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特許7389077インターロイキン17(IL-17)アンタゴニストを用いてX線陰性体軸性脊椎関節炎を治療する方法
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  • 特許-インターロイキン17(IL-17)アンタゴニストを用いてX線陰性体軸性脊椎関節炎を治療する方法 図1
  • 特許-インターロイキン17(IL-17)アンタゴニストを用いてX線陰性体軸性脊椎関節炎を治療する方法 図2A
  • 特許-インターロイキン17(IL-17)アンタゴニストを用いてX線陰性体軸性脊椎関節炎を治療する方法 図2B
  • 特許-インターロイキン17(IL-17)アンタゴニストを用いてX線陰性体軸性脊椎関節炎を治療する方法 図3A
  • 特許-インターロイキン17(IL-17)アンタゴニストを用いてX線陰性体軸性脊椎関節炎を治療する方法 図3B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】インターロイキン17(IL-17)アンタゴニストを用いてX線陰性体軸性脊椎関節炎を治療する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20231121BHJP
   A61K 31/42 20060101ALI20231121BHJP
   A61K 31/4706 20060101ALI20231121BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20231121BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20231121BHJP
   A61K 31/635 20060101ALI20231121BHJP
   A61K 38/13 20060101ALI20231121BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20231121BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20231121BHJP
   C07K 16/24 20060101ALN20231121BHJP
【FI】
A61K39/395 U ZNA
A61K31/42
A61K31/4706
A61K31/519
A61K31/573
A61K31/635
A61K38/13
A61K45/00
A61P19/02
C07K16/24
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021048873
(22)【出願日】2021-03-23
(62)【分割の表示】P 2018519903の分割
【原出願日】2016-10-14
(65)【公開番号】P2021100956
(43)【公開日】2021-07-08
【審査請求日】2021-04-21
(31)【優先権主張番号】62/243,381
(32)【優先日】2015-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100181168
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 智裕
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】マン,クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ポーター,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】リチャーズ,ハノ
【審査官】菊池 美香
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-519311(JP,A)
【文献】特許第6858766(JP,B2)
【文献】Current Treatment Options in Rheumatology,2015年06月,Vol.1, No.2,p.221-230
【文献】炎症と免疫,2013年,Vol.21, No.1,p.79-85
【文献】Ther Adv Musculoskel Dis,2013年,Vol.5, No.1,p.45-54,https://codezine.jp/article/detail/6969
【文献】Expert Opin Biol Ther,2013年,Vol.13, No.11,p.1599-1611
【文献】Ann Rheum Dis,2014年,Vol.73,p.39-47
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/395
A61K 31/42
A61K 31/4706
A61K 31/519
A61K 31/573
A61K 31/635
A61K 38/13
A61K 45/00
A61P 19/02
C07K 16/24
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
IL-17抗体又はその抗原結合断片を含む、X線陰性体軸性脊椎関節炎(nr-axSpA)を有する患者を治療するための医薬組成物であって、
前記IL-17抗体又はその抗原結合断片が2つの成熟IL-17タンパク質鎖を有するIL-17ホモ二量体のエピトープに結合し、
前記エピトープが1つの鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129及び他の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含み、
約150mgまたは約300mgの前記IL-17抗体又はその抗原結合断片が0、1、2、3及び4週目に皮下注射により投与され、その後、月1回投与され、前記IL-17抗体又はその抗原結合断片がセクキヌマブである、医薬組成物。
【請求項2】
前記患者が、nr-axSpAを有する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記患者がASAS axSpA基準に従うnr-axSpAを有する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
a)前記IL-17抗体又はその抗原結合断片による治療の前に、前記患者が少なくとも3カ月間炎症性背痛を有し、
b)a)の炎症性背痛の発症が患者が45歳であった前に起こり、且つ
c)前記患者が仙腸関節(SIJ)炎症のMRI証拠を有し、少なくとも1つのSpAの特徴を有する又は前記患者がHLA-B27陽性であり、少なくとも2つのSpAの特徴を有する、
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記患者が、
a)C反応性タンパク質(CRP)レベルの上昇、
b)SIJ炎症の磁気共鳴画像化(MRI)証拠、
c)Berlin SIJ採点法に従って判定されたSIJ炎症のMRI証拠、及び/又は
d)脊椎の炎症のMRI証拠により示される炎症の客観的徴候を有する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記患者が強直性脊椎炎の修正ニューヨーク診断基準に準じた放射線学的基準を満たさない、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記患者が、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)による治療に対して、又はTNFアルファ阻害薬(TNF-IR)による治療に対して、以前に反応しなかった又は不十分な反応を有していた、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記患者が、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)による治療に対して、又はTNFアルファ阻害薬(TNF-IR)による治療に対して、以前に反応しなかった又は不十分な反応を有していた、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記患者がTNFアルファ阻害薬による治療を以前に受けなかった(TNFの投薬を受けたことがない)、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記患者は、シクロスポリン、ヒドロキシクロロキン、メトトレキセート、NSAID、スルファサラジン、レフルノミド、プレドニゾロン、プロドニゾン又はメチルプレドニゾロンをさらに投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
約150mgまたは300mgのセクキヌマブを含む、体軸性脊椎関節炎(axSpA)を有する患者を治療するための医薬組成物であって、
患者が、前記約150mgまたは300mgのセクキヌマブを0、1、2、3及び4週目に皮下注射により投与され、その後、月1回投与され、および、前記患者が、強直性脊椎炎のX線写真上の証拠を有さない、
医薬組成物。
【請求項12】
前記患者が、CRP及び/又はMRIにより示される炎症の客観的徴候を有する、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記患者が、NSAIDによる治療に対して及び/又はTNFアルファ阻害薬による治療に対して、以前に不十分な反応を有していた、又は不耐性であった、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記患者は、TNFアルファアンタゴニストによる治療を以前に受けなかった、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記患者が、約150mgのセクキヌマブを投与される、請求項11に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、その内容がその全体として参照により本明細書に組み込まれる、2015年
10月19日に出願した米国仮特許出願第62/243,381号の優先権を主張するも
のである。
【0002】
本開示は、IL-17アンタゴニスト、例えば、セクキヌマブを用いてX線陰性体軸性
脊椎関節炎(nr-axSpA)患者を治療し、これらの患者における関節の構造的損傷
の進行を阻害する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
体軸性脊椎関節炎(axSpA)は、脊椎炎症及び炎症性背痛を共通点とするリウマチ
障害の一群である。慢性背痛を有する患者(45歳以前の発症)は、患者が当該基準の臨
床アーム又は画像アームを満たしている場合にaxSpAに関する国際脊椎関節炎評価学
会(Assessment of Spondyloarthritis international Society)(ASAS)分類基準
(Rudwaleit et al 2009, Ann Rheum Dis; 68:770-76)に従って分類される。通常のX線
写真上の仙腸関節炎の存在又は非存在に基づいて、axSpA患者は、X線陰性axSp
A(nr-axSpA)及び強直性脊椎炎(AS)に下位分類される。1984年修正ニ
ューヨーク診断基準(1984 modified New York diagnostic criteria)(van der Linden
et al 1984, Arthritis Rheum; 27:361-8)を満たすX線上の仙腸関節炎の証拠を有する
患者は、ASを有すると分類されるのに対して、X線で仙腸関節炎を示さないが、MRI
で仙腸関節炎の証拠を示し得る患者は、nr-axSpAを有すると分類される。
【0004】
画像診断法としてX線及びMRIの両方を含めることによってX線写真上の仙腸関節炎
を有する又は有さない患者に適用される基準を確立するためにaxSpAに関する200
9年ASAS分類基準が導入された。画像に基づくnr-axSpAの診断は、最大88
%の特異性及び67%の感度を達成することができるが、臨床パラメーターのみに基づく
診断は、約83%の特異性及び57%の感度を達成することができる(Sieper and van d
er Heijde 2013, Arthritis Rheum; 65:543-51)。AS及びnr-axSpA患者の鑑別
同定に加えて、ASAS基準は、未だ満たされていない医療ニーズがあり、米国において
承認済みの療法が存在しない疾患である、nr-axSpAの治療における臨床試験の履
行を可能にする(Sieper 2012, Nat Rev Rheumatol; 8:280-87)。
【0005】
試験及び登録データにより、nr-axSpA患者は、AS患者と同様のレベルの疾患
活動性、疼痛及び健康に関連する生活の質の障害を有することが示された(Wallis et al
2013, J Rheumatol; 40:2038-41)。AS及びnr-axSpAの病因病態発生特性及び
自然歴の共通の特徴は、進行中の研究の対象である。疾患パラメーター及び腫瘍壊死因子
(TNF)アンタゴニストによる治療に対する反応率は、nr-axSpA及びASを有
する患者で同様であり、axSpAが異なる病期を有する1つの共通の疾患であるという
概念が裏付けられている(Song et al 2013, Ann Rheum Dis; 72:823-25)。nr-ax
SpAからASへの進行が2年間にわたりnr-axSpA患者の約12%に認められた
(Poddubnyy et al 2011, Ann Rheum Dis; 70:1369-74)。しかし、nr-axSpA患
者の10~15%は、X線検査で認められる仙腸関節炎を発現しないことが推定される(
Sieper and van der Heijde 2013, Arthritis Rheum; 65:543-51)。
【0006】
非ステロイド抗炎症薬(NSAID)は、axSpAを有するすべての患者に対する第
一選択の療法であると考えられている。メトトレキセート及びスルファサラジンなどの伝
統的な疾患修飾抗リウマチ薬(DMARD)は、axSpAの治療に有効でない。抗TN
F薬は、NSAIDにもかかわらず活動性疾患を有し続けているASを有する患者に対す
る承認済みの療法である。ヨーロッパにおいては、数種の抗TNF薬がnr-axSpA
に対しても承認されている。しかし、アダリムマブ又はエタネルセプトによる治療を受け
た60%を超えるnr-axSpA患者が無作為化臨床試験でASAS40反応を達成し
なかった(Sieper et al 2013, Ann Rheum Dis; 72:815-22; Dougados et al 2014, Arth
ritis Rheum; 66:2091-2102)。さらに、TNFの阻害は、axSpAの長期の寛解をも
たらさず、反応者は、通常、治療の中断後数週間以内に再発する(Baraliakos et al 200
5, Arthritis Res Ther; 7: R439-R444)。炎症症状の治療に有効であるが、TNFアン
タゴニストは、主としてASにおける試験を受けたaxSpAにおける関節の構造的損傷
を防止しない(van der Heijde et al 2008a, Arthritis Rheum; 58:3063-70; van der H
eijde et al 2008b, Arthritis Rheum; 58:1324-31)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
セクキヌマブ(AIN457)は、IgG/κクラスの高親和性組換え完全ヒトモノロ
ーナル抗ヒトインターロイキン17A抗体である。セクキヌマブは、ヒトIL-17Aに
結合し、このサイトカインの生物活性を中和する。IL-17Aは、いくつかの動物モデ
ルにおけるいくつかの自己免疫及び炎症過程において極めて重要であると思われる炎症性
T細胞の新たに定義されたサブセット(Th17)の重要なリンホカインである。IL-
17Aは、主としてメモリーCD4+及びCD8+Tリンパ球により産生され、免疫媒介
炎症性疾患における主要な炎症性サイトカインの1つとして認識されている。
【0008】
セクキヌマブのX線axSpA(強直性脊椎炎;AS)第III相試験(0、1、2及
び3週目に150mg SC、その後、4週ごとに同じ用量)で、16週目における36
.1%のASAS40反応率が示された。セクキヌマブ150mg群とプラセボとの間の
ASAS40反応の臨床的に意味のある差が1週目という早期に明らかであった。ASに
おける第II試験において、ベースライン並びに6及び28週目に実施されたMRI撮像
により、6週後に炎症の低減が示され、これが28週目まで維持されていた。早期の改善
は、とりわけ、より高いベースラインMRIスコアを有する患者に認められた(Baraliak
os et al 2011, Arthritis Rheum 63 (Suppl 10):2486D)。
【0009】
現在のところ、nr-axSpAに対する米国において利用可能なFDA承認済み療法
は存在しない。脊椎関節炎における炎症性浸潤におけるTh17細胞の潜在的役割、初期
の病期(nr-axSpAのような)における炎症の活動性、ASの治療におけるTNF
アルファ阻害剤セルトリズマブ及びエタネルセプトとセクキヌマブとの同等性、並びにセ
クキヌマブのAS試験中にMRIにより明らかにされた炎症の早期の低減を考慮すると、
軸関節の長期の構造の変化は、IL-17拮抗作用による調節を受け得るものであり得る
【0010】
したがって、本明細書で開示するのは、IL-17アンタゴニストを、それを必要とす
る患者に投与することを含む、X線陰性体軸性脊椎関節炎(nr-axSpA)を有する
患者を治療する方法である。さらに本明細書で開示するのは、IL-17アンタゴニスト
を、それを必要とする患者に投与することを含む、nr-axSpAを有する患者におけ
る構造的損傷の進行を阻害する方法である。
【0011】
開示した使用、方法及びキットのいくつかの実施形態において、IL-17アンタゴニ
ストは、IL-17抗体又はその抗原結合断片である。開示した使用、方法及びキットの
いくつかの実施形態において、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、a)Leu74
、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、P
ro126、Ile127、Val128、His129を含むIL-17のエピトープ
に結合するIL-17抗体又はその抗原結合断片、b)Tyr43、Tyr44、Arg
46、Ala79、Asp80を含むIL-17のエピトープに結合するIL-17抗体
又はその抗原結合断片、c)2つの成熟IL-17タンパク質鎖を有するIL-17ホモ
二量体のエピトープに結合し、前記エピトープが1本の鎖上のLeu74、Tyr85、
His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、I
le127、Val128、His129及び他の鎖上のTyr43、Tyr44、Ar
g46、Ala79、Asp80を含む、IL-17抗体又はその抗原結合断片、d)2
つの成熟IL-17タンパク質鎖を有するIL-17ホモ二量体のエピトープに結合し、
前記エピトープが1本の鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、As
n88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、H
is129及び他の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp8
0を含む、約100~200pMのKを有し、約23~約35日のin vivo半減
期を有する、IL-17抗体又はその抗原結合断片、並びにe)i)配列番号8として示
されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V)、ii)配列番号1
0として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(V)、iii
)配列番号8として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVドメイン及び配列番
号10として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVドメイン、iv)配列番号
1、配列番号2及び配列番号3として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメ
イン、v)配列番号4、配列番号5及び配列番号6として示される超可変領域を含む免疫
グロブリンVドメイン、vi)配列番号11、配列番号12及び配列番号13として示
される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、vii)配列番号1、配列番号2
及び配列番号3として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン並びに配列
番号4、配列番号5及び配列番号6として示される超可変領域を含む免疫グロブリンV
ドメイン、viii)配列番号11、配列番号12及び配列番号13として示される超可
変領域を含む免疫グロブリンVドメイン並びに配列番号4、配列番号5及び配列番号6
として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、ix)配列番号14とし
て示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖、x)配列番号15として示されるア
ミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖、又はxi)配列番号14として示されるアミノ酸
配列を含む免疫グロブリン軽鎖及び配列番号15として示されるアミノ酸配列を含む免疫
グロブリン重鎖を含むIL-17抗体又はその抗原結合断片からなる群から選択される。
開示した使用、方法及びキットのいくつかの実施形態において、IL-17抗体又はその
抗原結合断片は、セクキヌマブである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】体軸性SpAの2009年ASAS分類基準を示す図である。
図2A】16週目に、平均Berlin SI関節総浮腫スコアのベースラインからの改善が両セクキヌマブ用量についてプラセボ群と比較して大きかったことを示すグラフである。改善は、52週目まで持続した。
図2B】セクキヌマブ10mg/kg IV→150mg s.c.に無作為化された被験者がセクキヌマブ10mg/kg IV→75mg s.c.及びプラセボ群より低い平均ベースラインBerlin脊椎スコアを有し、16週目における平均Berlin脊椎スコアの改善が両セクキヌマブ用量についてプラセボ群と比較して大きかったことを示すグラフである。改善は、52週目まで持続した。
図3A】16及び24週目にプラセボからセクキヌマブに切り替えられた被験者が52週目にBerlin SI関節総浮腫スコアのそれぞれの16週目のスコアからの改善を示したことを示すグラフである。
図3B】16及び24週目にプラセボからセクキヌマブに切り替えられた被験者が52週目にBerlin脊椎スコアのそれぞれの16週目のスコアからの改善を示したことを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で用いているように、IL-17は、インターロイキン17A(IL-17A
)を指す。
【0014】
IL-17アンタゴニスト、例えば、セクキヌマブを用いてX線陰性体軸性脊椎関節炎
(nr-axSpA)患者を治療する方法を提供することが本開示の目的である。IL-
17アンタゴニスト、例えば、セクキヌマブを用いてnr-axSpA患者における構造
的損傷(例えば、骨及び関節)を阻害する方法を提供することが本開示の他の目的である
【0015】
「を含む(comprising)」という用語は、「を含む(including)」並びに「からなる
」を含み、例えば、X「を含む(comprising)」組成物は、Xからもっぱらなっていても
よく又は別のもの、例えば、X+Yを含んでいてもよい。
【0016】
本明細書で用いているように、「構造的損傷の進行を阻害する」という語句は、「構造
的損傷の進行を妨げる」と同義であり、nr-axSpAに随伴する骨及び関節損傷を低
減すること、消失させること又は遅くすることを意味するために用いられる。したがって
、それは、nr-axSpAを有する患者の病原性の新しい骨の形成を含む骨及び/又は
関節の損傷の進行のレベル及び/又は速度の低下を意味する。X線撮影及び磁気共鳴画像
化(MRI)は、axSpAに随伴する骨及び関節損傷を解析するためのとりわけ有用な
ツールである。体軸性脊椎関節炎を撮像し、採点する様々な方法は、例えば、Braun and
Baraliakos (2011) Ann Rheum Dis 70 (Suppl 1):i97-i103; Rudwaleit (2009) Ann. Rhe
um. Dis. 68:1520-7; 及びI-H Song et al. Ann Rheum Dis. 2011 Jul;70(7):1257-63に
見出すことができる。脊椎及びSIJ MRI画像を採点する好ましい方法は、Berl
in MRI脊椎スコア(Lukas C, et al. J Rheumatol. 2007;34:862-70)、Berl
in SIJスコア(Hermann KG, et al. Radiologe. 2004;44:217-28, Song et al. 20
00、前出)、強直性脊椎炎疾患活動性脊椎MRI採点システム(ASspiMRI-a)
及び「ASspiMRI-aのBerlin修正」(Lukas C et al (2007) J. Rheumato
l; 34(4):862-70; Rudwaleit et al. (2008) Arthritis Rheum 67:1276-1281; Rudwaleit
et al (2005) [abstract] Arthritis Rheum 50:S211)を含む。SI関節は、カナダ脊椎
関節炎研究コンソーシアム(Spondyloarthritis Research Consortium of Canada)(S
PARCC)採点システム(Maksymowych et al. (2005) Arthritis Rheum. 53:703-09)
を用いて採点することもできる。阻害は、対照、例えば、開示したIL-17アンタゴニ
ストによる治療を受けなかった患者、又は既知の速度の進行(例えば、平均値、中央値若
しくは範囲)と比べて確認することができる。
【0017】
数値xに関する「約」という用語は、例えば、+/-10%を意味する。数の範囲又は
数を列挙したものの前に用いられる場合、「約」という用語は、系列における各数に適用
され、例えば、「約1~5」という語句は、「約1~約5」と解釈すべきであり、又は例
えば、「約1、2、3,4」という語句は、「約1、約2、約3,約4、等」と解釈すべ
きである。
【0018】
「実質的に」という語は、「完全に」を除外しない。例えば、Yを「実質的に含まない
」組成物は、Yを完全に含まないことがあり得る。必要な場合、「実質的に」という語は
、本開示の定義から除くことができる。
【0019】
本明細書で言及する「抗体」という用語は、全抗体及びその抗原結合部分又は一本鎖を
含む。天然に存在する「抗体」は、ジスルフィド結合により相互に連結された少なくとも
2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質である。各重鎖は、重鎖可変
領域(本明細書においてVと略記する)及び重鎖定常領域から構成されている。重鎖定
常領域は、3つのドメインCH1、CH2及びCH3から構成されている。各軽鎖は、軽
鎖可変領域(本明細書においてVLと略記する)及び軽鎖定常領域から構成されている。
軽鎖定常領域は、1つのドメインCLから構成されている。V及びV領域は、フレー
ムワーク領域(FR)と呼ばれているより保存的である領域により散在させられている超
可変領域又は相補性決定領域(CDR)と呼ばれている超可変の領域にさらに細分するこ
とができる。各V及びVは、次の順序でアミノ末端からカルボキシ末端へと配列して
いる3つのCDR及び4つのFRから構成されている:FR1、CDR1、FR2、CD
R2、FR3、CDR3、FR4。重及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ド
メインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)及
び古典的補体系の第1成分(C1q)を含む宿主組織又は因子への免疫グロブリンの結合
を媒介し得る。開示した方法、レジメン、キット、工程、使用及び組成物のいくつかの実
施形態において、IL-17又はIL-17受容体に対する抗体、好ましくはIL-17
に対する抗体、例えば、セクキヌマブを用いる。
【0020】
抗体の「抗原結合断片」という用語は、本明細書で用いているように、抗原(例えば、
IL-17)に特異的に結合する能力を保持している抗体の断片を指す。抗体の抗原結合
機能は、全長抗体の断片により果たされ得ることが示された。抗体の「抗原結合部分」と
いう用語に含まれる結合断片の例としては、V、V、CL及びCH1ドメインからな
る一価断片であるFab断片、ヒンジ領域におけるジスルフィド架橋により連結されてい
る2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab)2断片、V及びCH1ドメインか
らなるFd断片、抗体の一本の腕のV及びVドメインからなるFv断片、Vドメイ
ンからなるdAb断片(Wardら、1989 Nature 341巻、544-546頁)並びに単離CDRなど
がある。具体例としての抗原結合部位は、配列番号1~6及び11~13(表1)に示さ
れているセクキヌマブのCDR、好ましくは重鎖CDR3などである。さらに、Fv断片
の2つのドメインV及びVは、別個の遺伝子によりコードされるが、それらは、V
及びV領域が一対になって一価分子を形成している単一タンパク質鎖(単鎖Fv(sc
Fv)として公知である、例えば、Birdら、1988 Science 242巻、423-426頁、及びHusto
nら、1988 Proc. Natl. Acad. Sci. 85巻、5879-5883頁参照)として調製されることを可
能にする合成リンカーにより組換え法により連結することができる。そのような単鎖抗体
も「抗体」という用語の範囲内に含まれるものとする。単鎖抗体及び抗原結合部分は、当
業者に公知の従来技術を用いて得られる。
【0021】
「単離抗体」は、本明細書で用いているように、異なる抗原特異性を有する他の抗体を
実質的に含まない抗体を指す(例えば、IL-17に特異的に結合する単離抗体は、IL
-17以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。「モノクローナル抗体
」又は「モノクローナル抗体組成物」という用語は、本明細書で用いているように、単一
分子組成の抗体分子の製剤を指す。「ヒト抗体」という用語は、本明細書で用いているよ
うに、フレームワーク及びCDR領域の両方がヒト由来の配列に由来する可変領域を有す
る抗体を含むものとする。「ヒト抗体」は、ヒト、ヒト組織又はヒト細胞により産生され
る必要はない。本開示のヒト抗体は、ヒト配列によりコードされないアミノ酸残基(例え
ば、in vitroでのランダム若しくは部位特異的突然変異誘発により、抗体遺伝子
のin vivoでの組換え時に結合部位におけるN-ヌクレオチドの付加により、又は
in vivoでの体細胞突然変異により導入された突然変異)を含み得る。開示した工
程及び組成物のいくつかの実施形態において、IL-17抗体は、ヒト抗体、単離抗体及
び/又はモノクローナル抗体である。
【0022】
「IL-17」という用語は、以前はCTLA8として公知であったIL-17Aを指
し、様々な種(例えば、ヒト、マウス及びサル)の野生型IL-17A、IL-17Aの
多形変異体及びIL-17Aの機能的等価体を含む。本開示によるIL-17Aの機能的
等価体は、好ましくは野生型IL-17A(例えば、ヒトIL-17A)との少なくとも
約65%、75%、85%、95%、96%、97%、98%又はさらには99%の全配
列同一性を有し、ヒト皮膚線維芽細胞によるIL-6の産生を誘導する能力を実質的に保
持している。
【0023】
「K」という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の解離速度を指すものとする。「K
」という用語は、本明細書で用いているように、KとKとの比(すなわち、K
)から得られ、モル濃度(M)として表される、解離定数を指すものとする。抗体の
値は、当技術分野における十分に確立された方法を用いて決定することができる。抗
体のKを決定する方法は、表面プラスモン共鳴を用いることによる、又はBiacor
e(登録商標)システムのようなバイオセンサーシステムを用いることによる。いくつか
の実施形態において、IL-17抗体若しくはその抗原結合断片、例えば、セクキヌマブ
は、約100~250pMのKでヒトIL-17に結合する。
【0024】
「親和力」という用語は、単一抗原部位における抗体と抗原との間の相互作用の強さを
指す。各抗原部位内で、抗体の「腕」の可変領域は、多数の部位において抗原と弱い非共
有結合力により相互作用する。相互作用が大きいほど、親和力が強い。例えば、ELIS
A、ウエスタンブロット及びRIAなどの様々な種のIL-17に対する抗体の結合親和
力を評価するための標準的アッセイが当技術分野で公知である。抗体の結合速度論(例え
ば、結合親和力)もビアコア(Biacore(登録商標))解析などの当技術分野で公
知の標準的アッセイにより評価することができる。
【0025】
当技術分野で公知及び本明細書で述べる方法により測定されるこれらのIL-17機能
特性(例えば、生化学的、免疫化学的、細胞、生理学的又は他の生物学的活性又は同類の
もの)の1つ又は複数のものを「阻害する」抗体は、抗体が存在しない場合(又は無関係
の特異性の対照抗体が存在する場合)に認められるものと比較して特定の活性の統計的に
有意な低下に関連すると理解される。IL-17活性を阻害する抗体は、例えば、測定パ
ラメーターの少なくとも約10%、少なくとも50%、80%又は90%の統計的に有意
な低下をもたらし、開示した方法及び組成物の特定の実施形態において、用いるIL-1
7抗体は、IL-17機能活性の95%、98%又は99%以上を阻害し得る。
【0026】
「IL-6を阻害する」は、本明細書で用いているように、初代ヒト皮膚線維芽細胞か
らのIL-6の産生を減少させるIL-17抗体又はその抗原結合断片(例えば、セクキ
ヌマブ)の能力を指す。初代ヒト(皮膚)線維芽細胞におけるIL-6の産生は、IL-
17に依存する(Hwangら、(2004) Arthritis Res Ther、6巻、R120-128頁)。要するに
、ヒト皮膚線維芽細胞は、種々の濃度のIL-17結合性分子又はFc部を有するヒトI
L-17受容体の存在下で組換えIL-17により刺激される。キメラ抗CD25抗体S
imulect(登録商標)(バシリキシマブ)は、陰性対照として好都合に用いること
ができる。16時間の刺激後に上清を採取し、ELISAによりIL-6についてアッセ
イする。IL-17抗体若しくはその抗原結合断片、例えば、セクキヌマブは、上述のよ
うに試験するとき、すなわち、ヒト皮膚線維芽細胞におけるhu-IL-17により誘導
されたIL-6の産生に対する前記阻害活性を測定したとき、約50nM以下(例えば、
約0.01~約50nM)のIL-6の産生(1nMのヒトIL-17の存在下で)の阻
害に関するIC50を一般的に有する。開示した方法及び組成物のいくつかの実施形態に
おいて、IL-17抗体若しくはその抗原結合断片、例えば、セクキヌマブ及びその機能
性誘導体は、約20nM以下、より好ましくは約10nM以下、より好ましくは約5nM
以下、より好ましくは約2nM以下、より好ましくは約1nM以下の上で定義したIL-
6の産生の阻害に関するIC50を有する。
【0027】
「誘導体」という用語は、特に示さない限り、アミノ酸配列変異体、並びに本開示によ
るIL-17抗体若しくはその抗原結合断片、例えば、セクキヌマブの、例えば、指定の
配列(例えば、可変ドメイン)の共有結合性修飾(例えば、ペグ化、脱アミド化、ヒドロ
キシル化、リン酸化、メチル化等)を定義するために用いる。「機能性誘導体」は、開示
したIL-17抗体と同様の定性的生物学的活性を有する分子を含む。機能性誘導体は、
本明細書で開示したIL-17抗体の断片及びペプチド類似体を含む。断片は、本開示に
よるポリペプチドの、例えば、指定の配列の配列内の領域を含む。本明細書で開示したI
L-17抗体の機能性誘導体(例えば、セクキヌマブの機能性誘導体)は、好ましくは本
明細書で開示したIL-17抗体及びその抗原結合断片のV及び/又はV配列(例え
ば、表1のV及び/又はV配列)と少なくとも約65%、75%、85%、95%、
96%、97%、98%若しくはさらには99%の全配列同一性を有するV及び/又は
ドメインを含み、ヒトIL-17に結合する又は例えば、IL-17誘導ヒト皮膚線
維芽細胞のIL-6産生を阻害する能力を実質的に保持する。
【0028】
「実質的に同じ」という語句は、関連するアミノ酸又はヌクレオチド配列(例えば、V
又はVドメイン)が特定の参照配列と比較して同じであるか又は微小な差を有する(
例えば、保存的アミノ酸置換による)ことを意味する。微小な差は、指定の領域(例えば
、V又はVドメイン)の5アミノ酸配列における1又は2置換などのわずかなアミノ
酸の変化を含む。抗体の場合、第2の抗体は、同じ特異性を有し、同じものの親和力の少
なくとも50%を有する。本明細書で開示した配列と実質的に同じ(例えば、少なくとも
約85%の配列同一性)配列も本出願の一部である。いくつかの実施形態において、誘導
IL-17抗体(例えば、セクキヌマブの誘導体、例えば、セクキヌマブバイオシミラー
抗体)の配列同一性は、開示した配列に対して約90%以上、例えば、90%、91%、
92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれより高い値
であり得る。
【0029】
天然ポリペプチド及びその機能性誘導体に関する「同一性」は、本明細書においては、
配列を整列させ、最大パーセントの同一性を達成するために、必要な場合にギャップを導
入した後、配列同一性の一部として保存的置換を考慮せずに、対応する天然ポリペプチド
の残基と同じである候補配列におけるアミノ酸残基の百分率と定義する。N又はC末端延
長も挿入も同一性を低下させると解釈しないものとする。整列の方法及びコンピュータプ
ログラムは、周知である。同一性のパーセントは、標準的整列アルゴリズム、例えば、Al
tshulら((1990) J. Mol. Biol.、215巻、403-410頁)により記載されたBasic Lo
cal Alignment Search Tool(BLAST)、Needlemanらの
アルゴリズム((1970) J. Mol. Biol.、48巻、444-453頁)又はMeyersらのアルゴリズム
((1988) Comput. Appl. Biosci.、4巻、11-17頁)により求めることができる。一組のパ
ラメーターは、ギャップペナルティ12、ギャップ延長ペナルティ4、フレームシフトギ
ャップペナルティ5を有するBlosum 62スコアリングマトリックスであってもう
よい。2つのアミノ酸又はヌクレオチド配列の間の同一性のパーセントは、PAM120
重み付き残基表、12のギャップ長ペナルティ及び4のギャップペナルティを用いたAL
IGNプログラム(version2.0)に組み込まれたE. Meyers及びW. Millerのア
ルゴリズム((1989) CABIOS、4巻、11-17頁)を用いて求めることもできる。
【0030】
「アミノ酸(単数又は複数)」は、すべての天然に存在するL-α-アミノ酸を指し、
また例えば、D-アミノ酸を含む。「アミノ酸配列変異体」という語句は、本開示による
配列と比較してそれらのアミノ酸配列の若干の差を有する分子を指す。例えば、指定の配
列の本開示による抗体のアミノ酸配列変異体は、ヒトIL-17に結合する、又は、例え
ば、IL-17誘導性ヒト皮膚線維芽細胞のIL-6の産生を阻害する能力を依然として
有する。アミノ酸配列変異体は、置換変異体(少なくとも1つのアミノ酸残基が除去され
、本開示によるポリペプチドにおける同じ位置におけるその位置に挿入された異なるアミ
ノ酸を有するもの)、挿入変異体(本開示によるポリペプチドにおける特定の位置におけ
るアミノ酸に直接隣接して挿入された1つ又は複数のアミノ酸を有するもの)、欠失変異
体(本開示によるポリペプチドにおける1つ又は複数のアミノ酸が除去されたもの)を含
む。
【0031】
「薬学的に許容される」という用語は、有効成分(複数可)の生物学的活性の有効性を
阻害しない非毒性物質を意味する。
【0032】
化合物、例えば、IL-17結合性分子又は他の薬剤に関連する「投与する」という用
語は、任意の経路による患者への当化合物の送達を指すために用いられる。
【0033】
本明細書で用いているように、「治療有効量」は、障害若しくは再発性障害を治療する
、予防する、その発症を予防する、それを癒す、遅らせる、その重症度を低下させる、そ
の少なくとも1つの症状を改善するために、又はそのような治療の非存在下で予想される
生存期間を超えて患者の生存期間を延長させるために患者(ヒトなど)への1回又は複数
回の投与により、有効であるIL-17アンタゴニスト、例えば、IL-17結合性分子
(例えば、IL-17抗体若しくはその抗原結合断片、例えば、セクキヌマブ)又はIL
-17受容体結合分子(例えば、IL-17抗体若しくはその抗原結合断片)の量を意味
する。単独で投与された個々の有効成分(例えば、IL-17アンタゴニスト、例えば、
セクキヌマブ)に適用する場合、該用語は、当成分のみを意味する。併用に適用する場合
、該用語は、組合せで、連続的に又は同時に投与されるかどうかを問わず、治療効果をも
たらす有効成分の総計量を意味する。
【0034】
「治療」又は「治療する」という用語は、予防的又は防止的治療並び疾患に罹るリスク
のある又は疾患に罹ったと疑われた患者並びに病気である又は疾患若しくは医学的状態に
罹患していると診断された患者の治療を含み、臨床的再発の抑制を含む、根治又は疾患修
飾治療の両方を意味する。障害若しくは再発性障害を予防する、癒す、その発症を遅らせ
る、その重症度を低下させる、又はその1つ若しくは複数の症状を改善するために、或い
はそのような治療の非存在下で予想される生存期間を超えて患者の生存期間を延長させる
ために、治療は、内科的障害を有する又は最終的に障害に罹り得る患者に施行することが
できる。
【0035】
本明細書で用いているように、「TNFアンタゴニストによる治療を以前に受けなかっ
た」及び「TNFの投薬を受けたことがない」という語句は、nr-axSpA用のTN
Fアルファ阻害薬による治療を以前に受けなかったnr-axSpA患者を意味する。本
明細書で用いているように、「TNFアンタゴニストによる治療を以前に受けた」及び「
TNF経験」という語句は、TNFアルファ阻害薬(例えば、インフリキシマブ、エタネ
ルセプト、アダリムマブ、セルトリズマブ、ゴリムマブ)による治療を以前に受けたnr
-axSpA患者を意味する。それは、TNFアルファ阻害薬治療に不応性であった又は
不十分な反応を有していた患者、並びに安全性又は忍容性のためにTNFアルファ阻害薬
による治療を中止した患者を含む。本明細書で用いているように、「TNFアルファアン
タゴニストによる治療に対して以前に反応しなかった又は不十分な反応を有していた」、
「TNF不十分反応者」及び「TNF-IR」という語句は、nr-axSpA用のTN
Fアルファ阻害薬(例えば、インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブ、セルト
リズマブ、ゴリムマブ)による治療を以前に受けたが、その症状(例えば、骨及び/又は
関節症状)がTNFアルファ阻害薬によって十分に制御されていなかったnr-axSp
A患者(例えば、抗TNF薬剤の承認済み用量を用いた少なくとも2週間、4週間、少な
くとも8週間、少なくとも3カ月、少なくとも14週間又は少なくとも4カ月の治療にも
かかわらず活動性nr-axSpAを有する患者)を意味する。開示した方法、レジメン
、使用、キット及び医薬組成物のいくつかの実施形態において、患者は、TNFアルファ
阻害薬による治療に対して以前に反応しなかった又は不十分な反応を有していた。
【0036】
本明細書で用いているように、「非ステロイド抗炎症薬(NSAID)による治療に対
して以前に反応しなかった又は不十分な反応を有していた」という語句は、nr-axS
pA用の1つ又は複数のNSAID(例えば、COX-1又はCOX-2阻害薬)による
治療を以前に受けたが、その症状(例えば、疼痛、骨及び/又は関節症状)がNSAID
によって十分に制御されていなかったnr-axSpA患者(例えば、NSAIDの承認
済み用量を用いた少なくとも2週間、4週間、少なくとも8週間、少なくとも3カ月、少
なくとも14週間又は少なくとも4カ月の治療にもかかわらず活動性nr-axSpAを
有する患者)を意味する。開示した方法、レジメン、使用、キット及び医薬組成物のいく
つかの実施形態において、患者は、1つ又は複数の非ステロイド抗炎症薬(NSAID)
による治療に対して以前に反応しなかった又は不十分な反応を有していた。
【0037】
本明細書で用いているように、患者に関して「選択する」及び「選択される」は、特定
の患者があらかじめ定められた基準を有することに基づいて(それにより)特定の患者が
患者のより大きい群から特に選択されることを意味するために用いられる。同様に、「選
択的に治療する」は、特定の疾患を有し、個々の患者があらかじめ定められた基準を有す
ることに基づいて患者のより大きい群から特別に選択される、患者に治療を提供すること
を意味する。同様に、「選択的に投与する」は、個々の患者があらかじめ定められた基準
を有することに基づいて(により)患者のより大きい群から特別に選択される患者に薬物
を投与することを意味する。選択する、選択的に治療する及び選択的に投与するとは、患
者が、患者がより大規模な群の構成員であることに単に基づいて標準治療レジメンを提供
されるのではなく、患者の個人歴(例えば、事前の治療的介入、例えば、生物製剤による
事前の治療)、生物学(例えば、特定の遺伝マーカー)及び/又は徴候(例えば、特定の
診断基準を満たさない)に基づいて個別治療を提供されることを意味する。選択するは、
治療の方法に関連して本明細書で用いているように、特定の基準を有する患者の偶発的な
治療を意味するのではなく、患者が特定の基準を有することに基づいて患者に対する治療
を施行する意図的な選択を意味する。したがって、選択的治療/投与は、患者の個人歴、
疾患の徴候及び/又は生物学を問わず、特定の疾患を有するすべての患者に特定の薬物を
提供する、標準的治療/投与と異なっている。いくつかの実施形態において、axSpA
患者は、強直性脊椎炎の修正ニューヨーク診断基準に準じた放射線学的基準を同時に満た
さないが、ASAS axSpA基準を満たすことによって治療に選択される。この一連
の特性を有する患者は、「強直性脊椎炎のX線写真上の証拠を有さない体軸性脊椎関節炎
(axSpA)」又は単に「nr-axSpA」を有すると本明細書で呼ぶ。開示した方
法、レジメン、使用、キット及び医薬組成物のいくつかの実施形態において、患者は、強
直性脊椎炎のX線写真上の証拠を有さない体軸性脊椎関節炎(axSpA)(nr-ax
SpA)を有する。
【0038】
少なくともグレードII若しくはより高い両側又はグレードIII若しくはIVの一側
の仙腸関節のX線写真上の変化は、修正ニューヨーク基準によりASの診断を下すための
要件である(Van der Linden et al. (1984) Arthritis Rheum 27:361-8)。これらの変
化は、本明細書で「強直性脊椎炎の修正ニューヨーク診断基準に準じた放射線学的基準」
及び「強直性脊椎炎のX線写真上の証拠」と呼ぶ。
【0039】
脊椎関節炎(SpA)は、強直性脊椎炎、反応性関節炎、炎症性腸疾患を伴う関節炎/
脊椎炎、乾癬を伴う関節炎/脊椎炎、及び分類不能脊椎関節炎を含む関連疾患の一群であ
る。主として体軸性骨格症状を有するSpA患者は、体軸性SpA(axSpA)を有す
ると呼ばれる。国際脊椎関節炎評価学会(ASAS)基準は、X線体軸性SpA及びnr
-axSpAの両方をカバーして含む、体軸性脊椎関節炎(axSpA)の分類基準とし
て策定された(Rudwaleit et al. (2009) Ann. Rheum. Dis. 68:777-83、その全体として
参照により本明細書に組み込まれる)。ASAS axSpA基準を図1に示す。手短に
述べると、それらは、a)X線撮影(修正ニューヨーク基準によるX線仙腸関節炎)によ
る若しくはMRIによる仙腸関節炎の存在、その上、少なくとも1つのSpAの特徴(画
像化アーム);又はb)HLA-B27の存在、その上、少なくとも2つのSpAの特徴
(臨床アーム)である。「SpAの特徴」は、炎症性背痛、CRPの上昇(炎症性背痛と
関連した)、HLA-B27陽性、SpAの家族歴、NSAIDに対する良好な反応、ク
ローン病/潰瘍性大腸炎、乾癬、指炎、ぶどう膜炎、付着部炎(踵)及び関節炎を含む。
ASAS axSpA基準を満たしている、修正ニューヨーク基準によるX線写真上仙
腸関節炎を有さない患者は、X線陰性体軸性脊椎関節炎(nr-axSpA)を有すると
呼ばれる。
【0040】
本明細書で用いているように、実験室試験でHLA-B27抗原又は対立遺伝子の存在
が明らかにされる(例えば、フローサイトメトリー又はPCR遺伝子型決定を用いて)場
合、患者は、「HLA-B27陽性」である。
【0041】
本明細書で用いているように、「炎症性背痛」という語句は、機械的でない背痛を指す
。それは、例えば、緩徐な発症、少なくとも3カ月持続すること、比較的に若年での発症
、交互に出現する臀部痛、30分以上持続する朝のこわばり、夜間の疼痛、休息による改
善の欠如、等を特徴とする。それは、ひずみ又は損傷によって引き起こされず、急速に発
現する傾向はなく又は不定の発症を示し、熟練医師によって診断され得る。
【0042】
本明細書で用いているように、「活動性nr-axSpA」は、0~10のスケール上
の4又はより高い総Bath Ankylosing Spondylitis Dis
ease Activity Index(BASDAI)スコアと一致する疾患の徴候
及び症状を指す。開示した方法、レジメン、使用、キット及び医薬組成物のいくつかの実
施形態において、患者は、活動性nr-axSpAを有する。開示した方法、レジメン、
使用、キット及び医薬組成物のいくつかの実施形態において、患者は、ベースラインにお
ける総BASDAI≧4cm(0~10cm)、ベースラインにおけるBASDAI質問
#2≧4cm(0~10cm)により測定される脊椎疼痛及びベースラインにおけるVA
S≧40mm(0~100mm)により測定される総背痛を有する。
【0043】
本明細書で用いているように、「重度nr-axSpA」及び「中等度から重度nr-
axSpA」は、生物学的療法による治療を必要とする疾患の徴候及び症状を意味する。
「体軸性脊椎関節炎を有する患者における抗TNF薬の使用に関するASAS勧告」(va
n der Heijde et al (2011) Ann Rheum Dis. 2011 Jun;70(6):905-8)によれば、禁忌で
ない限り、最大推奨用量で合計4週間にわたり少なくとも2回のNSAIDによる療法の
後に0~10のスケール上の4又はより高い総Bath Ankylosing Spo
ndylitis Disease Activity Indexスコアを有する活動
性疾患を示す場合、nr-axSpAを有する患者は、生物学的療法を必要とする。開示
した方法、レジメン、使用、キット及び医薬組成物のいくつかの実施形態において、患者
は、重度のnr-axSpAを有する。
【0044】
本明細書で用いているように、「CRPの上昇及び/又はMRIによる炎症の客観的徴
候」並びに「CRP及び/又はMRIによる炎症の客観的徴候」という語句は、仙腸関節
(SIJ)炎症のMRI証拠、C反応性タンパク質(CRP)の上昇又は両方を意味する
。開示した方法、レジメン、使用、キット及び医薬組成物のいくつかの実施形態において
、患者は、強直性脊椎炎のX線写真上の証拠を有さないが、仙腸関節(SIJ)炎症のM
RI証拠及び/又はC反応性タンパク質(CRP)の上昇としての炎症の客観的徴候を有
するaxSpA(例えば、重度、中等度から重度、活動性)を有する。炎症の他の客観的
徴候は、MRIによっても観察できる、脊椎の炎症である。脊椎の炎症は、疾患活動性に
関する強直性脊椎炎脊椎MRI採点システム(ASspiMRI-a)及び「ASspi
MRI-aのBerlin修正」(Lukas C et al (2007) J. Rheumatol;34(4):862-70;
Rudwaleit et al. (2008) Arthritis Rheum 67:1276-1281; Rudwaleit et al (2005) [ab
stract] Arthritis Rheum 50:S211)を用いて採点することができる。
【0045】
最近のMRI法は、axSpA及び正常X線所見を有する患者におけるSIJ、脊椎及
び他の骨格要素における活動性炎症の存在を示すこと(例えば、Rudwaleit et al. (2009
) Ann. Rheum Dis. 68:1520-7; Braun et al 1994, Arthritis Rheum 37:1039-45; Oostv
een et al 1999, J. Rheumatol. 26:1953-58; Heuft-Dorenbosch et al 2006, Ann. Rheu
m. Dis. 65:804-08; Heuft-Dorenbosch et al. 2006 Arthritis Res. Ther. 8:R11; Brau
n and Baraliakos (2011) Ann Rheum Dis 70 (Suppl 1):i97-i103を、及びレビューにつ
いてはAmbak et al. 2012 Arthrits Res. & Therapy 14:R55を参照)、並びにSIJ及び
脊椎の両方における急性炎症性病変及び慢性/構造的変化の描写を可能にする。本明細書
で「仙腸関節(SIJ)炎症のMRI証拠」と呼ぶ、仙腸関節炎を高度に示唆するMRI
証拠を明確にするために用いることができる様々な採点方法が存在する。開示した方法に
用いる好ましいMRI採点システムは、Berlin SIJスコアである(Hermann KG
, et al. Radiologe. 2004;44:217-28)。開示した方法、レジメン、使用、キット及び医
薬組成物のいくつかの実施形態において、患者は、SIJ炎症のMRI証拠を有する。
【0046】
本明細書で用いているように、「CRPの上昇」は、アッセイ実施施設による、CRP
の血中レベルの上昇を意味する。正常を上回るCRPレベルは、2010 ACR/EU
LAR基準に規定されている(Aletaha et al. (2010) Ann. Rheum. Dis. 69:1580-88)
。2010 ACR/EULAR基準によれば、正常/異常CRPは、現地の施設の基準
に基づいている。それぞれの現地の施設は、正常最大CRPを計算するために当施設の特
定の規則に基づく異常な(高い)CRPのカットオフ値を用いる。医師は、一般的に現地
の施設にCRP試験を指示し、現地施設は、個々の施設が正常CRPを計算するために用
いる規則を用いて正常又は異常(低若しくは高)CRPを報告する。場合によっては、施
設は、CRPが「正常上限(ULN)」を超えていることを単に報告する。したがって、
文脈上別途示されない限り、正常なCRP値と見なされるものが施設及びアッセイ間で異
なるので、本明細書で用いているように、「CRPの上昇」は、特定の数値を表すことを
意味しない。本開示のいくつかの実施形態において、CRPは、高感度アッセイを用いて
測定され、このアッセイによるCRPの上昇(すなわち、hsCRP)は、例えば、>約
3mg/L(例えば、3mg/L)、>約10mg/L(例えば、10mg/L)、>約
20mg/L(例えば、20mg/L)又は>約30mg/L(例えば、30mg/L)
であり得る。CRPレベルは、ベースラインにおいて評価した場合、「ベースラインCR
P」と呼ばれる。ベースラインにおけるCRPのレベルの上昇は、「ベースラインCRP
の上昇」と呼ぶことができる。開示した方法、レジメン、使用、キット及び医薬組成物の
いくつかの実施形態において、患者は、高いベースラインCRP又はhsCRPを有する
【0047】
IL-17アンタゴニスト
様々な開示した方法、キット、使用及び方法は、IL-17アンタゴニスト、例えば、
IL-17結合性分子(例えば、可溶性IL-17受容体、IL-17抗体又はその抗原
結合断片、例えば、セクキヌマブ)又はIL-17受容体結合性分子(例えば、IL-1
7受容体抗体又はその抗原結合断片)を利用する。いくつかの実施形態において、IL-
17アンタゴニストは、IL-17結合性分子、好ましくは、IL-17抗体又はその抗
原結合断片である。
【0048】
1つの実施形態において、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、超可変領域CDR
1、CDR2及びCDR3を含む少なくとも1つの免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V
)を含み、前記CDR1は、アミノ酸配列配列番号1を有し、前記CDR2は、アミノ
酸配列配列番号2を有し、前記CDR3は、アミノ酸配列配列番号3を有する。1つの実
施形態において、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、超可変領域CDR1’、CD
R2’及びCDR3’を含む少なくとも1つの免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL’
)を含み、前記CDR1’は、アミノ酸配列配列番号4を有し、前記CDR2’は、アミ
ノ酸配列配列番号5を有し、前記CDR3’は、アミノ酸配列配列番号6を有する。1つ
の実施形態において、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、超可変領域CDR1-x
、CDR2-x及びCDR3-xを含む少なくとも1つの免疫グロブリン重鎖可変ドメイ
ン(V)を含み、前記CDR1-xは、アミノ酸配列配列番号11を有し、前記CDR
2-xは、アミノ酸配列配列番号12を有し、前記CDR3-xは、アミノ酸配列配列番
号13を有する。
【0049】
1つの実施形態において、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、少なくとも1つの
免疫グロブリンVドメイン及び少なくとも1つの免疫グロブリンVドメインを含み、
a)免疫グロブリンVドメインは、(例えば、順に)i)超可変領域CDR1、CDR
2及びCDR3(前記CDR1は、アミノ酸配列配列番号1を有し、前記CDR2は、ア
ミノ酸配列配列番号2を有し、前記CDR3は、アミノ酸配列配列番号3を有する)又は
ii)超可変領域CDR1-x、CDR2-x及びCDR3-x(前記CDR1-xは、
アミノ酸配列配列番号11を有し、前記CDR2-xは、アミノ酸配列配列番号12を有
し、前記CDR3-xは、アミノ酸配列配列番号13を有する)を含み、b)免疫グロブ
リンVドメインは、(例えば、順に)超可変領域CDR1’、CDR2’及びCDR3
’(前記CDR1’は、アミノ酸配列配列番号4を有し、前記CDR2’は、アミノ酸配
列配列番号5を有し、前記CDR3’は、アミノ酸配列配列番号6を有する)を含む。
【0050】
1つの実施形態において、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、以下を含む。a)
配列番号8として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V
、b)配列番号10として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン
(V)、c)配列番号8として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVドメイ
ン及び配列番号10として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVドメイン、d
)配列番号1、配列番号2及び配列番号3として示される超可変領域を含む免疫グロブリ
ンVドメイン、e)配列番号4、配列番号5及び配列番号6として示される超可変領域
を含む免疫グロブリンVドメイン、f)配列番号11、配列番号12及び配列番号13
として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、g)配列番号1、配列番
号2及び配列番号3として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン並びに
配列番号4、配列番号5及び配列番号6として示される超可変領域を含む免疫グロブリン
ドメイン、又はh)配列番号11、配列番号12及び配列番号13として示される超
可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン並びに配列番号4、配列番号5及び配列番号
6として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン。
【0051】
参照を容易にするために、Kabat定義に基づく、X線解析により測定した、またC
hothia及び共同研究者のアプローチを用いたセクキヌマブモノクローナル抗体の超
可変領域のアミノ酸配列を下の表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
好ましい実施形態において、定常領域ドメインも好ましくは、例えば、「Sequences of
Proteins of Immunological Interest」、Kabat E.A.ら、US Department of Health and
Human Services、Public Health Service、National Institute of Healthに記載されて
いる適切なヒト定常領域ドメインを含む。セクキヌマブのVLをコードするDNAを配列
番号9に示す。セクキヌマブのVをコードするDNAを配列番号7に示す。
【0054】
いくつかの実施形態において、IL-17抗体又はその抗原結合断片(例えば、セクキ
ヌマブ)は、配列番号10の3つのCDRを含む。他の実施形態において、IL-17抗
体又はその抗原結合断片は、配列番号8の3つのCDRを含む。他の実施形態において、
IL-17抗体又はその抗原結合断片は、配列番号10の3つのCDR及び配列番号8の
3つのCDRを含む。配列番号8及び配列番号10のCDRは、表1に見出すことができ
る。軽鎖における遊離システイン(CysL97)は、配列番号6において確認され得る
【0055】
いくつかの実施形態において、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、配列番号14
の軽鎖を含む。他の実施形態において、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、配列番
号15の重鎖を含む。他の実施形態において、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、
配列番号14の軽鎖及び配列番号15の重鎖を含む。いくつかの実施形態において、IL
-17抗体又はその抗原結合断片は、配列番号14の3つのCDRを含む。他の実施形態
において、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、配列番号15の3つのCDRを含む
。他の実施形態において、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、配列番号14の3つ
のCDR及び配列番号15の3つのCDRを含む。配列番号14及び配列番号15のCD
Rは、表1に見出すことができる。
【0056】
超可変領域は、好ましくはヒト由来のものであるが、あらゆる種類のフレームワーク領
域と会合させることができる。適切なフレームワーク領域は、Kabat E.A.ら、前出に記載
されている。好ましい重鎖フレームワークは、ヒト重鎖フレームワーク、例えば、セクキ
ヌマブ抗体の重鎖フレームワークである。それは、順に、例えば、FR1(配列番号8の
アミノ酸1~30)、FR2(配列番号8のアミノ酸36~49)、FR3(配列番号8
のアミノ酸67~98)及びFR4(配列番号8のアミノ酸117~127)領域からな
る。X線解析によるセクキヌマブの確定超可変領域を考慮に入れると、他の好ましい重鎖
フレームワークは、順に、FR1-x(配列番号8のアミノ酸1~25)、FR2-x(
配列番号8のアミノ酸36~49)、FR3-x(配列番号8のアミノ酸61~95)及
びFR4(配列番号8のアミノ酸119~127)領域からなる。同様に、軽鎖フレーム
ワークは、順に、FR1’(配列番号10のアミノ酸1~23)、FR2’(配列番号1
0のアミノ酸36~50)、FR3’(配列番号10のアミノ酸58~89)及びFR4
’(配列番号10のアミノ酸99~109)領域からなる。
【0057】
1つの実施形態において、IL-17抗体又はその抗原結合断片(例えば、セクキヌマ
ブ)は、少なくともa)順に超可変領域CDR1、CDR2及びCDR3を含む可変ドメ
イン並びにヒト重鎖の定常部又はその断片を含む免疫グロブリン重鎖又はその断片(前記
CDR1は、アミノ酸配列配列番号1を有し、前記CDR2は、アミノ酸配列配列番号2
を有し、前記CDR3は、アミノ酸配列配列番号3を有する)、及びb)順に超可変領域
CDR1’、CDR2’及びCDR3’を含む可変ドメイン並びにヒト軽鎖の定常部又は
その断片を含む免疫グロブリン軽鎖又はその断片(前記CDR1’は、アミノ酸配列配列
番号4を有し、前記CDR2’は、アミノ酸配列配列番号5を有し、前記CDR3’は、
アミノ酸配列配列番号6を有する)を含むヒトIL-17抗体から選択される。
【0058】
1つの実施形態において、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、a)順に超可変領
域CDR1、CDR2及びCDR3を含む第1のドメイン(前記CDR1は、アミノ酸配
列配列番号1を有し、前記CDR2は、アミノ酸配列配列番号2を有し、前記CDR3は
、アミノ酸配列配列番号3を有する)、並びにb)順に超可変領域CDR1’、CDR2
’及びCDR3’を含む第2のドメイン(前記CDR1’は、アミノ酸配列配列番号4を
有し、前記CDR2’は、アミノ酸配列配列番号5を有し、前記CDR3’は、アミノ酸
配列配列番号6を有する)、並びにc)第1のドメインのN末端及び第2のドメインのC
末端又は第1のドメインのC末端及び第2のドメインのN末端に結合しているペプチドリ
ンカーを含む抗原結合部位を含む単鎖抗体又はその抗原結合断片から選択される。
【0059】
或いは、開示した方法に用いるIL-17抗体又はその抗原結合断片は、配列により本
明細書に示したIL-17抗体の誘導体(例えば、セクキヌマブのペグ化異形)を含み得
る。或いは、開示した方法に用いるIL-17抗体又はその抗原結合断片のV又はV
ドメインは、本明細書に示したV又はVドメイン(例えば、配列番号8及び10に示
すもの)と実質的に同じであるV又はVドメインを有し得る。本明細書で開示したヒ
トIL-17抗体は、配列番号15として示されているものと実質的に同じである重鎖及
び/又は配列番号14として示されているものと実質的に同じである軽鎖を含み得る。本
明細書で開示したヒトIL-17抗体は、配列番号15を含む重鎖及び配列番号14を含
む軽鎖を含み得る。本明細書で開示したヒトIL-17抗体は、a)配列番号8に示され
ているものと実質的に同じアミノ酸配列を有する可変ドメイン及びヒト重鎖の定常部を含
む1つの重鎖並びにb)配列番号10に示されているものと実質的に同じアミノ酸配列を
有する可変ドメイン及びヒト軽鎖の定常部を含む1つの軽鎖を含み得る。
【0060】
或いは、開示した方法に用いるIL-17抗体又はその抗原結合断片は、それがCys
L97を含む限り、本明細書で示す参照IL-17抗体のアミノ酸配列変異体であり得る
。本開示はまた、セクキヌマブのV又はVドメイン(CysL97を除く)の1つ又
は複数のアミノ酸残基、一般的に少数のみの(例えば、1~10個)が、例えば、対応す
るDNA配列の突然変異、例えば、部位特異的突然変異誘発により変化しているIL-1
7抗体又はその抗原結合断片(例えば、セクキヌマブ)を含む。誘導体及び変異体のすべ
てのそのような事例において、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、約50nM以下
、約20nM以下、約10nM以下、約5nM以下、約2nM以下又はより好ましくは約
1nM以下の前記分子の濃度で約1nM(=30ng/ml)ヒトIL-17の活性を5
0%阻害し、前記阻害活性は、国際公開第2006/013107号パンフレットの実施
例1に記載されているようにヒト皮膚線維芽細胞におけるhu-IL-17により誘導さ
れるIL-6産生に基づいて測定される。
【0061】
いくつかの実施形態において、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えば、セクキ
ヌマブは、Leu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val12
4、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129を含む成
熟ヒトIL-17のエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、IL-17抗
体、例えば、セクキヌマブは、Tyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、As
p80含む成熟ヒトIL-17のエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、
IL-17抗体、例えば、セクキヌマブは、2つの成熟ヒトIL-17鎖を有するIL-
17ホモ二量体のエピトープに結合し、前記エピトープは、1つの鎖上のLeu74、T
yr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro
126、Ile127、Val128、His129及び他の鎖上のTyr43、Tyr
44、Arg46、Ala79、Asp80を含む。これらのエピトープを定義するのに
用いた残基番号付けスキームは、1つが成熟タンパク質の最初のアミノ酸である残基(す
なわち、23アミノ酸N末端シグナルペプチドを欠き、グリシンから始まるIL-17A
)に基づいている。未熟IL-17Aの配列は、Swiss-ProtエントリーQ16
552に示されている。いくつかの実施形態において、IL-17抗体は、約100~2
00pMのKを有する。いくつかの実施形態において、IL-17抗体は、約0.67
nMヒトIL-17Aの生物活性のインビトロ中和に関して約0.4nMのIC50を有
する。いくつかの実施形態において、皮下(SC)投与されたIL-17抗体の絶対的生
物学的利用能は、約60~約80%の範囲、例えば約76%を有する。いくつかの実施形
態において、例えば、セクキヌマブなどのIL-17抗体は、約4週間(例えば、約23
~約35日、約23~約30日、例えば、約30日)の消失半減期を有する。いくつかの
実施形態において、IL-17抗体(例えば、セクキヌマブ)は、約7~8日のTmax
を有する。
【0062】
開示した方法に用いる特に好ましいIL-17抗体若しくはその抗原結合断片は、ヒト
抗体、特に国際公開第2006/013107号パンフレットの実施例1及び2に記載さ
れているセクキヌマブである。セクキヌマブは、免疫媒介炎症性状態の治療の臨床試験に
現在供されているIgG1/カッパイソ型の組換え高親和性完全ヒトモノクローナル抗ヒ
トインターロイキン17A(IL-17A、IL-17)抗体である。セクキヌマブ(例
えば、国際公開第2006/013107号パンフレット及び国際公開第2007/11
7749号パンフレット参照)は、IL-17に対する非常に高い親和性、すなわち、約
100~200pMのK及び約0.4nMの約0.67nMヒトIL-17Aの生物学
的活性のin vitro中和のIC50を有する。したがって、セクキヌマブは、約1
:1のモル比で抗原を阻害する。この高い結合親和性のため、セクキヌマブが治療応用に
特に適する抗体となっている。さらに、セクキヌマブが、nr-axSpAのような生涯
にわたる慢性障害を治療する場合の特別に優れた特性である、投与の間に長い期間をおく
ことが可能である、非常に長い半減期、すなわち約4週間、を有することが確認された。
【0063】
開示した方法、キット及びレジメンに用いる他の好ましいIL-17抗体は、それらの
全体として参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,057,794号明細書
、第8,003,099号明細書、第8,110,191号明細書及び第7,838,6
38号明細書並びに米国特許出願公開第20120034656号明細書及び第2011
0027290号明細書に記載されているIL-17抗体である。
【0064】
nr-axSpAの治療の方法及びIL-17アンタゴニストの使用
開示したIL-17アンタゴニスト、例えば、IL-17結合性分子(例えば、IL-
17抗体又はその抗原結合断片、例えば、セクキヌマブ)又はIL-17受容体結合性分
子(例えば、IL-17受容体抗体又はその抗原結合断片)は、in vitro、ex
vivoで用いることができ、又は医薬組成物に組み込み、in vivoで投与して
、nr-axSpA患者(例えば、ヒト患者)を治療し、且つ/又はnr-axSpA患
者、例えば、TNFアルファ阻害薬による治療を以前に受けなかったnr-axSpA患
者(TNFの投薬を受けたことがない患者)、TNFアルファ阻害薬による治療を以前に
受けたnr-axSpA患者、例えば、TNFアルファ阻害薬による治療を受けたが、そ
れに対する不十分な反応(例えば、失敗又は望ましい反応に満たない)を有していた患者
(TNF-IR患者)、及びNSAIDによる治療を以前に受けたが、それに対する不十
分な反応(例えば、失敗又は望ましい反応に満たない)を有していたnr-axSpA患
者における構造的損傷の進行を阻害することができる。
【0065】
IL-17アンタゴニスト、例えば、IL-17結合性分子(例えば、IL-17抗体
若しくはその抗原結合断片、例えば、セクキヌマブ)又はIL-17受容体結合性分子(
例えば、IL-17抗体若しくはその抗原結合断片)は、薬学的に許容される担体と混合
した場合、医薬組成物として用いることができる。そのような組成物は、IL-17アン
タゴニストに加えて、担体、様々な希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定化剤、可溶化剤及
び当技術分野で周知の他の物質を含んでいてもよい。担体の特性は、投与経路に依存する
。開示した方法に用いる医薬組成物は、特定の標的障害の治療のための追加の治療薬も含
んでいてもよい。例えば、医薬組成物は、抗炎症薬も含んでいてもよい。そのような追加
の因子/薬剤は、IL-17結合性分子との相乗効果を産生するために又はIL-17ア
ンタゴニスト、例えば、IL-17結合性分子(例えば、IL-17抗体若しくはその抗
原結合断片、例えば、セクキヌマブ)又はIL-17受容体結合性分子(例えば、IL-
17抗体若しくはその抗原結合断片)により引き起こされる副作用を最小限にするために
医薬組成物に含めることができる。
【0066】
開示した方法に用いる医薬組成物は、従来の方法で製造することができる。1つの実施
形態において、医薬組成物は、凍結乾燥体として提供する。即時投与のために、それを適
切な水性担体、例えば、滅菌注射用水又は滅菌緩衝生理食塩水に溶解する。ボーラス注射
ではなく注入による投与のためにより大きい容積の溶液を調製することが望ましいと考え
られる場合、ヒト血清アルブミン又は患者自身のヘパリン加血液を調合時に生理食塩水に
混入することが好都合であり得る。過剰なそのような生理的に不活性なタンパク質の存在
により、注入溶液とともに用いられる容器及びチューブの壁上への吸着による抗体の損失
が予防される。アルブミンを用いる場合、適切な濃度は、生理食塩溶液の0.5から4.
5重量%である。他の製剤は、液体又は凍結乾燥製剤を含む。
【0067】
抗体、例えば、IL-17に対する抗体は、一般的に非経口投与の準備が整った水性の
形で又は投与前の前に適切な希釈剤で再構成するための凍結乾燥体として製剤化される。
開示した方法及び使用のいくつかの実施形態において、IL-17アンタゴニスト、例え
ば、IL-17抗体、例えば、セクキヌマブを凍結乾燥体として製剤化する。適切な凍結
乾燥製剤は、皮下投与を可能にするために少量の液体(例えば、2ml以下)で再構成す
ることができ、低レベルの抗体凝集を有する溶液となり得る。製品HERCEPTIN(
商標)(トラツズマブ)、RITUXAN(商標)(リツキシマブ)、SYNAGIS(
商標)(パリビズマブ)等を含む、医薬品の有効成分としての抗体の使用は、現在広く知
られている。医薬品用への抗体の精製の技術は、当技術分野で周知である。治療上有効量
のIL-17アンタゴニスト、例えば、IL-17結合性分子(例えば、IL-17抗体
若しくはその抗原結合断片、例えば、セクキヌマブ)又はIL-17受容体結合性分子(
例えば、IL-17抗体若しくはその抗原結合断片)を静脈内、皮膚又は皮下注射する場
合、IL-17アンタゴニストは、発熱物質不含有の非経口で許容できる溶液の形態であ
る。静脈内、皮膚又は皮下注射用の医薬組成物は、IL-17アンタゴニストに加えて、
塩化ナトリウム、リンゲル液、デキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳
酸加リンゲル液などの等張性賦形剤又は当技術分野で公知の他の賦形剤を含み得る。
【0068】
適切な用量は、例えば、用いられる特定のIL-17アンタゴニスト、例えば、IL-
17結合性分子(例えば、IL-17抗体若しくはその抗原結合断片、例えば、セクキヌ
マブ)又はIL-17受容体結合性分子(例えば、IL-17抗体若しくはその抗原結合
断片)、宿主、投与方法並びに治療される状態の性質及び重症度並びに患者が受けた以前
の治療の性質によって当然異なる。最終的には、医療提供者が個々の患者を治療するため
のIL-17アンタゴニストの量を決定する。いくつかの実施形態において、医療提供者
は、低用量のIL-17アンタゴニストを投与し、患者の反応を観察することができる。
他の実施形態において、患者に投与するIL-17アンタゴニストの初回用量(単数又は
複数)は、高く、次いで、再発の徴候が発生するまで用量を下方調節する。患者にとって
最適な治療効果が得られるまで、より高い用量のIL-17アンタゴニストを投与するこ
とができ、一般的に用量をさらに増加させない。
【0069】
本開示の治療の方法又は使用の一部を実施するに際して、治療上有効量のIL-17ア
ンタゴニスト、例えば、IL-17結合性分子(例えば、IL-17抗体若しくはその抗
原結合断片、例えば、セクキヌマブ)又はIL-17受容体結合性分子(例えば、IL-
17抗体若しくはその抗原結合断片)を患者、例えば、哺乳動物(例えば、ヒト)に投与
する。開示した方法がIL-17アンタゴニスト(例えば、セクキヌマブ)を用いるnr
-axSpA患者の治療を提供すると理解されるが、これは、患者をIL-17アンタゴ
ニストにより最終的に治療すべきである場合、そのようなIL-17アンタゴニスト療法
が必然的に単剤療法であることを排除しない。実際、患者がIL-17アンタゴニストに
よる治療に選択される場合、IL-17アンタゴニスト(例えば、セクキヌマブ)は、本
開示の方法に従って、単独で、又はnr-axSpA患者を治療するための他の薬剤及び
療法と併用して、例えば、免疫抑制薬、疾患修飾抗リウマチ薬(DMARD)(例えば、
スルファサラジン)、疼痛管理薬、ステロイド、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)、
サイトカインアンタゴニスト、骨同化作用薬、骨抗吸収薬及びそれらの組合せ(例えば、
2剤及び3剤療法)などの少なくとも1つの追加のnr-axSpA薬と併用して投与す
ることができる。1つ又は複数の追加のnr-axSpA薬剤と併用投与する場合、IL
-17アンタゴニストを他の薬剤と同時に又は連続的に投与することができる。連続的に
投与する場合、担当医は、他の薬剤と併用してIL-17アンタゴニストを投与する適切
な順序及び共送達のための適切な用量を決定する。
【0070】
nr-axSpA患者の治療のためのセクキヌマブとの併用に有用な非ステロイド抗炎
症薬(NSAID)及び疼痛管理薬は、プロピオン酸誘導体、酢酸誘導体、エノール酸誘
導体、フェナム酸誘導体、Cox阻害薬、例えば、ルミラコキシブ、イブプロフェン、フ
ェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、インドメタシ
ン、スリンダク、エトドラク、ケトロラク、ナブメトン、アスピリン、ナプロキセン、バ
ルデコキシブ、エトリコキシブ、MK0966、ロフェコキシブ、アセトアミノフェン、
セレコキシブ、ジクロフェナク、トラマドール、ピロキシカム、メロキシカム、テノキシ
カム、ドロキシカム、ロルノキシカム、イソキシカム、メファナム酸、メクロフェナム酸
、フルフェナム酸、トルフェナム(tolfenamic)、パレコキシブ、フィロコキシブを含む
。nr-axSpA患者の治療のための、IL-17アンタゴニスト、例えば、セクキヌ
マブとの併用に有用なDMARDは、メトトレキセート(MTX)、抗マラリア薬(例え
ば、ヒドロキシクロロキン及びクロロキン)、スルファサラジン、レフルノミド、アザチ
オプリン、シクロスポリン、金塩、ミノサイクリン、シクロホスファミド、D-ペニシラ
ミン、ミノサイクリン、オーラノフィン、タクロリムス、ミオクリシン、クロラムブシル
を含む。nr-axSpA患者の治療のための、IL-17アンタゴニスト、例えば、セ
クキヌマブとの併用に有用なステロイド(例えば、グルココルチコイド)は、プレドニゾ
ロン、プレドニゾン、デキサメタゾン、コルチゾール、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、
メチルプレドニゾロン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、フルドロコ
ルチゾン、デオキシコルチコステロン、アルドステロンを含むが、これらに限定されない
【0071】
nr-axSpA患者の治療のための、IL-17アンタゴニスト、例えば、セクキヌ
マブとの併用に有用であり得る生物学的薬剤は、アダリムマブ(Humira(登録商標
))、エタネルセプト(Enbrel(登録商標))、インフリキシマブ(Remica
de(登録商標);TA-650)、セルトリズマブペゴル(Cimzia(登録商標)
;CDP870)、ゴリムマブ(Simponi(登録商標);CNTO148)、リツ
キシマブ(Rituxan(登録商標);MabThera(登録商標))、アバタセプ
ト(Orencia(登録商標))、トシリズマブ(RoActemAS/Actemr
a(登録商標))、インテグリンアンタゴニスト(TYSABRI(登録商標)(ナタリ
ズマブ))、IL-1アンタゴニスト(ACZ885、カナキヌマブ(Ilaris(登
録商標))、アナキンラ(Kineret(登録商標)))、CD4アンタゴニスト、他
のIL-17アンタゴニスト(LY2439821、イクセキズマブ、RG4934、A
MG827、ブロダルマブ、SCH900117、R05310074、MEDI-57
1、CAT-2200)、IL-23アンタゴニスト、IL-20アンタゴニスト、IL
-6アンタゴニスト、他のTNFアルファアンタゴニスト(例えば、他のTNFアルファ
アンタゴニスト又はTNFアルファ受容体アンタゴニスト、例えば、ペグスネルセプト等
)、BLySアンタゴニスト(例えば、アタシセプト、Benlysta(登録商標)/
LymphoStat-B(登録商標)(ベリムマブ))、P38阻害薬、CD20アン
タゴニスト(オクレリズマブ、オファツムマブ(Arzerra(登録商標)))、イン
ターフェロンガンマアンタゴニスト(ホントリズマブ)又はこれらの生物学的薬剤のバイ
オ後続品を含む。
【0072】
IL-17アンタゴニスト、例えば、IL-17結合性分子(例えば、IL-17抗体
又はその抗原結合断片、例えば、セクキヌマブ)又はIL-17受容体結合分子(例えば
、IL-17受容体抗体又はその抗原結合断片)は、非経口的に、例えば、静脈内に(例
えば、前肘若しくは他の末梢静脈内に)、筋肉内に又は皮下に好都合に投与される。本開
示の医薬組成物を用いる静脈内(IV)療法の継続期間は、治療される疾患の重症度並び
に個々の患者の状態及び個人的反応によって異なる。本開示の医薬組成物を用いる皮下(
SC)療法も考えられる。医療提供者は、本開示の医薬組成物を用いる、IV又はSC療
法の適切な継続期間及び療法の施行の時期を決定する。
【0073】
nr-axSpA患者を治療するための好ましい投与及び治療レジメン(誘導及び維持
レジメン両方を含む)は、その全体として参照により本明細書に組み込まれる、PCT出
願番号PCT/米国特許出願公開第2011/064307号明細書に提示されている。
【0074】
IL-17アンタゴニスト、例えば、IL-17結合性分子(例えば、IL-17抗体
又はその抗原結合断片、例えば、セクキヌマブ)又はIL-17受容体結合分子(例えば
、IL-17受容体抗体又はその抗原結合断片)を0、2及び4週目に隔週で約10mg
/kgでnr-axSpA患者に静脈内(IV)投与し、その後、8週目に開始して月1
回約75mg~約300mg(例えば、約75mg、約150mg、約300mg)で患
者に皮下(SC)投与する。この方法で、患者に0、2及び4週目に約10mg/kgを
IV投与し、次いで患者に8、12、16、20週目等に約75mg~約300mg(例
えば、約75mg、約150mg、約300mg)のIL-17アンタゴニスト(例えば
、セクキヌマブ)をSC投与する。
【0075】
IL-17アンタゴニスト、例えば、IL-17結合性分子(例えば、IL-17抗体
又はその抗原結合断片、例えば、セクキヌマブ)又はIL-17受容体結合分子(例えば
、IL-17受容体抗体又はその抗原結合断片)を0、1、2及び3週目に週1回約75
mg~約300mg(例えば、約75mg、約150mg、約300mg)で患者にSC
投与し、その後、4週目に開始して、月1回約75mg~約300mg(例えば、約75
mg、約150mg、約300mg)で患者にSC投与する。この方法で、患者に0、1
、2、3、4、8、12、16、20週目等に約75mg~約300mg(例えば、約7
5mg、約150mg、約300mg)のIL-17アンタゴニスト(例えば、セクキヌ
マブ)をSC投与する。
【0076】
或いは、IL-17アンタゴニスト、例えば、IL-17結合性分子(例えば、IL-
17抗体又はその抗原結合断片、例えば、セクキヌマブ)又はIL-17受容体結合性分
子(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片)は、負荷投与レジメンなしに患者に
投与することができ、例えば、アンタゴニストを4週ごとに(月1回)約75mg~約3
00mg(例えば、約75mg、約150mg、約300mg)で患者にSC投与するこ
とができる。この方法で、患者に0、4、8、12、16、20週目等に約75mg~約
300mg(例えば、約75mg、約150mg、約300mg)のIL-17アンタゴ
ニスト(例えば、セクキヌマブ)をSC投与する。
【0077】
特定の患者、例えば、IL-17アンタゴニスト、例えば、IL-17結合性分子(例
えば、IL-17抗体若しくはその抗原結合断片、例えば、セクキヌマブ)又はIL-1
7受容体結合性分子(例えば、IL-17受容体抗体若しくはその抗原結合断片)による
治療に対して不十分な反応を示す患者について用量の増加が必要であり得る(例えば、導
入及び/又は維持相中)ことは、理解されよう。したがって、セクキヌマブのSC用量は
、約75mg~約300mg(SC)より大きい、例えば、約80mg、約100mg、
約125mg、約175mg、約200mg、約250mg、約350mg、約400m
g等であり得る。同様に、IV用量は、約10mg/kgより大きい、例えば、約11m
g/kg、12mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30m
g/kg、35mg/kg等であり得る。特定の患者、例えば、有害事象又はIL-17
アンタゴニスト(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えば、セクキヌマブ
)による治療に対して有害反応を示す患者について用量の減少も必要であり得る(例えば
、導入及び/又は維持相中)ことも、理解されよう。したがって、IL-17アンタゴニ
スト(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えば、セクキヌマブ)の用量は
、約75mg~約300mg SC未満、例えば、約25mg、約50mg、約80mg
、約100mg、約125mg、約175mg、約200mg、250mg等であり得る
。同様に、IV用量は、約10mg/kg未満、例えば、約9mg/kg、8mg/kg
、5mg/kg、4mg/kg、3mg/kg、2mg/kg、1mg/kg等であり得
る。いくつかの実施形態において、IL-17アンタゴニスト、例えば、IL-17結合
性分子(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えば、セクキヌマブ)又はI
L-17受容体結合性分子(例えば、IL-17受容体抗体又はその抗原結合断片)は、
SC送達される75mgの初回用量で患者に投与することができ、次いで、医師により判
断される通りに、必要な場合に用量を150mg又は300mgに増量する。
【0078】
投与の時期は、一般的にセクキヌマブの初回投与の当日(「ベースライン」としても公
知である)から測定する。しかし、医療提供者は、表2に示すように、投与計画を明らか
にするために異なる命名慣例をしばしば用いている。
【0079】
【表2】
【0080】
特に、0週目は、一部の医療提供者により1週目と呼ばれることがあり、一方、0日目
は、一部の医療提供者により1日目と呼ばれることがある。したがって、同じ当初計画に
言及していながら、異なる医師が例えば、3週目/21日目に、3週目/22日目に、4
週目/21日目に、4週目/22日目に投与を行うと指定する可能性がある。一貫性を期
すために、投与の最初の週は、本明細書で0週目と呼ぶものとし、一方、投与の最初の日
は、1日目と呼ぶものとする。しかし、この命名規則は、単に一貫性を期すために用いる
ものであり、限定的と解釈すべきでなく、すなわち、医師が特定の週を「1週目」又は「
2週目」と呼ぶかどうかを問わず、週1回の投与は、IL-17抗体の週1回の投与の規
定である。さらに、好ましい投与レジメンにおいて、抗体は、0、1、2、3、4、8、
12、16、20週目等に投与される。ある提供者は、このレジメンを5週間にわたる週
1回及び次に8週目に開始する、その後の月1回(又は4週ごと)と呼ぶ可能性があり、
一方、他の提供者は、このレジメンを4週間にわたる週1回及び次に4週目に開始する、
その後の月1回(又は4週ごと)と呼ぶ可能性がある。したがって、0、1、2及び3週
目に患者に注射剤を投与し、その後、4週目に開始して月1回投与することは、0、1、
2、3及び4週目に患者に注射剤を投与し、その後、8週目に開始して月1回投与するこ
とと同じであることは、当業者により十分に理解される。
【0081】
本明細書で開示するのは、IL-17抗体又はその抗原結合断片を、それを必要とする
患者に投与することを含む、X線陰性体軸性脊椎関節炎を有する患者を治療する方法であ
って、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、2つの成熟IL-17タンパク質鎖を有
するIL-17ホモ二量体のエピトープに結合し、前記エピトープは、1つの鎖上のLe
u74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr12
5、Pro126、Ile127、Val128、His129及び他の鎖上のTyr4
3、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含み、IL-17抗体又はその
抗原結合断片は、約100~200pMのKを有し、IL-17抗体又はその抗原結合
断片は、約4週間のin vivo半減期を有する。
【0082】
本明細書でさらに開示するのは、IL-17抗体又はその抗原結合断片を、それを必要
とする患者に投与することを含む、nr-axSpAを有する患者における構造的損傷の
進行を阻害する方法であって、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、2つの成熟IL
-17タンパク質鎖を有するIL-17ホモ二量体のエピトープに結合し、前記エピトー
プは、1つの鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、 Asn88、
Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His12
9及び他の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含み
、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、約100~200pMのKを有し、IL-
17抗体又はその抗原結合断片は、約4週間のin vivo半減期を有する。
【0083】
本明細書でさらに開示するのは、nr-axSpAを有する患者を治療するのに用いる
IL-17アンタゴニスト(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えば、セ
クキヌマブ)であって、IL-17アンタゴニスト(例えば、IL-17抗体又はその抗
原結合断片、例えば、セクキヌマブ)は、2つの成熟IL-17タンパク質鎖を有するI
L-17ホモ二量体のエピトープに結合し、前記エピトープは、1つの鎖上のLeu74
、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、P
ro126、Ile127、Val128、His129及び他の鎖上のTyr43、T
yr44、Arg46、Ala79、Asp80を含み、IL-17抗体又はその抗原結
合断片は、約100~200pMのKDを有し、IL-17抗体又はその抗原結合断片は
、約4週間のin vivo半減期を有する。
【0084】
本明細書でさらに開示するのは、nr-axSpA患者における構造的損傷の進行を阻
害するのに用いるIL-17アンタゴニスト(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合
断片、例えば、セクキヌマブ)であって、IL-17アンタゴニスト(例えば、IL-1
7抗体又はその抗原結合断片、例えば、セクキヌマブ)は、2つの成熟IL-17タンパ
ク質鎖を有するIL-17ホモ二量体のエピトープに結合し、前記エピトープは、1つの
鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、
Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129及び他の鎖上
のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含み、IL-17抗
体又はその抗原結合断片は、約100~200pMのKDを有し、IL-17抗体又はそ
の抗原結合断片は、約4週間のin vivo半減期を有する。
【0085】
本明細書でさらに開示するのは、nr-axSpAを有する患者を治療するための医薬
の製造に用いるIL-17アンタゴニスト(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断
片、例えば、セクキヌマブ)であって、IL-17アンタゴニスト(例えば、IL-17
抗体又はその抗原結合断片、例えば、セクキヌマブ)は、2つの成熟IL-17タンパク
質鎖を有するIL-17ホモ二量体のエピトープに結合し、前記エピトープは、1つの鎖
上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、T
hr125、Pro126、Ile127、Val128、His129及び他の鎖上の
Tyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含み、IL-17抗体
又はその抗原結合断片は、約100~200pMのKDを有し、IL-17抗体又はその
抗原結合断片は、約4週間のin vivo半減期を有する。
【0086】
本明細書でさらに開示するのは、nr-axSpA患者における構造的損傷の進行を阻
害するための医薬の製造に用いるIL-17アンタゴニスト(例えば、IL-17抗体又
はその抗原結合断片、例えば、セクキヌマブ)であって、IL-17アンタゴニスト(例
えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えば、セクキヌマブ)は、2つの成熟I
L-17タンパク質鎖を有するIL-17ホモ二量体のエピトープに結合し、前記エピト
ープは、1つの鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、
Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His12
9及び他の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含み
、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、約100~200pMのKDを有し、IL-
17抗体又はその抗原結合断片は、約4週間のin vivo半減期を有する。
【0087】
本明細書でさらに開示するのは、nr-axSpAを有する患者を治療するための医薬
の製造に用いるIL-17アンタゴニスト(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断
片、例えば、セクキヌマブ)であって、医薬は、容器を含むように処方され、各容器は、
単位用量当たり少なくとも約75mg~約300mg(例えば、約75mg、約150m
g、約300mg)のIL-17アンタゴニスト(例えば、IL-17抗体又はその抗原
結合断片、例えば、セクキヌマブ)の皮下送達を可能にするのに十分な量のIL-17ア
ンタゴニスト(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えば、セクキヌマブ)
を有し、さらにIL-17アンタゴニスト(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断
片、例えば、セクキヌマブ)は、2つの成熟IL-17タンパク質鎖を有するIL-17
ホモ二量体のエピトープに結合し、前記エピトープは、1つの鎖上のLeu74、Tyr
85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro12
6、Ile127、Val128、His129及び他の鎖上のTyr43、Tyr44
、Arg46、Ala79、Asp80を含み、IL-17抗体又はその抗原結合断片は
、約100~200pMのKDを有し、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、約4週
間のin vivo半減期を有する。
【0088】
本明細書でさらに開示するのは、nr-axSpA患者における構造的損傷の進行を阻
害するための医薬の製造に用いるIL-17アンタゴニスト(例えば、IL-17抗体又
はその抗原結合断片、例えば、セクキヌマブ)であって、医薬は、容器を含めるように製
剤化され、各容器は、単位用量当たり少なくとも約75mg~約300mg(例えば、約
75mg、約150mg、約300mg)のIL-17アンタゴニスト(例えば、IL-
17抗体又はその抗原結合断片、例えば、セクキヌマブ)の皮下送達を可能にするのに十
分な量のIL-17アンタゴニスト(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例
えば、セクキヌマブ)を有し、さらにIL-17アンタゴニスト(例えば、IL-17抗
体又はその抗原結合断片、例えば、セクキヌマブ)は、2つの成熟IL-17タンパク質
鎖を有するIL-17ホモ二量体のエピトープに結合し、前記エピトープは、1つの鎖上
のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Th
r125、Pro126、Ile127、Val128、His129及び他の鎖上のT
yr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含み、IL-17抗体又
はその抗原結合断片は、約100~200pMのKDを有し、IL-17抗体又はその抗
原結合断片は、約4週間のin vivo半減期を有する。
【0089】
本明細書で用いているように、「[指定の用量]の[投与経路]送達を可能にする投薬
量で処方された」という語句は、指定の投与経路(例えば、SC又はIV)により所望の
用量のIL-17アンタゴニスト、例えば、IL-17抗体、例えば、セクキヌマブを供
給するために所定の医薬組成物を用いることができることを言うために用いられる。例と
して、所望の皮下用量が300mgである場合、臨床医は、150mg/mlの濃度を有
する2mlのIL-17抗体製剤、300mg/mlの濃度を有する1mlのIL-17
抗体製剤、600mg/mlの濃度を有する0.5mlのIL-17抗体製剤等を用いる
ことができる。そのような各場合において、これらのIL-17抗体製剤は、IL-17
抗体の皮下送達を可能にするのに十分に高い濃度である。皮下送達は、一般的に約2ml
未満の容積、好ましくは約1ml以下の容積の送達を必要とする。好ましい製剤は、約2
5mg/mL~150mg/mLセクキヌマブ、約10mM~30mMヒスチジンpH5
.8、約200mM~約225mMトレハロース、約0.02%ポリソルベート80及び
約2.5mM~約20mMメチオニンを含む液体医薬組成物である。
【0090】
本明細書で用いているように、[指定の用量]の送達を可能にするのに十分な量のIL
-17アンタゴニストを有する容器」という語句は、所定の容器(例えば、バイアル、ペ
ン、注射器)が所望の用量を供給するために用いることができる容積のIL-17アンタ
ゴニスト(例えば、医薬組成物の一部としての)をその中に配置したことを意味するため
に用いられる。例として、所望の用量が150mgである場合、臨床医は、75mg/m
lの濃度を有するIL-17抗体製剤を含む容器から2mlを、150mg/mlの濃度
を有するIL-17抗体製剤を含む容器から1mlを、300mg/mlの濃度を有する
IL-17抗体製剤を含む容器から0.5mlなどを用いることができる。そのようなそ
れぞれの場合に、これらの容器は、所望の150mgの用量の送達を可能にするのに十分
な量のIL-17アンタゴニストを有する。
【0091】
開示した使用、方法及びキットのいくつかの実施形態において、患者は、中等度から重
度のnr-axSpAを有する。開示した使用、方法及びキットのいくつかの実施形態に
おいて、患者は、重度のnr-axSpAを有する。開示した使用、方法及びキットのい
くつかの実施形態において、患者は、活動性nr-axSpAを有する。
【0092】
開示した使用、方法及びキットのいくつかの実施形態において、患者は、総BASDA
I≧4により評価される活動性nr-axSpAを有する。開示した使用、方法及びキッ
トのいくつかの実施形態において、患者は、ベースラインにおける総BASDAI≧4c
m(0~10cm)、ベースラインにおけるBASDAI質問番号2≧4cm(0~10
cm)により測定される脊椎疼痛、及びベースラインにおけるVAS≧40mm(0~1
00mm)により測定される総背痛を有する。
【0093】
開示した使用、方法及びキットのいくつかの実施形態において、患者は、ASAS a
xSpA基準に従うnr-axSpAを有する。開示した使用、方法及びキットのいくつ
かの実施形態において、a)患者は、少なくとも3カ月間、好ましくは少なくとも6カ月
間炎症性背痛を有し、b)a)の炎症性背痛の発症は、患者が45歳であった前に起こり
、且つc)患者は、仙腸関節炎症のMRI証拠を有し、少なくとも1つのSpAの特徴を
有する又は患者は、HLA-B27陽性であり、少なくとも2つのSpAの特徴を有する
【0094】
開示した使用、方法及びキットのいくつかの実施形態において、患者は、C反応性タン
パク質(CRP)の上昇及び/又は仙腸関節炎症の磁気共鳴画像化(MRI)証拠により
示される炎症の客観的徴候を有する。開示した使用、方法及びキットのいくつかの実施形
態において、患者は、Berlin仙腸関節(SIJ)採点法に従って判定された仙腸関
節炎症のMRI証拠により示される炎症の客観的徴候を有する。開示した使用、方法及び
キットのいくつかの実施形態において、患者は、脊椎の炎症のMRI証拠により示される
炎症の客観的徴候を有する。
【0095】
開示した使用、方法及びキットのいくつかの実施形態において、患者は、強直性脊椎炎
の修正ニューヨーク診断基準に準じた放射線学的基準を満たさない。
【0096】
開示した使用、方法及びキットのいくつかの実施形態において、患者は、非ステロイド
抗炎症薬(NSAID)による治療に対して以前に反応しなかった又は不十分な反応を有
していた。開示した使用、方法及びキットのいくつかの実施形態において、患者は、TN
Fアルファ阻害薬による治療に対して以前に反応しなかった又は不十分な反応を有してい
た(TNF-IR)。開示した使用、方法及びキットのいくつかの実施形態において、患
者は、TNFアルファアンタゴニストによる治療を以前に受けなかった(TNFの投薬を
受けたことがない)。
【0097】
開示した使用、方法及びキットのいくつかの実施形態において、患者にさらに投与する
ことは、シクロスポリン、ヒドロキシクロロキン、メトトレキセート、NSAID、スル
ファサラジン、レフルノミド、プレドニゾロン、プロドニゾン又はメチルプレドニゾロン
を患者に投与することを含む。
【0098】
開示した使用、方法及びキットのいくつかの実施形態において、約75mg~約300
mgのIL-17抗体又はその抗原結合断片を0、1、2及び3週目に皮下注射により患
者に投与し、その後、4週目に開始して月1回投与する。開示した使用、方法及びキット
のいくつかの実施形態において、150mgのIL-17抗体又はその抗原結合断片を0
、1、2及び3週目に皮下注射により患者に投与し、その後、4週目に開始して月1回投
与する。
【0099】
開示した使用、方法及びキットのいくつかの実施形態において、IL-17抗体又はそ
の抗原結合断片はi)配列番号8として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖
可変ドメイン(V)、ii)配列番号10として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロ
ブリン軽鎖可変ドメイン(V)、iii)配列番号8として示されるアミノ酸配列を含
む免疫グロブリンVドメイン及び配列番号10として示されるアミノ酸配列を含む免疫
グロブリンVドメイン、iv)配列番号1、配列番号2及び配列番号3として示される
超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、v)配列番号4、配列番号5及び配列番
号6として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、vi)配列番号11
、配列番号12及び配列番号13として示される超可変領域を含む免疫グロブリンV
メイン、vii)配列番号1、配列番号2及び配列番号3として示される超可変領域を含
む免疫グロブリンVドメイン並びに配列番号4、配列番号5及び配列番号6として示さ
れる超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、viii)配列番号11、配列番号
12及び配列番号13として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン並び
に配列番号4、配列番号5及び配列番号6として示される超可変領域を含む免疫グロブリ
ンVドメイン、ix)配列番号14として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン
軽鎖、x)配列番号15として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖、又はx
i)配列番号14として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖及び配列番号1
5として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖を含む。開示した使用、方法及
びキットのいくつかの実施形態において、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、セク
キヌマブである。
【0100】
本明細書で開示するのは、約150mgのセクキヌマブを0、1、2及び3週目に皮下
注射により患者に投与し、その後、4週目に開始して月1回投与することを含む、強直性
脊椎炎のX線写真上の証拠を有さないが、CRP及び/又はMRIにより示される炎症の
客観的徴候を有する、重度の活動性体軸性脊椎関節炎(axSpA)を有する患者を治療
する方法でもある。
【0101】
本明細書で開示するのは、約150mgのセクキヌマブを0、1、2及び3週目に皮下
注射により患者に投与し、その後、4週目に開始して月1回投与することを含む、ASの
X線写真上の証拠を有さないが、CRPの上昇及び/又はMRIによる炎症の客観的徴候
を有し、NSAIDによる治療に対して以前に不十分な反応を有していた、重度のaxS
pAを有する患者を治療する方法でもある。
【0102】
本明細書で開示するのは、約150mgのセクキヌマブを0、1、2及び3週目に皮下
注射により患者に投与し、その後、4週目に開始して月1回投与することを含む、ASの
X線写真上の証拠を有さないが、CRPの上昇及び/又はMRIによる炎症の客観的徴候
を有し、NSAIDによる治療に対して以前に不十分な反応を有していた、又は不耐性で
あった、重度のaxSpAを有する患者を治療する方法でもある。
【0103】
本明細書で開示するのは、約150mgのセクキヌマブを0、1、2及び3週目に皮下
注射により患者に投与し、その後、4週目に開始して月1回投与することを含む、ASの
X線写真上の証拠を有さないが、CRPの上昇及び/又はMRIによる炎症の客観的徴候
を有し、TNFアルファ阻害薬による治療に対して以前に反応しなかった、又は不十分な
反応を有していた、重度のaxSpAを有する患者を治療する方法でもある。
【0104】
本明細書で開示するのは、約150mgのセクキヌマブを0、1、2及び3週目に皮下
注射により患者に投与し、その後、4週目に開始して月1回投与することを含む、ASの
X線写真上の証拠を有さないが、CRPの上昇及び/又はMRIによる炎症の客観的徴候
を有し、TNFアルファ阻害薬による治療に対して以前に不十分な反応を有していた、重
度のaxSpAを有する患者を治療する方法でもある。
【0105】
本明細書で開示するのは、約150mgのセクキヌマブを0、1、2及び3週目に皮下
注射により患者に投与し、その後、4週目に開始して月1回投与することを含む、TNF
アルファアンタゴニストによる治療を以前に受けなかった(TNFの投薬を受けたことが
ない)、重度のaxSpAを有する患者を治療する方法でもある。
【0106】
本明細書で開示するのは、約150mgのセクキヌマブを0、1、2及び3週目に皮下
注射により患者に投与し、その後、4週目に開始して月1回投与することを含む、ASの
X線写真上の証拠を有さないが、CRPの上昇及び/又はMRIによる炎症の客観的徴候
を有し、TNFアルファアンタゴニストによる治療を以前に受けなかった(TNFの投薬
を受けたことがない)、重度のaxSpAを有する患者を治療する方法でもある。
【0107】
本明細書で開示するのは、約150mgのセクキヌマブを0、1、2及び3週目に皮下
注射により患者に投与し、その後、4週目に開始して月1回投与することを含む、ASの
X線写真上の証拠を有さないが、CRPの上昇及び/又はMRIによる炎症の客観的徴候
を有し、TNFアルファアンタゴニストによる治療を以前に受けなかった(TNFの投薬
を受けたことがない)、重度のaxSpAを有する患者を治療する方法でもある。
【0108】
キット
本開示は、nr-axSpA患者における構造的損傷(例えば、骨及び関節)を予防す
るためのキットも含む。そのようなキットは、IL-17アンタゴニスト、例えば、IL
-17結合性分子(例えば、IL-17抗体若しくはその抗原結合断片、例えば、セクキ
ヌマブ)又はIL-17受容体結合性分子(例えば、IL-17抗体若しくはその抗原結
合断片)(例えば、液体若しくは凍結乾燥剤形の)又はIL-17アンタゴニストを含む
医薬組成物(上述の)を含む。さらに、そのようなキットは、IL-17アンタゴニスト
を投与する手段(例えば、自動注入装置、注射器及びバイアル、前充填注射器、前充填ペ
ン)及び使用説明書を含み得る。これらのキットは、封入されたIL-17アンタゴニス
ト、例えば、IL-17結合性分子、例えば、IL-17抗体、例えば、セクキヌマブと
例えば、組み合わせて送達するためのnr-axSpAを治療するための追加の治療薬(
上で述べた)を含み得る。そのようなキットは、nr-axSpA患者を治療するための
及び/又はnr-axSpA患者(例えば、TNFの投薬を受けたことがない及び/又は
TNF-IR nr-axSpA患者、NSAID失敗nr-axSpA患者等)におけ
る構造的損傷の進行を阻害するためのIL-17アンタゴニスト(例えば、IL-17抗
体、例えば、セクキヌマブ)の投与に関する取扱説明書も含み得る。そのような取扱説明
書は、封入されたIL-17アンタゴニスト、例えば、IL-17結合性分子、例えば、
IL-17抗体、例えば、セクキヌマブとともに使用するための用量(例えば、10m/
kg、75mg、150mg、300mg)、投与経路(例えば、IV、SC)及び投与
レジメン(例えば、0、2及び4週目に隔週で約10mg/kgをIV投与し、その後は
8週目に開始して月1回約75mg、約150mg若しくは約300mgでSC投与する
;0、1、2及び3週目に週1回約75mg、約150mg又は約300mgでSC投与
し、その後は4週目に開始して月1回約75mg、約150mg若しくは約300mgで
SC投与する;月1回約75mg、約150mg若しくは約300mgでSC投与する等
)を提供し得る。
【0109】
「投与する手段」という語句は、事前充填注射器、バイアル及び注射器、ペン型注射器
、自動注入装置、IV点滴及びバッグ、ポンプ等を含むが、これらに限定されない、患者
に薬物を全身投与するための利用可能な器具を示すために用いられる。そのような物品を
用いて、患者が薬物を自己投与する(すなわち、医師の援助なしに薬物を投与する)こと
ができ又は医師が薬物を投与することができる。
【0110】
本明細書で開示するのは、IL-17アンタゴニスト(例えば、IL-17結合性分子
、例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えば、セクキヌマブ)を含む、nr
-axSpAを有する患者を治療し、且つ/又はnr-axSpA患者における構造的損
傷の進行を阻害するのに用いるキットである。いくつかの実施形態において、キットは、
IL-17アンタゴニストを患者に投与する手段をさらに含む。いくつかの実施形態にお
いて、キットは、IL-17アンタゴニスト(例えば、IL-17結合性分子、例えば、
IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えば、セクキヌマブ)を0、2及び4週目に隔
週で約10mg/kgで患者(TNFの投薬を受けたことがない及び/又はTNF経験)
に静脈内(IV)投与すべきであり、その後は8週目に開始して月1回約75mg~約3
00mg(例えば、約75mg、約150mg又は約300mg)で患者に皮下(SC)
投与すべきであることを示す、IL-17アンタゴニストの投与に関する取扱説明書をさ
らに含む。いくつかの実施形態において、キットは、IL-17アンタゴニスト(例えば
、IL-17結合性分子、例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えば、セク
キヌマブ)を負荷レジメンを用いて又は用いずに、例えば、0、1、2及び3週目に週1
回約75mg~約300mg(例えば、約75mg、約150mg又は約300mg)で
SCで、その後、4週目に開始して月1回約75mg~約300mg(例えば、約75m
g、約150mg又は約300mg)でSCatで;又は4週ごとに(月1回)約75m
g~約300mg(例えば、約75mg、約150mg又は約300mg)でSCatで
患者に投与すべきであることを示す、IL-17アンタゴニストの投与に関する取扱説明
書をさらに含む。いくつかの実施形態において、取扱説明書は、用量漸増(医師により決
定されるべきである、例えば、約75mgの用量から必要に応じて約150mg又は約3
00mgのより高用量への)を規定する。
【0111】
いくつかの実施形態において、キットは、IL-17アンタゴニスト(例えば、IL-
17結合性分子、例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えば、セクキヌマブ
)を0、1、2及び3週目に週1回約75mg~約300mg(例えば、約75mg、約
150mg又は約300mg)で患者にSC投与すべきであり、その後、4週目に開始し
て月1回約75mg~約300mg(例えば、約75mg、約150mg又は約300m
g)で;又は4週ごとに(月1回)約75mg~約300mg(例えば、約75mg、約
150mg又は約300mg)で患者にSC投与すべきであることを示す、IL-17ア
ンタゴニストの投与に関する取扱説明書をさらに含む。いくつかの実施形態において、取
扱説明書は、用量漸増(医師により決定されるべきである、例えば、約75mgの用量か
ら必要に応じて約150mg又は約300mgのより高用量への)を規定する。
【0112】
一般
開示した方法、治療、薬剤、レジメン、使用及びキットの好ましい実施形態において、
IL-17アンタゴニストは、IL-17結合性分子である。好ましい実施形態において
、IL-17結合性分子は、IL-17抗体又はその抗原結合断片である。開示した方法
、治療、レジメン、使用及びキットのいくつかの実施形態において、IL-17抗体又は
その抗原結合断片は、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、a)Leu74、Tyr
85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro12
6、Ile127、Val128、His129を含むIL-17のエピトープに結合す
るIL-17抗体又はその抗原結合断片、b)Tyr43、Tyr44、Arg46、A
la79、Asp80を含むIL-17のエピトープに結合するIL-17抗体又はその
抗原結合断片、c)2つの成熟IL-17タンパク質鎖を有するIL-17ホモ二量体の
エピトープに結合し、前記エピトープが1本の鎖上のLeu74、Tyr85、His8
6、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile12
7、Val128、His129及び他の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、
Ala79、Asp80を含む、IL-17抗体又はその抗原結合断片、d)2つの成熟
IL-17タンパク質鎖を有するIL-17ホモ二量体のエピトープに結合し、前記エピ
トープが1本の鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、
Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His12
9及び他の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含む
、IL-17結合性分子が約100~200pMのKを有する、及び約23~約35日
のin vivo半減期を有する、IL-17抗体又はその抗原結合断片、並びにe)i
)配列番号8として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V
)、ii)配列番号10として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変ドメ
イン(V)、iii)配列番号8として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリンV
ドメイン及び配列番号10として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVドメ
イン、iv)配列番号1、配列番号2及び配列番号3として示される超可変領域を含む免
疫グロブリンVドメイン、v)配列番号4、配列番号5及び配列番号6として示される
超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、vi)配列番号11、配列番号12及び
配列番号13として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、vii)配
列番号1、配列番号2及び配列番号3として示される超可変領域を含む免疫グロブリンV
ドメイン並びに配列番号4、配列番号5及び配列番号6として示される超可変領域を含
む免疫グロブリンVドメイン、viii)配列番号11、配列番号12及び配列番号1
3として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン並びに配列番号4、配列
番号5及び配列番号6として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVドメイン、i
x)配列番号14として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖、x)配列番号
15として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖、又はxi)配列番号14と
して示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖及び配列番号15として示されるア
ミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖を含むIL-17抗体又はその抗原結合断片からな
る群から選択される。
【0113】
開示した方法のいくつかの実施形態において、IL-17抗体又はその抗原結合断片
は、IgGアイソタイプのヒト抗体である。開示した方法のいくつかの実施形態におい
て、抗体又はその抗原結合断片は、セクキヌマブである。
【0114】
本開示の1つ又は複数の実施形態の詳細は、上の添付の説明に示されている。本明細書
で述べたものと類似の方法及び材料又は同等のものを本開示の実施又は試験に用いること
ができるが、好ましい方法及び材料をこれから述べる。本開示の他の特徴、目的及び利点
は、説明及び特許請求の範囲から明らかとなる。本明細書及び添付の特許請求の範囲にお
いて、単数形は、文脈上明らかに別途示されない限り、複数の指示対象を含む。別途定義
されない限り、本明細書で用いたすべての技術及び科学用語は、本開示が属する分野の技
術者により一般的に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書で引用したすべての
特許及び刊行物は、参照により組み込まれる。以下の実施例は、本開示の好ましい実施形
態をより十分に例示するために示す。これらの実施例は、添付の特許請求の範囲により定
義されている、開示した患者事項(patient matter)の範囲を限定すると解釈すべきでは
ない。
【実施例1】
【0115】
概念実証AS試験CAIN457A2209
実施例1.1-試験デザインCAIN457A2209
これは、事前のTNFアンタゴニスト療法の有無にかかわらず中等度から重度のASの
診断を有する患者の治療のためのセクキヌマブの反復10mg/kg、1.0mg/kg
及び0.1mg/kg投与(3週間おきに2回の注入)の二部多施設共同概念実証試験で
あった。第1部において、30例の患者がセクキヌマブ10mg/kg又はプラセボの投
与を4:1の比で受けた。第2部において、さらなる30例の患者がセクキヌマブ0.1
mg/kg、1.0mg/kg又は10mg/kgの投与を2:2:1の比で受けた。試
験は、28日のスクリーニング期間、3週間の治療期間及び25週間のフォローアップ期
間からなる。スクリーニング時に選択/除外基準を満たしていた被験者は、ASASコア
セットドメイン(ASAS core set domain)(1~6)(Zochling et al (2006) Ann Rheu
m Dis 65:442-452)、BASMIスコア、BASDAIスコア及び医師全般評価を含む、
ベースライン評価を受けた。本試験の主要なエンドポイントは、6週目にASAS20反
応を達成する患者の割合であった。
【0116】
ASの診断のための修正ニューヨーク基準を満たし、その疾患がNSAID投与で(最
大耐量で少なくとも3カ月間の期間にわたる少なくとも1つのNSAID投与で)制御さ
れなかった中等度から重度のASを有する患者を2×10mg/kg AIN457又は
プラセボの投与を受けるように無作為化した。患者の選択のための最小疾患活動性は、A
SASスコアセットドメイン:同時NSAID使用にもかかわらず総背痛又は夜間背痛ス
コア≧40(0~100mm VAS)、その上、総BASDAIスコア≧4に基づいて
評価した。安定用量のメトトレキセート(MTX)、スルファサラジン(SSZ)及び低
用量コルチコステロイドの併用は、選択/除外基準に規定されているように許容された。
MTX以外の免疫抑制薬、SSZ及び全身性低用量コルチコステロイドは、ベースライン
の前の1カ月のウォッシュアウト期間を必要とした。
【0117】
有効性の評価は、以下の評価ドメイン:(1)患者全般評価(PGA)、(2)炎症性
背痛(質問#5及び#6に対する回答の平均又はBath Ankylosing Sp
ondylitis Disease Activity Index[BASDAI]
)、(3)Bath Ankylosing Spondylitis Functio
nal Index(BASFI)、(4)炎症性背痛(0~100mm VAS上で総
背痛又は夜間背痛により測定)からなる、ASASスコア評価基準に基づいていた。副次
的目的は、これらの変化がセクキヌマブによる治療による影響を受けるかどうかを検討す
るための、ASに関連する病変の定量のための採点システムを用いた脊椎の磁気共鳴画像
化(MRI)試験を含んでいた。試験の探索的目的は、中等度から重度のASを有する患
者における遺伝的、mRNA発現プロファイリング、フローサイトメトリー及び血清タン
パク質評価を用いてバイオマーカープロファイルを明らかにし、セクキヌマブによる治療
がこれらのバイオマーカーに影響を及ぼすかどうかを判定することであった。
【0118】
30例の患者をセクキヌマブ(AIN457)10mg/kg IV又はプラセボIV
の3週間あけて(1日目及び22日目に)行われる2回のi.v.注入を受けるように4
:1の比で無作為化した。患者は、安全性に関して28週目までフォローアップした。A
IN457及びプラセボの6週目のASAS20反応率のベイジアン解析を実施した。反
応率の事前分布は、ベータ分布と規定され、各群における反応者の観測数について二項分
布が仮定された。ASにおける抗TNFアルファ治療の8件の無作為化プラセボ対照試験
のメタ解析からのプラセボ反応率の予測分布をプラセボ反応率の事前分布として用いた。
この事前分布は、43例中11例の反応者を観測すること(すなわち、26%の反応率)
と同等であった。弱い事前分布を有効(active)反応率(1.5例中0.5例反応者を観
測することと同等である)に用いた。ベースライン、6週目及び28週目にT1及びショ
ートタウ反転回復(STIR)シーケンスを含む脊椎の矢状MR撮像を実施した。画像は
、AS脊椎MRI(ASspiMRI-a)採点システムの「Berlin修正」を用い
て、治療割付け及び画像の時間的順序を知らされていなかった、独立読像者によって解析
された。各治療アームにおけるベースラインとフォローアップとの間の変化の評価のため
にウィルコクソンの符号付き順位検定を用いた。
【0119】
ASAS(国際脊椎関節炎評価学会)基準
ASAS(国際脊椎関節炎評価学会)評価基準(1~6)は、以下の評価ドメイン:(
1)疾患活動性の患者全般評価、100mm視覚アナログスケール(VAS)上で評価さ
れる;(2)疼痛、VAS疼痛スコア(0~100スケール)又はNRS(0~10)に
より評価される;(3)身体機能、BASFIスコア(0~100スケール)により評価
される;(4)炎症、2つの朝のこわばりに関連する10ポイントスケールのBASDA
I質問#5及び#6の平均値又は100mm VASスコアにより評価される;(5)B
ath強直性脊椎炎計測指数(Ankylosing Spondylitis Met
rology Index)(BASMI);スコア(頸部旋回、胸部拡張、腰部側屈、
修正ショーバー指数、後頭壁間距離);(6)C反応性タンパク質(急性期反応物質)か
らなる。
【0120】
ASAS20反応者の定義
被験者は、以下の条件の両方が適用できる場合、且つその場合に限り、ASAS20反
応者と定義される。
1.被験者が以下の4つのコアASASドメインの≧3つにおける≧20%の改善及び
≧1単位の絶対改善を有する:患者全般評価(0~100mmのVAS上で測定される)
;背痛(0~100mmのVAS上で総背痛又は夜間背痛として測定される);身体機能
(BASFIにより測定される、0~10);炎症(BASDAIの2つの朝のこわばり
に関連する質問#5及び#6の平均値により測定される、0~10);
2.被験者が可能な残りのドメインにおける低下を有さない(低下は、ベースラインか
らの≧20%の悪化及び≧1ユニットの絶対悪化と定義される)。
【0121】
ASAS40反応者の定義
被験者は、以下の条件の両方が適用できる場合、且つその場合に限り、ASAS40反
応者と定義される。
1.被験者が以下の4つのドメインの3つにおける≧40%の改善及び≧2単位の絶対
改善を有する:患者全般評価(0~100mmのVAS上で測定される);背痛(0~1
00mmのVAS上で総背痛又は夜間背痛として測定される);身体機能(BASFIに
より測定される、0~10);炎症(BASDAIの2つの朝のこわばりに関連する質問
#5及び#6の平均値により測定される、0~10);
2.被験者が可能な残りのドメインにおけるすべてにおいてベースラインからの(>0
%又は>0単位)の悪化を有さない。
【0122】
ASAS5/6反応者の定義
被験者は、以下の6つのASASドメインのうちの5つにおける≧20%の改善を有す
る場合、且つその場合に限り、ASAS5/6反応者と定義される:患者全般評価(0~
100mmのVAS上で測定される);背痛(0~100mmのVAS上で総背痛又は夜
間背痛として測定される);身体機能(BASFIにより測定される、0~10);炎症
(BASDAIの2つの朝のこわばりに関連する質問#5及び#6の平均値により測定さ
れる、0~10);Bath Ankylosing Spondylitis Met
rology Index(BASMI);スコア(頸部旋回、胸部拡張、腰部側屈、修
正ショーバー指数、後頭壁間距離);(6)C反応性タンパク質(急性期反応物質)。
【0123】
ASAS部分寛解の定義
被験者は、以下の4つのコアASASドメインのそれぞれにおける<2単位の値を有す
る場合、且つその場合に限り、部分寛解を達成していると定義される:患者全般評価(0
~100mmのVAS上で測定される);背痛(0~100mmのVAS上で総背痛又は
夜間背痛として測定される);身体機能(BASFIにより測定される、0~10);炎
症(BASDAIの2つの朝のこわばりに関連する質問#5及び#6の平均値により測定
される、0~10)。
【0124】
Bath強直性脊椎炎機能指数(BASFI)
BASFIは、ASを有する患者における機能的制限の程度を判定するためにデザイン
された10項目の質問のセットである。10項目の質問は、ASを有する患者からの主要
なインプットを用いて選択された。最初の8つの質問は、機能解剖学に関連する活動を考
慮するものである。最後の2つの質問は、日常生活に対処する患者の能力を評価するもの
である。10cm視覚アナログスケールを用いて質問に答える。10個のスケールの平均
により、0から10までの値である、BASFIスコアが得られる。
【0125】
Bath強直性脊椎炎疾患活動性指数(BASDAI)
BASDAIは、0~10スケール(0は問題なし、10は最悪の問題)からなり、A
Sの5つの主要な症状に関する次の6つの質問に答えるために用いられる:1.疲労;2
.脊椎痛;3.関節痛/腫脹;4.限局性圧痛の部位(付着部炎又は腱及び靭帯の炎症)
;5.朝のこわばりの持続;6.朝のこわばりの重症度。各症状に等しい重み付けを与え
るために、朝のこわばりに関する2つのスコアの平均値を他の4つの質問のスコアに加え
る。得られる0~50のスコアを5で割って、最終的な0~10のBASDAIスコアを
得る。4又はそれ以上のBASDAIスコアは、疾患の最適以下の制御を示唆し、4又は
それ以上のスコアを有する患者は、通常、患者の内科療法の変更又はASに対して行われ
る新薬療法を評価する臨床試験における登録の良い候補である。
【0126】
疾患活動性の患者の全般評価
疾患活動性の患者の全般評価は、「あなたの関節炎があなたに影響を与えるすべての状
態を考慮して、あなたの状態がどの程度良好であるかについてスケール上に線を引いてく
ださい」という質問に応えて無疾患活動性から最大疾患活動性までに及ぶ100mm V
ASを用いて行う。治験責任医師の施設においてスケールの左端からのmm単位の距離を
測定し、値をeCRFに入力した。
【0127】
疼痛強度の患者の評価
背痛の患者の評価は、総背痛又は夜間背痛について別個に評価される、無痛から耐え難
い疼痛までに及ぶ100mm VASを用いて行う。治験責任医師の施設においてスケー
ルの左端からのmm単位の距離を測定し、値をeCRFに入力する。
【0128】
Bath強直性脊椎炎計測指数(BASMI)
BASMIは、脊椎運動の臨床的に重要な変化を規定することを目的とした、軸状態を
正確に評価する最小限の数の臨床的に適切な測定を用いる妥当性確認済みの評価尺度であ
る。パラメーターは、1.頸部旋回;2.耳珠壁間距離;3.腰部側屈;4.修正ショー
バー;5.内果間距離を含む。次の2つの追加のパラメーターも評価する:6.胸部拡張
及び7.後頭壁間距離。
【0129】
Maastricht強直性脊椎炎付着部炎スコア(MASES)
Mastricht強直性脊髄炎付着部スコア(MASES)は、Mander指標か
ら構築され、13部位の評価を含む。MASES指標に含まれる付着部炎部位は、第1肋
軟骨、第7肋軟骨、上後腸骨棘、上前腸骨棘、腸骨稜(上記のすべてを両側評価)、第5
腰椎棘突起、近位アキレス(両側)である。
【0130】
Leeds付着部指数(LEI)
LEIは、上腕骨外側上顆L+R、近位アキレス及び大腿骨外側顆L+Rの付着部の評
価のための6部位のみを用いる妥当性確認済みの付着部指数である。LEIは、乾癬性関
節炎の適応において他のスコアとの実質的から極めて良い一致を示したが、強直性脊椎炎
におけるMASESとのより低い程度の一致を示し、したがって、この適応における追加
情報をもたらし得るものである。
【0131】
MRI
脊椎の磁気共鳴画像化(MRI)は、これらの変化がセクキヌマブによる治療による影
響を受けたかどうかを検討するために、ASに関連する病変の定量化のための採点システ
ムを用いて実施した。MRIは、臨床施設で現場で取得され、画像が送信され、品質管理
され、匿名化され(必要な場合)、中央で解析された(盲検化レビュー)。MRIスキャ
ンは、ベースライン(好ましくは最初の治療の前の2週間以内)時並びに6週目(±1週
間)及び28週目(±1週間)に収集された。MRIスキャンは、炎症を評価するための
前及び後静脈内ガドリニウムコントラスト強調MRI及び骨髄浮腫をモニターするための
ショートタウ反転回復(STIR)のような脂肪飽和技術を含んでいた。解析方法は、「
ASspiMRI-aのBerlin修正」(Lukas C et al (2007) J Rheumatol;34(4)
:862-70及びRudwaleit et al (2005) [abstract] Arthritis Rheum 50:S211)であり、こ
れは、ほぼ全脊柱(C2-S1)における炎症性変化を採点する。
【0132】
実施例1.2-セクキヌマブは活動性強直性脊椎炎の治療において良好な安全性及び有
効性を示す
人口統計学及びベースライン特性は、群間で同等であった。ベースラインにおける平均
(SD)BASDAIは、セクキヌマブ投与患者で7.1(1.4)であり、プラセボ投
与患者で7.2(1.8)であった。プラセボ投与の3例の患者及びセクキヌマブ投与の
2例の患者は、主として不満足な治療効果のため、主要なエンドポイントの前に試験を中
止した。1例の患者の有効性データは、無作為化後のプロトコール違反のため利用可能で
なかった。6週目に、有効性解析に入れられた14例/23例のセクキヌマブ投与患者が
ASAS20反応を達成したのに対して、1例/6例のプラセボ投与患者が達成した(6
1%対17%、正の治療法の差の確率(probability of positive-treatment difference
)=99.8%、95%信頼区間11.5%、56.3%)(表3)。
【0133】
【表3】
【0134】
セクキヌマブ投与患者のASAS40及びASAS5/6反応は、それぞれ30%及び
35%であり、平均(範囲)BASDAI変化は、-1.8(-5.6~0.8)であっ
た。ASAS20反応者の大多数において、セクキヌマブは、治療の1週間以内に反応を
誘発した。ASAS反応率は、6週目における主要なエンドポイントで最大であり、その
後、28週目における試験の終了まで低下した。これは、この概念実証試験に選択された
、1及び22日目に行われる10mg/kg IVIVの2回のみの投与の予備的投与レ
ジメンと一致していた。サブグループの事後解析で、TNFアルファアンタゴニスト前曝
露患者(3/10;30%)と比較してTNFアルファアンタゴニストの投薬を受けたこ
とがない(TNFの投薬を受けたことがない)患者(11/13;85%)について優れ
た反応率が示された。薬物動態プロファイルは、他の適応症で投与されたセクキヌマブと
同等であった。
【0135】
セクキヌマブが6週目にプラセボより有意により高いASAS20反応を誘発したので
、本試験の主要なエンドポイントは満たされた。早期の安全性シグナルは、この試験集団
において認められなかった。
【0136】
実施例1.3-セクキヌマブは磁気共鳴画像化により検出されるように6週目という早
期にASを有する患者における脊椎炎症を低減する
磁気共鳴画像化(MRI)は、ASにおける脊椎炎症の評価の基準となるものと考えら
れる。したがって、我々はセクキヌマブの2回の注入(10mg/kg IV)の後に認
められた臨床的効果がMRIで認められた骨髄浮腫の低減と一致するかどうかを判定した
。ベースライン(BL)、6週目及び28週目にT1及びショートタウ反転回復(STI
R)シーケンスを含む脊椎の矢状MRIを実施した。画像は、AS脊椎MRI(ASsp
iMRI-a)採点システムの「Berlin修正」を用いて、治療割付け及び画像の時
間的順序を知らされていなかった、独立読像者によって解析された。各治療アームにおけ
るベースラインとフォローアップとの間の変化は、ウィルコクソンの符号付き順位検定に
より評価した。
【0137】
27例の患者(22例セクキヌマブ;プラセボ投与の5例)は、ベースラインにおいて
評価可能なMRI画像を有していた。少数の患者(6週目:2例セクキヌマブ、3例プラ
セボ;28週目:6例セクキヌマブ、1例プラセボ)は、主として早期の中止のため、フ
ォローアップMRIが欠落していた。ベースラインにおけるMRIスコア並びに6週目及
び28週目における変化を表4に示す。MRIスコアの改善が6週目という早期に認めら
れ、28週目まで持続した。6週目における早期の改善は、より高いベースラインスコア
を有する患者に特に認められた。プラセボ投与患者ではわずかな変化が認められたにすぎ
なかった。
【0138】
【表4】
【0139】
活動性ASを有する患者におけるこの探索的試験の結果から、セクキヌマブの2回の注
入のみによる治療後に、MRIにより検出される脊椎炎症の実質的な低減が起こったこと
が示唆される。MRIの変化は、治療の開始の6週間後という早期に認められ、28週目
まで維持された。結果は、TNF遮断薬を用いた以前のAS試験で得られたMRI所見と
一致している。これらの結果は、セクキヌマブが活動性ASを有する患者に対する可能な
治療であり得るということを裏付けるものである。
【実施例2】
【0140】
第III相臨床試験CAIN457F2305(MEASURE1)
MEASURE1(NCT01358175)は、強直性脊椎炎(AS)を有する被験
者における、ヒト抗インターロイキン17Aモノクローナル抗体である、セクキヌマブの
有効性及び安全性を実証した無作為化二重盲検プラセボ(PBO)対照試験である。
【0141】
実施例2.1-CAIN457F2305結果
ここで、我々の目的は、複数のエンドポイントに基づいてセクキヌマブの静脈内負荷及
び皮下維持投与の有効性を評価することである。
【0142】
活動性ASを有する371例の成人を静脈内(IV)セクキヌマブ10mg/kg(0
、2、4週目)とそれに続く4週ごとの皮下(SC)セクキヌマブ75mg(IV→75
SC)、IVセクキヌマブ10mg/kg(0、2、4週目)とそれに続く4週ごとのS
Cセクキヌマブ150mg(IV→150SC)、又は同じIV及びSCスケジュールで
のプラセボ(PBO)の投与を受けるように無作為化した。PBO被験者は、16週目に
おける国際脊椎関節炎評価学会(ASAS)20反応の評価に基づいてセクキヌマブ75
mg又は150mg SCに再び無作為化し、非反応者は16週目に、反応者は24週目
に切り替えた。疾患活動性(徴候及び症状)の尺度には、強直性脊椎炎疾患活動性スコア
(ASDAS)-C反応性タンパク質(ASDAS-CRP)、ASDAS-赤血球沈降
速度(ASDAS-ESR)及びBath強直性脊椎炎疾患活動性指数(BASDAI)
を含めた。ASAS反応基準の個々の構成要素(ASAS20、ASAS40、ASAS
5/6及びASAS部分寛解率を決定するために用いた)に対するセクキヌマブの効果を
以下の形によっても報告する:視覚アナログスケール(VAS)、Bath強直性脊椎炎
機能指数(BASFI)両方に基づく、患者の疾患活動性の総合評価及び炎症性背痛、並
びにBASDAI質問5及び6に基づく脊椎炎症。
【0143】
主要なエンドポイントは、MEASURE1における両セクキヌマブ群により満たされ
た。MEASURE1において、16週目におけるASAS20反応率は、セクキヌマブ
IV→150mgで60.8%、セクキヌマブIV→75mgで59.7%、プラセボで
28.7%であった(対プラセボの両方の比較についてP<0.001)(表5)。さら
にすべてのあらかじめ定められた副次的エンドポイントは、MEASURE1における両
セクキヌマブ群により満たされた(表5)。16週目におけるASAS40反応率は、セ
クキヌマブIV→150mg、セクキヌマブIV→75mg及びプラセボ群でそれぞれ4
1.6%、33.1%及び13.1%であった(対プラセボの両方の比較についてP<0
.001)(表5)。セクキヌマブで治療した患者における改善は、52週目まで持続し
た。
【0144】
【表5】
【0145】
実施例2.2-16及び52週目におけるCAIN457F2305画像化
ここで、我々の目的は、MEASURE1試験において磁気共鳴画像化(MRI)を用
いて16及び52週目における仙腸(SI)関節及び脊椎における炎症の客観的徴候に対
するセクキヌマブの効果を検討することである。
【0146】
非ステロイド抗炎症薬(NSAID)による最大耐容療法にもかかわらず、活動性AS
を有する371例の成人をセクキヌマブ又はプラセボ:IVセクキヌマブ10mg/kg
(0、2、4週目)とそれに続く4週ごとのSCセクキヌマブ75mg(IV→75SC
);4週ごとのSCSCセクキヌマブ150mg(IV→150SC);又は同じスケジ
ュールでのPBOに無作為化した。SI関節及び脊椎のMRIは、腫瘍壊死因子を標的と
する療法への事前の曝露を有さない(抗TNF投薬を受けたことがない)105例の被験
者のサブセットにおいて実施した。評価は、ベースライン、16、52及び104週目に
完了した。MRI変数は、Berlin SI関節総浮腫スコア、脊椎活動性のMRIス
コア(ASspi-MRI-a)及びBerlin脊椎スコア(ASspi-MRI-a
結果から得られる)により評価した。治療法及び来院に対して盲検化された、2人の経験
を積んだ読像者がすべてのMRIを評価し、それらの平均スコアが最終解析に用いられた
【0147】
平均ベースラインASspi-MRI-a及びBerlin脊椎スコアは、セクキヌマ
ブIV→150SC群においてIV→75SC及びプラセボ群より低かった(表6)。1
6週目において、プラセボと比べてセクキヌマブによるBerlin SI関節総浮腫ス
コアの改善が示された(ベースラインからの平均変化:セクキヌマブIV→150SC及
びIV→75SC対プラセボ群においてそれぞれ-1.30及び-1.05対-0.17
;P<0.01)(表6、図2A)。両セクキヌマブ用量は、プラセボと対比してASs
pi-MRI-a及びBerlin脊椎スコアのベースラインからのより大きい百分率の
改善ももたらした(表6、図2B)。セクキヌマブによるすべてのMRI測定の改善が5
2週目まで持続した(表7)。
【0148】
【表6】
【0149】
【表7】
【0150】
MRI測定により、セクキヌマブが活動性ASを有する被験者における脊椎炎症の早期
の低減をもたらし、改善は、52週間の治療を通して持続したことが示されている。16
及び24週目にプラセボから月1回のSCセクキヌマブに切り替えられた被験者は、52
週目におけるBerlin SI関節総浮腫スコア(図3A)及びBerlin脊椎スコ
ア(図3B)のそれぞれの16週目スコアからの改善を示した。
【0151】
実施例2.3-104週目におけるCAIN457F2305画像解析
頚、胸及び腰椎のX線は、ベースライン及び104週目に実施した。最初に無作為化さ
れたセクキヌマブ投与群及びセクキヌマブ治療に切り替えられたプラセボ患者のmSAS
SS及びRASSSスコア並びにベースラインからの変化の要約を表8に示すが、mSA
SSS及びRASSSスコアの増加は、構造的進行の悪化を示す。ベースライン及び10
4週目の両方における対X線データを有する患者のみを解析した。これらの解析における
プラセボ-セクキヌマブ群は、セクキヌマブに再無作為化されたプラセボ非反応者及び反
応者の両方をプールしたものであった。
【0152】
試験開始時にセクキヌマブに無作為化された患者の全集団において、104週目におけ
るmSASSSのベースラインからの平均変化は、IV→150mg群で0.30、IV
→75mg群で0.31であった。ベースラインからの同様の変化が抗TNF-αの投薬
を受けたことがない患者に認められた(IV→150mgで0.37、IV→75mgで
0.36)が、TNF-IR患者ではより低かった(それぞれ、0.14及び0.13)
。104週目におけるRASSSのベースラインからの変化は、104週目mSASSS
データと一致した結果を示した。
【0153】
16週目(非反応者)又は24週目(反応者)にセクキヌマブSC投与に切り替えられ
、したがって、セクキヌマブへの4~6カ月少ない曝露を有し、iv負荷レジメンを受け
なかったプラセボ患者については、試験開始からセクキヌマブによる治療を受けた患者と
比べてmSASSSのベースラインからのわずかにより大きい増加があった(プラセボ→
150mgで0.44、プラセボ→75mgで0.64)。このパターンは、抗TNF-
αの投薬を受けたことがない患者及びTNF-IR患者の両方において認められた。mS
ASSSの場合と同様の結果が2年目におけるベースラインからのRASSSの変化につ
いて認められた。
【0154】
【表8】
【0155】
X線写真上の進行の確率プロットを作成した(データは示さず)。IV→150mg及
びIV→75mg群における患者の約80%は、セクキヌマブによる2年の治療期間にわ
たるmSASSS及びRASSSスコアによるX線写真上の進行(ベースラインからの変
化≦0)を示さなかった。これらの高い率は、IV→150mg及びIV→75mg投与
群におけるTNF-IR患者及び抗TNF-αの投薬を受けたことがない患者の両方にお
いて認められた。非進行の同様に高い率は、IV負荷レジメンを用いないプラセボ→15
0mg SC又はプラセボ→75mg SCにおいても認められた。
【実施例3】
【0156】
第III相臨床試験CAIN457F2310(MEASURE2)
MEASURE2(NCT01649375)は、ヒト抗IL-17Aモノクローナル
抗体セクキヌマブの皮下(SC)投与が16週間の療法により強直性脊椎炎(AS)の徴
候及び症状を急速に低減することを以前に示した、無作為化二重盲検プラセボ(PBO)
対照第3相試験である。
【0157】
実施例3.1-CAIN457F2310結果
ここで、我々の目的は、MEASURE2に登録された被験者におけるSCセクキヌマ
ブの長期の有効性及び安全性を検討することである。非ステロイド抗炎症薬(NSAID
)による最大耐容療法にもかかわらず、活動性ASを有する219例の成人をベースライ
ン時、1、2、3及び4週目に、その後は4週ごとにSCセクキヌマブ150mg、75
mg又はPBOの投与を受けるように無作為化した。16週目に、PBO群における被験
者を4週ごとのセクキヌマブ150mg又は75mgに再無作為化した。主要なエンドポ
イントは、16週目に国際脊椎関節炎評価学会(ASAS)20反応を達成する被験者の
割合であった。副次的エンドポイントには、ASAS40、高感受性C反応性タンパク質
(hsCRP)、ASAS5/6、Bath強直性脊椎炎疾患活動性(BASDAI)、
簡易型36項目身体的側面サマリー(SF-36 PCS)、強直性脊椎炎生活の質(A
SQoL)及びASAS部分寛解を含めた。16週目における統計解析では、検定の多重
性について調整するためのあらかじめ規定された階層的仮説検定戦略に従って、非反応者
帰属(二値変数)及び混合効果反復測定モデル(連続変数)を用いた。52週目データは
、観察された通りに示す。
【0158】
181例の患者(82.6%)が52週間の治療を完了した。16週目のASAS20
反応率は、セクキヌマブ150mgで61.1%であったのに対してPBOで28.4%
(P=0.0001)であった(表9)。セクキヌマブ150mgは、PBOと比較して
、16週目におけるhsCRP、ASAS40、ASAS5/6、BASDAI、SF-
36 PCS及びASQoLも有意に改善した。セクキヌマブ75mgによる臨床的反応
は、階層的検定に基づきあらかじめ規定されたエンドポイントのいずれについても統計的
有意性に達しなかった。セクキヌマブ150mgによる改善は、52週目まで持続し、セ
クキヌマブ150mgによるASAS20/40反応率は、52週目に73.8%/57
.4%であった(観察データ)。全治療期間(平均セクキヌマブ曝露:425.8日;平
均PBO曝露:107.6日)にわたって、曝露調整有害事象(AE)率は、セクキヌマ
ブ150mg、75mg及びPBO投与被験者においてそれぞれ100患者年当たり21
4.1、211.7及び443.2であった。
【0159】
【表9】
【0160】
セクキヌマブ150mg SCは、ASを有する被験者における疾患の徴候及び症状を
速やかに改善し、炎症を低減し、身体機能及び健康関連生活の質を改善した。恩恵は、5
2週間の治療を通して持続した。セクキヌマブは、忍容性が良好であり、安全性所見は、
以前の報告と一致していた。
【0161】
実施例3.3-CAIN457F2310における抗TNFアルファ状態別の有効性デ
ータ
実施例3.2において、我々の目的は、MEASURE2試験における16及び52週
目における抗TNF反応状態別のセクキヌマブの有効性及び安全性を評価することである
【0162】
活動性ASを有する219例の成人をベースライン、1、2、3及び4週目に、その後
、4週ごとに皮下(SCSC)セクキヌマブ(150又は75mg)又はPBOの投与を
受けるように無作為化した。無作為化は、事前の抗TNF反応状態:抗TNFの投薬を受
けたことがない又は1つを超える抗TNF生物製剤に対して不十分反応若しくは不耐性(
抗TNF-IR)に従って層別化した。16週目に、PBO投与被験者をセクキヌマブ1
50又は75mgに再無作為化した。主要及び副次的エンドポイントのあらかじめ計画さ
れたサブグループ解析を抗TNFの投薬を受けたことがない及び抗TNF-IR被験者に
おいて行い、国際脊椎関節炎評価学会(ASAS)20反応(主要エンドポイント)、A
SAS40、高感受性C反応性タンパク質(hsCRP)、ASAS5/6、Bath強
直性脊椎炎疾患活動性指数(BASDAI)、簡易型36項目身体的側面サマリー(SF
-36 PCS)、強直性脊椎炎生活の質(ASQoL)及びASAS部分寛解を達成す
る被験者の割合を含めた。16週目における解析で非反応者帰属(二値変数)及び混合効
果反復測定モデル(連続変数)を用いた。52週目データは、観察された通りに示した。
【0163】
登録された被験者の62%が抗TNFの投薬を受けたことがなく、38%が抗TNF-
IRであった。16週目にセクキヌマブ150mg(75mgを除く)は、抗TNFの投
薬を受けたことがない(それぞれ、68.2%対31.1%;P<0.001)及び抗T
NF-IR(50.0%対24.1%;P<0.05)の両方においてPBOと比較して
ASAS20反応率を改善した。セクキヌマブ150mgによる改善は、抗TNFの投薬
を受けたことがない被験者におけるASAS部分寛解を除く、すべての副次的エンドポイ
ントについて、抗TNF-IR被験者におけるほとんどの副次的エンドポイントについて
認められた(表10)。セクキヌマブ75mgの結果は、一般的にセクキヌマブ150m
gより低く、16週目のASAS20反応率についてプラセボとの差異を示さなかった。
セクキヌマブに対する臨床的反応は、抗TNFの投薬を受けたことがない及び抗TNF-
IR被験者の両方において52週目まで持続又は継続した(表10)。
【0164】
【表10】
【0165】
セクキヌマブ150mg SCSCは、抗TNFの投薬を受けたことがない及び抗TN
F-IR被験者の両方におけるASの疾患の徴候及び症状を改善し、炎症を低減し、身体
機能及び健康関連QoLを改善した。
【実施例4】
【0166】
nr-axSpAの治療におけるセクキヌマブとTNFアルファ阻害薬との比較
X線体軸性脊椎炎(AS)患者において、セクキヌマブは、TNFアルファ阻害薬と同
等の有効性を示した。RTI health solutionsによって実施されたセ
クキヌマブ150mg SC及びすべての承認済みTNFアルファ阻害薬間のASにおけ
る臨床試験からのデータを比較するネットワークメタ解析において、ペアワイズ比較を用
いた場合に有効性エンドポイント(ASAS20、ASAS40、BASDAI50、A
SAS PR、ASAS5/6、BASFIベースラインからの変化)について有意な差
は認められなかった(データは示さず)。
【0167】
TNFアルファ阻害薬を用いた試験で、治療に対する反応が活動性X線ASを有する患
者と活動性nr-axSpAを有する患者とで非常に類似していることが示された。具体
的には、セルトリズマブぺゴール(Cimzia(登録商標))のRAPID-axSp
A試験において、AS及びnr-axSpAを有する患者の両方が登録された(Landewe
R et al. (2014) Ann Rheum Dis 2014;73:39-47)。nr-axSpAを有する患者の選
択基準は、実施例5で概略を示したnr-axSpA CAIN457H2315におけ
るセクキヌマブ試験の選択基準と非常に類似しており、BASDAI≧4、脊椎疼痛≧4
並びにCRP>ULN及び/又はSJI MRIによって定義される活動性疾患を含んで
いた。さらに、患者は、NSAIDに対する不十分な反応又は不耐性を有さなければなら
なかった。
【0168】
RAPID-axSpA試験において、主要なエンドポイントASAS20は、AS患
者の56.9%(CZP200mg Q2W)~64.3%(CZP400mg Q4W
)により、nr-axSpA患者の58.7%(CZP200mg Q2W)~62.7
%(CZP400mg Q4W)により達成された。副次的エンドポイントASAS40
反応は、AS患者の40.0%(CZP200mg Q2W)~50.0%(CZP40
0mg Q4W)により、nr-axSpA患者の47.1%(CZP400mg Q4
W)~47.8%(CZP200mg Q2W)により達成された。首尾一貫して、AS
AS PR、ASAS5/6及びBASDAIベースラインからの平均変化を含む他のエ
ンドポイントについてもAS及びnr-axSpA患者の両方におけるセルトリズマブぺ
ゴールの非常に類似した有効性が認められた。
【0169】
RAPID-axSpA試験におけるnr-axSpA及びAS患者の直接的比較に加
えて、アダリムマブのnr-axSpA及びAS患者における有効性の間の間接的比較に
よっても両患者群における非常に類似した反応率が示されている。ここで、ASAS20
反応は、AS患者の58.2%により(van der Heijde et al (2006) Arthritis Rheum
2006;54(7):2136-46)、及びnr-axSpA患者の51.6%により(Sieper et al (
2013) Ann Rheum Dis 2013;72:815-822)達成された。首尾一貫して、ASAS40は、
AS患者の39.9%により(van der Heijde et al (2006) Arthritis Rheum 2006;54(
7):2136-46)、及びnr-axSpA患者の36.3%により(Sieper et al (2013) An
n Rheum Dis 2013;72:815-822)達成された。
【0170】
nr-axSpA及びAS患者におけるTNFアルファ阻害薬に対する非常に類似し
た反応率、並びにASを有する患者におけるセクキヌマブ及びTNFアルファ阻害薬の非
常に類似した有効性についての上記の証拠に基づいて、セクキヌマブがnr-axSpA
を有する患者の治療に有効であることが予期される。
【実施例5】
【0171】
臨床試験CAIN457H2315
実施例5.1:目的及び試験目的
本試験の目的は、16週目並びに52週目におけるnr-axSpAを有する患者にお
けるプラセボと比較したセクキヌマブの臨床的有効性、安全性及び忍容性を実証すること
である。さらに、MRIにより証明される構造的変化の1年進行を52週目に評価する。
本試験では104週目までのMRI及びX線結果に基づくセクキヌマブの長期の有効性、
安全性、忍容性並びに炎症及び構造的進行のX線写真上の相関物の発生も観察するものと
する。主目的は、ASAS40反応(国際脊椎関節炎評価学会基準)を達成する被験者の
割合の16週目(EMA向け)又は52週目(FDA向け)におけるプラセボに対するセ
クキヌマブ150mg SCの優位性を示すことである。副次的目的は、16週目及び5
2週目におけるセクキヌマブ150mg SCの有効性が以下に基づいてプラセボよりも
優れていることを示すことを含む:ASAS5/6反応基準を満たす患者の割合、総Ba
th強直性脊椎炎疾患活動性指数(BASDAI)のベースラインからの変化、BASD
AI50を達成する被験者の割合、簡易型36項目身体的側面サマリー(SF-36 P
CS)のベースラインからの変化、ASAS20反応を達成する被験者の割合、総Bat
h強直性脊椎炎機能指数(BASFI)のベースラインからの変化、MRI上のSI関節
浮腫のスクリーニングからの変化、ASAS部分寛解を達成する患者の割合、強直性脊椎
炎疾患活動性スコア(ASDAS)-ASDAS<1.3により定義されるC反応性タン
パク質(CRP)不活性疾患を達成する患者の割合、及び16週目にASAS40反応を
達成する被験者の割合。
【0172】
実施例5.2:試験デザイン
試験H2315は、無作為化二重盲検プラセボ対照試験である。約555例の患者を以
下の3つの治療群の1つ(1:1:1の比のSC負荷を用いるセクキヌマブ150mg、
SC負荷を用いないセクキヌマブ150mg又はプラセボ)に無作為化する。
群1(セクキヌマブ150mg負荷):BSL、1、2及び3週目、その後、4週目に
開始して4週ごとの投与の、セクキヌマブ150mg(1mL、150mg/mL)SC
充填済み注射器(PFS);
群2(セクキヌマブ150mg無負荷):BSLにおけるセクキヌマブ150mg(1
mL、150mg/mL)SC PFS、1、2及び3週目におけるプラセボ、その後、
4週目に開始して4週ごとのセクキヌマブ150mg PFS投与;
群3(プラセボ):BSL、1、2及び3週目における、その後、4週目に開始して4
週ごとの投与の、プラセボ(1mL)SC PFS
【0173】
治験責任医師及び患者による疾患活動性の臨床的判断に基づいて、NSAID及びDM
ARDのような基本的薬剤は、16週目以降はnr-axSpAの徴候及び症状を治療す
るために変更又は加えることができる。さらに、治験責任医師及び患者による疾患活動性
の臨床的判断に基づいて繰り返して(例えば、2回又はそれ以上の連続した来院時に)不
十分反応者であると見なされる患者は、20週目以降は標準治療処置としてセクキヌマブ
150mg s.c.又は他の生物製剤の投与を受けることができる。患者は、(スクリ
ーニング時の患者のCRP及びMRI状態に基づいて)患者が属する炎症の客観的徴候の
サブグループに従って無作為化時に層別化する。登録される唯一の条件は、患者の15%
以上が炎症の客観的徴候の次の3つのサブグループ:CRP+及びMRI+、CRP+及
びMRI-、CRP-及びMRI+のいずれかに属するべきであることである。
【0174】
さらに、約30%以下のTNF-IR患者を試験に登録することが計画される。52週
目に開始して、試験の最初の52週間の期間中に盲検化試験治療(セクキヌマブ150m
g又はプラセボ)を中止した患者を除いて、すべての患者をオープンラベル方式でセクキ
ヌマブ150mg s.c.の投与を受けるように割り付ける。
【0175】
最初に無作為化された治療法の割付け(セクキヌマブ150mg又はプラセボ)は、す
べての患者が52週目の来院を完了するまで盲検化されたままとする。すべての患者が治
療期間2(52週目)を完了し、52週目データベースロックが行われた後に、施設の担
当者及び患者は、ベースラインにおける最初の無作為化治療割付けに非盲検化することが
できる。すべての患者は、試験治療を中止しない限り、100週目までオープンラベル治
療としてセクキヌマブの投与を受け続けるものとする。
【0176】
フォローアップ来院は、患者が計画通りに全試験を完了するか又は早期に中止するかに
かかわらず、すべての患者について試験治療の最後の施行の12週間後に行うものとする
【0177】
2年の試験を完了する被験者は、計画された延長試験に参加するのに適格であり得る。
本試験における投与レジメンは、ASにおける2つの第III相試験(CAIN457F
2305、CAIN457F2310)に基づいている。ASにおける第III相試験で
あるCAIN457F2305及びCAIN457F2310は、75mg及び150m
g 両SC維持投与と、静脈内投与(CAIN457F2305:BSL、2及び4週目
に2週ごとに投与される、3回の10mg/kg IV)又は皮下投与(CAIN457
F2310:BSL、1、2及び3週目に投与される75mg若しくは150mg SC
の維持投与と一致する4回の週1回のSC投与)からなる負荷レジメンの有効性を評価し
た。これらの試験のそれぞれにおける150mg投与の16週目主要エンドポイントのそ
れぞれ、ASAS20及びASAS40反応率の類似性を考慮すると、負荷投与がIV(
CAIN457F2305:ASAS20についてIV-150mgで60.8%対プラ
セボで28.7%及びASAS40についてIV-150mgで41.6%対プラセボで
13.1%)又はSC(CAIN457F2310:ASAS20について150mg
SCで61.1%対プラセボで27.0%及びASAS40について150mg SCで
36.1%対プラセボで10.8%)であるかどうかにかかわらず、150mg SCは
、臨床的及び統計的に有意な有効性をもたらすのに十分な用量であるが、より高いセクキ
ヌマブ曝露は、ASにおけるより大きい有効性をもたらすとは思われない。
【0178】
プラセボと比較した有効性について150mg SC負荷及び維持レジメンを評価する
ことに加えて、本試験では、SC負荷レジメンを用いない150mg維持投与の治療アー
ムを含めることによって有効性に対するSC負荷レジメン自体の影響も評価する。したが
って、負荷レジメン(150mg負荷)は、4週間(BSL、1、2及び3週目)にわた
る150mgの最初の週1回の投与とその後の4週目に開始される同じ用量での4週ごと
の維持投与を評価するのに対して、無負荷レジメンは、先のBSLから4週ごとに行われ
る150mgの投与を評価し、2つの実薬治療レジメンをマスクするために負荷相中に行
われるプラセボ投与を含む。両実薬治療アームと比較するプラセボ治療を覆い隠すために
、両セクキヌマブレジメンを、その投与が負荷レジメンを模擬するプラセボアームと比較
する。
【0179】
実施例5.3:選択及び除外基準
本試験への選択に適格である患者は、以下の基準のすべてを満たさなければならない。
1.患者は、理解し、治験責任医師と意思疎通し、本試験の必要事項に従うことができ
なければならず、試験評価が実施される前に書面による、署名及び日付入りのインフォー
ムドコンセントを提出しなければならない。
2.少なくとも18歳の男性又は非妊娠、非授乳女性患者
3.以下のASAS axSpA基準に従うaxSpAの診断:
a.少なくとも6カ月間の炎症性背痛;
b.45歳前の発症;及び
c.≧1つのSpAの特徴を有するMRI上の仙腸関節炎又は≧2つのSpAの特
徴を有するHLA-B-27陽性
4.以下により証明される、スクリーニング時の炎症の客観的徴候:
・仙腸関節炎症を有するMRI;及び/又は
・hsCRP>ULN(中央研究所により定義される);
5.ベースラインにおける総BASDAI≧4cm(0~10cm)により評価される
、活動性axSpA
6.ベースラインにおけるBASDAI質問#2≧4cm(0~10cm)により測定
される脊椎痛
7.ベースラインにおけるVAS≧40mm(0~100mm)により測定される総背

8.不十分な反応若しくは反応しなかったことにより、又はそれ以下の、不耐性、毒性
若しくは禁忌のため療法を中止しなければならなかった場合、患者は、無作為化の前に合
計で少なくとも4週間にわたり最高推奨用量の少なくとも2種の異なるNSAIDの投与
を受けているべきである。
9.患者のaxSpA療法の一部としてNSAID(COX-1又はCOX-2阻害薬
を含む)を定期的に服用している患者は、無作為化前に少なくとも2週間安定用量の投与
を受けることが要求される。
10.TNFα阻害薬(1つ以上)の投与を受けた患者は、無作為化の前の少なくとも
3カ月間にわたり承認済み用量で投与される以前又は現在の治療に対する不十分な反応を
経験しなければならない又は抗TNFα薬の少なくとも1回の投与に対して不耐性であっ

11.TNFα阻害薬の投与を以前に受けた患者は、無作為化の前の適切なウォッシュ
アウト期間の後に試験への参加を許容される
12.MTX(≦25mg/週)又はスルファサラジン(≦3g/日)を服用している
患者は、それらの薬物療法を継続することが許容され、それを少なくとも3カ月間服用し
、無作為化の前に少なくとも4週間にわたり安定用量での投与を受けなければならない
13.MTXの投与を受けている患者は、無作為化の前に安定な葉酸の補給を受けなけ
ればならない
14.MTX又はスルファサラジン以外のDMARDの投与を受けている患者は、コレ
スチラミンウォッシュアウトが実施されない限り、無作為化の前の8週間中止しなければ
ならない、レフルノミドを除いて、無作為化の前の4週間DMARDを中止しなければな
らない
15.全身コルチコステロイドを服用している患者は、無作為化の前の少なくとも2週
間≦10mg/日の安定用量のプレドニゾン又は同等品の投与を受けなければならない
【0180】
以下の除外基準のいずれかを満たす患者は、本試験における参加に適格でない。試験集
団がすべての適格患者を代表することを保証するために、さらなる除外は、治験責任医師
により適用することができない。
1.中央読像者により評価される両側グレード≧2又は一側グレード≧3(ASの修正
ニューヨーク診断基準に準じた放射線学的基準)の仙腸関節炎のX線写真上の証拠を有す
る患者
2.MRIを受けることが不可能又は不本意(例えば、ペースメーカー、動脈瘤クリッ
プ又は金属片/眼内異物、MRI適合性でない皮膚又は身体を有する患者)
3.スクリーニングの3カ月以内に得られ、有資格医師により評価された、進行中の感
染又は悪性経過の証拠を有する胸部X線又はMRI
4.高力価のオピオイド鎮痛薬(例えば、メタドン、ヒドロモルフォンモルヒネ)を服
用している患者
5.セクキヌマブ又はIL-17若しくはIL-17受容体を直接的に標的とする他の
生物製剤への事前の曝露
6.無作為化の4週間以内又は治験薬の5半減期の期間のいずれかより長い期間内の治
験薬及び/又は装置の使用
7.被験薬又はその賦形剤又は類似の化学クラスの薬物に対する過敏症の病歴
8.無作為化前の4週間以内の関節内注射(例えば、コルチコステロイド)による療法
9.無作為化前の2週間以内の筋肉内コルチコステロイド注射
10.TNFαを標的とするものを除く、生物学的免疫調節剤による治療を以前に受け
た患者
11.複数の抗TNFα薬を服用した患者
12.抗CD20又は治験薬(例えば、CAMPATH、抗CD4、抗CD5、抗CD
3、抗CD19)を含むが、これらに限定されない細胞枯渇療法による事前の治療
13.妊娠又は授乳(授乳中)女性、ここで、妊娠は、陽性ヒト絨毛性ゴナドトロピン
(hCG)臨床検査により確認された、受胎後及び妊娠の終了までの女性の状態と定義さ
れる
14.女性が全試験期間中又は現地で承認済みの処方情報により要求される場合にはよ
り長い期間中(例えば、EUにおいて20週間)に有効な避妊方法を用いていない限り、
生理学的に妊娠する能力があるすべての女性と定義される、妊娠の可能性のある女性
15.炎症性腸疾患又はぶどう膜炎を含む、セクキヌマブ療法の恩恵の評価を混乱させ
得るaxSpA以外の活動性進行性の炎症性疾患
16.治験責任医師の見解では患者を免疫不全にする及び/又は患者を免疫調節療法へ
の参加の容認できないリスクに陥らせる、基礎代謝、血液学的、腎、肝、肺、神経、内分
泌、心臓、感染又は消化管状態
17.以下を含むが、それらに限定されない、重大な医学的問題又は疾患:制御されて
いない高血圧(≧160/95mmHg)、うっ血性心不全[クラスIII又はIVのニ
ューヨーク心臓協会状態]、制御されていない糖尿病又は身の回りのことを行うことが不
可能な非常に不良な機能状態
18.SGOT(AST)、SGPT(ALT)、アルカリホスファターゼ又は血清ビ
リルビンなどの異常な肝機能検査により示される臨床的に有意な肝疾患又は肝損傷の病歴
。治験責任医師は、以下の基準を指針とすべきである:
・単一パラメーターは、2×正常上限(ULN)を超えてはならない。2×ULNまで
及び含む単一パラメーターの上昇は、できる限り速やかにもう一度再確認し、すべての場
合に、少なくとも登録/無作為化の前に、臨床検査の過誤を排除すること。
・総ビリルビン濃度が2×ULN以上に上昇した場合、総ビリルビンを直接及び間接反
応性ビリルビンに差別化すべきである。
19.腎外傷、糸球体腎炎の病歴、又は一腎のみを有する患者、又は1.5mg/dL
(132.6μmol/L)を超える血清クレアチニンレベル
20.スクリーニング総WBC数<3,000/μL又は血小板<100,000/μ
L又は好中球1,500/μL又はヘモグロビン<8.5g/dL (85g/L)
21.無作為化の前の最後の2週間における活動性全身性感染(除外:感冒)
22.進行性、慢性若しくは再発性感染症又は陽性精製タンパク質誘導体(PPD)皮
膚検査(硬結のサイズは、48~72時間後に測定し、陽性結果は、≧5mmの硬結若し
くは現地慣例/ガイドラインに従って定義される)若しくは陽性QuantiFERON
TB-Gold検査により定義される結核感染の証拠。陽性検査を有する患者は、さら
なる精密検査(現地慣例/ガイドラインに従う)で患者が活動性結核の証拠を有さないこ
とを決定的に立証される場合、試験に参加することができる。潜在性結核の存在が立証さ
れる場合、現地の国家ガイドラインによる治療を開始しなければならなかった。
23.スクリーニング又は無作為化時のヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎又
はC型肝炎による既知の感染
24.過去5年以内のリンパ増殖性疾患の病歴又は器官系の既知の悪性腫瘍若しくは悪
性腫瘍の病歴(過去3カ月に再発の証拠のない治療された基底細胞癌腫又は日射性角化症
、除去された子宮頸部上皮内癌又は非侵襲性悪性結腸ポリープを除く)
25.臨床治験医師の判断で患者を試験に不適切にする現在の重度の進行性又は制御さ
れていない疾患
26.反復静脈穿刺を受けることが不可能又は不本意(例えば、静脈へのアクセスの不
十分な耐容性又は欠如のため)
27.PFSによる注射を受けることが不可能又は不本意
28.治験責任医師の見解では、参加者がプロトコールを遵守すること又はプロトコー
ルに従って試験を完了することを排除するような医学的又は精神医学的状態
29.投与前の8週間以内の400mL又はそれ以上の血液の供与又は喪失
30.無作為化の前の最後の6カ月間以内の進行中のアルコール又は薬物乱用の既往歴
又は証拠
31.試験期間中又は無作為化の前の6週間における生ワクチンの投与の計画
【0181】
実施例5.4:治療アーム
患者は、以下のアームにそれぞれ約185例の被験者を含む、以下の2つの治療アーム
の1つに1:1:1の比で割り付ける。
・群1:セクキヌマブ150mg負荷
・群2:セクキヌマブ150mg無負荷
・群3:プラセボ
【0182】
被験者は、BSL、1、2、3及び4週目に試験治療を、その後、100週目まで4週
ごとに治療を受ける。20週目以後に疾患活動性の臨床的判断に基づいて繰り返して(例
えば、2回又はそれ以上の連続した来院で)不十分な反応者と見なされる患者は、セクキ
ヌマブ150mg SC又は標準治療処置を受けることができる。選択される標準治療が
TNFα阻害薬である場合、12週間のウォッシュアウト期間を遵守しなければならない
【0183】
52週目のデータベースロック後は、試験治療を中止しない限り、プラセボから切り替
えられる患者について負荷レジメンを用いずに、すべての患者がセクキヌマブ150mg
SCの投与をオープンラベル方式で受ける。最初の治療割付けの盲検化は、治療期間2
がすべての患者によって完了されるまで(52週目)維持するものとする。患者は、評価
スケジュールに従って、試験施設又は自宅でのすべてのセクキヌマブ及びプラセボの投与
を自己管理するものとする。
【0184】
実施例5.5:有効性の測定
・国際脊椎関節炎評価学会基準(ASAS)
・疾患活動性の患者の総合評価(VAS)
・背痛強度の患者の評価(総背痛及び夜間背痛)(VAS)
・Bath強直性脊椎炎機能指数(BASFI)
・Bath強直性脊椎炎疾患活動性指数(BASDAI)
・BASMI(Bath強直性脊椎炎計測指数)により評価される脊椎可動性
・Maastricht強直性脊椎炎付着部炎スコア(MASES)及び拡大付着部位
・hsCRP及びESR
・ASDAS-ESR、ASDAS-CRP及びASDAS反応カテゴリー
・44-圧痛及び腫脹関節数
・EQ-5D
・ASQoL
・WPAI-GH
・SF-36(PCS及びMCS)
・FACIT-疲労
・脊椎及び仙腸関節のMRI
・修正Stoke強直性脊椎炎脊椎スコア(mSASSS)により評価される頚、胸及
び腰椎のX線
・仙腸関節のX線
【0185】
各被験者のMRIは、矢状脊椎(頚、胸及び腰)並びに両仙腸関節を含む骨盤の斜位冠 状のT1及びSTIRシーケンスを含む。X線の要求事項は、mSASSS採点のための 頚及び胸-腰椎の側面像(C2の下部1/3からT1の上部1/3まで、両端を含む)並 びにASの決定のための修正NY基準のための両仙腸関節の可視性を含む骨盤の前後像を 含む。
本願は以下の態様にも関する。
(1) IL-17抗体又はその抗原結合断片を、それを必要とする患者に投与することを含む、X線陰性体軸性脊椎関節炎(nr-axSpA)を有する患者を治療する方法であって、前記IL-17抗体又はその抗原結合断片が2つの成熟IL-17タンパク質鎖を有するIL-17ホモ二量体のエピトープに結合し、前記エピトープが1つの鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129及び他の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含み、前記IL-17抗体又はその抗原結合断片が約100~200pMのKDを有し、前記IL-17抗体又はその抗原結合断片が約4週間のin vivo半減期を有する方法。
(2) IL-17抗体又はその抗原結合断片を、それを必要とする患者に投与することを含む、nr-axSpAを有する患者における構造的損傷の進行を阻害する方法であって、前記IL-17抗体又はその抗原結合断片が2つの成熟IL-17タンパク質鎖を有するIL-17ホモ二量体のエピトープに結合し、前記エピトープが1つの鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129及び他の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含み、前記IL-17抗体又はその抗原結合断片が約100~200pMのKDを有し、前記IL-17抗体又はその抗原結合断片が約4週間のin vivo半減期を有する方法。
(3) 前記患者が中等度から重度のnr-axSpAを有する、上記(1)又は(2)に記載の方法。
(4) 前記患者が重度のnr-axSpAを有する、上記(1)から(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 前記患者が活動性nr-axSpAを有する、上記(1)から(4)のいずれかに記載の方法。
(6) 前記患者がベースラインにおける総BASDAI≧4cm(0~10cm)により評価される活動性nr-axSpA、ベースラインにおけるBASDAI質問番号2≧4cm(0~10cm)により測定される脊椎疼痛、及びベースラインにおけるVAS≧40mm(0~100mm)により測定される総背痛を有する、上記(5)に記載の方法。
(7) 前記患者がASAS axSpA基準に従うnr-axSpAを有する、上記(1)から(6)のいずれかに記載の方法。
(8) a)前記IL-17抗体又はその抗原結合断片による治療の前に、前記患者が少なくとも3カ月間、好ましくは少なくとも6カ月間炎症性背痛を有し、
b)a)の炎症性背痛の発症が患者が45歳であった前に起こり、且つ
c)前記患者が仙腸関節(SIJ)炎症のMRI証拠を有し、少なくとも1つのSpAの特徴を有する又は前記患者がHLA-B27陽性であり、少なくとも2つのSpAの特徴を有する、
上記(7)に記載の方法。
(9) 前記患者がC反応性タンパク質(CRP)の上昇及び/又はSIJ炎症の磁気共鳴画像化(MRI)証拠により示される炎症の客観的徴候を有する、上記(1)から(8)のいずれかに記載の方法。
(10) 前記患者がBerlin SIJ採点法に従って判定されたSIJ炎症のMRI証拠により示される炎症の客観的徴候を有する、上記(1)から(9)のいずれかに記載の方法。
(11) 前記患者が脊椎の炎症のMRI証拠により示される炎症の客観的徴候を有する、上記(1)から(10)のいずれかに記載の方法。
(12) 前記患者が総BASDAI≧4cmにより評価される活動性nr-axSpAを有する、上記(5)に記載の方法。
(13) 前記患者が強直性脊椎炎の修正ニューヨーク診断基準に準じた放射線学的基準を満たさない、上記(1)から(12)のいずれかに記載の方法。
(14) 前記患者が非ステロイド抗炎症薬(NSAID)による治療に対して以前に反応しなかった又は不十分な反応を有していた、上記(1)から(13)のいずれかに記載の方法。
(15) 前記患者がTNFアルファ阻害薬による治療に対して以前に反応しなかった又は不十分な反応を有していた(TNF-IR)、上記(1)から(14)のいずれかに記載の方法。
(16) 前記患者がTNFアルファ阻害薬による治療を以前に受けなかった(TNFの投薬を受けたことがない)、上記(1)から(15)のいずれかに記載の方法。
(17) シクロスポリン、ヒドロキシクロロキン、メトトレキセート、NSAID、スルファサラジン、レフルノミド、プレドニゾロン、プロドニゾン又はメチルプレドニゾロンを患者に投与することをさらに含む、上記(1)から(16)のいずれかに記載の方法。
(18) 約75mg~約300mgのIL-17抗体又はその抗原結合断片を0、1、2及び3週目に皮下注射により患者に投与し、その後、4週目に開始して月1回投与することを含む、上記(1)から(17)のいずれかに記載の方法。
(19) 150mgのIL-17抗体又はその抗原結合断片を0、1、2及び3週目に皮下注射により患者に投与し、その後、4週目に開始して月1回投与することを含む、上記(18)に記載の方法。
(20) 約75mg~約300mgのIL-17抗体又はその抗原結合断片を皮下注射により患者に月1回投与することを含む、上記(1)から(17)のいずれかに記載の方法。
(21) 約150mgのIL-17抗体又はその抗原結合断片を皮下注射により患者に月1回投与することを含む、上記(21)に記載の方法。
(22) IL-17抗体又はその抗原結合断片が、
i)配列番号8として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)、
ii)配列番号10として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)、
iii)配列番号8として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメイン及び配列番号10として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメイン、
iv)配列番号1、配列番号2及び配列番号3として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVHドメイン、
v)配列番号4、配列番号5及び配列番号6として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVLドメイン、
vi)配列番号11、配列番号12及び配列番号13として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVHドメイン、
vii)配列番号1、配列番号2及び配列番号3として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVHドメイン並びに配列番号4、配列番号5及び配列番号6として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVLドメイン、
viii)配列番号11、配列番号12及び配列番号13として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVHドメイン並びに配列番号4、配列番号5及び配列番号6として示される超可変領域を含む免疫グロブリンVLドメイン、
ix)配列番号14として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖、
x)配列番号15として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖、又は
xi)配列番号14として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖及び配列番号15として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖を含む、上記(1)から(21)のいずれかに記載の方法。
(23) IL-17抗体又はその抗原結合断片がセクキヌマブである、上記(22)に記載の方法。
(24) 約150mgのセクキヌマブを0、1、2及び3週目に皮下注射により患者に投与し、その後、4週目に開始して月1回投与することを含む、強直性脊椎炎のX線写真上の証拠を有さないが、CRP及び/又はMRIにより示される炎症の客観的徴候を有する、重度の活動性体軸性脊椎関節炎(axSpA)を有する患者を治療する方法。
(25) 約150mgのセクキヌマブを0、1、2及び3週目に皮下注射により患者に投与し、その後、4週目に開始して月1回投与することを含む、CRPの上昇及び/又はMRIにより示される炎症の客観的徴候を有し、NSAID治療に対して不十分な反応を有していた、重度のaxSpAを有する患者を治療する方法。
(26) 約150mgのセクキヌマブを0、1、2及び3週目に皮下注射により患者に投与し、その後、4週目に開始して月1回投与することを含む、ASのX線写真上の証拠を有さないが、CRPの上昇及び/又はMRIによる炎症の客観的徴候を有し、NSAID治療に対して不十分な反応を有していた、又は不耐性であった、重度のaxSpAを有する患者を治療する方法。
(27) 約150mgのセクキヌマブを0、1、2及び3週目に皮下注射により患者に投与し、その後、4週目に開始して月1回投与することを含む、ASのX線写真上の証拠を有さないが、CRPの上昇及び/又はMRIによる炎症の客観的徴候を有し、TNFアルファ阻害薬による治療に対して以前に反応しなかった、又は不十分な反応を有していた、重度のaxSpAを有する患者を治療する方法。
(28) 約150mgのセクキヌマブを0、1、2及び3週目に皮下注射により患者に投与し、その後、4週目に開始して月1回投与することを含む、ASのX線写真上の証拠を有さないが、CRPの上昇及び/又はMRIによる炎症の客観的徴候を有し、TNFアルファアンタゴニストによる治療を以前に受けなかった、重度のaxSpAを有する患者を治療する方法。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
【配列表】
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