(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】8-プレニルナリンゲニンの製造方法
(51)【国際特許分類】
C12P 17/06 20060101AFI20231121BHJP
C12N 1/20 20060101ALN20231121BHJP
【FI】
C12P17/06
C12N1/20 Z
(21)【出願番号】P 2020530128
(86)(22)【出願日】2019-07-02
(86)【国際出願番号】 JP2019026274
(87)【国際公開番号】W WO2020013027
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-06-14
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2019/002125
(32)【優先日】2019-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018129730
(32)【優先日】2018-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石輪 俊典
(72)【発明者】
【氏名】中島 賢則
【審査官】藤澤 雅樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-532558(JP,A)
【文献】特表2010-513359(JP,A)
【文献】J. Nutr.,2006年,Vol.136,pp.1862-1867
【文献】FEMS Microbiology Letters,1996年,Vol.140,pp.281-286
【文献】Int. J. Sys. Evol. Microbiol.,2018年,Vol.68,pp.1059-1064, (First publilshed 09 Feb 2018)
【文献】J. Lipid Res.,2017年,Vol.58,pp.1143-1152
【文献】J. Agric. Food Chem.,2005年,Vol.53,pp.6281-6288
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P 17/06
C12N 1/20
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソキサントフモールを含有する溶液において、イソキサントフモールから8-プレニルナリンゲニンを産生する能力を有する、ブラウティア・コッコイデス(Blautia coccoides)に属する微生物、ブラウティア・シンキ(Blautia schinkii)に属する微生物、及びブラウティア・ホミニス(Blautia hominis)に属する微生物からなる群から選択される一又はそれ以上の微生物に、イソキサントフモールから8-プレニルナリンゲニンを産生させる工程を含む、8-プレニルナリンゲニンの製造方法。
【請求項2】
前記ブラウティア・コッコイデス(Blautia coccoides)に属する微生物が、ブラウティア・コッコイデス(Blautia coccoides)JCM 1395株である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記ブラウティア・シンキ(Blautia schinkii)に属する微生物が、ブラウティア・シンキ(Blautia schinkii)JCM 14657株である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ブラウティア・ホミニス(Blautia hominis)に属する微生物が、ブラウティア・ホミニス(Blautia hominis)JCM 32276株である、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、8-プレニルナリンゲニンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホップ(Humulus lupulus L.)は、アサ科の多年草で、雌雄異株の蔓性植物である。雌株の毬花は、ビールに苦みなどを付与する原料を含み、さらに、キサントフモール、イソキサントフモール、8-プレニルナリンゲニンなどのプレニル化フラボノイドなどの有効な成分を含んでいる。これらプレニル化フラボノイドは様々な生理活性をもつことが報告されており、医薬や食品素材として注目されている。特に8-プレニルナリンゲニンは、エストロゲン活性(非特許文献1)、血管新生抑制(特許文献1)、廃用性筋萎縮抑制(特許文献2)といった生理活性を示すことが報告されている。
【0003】
しかし、8-プレニルナリンゲニンはホップ毬花には極微量で存在する(非特許文献2)ため、天然抽出物での回収は困難である。したがって、ナリンゲニンのプレニル化により8-プレニルナリンゲニンを生産する合成戦略が開発されている。
例えば、ナリンゲニンを直接C-プレニル化する合成法、フロロアセトフェノンから出発する合成法が報告されている。しかし、いずれも反応の選択性が低く、低収率である。
また、ユウロピウム(III)触媒を使ったクライゼン転移による製造方法も報告されている。該方法は効率的であるものの、小規模の製造方法としてしか報告されていない(非特許文献3)。
また、クララ(Sophora flavescens)由来の8-プレニルトランスフェラーゼがナリンゲニンの8位に特異的にプレニル化する活性を有することが知られている(非特許文献4)。しかし、該反応にはプレニル基の供給が必要であり、8-プレニルナリンゲニンの生産には当量のプレニル基を供給しなければならない。
【0004】
一方、イソキサントフモールを出発物質とした脱メチル化反応による8-プレニルナリンゲニンの生産に関しても報告があり、微生物変換による製法として、ユーバクテリウム・リモスム(Eubacterium limosum)ATCC 8486株又はペプトストレプトコッカス・プロダクタス(Peptostreptococcus productus)ATCC 27340株によって、イソキサントフモールを脱メチル化して8-プレニルナリンゲニンを産生する製造方法が報告されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2005-526122号公報
【文献】特開2016-136952号公報
【文献】特表2008-532558号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】S. Milligan, et al., J. Clin. Endocrinol. Metab., 84, 2249-2252 (1999)
【文献】H. Rong, et al., Chromatographia, 51, 545-552 (2000)
【文献】S. Gester, et al., Tetrahedron, 57, 1015-1018 (2001)
【文献】K. Sasaki, et al., Plant Physiol., 146, 1075-1084 (2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、8-プレニルナリンゲニンの新規製造方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ブラウティア・コッコイデス(Blautia coccoides)に属する微生物と、ブラウティア・シンキ(Blautia schinkii)に属する微生物と、ブラウティア・ホミニス(Blautia hominis)に属する微生物とが、イソキサントフモールから8-プレニルナリンゲニンを産生する能力を有することを見出し、本発明を完成させた。本発明は以下のとおりである。
【0009】
〔1〕イソキサントフモールを含有する溶液において、イソキサントフモールから8-プレニルナリンゲニンを産生する能力を有する、ブラウティア・コッコイデス(Blautia coccoides)に属する微生物、ブラウティア・シンキ(Blautia schinkii)に属する微生物、及びブラウティア・ホミニス(Blautia hominis)に属する微生物からなる群から選択される一又はそれ以上の微生物に、イソキサントフモールから8-プレニルナリンゲニンを産生させる工程を含む、8-プレニルナリンゲニンの製造方法。
〔2〕前記ブラウティア・コッコイデス(Blautia coccoides)に属する微生物が、ブラウティア・コッコイデス(Blautia coccoides)JCM 1395株である、〔1〕に記載の製造方法。
〔3〕前記ブラウティア・シンキ(Blautia schinkii)に属する微生物が、ブラウティア・シンキ(Blautia schinkii)JCM 14657株である、〔1〕又は〔2〕に記載の製造方法。
〔4〕前記ブラウティア・ホミニス(Blautia hominis)に属する微生物が、ブラウティア・ホミニス(Blautia hominis)JCM 32276株である、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、イソキサントフモールから8-プレニルナリンゲニンを産生する能力を有する微生物を用いた、8-プレニルナリンゲニンの効率的な製造方法が提供できる。該微生物は、具体的には、ブラウティア・コッコイデス(Blautia coccoides)に属する微生物、ブラウティア・シンキ(Blautia schinkii)に属する微生物、及びブラウティア・ホミニス(Blautia hominis)に属する微生物からなる群から選択される一又はそれ以上の微生物である。
本発明により得られる8-プレニルナリンゲニンを、化粧品、医薬部外品、医療用品、衛生用品、医薬品、飲食品(サプリメントを含む。)等に用い、ヒトを含む対象がそれを使用又は摂取等することにより、8-プレニルナリンゲニンによる公知の効果を簡便に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る8-プレニルナリンゲニンの製造方法は、イソキサントフモールを含有する溶液において、イソキサントフモールから8-プレニルナリンゲニンを産生する能力を有する、ブラウティア・コッコイデス(Blautia coccoides)に属する微生物、ブラウティア・シンキ(Blautia schinkii)に属する微生物、及びブラウティア・ホミニス(Blautia hominis)に属する微生物からなる群から選択される一又はそれ以上の微生物に、イソキサントフモールから8-プレニルナリンゲニンを産生させる工程を含む。
【0012】
(イソキサントフモールを含有する溶液)
イソキサントフモールを含有する溶液とは、該溶液において、イソキサントフモールから8-プレニルナリンゲニンを産生する能力を有する、ブラウティア・コッコイデス(Blautia coccoides)に属する微生物、ブラウティア・シンキ(Blautia schinkii)に属する微生物、及びブラウティア・ホミニス(Blautia hominis)に属する微生物からなる群から選択される一又はそれ以上の微生物に、イソキサントフモールから8-プレニルナリンゲニンを産生させることができるものであれば特に制限されない。好ましくは培地であり、より好ましくは後述する「培地、及び培養による8-プレニルナリンゲニンの産生」欄に記載した培地である。
【0013】
該溶液へイソキサントフモールを添加する場合には、8-プレニルナリンゲニンの産生前に添加しても、その途中で添加してもよく、また、一括添加、逐次添加、連続添加でもよい。溶液中のイソキサントフモールの含有量は、通常5mg/L以上である。
【0014】
(微生物)
本発明における微生物は、イソキサントフモールから8-プレニルナリンゲニンを産生する能力を有する限り、特に限定されない。
具体的には、ブラウティア(Blautia)属に属する微生物が挙げられる。
その中でも、ブラウティア・コッコイデス(Blautia coccoides)に属する微生物、ブラウティア・シンキ(Blautia schinkii)に属する微生物、ブラウティア・ホミニス(Blautia hominis)に属する微生物等が好ましい。
また、その中でも、ブラウティア・コッコイデス(Blautia coccoides)JCM 1395株やブラウティア・シンキ(Blautia schinkii)JCM 14657株、ブラウティア・ホミニス(Blautia hominis)JCM 32276株等がより好ましい。
本発明において、微生物は1種でも2種以上を用いてもよく、1株でも2株以上を用いてもよい。
【0015】
JCM番号が付与された細菌は、Japan Collection of Microorganisms(国立研究開発法人理化学研究所バイオリソースセンター微生物材料開発室、郵便番号:305-0074、住所:茨城県つくば市高野台3-1-1)から入手することができる。
【0016】
(培地、及び培養による8-プレニルナリンゲニンの産生)
本工程では、前記溶液が培地であることが好ましい。該培地は特に限定されないが、たとえば日水製薬社製のGAM培地、変法GAM培地、ブレインハートインフュージョン培地、Oxoid社製Anaerobe Basal Broth(ABB)培地などを使用することができる。
【0017】
培地に加える炭素源としての有機物の濃度は、効率的に培地中の嫌気性微生物を発育させるために適宜調節することができる。一般的には、0.1~10wt/vol%の範囲から添加量を選択することによって、過不足を避けることができる。
【0018】
上記の炭素源に加えて、培地には、窒素源が加えることができる。本発明において、窒素源としては通常の発酵に用いうる各種の窒素化合物を用いることができる。好ましい無機窒素源は、たとえば、アンモニウム塩、及び硝酸塩である。好ましい有機窒素源は、たとえば、アミノ酸類、酵母エキス、ペプトン類、肉エキス、肝臓エキス、消化血清末などである。より好ましい無機窒素源は、硫安、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、硝酸カリウム及び硝酸ソーダである。より好ましい窒素源は酵母エキス、ペプトン類である。
【0019】
さらに、炭素源や窒素源に加えて、嫌気性微生物の培養に適した他の有機物あるいは無機物を培地に加えることもできる。たとえば、ビタミンなどの補因子や各種の塩類等の無機化合物を培地に加えることによって、嫌気性微生物の増殖や活性を増強できる場合もある。たとえば無機化合物、ビタミン類、動植物由来の微生物増殖補助因子として以下のものを挙げることができる。
無機化合物 ビタミン類
リン酸二水素カリウム ビオチン
硫酸マグネシウム 葉酸
硫酸マンガン ピリドキシン
塩化ナトリウム チアミン
塩化コバルト リボフラビン
塩化カルシウム ニコチン酸
硫酸亜鉛 パントテン酸
硫酸銅 ビタミンB12
明ばん チオオクト酸
モリブデン酸ソーダ p-アミノ安息香酸
塩化カリウム
ホウ酸等
塩化ニッケル
タングステン酸ナトリウム
セレン酸ナトリウム
硫酸第一鉄アンモニウム
【0020】
培養中の気相、水相としては、空気又は酸素を含まないことが好ましく、たとえば、窒素及び又は水素を任意の比率で含むことや、窒素及び/又は二酸化炭素を任意の比率で含むことが挙げられ、水素を含む気相や水相であることが好ましい。
培地中の気相や水相をこのような環境にする方法は特に制限されないが、たとえば、培養前に上記ガスで気相を置換する、培養中も培養器の底部から供給する、培養器の気相部に供給する、培養前に上記ガスで水相をバブリングするなどの方法をとることが出来る。
【0021】
培養温度は、20℃~45℃、より好ましくは25℃~40℃、さらに好ましくは30℃~37℃である。
培養器の加圧条件は、生育できる条件であれば特に制限されるものではないが、0.001~1MPaの範囲、好ましくは0.01~0.5MPaを挙げることができる。
培養時間としては、通常8~336時間、好ましくは24~168時間を挙げることが出来る。
【0022】
本発明におけるブラウティア・コッコイデス(Blautia coccoides)に属する微生物、ブラウティア・シンキ(Blautia schinkii)に属する微生物、ブラウティア・ホミニス(Blautia hominis)に属する微生物は、公知の微生物培養方法に従って培養することが出来る。工業的な製造には、培地やガスを連続的に供給することができ、かつ培養物を回収するための機構を備えた連続培養システムが好適である。
【0023】
微生物の培養においては、培養システム内への酸素の混入を防ぐことが必要である。そのための培養器は、通常の嫌気的培養に持ちられる培養槽がそのまま利用できる。微生物の培養にも利用することができる培養タンクは市販されている。培養槽内に混入する酸素を、窒素などの不活性気体などで置換することにより、嫌気的な雰囲気を作ることができる。
たとえば、嫌気培養ジャーを、上記微生物を培養するためのバイオリアクターとすることができる。嫌気培養ジャーは、金属、ガラス、あるいは合成樹脂製の気密容器で構成され、内部を大気中の酸素から遮断することができる。
【0024】
(その他の工程)
本発明は、以下の工程を含んでもよい。
本発明は、例えば、得られた8-プレニルナリンゲニンを定量する工程を含んでもよい。定量方法は常法に従うことができる。たとえば、培養液の一部を採取して適宜希釈し、よく撹拌した後、ポリテロラフルオロエチレン(PTFE)膜などの膜を使用して濾過し、不溶物を除去したものを高速液体クロマトグラフィー定量することなどが挙げられる。
【0025】
また、本発明は、上記工程で得られた8-プレニルナリンゲニンを回収する工程を含んでもよい。当該回収工程は、精製工程、濃縮工程等であってよい。精製工程における精製処理としては、熱などによる微生物の殺菌;精密濾過(MF)、限外濾過(UF)などによる除菌;固形物、高分子物質の除去;有機溶媒やイオン性液体などによる抽出;疎水性吸着剤、イオン交換樹脂、活性炭カラム等を用いた吸着、脱色といった処理を行うことができる。また、濃縮工程における濃縮処理としては、エバポレーター、逆浸透膜等による濃縮が挙げられる。
さらに、8-プレニルナリンゲニンを含む溶液は、凍結乾燥、噴霧乾燥などにより粉末化することができる。粉末化において、ラクトース、デキストリン、コーンスターチ等の賦形剤を添加することもできる。
【実施例】
【0026】
以下、具体的な実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0027】
[実施例1]
ABB培地(Oxoid社製)に、イソキサントフモール(ナカライテスク社製)を添加した後、加熱滅菌し、気相をN2:CO2:H2(80%/10%/10%)ガスで置換したものを基本培地とした。最終濃度5mg/Lのイソキサントフモールを含む培地に、ブラウティア・コッコイデス(Blautia coccoides)JCM 1395株、ブラウティア・シンキ(Blautia schinkii)JCM 14657株、又はブラウティア・ホミニス(Blautia hominis)JCM 32276株を植菌し、37℃で嫌気的に培養した。培養終了後、培養液5mLに対して等量の酢酸エチル(1.5%ギ酸)でプレニルフラボノイド類を抽出し、得られた酢酸エチル相を回収後、乾固させた。このようにして得た乾固物をメタノール0.5mLに再溶解し、HPLCによりプレニルフラボノイド類の定量分析を行った。
HPLCは以下に記載の条件で行った。LKT Laboratories社製のプレニルフラボノイド類を標品として用い、DMSOに溶解して用いた。
【0028】
HPLC条件:
カラム:Inertsil ODS‐3(250×4.6mm)(GL Science社製)
溶離液:A液(水/ギ酸=99/1)、B液(アセトニトリル/ギ酸=99/1)、およびB液20%~70%のグラジェント
流速:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出:290nm
【0029】
その結果、1週間の培養により、表1に示すとおりブラウティア・コッコイデス(Blautia coccoides)JCM 1395株を用いた場合は、添加したイソキサントフモールの96.9%が8-プレニルナリンゲニンに変換され、ブラウティア・シンキ(Blautia schinkii)JCM 14657株を用いた場合には、添加したイソキサントフモールの7.9%が8-プレニルナリンゲニンに変換され、ブラウティア・ホミニス(Blautia hominis)JCM 32276株を用いた場合には、添加したイソキサントフモールの98.8%が8-プレニルナリンゲニンに変換された。
【0030】
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明によれば、イソキサントフモールから8-プレニルナリンゲニンを産生する能力を有する、ブラウティア・コッコイデス(Blautia coccoides)に属する微生物、ブラウティア・シンキ(Blautia schinkii)に属する微生物、及びブラウティア・ホミニス(Blautia hominis)に属する微生物からなる群から選択される一又はそれ以上の微生物を用いることによって、効率的に8-プレニルナリンゲニンを製造することができる。
本発明により得られる8-プレニルナリンゲニンを、化粧品、医薬部外品、医療用品、衛生用品、医薬品、飲食品(サプリメントを含む。)等に用い、ヒトを含む対象がそれを使用又は摂取等することにより、8-プレニルナリンゲニンによる公知の効果を簡便に得ることができる。