(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】行ノイズ抑制の更なる機能を提供する、欠陥読み出しチャネルを修理するための拡張可能な修理機構を備えたCMOS光センサおよび対応する行ノイズ抑制方法
(51)【国際特許分類】
H04N 25/68 20230101AFI20231121BHJP
【FI】
H04N25/68
(21)【出願番号】P 2021568536
(86)(22)【出願日】2020-05-15
(86)【国際出願番号】 EP2020063587
(87)【国際公開番号】W WO2020234143
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-03-18
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521221504
【氏名又は名称】テレダイン・インノバシオネス・ミクロエレクトロニカス・ソシエダッド・リミターダ・ウニペルソナル
【氏名又は名称原語表記】Teledyne Innovaciones Microelectronicas SLU
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(72)【発明者】
【氏名】セゴビア デ ラ トーレ,ホセ アンヘル
(72)【発明者】
【氏名】ドミンゲス カストロ,ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】ゴンサレス マルケス,アナ
(72)【発明者】
【氏名】ロマイ,ラファエル
【審査官】三沢 岳志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0108177(US,A1)
【文献】特開2009-213012(JP,A)
【文献】特開2015-185860(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0249842(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
P個の行およびN個の列(P,Nは整数)の画素を含み、同じ列に属する画素は個々の列導体に接続されている、画素アレイ(1)と、
画素アレイのN個の列導体に接続され、選択された行の各画素についてデジタル画素値(S
i,j)を出力する読み出し回路(2)と、を備えるCMOS光センサであって、
該読み出し回路は、
a)画素アレイ(1)の個々の列導体(Col
j)ごとに1つであるN個のデフォルト読み出しチャネル(RoC
1~RoC
N)、およびM個(M<N)の予備読み出しチャネル(RoCsp
1~RoCsp
3)を備え、
b)N+M個の読み出しチャネルは、n個の連続するデフォルト読み出しチャネルの1つのデフォルトグループの行方向の繰り返しパターンシーケンスでグループごとに配置され、そしてm個の単一のまたは連続する予備読み出しチャネルの1つの予備グループで配置され(n,mは1以上の整数、N/nは1より大きい整数、M/mは1より大きい整数)、
c)画素アレイの個々の列導体ごとに1つであるN個の第1スイッチ回路SW1を備え、第1スイッチ回路の各々は、N個の列導体のうちの個々の1つを、前記列導体のためのデフォルト読み出しチャネル(RoC-D)、前記デフォルト読み出し
チャネルの左側にある第1置換読み出しチャネル(RoC-L)、および前記デフォルト読み出しチャネルの右側にある第2置換読み出しチャネル(RoC-R)から選択された、読み出し回路の1つの読み出しチャネルに電気的に接続するように構成され、
前記読み出し回路は、デフォルトグループ(Gn
2)において欠陥読み出しチャネルを含む場合、左シフト接続パターンまたは右シフト接続パターンの一方が適用されるように、第1スイッチ回路SW1を設定するように構成され、
左シフト接続パターンは、欠陥読み出しチャネル(RoC
11)から始まって前記デフォルトグループの第1読み出しチャネル(RoC
9)までの前記デフォルトグループの読み出しチャネルの各々への置換として、前記第1置換読み出しチャネルを選択し、
右シフト接続パターンは、欠陥読み出しチャネル(RoC
15)から始まって前記デフォルトグループでの第n読み出しチャネル(RoC
16)までの前記デフォルトグループでの読み出しチャネルの各々への置換として、前記第2置換読み出しチャネルを選択する、光センサ。
【請求項2】
m=1であり、
各第1スイッチ回路における第1置換読み出しチャネルは、デフォルト読み出しチャネルの左側にある次の読み出しチャネルであり、
第2置換読み出しチャネルは、デフォルト読み出しチャネルの右側にある次の読み出しチャネルである、請求項1に記載の光センサ。
【請求項3】
m>1であり、
置換パターンが、m個グループ単位であり、
各第1スイッチ回路における第1置換読み出しチャネルは、前記デフォルト読み出しチャネルの左側でさらにm個のランクにある読み出しチャネルであり、
第2置換読み出しチャネルは、前記デフォルト読み出しチャネルの右側でさらにm個のランクにある読み出しチャネルである、請求項1に記載の光センサ。
【請求項4】
デフォルトグループ(Gn
1)でのm個のデフォルト読み出しチャネルの各サブセット(SS
1,SS
U)に関連付けられたm個の第1スイッチ回路SW1は、同じ論理コマンド(C
10.1)により構成される、請求項3に記載の光センサ。
【請求項5】
nは、少なくとも8に等しい、請求項1~4のいずれかに記載の光センサ。
【請求項6】
mは、少なくとも4に等しい、請求項3または4に記載の光センサ。
【請求項7】
・読み出し回路の幅に渡って行方向に延びるアナログDC電圧基準バス(B
DC)と、
・予備読み出しチャネル毎に1つである第2スイッチ回路(SW2)であって、前記第2スイッチ回路の各々は、いずれかの第1スイッチ回路(SW1)によって選択されていない場合、個々の予備読み出しチャネルを前記基準バス(B
DC)に選択的に接続する、第2スイッチ回路(SW2)と、を備え、
N個およびM個の読み出しチャネルは、全て相関二重サンプリング(CDS)を実装するように構成され、
読み出し回路は、さらにデジタル行ノイズ抑制機能を実装し、第2スイッチ回路(SW2)によってDC基準バスに動作可能に接続され、第1スイッチ回路(SW1)のいずれかによって選択されてない予備読み出しチャネルから得られるデジタル信号(Sp
1)から平均行ノイズ値(RN
i)を計算するように、そして、第1スイッチ回路(SW1)によってアレイの個々の列導体に動作可能に接続された読み出しチャネルによって提供される、現在選択された行(Row
i)についての画素値の各々から前記平均行ノイズ値を減算するように構成される、請求項1~6のいずれかに記載の光センサ。
【請求項8】
現在選択された行(RoW
i)(行)のための読み出しチャネルにおけるCDS読み出し段階の前に、アナログDC電圧基準をDC基準バス(B
DC)に適時に印加するように構成された第3スイッチ回路(403)を備える、請求項7に記載の光センサ。
【請求項9】
第3スイッチ回路(403)の出力ライン(405)と基準バス(B
DC)との間に、基準バス(B
DC)の長さにわたって分散したバッファ(404)をさらに備える、請求項8に記載の光センサ。
【請求項10】
アナログDC電圧基準は、読み出し回路に実装されたアナログデジタル変換範囲の中間レンジ値に対応するように設定される、請求項7~9のいずれかに記載の光センサ。
【請求項11】
アナログDC電圧基準を送給するデジタルアナログ変換回路(401)を備える、請求項7~10のいずれかに記載の光センサ。
【請求項12】
第1および第2スイッチ回路の各々は、個々のプログラマブルシフトレジスタを通じて構成される、請求項1~11のいずれかに記載の光センサ。
【請求項13】
各読み出しチャネルでのアナログデジタル変換が、読み出しチャネルに固有のアナログデジタル変換器によって動作する、請求項1~12のいずれかに記載の光センサ。
【請求項14】
各読み出しチャネルでのアナログデジタル変換が、読み出しチャネルで共有されるアナログデジタル変換器によって動作する、請求項1~12のいずれかに記載の光センサ。
【請求項15】
時間的行ノイズを有する請求項7に記載のCMOS光センサにおける読み取り方法であって、
・アナログDC基準電圧をDC基準バスに切り替えることと、
・画素アレイのそれぞれ選択された行(Row
i)について、下記a)~e)を繰り返すことと、を含む読み取り方法。
a)第1スイッチ回路(SW1)により選択された個々の読み出しチャネルを経由して列導体の各々での信号を読み出して、サンプリングされたデジタル画素値(S
i,j)を出力する。
b)第2スイッチ回路(SW2)により選択された予備読み出しチャネルの各々を経由してDC基準バスでの信号を読み出して、行ノイズ値(Sp
1)を出力する。
c)行ノイズ値から、現在選択された行(Row
i)について平均電圧基準値(RN
i)を計算する。
d)デジタル画素値(S
i,j)の各々から該平均電圧基準値(RN
i)を減算する。
e)現在選択された行(RoW
i)について、より低いノイズを持つ得られたデジタル画素値(d
i,j)を出力する。
【請求項16】
アナログDC基準電圧を、アナログデジタル変換範囲の中間レンジ値に設定することを含む、請求項15に記載の読み取り方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、欠陥読み出しチャネルを修理する内部手段を有する光センサ、特にCMOS光センサに関する。
【背景技術】
【0002】
当該技術分野でよく知られているように、光センサは、画素のアレイを備え、画素は、複数の行および複数の列に配置され、列内の各画素は、選択トランジスタを介して個々の列導体に接続され、読み出し回路の個々の読み出しチャネルを介してその読み出しを可能にする。読み出し回路は、アレイ内の画素の列と同じ数の読み出しチャネルを備え、基本的には、一度に1つの選択された行の画素の読み出しを可能にするように構成される。実際、各読み出しチャネルは、その入力において、画素アレイの個々の列導体(一般には列の足元)に直接に接続され、その出力において、列内の選択された画素によって受光された光の量を表す画像情報を提供する。用語「読み出しチャネル」は、アレイの列内の画素が読み出される回路を指す一般用語であり、少なくとも前置増幅器(電荷または電圧増幅器)を含み、その入力が個々の列導体に接続され、その出力がサンプルホールド回路に印加され、これはアナログデジタル変換器(ADC)へ変換のためのアナログサンプルを提供する。ADCは、読み出しチャネルの一部でもよく、読み出しチャネルの出力は、デジタル値であり、あるいは、ADCは、少なくとも列導体のグループによって共有され、読み出しチャネルの出力は、アナログ信号であり、これは列デコードシーケンスに従ってADCに印加される。これは周知技術である。
【0003】
光センサは、ますます使用されており、CMOSセンサは特にそうである。理由は、少し言及しただけでも、低い製造コスト、高い電子集積能力(半導体技術)、低い動作電圧、低消費電力、高速処理能力のためである。
【0004】
CMOS光センサの多くの用途は、大きな視野および/または高い分解能の増加する要求を満たすために、大きな画素アレイを必要とする。これは、より微細な幾何学的半導体技術に基づいて画素ピッチの減少を伴う小型化を導く。その結果、製造コスト問題および/または画質問題という製造欠陥のリスクが増大する。
【0005】
製造欠陥は、特に、フォトリソグラフィ工程中に粉塵粒子によって引き起こされ、光学センサの様々な部分またはエレメントが欠陥として発見されることがある。実際、欠陥は、製造プロセスの終了時に光学検査および/または電気的動作検査を介して検出されて位置特定され、例えば、短絡、開放回路、インピーダンス不整合等のようなものでもよい(これに限定されない)。
【0006】
どのエレメントが欠陥であるかに応じて、光センサの動作の結果は、かなり異なることがある。例えば、欠陥エレメントが画素構造のエレメントを意味する画素内にある場合、欠陥は、撮影した画像をデジタル処理する際に、近傍画素に基づく補間をベースとした後処理ステップによって無視または修正できる。しかし、欠陥が、アレイの画素の列に関連付けられた読み出しチャネルのように、大きな画素セットで共有されるような機能エレメントに発生した場合には、欠陥は、撮影画像においてより顕著になり、画質を劣化させる。また、処理後の補正がより困難で非効率的となり、時間、資源、消費電力が高価になる。
【0007】
これらの理由のために、列導体(画素のアレイ)と読み出しチャネル(読み出し回路)との間に接続された一体化された修理手段を備えた光センサを提供することが知られている。これは、列導体をデフォルト読み出しチャネルまたは冗長のものに動作可能に接続することを可能にする。基本的には、デフォルト読み出しチャネルに加えて、センサ回路内に少なくとも冗長読み出しチャネルが設けられ、スイッチング手段がアレイの各列導体に関連付けられて、各列導体をそのデフォルト読み出しチャネルまたは冗長読み出しチャネルのいずれかに動作可能に接続する。このような補修機構は、例えば、米国公開第2006/00261255号に記載されている。しかしながら、大型アレイに関しては、修理回路は、列デコード機構を過度に複雑にすることなく、表面積をあまり大きくすることなく、任意の位置において、全ての欠陥読み出しチャネルを修理可能にすべきである。
【0008】
米国公開第2009/0108177号は、グループ単位での読み出しチャネルの置換に基づく修理回路を提案している。詳細には、デフォルト読み出しチャネルグループが、隣接するグループに置換可能であり、このグループ置換処理は、行方向に1つのグループから他のグループに、読み出し回路内のデフォルト読み出しチャネルの最後のグループまで伝搬し、その隣に位置する予備グループに置換される。全てのデフォルト読み出しチャネルによって形成されるアセンブリの両側にある予備グループを設けることによって、提案された修理回路は、各々が少なくとも1つの欠陥チャネルを含むことが判明した2つのデフォルト読み出しチャネルグループを分離して置換することを可能にし、一方は、左方向のグループのシフトにより、他方は、右方向のグループのシフトによる。しかしながら、この手法は、シフトするグループ当たりの列の数に依存し、1つのグループまたは2つのグループの幅内に位置する欠陥チャネルを有することに基づく選択回路を必要とする。
様々なサイズの大型アレイに容易に適合するような、より柔軟な手法についてのニーズがある。また、提案された手法は、高度なIC製造において使用されるスティッチング(stitching 縫合)技術に上手く適しているべきである。
【0009】
また、CMOS光センサでは、ノイズの懸念もある。ノイズのレベルは、センサによってかなり検出可能な最低照度レベルを決定する。光学センサの種々の用途において、撮影条件は大きく変化することがあり、明るい環境から暗所まで移動し、現場内の物体が接近したり遠くになったりする。広いダイナミックレンジを有し、微弱な信号を検出できる光センサを提案することは、市場の反復的需要である。ノイズのレベルは、センサによってかなり検出することができる最低照度レベルを決定する。画素構造(フォトダイオードまたはフォトゲート、およびトランジスタ)の電子回路素子、読み出し回路(トランジスタ、論理ゲート、増幅器)は、画像を撮影(走査)するための行選択シーケンスと共に、全てノイズ源である。これは、固定パターンノイズ(FPN)および時間的、低周波ノイズを発生し、センサの信号対ノイズ比およびダイナミックレンジを制限し、撮影した画像の品質である。固定された空間ノイズは、電子回路素子(フォトダイオード、トランジスタ、増幅器)の特性の技術的分散によるものであり、技術および製造プロセスに依存する。それは、同じ光量を受光した2つの画素からの信号間の差として定義できる。時間的ノイズは、様々なソースに由来するランダムで低周波のノイズである。時間的ノイズは、画素に由来する特定の熱雑音、ショットノイズおよびフリッカノイズ(1/fノイズ)を含むが、行単位での読み出し回路および変換シーケンスから由来する行ノイズも含む。さらに大型アレイは、一般に、小さな幾何形状技術によって得られる。しかしながら、チャネルの長さが減少すると、MOSトランジスタで発生する低周波ノイズがより重要であることが一般に知られている。
【0010】
ノイズレベルを低減するいくつかの方法は、読み出し回路のレベルで実装されることが知られている。これらの方法のうち、広く適用される相関二重サンプリング(その頭字語「CDS」で知られている)は、画素を2倍検知して熱雑音(KT/C)を除去し、画素の信号レベルから画素のリセットレベルを減算(アナログまたはデジタル減算)して、画素値を発生できる。CDSは、同時にFPNおよび1/fノイズを低減し、より良好なノイズ低減結果は、画素構造および駆動方法(特にローリング、グローバルシャッターモードなど)に応じて、リセットレベルを最初に検出した場合(これは常に可能でない)に得られる真のCDSによって達成される。偽CDSは、信号レベルがリセットレベルの前にサンプリングされた場合である。しかしながら、CDSは、読み出しシーケンス処理によって発生した行ノイズを処理しない。他の既知のノイズ低減方法(真または偽のCDSと組合せ可能)は、オフセット信号(アナログ)またはオフセット値(デジタル)を減算するものである。これらのオフセット信号または値は、画素内に発生する暗電流を表す。暗電流は、入射光の存在しないときに画素(フォトダイオードまたはフォトゲート)の感光性素子に蓄積された電荷により発生し、1つの画素から他の画素(アレイ上の電子回路の特性の技術的分散に起因して)まで変化する。暗電流は、画素に入射する光に応答して発生する電流に対して追加で発生し、入射光は、特に微弱な信号(低い入射光)については正確に測定されるものである。暗電流低減技術は、一般に、画素アレイの少なくとも一方の側に設けられた補助ブラック画素(光からマスクされる)をベースとしており、アナログまたはデジタルのいずれかで、各画素値から減算されるオフセット値(平均)を提供するために使用される。なお、減算がデジタルで行われる場合、ブラック画素値の読み出し変換を意味し、行ノイズの低減に寄与できる。しかしながら、ブラック画素は、画素のアレイの側にあるため、面積が消費されることに加えて、特に大型画素アレイに適用される場合、アレイ内の画素の特性の分散を完全に表現していない。いくつかまたは全てのブラック画素からのオフセット値としての平均値を準備することは、この副作用を完全に補償しない。また、オフセット値をアナログで減算した場合、読み出し変換に起因した行ノイズは扱われない。
【発明の概要】
【0011】
本発明の一態様は、画素アレイの任意のサイズに容易に適合し、欠陥の位置特定の後に各センサデバイスにおいて構成し、またはプログラムするのが容易である、拡張可能な機構による読み出しチャネルの修理に関する。
【0012】
本発明の他の態様は、大型アレイの光センサにおける可視パターンノイズをさらに低減するために、読み出し回路に起因する時間的行ノイズを低減することに関する。より詳細には、本発明は、読み出し行の幅に沿った行方向ノイズ変動を考慮した新しい時間的行ノイズ低減方法を提案するものである。これは、本出願人が、特に大型アレイ光センサにおいて無視できない変動であることを発見した。
【0013】
本発明の更なる態様が、上記の修理態様および行ノイズ低減態様の両方を達成するために、無視できる余分な面積を消費する同じ回路に関する。
【0014】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、P個の行およびN個の列(P,Nは整数)の画素を含み、同じ列に属する画素は個々の列導体に接続されている、画素アレイと、画素アレイのN個の列導体に接続され、選択された行の各画素についてデジタル画素値を出力する読み出し回路と、を備えるCMOS光センサに関する。
【0016】
本発明によれば、読み出し回路は、
a)画素アレイの個々の列導体ごとに1つであるN個のデフォルト読み出しチャネルおよびM個(M<N)の予備読み出しチャネルを備え、
b)N+M個の読み出しチャネルは、n個の連続するデフォルト読み出しチャネルの1つのデフォルトグループの行方向の繰り返しパターンシーケンスでグループごとに配置され、そしてm個の連続する予備読み出しチャネルの1つの予備グループで配置され(n,mは整数、N/nは1より大きい整数、M/mは1より大きい整数)、
c)画素アレイの個々の列導体ごとに1つであるN個のスイッチ回路を備え、
各スイッチ回路は、N個の列導体のうちの個々の1つを、前記列導体のためのデフォルトチャネル、前記デフォルト読み出し導体の左側にある第1置換読み出しチャネル、および前記デフォルト読み出し導体の右側にある第2置換読み出しチャネルから選択された、読み出し回路の1つの読み出しチャネルに電気的に接続するように構成され、
前記読み出し回路は、デフォルトグループにおいて欠陥読み出しチャネルを含む場合、左シフト接続パターンまたは右シフト接続パターンの一方が適用されるように、第1スイッチ回路を設定するように構成され、
左シフト接続パターンは、欠陥読み出しチャネルから始まって前記デフォルトグループの第1読み出しチャネルまでの前記デフォルトグループの読み出しチャネルの各々への置換として、前記第1左側置換読み出しチャネルを選択し、
右シフト接続パターンは、欠陥読み出しチャネルから始まって前記デフォルトグループでの第n読み出しチャネルまでの前記デフォルトグループでの読み出しチャネルの各々への置換として、前記第2右側置換読み出しチャネルを選択する。
【0017】
m=1である場合、各第1スイッチ回路における第1左側置換読み出しチャネルは、デフォルト読み出しチャネルの左側にある次の読み出しチャネルであり、
第2右側置換読み出しチャネルは、デフォルト読み出しチャネルの右側にある次の読み出しチャネルである。
【0018】
m>1である場合、置換パターンは、m個グループ単位であり、
各第1スイッチ回路における第1左側置換読み出しチャネルは、デフォルト読み出しチャネルの左側でさらにm個のランクにある読み出しチャネルであり、
第2右側置換読み出しチャネルは、デフォルト読み出しチャネルの右側でさらにm個のランクにある読み出しチャネルである。
【0019】
好都合には、光センサは、さらに、
・読み出し回路の幅に渡って行方向に延びるアナログDC電圧基準バスと、
・予備読み出しチャネル毎に1つである第2スイッチ回路であって、前記第2スイッチ回路の各々は、いずれかの第1スイッチ回路によって選択されていない場合、個々の予備読み出しチャネルを前記基準バスに選択的に接続する、第2スイッチ回路と、を備え、
N個およびM個の読み出しチャネルは、全て相関二重サンプリングを実装するように構成され、
読み出し回路は、さらにデジタル行ノイズ抑制機能を実装し、第2スイッチ回路によってDC基準バスに動作可能に接続され、第1スイッチのいずれかによって選択されてない予備読み出しチャネルから得られるデジタル信号から平均行ノイズ値を計算するように、そして、第1スイッチ回路によってアレイの個々の列導体に動作可能に接続された読み出しチャネルによって提供される、現在選択された行についての画素値の各々から前記平均行ノイズ値を減算するように構成される。
【0020】
好ましくは、アナログDC電圧基準は、アナログデジタル変換範囲の中間レンジ値に設定され、好都合には、光センサに設けられたプログラマブルDAC変換器によって提供される。
【0021】
本発明はまた、こうした光センサにおける低ノイズ読み出し方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下、本発明の他の特徴および利点について、添付図面を参照して非限定的な実施例および実施形態を用いて説明する。
【
図1】読み出し回路の読み出しチャネルによって共有される1つのアナログデジタル変換器を含む例示的な実施形態における光センサの一般的ブロック図を示す。
【
図2】各読み出しチャネルが自己のアナログデジタル変換器を備える場合の
図1の変形例である。
【
図3】本発明の第1の例示的な実施形態による、n個のデフォルト読み出しチャネルごとに1つの予備読み出しチャネルをベースとして、デフォルト読み出しチャネルの間に分散した予備読み出しチャネルを備えた修理回路を含む読み出し回路の概略図を示す。光センサは、
図2に示すように、各読み出しチャネルに含まれるアナログデジタル変換手段と、未使用の予備読み出しチャネルをベースとした行ノイズ低減ステージとを備える。
【
図4】本発明に係る行ノイズ低減処理の概略図である。
【
図5】
図3の概略図において、2つの欠陥デフォルト読み出しチャネルが本発明の原理に従って置換される場合に関連する接続および行ノイズ低減動作を示す。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る修理回路に適用される読み出しチャネル選択回路およびプログラミングツールの一例を示す。
【
図7】本発明の第2の例示的な実施形態による修理回路および行ノイズ低減ステージの概略図を示し、n個のデフォルト読み出しチャネル毎にm>1個の予備読み出しチャネルを設ける。
【
図8】行方向での分散バッファを経由して基準バス上でのアナログDC基準発生および分布の例示的な実施例を示し、関連する選択回路が、本発明の行ノイズ低減態様に従って、基準バスを未使用の予備読み出しチャネルだけと接続する。
【
図9】本発明に係る修理機能および行ノイズ低減機能の両方を実装する予備読み出しチャネルおよび選択回路を備えた光センサにおけるCDS読み出しシーケンスの簡略化クロノグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1と
図2は、いずれもCMOS光センサのメイン回路素子を示す。2つの図面間の相違点は、アナログ/デジタル変換回路が全ての画素によって共有されているか(
図1)、または、同じ列内の画素のみに共通あるか(
図2)である。他の構成が存在してもよく、例えば、同じADCが、列のサブセットの画素によって共有できることに留意する。また、特に、光センサが大きなアレイ(数千の行および列を意味する)を有する場合、高速性を達成するために、2つの読み出し回路(一方が列の下部にあり、他方が列の上部にある)を設けることが一般的である。本発明に関連して言えることは、これらの異なる構成のいずれにも、特に
図1および
図2のものにも適用される。
【0024】
基本的なCMOS光センサを
図1と
図2に示す。用語CMOSは、実際、画素アレイ、特に読み出し回路およびデコーダの周囲にある電子回路に適用されることに留意する。画素は、感光性素子としてのフォトダイオードまたはフォトゲートを含むMOS素子、およびMOSトランジスタを使用して、少なくともアレイ内の画素の選択の機能を担って、それを読み取り、そして我々は、パッシブ画素について説明する。しかし、画素は、好ましくはアクティブ画素であり、我々は、一般にAPS画素およびAPSセンサについて説明する。これは、画素構造が、2つ以上のトランジスタ、詳細にはX個(Xは3以上)のトランジスタを含むことを意味する。当該構造は、3T、4T、5T以上である。これらのXT構造により、画素の様々な動作モードが制御可能になり、特に、画素による積分(線形、対数)は、電子増倍効果などを伴うローリングまたはグローバルシャッターモード、そして読み取りモード:CDS、ビンニング等にできる。XT画素構造のX個のトランジスタは、画素に対して全て固有にでき、あるいはいくつかは他の画素と共有できる。
【0025】
センサは、アレイ1内に組織化された画素を備え、これは、感光性素子(フォトダイオード、フォトゲート)およびトランジスタ(MOS)で基本的に構成された画素構造を有する。アレイ1は、P個の行(Rowi~RowP)およびN個の列(Col1~ColN)の画素を備える(P,Nは1より大きい整数)。画素は、PXi,jで表記し、i(1~Pに等しい整数)は行方向の行のランクを表し、j(1~Nに等しい整数)は列方向の列のランクを表す。全く同一の列に配置された画素は、アレイのN個のうちの個々の列導体に接続される。全く同一の行に配置された画素は、アレイのP個の行選択ラインのうちの個々の行選択ラインによって制御される。大型アレイについて言うと、例えば、NおよびPは、数千、例えば、約8000に等しくてもよい。
【0026】
アレイの画素を読み出す読み出し回路2が、N個の読み出しチャネルRoC1~RoCNを備え、各読み出しチャネルRoCjは、アレイ1内の同じランクjの列導体(Col)に接続され、対応する列内の選択画素によって受信された照度レベルを表す信号の読み出しチャネルの出力での生成を可能にする。用語「接続され」とは、直接に、または、任意のカップリング素子を経由して接続されることを意味する。
【0027】
図1において、読み出しチャネルの出力は、アナログ信号であり、各出力は、列デコーダ5の制御の下でデジタル変換のために高速ADC(アナログデジタル変換器)3へ順次送信される。
図2において、読み出しチャネルの出力は、デジタル信号であり、各読み出しチャネルは、それ自体のADCを備える。
【0028】
読み出しチャネルが、サンプルホールド回路を備え、選択画素の照度レベルを表すアナログサンプリング信号を取得し、そしてデジタル化される。増幅器が、一般にはサンプルホールド回路の前に設けられ、上流の列導体のいずれかの高いキャパシタンスを考慮した負荷目的のために設けられる。複数の読み出しチャネル(
図1)によって共有されるADCの場合、出力増幅器を設けて、読み出しチャネルとADCとの間にある出力ライン導体7に負荷印加してもよい。
【0029】
画素および読み出し回路のシーケンスは、行デコーダ4を備えるアドレス回路により行われ、アレイの読み出しシーケンスで1回に1つの行を順次選択し、そして列デコーダ5は、各読み出しチャネルによって送給された信号をADC変換器3(
図1)またはデータシフトレジスタ6(
図2)に向けて順次転送する。最後に、撮影した画像のデジタルデータ情報DATAは、画像品質を向上させるための後処理およびアプリケーションに特有の処理を含む更なる処理のためのデジタルプロセッサDSPに送られる。DSPは、光センサ集積回路内に全部または一部が集積できる。このことは、いくつかの後処理演算が光センサの内部で実行できることを意味し、これは、例えば、ヒストグラムなど、データフロー上の統計的計算を含み、他の応用演算は、光センサの外部にある応用DSPで行われる。
【0030】
デコーダ回路4,5は、シーケンス回路(不図示)によって発生した適切なクロック信号の下で動作し、画素による積分シーケンスおよび各撮影フレームに対する画素の読み出しシーケンスを制御するのに必要な全ての信号を発生し、特に行デコーダおよび列デコーダを制御する。これは、全て周知技術である。
【0031】
実際、読み出しチャネルは、一般にCDSを実装しており、このことは2つのサンプルが各画素から得られることを意味する。リセット信号と情報信号との間のCDS減算は、アナログデジタル変換の前(アナログ式)またはその途中で得られる。例えば、線形ランプに基づくADCでは、カウンタが使用され、これは1つのサンプルについてアップカウントモードで構成され、他のサンプルについてはダウンカウントモードで構成される。得られた信号は、特に、固定パターンノイズおよび画素で発生するkTCノイズを含まない。
【0032】
本発明について、
図3~
図9を参照して、以下の説明において詳細に説明する。それは、
図1と
図2に関連して上述した一般的な特性を有する任意のCMOS光センサに実装できる。本発明は、特定のADC変換器タイプに限定されず、任意のタイプのADC(シングルまたはデュアルスロープを備えたランプ、SAR、シグマデルタなど)に一般に適用され、そして
図1と
図2に示す構成、即ち、N個の読み出しチャネルによって共有される1つのADC(
図1)、またはチャネル当たり1つのADC(
図2)に限定されないことに留意する。
【0033】
本発明によれば、CMOS光センサは、
図3のRoCPsp
1のような予備読み出しチャネルを備え、製造プロセスの終了時に欠陥が発見された読み出しチャネルを置換する。これらの予備読み出しチャネルは、m個の予備読み出しチャネルの予備グループGm
1,Gm
2,Gm
3の形態で光センサの幅(行方向に対応)に渡って配置され(mは1以上の整数)、各予備グループは、n個のデフォルト読み出しチャネルの2つの連続したデフォルトグループの間に挿入される。例えば、
図3において、予備グループGm
1は、2つのデフォルトグループGn
1,Gn
2の間に挿入される。実用レベルでは、デフォルト読み出しチャネル間の予備チャネルのこの挿入が可能である。理由は、読み出しチャネルの幅がアレイの画素ピッチよりも小さく、予備読み出しチャネルの合計数は、デフォルト読み出しチャネルの合計数の一部だけに過ぎないためである。例えば、32個毎に1個の予備読み出しチャネルを追加した場合、読み出しチャネルピッチは、3%だけ減少させる必要がある。8K画素アレイでは、8192列であり、これは256個の予備読み出しチャネルを有することを意味する。
【0034】
製造プロセスの終了時に、もしデフォルト読み出しチャネルがデフォルトグループ内で欠陥であると発見された場合、カップリング手段が、欠陥デフォルト読み出しチャネル、そして、欠陥グループと、関心のあるデフォルトグループの次にある予備グループとの間にある任意のデフォルト読み出しチャネル、好ましくは、欠陥読み出しチャネルの位置またはランク(デフォルトグループ内)に関して最も近い予備グループを置換するように構成される。完了すると、これにより欠陥予備読み出しチャネル自体が欠陥ではないと想定され、実際には、予備読み出しチャネルが欠陥であるという大型アレイでの確率は極めて低い(デフォルトのものよりも予備読み出しチャネルは極めて少ない)。また、以下の説明から明らかになるように、次の予備グループを使用する可能性も存在している。
【0035】
予備グループが、1つだけの予備読み出しチャネルを備えるか、または2つ以上の読み出しチャネルを備えるかに応じて、置換機構は、1対1対応基準(第1実施形態)またはM個のデフォルト読み出しチャネルのグループ毎に構築される(第2実施形態)。このことは、以下に詳細に説明する。
【0036】
本発明の他の態様によれば、未使用のままである予備読み出しチャネル(欠陥読み出しチャネルの修理ステップの後)は、基準バスからのアナログDC基準信号をサンプリングし、それをデジタルに変換するために使用され、同時にアレイの現在選択された行内の画素が読み出される。これにより各予備読み出しチャネルから、選択された行Row
iの画素からのいずれかのデータ信号S
i,jのものと全く同じ読み出し電子回路および駆動機構を経由して、個々の読み出しチャネルおよびADCからのDC基準値(デジタル)を取得するのが可能になる。特に、CDS読み出しは同じ方法を適用し、これは、実際、現在選択された行の行ノイズレベルを表す値を得ることを可能にする。この値を行基準値VRN
iと称しており、これは、未使用の予備読み出しチャネルの各々から得られるDC基準値の平均であり、これは、VRN
i=ΣSp
k/Aのように表現される。ここで、Aは、未使用の予備チャネルの数であり、k(1~Aに等しい整数)は、行方向(例えば、
図3の図面シートの面内の左から右へ)に関してA個の未使用予備チャネルのランクに対応する。
【0037】
そして、この行基準値VRNiは、画素デジタル信号Si,jの各々から減算され、現在選択された行Rowiについて出力し、最終的にローノイズ信号値di,jを取得しており、そのため行ノイズが抑制され、または最後には減少する。
【0038】
この行ノイズ抑制処理は、
図4のダイアグラムに要約している。それは、少なくとも1つの予備読み出しチャネルが未使用であることを必要とするが、これは実際に起こるものである。そして、それぞれ新たに選択された行において、新たなDC基準値が得られ、これは各画素信号S
i,jから減算され、ローノイズ信号d
i,jを送給する。この行ノイズ抑制処理を実施している理由は、行ノイズの垂直変動を考慮するのに加えて、それぞれ新たな選択行において新しい基準値を計算することによって、行の長さに渡る行ノイズ変動(水平変動)を考慮しているためであり、これらは実際には無視できないこと判明した。後者は、予備読み出しチャネル(または予備グループ)の行の長さに渡る分散の結果である。最後に、よく知られているように、画素信号の行ノイズは、Aの平方根の係数だけ減少する。ここで、Aは基準値を発生するために使用される予備読み出しチャネルの数である。
【0039】
この行ノイズ抑制に用いられるDC基準信号は、実際にはDCアナログ電圧であり、そのレベルは、ADC範囲を基準として、ADC変換範囲内、好ましくは、中間レンジ内にあるように決定され、そのため行ノイズ評価は、ADC変換範囲と整合(coherent)している。
【0040】
これは、特定のアナログ電圧を発生するために、好ましくはセンサ自体の内部にあるDACに関連したプログラマブルレジスタを設けることによって、任意のアプリケーションのための任意のセンサにおいて容易に適合可能である。DC基準信号がどのように発生するかについてのこのおよび他の更なる詳細は、以下の説明において詳細に説明している。
【0041】
次に、本発明の異なる実施形態を参照して、修理プロセスを詳細に説明する。
【0042】
(第1実施形態)
【0043】
本発明の第1実施形態は、
図3に示している。図面の可読性を改善するために、画素アレイ1は、列導体Col
1~Col
Nの先端を除いて詳細には表していない。これらは、読み出し回路2の個々の読み出しチャネルに動作可能にそれぞれ接続される。
【0044】
最初に修理手段を説明して、続いて行ノイズ抑制手段を説明する。
【0045】
(修理手段)
本発明の第1の実施形態によれば、読み出し回路2は、予備読み出しチャネルおよび構成可能なカップリング手段を備え、発見された欠陥チャネルの数および位置に応じて定義される修理パターンに従って、列導体とそのデフォルト読み出しチャネルまたは異なる読み出しチャネルとの接続を達成する。
【0046】
予備読み出しチャネルは、n個のデフォルト読み出しチャネル毎に1つの予備読み出しチャネルに基づいて、デフォルト読み出しチャネルの間に挿入される。換言すると、各予備グループは、単一の予備読み出しチャネルで構成され、デフォルト読み出しチャネルは、n個の連続した読み出しチャネルのシーケンスによってグループ化され、これらは
図3でグループGn
1,Gn
2,Gn
3(n=8)で示す。n=8は、図面の紙面の狭いスペースでの図示の目的のために過ぎないことに留意する。実際、nは、一般により大きく、例えば、32に等しい。これは、既定の技術のための欠陥読み出しチャネルの数に関する統計量に匹敵する。1/128の比率は、今日の大型アレイCMOSセンサについて現実的である。この例では、図に示すように、左から右へ行方向に増加する列ランクの慣習では、第1デフォルトグループGn
1は、n個の第1列導体Col
1~Col
8に関するものであり、第2デフォルトグループGn
2は、n個の連続する列導体Col
9~Col
16に関するものであり、以下同様である。1つの予備読み出しチャネルRoCsp
1を備える第1予備グループGm
1がGn
1とGn
2の間に挿入され、1つの予備読み出しチャネルRoCsp
2を備える他の予備グループGm
2がGn
2とGn
3の間に挿入され、以下同様である。実際、第1デフォルトグループGn
1の第1デフォルト読み出し列RoC
1の左側に予備グループを設ける必要はなく、最後のデフォルト読み出し列RoC
N(最後のデフォルトグループGn
N/nに属する)の右側にも設ける必要はないことに留意する。
【0047】
N個のスイッチング回路SW1は、多重化(multiplexing)素子として、アレイ1のN個の列導体の各々を、読み出し回路2の3つの読み出しチャネルの間で選択された1つの読み出しチャネルに接続する。3つの読み出しチャネルは、所定の列導体について下記のものである。
a)デフォルト読み出しチャネルRoC-D。これは所定の列導体に通常接続されている。
b)左側(行方向)のデフォルト読み出しチャネルの次の第1置換読み出しチャネルRoC-L。この第1置換読み出しチャネルは、デフォルトグループ内のデフォルト読み出しチャネルのランクに応じて、「デフォルト」または「予備」タイプの読み出しチャネルとなり得る。
c)右側(行方向)のデフォルト読み出しチャネルの次の第2置換読み出しチャネルRoC-R。この第2置換読み出しチャネルは、デフォルトグループ内のデフォルト読み出しチャネルのランクに応じて、「デフォルト」または「予備」タイプの読み出しチャネルとなり得る。
なお、右側(または左側)の「次の」読み出しチャネルは、右行方向(または左行方向)での直接に連続したものを意味する。
【0048】
図3に示すように、デフォルトグループGn
2内の列導体Col
jを例示する。
・そのデフォルト読み出しチャネルRoC-Dは、RoC
jである。
・第1置換読み出しチャネルRoC-Lは、「デフォルト」タイプRoC
j-1である。理由は、
図3のRoC
jは、デフォルトグループGn
2内の第1チャネル(左行方向の第1ランク)ではないためである。Gn
2の第1ランクチャネルは、ROC
9であり、ROC
9のための「左側」読み出しチャネルRoC-Lは、Gn
1とGn
2の間にある予備読み出しチャネルであるRoCsp
1である。
・同様に、その第2置換読み出しチャネルRoC-Rは、「デフォルト」タイプRoC
j+1である。理由は、RoC
jは、Gn
2(右行方向のnランク)の最後のチャネルではないためである。Gn
2の最後ランクチャネルは、ROC
16であり、ROC
16のための「右側」読み出しチャネルRoC-Rは、Gn
2とGn
3の間にある予備読み出しチャネルであるRoCsp
2である。
【0049】
図5は、修理パターンを示しており、デフォルトグループGn
2内で左右にシフトした両チャネルを組み合わせて、そしてGn
2を左右のケースにフレーム構成する2つの予備読み出しチャネルを使用する。この例では、Gn
2内に2つのデフォルト読み出しチャネルRoC
11,RoC
15が欠陥として発見され、これらはそれぞれランク3,7の読み出しチャネルである。これらの欠陥チャネルは、図中の波形パターンで表現している。
【0050】
そして、上記原理によるGn2内の修理機構は、下記のように適用される。
・RoC15~RoC16は、これらの第2置換読み出しチャネルRoC-Rとそれぞれ置換され、これらはそれぞれRoC15についてはRoC16、RoC16についてはRoCsp2であり、これは右シフト接続パターンに対応する。
・RoC9~RoC11は、これらの「左側」読み出しチャネルRoC-Lとそれぞれ置換され、これらはそれぞれRoC11についてはRoC10、RoC11についてはRoC9、RoC9についてはRoCsp1であり、これは左シフト接続パターンに対応する。
・RoC12~RoC14は、置換されず、個々の列導体のための動作読み出しチャネルである。これは、デフォルト接続パターンに対応する。
【0051】
実際、3つの可能性のうちの個々の読み出しチャネルへの各列導体の接続は、スイッチ回路SW1(アナログマルチプレクサ)の構成により実装される。各第1スイッチSW1の入力は、個別の列導体の先端に接続され、スイッチは、入力を、3つの出力RoC-L,RoC-D,RoC-Rのうちの1つに経路選定するように構成される。これは、各スイッチSW1での3つの「基本」スイッチへの論理コマンドは、下記の3つの組合せだけが採用可能である。
「010」 デフォルト出力RoC-Dに対応する(Gn
2でのRoC
4,RoC
5に関連付けられたスイッチを参照)。
「100」 左シフト接続パターンに対応しており、RoC-L出力をイネーブルにする(Gn
2でのRoC
9~RoC
11に関連付けられたスイッチを参照)。
「001」 右シフト接続パターンに対応しており、RoC-R出力をイネーブルにする(Gn
2でのRoC
15,RoC
16に関連付けられたスイッチを参照)。
そして、
図6のデコードテーブルTAB1に示すように、2ビットの論理信号は、各スイッチ回路SW1での3つの組合せに対して1つをプログラム/構成するのに充分である。この例では、シフトレジスタSet-SW1は、1つのスイッチ回路SW1を制御するスイッチ信号のセットをそれぞれ出力する多数の論理回路に関連付けられている。
シフトレジスタの2ビットは、個々のスイッチ回路SW1(例えばRoC
1に関連付けされる)に適用可能な1つのコマンドセット[Sel-L,Sel-R,Sel-R]を発生する。実際、シフトレジスタは、N個のスイッチ回路SW1について、N個のコマンドセット[Sel-L,Sel-R,Sel-R]を発生する直列の基本シフトレジスタのセットである。
【0052】
これらの第1スイッチSW1は、読み出し回路2の入力側にある。出力側では、列デコーダは、スイッチ回路SW1によって実装される接続パターンを考慮するデコーダ処理を実装できる。このことは、列デコーダが、画像フレーム毎にN個の読み出しチャネル(各列のN個の画素を読み出すために動作可能に使用されるN個のチャネル)を順次選択することを意味する。あるいは、列デコーダは、回路2に実装された読み出しチャネルの各々、デフォルトおよび予備のいずれかを順次選択し、正しいデータは、この実装された接続パターンに従ってDSPによって選別出力される。
【0053】
図3と
図5は、各読み出しチャネルが自己のADCを有する読み出し回路を示し、出力は、データシフトレジスタ6を経由してDSPに向けて順次直列送信されるデジタル出力である(
図2)。これは、高速ADCへ変換のために順次印加されるアナログ出力の場合(
図1)にも適用される。
【0054】
しかし、
図3と
図5に示すように、入力第1スイッチSW1の逆ルーティング(逆経路選定)機能を実現するスイッチ回路SW1’は、RoC-LまたはRoC-R置換チャネルによって送給される出力を、対応するデフォルト出力信号ラインにそれぞれ経路選定するように、リアルで(前段落で提案したようなソフトウェアによる代わりに)で実装してもよい。対応する回路SW1,SW1’のための入力コマンドは、全く同じであり、これはスイッチ回路を構成するための構成可能/プログラム可能な手段の必要性を制限する。例えば、左出力(RoC-L)が1つのSW1回路によって入力において選択された場合、左入力(RoC-L)は、その出力において、対応する1つのSW1’回路によって選択される。こうしたハードウェア表現は、全体の修理機構を明確にするのに便利である。本発明の他の態様を説明することも説明目的のために便利であり、行ノイズ抑制機能が、未使用の予備読み出しチャネルをベースとして好都合に実装された場合、未使用の手段は、スイッチSW1による接続パターンでの修理目的のために選択されない。しかし、上述したように、実際、読み出し回路の読み出しチャネルの出力におけるこれら全てのルーティング態様は、列デコーダおよび/またはDSPプロセッサによって容易に管理できる。本発明は、読み出し回路の出力におけるデータルーティングのハードウェア実装に限定されず、ソフトウェア実装にも適用される。
【0055】
(行ノイズ抑制)
一般原理は
図3に示しており、行ノイズ抑制処理は、
図4のダイアグラムに詳細に示しており、
図5は、実際のケースを示しており、いくつかの予備読み出しチャネルが修理のため使用され、残りの予備読み出しチャネルが本発明に係る行ノイズ抑制機能のために使用される。本発明によれば、センサ集積回路が検査され、欠陥読み出し列が識別された場合、ある接続パターンが決定され実装され(SW1)、これは予備読み出しチャネルを使用する。そして、どれぐらい多くの予備読み出しチャネルが未使用のままであるかの第1判断が行われる(
図4のステップ300)。これにより、残りの予備読み出しチャネルの数Aを与え、これらのA個の予備読み出しチャネルの位置(アドレス)も伴う。実際、Aは決してゼロではなく、A個の残りの予備読み出しチャネルは、行の長さに渡って疎らでもよいことに留意する。我々は、これらにランクKを割り当て可能であり、これは1からAまで行右方向(慣習による)に増加する。
【0056】
これらのA個の予備読み出しチャネルは、基準バスBDCに印加されるアナログDC基準電圧DC_refをサンプリングするために使用される。これは、予備読み出しチャネル当たり1つの多重化素子を含む第2スイッチ回路SW2によって得られ、読み出し回路2の長さに渡って行方向に延びる基準バスBDCと接続する。各予備読み出しチャネルでは、個々のSW2多重化素子は、予備読み出しチャネルが修理(SW1経由)のために使用されていない場合にのみ起動される。予備チャネルの出力には、SW2’を表現しており、これは、予備チャネルが修理パターンに使用されていない場合、予備チャネルにより送給される信号を、行ノイズ抑制ステージへ予備信号として送給されるようにする。SW2’は、SW2と全く同じ状態である(これは、両方をセットするに適用される同じ論理コマンドを意味する)。以上説明したが、このハードウェア表現は、必要ではないことがある。DSPがSW1の構成(設定)によって反映された修理パターンに基づいてデータ信号を選別出力できるためである。
【0057】
予備読み出しチャネルは、デフォルトのものと正確に同じ読み出し動作を実装するため、予備読み出しチャネルの出力で得られるアナログDC基準電圧を表す値は、CDS値であり、これは現在選択された行についての行ノイズレベルを定量化する。換言すると、DC電圧基準をサンプリングするために動作する予備読み出しチャネルでは、SHr信号およびSHs信号(
図9)は、全く同じ信号を「サンプリング」し、2つのサンプル間の減算は、行ノイズレベルに対応する。換言すると、2つのサンプル間の減算は、列時間的ノイズの1つの実際のサンプルを生じさせる。
【0058】
そして、それぞれ新たに選択された行Row
iについて読み出し回路で実施される読み出し動作100(
図4)は、選択された行の画素値の読み出しだけでなく、基準バスB
DCに動作可能に接続されたA個の予備読み出しチャネルの各々から信号値Sp
kの読み出しにも適用される。これは、サンプルホールド動作100.1を備え、基準レベルおよび信号レベルの連続的サンプリングと、各読み出しチャネル(
図2)でのアナログ-デジタル変換100.2、またはチャネルによって共有される高速ADC(
図1)を伴う。現在選択された行Row
iについてのこの読み出し動作100は、画素データDATA_pix{S
i,j}
j=1,...nおよび予備データDATA_spare{Sp
k}
=1,...Aを含むデータのフローを出力し、これらは全てのCDS値である(基準レベルおよび信号レベルが互いに減算されたことを意味する)。
【0059】
ステップ200.1(
図4)において、Sp
kデジタル値の平均が、予備データDATA_spare{Sp
k}
=1,...Aのセット全体について計算され、これは、現在選択された行Row
iについて行ノイズ値RN
iを与える。この平均化により、水平行ノイズ変動(ランダム)をAの平方根の係数で減少させることが可能になる。
【0060】
ステップ200.2において、この行ノイズ値RNiは、現在選択された行Rowiについて画素データフローDATA_pix{Si,j}j=1,...nの画素値Si,jの各々から減算され、これは既に説明したように低ノイズ値di,jを与える。
【0061】
次に、プロセス100,200は、アレイの各新しい行について全てのP個の行が読み取られるまで繰り返される。
【0062】
図3において、3つの図示した予備読み出しチャネルは全て利用可能であり、その結果、これらの予備信号Sp
1,Sp
2,Sp
3が得られ、現在選択された行Row
iについて平均化された行ノイズレベル、VRN
iを計算するために使用される。
図5において、いくつかの予備読み出しチャネルは、修理(SW1で選択される)のために使用され、その結果、これらの出力は行抑制処理では使用されない。これは、RoCsp
1,RoCsp
2からの出力が図中で交差する理由である。この図示において、予備チャネルRoCsp
3によって出力される予備信号Sp
1はそのままである。指標1は、本説明で取られる慣習で、行ノイズ抑制のために利用可能な第1予備信号であることを表記している。
【0063】
なお、
図3と
図5の両方では、読み出しチャネル内のデジタル変換から始まる全ての処理がデジタルである。特に、処理ステップ200.1(RN
iの評価)および200.2(行ノイズ減算)は、集積論理回路によって、またはDSP(センサに対して内部または外部)によって実行できる。また、ADCが
図1のように単一のものである場合、処理ステップ200.1,200.2は、ADCの後に行われ、そしてDSPによってオンチップまたはオフチップで実行できる。
【0064】
ここで、本発明に係るA個の予備読み出しチャネルによってサンプリングされるDCアナログ基準電圧について、既に説明したように、読み出し回路2は、バスラインBDCを備え、これは読み出しチャネルのセット全体をカバーするように行方向に延びる。このバスラインBDCは、アナログDC基準電圧を伝送する。実際、このアナログDC基準電圧の値は、読み出し回路のアナログデジタル変換器の中間レンジに対応するように決定され、これは、効率的な行ノイズ抑制のための最良の条件に対応する。実際の例では、このアナログDC基準は、画素コモンモード電圧と同じ電圧に設定でき、通常は3.3VのCIS技術において2.2V~1.6Vの範囲である。このアナログDC基準電圧は、バンドギャップ源(かなり高価)によって発生されることは必要とされない。好ましくは光センサに集積される任意の電圧源が簡便でもよい。
【0065】
しかしながら、各光センサの電圧レベルを容易に適合させる可能性を有することが望ましい。また、各現在選択された列についてのサンプリング段階の前に、基準バスBDC上に静かなDC信号を得ることが望ましい。それ以外では、DC基準電圧のノイズは、行の時間的ノイズを発生することがある。この目的のために使用される予備読み出しチャネルによってサンプリングされるためである。
【0066】
図8は、好ましい実施形態400を示し、DCアナログ基準電圧DC_refを発生して、基準バスに印加しており、これらの異なる態様に対処する。
【0067】
それは、デジタルアナログ変換器DAC401を備え、電圧基準値(デジタルコード)V_refDCを光センサのパラメータレジスタ内にプログラムするのを容易にし、所望のアナログDC基準電圧DC_refは、DACによって生成される。そして、高い駆動能力を備え、フォロワとして動作する(出力が反転入力にループバックされる)演算増幅器が使用され、DAC(その非反転入力)からのDC基準DC_refを容量性バス基準ラインBDCに印加する。
【0068】
好ましくは、スイッチ403が、フォロワ増幅器の出力に設けられ、これは、基準バスラインBDCの長さに沿って全て分布するバッファ404に関連付けられ、基準バスラインBDCを均等に負荷印加している。そして、バッファ404は、スイッチ403に接続する第1バスライン405と基準バスラインBDCとの間に接続される。この実装により、バッファ404は、極めて低ノイズの大きな分散バッファに類似する。
【0069】
スイッチ403の動作は、バッファとともに、バッファ402およびDAC401から到来する時間的ノイズに対して基準バスBDCに免疫を付与する。これは、アナログ信号がサンプリングされ、行分散バッファの入力で凍結されるためである。実際、バッファ404は、単一トランジスタでもよく、フォロアとして搭載される演算増幅器でもよい。従って、出力電圧は、入力電圧に等しい。
【0070】
図9に示すように、スイッチ403は、読み出しシーケンス100が開始する前に、パルス信号Set_DCによって各行時間中に1回起動される。パルス信号Set_DCで、基準バスB
DCは、DCアナログ基準電圧DC_refに設定され、そして基準バスが入力ステージ(DAC、増幅器、スイッチ)から分離され、そしてアナログDC電圧値は、
図9に示すように、共通の真のCDS読み出しシーケンスを参照して、現在選択された行の後続の読み出しシーケンス全体について、凍結されて静かになる。詳細には、スイッチ403は、パルス信号Set_DCで起動され、基準バスB
DCは、Set_DCパルスの時刻にDCアナログ基準電圧に設定され、そして入力ステージから分離され、DC_refが凍結される。そして、信号RSが、現在選択された行の各画素においてアクティブになり、これらの画素内のセンスノードをリセットし、センスノードの対応する基準レベルが、各読み出しチャネルにおいてサンプリングされ(SHr)、そして信号TXが、選択された行の各画素においてアクティブになり、画素によって積分された電荷をそのセンスノードに伝送し、対応する信号レベルが読み出しチャネルでサンプリングされる(SHr)。
【0071】
基準バスに動作可能に接続された予備読み出しチャネルにおいて、2つのパルス信号SHr,SHsは同様に印加されるが、その結果、基準バスBDCでのDCアナログ基準電圧をサンプリングする。これによりCDS減算によって、行ノイズ信号のみに対応する信号(アナログまたはデジタル)を得ることができ、そして画素信号Si,jの各々から減算される。
【0072】
図7は、第2実施形態を示し、修理パターンがグループ単位で動作し、設定回路(
図6)を減少させることによって多重化素子のコマンドを簡素化するか、または、デフォルト読み出しチャネルの各グループ間のいくつかの予備読み出しチャネルを許容し、より良好な平均化処理200.2を可能にする。
【0073】
本実施形態では、予備グループGm1,Gm2,Gm3は、m個の予備読み出しチャネルを備える(mは1より大きい)。図では、m=4である。原理上は、1より大きい任意の整数値でもよいが、通常は、デコード態様のために2のべき乗であることが好ましい。実際、4が可能な値であるが、例えば、mは8または16とすることもできる。本発明の原理は、特定の値に限定されない。
【0074】
次に、任意の欠陥読み出しチャネルを修理する置換原理は、ここではグループ単位で左方向または右方向にシフトすることである。即ち、Gm1のような各デフォルトグループにおいて、デフォルト読み出しチャネルは、m個の連続チャネルのu個のサブセット(uは整数、n/mに等しい)にさらにグループ化される。図示のように、各デフォルトグループにおいて、u個のサブセットSS1~SSuを有する。スイッチ回路SW1は同様にグループ化され、u個のサブセットSS1,SS2,…,SSuに対応して、m個のSW1回路のu個のグループ10.1,10.2、…,10.uを形成する。
【0075】
次に、サブセットが、Gn
1でのSS
u-1のように、少なくとも1つの欠陥チャネルを含む場合、対応するグループ10.u-1のm個のスイッチ回路SW1は、全て右シフト置換パターンを適用するように設定され、m個の対応する列導体(入力)を次のサブセットSS
uのm個の読み出しチャネルに経路選定する(1対1対応基準)。この機構は、Gn
1の右側にある予備グループGm
1までシフト方向に伝搬する。即ち、グループ10.u内の全てのSW1スイッチが、右シフト置換パターンを適用して、m個の対応する列導体を、デフォルト読み出しチャネルGn
1の次である予備グループGm
1のm個の読み出しチャネルに経路選定する。本実施形態では、
図7で明らかなように、デフォルト読み出しチャネルが、その右側またはその左側でさらに次のm個のランクのものと置換する。第1実施形態について説明したように、デフォルトグループでの右シフト置換パターンまたは左シフト置換パターンの選択は、欠陥グループをフレーム構成する予備グループとの欠陥チャネルの近接性の問題であり、左側および右側の隣接するデフォルトグループが欠陥チャネルを有するか否かに依存する。
【0076】
次に、スイッチ回路SW1の構成が簡素化され(理由は、所定のサブセットに取り付けられたm個のスイッチ回路SW1が全て同一に構成されているため)、デフォルト出力(Sel-D)、右出力(Sel-R)、または左出力(Sel-L)を選択する。
図6を参照して、同じコマンド信号C
10.1が、Gn
1でのサブセットSS
1に取り付けられたm=4の多重化素子のスイッチ回路10.1に印加されることを意味する。この例では、論理コマンドC
10.1は、回路10.1のm個の多重化素子においてデフォルト出力RoC-Dを選択する。代わりに、論理コマンドC
10.u-1,C
10.uは、m個の多重化素子の各々において右出力RoC-Rをそれぞれ選択する。
【0077】
そして、
図7のGm
2のような未使用の予備グループは、本発明に係る行抑制ノイズ動作のために使用できる。この行ノイズ抑制のために、未使用の予備グループの各場所に自由にm個の隣接する予備読み出しチャネルを有することにより、行の長さに渡る平均化をより効率的にできる。
【0078】
上述したように、修理動作を実装する読み出し回路は、
図3、
図5、
図7で明らかなように、好都合に拡張可能で繰り返し可能である。これは、本発明に係る行ノイズ抑制動作が実装された場合にも真実である。拡張可能性は、任意のアレイサイズについて読み出し回路を実装するのを容易にする。繰り返し可能性は、大面積の集積回路を製造するために一般に使用されるスティッチング技術と互換性がある。これにより製造コストをさらに低減するのに寄与する。
【0079】
最後に、スイッチ回路SW1,SW2(および最終的にはこれらの相補物SW1’,SW2’)は、光学センサの設定プロセスにおいて、シフトレジスタを介して構成され、これは、製造検査プロセスで発見された欠陥を修理する経路選定パターンを定義し、行抑制動作のための予備チャネルを定義する。光センサのパラメータレジスタも値Aに設定され、平均ステップ200.2を初期化することになる。最後に、DACを介してDCアナログ基準電圧が得られた場合、パラメータレジスタは、対応するデジタル値V_ref
DCに設定され、動作時にDACに印加される(
図8)。
【0080】
以上説明した本発明によれば、拡張可能でプログラム可能な読み出しチャネル修理プロセスを通じて、向上した画像品質(良好なSNR、広いダイナミックレンジ)を備えた効率的な光センサを得ることができ、低い製造コスト、低い表面積コスト、低い後処理コストなど、低コストで行ノイズ低減機能を容易に実現できる。