(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】患者インターフェース
(51)【国際特許分類】
A61M 16/06 20060101AFI20231121BHJP
【FI】
A61M16/06 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021074885
(22)【出願日】2021-04-27
(62)【分割の表示】P 2018502694の分割
【原出願日】2016-07-21
【審査請求日】2021-05-25
(32)【優先日】2015-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500046450
【氏名又は名称】レスメド・プロプライエタリー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ミヒール・コーイ
(72)【発明者】
【氏名】ルパート・クリスチャン・シェイナー
(72)【発明者】
【氏名】アニー・ユ
(72)【発明者】
【氏名】ツ-チン・ユ
(72)【発明者】
【氏名】キット・ルン・イック
(72)【発明者】
【氏名】イウ・ワン・イプ
(72)【発明者】
【氏名】ジェシカ・リー・ダン
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0258136(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0190486(US,A1)
【文献】特表2014-517735(JP,A)
【文献】特表2012-511341(JP,A)
【文献】特表2014-532499(JP,A)
【文献】国際公開第2014/175753(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0067333(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の気道に通気性ガスを供給するために患者とインターフェースするように構成された呼吸マスクと、
患者の顔に前記呼吸マスクを支持するように構成されたヘッドギアアセンブリと、
を含んでなる、呼吸ガスを加圧して患者へ送達するための患者インターフェースであって、
前記ヘッドギアアセンブリは、
第1の端部および第4の端部を備えた第1の可撓性ストラップ部分と、
第1の接合部で前記第1の端部へ取り付けられるとともに前記第1の端部に対して固定されてストラップを形成する、第2の端部を備えた第2の可撓性ストラップ部分であって、前記第1の可撓性ストラップ部分および該第2の可撓性ストラップ部分が、ストラップの幅を規定する第1の長細縁部および第2の長細縁部を規定している、第2の可撓性ストラップ部分と、
前記ストラップの第2の接合部で、前記第1の可撓性ストラップ部分の第4の端部へ取り付けられるとともに前記第4の端部に対して固定される第3の端部を有する第3の可撓性ストラップ部分と、
前記第1の接合部および前記第2の接合部上に延在すると共に、前記ストラップの第1の長細縁部に沿って延在して折り畳まれている第1の被覆材料であって、前記ストラップの幅全体には延在していない第1の被覆材料と、
を含み、
前記第1の端部および前記第2の端部は、前記第1の長細縁部および前記第2の長細縁部を横切る一対の第1の短
縁を規定し、第2の被覆材料が前記
一対の第1の短
縁を被覆し、
前記第3の端部および前記第4の端部は、前記第1の長細縁部および前記第2の長細縁部を横切る一対の第2の短
縁を規定し、第3の被覆材料が前記
一対の第2の短
縁を被覆し、
前記第1の被覆材料は、前記第1の接合部および前記第2の接合部のそれぞれで、対応する前記第2の被覆材料および前記第3の被覆材料の上に延在し、
前記第1の被覆材料は、弾性材料であることを特徴とする、患者インターフェース。
【請求項2】
前記第1の可撓性ストラップ部分は、前記第2の可撓性ストラップ部分とは異なる材料特性を有していることを特徴とする、請求項
1に記載の患者インターフェース。
【請求項3】
前記第1の可撓性ストラップ部分は、前記第2の可撓性ストラップ部分よりも高い伸縮性を有するように構成されていることを特徴とする、請求項1
または2に記載の患者インターフェース。
【請求項4】
前記第1の可撓性ストラップ部分は弾性であり、前記第2の可撓性ストラップ部分は非弾性であることを特徴とする、請求項1から
3のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項5】
前記第1の可撓性ストラップ部分は、スペーサ織物を含むことを特徴とする、請求項1から
4のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項6】
前記第2の可撓性ストラップ部分は、前記第2の端部において材料の2つの層を含み、前記第1の端部は、前記2つの層の間に挿入され、前記2つの層に接続されていることを特徴とする、請求項1から
5のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項7】
前記材料の2つの層のうちの1つは、面ファスナの第1の半分を含むことを特徴とする、請求項
6に記載の患者インターフェース。
【請求項8】
前記第2の可撓性ストラップ部分は、前記第2の可撓性ストラップ部分を折り曲げて前記面ファスナの前記第1の半分を前記面ファスナの第2の半分へ取り付けることができるように構成された面ファスナの第2の半分をさらに含むことを特徴とする、請求項
7に記載の患者インターフェース。
【請求項9】
前記材料の2つの層は、前記第2の端部から離隔方向に前記第1の端部を超えて接続されていることを特徴とする、請求項
6から
8のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項10】
前記2つの層は、前記第1の端部が挿入されるY字形状を形成していることを特徴とする、請求項
9に記載の患者インターフェース。
【請求項11】
前記材料の2つの層は、接着部の層により相互に接続され、前記第1の端部へ接続されていることを特徴とする、請求項
6から
10のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項12】
前記ストラップは、交差してY字形状の外形を形成する3本の脚部を含むことを特徴とする、請求項1から
11のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項13】
前記第1の可撓性ストラップ部分は、前記第3の可撓性ストラップ部分とは異なる材料特性を有していることを特徴とする、請求項1から
12のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項14】
前記第2の可撓性ストラップ部分と前記第3の可撓性ストラップ部分は、同じ材料を含むことを特徴とする、請求項
13に記載の患者インターフェース。
【請求項15】
前記第1の可撓性ストラップ部分は、前記第3の可撓性ストラップ部分よりも多く伸びるように構成されていることを特徴とする、請求項
14に記載の患者インターフェース。
【請求項16】
前記第1の可撓性ストラップ部分は弾性があり、前記第3の可撓性ストラップ部分は非弾性であることを特徴とする、請求項
15に記載の患者インターフェース。
【請求項17】
前記呼吸マスクが鼻クレードルマスクであることを特徴とする、請求項1から
16のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項18】
前記呼吸マスクが鼻枕マスクであることを特徴とする、請求項1から
17のいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年7月24日に出願された米国仮出願第62/196,329号および2016年4月11日に出願された米国仮出願第62/321053号の恩恵を主張する。本明細書中、同文献それぞれの全体を参考のため援用する。
【0002】
本技術は、呼吸関連疾患の検出、診断、治療、回避および改善のうち1つ以上における使用に適したヘッドギアに関する。本技術はまた、医療デバイスまたは装置と、その使用とに関する。例えば、本ヘッドギアは、呼吸関連疾患の検出、診断、治療、回避および改善に特別に適合されたマスクと共に用いられ得る。
【背景技術】
【0003】
1.人の呼吸系及びその疾患
身体の呼吸系は、ガス交換を促進させる。鼻および口腔は、患者の気道への入口を形成する。
【0004】
これらの気道は、一連の分岐する管を含み、これらの管は、肺の奥深くに進むほど狭く、短くかつ多数になる。肺の主要な機能はガス交換であり、空気から酸素を静脈血中へ取り入れさせ、二酸化炭素を退出させる。気管は、右および左の主気管支に分かれ、これらの主気管支はさらに分かれて、最終的に終末細気管支となる。気管支は、伝導のための気道を構成するものであり、ガス交換には関与しない。気道がさらに分割されると呼吸細気管支となり、最終的には肺胞となる。肺の肺胞領域においてガス交換が行われ、この領域を呼吸ゾーンと呼ぶ。非特許文献1を参照されたい。
【0005】
一定範囲の呼吸疾患が存在している。特定の疾患は、特定の発症(例えば、無呼吸、呼吸低下および過呼吸)によって特徴付けられ得る。
【0006】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠呼吸障害(SDB)の1つの形態であり、睡眠時の上通気道の閉鎖または妨害などの発症によって特徴付けられる。睡眠時の異常に小さな上側気道および舌領域における筋緊張の正常欠損、軟口蓋および後中咽頭壁の組み合わせに起因する。このような状態に起因して、患者の呼吸停止が典型的には30~120秒にわたり、ときには一晩に200~300回も呼吸が停止する。その結果、日中の眠気が過度になり、心血管疾患および脳損傷の原因になり得る。この症候は一般的な疾患であり、特に中年の過体重の男性に多いが、患者に自覚症状は無い。特許文献1(Sullivan)を参照されたい。
【0007】
チェーンストークス呼吸(CSR)は、別の形態の睡眠呼吸障害である。CSRは、患者の呼吸調節器の疾患であり、CSRサイクルとして知られる換気の漸増および漸減が交互に周期的に続く。CSRは、動脈血の脱酸素および再曝気の繰り返しによって特徴付けられる。CSRは、低酸素の繰り返しに起因して有害になる可能性がある。患者によっては、CSRに関連して睡眠から何度も目覚める者もおり、不眠が深刻化し、交感神経作用が増加し、後負荷が増加する。特許文献2(Berthon-Jones)を参照されたい。
【0008】
呼吸不全とは、呼吸疾患の総称であり、患者は、代謝活性が安静時を大きく上回った場合、自身の血液中のCO2のバランスをとるために充分な換気を行うことができなくなる。呼吸不全は、以下の疾患のうちいくつかまたは全てを包含し得る。
【0009】
肥満過換気症候群(OHS)は、低換気の原因が他に明確に無い状態における、深刻な肥満および覚醒慢性高炭酸ガス血症の組み合わせとして定義される。症状を挙げると、呼吸困難、起床時の頭痛および日中の過度の眠気がある。
【0010】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、特定の共通する特性を有する下部気道疾患のグループのうちのいずれも包含する。そのような特性を挙げると気動に対する抵抗増加、呼吸の呼気相の増加、および肺の通常の弾性の喪失がある。COPDの例として、気腫および慢性気管支炎がある。COPDの原因としては、慢性喫煙(第一危険因子)、職業被ばく、空気汚染および遺伝因子がある。症状を挙げると、労作時の呼吸困難、慢性咳および痰生成がある。
【0011】
神経筋疾患(NMD)は、内在筋病理を直接介してまたは神経病理を間接的に介して筋肉機能を損なう多数の疾病および病気を包含する広範な用語である。NMD患者の中には、進行性の筋肉障害によって特徴付けられる者もあり、結果的に歩行不可能、車椅子への束縛、嚥下困難、呼吸筋肉の弱体化に繋がり、最終的には呼吸不全による死亡に繋がる。神経筋肉障害は、以下の速く進行するものとゆっくり進行するものとに区分され得る:(i)速く進行する障害:数ヶ月かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、数年内に死亡に繋がる(例えば、ティーンエージャーにおける筋萎縮性側索硬化症(ALS)およびデュシェンヌ筋ジストロフィー(DMD));(ii)不定のまたはゆっくり進行する障害:数年かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、平均余命が若干低減するだけである(例えば、肢帯、顔面肩甲上腕型および筋緊張性筋ジストロフィー)。NMDにおける呼吸不全症状を以下に挙げる:全般的衰弱の増加、嚥下障害、労作および安静時の呼吸困難、疲労、眠気、起床時の頭痛、および集中および気分の変化の困難。
【0012】
胸壁障害は、胸郭変形の1つのグループであり、呼吸筋肉と胸郭との間の連結の無効性の原因となる。これらの障害は、拘束性障害によって主に特徴付けられ、長期の炭酸過剰性呼吸不全の可能性を共有する。脊柱側湾症および/または脊柱後側弯症は、深刻な呼吸不全を引き起こし得る。呼吸不全の症状を以下に挙げる:労作時の呼吸困難、末梢浮腫、起座呼吸、胸部感染症の再発、起床時の頭痛、疲労、睡眠の質の低下、および食欲不振。
【0013】
このような状態を治療または改善するために、一定範囲の治療が用いられている。さらに、その他の点では健康な個人も、呼吸疾患の予防治療を有利に利用することができる。しかし、これらにおいては、複数の欠陥がある。
【0014】
2.治療法
経鼻的持続陽圧呼吸(CPAP)療法が、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療において用いられている。その作用機構としては、例えば軟口蓋および舌を押して後中咽頭壁へ前進または後退させることにより、経鼻的持続陽圧呼吸療法が空気スプリントとして機能し、これにより上側気道の閉鎖を回避する。CPAP治療によるOSAの治療は自発的なものであり得るため、このような患者が治療の提供に用いられるデバイスについて以下のうち1つ以上に気づいた場合、患者が治療を遵守しないことを選択する可能性がある:不快、使用困難、高価、美観的な魅力の無さ。
【0015】
非侵襲的換気(NIV)は、換気支援を上気道を通じて患者へ提供して、呼吸機能の一部または全体を行うことにより患者の呼吸の支援および/または身体中の適切な酸素レベルの維持を提供する。換気支援が、非侵襲的患者インターフェースを介して提供される。NIVは、OHS、COPD、MD、および胸壁障害などの形態のCSRおよび呼吸不全の治療に用いられている。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
【0016】
侵襲的換気(IV)は、自身で有効に呼吸することができなくなった患者に対して換気支援を提供し、気道開口チューブを用いて提供され得る。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
【0017】
3.治療システム
これらの治療は、治療システムまたはデバイスによって提供され得る。このようなシステムおよびデバイスは、症状を治療することなく診断するためにも、用いられ得る。
【0018】
治療システムは、呼吸圧力療法デバイス(RPTデバイス)、空気回路、加湿器、患者インターフェース、およびデータ管理を含み得る。
【0019】
3.1 患者インターフェース
患者インターフェースは、例えば気道入口への空気流れを提供することにより呼吸装具へのインターフェースを装着者へ提供するために、用いられ得る。空気流れは、鼻および/または口腔へのマスク、口腔への管、または患者気管への気管切開管を介して提供され得る。適用される療法に応じて、患者インターフェースは、例えば患者の顔の領域との密閉部を形成し得、これにより、療法実行のための雰囲気圧力と共に充分な分散の圧力において(例えば、例えば雰囲気圧力に対して約10cmH2Oの正の圧力において)ガス送達を促進する。酸素送達などの他の治療形態において、患者インターフェースは、約10cmH2Oの正の圧力において気道へのガス供給の送達を促進するのに充分な密閉を含まない場合がある。
【0020】
特定の他のマスクシステムは、本分野において機能的に不適切であり得る。例えば、純然たる装飾目的のマスクの場合、適切な圧力を維持することができない場合がある。水中水泳またはダイビングに用いられるマスクシステムは、外部からのより高い圧力からの水侵入から保護することと、周囲よりも高い圧力において内部の空気を維持しないこととを行うように、構成され得る。
【0021】
特定のマスクは、本技術において臨床的に好ましく無い場合があり得る(例えば、マスクが鼻を介して気流を遮断し、口を介した気流のみを通過させる場合)。
【0022】
特定のマスクにおいて、患者がマスク構造の一部を口に挿入し、唇を介して密閉状態を生成および維持しなければならない場合、本技術において不快であるかまたは非実際的である場合がある。
【0023】
特定のマスクは、睡眠時(例えば、横向きにベッドに寝て枕の上に頭を置いた状態で睡眠する場合)における使用においては非実際的である場合がある。
【0024】
患者インターフェースの設計においては、複数の課題がある。顔は、複雑な三次元形状を有する。鼻のサイズおよび形状は、個人によって大きく異なる。頭部には骨、軟骨および軟組織が含まれるため、顔の異なる領域は、機械的力に対して異なる反応を示す。すなわち、顎部または下顎は、頭蓋骨の他の骨に相対して動き得る。頭部全体は、呼吸治療期間を通じて動き得る。
【0025】
これらの課題に起因して、いくつかのマスクの場合、特に装着時間が長い場合または患者がシステムに不慣れである場合、押しつけがましい、美観的に望ましくない、コストが高い、フィット感が悪い、使用が困難、および不快感があるなどの理由のうち1つ以上がある。例えば、飛行士専用のマスク、個人用保護装具(例えば、フィルターマスク)、SCUBAマスクの一部として設計されたマスク、または麻酔投与用マスクは、その元々の用途には耐えられるものの、このようなマスクの場合、長時間(例えば、数時間)にわたって装着するには望ましくないほど不快な場合がある。このような不快感に起因して、治療に対する患者の承諾が低下する可能性がある。これは、マスクを睡眠時に装着する必要がある場合、特に当てはまる。
【0026】
CPAP治療は、患者が治療を承諾している場合、特定の呼吸疾患の治療においては極めて効果的である。マスクが不快である場合または使用が難しい場合、患者は、治療を承諾しない場合がある。患者はマスクを定期的に洗浄するよう推奨されることが多いため、マスクの清浄が難しい(例えば、組立または分解が困難である場合)、患者は、マスクを清浄することができず、患者の承諾に影響が出る場合がある。
【0027】
他の用途(例えば、飛行士)用のマスクの場合、睡眠疾患のある呼吸の治療の使用には不適である場合があるため、睡眠疾患のある呼吸の治療の使用のために設計されたマスクは、他の用途に適している場合がある。
【0028】
これらの理由のため、睡眠時のCPAP送達のための患者インターフェースは、明瞭な分野を形成する。
【0029】
3.1.1 密閉形成部分
患者インターフェースは、密閉形成部分を含み得る。患者インターフェースは、患者の顔と直接接触するため、密閉形成部分の形状および構成は、患者インターフェースの有効性および快適性に直接影響を持ち得る。
【0030】
患者インターフェースは、使用時に密閉形成部分を顔と係合させる場所の設計意図に従って、部分的に特徴付けられ得る。1つの形態の患者インターフェースにおいて、密閉形成部分は、各左鼻孔および右鼻孔と係合する2つのサブ部分を含み得る。1つの形態の患者インターフェースにおいて、密閉形成部分は、使用時において双方の鼻孔を包囲する単一の要素を含み得る。このような単一の要素は、例えば顔の上唇領域および鼻梁領域上に載置されるように、設計され得る。1つの形態の患者インターフェースにおいて、密閉形成部分は、使用時に例えば顔の下唇領域上に密閉を形成することにより口腔領域を包囲する要素を含み得る。1つの形態の患者インターフェースにおいて、密閉形成部分は、使用時に双方の鼻孔および口腔領域を包囲する単一の要素を含み得る。これらの異なる種類の患者インターフェースは、その製造業者によって鼻マスク、フルフェイスマスク、鼻枕、鼻パフおよび口鼻マスクなどの多様な名称によって公知であり得る。
【0031】
患者の顔の一領域において有効であり得る密閉形成部分は、例えば患者の顔の異なる形状、構造、変化性および感受性領域に起因して、別の領域において不適切であり得る。例えば、患者の額上に載置される水泳用ゴーグルの密閉部は、患者の鼻上における使用には不適切である場合がある。
【0032】
特定の密閉形成部分は、広範囲の異なる顔形状およびサイズに対して1つの設計が適合し、快適でありかつ有効になるように、大量製造用に設計され得る。密閉部を形成するためには、患者の顔の形状と、大量製造された患者インターフェースの密閉形成部分との間の不整合がある範囲まで、一方または双方を適合させる必要がある。
【0033】
1つの種類の密閉形成部分は、患者インターフェースの周囲を包囲して延び、密閉形成部分が患者の顔に対向して係合している状態で力が患者インターフェースへ付加された際、患者の顔を密閉することを意図する。この密閉形成部分は、空気または流体充填クッションを含み得るか、または、ゴムなどのエラストマーによって構成された弾力性のある密閉要素の、成形されたかまたは形成された表面を含み得る。この種の密閉形成部分により、フィット感が不適切である場合、密閉形成部分と顔との間に隙間が発生し、密閉を達成するには、患者インターフェースを顔に押しつけるためにさらなる力が必要になる。
【0034】
別の種類の密閉形成部分は、正の圧力がマスク内に付加された際に患者の顔に対して自己気密作用を提供するように、マスクの周囲の周辺に配置された肉薄材料のフラップシールを使用する。先述の種類の密閉形成部分と同様に、顔とマスクとの間の整合が良くない場合、密閉を達成するために必要なさらなる力が必要になり得るか、またはマスクから漏洩が発生し得る。さらに、密閉形成部分の形状が患者の形状と整合しない場合、使用時において密閉形成部分に折り目または座屈が発生し、漏洩の原因になる。
【0035】
別の種類の密閉形成部分は、例えば鼻孔中へ挿入される摩擦嵌め要素を含み得るが、これらの密閉形成部分を不快であると感じる患者も存在する。
【0036】
別の形態の密閉形成部分は、密閉を達成するために接着部を用い得る。患者の中には、常に接着部を自身の顔に貼り付けるかまたは取り外すことが不便であると感じる患者もいる。
【0037】
一定範囲の患者インターフェース密閉形成部分の技術について、ResMed Limitedへ譲渡された以下の特許出願:特許文献3;特許文献4;特許文献5に開示がある。
【0038】
1つの形態の鼻枕が、Puritan Bennettによって製造されたAdam回路において見受けられる。別の鼻枕または鼻パフが、Puritan-Bennett Corporationへ譲渡された特許文献6(Trimbleら)の主題になっている。
【0039】
ResMed Limitedは、鼻枕を用いた以下の製品を製造している:SWIFT(登録商標)鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)II鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)LT鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)FX鼻枕マスクおよびMIRAGELIBERTY(登録商標)フルフェイスマスク。ResMed Limitedへ譲渡された以下の特許出願において、鼻枕マスクの例についての記載がある:特許文献7(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)鼻枕の様相を記載)、特許文献8(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)LT鼻枕の様相を記載);特許文献9および特許文献10(特に、ResMed LimitedのMIRAGE LIBERTY(登録商標)フルフェイスマスクの様相を記載);特許文献11(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)FX鼻枕の様相を記載)。
3.1.2 位置決めおよび安定化
【0040】
正の空気圧力治療に用いられる患者インターフェースの密閉形成部分は、密閉を妨害する空気圧力の対応する力を受ける。そのため、密閉形成部分を位置決めすることと、顔の適切な部分に対して密閉を維持することとを行うために、多様な技術が用いられている。
【0041】
1つの技術において、接着部が用いられる。例えば、特許文献12を参照されたい。しかし、接着部を用いた場合、不快感がある場合がある。
【0042】
別の技術において、1つ以上のストラップおよび/または安定化ハーネスが用いられる。多数のこのようなハーネスの場合、フィット感が悪い、かさばる、不快および扱いにくいなどの点のうち1つ以上が当てはまる。
3.1.3 通気技術
【0043】
いくつかの形態の患者インターフェースシステムは、吐き出された二酸化炭素を押し出すための通気部を含み得る。この通気部により、患者インターフェースの内部空間(例えば、プレナムチャンバ)から患者インターフェースの外部(例えば、周囲)への流れが可能になり得る。この通気部は、オリフィスを含み得、マスク使用時において、ガスがオリフィスを通じて流れ得る。多数のこのような通気部の場合、音がうるさい。他の場合、使用時において閉塞し得るため、押し出しが不十分になる。いくつかの通気部の場合、例えば音または気流集中に起因して、患者1000と一緒に寝る人1100の睡眠を妨げる場合がある。
【0044】
ResMed Limitedは、複数の向上したマスク通気技術を開発している。下記を参照されたい:特許文献13;特許文献14;特許文献15;特許文献16;特許文献8。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0045】
【文献】米国特許第4944310号明細書
【文献】米国特許第6532959号明細書
【文献】国際公開第1998/004310号
【文献】国際公開第2006/074513号
【文献】国際公開第2010/135785号
【文献】米国特許第4782832号明細書
【文献】国際公開第2004/073778号
【文献】米国特許出願第2009/0044808号明細書
【文献】国際公開第2005/063328号
【文献】国際公開第2006/130903号
【文献】国際公開第2009/052560号
【文献】米国特許出願公開第2010/0000534号明細書
【文献】国際公開第1998/034665号
【文献】国際公開第2000/078381号
【文献】米国特許第6581594号明細書
【文献】米国特許出願公開第2009/0050156号明細書
【非特許文献】
【0046】
【文献】「Respiratory Physiology」, by John B. West, Lippincott Williams & Wilkins, 9th edition published 2011
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0047】
本技術は、呼吸疾患の診断、改善、治療または回避において用いられる医療デバイスの提供に関連し、これらの医療デバイスは、向上した快適性、コスト、有効性、使い易さおよび製造可能性のうち1つ以上を有する。
【0048】
本技術の第1の様態は、呼吸障害の診断、改良、治療または回避に用いられる装置に関連する。
【0049】
本技術の別の様態は、呼吸障害の診断、改良、治療または回避において用いられる方法に関連する。
【0050】
特定の形態の本技術の様相は、呼吸治療についての患者の承諾を向上させる方法および/または装置を提供するためである。
【0051】
本技術の様相は、ヘッドギアアセンブリを含む。ヘッドギアアセンブリは、以下を含む:長細縁部を備えた第1の可撓性材料のストラップ、長細縁部の周囲に折り畳まれかつ長細縁部に沿って延びる第2の可撓性材料。
【0052】
例において、(a)第2の可撓性材料は、弾性材料を含む;(b)第2の可撓性材料は、V字形状に折り畳まれる;(c)第1の可撓性材料は、共に積層されかつ接着された第3の可撓性材料の層および第4の可撓性材料の層を含む;(d)第2の可撓性材料は、積層された層の縁部が被覆されるように、第3の可撓性材料および第4の可撓性材料を被覆する;(e)ヘッドギアアセンブリは、第3の可撓性材料と第4の可撓性材料との間の接着フィルムをさらに含む;(f)第1の可撓性材料は、織物材料を含む;(g)第1の可撓性材料は、スペーサ織物である;(h)長細縁部は、丸みのある形状である;(i)ストラップは、長細縁部と共にストラップの幅を規定する第2の長細縁部を含む;(j)ヘッドギアアセンブリは、第2の長細縁部の周囲に折り畳まれかつ第2の長細縁部に沿って延びる第5の可撓性材料をさらに含む;(k)第2の可撓性材料および第5の可撓性材料は、同一材料である;(l)第2の可撓性材料は、ストラップの第1の側部上n幅にわたって延び、第2の長細縁部の周囲に折り畳まれかつ第2の長細縁部に沿って延びる;(m)第2の可撓性材料は、ストラップの第2の側部上の幅全体を被覆しない;(n)第2の可撓性材料は、ストラップへ取り付けられる;(o)第2の可撓性材料は、ストラップの2つの側部上の接着部によって取り付けられる;(p)ストラップは、呼吸マスク用の接続部を含む;(q)接続部は、呼吸マスクが通過するように構成された穴を含む;(r)穴は、呼吸マスクの一部の外周の周囲を通るように、構成される;(s)ヘッドギアアセンブリは、穴の周囲を包囲するように折り畳まれかつ穴の周囲に沿って延びる第6の可撓性材料をさらに含む;(t)第2の可撓性材料および第6の可撓性材料は、同一材料である;かつ/または、(u)呼吸ガスを加圧して患者へ送達するための患者インターフェースであって、患者インターフェースは、呼吸マスクおよび上記例のうちいずれかに記載のヘッドギアアセンブリを含む。
【0053】
本技術の様相は、ヘッドギアアセンブリを含む。ヘッドギアアセンブリは、以下を含む:第1の端部を備えた第1の可撓性ストラップ部分、ストラップを形成するように第1の端部へ取り付けられた第2の端部を備えた第2の可撓性ストラップ部分、および第1の端部と第2の端部との間の取付部を被覆する被覆材料。
【0054】
例において、(a)第1の可撓性ストラップ部分および第2の可撓性ストラップ部分により、ストラップの長細縁部が規定される。被覆材料は、長細縁部に沿って長細縁部上に折り畳まれる。(b)第1の可撓性ストラップ部分および第2の可撓性ストラップ部分により、ストラップの長細縁部が規定される。第1の端部および第2の端部により、長細縁部を横切る短縁部が規定される。被覆材料は、短縁部のうち少なくとも1つを被覆する。(c)第1の可撓性ストラップ部分および第2の可撓性ストラップ部分により、ストラップの長細縁部が規定される。第1の端部および第2の端部により、長細縁部を横切る短縁部が規定される。被覆材料は、短縁部のうち少なくとも1つを被覆する。被覆材料は、長細縁部に沿って長細縁部上に折り畳まれる。(d)被覆材料は、少なくとも1つの短縁部の長さ全体を被覆する。(e)第1の可撓性ストラップ部分は、第2の可撓性ストラップ部分よりも伸縮するように構成される。(f)第1の可撓性ストラップ部分は弾性であり、第2の可撓性ストラップ部分は非弾性である。(g)第1の可撓性ストラップ部分は、スペーサ織物を含む。(h)第2の可撓性ストラップ部分は、材料の2つの層を第2の端部において含む。第1の端部は、2つの層間に挿入され、2つの層へ接続される。(i)材料の2つの層のうち1つは、面ファスナの第1の半分を含む。(j)第2の可撓性ストラップ部分は、面ファスナの第1の半分を面ファスナの第2の半分へ取り付けるように第2の可撓性ストラップ部分を折り畳むことが可能なように構成された面ファスナの第2の半分をさらに含む。(k)材料の2つの層は、第2の端部から離隔方向に第1の端部を超えて接続される。(l)2つの層は、第1の端部が挿入されるY字形状を形成する。(m)材料の2つの層は、接着部の層により相互に接続され、第1の端部へ接続される。(n)ストラップは、交差してY字形状の外形を形成する3本の脚部を含む。(o)ヘッドギアアセンブリは、ストラップへ解放可能に接続された第2のストラップをさらに含む。(p)第2のストラップは、呼吸マスク用の接続部を含む。(q)接続部は、呼吸マスクが通過するように構成された穴を含む。(r)穴は、呼吸マスクの一部の外周の周囲を通るように、構成される。かつ/または、(s)呼吸ガスを加圧して患者へ送達するための患者インターフェースであって、患者インターフェースは:呼吸マスクおよび上記例のうちいずれかに記載のヘッドギアアセンブリを含む。
【0055】
本技術の1つの形態の様相は、装置の製造方法である。
【0056】
本技術の1つの形態の様相は、ヘッドギアアセンブリの製造方法である。この方法は、第1の織物から構成されかつ第1の縁部を有する第1のストラップ部を提供することと、第2の織物から構成されかつ第2の縁部を有する第2のストラップ部を提供することと、接合部において第1の縁部を第2の縁部へ接合することと、接合部を第3の織物のストリップにより被覆することとを含む。
【0057】
例において、(a)接合部は、長さおよび2つの端部を有し、ストリップは、長さを被覆する。(b)ストリップは、長さの2つの側部を被覆する。(c)ストリップは、接合部周囲を包囲し、2つの端部を被覆する。(d)接合部は、縫製された接合部である。(e)第1のストラップ部は、接合部を交差する第3の縁部を有し、第2のストラップ部は、実質的に第3の縁部において接合部と交差する第4の縁部を有する。方法は、第3の縁部および第4の縁部に沿って第3の縁部および第4の縁部の周囲に延びるように、第3の織物の第2のストリップを包囲することをさらに含む。(f)ストリップは、第2のストリップによって被覆された少なくとも1つの端部を含む。(g)方法は、第2のストリップにV字型の折り目を付加することをさらに含む。(h)第1のストラップ部は、第3の縁部を有し、方法は、第2の織物から構成されかつ第4の縁部を有する第3のストラップ部を提供することと、第3の縁部および第4の縁部を第2の接合部において接合することと、第2の接合部を第3の織物の別のストリップで被覆することとをさらに含む。
【0058】
本技術の特定の形態の様相は、例えば医療トレーニングを受けたことの無い人、あまり器用ではない人、またはこの種の医療デバイスの使用経験が限られた人にとって使い易い医療デバイスである。
【0059】
本技術の1つの形態の様相は、患者の家庭において例えば石けん水などによって洗浄することが可能な患者インターフェースであり、特殊な清浄器具は不要である。
【0060】
もちろん、上記様態の一部は、本技術の下位様態を形成し得る。また、下位様態および/または様態のうち多様な1つを多様に組み合わせることができ、本技術のさらなる様態または下位様態も構成し得る。
【0061】
本技術の他の特徴は、以下の詳細な説明、要約、図面および特許請求の範囲中に含まれる情報を鑑みれば明らかになる。
【0062】
本技術を、添付図面中に非限定的に一例として例示する。図面中、類似の参照符号は、類似の要素を含む。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1A】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す図である。このシステムは、鼻枕の形態をとり、RPTデバイス4000から供給される正の圧力の空気を受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。一緒に寝る人1100も図示される。
【
図1B】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す図である。このシステムは、鼻マスクの形態をとり、RPTデバイス4000から供給される正の圧力の空気を受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。
【
図1C】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムをsimesu示す図である。患者インターフェース3000は、全面式マスクをとり、正の圧力の空気供給をRPTデバイス4000から受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000中において加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。
【
図2A】鼻および口腔、喉頭、声帯ひだ、食道、気管、気管支、肺、肺胞嚢、心臓および横隔膜を含むヒト呼吸系の概要を示す図である。
【
図2B】鼻腔、鼻骨、外側鼻軟骨、大鼻翼軟骨、鼻孔、上唇、下唇、喉頭、硬口蓋、軟口蓋、中咽頭、舌、喉頭蓋、声帯ひだ、食道および気管を含むヒトの上気道の図である。
【
図2C】上唇、上赤唇、下赤唇、下唇、口腔幅、心内膜、鼻翼、鼻唇溝および口角点を含む表面解剖学的構造のいくつかの特徴を含む顔の正面図である。上側、下側、ラジアル内方およびラジアル外方の方向も記載される。
【
図2D】眉間、セリオン、鼻尖点、鼻下点、上唇、下唇、頤、鼻堤、狭長頂点、下耳上縁点および下耳下縁点を含む表面解剖学的構造のいくつかの特徴を含む頭部の側面図である。上側および下側と、前方および後方との方向も記載される。
【
図2E】頭部のさらなる側面図である。フランクフォート水平および鼻唇角の大まかな位置が記載されている。前額面も記載される。
【
図2F】鼻唇溝、下唇、上赤唇、鼻孔、鼻下点、鼻柱、鼻尖点、鼻孔の主軸および矢状面を含むいくつかの特徴を含む鼻の底面図である。
【
図2H】外側軟骨、隔膜軟骨、大鼻翼軟骨、小鼻翼軟骨、種子骨軟骨、鼻骨、表皮、脂肪組織、上顎骨の前頭突起および線維性脂肪組織を含む鼻の皮下構造を示す図である。
【
図2I】鼻の中間切開、矢状面からおよそ数ミリメートルの位置における鼻の中間切開を示す図であり、特に隔膜軟骨および大鼻翼軟骨の内側脚を示す図である。
【
図2J】前頭骨、鼻骨および頬骨を含む頭蓋骨の骨正面図である。鼻甲介が上顎骨および下顎と共に図示されている。
【
図2K】頭蓋骨を頭部表面の外形およびいくつかの筋肉と共に示す側面図である。以下の骨:前頭、蝶形骨、鼻、頬骨、上顎骨、下顎、頭頂、側頭および後頭が図示されている。オトガイ隆起が図示されている。以下の筋肉:二腹、咬筋、胸鎖乳突筋および僧帽筋が図示されている。
【
図3A】本技術の1つの形態による鼻マスクの形態の患者インターフェースを示す図である。
【
図3B】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、正の符号と、3Cに示す曲率の大きさと比較して比較的大きな大きさとを有する。
【
図3C】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、正の符号と、
図3Bに示す曲率の大きさと比較して比較的小さな大きさとを有する。
【
図3D】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率の値はゼロである。
【
図3E】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、負の符号と、
図3Fに示す曲率の大きさと比較して比較的小さな大きさとを有する。
【
図3F】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、負の符号と、
図3Eに示す曲率の大きさと比較して比較的大きな大きさとを有する。
【
図3G】2つの枕を含むマスク用クッションを示す。クッションの外面が図示される図である。表面の縁部が図示される。ドーム領域およびサドル領域が図示される。
【
図3H】マスク用クッションを示す。クッションの外面が図示される図である。表面の縁部が図示される。点Aと点Bとの間の表面上の経路が図示される。is図示される。AとBとの間の直線距離が図示される。2つのサドル領域およびドーム領域が図示される。
【
図4A】患者上のマスクを支持するヘッドギアの斜視図である。
【
図4B】患者上のマスクを支持するヘッドギアの正面図である。
【
図4C】患者上のマスクを支持するヘッドギアの背面図である。
【
図4D】患者上のマスクを支持するヘッドギアの平面図である。
【
図4E】患者上のマスクを支持するヘッドギアの側面図である。
【
図4F】平坦状態にあるヘッドギアを示す図であり、マスクへのマスクまたは接続部は無い。
【
図4G】折り畳まれた状態の
図4Fのヘッドギアを示す図である。
【
図4H】基礎的な構造を確認できるよう、構造を省略したヘッドギアを示す図である。
【
図4I】マスクまたはマスクへの接続部無しのヘッドギアを示す図である。
【
図4J】ストラップ部分が交差するヘッドギアの部分図である。
【
図4L】マスク無しの平坦状態における部分的に完成したヘッドギアを示す図である。
【
図4N】マスクの保持および
図4Lに示すヘッドギアへの取付に用いられるストラップを示す図である。
【
図4O】組み立てられた状態において平置きした状態のヘッドギアを示す図である。
【
図4P】組み立てられた状態のヘッドギアを示す図である。
【
図4Q】相互に切断された2つのストラップ部分を備えたヘッドギアを示す図である。
【
図4R】ストラップが相互に接続された状態の
図4Qのヘッドギアを示す図である。
【
図4T】ヘッドギアのストラップ部分を通じた断面図である。
【
図4U】マスク用開口部を含むストラップ部分を示す図である。
【
図4V】マスクを含む
図4Uのストラップ部分を示す図である。
【
図4W】マスク用開口部を含むストラップ部分を示す図である。
【
図4X】
図4Wのストラップ部分をマスクと共に示す図である。
【
図4Y】丸みのある形状である長細縁部を示す図である。
【
図5A】ヘッドギアアセンブリにおいて用いられる部分を示す図である。
【
図5C】
図5Bの部分において構成要素がトリムされた様子を示す図である。
【
図5E】相互に隣接するヘッドギアアセンブリのための複数の部分が相互に接合される前の様子を示す図である。
【
図5F】複数の
図5Eのうち3つの部分を示す図であり、これらの部分のうち2つが接合され、第3の部分は接合されていない。
【
図5G】平坦構成において相互に接合された
図5Eの部分全てを示す図である。
【
図5H】構成要素の接合部上への付加および別の接合部上への部分的付加を示す図である。
【
図5I】平坦状態における全接合部上への構成要素の付加を示す図である。
【
図5J】構成要素をトリムした後に接合部全てへ付加された構成要素を示す図である。
【
図5K】ヘッドギアを平坦から非平坦構成へ変化させる接合プロセスの後のヘッドギアを示す図である。
【
図5L】
図5Kの接合部上へ付加された構成要素を示す図である。
【
図5N】マスクと共に用いられる完成したヘッドギアを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
4.技術の例の詳細な説明
本技術についてさらに詳細に説明する前に、本技術は、本明細書中に記載される異なり得る特定の例に限定されるのではないことが理解されるべきである。本開示中に用いられる用語は、本明細書中に記載される特定の例を説明する目的のためのものであり、限定的なものではないことも理解されるべきである。
【0065】
以下の記載は、1つ以上の共通の特性および/または特徴を共有し得る多様な例に関連して提供される。任意の1つの例の1つ以上の特徴は、別の例または他の例の1つ以上の特徴と組み合わせることが可能であることが理解されるべきである。加えて、これらの例のうちのいずれかにおける任意の単一の特徴または特徴の組み合わせは、さらなる例を構成し得る。
【0066】
4.1 治療
1つの形態において、本技術は、呼吸疾患の治療方法を含む。本方法は、患者1000の気道の入口へ正の圧力を付加するステップを含む。
【0067】
本技術の特定の例において、正の圧力における空気供給が鼻孔の片方または双方を介して患者の鼻通路へ提供される。
【0068】
本技術の特定の例において、口呼吸が制限されるか、限定されるかまたは妨げられる。
【0069】
4.2 治療システム
1つの形態において、本技術は、呼吸障害の治療のための装置またはデバイスを含む。装置またはデバイスは、圧縮空気を患者インターフェース3000への空気回路4170を介して患者1000へ供給するRPTデバイス4000を含み得る。
【0070】
4.3 患者インターフェース
本技術の一様態による非侵襲的患者インターフェース3000は、以下の機能様態を含む:密閉形成構造3100、プレナムチャンバ3200、位置決めおよび安定化構造3300、通気孔3400、空気回路4170への接続のための1つの形態の接続ポート3600、および前額支持部3700。いくつかの形態において、機能様態が、1つ以上の物理的コンポーネントによって提供され得る。いくつかの形態において、1つの物理的コンポーネントは、1つ以上の機能様態を提供し得る。使用時において、密閉形成構造3100は、気道への正の圧力での空気供給を促進するように、患者の気道の入口を包囲するように配置される。
【0071】
4.3.1 密閉形成構造
1つの形態の本技術において、密閉形成構造3100は、密閉形成表面を提供し、クッション機能をさらに提供し得る。
【0072】
本技術による密閉形成構造3100は、柔らかく、可撓性でありかつ弾力性のある材料(例えば、シリコーン)から構成され得る。
【0073】
1つの形態において、非侵襲的患者インターフェース3000の密閉形成部分は、一対の鼻パフまたは鼻枕を含む。各鼻パフまたは鼻枕は、患者の鼻の各鼻孔との密閉を形成するように構成および配置される。
【0074】
本技術の様相による鼻枕は、円錐台を含む。円錐台のうち少なくとも一部は、患者の鼻の下側、柄部、円錐台の下側上の可撓性領域上に密閉を形成し、円錐台を柄部へ接続させる。加えて、本技術の鼻枕が接続される構造は、柄部のベースに隣接する可撓性領域を含む。可撓性領域は、自在接合構造を促進するように機能し得る。自在接合構造は、円錐台の変位および角度双方と、鼻枕が接続される構造との相互移動に対応する。例えば、円錐台は、柄部が接続された構造に向かって軸方向に変位し得る。
【0075】
1つの形態において、非侵襲的患者インターフェース3000は、患者の顔の上唇領域(すなわち、上唇)上に密閉を形成する密閉形成部分を含む。
【0076】
1つの形態において、非侵襲的患者インターフェース3000は、患者の顔の顎領域上に密閉を形成する密閉形成部分を含む。
【0077】
4.3.2 プレナムチャンバ
プレナムチャンバ3200は、使用時に密閉が形成される領域において平均的な人の顔の表面外形に対して相補的である形状の周囲を有する。使用時において、プレナムチャンバ3200の周辺縁部は、顔の隣接する表面に近接して位置決めされる。顔との実際の接触は、密閉形成構造3100によって提供される。密閉形成構造3100は、使用時においてプレナムチャンバ3200の周囲全体の周りに延び得る。
【0078】
4.3.3 位置決めおよび安定化構造
本技術の患者インターフェース3000の密閉形成構造3100は、使用時において位置決めおよび安定化構造3300によって密閉位置において保持され得る。図示のように、位置決めおよび安定化構造3300は、ヘッドギア6000の形態をとる。
【0079】
1つの形態の本技術において、患者が睡眠時に装着されるように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。一例において、位置決めおよび安定化構造3300は、装置の感知される嵩または実際の嵩を低減するように、目立たない外形または断面厚さを有する。一例において、位置決めおよび安定化構造3300は、矩形断面を有する少なくとも1つのストラップを含む。一例において、位置決めおよび安定化構造3300は、少なくとも1つの平坦ストラップを含む。
【0080】
1つの形態の本技術において、位置決めおよび安定化構造3300は、織物患者接触層、発泡材料内側層および織物外側層の積層物から構成されたストラップを含む。1つの形態において、発泡材料は、湿気(例えば、汗)がストラップを通過できるような多孔性である。1つの形態において、織物外側層は、フック材料部分と係合するループ材料を含む。
【0081】
特定の形態の本技術において、位置決めおよび安定化構造3300は、伸張可能である(例えば、弾力性と共に伸張可能である)ストラップを含む。例えば、ストラップは、使用時にはピンと張った状態にされて、クッションを患者の顔の一部と密着させる力を方向付けるように、構成され得る。一例において、ストラップは、タイとして構成され得る。
【0082】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、屈曲可能であり例えば非剛性であるストラップを含む。本様相の利点として、患者が睡眠時に体を横たえたときにストラップがより快適になっている点がある。
【0083】
4.3.4 通気
1つの形態において、患者インターフェース3000は、吐き出されたガス(例えば、二酸化炭素)の押し出しを可能にするように構成および配置された通気部3400を含む。
【0084】
本技術による1つの形態の通気部3400は、複数の穴(例えば、約20個~約80個の穴または約40個~約60個の穴または約45個~約55個の穴)を含む。
【0085】
通気部3400は、プレナムチャンバ3200内に配置され得る。あるいは、通気部3400は、非連動構造(例えば、回り継ぎ手)内に配置される。
【0086】
4.3.5 非連動構造(単数または複数)
1つの形態において、患者インターフェース3000は、少なくとも1つの非連動構造(例えば、回り継ぎ手または球窩)を含む。
【0087】
4.3.6 接続ポート
接続ポート3600は、空気回路4170への接続を可能にする。
【0088】
4.3.7 前額支持部
1つの形態において、患者インターフェース3000は、前額支持部3700を含む。
【0089】
4.3.8 窒息防止弁
1つの形態において、患者インターフェース3000は、窒息防止弁を含む。
【0090】
4.3.9 ポート
1つの形態の本技術において、患者インターフェース3000は、プレナムチャンバ3200内の量へのアクセスを可能にする1つ以上のポートを含む。1つの形態において、これにより、臨床医が補充酸素を供給することが可能になる。1つの形態において、これにより、プレナムチャンバ3200内のガス(例えば、圧力)の特性を直接測定することが可能になる。
【0091】
4.3.10 ヘッドギア
図4A~
図4Yに示すヘッドギア6000は、図示において多様なパターンを含む。図面は白黒線図であり限りがあるため、これらのパターンは、本明細書中明記無き限り、類似であり得る材料および異なり得る材料を読者が区別できるようにするためのものである。本明細書中明記無き限り、これらのパターンは限定的なものとしてみなされるべきではない。
【0092】
図4A~
図4Eは、ヘッドギア6000を示す。ヘッドギア6000は、ストラップ(例えば、第1の可撓性材料6004によって構成されたストラップ6002)を含む。ストラップ6002は一般的には、患者の下耳上縁点または側頭骨の領域から呼吸マスク6022へ延びる。別のストラップ6002aは、患者の頭部の片側上の患者の下耳上縁点または側頭骨の領域から頭頂骨を通って、患者頭部の他方の側部上の患者の下耳上縁点または側頭骨の領域へ延びる。別のストラップ6002bは、患者頭部の片側上の患者の下耳上縁点または側頭骨の領域から延びて、後頭骨および/または僧帽筋m.を包囲し、患者の下耳上縁点または側頭骨の領域内の患者頭部の他方の側部へ延びる。これらの図に示すように、ストラップ6002aおよび6002bは、患者頭部の後部および上部に適合しかつクレードルする連続構造を形成する。この連続構造は、患者頭部が円形または楕円を通じて少なくとも部分的に突出するように、円形または楕円に類似するような形状にされ得る。本明細書中明記無き限り、ストラップ6002aおよび6002bは、ストラップ6002と同じ構造または実質的に同じ構造を持ち得る。そのため、簡潔さのため、本明細書においてストラップ6002として総称する。
【0093】
ストラップ6002は長細縁部6006を含み、第2の可撓性材料6008が長細縁部6006の周囲に巻かれている。第2の可撓性材料6008は、弾性材料であり得る。好適には、第2の可撓性材料6008は、第1の可撓性材料6004よりも高レベルの弾性を持つ。例えば、第2の可撓性材料は、衣類用の弾性バンドに用いられるものに類似するかまたは特性が類似し得る。また、ストラップ6002aおよび6002bは、ストラップ6002よりも高弾性であり得る。第2の長細縁部6007は、長細縁部6006の反対側にあり、両者によりストラップ6002の幅が規定される。第2の長細縁部6007は、長細縁部6006と実質的に同一であり得る。実際、本技術の長細縁部は全て、類似の方法で形成され得る。そのため、本開示の残り部分においては、長細縁部6006と異なる他の長細縁部について個別に議論する。
【0094】
ストラップ6002aは、内部において穴を視認することが可能なメッシュスペーサ織物を含み得る。この構成は、より美観が優れている場合があり、また、ヘッドギアがより軽量であるとユーザに感じさせ得る。この構成は、より通気性が高くなり得る。メッシュスペーサ織物は穴が空いているため、ストラップ(例えば、ストラップ6002および6002b)がベッドリネンに引っかかりかつ/またははまり込む危険性がある。よって、このようなストラップに対してはメッシュスペーサ織物の使用を回避した方が好適であり得る。頂部ストラップ(例えば、ストラップ6002a)上においてメッシュスペーサ織物を用いた場合、患者の睡眠時において頭部上部はベッドリネンおよび/または枕と接触しないことが多いため、この問題は発生しない可能性がある。
【0095】
第2の可撓性材料6008は、長細縁部6006の周囲に巻かれて、V字型折り目6010を形成する。本明細書中に記載のように、V字型折り目は、折り目を生成するプロセスを既述することを意図するが、折り目の最終形状を必ずしも反映しない。例えば、
図4Mに示すように、V字型折り目6010は、丸みのある形状である縁部を有する基礎的な材料に適合し、V字型折り目6010により、断面を見たときにU字型に類似し得る構成が得られる。基礎的な材料が比較的肉薄であるかまたは際立った縁部を有する場合、V字型折り目の最終形状は、
図4Mに示すものよりもV字形状に近い場合がある。V字型折り目6010により、mayenableヘッドギア6000全体の周囲の連続縁部またはヘッドギア6000の任意のサブ部分における連続縁部が可能になる。V字型折り目6010は、外観が極めて魅力的であり得、また、縁材料が複数の部分により構成される場合と比較して、特定の場所における突起物または隆起を円滑に回避する。
【0096】
第2の可撓性材料6008は、接着部のストリップを織物縁部に沿って付加する際に用いられ得るMacpiマシンモデル番号335 32号の支援により、V字型折り目6010へ付加され得る。Macpiマシンモデル番号335 48は、第2の可撓性材料6008を折り曲げおよび適用する際に用いられ得る。このようにして、接着部により、長細縁部6006の近隣のストラップ6002の対向する表面上に接着部を付加し、第2の可撓性材料6008を固定することにより、第2の可撓性材料6008をV字型折り目6010と共にストラップ6002へ固定することができる。
【0097】
V字型折り目6010に用いられる材料には、事前積層された接着部を供給してもよいしまたは供給しなくてもよい。事前積層された接着部を用いない倍、MACPIマシンを用いて、プロセスおよび/または材料を特定のストラップ材料に適合するように制御することが可能な場所の上に接着部が積層され得る。同じプロセスにおいて、積層後、第2の可撓性材料6008が、ストラップ材料(例えば、スペーサ織物またはBreath-O-Prene(登録商標))へ接合され得る。Breath-O-Prene(登録商標)ストラップ部分は、例えば超音波溶接、スティッチングまたは他の任意の適切な手段により、共に接続され得る。スペーサ織物ストラップ部分の相互取付は、例えばスティッチングを用いて達成され得る。
【0098】
第2の可撓性材料6008は、ストラップ6002の幅全体に沿ってストラップ6002の幅全体を包囲し得る。例えば、
図4Aにおいて、ストラップ6002のうち患者に対向する側は、第2の可撓性材料6008が長細縁部6006と実質的に同様の様態で第2の長細縁部6007へ延びかつ第2の長細縁部6007の周囲に巻かれるように、第2の可撓性材料6008によって完全に被覆され得る。あるいは、
図4Iに示すように、第2の可撓性材料6008は、ストラップ6002の幅にわたって延びない倍もあり、その場合、第2の可撓性材料6008は2つの別個のピースであり得る。この構成により、別の第2の可撓性材料6026が必要な場合または望ましい場合に異なる特性を持ち得るように、第2の可撓性材料6008の代わりに別の第2の可撓性材料6026を用いることが可能になる。例えば、別の第2の可撓性材料6026は、第2の可撓性材料6008に用いられる弾性と異なる示量性を備えた弾性を持ち得る。
図4Aおよび
図4I中の構成は、ストラップ6002の少なくとも1つの側上においては、第2の可撓性材料がストラップ6002の幅全体にわたって延びないという共通した特徴を共有する。
【0099】
図4Yに示すように、第1の可撓性材料6004は、材料の層によって形成され得る。例えば、第1の可撓性材料は、スティッチング、接着層、超音波溶接または層を共に接着させるための他の任意の適切な物質またはプロセスによって接着される第3の可撓性材料6012および第4の可撓性材料6014を含み得る。接着フィルム6028が図示される。2つの層のみを図示しているが、任意の数の層が提供され得る。例えば、3つ、4つ以上の層が設けられ得、層の数は、例えば個々の層の特性の組み合わせに基づいて決定され得る。図示のように、第2の可撓性材料6008は、材料の縁部およびよって当該材料の積層が被覆されるように、材料の層の周囲に巻かれ得る。第2の可撓性材料6008が充分に不透明である場合、長細縁部6006に沿って見た場合に積層が視認できない場合がある。
【0100】
第1の可撓性材料6004は、任意の可撓性材料(例えば、発泡材料または織物材料)であり得る。織物材料は、スペーサ織物または他の種類の織物または布地であり得る。スペーサ織物は、布地として規定され得、上グラウンド構造または層、下グラウンド構造または層、ならびに上グラウンド構造と下グラウンド構造との間で編まれてマトリックス様布地を形成する浮遊または横断織り糸を有する。上グラウンド構造および下グラウンド構造は、織物から形成され得る。上グラウンド構造は、下グラウンド構造と異なる特性を持ち得、例えば異なる伸縮性、剛性、可撓性、手触りまたは他の特性を持ち得る。上グラウンド構造および下グラウンド構造は、実質的に相互に平行であり得る。スペーサ織物は、よこ編によって形成され得る。少なくとも1つの側(すなわち、上グラウンド構造または下グラウンド構造)は、心地良い手触りにするために例えば約30~100デニール、20~300デニールまたは50~200デニールの織り糸を有する織物から形成され得る。米国特許出願公開第2014/0102456号および第2014/0158136号(双方の文献全体を参考のため援用する)において、スペーサ織物およびヘッドギアに対するいくつかの可能な用途についての記載がある。第1の可撓性材料6004は、スペーサ材料の場合よりも超音波切断またはダイカットが容易であり得るBreath-O-Prene(登録商標)であってもよい。
【0101】
図4Mおよび
図4Yは、丸みのある形状である長細縁部6006を示す。丸みのある形状である縁部は、超音波切断を用いて形成され得る。あるいは、長細縁部6006は、他の方法(例えば、ダイカット(その場合、より丸みの少ない形状になる)またはさらには隣接する表面間の垂直交差)によって形成され得る。
【0102】
図4E中に最良に示すように、ストラップ6002は、第1の可撓性材料6004からメッシュ材料6030として図示される別の可撓性材料へ変化する。しかし、任意の可撓性材料(例えば、織物または発泡材料またはその層)が用いられ得る。そのため、ストラップ6002の第1の可撓性ストラップ部分6032は、第1の可撓性材料6004を含み、ストラップ6002の第2の可撓性ストラップ部分6034は、メッシュ材料6030を含む。第1の可撓性ストラップ部分6032が第2の可撓性ストラップ部分6034に接合する箇所においては、交差6036は、第2の可撓性材料6008によって被覆される。第2の可撓性材料は、第1の長細縁部6006および第2の長細縁部6007と、ストラップ部分間の交差6036とに沿って延びる。よって、第2の可撓性材料6008の一部は、交差6036において規定された長細縁部6006に対して横方向の短縁部に沿って延びる。交差6036は、
図4H中に最良に図示される。所望の場合または交差部を露出させたままにしてもよい場合、交差6036を被覆するために異なる材料を用いてもよい。例えば、
図4Jを参照されたい。交差6036において、材料は、任意の適切なおよび/または簡便な方法によって接合され得る。2つの例として、ジグザグ縫い(1種のスティッチング)および超音波溶接がある。別の材料接合方法の例について、
図4Tを参照して以下に説明する。
【0103】
異なる材料から構成された第1の可撓性ストラップ部分6032および第2の可撓性ストラップ部分6034を設けることにより、ヘッドギア6000の特性を制御することができる。例えば、1つの部分の伸縮性を別の部分よりも高くすることができる。このようにすると、ヘッドギア6000の異なる部分の近隣の解剖学的構造の相対的動きに基づいて恩恵が得られ得る。
図4Eにおいて、第1のストラップ部分6032は、患者の頭蓋骨に相対して動き得る患者の顎部に隣接する。一方、第2のストラップ部分6034は、動くことが無い患者の頭蓋骨の一部の近隣に配置される。よって、第1のストラップ部分6032は、使用時において患者の動きに対応するように伸縮することができる。また、異なる伸縮量は、患者がヘッドギア6000を装着または脱着する際に有用であり得る。よって、ヘッドギア6000の上記および他の様相は、異なる可撓性材料の使用およびその接合により、最適化され得る。第1の可撓性ストラップ部分6032および第2の可撓性ストラップ部分6034のうち一方または双方は、スペーサ織物から構成され得るが、その特性(例えば、使用される織り方または繊維)は、スペーサ織物の機能が異なるように所望の弾性量が得られるように、選択される。弾性を持つかまたは実質的に非弾性であるスペーサ織物または他の織物が用いられ得る。よって、いずれかのストラップ部分は、弾性を持つかまたは実質的に非弾性であり得る。
【0104】
図4Fは、完全に組み立てられる前の、平坦状態にあるヘッドギア6000を示す。本図が示しているのは、ヘッドギア6000が平坦に形成することができ、組立後のヘッドギアが患者頭部の複雑な形状にフィットし得ることである。
図4Fにおいて、ストラップ6002b(図中の上部および下部)の自由端が共に接続され得、ストラップ6002の自由端が呼吸マスク6022へ接続されることにより、
図4A~
図4Eに示す構成が得られる。この構成により、異なるストラップ部分のための多様なストラップ材料を相互に接合させることが可能になる。第2の可撓性材料6008は、1つの連続的かつ/または途切れないピース(例えば、1枚のシートから切除されたもの)であり得、ヘッドギア6000の患者側(すなわち、
図4f中の下側または視認できない側)へ付加された後、長細縁部6002の周囲に巻かれる。接着シートが、第2の可撓性材料6008を取り付けるために用いられ得る。接着シートは、単一の接着シート(可撓性材料6008について上記したものと類似のもの)から切断してもよいし、あるいは、異なる構成要素に切断してもよい。この選択肢は、例えば異なる種類の接着部がヘッドギアの異なる領域により良く適合する場合に恩恵を授け得る。例えば、第2の可撓性材料6008を異なるストラップ材料へ接合するために、異なる種類の接着部がより適合し得る。ヘッドギアが使用時において異なる伸縮レベルを経験する可能性のある領域においては、異なる種類の接着部が望ましい場合がある。異なる接着要求または組立要求を達成するためには、他の種類の接着(例えば、液状の状態で付加される接着(例えば、接着部上での刷毛塗りまたはスプレー))が望ましい場合もある。
【0105】
図4Gは、
図4Fのヘッドギアを示すが、非平坦状態においては、患者に対向する側の部分を視認することができる。
【0106】
図4Tは、ストラップ部分を共に接合する1つの方法を示す。1つのストラップ部分の第1の層6038が、第2のストラップ部分の第2の層6040と第3の層6042との間に挿入され得る。第2の層6040および第3の層6042は、接着部6044の層または第2の層6040および第3の層6042の端部へ延びない他の任意の適切な接合プロセスにより、接続され得る。接着部6044の層は、接着フィルム6028と同じであってもよいし、異なっていてもよい。その結果得られるストラップ構造は、長細縁部6006に沿って見たとき、実質的にY字形状である。その後、第1の層6038をY字形状に挿入し、接着部6044のさらなる層または他の任意の適切な接合プロセスにより第2の層6040と第3の層6042との間に固定することができる。この種の接合技術は、例えば
図4Eおよび
図4Iに示すように患者側から見たときに(例えば、ストラップの幅側から見たときに)3本の脚部を一緒にしてY字形状の外形6046を形成する場合に適用され得る。
【0107】
第2の層6040および第3の層6042は、有利に異なる特性を持ち得る。例えば、第2の層6040および第3の層6042のうち1つは、面ファスナの半分(例えば、ループハーフ)であり得る。第1の層6038は、面ファスナの他方の半分(例えば、フックハーフ)であり得る。この構成により、例えば
図4Sに示すようにストラップ自体に接続することが可能になる構成をストラップに持たせることが可能になる。
【0108】
図4Jおよび
図4Kは、異なる層を含む構造の結果、別個の材料および/または材料交差により、ヘッドギアの患者側(例えば、
図4K)と、ヘッドギアの外側(例えば、
図4J)とが得られ得る様子を示す。第2の材料6008との任意の交差を含まず、
図4Jの4つのパターンは4つの異なる交差を示し、
図4Kの3つのパターンは、2つの交差のみを示す。その結果は、図示に示すように視覚的に別個であってもよいし、別個でなくてもよく、選択された材料の視覚的差が有る場合、このような差に依存する。
【0109】
図4Oおよび
図4Pは、異なる材料が交差し、患者側と外側とにおいて異なる構成を有する点において、
図4Jおよび
図4Kに類似する。しかし、
図4Oおよび
図4Pは、患者側の部分およびヘッドギアの外側部分において異なる材料が用いられているのに、同一数の交差がヘッドギアの患者側および外側上において存在する点において異なる。これらの図において、ストラップ6002bは、弾性材料であり得る。
【0110】
二層構造の別の恩恵として、ストラップの患者に対向する側において、患者から離隔する側と異なる特性を持たせることができる点がある。例えば、ストラップの患者に対向する側は好適には柔らかなタッチまたは感触にして刺激を避けると好適であり得る。可撓性材料はこのような特性は持たないものの、ヘッドギア内における使用に適した構造統合性を提供する。あるいは、可撓性材料が適切な構造統合性ならびに適切な柔らかなタッチおよび感触を持つものの、当該可撓性材料が面ファスナのフックの接続にはあまり適切ではない場合(例えば、表面が完全なループを含まない場合)がある。そのような場合、面ファスナのループハーフを層の外側として取り付けることができる。あるいは、完全なループを有する織物を用いてもよい。
【0111】
図4Lは、ストラップs6002が平坦状態において実質的に直線状であり、上記した二層構造を用い得る点を除いて、
図4Iに類似する。ストラップ6002は、ストラップを折り畳んで、フック材料6048に隣接する材料に取り付けることができるよう、フック材料6048を含み得る。
【0112】
図4Hおよび
図4Iは、ヘッドギア6000の2つの組立段階を示す。
図4Hにおいて、多様なストラップを共に取り付けて、ヘッドギアの基本的形状を形成する。
図4Hにおいて用いられる異なるパターンによって示すように、多様なストラップおよびストラップ部分が、異なる材料によって形成され得る。
図4Hは、第2の可撓性材料6008が省略されているため、第2の可撓性材料6008が多様な縁部に沿って配置されている様子を示す
図4Iと比較して早期の組立段階を示し得る点において、最も顕著に
図4Iと異なる。
【0113】
図4Hおよび
図4I中のヘッドギア6000の構成における2つの顕著な差を強調する必要がある。第1に、呼吸マスクについて接続部が図示されていない。例えば
図4Nおよび
図4Uに示すような穴6018をストラップ6002において設けることができるが、これらの図面の明瞭さのために省略している。第2に、ストラップ6002bの間において図示されている弾性ストラップ6048により、ストラップ6002bの端部が接続されている。このような弾性ストラップ6048は、本開示中に示すヘッドギアのうちいずれかに設けられ得る。弾性ストラップ6048は、ヘッドギアのサイズが1つしか無い場合に多様な頭部サイズの患者に対してより高い調整性または快適性を提供するなどの恩恵を提供し得る。また、弾性ストラップ6048により、他の比較的複雑な調整配置(例えば、バックルまたは他の締結具)の省略または低減も可能になる。このようなバックルまたは締結具を省略すると、通常の使用時にはストラップを分解する必要が無いが調整は必要になり得るヘッドギア分野において恩恵が得られ得る。
【0114】
図4A、
図4B、
図4D、
図4E、
図4N、
図4Q、
図4Sおよび
図4U~
図4Xは、呼吸マスク6022用の接続部6016を示す。
図4N、
図4Q、
図4Sおよび
図4U~
図4Xにおいて、接続部6016を、ストラップ6020を通過する穴6018の形態で図示する。穴6018は、呼吸マスク6022がストラップ6020を少なくとも部分的に通過または突出するような、呼吸マスク6022の一部の外周に適応するようなサイズであり得る。ストラップ6020は、2つの長細縁部6006および6007が設けられる点において、ストラップ6002に類似し得る。これら2つの長細縁部6006および6007はそれぞれ、第2の可撓性材料6008のV字型折り目6010によって被覆され得る。あるいは、V字型折り目6010は、異なる材料から構成され得る。穴6018にV字型折り目6010(例えば
図4Uおよび
図4Vを参照)を設けてもよいし、あるいは、V字型折り目を省略してもよい(例えば、
図4N、
図4Q、
図4S、
図4Wおよび
図4Xを参照)。ストラップ6020の対向する端部上において、ループ6024は、別のストラップが内部を通過できるように設けられ得る。例えば、
図4Q~
図4Sを参照されたい。ループ6024は、ヘッドギア6000の2つの異なるストラップを相互に接続することが可能なように
図4Sに示すようにストラップ自体に接続することが可能なストラップと共に、用いられ得る。この配置により、「セットした後は忘れる」配置が可能になるため、ユーザは、初期セットアップ後に長さを調節する必要が無い。ユーザは、好適にはヘッドギアが弾性であるときにマスクをヘッドギアとしてスライドして取り外しおよび取り付けするだけで、マスクの装着/脱着を行うことができる。
【0115】
ストラップ6002およびストラップ6020は、16mm~24mmの幅またはこれらの値の間の任意の値を持ち得る。例えば、幅は、約20mmであり得る。ストラップ幅が狭すぎる場合、皮膚に突き刺さる(すなわち、跡が残る)。また、ストラップ幅が狭すぎる場合、幾何学的配置に起因して、ストラップにしわ、よじれおよび/または折り目が発生する可能性が高くなる。特定のレベルの幅を用いれば、幾何学的配置を介してサイドストラップに剛性が付与され得る。ストラップ幅が広すぎる場合、ユーザの顔との物理的接触の可能性が高まるため、不快感に繋がり得、また幅の増加は重量増加にも繋がる。
【0116】
ループ6024は、弾性材料6050のループによりストラップ6020へ取り付けられ得る。穴6018の代替例として、溝(図示せず)が、ループ6024と同様の呼吸マスク6022上に設けられ得る。穴6018の別の代替例として、マスク上の面ファスナの半分と、ストラップ6020上の他方の半分(図示せず)とを提供することがある。例えば、ストラップ6020上に設けられたループにより、フックが呼吸マスク6022上に設けられ得る。別の代替例として、接着部を用いてストラップ6020を呼吸マスク6022へ取り付けることがある。
【0117】
ループ6024の恩恵として、ストラップ6020(これは、患者の顔または頭部の各側上にストラップ部分が有るため、サイドストラップと呼ばれ得る)の長さを調節することが可能である点がある。このようなサイドストラップの場合、特定の種類のマスク(例えば、鼻クレードルまたは鼻枕マスク)の場合に(フルフェイスマスクまたは鼻マスクと比較して)より大きな力が必要になり得る。ループ6024またはバックルが、患者のこめかみに近接しかつ患者のこめかみよりも低い位置にあるサイドストラップの遠位端に設けられ得る。バックルの位置については、患者が横を向いて寝る場合の快適性目的のため、好適には骨を避けるとよく、また、使用時において患者の顔の肉のある部分に隣接するとよい。また、このバックルの位置により、サイドストラップが曲線状に患者の頬に近密に沿うことが可能になり、その結果より円滑かつ美観的に快適になる。バックルが眼に接近し過ぎることになり、患者によって邪魔になりかつ/または不快になるため、バックルを余り高い位置に配置しない方が好適である。ループ6024またはバックルをストラップ6020上に設ける方が、ユーザにとってより直観的であり得るため、ループ6024またはバックルを噛み合い構成要素上に設ける方よりも好適であり得る。
【0118】
図5A~
図5Nは、組立の多様な段階における別のヘッドギア6000を示す。
【0119】
図5Aに示すストラップ部6052は、主に台形として図示されているが、ヘッドギア6000の所望の全体的形状を達成するよう、1つ以上の縁部を含む任意の形状を必要に応じて用いて良い。ストラップ部6052の材料は、任意の適切な材料でよいが、複数の種類の層(例えば、スペーサメッシュ材料)を含む図示のメッシュ材料6030の一例である。最上層が、比較的狭い織り方6056(例えば、繊維間の開口部が比較的より小さな織り方)によって包囲された比較的大きな開口部6054を含む様子が図示されている。その真下の層(比較的大きな開口部6054を通じて視認可能)が、繊維間の中間サイズの開口部6058により実質的に均一の織り方として図示されている。裏側は、繊維間の任意の開口部が
図5A中に記載の縮尺では視認できないくらいに充分に狭い織り方であり得る。ストラップ部6052は、第1の縁部6060、第2の縁部6062、第3の縁部6064および第4の縁部6064を含む。
【0120】
図5Bは、第1の縁部6060を別の材料(例えば、第2の可撓性材料6008)のV字型折り目6010によって被覆した後でありかつトリミングを行う前の段階のストラップ部6052を示す。
図5Cは、トリミング後を示す。
図5Dは、
図5Cと比較して反対側からのストラップ部6052を示す。
図5A~
図5Dは、メッシュ材料6030の詳細を示す。以下の図は、
図5Aについて上述したメッシュ層の詳細な例示のパターンを置換することにより、詳細な図示を簡略化する。
【0121】
図5Eは、組立前は平坦に配置され、相互に隣接しているヘッドギアの多様な構成要素(例えば、左クラウンピース6068、右クラウンピース6070、上クラウンピース6072、左下ストラップピース6074、左上ストラップピース6076、右下ストラップピース6078および右上ストラップピース6080)を示す。図示のように、左クラウンピース6068、右クラウンピース6070および上クラウンピース6072は、第1の材料(例えば、スペーサメッシュ)から構成され、材料の字型折り目6010が、各ピースの1つの縁部に沿って付加される。左下ストラップピース6074、左上ストラップピース6076、右下ストラップピース6078および右上ストラップピース6080は、別の材料(例えば、スペーサ織物UBL‐完全なループ‐材料)から構成されるが、縁部を被覆するV字型折り目は含まない。左下ストラップピース6074、左上ストラップピース6076、右下ストラップピース6078および右上ストラップピース6080はそれぞれ、フック材料6048の断片を含み、これにより、各断片を折り畳んで接着させることが可能になる。
【0122】
図5Fは、
図5Eのピースのうち2つの間の例示的接合部6082を示す。図示のように、接合部は、隣接する縁部を接続させるジグザグ縫い目を含む。しかし、他の接合配置も可能である。例えば、構成要素を(隣接させる代わりに)重複させることができ、接合プロセスは任意の適切な接合プロセスであればよい。例えば、接合プロセスの例を挙げると、溶接、接着部または別のスティッチングがある。
【0123】
図5Gは、
図5Eの構成要素を示す。
図5Gにおいて、隣接する構成要素は全て、接合されている(例えば、共に縫い付けられている)。
【0124】
図5Hは、隣接するヘッドギア構成要素間において接合部を被覆するプロセスの2つの段階を示す。上側接合部6082aにおいて、接合部の上(視認可能)側のみが、第2の材料6008によって被覆される。下側接合部6082bにおいて、第2の材料6008を接合部6082bの長さの周囲において環状に設けて、下側接合部6082bの前側および後側ならびに接合部の端部を被覆する。
【0125】
図5Iは、
図5H中の下側接合部6082bと同様に接合部6082全てが第2の材料6008によって被覆される点を除いて、
図5Gのアセンブリを示す。
図5Jは、第2の材料6008の部分全てにおいて余分な材料がトリミングされている点を除いて、
図5Iと実質的に同じである。
【0126】
図5Kは、さらなる2つのステップが行われた後のヘッドギア6000を示す。第1に、第2の材料6008の別のV字型折り目6010が、形成するヘッドギア6000の縁部6086と、頭頂および後頭骨を含むユーザの頭部の領域(例えば、ユーザの頭部の上領域および裏領域)の周囲にフィットする開口部6088との全てに沿って付加される。第2に、左下ストラップピース6074および右下ストラップピース6078を共に接合して開口部6088を完成させるように、最終接合部6090を形成する。
【0127】
図5Lは、第2の材料によって被覆されたトリミング前の最終接合部6090を示し、
図5Mは、全組立ステップ後のヘッドギア6000を示す。この組立順により、ユーザと接触し、ユーザにとって刺激となる可能性のあるあらゆる接合部が被覆および/または最小化される。
【0128】
図5Nは、中間ストラップ配置7000を介して患者インターフェース3000へ取り付けられたヘッドギア6000を示す。中間ストラップ配置7000は、実質的にT字型部分7002と共に患者の頭部の側部に沿って延び、ここで、T字型形状の「上部」は、右上ストラップピース6080および右下ストラップピース6078と(ストラップのUBL部分に取り付けられた図示しないフック材料6048を介して)協働して、ヘッドギア6000を中間ストラップ配置7000へ接続させるループ7004を含む。ユーザの頭部の左側上にも、左上ストラップピース6076および左下ストラップピース6071と共に類似の配置が設けられ得る。この配置により、ヘッドギア6000の一部がユーザの耳の上方に延び、別の部分がユーザの耳の下側に延びる。耳の上方および下方において調節可能であるため、広範囲の頭部および/または顔形状および/またはサイズに対応可能になる。ヘッドギア6000および中間ストラップ配置7000は、位置決めおよび安定化構造3300の一例を共に形成する。
【0129】
図5A~
図5Nにおいて特定の材料、接合部などを図示しているが、特定の位置において、本技術は、他の構成に適用可能である。例えば、スペーサメッシュ以外の材料を左クラウンピース6068、右クラウンピース6070および上クラウンピース6072に用いてもよく、かつ/または、接合部を別の場所に配置してもよい。
【0130】
少なくとも
図5A~
図5Nに関連する開示は、極めて軽量であり(かつ洗浄後の乾きも早くかつ通気性に優れた)ヘッドギアを提供し得るため、軽量マスクおよびよって患者快適性の向上に貢献する。この軽量ヘッドギアは、粗い縁部が皮膚を刺激しないようにヘッドギアストラップの縁部を仕上げることと、縁部における材料(が仕上げられていない場合に)材料の擦り切れを回避することによりヘッドギアの寿命を確保することとにより、開示のようにスペーサメッシュ(例えば、スペーサメッシュ織物)材料をスペーサ織物UBL材料へ接合し、患者快適性を確保することにより、達成され得る。スペーサメッシュ材料には多様な利点があるものの、スペーサメッシュ材料の縁部を従来の超音波溶接技術を用いて仕上げることは困難または非実際的である場合がある。本技術は、ヘッドギアの縁部全てをより快適かつよりすり切れの少ない様態で仕上げることが可能である点において、この問題に対して解決法を提供する。
【0131】
上記したヘッドギア関連技術により、多様な効果が最適化され得る。例えば、V字型折り目6010中に付加される第2の可撓性材料6008の厚さおよび/または第2の可撓性材料6008をV字型折り目6010中へ接着させる際に用いられる接着部の厚さを変更することにより、手触りおよび剛性の最適化が可能になる。例えば、第2の可撓性材料6008および接着部が比較的肉薄である場合、柔らかい手触りおよび平坦なシームが達成され得るが、その場合、ヘッドギアは自身の全体形状を比較的良好に保持できない可能性がある。第2の可撓性材料6008および接着部が比較的肉厚である場合、ヘッドギアは自身の形状を良好に保持できるが、硬すぎるため、快適性に乏しくなる。
【0132】
4.4 用語集
本技術の開示目的のため、本技術の特定の形態において、以下の定義のうち1つ以上が適用され得る。本技術の他の形態において、別の定義も適用され得る。
【0133】
4.4.1 一般
空気:本技術の特定の形態において、空気は大気を意味し得、本技術の他の形態において、空気は、他の呼吸可能なガスの組み合わせ(例えば、酸素を豊富に含む大気)を意味し得る。
【0134】
雰囲気:本技術の特定の形態において、「雰囲気」という用語は、(i)治療システムまたは患者の外部、および(ii)治療システムまたは患者を直接包囲するものを意味するものとしてとられるべきである。
【0135】
例えば、加湿器に対する雰囲気湿度とは、加湿器を直接包囲する空気の湿度であり得る(例えば、患者が睡眠をとっている部屋の内部の湿度)。このような雰囲気湿度は、患者が睡眠をとっている部屋の外部の湿度と異なる場合がある。
【0136】
別の例において、雰囲気圧力は、身体の直接周囲または外部の圧力であり得る。
【0137】
特定の形態において、雰囲気(例えば、音響)ノイズは、例えばRPTデバイスから発生するかまたはマスクまたは患者インターフェースから発生するノイズ以外の、患者の居る部屋の中のバックグラウンドノイズレベルとみなすことができる。雰囲気ノイズは、部屋の外のソースから発生し得る。
【0138】
呼吸圧力治療(RPT):雰囲気に対して典型的には正である治療圧力における空気供給の気道入口への付加。
【0139】
経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)療法:治療圧力が患者の呼吸サイクルを通じてほぼ一定である呼吸圧療法。いくつかの形態において、気道への入口における圧力は、呼気時において若干上昇し、吸入時において若干低下する。いくつかの形態において、圧力は、患者の異なる呼吸サイクル間において変動する(例えば、部分的な上側気道妨害の通知の検出に応答して増加され、部分的な上側気道妨害の通知の不在時において低減される)。
【0140】
患者:呼吸疾患に罹患しているかまたはしていない人。
【0141】
自動的な正の気道圧力(APAP)療法:SDB発症の通知の存在または不在に応じて、例えば、呼吸間に最小限界と最大限界との間で治療圧力を自動的に調節することが可能なCPAP療法。
【0142】
4.4.2 顔の解剖学的構造
翼:外部の外壁または各鼻孔の「翼」(複数形:alar)
Alare:鼻翼上の最外側の点。
【0143】
翼曲率(または翼頂)点:各翼の曲線状基準線における最後方点であり、翼および頬の結合によって形成される折り目において見受けられる。
耳介:耳の視認できる部分全体。
【0144】
(鼻)骨格:鼻の骨格は、鼻骨、上顎骨の前頭突起および前頭骨の鼻部分を含む。
【0145】
(鼻)軟骨格:鼻の軟骨格は、中隔軟骨、外側軟骨、大軟骨および小軟骨を含む。
【0146】
鼻柱:鼻孔を分離する皮膚片であり、鼻尖点から上唇へ延びる。
【0147】
鼻柱角度:鼻孔の中点を通じて引かれる線と、鼻下点と交差しつつフランクフルト水平に対して垂直に引かれる線との間の角度。
【0148】
フランクフォート水平面:眼窩縁の最下側点から左耳点へ延びる線。耳点は、ノッチ上側から耳介の耳珠への最も深い点である。
【0149】
眉間:軟組織中に配置され、前額部の正中矢状において最も顕著な点。
【0150】
外側鼻軟骨:軟骨の概して三角形の板。その上側周縁は鼻骨および上顎骨の前頭突起へ取り付けられ、その下側周縁は大鼻翼軟骨へ接続される。
【0151】
唇、下側(下唇中点):
【0152】
唇、上側(上唇点):
【0153】
大鼻翼軟骨:軟骨の板であり、外側鼻軟骨の下側に配置される。これは、鼻孔の前方部分の周囲において曲線状になる。その後端は、3つまたは4つの翼の小軟骨を含む強靱な線維膜により、上顎骨の前頭突起へ接続される。
【0154】
鼻孔(小鼻):概して楕円体の翼穴であり、鼻腔への入口を形成する。鼻孔の単数形は鼻孔(小鼻)である。これらの鼻孔は、鼻隔膜によって分離される。
【0155】
鼻唇溝または鼻唇折り目:皮膚の折り目または溝であり、鼻の各側から口腔の角部へ延びて、頬を上唇から分離させる。
【0156】
鼻唇角:鼻柱と上唇との間の角度であり、鼻下点と交差する。
【0157】
下耳下縁点:耳介の顔の皮膚への取り付けの最低点。
【0158】
下耳上縁点:耳介の顔の皮膚への取り付けの最高点。
【0159】
鼻尖点:鼻の最も突出した点または先端であり、頭部の部分の残り部分の側面図中に確認され得る。
【0160】
人中:鼻隔膜の下側境界から上唇領域中の唇の上部へ延びる正中線溝。
【0161】
ポゴニオン:軟組織上に配置された、顎の最前方中点。
【0162】
鼻梁(鼻):鼻堤は、鼻の正中線隆起であり、セリオンから鼻尖点へ延びる。
【0163】
矢状面:前方(前)から後方(後)へ続く垂直面であり、本体を右半分および左半分に分割する。
【0164】
セリオン:軟組織上に配置された、前頭鼻骨縫合の領域上の最も凹状の点である。
【0165】
中隔軟骨(鼻):鼻中隔軟骨は、隔膜の一部であり、鼻腔の前部分を分割する。
【0166】
鼻翼最下点:翼ベースの下側周縁における点であり、翼ベースは上(上)唇の皮膚と接合する。
【0167】
鼻下点:軟組織上に配置され、鼻柱が正中矢状における上唇と合体する点。
【0168】
スプラメンターレ:下唇中点と軟組織ポゴニオンとの間の下唇の正中線中の最も凹状の点。
【0169】
4.4.3 頭蓋骨の解剖学的構造
前頭骨:前頭骨は、前額部として知られる領域に対応する大型垂直部分である前頭鱗を含む。
【0170】
下顎:下顎は、下側顎部を形成する。オトガイ隆起は、顎部の骨隆起であり、顎を形成する。
【0171】
上顎骨:上顎骨は、上側顎部を形成し、下顎の下側および眼窩の下側に配置される。上顎骨の前頭突起は、鼻の側部によって上方に突出し、その外側境界の部分を形成する。
【0172】
鼻骨:鼻骨は、2つの小さな長方形骨であり、個人によってサイズおよび形態が異なる。鼻骨は、顔の中間部分および上部分に並んで配置され、その接合により鼻の「ブリッジ」を形成する。
【0173】
ナジオン:前頭骨および2本の鼻骨の交差であり、眼と鼻のブリッジの上側との間に直接設けられた凹領域である。
【0174】
後頭骨:後頭骨は、頭蓋の裏および下側部分に配置される。後頭骨は、楕円穴である大後頭孔を含み、この穴を通じて、頭蓋内腔が椎管と連痛する。大後頭孔の後側の曲面板は、後頭鱗である。
眼窩:頭蓋骨中の骨空洞であり、眼球を含む。
【0175】
頭頂骨:頭頂骨は、相互に接合されると頭蓋の頂部および側部を形成する骨である。
【0176】
側頭骨:側頭骨は、頭蓋骨のベースおよび側部上に配置され、こめかみとして知られる顔の部分を支持する。
【0177】
頬骨:顔に含まれる2つの頬骨は、顔の上側部分および外側部分中に配置され、頬の隆起を形成する。
4.4.4 呼吸系の解剖学的構造
【0178】
横隔膜:シート状の筋肉であり、胸郭下部上に延びる。横隔膜は、心臓、肺および肋骨を含む胸腔を腹腔から分離させる。横隔膜が収縮すると、胸腔の容量が増加し、肺中に空気が引き込まれる。
【0179】
喉頭:声帯ひだを収容する喉頭または発声器であり、咽頭の下部(下咽頭)を気管へ接続させる。
【0180】
肺:ヒトにおける呼吸臓器。肺の伝導性ゾーンは、気管、気管支、気管支、および終末細気管支を含む。呼吸ゾーンは、呼吸気管支、肺胞管および肺胞を含む。
【0181】
鼻腔:鼻腔(または鼻窩)は、顔の中央の鼻の上方および後方の空気が充填された大きな空間である。鼻腔は、鼻中隔と呼ばれる垂直フィンによって2つに分割される。鼻腔の側部には、鼻甲介(単数形は「甲介」)または鼻甲介と呼ばれる3つの水平伸長物がある。鼻腔の前方には鼻があり、後方は後鼻孔を介して鼻咽頭内に繋がる。
【0182】
咽頭:鼻腔の直接下側(下方)に配置されかつ食道および喉頭の上方に配置された咽喉の部分。咽頭は、従来から以下の3つの部分へ区分される:鼻咽頭(上咽頭)(咽頭の鼻部分)、中咽頭(中咽頭)(咽頭の口部分)、および咽喉(下咽頭)。
【0183】
4.4.5 材料
シリコーンまたはシリコーンエラストマー:合成ゴム。本明細書において、シリコーンについて言及される場合、液体シリコーンゴム(LSR)または圧縮成形シリコーンゴム(CMSR)を指す。市販のLSRの一形態として、Dow Corningによって製造されるSILASTIC(この登録商標下において販売される製品群に含まれる)がある。別のLSR製造業者として、Wackerがある。他に逆の明記無き限り、例示的形態のLSRのASTMD2240によって測定した場合のショアA(またはタイプA)押込み硬さは、約35~約45である。
【0184】
ポリカーボネート:典型的には、ビスフェノールAカーボネートの透明な熱可塑性ポリマーである。
【0185】
4.4.6 患者インターフェースの様相
窒息防止弁(AAV):マスクシステムの構成要素またはサブアセンブリであり、フェールセーフ様態での雰囲気中への開口により、患者による過度のCO2の再呼吸の危険性を低減させる。
【0186】
肘:角度を通じて角度を変化させるように空気流れ軸を方向付ける導管。1つの形態において、角度はおよそ90度であり得る。別の形態において、角度は、90度未満であり得る。導管は、ほぼ円形の断面を持ち得る。別の形態において、導管は、楕円または矩形の断面を持ち得る。
【0187】
フレーム:フレームは、ヘッドギアを接続する2つ以上の点間の引張荷重を支持するマスク構造を意味するものとしてとられる。マスクフレームは、マスク中の非気密負荷支持構造であり得る。しかし、いくつかの形態のマスクフレームは、気密であってもよい。
【0188】
ヘッドギア:ヘッドギアは、頭部上において使用されるように設計された、1つの形態の位置決めおよび安定化構造を意味するものとしてとられる。上記したものに追加してまたは代替して、ヘッドギアは、患者インターフェースを呼吸治療の送達のために患者の顔上の所定位置に配置および保持するように構成された1つ以上の支柱、タイおよび補剛材の集合を含み得る。いくつかのタイは、柔らかい可撓性の弾性材料(例えば、発泡材料および/または織物の層状複合材)によって形成され得る。
【0189】
膜:膜は、典型的には肉薄の要素を意味するものとしてとられ、好適には屈曲に対して実質的に抵抗せずかつ伸縮に対しては抵抗する。
【0190】
プレナムチャンバ:マスクプレナムチャンバは、空間の容積を少なくとも部分的に封入する壁を有する患者インターフェースの一部を意味するものとしてとられ、容積中の空気は、加圧されて使用時において気圧を超える。シェルは、マスクプレナムチャンバの壁の一部を形成し得る。
【0191】
密閉:名詞(「密閉」)の場合、2つの表面のインターフェースを通過する空気流れに意図的に抵抗する構造または障壁を意味するものとしてとられる。動詞(「密閉する」)の場合、空気流れに抵抗することを意味する。
【0192】
シェル:シェルは、屈曲、引っ張りおよび圧縮剛性を有する曲線状の比較的肉薄構造を意味するものとしてとられる。例えば、マスクの曲線状構造壁は、シェルであり得る。いくつかの形態において、シェルはファセットされ得る。いくつかの形態において、シェルは気密であり得る。いくつかの形態において、シェルは気密でない場合もある。
【0193】
補剛材:補剛材は、別の構成要素の剛軟度を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造構成要素を意味するものとしてとられる。
【0194】
支柱:支柱は、別の構成要素の圧縮抵抗を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造構成要素を意味するものとしてとられる。
【0195】
回り継ぎ手:(名詞)構成要素のサブアセンブリであり、共通軸の周囲において好適には独立して好適には低トルク下において回転するように構成される。1つの形態において、回り継ぎ手は、少なくとも360度の角度で回転するように構成され得る。別の形態において、回り継ぎ手は、360度未満の角度で回転するように構成され得る。空気送達導管の文脈において用いられる場合、構成要素のサブアセンブリは好適には、一対組み合わせの円筒導管を含む。使用時において、回り継ぎ手からの空気漏れはほとんど無い。
【0196】
タイ:タイは、引っ張りに抵抗するように設計された構造構成要素としてとられる。
【0197】
通気:(名詞)マスクまたは導管の内部の周囲空気への空気流れを可能にする構造であり、吐き出されたガスの臨床的に有効な洗い流しを可能にする。例えば、臨床的に有効な洗い流しにおいては、約10リットル/分~約100リットル/分の流量がマスク設計および治療圧力に応じて用いられ得る。
【0198】
4.4.7 患者インターフェースに関連して用いられる用語
(表面の)曲率:サドル形状を有する表面の領域であり、1方向において上方に曲線状になり、異なる方向において下方に曲線状になり、負の曲率を持つと言われる。ドーム形状を有する表面の領域であり、2つの主要方向において同一方向に曲線状になり、正の曲率を持つと言われる。平坦な表面は、ゼロ曲率を持つものとしてとられる。
【0199】
フロッピー:以下のうち1つ以上を有する材料、構造または複合体の質。
・指圧力に容易に適合する。
・自重を支持させると、自身の形状を保持できなくなる。
・非剛性。
・僅かな力で弾性的に伸縮または屈曲させることができる。
【0200】
「フロッピーである」とは、関連付けられた方向を持ち得るため、特定の材料、構造または複合体は、第1の方向においてはフロッピーであり得るが、第2の方向(例えば、第1の方向に直交する第2の方向)においては硬いかまたは剛性であり得る。
【0201】
弾力性:1秒などの比較的短期間内において、実質的に弾性変形することができ、負荷を受けるとそのエネルギーの実質的に全てを解放させることができる。
【0202】
剛性:患者インターフェースを患者気道への入口に対して密閉関係を持つように設定および維持する際に遭遇することの多い指圧力および/または引っ張りまたは負荷に屈して容易に変形しないこと。
【0203】
半剛性:呼吸圧力治療時において付加されることの多い機械的力下において実質的に歪まないような充分な剛性のあることを意味する。
【0204】
4.4.8 曲率
本技術による製品は、1つ以上の実際の三次元構造(例えば、マスククッションまたはインペラ)を含み得る。三次元構造は、二次元表面によって制限され得る。これらの表面は、関連付けられた表面の方向、位置、機能または他の何らかの特性を記述するためのラベルを用いて区別され得る。例えば、構造は、前表面、後表面、内面及び外面のうち1つ以上を含み得る。別の例において、クッション構造は、顔を含む(例えば、外側の)表面と、別個の顔を含まない(例えば、下側または内側の)表面を含み得る。別の例において、構造は、第1の表面および第2の表面を含み得る。
【0205】
三次元構造の形状および表面の説明を容易にするために、構造の表面を通じた点pにおける断面について先ず検討する。
図3B~
図3Fを参照されたい。
図3B~
図3Fは、表面上における点pにおける断面例と、その結果得られる平面曲線の例とを示す。
図3B~
図3Fは、pにおける外向き法線ベクトルも示す。pにおける外向き法線ベクトルは、表面から離隔方向に延びる。いくつかの例において、架空の小さな人が表面上に直立している観点から、この表面について説明する。
【0206】
4.4.8.1 一次元における曲率
pにおける平面曲線の曲率は、符号(例えば、正、負)および大きさ(例えば、pにおいて曲線に接する円形の1/半径)を持つものとして記述され得る。
【0207】
正の曲率:pにおける曲線が外向き法線に向かって曲がる場合、その点における曲率は、正の値を持つものとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、上り坂を歩行する必要がある)。
図3B(
図3Cと比較して比較的大きな正の曲率)および
図3C(
図3Bと比較して比較的小さな正の曲率)を参照されたい。このような曲線を、凹状と呼ぶことが多い。
【0208】
ゼロ曲率:pにおける曲線が直線である場合、曲率はゼロとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、上向きでも下向きでもない水平面を歩行することができる)。
図3Dを参照されたい。
【0209】
負の曲率:pにおける曲線が外向き法線から離隔方向に曲がる場合、その点およびその方向における曲率は、負の値を持つものとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、下り坂を歩行する必要がある)。
図3E(
図3Fと比較して比較的小さな負の曲率)および
図3F(
図3Eと比較して比較的大きな負の曲率)を参照されたい。このような曲線は、凸状と呼ばれることが多い。
【0210】
4.4.8.2 二次元表面の曲率
本技術による二次元表面上の所与の点における形状の記述は、複数の垂直断面を含み得る。複数の断面は、外向き法線(「法平面」)を含む面において表面を切断し得、各断面は、異なる方向においてとられ得る。各断面の結果、対応する曲率を有する平面曲線が得られる。その点における異なる曲率は、同一符号または異なる符号を持ち得る。その点における曲率はそれぞれ、(例えば、比較的小さな)大きさを有する。
図3B~
図3F中の平面曲線は、特定の点におけるこのような複数の断面の例であり得る。
【0211】
主要な曲率および方向:曲線の曲率が最大値および最小値をとる法平面の方向を主要な方向と呼ぶ。
図3B~
図3Fの例において、最大曲率は
図3Bにおいて発生し、最小は
図3Fにおいて発生するため、
図3Bおよび
図3Fは、主要な方向における断面である。pにおける主要な曲率は、主要な方向における曲率である。
【0212】
表面の領域:表面上の1組の点。領域内のこの1組の点は、類似の特性(例えば、曲率または符号)を持ち得る。
【0213】
サドル領域:(上り坂または下り坂を歩行し得る架空の人が向く方向に応じて)各点において主要な曲率が反対の符号(すなわち、片方が正の符号および他方が負の符号)を有する領域。
【0214】
ドーム領域:各点において主要な曲率が同一符号(双方とも正(「凹状ドーム」)または双方とも負(「凸状ドーム」))を持つ領域。
【0215】
円筒領域:1つの主要な曲率がゼロ(または例えば製造交差内のゼロ)をとり、他方の主要な曲率が非ゼロである領域。
【0216】
平面領域:主要な曲率双方がゼロであるか(または例えば製造交差内のゼロである)表面の領域。
【0217】
表面の縁部:表面の境界または限界。
【0218】
経路:本技術の特定の形態において、「経路」は、数学的‐トポロジー的意味合いにおける経路(例えば、表面上におけるf(0)からf(1)への連続空間曲線)を意味するものとしてとられる。本技術の特定の形態において、「経路」は、例えば表面上の1組の点を含むルートまたはコースとして記述され得る。(架空の人の経路は、表面上において歩行する場所であり、庭の経路に類似する)。
【0219】
経路長さ:本技術の特定の形態において、「経路長さ」とは、表面に沿ったf(0)からf(1)への距離(すなわち、表面上の経路に沿った距離)を指すものとしてとられる。表面上の2つの点間において1つよりも多くの経路があり得、このような経路は、異なる経路長さを持ち得る。(架空の人の経路長さは、表面上を経路に沿って歩行する距離である)。
【0220】
直線距離:直線距離は、表面上の2つの点間の距離であるが、表面は考慮しない。平面領域上において、表面上の2つの点間の直線距離と同一の経路長さを有する表縁上の距離がある。非平面表面上において、2つの点間の直線距離と同一の経路長さを有する経路は存在し得ない。(架空の人にとって、直線距離は、「カラスが飛ぶ」距離に対応する)。
【0221】
4.5 他の注意事項
本特許文書の開示の一部は、著作権保護が与えられる内容を含む。著作権所有者は、何者かが本特許文書または本特許開示をファックスにより再生しても、特許庁の特許ファイルまたは記録に記載されるものであれば目的のものであれば異論は無いが、その他の目的については全ての著作権を保持する。
【0222】
他に文脈から明確に分かる場合および一定の範囲の値が提供されていない限り、下限の単位の1/10、当該範囲の上限と下限の間、および記載の範囲の他の任意の記載の値または介入値に対する各介入値は本技術に包含されることが理解される。介入範囲中に独立的に含まれるこれらの介入範囲の上限および下限が記載の範囲における制限を特に超えた場合も、本技術に包含される。記載の範囲がこれらの制限のうち1つまたは双方を含む場合、これらの記載の制限のいずれかまたは双方を超える範囲も、本技術に包含される。
【0223】
さらに、本明細書中に値(単数または複数)が本技術の一部として実行される場合、他に明記無き限り、このような値が近似され得、実際的な技術的実行が許容または要求する範囲まで任意の適切な有効桁までこのような値を用いることが可能であると理解される。
【0224】
他に明記しない限り、本明細書中の全ての技術用語および科学用語は、本技術が属する分野の当業者が一般的に理解するような意味と同じ意味を持つ。本明細書中に記載の方法および材料に類似するかまたは等しい任意の方法および材料を本技術の実践または試験において用いることが可能であるが、限られた数の例示的方法および材料が本明細書中に記載される。
【0225】
特定の材料が構成要素の構築に好適に用いられるものとして記載されているが、特性が類似する明白な代替的材料が代替物として用いられる。さらに、それとは反対に記載無き限り、本明細書中に記載される任意および全ての構成要素は、製造可能なものとして理解されるため、集合的にまたは別個に製造され得る。
【0226】
本明細書中及び添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形である「a」、「an」および「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されない限り、その複数の均等物を含む点に留意されたい。
【0227】
本明細書中に記載される公開文献は全て、これらの公開文献の対象である方法および/または材料の開示および記載、参考のために援用される。本明細書中に記載の公開文献は、本出願の出願日前のその開示内容のみのために提供するものである。本明細書中のいずれの内容も、本技術が先行特許のためにこのような公開文献に先行していない、認めるものと解釈されるべきではない。さらに、記載の公開文献の日付は、実際の公開文献の日付と異なる場合があり、個別に確認が必要であり得る。
【0228】
詳細には、「comprises」および「comprising」という用語は、要素、構成要素またはステップを非排他的な意味合いで指すものとして解釈されるべきであり、記載の要素、構成要素はステップが明記されていない他の要素、構成要素またはステップと共に存在、利用または結合され得ることを示す。
【0229】
詳細な説明において用いられる見出しは、読者の便宜のためのものであり、本開示または特許請求の範囲全体において見受けられる内容を制限するために用いられるべきではない。これらの見出しは、特許請求の範囲または特許請求の範囲の制限の範囲の解釈において用いられるべきではない。
【0230】
本明細書中の技術について、特定の実施形態を参照して述べてきたが、これらの実施形態は本技術の原理および用途を例示したものに過ぎないことが理解されるべきである。いくつかの場合において、用語および記号は、本技術の実施に不要な特定の詳細を示し得る。例えば、「第1の」および「第2の」(など)という用語が用いられるが、他に明記無き限り、これらの用語は任意の順序を示すことを意図しておらず、別個の要素を区別するために用いられる。さらに、本方法におけるプロセスステップについての記載または例示を順序付けて述べる場合があるが、このような順序は不要である。当業者であれば、このような順序が変更可能でありかつ/またはその様態を同時にまたはさらに同期的に行うことが可能であることを認識する。
【0231】
よって、本技術の意図および範囲から逸脱することなく、例示的な例において多数の変更例が可能であり、また、他の配置構成が考案され得ることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0232】
1000 患者
3000 患者インターフェース
3100 密閉形成構造
3200 プレナムチャンバ
3300 位置決めおよび安定化構造
3400 通気
3600 接続ポート
3700 前額支持部
4000 RPTデバイス
4170 空気回路
6000 ヘッドギア
6002 ストラップ
6002a ストラップ
6002b ストラップ
6004 第1の可撓性材料
6006 長細縁部
6007 第2の長細縁部
6008 第2の可撓性材料
6010 V字型折り目
6012 第3の可撓性材料
6014 第4の可撓性材料
6016 接続部
6018 穴
6020 ストラップ
6022 呼吸マスク
6026 別の第2の可撓性材料
6028 接着フィルム
6030 メッシュ材料
6032 第1の可撓性ストラップ部分
6034 第2の可撓性ストラップ部分
6036 交差
6038 第1の層
6040 第2の層
6042 第3の層
6044 接着部
6046 Y字形状の外形
6048 フック材料
6050 弾性材料
6052 ストラップ部
6054 比較的大きな開口部
6056 比較的密な織り方
6058 中間開口部
6060 第1の縁部
6062 第2の縁部
6064 第3の縁部
6066 第4の縁部
6068 左クラウンピース
6070 右クラウンピース
6072 上クラウンピース
6074 左下ストラップピース
6076 左上ストラップピース
6078 右下ストラップピース
6080 右上ストラップピース
6082 接合部
6082a 上側接合部
6082b 下側接合部
6084 余分な材料
6086 縁部
6088 開口部
6090 最終接合部
7000 中間ストラップ配置
7002 実質的にT字型部分
7004 ループ