエニルプロピルジメトキシシラン、ジシクロペンタジエニルプロピルジエトキシシラン、ジシクロペンタジエニルプロピルジプロポキシシラン、ジシクロペンタジエニルプロピルジイソプロポキシシラン、ビス(ビシクロヘプテニル)ジメトキシシラン、ビス(ビシクロヘプテニル)ジエトキシシラン、ビス(ビシクロヘプテニル)ジプロポキシシラン、ビス(ビシクロヘプテニル)ジイソプロポキシシラン、ビス(ビシクロヘプチル)ジメトキシシラン、ビス(ビシクロヘプチル)ジエトキシシラン、ビス(ビシクロヘプチル)ジプロポキシシラン、ビス(ビシクロヘプチル)ジイソプロポキシシラン、ジアダマンチルジメトキシシラン、ジアダマンチルジエトキシシラン、ジアダマンチルジプロポキシシラン、ジアダマンチルジイソプロポキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジプロポキシシラン、ジフェニルジイソプロポキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルエチルメトキシシラン、ジメチルエチルエトキシシラン、ジメチルフェニルメトキシシラン、ジメチルフェニルエトキシシラン、ジメチルベンジルメトキシシラン、ジメチルベンジルエトキシシラン、ジメチルフェネチルメトキシシラン、ジメチルフェネチルエトキシシラン等を例示できる。
【0080】
一般式(2)として、好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキセニルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、トリルトリメトキシシラン、トリルトリエトキシシラン、アニシルトリメトキシシラン、アニシルトリエトキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルエチルメトキシシラン、ジメチルフェニルメトキシシラン、ジメチルベンジルメトキシシラン、ジメチルフェネチルメトキシシラン等を例示出来る。
【0081】
上記Rで表される1価の有機基の別の例として、炭素-酸素単結合又は炭素-酸素二重結合を1以上有する有機基を挙げることができる。具体的には、環状エーテル基、エステル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基からなる群から選択される1以上の基を有する有機基である。この例として次の一般式(Sm-R)で示されるものを挙げることができる。
【0082】
(P-Q-(Sv1-Q-)-(T)v2-Q-(Sv3-Q
(Sm-R)
(一般式(Sm-R)中、Pは水素原子、環状エーテル基、ヒドロキシル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~6のアルキルカルボニルオキシ基、または炭素数1~6のアルキルカルボニル基であり、Q、Q、Q、及びQは各々独立して-C(2q-p)-(式中、Pは上記と同様であり、pは0~3の整数であり、qは0~10の整数(但し、q=0は単結合であることを示す。)である。)、uは0~3の整数であり、SとSは各々独立して-O-、-CO-、-OCO-、-COO-または-OCOO-を表す。v1、v2、及びv3は、各々独立して0または1を表す。これらとともに、Tは炭素以外の2価の原子であるか、又は酸素原子等のヘテロ原子を含んでもよい脂環、芳香環もしくは複素環からなる2価の基であり、Tとして、酸素原子等のヘテロ原子を含んでもよい脂環、芳香環または複素環の例を以下に示す。TにおいてQとQと結合する位置は、特に限定されないが、立体的な要因による反応性や反応に用いる市販試薬の入手性等を考慮して適宜選択できる。)
【0083】
【化30】
【0084】
一般式(Sm-R)の炭素-酸素単結合又は炭素-酸素二重結合を1以上有する有機基の好ましい例として、以下のものが挙げられる。なお、下記式中において、(Si)はSiとの結合箇所を示すために記載した。
【0085】
【化31】
(式中の(Si)は結合位置を示すための表示であって、Rを構成するものではない。)
【0086】
【化32】
(式中の(Si)は結合位置を示すための表示であって、Rを構成するものではない。)
【0087】
また、Rの有機基の例として、ケイ素-ケイ素結合を含む有機基を用いることもできる。具体的には下記のものを挙げることができる。
【0088】
【化33】
(式中の(Si)は結合位置を示すための表示であって、Rを構成するものではない。)
【0089】
また、Rの有機基の例として、酸で分解する保護基を有する有機基を用いることもできる。具体的には特開2013-167669号公報の(0058)段落から(0059)段落まで挙げられている有機基、特開2013-224279号公報の(0060)段落に示されているケイ素化合物から得られる有機基を挙げることができる。
【0090】
更に、Rの有機基の例として、フッ素原子を有する有機基を用いることもできる。具体的には特開2012-053253号公報の(0062)段落から(0063)段落に示されているケイ素化合物から得られる有機基を挙げることができる。
【0091】
〔熱硬化性ケイ素含有材料の合成方法〕
(合成方法1:酸触媒)
本発明において熱硬化性ケイ素含有材料は、例えば上述の一般式(1)で示されるケイ素化合物(A-1)単独、またはこれと一般式(2)で示されるケイ素化合物(A-2)の1種又は2種以上の混合物(以下、モノマーと記す)を酸触媒の存在下、加水分解、又は加水分解縮合を行うことで製造することができる。以下、加水分解若しくは加水分解縮合のいずれか、又はその両方を単に加水分解縮合という。
【0092】
このとき使用される酸触媒は、ギ酸、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸などの有機酸、フッ酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、リン酸などの無機酸等を挙げることができる。触媒の使用量は、モノマー1モルに対して1×10-6~10モル、好ましくは1×10-5~5モル、より好ましくは1×10-4~1モルである。
【0093】
これらのモノマーから加水分解縮合により熱硬化性ケイ素含有材料を得るときの水の量は、モノマーに結合している加水分解性置換基1モル当たり0.01~100モル、より好ましくは0.05~50モル、更に好ましくは0.1~30モルを添加することが好ましい。この範囲内であれば、反応に使用する装置が小さくなり経済的になる。
【0094】
操作方法として、触媒水溶液にモノマーを添加して加水分解縮合反応を開始させる。このとき、触媒水溶液に有機溶剤を加えてもよいし、モノマーを有機溶剤で希釈しておいてもよいし、両方行ってもよい。反応温度は0~100℃、好ましくは5~80℃である。モノマーの滴下時に5~80℃に温度を保ち、その後20~80℃で熟成させる方法が好ましい。
【0095】
触媒水溶液に加えることのできる、又はモノマーを希釈することのできる有機溶剤としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert-ブチル、プロピオン酸t-ブチル、プロピレングリコールモノt-ブチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン等及びこれらの混合物等が好ましい。
【0096】
これらの有機溶剤の中で好ましいものは水溶性のものである。例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール縮合物誘導体、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。この中で特に好ましいのは、沸点が100℃以下のものである。
【0097】
尚、有機溶剤の使用量は、モノマー1モルに対して0~1,000ml、特に0~500mlが好ましい。有機溶剤の使用量が少なくなると反応容器が小さくなり経済的である。
【0098】
その後、必要であれば触媒の中和反応を行い、反応混合物水溶液を得る。このとき、中和に使用することのできるアルカリ性物質の量は、触媒で使用された酸に対して0.1~2当量が好ましい。このアルカリ性物質は水中でアルカリ性を示すものであれば、任意の物質でよい。
【0099】
続いて、反応混合物から加水分解縮合反応で生成したアルコールなどの副生物を減圧除去等で取り除くことが好ましい。このとき反応混合物を加熱する温度は、添加した有機溶剤と反応で発生したアルコールなどの種類によるが、好ましくは0~100℃、より好ましくは10~90℃、更に好ましくは15~80℃である。またこのときの減圧度は、除去すべき有機溶剤及びアルコールなどの種類、排気装置、凝縮装置及び加熱温度により異なるが、好ましくは大気圧以下、より好ましくは絶対圧で80kPa以下、更に好ましくは絶対圧で50kPa以下である。この際除去されるアルコール量を正確に知ることは難しいが、生成したアルコールなどのおよそ80質量%以上が除かれることが望ましい。
【0100】
次に、反応混合物から加水分解縮合に使用した酸触媒を除去してもよい。酸触媒を除去する方法として、水と熱硬化性ケイ素含有材料を混合し、熱硬化性ケイ素含有材料を有機溶剤で抽出する。このとき使用する有機溶剤としては、熱硬化性ケイ素含有材料を溶解でき、水と混合させると2層分離するものが好ましい。例えばメタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸t-ブチル、プロピオン酸t-ブチル、プロピレングリコールモノt-ブチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンチルメチルエーテル等及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0101】
更に、水溶性有機溶剤と水難溶性有機溶剤の混合物を使用することも可能である。例えばメタノール-酢酸エチル混合物、エタノール-酢酸エチル混合物、1-プロパノール-酢酸エチル混合物、2-プロパノール-酢酸エチル混合物、ブタンジオールモノメチルエーテル-酢酸エチル混合物、プロピレングリコールモノメチルエーテル-酢酸エチル混合物、エチレングリコールモノメチルエーテル-酢酸エチル混合物、ブタンジオールモノエチルエーテル-酢酸エチル混合物、プロピレングリコールモノエチルエーテル-酢酸エチル混合物、エチレングリコールモノエチルエーテル-酢酸エチル混合物、ブタンジオールモノプロピルエーテル-酢酸エチル混合物、プロピレングリコールモノプロピルエーテル-酢酸エチル混合物、エチレングリコールモノプロピルエーテル-酢酸エチル混合物、メタノール-メチルイソブチルケトン混合物、エタノール-メチルイソブチルケトン混合物、1-プロパノール-メチルイソブチルケトン混合物、2-プロパノール-メチルイソブチルケトン混合物、プロピレングリコールモノメチルエーテル-メチルイソブチルケトン混合物、エチレングリコールモノメチルエーテル-メチルイソブチルケトン混合物、プロピレングリコールモノエチルエーテル-メチルイソブチルケトン混合物、エチレングリコールモノエチルエーテル-メチルイソブチルケトン混合物、プロピレングリコールモノプロピルエーテル-メチルイソブチルケトン混合物、エチレングリコールモノプロピルエーテル-メチルイソブチルケトン混合物、メタノール-シクロペンチルメチルエーテル混合物、エタノール-シクロペンチルメチルエーテル混合物、1-プロパノール-シクロペンチルメチルエーテル混合物、2-プロパノール-シクロペンチルメチルエーテル混合物、プロピレングリコールモノメチルエーテル-シクロペンチルメチルエーテル混合物、エチレングリコールモノメチルエーテル-シクロペンチルメチルエーテル混合物、プロピレングリコールモノエチルエーテル-シクロペンチルメチルエーテル混合物、エチレングリコールモノエチルエーテル-シクロペンチルメチルエーテル混合物、プロピレングリコールモノプロピルエーテル-シクロペンチルメチルエーテル混合物、エチレングリコールモノプロピルエーテル-シクロペンチルメチルエーテル混合物、メタノール-プロピレングリコールメチルエーテルアセテート混合物、エタノール-プロピレングリコールメチルエーテルアセテート混合物、1-プロパノール-プロピレングリコールメチルエーテルアセテート混合物、2-プロパノール-プロピレングリコールメチルエーテルアセテート混合物、プロピレングリコールモノメチルエーテル-プロピレングリコールメチルエーテルアセテート混合物、エチレングリコールモノメチルエーテル-プロピレングリコールメチルエーテルアセテート混合物、プロピレングリコールモノエチルエーテル-プロピレングリコールメチルエーテルアセテート混合物、エチレングリコールモノエチルエーテル-プロピレングリコールメチルエーテルアセテート混合物、プロピレングリコールモノプロピルエーテル-プロピレングリコールメチルエーテルアセテート混合物、エチレングリコールモノプロピルエーテル-プロピレングリコールメチルエーテルアセテート混合物等が好ましいが、組み合わせはこれらに限定されることはない。
【0102】
尚、水溶性有機溶剤と水難溶性有機溶剤との混合割合は、適宜選定されるが、水難溶性有機溶剤100質量部に対して、水溶性有機溶剤0.1~1,000質量部、好ましくは1~500質量部、更に好ましくは2~100質量部である。
【0103】
続いて、中性水で洗浄してもよい。この中性水は、通常脱イオン水や超純水と呼ばれているものを使用すればよい。この中性水の量は、熱硬化性ケイ素含有材料溶液1Lに対して、0.01~100L、好ましくは0.05~50L、より好ましくは0.1~5Lである。この洗浄の方法は、両方を同一の容器にいれ掻き混ぜた後、静置して水層を分離すればよい。洗浄回数は、1回以上あればよいが、好ましくは1~5回程度である。
【0104】
その他に酸触媒を除去する方法として、イオン交換樹脂による方法や、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のエポキシ化合物で中和したのち除去する方法を挙げることができる。これらの方法は、反応に使用された酸触媒に合わせて適宜選択することができる。
【0105】
このときの水洗操作により、熱硬化性ケイ素含有材料の一部が水層に逃げ、実質的に分画操作と同等の効果が得られている場合があるため、水洗回数や洗浄水の量は触媒除去効果と分画効果を鑑みて適宜選択すればよい。
【0106】
酸触媒が残留している熱硬化性ケイ素含有材料溶液及び酸触媒が除去された熱硬化性ケイ素含有材料溶液、いずれの場合においても、最終的な溶剤を加え、減圧で溶剤交換することで所望のケイ素含有材料溶液を得る。このときの溶剤交換の温度は、除去すべき反応溶剤や抽出溶剤の種類によるが、好ましくは0~100℃、より好ましくは10~90℃、更に好ましくは15~80℃である。またこのときの減圧度は、除去すべき抽出溶剤の種類、排気装置、凝縮装置及び加熱温度により異なるが、好ましくは大気圧以下、より好ましくは絶対圧で80kPa以下、更に好ましくは絶対圧で50kPa以下である。
【0107】
このとき、溶剤が変わることにより熱硬化性ケイ素含有材料が不安定になる場合がある。これは最終的な溶剤と熱硬化性ケイ素含有材料との相性により発生するが、これを防止するため、安定剤として、特開2009-126940号公報(0181)~(0182)段落に記載されている環状エーテルを置換基として有する1価又は2価以上のアルコールを加えてもよい。加える量としては溶剤交換前の溶液中の熱硬化性ケイ素含有材料100質量部に対して0~25質量部、好ましくは0~15質量部、より好ましくは0~5質量部であるが、添加する場合は0.5質量部以上が好ましい。溶剤交換前の溶液に必要であれば、環状エーテルを置換基として有する1価又は2価以上のアルコールを添加して溶剤交換操作を行えばよい。
【0108】
熱硬化性ケイ素含有材料は、ある濃度以上に濃縮すると更に縮合反応が進行し、有機溶剤に対して再溶解不可能な状態に変化してしまう恐れがあるため、適度な濃度の溶液状態にしておくことが好ましい。また、あまり薄すぎると、溶剤の量が過大となるため、適度な濃度の溶液状態にしておくことが経済的で好ましい。このときの濃度としては、0.1~20質量%が好ましい。
【0109】
熱硬化性ケイ素含有材料溶液に加える最終的な溶剤として好ましいものはアルコール系溶剤、モノアルキルエーテル誘導体であり、アルコール系溶剤として特に好ましいものはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオールなどである。モノアルキルエーテル誘導体として具体的には、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル等が好ましい。
【0110】
これらの溶剤が主成分であれば、補助溶剤として、非アルコール系溶剤を添加する事も可能である。この補助溶剤としては、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸t-ブチル、プロピオン酸t-ブチル、プロピレングリコールモノt-ブチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンチルメチルエーテルなどを例示できる。
【0111】
また、酸触媒を用いた別の反応操作としては、モノマー又はモノマーの有機溶液に、水又は含水有機溶剤を添加し、加水分解反応を開始させる。このとき触媒はモノマー又はモノマーの有機溶液に添加してもよいし、水又は含水有機溶剤に添加しておいてもよい。反応温度は0~100℃、好ましくは10~80℃である。水の滴下時に10~50℃に加熱し、その後20~80℃に昇温させて熟成させる方法が好ましい。
【0112】
有機溶剤を使用する場合は、水溶性のものが好ましく、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノールなどのアルコール類、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール縮合物誘導体、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、及びこれらの混合物等を挙げることができる。
【0113】
有機溶剤の使用量は、モノマー1モルに対して0~1,000ml、特に0~500mlが好ましい。有機溶剤の使用量が少ない方が反応容器が小さくなり経済的である。得られた反応混合物の後処理は、前記の方法と同様で後処理し、熱硬化性ケイ素含有材料を得ることができる。
【0114】
(合成方法2:アルカリ触媒)
また、熱硬化性ケイ素含有材料は、例えば上述の一般式(1)で示されるケイ素化合物(A-1)と一般式(2)で示されるケイ素化合物(A-2)の1種又は2種以上の混合物をアルカリ触媒の存在下、加水分解縮合を行うことで製造することができる。このとき使用されるアルカリ触媒は、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、エチルメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロシクロノネン、ジアザビシクロウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、アニリン、N,N-ジメチルアニリン、ピリジン、N,N-ジメチルアミノピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリンハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド、アンモニア、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等を挙げることができる。触媒の使用量は、モノマー1モルに対して1×10-6モル~10モル、好ましくは1×10-5モル~5モル、より好ましくは1×10-4モル~1モルである。
【0115】
上記のモノマーから加水分解縮合により熱硬化性ケイ素含有材料を得るときの水の量は、モノマーに結合している加水分解性置換基1モル当たり0.1~50モルを添加することが好ましい。この範囲内であれば、反応に使用する装置が小さくなり経済的になる。
【0116】
操作方法として、触媒水溶液にモノマーを添加して加水分解縮合反応を開始させる。このとき、触媒水溶液に有機溶剤を加えてもよいし、モノマーを有機溶剤で希釈しておいてもよいし、両方行っても良い。反応温度は0~100℃、好ましくは5~80℃である。モノマーの滴下時に5~80℃に温度を保ち、その後20~80℃で熟成させる方法が好ましい。
【0117】
アルカリ触媒水溶液に加えることのできる、又はモノマーを希釈することのできる有機溶剤としては、酸触媒水溶液に加えることのできるものとして例示した有機溶剤と同様のものが好ましく用いられる。尚、有機溶剤の使用量は、経済的に反応を行えるため、モノマー1モルに対して0~1,000mlが好ましい。
【0118】
その後、必要であれば触媒の中和反応を行い、反応混合物水溶液を得る。このとき、中和に使用することのできる酸性物質の量は、触媒で使用されたアルカリ性物質に対して0.1~2当量が好ましい。この酸性物質は水中で酸性を示すものであれば、任意の物質でよい。
【0119】
続いて、反応混合物から加水分解縮合反応で生成したアルコールなどの副生物を減圧除去等で取り除くことが好ましい。このとき反応混合物を加熱する温度は、添加した有機溶媒と反応で発生したアルコールの種類に依るが、好ましくは0~100℃、より好ましくは10~90℃、更に好ましくは15~80℃である。またこのときの減圧度は、除去すべき有機溶剤およびアルコールの種類、排気装置、凝縮装置及び加熱温度により異なるが、好ましくは大気圧以下、より好ましくは絶対圧で80kPa以下、更に好ましくは絶対圧で50kPa以下である。この際除去されるアルコール量を正確に知ることは難しいが、生成したアルコールのおよそ80質量%以上が除かれることが望ましい。
【0120】
次に加水分解縮合に使用したアルカリ触媒を除去するため、熱硬化性ケイ素含有材料を有機溶剤で抽出する。このとき使用する有機溶剤としては、熱硬化性ケイ素含有材料を溶解でき、水と混合させると2層分離するものが好ましい。更に、水溶性有機溶剤と水難溶性有機溶剤の混合物を使用することも可能である。
【0121】
アルカリ触媒を除去する際に用いられる有機溶剤の具体例は、酸触媒を除去する際に用いられるものとして具体的に例示した上述の有機溶剤や、水溶性有機溶剤と水難性有機溶剤の混合物と同様のものを用いることができる。
【0122】
このとき使用する有機溶剤としては、熱硬化性ケイ素含有材料を溶解でき、水と混合させると2層分離するものが好ましい。例えばメタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸t-ブチル、プロピオン酸t-ブチル、プロピレングリコールモノt-ブチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンチルメチルエーテル等、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0123】
尚、水溶性有機溶剤と水難溶性有機溶剤との混合割合は、適宜選定されるが、難溶性有機溶剤100質量部に対して、水溶性有機溶剤0.1~1,000質量部、好ましくは1~500質量部、更に好ましくは2~100質量部である。
【0124】
続いて、中性水で洗浄する。この中性水は、通常脱イオン水や超純水と呼ばれているものを使用すればよい。この中性水の量は、熱硬化性ケイ素含有材料溶液1Lに対して、0.01~100L、好ましくは0.05~50L、より好ましくは0.1~5Lである。この洗浄の方法は、両方を同一の容器にいれ掻き混ぜた後、静置して水層を分離すればよい。洗浄回数は、1回以上あればよいが、好ましくは1~5回程度である。
【0125】
洗浄済みの熱硬化性ケイ素含有材料溶液に最終的な溶剤を加え、減圧で溶媒交換することで所望の熱硬化性ケイ素含有材料溶液を得る。このときの溶剤交換の温度は、除去すべき抽出溶剤の種類に依るが、好ましくは0~100℃、より好ましくは10~90℃、更に好ましくは15~80℃である。またこのときの減圧度は、除去すべき抽出溶剤の種類、排気装置、凝縮装置及び加熱温度により異なるが、好ましくは大気圧以下、より好ましくは絶対圧で80kPa以下、更に好ましくは絶対圧で50kPa以下である。
【0126】
熱硬化性ケイ素含有材料溶液に加える最終的な溶剤として好ましいものはアルコール系溶剤、モノアルキルエーテルであり、アルコール系溶剤として特に好ましいものはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどである。モノアルキルエーテルとして具体的には、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテルなどが好ましい。
【0127】
また、アルカリ触媒を用いた別の反応操作としては、モノマーまたはモノマーの有機溶液に、水または含水有機溶剤を添加し、加水分解反応を開始させる。このとき触媒はモノマーまたはモノマーの有機溶液に添加しても良いし、水または含水有機溶剤に添加しておいてもよい。反応温度は0~100℃、好ましくは10~80℃である。水の滴下時に10~50℃に加熱し、その後20~80℃に昇温させて熟成させる方法が好ましい。
【0128】
モノマーの有機溶液又は含水有機溶剤として使用できる有機溶剤としては、水溶性のものが好ましく、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノールなどのアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルなどの多価アルコール縮合物誘導体、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、及びこれらの混合物などを挙げることができる。
【0129】
上記合成方法1又は2により得られる熱硬化性ケイ素含有材料の分子量は、モノマーの選択だけでなく、重合時の反応条件制御により調整することができるが、100,000以下、より好ましくは200~50,000、更には300~30,000のものを用いることが好ましい。重量平均分子量が100,000以下であれば、異物の発生や塗布斑が生じることがない。
尚、上記重量平均分子量に関するデータは、検出器としてRI、溶離溶剤としてテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準物質としてポリスチレンを用いて、ポリスチレン換算で分子量を表したものである。
【0130】
本発明のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物は、後述するようにさらに架橋触媒を含むことができる。
【0131】
本発明において、熱硬化性ケイ素含有材料は、加水分解性モノマーを酸またはアルカリ触媒を用いた条件で製造することが出来るが、さらに、このモノマーと下記一般式(Mm)で示される加水分解性金属化合物の混合物を前記の酸またはアルカリ触媒を用いた条件で製造したポリシロキサン誘導体をレジスト下層膜組成物の成分として用いることが出来る。
U(ORm8(ORm9 (Mm)
(式中、R、Rは炭素数1~30の有機基であり、m8+m9はUの種類により決まる価数と同数であり、m8、m9は0以上の整数、Uは周期表のIII族、IV族、V族、XIII族、XIV族、又はXV族の元素で炭素及びケイ素を除くものである。)
【0132】
このとき使用される加水分解性金属化合物(Mm)として、以下のものを例示出来る。
Uがホウ素の場合、一般式(Mm)で示される化合物として、ボロンメトキシド、ボロンエトキシド、ボロンプロポキシド、ボロンブトキシド、ボロンアミロキシド、ボロンヘキシロキシド、ボロンシクロペントキシド、ボロンシクロヘキシロキシド、ボロンアリロキシド、ボロンフェノキシド、ボロンメトキシエトキシド、ホウ酸、酸化ホウ素などを加水分解性金属化合物として例示出来る。
【0133】
Uがアルミニウムの場合、一般式(Mm)で示される化合物として、アルミニウムメトキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムプロポキシド、アルミニウムブトキシド、アルミニウムアミロキシド、アルミニウムヘキシロキシド、アルミニウムシクロペントキシド、アルミニウムシクロヘキシロキシド、アルミニウムアリロキシド、アルミニウムフェノキシド、アルミニウムメトキシエトキシド、アルミニウムエトキシエトキシド、アルミニウムジプロポキシエチルアセトアセテート、アルミニウムジブトキシエチルアセトアセテート、アルミニウムプロポキシビスエチルアセトアセテート、アルミニウムブトキシビスエチルアセトアセテート、アルミニウム2,4-ペンタンジオネート、アルミニウム2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオネートなどを加水分解性金属化合物として例示出来る。
【0134】
Uがガリウムの場合、一般式(Mm)で示される化合物として、ガリウムメトキシド、ガリウムエトキシド、ガリウムプロポキシド、ガリウムブトキシド、ガリウムアミロキシド、ガリウムヘキシロキシド、ガリウムシクロペントキシド、ガリウムシクロヘキシロキシド、ガリウムアリロキシド、ガリウムフェノキシド、ガリウムメトキシエトキシド、ガリウムエトキシエトキシド、ガリウムジプロポキシエチルアセトアセテート、ガリウムジブトキシエチルアセトアセテート、ガリウムプロポキシビスエチルアセトアセテート、ガリウムブトキシビスエチルアセトアセテート、ガリウム2,4-ペンタンジオネート、ガリウム2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオネートなどを加水分解性金属化合物として例示出来る。
【0135】
Uがイットリウムの場合、一般式(Mm)で示される化合物として、イットリウムメトキシド、イットリウムエトキシド、イットリウムプロポキシド、イットリウムブトキシド、イットリウムアミロキシド、イットリウムヘキシロキシド、イットリウムシクロペントキシド、イットリウムシクロヘキシロキシド、イットリウムアリロキシド、イットリウムフェノキシド、イットリウムメトキシエトキシド、イットリウムエトキシエトキシド、イットリウムジプロポキシエチルアセトアセテート、イットリウムジブトキシエチルアセトアセテート、イットリウムプロポキシビスエチルアセトアセテート、イットリウムブトキシビスエチルアセトアセテート、イットリウム2,4-ペンタンジオネート、イットリウム2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオネートなどを加水分解性金属化合物として例示出来る。
【0136】
Uがゲルマニウムの場合、一般式(Mm)で示される化合物として、ゲルマニウムメトキシド、ゲルマニウムエトキシド、ゲルマニウムプロポキシド、ゲルマニウムブトキシド、ゲルマニウムアミロキシド、ゲルマニウムヘキシロキシド、ゲルマニウムシクロペントキシド、ゲルマニウムシクロヘキシロキシド、ゲルマニウムアリロキシド、ゲルマニウムフェノキシド、ゲルマニウムメトキシエトキシド、ゲルマニウムエトキシエトキシドなどを加水分解性金属化合物として例示出来る。
【0137】
Uがチタンの場合、一般式(Mm)で示される化合物として、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンプロポキシド、チタンブトキシド、チタンアミロキシド、チタンヘキシロキシド、チタンシクロペントキシド、チタンシクロヘキシロキシド、チタンアリロキシド、チタンフェノキシド、チタンメトキシエトキシド、チタンエトキシエトキシド、チタンジプロポキシビスエチルアセトアセテート、チタンジブトキシビスエチルアセトアセテート、チタンジプロポキシビス2,4-ペンタンジオネート、チタンジブトキシビス2,4-ペンタンジオネートなどを加水分解性金属化合物として例示出来る。
【0138】
Uがハフニウムの場合、一般式(Mm)で示される化合物として、ハフニウムメトキシド、ハフニウムエトキシド、ハフニウムプロポキシド、ハフニウムブトキシド、ハフニウムアミロキシド、ハフニウムヘキシロキシド、ハフニウムシクロペントキシド、ハフニウムシクロヘキシロキシド、ハフニウムアリロキシド、ハフニウムフェノキシド、ハフニウムメトキシエトキシド、ハフニウムエトキシエトキシド、ハフニウムジプロポキシビスエチルアセトアセテート、ハフニウムジブトキシビスエチルアセトアセテート、ハフニウムジプロポキシビス2,4-ペンタンジオネート、ハフニウムジブトキシビス2,4-ペンタンジオネートなどを加水分解性金属化合物として例示出来る。
【0139】
Uがスズの場合、一般式(Mm)で示される化合物として、メトキシスズ、エトキシスズ、プロポキシスズ、ブトキシスズ、フェノキシスズ、メトキシエトキシスズ、エトキシエトキシスズ、スズ2,4-ペンタンジオネート、スズ2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオネートなどを加水分解性金属化合物として例示出来る。
【0140】
Uがヒ素の場合、一般式(Mm)で示される化合物として、メトキシヒ素、エトキシヒ素、プロポキシヒ素、ブトキシヒ素、フェノキシヒ素などを加水分解性金属化合物として例示出来る。
【0141】
Uがアンチモンの場合、一般式(Mm)で示される化合物として、メトキシアンチモン、エトキシアンチモン、プロポキシアンチモン、ブトキシアンチモン、フェノキシアンチモン、酢酸アンチモン、プロピオン酸アンチモンなどを加水分解性金属化合物として例示出来る。
【0142】
Uがニオブの場合、一般式(Mm)で示される化合物として、メトキシニオブ、エトキシニオブ、プロポキシニオブ、ブトキシニオブ、フェノキシニオブなどを加水分解性金属化合物として例示出来る。
【0143】
Uがタンタルの場合、一般式(Mm)で示される化合物として、メトキシタンタル、エトキシタンタル、プロポキシタンタル、ブトキシタンタル、フェノキシタンタルなどを加水分解性金属化合物として例示出来る。
【0144】
Uがビスマスの場合、一般式(Mm)で示される化合物として、メトキシビスマス、エトキシビスマス、プロポキシビスマス、ブトキシビスマス、フェノキシビスマスなどを加水分解性金属化合物として例示出来る。
【0145】
Uがリンの場合、一般式(Mm)で示される化合物として、トリメチルフォスフェイト、トリエチルフォスフェイト、トリプロピルフォスフェイト、トリメチルフォスファイト、トリエチルフォスファイト、トリプロピルフォスファイト、五酸化二リンなどを加水分解性金属化合物として例示出来る。
【0146】
Uがバナジウムの場合、一般式(Mm)で示される化合物として、バナジウムオキシドビス(2,4-ペンタンジオネート)、バナジウム2,4-ペンタンジオネート、バナジウムトリブトキシドオキシド、バナジウムトリプロポキシドオキシドなどを加水分解性金属化合物として例示出来る。
【0147】
Uがジルコニウムの場合、一般式(Mm)で示される化合物として、メトキシジルコニウム、エトキシジルコニウム、プロポキシジルコニウム、ブトキシジルコニウム、フェノキシジルコニウム、ジルコニウムジブトキシドビス(2,4-ペンタンジオネート)、ジルコニウムジプロポキシドビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオネート)などを加水分解性金属化合物として例示出来る。
【0148】
(架橋触媒)
本発明においては、架橋触媒(Xc)をケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物に配合することができる。配合可能な架橋触媒として、下記一般式(Xc0)で示される化合物を挙げることができる。
A (Xc0)
(式中、Lはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、スルホニウム、ヨードニウム、ホスホニウム又はアンモニウムであり、Aは非求核性対向イオンであり、aは1以上の整数、bは0又は1以上の整数で、a+bは非求核性対向イオンの価数である。)
【0149】
具体的な(Xc0)として本発明で使用される架橋触媒としては、下記一般式(Xc-1)のスルホニウム塩、(Xc-2)のヨードニウム塩、(Xc-3)のホスホニウム塩、(Xc-4)のアンモニウム塩、アルカリ金属塩等が挙げられる。
【0150】
スルホニウム塩(Xc-1)、ヨードニウム塩(Xc-2)、ホスホニウム塩(Xc-3)として以下のものが例示される。
【化34】
また、アンモニウム塩(Xc-4)として以下のものが例示される。
【化35】
(式中、R204、R205、R206、R207はそれぞれ炭素数1~12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6~20の置換あるいは非置換のアリール基、又は炭素数7~12のアラルキル基もしくはアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基等によって置換されていてもよい。また、R205とR206とは環を形成してもよく、環を形成する場合には、R205、R206はそれぞれ炭素数1~6のアルキレン基を示す。Aは非求核性対向イオンを表す。R208、R209、R210、R211は、R204、R205、R206、R207と同様であるが、水素原子であってもよい。R208とR209、R208とR209とR210とは環を形成してもよく、環を形成する場合には、R208とR209及びR208とR209とR210は炭素数3~10のアルキレン基を示す。)
【0151】
上記R204、R205、R206、R207、R208、R209、R210、R211は互いに同一であっても異なっていてもよく、具体的にはアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロプロピルメチル基、4-メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。オキソアルキル基としては、2-オキソシクロペンチル基、2-オキソシクロヘキシル基、2-オキソプロピル基、2-シクロペンチル-2-オキソエチル基、2-シクロヘキシル-2-オキソエチル基、2-(4-メチルシクロヘキシル)-2-オキソエチル基等を挙げることができる。オキソアルケニル基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、クロトイル基などを挙げることができる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等や、p-メトキシフェニル基、m-メトキシフェニル基、o-メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p-tert-ブトキシフェニル基、m-tert-ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、エチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、4-ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基等のアルキルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基等のアルコキシナフチル基、ジメチルナフチル基、ジエチルナフチル基等のジアルキルナフチル基、ジメトキシナフチル基、ジエトキシナフチル基等のジアルコキシナフチル基等が挙げられる。アラルキル基としてはベンジル基、フェニルエチル基、フェネチル基等が挙げられる。アリールオキソアルキル基としては、2-フェニル-2-オキソエチル基、2-(1-ナフチル)-2-オキソエチル基、2-(2-ナフチル)-2-オキソエチル基等の2-アリール-2-オキソエチル基等が挙げられる。
【0152】
の非求核性対向イオンとしては水酸イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、ブタン酸イオン、ペンタン酸イオン、ヘキサン酸イオン、ヘプタン酸イオン、オクタン酸イオン、ノナン酸イオン、デカン酸イオン、オレイン酸イオン、ステアリン酸イオン、リノール酸イオン、リノレン酸イオン、安息香酸イオン、フタル酸イオン、イソフタル酸イオン、テレフタル酸イオン、サリチル酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、モノクロロ酢酸イオン、ジクロロ酢酸イオン、トリクロロ酢酸イオン、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、塩素酸イオン、臭素酸イオン、メタンスルホン酸イオン、パラトルエンスルホン酸イオン、モノメチル硫酸イオン等の1価のイオン、1価または2価のシュウ酸イオン、マロン酸イオン、メチルマロン酸イオン、エチルマロン酸イオン、プロピルマロン酸イオン、ブチルマロン酸イオン、ジメチルマロン酸イオン、ジエチルマロン酸イオン、コハク酸イオン、メチルコハク酸イオン、グルタル酸イオン、アジピン酸イオン、イタコン酸イオン、マレイン酸イオン、フマル酸イオン、シトラコン酸イオン、クエン酸イオン、炭酸イオン、硫酸イオン等が挙げられる。
【0153】
アルカリ金属塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウムの水酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、ブタン酸塩、ペンタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヘプタン酸塩、オクタン酸塩、ノナン酸塩、デカン酸塩、オレイン酸塩、ステアリン酸塩、リノール酸塩、リノレン酸塩、安息香酸塩、フタル酸塩、イソフタル酸塩、テレフタル酸塩、サリチル酸塩、トリフルオロ酢酸塩、モノクロロ酢酸塩、ジクロロ酢酸塩、トリクロロ酢酸塩等の1価の塩、1価または2価のシュウ酸塩、マロン酸塩、メチルマロン酸塩、エチルマロン酸塩、プロピルマロン酸塩、ブチルマロン酸塩、ジメチルマロン酸塩、ジエチルマロン酸塩、コハク酸塩、メチルコハク酸塩、グルタル酸塩、アジピン酸塩、イタコン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、シトラコン酸塩、クエン酸塩、炭酸塩等が挙げられる。
【0154】
具体的には、スルホニウム塩(Xc-1)として、ギ酸トリフェニルスルホニウム、酢酸トリフェニルスルホニウム、プロピオン酸トリフェニルスルホニウム、ブタン酸トリフェニルスルホニウム、安息香酸トリフェニルスルホニウム、フタル酸トリフェニルスルホニウム、イソフタル酸トリフェニルスルホニウム、テレフタル酸トリフェニルスルホニウム、サリチル酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロ酢酸トリフェニルスルホニウム、モノクロロ酢酸トリフェニルスルホニウム、ジクロロ酢酸トリフェニルスルホニウム、トリクロロ酢酸トリフェニルスルホニウム、水酸化トリフェニルスルホニウム、硝酸トリフェニルスルホニウム、塩化トリフェニルスルホニウム、臭化トリフェニルスルホニウム、シュウ酸トリフェニルスルホニウム、マロン酸トリフェニルスルホニウム、メチルマロン酸トリフェニルスルホニウム、エチルマロン酸トリフェニルスルホニウム、プロピルマロン酸トリフェニルスルホニウム、ブチルマロン酸トリフェニルスルホニウム、ジメチルマロン酸トリフェニルスルホニウム、ジエチルマロン酸トリフェニルスルホニウム、コハク酸トリフェニルスルホニウム、メチルコハク酸トリフェニルスルホニウム、グルタル酸トリフェニルスルホニウム、アジピン酸トリフェニルスルホニウム、イタコン酸トリフェニルスルホニウム、シュウ酸ビストリフェニルスルホニウム、マレイン酸トリフェニルスルホニウム、フマル酸トリフェニルスルホニウム、シトラコン酸トリフェニルスルホニウム、クエン酸トリフェニルスルホニウム、炭酸トリフェニルスルホニウム、シュウ酸ビストリフェニルスルホニウム、マレイン酸ビストリフェニルスルホニウム、フマル酸ビストリフェニルスルホニウム、シトラコン酸ビストリフェニルスルホニウム、クエン酸ビストリフェニルスルホニウム、炭酸ビストリフェニルスルホニウムなどが挙げられる。
【0155】
また、ヨードニウム塩(Xc-2)として具体的には、ギ酸ジフェニルヨードニウム、酢酸ジフェニルヨードニウム、プロピオン酸ジフェニルヨードニウム、ブタン酸ジフェニルヨードニウム、安息香酸ジフェニルヨードニウム、フタル酸ジフェニルヨードニウム、イソフタル酸ジフェニルヨードニウム、テレフタル酸ジフェニルヨードニウム、サリチル酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロ酢酸ジフェニルヨードニウム、モノクロロ酢酸ジフェニルヨードニウム、ジクロロ酢酸ジフェニルヨードニウム、トリクロロ酢酸ジフェニルヨードニウム、水酸化ジフェニルヨードニウム、硝酸ジフェニルヨードニウム、塩化ジフェニルヨードニウム、臭化ジフェニルヨードニウム、ヨウ化ジフェニルヨードニウム、シュウ酸ジフェニルヨードニウム、マレイン酸ジフェニルヨードニウム、フマル酸ジフェニルヨードニウム、シトラコン酸ジフェニルヨードニウム、クエン酸ジフェニルヨードニウム、炭酸ジフェニルヨードニウム、シュウ酸ビスジフェニルヨードニウム、マレイン酸ビスジフェニルヨードニウム、フマル酸ビスジフェニルヨードニウム、シトラコン酸ビスジフェニルヨードニウム、クエン酸ビスジフェニルヨードニウム、炭酸ビスジフェニルヨードニウムなどが挙げられる。
【0156】
また、ホスホニウム塩(Xc-3)として具体的には、ギ酸テトラエチルホスホニウム、酢酸テトラエチルホスホニウム、プロピオン酸テトラエチルホスホニウム、ブタン酸テトラエチルホスホニウム、安息香酸テトラエチルホスホニウム、フタル酸テトラエチルホスホニウム、イソフタル酸テトラエチルホスホニウム、テレフタル酸テトラエチルホスホニウム、サリチル酸テトラエチルホスホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸テトラエチルホスホニウム、トリフルオロ酢酸テトラエチルホスホニウム、モノクロロ酢酸テトラエチルホスホニウム、ジクロロ酢酸テトラエチルホスホニウム、トリクロロ酢酸テトラエチルホスホニウム、水酸化テトラエチルホスホニウム、硝酸テトラエチルホスホニウム、塩化テトラエチルホスホニウム、臭化テトラエチルホスホニウム、ヨウ化テトラエチルホスホニウム、シュウ酸テトラエチルホスホニウム、マレイン酸テトラエチルホスホニウム、フマル酸テトラエチルホスホニウム、シトラコン酸テトラエチルホスホニウム、クエン酸テトラエチルホスホニウム、炭酸テトラエチルホスホニウム、シュウ酸ビステトラエチルホスホニウム、マレイン酸ビステトラエチルホスホニウム、フマル酸ビステトラエチルホスホニウム、シトラコン酸ビステトラエチルホスホニウム、クエン酸ビステトラエチルホスホニウム、炭酸ビステトラエチルホスホニウム、ギ酸テトラフェニルホスホニウム、酢酸テトラフェニルホスホニウム、プロピオン酸テトラフェニルホスホニウム、ブタン酸テトラフェニルホスホニウム、安息香酸テトラフェニルホスホニウム、フタル酸テトラフェニルホスホニウム、イソフタル酸テトラフェニルホスホニウム、テレフタル酸テトラフェニルホスホニウム、サリチル酸テトラフェニルホスホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム、トリフルオロ酢酸テトラフェニルホスホニウム、モノクロロ酢酸テトラフェニルホスホニウム、ジクロロ酢酸テトラフェニルホスホニウム、トリクロロ酢酸テトラフェニルホスホニウム、水酸化テトラフェニルホスホニウム、硝酸テトラフェニルホスホニウム、塩化テトラフェニルホスホニウム、臭化テトラフェニルホスホニウム、ヨウ化テトラフェニルホスホニウム、シュウ酸テトラフェニルホスホニウム、マレイン酸テトラフェニルホスホニウム、フマル酸テトラフェニルホスホニウム、シトラコン酸テトラフェニルホスホニウム、クエン酸テトラフェニルホスホニウム、炭酸テトラフェニルホスホニウム、シュウ酸ビステトラフェニルホスホニウム、マレイン酸ビステトラフェニルホスホニウム、フマル酸ビステトラフェニルホスホニウム、シトラコン酸ビステトラフェニルホスホニウム、クエン酸ビステトラフェニルホスホニウム、炭酸ビステトラフェニルホスホニウムなどが挙げられる。
【0157】
また、アンモニウム塩(Xc-4)として具体的には、ギ酸テトラメチルアンモニウム、酢酸テトラメチルアンモニウム、プロピオン酸テトラメチルアンモニウム、ブタン酸テトラメチルアンモニウム、安息香酸テトラメチルアンモニウム、フタル酸テトラメチルアンモニウム、イソフタル酸テトラメチルアンモニウム、テレフタル酸テトラメチルアンモニウム、サリチル酸テトラメチルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸テトラメチルアンモニウム、トリフルオロ酢酸テトラメチルアンモニウム、モノクロロ酢酸テトラメチルアンモニウム、ジクロロ酢酸テトラメチルアンモニウム、トリクロロ酢酸テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、硝酸テトラメチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、モノメチル硫酸テトラメチルアンモニウム、シュウ酸テトラメチルアンモニウム、マロン酸テトラメチルアンモニウム、マレイン酸テトラメチルアンモニウム、フマル酸テトラメチルアンモニウム、シトラコン酸テトラメチルアンモニウム、クエン酸テトラメチルアンモニウム、炭酸テトラメチルアンモニウム、シュウ酸ビステトラメチルアンモニウム、マロン酸ビステトラメチルアンモニウム、マレイン酸ビステトラメチルアンモニウム、フマル酸ビステトラメチルアンモニウム、シトラコン酸ビステトラメチルアンモニウム、クエン酸ビステトラメチルアンモニウム、炭酸ビステトラメチルアンモニウム、ギ酸テトラエチルアンモニウム、酢酸テトラエチルアンモニウム、プロピオン酸テトラエチルアンモニウム、ブタン酸テトラエチルアンモニウム、安息香酸テトラエチルアンモニウム、フタル酸テトラエチルアンモニウム、イソフタル酸テトラエチルアンモニウム、テレフタル酸テトラエチルアンモニウム、サリチル酸テトラエチルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸テトラエチルアンモニウム、トリフルオロ酢酸テトラエチルアンモニウム、モノクロロ酢酸テトラエチルアンモニウム、ジクロロ酢酸テトラエチルアンモニウム、トリクロロ酢酸テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、硝酸テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、モノメチル硫酸テトラエチルアンモニウム、シュウ酸テトラエチルアンモニウム、マロン酸テトラエチルアンモニウム、マレイン酸テトラエチルアンモニウム、フマル酸テトラエチルアンモニウム、シトラコン酸テトラエチルアンモニウム、クエン酸テトラエチルアンモニウム、炭酸テトラエチルアンモニウム、シュウ酸ビステトラエチルアンモニウム、マロン酸ビステトラエチルアンモニウム、マレイン酸ビステトラエチルアンモニウム、フマル酸ビステトラエチルアンモニウム、シトラコン酸ビステトラエチルアンモニウム、クエン酸ビステトラエチルアンモニウム、炭酸ビステトラエチルアンモニウム、ギ酸テトラプロピルアンモニウム、酢酸テトラプロピルアンモニウム、プロピオン酸テトラプロピルアンモニウム、ブタン酸テトラプロピルアンモニウム、安息香酸テトラプロピルアンモニウム、フタル酸テトラプロピルアンモニウム、イソフタル酸テトラプロピルアンモニウム、テレフタル酸テトラプロピルアンモニウム、サリチル酸テトラプロピルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸テトラプロピルアンモニウム、トリフルオロ酢酸テトラプロピルアンモニウム、モノクロロ酢酸テトラプロピルアンモニウム、ジクロロ酢酸テトラプロピルアンモニウム、トリクロロ酢酸テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、硝酸テトラプロピルアンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニウム、臭化テトラプロピルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム、モノメチル硫酸テトラプロピルアンモニウム、シュウ酸テトラプロピルアンモニウム、マロン酸テトラプロピルアンモニウム、マレイン酸テトラプロピルアンモニウム、フマル酸テトラプロピルアンモニウム、シトラコン酸テトラプロピルアンモニウム、クエン酸テトラプロピルアンモニウム、炭酸テトラプロピルアンモニウム、シュウ酸ビステトラプロピルアンモニウム、マロン酸ビステトラプロピルアンモニウム、マレイン酸ビステトラプロピルアンモニウム、フマル酸ビステトラプロピルアンモニウム、シトラコン酸ビステトラプロピルアンモニウム、クエン酸ビステトラプロピルアンモニウム、炭酸ビステトラプロピルアンモニウム、ギ酸テトラブチルアンモニウム、酢酸テトラブチルアンモニウム、プロピオン酸テトラブチルアンモニウム、ブタン酸テトラブチルアンモニウム、安息香酸テトラブチルアンモニウム、フタル酸テトラブチルアンモニウム、イソフタル酸テトラブチルアンモニウム、テレフタル酸テトラブチルアンモニウム、サリチル酸テトラブチルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸テトラブチルアンモニウム、トリフルオロ酢酸テトラブチルアンモニウム、モノクロロ酢酸テトラブチルアンモニウム、ジクロロ酢酸テトラブチルアンモニウム、トリクロロ酢酸テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、硝酸テトラブチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、メタンスルホン酸テトラブチルアンモニウム、モノメチル硫酸テトラブチルアンモニウム、シュウ酸テトラブチルアンモニウム、マロン酸テトラブチルアンモニウム、マレイン酸テトラブチルアンモニウム、フマル酸テトラブチルアンモニウム、シトラコン酸テトラブチルアンモニウム、クエン酸テトラブチルアンモニウム、炭酸テトラブチルアンモニウム、シュウ酸ビステトラブチルアンモニウム、マロン酸ビステトラブチルアンモニウム、マレイン酸ビステトラブチルアンモニウム、フマル酸ビステトラブチルアンモニウム、シトラコン酸ビステトラブチルアンモニウム、クエン酸ビステトラブチルアンモニウム、炭酸ビステトラブチルアンモニウム、ギ酸トリメチルフェニルアンモニウム、酢酸トリメチルフェニルアンモニウム、プロピオン酸トリメチルフェニルアンモニウム、ブタン酸トリメチルフェニルアンモニウム、安息香酸トリメチルフェニルアンモニウム、フタル酸トリメチルフェニルアンモニウム、イソフタル酸トリメチルフェニルアンモニウム、テレフタル酸トリメチルフェニルアンモニウム、サリチル酸トリメチルフェニルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルフェニルアンモニウム、トリフルオロ酢酸トリメチルフェニルアンモニウム、モノクロロ酢酸トリメチルフェニルアンモニウム、ジクロロ酢酸トリメチルフェニルアンモニウム、トリクロロ酢酸トリメチルフェニルアンモニウム、水酸化トリメチルフェニルアンモニウム、硝酸トリメチルフェニルアンモニウム、塩化トリメチルフェニルアンモニウム、臭化トリメチルフェニルアンモニウム、ヨウ化トリメチルフェニルアンモニウム、メタンスルホン酸トリメチルフェニルアンモニウム、モノメチル硫酸トリメチルフェニルアンモニウム、シュウ酸トリメチルフェニルアンモニウム、マロン酸トリメチルフェニルアンモニウム、マレイン酸トリメチルフェニルアンモニウム、フマル酸トリメチルフェニルアンモニウム、シトラコン酸トリメチルフェニルアンモニウム、クエン酸トリメチルフェニルアンモニウム、炭酸トリメチルフェニルアンモニウム、シュウ酸ビストリメチルフェニルアンモニウム、マロン酸ビストリメチルフェニルアンモニウム、マレイン酸ビストリメチルフェニルアンモニウム、フマル酸ビストリメチルフェニルアンモニウム、シトラコン酸ビストリメチルフェニルアンモニウム、クエン酸ビストリメチルフェニルアンモニウム、炭酸ビストリメチルフェニルアンモニウム、ギ酸トリエチルフェニルアンモニウム、酢酸トリエチルフェニルアンモニウム、プロピオン酸トリエチルフェニルアンモニウム、ブタン酸トリエチルフェニルアンモニウム、安息香酸トリエチルフェニルアンモニウム、フタル酸トリエチルフェニルアンモニウム、イソフタル酸トリエチルフェニルアンモニウム、テレフタル酸トリエチルフェニルアンモニウム、サリチル酸トリエチルフェニルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリエチルフェニルアンモニウム、トリフルオロ酢酸トリエチルフェニルアンモニウム、モノクロロ酢酸トリエチルフェニルアンモニウム、ジクロロ酢酸トリエチルフェニルアンモニウム、トリクロロ酢酸トリエチルフェニルアンモニウム、水酸化トリエチルフェニルアンモニウム、硝酸トリエチルフェニルアンモニウム、塩化トリエチルフェニルアンモニウム、臭化トリエチルフェニルアンモニウム、ヨウ化トリエチルフェニルアンモニウム、メタンスルホン酸トリエチルフェニルアンモニウム、モノメチル硫酸トリエチルフェニルアンモニウム、シュウ酸トリエチルフェニルアンモニウム、マロン酸トリエチルフェニルアンモニウム、マレイン酸トリエチルフェニルアンモニウム、フマル酸トリエチルフェニルアンモニウム、シトラコン酸トリエチルフェニルアンモニウム、クエン酸トリエチルフェニルアンモニウム、炭酸トリエチルフェニルアンモニウム、シュウ酸ビストリエチルフェニルアンモニウム、マロン酸ビストリエチルフェニルアンモニウム、マレイン酸ビストリエチルフェニルアンモニウム、フマル酸ビストリエチルフェニルアンモニウム、シトラコン酸ビストリエチルフェニルアンモニウム、クエン酸ビストリエチルフェニルアンモニウム、炭酸ビストリエチルフェニルアンモニウム、ギ酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、酢酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、プロピオン酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、ブタン酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、安息香酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、フタル酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、イソフタル酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、テレフタル酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、サリチル酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、トリフルオロ酢酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、モノクロロ酢酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、ジクロロ酢酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、トリクロロ酢酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、水酸化ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、硝酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、塩化ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、臭化ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、ヨウ化ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、メタンスルホン酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、モノメチル硫酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、シュウ酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、マロン酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、マレイン酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、フマル酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、シトラコン酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、クエン酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、炭酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、シュウ酸ビスベンジルジメチルフェニルアンモニウム、マロン酸ビスベンジルジメチルフェニルアンモニウム、マレイン酸ビスベンジルジメチルフェニルアンモニウム、フマル酸ビスベンジルジメチルフェニルアンモニウム、シトラコン酸ビスベンジルジメチルフェニルアンモニウム、クエン酸ビスベンジルジメチルフェニルアンモニウム、炭酸ビスベンジルジメチルフェニルアンモニウム、等を例示することが出来る。
【0158】
アルカリ金属塩としては、ギ酸リチウム、酢酸リチウム、プロピオン酸リチウム、ブタン酸リチウム、安息香酸リチウム、フタル酸リチウム、イソフタル酸リチウム、テレフタル酸リチウム、サリチル酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロ酢酸リチウム、モノクロロ酢酸リチウム、ジクロロ酢酸リチウム、トリクロロ酢酸リチウム、水酸化リチウム、硝酸リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、メタンスルホン酸リチウム、シュウ酸水素リチウム、マロン酸水素リチウム、マレイン酸水素リチウム、フマル酸水素リチウム、シトラコン酸水素リチウム、クエン酸水素リチウム、炭酸水素リチウム、シュウ酸リチウム、マロン酸リチウム、マレイン酸リチウム、フマル酸リチウム、シトラコン酸リチウム、クエン酸リチウム、炭酸リチウム、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ブタン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、イソフタル酸ナトリウム、テレフタル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム、トリフルオロ酢酸ナトリウム、モノクロロ酢酸ナトリウム、ジクロロ酢酸ナトリウム、トリクロロ酢酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、メタンスルホン酸ナトリウム、シュウ酸水素ナトリウム、マロン酸水素ナトリウム、マレイン酸水素ナトリウム、フマル酸水素ナトリウム、シトラコン酸水素ナトリウム、クエン酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、マロン酸ナトリウム、マレイン酸ナトリウム、フマル酸ナトリウム、シトラコン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ギ酸カリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸カリウム、ブタン酸カリウム、安息香酸カリウム、フタル酸カリウム、イソフタル酸カリウム、テレフタル酸カリウム、サリチル酸カリウム、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、トリフルオロ酢酸カリウム、モノクロロ酢酸カリウム、ジクロロ酢酸カリウム、トリクロロ酢酸カリウム、水酸化カリウム、硝酸カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、メタンスルホン酸カリウム、シュウ酸水素カリウム、マロン酸水素カリウム、マレイン酸水素カリウム、フマル酸水素カリウム、シトラコン酸水素カリウム、クエン酸水素カリウム、炭酸水素カリウム、シュウ酸カリウム、マロン酸カリウム、マレイン酸カリウム、フマル酸カリウム、シトラコン酸カリウム、クエン酸カリウム、炭酸カリウムなどを例示できる。
【0159】
本発明において、架橋触媒(Xc)として、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、アンモニウム塩を構造の一部として有するポリシロキサン(Xc-10)をケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物に配合してもよい。
ここで使用される(Xc-10)を製造するために使用される原料として、下記一般式(Xm)で示される化合物を使用できる。
1A A12A A23A A3Si(OR0A(4-A1-A2-A3) (Xm)
(式中、R0Aは炭素数1~6の炭化水素基であり、R1A、R2A、R3Aのうち、少なくとも一つはアンモニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩を有する有機基であり、他方が水素原子又は炭素数1~30の1価の有機基である。A1、A2、A3は0又は1であり、1≦A1+A2+A3≦3である。)
ここで、R 0Aとしては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基を例示出来る。
【0160】
Xmとして、例えば、スルホニウム塩を構造の一部として有する加水分解性ケイ素化合物として下記一般式(Xm-1)を例示できる。
【化36】
【0161】
式中、RSA1、RSA2はそれぞれ炭素数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6~20の置換あるいは非置換のアリール基、又は炭素数7~20のアラルキル基もしくはアリールオキシアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ハロゲン原子等によって置換されていてもよい。また、RSA1とRSA2とはこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、RSA1、RSA2はそれぞれ炭素数1~6のアルキレン基を示す。RSA3は炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基、炭素数6~20の置換あるいは非置換のアリーレン基若しくはアラルキレン基、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基等によって置換されていてもよい。RSA1、RSA2、RSA3はその鎖又は環の途中に酸素原子又は窒素原子を有してもよい。
【0162】
としては水酸イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、ブタン酸イオン、ペンタン酸イオン、ヘキサン酸イオン、ヘプタン酸イオン、オクタン酸イオン、ノナン酸イオン、デカン酸イオン、オレイン酸イオン、ステアリン酸イオン、リノール酸イオン、リノレン酸イオン、安息香酸イオン、p-メチル安息香酸イオン、p-t-ブチル安息香酸イオン、フタル酸イオン、イソフタル酸イオン、テレフタル酸イオン、サリチル酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、モノクロロ酢酸イオン、ジクロロ酢酸イオン、トリクロロ酢酸イオン、硝酸イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、臭素酸イオン、ヨウ素酸イオン、シュウ酸イオン、マロン酸イオン、メチルマロン酸イオン、エチルマロン酸イオン、プロピルマロン酸イオン、ブチルマロン酸イオン、ジメチルマロン酸イオン、ジエチルマロン酸イオン、コハク酸イオン、メチルコハク酸イオン、グルタル酸イオン、アジピン酸イオン、イタコン酸イオン、マレイン酸イオン、フマル酸イオン、シトラコン酸イオン、クエン酸イオン、炭酸イオン等が挙げられる。
【0163】
具体的には、以下のものが挙げられる(Xは上記と同じ)。
【化37】
【0164】
例えば、ヨードニウム塩を構造の一部として有する加水分解性ケイ素化合物として下記一般式(Xm-2)を例示できる。
【化38】
【0165】
式中、RIA1は炭素数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6~20の置換あるいは非置換のアリール基、又は炭素数7~20のアラルキル基もしくはアリールオキソアルキル基を示し、この基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ハロゲン原子等によって置換されていてもよい。また、RIA1とRIA2とはこれらが結合するヨウ素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、RIA1、RIA2はそれぞれ炭素数1~6のアルキレン基を示す。RIA2は炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基、炭素数6~20の置換あるいは非置換のアリーレン基若しくはアラルキレン基、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基等によって置換されていてもよい。RIA1、RIA2はその鎖又は環の途中に酸素原子又は窒素原子を有してもよい。
【0166】
具体的には、以下のものが挙げられる(Xは上記と同じ)。
【化39】
【0167】
例えば、ホスホニウム塩を構造の一部として有する加水分解性ケイ素化合物として下記一般式(Xm-3)を例示できる。
【化40】
【0168】
式中、RPA1、RPA2、RPA3はそれぞれ炭素数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6~20の置換あるいは非置換のアリール基、又は炭素数7~20のアラルキル基もしくはアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ハロゲン原子等によって置換されていてもよい。また、RPA1とRPA2とはこれらが結合するリン原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、RPA1、RPA2はそれぞれ炭素数1~6のアルキレン基を示す。RPA4は炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基、炭素数6~20の置換あるいは非置換のアリーレン基若しくはアラルキレン基、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基等によって置換されていてもよい。RPA1、RPA2、RPA3、RPA4はその鎖又は環の途中に酸素原子又は窒素原子を有してもよい。
【0169】
具体的には、以下のものが挙げられる(Xは上記と同じ)。
【化41】
【0170】
例えば、アンモニウム塩を構造の一部として有する加水分解性ケイ素化合物として下記一般式(Xm-4)を例示できる。
【化42】
【0171】
式中、RNA1、RNA2、RNA3はそれぞれ水素、炭素数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6~20の置換あるいは非置換のアリール基、又は炭素数7~20のアラルキル基もしくはアリールオキシアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基等によって置換されていてもよい1価の有機基である。また、RNA1とRNA2とはこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、RNA1、RNA2はそれぞれ炭素数1~6のアルキレン基または窒素を含んだ環状複素環、複素芳香環を示す。RNA4は炭素数1~23の直鎖状、分岐状又は環状のアルレン基、アルケニレン基、炭素数6~29の置換あるいは非置換のアリーレン基、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基等によって置換されていてもよい2価の有機基であり、RNA1とRNA2、RNA1とRNA4で環状構造を形成し更に不飽和窒素を含む場合はnNA3=0、それ以外はnNA3=1である。
【0172】
具体的には、以下のものが挙げられる(Xは上記と同じ)。
【化43】
【0173】
【化44】
【0174】
【化45】
【0175】
【化46】
【0176】
【化47】
【0177】
【化48】
【0178】
【化49】
【0179】
(Xc-10)を製造するために、上記(Xm-1)、(Xm-2)、(Xm-3)、(Xm-4)と同時に使用される加水分解性ケイ素化合物として、上述一般式(1)で示されるケイ素化合物(A-1)と一般式(2)で示されるケイ素化合物(A-2)を例示出来る。
【0180】
このように示されるモノマー(Xm-1)、(Xm-2)、(Xm-3)、(Xm-4)の1種以上と、加水分解性モノマー(A-1)、(A-2)のいずれかまたは両方を選択して、反応前又は反応中に混合して(Xc-10)を形成する反応原料とすることが出来る。反応条件は熱硬化性ケイ素含有材料(Sx)の合成方法と同様の方法でよい。
【0181】
得られるケイ素含有化合物(Xc-10)の分子量は、モノマーの選択だけでなく、重合時の反応条件制御により調整することが出来るが、重量平均分子量が100,000を超えるものを用いると、ケースによっては異物の発生や塗布斑が生じることがあり、100,000以下、より好ましくは200~50,000、更には300~30,000のものを用いることが好ましい。尚、上記重量平均分子量に関するデータは、検出器としてRI、溶離溶剤としてテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準物質としてポリスチレンを用いて、ポリスチレン換算で分子量を表したものである。
【0182】
尚、上記架橋触媒(Xc-1)、(Xc-2)、(Xc-3)、(Xc-4)、(Xc-10)は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。架橋触媒の添加量は、ベースポリマー(上記方法で得られた熱硬化性ケイ素含有材料(Sx))100質量部に対して、好ましくは0.01~50質量部、より好ましくは0.1~40質量部である。
【0183】
〔その他の成分〕
(有機酸)
本発明のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物の安定性を向上させるため、炭素数が1~30の1価又は2価以上の有機酸を添加することが好ましい。このとき添加する酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、トリフルオロ酢酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、シュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、プロピルマロン酸、ブチルマロン酸、ジメチルマロン酸、ジエチルマロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、クエン酸等を例示することができる。特にシュウ酸、マレイン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸等が好ましい。また、安定性を保つため、2種以上の酸を混合して使用してもよい。添加量はケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物に含まれるケイ素100質量部に対して0.001~25質量部、好ましくは0.01~15質量部、より好ましくは0.1~5質量部である。
【0184】
あるいは、上記有機酸をケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物のpHに換算して、好ましくは0≦pH≦7、より好ましくは0.3≦pH≦6.5、更に好ましくは0.5≦pH≦6となるように配合することがよい。
【0185】
(水)
本発明ではケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物に水を添加してもよい。水を添加すると、ケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物中のポリシロキサン化合物が水和されるため、リソグラフィー性能が向上する。ケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物の溶剤成分における水の含有率は0質量%を超え50質量%未満であり、特に好ましくは0.3~30質量%、更に好ましくは0.5~20質量%である。このような範囲であれば、ケイ素含有レジスト下層膜の均一性とリソグラフィー性能は好ましいものとなり、はじきを抑えることができる。
【0186】
水を含む全溶剤の使用量は、ベースポリマーであるポリシロキサン化合物100質量部に対して100~100,000質量部、特に200~50,000質量部が好適である。
【0187】
(光酸発生剤)
本発明ではケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物に光酸発生剤を添加してもよい。本発明で使用される光酸発生剤として、具体的には、特開2009-126940号公報(0160)~(0179)段落に記載されている材料を添加することができる。
【0188】
その他に、本発明は、下記一般式(P-0)で示されるアニオン部とカチオン部を1分子中に有する化合物(光酸発生剤)の1種又は2種以上を含んでもよい。
【化50】
(上記式中、R300は1以上のフッ素原子で置換された2価の有機基、R301及びR302はそれぞれ独立にヘテロ原子で置換されていてもよく、ヘテロ原子が介在してもよい炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。R303はヘテロ原子で置換されていてもよく、ヘテロ原子が介在してもよい炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状の2価炭化水素基を示す。また、R301とR302、あるいはR301とR303は互いに結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。L304は単結合又はヘテロ原子で置換されていてもよく、ヘテロ原子が介在してもよい炭素数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状の2価炭化水素基を示す。)
【0189】
このような化合物(光酸発生剤)は、本発明のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物と組み合わせることで、上層レジストのLWRを保持したまま断面形状の矩形化に寄与できるレジスト下層膜を得ることができる。
【0190】
上記一般式(P-0)中、R300は1以上のフッ素原子で置換された2価の有機基である。上記2価の有機基は、例えば、炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基等の2価炭化水素基を示す。R300として具体的には、以下の構造を挙げることができる。
【0191】
【化51】
【0192】
なお、上記式中において、(SO )は上記一般式(P-0)中のSO 基との結合箇所を示すために記載した。また、(R350)は上記一般式(P-0)中のカチオン部がL304を介してR300に結合している部分との結合箇所を示すために記載した。
【0193】
301及びR302はそれぞれ独立にヘテロ原子で置換されていてもよく、ヘテロ原子が介在してもよい炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基、例えば、アルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基、アリール基、アラルキル基、アリールオキソアルキル基を示す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロプロピルメチル基、4-メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。オキソアルキル基としては、2-オキソシクロペンチル基、2-オキソシクロヘキシル基、2-オキソプロピル基、2-オキソエチル基、2-シクロペンチル-2-オキソエチル基、2-シクロヘキシル-2-オキソエチル基、2-(4-メチルシクロヘキシル)-2-オキソエチル基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、チエニル基等や、4-ヒドロキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、2-メトキシフェニル基、4-エトキシフェニル基、4-tert-ブトキシフェニル基、3-tert-ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、4-エチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、4-n-ブチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基等のアルキルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基、n-プロポキシナフチル基、n-ブトキシナフチル基等のアルコキシナフチル基、ジメチルナフチル基、ジエチルナフチル基等のジアルキルナフチル基、ジメトキシナフチル基、ジエトキシナフチル基等のジアルコキシナフチル基等が挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルエチル基等が挙げられる。アリールオキソアルキル基としては、2-フェニル-2-オキソエチル基、2-(1-ナフチル)-2-オキソエチル基、2-(2-ナフチル)-2-オキソエチル基等の2-アリール-2-オキソエチル基等が挙げられる。また、R301とR302は互いに結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよく、その場合には、下記式で示される基が挙げられる。
【0194】
【化52】
(破線は結合を表す。)
【0195】
上記一般式(P-0)中、R303はヘテロ原子で置換されていてもよく、ヘテロ原子が介在してもよい炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状の2価炭化水素基を示す。R303として具体的には、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基、ドデカン-1,12-ジイル基、トリデカン-1,13-ジイル基、テトラデカン-1,14-ジイル基、ペンタデカン-1,15-ジイル基、ヘキサデカン-1,16-ジイル基、ヘプタデカン-1,17-ジイル基等の直鎖状アルカンジイル基、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、ノルボルナンジイル基、アダマンタンジイル基等の飽和環状炭化水素基、フェニレン基、ナフチレン基等の不飽和環状炭化水素基が挙げられる。また、これらの基の水素原子の一部がメチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基等のアルキル基に置換されてもよい。あるいは酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子といったヘテロ原子と置き換わっていてもよく、その結果ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物、ハロアルキル基等を形成してもよい。また、R301とR303は互いに結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよく、その場合には、下記式で示される基が挙げられる。
【0196】
【化53】
(破線は結合を表す。)
【0197】
上記一般式(P-0)中、L304は単結合又はヘテロ原子で置換されていてもよく、ヘテロ原子が介在してもよい炭素数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状の2価炭化水素基を示す。L304として具体的には、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基、ドデカン-1,12-ジイル基、トリデカン-1,13-ジイル基、テトラデカン-1,14-ジイル基、ペンタデカン-1,15-ジイル基、ヘキサデカン-1,16-ジイル基、ヘプタデカン-1,17-ジイル基等の直鎖状アルカンジイル基、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、ノルボルナンジイル基、アダマンタンジイル基等の飽和環状炭化水素基、フェニレン基、ナフチレン基等の不飽和環状炭化水素基が挙げられる。またこれらの基の水素原子の一部がメチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基といったアルキル基に置換してもよい。あるいは酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子といったヘテロ原子と置き換わっていてもよく、その結果ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物、ハロアルキル基等を形成してもよい。
【0198】
上記一般式(P-0)で示される化合物(光酸発生剤)は、好ましくは下記一般式(P-1)で示される。
【化54】
(上記一般式(P-1)中、X305、X306はそれぞれ独立して水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基のいずれかを示すが、全部が水素原子になることはない。n307は1~4の整数を示す。R301、R302、R303及びL304は上記されるとおりである。)
【0199】
上記一般式(P-0)で示される光酸発生剤は、より好ましくは下記一般式(P-1-1)で示される。
【化55】
【0200】
上記一般式(P-1-1)中、R308、R309及びR310はそれぞれ独立に水素原子、又はヘテロ原子が介在してもよい炭素数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状の1価炭化水素基を示す。具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、tert-アミル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2-エチルヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基、ノルボルニル基、オキサノルボルニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、アダマンチル基等を例示できる。またこれらの基の水素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子といったヘテロ原子と置き換わっていてもよく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子が介在していてもよく、その結果ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物、ハロアルキル基等を形成又は介在してもよい。好ましくはメチル基、メトキシ基、tert-ブチル基、tert-ブトキシ基である。
【0201】
上記一般式(P-1-1)中、n308及びn309はそれぞれ0~5の整数を示し、好ましくは0又は1である。n310は0~4の整数を示し、好ましくは0又は2である。L304、X305、X306、n307については上記されるとおりである。
【0202】
上記一般式(P-0)で示される化合物(光酸発生剤)は、更に好ましくは下記一般式(P-1-2)で示される。
【化56】
(上記一般式(P-1-2)中、A311は水素原子又はトリフルオロメチル基を示す。R308、R309、R310、n308、n309、n310、L304については上記されるとおりである。)
【0203】
上記一般式(P-0)、(P-1)、(P-1-1)および(P-1-2)で示される光酸発生剤として、より具体的には下記に示す構造が挙げられる。但し、上記光酸発生剤はこれらに限定されるわけではない。
【0204】
【化57】
【0205】
【化58】
【0206】
【化59】
【0207】
【化60】
【0208】
【化61】
【0209】
【化62】
【0210】
上記一般式(P-0)で示される化合物の添加量は、熱架橋性ポリシロキサン100質量部に対し、0.001~40質量部であるが、好ましくは0.1~40質量部、更に好ましくは0.1~20質量部である。これらのような光酸発生剤を添加することで、レジストの露光部の残渣を減らし、LWRの小さなパターンを形成することが出来る。
【0211】
(安定剤)
更に、本発明ではケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物に安定剤を添加することができる。安定剤として環状エーテルを置換基として有する1価又は2価以上のアルコールを添加することができる。特に特開2009-126940号公報(0181)~(0182)段落に記載されている安定剤を添加するとケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物の安定性を向上させることができる。
【0212】
(界面活性剤)
更に、本発明では必要に応じてケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物に界面活性剤を配合することが可能である。このようなものとして、具体的には、特開2009-126940号公報(0185)段落に記載されている材料を添加することができる。
【0213】
(その他成分)
更に、本発明では必要に応じてケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物に沸点が180度以上の高沸点溶剤を添加する事も可能である。この高沸点溶剤としては、1-オクタノール、2-エチルヘキサノール、1-ノナノール、1-デカノール、1-ウンデカール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、2,4-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2,4-ヘプタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、ガンマブチロラクトン、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジアセトンアルコール、酢酸n-ノニル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、1,2-ジアセトキシエタン、1-アセトキシ-2-メトキシエタン、1,2-ジアセトキシプロパン、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテルなどを例示できる。
【0214】
以上説明したような、本発明のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物であれば、ネガ現像、ポジ現像に関係なく、いずれのレジストパターンに対しても密着性が良好なレジスト下層膜を形成できるケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物となる。
【0215】
<パターン形成方法>
また、本発明では、被加工体上に塗布型有機膜材料を用いて有機下層膜を形成し、該有機下層膜の上に上記の本発明のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物を用いてケイ素含有レジスト下層膜を形成し、該ケイ素含有レジスト下層膜上にフォトレジスト組成物を用いてフォトレジスト膜を形成し、前記フォトレジスト膜を露光、現像してレジストパターンを形成し、該パターンが形成されたフォトレジスト膜をマスクにして前記ケイ素含有レジスト下層膜にドライエッチングでパターン転写し、該パターンが転写されたケイ素含有レジスト下層膜をマスクにして前記有機下層膜にドライエッチングでパターン転写し、さらに該パターンが転写された有機下層膜をマスクにして前記被加工体にドライエッチングでパターンを転写するパターン形成方法を提供する。
【0216】
更に、本発明では、被加工体上に炭素を主成分とするハードマスクをCVD法で形成し、該CVDハードマスクの上に上記の本発明のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物を用いてケイ素含有レジスト下層膜を形成し、該ケイ素含有レジスト下層膜上にフォトレジスト組成物を用いてフォトレジスト膜を形成し、前記フォトレジスト膜を露光、現像してレジストパターンを形成し、該パターンが形成されたフォトレジスト膜をマスクにして前記ケイ素含有レジスト下層膜にドライエッチングでパターン転写し、該パターンが転写されたケイ素含有レジスト下層膜をマスクにして前記CVDハードマスクにドライエッチングでパターン転写し、さらに該パターンが転写されたCVDハードマスクをマスクにして前記被加工体にドライエッチングでパターンを転写するパターン形成方法を提供する。
【0217】
ここで、被加工体としては、半導体装置基板、又は該半導体装置基板上に金属膜、合金膜、金属炭化膜、金属酸化膜、金属窒化膜、金属酸化炭化膜又は金属酸化窒化膜のいずれかが成膜されたもの等を用いることができる。
【0218】
半導体装置基板としては、シリコン基板が一般的に用いられるが、特に限定されるものではなく、Si、アモルファスシリコン(α-Si)、p-Si、SiO、SiN、SiON、W、TiN、Al等で被加工層と異なる材質のものが用いられてもよい。
【0219】
被加工体を構成する金属としては、ケイ素、ガリウム、チタン、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、クロム、ゲルマニウム、銅、銀、金、インジウム、ヒ素、パラジウム、タンタル、イリジウム、アルミニウム、鉄、モリブデン、コバルト又はこれらの合金を用いることができる。このような金属を含む被加工層としては、例えば、Si、SiO、SiN、SiON、SiOC、p-Si、α-Si、TiN、WSi、BPSG、SOG、Cr、CrO、CrON、MoSi、W、Al、Cu、Al-Si等、あるいは種々の低誘電膜、及びそのエッチングストッパー膜が用いられ、通常50~10,000nm、特に100~5,000nmの厚さに形成し得る。
【0220】
被加工体上(ケイ素含有レジスト下層膜の下)に塗布型の有機下層膜を形成する場合には、塗布型有機膜材料として、芳香環を含む化合物を含有するものを用いることが好ましい。塗布型有機膜材料としてこのようなものを用いれば、パターン倒れの発生を更に抑制することができる。また、芳香環に直結した水酸基を有する繰り返し単位を含む樹脂を含有するものを用いることが更に好ましい。
【0221】
一方、被加工体上(ケイ素含有レジスト下層膜の下)にCVDハードマスクを形成する場合には、炭素を主成分とするハードマスクをCVD法で形成すればよく、公知の方法で行えばよい。
【0222】
ケイ素含有レジスト下層膜の形成は、被加工体上に本発明のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物をスピンコート法等で塗布することで行うことができる。スピンコート後、溶剤を蒸発させてフォトレジスト膜とのミキシングを防止するため、あるいは架橋反応を促進させるためにベークをすることが望ましい。ベーク温度は50~500℃の範囲内が好ましく、ベーク時間は10~300秒の範囲内が好ましい。製造されるデバイスの構造にもよるが、デバイスへの熱ダメージを少なくするため、400℃以下とするのが特に好ましい。
【0223】
本発明のパターン形成方法において、フォトレジスト膜材料は、化学増幅型のフォトレジスト組成物からなるものであれば、特に限定されない。なお、本発明では、アルカリ現像液を用いたポジ現像、有機溶剤の現像液を用いたネガ現像のどちらも採用できることから、ポジ型のフォトレジスト膜材料、ネガ型のフォトレジスト膜材料を現像方法に合わせて適宜選択すればよい。
【0224】
また、例えば、本発明における露光工程を、ArFエキシマレーザー光による露光プロセスとする場合、フォトレジスト膜材料としては、通常のArFエキシマレーザー光用レジスト組成物はいずれも使用可能である。
【0225】
このようなArFエキシマレーザー光用レジスト組成物は多数の候補がすでに公知であり、公知の樹脂を大別すると、ポリ(メタ)アクリル系、COMA(Cyclo Olefin Maleic Anhydride)系、COMA-(メタ)アクリルハイブリッド系、ROMP(Ring Opening Metathesis Polymerization)系、ポリノルボルネン系等があるが、このうち、ポリ(メタ)アクリル系樹脂を使用したレジスト組成物は、側鎖に脂環式骨格を導入することでエッチング耐性を確保しているため、解像性能が他の樹脂系に比較して優れており、好ましく用いることができる。
【0226】
本発明のパターン形成方法では、フォトレジスト膜におけるレジストパターンの形成を、波長が10nm以上300nm以下の光を用いたリソグラフィー、電子線による直接描画、ナノインプリンティング、又はこれらの組み合わせによって行うことが好ましい。また、レジストパターンの形成において、アルカリ現像又は有機溶剤現像によってレジストパターンを現像することが好ましい。本発明のパターン形成方法では、このようなレジストパターンの形成手段及び現像手段を好適に用いることができる。
【0227】
また、フォトレジスト膜に形成したレジストパターンをドライエッチングによってケイ素含有レジスト下層膜、有機下層膜又はCVDハードマスク、及び被加工体に転写する際には、公知の方法でドライエッチングを行えばよい。
【0228】
以上説明したような本発明のパターン形成方法であれば、ケイ素含有レジスト下層膜の下に塗布型有機下層膜あるいはCVDハードマスクを形成するパターン形成方法において、ネガ現像、ポジ現像のいずれの場合にも、パターン倒れの発生を抑制しながら微細なパターンを形成することができる。
【実施例
【0229】
以下、合成例、実施例、及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記例で%は質量%を示す。また、分子量測定はGPCで行った。GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量を「Mw」、分散度を「Mw/Mn」と記載する。
【0230】
<(1)ケイ素化合物(A-1)の合成>
[合成例1-1]ケイ素化合物(A-1-1)の合成
【化63】
雰囲気下、5-ブロモ-2-ヒドロキシベンジルアルコール38.0g、エチルビニルエーテル14.9g、テトラヒドロフラン80gを混合した。p-トルエンスルホン酸一水和物3.6gを加え、40℃まで昇温し、3時間撹拌した。室温まで冷却後、トリエチルアミン2.1gを加え、室温で1時間撹拌した。メチルイソブチルケトン150mLを加え、水洗、減圧濃縮した。得られた粗生成物を減圧蒸留してブロモ体(A-1-1-1)を67℃/10Paの留分として36.8g得た。
雰囲気下、マグネシウム3.9g、テトラヒドロフラン10gを混合し、60℃まで昇温した。ブロモ体(A-1-1-1)36.8gとテトラヒドロフラン90gの混合液をゆっくり滴下した。60℃で1時間撹拌し、室温に冷却してグリニャール試薬(A-1-1-2)を調製した。
雰囲気下、テトラメトキシシラン73.5gを45℃まで昇温し、上記に調製したグリニャール試薬(A-1-1-2)をゆっくり滴下した。反応液を55℃まで昇温し、2時間撹拌した。室温まで冷却後、ろ過を行い、減圧濃縮した。得られた粗生成物を減圧蒸留してケイ素化合物(A-1-1)を92℃/20Paの留分として16.5g得た。合成したケイ素化合物(A-1-1)のIR、1H NMR、13C NMR分析結果を以下に示す。
【0231】
IR(D-ATR):
ν=2942、2841、1605、1577、1493、1405、1272、1254、1191、1156、1093、919、810、752、724、693cm-1
1H NMR(600 MHz,DMSO-d6)δ7.33(d,J=8.1 Hz,1H),7.25(s,1H),6.85(d,J=8.1 Hz,1H),5.28(q,J=5.1 Hz,1H),4.97(d,J=15.0 Hz,1H),4.83(d,J=15.0 Hz,1H),3.50(s,9H),1.43(d,J=5.1 Hz,3H)
13C NMR(600 MHz,DMSO-d6)δ154.7,134.1,131.8,121.0,120.6,115.9,96.9,65.6,50.3,20.4
【0232】
[合成例1-2]ケイ素化合物(A-1-2)の合成
【化64】
雰囲気下、5-ブロモ-2-ヒドロキシベンジルアルコール101.5g、2,2-ジメトキシプロパン57.3g、アセトン200gを混合した。p-トルエンスルホン酸一水和物9.5gを加え、40℃まで昇温し、3時間撹拌した。室温まで冷却後、トリエチルアミン5.6gを加え、室温で1時間撹拌した。メチルイソブチルケトン400mLを加え、水洗、減圧濃縮した。得られた粗生成物を減圧蒸留してブロモ体(A-1-2-1)を73℃/20Paの留分として80.0g得た。
雰囲気下、マグネシウム8.0g、テトラヒドロフラン20gを混合し、60℃まで昇温した。ブロモ体(A-1-2-1)80.0gとテトラヒドロフラン180gの混合液をゆっくり滴下した。60℃で1時間撹拌し、室温に冷却してグリニャール試薬(A-1-2-2)を調製した。
雰囲気下、テトラメトキシシラン150.2gを45℃まで昇温し、上記に調製したグリニャール試薬(A-1-2-2)をゆっくり滴下した。反応液を55℃まで昇温し、2時間撹拌した。室温まで冷却後、ろ過を行い、減圧濃縮した。得られた粗生成物を減圧蒸留してケイ素化合物(A-1-2)を109℃/30Paの留分として13.1g得た。合成したケイ素化合物(A-1-2)のIR、1H NMR、13C NMR分析結果を以下に示す。
【0233】
IR(D-ATR):
ν=2943、2841、1605、1577、1493、1385、1374、1275、1200、1142、1103、956、912、812、737、724、686cm-1
1H NMR(600 MHz,DMSO-d6)δ7.33(d,J=8.4 Hz,1H),7.26(s,1H),6.81(d,J=8.4 Hz,1H),4.83(s,2H),3.48(s,9H),1.46(s,6H)
13C NMR(600 MHz,DMSO-d6)δ153.0,134.1,131.6,119.9,119.5,116.3,99.6,59.9,50.3,24.6
【0234】
<(2)熱硬化性ケイ素含有材料の合成>
上記ケイ素化合物(A-1-1)~(A-1-2)と下記モノマー(A-2-0)~(A-2-14)を用い、以下のように熱硬化性ケイ素含有材料を合成した。
【0235】
[合成例2-1]
メタノール120g、10%硝酸0.1g及び脱イオン水60gの混合物にケイ素化合物(A-1-1):108.1g、モノマー(A-2-2):15.2gの混合物を添加し、12時間、40℃に保持し、加水分解縮合させた。反応終了後、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGEE)400gを加え、加水分解縮合に供した水分及び副生アルコールを減圧で留去し、熱硬化性ケイ素含有材料2-1のPGEE溶液430g(化合物濃度20%)を得た。このもののポリスチレン換算分子量を測定したところMw=1,800であった。
【0236】
[合成例2-2]~[合成例2-16]
合成例2-1と同様の条件で、表1、2に示してあるモノマーを使用して、[合成例2-2]から[合成例2-16]までを行い、それぞれ目的物を得た。
【0237】
[比較合成例2-1]
メタノール120g、70%硝酸0.1g、及び脱イオン水60gの混合物に、モノマー(A-2-0)5.0g、モノマー(A-2-1)3.4g、及びモノマー(A-2-2)68.5gの混合物を添加し、12時間、40℃に保持し、加水分解縮合させた。反応終了後、PGEE300gを加え、副生アルコール及び過剰の水を減圧で留去して、ポリシロキサン化合物2-1のPGEE溶液160g(化合物濃度20%)を得た。このポリシロキサン化合物2-1のポリスチレン換算分子量を測定したところ、Mw=2,300であった。
【0238】
[比較合成例2-2]
メタノール120g、メタンスルホン酸1g、及び脱イオン水60gの混合物に、モノマー(A-2-1)13.6g、モノマー(A-2-2)38.1g、及びモノマー(A-2-11)40.6gの混合物を添加し、12時間、40℃に保持し、加水分解縮合させた。反応終了後、PGEE300gを加え、副生アルコール及び過剰の水を減圧で留去して、ポリシロキサン化合物2-2のPGEE溶液260g(化合物濃度20%)を得た。このポリシロキサン化合物2-2のポリスチレン換算分子量を測定したところ、Mw=3,400であった。
【0239】
[合成例3]
メタノール120g、10%硝酸0.1g及び脱イオン水60gの混合物にモノマー(A-2-1):61.3g及びモノマー(A-2-14):12.9gの混合物を添加し、12時間、40℃に保持し、加水分解縮合させた。反応終了後、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGEE)300gを加え、加水分解縮合に供した水分及び副生アルコールを減圧で留去し、アンモニウム塩含有ポリシロキサン化合物Z-1のPGEE溶液200g(化合物濃度20%)を得た。このアンモニウム塩含有ポリシロキサン化合物Z-1のポリスチレン換算分子量を測定したところMw=1,500であった。
【0240】
【表1】
【0241】
【表2】
【0242】
モノマー(A-2-0):PhSi(OCH
モノマー(A-2-1):CHSi(OCH
モノマー(A-2-2):Si(OCH
モノマー(A-2-3):Si(OC
【0243】
【化65】
【0244】
<実施例、比較例>[ケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物溶液の調製]
上記合成例で得られたポリシロキサン(熱硬化性ケイ素含有材料:合成例2-1~16)、架橋触媒またはポリシロキサン化合物Z-1、比較ポリシロキサン化合物2-1、2-2、光酸発生剤、酸、溶剤、水を表3-6に示す割合で混合し、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって、ケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物溶液をそれぞれ調製し、それぞれSol.1~57とした。
【0245】
【表3】
【0246】
【表4】
【0247】
【表5】
【0248】
【表6】
【0249】
TPSNO :硝酸トリフェニルスルホニウム
TPSMA :マレイン酸モノ(トリフェニルスルホニウム)
QMAMA :マレイン酸モノ(テトラメチルアンモニウム)
QMATFA :トリフルオロ酢酸テトラメチルアンモニウム
QBANO :硝酸テトラブチルアンモニウム
PhICl :塩化ジフェニルヨードニウム
TMPANO :硝酸トリメチルフェニルアンモニウム
Z-1 :20%ポリシロキサン化合物Z-1含有PGEE溶液
TPSNf :ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム
PAG-1 :下記式参照
【化66】
PGEE :プロピレングリコールモノエチルエーテル
PGME :プロピレングリコールモノメチルエーテル
GBL :ガンマブチロラクトン
DAA :ジアセトンアルコール
【0250】
[ArF露光、ポジ現像レジストによる試験]
(パターニング試験:実施例1-1~1-28、比較例1-1)
シリコンウエハー上に、下記のナフタレン骨格含有樹脂(ULポリマー1)組成物を回転塗布し、350℃で60秒間加熱して、膜厚200nmの有機下層膜を形成した。その上に、ケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物溶液Sol.1~29を回転塗布し、240℃で60秒間加熱して、膜厚35nmのケイ素含有レジスト下層膜Film1~29をそれぞれ形成した。
【0251】
ナフタレン骨格含有樹脂:ULポリマー1
分子量(Mw)4,200
分散度(Mw/Mn)=3.35
【化67】
【0252】
続いて、ケイ素含有レジスト下層膜上に表7に記載のポジ現像用ArFフォトレジスト溶液(PR-1)を塗布し、110℃で60秒間ベークして膜厚100nmのフォトレジスト膜を形成した。更にフォトレジスト膜上に表8に記載の液浸保護膜材料(TC-1)を塗布し90℃で60秒間加熱し膜厚50nmの保護膜を形成した。
【0253】
次いで、これらをArF液浸露光装置((株)ニコン製;NSR-S610C,NA1.30、σ0.98/0.65、35度ダイポール偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)で露光し、100℃で60秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間現像し、42nm1:1のポジ型のラインアンドスペースパターンを得た。その後、現像後のパターン倒れを(株)日立ハイテクノロジーズ製電子顕微鏡(CG4000)で、断面形状を(株)日立製作所製電子顕微鏡(S-9380)で観察した。その結果を表9、10に示す。
【0254】
【表7】
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0255】
ArFレジストポリマー:P1
分子量(Mw)=11,300
分散度(Mw/Mn)=1.89
【化68】
【0256】
塩基:Q1
【化69】
【0257】
撥水性ポリマー:FP1
分子量(Mw)=8,900
分散度(Mw/Mn)=1.96
【化70】
【0258】
【表8】
【0259】
保護膜ポリマー
分子量(Mw)=8,800
分散度(Mw/Mn)=1.69
【化71】
【0260】
【表9】
【0261】
【表10】
【0262】
表9、10に示されるように、本発明のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物を用いた実施例1-1~1-28では、ポジ現像用フォトレジスト膜材料を使用した場合に、垂直形状のパターン断面を得ることができ、パターン倒れがないことが認められた。一方、本発明のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物を用いていない比較例1-1では48nmでパターン倒れが発生した。
【0263】
(パターンエッチング試験:実施例2-1~2-16)
上記のポジ型現像によるパターニング試験(実施例1-1~1-3、1-16~1-28)で作製したレジストパターンをマスクにして、下記の条件(1)でドライエッチングしてケイ素含有レジスト下層膜にパターンを転写し、次いで下記の条件(2)でドライエッチングして有機下層膜にパターンを転写した。得られたパターンの断面形状とパターンラフネスを上記の電子顕微鏡で観察した。その結果を表11に示す。
【0264】
(1)CHF/CF系ガスでのエッチング条件
装置:東京エレクトロン(株)製ドライエッチング装置Telius SP
エッチング条件(1):
チャンバー圧力 10Pa
Upper/Lower RFパワー 500W/300W
CHFガス流量 50mL/min
CFガス流量 150mL/min
Arガス流量 100mL/min
処理時間 40sec
【0265】
(2)O/N系ガスでのエッチング条件
装置:東京エレクトロン(株)製ドライエッチング装置Telius SP
エッチング条件(2):
チャンバー圧力 2Pa
Upper/Lower RFパワー 1,000W/300W
ガス流量 300mL/min
ガス流量 100mL/min
Arガス流量 100mL/min
処理時間 30sec
【0266】
【表11】
【0267】
表11に示されるように、本発明のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物を用いれば、ポジ型現像後のレジストパターンの断面形状に加え、有機下層膜加工後のパターンの断面形状及びパターンラフネスも良好であることが認められた。
【0268】
[ArF露光、ネガ現像レジストによる試験]
(パターニング試験:実施例3-1~3-28、比較例2-1)
上記のポジ型レジストを用いたパターニング試験と同様に、シリコンウエハー上に有機下層膜を形成し、続いてケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物溶液Sol.1~29を回転塗布し、240℃で60秒間加熱して、膜厚35nmのケイ素含有レジスト下層膜Film1~29を形成した。
【0269】
続いて、ケイ素含有レジスト下層膜上に表12に記載のネガ現像用ArFフォトレジスト溶液(NR-1)を塗布し、110℃で60秒間ベークして膜厚100nmのフォトレジスト膜を形成した。
【0270】
次いで、これらをArF液浸露光装置((株)ニコン製;NSR-S610C,NA1.30、σ0.98/0.65、35度ダイポール偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)で露光し、100℃で60秒間ベーク(PEB)し、30rpmで回転させながら現像ノズルから現像液として酢酸ブチルを3秒間吐出し、その後回転を止めてパドル現像を27秒間行い、ジイソアミルエーテルでリンス後スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。このパターニングにより、42nm1:1のネガ型のラインアンドスペースパターンを得た。現像後のパターン倒れを(株)日立ハイテクノロジーズ製電子顕微鏡(CG4000)で、断面形状を(株)日立製作所製電子顕微鏡(S-9380)で観察した。その結果を表13、14に示す。
【0271】
【表12】
【0272】
ArFレジストポリマー:P2
分子量(Mw)=8,900
分散度(Mw/Mn)=1.93
【化72】
【0273】
酸発生剤:PAG3
【化73】
【0274】
塩基:Q2
【化74】
【0275】
【表13】
【0276】
【表14】
【0277】
表13、14に示されるように、本発明のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物を用いた実施例3-1~3-28では、ネガ現像用フォトレジスト膜材料を使用した場合にも、垂直形状のパターン断面を得ることができ、パターン倒れがないことが認められた。一方、本発明のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物を用いていないを比較例2-1では45nmでパターン倒れが発生した。
【0278】
(パターンエッチング試験:実施例4-1~4-16)
上記のネガ型現像によるパターニング試験(実施例3-1~3-3、3-16~3-28)で作製したレジストパターンをマスクにして、上記のポジ現像レジストパターンのエッチング試験と同様に、上記の条件(1)でドライエッチングしてケイ素含有レジスト下層膜にパターンを転写し、次いで上記の条件(2)でドライエッチングして有機下層膜にパターンを転写した。得られたパターンの断面形状とパターンラフネスを上記の電子顕微鏡で観察した。その結果を表15に示す。
【0279】
【表15】
【0280】
表15に示されるように、本発明のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物を用いれば、ネガ型現像後のレジストパターンの断面形状に加え、有機下層膜加工後のパターンの断面形状及びパターンラフネスも良好であることが認められた。
【0281】
[EUV露光、ポジ現像レジストによる試験]
(実施例5-1~5-26、比較例3-1)
シリコンウエハー上にケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物溶液Sol.30~56を塗布して240℃で60秒間加熱して、膜厚25nmのケイ素含有膜Film30~56を作製した。
【0282】
続いて、下記成分を表16の割合で溶解させたフォトレジスト膜材料をFilm30~56上にスピンコートし、ホットプレートを用いて105℃で60秒間プリベークして膜厚35nmのレジスト膜を作製した。これに、ASML社製EUVスキャナーNXE3300(NA0.33、σ0.9/0.6、クアドルポール照明、ウエハー上寸法がピッチ36nmのL/Sパターン)を用いて露光し、ホットプレート上で100℃、60秒間PEBを行い、2.38質量%TMAH水溶液で30秒間現像を行って、寸法18nmのラインを得た。その後、現像後のパターン倒れを(株)日立ハイテクノロジーズ製の測長SEM(CG5000)で、断面形状を(株)日立ハイテクノロジーズ製電子顕微鏡(S―4800)で観察した。その結果を表17、18に示す。
【0283】
【表16】
界面活性剤:3M社製FC-4430
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
CyHO:シクロヘキサノン
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
【0284】
ポリマー
【化75】
【0285】
【化76】
【0286】
【表17】
【0287】
【表18】
【0288】
表17、18に示されるように、本発明のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物を用いた実施例5-1~5-26では、ポジ現像用フォトレジスト膜材料を使用しEUV露光した場合に、垂直形状のパターン断面を得ることができ、パターン倒れがないことが認められた。一方、本発明のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物を用いていない比較例3-1では46nmでパターン倒れが発生した。
【0289】
[EUV露光、ネガ現像レジストによる試験]
(実施例6-1~6-26、比較例4-1~4-2)
シリコンウエハー上にケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物溶液Sol.30~57を塗布して240℃で60秒間加熱して、膜厚25nmのケイ素含有膜Film30~57を作製した。
【0290】
続いて、下記成分を表19の割合で溶解させたフォトレジスト膜材料をFilm30~57上にスピンコートし、ホットプレートを用いて105℃で60秒間プリベークして膜厚60nmのフォトレジスト膜を作製した。表19中のPRP-E1を表20に、PAG-E1とQ-E1を表21に示す。これに、ASML社製EUVスキャナーNXE3300(NA0.33、σ0.9/0.6、クアドルポール照明、ウエハー上寸法がピッチ36nmのL/Sパターン)を用いて露光し、ホットプレート上で100℃、60秒間PEBを行い、酢酸ブチルで30秒間現像を行って、寸法18nmのラインを得た。その後、現像後のパターン倒れを(株)日立ハイテクノロジーズ製の測長SEM(CG5000)で、断面形状を(株)日立ハイテクノロジーズ製電子顕微鏡(S―4800)で観察した。その結果を表22、23に示す。
【0291】
【表19】
界面活性剤:3M社製FC-4430
【0292】
【表20】
【0293】
【表21】
【0294】
【表22】
【0295】
【表23】
【0296】
表22、23に示されているように、本発明のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物を用いた実施例6-1~6-26では、ネガ現像用フォトレジスト膜材料を使用しEUV露光した場合にも、垂直形状のパターン断面を得ることができ、パターン倒れがないことが認められた。一方、本発明のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物を用いていない比較例4-1~4-2ではパターン倒れが発生した。
【0297】
以上のことから、本発明のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物を用いることで、ネガ現像、ポジ現像に関係なく、いずれのレジストパターンに対しても密着性が良好であり、さらにEUV露光のようなより微細なパターンに対しても密着性が良好なケイ素含有レジスト下層膜を形成できることが明らかとなった。
【0298】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。