(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】成形用材料、並びに、成形体とその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08L 23/00 20060101AFI20231121BHJP
B29B 9/02 20060101ALI20231121BHJP
B29B 17/00 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
C08L23/00
B29B9/02
B29B17/00 ZAB
(21)【出願番号】P 2021550248
(86)(22)【出願日】2021-06-29
(86)【国際出願番号】 JP2021024441
(87)【国際公開番号】W WO2022004687
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2021-08-27
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2020111681
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100124936
【氏名又は名称】秦 恵子
(72)【発明者】
【氏名】真嶋 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 誠
(72)【発明者】
【氏名】敷地 渉
(72)【発明者】
【氏名】早坂 結科
【合議体】
【審判長】植前 充司
【審判官】中村 和正
【審判官】淺野 美奈
(56)【参考文献】
【文献】特許第6638802(JP,B1)
【文献】特開2013-136792(JP,A)
【文献】特開2010-180318(JP,A)
【文献】特開2008-88326(JP,A)
【文献】特開2020-84049(JP,A)
【文献】特開2019-189861(JP,A)
【文献】特表2019-518805(JP,A)
【文献】特開2009-102633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B9/06
B29B17/00
C08L23/00
B29C48/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン樹脂フィルム(X)層と印刷層とを有する軟包装体由来の再生ポリオレフィン樹脂(Y)を含む成形用材料であって、
再生ポリオレフィン樹脂(Y)は、前記軟包装体のアルカリ処理を含むリサイクルによって得られ、残留アルカリ化合物を含む再生樹脂であり、
前記成形用材料は、フェノール系の酸化防止剤
及びリン系の酸化防止剤
からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤を含み、
再生ポリオレフィン樹脂(Y)は、厚み100μmのフィルム形態での全光線透過率が30%以上であり、
再生ポリオレフィン樹脂(Y)の含有率が、前記成形用材料の全量を基準として50質量%以上である、成形用材料。
【請求項2】
再生ポリオレフィン樹脂(Y)は、メルトマスフローレイトが5~20g/10分である、請求項1に記載の成形用材料。
【請求項3】
ポリオレフィン樹脂フィルム(X)は、メルトマスフローレイトが3~12g/10分である、請求項1又は2に記載の成形用材料。
【請求項4】
さらに、着色剤を含む、請求項1~3いずれか1項に記載の成形用材料。
【請求項5】
請求項1~4いずれか1項に記載の成形用材料からなる、成形体。
【請求項6】
ポリオレフィン樹脂フィルム(X)層と印刷層とを有する軟包装体の裁断物又は破砕物をアルカリ処理して、前記裁断物又は破砕物からポリオレフィン樹脂フィルム(X)片を脱離する工程1と、
ポリオレフィン樹脂フィルム(X)片を水洗浄する工程2と、
ポリオレフィン樹脂フィルム(X)片を加工して、再生ポリオレフィン樹脂(Y)を得る工程3と、
工程3で得られた再生ポリオレフィン樹脂(Y)と少なくとも1種の前記添加剤とを混合する工程とを順次含む、請求項1~4いずれか1項に記載の成形用材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形用材料、並びに、該材料により成形された成形体とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラスチックフィルムからなるパッケージ、プラスチックボトル、及びその他のプラスチック製品は、海洋にゴミとして廃棄・投棄され環境汚染問題となっている。プラスチック製品は海水中で粉砕されてサブミクロンサイズの破片(マイクロプラスチック)となり海水中に浮遊する。マイクロプラスチックは、魚類等の海洋生物に摂取され、その体内中で濃縮される。さらに、海洋生物を食料として摂取する海鳥及び人間等の健康への影響が懸念されている。
【0003】
プラスチック製品としては、ボトル及びキャップ;レジ袋等の単層フィルムの袋;プラスチックフィルムからなる複層構成の食品包装パッケージ等が挙げられる。一般的に、ボトル、キャップ、及び単層フィルムの袋は、主として1種類の樹脂を原料とするモノマテリアルなプラスチック製品であり、リサイクルが比較的容易である。特にポリエステル(PET)製のボトル及びポリスチレン(PS)製の食品トレーは、行政及びスーパー等の小売店での回収システムが構築されており、ボトルtоボトル及びトレーtоトレー等のリサイクルが実現されている。
【0004】
一方、複層構成の食品包装パッケージの場合、フィルム基材として、ポリエステル基材、ナイロン基材(NY)、ポリプロピレン基材(PP)、及びポリエチレン基材(PE)など、種々のプラスチック基材が使用されている。複層構成の食品包装パッケージは、例えば、第1のフィルム基材に対して印刷インキにより印刷を施し、印刷層上に、必要に応じて接着剤層を介して、第2のフィルム基材を貼り合わせた後に、カットし、熱融着して、製造できる。しかしながら、互いに相溶しない複数の異種の材料を含む複層構成の食品包装パッケージは、マテリアルリサイクルが難しい。
【0005】
プラスチック基材としてポリプロピレン等のポリオレフィン基材のみを用いてパッケージを構成し、ポリオレフィン基材をリサイクルする試みが行われている。しかしながら、印刷層及び必要に応じて接着剤層を含むパッケージをそのままリサイクルしても、印刷層及び/又は接着剤層の存在により、黒色及び灰色等の濃色のプラスチック原料しか得られない。PP等のポリオレフィンは、一旦着色されると無色透明化が困難である。用途制限のない無色透明なポリオレフィンをマテリアルリサイクルできることが好ましい。
【0006】
一般的に、印刷層及び/又は接着剤層を含んだ状態でリサイクルされた再生ポリオレフィン樹脂は、印刷層及び/又は接着剤層由来の樹脂成分により物性が低下する傾向がある。この場合、石油由来のバージン樹脂を混合して使用しなければならない。そのため、リサイクル率を向上することが困難である。
【0007】
プラスチック基材と印刷層とを含む積層体からの印刷層除去について、特許文献1には、プラスチック基材上にアクリル系樹脂又はスチレンマレイン酸系樹脂からなる下塗り層を設け、この下塗り層上に配置された表刷り印刷層を、アルカリ水を用いて除去する技術が開示されている。また特許文献2には、酸性基を有するポリウレタン樹脂又はアクリル樹脂をバインダー樹脂として用いたインキを表刷り印刷し、アルカリ水を用いて印刷層を除去する技術が開示されている。
しかしながら、これら特許文献はパッケージ外側の表刷りインキを除去する技術に関し、ラミネート積層体中の印刷層を除去し、複数のフィルム基材同士を剥離させる技術を開示していない。複数のフィルム基材同士を剥離することができない複層構成の食品包装パッケージは、(1)機械物性が低いプラスチック原料、又は(2)濃色のプラスチック原料のいずれかにしかリサイクルできず、高品質なマテリアルリサイクルが難しい。
【0008】
一方、特許文献3には、所定の酸価を有するポリウレタン樹脂を含む脱離層を用いて、表刷り構成又はラミネート構成の積層体から印刷層を脱離する技術が開示されている。
しかしながら、特許文献3には、ラミネート構成の積層体からリサイクルされたポリオレフィン樹脂の、成形用材料としての具体的な利用については開示がなく、再生ポリオレフィン樹脂を含む成形用材料の好適な態様を開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2001-131484号公報
【文献】特開平11-209677号公報
【文献】特開2020-090627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、リサイクル利用率が高く、必要に応じて所望の色に着色でき、様々な用途に使用可能な成形用材料、並びに、該材料により成形されたリサイクル率の高い成形体とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。
本発明は、ポリオレフィン樹脂フィルム(X)層と印刷層とを有する軟包装体由来の再生ポリオレフィン樹脂(Y)を含む成形用材料であって、再生ポリオレフィン樹脂(Y)は、厚み100μmのフィルム形態での全光線透過率が30%以上であり、再生ポリオレフィン樹脂(Y)の含有率が、前記成形用材料の全量を基準として50質量%以上である、成形用材料に関する。
【0012】
本発明は、再生ポリオレフィン樹脂(Y)のメルトマスフローレイトが5~20g/10分である、上記成形用材料に関する。
【0013】
本発明は、ポリオレフィン樹脂フィルム(X)のメルトマスフローレイトが3~12g/10分である、上記成形用材料に関する。
【0014】
本発明は、さらに、マスターバッチ(Z)を含む、上記成形用材料に関する。
【0015】
本発明は、さらに、フェノール系及びリン系からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸化防止剤を含む、上記成形用材料に関する。
【0016】
本発明は、さらに、脂肪酸アミド系、金属石鹸系、及び脂肪酸エステル系からなる群より選ばれる少なくとも1種の滑剤を含む、上記成形用材料に関する。
【0017】
本発明は、さらに、ヒンダードアミン系の耐候安定剤を含む、上記成形用材料に関する。
【0018】
本発明は、さらに、酸価が5mgKOH/g以下のワックスを含む、上記成形用材料に関する。
【0019】
本発明は、さらに、アニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の帯電防止剤を含む、上記成形用材料に関する。
【0020】
本発明は、上記成形用材料からなる成形体に関する。
【0021】
本発明は、
ポリオレフィン樹脂フィルム(X)層と印刷層とを有する軟包装体の裁断物又は破砕物をアルカリ処理して、前記裁断物又は破砕物からポリオレフィン樹脂フィルム(X)片を脱離する工程1と、
ポリオレフィン樹脂フィルム(X)片を水洗浄する工程2と、
ポリオレフィン樹脂フィルム(X)片を加工して、再生ポリオレフィン樹脂(Y)を得る工程3とを順次含む、上記成形用材料の製造方法に関する。
【0022】
本発明は、さらに、工程3で得られた再生ポリオレフィン樹脂(Y)とマスターバッチ(Z)とを混合する工程4を含む、成形用材料の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、リサイクル利用率が高く、必要に応じて所望の色に着色でき、様々な用途に使用可能な成形用材料、並びに、該材料により成形されたリサイクル率の高い成形体とその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<成形用材料>
本発明の成形用材料は、ポリオレフィン樹脂フィルム(X)層と印刷層とを有する軟包装体をリサイクルして得られた再生ポリオレフィン樹脂(Y)を含み、再生ポリオレフィン樹脂(Y)は厚み100μmのフィルム形態での全光線透過率が30%以上であり、再生ポリオレフィン樹脂(Y)の含有率が、成形用材料の全量を基準として50質量%以上であることを特徴とする。
【0025】
本発明では、ポリオレフィン樹脂フィルム(X)層と印刷層とを有する軟包装体から、印刷層等の不要な成分を低減又は除去し、回収されたポリオレフィン樹脂を加工して得られ、全光線透過率が充分に高く、好ましくは無色透明~淡色である再生ポリオレフィン樹脂(Y)を、成形用材料として用いる。
本発明では、印刷層等の不要な成分が除去された再生ポリオレフィン樹脂(Y)を用いるため、メルトフローレイト(MFR)の低下等の、成形用材料としての物性低下が抑制され、高品質な成形用材料を得ることができる。全光線透過率が充分に高く、好ましくは無色透明~淡色である再生ポリオレフィン樹脂(Y)は、任意の色に着色でき、好ましい。
また、成形用材料が上記のような再生ポリオレフィン樹脂(Y)を50質量%以上という比率で含有することで、リサイクル利用率が高く、良好な成形性を有し、必要に応じて任意の色に着色でき、様々な用途に使用可能な成形用材料を得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0026】
<再生ポリオレフィン樹脂(Y)>
再生ポリオレフィン樹脂(Y)は、ポリオレフィン樹脂フィルム(X)層と印刷層とを有する軟包装体をリサイクルして得られ、厚み100μmのフィルム形態での全光線透過率が30%以上であることを特徴とする。
上記全光線透過率が30%以上であることが、リサイクル利用率を高め、且つ様々な用途に使用可能とする観点で重要である。全光線透過率が30%未満であると、軟包装体に由来する着色剤等の不純物の存在により、成形用材料中への再生ポリオレフィン樹脂(Y)の配合量を高めてリサイクル利用率を高めることが困難となる場合がある。また、全光線透過率が30%未満であると、成形用材料の色制御が困難となり、後述の着色用マスターバッチ(Z)を配合した場合に、所望の色に着色することが難しく、成形用材料の用途が限られる場合がある。
再生ポリオレフィン樹脂(Y)の厚み100μmのフィルム形態での全光線透過率は、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、特に好ましくは75%以上である。なお、全光線透過率は、JIS K 7361に準拠して、フィルムの厚み方向で測定される値である。
【0027】
<軟包装体>
軟包装体は、少なくとも1つのポリオレフィン樹脂フィルム(X)層と印刷層とを有していれば特に制限されず、食品、洗剤、化粧品、及び医薬品等に用いられる軟包装体が挙げられる。
【0028】
[ポリオレフィン樹脂フィルム(X)層]
ポリオレフィン樹脂フィルム(X)としては、例えば、ポリエチレン(PE)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、酸変性ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン(CPP)、酸変性ポリプロピレン、及び共重合ポリプロピレン等のシーラント基材が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂フィルム(X)層の厚みは特に制限されず、好ましくは5~200μmであり、より好ましくは10~150μmである。
【0029】
ポリオレフィン樹脂フィルム(X)のメルトマスフローレイト(MFR)は、好ましくは3~12g/10分である。メルトマスフローレイトが3g/10分以上であると、軟包装体に用いられるフィルムとしての成形性に優れるため好ましい。メルトマスフローレイトが12g/10分以下であると、リサイクルの際にポリオレフィン樹脂フィルム(X)が劣化し難く、得られる再生ポリオレフィン樹脂(Y)を含む成形用材料の成形性がより優れるため好ましい。なお、本明細書におけるメルトマスフローレイトは、JIS K 7210に準拠して測定される値である。
【0030】
軟包装体は、用途又は使用目的に応じて、ポリオレフィン樹脂フィルム(X)層以外の他の基材層を有していてもよい。他の基材層としては、例えば、ポリオレフィン樹脂以外のプラスチック基材、ガスバリア基材、紙、及びこれらの積層体が挙げられる。
【0031】
ポリオレフィン樹脂以外のプラスチック基材としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、及び繊維素系プラスチック等が挙げられる。
【0032】
ガスバリア基材としては、例えば、アルミニウム箔等の金属箔;アルミニウム、シリカ、及びアルミナ等の無機蒸着層を有するプラスチック基材;ポリビニルアルコール等の有機層を有するプラスチック基材;が挙げられる。アルミニウム箔の厚みは、経済的な面から3~50μmが好ましい。
アルミニウム及びアルミナは、アルカリ水溶液への溶解性を有し、後述のアルカリ脱離工程において溶解することができる。そのため、ポリオレフィン樹脂フィルム(X)層と、アルミニウム及び/又はアルミナとを含む軟包装体から、アルカリ処理により、ポリオレフィン樹脂フィルム(X)を脱離し、リサイクルすることが可能である。
【0033】
ポリオレフィン樹脂フィルム(X)層及び/又は(X)層以外の他の基材層は、必要に応じて帯電防止剤及び紫外線防止剤等の添加剤を含んでもよい。フィルム又は基材の表面は、コロナ処理及び低温プラズマ処理等の表面処理がされていてもよい。
【0034】
[印刷層]
印刷層は、装飾又は美感の付与;内容物、賞味期限、及び、製造者又は販売者の表示等を目的とした、任意の絵柄、パターン、文字、及び記号等を表示する層であることができる。印刷層は、絵柄、パターン、文字、及び記号等を有さないベタ印刷層であってもよい。印刷層の形成方法は特に制限されず、公知の顔料及び/又は染料を用いて形成することができる。印刷層は好ましくは、顔料及び/又は染料を含む印刷インキを用いて形成することができる。印刷層は、単層構成でも複層構成でもよい。
印刷層の厚みは、好ましくは0.1~100μmであり、より好ましくは0.1~10μmであり、特に好ましくは1~5μmである。
【0035】
[接着剤層]
軟包装体は、接着剤層を有していてもよい。接着剤層を形成する接着剤としては、一般的に、ポリオール主剤及びポリイソシアネート硬化剤からなる2液型ウレタン接着剤が用いられる。この場合、接着剤層は、このウレタン接着剤の硬化物である。
ポリオール主剤は、水酸基を2つ以上有する化合物であればよく、公知のポリオールから選択することができる。ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、シリコーンポリオール、ヒマシ油系ポリオール、及びフッ素系ポリオールが挙げられる。
ポリオール主剤は、ポリオール中の水酸基の一部が酸変性された酸変性物、又はポリオール中の水酸基の一部にジイソシアネートを反応させてウレタン結合を導入したものであってもよい。
ポリイソシアネート硬化剤は、イソシアネート基を2つ以上有する化合物であればよく、公知のポリイソシアネートから選択することができる。ポリイソシアネート硬化剤としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、及びこれらの変性体が挙げられる。
ポリオール主剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。ポリイソシアネート硬化剤についても、同様である。
【0036】
(脱離性を有する接着剤層)
接着剤層は、後述のリサイクル工程で接着剤層の脱離を促進するために、脱離性を有する接着剤層であってもよい。脱離性を有する接着剤層は、好ましくは、酸価が5~40mgKOH/gの接着剤からなる接着剤層であり、より好ましくは、ポリエステルポリオール主剤と、脂肪族ポリイソシアネート、及び芳香脂肪族ポリイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリイソシアネート硬化剤とを含み、酸価が5~40mgKOH/gの接着剤からなる接着剤層である。
【0037】
ポリエステルポリオール主剤としては、好ましくは下記に例示される1種以上のカルボキシ基成分と、好ましくは下記に例示される1種以上の水酸基成分とを反応させて得られるポリエステルポリオールが挙げられる。
カルボキシ基成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水マレイン酸、及び無水イタコン酸等の二塩基酸;それらのジアルキルエステル;それらの組合せ;が挙げられる。
水酸基成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3’-ジメチロールヘプタン、1,9-ノナンジオール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、及びポリウレタンポリオール等のジオール類;それらの組合せ;が挙げられる。
ポリエステルポリオール主剤としては、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、及びポリ(β-メチル-γ-バレロラクトン)等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオールを用いてもよい。
【0038】
ポリエステルポリオール主剤の酸価は、好ましくは8.0mgKOH/g以上であり、より好ましくは10.0mgKOH/g以上である。ポリエステルポリオール主剤の酸価は、好ましくは45.0mgKOH/g以下であり、より好ましくは40.0mgKOH/g以下である。
接着剤が複数のポリエステルポリオール成分を含む場合、ポリエステルポリオール主剤の酸価は、各々のポリエステルポリオール成分の酸価とその質量比率から求めることができる。
【0039】
ポリエステルポリオール主剤の数平均分子量(Mn)は、耐加熱殺菌処理の点及び塗工性の点から、好ましくは3,000~20,000、より好ましくは5,000~15,000、特に好ましくは7,000~12,000である。ポリエステルポリオール主剤のMnは、3,000以上であると、塗工性と充分なレトルト適性を発揮することができ、20,000以下であると、塗工性とアルカリ脱離性が向上するため好ましい。
【0040】
ポリエステルポリオール主剤は、包装材に要求される各種物性を満たすために、複数のポリエステルポリオール成分を含んでもよい。ポリエステルポリオール主剤は、例えば、Mn5,000~15,000のポリエステルポリオールを含む複数のポリエステルポリオール成分を含むことができる。ポリエステルポリオール主剤は、基材密着性を向上させるために、Mn3,000未満のポリエステルポリオールを含んでもよい。
複数のポリエステルポリオール成分を含む場合のポリエステルポリオール主剤のMnは、各々のポリエステルポリオール成分のMnとその質量比率から求めることができる。本明細書における数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用い、標準ポリスチレン換算した値である。
【0041】
ポリエステルポリオール主剤は、接着性能とアルカリ脱離性の観点から、下記に示す3種類のポリオールを含むことができる。
第1のポリオール:酸価10mgKOH/g以上のポリエステルポリオール、
第2のポリオール:数平均分子量(Mn)3,000未満のポリエステルポリオール、
第3のポリオール:数平均分子量(Mn)5,000以上のポリエステルポリオール。
(ただし、第2のポリオール及び第3のポリオールは、第1のポリオール成分と異なる。)
【0042】
第1のポリオール成分は、脱離性を付与する役割を有する。第2のポリオール成分は、基材密着性を改善して塗工性の向上に寄与する。第3のポリオール成分は、レトルト性を向上させる役割を有する。
第1のポリオール成分の含有量は、充分な脱離性を発揮する観点から、ポリエステルポリオール主剤全量に対して50質量%以上であることが好ましい。第1のポリオール成分は、好ましくは、ポリエステルポリウレタンポリオールを酸無水物を用いて変性したものである。第1のポリオール成分は、好ましくは、Mnが5,000~10,000であり、酸価が15~40mgKOH/g以下である。
第2のポリオール成分は、好ましくは酸価が5mgKOH/g以下であり、より好ましくは1mgKOH/g以下である。
第3のポリオール成分は、好ましくはポリエステルポリウレタンポリオールを酸無水物を用いて変性したものである。第3のポリオール成分は、好ましくは、Mnが5,000~10,000であり、酸価が5mgKOH/g以下である。
【0043】
ポリイソシアネート硬化剤は、脂肪族ポリイソシアネート及び芳香脂肪族ポリイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種である。
【0044】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、特に制限されず、公知の脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、又はそれらの誘導体を用いることができる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、2,4,4-又は2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、及び2,6-ジイソシアネートメチルカプロエートが挙げられる。
脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(以下、イソホロンジイソシアネート)、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、及び1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンが挙げられる。
脂肪族ジイソシアネート又は脂環式ジイソシアネートは、アロファネートタイプ、ヌレートタイプ、ビウレットタイプ、又はアダクトタイプの誘導体、若しくはその複合体等のポリイソシアネートであってもよい。
【0045】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、特に制限されず、公知の芳香脂肪族ジイソシアネート、又はそれらの誘導体を用いることができる。
芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、1,3-又は1,4-キシリレンジイソシアネート若しくはそれらの混合物;ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン;1,3-又は1,4-ビス(1-イソシアネート-1-メチルエチル)ベンゼン若しくはそれらの混合物;が挙げられる。
芳香脂肪族ジイソシアネートは、アロファネートタイプ、ヌレートタイプ、ビウレットタイプ、又はアダクトタイプの誘導体、若しくはその複合体等のポリイソシアネートであってもよい。
【0046】
[軟包装体の構成]
軟包装体は、ポリオレフィン樹脂フィルム(X)層と印刷層とを有していればよく、その構成は内容物及び用途に応じて様々である。
軟包装体の構成としては、例えば、
印刷層/HS-OPP、印刷層/CPP、印刷層/OPP/HS材、印刷層/収縮PP、及びOPP/印刷層/HS材等の単層フィルム構成;
OPP/印刷層/接着剤層/CPP、ONY/印刷層/接着剤層/LLDPE、OPP/印刷層/接着剤層/蒸着CPP、PET/印刷層/接着剤層/LLDPE、OPP/印刷層/接着剤層/PET/接着剤層/CPP、PET/印刷層/接着剤層/AL/接着剤層/ONY/接着剤層/CPP、及びPET/印刷層/接着剤層/AL/接着剤層/ONY/接着剤層/LLDPE等の複層フィルム構成;が挙げられる。
【0047】
各略号は、以下の材料を示す。
HS:ヒートシール、
OPP:二軸延伸ポリプロピレン、
CPP:無延伸ポリプロピレン、
PP:ポリプロピレン、
ONY:二軸延伸ナイロンフィルム、
LLDPE:直鎖状低密度ポリエチレン、
PET:ポリエチレンテレフタレート、
AL:アルミニウム。
【0048】
軟包装体が、複数のポリオレフィン樹脂フィルム(X)層を含む場合、リサイクルして得られる再生ポリオレフィン樹脂(Y)は、これらの混合物である。
【0049】
後述のリサイクル工程で、印刷層のアルカリ脱離を促進し、ポリオレフィン樹脂フィルム(X)の脱離を促進するために、軟包装体において、脱離層は、印刷層又はポリオレフィン樹脂フィルム(X)層に接するように配置されてもよい。
脱離層は、アルカリ処理により、印刷層又はポリオレフィン樹脂フィルム(X)層を脱離するための層である。脱離層は、好ましくは、水酸基含有樹脂とポリイソシアネートとを含むプライマー組成物の硬化物を含む。このような脱離層は、脱離性に優れると共に、ウレタン架橋形成により、脱離層上に形成される印刷層の浸透及び滲みを抑制し、優れた画質の印刷層を提供できるため、好ましい。
【0050】
水酸基含有樹脂としては、特に制限されず、公知の樹脂から選択することができ、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
水酸基含有樹脂の樹脂骨格としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、及びセルロースが挙げられる。ラミネート適性が良好であることから、好ましくはウレタン樹脂である。
【0051】
水酸基含有ウレタン樹脂の水酸基価は、好ましくは1~35mgKOH/gであり、より好ましくは10~30mgKOH/gである。水酸基価は、1mgKOH/g以上であると、塩基性水溶液による脱離性が良好となるため好ましく、35mgKOH/g以下であると、基材密着性が良好となるため好ましい。
水酸基含有ウレタン樹脂の酸価は、好ましくは15mgKOH/g以上であり、より好ましくは15~70mgKOH/gであり、特に好ましくは20~50mgKOH/gである。酸価は、15mgKOH/g以上であると、塩基性水溶液による脱離性が良好となるため好ましく、70mgKOH/gであると、基材密着性及び耐レトルト性が良好となるため好ましい。
水酸基価及び酸価はいずれも、JIS K 0070に従って測定される値である。
【0052】
水酸基含有ウレタン樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000~100,000であり、より好ましくは15,000~70,000であり、特に好ましくは15,000~50,000である。
水酸基含有ウレタン樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、6以下であることが好ましい。分子量分布が6以下である場合、過剰な高分子量成分、未反応成分、副反応成分、及びその他の低分子量成分に起因する影響を回避することができ、脱離性、プライマー組成物の乾燥性、及び耐レトルト適性が良好となる。
【0053】
分子量分布が小さい、即ち分子量分布がシャープであるほど、アルカリ水溶液による溶解・剥離作用が均一に起こり、脱離性が向上するため好ましい。分子量分布は、より好ましくは5以下であり、特に好ましくは4以下である。分子量分布は、好ましくは1.5以上であり、より好ましくは1.2以上である。
【0054】
水酸基含有ウレタン樹脂は、アミン価を有していてもよい。水酸基含有ウレタン樹脂がアミン価を有する場合、アミン価は0.1~20mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは1~10mgKOH/gである。
【0055】
水酸基含有ウレタン樹脂としては特に制限されず、例えば、ポリオール、ヒドロキシ酸、及びポリイソシアネートを反応させて得られる樹脂が好ましい。ヒドロキシ酸を使用することで、ウレタン樹脂に酸価を付与することができ、脱離性を向上させることができる。より好ましくは、ポリオール、ヒドロキシ酸、及びポリイソシアネートを反応させて得られる樹脂に、さらに、ポリアミンを反応させて得られる樹脂である。
【0056】
脱離層を構成するポリイソシアネートとしては、特に制限されず、公知のポリイソシアネートから選択することができ、例えば、脂肪族ポリイソシアネート及び芳香脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。
【0057】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、公知のものを用いることができ、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、又はこれらの誘導体を用いることができる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、2,4,4-又は2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、及び2,6-ジイソシアネートメチルカプロエート等の脂肪族ジイソシアネート;1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、及び1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジイソシアネート;1,3-又は1,4-キシリレンジイソシアネート若しくはそれらの混合物、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、及び、1,3-又は1,4-ビス(1-イソシアネート-1-メチルエチル)ベンゼン若しくはそれらの混合物等の芳香脂肪族ジイソシアネート;それらのジイソシアネートから誘導された、アロファネート型、ヌレート型、ビウレット型、又はアダクト型の誘導体、若しくはその複合体等のポリイソシアネート;等が挙げられる。
【0058】
芳香族ポリイソシアネートとしては、公知のものを用いることができ、芳香族ジイソシアネート又はその誘導体を用いることができる。
芳香族ジイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート;それらのジイソシアネートから誘導された、アロファネート型、ヌレート型、ビウレット型、又はアダクト型の誘導体、若しくはその複合体;等が挙げられる。
【0059】
ポリイソシアネートとして、好ましくは、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、又はヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の、アダクト型ポリイソシアネート(アダクト体)、ビウレット型ポリイソシアネート(ビウレット体)、又はイソシアヌレート型ポリイソシアネート(イソシアヌレート体)であり、より好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導される、トリメチロールプロパンアダクト体(HDI-TPM)、ビウレット体、又はイソシアヌレート体である。
【0060】
[アルカリ処理方法]
ポリオレフィン樹脂フィルム(X)層と印刷層とを有する軟包装体から、再生ポリオレフィン樹脂(Y)をリサイクルする方法は特に制限されず、例えば、酸で処理する方法、アルカリで処理する方法、超音波を照射する方法、及び印刷層を機械的に削り取る方法が挙げられる。軟包装体から、印刷層及び接着剤層等を除去してポリオレフィン樹脂を高効率で選択的にリサイクルできる観点から、リサイクル方法として好ましくはアルカリ処理である。
【0061】
アルカリ処理方法は、ポリオレフィン樹脂フィルム(X)層と印刷層とを有する軟包装体をアルカリ水溶液に浸漬する工程を含むことができる。
アルカリ水溶液は、軟包装体の端部から内部に浸透し、印刷層、接着剤層、脱離層、アルミニウム層、及びアルミナ層等を溶解又は膨潤させ、ポリオレフィン樹脂フィルム(X)層を脱離することができる。効率的にポリオレフィン樹脂フィルム(X)層を及びするために、軟包装体は、裁断又は破砕された後、アルカリ水溶液に浸漬される。この場合、断面に、印刷層、接着剤層、脱離層、アルミニウム層、及びアルミナ層等の各層が露出してアルカリ水溶液に接触し、好ましい。
【0062】
アルカリ水溶液に使用するアルカリ化合物は特に制限されず、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、アンモニア、水酸化バリウム(Ba(OH)2)、及び炭酸ナトリウム(Na2CO3)が好ましい。より好ましくは、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
アルカリ水溶液中のアルカリ化合物の含有量は、アルカリ水溶液を基準として、好ましくは0.5~15質量%であり、より好ましくは1~5質量%である。この範囲内にあることで、アルカリ水溶液は脱離に充分なアルカリ性を有することができる。
【0063】
アルカリ水溶液の温度は、好ましくは25~110℃であり、より好ましくは30~90℃であり、特に好ましくは30~80℃である。軟包装体のアルカリ水溶液への浸漬時間は、好ましくは1分間~12時間であり、より好ましくは1分間~6時間である。
アルカリ水溶液の使用量は、軟包装体の質量に対して、好ましくは100~100万倍量である。ポリオレフィン樹脂フィルム(X)層の脱離効率を向上させるために、浸漬の際は、アルカリ水溶液を撹拌又は循環することが好ましい。撹拌の回転速度は、好ましくは80~250rpm、より好ましくは80~200rpmである。
【0064】
再生ポリオレフィン樹脂(Y)のメルトマスフローレイト(MFR)は、軟包装体の構成及びリサイクル方法等によるが、好ましくは5~20g/10分であり、より好ましくは5~15g/10分である。メルトマスフローレイトが上記の範囲内にあることにより、射出成形及び押出成形等の様々な成形に適した成形用材料を提供することができる。
【0065】
<成形用材料の製造方法>
本発明の成形用材料の製造方法は、特に制限されず、好ましくは下記工程1~3を順次含む。成形用材料がマスターバッチ(Z)を含む場合は、さらに下記工程4を含む。
(工程1)ポリオレフィン樹脂フィルム(X)層と印刷層とを有する軟包装体の裁断物又は破砕物をアルカリ処理して、裁断物又は破砕物からポリオレフィン樹脂フィルム(X)片を脱離する工程、
(工程2)ポリオレフィン樹脂フィルム(X)片を水洗浄する工程、
(工程3)ポリオレフィン樹脂フィルム(X)片を加工して、再生ポリオレフィン樹脂(Y)を得る工程3、
(工程4)工程3で得られた再生ポリオレフィン樹脂(Y)とマスターバッチ(Z)とを混合する工程。
【0066】
(工程1)
工程1は、軟包装体である印刷物又はラミネート積層体の裁断物又は破砕物を、アルカリ水溶液に浸漬して、裁断物又は破砕物からポリオレフィン樹脂フィルム(X)片を脱離する工程である。
軟包装体の破砕方法は、特に制限されず、例えば、ジョークラッシャー、インパクトクラッシャー、カッターミル、スタンプミル、リングミル、ローラーミル、ジェットミル、又はハンマーミルを用いる方法が挙げられる。
裁断物又は破砕物のアルカリ水溶液への浸漬条件は、上述の[アルカリ処理方法]の項の記載を援用できる。
【0067】
(工程2)
工程2は、工程1により得られたポリオレフィン樹脂フィルム(X)片を水洗浄し、ポリオレフィン樹脂フィルム(X)片に付着したアルカリ水溶液を除去する工程である。この工程は、必要に応じて乾燥工程をさらに含んでもよい。
【0068】
(工程3)
工程3は、工程2により得られたポリオレフィン樹脂フィルム(X)片を加工し、ポリオレフィン樹脂フィルム(X)由来の再生ポリオレフィン樹脂(Y)を得る工程である。
ポリオレフィン樹脂フィルム(X)片に対して、必要に応じて各種添加剤等の任意成分を加えてから、加工してもよい。ポリオレフィン樹脂フィルム(X)片と任意成分との混合は、ヘンシェルミキサー、タンブラー、及びディスパー等を用いて行うことができる。 加工工程は、ニーダー、ロールミル、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、シュギミキサー、バーティカルグラニュレーター、ハイスピードミキサー、ファーマトリックス、ボールミル、スチールミル、サンドミル、振動ミル、アトライター、及びバンバリーミキサー等の回分式混練機;二軸押出機、単軸押出機、及びローター型二軸混練機;等を用いて、材料を溶融混練した後、ペレタイザー等を用いて成形用材料として好適な形態に加工する工程である。
工程3において、溶融混錬に二軸押出機を用いるのが好ましい。
成形用材料として好適な形態としては、ペレット状、粉体状、顆粒状、及びビーズ状等挙げられる。
【0069】
<マスターバッチ(Z)>
本発明の成形用材料は、さらにマスターバッチ(Z)を含有することができる。
マスターバッチ(Z)は、再生ポリオレフィン樹脂(Y)に対して相溶性を有するものであれば特に制限されず、一般的には、ポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂等の熱可塑性樹脂と着色剤とを混練したものを使用できる。マスターバッチ(Z)に含まれる熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0070】
着色剤は、一般的にマスターバッチに用いられるものであれば、特に制限されず、例えば、酸化チタン、クロムチタンエイロー、弁柄、群青、及びカーボンブラック等の無機顔料;アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、及びフタロシアニン系顔料等の有機顔料;が挙げられる。
【0071】
無機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントホワイト6、ピグメントブラウン24、ピグメントレッド101、ピグメントブルー29、及びピグメントブラック7が挙げられる。アゾ系顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー180、181、ピグメントオレンジ64、及びピグメントレッド144、166、214、221が挙げられる。キナクリドン系顔料としては、例えば、C.I.ピグメントバイオレット19、及びピグメントレッド122が挙げられる。ペリレン系顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド149、178が挙げられる。ジケトピロロピロール系顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド254が挙げられる。フタロシアニン系顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15:1、15:3、及びピグメントグリーン7、36が挙げられる。
これらの着色剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0072】
<任意成分>
本発明の成形用材料は、さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の添加剤等の任意成分を含有することができる。
添加剤としては、アルカリ化合物と反応しない又はアルカリ化合物との反応性が非常に小さい添加剤が好ましい。このような添加剤としては、中性又は塩基性の添加剤が挙げられる。この場合、再生ポリオレフィン樹脂(Y)に含まれ得るアルカリ化合物による影響を低減することができ、好ましい。
本発明の成形用材料は、軟包装体をリサイクルして得られた再生ポリオレフィン樹脂(Y)を含む。リサイクル工程がアルカリ処理を含む場合、アルカリ処理後に複数回の水洗工程を実施しても、得られる再生ポリオレフィン樹脂(Y)は、アルカリ水溶液に含まれるアルカリ化合物を微量に含有し、アルカリ性を示す傾向にある。
アルカリ化合物と反応しない又はアルカリ化合物との反応性が非常に小さい添加剤を用いる場合、ペレタイズ工程等の再生工程又は成形工程の熱履歴による、再生ポリオレフィン樹脂(Y)中の低分子量成分の劣化及び再生ポリオレフィン樹脂(Y)の溶融張力の低下を抑制できる。その結果、本発明の成形用材料は、良好な成形性を維持することができ、好ましい。
【0073】
アルカリ化合物と反応しない又はアルカリ化合物との反応性が非常に小さい添加剤としては、例えば、フェノール系及びリン系からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸化防止剤;脂肪酸アミド系、アルキレン脂肪酸アミド系、金属石鹸系、及び脂肪酸エステル系からなる群より選ばれる少なくとも1種の滑剤;ヒンダードアミン系の耐候安定剤;酸価が5mgKOH/g以下のワックス;アニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の帯電防止剤;が挙げられる。
これらの添加剤は、アルカリ化合物と反応しない又はアルカリ化合物との反応性が非常に小さいため、成形用材料がアルカリ性の条件下においても、材料本来の特性を損ねる恐れがない。
【0074】
フェノール系の酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニゾール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、2,2’-メチレン-ビス-(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス-(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス-(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、3,9-ビス〔{1,1-ジメチル-2-{β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル}2,4,8,10-テトラオキサスピロ〕5,5-ウンデカン、1,1,3-トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス-{メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキスフェニル)プロピオネート}メタン、及びビス{(3,3’-ビス-4’-ヒドロキシ-3’-t-ブチルフェニル)ブチリックアシッド}グルコールエステルが挙げられる。
【0075】
リン系の酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4’-ブチリデン-ビス-(3-メチル-6-t-ブチルフェニル-ジ-トリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリスジフェニルホスファイト、ジイソデシノレペンタエリスリトールジホスファイト、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナスレン-10-オキサイド、10-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナンスレン-10-オキサイド、10-デシロキシ-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナンスレン、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6-ジ-t-メチルフェニル)ホスファイト、及び2,2-メチレンビス(4,6-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイトが挙げられる。
【0076】
これらの酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
酸化防止剤の添加量は、成形用材料の質量を基準として、好ましくは0.01~1質量%、より好ましくは0.03~0.5質量%である。添加量は、0.01質量%以上であると、酸化防止性の点で好ましく、1質量%以下であると、加工性の点で好ましい。
【0077】
脂肪酸アミド系の滑剤としては、例えば、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、リシノール酸アミド、及びヒドロキシステアリン酸アミド等の脂肪族モノカルボン酸アミド;N-オレイルオレイン酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミド、及びN-ステアリルオレイン酸アミド等のN-置換脂肪族モノカルボン酸アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、及びエチレンビスステアリン酸アミド等の脂肪族ビスカルボン酸アミド;N,N’-エチレン-ビス-オレイルアミド;N,N’-エチレンビスステアリン酸アミド;N,N’-メチレンビスステアリン酸アミド;が挙げられる。
【0078】
金属石鹸系の滑剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸リチウム、ラウリル酸カルシウム、ラウリル酸マグネシウム、ラウリル酸バリウム、ラウリル酸亜鉛、ラウリル酸アルミニウム、及びラウリル酸リチウム等の高級脂肪酸の金属塩等が挙げられる。
【0079】
脂肪酸エステル系の滑剤は、アルコールに1つ以上の脂肪酸がエステル結合をしたものである。
【0080】
アルコールとしては、1価又は多価のアルコールを用いることができる。
1価アルコールは、好ましくは、炭素数が6以上の高級アルコールであり、より好ましくは、炭素数が10以上の高級アルコールである。例えば、ミスチリルアルコール、ステアリルアルコール、及びオレイルアルコールが挙げられる。
多価アルコールとしては、2価アルコール又は3価以上のアルコールが挙げられる。2価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、及び1,6-ヘキサンジオールが挙げられる。3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、マンニトール、及びソルビトールが挙げられる。 中でも好ましくは、グリセリン、プロピレングリコール、ペンタエリトリトール、及びジペンタエリトリトールであり、より好ましくは、グリセリン及びジペンタエリトリトールである。
【0081】
脂肪酸としては、例えば、カプロン酸、カプリル酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、リグノセン酸、セロチン酸、モンタン酸、及びメリシン酸等の飽和脂肪酸;オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プラシジン酸、エルカ酸、及びリシノール酸等の不飽和脂肪酸;12-ヒドロキシステアリン酸等のヒドロキシ脂肪酸;アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸;が挙げられる。中でも好ましくは、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、及びオレイン酸である。特に好ましくは、ステアリン酸又は12-ヒドロキシステアリン酸のトリグリセライドである。
【0082】
これらの滑剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
滑剤の添加量は、成形用材料の質量を基準として、好ましくは0.01~1質量%、より好ましくは0.03~0.5質量%である。添加量は、0.01質量%以上であると、活性の点で好ましく、1質量%以下であると、加工性の点で好ましい。
【0083】
ヒンダードアミン系の耐候安定剤としては、例えば、コハク酸ジメチル-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{{2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン-2,4-ビス[N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ]-6-クロロ-1,3,5-トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セパレート、及び2-(3,5-ジ-t-4-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)が挙げられる。
【0084】
酸価が5mgKOH/g以下のワックスとしては、例えば、天然ワックスと合成ワックスが挙げられる。
天然ワックスとしては、例えば、キャリデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、及び木ろう等の植物系ワックス;蜜蝋、ラノリン、及び鯨ろう等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、及びセレシン等の鉱物系ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、及びペトロラタム等の石油ワックス;が挙げられる。
合成ワックスとしては、半合成ワックスと全合成ワックスがある。半合成ワックスは、天然ワックス又は天然ワックス様材料を、エステル化、アミド化、及び酸性ワックスを用いた中和等の化学的処理により変性させたものである。合成ワックスとしては、例えば、ポリエチレン系ワックス、ポリプロピレン系ワックス、及びポリスチレン系ワックス等の合成炭化水素が挙げられる。
【0085】
これらの酸価が5mgKOH/g以下のワックスは、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
酸価が5mgKOH/g以下のワックスの添加量は、成形用材料の質量を基準として、好ましくは0.5~50質量%、より好ましくは1~30質量%である。添加量は、0.5質量%以上であると、流動性調整の点で好ましく、50質量%以下であると、加工性の点で好ましい。
【0086】
アニオン系界面活性剤系の帯電防止剤としては、例えば、高級脂肪酸のアルカリ金属塩等のカルボン酸塩;高級アルコール硫酸エステル塩、及び高級アルキルエーテル硫酸エステル塩等の硫酸エステル塩;アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、及びパラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;高級アルコールリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩;が挙げられる。
【0087】
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、高級アルコールエチレンオキシド付加物、脂肪酸エチレンオキシド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキシド付加物、及びポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物等のポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤;ポリエチレンオキシド又はグリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリットの脂肪酸エステル、ソルビット又はソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、及び、アルカノールアミンの脂肪族アミド等の多価アルコール型非イオン界面活性剤;が挙げられる。
【0088】
これらの帯電防止剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。帯電防止剤としては、脂肪酸スルホン酸塩及び脂肪酸エステル系からなる群より選ばれる少なくとも1種の帯電防止剤が好ましい。
帯電防止剤の添加量は、成形用材料の質量を基準として、好ましくは0.05~1質量%、より好ましくは0.1~0.5質量%である。添加量は、0.05質量%以上であると、帯電防止性の点で好ましく、1質量%以下であると、透明性及び低ブリード性の点で好ましい。
【0089】
<成形体>
本発明の成形用材料を成形することで、成形体を得ることができる。成形方法は特に制限されず、例えば、射出成形、押出成形、ブロー成形、及び圧縮成形が挙げられる。
本発明の成形用材料は、リサイクル利用率が高く、良好な成形性を有し、全光線透過率が充分に高く、好ましくは無色透明~淡色である再生ポリオレフィン樹脂(Y)を含むため、成形方法にかかわらず、無色透明~淡色の、又は淡色~濃色の所望の色に着色された成形体を提供することができる。本発明の成形体は、家電製品、文房具、自動車部品、おもちゃ、スポーツ用品、医療用品、及び建築・建設資材等、様々な用途に用いることができる。
【実施例】
【0090】
以下、実施例に基づき本発明を更に詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。特に断りがない限り、実施例中、配合量及び固形分濃度の単位の「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
【0091】
<全光線透過率の測定>
再生ポリオレフィン樹脂(Y)をTダイフィルム成形機にて200℃で溶融押出し、厚み100μmのフィルムを作製した。作製したフィルムについて、JIS K 7361に準拠し、ヘイズガードプラス(ガードナー社製)を用いて全光線透過率を測定した。
【0092】
<メルトマスフローレイト(MFR)の測定>
MFRは、JIS K-7210に準拠して測定した。
【0093】
<重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)の測定>
Mw、Mn及び分子量分布(Mw/Mn)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定を行い、ポリスチレンを標準物質に用いた換算分子量として求めた。測定条件を以下に示す。
GPC装置:昭和電工社製 Shodex GPC-104、
カラム:昭和電工社製「Shodex LF-404」2本と昭和電工社製「Shodex LF-G」1本とを直列に連結したもの、
検出器:RI(示差屈折計)、
測定条件:カラム温度40℃、
溶離液:テトラヒドロフラン、
流速:0.3mL/分。
【0094】
<酸価(AV)の測定>
共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持した。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定した。酸価は次式により求めた。
酸価(mgKOH/g)={(5.611×a×F)/S}/(試料の固形分濃度/100)
上記式中、各略号は、以下のパラメータを示す。
S:試料の採取量(g)、
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)、
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価。
【0095】
<水酸基価(OHV)の測定>
共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解した。さらにアセチル化剤(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mlとした溶液)を正確に5ml加え、約1時間攪拌した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間持続した。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定した。水酸基価は次式により求めた。
水酸基価(mgKOH/g)=[{(b-a)×F×28.25}/S]/(試料の固形分濃度/100)+D
上記式中、各略号は、以下のパラメータを示す。
S:試料の採取量(g)、
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)、
b:空実験の0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)、
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価、
D:酸価(mgKOH/g)。
【0096】
<プライマー組成物1の製造>
還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、撹拌装置、及び温度計を備えた反応器中で、窒素ガスを導入しながら、数平均分子量(Mn)2,000のポリ(プロピレングリコール)アジペートジオール198.0部、2,2-ジメチロールブタン酸13.3部、イソホロンジイソシアネート76.0部、及びメチルエチルケトン200部を仕込み、90℃で5時間反応させて、末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー溶液を得た。得られたウレタンプレポリマー溶液に対し、2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール12.2部、エタノールアミン0.4部、及びイソプロピルアルコール350部を混合したものを、室温で60分かけて滴下した後、70℃で3時間反応させた。次いで、メチルエチルケトン150部を用いて固形分濃度30%に調整し、ポリウレタン樹脂溶液を得た。
得られたポリウレタン樹脂は、Mw=33,000、Mw/Mn=2.9、酸価16.8mgKOH/g、水酸基価23.2mgKOH/gであった。
上記ポリウレタン樹脂溶液87部、酢酸エチル5部、イソプロピルアルコール5部、及びシリカ(水澤化学社製、平均粒子径3.8μmの親水性シリカ粒子、「P-73」)3部を、ディスパーを用いて撹拌混合して、プライマー組成物1を得た。
【0097】
<脱離性を有する接着剤2の製造>
四つ口セパラブルフラスコに、テレフタル酸82部、イソフタル酸682部、アジピン酸236部、エチレングリコール236部、ネオペンチルグリコール525部、及び1,6-ヘキサンジオール405部を仕込み、220~260℃でエステル化反応を行った。所定量の水の留出後、徐々に減圧して圧力を1mmHg以下とし、240~260℃で、5時間脱グリコール反応を行った。その後、イソホロンジイソシアネート2部を徐々に添加し、150℃で約2時間反応を行い、ポリエステルウレタンポリオールを得た。このポリエステルウレタンポリオール100部に無水トリメリット酸を2.83部添加し、180℃で約2時間反応させた後、固形分濃度50%になるまで酢酸エチルで希釈して、部分酸変性ポリエステルウレタンポリオール溶液を得た。
得られた部分酸変性ポリエステルウレタンポリオールは、Mn=6,000、酸価16.5mgKOH/gであった。
上記ポリエステルウレタンポリオール溶液100部、及びHDIビウレットの固形分濃度95%の酢酸エチル溶液7.94部を混合した後、酢酸エチルを加えて、固形分濃度30%の脱離性を有する接着剤2の溶液を得た。
【0098】
<ポリオレフィン樹脂フィルム(X)層を有する軟包装体の製造>
(軟包装体1の製造)
プライマー組成物1を、酢酸エチル/イソプロピルアルコール混合溶剤(質量比70/30)で、ザーンカップ#3(離合社製)15秒(25℃)になるように希釈した。その後、コロナ処理延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(厚み20μm、MFR6g/10分)に対し、プライマー組成物1、及びインキ1(東洋インキ社製の有機溶剤系グラビアインキ「PANNECO AM 92墨」)を、版深35μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機にてこの順で印刷し、50℃にて乾燥し、OPP基材/脱離層1/印刷層1の構成である軟包装体1を得た。
【0099】
(軟包装体2の製造)
軟包装体1の製造工程と同様にして、OPP基材上に脱離層1と印刷層1とを順次形成し、OPP基材/脱離層1/印刷層1の構成の積層体を得た。ドライラミネート機を用いて、この積層体のOPP基材上に、接着剤1(東洋モートン社製「TM-340V/CAT-29B」)を塗工し、この上に、ライン速度40m/分にて、アルミニウム蒸着無延伸ポリプロピレン(VMCPP)フィルム(厚み25μm、MFR4g/10分)を貼り合わせ、VMCPP基材/接着剤層1/OPP基材/脱離層1/印刷層1の構成である軟包装体2を得た。接着剤1の乾燥後塗布量は10g/m2とした。
【0100】
(軟包装体3の製造)
インキ1を、インキ2(東洋インキ社製の有機溶剤系グラビアインキ「リオアルファS R92墨」)に変更した以外は、軟包装体2の製造工程と同様にして、VMCPP基材/接着剤層1/OPP基材/脱離層1/印刷層2の構成である軟包装体3を得た。
【0101】
(軟包装体4の製造)
接着剤1を接着剤2に変更した以外は、軟包装体2の製造工程と同様にして、VMCPP基材/接着剤層2/OPP基材/脱離層1/印刷層1の構成である軟包装体4を得た。
【0102】
(軟包装体5の製造)
軟包装体1の製造工程と同様にして、OPP基材上に脱離層1と印刷層1とを順次形成し、OPP基材/脱離層1/印刷層1の構成の積層体を得た。ドライラミネート機を用いて、この積層体の印刷層1上に、接着剤1を塗工し、この上に、ライン速度40m/分にてVMCPPフィルムを貼り合わせ、OPP基材/脱離層1/印刷層1/接着剤層1/VMCPP基材の構成である軟包装体5を得た。接着剤1の乾燥後塗布量は10g/m2とした。
【0103】
(軟包装体6の製造)
接着剤1を接着剤2に変更した以外は、軟包装体5の製造工程と同様にして、OPP基材/脱離層1/印刷層1/接着剤層2/VMCPP基材の構成である軟包装体6を製造した。
【0104】
<再生ポリオレフィン樹脂(Y)の製造>
(再生ポリオレフィン樹脂(Y1)の製造)
軟包装体1を4cm×4cmのサイズに裁断し、2%の水酸化ナトリウム水溶液に浸し、40℃で30分間撹拌してOPP基材片を脱離した後、OPP基材片を水洗及び乾燥した。OPP基材片を単軸押出機に投入し、200℃で溶融押出し、ペレタイザーでカットした。このようにして、軟包装体からリサイクルされた再生ポリオレフィン樹脂(Y1)のペレットを得た。
【0105】
(再生ポリオレフィン樹脂(Y2)~(Y6)の製造)
再生ポリオレフィン樹脂(Y1)と同様にして、軟包装体2~6から、OPP基材片又はCPP基材片を脱離し、水洗及び乾燥した。得られたOPP基材片又はCPP基材片を単軸押出機に投入し、200℃で溶融押出し、ペレタイザーでカットした。このようにして、軟包装体からリサイクルされた再生ポリオレフィン樹脂(Y2)~(Y6)のペレットを得た。
【0106】
(再生ポリオレフィン樹脂(Y7)の製造)
軟包装体1を、4cm×4cmのサイズに裁断した。軟包装体片を、アルカリ処理工程を経ず、単軸押出機に投入し、200℃で溶融押出し、ペレタイザーでカットした。このようにして、着色された再生ポリオレフィン樹脂(Y7)のペレットを得た。
【0107】
(再生ポリオレフィン樹脂(Y8)の製造)
軟包装体5を、4cm×4cmのサイズに裁断した。軟包装体片を、アルカリ処理工程を経ず、単軸押出機に投入し、200℃で溶融押出し、ペレタイザーでカットした。このようにして、着色された再生ポリオレフィン樹脂(Y8)のペレットを得た。
【0108】
得られた再生ポリオレフィン樹脂(Y)について、全光線透過率とMFRを測定した。再生ポリオレフィン樹脂(Y)の主な製造条件と評価結果を表1に示す。
【0109】
【0110】
<マスターバッチ(Z1)の製造>
ポリプロピレン樹脂1(プライムポリマー社製「プライムポリプロJ105P」)70部、及びカーボンブラック(三菱化学社製「ミツビシカーボン#30」)30部をスーパーミキサー(カワタ社製)に投入し、25℃にて3分間撹拌して、混合物を得た。次いでこの混合物を二軸押出機(日本プラコン社製)に投入し、200℃で溶融押出し、ペレタイザーでカットして、マスターバッチ(Z1)を得た。配合組成を表2に示す。
【0111】
(マスターバッチ(Z2)~(Z22)の製造)
配合組成を表2に示すように変更した以外は、マスターバッチ(Z1)と同様にして、マスターバッチ(Z2)~(Z22)を得た。
【0112】
【0113】
表2中の略称を以下に示す。
J105P:ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社製「プライムポリプロJ105P」)、
R730:ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社製「プライムポリプロR730」)、
F2270P:ポリエチレン樹脂(旭化成社製「サンテックM2270」)、
ミツビシカーボン#30:カーボンブラック(三菱化学社製)、
Irganox1010:フェノール系酸化防止剤(BASF社製)、
Irganox1076:フェノール系酸化防止剤(BASF社製)、
Irganox245:フェノール系酸化防止剤(BASF社製)、
Irgafos168:リン系酸化防止剤(BASF社製)、
ADK STAB PEP-36:リン系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブ PEP-36」)、
IrganoxPS 802 FL:硫黄系酸化防止剤(BASF社製)、
ノクラックCD:アミン系酸化防止剤(大内新興化学工業社製「ノクラックCD」)、
エルカ酸アミド:脂肪酸アミド系滑剤(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製「アーモスリップ Eパウダー」)、
オレイン酸アミド:脂肪酸アミド系滑剤(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製「アーモスリップ CPパウダー」)、
エチレンビスステアリン酸アミド:脂肪酸アミド系滑剤(日油社製「アルフローH―50L」)、
ステアリン酸カルシウム:金属石鹸系滑剤(太平化学工業社製)、
ステアリン酸マグネシウム:金属石鹸系滑剤(太平化学工業社製)、
ステアリン酸トリグリセライド:脂肪族エステル系滑剤(東京化成工業社製)、
CHIMASORB 770DF:ヒンダードアミン系耐候安定剤(BASF社製)、
CHIMASORB 2020FDL:ヒンダードアミン系耐候安定剤(BASF社製)、
ハイワックス NL500:ポリエチレンワックス、酸価1mgKOH/g以下(三井化学社製)、
ビスコール 550-p:ポリプロピレンワックス、酸価1mgKOH/g以下(三洋化成社製)、
LICOWAX E:ポリプロピレンワックス、酸価15mgKOH/g(クラリアント社製)、
TS-2:ステアリルジエタノールアミン(花王社製「エレクトロストリッパーTS-2」)、
TS―5:グリセリンモノステアレート(花王社製「エレクトロストリッパーTS-5」)、
カチオーゲン:ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド(第一工業製薬社製)。
【0114】
<成形用材料の用意とフィルム状成形体の製造>
[実施例1~6]
再生ポリオレフィン樹脂(Y1)~(Y6)のペレットを成形用材料1~6とした。
得られた成形用材料を、それぞれTダイ押出機を用いて200℃で押出成形し、厚み50μmのフィルム状の成形体1~6を作製した。いずれの成形用材料も成形可能であり、無色透明のフィルムが得られた。配合組成を表3に示す。
【0115】
[実施例7]
再生ポリオレフィン樹脂(Y1)65部とマスターバッチ(Z1)35部とを、タンブリングしたものを成形用材料7とした。得られた成形用材料を用いた以外は、実施例1~6と同様にして、フィルム状の成形体7を作製した。成形可能であり、所望の色に着色されたフィルムが得られた。配合組成を表3に示す。
【0116】
[実施例8~33]
再生ポリオレフィン樹脂(Y)及びマスターバッチ(Z1)の種類及び配合比を、表3に示すように変更した以外は、成形用材料7と同様にして、成形用材料8~14、19~39を得た。得られた成形用材料を用いた以外は、実施例7と同様にして、フィルム状の成形体8~14、19~39を作製した。いずれの成形用材料も成形可能であり、所望の色に着色されたフィルムが得られた。
【0117】
[比較例1~4]
再生ポリオレフィン樹脂(Y)及びマスターバッチ(Z1)の種類及び配合比を、表3に示すように変更した以外は、成形用材料7と同様にして、成形用材料15~18を得た。得られた成形用材料を用いた以外は、実施例7と同様にして、フィルム状の成形体15~18を作製した。いずれの成形用材料も成形することができなかった。さらに、再生ポリオレフィン樹脂(Y7)、(Y8)は軟包装体由来の印刷層等により濃く着色しており、所望の色に着色されたフィルムが得られなかった。
【0118】
<フィルム状成形体の評価>
得られたフィルムについて、0.5m2あたりの目視で判別可能な異物の個数をカウントし、以下の基準で評価した。なお、比較例1~4はボトルを成形できなかったため、評価していない。評価結果を表3に示す。
〇(良):異物の数が50個未満、
△(可)::異物の数が50個以上200個未満、
×(不良):異物の数が200個以上。
【0119】
【0120】
<ボトル状成形体の製造>
[実施例51~56]
成形用材料1~6を、それぞれブロー成形機を用いて200℃でブロー成形し、厚み1mmのボトル状の成形体51~56を作製した。いずれも成形可能であり、無色透明のボトルが得られた。各実施例についてそれぞれ、50本のボトルを製造した。配合組成を表4に示す。
【0121】
[実施例57~85]
成形用材料19~39を、実施例51~56と同様にブロー成形し、ボトル状の成形体57~85を作製した。いずれも成形可能であり、所望の色に着色されたボトルが得られた。各実施例についてそれぞれ、50本のボトルを製造した。配合組成を表4に示す。
【0122】
[比較例5~8]
成形用材料15~18を、実施例51~56と同様にブロー成形し、ボトル状の成形体86~89を作製した。いずれも成形することができなかった。さらに、再生ポリオレフィン樹脂(Y7)、(Y8)は軟包装体由来の印刷層等により濃く着色しており、所望の色に着色されたボトルが得られなかった。配合組成を表4に示す。
【0123】
<ボトル状成形体の評価>
各実施例で得られたボトルについて、50本あたりの目視で判別可能な発泡が見られたボトルの数をカウントした。なお、比較例5~8はボトルを成形することができなかったため、評価していない。評価結果を表4に示す。
〇(良):発泡が見られたボトルが50本中、1本以下、
△(可):発泡が見られたボトルが50本中、2~5本、
×(不良):発泡が見られたボトルが50本中、6本以上。
【0124】
【0125】
上記結果から、本発明の成形用材料は、リサイクル利用率が高く、良好な成形性を有し、無色透明の又は所望の色の、フィルム及びボトル等の成形体を提供できることが分かった。本発明の成形用材料を用いて、異物及び発泡のない又は少ない高品質な成形体を提供できることが分かった。
添加剤として、アルカリ化合物と反応しない又はアルカリ化合物との反応性が小さい、中性又は塩基性の添加剤を用いることで、再生ポリオレフィン樹脂(Y)に残存するアルカリ化合物に起因して生じる異物、及び水分等の発泡成分の発生が抑制されたと推察される。
【0126】
この出願は、2020年6月29日に出願された日本出願特願2020-111681号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。