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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】端子台
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/00 20060101AFI20231121BHJP
【FI】
H01R9/00 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021208008
(22)【出願日】2021-12-22
(65)【公開番号】P2023092792
(43)【公開日】2023-07-04
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】坂上 僚
(72)【発明者】
【氏名】村田 遼介
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-195121(JP,A)
【文献】特開平10-228958(JP,A)
【文献】特開2019-169278(JP,A)
【文献】特開2021-150149(JP,A)
【文献】特開2013-45601(JP,A)
【文献】特開平6-76873(JP,A)
【文献】特開2019-106315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/00
H01R 9/15-9/28
F16B 5/00-5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体が収容される本体部と、
前記本体部に突出形成され、被取付体に締結部材を介して締結固定される取付部と、
前記取付部を前記締結部材により前記被取付体に締結する際に、前記被取付体の位置決め部に当接して前記本体部の位置決めをする回転規制部と、
を備え、
前記取付部は、前記回転規制部の前記位置決め部に当接する側の根元部分に凹部を有し、
前記凹部には、アール面が少なくとも前記回転規制部の根元部分側に形成され
前記回転規制部は、前記本体部の側壁と前記取付部の上面と下面のいずれか一方の面との間に三角板状に形成された補強リブであり、
前記凹部は、前記三角板状の補強リブの前記位置決め部に当接する側の根元部分に沿って形成された逃がし長溝である、
端子台。
【請求項2】
前記締結部材は、ボルトであり、
前記取付部は、前記ボルトが挿通されるボルト挿通孔を有したフランジ部である、請求項に記載の端子台。
【請求項3】
前記ボルト挿通孔には、円筒状で金属製のカラーが嵌合されている、請求項に記載の端子台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子台に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、導体としての端子を収容した合成樹脂製の端子台本体部としてのハウジングを被取付体である締結相手部材にボルトの締結により取り付け固定するようにした端子台が特許文献1に開示されている。この特許文献1に記載の端子台は、ハウジングの外縁部に一対の取付フランジが形成されている。この取付フランジは、その先端部に形成されたボルト挿通孔に金属製のカラーが圧入により固定されている。そして、このカラーにボルトを挿入し、被取付体のボルト孔に締め込むことにより、端子台が被取付体に取り付けられて固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-42109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の端子台では、ハウジングと取付フランジとの間に補強リブが設けられていないため、取付フランジの強度を確保することが難しい。また、取付フランジをボルトにより被取付体に締結する際に、取付フランジが締結方向へ供回りするため、被取付体に対する端子台の位置決めが難しく、組み付け作業性が悪い。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、取付部を締結部材により被取付体に締結する際に、取付部の供回りを防いで被取付体に対して本体部を正確に位置決めすることができ、組み付け作業性及び取付部の強度を向上させることができる端子台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る端子台は、導体が収容される本体部と、前記本体部に突出形成され、被取付体に締結部材を介して締結固定される取付部と、前記取付部を前記締結部材により前記被取付体に締結する際に、前記被取付体の位置決め部に当接して前記本体部の位置決めをする回転規制部と、を備え、前記取付部は、前記回転規制部の前記位置決め部に当接する側の根元部分に凹部を有し、前記凹部には、アール面が少なくとも前記回転規制部の根元部分側に形成されているものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、取付部を締結部材により被取付体に締結する際に、取付部の供回りを防いで被取付体に対して本体部を正確に位置決めすることができ、組み付け作業性及び取付部の強度を向上させることができる端子台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る端子台の一例を示す部分底面図である。
図2】上記端子台のフランジ部の周辺を裏側から見た斜視図である。
図3図2中II部分の拡大斜視図である。
図4】上記フランジ部の周辺の底面図である。
図5図4中IV-IV線に沿う断面図である。
図6】上記フランジ部の締結時の状態を示す平面図である。
図7A図6中VII-VII線に沿う断面図である。
図7B】参考例の図6中VII-VII線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係る端子台について詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明の実施形態に係る端子台の一例を示す部分底面図である。図2は端子台のフランジ部の周辺を裏側から見た斜視図である。図3図2中II部分の拡大斜視図である。図4はフランジ部の周辺の底面図である。図5図4中IV-IV線に沿う断面図である。図6はフランジ部の締結時の状態を示す平面図である。図7A図6中VII-VII線に沿う断面図である。
【0011】
図1に示すように、端子台10は、本体部11と、この本体部11の上面開口を覆うカバー12と、本体部11に一体突出形成されたフランジ部(取付部)14と、を備えている。また、本体部11は、電池パック(不図示)に取り付けられた板金(被取付体)20にボルト30で締結する際に、本体部11の位置決めをする補強リブ(回転規制部)18を備えている。
【0012】
図1に示すように、本体部11とカバー12は、ブロック状の絶縁樹脂材から成り、本体部11とカバー12間の内部に端子(導体)13Aとバスバー(導体)13Bが収容されている。端子13Aとバスバー13Bは、導電性の金属である銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等により形成されており、端子13Aの折り曲げ部13aにバスバー13BがボルトBとナットNで接続されている。また、端子13Aの電線圧着部13cには、電線19の芯線19aが圧着接続されている。
【0013】
フランジ部14は、本体部11の両側面の各側壁11aに一対それぞれ一体突出形成され、締結相手部材としての板金(被取付体)20にボルト(締結部材)30を介して締結固定されるようになっている。ボルト30は、ヘッド部30aと、板金20に形成されたボルト貫通孔21に挿通されるシャンク部30bと、を有する。そして、図2に示すように、フランジ部14は、電池パックの板金20にボルト貫通孔21を介してボルト30とナット31で締結されて固定される。なお、図2及び図6中符号14aは、ナット31が配置されるフランジ部14の上面(表面)を示す。
【0014】
図2図3に示すように、フランジ部14は、下面(裏面)14bに逃がし長溝(凹部)15を有する。この逃がし長溝15は、補強リブ18の後述する板金20の位置決め部としての突出片部22に接触する側の根元部分18aに沿って形成されている。逃がし長溝15の周縁には、R面(アール面)15aが形成されている。
【0015】
さらに、フランジ部14は、中央に締結固定用のボルト30が挿通される円形のボルト挿通孔16を有している。この円形のボルト挿通孔16には、円筒状で金属製のカラー17が圧入により固定されている。そして、図2に示すように、フランジ部14の下面14b側よりボルト30のシャンク部30bが板金20のボルト貫通孔21に挿通され、フランジ部14をボルト30により板金20に締結する際に、カラー17が板金20に当接するようになっている。
【0016】
図2図3に示すように、補強リブ(回転規制部)18は、本体部11の側壁11aとフランジ部14の下面14bとの間に三角板状に形成されている。この補強リブ18は、フランジ部14をボルト30により電池パックの板金20に締結する際に、板金20の突出片部(位置決め部)22に接触(当接)して本体部11の位置決めする機能を有する。また、補強リブ18は、フランジ部14を補強する機能を有する。さらに、フランジ部14の下面14bの補強リブ18の根元部分18aにある逃がし長溝15の周縁に形成されたR面15aは、補強リブ18を補強する機能を有する。
【0017】
以上実施形態の端子台10によれば、図6図7Aに示すように、フランジ部14をボルト30により電池パックの板金20に締結する際に、補強リブ18が板金20の突出片部22に接触することで、フランジ部14の回り(供回り)を防止することができる。この供回り防止により、電池パックの板金20に対して本体部11を正確に位置決めすることができ、組み付け作業性を向上させることができる。また、補強リブ18の根元部分18aのフランジ部14の下面14bに逃がし長溝15を有し、この逃がし長溝15の周縁にR面15aを形成したことにより、補強リブ18の強度を向上させることができる。
【0018】
ここで、前記実施形態の優位性を説明するために、図7Bに参考例を示す。図7Bは参考例の図6中VII-VII線に沿う断面図である。
【0019】
この参考例として示す端子台は、補強リブ18の根元部分18aのフランジ部14の下面14bに逃がし長溝15が形成されておらず、補強リブ18の根元部分18aがR面に形成されている点が、前記実施形態と異なり、他の構成は前記実施形態と同様である。従って、同一構成部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0020】
この参考例の場合もフランジ部14を電池パックの板金20にボルト締結する。この際に、補強リブ18が電池パックの板金20の突出片部22に接触することにより、フランジ部14の供回りを防いで、電池パックの板金20に対する本体部11の位置が決まる構造になっている。しかしながら、ボルト締結時に、電池パックの板金20の突出片部22が補強リブ18の側面18bよりも先にR面形状の根元部分18aと接触してしまい、位置決めとしての機能が損なわれ、電池パックの板金20に対して正確に位置決めされない問題がある。また、根元部分18aをR面形状にしないと、補強リブ18の強度が損なわれる問題がある。
【0021】
前記実施形態の端子台10では、前記参考例の問題点を解消することができる。すなわち、図1図6図7Aに示すように、フランジ部14をボルト30により電池パックの板金20に締結する際に、フランジ部14が締結方向Lへ回転した場合でも、補強リブ18の側面18bが電池パックの板金20の突出片部22に接触する。この接触により、フランジ部14の供回りを防止することができると共に、板金20に対して本体部11を正確に位置決めすることができ、よって、組み付け作業性を向上させることができる。
【0022】
また、補強リブ18の根元部分18aにR面15aを形成することが可能となるため、補強リブ18の強度を向上させることができる。
【0023】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0024】
すなわち、前記実施形態によれば、樹脂製のフランジ部のボルト挿通孔に金属製のカラーを圧入により固定しているが、フランジ部にカラーをインサート成形により固定しても良い。
【0025】
また、前記実施形態によれば、本体部のフランジ部を電池パックの板金にボルト締結したが、締結相手部材(被取付体)は、電池パックの板金に限らず、車体パネル等の他の相手部材でも良い。
【符号の説明】
【0026】
10 端子台
11 本体部
11a 側壁
13A 端子(導体)
13B バスバー(導体)
14 フランジ部(取付部)
14b 下面
15 逃がし長溝(凹部)
15a R面(アール面)
16 ボルト挿通孔
17 円筒状で金属製のカラー
18 補強リブ(回転規制部)
18a 根元部分
20 電池パックの板金(被取付体)
22 突出片部(位置決め部)
30 ボルト(締結部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B