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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】入力デバイス
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/24 20140101AFI20231121BHJP
   G06F 3/02 20060101ALI20231121BHJP
   G06F 3/0338 20130101ALI20231121BHJP
【FI】
A63F13/24
G06F3/02 400
G06F3/02 E
G06F3/0338 413
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021211418
(22)【出願日】2021-12-24
(62)【分割の表示】P 2020525802の分割
【原出願日】2019-06-20
(65)【公開番号】P2022051737
(43)【公開日】2022-04-01
【審査請求日】2022-05-16
(31)【優先権主張番号】P 2018117877
(32)【優先日】2018-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 正穂
(72)【発明者】
【氏名】野久尾 太一
【審査官】上田 泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-296247(JP,A)
【文献】特開平09-244803(JP,A)
【文献】登録実用新案第3108313(JP,U)
【文献】特開平09-167050(JP,A)
【文献】特開2007-083013(JP,A)
【文献】特開2008-217734(JP,A)
【文献】国際公開第1996/036060(WO,A1)
【文献】ちーたー[cheater],N64コントローラー 分解・清掃するよ~ N64 controller disassembly / cleaning,YouTube [online] [video],2018年03月10日,[2023年6月26日検索],インターネット<URL:https://www.youtube.com/watch?v=3tsuSERuPgo>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/24 ー 13/245
G06F 3/02
G06F 3/0338
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に配置されている第1操作部材と、
下面に配置され、軸線を中心として動くことができる第2操作部材と、
前記第2操作部材の動きを検知するためのセンサと、
回路基板と
を有している入力デバイスであって、
前記第2操作部材は、前記下面から下方に突出しユーザの指で押される被押圧面と、前記センサを押すための押圧面とを有し、
前記被押圧面は、前記軸線に対して下方に位置し、前記被押圧面が形成されている部分は、前記軸線を通り且つ前記回路基板に対して垂直な第1の直線と交差し、
前記被押圧面は、前記入力デバイスの左右方向と前後方向の双方に対して傾斜し且つ前記下面に沿った第1の方向に向いており、
前記押圧面は、前記軸線から前記第1の方向とは反対方向に離れており、
前記センサは、前記軸線を通り且つ前記回路基板に沿った第2の直線より上方に位置している
入力デバイス。
【請求項2】
前記押圧面は前記センサの下方に位置し、上方に向いている
請求項1に記載の入力デバイス。
【請求項3】
前記第2操作部材は、前記軸線に位置している支持軸部を有し、
前記支持軸部は、前記軸線を中心に回転するように支持される
請求項1に記載の入力デバイス。
【請求項4】
ハウジングと、前記ハウジング内に配置される部品と、を有し、
前記被押圧面は前記部品の下方に位置し、
前記押圧面の位置は、前記第1の方向において前記部品を超えている
請求項1に記載の入力デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は入力デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ゲーム装置の操作に利用される入力デバイスのなかには、スティックや、ボタン、方向キーなどの複数の操作部材を有するものがある。国際公開第2014/061362号の入力デバイスは右グリップと左グリップとを有し、各グリップの前部の上面と前面とにこのような操作部材が配置されている。
【発明の概要】
【0003】
近年、ゲーム装置の処理能力の向上に伴い、ゲームキャラクタの動きの多様化が可能となってきている。これに伴い、ゲーム装置の入力デバイスにも、多様な操作を可能とすることが求められることがある。
【0004】
本開示で提案する入力デバイスの一例は、上面に配置されている第1操作部材と、下面に配置されている第2操作部材とを有している。前記第2操作部材は前記下面から下方に突出している。前記第2操作部材は、ユーザの指で押される被押圧面を有し、前記被押圧面が前記入力デバイスの前縁の延伸方向に対して傾斜するように配置されている。前記第2操作部材は、前記下面に沿った方向である第1の方向に前記被押圧面が押されて動くことができる。この入力デバイスによると、第2操作部材の存在により、従来よりも多様な操作が可能となる。また、被押圧面の向きをユーザの指の動きに適合させることができる。その結果、ユーザはスムーズに第2操作部材を操作できる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本発明の実施形態である入力デバイスの一例を示す斜視図である。
図2】入力デバイスの下面図である。
図3図2に示すIII-III線での断面図である。
図4図3の拡大図である。
図5】バッテリと、バッテリを保持しているバッテリホルダと、下面ボタン(操作ボタン)の斜視図である。
図6】バッテリと下面ボタン(操作ボタン)との相対的な位置関係を示す平面図であり、バッテリの角と、その下方に位置する下面ボタンの被押圧面とが示されている。
図7】入力デバイスの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、本開示で提案する入力デバイスについて説明する。以下では、一例として、図1等で示す入力デバイス1について説明する。以下の説明では、図1のY1及びY2が示す方向をそれぞれ前方及び後方と称し、図1のZ1及びZ2の示す方向をそれぞれ上方及び下方と称する。また、図2に示すX1及びX2が示す方向をそれぞれ右方及び左方と称する。
【0007】
[全体概要]
入力デバイス1は、例えばゲーム装置の操作に使用される。入力デバイス1は、有線又は無線でゲーム装置と通信可能であり、入力デバイス1に対してなされた操作(ボタン操作など)に応じた信号をゲーム装置に送信する。ゲーム装置は入力デバイス1から受信した信号に基づいて、ゲームを制御する。入力デバイス1は、ゲーム装置とは異なる情報処理装置の入力デバイスとして利用されてもよい。
【0008】
図1に示すように、入力デバイス1は右部10Rと左部10Lとを有している。右部10Rの上面の前側領域と左部10Lの上面の前側領域とに、操作部材が配置されている。具体的は、右部10Rの上面には複数(具体的には、4つ)の操作ボタン11が配置されている。4つの操作ボタン11は、十字形状の端部に配置されている。また、左部10Lの上面には、半径方向に傾けたり、半径方向にスライドできる方向キー12が配置されている。また、入力デバイス1は、右部10Rと左部10Lとの間に位置している操作スティック13を有している。操作スティック13は、その半径方向に倒す操作や、押下操作が可能である。入力デバイス1は、操作ボタン11と方向キー12との間に位置する操作パッド18を有している。操作パッド18はタッチセンサを有している。入力デバイス1は、右部10Rの前部と左部10Lの前部との間に位置する中央部10Eを有し、操作パッド18は中央部10Eに設けられている。右部10Rの前面には、上下方向で並んでいる操作ボタン14、15が配置されている。同様に、左部10Lの前面には、上下方向で並んでいる操作ボタン14、15が配置されている。操作部材の種類や配置や、入力デバイスの形状は、入力デバイス1の例に限られない。
【0009】
右部10Rと左部10Lのそれぞれはグリップ部10Bを有している。グリップ部10Bは、操作ボタン11や方向キー12などの操作部材が設けられた領域(水平な領域)より後方に位置している。入力デバイス1の例では、グリップ部10Bは中央部10Eの後縁よりも後方に伸びている。入力デバイスの形状は、入力デバイス1で表す例に限られない。例えば、グリップ部10Bは、中央部10Eの後縁よりも後方に伸びていなくてもよい。
【0010】
図1に示すように、入力デバイス1は、その外装を構成するハウジング17を有している。上述した複数の操作部材(操作ボタン11、14、15、操作スティック13、方向キー12)は、ハウジング17に形成された開口に配置されている。ハウジング17内には、入力デバイス1を制御する制御回路等が実装された回路基板52(図3参照)が配置されている。入力デバイス1の例において、ハウジング17は、左右方向での入力デバイス1の中心線C1に対して左右対称である。入力デバイス1の例とは異なり、ハウジング17の形状は、左右対称でなくてもよい。
【0011】
[下面ボタン]
図2に示すように、入力デバイス1の下面17aには、操作ボタン31R、31Lが設けられている。入力デバイス1の例では、右側の操作ボタン31Rと、左側の操作ボタン31Lとが下面17aに設けられている。以下では、操作ボタン31R、31Lを「下面ボタン」と称する。また、2つの下面ボタン31R、31Lの双方に共通する説明においては、2つの下面ボタン31R、31Lの双方について、符号31を用いる。
【0012】
図3に示すように、下面ボタン31は入力デバイス1の下面17a(ハウジング17の下面)から下方に突出している。下面ボタン31は、その前側に、ユーザの指で押される被押圧面31aを有している。入力デバイス1の例において、被押圧面31aは、下面17aに対して概ね垂直な角度θ1を有している。角度θ1(図4参照)は90度より大きくてもよいし、90度よりも小さくてもよい。
【0013】
下面ボタン31は、被押圧面31aが下面17aに沿った方向D1(図4参照)に指で押されることによって動く。言い換えると、入力デバイス1の下面視において、下面17aに沿った方向D1に下面ボタン31は動く。後において説明するように、下面ボタン31は、支持軸部32(図5参照)を介して支持されており、支持軸部32の軸線Ax1(図4参照)を中心とした円弧に沿って動く。
【0014】
このような下面ボタン31の存在により、従来よりも多様な操作が可能となる。例えば、入力デバイス1の上面に配置される操作部材(例えば、操作スティック13)を親指で操作しながら、或いは、入力デバイス1の前面に配置される操作部材(例えば、操作ボタン14、15)を人差し指で操作しながら、中指で下面ボタン31を操作することが可能となる。その結果、ゲームにおける操作対象(例えば、ゲームキャラクタ)の操作性を向上できる。
【0015】
[下面ボタンの向き]
図2に示すように、被押圧面31aは、入力デバイス1の左右方向と前後方向の双方に対して傾斜した方向に向いており、下面ボタン31は、左右方向と前後方向の双方に対して傾斜した方向に動く。詳細には、右手で操作される下面ボタン31(右側の下面ボタン31R)の被押圧面31aは、入力デバイス1の下面視において、斜め前方且つ左方に向いている。すなわち、被押圧面31aに垂直な直線は、入力デバイス1の下面視において、斜め前方且つ左方に伸びている。そして、被押圧面31aが指で押されたとき、右側の下面ボタン31Rは、入力デバイス1の下面視において斜め後方且つ右方に動く。同様に、左手で操作される下面ボタン31(左側の操作ボタン31L)の被押圧面31aは、入力デバイス1の下面視において、斜め前方且つ右方に向いている。そして、被押圧面31aが指で押されたとき、左側の下面ボタン31Lは、入力デバイス1の下面視において斜め後方且つ左方に動く。以下の説明において、被押圧面31aが向いている方向(図4においてD2の方向)を、「ボタン前方」と称し、下面ボタン31が押されて動く方向(図4においてD1の方向)を、「ボタン後方」と称する。
【0016】
図2に示すように、入力デバイス1は、左右方向に沿った前縁10aと、左右方向に沿った後縁10bとを有している。入力デバイス1の例において、前縁10aと後縁10bは、入力デバイス1の右部10Rと左部10Lとの間に位置する中央部10Eに設けられた縁である。入力デバイス1の下面視において、被押圧面31aは、前縁10aに対して傾斜している。また、被押圧面31aは後縁10bに対しても傾斜している。さらに、被押圧面31aは、入力デバイス1の中心線C1(左右方向の中心を通り且つ前後方向に沿った線)に対しても傾斜している。詳細には、右側の下面ボタン31Rの被押圧面31aと前縁10aとの距離は、入力デバイス1の中心線C1に近づくにしたがって大きくなっている。同様に、左側の下面ボタン31Lの被押圧面31aと前縁10aとの距離は、入力デバイス1の中心線C1に近づくにしたがって大きくなっている。
【0017】
下面ボタン31のこのような傾斜配置によって、被押圧面31aの動きが、下面ボタン31を操作する指(例えば、中指)の動きに適合するので、ユーザは下面ボタン31を楽に操作できる。下面ボタン31は、入力デバイス1の下面視において、グリップ部10Bに向かって左右方向と前後方向の双方に対して傾斜した方向で動くことができる。
【0018】
上述したように、入力デバイス1の前面に操作ボタン14、15(図1参照)が設けられている。この操作ボタン14、15は下面ボタン31よりも前方に位置している。操作ボタン14、15の被押圧面(前面)は、下面ボタン31R、31Lの被押圧面31aとは異なり、まっすぐ前方に向いている。
【0019】
[下面ボタンの位置]
上述したように、入力デバイス1は、中心線C1に対して右側に配置される下面ボタン31Rと、中心線C1に対して左側に配置される下面ボタン31Lとを有している。図2で示すように、下面ボタン31R、31Lは中心線C1に対して対称に配置されている。より具体的には、2つの下面ボタン31R、31Lの被押圧面31aは、入力デバイス1の下面視において、内側に向いている。すなわち、被押圧面31aに垂直な直線は中心線C1に向かって伸びている。下面ボタン31R、31Lのこの配置によって、ユーザは、例えば右手の中指と左手の中指とで、2つの下面ボタン31R、31Lをそれぞれ操作できる。
【0020】
上述したように、入力デバイス1の上面17gには、複数の操作部材が配置されている。入力デバイス1の例では、図1で示すように、操作スティック13、操作ボタン11、方向キー12が配置されている。これらの操作部材は、ゲームの実行中に操作対象(例えば、ゲームキャラクタ)を操作するための操作部材である。左右の下面ボタン31R、31Lのそれぞれは、これらの操作部材に対して、上下方向において反対側に位置している。具体的には、図3で示すように、右側の下面ボタン31Rは、右側の操作スティック13の反対側に位置し、左側の下面ボタン31Lは、左側の操作スティック13の反対側に位置している。より詳細には、右側の下面ボタン31Rは、右側の操作スティック13の基部に位置する支持機構13aの下方に位置する。同様に、左側の下面ボタン31Lは、左側の操作スティック13の基部に位置する支持機構13aの下方に位置している。下面ボタン31R、31Lのこの配置によると、ユーザによる入力デバイス1の保持の安定性を向上できる。
【0021】
下面ボタン31R、31Lと、他の操作部材との位置関係は、入力デバイス1の例に限られない。例えば、入力デバイス1の上面17gにおいて、操作スティック13は、操作ボタン11や方向キー12よりも前方に配置されてもよい。この場合、例えば右側の下面ボタン31Rは、操作ボタン11の下方に位置してもよい。同様に、左側の下面ボタン31Lは、方向キー12の下方に位置してもよい。
【0022】
[下面ボタンとグリップ部との位置関係]
図2に示すように、右側の下面ボタン31Rと左側の下面ボタン31Lは、左右のグリップ部10Bの内側に配置されている。言い換えると、下面ボタン31R、31Lは、左右のグリップ部10Bから中心線C1に向かって離れている。入力デバイス1の例では、下面ボタン31R、31Lは、入力デバイス1の下面視において、グリップ部10Bの内側の側面を通る直線L2に対して、中心線C1側にずれている。下面ボタン31R、31Lのこの配置によると、下面ボタン31R、31Lが左右のグリップ部10Bから離れているため、下面ボタン31R、31Lを例えば中指で操作しているときに、グリップ部10Bを握ることが容易となる。
【0023】
図2に示すように、グリップ部10Bも中心線C1に対して傾斜している。すなわち、グリップ部10Bの延伸方向D3(グリップ部10Bの側面に沿った方向)は、中心線C1に対して傾斜している。下面ボタン31の被押圧面31aは、グリップ部10Bよりも大きく傾斜している。すなわち、被押圧面31aに垂直な直線と中心線C1とがなす角度θ2(図2参照)は、グリップ部10Bの延伸方向D3と中心線C1となす角度よりも大きい。
【0024】
下面ボタン31R、31Lの配置は、入力デバイス1の例に限られない。例えば、2つの下面ボタン31R、31Lは左右対称には配置されていなくてもよい。例えば、一方の下面ボタンが他方の下面ボタンよりも前方に位置していてもよい。この場合、2つの下面ボタンの被押圧面31aの傾斜は同じでなくてもよい。また、入力デバイスは片手で操作するタイプであってもよい。この場合、入力デバイスの下面には1つの下面ボタンだけが設けられてもよい。
【0025】
[下面の傾斜と下面ボタンの位置]
図4に示すように、下面ボタン31のボタン後方(D1方向)に、スペースS1が形成されている。そのため、下面ボタン31は、被押圧面31aとは反対側に、ハウジング17から露出している露出面31bを有している。ユーザは、下面ボタン31を使用しないときに、下面ボタン31の操作時に使用する指(例えば、中指)を、このスペースS1に置くことができる。こうすることで、下面ボタン31の操作を意図しないときに中指が下面ボタン31を押してしまうことを、防ぐことができる。
【0026】
図3に示すように、右部10Rと左部10Lの後部(グリップ部10B)の下面17cは、後方且つ下方に斜めに伸びている。入力デバイス1の例では、グリップ部10Bの全体が、操作ボタン11や方向キー12などが設けられている上面17g(図1参照)に対して下方に傾斜している。グリップ部10Bの下面17cの最下部17dは、下面ボタン31の下端31fよりも下方に位置している。図4に示すように、グリップ部10Bの下面17cは下面ボタン31の後面(露出面31b)からボタン後方に離れており、入力デバイス1の断面視において、下面ボタン31の露出面31bとグリップ部10Bの下面17cとの間にスペースS1が形成されている。この構造によると、ユーザが、例えば中指を下面ボタン31の後側に配置しているとき、その中指でグリップ部10Bを握ることができる。
【0027】
図4に示すように、グリップ部10Bの下面17cは、下面ボタン31が配置されている開口(ハウジング17に形成されている開口)の縁17eから湾曲しながら下方に伸びている。また、下面ボタン31の露出面31bも湾曲している。詳細には、露出面31bは、前方且つ下方に湾曲しながら伸びている。下面17cの湾曲と露出面31bの湾曲とによって、十分なスペースS1が確保できる。
【0028】
図3に示すように、下面ボタン31は、入力デバイス1の下面17aの前縁から後方に離れている。そのため、下面17aの前部は、下面ボタン31に対してボタン前方(D2(図4)の示す方向)に位置している。言い換えれば、入力デバイス1の前部(より具体的には、中央部10E)は、下面ボタン31に対してボタン前方(D2(図4)の示す方向)に位置している下面17bを有している。この下面17bの存在により、ユーザは、中指を下面17bに沿って動かすことで、被押圧面31aを押すことができる。
【0029】
図3に示すように、中央部10Eの下面17bは、下面ボタン31の位置から斜め前方且つ下方に伸びている。上述したように、グリップ部10Bの下面17cは、下面ボタン31の位置から斜め後方且つ下方に伸びている。下面ボタン31は、グリップ部10Bの下面17cと中央部10Eの下面17bとの間に位置している。言い換えれば、下面ボタン31は、下面ボタン31の移動方向に沿った断面で見たときに(すなわち、図3の断面において)、グリップ部10Bの下面17cの最上部に位置している。下面ボタン31のこの配置によると、グリップ部10Bを握った状態での下面ボタン31の操作が容易となる。
【0030】
上述したように、グリップ部10Bの下面17cの最下部17dは、下面ボタン31の下端31fよりも下方に位置している(図3参照)。入力デバイス1は、その前部にも、下面ボタン31の下端31fよりも下方に位置している部分を有している。例えば、入力デバイス1の前面に設けられている操作ボタン15の下端15a(図7参照)は、下面ボタン31の下端31fよりも下方に位置している。そのため、入力デバイス1を水平面H1(図7参照)に置いたときに、入力デバイス1は下面17cと操作ボタン15の下端15aとによって支持され、下面ボタン31には水平面H1が触れない。その結果、入力デバイス1の不使用時に下面ボタン31に外力が作用することを、抑えることができる。
【0031】
なお、水平面H1に入力デバイス1を置いたときに水平面H1に触れるのは、操作ボタン15でなくてもよい。例えば、ハウジング17の前部に、下面ボタン31の下端31fよりも下方に位置している部分が形成されてもよい。
【0032】
[下面ボタンの支持構造]
図5に示すように、下面ボタン31は、その基部に、支持軸部32を有している。支持軸部32はハウジング17の内側に位置し、回転可能となるように保持されている。このため、下面ボタン31は、支持軸部32の軸線Ax1を中心とする円弧に沿って動くことができる。これによると、下面ボタン31の支持構造を簡素化できる。入力デバイス1の例では、支持軸部32は、下面ボタン31の基部の側部から突出している。入力デバイス1は、支持軸部32を支えるステージ部54aを有している。ステージ部54aは、例えば、バッテリ53を保持するバッテリホルダ54に形成される。支持軸部32は、ハウジング17の内面に形成されている保持部(不図示)と、ステージ部54aとによって上下方向で挟まれ、それらの間で回転可能となっている。
【0033】
下面ボタン31の移動方向(図5のD1-D2方向)は、支持軸部32の軸線Ax1に対して垂直である。入力デバイス1の例において、支持軸部32の軸線Ax1は、入力デバイス1の前後方向と左右方向の双方に対して傾斜している。言い換えれば、支持軸部32の軸線Ax1は、左右方向に沿った前縁10aに対して傾斜している。また、支持軸部32の軸線Ax1は、左右方向に沿った後縁10bに対して傾斜している。軸線Ax1のこのような傾斜によって、被押圧面31aの動きが、下面ボタン31を操作する指(例えば、中指)の動きに適合するので、ユーザは下面ボタン31を楽に操作できる。入力デバイス1の例において、右側の下面ボタン31Rの支持軸部32の軸線Ax1は、前方且つ右方に伸びており、左側の下面ボタン31Lの支持軸部32の軸線Ax1は、前方且つ左方に伸びている。したがって、右側の下面ボタン31Rの支持軸部32の軸線Ax1と、左側の下面ボタン31Lの支持軸部32の軸線Ax1は、それらの間の距離が前方に向かって大きくなるように傾斜している。
【0034】
なお、下面ボタン31の支持構造は、入力デバイス1の例に限られない。例えば、支持軸部32は、ハウジング17とバッテリホルダ54とは異なる部材によって保持されてもよい。さらに他の例では、支持軸部(凸部)は、下面ボタン31ではなく、下面ボタン31を支持する入力デバイス1の本体に形成されてもよい。例えば、支持軸部はバッテリホルダ54やハウジング17に形成されてもよい。この場合、下面ボタン31に、この支持軸部が嵌まる凹部や孔である保持部が形成されてもよい。さらに他の例では、下面ボタン31は、支持軸部を中心とする円弧に沿った動きではなく、D1-D2方向にスライド可能であってもよい。この場合、入力デバイス1は、下面ボタン31の動きを案内するガイドを有し、このガイドが前後方向と左右方向の双方に傾斜した方向に伸びていてもよい。
【0035】
[センサを押すための構造]
図4に示すように、下面ボタン31の被押圧面31aは、支持軸部32の軸線Ax1に対して下方に位置し、ハウジング17の下面17aから下方に突出している。下面ボタン31は押圧面31cを有している。押圧面31cは、ハウジング17内に位置し、支持軸部32の軸線Ax1からボタン後方(D1方向)に離れている。押圧面31cは上方に向いている。言い換えると、押圧面31cは回路基板52と上下方向で向き合っている。
【0036】
図4に示すように、ハウジング17内には、下面ボタン31の動きを検知するためのセンサ55が配置されている。センサ55は、例えば、下面ボタン31の移動量或いは押圧力に応じた信号を出力するセンサ(例えば、感圧センサ)である。この場合、ゲーム機などの情報処理装置では、検知された移動量・押圧力に応じた処理が実行されてよい。他の例では、センサ55としては移動量或いは押圧力に応じた信号を出力するセンサが利用され、移動量・押圧力が閾値より大きいか否かに応じて下面ボタン31の操作(オン・オフ)が検知されてもよい。さらに他の例では、下面ボタン31の移動量或いは押圧力に応じた信号を出力するセンサに替えて、オン/オフ信号を出力するスイッチがセンサ55として配置されてもよい。センサ55は押圧面31cの上方に位置し、押圧面31cとセンサ55は上下方向で向き合っている。下面ボタン31の被押圧面31aが下面17bに沿った方向(D1方向)に押されると、下面ボタン31が軸線Ax1を中心として動き、押圧面31cがセンサ55を上方に押す。
【0037】
下面ボタン31の上述した支持構造によると、下面ボタン31を押す力(D1方向の力)を、センサ55を押す力(上側に向いた力)に変換できる。また、被押圧面31aから押圧面31cまでの距離を調整することによって、ユーザが指で押すための被押圧面31aの位置と、センサ55の位置の双方を適切化できる。
【0038】
図4に示すように、入力デバイス1の例では、下面ボタン31が初期位置(図4で示される位置)にあるときに、押圧面31cはセンサ55に触れている。また、下面ボタン31が初期位置にあるとき、下面ボタン31の端部31gは、ハウジング17に形成された開口の縁17eの上側に位置している。このことによって、下面ボタン31は初期位置に保持されている。下面ボタン31がユーザによって押された後にその押し力が解除されると、下面ボタン31は、例えばセンサ55が有する弾性部材の力によって初期位置に戻る。入力デバイス1は、下面ボタン31を初期位置に戻す専用の弾性部材(例えば、ばねやゴム)を有してもよい。
【0039】
[バッテリと下面ボタンとの位置関係]
入力デバイス1は、回路基板52(図3参照)と、入力デバイス1が有する種々の部品に供給する電気を蓄えるバッテリ53(図3参照)とを有している。図4に示すように、下面ボタン31の被押圧面31aはバッテリ53の下方に位置している。言い換えると、図6に示すように、バッテリ53と操作ボタン31の平面視において、バッテリ53の角部53aと被押圧面31aは重なる。バッテリ53と操作ボタン31のこの配置によると、バッテリ53のサイズを確保しながら、被押圧面31aの位置を適切化できる。
【0040】
図4に示すように、下面ボタン31の押圧面31cは、支持軸部32の径方向、言い換えれば、ボタン後方(D1方向、回路基板52に沿った方向)に被押圧面31aから離れており、バッテリ53の角部53aを超えた位置に形成されている。センサ55はバッテリ53の下面53bよりも高い位置に位置している。また、押圧面31cも、バッテリ53の下面53bよりも高い位置に形成されている。
【0041】
図3に示すように、入力デバイス1の例では、回路基板52の下側に板状のバッテリホルダ54が配置されている。バッテリ53はバッテリホルダ54のさらに下側に配置され、バッテリホルダ54によって保持されている。したがって、図4に示すように、バッテリ53の角部53aは、下面ボタン31の被押圧面31aと回路基板52との間に位置している。
【0042】
また、入力デバイス1の例では、図4に示すように、センサ55はバッテリホルダ54に取り付けられ、回路基板52から下方に離れている。センサ55と回路基板52は、図5に示す電気ケーブル55b(例えば、Flexible Flat Cable)を介して互いに接続される。センサ55のこのような支持構造により、センサ55が例えば回路基板52に直接的に実装されている構造に比して、センサ55と操作ボタン31との距離を小さくできる。入力デバイス1の例とは異なり、センサ55は回路基板52に直接的に実装されてもよい。センサ55は、取付部材57(図4参照)によってバッテリホルダ54の下面に取り付けられている。
【0043】
上述したように、下面ボタン31に2つの支持軸部32が形成されている。図6に示すように、バッテリ53の角部53aは2つの支持軸部32の間に位置している。詳細には、下面ボタン31の基部31dには凹部31eが形成されている。凹部31eは、上方とボタン前方(図4のD2方向)とに向かって開いている。すなわち、凹部31eはバッテリ53に向かって開いている。下面ボタン31の2つの支持軸部32は、この凹部31eを挟んで互いに反対側に形成されている。この凹部31eにバッテリ53の角部53aが入っている。
【0044】
支持軸部32の軸線Ax1はバッテリ53の角部53aと交差している(図4参照)。軸線Ax1とバッテリ53とのこの位置関係によると、例えば軸線Ax1がバッテリ53よりも下方に位置している場合に比して、軸線Ax1の位置が高くなる。その結果、被押圧面31aと軸線Ax1との間の距離を大きくでき、ユーザが下面ボタン31を押すときに下面ボタン31に発生するモーメントを大きくできる。
【0045】
[まとめ]
以上説明したように、入力デバイス1の下面17aには下面ボタン31R、31Lが配置されている。下面ボタン31R、31Lは下面17aから下方に突出している。下面ボタン31R、31Lはユーザの指で押される被押圧面31aを有し、被押圧面31aが入力デバイス1の前縁10aに対して傾斜するように配置されている。下面ボタン31R、31Lは、下面17aに沿った方向であるボタン後方に被押圧面31aが押されて動くことができる。この入力デバイス1によると、従来よりも多様な操作が可能となる。また、この入力デバイス1によると、被押圧面31aの向きをユーザの指の動きに適合させることができる。その結果、ユーザはスムーズに下面ボタン31R、31Lを操作できる。
【0046】
また、下面ボタン31R、31Lに対してボタン後方にはスペースS1が形成されている。これによると、ユーザは、下面ボタン31を使用しないときに、下面ボタン31の操作時に使用する指(例えば、中指)を、スペースS1に置くことができる。こうすることで、下面ボタン31の操作を意図しないときに中指が下面ボタン31を押してしまうことを、防ぐことができる。
【0047】
[変形例]
本開示で提案する入力デバイスは、上述した入力デバイス1に限られない。
【0048】
例えば、下面ボタン31の被押圧面31aの上方に位置している部品(言い換えれば、凹部31eに配置されている部品)は、バッテリ53でなくてもよい。具体的には、回路基板52に実装されるICチップなどの部品が、被押圧面31aの上方に位置してもよい。この場合、ICチップを超えた位置に押圧面31cを形成することによって、被押圧面31aとICチップの双方の位置を最適化できる。他の例として、下面ボタン31に凹部31eは形成されていなくてもよい。この場合、支持軸部32の軸線Ax1はバッテリ53と交差していなくてもよい。例えば、軸線Ax1は、バッテリ53の角部53aの下方に位置したり、バッテリ53の角部53aに対して水平方向(回路基板52に沿った方向)に離れていてもよい。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7