IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社神戸製鋼所の特許一覧

特許7389013溶接用摺動銅当て金、溶接装置及び溶接方法
<>
  • 特許-溶接用摺動銅当て金、溶接装置及び溶接方法 図1
  • 特許-溶接用摺動銅当て金、溶接装置及び溶接方法 図2
  • 特許-溶接用摺動銅当て金、溶接装置及び溶接方法 図3
  • 特許-溶接用摺動銅当て金、溶接装置及び溶接方法 図4
  • 特許-溶接用摺動銅当て金、溶接装置及び溶接方法 図5
  • 特許-溶接用摺動銅当て金、溶接装置及び溶接方法 図6
  • 特許-溶接用摺動銅当て金、溶接装置及び溶接方法 図7
  • 特許-溶接用摺動銅当て金、溶接装置及び溶接方法 図8
  • 特許-溶接用摺動銅当て金、溶接装置及び溶接方法 図9
  • 特許-溶接用摺動銅当て金、溶接装置及び溶接方法 図10
  • 特許-溶接用摺動銅当て金、溶接装置及び溶接方法 図11
  • 特許-溶接用摺動銅当て金、溶接装置及び溶接方法 図12
  • 特許-溶接用摺動銅当て金、溶接装置及び溶接方法 図13
  • 特許-溶接用摺動銅当て金、溶接装置及び溶接方法 図14
  • 特許-溶接用摺動銅当て金、溶接装置及び溶接方法 図15
  • 特許-溶接用摺動銅当て金、溶接装置及び溶接方法 図16
  • 特許-溶接用摺動銅当て金、溶接装置及び溶接方法 図17
  • 特許-溶接用摺動銅当て金、溶接装置及び溶接方法 図18
  • 特許-溶接用摺動銅当て金、溶接装置及び溶接方法 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】溶接用摺動銅当て金、溶接装置及び溶接方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 25/00 20060101AFI20231121BHJP
【FI】
B23K25/00 R
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020217740
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2022102788
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 幸祐
(72)【発明者】
【氏名】山崎 圭
(72)【発明者】
【氏名】横山 孝視
(72)【発明者】
【氏名】戸田 亮
【審査官】落合 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特公昭43-005213(JP,B1)
【文献】実公昭43-002983(JP,Y1)
【文献】特開昭55-165292(JP,A)
【文献】実開昭53-000131(JP,U)
【文献】特開2016-215214(JP,A)
【文献】実開昭50-095423(JP,U)
【文献】特開2003-236667(JP,A)
【文献】実開昭60-171694(JP,U)
【文献】実開昭51-007420(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融スラグ浴又は溶融金属浴を形成するように一対の母材間の開先部に対向配置され、前記開先部に沿って摺動する溶接用摺動銅当て金であって、
当て金本体部と、
前記当て金本体部の少なくとも1つの側方に設けられ、前記母材と対向する端部が前記母材と当接又は近接するように移動可能な少なくとも1つの追従部材と、
を備え、
前記追従部材は、前記母材に接近又は前記母材から離間する方向に移動可能な可動部材であり、
前記可動部材は、前記開先部に沿った溶接線方向に並べて配置された複数のブロックを備える、
溶接用摺動銅当て金。
【請求項2】
前記複数のブロックの端部が、前記当て金本体部の前記母材との接触面よりも前記母材側に突出するように、前記当て金本体部に対して前記各ブロックを前記母材に向けてそれぞれ付勢する複数の付勢部材をさらに備える、請求項に記載の溶接用摺動銅当て金。
【請求項3】
前記当て金本体部の側方に取り付けられ、前記複数のブロックを支持する支持部をさらに備え、
前記複数の付勢部材は、前記支持部に対して前記複数のブロックを前記母材に向けてそれぞれ付勢する、
請求項に記載の溶接用摺動銅当て金。
【請求項4】
溶融スラグ浴又は溶融金属浴を形成するように一対の母材間の開先部に対向配置され、前記開先部に沿って摺動する溶接用摺動銅当て金であって、
当て金本体部と、
前記当て金本体部の少なくとも1つの側方に設けられ、前記母材と対向する端部が前記母材と当接又は近接するように移動可能な少なくとも1つの追従部材と、
を備え、
前記追従部材は、前記母材の形状に沿って変形可能な可変部材であり、
前記当て金本体部は、基部と、該基部に対して回転自在に支持された少なくとも1つの回転部材と、を備え、
前記回転部材は、長手方向が前記開先部に沿って伸び、前記母材と接触可能な接触面を有し、
前記可変部材は、前記当て金本体部の長手方向に沿って長尺な板状の弾性部材によって構成され、
前記弾性部材は、その前記端部が、前記母材の表面に当接し、前記母材の表面形状に倣って弾性変形し、且つ、前記当て金本体部の前記母材との接触面よりも前記母材側に突出するように、前記当て金本体部の側方に取り付けられている、
溶接用摺動銅当て金。
【請求項5】
前記追従部材は、所定の幅、及び所定の厚みを有し、
前記追従部材の上端部は、前記溶融スラグ浴又は前記溶融金属浴よりも上方に位置し、
前記追従部材の下端部は、前記当て金本体部の下端よりも上方に位置する、
請求項1~のいずれか1項に記載の溶接用摺動銅当て金。
【請求項6】
前記当て金本体部内には、水冷経路が設けられる、
請求項1~のいずれか1項に記載の溶接用摺動銅当て金。
【請求項7】
前記当て金本体部の上部には、前記溶融スラグ浴又は前記溶融金属浴の溶接電圧を検出可能な溶融スラグ浴検出器の検出端子が絶縁部材を介して取り付けられている、
請求項1~のいずれか1項に記載の溶接用摺動銅当て金。
【請求項8】
前記追従部材の上端部は、前記検出端子の下端部よりも上方に位置する、
請求項に記載の溶接用摺動銅当て金。
【請求項9】
前記当て金本体部は、基部と、該基部に対して回転自在に支持された少なくとも1つの回転部材と、を備え、
前記回転部材は、長手方向が前記開先部に沿って伸び、前記母材と接触可能な接触面を有する、
請求項1~3、5~8のいずれか1項に記載の溶接用摺動銅当て金。
【請求項10】
前記回転部材は、前記当て金本体部の側方に露出する被取付面をさらに有し、
前記追従部材は、前記回転部材の被取付面に取り付けられる、
請求項に記載の溶接用摺動銅当て金。
【請求項11】
前記基部及び前記回転部材は、それぞれ水冷経路を有する、請求項又は10に記載の溶接用摺動銅当て金。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の溶接用摺動銅当て金と、
溶接トーチと、
前記溶融スラグ浴又は前記溶融金属浴のスラグ浴高さを検出する溶融スラグ浴検出器と、
前記溶融スラグ浴又は前記溶融金属浴にフラックスを供給するフラックス供給装置と、
前記溶接用摺動銅当て金、前記溶接トーチ、前記溶融スラグ浴検出器、及び前記フラックス供給装置を搭載して前記開先部に沿って移動する走行台車と、
を備える、
溶接装置。
【請求項13】
一対の母材間の開先部に向けて、請求項1~12のいずれか1項に記載の溶接用摺動銅当て金を配置し、
該開先部内に、フラックスを充填するとともに、コンタクトチップの先端から溶接ワイヤを供給し、
前記コンタクトチップを前記開先部に沿って移動させるとともに前記溶接用摺動銅当て金を前記開先部に沿って摺動移動させて溶接する、
溶接方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接用摺動銅当て金、溶接装置及び溶接方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロスラグ溶接法及びエレクトロガスアーク溶接法等の立向上進溶接法は、立向継手の高能率施工法として、造船及び石油タンク等の大型構造物の溶接に広く採用されている。
【0003】
特に、溶融スラグのジュール熱を熱源とするエレクトロスラグ溶接は、露出したアークではなく溶融スラグ内で熱が発生してワイヤ及び母材を溶融するので、アーク放射熱が発生せず、またヒューム、スパッタの発生も少なく、作業環境の改善になる。また溶融スラグで溶接金属を大気から遮蔽するのでシールドガスが不要であり、板厚が大きくなってもシールド効果が劣化することがなく、大気に存在する窒素などの溶融金属内への侵入を板厚に関係なく効果的に防止できるので、溶接金属の機械的な劣化も発生しないといったメリットがある。
【0004】
また、エレクトロスラグ溶接法及びエレクトロガスアーク溶接法のいずれにおいても、溶融スラグ浴や溶融金属浴を覆うことができる程度の長さを有する小型の水冷摺動銅当て金を用いることが知られている。これにより、溶接の進行に合わせてレールやチェーン等によって溶接トーチおよび台車を上昇させ、水冷摺動銅当て金をトーチや台車と共に溶接線に沿って移動させ、数十メートルの長尺溶接を可能としている。
【0005】
特許文献1では、被溶接物の開先表面に摺動銅当て金を当接して溶接する立向エレクトロガスアーク溶接において、該摺動銅当て金を板厚方向に押さえながら溶接するとき、摺動銅当て金の下部を押さえる加圧力を、中央部を押さえる加圧力の1/4~1/2とし、溶接線方向で板厚の異なる母材にサーピン加工が施された継手部分においても、溶融金属および溶融スラグの漏れを防止することが開示されている。具体的に、摺動銅当て金が上側母材のサーピン加工部端面を通過した後、上側母材の表面に沿って垂直な状態となった際、溶融金属と摺動銅当て金との間に生じる隙間から溶接金属および溶融スラグが漏れるのを防止している。
【0006】
また、特許文献2には、エレクトロスラグ溶接において、スラグ浴の深さを予め定めた深さに保ちながら溶接を行うため、溶融スラグ浴検出器が摺動式銅当て金の上部に設置され、溶融スラグ浴検出器の検出端子が検出する溶接電圧に応じて、スラグ浴の深さを検出することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2003-236667号公報
【文献】特開2016-215214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図19は、従来のエレクトロスラグ溶接法において、摺動銅当て金200を用いて、溶接線方向に板厚差がある母材3のサーピン加工部3Sを溶接する過程を示している。摺動銅当て金200が下側母材3Dから上側母材3Uのサーピン加工部3Sへ進むと、摺動銅当て金200の上端部がサーピン加工部3Sに沿って上昇するため(図19(b)参照)、摺動銅当て金200と母材3との間に空隙部S1が生じる。さらに溶接が進み、摺動銅当て金200がサーピン加工部3Sと平行になると(図19(c)参照)、摺動銅当て金200の上部と上側母材3Uとの間に空隙部S2が生じる。このため、空隙部S1、S2から溶融スラグまたは溶融金属が漏れて、溶接が中断するという懸念があり、改善が求められていた。一方、摺動銅当て金200が上側母材3Uの表面に沿う状態となると(図19(d)参照)、摺動銅当て金200の下部とサーピン加工部3Sとの間に空隙部S3が生じるが、溶融スラグや溶接金属が既に固化している場合は、溶融スラグや溶接金属の漏れは生じない。
【0009】
特許文献1に記載の手法では、図19(d)の状態において、空隙部S3からの溶融金属および溶融スラグの漏れ防止を図ることを目的としており、図19(b)や図19(c)の状態において、空隙部S1,S2からの溶融スラグや溶接金属の漏れを考慮したものではない。
【0010】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、溶接線方向で板厚の違いのある継手部分おいても、溶融スラグまたは溶融金属の漏れを防止できる溶接用摺動銅当て金、溶接装置及び溶接方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
[1] 溶融スラグ浴又は溶融金属浴を形成するように一対の母材間の開先部に対向配置され、前記開先部に沿って摺動する溶接用摺動銅当て金であって、
当て金本体部と、
前記当て金本体部の少なくとも1つの側方に設けられ、前記母材と対向する端部が前記母材と当接又は近接するように移動可能な少なくとも1つの追従部材と、
を備える、溶接用摺動銅当て金。
【0012】
[2] [1]に記載の溶接用摺動銅当て金と、
溶接トーチと、
前記溶融スラグ浴又は前記溶融金属浴のスラグ浴高さを検出する溶融スラグ浴検出器と、
前記溶融スラグ浴又は前記溶融金属浴にフラックスを供給するフラックス供給装置と、
前記溶接用摺動銅当て金、前記溶接トーチ、前記溶融スラグ浴検出器、及び前記フラックス供給装置を搭載して前記開先部に沿って移動する走行台車と、
を備える、
溶接装置。
[3] 一対の母材間の開先部に向けて、[1]に記載の溶接用摺動銅当て金を配置し、
該開先部内に、フラックスを充填するとともに、コンタクトチップの先端から溶接ワイヤを供給し、
前記コンタクトチップを前記開先部に沿って移動させるとともに前記溶接用摺動銅当て金を前記開先部に沿って摺動移動させて溶接する、
溶接方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の溶接用摺動銅当て金、溶接装置及び溶接方法によれば、当て金本体部のすくなくとも1つの側方に、母材と対向する端部が母材と当接又は近接するように移動可能な少なくとも1つの追従部材を備えるので、溶接線方向で板厚の違いのある継手部分おいても、溶融スラグまたは溶接金属の漏れを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るエレクトロスラグ溶接装置の概略構成を示す図である。
図2】第1実施形態の溶接用摺動銅当て金を裏側から見た斜視図である。
図3図2に示す溶接用摺動銅当て金を表側から見た斜視図である。
図4図2に示す溶接用摺動銅当て金の表側の正面図である。
図5図2に示す溶接用摺動銅当て金の上面図である。
図6図5のVI-VI線断面図である。
図7図2に示す溶接用摺動銅当て金のスラグ漏れ防止部の部分破断側面図である。
図8】突合せ継手の開先部に銅当て金及び溶接用摺動銅当て金を配置した状態を示す断面図である。
図9】角度を有する母材の表面に銅当て金及び溶接用摺動銅当て金を配置した状態を示す断面図である。
図10】第1実施形態の溶接用摺動銅当て金により、溶接線方向に板厚の違いを有する継手部分を溶接する過程を示す側面図である。
図11】溶融スラグ浴検出器の構成例を示す図である。
図12】当て金本体部から検出端子が取り外された状態の溶接用摺動銅当て金を示す斜視図である。
図13】第2実施形態の溶接用摺動銅当て金を裏側から見た斜視図である。
図14図13に示す溶接用摺動銅当て金のスラグ漏れ防止部の斜視図である。
図15図13に示す溶接用摺動銅当て金のスラグ漏れ防止部の拡大上面図である。
図16】第2実施形態の溶接用摺動銅当て金により、溶接線方向に板厚の違いを有する継手部分を溶接する過程を示す側面図である。
図17】第1実施形態の溶接用摺動銅当て金の各種変形例を示す正面概略図である。
図18】溶接用摺動銅当て金の各種変形例を示す正面概略図である。
図19】従来の溶接用摺動銅当て金により、溶接線方向に板厚の違いを有する継手部分を溶接する過程を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る溶接用摺動銅当て金、及び該溶接用摺動銅当て金を用いる溶接装置及び溶接方法の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明に係る溶接用摺動銅当て金は、エレクトロスラグ溶接及びエレクトロガスアーク溶接のいずれにも適用可能であるが、以下の説明ではエレクトロスラグ溶接を例に説明する。
【0016】
<溶接装置の構成>
先ず、本発明の一実施形態に係る溶接用摺動銅当て金を用いたエレクトロスラグ溶接装置について説明する。図1は本発明の一実施形態に係るエレクトロスラグ溶接装置の概略構成を示す図である。
【0017】
図1に示すように、矢印Zは、母材の溶接線に沿った方向(上下方向)とし、矢印Xは、母材の板厚方向とし、矢印Yは、一対の母材が並ぶ方向、即ち、母材の表面に沿った水平方向とする。したがって、上方とは、図1の紙面に対して上側、下方とは図1の紙面に対して下側、前方とは、図1の紙面に対して左側、後方とは、図1の紙面に対して右側とする。また、図2においても、溶接用摺動銅当て金が母材の表面に配置された状態を仮定して、矢印Zは、溶接用摺動銅当て金の長手方向(当て金本体部の長手方向)とし、矢印Xは、溶接用摺動銅当て金の厚さ方向(当て金本体部の厚さ方向)とし、矢印Yは、溶接用摺動銅当て金の幅方向(当て金本体部の幅方向)とする。
【0018】
図1に示すように、本実施形態に係るエレクトロスラグ溶接装置100は、固定の銅当て金1及び溶接用摺動銅当て金30と、溶接トーチ4と、溶融スラグ浴検出器13と、フラックス供給装置14と、フラックス供給制御装置15と、走行台車16と、走行台車制御装置17とを備える。
【0019】
エレクトロスラグ溶接装置100において、鋼板である一対の母材3の開先の裏側には固定の銅当て金1が配置されており、開先の表側には溶接用摺動銅当て金30が配置される。ここで、裏側の銅当て金1の代わりに、耐熱性のセラミックスから構成される裏当て材を用いても良い。また、表側の溶接用摺動銅当て金30は、上下方向に摺動する銅当て金であり、後述するように水冷されている。ただし、溶接用摺動銅当て金30の素材を、銅以外で代用しても良い。
【0020】
溶接トーチ4は、不図示の溶接電源から供給される溶接電流8により溶接ワイヤ6に給電して母材3を溶接する。また、溶接トーチ4は、コンタクトチップ5を有しており、コンタクトチップ5は、溶接ワイヤ6を案内するとともに溶接ワイヤ6に溶接電流8を供給する。
【0021】
溶融スラグ浴検出器13は、溶融スラグ浴7の位置を検出する。フラックス供給装置14は、溶融スラグ浴7にフラックス12を投入する。フラックス12は溶融して溶融スラグになるため、フラックス12を投入することにより、溶融スラグ浴7の量が増えることとなる。
【0022】
フラックス供給制御装置15は、フラックス供給装置14の動作を制御し、溶融スラグ浴7に投入されるフラックス12の量を調整する。
【0023】
走行台車16は、溶接用摺動銅当て金30、溶接トーチ4、溶融スラグ浴検出器13、フラックス供給装置14、フラックス供給制御装置15、走行台車制御装置17を搭載しており、上方向(矢印Z方向)に移動する。すなわち、走行台車16は、溶接用摺動銅当て金30、溶接トーチ4、溶融スラグ浴検出器13、フラックス供給装置14、フラックス供給制御装置15、走行台車制御装置17と一体となって移動するため、それぞれの相対的な位置関係は変わらない。走行台車16が上昇することにより、上方向に沿って溶接が行われる。
【0024】
走行台車制御装置17は、走行台車16の走行速度を増大させたり減少させたりして、走行台車16の動作を制御する。
【0025】
そして、母材3、銅当て金1及び溶接用摺動銅当て金30に囲まれた開先内に、溶接トーチ4のコンタクトチップ5の先端から溶接ワイヤ6が送給され、開先内に形成された溶融スラグ浴7内に送り込まれる。溶接電流8は、溶接ワイヤ6から溶融スラグ浴7を通して溶融金属9に流れる。このとき、溶融スラグ浴7を流れる溶接電流8及び溶融スラグ浴7の抵抗により、ジュール熱が発生し、溶接ワイヤ6及び母材3を溶融しながら溶接が進行する。
【0026】
溶接が進行するにつれて、溶融金属9は冷却されて溶接金属10となり、溶融スラグ浴7の一部は、銅当て金1と溶接金属10との間、及び溶接用摺動銅当て金30と溶接金属10との間に形成された溶融スラグ層となり、この溶融スラグ層が冷却されて固化スラグ11となる。このようにして、溶融スラグ浴7は、その一部がビード表面を覆う固化スラグ11となるので、溶接の進行につれて消費され、溶融スラグ浴7の深さLsが減少していくことになる。この溶融スラグ浴7の減少を補うためには、溶融して溶融スラグ浴7となるフラックス12を追加投入する必要がある。
【0027】
ビード表面を覆う固化スラグ11の量は、ビード幅や溶接開先の幅によって変動する。また、固化スラグ11の量は、銅当て金1及び溶接用摺動銅当て金30の密着度合や冷却状態によっても変動する。そのため、固化スラグ11の量は一定ではなく、溶融スラグ浴7の深さLsを一定に保つためには投入するフラックス12の量も変化させる必要がある。しかしながら、溶融スラグ浴7の深さLsがわからないために、フラックス12の投入量が適切でない場合には、溶融スラグ浴7の深さLsが変動することになる。
【0028】
そこで、本実施形態では、溶融スラグ浴7の深さLsを一定にするための制御を行う。ここで、一定とは、溶融スラグ浴7の深さLsが常に1つの値になる場合に限られず、誤差を考慮して溶融スラグ浴7の深さLsが一定の範囲内の値を示す場合も含まれる。すなわち、溶融スラグ浴7の深さLsは、予め定めた深さに保つように制御される。
【0029】
そして、溶融スラグ浴7の深さLsを一定にするための第1の要件は、コンタクトチップ5の先端から溶融スラグ浴7の上面までの溶接ワイヤ長Ld(以下、ドライエクステンションLdと称する)が予め定めた長さになるように制御することである。また、溶融スラグ浴7の深さLsを一定にするための第2の要件は、ワイヤ送給速度に応じて定められた基準電流値に対して溶接電流8が予め定めた関係、すなわち、基準電流値と溶接電流8とが等しくなるように、走行台車制御装置17が走行台車16の走行速度を制御することである。同一ワイヤ送給速度において、(Ld+Ls)と溶接電流8には相関があり、基準電流値と溶接電流8とが等しくなるように、走行台車制御装置17が走行台車16の走行速度を制御することで、(Ld+Ls)は一定に保たれる。
なお、溶接ワイヤ長Ldの制御は、溶融スラグ浴検出器13により溶融スラグ浴7を検出することで可能であり、これについては後に詳述する。
【0030】
<溶接用摺動銅当て金>
図2図7に示すように、溶接用摺動銅当て金30は、基部41、及び該基部41に回転自在に保持された一対の回転部材31,31を有する当て金本体部40と、当て金本体部40の両側方に設けられ、溶接線方向で板厚の違いのある継手部分において、溶融スラグまたは溶融金属の漏れを防止するための一対のスラグ漏れ防止部60と、を備える。
【0031】
当て金本体部40の基部41は、略矩形板状に形成され、幅方向両端部には、母材3との対向面41a側及び幅方向側方に開口する一対の円弧状孔42が長手方向(Z方向)の両端部に形成されている。
【0032】
一対の円弧状孔42間の基部41の対向面41aは、幅方向中央部において僅かに凹む凹部43となっている。凹部43の上部には、後述する溶融スラグ浴検出器13の検出端子18が配置されている。当て金本体部40の基部41の内部には、一対の円弧状孔42の幅方向内側に、下端部から一対の袋孔44がZ方向に互いに略平行に形成されている。袋孔44は、その開口端が不図示の止め栓により封止されている。
【0033】
また、各袋孔44の下部には、凹部43の反対側から、袋孔44に連通する一対の貫通孔45が形成されている(図8,9参照)。さらに、各袋孔44の上部は、幅方向に延びる連通孔45Aによって互いに連通されている(図4参照)。袋孔44、一対の貫通孔45及び連通孔45Aは、後述する冷却用水を流すための水冷経路38の一部を形成する。
【0034】
一対の回転部材31は、断面略扇形状の略円柱状の部材であり、その外周面の一部が切り欠かれて長手方向に延びる二つの平坦な接触面32及び被取付面33を有する。二つの接触面32及び被取付面33は、回転部材31の軸心CLと平行に形成されており、互いに直交している。該接触面32の幅は、例えば、5~15mmである。図6に示すように、回転部材31の軸方向両端部には、小径の支持軸部34が形成され、当て金本体部40の基部41にねじ固定された滑り軸受39に回動自在に嵌合する。滑り軸受39は、外形形状略扇形に形成され、外径面の一部に二つの平面部39a、39bが接触面32及び被取付面33に対応して設けられている(図3参照)。
【0035】
また、回転部材31の内部には、一端側(図6では下端)から袋孔35が軸方向に形成されている。袋孔35の開口端に形成された雌ねじ35aには、止め栓36が固定されて袋孔35が封止されている。また、袋孔35には、接触面32の反対側から袋孔35に径方向から連通する一対の貫通孔37が設けられている。袋孔35及び一対の貫通孔37は、回転部材31を冷却するための冷却用水を流す水冷経路38の一部を形成する。
【0036】
なお、回転部材31の袋孔35、一対の貫通孔37、及び基部41の袋孔44、一対の貫通孔45、連通孔45Aは、連結パイプ50(図2参照)により1本に接続されて水冷経路38を形成している。水冷経路38により回転部材31、当て金本体部40及びスラグ漏れ防止部60を冷却することで、溶融スラグまたは溶融金属を固めて、溶融スラグまたは溶融金属が、母材3と溶接用摺動銅当て金30の間から漏れ出すことを抑制する。
【0037】
ここで、図5に示すように、回転部材31の中心Oから接触面32に対する垂線の長さL1は、基部41の円弧状孔42の中心O(回転部材31の中心Oと同じ)から基部41の対向面41aのうち、凹部43以外の前端面41cに対する垂線の長さL2より長く設定されている(L1>L2)。
【0038】
従って、軸方向両端部の支持軸部34がすべり軸受39に嵌合して、基部41の円弧状孔42に回動自在に嵌合する一対の回転部材31は、その接触面32が基部41の前端面41cからL1-L2だけ突出した状態で組み付けられる。即ち、一対の回転部材31は、その接触面32が基部41の対向面41aから母材3に向けてL1-L2だけ突出するように当て金本体部40で支持される。
【0039】
また、図6に示すように、外形形状略D字形のすべり軸受39は、回転部材31の中心O(すべり軸受39の支持孔の中心と同じ)から平面部39aに対する垂線の長さL3が、基部41の円弧状孔42の中心Oから前端面41cに対する垂線の長さL2と同じになっている。従って、すべり軸受39の平面部39aは、基部41の対向面41aから突出することはない。
【0040】
スラグ漏れ防止部60は、図2図5及び図7に示すように、開先部2に沿った上下方向に互いに摺接可能に並べて配置される略直方体状の複数(図に示す実施形態では、6個)のブロック64と、複数のブロック64の端部64aの反対側で一端部がそれぞれ取り付けられる複数の支持軸66と、複数の支持軸66を介して複数のブロック64を支持する支持ブロック62と、支持軸66の他端部に形成された頭部66aに当接して、複数のブロック64を母材3と当接又は近接する方向に押圧する、コイルばねなどの複数の付勢部材63と、複数の付勢部材63の端部を支持して、支持ブロック62に取付けられるカバー65と、を備える。
【0041】
支持ブロック62は、複数のブロック64の上下方向(図7におけるZ方向)の合計長さに合わせて長尺に形成されており、当て金本体部40の側方に設けられた回転部材31の被取付面33にねじ固定されている。また、支持ブロック62には、溶接用摺動銅当て金30の厚さ方向に貫通して、各支持軸66を摺動自在に嵌合する複数の支持孔67が、ブロック64の数に対応して、溶接用摺動銅当て金30の長手方向に並んで形成されている。
【0042】
したがって、反母材側の端部がカバー65に支持された各付勢部材63が支持軸66を介して各ブロック64を付勢し、通常状態において、各ブロック64の端部64aは、一対の回転部材31の接触面である接触面32より母材3側に突出した状態となる。
【0043】
このように、各ブロック64は、付勢部材63の弾性力により母材3と当接又は近接する方向に押圧されているので、溶接用摺動銅当て金30が一対の母材3の開先の表側に配置された状態では、各ブロック64の母材3と対向する端部64aは、母材3に当接するか、又は、支持軸66の頭部66aが支持ブロック62に当接した、母材3に近接する位置に位置する。さらに、溶接用摺動銅当て金30が溶接線方向に沿って摺動することで、各ブロック64は、母材3の表面形状に追従して、それぞれ当て金本体部40の長手方向に垂直な厚さ方向(X方向)に移動する。
【0044】
即ち、複数のブロック64は、母材3と対向する端部64aが母材3と当接又は近接するように移動可能な本発明の追従部材を構成する。また、複数のブロック64は、母材3に接近又は母材3から離間する方向に移動可能な可動部材61を構成している。即ち、本実施形態では、複数のブロック64の端部64aが、本発明の追従部材の端部、及び可動部材61の端部を構成している。
さらに、本実施形態の支持ブロック62及びカバー65は、可動部材61を支持する本発明の支持部を構成している。
【0045】
なお、可動部材61としては、上記追従部材として機能し、母材3に接近又は母材3から離間する方向に移動可能であれば、単一部材で構成されてもよいが、本実施形態のように、可動部材61を複数のブロック64に分割することで、上下方向の板厚の違いのある継手部分を通過する時に、母材3と可動部材61の隙間をより小さくでき、溶融スラグの漏れをより確実に防止することができる。
また、本実施形態では、複数のブロック64は、当て金本体部40の長手方向に垂直な厚さ方向に移動しているが、母材3に接近又は母材3から離間する方向であれば、X方向成分又はY方向成分を含んで斜め方向に移動してもよい。
【0046】
また、複数のブロック64、支持軸66、支持ブロック62は、伝熱性の良い金属材料(本実施形態では、ブロック64及び支持ブロック62の素材は銅、支持軸66はステンレス)で構成されており、支持ブロック62は、水冷経路38を有する回転部材31に当接して取り付けられているので、当て金本体部40によってスラグ漏れ防止部60を冷却することができる。
なお、スラグ漏れ防止部60も直接冷却するのが望ましいが、スラグ漏れ防止部60には、スペースが無く、水冷経路38を設置することが難しい。このため、より冷却効果を高めるために、当て金本体部40のスラグ漏れ防止部60に近い箇所に水冷経路38が設置されるのが好ましい。
【0047】
また、ブロック64への押圧力は、付勢部材63の弾性力に限定されず、重力、磁力、軸力及び空圧であってもよく、さらには、手動で押圧することもできる。付勢部材63以外の重力や磁力などでブロック64を押圧する場合には、適宜の機構が採用可能である。
【0048】
また、ブロック64は、所定の幅(図5におけるY方向)、及び所定の厚み(図5におけるX方向)を有する。ブロック64が、所定の幅、及び所定の厚みを有することで、溶融スラグをより速く冷却するための十分な冷却性能が得られる。例えば、幅は5mm以上であることが好ましく、また、厚みは、4mm以上であることが好ましい。幅、及び厚みの上限は、とくに限定されないが、大き過ぎると重くなり、溶接用摺動銅当て金30を開先に沿って移動させるための駆動力が大きくなるので、幅は15mm以下、厚みは、10mm以下とすることが好ましい。
【0049】
また、可動部材61の上端部61b、即ち、上方のブロック64の上端部64bは、溶融スラグ浴7よりも上方に位置し、可動部材61の下端部61c、即ち、下方のブロック64の下端部64cは、当て金本体部40の下端41bよりも上方に位置する。これにより、当て金本体部40のZ方向全長に亘って、溶融スラグが、母材3と溶接用摺動銅当て金30の間から漏れ出すことが防止できる。
ここで、溶融スラグ浴7の位置について説明するが、溶融スラグ浴7の高さの検知等を行い、溶融スラグ浴7の高さを自動制御する場合は、予め定めた溶融スラグ浴7の上面の位置を指し、溶融スラグ浴7の高さを自動制御しない場合は、溶接オペレーターが予め目標として定めた溶融スラグ浴7の上面の位置を意味する。
なお、図4に示すように、本実施形態では、可動部材61の上端部64bは、当て金本体部40の接触面の上端部、即ち、上側の滑り軸受39の上端部39cより下方に位置し、可動部材61の下端部64cは、当て金本体部40の接触面の下端部、即ち、下側の滑り軸受39の下端部39dより上方に位置する。
【0050】
<溶接用摺動銅当て金の作用>
次に、溶接用摺動銅当て金30を用いた溶接について図8図10を参照して説明する。
【0051】
まず、左右方向で板厚の違いがある母材3を溶接する場合について説明する。
一対の回転部材31は、当て金本体部40の基部41に対して回転自在であるので、一対の回転部材31の各接触面32が母材3の表面3aに倣って回動し、両母材3の表面3aに角度差があっても(図9参照)、また、両母材3の表面3aに左右方向の板厚の違いがあっても、母材3の表面3aと一対の回転部材31の接触面32とが確実に面接触する。
【0052】
これにより、銅当て金1、母材3の開先部2、母材3の表面3aの一部、回転部材31の円筒面の一部、及び基部41の凹部43(対向面41a)で画成されて、溶融スラグの収容部が形成される。
【0053】
このように、一対の回転部材31を、その接触面32が母材3の表面3aに面接触した状態で配置し、水冷経路38内に冷却水を流して回転部材31及び基部41を内部から冷却しながら、開先部2内にフラックス12を充填するとともに、コンタクトチップ5先端から溶接ワイヤ6を供給し、コンタクトチップ5を開先部2に沿って移動させるとともに溶接用摺動銅当て金30を開先部2に沿って摺動させて溶接する。
【0054】
一対の回転部材31の接触面32は、母材3の表面3aに面接触しているので、両母材3間に左右方向での板厚の違いや角度差などがあっても溶融スラグが母材3と一対の回転部材31の接触面32の間から漏れ出すことを確実に防止することができる。また、小型かつ軽量の溶接用摺動銅当て金30により長尺の溶接部を溶接することができる。
【0055】
次に、図10に示すように、溶接線方向(上下方向)で板厚の違い、即ち、板厚が異なり、サーピン加工部3Sを有する母材3D、3Uを溶接する場合について説明する。板厚が異なる母材3D、3Uを溶接すると、サーピン加工部3Sにおいて母材3D,3Uの表面3aと溶接用摺動銅当て金30との間に隙間が生じ、該隙間から溶融スラグが漏れ出る可能性がある。
【0056】
溶接用摺動銅当て金30は、裏面に銅当て金1が配置された下側の母材3Dの表面3aに、一対の回転部材31の接触面32を当接させて配置する。このとき、図10(a)に示すように、付勢部材63の弾性力により支持ブロック62から母材側に突出している各ブロック64は、その端部64aが母材3Dの表面3aに当接することで付勢部材63の弾性力に抗して押し込まれ、母材3Dの表面形状に倣い、母材3Dとの隙間がない状態で配置される。従って、この状態で溶接されても、ブロック64の端部64aと母材3Dの表面3aの隙間から溶融スラグまたは溶融金属が漏れ出すことはない。
【0057】
溶接線に沿って溶接が進行すると、図10(b)に示すように、溶接用摺動銅当て金30の上端部がサーピン加工部3Sに達する。このとき、下側の母材3Dと上側の母材3Uの間には厚さの差があるが、各ブロック64は、サーピン加工部3Sの形状に倣って母材3と当接又は近接するように移動することで、サーピン加工部3Sと各ブロック64の端部64aとの隙間が塞がれる。以後、図8(c)、(d)に示すように、サーピン加工部3Sを含む母材3と溶接用摺動銅当て金30のブロック64との間に発生する隙間が、スラグ漏れ防止部60により塞がれ、上下方向で板厚が異なる母材3を、溶融スラグまたは溶融金属の漏れを防止して良好に溶接できる。
【0058】
<溶融スラグ浴検出器の構成>
次に、溶融スラグ浴検出器13の構成について詳細に説明する。図11は、溶融スラグ浴検出器13の構成例を示す図である。
【0059】
図11に示すように、溶融スラグ浴検出器13は、検出端子18、差動増幅器19、接触判定基準信号設定器20、比較器21を有する。検出端子18は導電性金属である銅合金により構成されている。検出端子18は、溶融スラグ浴7に接触すると溶接電圧の一部の電圧を検出する。
なお、溶融スラグ浴検出器13の差動増幅器19は、検出端子18の電圧と、母材電圧である溶接用摺動銅当て金30の電圧を入力しても良いが、溶接用摺動銅当て金30は、溶融スラグ浴7に接触しており、対地電位を持つ場合があるため、溶接用摺動銅当て金30の電圧を入力するよりも、図11に示すように、接地することが好ましい。
【0060】
図12に示すように、検出端子18は、上面に幅方向両側に延びるフランジ18cを持った略直方体形状を有し、絶縁部材48を介して当て金本体部40と大きな面積で接触している。具体的には、検出端子18は、当て金本体部40の基部41の上部に形成された厚さ方向(X方向)に貫通する断面角型U字状の凹溝47にセラミックなどの絶縁部材48を介して嵌まり込んでいる。また、図5にも示すように、検出端子18の母材3側の矩形状の表面18aは、厚さ方向において、基部41の凹部43の最深部と略等しい位置に位置しており、絶縁部材48を介して該凹溝47の母材3側開口全体に亘って平坦に形成されている。
なお、検出端子18は、基部41に対して絶縁される形で、基部41にボルト固定された支持体49によって当て金本体部40に取り付けられている。
【0061】
したがって、検出端子18は、その矩形状の下面、及び矩形状の幅方向(Y方向)両側面において、絶縁部材48を介して水冷されている当て金本体部40に間接的に冷却されることで、検出端子18の放熱性が向上し、検出端子18の昇温が防止され、溶融スラグ浴7から受ける熱の影響を抑制できる。
即ち、溶融スラグ浴の溶接電圧を検出可能な溶融スラグ浴検出器13の検出端子18は、当て金本体部40の上部に絶縁部材48を介して取り付けられるので、検出端子18は、簡易な構造で、熱の影響を抑制できる。
【0062】
また、検出端子18の母材3側の表面18aは、平坦に形成されているので、スラグの付着が抑制される。該表面18aに少量のスラグが付着したとしても、該表面18aに付着するスラグの厚さは薄く、次の溶接時に再溶融されるので、溶接への影響は実質的にない。
【0063】
また、図4に示すように、可動部材(追従部材)61の上端部、即ち、上方のブロック64の上端部64bは、検出端子18の下端部18bよりも高さhだけ上方に位置する。これにより、複数のブロック64より下方に設けられた溶融スラグの溶融電圧を確実に検出できる。
【0064】
差動増幅器19は、検出端子18の電圧と、接地電圧とを入力として、両電圧の差を出力する。接触判定基準信号設定器20は、ノイズによって誤検出しない程度の電圧、例えば、検出端子18が溶融スラグ浴7に接触したときに検出する電圧の半分程度の電圧を、基準信号として出力する。
【0065】
比較器21は、差動増幅器19の出力信号と接触判定基準信号設定器20の基準信号とを入力として、差動増幅器19の出力信号が接触判定基準信号設定器20の基準信号より大きくなったとき、検出端子18と溶融スラグ浴7とが接触したと判断した信号を作成する。作成された信号は、フラックス供給制御装置15に送られ、フラックス供給装置14よりフラックス12の供給及び停止が行われる。そして、溶融スラグ浴7の上面がコンタクトチップ5の先端から予め定めた長さに位置するように制御され、ドライエクステンションLdが予め定めた長さに保たれる。検出端子18が溶融スラグ浴7に接触していないときは、溶接電圧が検出端子18にかからないので、検出端子18の電圧は0Vである。
【0066】
また、溶融スラグ浴検出器13では、接触判定基準信号設定器20の基準信号の値が小さいと、溶接の状態あるいは外部ノイズ等で正しい判断ができない可能性がある。このため、溶接トーチ4をオシレートする場合には、誤検知を防止するため、溶融スラグ浴検出器13は、差動増幅器19と比較器21との間にローパスフィルタを設置しても良い。
【0067】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の溶接用摺動銅当て金について図13図16を参照して説明する。
本実施形態の溶接用摺動銅当て金30が備えるスラグ漏れ防止部70は、当て金本体部40の両側方に設けられ、母材3の形状に沿って変形可能な可変部材71を備える。可変部材71は、耐熱性と柔軟性と備える、例えば、カーボン繊維などで形成され、当て金本体部40の長手方向(Z方向)に沿って長尺な薄板状の弾性部材である。
【0068】
可変部材71は、保持プレート73と押圧プレート72との間に挟持され、ねじ74で一体に組み付けられている。押圧プレート72は、保持プレート73よりも母材側で屈曲して断面略V形に形成された板状部材であり、可変部材71を挟持して保持プレート73に組み付けられたとき、可変部材71の端部71aが溶接用摺動銅当て金30の内側に向かうように折り曲げられる。押圧プレート72は、可変部材71及び保持プレート73と共に、ねじ75で回転部材31の被取付面33に固定される。可変部材71の母材3に接触する接触面である端部71aは、当て金本体部40の母材3との接触面である基部41の対向面41aよりも母材3側に突出している。
【0069】
次に、図16を参照して、溶融スラグまたは溶融金属の漏れを防止する機能について説明する。なお、図16では、可変部材71の変形をわかりやすく示すため、可変部材71を網掛けで表示している。
溶接用摺動銅当て金30は、裏面に銅当て金1が配置された下側の母材3Dの側面(表側)3aに、回転部材31の接触面32を当接させて配置する。このとき、図16(a)に示すように、可変部材71の母材3側となる端部71aは、母材3Dの表面3aに当接し、母材3Dの表面形状に倣って弾性変形して、母材3Dとの隙間が塞がれた状態で接触する。このように、母材3Dと可変部材71との間に隙間がない状態で溶接されるので、可変部材71と母材3Dとの隙間から溶融スラグまたは溶融金属が漏れ出すことはない。
【0070】
溶接線に沿って溶接が進行すると、図16(b)に示すように、溶接用摺動銅当て金30の上端部がサーピン加工部3Sに達する。このとき、下側の母材3Dと上側の母材3Uの間には厚さの差があるが、可変部材71は、サーピン加工部3Sの形状に倣って変形することで、サーピン加工部3Sと可変部材71との間に隙間ができることはない。以後、図16(c)、(d)に示すように、サーピン加工部3Sを含む母材3と溶接用摺動銅当て金30との間に発生する隙間は、可変部材71により塞がれるので、上下方向で板厚が異なる母材3を、溶融スラグまたは溶融金属が漏れることなく、良好に溶接できる。
したがって、本実施形態の可変部材71も、母材3と対向する端部71aが母材3と当接又は近接するように移動可能な本発明の追従部材を構成する。
その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
【0071】
尚、本発明は、前述した各実施形態及び各変形例に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
例えば、上記実施形態では、当て金本体部40が一対の回転部材31を備える構成であり、スラグ漏れ防止部60の支持ブロック62やスラグ漏れ防止部70は、回転部材31の被取付面33に取り付けられているが、本発明はこれに限らず、当て金本体部40の基部41の側面に取り付けられてもよい。
また、当て金本体部40が回転部材を有しない場合にも、スラグ漏れ防止部60の支持ブロック62やスラグ漏れ防止部70は、当て金本体部40の基部41の側面に取り付けられればよい。
さらに、スラグ漏れ防止部60の支持ブロック62は、当て金本体部40の基部41を幅方向に延ばすことで基部41と一体に形成されてもよい。
【0072】
また、本発明では、スラグ漏れ防止部60とスラグ漏れ防止部70とを組み合わせて使用することもでき、また、スラグ漏れ防止部60においては、異なる種類のブロック64を組み合わせて構成することも任意である。
【0073】
図17は、第1実施形態のスラグ漏れ防止部60を用いた溶接用摺動銅当て金30の各種変形例である。
図17(a)では、当て金本体部40の一方の端面(即ち、回転部材31の被取付面33又は基部41の側面)40cに複数のブロック64からなる可動部材61が配置され、他方の端面40dに単一の部材からなる可動部材61が配置されている。
図17(b)では、当て金本体部40の両端面40c、40dの少なくとも一方に、大きさの異なるブロック64を有する可動部材61が配置されている。
図17(c)では、当て金本体部40の両端面40c、40dに、大きさの異なるブロック64からなる可動部材61を含む複数の可動部材61が2列に配置されており、また、2列のブロック64の高さを異ならせている。これにより、万一、幅方向内側のスラグ漏れ防止部60から漏れが発生しても、幅方向外側のスラグ漏れ防止部60により漏れを確実に防止できる。また、ビードの際を揃える効果が得られる。
図17(d)では、複数のブロック64からなる可動部材61が左右非対称に配置されている。
【0074】
図18は、可動部材61を備えるスラグ漏れ防止部60と、可変部材71を備えるスラグ漏れ防止部70とを、単体で、或いは、組み合わせて配置した変形例である。
図18(a)では、当て金本体部40の一方の端面40cに1つのスラグ漏れ防止部60が配置されており、当て金本体部40の一方の端面40c側からの漏れを防止する。
図18(b)では、当て金本体部40の一方の端面40cにスラグ漏れ防止部60が配置され、他方の端面40dにスラグ漏れ防止部70が配置されている。
図18(c)では、当て金本体部40の両端面40c,40dにスラグ漏れ防止部60が2列に、且つ上下方向にずらして配置されている。
【0075】
図18(d)では、当て金本体部40の一方の端面40cに、スラグ漏れ防止部60とスラグ漏れ防止部70とが2列に配置され、他方の端面40dにスラグ漏れ防止部70が配置されている。スラグ漏れ防止部60及び70は、必ずしも当て金本体部40の端面40c,40dに平行(Z方向)である必要はなく、Z方向に対して45°以内の角度で斜めに配置することもできる。
図18(e)では、当て金本体部40の両端面40c,40dの上半分にスラグ漏れ防止部60が配置され、下半分にスラグ漏れ防止部70が配置されている。
図18(f)では、当て金本体部40の両端面40c,40dに、スラグ漏れ防止部60が配置され、さらにその外側にスラグ漏れ防止部70が配置されている。
【0076】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 溶融スラグ浴又は溶融金属浴を形成するように一対の母材間の開先部に対向配置され、前記開先部に沿って摺動する溶接用摺動銅当て金であって、
当て金本体部と、
前記当て金本体部の少なくとも1つの側方に設けられ、前記母材と対向する端部が前記母材と当接又は近接するように移動可能な少なくとも1つの追従部材と、
を備える、溶接用摺動銅当て金。
この構成によれば、溶接線方向で板厚の違いのある継手部分おいても、溶融スラグまたは溶接金属の漏れを防止できる。
【0077】
(2) 前記追従部材は、前記母材に接近又は前記母材から離間する方向に移動可能な可動部材、又は、前記母材の形状に沿って変形可能な可変部材である、
(1)に記載の溶接用摺動銅当て金。
この構成によれば、可動部材、又は可変部材により、溶接線方向で板厚の違いのある継手部分おいても、溶融スラグまたは溶接金属の漏れを防止できる。
【0078】
(3) 前記可動部材の前記端部が、前記当て金本体部の前記母材との接触面よりも前記母材側に突出するように、前記当て金本体部に対して前記可動部材を前記母材に向けて付勢する付勢部材をさらに備える、
(2)に記載の溶接用摺動銅当て金。
この構成によれば、摺動銅当て金を一対の母材に当接させることで、可動部材の端部の少なくとも一部が、母材に付勢力を持って当接するので、溶接線方向で板厚の違いのある継手部分おいても、溶融スラグまたは溶接金属の漏れを確実に防止できる。
【0079】
(4) 前記当て金本体部の側方に取り付けられ、前記可動部材を支持する支持部をさらに備え、
前記付勢部材は、前記支持部に対して前記可動部材を前記母材に向けて付勢する、
(3)に記載の溶接用摺動銅当て金。
この構成によれば、可動部材及び付勢部材を、支持部によって当て金本体部の側方に容易に取り付けることができる。
【0080】
(5) 前記可動部材は、前記溶接線方向に並べて配置された複数のブロックを備える、(2)~(4)のいずれか1つに記載の溶接用摺動銅当て金。
この構成によれば、可動部材を複数のブロックに分割することで、母材と可動部材の端部との隙間をより小さくでき、溶融スラグまたは溶接金属の漏れを確実に防止できる。
【0081】
(6) 前記複数のブロックの端部が、前記当て金本体部の前記母材との接触面よりも前記母材側に突出するように、前記当て金本体部に対して前記各ブロックを前記母材に向けてそれぞれ付勢する複数の付勢部材をさらに備える、(5)に記載の溶接用摺動銅当て金。
この構成によれば、摺動銅当て金を一対の母材に当接させることで、複数のブロックのすくなくとも1つの端部が、母材に付勢力を持って当接するので、溶接線方向で板厚の違いのある継手部分おいても、溶融スラグまたは溶接金属の漏れを確実に防止できる。
【0082】
(7) 前記可変部材は、前記当て金本体部の長手方向に沿って長尺な板状の弾性部材によって構成され、
前記弾性部材は、その前記端部が、前記当て金本体部の前記母材との接触面よりも前記母材側に突出するように、前記当て金本体部の側方に取り付けられている、(2)に記載の溶接用摺動銅当て金。
この構成によれば、可変部材を母材の表面に倣って変形させることができ、溶接線方向で板厚の違いのある継手部分おいても、溶融スラグまたは溶接金属の漏れを防止できる。
【0083】
(8) 前記追従部材は、所定の幅、及び所定の厚みを有し、
前記追従部材の上端部は、前記溶融スラグ浴又は前記溶融金属浴よりも上方に位置し、
前記追従部材の下端部は、前記当て金本体部の下端よりも上方に位置する、
(1)~(7)のいずれか1つに記載の溶接用摺動銅当て金。
この構成によれば、溶融金属を冷却するための冷却性能を確保できる。また、溶接用摺動銅当て金の全長に亘って溶融金属の漏れを防止できる。
【0084】
(9) 前記当て金本体部内には、水冷経路が設けられる、
(1)~(8)のいずれか1つに記載の溶接用摺動銅当て金。
この構成によれば、溶接用摺動銅当て金を水冷経路に供給される冷却水により効果的に冷却できる。
【0085】
(10) 前記当て金本体部の上部には、前記溶融スラグ浴又は前記溶融金属浴の溶接電圧を検出可能な溶融スラグ浴検出器の検出端子が絶縁部材を介して取り付けられている、
(1)~(9)のいずれか1つに記載の溶接用摺動銅当て金。
この構成によれば、検出端子は、溶融スラグ浴または前記溶融金属浴の熱を絶縁部材を介して当て金本体部側に伝達することができ、簡易な構造で、熱の影響を抑制できる。
【0086】
(11) 前記検出端子は、前記当て金本体部の上部に厚さ方向に貫通する凹溝に前記絶縁部材を介して嵌まり込んでおり、
前記検出端子の母材側の表面は、前記絶縁部材を介して該凹溝の母材側開口全体に亘って形成されている、(10)に記載の溶接用摺動銅当て金。
この構成によれば、検出端子への溶融スラグの付着を防止できる。
【0087】
(12) 前記追従部材の上端部は、前記検出端子の下端部よりも上方に位置する、
(10)又は(11)に記載の溶接用摺動銅当て金。
この構成によれば、追従部材の上端部より下方に設けられた溶融スラグまたは溶接金属の溶融電圧を確実に検出できる。
【0088】
(13) 前記当て金本体部は、基部と、該基部に対して回転自在に支持された少なくとも1つの回転部材と、を備え、
前記回転部材は、長手方向が前記開先部に沿って伸び、前記母材と接触可能な接触面を有する、
(1)~(12)のいずれか1つに記載の溶接用摺動銅当て金。
この構成によれば、回転部材により、左右方向で板厚の違いのある母材からの溶融スラグまたは溶接金属の漏れを防止できる。
【0089】
(14) 前記回転部材は、前記当て金本体部の側方に露出する被取付面をさらに有し、
前記追従部材は、前記回転部材の被取付面に取り付けられる、
(13)に記載の溶接用摺動銅当て金。
この構成によれば、左右方向で板厚の違いのある母材がさらに溶接線方向で板厚の違いを有する場合においても、溶融スラグまたは溶接金属の漏れを防止できる。
【0090】
(15) 前記基部及び前記回転部材は、それぞれ水冷経路を有する、(13)又は(14)に記載の溶接用摺動銅当て金。
この構成によれば、回転部材を水冷経路に供給される冷却水により効果的に冷却できる。
【0091】
(16) (1)~(15)のいずれか1つに記載の溶接用摺動銅当て金と、
溶接トーチと、
前記溶融スラグ浴又は前記溶融金属浴のスラグ浴高さを検出する溶融スラグ浴検出器と、
前記溶融スラグ浴又は前記溶融金属浴にフラックスを供給するフラックス供給装置と、
前記溶接用摺動銅当て金、前記溶接トーチ、前記溶融スラグ浴検出器、及び前記フラックス供給装置を搭載して前記開先部に沿って移動する走行台車と、
を備える、
溶接装置。
この構成によれば、溶融スラグまたは溶接金属の漏れを防止しつつ、溶接線方向に板厚の違いのある継手部分を溶接できる。
できる。
【0092】
(17) 一対の母材間の開先部に向けて、(1)~(15)のいずれか1つに記載の溶接用摺動銅当て金を配置し、
該開先部内に、フラックスを充填するとともに、コンタクトチップの先端から溶接ワイヤを供給し、
前記コンタクトチップを前記開先部に沿って移動させるとともに前記溶接用摺動銅当て金を前記開先部に沿って摺動移動させて溶接する、
溶接方法。
この構成によれば、溶融スラグまたは溶接金属の漏れを防止しつつ、溶接線方向に板厚の違いのある継手部分を溶接できる。
【0093】
(18) 溶融スラグ浴又は溶融金属浴を形成するように一対の母材間の開先部に対向配置され、前記開先部に沿って摺動する溶接用摺動銅当て金であって、
当て金本体部と、
前記当て金本体部の上部に絶縁部材を介して取り付けられ、前記溶融スラグ浴又は前記溶融金属浴の溶接電圧を検出可能な溶融スラグ浴検出器の検出端子と、
を備える、
溶接用摺動銅当て金。
この構成によれば、検出端子は、溶融スラグ浴または前記溶融金属浴の熱を絶縁部材を介して当て金本体部側に伝達することができ、簡易な構造で、熱の影響を抑制できる。
【0094】
(19) 前記検出端子は、前記当て金本体部の上部に厚さ方向に貫通する凹溝に前記絶縁部材を介して嵌まり込んでおり、
前記検出端子の母材側の表面は、前記絶縁部材を介して該凹溝の母材側開口全体に亘って形成されている、(18)に記載の溶接用摺動銅当て金。
この構成によれば、検出端子への溶融スラグの付着を防止できる。
【0095】
(20) 前記追従部材の上端部は、前記検出端子の下端部よりも上方に位置する、
(18)又は(19)に記載の溶接用摺動銅当て金。
この構成によれば、追従部材の上端部より下方に設けられた溶融スラグまたは溶接金属の溶融電圧を確実に検出できる。
【符号の説明】
【0096】
2 開先部
3 母材
3D 下側母材
3S サーピン加工部
3U 上側母材
4 溶接トーチ
5 コンタクトチップ
6 溶接ワイヤ
7 溶融スラグ浴
9 溶融金属
12 フラックス
13 溶融スラグ浴検出器
14 フラックス供給装置
16 走行台車
18 検出端子
18a 表面
18b 下端部
30 溶接用摺動銅当て金
31 回転部材
32 接触面
33 被取付面
34 支持軸部
38 水冷経路
39 滑り軸受
40 当て金本体部
41 基部
41a 対向面
41b 下端
47 凹溝
48 絶縁部材
60,70 スラグ漏れ防止部
61 可動部材(追従部材)
62 支持ブロック(支持部)
63 付勢部材
64 ブロック
64a 端部
64b 上端部
64c 下端部
65 カバー(支持部)
71 可変部材(弾性部材)
71a 端部
100 エレクトロスラグ溶接装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19