(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】通気アセンブリ及び通気筐体
(51)【国際特許分類】
H05K 5/06 20060101AFI20231121BHJP
F21V 31/03 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
H05K5/06 E
F21V31/03 100
(21)【出願番号】P 2020551250
(86)(22)【出願日】2019-10-11
(86)【国際出願番号】 JP2019040314
(87)【国際公開番号】W WO2020075855
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】P 2018192350
(32)【優先日】2018-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】北川 大輔
(72)【発明者】
【氏名】笠置 智之
(72)【発明者】
【氏名】矢野 陽三
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-349362(JP,A)
【文献】特開2013-114829(JP,A)
【文献】特開2011-023206(JP,A)
【文献】特開2001-143524(JP,A)
【文献】特開2007-087929(JP,A)
【文献】特開2011-150919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/06
H05K 5/02
F21V 31/03
F21S 8/10
F16K 24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の外表面から突出して延びるとともに前記筐体の内外を連通する第1の空間を内側に有する筒状の突起に固定される通気アセンブリであって、
双方の端部に開口を有する筒状体である内部部材と、有底の筒状体である外部部材と、前記内部部材の一方の前記端部における前記開口を覆う通気膜と、を備え、
前記外部部材は、前記外部部材の内側に前記内部部材が前記一方の端部の側から挿入された状態で、前記内部部材と接合され、
前記内部部材の内部、前記外部部材の内部、及び接合した前記内部部材と前記外部部材との間から選ばれる少なくとも1つに、前記通気膜と前記通気アセンブリの外部とを接続する通気路となる第2の空間を有し、
前記内部部材は、前記通気膜に対し
て他方の
前記端部側の位置に
、内周面から突出した1又は2以上の第1の突起部を備え
、
前記第1の突起部と前記通気膜とが離間していることを特徴とする、通気アセンブリ。
【請求項2】
前記内部部材は、2以上の前記第1の突起部を備え、
前記2以上の第1の突起部が、前記内部部材の内部の空間で互いに接合されている、請求項1に記載の通気アセンブリ。
【請求項3】
前記第1の突起部における前記一方の端部側の面と、前記通気膜とが離間している、請求項1又は2に記載の通気アセンブリ。
【請求項4】
前記内部部材の高さが6.0mm以上10mm以下である、請求項1~3のいずれかに記載の通気アセンブリ。
【請求項5】
前記通気アセンブリの中心軸に垂直な方向に観察したときに、
前記内部部材における前記外部部材により覆われる部分の前記中心軸に沿う方向の長さが6.0mm以上8.0mm以下である、請求項1~4のいずれかに記載の通気アセンブリ。
【請求項6】
前記外部部材及び/又は前記内部部材が、前記外部部材と前記内部部材とを脱着可能に接合する係止機構を有する、請求項1~5のいずれかに記載の通気アセンブリ。
【請求項7】
筐体と通気アセンブリとを備える通気筐体であって、
前記筐体は、前記筐体の外表面から突出して延びるとともに前記筐体の内外を連通する第1の空間を内側に有する筒状の突起を備え、
前記通気アセンブリは、請求項1~6のいずれかに記載の通気アセンブリであり、
前記内部部材の
前記他方
の端部における前記開口から前記突起を前記内部部材に挿入して、前記内部部材の内周面と前記突起の外周面とが当接した状態で、前記通気アセンブリが前記突起に固定されており、
前記通気アセンブリの前記1又は2以上の第1の突起部は、前記突起の先端と前記通気膜との間に位置している、通気筐体。
【請求項8】
前記突起の中心軸に垂直な平面により切断した前記第1の空間の断面の面積S1と、前記通気路としての通気方向に垂直な平面により切断した前記第2の空間の断面の面積を前記通気膜からの距離毎に合計した総面積が最小となる位置の総面積S2
minとの比率S2
min/S1が1.0以上である、請求項7に記載の通気筐体。
【請求項9】
前記突起の中心軸に垂直な平面により切断した前記第1の空間の断面の面積S1と、前記通気アセンブリの中心軸に沿って前記他方の端部側から前記第2の空間を観察したときに、前記第2の空間が最も狭くなる位置の断面を表す平面の総面積S2
outとの比率S2
out/S1が1.0以上である、請求項7又は8に記載の通気筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体に固定して使用される通気アセンブリと、通気アセンブリが固定された通気筐体とに関する。
【背景技術】
【0002】
ランプ、インバータ、コンバータ、ECU(Electronic Control Unit)、バッテリーパック、レーダー及びカメラ等の車載用電装部品、並びに家庭用、医療用、オフィス用等の各種の電子機器の筐体に、筐体の内外の通気を確保したり、筐体内部の圧力変動を緩和したりするための通気アセンブリが固定されることがある。通気アセンブリには、通気性以外にも、固定される具体的な電装部品等に応じて、筐体内へのダストの侵入を防ぐ防塵性、水の浸入を防ぐ防水性、油の浸入を防ぐ防油性、及び塩の侵入を防ぐ耐CCT性等の各種の特性が要求される。
【0003】
特許文献1には、通気性及び要求される各種の特性を満たしうる通気アセンブリが開示されている。特許文献1に開示された通気アセンブリを、
図41に示す。
【0004】
図41に示す通気アセンブリ101は、双方の端部108,109に開口を有する筒状体である内部部材102と、内部部材102の一方の端部108における上記開口を覆う通気膜103と、有底の筒状体である外部部材104と、を備える。外部部材104は、外部部材104の内側に内部部材102が端部108の側から挿入された状態で、内部部材102と接合されている。外部部材104は、通気アセンブリ101の中心軸に沿う方向に底部の内面105から突出した突起部106を備える。突起部106は、内部部材102の端部108に配置された通気膜103に当接している。突起部106の当接によって、外部部材104と通気膜103とは、互いに離間した状態を保持している。通気アセンブリ101は、通気アセンブリ101の外側と通気膜103とを接続する通気路115となる空間107を、外部部材104の底部の内面105と通気膜103との間、及び内部部材102の外周面と外部部材104の内周面との間に有している。
【0005】
通気アセンブリ101は、筐体111の外表面から突出して延びるとともに筐体111の内外を連通する空間110を内側に有する筒状の突起112に固定される。より具体的には、内部部材102の他方の端部109における開口から突起112を内部部材102に挿入して、通気アセンブリ101は突起112に固定される。通気アセンブリ101が固定された状態で、突起112及び通気アセンブリ101を介した筐体111の内外の通気が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、筐体の外表面から突出して延びるとともに筐体の内外を連通する空間を内側に有する筒状の突起に固定される通気アセンブリであって、薄型とした場合においても、上記突起に固定する際の通気膜の損傷を防止できる通気アセンブリの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
筐体の外表面から突出して延びるとともに前記筐体の内外を連通する第1の空間を内側に有する筒状の突起に固定される通気アセンブリであって、
双方の端部に開口を有する筒状体である内部部材と、有底の筒状体である外部部材と、前記内部部材の一方の前記端部における前記開口を覆う通気膜と、を備え、
前記外部部材は、前記外部部材の内側に前記内部部材が前記一方の端部の側から挿入された状態で、前記内部部材と接合され、
前記内部部材の内部、前記外部部材の内部、及び接合した前記内部部材と前記外部部材との間から選ばれる少なくとも1つに、前記通気膜と前記通気アセンブリの外部とを接続する通気路となる第2の空間を有し、
前記内部部材は、前記通気膜に対して前記他方の端部側の位置に、前記内周面から突出した1又は2以上の第1の突起部を備えた、通気アセンブリ、
を提供する。
【0009】
別の側面から、本発明は、
筐体と通気アセンブリとを備える通気筐体であって、
前記筐体は、前記筐体の外表面から突出して延びるとともに前記筐体の内外を連通する第1の空間を内側に有する筒状の突起を備え、
前記通気アセンブリは、上記本発明の通気アセンブリであり、
前記内部部材の他方の前記端部における前記開口から前記突起を前記内部部材に挿入して、前記内部部材の内周面と前記突起の外周面とが当接した状態で、前記通気アセンブリが前記突起に固定されており、
前記通気アセンブリの前記1又は2以上の第1の突起部は、前記突起の先端と前記通気膜との間に位置している、通気筐体、
を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明による通気アセンブリの内部部材は、通気膜に対して他方の端部側の位置、即ち筐体の突起が挿入される端部側の位置に、内周面から突出した1又は2以上の第1の突起部を備えている。この通気アセンブリでは、内部部材に挿入された突起の先端(開口側の端部)は、通気膜に接触する前に第1の突起部に接触し、この接触により、内部部材に対する上記突起のさらなる挿入が抑止される。このため、本発明による通気アセンブリは、薄型とした場合においても、上記突起に固定する際の通気膜の損傷を防止することに適している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】
図1Aは、第1実施形態の通気アセンブリを模式的に示す断面図である。
【
図1B】
図1Bは、第1実施形態の通気アセンブリを模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の通気アセンブリを模式的に示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の通気アセンブリが備える内部部材を、通気アセンブリの中心軸に沿って観察した平面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態の通気アセンブリの変形例を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態の通気アセンブリを模式的に示す分解斜視図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態の通気アセンブリが備える内部部材を、通気アセンブリの中心軸に沿って観察した平面図である。
【
図7】
図7は、第3実施形態の通気アセンブリを模式的に示す分解斜視図である。
【
図8A】
図8Aは、第4実施形態の通気アセンブリを模式的に示す断面図である。
【
図8B】
図8Bは、第4実施形態の通気アセンブリを模式的に示す断面図である。
【
図9】
図9は、第4実施形態の通気アセンブリを模式的に示す分解斜視図である。
【
図10】
図10は、第5実施形態の通気アセンブリを模式的に示す分解斜視図である。
【
図11】
図11は、第6実施形態の通気アセンブリを模式的に示す分解斜視図である。
【
図12A】
図12Aは、第7実施形態の通気アセンブリを模式的に示す断面図である。
【
図12B】
図12Bは、第7実施形態の通気アセンブリを模式的に示す断面図である。
【
図13】
図13は、第7実施形態の通気アセンブリを模式的に示す分解斜視図である。
【
図14】
図14は、第8実施形態の通気アセンブリを模式的に示す分解斜視図である。
【
図15】
図15は、第9実施形態の通気アセンブリを模式的に示す分解斜視図である。
【
図16A】
図16Aは、第10実施形態の通気アセンブリを模式的に示す断面図である。
【
図16B】
図16Bは、第10実施形態の通気アセンブリを模式的に示す断面図である。
【
図17】
図17は、第10実施形態の通気アセンブリを模式的に示す分解斜視図である。
【
図18】
図18は、第11実施形態の通気アセンブリを模式的に示す分解斜視図である。
【
図19】
図19は、第12実施形態の通気アセンブリを模式的に示す分解斜視図である。
【
図20A】
図20Aは、第13実施形態の通気アセンブリを模式的に示す断面図である。
【
図20B】
図20Bは、第13実施形態の通気アセンブリを模式的に示す断面図である。
【
図21】
図21は、第13実施形態の通気アセンブリを模式的に示す分解斜視図である。
【
図22】
図22は、第14実施形態の通気アセンブリを模式的に示す分解斜視図である。
【
図23】
図23は、第15実施形態の通気アセンブリを模式的に示す分解斜視図である。
【
図24A】
図24Aは、実施例で作製した通気アセンブリを模式的に示す斜視図である。
【
図25A】
図25Aは、通気筐体の透湿性能(透湿度)の評価に使用した筐体蓋を模式的に示す平面図である。
【
図26A】
図26Aは、実施例で作製した通気アセンブリを模式的に示す斜視図である。
【
図27】
図27は、参考例1~6について、透湿度と通気距離との関係をプロットしたグラフである。
【
図28A】
図28Aは、実施例で作製した通気アセンブリを模式的に示す斜視図である。
【
図29A】
図29Aは、実施例で作製した通気アセンブリを模式的に示す斜視図である。
【
図30A】
図30Aは、実施例で作製した通気アセンブリを模式的に示す斜視図である。
【
図31】
図31は、実施例で作製した通気アセンブリに対する面積S2
minの測定に使用した画像を示す図である。
【
図32】
図32は、実施例で作製した通気アセンブリに対する面積S2
outの測定に使用した画像を示す図である。
【
図33】
図33は、実施例で作製した通気アセンブリに対する面積S2
outの測定に使用した二値化処理後の画像を示す図である。
【
図34】
図34は、参考例7~11について、比率S2
out/S1と透湿度との関係をプロットしたグラフである。
【
図35】
図35は、内部部材の引抜試験を説明するための模式図である。
【
図36】
図36は、内部部材の引抜試験において得られたSSカーブを示すグラフである。
【
図37】
図37は、内部部材の引抜試験時に内部部材が破損せずに引抜かれた参考例について、比H1/H2と引抜力との関係をプロットしたグラフである。
【
図38】
図38は、外部部材の引抜試験において得られたSSカーブを示すグラフである。
【
図39】
図39は、参考例について、外部部材の挿入深さと引抜力との関係をプロットしたグラフである。
【
図40】
図40は、参考例2~4について、外部部材の挿入深さと透湿度との関係をプロットしたグラフである。
【
図41】
図41は、従来の通気アセンブリの一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の第1の態様の通気アセンブリは、
筐体の外表面から突出して延びるとともに前記筐体の内外を連通する第1の空間を内側に有する筒状の突起に固定される通気アセンブリであって、
双方の端部に開口を有する筒状体である内部部材と、有底の筒状体である外部部材と、前記内部部材の一方の前記端部における前記開口を覆う通気膜と、を備え、
前記外部部材は、前記外部部材の内側に前記内部部材が前記一方の端部の側から挿入された状態で、前記内部部材と接合され、
前記内部部材の内部、前記外部部材の内部、及び接合した前記内部部材と前記外部部材との間から選ばれる少なくとも1つに、前記通気膜と前記通気アセンブリの外部とを接続する通気路となる第2の空間を有し、
前記内部部材は、前記通気膜に対して前記他方の端部側の位置に、前記内周面から突出した1又は2以上の第1の突起部を備える。
【0013】
本開示の第2の態様では、第1の態様の通気アセンブリにおいて、
前記内部部材は、2以上の前記第1の突起部を備え、
前記2以上の第1の突起部が、前記内部部材の内部の空間で互いに接合されている。
【0014】
本開示の第3の態様では、第1又は第2の態様の通気アセンブリにおいて、
前記第1の突起部と前記通気膜とが離間している。
【0015】
本開示の第4の態様では、第1から第3のいずれかの態様の通気アセンブリにおいて、
前記内部部材の高さが6.0mm以上10mm以下である。
【0016】
本開示の第5の態様では、第1から第4のいずれかの態様の通気アセンブリにおいて、
前記通気アセンブリの中心軸に垂直な方向に観察したときに、
前記内部部材における前記外部部材により覆われる部分の前記中心軸に沿う方向の長さが6.0mm以上8.0mm以下である。
【0017】
本開示の第6の態様では、第1から第5のいずれかの態様の通気アセンブリにおいて、
前記外部部材及び/又は前記内部部材が、前記外部部材と前記内部部材とを脱着可能に接合する係止機構を有する。
【0018】
本開示の第7の態様の通気筐体は、
筐体と通気アセンブリとを備える通気筐体であって、
前記筐体は、前記筐体の外表面から突出して延びるとともに前記筐体の内外を連通する第1の空間を内側に有する筒状の突起を備え、
前記通気アセンブリは、第1から第6のいずれかの態様の通気アセンブリであり、
前記内部部材の他方の前記端部における前記開口から前記突起を前記内部部材に挿入して、前記内部部材の内周面と前記突起の外周面とが当接した状態で、前記通気アセンブリが前記突起に固定されており、
前記通気アセンブリの前記1又は2以上の第1の突起部は、前記突起の先端と前記通気膜との間に位置している。
【0019】
本開示の第8の態様では、第7の態様の通気筐体において、
前記突起の中心軸に垂直な平面により切断した前記第1の空間の断面の面積S1と、前記通気路としての通気方向に垂直な平面により切断した前記第2の空間の断面の面積を前記通気膜からの距離毎に合計した総面積が最小となる位置の総面積S2minとの比率S2min/S1が1.0以上である。
【0020】
本開示の第9の態様では、第7又は第8の態様の通気筐体において、
前記突起の中心軸に垂直な平面により切断した前記第1の空間の断面の面積S1と、前記通気アセンブリの中心軸に沿って前記他方の端部側から前記第2の空間を観察したときに、前記第2の空間が最も狭くなる位置の断面を表す平面の総面積S2outとの比率S2out/S1が1.0以上である。
【0021】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。ただし、以下の説明は、本発明を特定の形態に限定する趣旨ではない。
【0022】
(第1実施形態)
第1実施形態の通気アセンブリ1Aを
図1A及び
図1Bに示す。
図1Bには、
図1Aに示す通気アセンブリ1Aの断面B-Bが示されている。
図1Aには、
図1Bに示す通気アセンブリ1Aの断面A-O-Aが示されている。
図1Bの「O」は、通気アセンブリ1Aの中心軸である。
図1A及び
図1Bには、筐体51の突起52に通気アセンブリ1Aが固定された状態、言い換えると、筐体51の突起52に通気アセンブリ1Aが固定された通気筐体における突起52の近傍、が示されている。
図1A及び
図1Bに示す通気アセンブリ1Aの分解斜視図を
図2に示す。
図1A、
図1B及び
図2に示すように、通気アセンブリ1Aは、筐体51の外表面53から突出して延びるとともに筐体51の内外を連通する第1の空間59を内側に有する筒状の突起52に対して固定される。
【0023】
通気アセンブリ1Aは、内部部材2と、通気膜3と、外部部材4とを備える。内部部材2は、双方の端部11A,11Bに開口12A,12Bを有する筒状体である。内部部材2は、双方の端部が開口となった開管構造を有する。内部部材2の一方の端部11Aにおける開口12Aを覆うように、通気膜3は当該端部11Aに配置されている。外部部材4は有底の筒状体である。外部部材4は、一方の端部42が開口であり、他方の端部が底部32によって閉じられた閉口である閉管構造を有する。外部部材4は、通気膜3が配置された端部11Aの側から、外部部材4の内側に内部部材2が挿入された状態で、内部部材2と接合されている。ここで、外部部材4の内側とは、外部部材4におけるその開口と内周面31とに囲まれた空間を意味している。外部部材4は、通気膜3を覆うことで、外部から飛来する塵や水等の異物から通気膜3を保護するカバー部材として機能する。
【0024】
通気アセンブリ1Aは、通気膜3と通気アセンブリ1Aの外部とを接続する通気路となる第2の空間5を有する。また、通気アセンブリ1Aは、内部部材2に接合された外部部材4の外周面40と、内部部材2の内周面13との間に、第2の空間5の一部である空間5aを有している。通気アセンブリ1Aは、接合した内部部材2と外部部材4との間、より具体的には、外部部材4の内周面31と内部部材2の外周面19との間に空間5aを有している。また、通気アセンブリ1Aでは、外部部材4の底部32の内面33と、通気膜3とが離間している。通気アセンブリ1Aは、互いに離間した内面33と通気膜3との間にも、第2の空間5の一部となる空間5bを有している。「通気路」は、通気膜と通気アセンブリの外部との間を気体が行き来できる経路であり、例えば通気膜3を透過して空間5bに到達した空気が、空間5bから空間5aを通過して最終的に通気アセンブリ1Aの外部に至ることを可能とする気体の経路を意味する。そのため、空間5aのような空間は、接合した内部部材2と外部部材4との間にあるほか、内部部材2の内部や外部部材4の内部にあっても、「通気路」となりうる。なお、通気路は、外部部材4が可能な限り奥まで内部部材2に挿入された状態において形成されるもの基準として判断するものとする。
【0025】
内部部材2の他方の端部11Bにおける開口12Bから突起52を内部部材2に挿入して、内部部材2の内周面13と突起52の外周面58とが当接した状態で、通気アセンブリ1Aは筐体51の突起52に固定される。通気アセンブリ1Aの固定時には、内部部材2の貫通孔14には突起52が挿入される。貫通孔14は、内部部材2の内周面13に囲まれた、端部11Aと端部11Bとを接続する空間である。通気アセンブリ1Aが突起52に固定された通気筐体では、突起52の内側の第1の空間59、内部部材2の貫通孔14、通気膜3、及び第2の空間5を介して、筐体51の内外の通気を確保可能である。
【0026】
通気アセンブリ1Aにおいて内部部材2は、通気膜3に対して他方の端部11B側、即ち、固定する際に突起52が挿入される側、の位置に、内周面13から突出した第1の突起部7を備える。内部部材2に挿入された突起52の先端54は、通気膜3に接触する前に第1の突起部7に接触し、この接触により、内部部材2に対する突起52のさらなる挿入が抑止される。したがって、通気アセンブリ1Aを薄型とした場合においても、突起52に固定する際の通気膜3の損傷を防止できる。
【0027】
内部部材2における端部11Aと端部11Bとの間の中心軸Oに沿う方向の距離である内部部材2の高さH1は、例えば3.0~13.0mmである。高さH1の上限は、11.0mm以下、10.0mm以下、9.5mm以下、9.0mm以下、さらには8.5mm以下であってもよい。高さH1の下限は、3.5mm以上、4.0mm以上、5.0mm以上、6.0mm以上、6.5mm以上、7.0mm以上、さらには7.5mm以上であってもよい。内部部材2の高さH1は、6.0mm以上10mm以下であってもよい。これらの範囲の高さH1を内部部材2が有する場合、特に、高さH1が10mm以下の場合に、第1の突起部7に基づく上記効果が得られるメリットが大きい。なお、通気アセンブリ1Aの中心軸Oは、より具体的には、内部部材2の中心軸である。内部部材2の中心軸と突起52の中心軸とは、通常、一致する。
【0028】
内部部材2における内周面13と外周面19との間の距離である内部部材2の厚みT1は、例えば0.5~3.0mmである。厚みT1の下限は、0.6mm以上、0.7mm以上、0.8mm以上、さらには0.9mm以上であってもよい。厚みT1の上限は、2.5mm以下、2.0mm以下、1.5mm以下、さらには1.2mm以下であってもよい。これらの範囲の厚みT1を内部部材2が有する場合、通気アセンブリ1Aを薄型とすることが可能となりながらも内部部材2としての十分な強度が確保され、例えば、内部部材2に外部部材4を接合する際の内部部材2の破損や裂け等を防止できる。なお、厚みT1は、内部部材2が突起52に挿入される前の状態を基準として判断するものとする。
【0029】
また、第1実施形態の内部部材2は、通気アセンブリ1Aを固定する際に突起52が挿入される端部11Bから中心軸Oに沿う方向に一定の高さに至るまで、厚みT1が減少した薄肉部15を有している。また、内部部材2は、薄肉部15と、それ以外の部分との境界に段差16を有している。段差16は、外部部材4の開口側の端部42に比べて、筐体51の外表面53から離れた位置にある(端部42に比べて通気アセンブリ1Aの上方に位置している)。ただし、段差16の位置は、この例に限定されない。薄肉部15を有する内部部材2によれば、筐体51の突起52に対する通気アセンブリ1Aの挿入がより容易となる。この効果は、薄型化等によって内部部材2の内径が小さい場合、言い換えると、突起52に固定する際に内部部材2の端部11Bが拡がり難い場合、に特に有利である。また、内部部材2は、通気膜3が配置された端部11A側に薄肉部15を有しておらず、これにより、外部部材4を内部部材2に接合したときの双方の部材2,4間の傾きや、筐体51の突起52に挿入した際の内部部材2の傾きを防止できる。この効果は、薄型化等によって内部部材2の厚みT1が小さい場合に、特に有利である。なお、
図1A,
図1B及び
図2に示す例では、段差16における薄肉部15の周面と外周面19とは、中心軸Oに垂直な面によって接続されているが、段差16において薄肉部15の周面と外周面19とを接続する面は、中心軸Oに垂直な方向に対して傾いていてもよい。
【0030】
第1実施形態において、筐体51の外表面53から突起52の先端54までの距離である突起52の高さH2に比べて、内部部材2の高さH1は小さい。この場合、第1の突起部7に基づく上記効果が得られるメリットがとりわけ大きくなる。ただし、突起52に対して通気アセンブリ1Aが傾いた状態で挿入される場合があることを考慮すると、通気アセンブリ及び通気筐体における高さH1及びH2の関係が上記以外の場合にも、上記効果は得られる。
【0031】
突起52の高さH2に対する内部部材2の高さH1の比H1/H2は、0.20以上1.70以下であってもよい。比H1/H2の下限は、0.40以上、0.60以上、0.80以上、1.00以上、1.05以上、さらには1.10以上であってもよい。比H1/H2の上限は、1.60以下、1.50以下、1.40以下、1.30以下、1.25以下、1.22以下、1.20以下、1.18以下、1.16以下、さらには1.14以下であってもよい。上記範囲の比H1/H2を有する通気アセンブリ及び通気筐体は、通気アセンブリの筐体の突起からの脱落を効果的に抑制することができる。なお、通気アセンブリ1Aは、内部部材2の他方の端部11Bにおける開口12Bから突起52に挿入されて利用されるが、可能な限り奥まで突起52に挿入された状態を基準として判断するものとする。
【0032】
第1実施形態の内部部材2及び突起52は、いずれも円筒である。内部部材2を構成する材料は、通常、弾性体であることから、内部部材2の内周面13の径は、通常、突起52の外周面58の径以下である。なお、内部部材2を構成する弾性体の弾性率、及び/又は内部部材2の内周面13の径は、例えば、突起52に対する内部部材2の挿入のしやすさや筐体51-通気アセンブリ1A間のシール性等を考慮して設定可能である。また、筒状体である内部部材2の形状、及び筒状である突起52の形状は、円筒に限定されない。
【0033】
円筒である内部部材2の内径は、例えば6.0~13.0mmである。当該内径の下限は、6.5mm以上、7.0mm以上、7.5mm以上、さらには8.0mm以上であってもよい。当該内径の上限は、12.5mm以下、12.0mm以下、11.5mm以下、さらには11.0mm以下であってもよい。なお、円筒である内部部材2において、外径から内径を引いた値の半分が上記厚みT1に相当する。
【0034】
外部部材4は有底の円筒である。中心軸Oに沿って観察したときに、その周壁37の一部は、外部部材4の内側に向かって、より具体的には中心軸Oの方向に向かって、突出している。周壁37の上記突出によって、外部部材4は、中心軸Oに沿って延びた複数の溝41(41A,41B,41C,41D)を外周面40に備えている。
図1A,
図1B及び
図2に示す例において、各々の溝41は、中心軸Oに沿って観察したときに外部部材4の周方向に等間隔に設けられており、外部部材4の開口側の端部42から底部32に至るまで延びている。また、外部部材4における溝41の部分及びその他の部分において、周壁37の厚みは実質的に等しい。ただし、外周面40における溝41が設けられる位置、隣接する溝41間の間隔、及び溝41が延びる方向、並びに外部部材4の端部42から底部32までの間で溝41が延びる区間は、上記例に限定されない。また、溝41の部分及びその他の部分において、周壁37の厚みは異なっていてもよい。
【0035】
溝41の部分において外部部材4の内周面31は、中心軸Oを中心とする仮想の円柱Aの周面に一致している。内部部材2と外部部材4とは、外周面19と、溝41の部分における内周面31とが当接することで互いに接合されている。内部部材2を構成する材料は、通常、弾性体であることから、上記仮想の円柱Aの径は、通常、外周面19の径以下である。溝41以外の部分における外部部材4の内周面31と内部部材2の外周面19との間の間隙6Aは、空間5aの一部である。なお、
図1A,
図1B及び
図2に示す例において、内部部材2の外周面19は、当該面19から突出した突出部を有していない。外周面19は、その周方向の全体にわたって円柱の周面を構成している。
【0036】
中心軸Oに垂直な方向に観察したときに、内部部材2における外部部材4に覆われる部分の中心軸Oに沿う方向の長さD8は、例えば3.5mm以上9.5mm以下であってもよく、6.0mm以上8.0mm以下であってもよい。長さD8の下限は、4.0mm以上、4.5mm以上、さらには5.0mm以上であってもよい。長さD8の上限は、9.0mm以下、8.5mm以下、さらには8.0mm以下であってもよい。長さD8がこれらの範囲にある場合、内部部材2と外部部材4との接合がより確実となり、例えば、通気アセンブリ1Aを筐体51の突起52に固定する際に、内部部材2から外部部材4が脱離し難くなる。また、十分な透湿性能の確保が可能となる。さらに、通気アセンブリ1Aの外部から第2の空間5内への塵や水等の異物の侵入を抑えることができる。なお、長さD8は、外部部材4が可能な限り奥まで内部部材2に挿入された状態を基準として判断するものとする。
【0037】
内部部材2の外周面19と、外部部材4における溝41の部分の内周面31とが当接している中心軸Oに沿う方向の長さ(内外接触長さ)D4は、例えば4.0~8.0mmである。長さD4の下限は、4.5mm以上、5mm以上、さらには5.5mm以上であってもよい。長さD4の上限は、7.5mm以下、7mm以下、さらには6.5mm以下であってもよい。長さD4がこれらの範囲にある場合、内部部材2と外部部材4との接合がより確実となり、例えば、通気アセンブリ1Aを筐体51の突起52に固定する際に、内部部材2から外部部材4が脱離し難くなる。なお、
図1A,
図1B及び
図2に示す例において、内部部材2における外部部材4の内周面31と当接している部分は、中心軸Oに沿う方向に、通気膜3が配置された端部11Aから段差16に至るまで、より具体的には、薄肉部15以外の部分の下端に至るまで、延びている。また、当該部分は、外周面19の周方向の全体にわたる。
【0038】
外部部材4における開口側の端部(下端)42と、内部部材2の端部11Bとの間の中心軸Oに沿う方向の距離D6は、例えば0.1~3.0mmであり、0.5~2.5mm、さらには1.0~2.0mmであってもよい。距離D6がこれらの範囲にある場合、内部部材2と外部部材4との接合がより強固となる。なお、距離D6は、外部部材4が可能な限り奥まで内部部材2に挿入された状態を基準として判断するものとする。
【0039】
外部部材4は、中心軸Oに沿う方向に底部32の内面33から突出した2以上の第2の突起部34を備えている。各々の第2の突起部34は、中心軸Oに沿って観察したときに、外部部材4の内周面31から中心軸Oに向かう方向にも突出している。外部部材4と内部部材2とが接合した状態において、第2の突起部34と内部部材2の端部11Aとの当接により、外部部材4の底部32の内面33と通気膜3との離間状態が保持される。第2の突起部34は、外部部材4と内部部材2とが接合した状態において通気膜3と当接するように、又は内部部材2及び通気膜3の双方に当接するように、設けられていてもよい。
【0040】
第1実施形態において、内部部材2は1つの第1の突起部7を備える。第1の突起部7は、内部部材2の内部空間に突出している。より具体的には、第1の突起部7は、中心軸Oの方向に向かって突出している。また、第1の突起部7は、内部部材2の内周面13における高さ方向の一部から突出している。
【0041】
また、
図3に示すように、中心軸Oに沿って観察したときに、第1の突起部は内部部材2の内周面13の全体(100%)から突出している。第1の突起部7は、中心軸Oに沿って観察したときにリング状である。第1の突起部7は、一部が欠けたリングの形状であってもよい。第1の突起部7は、中心軸Oに沿って観察したときに、内部部材2の内周面13の75%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上から突出していてもよい。これらの場合、突起52の過剰な挿入をより確実に抑止できる。また、突起52に対して通気アセンブリ1Aが傾いた状態で挿入される場合にも、突起52の過剰な挿入をより確実に抑止できる。
【0042】
第1の突起部7の中心軸Oに沿う方向の厚みT3は、例えば0.8~1.1mmであり、さらには0.7~1.5mmであってもよい。第1の突起部7の厚みT3がこれらの範囲にある場合、突起52の過剰な挿入をより確実に抑止できる。
【0043】
内部部材2において第1の突起部7は、通気膜3に対して端部11B側の位置にある。内部部材2における第1の突起部7の位置は、例えば、通気アセンブリ1Aを固定する際に内部部材2に対して突起52を挿入すべき深さに応じて設定できる。内部部材2における端部11Bと第1の突起部7の下面との間の中心軸Oに沿う方向の長さD5は、内部部材2の高さH1に対して、例えば70~98%であり、75~95%、さらには80~90%であってもよい。
【0044】
第1実施形態において、第1の突起部7と通気膜3とは離間している。通気アセンブリ1Aの固定にあたり、突起52の先端54が第1の突起部7に接触したときに、先端54に押された第1の突起部7が端部11Aの方向に撓むことがある。第1の突起部7と通気膜3とが離間していると、第1の突起部7の上記撓みによる通気膜3の変形や損傷を抑えることができる。ただし、本発明の通気アセンブリ及び通気筐体において、第1の突起部7と通気膜3とが接触していても構わない。第1の突起部7と通気膜3とが接触している第1実施形態の変形例を
図4に示す。
図4に示す通気アセンブリ1A及び通気筐体は、第1の突起部7と通気膜3とが接触していることを除いて、
図1A、
図1B及び
図2に示す通気アセンブリ1A及び通気筐体と同様の構成を有する。
【0045】
第1の突起部7と通気膜3とが離間している場合、両者の離間距離は、例えば0~1.0mmであり、0.1~0.9mm、さらには0.2~0.8mmであってもよい。
【0046】
第1実施形態において、内部部材2の第1の突起部7と突起52の先端54とが接触している状態で、中心軸Oから第1の突起部7の先端までの距離D1と、中心軸Oから突起52の内周面57までの距離D2とは等しい。この場合、通気アセンブリ1Aの通気性を良好に保ちながら、突起52の過剰な挿入をより確実に抑止できる。ただし、突起52に対して通気アセンブリ1Aが傾いた状態で挿入される場合があることを考慮すると、突起52の過剰な挿入をより確実に抑止するためには、距離D1は距離D2以下であってもよい。
【0047】
通気アセンブリ1Aにおいて最も下方に位置する点を通過する中心軸Oに垂直な仮想の平面と、最も上方に位置する点を通過する中心軸Oに垂直な仮想の平面との間の距離である通気アセンブリ1Aの高さH3は、例えば5.0~12mmである。高さH3の上限は、11mm以下、10.5mm以下、10mm以下、さらには9.5mm以下であってもよい。高さH3の下限は、7.5mm以上、8.0mm以上、8.5mm以上、さらには9mm以上であってもよい。なお、高さH3は、外部部材4が可能な限り奥まで内部部材2に挿入された状態を基準として判断するものとする。
図1A、
図1B及び
図2に示す例において最も下方に位置する点は内部部材2の端部11Bに位置し、最も上方に位置する点は外部部材4の底部32の外面35に位置する。
【0048】
突起52の中心軸に垂直な平面により切断した第1の空間59の断面の面積S1は、5mm2以上60mm2以下であってもよい。面積S1の下限は、10mm2以上、12mm2以上、14mm2以上、さらには16mm2以上であってもよい。面積S1の上限は、50mm2以下、40mm2以下、30mm2以下、さらには20mm2以下であってもよい。なお、突起52の中心軸は、通常、通気アセンブリ1Aの中心軸Oに一致する。
【0049】
通気アセンブリ1Aが筐体51の突起52に固定された状態で、第1の空間59の断面の面積S1に対する第2の空間5の断面の面積S2
minの比率S2
min/S1は、例えば0.8以上である。比率S2
min/S1の下限は、1.0以上、1.1以上、1.2以上、1.3以上、さらには1.4以上であってもよい。比率S2
min/S1の上限は、例えば3.0以下であり、2.5以下、さらには2.0以下であってもよい。上記範囲の比S2
min/S1を有する通気アセンブリ及び通気筐体は通気性及び/又は透湿性能に優れている。なお、面積S1は、突起52の中心軸に垂直な平面により切断した第1の空間59の断面の面積である。面積S2
minは、通気路としての通気方向に垂直な平面により切断した第2の空間5の断面の面積を通気膜からの距離毎に合計した総面積が最小となる位置の断面の総面積である。「通気路」は、通気膜と通気アセンブリの外部との間を気体が行き来できる経路であり、「通気方向」は、第2の空間を通気路として考えた場合の各位置における気体のあるべき進行方向を意味する。そのため、通気方向は、第2の空間の位置によってそれぞれ異なるものである。また、「通気膜からの距離毎に合計した総面積」は、通気膜からの距離(通気膜が点対称な形状である場合には、通気膜の中心からの距離)が同一になる位置群の第2の空間5の断面に関して、その断面積を合計して総面積として考えることを意味する。そして、面積S2
minは、この総面積のうち、面積値が最小となる位置の総面積を表す。また、面積S2
minは、外部部材4が可能な限り奥まで内部部材2に挿入された状態を基準として判断するものとする。
図1A、
図1B及び
図2に示す例において面積S2
minとなる断面は、第2の突起部34と、溝41において内部部材2及び外部部材4が互いに当接している部分の周方向の端部46と、外部部材4の底部32の内面33と、内部部材2の端部11Aとの間に位置する(
図2の断面47を参照)。ただし、
図2では、面積S2
minとなる断面の一部(1つの第2の突起部34と1つの端部46との間に位置する断面47のみ)が示されている。面積S2
minとなる断面は4つの第2の突起部34と8つの端部46との間にそれぞれ存在するため、断面47の面積の8倍が面積S2
minに相当する。面積S2
minは、例えば、実施例に記載の方法により評価できる。
【0050】
通気アセンブリ1Aが筐体51の突起52に固定された状態で、第1の空間59の断面の面積S1に対する第2の空間5の断面の面積S2
outの比率S2
out/S1は、例えば0.8以上であり、1.0以上、1.2以上、1.3以上、1.5以上、1.8以上、2.0以上、さらには2.2以上であってもよい。比率S2
out/S1の上限は、例えば4.0以下であり、3.0以下であってもよい。上記範囲の比S2
out/S1を有する通気アセンブリ及び通気筐体は通気性及び/又は透湿性能に優れている。なお、面積S2
outは、通気アセンブリ1Aの中心軸に沿って他方の端部11B側から第2の空間5を観察したときに、視認することができる第2の空間5のうちの最も狭くなる位置の断面を表す平面の総面積である。また、面積S2
outは、外部部材4が可能な限り奥まで内部部材2に挿入された状態を基準として判断するものとする。
図1A、
図1B及び
図2に示す例において面積S2
outとなる断面は、外部部材4の内周面31と内部部材2の外周面19との間に位置する(
図1Bの断面48を参照)。ただし、
図1Bでは、面積S2
outとなる断面の一部(隣接する1組の溝41C,41Dの間に位置する断面48のみ)が示されている。面積S2
outとなる断面は、4つの溝41の間にそれぞれ位置するため、断面48の面積の4倍が面積S2
outに相当する。面積S2
outは、例えば、実施例に記載の方法により評価できる。
【0051】
電装部品及び電子機器の筐体に、ポリアミド、ポリカーボネート及びポリブチレンテレフタレートといった比較的高い吸湿性を有する樹脂が使用されることがある。このような樹脂が使用された筐体は周囲の水蒸気を吸収するが、吸収された水蒸気は、筐体内部の熱源からの熱や太陽光等の外部からの熱によって放出され、その一部が筐体の内部に滞留する。滞留した筐体内部の水蒸気は、筐体内部に曇りが生じることを防ぐために、突起52及び通気アセンブリ1Aを介して速やかに筐体の外部に排出することが望まれる。透湿性能に優れる通気アセンブリ及び/又は通気筐体によれば、例えば、筐体内部の曇りを抑制したり、筐体内部に生じた曇りの解消を促進したりすることが可能となる。
【0052】
筐体51の突起52の高さH2は、例えば8.0~12.0mmである。高さH2の下限は、8.2mm以上、8.4mm以上、8.6mm以上、さらには8.8mm以上であってもよい。高さH2の上限は、11.8mm以下、11.6mm以下、11.4mm以下、さらには11.2mm以下である。
【0053】
長さD5は、内部部材2の第1の突起部7と、突起52の先端54とが接触している状態で、内部部材2における突起52を覆う部分の高さに相当する。長さD5は、例えば3.0~9.0mmである。長さD5の上限は、8.5mm以下、8.0mm以下、さらには7.0mm以下であってもよい。長さD5の下限は、3.5mm以上、4mm以上、さらには4.5mm以上であってもよい。長さD5がこれらの範囲にある場合、筐体51の突起52から通気アセンブリ1Aが脱落し難くなる。
【0054】
通気膜3は、厚さ方向に気体(典型的には空気)を透過するとともに、異物の透過を防ぐ膜である。このため、通気アセンブリ1Aによって、筐体51の内外の通気が確保されるとともに、筐体51の内部への塵、水、油、及び塩といった異物の侵入を防ぐことができる。第1実施形態において、通気膜3の形状は円である。ただし、通気膜3の形状は円に限定されず、内部部材2における通気膜3を配置する部分の形状に応じて選択可能であり、例えば、多角形状であってもよい。
【0055】
第1実施形態では、内部部材2の端部11Aにおける端面に通気膜3が配置されている。ただし、本発明の通気アセンブリ及び通気筐体において通気膜3が配置される位置は、端部11Aの開口12Aを通気膜3が覆う限り、端部11Aの端面に限定されない。
【0056】
通気膜3には、樹脂又は金属から構成される織布、不織布、メッシュ又はネット、あるいは樹脂多孔質膜を使用できる。ただし、気体を透過するとともに、液体等の異物の透過を防止できる限り、通気膜3は限定されない。第1実施形態では、樹脂多孔質膜と、通気性を有する補強層とを積層した通気膜3が使用されている。補強層により、通気膜3の強度を向上できる。樹脂多孔質膜は、例えば、公知の延伸法、又は抽出法により製造できるフッ素樹脂多孔体、及びポリオレフィン多孔体である。フッ素樹脂は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体である。ポリオレフィンを構成するモノマーは、例えば、エチレン、プロピレン、4-メチルペンテン-1,1ブテンであり、これらのモノマーのホモポリマー又はコポリマーであるポリオレフィンを通気膜3に使用できる。ポリアクリロニトリル、ナイロン、又はポリ乳酸を用いたナノファイバーフィルム多孔体を通気膜3に使用してもよい。なかでも、小面積で通気性を確保でき、筐体51の内部への異物の侵入を防ぐ能力が高いPTFE多孔体を通気膜3に使用することが好ましい。PTFE多孔体の平均孔径は、好ましくは0.01μm以上10μm以下である。補強層は、例えば、樹脂又は金属から構成される織布、不織布、メッシュ、ネット、スポンジ、フォーム、及び多孔体である。樹脂多孔質膜と補強層とは、接着剤ラミネート、熱ラミネート、加熱溶着、超音波溶着、接着剤による接着等の手法により積層できる。
【0057】
通気膜3は、撥液処理されていてもよい。通気膜3の撥液処理は、表面張力の小さな物質を含む撥液剤を通気膜に塗布し、塗布により形成された塗布膜を乾燥することで実施できる。撥液剤は、例えば、パーフルオロアルキル基を有するポリマーを上記物質として含む。撥液剤の塗布は、例えば、エアスプレー法、静電スプレー法、ディップコート法、スピンコート法、ロールコート法、カーテンフローコート法、含浸法等の手法により実施できる。
【0058】
通気膜3の厚さは、強度及び内部部材2への固定のしやすさを考慮して、例えば、1μm以上5mm以下の範囲で調整できる。通気膜3の通気度は、日本工業規格(JIS)L1096に定められた通気性測定B法(ガーレー形法)に準拠して測定した空気透過度(ガーレー通気度)にして、例えば、0.1~300秒/100mLである。
【0059】
通気膜3は内部部材2に接合されていてもよい。内部部材2への通気膜3の接合は、例えば、熱溶着法、超音波溶着法、レーザー溶着法等の各種の溶着法により実施できる。通気膜3は、接着剤又は粘着剤によって内部部材2に接合されていてもよい。通気膜3を内部部材2とともにインサート成形することで、内部部材2の端部11Aに通気膜3を配置してもよい。
【0060】
内部部材2を構成する材料は、通常、弾性体である。外部部材4を構成する材料は、典型的には、樹脂である。これらの部材は、射出成形、圧縮成形、粉末成形等の公知の成形法により形成できる。通気アセンブリ1Aの量産性を向上できることから、射出成形による内部部材2及び外部部材4の成形が好ましい。内部部材2を構成しうる弾性体は、例えば、エラストマー(弾性樹脂)である。エラストマーは、ゴムであってもよい。エラストマーは、例えば、ニトリルゴム(NBR)、エチレン-プロピレンゴム(EPDM)、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、水素化ゴム、及び各種の熱可塑性エラストマーである。外部部材4を構成しうる樹脂は、例えば、熱可塑性樹脂、及び上述のエラストマーである。熱可塑性樹脂は、例えば、ナイロン等のポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、及びポリフェニレンエーテル(PPE)である。内部部材2と外部部材4とは、同じ材料により構成されていてもよい。
【0061】
内部部材2を構成する弾性体、及び/又は外部部材4を構成する樹脂は、カーボンブラック、チタンホワイト等の顔料類;ガラス粒子、ガラス繊維等の補強用フィラー類;及び撥水剤といった添加剤を含んでいてもよい。内部部材2及び/又は外部部材4の表面の少なくとも一部に、撥液処理が施されていてもよい。撥液処理は、通気膜3の撥液処理法として上述した方法、電着塗装法、あるいはプラズマ重合による被膜形成等により実施できる。
【0062】
内部部材2及び/又は外部部材4は、内部部材2と外部部材4とを脱着可能に接合する係止機構を備えていてもよい。係止機構は、例えば、爪部、螺子部、嵌合部等により構成される。
【0063】
筐体51は、例えば、樹脂、金属、又はこれらの複合材料により構成される。突起52も同様である。突起52を構成する樹脂は、通常、弾性体ではない。突起52を構成する樹脂は、例えば、熱可塑性樹脂(弾性体を除く)、熱硬化性樹脂である。熱可塑性樹脂は、例えば、外部部材4を構成しうる樹脂として上記例示した各種の熱可塑性樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂(ABS)等である。筐体51の構成は、突起52を備える限り、限定されない。
【0064】
(第2実施形態)
第2実施形態の通気アセンブリ1B、及び筐体51の突起52に通気アセンブリ1Bが固定された通気筐体における突起52の近傍の分解斜視図を
図5に示す。
図5に示すように、通気アセンブリ1Bは、筐体51の外表面53から突出して延びるとともに筐体51の内外を連通する空間59を内側に有する筒状の突起52に対して固定される。
【0065】
第2実施形態の通気アセンブリ1Bは、内部部材2が備える第1の突起部7の数及び形状が異なる以外は、第1実施形態の通気アセンブリ1Aと同じである。第1実施形態と重複する説明は省略する。
【0066】
第2実施形態では、内部部材2は2以上の第1の突起部7を備える。
図6に示すように、第2実施形態の内部部材2では、中心軸Oに沿って観察したときに、隣り合う2以上の第1の突起部7A,7Bの間隔が、当該2以上の第1の突起部7A,7Bの端部62A,62Bと中心軸Oとを通過する直線61A,61Bが成す角度θにより表示して45度以下である。第1の突起部7A,7Bの端部62A,62Bは、中心軸Oに沿って観察し、かつ、中心軸Oと第1の突起部7A,7B間の間隙とを通過する直線を中心軸Oを中心として回転させたときに、当該直線が最初に当接する第1の突起部7A,7Bの部分として各々定められる。上記角度θは、好ましくは30度以下、より好ましくは15度以下である。第2実施形態では、内部部材2及び通気アセンブリ1Bの軽量化を図りながら、突起52の過剰な挿入をより確実に抑止することができる。なお、
図5及び
図6に示す各々の第1の突起部7は、内部部材2の内部空間に突出している。より具体的には、各々の第1の突起部7は、中心軸Oの方向に向かって突出している。また、各々の第1の突起部7は、中心軸Oに沿って観察したときに、内部部材2の内周面13から中心軸Oの方向に進むに従って連続的に幅が減少する形状を有している。
図5及び
図6に示す内部部材2は、6つの第1の突起部7を備える。第2実施形態における第1の突起部7の数は、例えば2~8であり、3~6であってもよい。
【0067】
(第3実施形態)
第3実施形態の通気アセンブリ1C、及び筐体51の突起52に通気アセンブリ1Cが固定された通気筐体における突起52の近傍の分解斜視図を
図7に示す。
図7に示すように、通気アセンブリ1Cは、筐体51の外表面53から突出して延びるとともに筐体51の内外を連通する空間59を内側に有する筒状の突起52に対して固定される。
【0068】
第3実施形態の通気アセンブリ1Cは、内部部材2が備える第1の突起部7の数及び形状が異なる以外は、第1実施形態の通気アセンブリ1Aと同じである。第1実施形態と重複する説明は省略する。
【0069】
第3実施形態では、内部部材2は2以上の第1の突起部7(7A,7B,7C)を備える。各々の第1の突起部7は、内部部材2の内部空間に突出している。中心軸Oに沿って観察したときに、第1の突起部7A,7B,7Cは、内部部材2の内部空間で互いに接合されている。互いに接合された第1の突起部7A,7B,7Cによって、内部部材2の内周面13における2以上の領域を互いに接続する橋梁が形成されている。言い換えると、第3実施形態では、第1の突起部7によって内部部材2の剛性を向上できる。内部部材2の剛性が向上すると、内部部材2の変形による通気膜3の変形及び損傷等を抑制できる。
図7に示す内部部材2は、3つの第1の突起部7を備えている。第3実施形態における第1の突起部7の数は、例えば3~5である。
【0070】
(第4実施形態)
第4実施形態の通気アセンブリ1Dを
図8A及び
図8Bに示す。
図8Bには、
図8Aに示す通気アセンブリ1Dの断面B-Bが示されている。
図8Aには、
図8Bに示す通気アセンブリ1Dの断面A-O-Aが示されている。
図8A及び
図8Bには、筐体51の突起52に通気アセンブリ1Dが固定された状態、言い換えると、筐体51の突起52に通気アセンブリ1Dが固定された通気筐体における突起52の近傍、が示されている。
図8A及び
図8Bに示す通気アセンブリ1Dの分解斜視図を
図9に示す。
図8A、
図8B及び
図9に示すように、通気アセンブリ1Dは、筐体51の外表面53から突出して延びるとともに筐体51の内外を連通する空間59を内側に有する筒状の突起52に対して固定される。
【0071】
第4実施形態の通気アセンブリ1Dは、外部部材4の形状が異なる以外は、第1実施形態の通気アセンブリ1Aと同じである。第1実施形態と重複する説明は省略する。
【0072】
通気アセンブリ1Dの外部部材4は有底の円筒であって、中心軸Oに沿って観察したときに、外部部材4の内側に向かって内周面31から突出した2以上の第3の突起部43を有している。より具体的には、各々の第3の突起部43は、中心軸Oの方向に向かって内周面31から突出している。各々の第3の突起部43は、外部部材4の開口側の端部42から底部32に至るまで延びている。各々の第3の突起部43の延びる方向は、中心軸Oに沿う方向である。また、各々の第3の突起部43は、底部32において第2の突起部34と接続している。ただし、第3の突起部43が延びる方向、及び端部42から底部32までの間で第3の突起部43が延びる区間は、上記例に限定されない。また、第3の突起部43と第2の突起部34とは接続されていなくてもよく、外部部材4は、互いに独立した第2の突起部34及び第3の突起部43を有していてもよい。
【0073】
第4実施形態における内部部材2と外部部材4とは、内部部材2の外周面19と、外部部材4における第3の突起部43の先端面44とが当接することで互いに接合されている。また、
図8A,
図8B及び
図9に示す例において、第3の突起部43の先端面44は、中心軸Oを中心とする仮想の円柱Cの周面に一致している。内部部材2を構成する材料は、通常、弾性体であることから、上記仮想の円柱Cの径は、通常、外周面19の径以下である。ただし、外周面19と先端面44との当接によって内部部材2と外部部材4とが接合可能である限り、各々の第3の突起部43の先端面44は、仮想の円柱Cの周面と一致していなくてもよい。外部部材4の内周面31と内部部材2の外周面19との間の間隙6Bは、空間5aの一部である。なお、
図8A,
図8B及び
図9に示す例において、各々の間隙6Bは、内周面31と外周面19と第3の突起部43とにより囲まれている。
【0074】
図8A,
図8B及び
図9に示す外部部材4は、12の第3の突起部43を備えている。第4実施形態における第3の突起部43の数は、例えば、6~16である。
【0075】
図8A、
図8B及び
図9に示す例において、面積S2
minとなる断面は、隣接する第2の突起部34における中心軸Oの側の先端49同士と、外部部材4の底部32の内面33と、内部部材2の端部11Aとの間に位置する(
図9の断面47を参照)。ただし、
図9では、面積S2
minとなる断面の一部(隣接する1組の第2の突起部34の間に位置する断面47のみ)が示されている。面積S2
minとなる断面は12の第2の突起部34の間にそれぞれ存在するため、断面47の面積の12倍が面積S2
minに相当する。
【0076】
図8A、
図8B及び
図9に示す例において、面積S2
outとなる断面は、外部部材4の内周面31と内部部材2の外周面19と第3の突起部43との間に位置する(
図8Bの断面48を参照)。ただし、
図8Bでは、面積S2
outとなる断面の一部(隣接する1組の第3の突起部43の間に位置する断面48のみ)が示されている。面積S2
outとなる断面は、12の第2の突起部34の間にそれぞれ位置するため、断面48の面積の12倍が面積S2
outに相当する。
【0077】
(第5実施形態)
第5実施形態の通気アセンブリ1E、及び筐体51の突起52に通気アセンブリ1Eが固定された通気筐体における突起52の近傍の分解斜視図を
図10に示す。
図10に示すように、通気アセンブリ1Eは、筐体51の外表面53から突出して延びるとともに筐体51の内外を連通する空間59を内側に有する筒状の突起52に対して固定される。
【0078】
第5実施形態の通気アセンブリ1Eは、第2実施形態と同じ第1の突起部7を備えるとともに、外部部材4が爪45を有する以外は、第4実施形態の通気アセンブリ1Dと同じである。第2実施形態及び第4実施形態と重複する説明は省略する。
【0079】
図10に示す例において、外部部材4の第3の突起部43は、外部部材4の内側に向かって、より具体的には中心軸Oの方向に向かって、突出した爪45を端部42側の末端に有している。内部部材2と外部部材4とが接合された状態において、爪45は、内部部材2の段差16に係止されて、上述した係止機構として機能する。段差16への爪45の係止によって内部部材2と外部部材4とをより確実に接合することが可能となり、例えば、通気アセンブリ1Eを筐体51の突起52に固定する際に、内部部材2からの外部部材4の脱落を防止できる。第5実施形態の通気アセンブリ1Eでは、外部部材4が爪45を有していなくてもよく、この場合、通気アセンブリ1Eは、第2実施形態と同じ第1の突起部7を備える以外は、第4実施形態の通気アセンブリ1Dと同じである。
【0080】
(第6実施形態)
第6実施形態の通気アセンブリ1F、及び筐体51の突起52に通気アセンブリ1Fが固定された通気筐体における突起52の近傍の分解斜視図を
図11に示す。
図11に示すように、通気アセンブリ1Fは、筐体51の外表面53から突出して延びるとともに筐体51の内外を連通する空間59を内側に有する筒状の突起52に対して固定される。
【0081】
第6実施形態の通気アセンブリ1Fは、第3実施形態と同じ第1の突起部7を備える以外は、第4実施形態の通気アセンブリ1Dと同じである。第3実施形態及び第4実施形態と重複する説明は省略する。
【0082】
(第7実施形態)
第7実施形態の通気アセンブリ1Gを
図12A及び
図12Bに示す。
図12Bには、
図12Aに示す通気アセンブリ1Gの断面B-Bが示されている。
図12Aには、
図12Bに示す通気アセンブリ1Gの断面A-O-Aが示されている。
図12A及び
図12Bには、筐体51の突起52に通気アセンブリ1Gが固定された状態、言い換えると、筐体51の突起52に通気アセンブリ1Gが固定された通気筐体における突起52の近傍、が示されている。
図12A及び
図12Bに示す通気アセンブリ1Gの分解斜視図を
図13に示す。
図12A、
図12B及び
図13に示すように、通気アセンブリ1Gは、筐体51の外表面53から突出して延びるとともに筐体51の内外を連通する空間59を内側に有する筒状の突起52に対して固定される。
【0083】
第7実施形態の通気アセンブリ1Gは、内部部材2の形状が異なる以外は、第4実施形態の通気アセンブリ1Dと同じである。第4実施形態と重複する説明は省略する。
【0084】
通気アセンブリ1Gにおける内部部材2の厚みT1は、外部部材4が接合されていない状態で、内部部材2の上端部(端部11A)から下端部(端部11B)に向かうにしたがって、より具体的には、端部11Aから薄肉部15との段差16に至るまで、増加しており、これにより、内部部材2は、下方側に拡がったスロープを外周面19として有している(
図13参照)。
図13に示す例において、厚みT1は、内部部材2の上端部から下端部に向かうにしたがって、より具体的には、端部11Aから段差16に至るまで、連続的に増加しているが、当該増加の状態は上記例に限定されず、例えば、断続的に増加していてもよく、減少する部分が存在していてもよい。なお、
図13に示す例において、内部部材2の外周面19は、上端部から下端部に向かうにしたがって径が増大する円錐台の周面を構成している。また、外部部材4が接合された状態(
図12A及び
図12B参照)において、外部部材4における各々の第3の突起部43は、弾性体から構成される内部部材2の外周面19における当接する部分を圧縮しながら当該外周面19に食い込んでおり、その先端面44は、外部部材4が接合されていない状態における外周面19の位置に比べて内部部材2の内部に入り込んでいる。内部部材2の外周面19と当接する部分において、各々の第3の突起部43が外周面19に食い込む程度は、外部部材4の底部32から端部42に向かうにしたがって、また、内部部材2の上端部(端部11A)から下端部(端部11B)に向かうにしたがって、増大している。上記形状を有する内部部材2及び外部部材4の組み合わせによれば、内部部材2と外部部材4とが当接している部分における双方の部材間の下方への圧縮率を高めることができ、これにより、内部部材2への外部部材4の接合をより確実に実施できる。また、上記形状を有する内部部材2及び外部部材4の組み合わせによれば、外部部材4の接合によって内部部材2に働く力の方向がスロープの面に垂直な方向、即ち、筐体51の外表面53側に内部部材2を押しつける方向、となるため、突起52からの通気アセンブリ1Aの脱落をより確実に防止できる。
【0085】
第7実施形態の通気アセンブリ1Gにおいて、端部11Aにおける内部部材2の厚みT1(T1a)が上述のT1の範囲にあってもよく、この場合、通気アセンブリ1Gを薄型とすることが可能となりながらも内部部材2としての十分な強度が確保される。
【0086】
(第8実施形態)
第8実施形態の通気アセンブリ1H、及び筐体51の突起52に通気アセンブリ1Hが固定された通気筐体における突起52の近傍の分解斜視図を
図14に示す。
図14に示すように、通気アセンブリ1Hは、筐体51の外表面53から突出して延びるとともに筐体51の内外を連通する空間59を内側に有する筒状の突起52に対して固定される。
【0087】
第8実施形態の通気アセンブリ1Hは、第2実施形態と同じ第1の突起部7を備える以外は、第7実施形態の通気アセンブリ1Gと同じである。第2実施形態及び第7実施形態と重複する説明は省略する。
【0088】
(第9実施形態)
第9実施形態の通気アセンブリ1J、及び筐体51の突起52に通気アセンブリ1Jが固定された通気筐体における突起52の近傍の分解斜視図を
図15に示す。
図15に示すように、通気アセンブリ1Jは、筐体51の外表面53から突出して延びるとともに筐体51の内外を連通する空間59を内側に有する筒状の突起52に対して固定される。
【0089】
第9実施形態の通気アセンブリ1Jは、第3実施形態と同じ第1の突起部7を備える以外は、第7実施形態の通気アセンブリ1Gと同じである。第3実施形態及び第7実施形態と重複する説明は省略する。
【0090】
(第10実施形態)
第10実施形態の通気アセンブリ1Kを
図16A及び
図16Bに示す。
図16Bには、
図16Aに示す通気アセンブリ1Kの断面B-Bが示されている。
図16A及び
図16Bには、筐体51の突起52に通気アセンブリ1Kが固定された状態、言い換えると、筐体51の突起52に通気アセンブリ1Kが固定された通気筐体における突起52の近傍、が示されている。
図16A及び
図16Bに示す通気アセンブリ1Kの分解斜視図を
図17に示す。
図16A、
図16B及び
図17に示すように、通気アセンブリ1Kは、筐体51の外表面53から突出して延びるとともに筐体51の内外を連通する空間59を内側に有する筒状の突起52に対して固定される。
【0091】
第10実施形態の通気アセンブリ1Kは、内部部材2及び外部部材4の形状が異なる以外は、第1実施形態の通気アセンブリ1Aと同じである。第1実施形態と重複する説明は省略する。
【0092】
通気アセンブリ1Kの内部部材2は、周方向に延びるリブ18を外周面19に有している。内部部材2と外部部材4とは、内部部材2の外周面19と外部部材4の内周面31との当接により接合される。内部部材2を構成する材料は、通常、弾性体であるため、外部部材4の内周面31の直径は、通常、内部部材2の外周面19の直径以下である。また、内部部材2と外部部材4とが接合した状態において、外部部材4の開口側の端部とリブ18とは当接している。
【0093】
外部部材4の周壁37の内部には、間隙6Cが設けられている。間隙6Cは、空間5aの一部である。
【0094】
外部部材4の周壁37における間隙6Cよりも中心軸O側の部分は、中心軸Oに沿う方向に延びる複数のスリット38によって、複数の梁部39に分割されている。外部部材4における各々の第2の突起部34は、各々の梁部39の上端に接続されている。このような形状により、外部部材4及び通気アセンブリ1Kの軽量化を図ることができる。
【0095】
図16A、
図16B及び
図17に示す例において、面積S2
minとなる断面は、隣接する第2の突起部34における中心軸Oの側の先端49同士と、外部部材4の底部32の内面33と、内部部材2の端部11Aとの間に位置する(
図17の断面47を参照)。ただし、
図17では、面積S2
minとなる断面の一部(隣接する1組の第2の突起部34の間に位置する断面47のみ)が示されている。面積S2
minとなる断面は8つの第2の突起部34の間にそれぞれ存在するため、断面47の面積の8倍が面積S2
minに相当する。
【0096】
図16A、
図16B及び
図17に示す例において、面積S2
outとなる断面は、中心軸Oに垂直な平面により切断した間隙6Cの断面に相当する(
図16Bの断面48を参照)。
【0097】
(第11実施形態)
第11実施形態の通気アセンブリ1L、及び筐体51の突起52に通気アセンブリ1Lが固定された通気筐体における突起52の近傍の分解斜視図を
図18に示す。
図18に示すように、通気アセンブリ1Lは、筐体51の外表面53から突出して延びるとともに筐体51の内外を連通する空間59を内側に有する筒状の突起52に対して固定される。
【0098】
第11実施形態の通気アセンブリ1Lは、第2実施形態と同じ第1の突起部7を備える以外は、第10実施形態の通気アセンブリ1Kと同じである。第2実施形態及び第10実施形態と重複する説明は省略する。
【0099】
(第12実施形態)
第12実施形態の通気アセンブリ1M、及び筐体51の突起52に通気アセンブリ1Mが固定された通気筐体における突起52の近傍の分解斜視図を
図19に示す。
図19に示すように、通気アセンブリ1Mは、筐体51の外表面53から突出して延びるとともに筐体51の内外を連通する空間59を内側に有する筒状の突起52に対して固定される。
【0100】
第12実施形態の通気アセンブリ1Mは、第3実施形態と同じ第1の突起部7を備える以外は、第10実施形態の通気アセンブリ1Kと同じである。第3実施形態及び第10実施形態と重複する説明は省略する。
【0101】
(第13実施形態)
第13実施形態の通気アセンブリ1Gを
図20A及び
図20Bに示す。
図20Bには、
図20Aに示す通気アセンブリ1Nの断面B-Bが示されている。
図20Aには、
図20Bに示す通気アセンブリ1Nの断面A-O-Aが示されている。
図20A及び
図20Bには、筐体51の突起52に通気アセンブリ1Nが固定された状態、言い換えると、筐体51の突起52に通気アセンブリ1Nが固定された通気筐体における突起52の近傍、が示されている。
図20A及び
図20Bに示す通気アセンブリ1Nの分解斜視図を
図21に示す。
図20A、
図20B及び
図21に示すように、通気アセンブリ1Nは、筐体51の外表面53から突出して延びるとともに筐体51の内外を連通する空間59を内側に有する筒状の突起52に対して固定される。
【0102】
第13実施形態の通気アセンブリ1Nは、内部部材2及び外部部材4の形状が異なる以外は、第1実施形態の通気アセンブリ1Aと同じである。第1実施形態と重複する説明は省略する。
【0103】
通気アセンブリ1Nの内部部材2は円筒である。内部部材2と外部部材4とは、内部部材2の外周面19と外部部材4の内周面31との当接により接合される。内部部材2を構成する材料は、通常、弾性体であるため、外部部材4の内周面31の直径は、通常、内部部材2の外周面19の直径以下である。
【0104】
内部部材2の周壁20の内部には、端部11Aと端部11Bとを接続する間隙6Dが設けられている。間隙6Dは、空間5aの一部である。
図20A,
図20B及び
図21に示す内部部材2は、4つの間隙6Dを有している。第13実施形態における間隙6Dの数は、例えば、2~8である。
【0105】
図20A、
図20B及び
図21に示す例において、面積S2
minとなる断面は、中心軸Oに垂直な平面により切断した4つの間隙6Dの断面である(
図21の断面47を参照)。ただし、
図21では、面積S2
minとなる断面の一部(1つの間隙6Dに対応する断面47のみ)が示されている。間隙6Dは4つあるため、断面47の面積の4倍が面積S2
minに相当する。
【0106】
図20A、
図20B及び
図21に示す例において、面積S2
outとなる断面は、中心軸Oに垂直な平面により切断した4つの間隙6Dの断面である(
図21の断面48を参照)。ただし、
図21では、面積S2
outとなる断面の一部(1つの間隙6Dに対応する断面48のみ)が示されている。間隙6Dは4つあるため、断面48の面積の4倍が面積S2
outに相当する。
【0107】
(第14実施形態)
第8実施形態の通気アセンブリ1P、及び筐体51の突起52に通気アセンブリ1Pが固定された通気筐体における突起52の近傍の分解斜視図を
図22に示す。
図22に示すように、通気アセンブリ1Pは、筐体51の外表面53から突出して延びるとともに筐体51の内外を連通する空間59を内側に有する筒状の突起52に対して固定される。
【0108】
第14実施形態の通気アセンブリ1Pは、第2実施形態と同じ第1の突起部7を備える以外は、第13実施形態の通気アセンブリ1Nと同じである。第2実施形態及び第13実施形態と重複する説明は省略する。
【0109】
(第15実施形態)
第15実施形態の通気アセンブリ1Q、及び筐体51の突起52に通気アセンブリ1Qが固定された通気筐体における突起52の近傍の分解斜視図を
図23に示す。
図23に示すように、通気アセンブリ1Qは、筐体51の外表面53から突出して延びるとともに筐体51の内外を連通する空間59を内側に有する筒状の突起52に対して固定される。
【0110】
第15実施形態の通気アセンブリ1Qは、第3実施形態と同じ第1の突起部7を備える以外は、第13実施形態の通気アセンブリ1Nと同じである。第3実施形態及び第13実施形態と重複する説明は省略する。
【実施例】
【0111】
<通気アセンブリ及び通気筐体の透湿試験1>
(参考例1)
オレフィン系熱可塑エラストマー(三井化学株式会社製ミラストマー(登録商標)、硬度71、密度880kg/m
3)を材料として用いて、
図24Aの形状の内部部材2を射出成型により作製した。得られた内部部材2の最大厚みは2.4mm、最小厚みは1.1mm、最大厚みを有する部分の外径は12mm、最小厚みを有する部分の外径は10mm、内径は7.5mm、高さH1は8.0mmであった。
図24Aの内部部材2は、
図11の内部部材2と同様の形状を有していた。
【0112】
ポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製)を材料として用いて、
図24A及び
図24Bの形状の外部部材4を射出成型により作製した。得られた外部部材4の最大厚みは2.5mm、最小厚みは0.6mm、外径は16mm、最大厚みを有する部分の内径は11.1mm、最小厚みを有する部分の内径は13.3mm、高さは9.0mmであった。
図24A及び
図24Bの外部部材4は、中心軸Oの方向に突出した爪45を第3の突起部43における端部42側の末端に有する以外は、
図11の外部部材4と同様の形状を有していた。なお、
図24A及び
図24Bでは、内部部材2及び外部部材4を下方(外部部材4の開口側)から見ている。
【0113】
次に、PTFE延伸多孔質膜とPE/PET複合繊維の不織布との積層体(日東電工株式会社製、TEMISH「NTF1026-L01」、通気量:50cm3/min)を材料として用い、これを直径12mmの円形に打抜いて、通気膜3を作製した。次に、内部部材2の貫通孔14を完全に覆うように通気膜3を配置し、温度200℃及び圧力20Nで2秒間、圧着及び加熱して、通気膜3を内部部材2に溶着した。そして、通気膜3を溶着した内部部材2を外部部材4に圧入(挿入)して、通気アセンブリを得た。
【0114】
3Dプリンタ(Objet30 Prime)を利用し、材料として硬質樹脂「Vero Black Plus(RGD875)」を用いて、
図25A及び
図25Bに示す、第1の空間59を内側に有する筒状の突起52を備えた筐体蓋61を作製した。
図25Bには、
図25Aの断面B-Bが示されている。突起52の外径は8.5mm、内径は5.0mm、高さH2は8.0mmであった。次に、通気アセンブリの内部部材2の開口(下方側の端部の開口)に筐体蓋61の突起52を挿入(内部部材2の下方側の端部が筐体61に接触するまで挿入)して、通気アセンブリが突起52に固定された通気アセンブリ付き筐体蓋を準備した。
【0115】
予め湿度50%及び温度40℃の恒温恒湿槽内に静置した透湿カップ(日本工業規格(JIS)L1099-A2(ウォーター法)に準拠した直径60mmの開口及び内径を有する)に水42gを収容し、通気アセンブリ付き筐体蓋を、カップの開口面の全体を隙間なく覆うように、カップの開口部に配置して取り付けた。突起52及び通気アセンブリは、カップの外部に露出するようにした。取り付けた状態において、水面と筐体蓋61の下面との間隔は10mmとし、通気アセンブリの透湿面積は44mm2とした。次に、カップを上記恒温恒湿槽内に1時間静置した。その後、カップを恒温恒湿槽から取り出して、通気アセンブリ付き筐体蓋ごとカップの質量W1(g)を測定した。次に、上記恒温恒湿槽内に24時間静置し、再びカップを取り出して、通気アセンブリ付き筐体蓋ごとカップの質量W2(g)を測定した。そして、2回目の恒温恒湿槽への静置前後のカップの質量の差をA(g)(=W1-W2)とし、カップの開口面の面積をB(m2)として、下記の式(1)により、通気筐体の透湿性能として透湿度を算出した。
透湿度[gm-2h-1]=A/B/24・・・(1)
【0116】
透湿度の結果を表1に示す。なお、表1の「外部部材の挿入深さ」は、通気アセンブリの中心軸に垂直な方向に観察したときに、内部部材における外部部材により覆われる部分の中心軸に沿う方向の長さを意味する。また、「内外接触長さ」は、通気アセンブリの中心軸に垂直な方向に観察したときに、外部部材と内部部材が接触している部分の中心軸に沿う方向の長さを意味する。また、「通気距離」は、内部部材の高さH1と、外部部材の挿入深さとを足し合わせた距離を意味する。「通気距離」は、実質的に、筐体の内部から通気アセンブリの出口までの距離に対応する。
【0117】
(参考例2~5)
内部部材2の高さH1、突起52の高さH2、通気膜3の通気量、外部部材4の高さ、外部部材4の挿入深さ、及び内外接触長さを表1に記載の値に変更した以外は、参考例1と同様の方法により、透湿試験を実施した。透湿度の結果を表1に示す。
【0118】
(参考例6)
内部部材2及び外部部材4の形状を
図26A及び
図26Bに示す形状に変更した以外は、参考例1と同様の方法により、透湿試験を実施した。透湿度の結果を表1に示す。参考例6の内部部材2の高さH1、突起52の高さH2、通気膜3の通気量、外部部材4の高さ、外部部材4の挿入深さ、及び内外接触長さは、表1に記載のとおりである。
図26Aの内部部材2は、通気アセンブリの中心軸に沿って観察したときに、内部部材2の外側に向かって外周面19から突出した4つの突出部21を有していた。突出部21は、外周面19の周方向に等間隔に設けられていた。各々の突出部21は、内部部材2の一方の端部11Aから段差16に至るまで、中心軸に沿う方向に延びていた。なお、
図26Aの内部部材2は、第1の突起部7を有していなかった。
図26A及び
図26Bの外部部材4は、開口側の端部42の位置が、通気アセンブリの中心軸に垂直な方向に見て、内部部材2の他方の端部11Bに比べて下方にあり、かつ、内周面31から中心軸の方向に向かって突出して延びる3つの第2の突起部34を底部32の内面33に有する以外は、
図20Aの外部部材4と同様の形状を有していた。内部部材2と外部部材4とは、内部部材2における突出部21の周面と、外部部材4の内周面31とが当接することで互いに接合されていた。なお、
図26A及び
図26Bでは、内部部材2及び外部部材4を下方から見ている。
【0119】
【0120】
参考例1~6について、透湿度と通気距離との関係をプロットしたグラフを
図27に示す。グラフ中、黒丸(●)は、内部部材の高さH1が8.0mm、通気膜の通気量が50cm
3/minである参考例1~4のプロットである。黒三角(▲)は、内部部材の高さH1が8.0mm、通気膜の通気量が13000cm
3/minである参考例5のプロットである。丸(〇)は、内部部材の高さH1が12mm、通気膜の通気量が50cm
3/minである参考例6のプロットである。
【0121】
<通気アセンブリ及び通気筐体の透湿試験2>
[通気アセンブリの準備]
参考例1と同様の方法により、内部部材の高さH1が8.0mm、外部部材の高さが9.0mm、及び外部部材の挿入深さが7.0mmである通気アセンブリAを得た。
【0122】
参考例6と同様の方法により、内部部材の高さH1が8.0mm、外部部材の高さが9.0mm、及び外部部材の挿入深さが7.0mmである通気アセンブリBを得た。
【0123】
内部部材2及び外部部材4の形状を
図28A及び
図28Bに示す形状に変更した以外は、参考例1と同様の方法により、通気アセンブリCを得た。
図28Aの内部部材2は、リブ18及び第1の突起部7を有さない以外は、
図16A、
図16B及び
図17~19の内部部材2と同様の形状を有していた。
図28A及び
図28Bの外部部材4は、第2の突起部34の位置及び形状が異なる以外は、
図16A、
図16B及び
図17~19の外部部材4と同様の形状を有していた。外部部材4の周壁の内部には、空間5aの一部である間隙6Cが設けられていた。なお、
図28A及び
図28Bでは、内部部材2及び外部部材4を下方から見ている。
【0124】
【0125】
内部部材2及び外部部材4の形状を
図30A及び
図30Bに示す形状に変更した以外は、参考例1と同様の方法により、通気アセンブリEを得た。
図30Aの内部部材2は、突出部21の数が3である以外は、通気アセンブリBの内部部材2と同様の形状を有していた。
図30A及び
図30Bの外部部材4は、通気アセンブリBの外部部材4と同様の形状を有していた。なお、
図30A及び
図30Bでは、内部部材2及び外部部材4を下方から見ている。
【0126】
通気アセンブリC~Eにおける内部部材の高さH1、外部部材の高さ、及び外部部材の挿入深さは、通気アセンブリAと同一とした。
【0127】
各通気アセンブリについて、通気路としての通気方向に垂直な平面により切断した第2の空間の断面のうち、面積が最小となる断面の面積S2minを測定した。なお、面積が最小となる断面として、各図の断面47を参照できる。ただし、各図では、面積が最小となる断面の最小単位となる当該断面の一部が断面47として示されている。各通気アセンブリにおいて、面積が最小となる断面の面積S2minは、断面47の面積の12倍(通気アセンブリA)、3倍(通気アセンブリB)、6倍(通気アセンブリC)及び8倍(通気アセンブリD)であった。測定の具体的な操作は、次のとおりとした。なお、通気アセンブリEの面積S2minは後述する面積S2outとなるが、面積S2outの位置を除いた場合の最小となる位置の総面積は、断面47の面積を3倍にしたものである。
【0128】
面積が最小となる断面を含むように外部部材4の写真を撮影した。次に、画像の寸法の計測が可能なソフトウェアである画像解析ソフトウェアImageJに、得られた画像を取り込み、通気アセンブリの寸法(実測値)に一致するように画像データにスケールを設定した。次に、画像解析ソフトウェアにより、面積が最小となる断面の寸法を測定して、面積S2
minを算出した。S2
minの結果を表2に示す。なお、一例として、通気アセンブリA,Bに対するS2
minの測定に使用した画像を
図31に示す。
図31の(a)が通気アセンブリA、(b)が通気アセンブリBである。画像中の白線71が、面積が最小となる断面に対応する。
【0129】
次に、各通気アセンブリについて、通気アセンブリの中心軸に沿って他方の端部側(下方側)から第2の空間を観察したときに、第2の空間が最も狭くなる位置の断面を表す平面の総面積S2outを測定した。測定の具体的な操作は、次のとおりとした。
【0130】
各通気アセンブリについて、底面の写真を撮影した。次に、画像解析ソフトウェアImageJに、得られた画像を取り込み、画像解像度を8ビットに設定し、通気アセンブリの下方側の端部が明確に映し出されるようにコントラストを調整し、さらに、通気アセンブリの寸法(実測値)に一致するように画像データにスケールを設定した。次に、通気路の最も狭くなる位置を表す面のみが抽出されるように、二値化処理のための閾値を設定し、当該端部のみが黒色に映し出された画像を作成した。当該端部以外の部分が黒色となった場合には、その部分を削除して、画像を完成させた。一例として、通気アセンブリA,Bに対するS2
outの測定に使用した画像及び二値化処理後の画像を
図32に示す。
図32の(a)が通気アセンブリA、(b)が通気アセンブリBである。また、各通気アセンブリにおける二値化処理後の画像を
図33に示す。次に、画像解析ソフトウェアにより、当該画像における黒色の部分の面積を算出して、面積S2
outを算出した。S2
outの結果を表2に示す。
【0131】
各通気アセンブリについて、前述の<通気アセンブリ及び通気筐体の透湿試験1>と同様の方法により、通気アセンブリ付き筐体蓋を準備し、透湿試験を実施した。透湿度の結果を表2に示す。なお、突起52の外径は8.5mm、内径は5.0mm、高さは6.0mmとした。突起52の中心軸に垂直な平面により切断した第1の空間の断面積S1は、19.6mm2であった。
【0132】
【0133】
参考例7~11について、比率S2
out/S1と透湿度との関係をプロットしたグラフを
図34に示す。
【0134】
<内部部材の引抜試験>
(参考例12)
オレフィン系熱可塑エラストマー(三井化学株式会社製ミラストマー(登録商標)、硬度71、密度880kg/m
3)を材料として用いて、
図26Aの形状の内部部材2を射出成型により作製した。得られた内部部材2における突出部21を有する部分の厚みは4.2mm、突出部21を有さない部分(非突出部)の厚みは2.3mm、突出部21を有する部分の外径は16mm、非突出部の外径は12mm、内径は7.5mm、高さH1は6.0mmであった。
【0135】
次に、筐体が備えうる筒状の突起52として、ポリプロピレン(PP)製の突起52を準備した(
図35参照)。突起52の外径は8.5mm、内径は5.0mm、高さH2は6.0mmであった。
【0136】
内部部材2の上部(突起に挿入する側と反対側)に、直径0.5mmのピンで穴を開け、クリップを通した。次に、内部部材(高さ6.0mm)の奥まで突起(高さ6.0mm)を挿入した。
【0137】
次に、引張試験機(島津製作所社製、オートグラフAGS-X)の一方のつかみ具にクリップを固定し、他方のつかみ具に、引張試験機の変位方向に対して内部部材2への突起の挿入方向が垂直となるように、突起を固定した。その後、引張速度200mm/minで引張試験を実施し、これにより、突起52からの内部部材2の引抜試験を実施した(
図35参照)。引張試験により得たSSカーブを
図36に示す。SSカーブにおける荷重の最大値を内部部材2の引抜力(水平引抜力)とした。引抜力の結果を表3に示す。
【0138】
(参考例13~40)
内部部材2の高さH1及び突起52の高さH2を表3に記載の値に変更した以外は、参考例12と同様の方法により、引張試験(内部部材の引抜試験)を実施した。引抜力の結果を表3に示す。
【0139】
【0140】
内部部材2が破損せずに引抜かれた参考例について、比H1/H2と引抜力との関係をプロットしたグラフを
図37に示す。グラフの凡例の数値は、内部部材2の高さH1である。
【0141】
<外部部材の引抜試験>
(参考例41)
オレフィン系熱可塑エラストマー(三井化学株式会社製ミラストマー(登録商標)、硬度71、密度880kg/m
3)を材料として用いて、
図26Aの形状の内部部材2を射出成型により作製した。得られた内部部材2における突出部21を有する部分の厚みは4.2mm、突出部21を有さない部分(非突出部)の厚みは2.3mm、突出部21を有する部分の外径は16mm、非突出部の外径は12mm、内径は7.5mm、高さH1は6.0mmであった。
【0142】
ポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製)を材料として用いて、
図26A及び
図263Bの形状の外部部材4を射出成型により作製した。得られた外部部材4の厚みは1.0mm、外径は17.5mm、内径は15.6mm、高さは12mmであった。
【0143】
次に、筐体が備えうる筒状の突起52として、ポリプロピレン(PP)製の突起52を準備した(
図35参照)。突起の外径は8.1mm、内径は5.0mm、高さH2は10mmであった。
【0144】
次に、外部部材4の底部32(内部部材2に挿入する側と反対側)に穴を開け、ネジを通した。次に、内部部材2を外部部材4に圧入(挿入)して(外部部材4の挿入深さ10mm)、通気アセンブリを得た。次に、内部部材2に突起を挿入して、通気アセンブリを奥まで突起(高さ10mm)に被せた。
【0145】
次に、引張試験機(島津製作所社製、オートグラフAGS-X)の一方のつかみ具にネジを固定し、他方のつかみ具に、引張試験機の変位方向と通気アセンブリへの突起の挿入方向とが一致するように突起を固定した。その後、引張速度200mm/minで引張試験を実施し、これにより、通気アセンブリからの外部部材4の引抜試験を実施した。引張試験により得たSSカーブの例を
図38に示す。SSカーブにおける荷重の最大値を外部部材4の引抜力とした。引抜力の結果を表4に示す。荷重の最大値が大きい順に、参考例No.42、No.43、No.44、No.45、No.46のSSカーブが示されている。
【0146】
(参考例42~52)
突起の外径、外部部材の高さ、及び外部部材の挿入深さを表4に記載の値に変更した以外は、参考例41と同様の方法により、引張試験(外部部材の引抜試験)を実施した。引抜力の結果を表4に示す。表4の「外部部材の挿入深さ」と「内外接触長さ」は、<通気アセンブリ及び通気筐体の透湿試験1>において説明したとおりである。
【0147】
【0148】
参考例41~52について、外部部材の挿入深さと引抜力との関係をプロットしたグラフを
図39に示す。
図39の凡例の数値は、突起の外径である。また、前述の<通気アセンブリ及び通気筐体の透湿試験1>の参考例2~4について、外部部材の挿入深さと透湿度との関係をプロットしたグラフを
図40に示す。
図40の凡例の数値は、突起の外径である。
【産業上の利用可能性】
【0149】
本発明の通気アセンブリ及び通気筐体は、従来の通気アセンブリ及び通気筐体と同様の用途に使用できる。