(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】インスリン抵抗性のための改善されたペプチドの調合薬
(51)【国際特許分類】
C07K 14/00 20060101AFI20231121BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20231121BHJP
C07K 7/04 20060101ALI20231121BHJP
A61K 38/22 20060101ALI20231121BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20231121BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20231121BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
C07K14/00 ZNA
C07K19/00
C07K7/04
A61K38/22
A61K47/54
A61P3/10
A61P9/10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022005872
(22)【出願日】2022-01-18
(62)【分割の表示】P 2019192289の分割
【原出願日】2012-05-17
【審査請求日】2022-02-16
(32)【優先日】2011-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2011-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513289260
【氏名又は名称】メデリス ダイアビーティーズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ネスター,ジョン,ジェイ.
【審査官】田中 晴絵
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-502364(JP,A)
【文献】国際公開第2009/155258(WO,A2)
【文献】THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY,2010年, VOL. 285, NO.1,pp.723-730
【文献】THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY,2012年02月03日,VOL.287, NO. 6,pp.3873-3884
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 14/00
C07K 19/00
A61K 38/00
A61K 47/54
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペプチドに共有結合的に付けられる界面活性物質Xを含むペプチド生成物(式I-A)[化1]であって、前記ペプチド
生成物は、GLCR細胞反応及び/又はGLP1R細胞反応を引き起こし、及び前記ペプチドは、リンカーアミノ酸U及び少なくとも配列番号1のアミノ酸残基aa
1-aa
20を含み、
【化1】
式中、前記界面活性物質Xは下記(式I)[化2]であり、
【化2】
式中、
R
1aは、独立的に各発生時に、単結合、H、或いは置換又は非置換のC
1-C
30アルキル基を含有する部分であり、
R
1b、R
1c及びR
1dは、各々独立的に各発生時に、単結合、H、置換又は非置換のC
1-C
30アルキル基、置換又は非置換のアルコキシアリール基、或いは置換又は非置換のアラルキル基であり、
W
1は、独立的に発生時に、-CH
2-、-CH
2-O-、-(C=O)
-、-(C=O)-O-、-(C=O)-NH-、-(C=S)-、-(C=S)-NH-、或いは-CH
2-S-であり、
W
2は、-O-、-CH
2-、或いは-S-であり、
R
2は、リンカーアミノ酸Uに対する単結合であり、
nは1、2或いは3であり、
前記ペプチドは下記(式II)の配列番号1であって、当該配列番号1は、
aa
1-aa
2-aa
3-aa
4-aa
5-aa
6-aa
7-aa
8-aa
9-aa
10-aa
11-aa
12-aa
13-aa
14-aa
15-aa
16-aa
17-aa
18-aa
19-aa
20-aa
21-aa
22-aa
23-aa
24-aa
25-aa
26-aa
27-aa
28-aa
29-aa
30-aa
31-aa
32-aa
33-aa
34-aa
35-aa
36-aa
37-Z
式II(配列番号1)
式中、
ZはOH、又はNH-R
3であり、R
3はH、或いはC
1-C
12の置換又は非置換のアルキル、或いは10Da未満のPEG鎖であり、
aa
1はHis、N-Ac-His、pGlu-His、或いはN-R
3-Hisであり、
aa
2はSer、Ala、Gly、Aib、Ac4c、又はAc5cであり、
aa
3はGln、又はCitであり、
aa
4はGly、又はD-Alaであり、
aa
5はThr、又はSerであり、
aa
6はPhe、Trp、F2Phe、Me2Phe、又はNal2であり、
aa
7はThr、又はSerであり、
aa
8はSer、又はAspであり、
aa
9はAsp、又はGluであり、
aa
10はTyr、Leu、Met、Nal2、Bip、又はBip2EtMeOであり、
aa
11はSer、又はAsnであり、
aa
12はLys、Glu、Ser、又はArgであり、
aa
13はTyr、Gln、或いはCitであり、
aa
14はLeu、Met、
或いはNl
eであり、
aa
15はAsp、或いはGluであり、
aa
16はSer、Gly、Glu、Aib、Ac5c、Lys、Arg、或いはUであり、
aa
17はArg、hArg、Gln、Glu、Cit、Aib、Ac4c、Ac5c、或いはUであり、
aa
18はArg、hArg、Ala、Aib、Ac4c、Ac5c、或いはUであり、
aa
19はAla、Val、Aib、Ac4c、Ac5c、或いはUであり、
aa
20はGln、Lys、Arg、Cit、Glu、Aib、Ac4c、Ac5c、或いはUであり、
aa
21は存在しない、或いはAsp、Glu、Leu、Aib、Ac4c、Ac5c、又はUであり、
aa
22は存在しない、或いはPhe、Trp、Nal2、Aib、Ac4c、Ac5c、又はUであり、
aa
23は存在しない、或いはVal、Ile、Aib、Ac4c、Ac5c、又はUであり、
aa
24は存在しない、或いはGln、Ala、Glu、Cit、又はUであり、
aa
25は存在しない、或いはTrp、Nal2、又はUであり、
aa
26は存在しない、或いはLeu、又はUであり、
aa
27は存在しない、或いはMet、Val、Nle、Lys、又はUであり、
aa
28は存在しない、或いはAsn、Lys、又はUであり、
aa
29は存在しない、或いはThr、Gly、Aib、Ac4c、Ac5c、又はUであり、
aa
30は存在しない、或いはLys、Aib、Ac4c、Ac5c、又はUであり、
aa
31は存在しない、或いはArg、Aib、Ac4c、Ac5c、又はUであり、
aa
32は存在しない、或いはAsn、Aib、Ac4c、Ac5c、又はUであり、
aa
33は存在しない、或いはArg、Aib、Ac4c、Ac5c、又はUであり、
aa
34は存在しない、或いはAsn、Aib、Ac4c、Ac5c、又はUであり、
aa
35は存在しない、或いはAsn、Aib、Ac4c、Ac5c、又はUであり、
aa
36は存在しない、或いはIle、Ala、Aib、Ac4c、Ac5c、又はUであり、
aa
37は存在しない、或いはUであり、及び
上記(式II)に示すリンカーアミノ酸Uは、前記界面活性物質Xへの共有結合的な付着のために使用される官能基を含む天然又は非天然アミノ酸であり、
ここで、aa
1-aa
37のうちの何れか2つが、ラクタム結合を形成するために、それらの側鎖を介して随意に環化され、及び
ただし、aa
16-aa
37の1つ、或いは少なくとも1つが、前記界面活性物質Xに共有結合的に付けられるリンカーアミノ酸Uであることを条件とすることを特徴とする、
ペプチド生成物。
【請求項2】
nが1であることを特徴とする、請求項1のペプチド生成物。
【請求項3】
前記界面活性物質Xが下記(式I)[化3]の構造を有し、
【化3】
式中、
R
1aは、H、或いは置換又は非置換のC
1-C
30アルキル基であり、
R
1b、R
1c及びR
1dは、各々独立的に各発生時に、H、或いは置換又は非置換のC
1-C
30アルキル基であり、
W
1は、独立的に各発生時に、-CH
2-、-CH
2-O-、-(C=O)
-、-(C=O)-O-、-(C=O)-NH-、-(C=S)-、-(C=S)-NH-、又は-CH
2-S-であり、
W
2は、-O-又は、-S-であり、
R
2は、リンカーアミノ酸Uに対する単結合であることを特徴とする、請求項1に記載のペプチド生成物。
【請求項4】
前記界面活性物質Xが以下の[化4]に示す構造を有することを特徴とする、請求項3に記載のペプチド生成物。
【化4】
【請求項5】
前記界面活性物質Xが下記(式I)[化5]の構造を有し、
【化5】
式中、
R
1aは、H、或いは置換又は非置換のC
1-C
30アルキル基であり、
R
1b、R
1c及びR
1dは、各々独立的に各発生時に、H、或いは置換又は非置換のC
1-C
30アルキル基であり、
W
1は-(C=O)-NH-であり、
W
2は-O-であり、
R
2はUに対する単結合であることを特徴とする、請求項3に記載のペプチド生成物。
【請求項6】
前記界面活性物質Xが下記(式I)[化6]の構造を有し、
【化6】
式中、
R
1aは置換又は非置換のC
1-C
30アルキル基であり、
R
1b、R
1c及びR
1dはHであり、
W
1は-(C=O)
-であり、
W
2は-O-であり、及び
R
2はリンカーアミノ酸Uに対する結合であることを特徴とする、請求項3に記載のペプチド生成物。
【請求項7】
前記R
1aは置換又は非置換のC
1-C
30アルキル基、置換又は非置換のC
6-C
20アルキル基、或いは置換又は非置換のC
12-C
20アルキル基であることを特徴とする、請求項1に記載のペプチド生成物。
【請求項8】
前記界面活性物質Xは1-アルキルグリコシドのクラスの界面活性物質であることを特徴とする、請求項1に記載のペプチド生成物。
【請求項9】
前記界面活性物質Xは、1-アイコシルベータ-D-グルクロン酸、1-オクタデシルベータ-D-グルクロン酸、1-ヘキサデシルベータ-D-グルクロン酸、1-テトラデシルベータD-グルクロン酸、1-ドデシルベータD-グルクロン酸、1-デシルベータ-D-グルクロン酸、1-オクチルベータ-D-グルクロン酸、1-アイコシルベータ-D-ジグルクロン酸、1-オクタデシルベータ-D-ジグルクロン酸、1-ヘキサデシルベータ-D-ジグルクロン酸、1-テトラデシルベータ-D-ジグルクロン酸、1-ドデシルベータ-D-ジグルクロン酸、1-デシルベータ-D-ジグルクロン酸、1-オクチルベータ-D-ジグルクロン酸、又は官能化した1-アイコシルベータ-D-グルコース、1-オクタデシルベータ-D-グルコース、1-ヘキサデシルベータ-D-グルコース、1-テトラデシルベータ-D-グルコース、1-ドデシルベータ-D-グルコース、1-デシルベータ-D-グルコース、1-オクチルベータ-D-グルコース、1-アイコシルベータ-D-マルトシド、1-オクタデシルベータ-D-マルトシド、1-ヘキサデシルベータ-D-マルトシド、1-ドデシルベータ-D-マルトシド、1-デシルベータ-D-マルトシド、又は1-オクチルベータ-D-マルトシドから構成されることを特徴とする、請求項1に記載のペプチド生成物。
【請求項10】
前記Uは、Lys、Cys、Orn、又は前記界面活性物質Xへの共有結合的な付着のために使用された官能基を含む非天然のアミノ酸から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のペプチド生成物。
【請求項11】
前記aa
2はAib又はAc4cの残基であることを特徴とする、請求項1に記載のペプチド生成物。
【請求項12】
前記ペプチドは1つ以上のAib残基を含むことを特徴とする、請求項1に記載のペプチド生成物。
【請求項13】
前記aa
16とaa
20はラクタム結合を形成するために環化されることを特徴とする、請求項1に記載のペプチド生成物。
【請求項14】
前記請求項1乃至13の何れか1つに記載の治療上効果的な量のペプチド生成物、又はその許容可能な塩、及び少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体又は賦形剤を含む、インスリン抵抗性、糖尿病、心血管疾患、メタボリック症候群、又は肥満症の治療に使用するための医薬組成物。
【請求項15】
前記ペプチド
生成物は体重損失を引き起こすことを特徴とする、請求項14に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2011年5月18日に出願された米国仮特許出願第61/487,640号及び2011年10月5日に出願された米国仮特許出願第61/543,716号への優先権を主張するものであり、該仮出願はその全体において引用によって本明細書に組み込まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
真性糖尿病の有病率の増加は、蔓延する世界的な健康危機であり、患者の罹患率及び死亡率の主な原因の1つであり、主な経済的な負担でもある。肥満症は、2型糖尿病にとって重大な危険因子であり、2型糖尿病患者のおよそ90%は太り過ぎ、又は肥満である。肥満症は世界中に急増する問題であり、現在、米国の成人の65%より多くは太り過ぎである(Hedley、A.A.et al.(2004)JAMA 291:2847-2850)。肥満症と真性糖尿病のための安全かつ有効な医薬的処置の開発必要性がある。
【発明の概要】
【0003】
本明細書には、インスリン抵抗性に関連する障害の処置又は予防のための組成物及び方法が記載されており、該障害は肥満症、メタボリック症候群、2型糖尿病、高血圧、アテロ-ム性動脈硬化症等を含むが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、ペプチド及び/又はタンパク質による予防上及び/又は治療上の処置を含む。ペプチド及び/又はタンパク質の調合薬は、薬における利用において、様々な制限に悩まされる(Nestor, J.J., JR. (2007) Comprehensive Medicinal ChemistryII 2: 573-601)-作用の短い持続時間、不十分なバイオアベイラビリティ、及び受容体亜型の選択性不足である。加えて、ペプチド及び/又はタンパク質に関し、多くの場合は凝集に限定され、製剤において不安定である。本明細書には、特定の共有結合的に修飾されたペプチド/タンパク質(例えばGLP-1、グルカゴン、関連アナログ等)が記載されており、前記修飾されたペプチド及び/又はタンパク質の投与の際に、作用のより長い持続時間及び/又はバイオアベイラビリティの改善を可能にする。そのような共有結合的に修飾されたペプチド及び/又はタンパク質は、肥満症、メタボリック症候群、インスリン抵抗性、2型糖尿病、高血圧、アテロ-ム性動脈硬化症等に関連する疾病に対する予防及び/又は処置に最適である。
【0004】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の共有結合的に修飾されたペプチド及び/又はタンパク質は、グリコシド界面活性物質に付けられている。1つの対応において、共有結合的に修飾されたペプチド及び/又はタンパク質は、界面活性物質においてグリコシドに付けられ、その後グリコシドは疎水基に付けられる。また、本明細書には、幾つかの実施形態において、界面活性剤の組み込みを介して、修飾されたペプチド及び/又はタンパク質(例えば、修飾されたGLP-1、グルカゴン、グルカゴン或いはGLP-1のアナログ等)を合成するための試薬と中間体が提供される。
【0005】
本明細書には、幾つかの実施形態において、共有結合的にペプチドに付けられる界面活性物質Xを含むペプチド生成物が提供され、前記ペプチドは、リンカーアミノ酸U及び少なくとも1つの他のアミノ酸を含む。
【0006】
【0007】
式中;界面活性物質Xは式Iの基であり
【0008】
【0009】
式中:
R1aは、独立的に、各発生時に、単結合、H、置換又は非置換のC1-C30アルキル基、置換又は非置換のアルコキシアリール基、或いは置換又は非置換のアラルキル基であり;
R1b、R1c及びR1dは各々、独立的に、各発生時に、単結合、H、置換又は非置換のC1-C30アルキル基、置換又は非置換のアルコキシアリール基、或いは置換又は非置換のアラルキル基であり;
W1は、独立的に、発生時に、-CH2-、-CH2-O-、-(C=O)、-(C=O)-O-、-(C=O)-NH-、-(C=S)-、-(C=S)-NH-、或いは-CH2-S-であり;
W2は、-O-、-CH2-或いは-S-であり;
R2は各々、独立的に、各発生時に、単結合、H、1置換又は非置換のC1-C30アルキル基、置換又は非置換のアルコキシアリール基、或いは、置換又は非置換のアラルキル基、-NH2、-SH、C2-C4-アルケン、C2-C4-アルキン、-NH(C=O)-CH2-Br、-(CH2)m-マレイミド、或いは-N3であり;
nは1、2或いは3であり;及び
mは1-10であり;
ペプチドは、式IIから選択され:
aa1-aa2-aa3-aa4-aa5-aa6-aa7-aa8-aa9-aa10-aa11-aa12-aa13-aa14-aa15-aa16-aa17-aa18-aa19-aa20-aa21-aa22-aa23-aa24-aa25-aa26-aa27-aa28-aa29-aa30-aa31-aa32-aa33-aa34-aa35-aa36-aa37-Z 式II(配列番号1)
式中:
Zは、OH、又はNH-R3であり、R3は、H、又はC1-C12の置換又は非置換のアルキル、又は10Da未満のPEG鎖であり;
aa1はHis、N-Ac-His、pGlu-His、或いはN-R3-Hisであり;
aa2はSer、Ala、Gly、Aib、Ac4c、又は Ac5cであり;
aa3はGln、又はCitであり;
aa4はGly、又はD-Alaであり;
aa5はThr、又はSerであり;
aa6はPhe、Trp、F2Phe、Me2Phe、又はNal2であり;
aa7はThr、又はSerであり;
aa8はSer、又はAspであり;
aa9はAsp、又はGluであり;
aa10はTyr、Leu、Met、Nal2、Bip、又はBip2EtMeOであり;
aa11はSer、Asn、又はUであり;
aa12はLys、Glu、Ser、Arg、又はUであり;
aa13は存在しない、或いはTyr、Gin、Cit、或いはUであり;
aa14は存在しない、或いはLeu、Met、Nle、或いはUであり;
aa15は存在しない、或いはAsp、Glu、或いはUであり;
aa16は存在しない、或いはSer、Gly、Glu、Aib、Ac5c、Lys、Arg、或いはUであり;
aa17は存在しない、或いはArg、hArg、Gln、Glu、Cit、Aib、Ac4c、Ac5c、或いはUであり;
aa18は存在しない、或いはArg、hArg、Ala、Aib、Ac4c、Ac5cであり、或いはUである;
aa19は存在しない、或いはAla、Val、Aib、Ac4c、Ac5c、或いはUであり;
aa20は存在しない、或いはGln、Lys、Arg、Cit、Glu、Aib、Ac4c、Ac5c、或いはUであり;
aa21は存在しない、或いはAsp、Glu、Leu、Aib、Ac4c、Ac5c、或いはUであり;
aa22は存在しない、或いはPhe、Trp、Nal2、Aib、Ac4c、Ac5c、或いはUであり;
aa23は存在しない、或いはVal、Ile、Aib、Ac4c、Ac5c、或いはUであり;
aa24は存在しない、或いはGln、Ala、Glu、Cit、或いはUであり;
aa25は存在しない、或いはTrp、Nal2、或いはUであり;
aa26は存在しない、或いはLeu、或いはUであり;
aa27は存在しない、或いはMet、Val、Nle、Lys、或いはUであり;
aa28は存在しない、或いはAsn、Lys、或いはUであり;
aa29は存在しない、或いはThr、Gly、Aib、Ac4c、Ac5c、或いはUであり;
aa30は存在しない、或いはLys、Aib、Ac4c、Ac5c、或いはUであり;
aa31は存在しない、或いはArg、Aib、Ac4c、Ac5c、或いはUであり;
aa32は存在しない、或いはAsn、Aib、Ac4c、Ac5c、或いはUであり;
aa33は存在しない、或いはArg、Aib、Ac4c、Ac5c、或いはUであり;
aa34は存在しない、或いはAsn、Aib、Ac4c、Ac5c、或いはUであり;
aa35は存在しない、或いはAsn、Aib、Ac4c、Ac5c、或いはUであり;
aa36は存在しない、或いはIle、Aib、Ac4c、Ac5c、或いはUであり;
aa36は存在しない、或いはAla、Aib、Ac4c、Ac5c、或いはUであり;
aa37は存在しない、或いはUであり;
Uは,界面活性物質Xへの共有結合的な付着のために使用される官能基を含む天然又は非天然アミノ酸であり;
ここで、aa1-aa37のうちのいずれか2つが、ラクタム結合を形成するために、それらの側鎖を介して随意に環化され;及び
ただし、aa11-aa37の1つ、或いは少なくとも1つが、Xに共有結合的に付けられたリンカーアミノ酸Uであることを条件とする。
【0010】
幾つかの実施形態において、nは1である。幾つかの実施形態において、nは2であり、及び、第1グリコシドのW2と第2グリコシドのORib、OR1c、又はORidのうちいずれか1つとの間の結合によって、第2グリコシドに付けられる。幾つかの実施形態において、nは3であり、及び、第1グリコシドのW2と第2グリコシドのORib、OR1c、又はORidのうちのいずれか1つとの間の結合によって、第2グリコシドに付けられる。また、第2グリコシドは、第2グリコシドのW2と第3グリコシドのORib、OR1c、又はOR1dのうちのいずれか1つとの間の結合によって、第3グリコシドに付けられる。
【0011】
1つの実施形態においては、式I-Aの化合物は、Xが以下の構造を有する化合物であり:
【0012】
【0013】
式中:
R1aは、H、保護基、置換又は非置換のC1-C30アルキル基、或いはステロイド核を含有する部分であり;
R1b、R1c及びR1dは各々、独立的に、各発生時に、H、保護基、或いは置換又は非置換のC1-C30アルキル基であり;
W1は、独立的に、各発生時に、-CH2-、-CH2-O-、-(C=O)、-(C=O)-O-、-(C=O)-NH-、-(C=S)-、-(C=S)-NH-、又は-CH2-S-であり;
W2は-O-、-S-であり;
R2は、単結合、C2-C4-アルケン、C2-C4-アルキン、又は(CH2)m-マレイミドであり;
及び、Mは1-10である。
【0014】
さらなる実施形態において、式I-Aの化合物は、Xが以下の構造を有する化合物であり:
【0015】
【0016】
従って、上記実施形態では、R2は単結合である。
【0017】
例えば、上記典型的な実施形態におけるXの構造に関して、W1は―C(=O)NH-であり、R2は、W1とペプチド内(例えば、ペプチドの中にあるリシン残基の側鎖中のアミノ基)にあるアミノ酸残基Uとの間の結合である。
【0018】
別の1つの実施例では、化学式I-Aの化合物はXの構造を有する化合物である:
【0019】
【0020】
例えば、上記Xの構造の典型的な実施形態において、W1は-CH2-であり、 また、R2はX上でアルキル基に結合したマレイミド官能基であり、また、R2は、ペプチド内のアミノ酸残基Uの適切な部分に付けられる。(例えば、ペプチドのシステイン残基の中のチオ-ル基は、X上でマレイミドにより、チオエーテルを形成する)
【0021】
また別の実施形態において、式I-Aの化合物は、Xが以下の構造を有する化合物であり:
【0022】
【0023】
式中:
R1aは、H、保護基、置換又は非置換のC1-C30アルキル基、又はステロイド核を含有する部分であり;
R1b、R1c及びR1dは各々、独立的に、各発生時に、H、保護基、或いは置換又は非置換のC1-C30アルキル基であり;
W1は-(C=O)-NH-であり;
W2は-O-であり;
R2は単結合である。
【0024】
追加の実施形態において、式I-Aの化合物は、Xが以下の構造を有する化合物であり:
【0025】
【0026】
式中:
R1aは置換又は非置換のC1-C30アルキル基であり;
R1b、R1c及びR1dはHであり;
W1は-(C=O)-NH-であり;
W2は-O-であり;及び
R2は単結合である。
【0027】
上記及び本明細書の幾つかの実施形態において、R1aは置換又は非置換のC1-C30アルキル基である。
【0028】
上記及び本明細書の幾つかの実施形態において、R1aは置換又は非置換のC6-C20アルキル基である。
【0029】
また、式I-Aの中のXが以下の構造を有する代替的な実施形態が熟考される。
【0030】
【0031】
例えば、上記Xの構造の典型的な実施形態において、W1は-S-であり、R2はC1-C30アルキル基であり、W2はSであり、R1aは、W2と、ペプチド内のアミノ酸残基Uの適切な部分との間の結合である(例えば、ペプチドのシステイン残基のチオ-ル基はXを備えるチオエーテルを形成する)。
【0032】
上記Xの構造の別の典型的な実施形態において、W1は-O-であり、R2はC1-C30アルキル基であり、W2はOであり、R1aは、W2と、ペプチド内のアミノ酸残基Uの適切な部分との間の結合である(例えば、ペプチドのセリン又はトレオニンの残基中の水酸基は、Xを備えるエーテルを形成する)。
【0033】
幾つかの実施形態において、UはXへの共有結合的な付着のために使用され、二塩基性の天然又は非天然のアミノ酸、アミノ酸はチオ-ルを含む天然又は非天然のアミノ酸、-N3基を含む非天然のアミノ酸、アセチレン基を含む非天然のアミノ酸、又は、a-NH-C(=O)-CH2-Br、或いはa-(CH2)m-マレイミドを含む非天然のアミノ酸であり、ここで、mは1-10である。
【0034】
ペプチド生成物の幾つかの実施形態において、界面活性物質は、1-アルキルグリコシドのクラスの界面活性物質である。ペプチド生成物の幾つかの実施形態において、界面活性物質はアミド結合を介してペプチドに付着する。
【0035】
ペプチド生成物の幾つかの実施形態において、界面活性物質Xは、1-アイコシルベータD-グルクロン酸、1-オクタデシルベータD-グルクロン酸、1-ヘキサデシルベータD-グルクロン酸、1-テトラデシルベータD-グルクロン酸、1-ドデシルベータD-グルクロン酸、1-デシルベータD-グルクロン酸、1-オクチルベータD-グルクロン酸、1-アイコシルベータD-ジグルクロン酸、1-オクタデシルベータD-ジグルクロン酸、1-ヘキサデシルベータD-ジグルクロン酸、1-テトラデシルベータD-ジグルクロン酸、1-ドデシルベータD-ジグルクロン酸、1-デシルベータD-ジグルクロン酸、1-オクチルベータD-ジグルクロン酸、又は官能化した1-アイコシルベータD-グルコース、1-オクタデシルベータD-グルコース、1-ヘキサデシルベータD-グルコース、1-テトラデシルベータD-グルコース、1-ドデシルベータD-グルコース、1-デシルベータD-グルコース、1-オクチルベータD-グルコース、1-アイコシルベータD-マルトシド、1-オクタデシルベータD-マルトシド、1-ヘキサデシルベータD-マルトシド、1-ドデシルベータD-マルトシド、1-デシルベータD-マルトシド、1-オクチルベータD-マルトシド等から構成され、また、ペプチド生成物は、前記基とペプチド上の1つの基(例えば、前記基の中の-COOH基、及びペプチド上のアミノ基)との間の結合によって調製される。
【0036】
ペプチド生成物の幾つかの実施形態において、Uはペプチドの末端のアミノ酸である。ペプチド生成物の幾つかの実施形態において、Uはペプチドの非末端のアミノ酸である。ペプチド生成物の幾つかの実施形態において、Uは天然のD-又はL-のアミノ酸である。ペプチド生成物の幾つかの実施形態において、Uは非天然のアミノ酸である。ペプチド生成物の幾つかの実施形態において、Uは、Lys、Cys、Orn、又は界面活性物質Xへの共有結合的な付着のために使用された官能基を含む非天然のアミノ酸から選択される。
【0037】
ペプチド生成物の幾つかの実施形態において、界面活性物質Xへのペプチドの共有結合的に付着のために使用された官能基は、-NH2、-SH、-OH、-N3、ハロアセチル、a-(CH2)m-マレイミド(ここで、mは1-10である)或いは、アセチレン基である。
【0038】
幾つかの実施形態において、2つ異なるアミノ酸残基の側鎖官能基は、環式のラクタムを形成するために結合される。例えば、幾つかの実施形態において、Lys側鎖は、Gluの側鎖を備えた。環式のラクタムを形成する。幾つかの実施形態において、そのようなラクタム構造は逆転にされ、GluとLysから形成される。幾つかの例において、そのようなラクタム結合は、ペプチド中のアルファへリックス構造を安定させると知られている(Condon、S.M.,et al.(2002)Bioorg Med Chem 10:731-736;Murage,E.N.,et al(2008)Bioorg Med Chem 16:10106-12);Murage,E.N.et al(2010)J Med Chem 53:6412-20)。幾つかの実施形態において、システイン残基は、立体構造制限の類似の形態を達成し、且つヘリックス構造の形成を支援するためにジスルフィド形成を介して結合されうる。(Li,Y.,et al.(2011)Peptides 32:1400-1407)。幾つかの実施形態において、2つの異なるアミノ酸残基の側鎖官能基は、立体構造的制限に類似する形態及び安定したヘリックス構造、側鎖アジド及びアルキン官能基の間の「クリック反応」を通じて生成された複素環を形成するために結合される(Le Chevalier Isaad A.,et al.(2009)J Peptide Sci 15: 451-4)。
【0039】
幾つかの実施形態において、共有結合したアルキルグリコシドを含むペプチド生成物は、共有結合的に修飾したグルカゴン又はそのアナログである。そのような実施形態の幾つかにおいて、ペプチド生成物は、共有結合した1-O-アルキルβ-D-グルクロン酸を含み、ペプチドはグルカゴンのアナログである。
【0040】
幾つかの実施形態において、共有結合したアルキルグリコシドを含むペプチド生成物は、共有結合的に修飾したGLP-1、又はそのアナログである。そのような実施形態の幾つかにおいて、ペプチド生成物は、共有結合した1-Oアルキルβ-D-グルクロン酸を含み、ペプチドはGLP-1のアナログである。
【0041】
幾つかの実施形態において、式I-Aのペプチド生成物は以下の式III-Aの構造を有する。
aa1-aa2-aa3-aa4-aa5-aa6-aa7-aa8-aa9-aa10-aa11-aa12-aa13-aa14-aa15-aa16-aa17-aa18-aa19-aa20-aa21-aa22-aa23-aa24-aa25-aa26-aa27-aa28-aa29-Z 式III-A(配列番号2)
式中:
Zは、OH、又はNH-R3であり、ここでR3はH、又はC1-C12の置換又は非置換のアルキル、又は10Da未満のPEG鎖であり;
aa1はHis、N-Ac-His、pGlu-His、或いはN-R3-Hisであり;
aa2はSer、Ala、Gly、Aib、Ac4c、或いはAc5cであり;
aa3はGln、或いはCitであり;
aa4はGly、或いはD-Alaであり;
aa5はThr、或いはSerであり;
aa6はPhe、Trp、F2Phe、Me2Phe、或いはNal2であり;
aa7はThr、或いはSerであり;
aa8はSer、或いはAspであり;
aa9はAsp、或いはGluであり;
aa10はTyr、Leu、Met、Nal2、Bip、或いはBip2EtMeOであり;
aa11はSer、Asn、或いはUであり;
aa12はLys、Glu、Ser、Arg、或いはU(X)であり;
aa13は存在しない、或いはTyr、Gln、Cit、或いはU(X)であり;
aa14は存在しない、或いはLeu、Met、Nle、或いはU(X)であり;
aa15は存在しない、或いはAsp、Glu、或いはU(X)であり;
aa16は存在しない、或いはSer、Gly、Glu、Aib、Ac5c、Lys、Arg、或いはU(X)であり;
aa17は存在しない、Arg、hArg、Gln、Glu、Cit、Aib、Ac4c、Ac5c、或いはU(X)であり;
aa18は存在しない、或いはArg、hArg、Ala、Aib、Ac4c、Ac5c、或いはU(X)であり;
aa19は存在しない、或いはAla、Val、Aib、Ac4c、Ac5c、或いはU(X)であり;
aa20は存在しない、或いはGln、Lys、Arg、Cit、Glu、Aib、Ac4c、Ac5c或いはU(X)であり;
aa21は存在しない、或いはAsp、Glu、Leu、Aib、Ac4c、Ac5c、或いはU(X)であり;
aa22は存在しない、或いはPhe、Trp、Nal2、Aib、Ac4c、Ac5c、或いはU(X)であり;
aa23は存在しない、或いはVal、Ile、Aib、Ac4c、Ac5c、或いはU(X)であり;
aa24は存在しない、或いはGln、Ala、Glu、Cit或いはU(X);
aa25は存在しない、或いはTrp、Nal2、或いはU(X)であり;
aa26は存在しない、或いはLeu、或いはU(X)であり;
aa27は存在しない、或いはMet、Val、Nle、Lys、或いはU(X)であり;
aa28は存在しない、或いはAsn、Lys、或いはU(X)であり;
aa29は存在しない、或いはThr、Gly、Aib、Ac4c、Ac5c、或いはU(X)であり;
ここで、aa1-aa29のうちのいずれか2つが、ラクタム結合を形成するため、それらの側鎖を介して随意に環化され;及び
ただし、aa16、aa17、aa18、aa19、aa20、aa21、aa22、aa23、aa24、aa25、aa26、aa27、aa28又はaa29の1つ、或いは少なくとも1つが、Xに共有結合的に付けられた天然又は非天然のアミノ酸Uであることを条件とする。
【0042】
幾つかの実施形態において、式I-Aのペプチド生成物は以下の式III-Bの構造を有し:
His1-aa2-aa3-Gly4-Thr5-aa6-Thr7-Ser8-Asp9-aa10-aa11-aa12-aa13-aa14-aa15-aa16-aa17-aa18-aa19-aa20-aa21-aa22-aa23-Z 式III-B(配列番号3)
式中:
ZはOH、又はNH-R3、ここで、R3はH、又は置換又は非置換のC1-C12アルキル、或いは10Da未満のPEG鎖であり;
aa2はSer、Ala、Gly、Aib、Ac4c、或いはAc5cであり;
aa3はGln、或いはCitであり;
aa6はPhe、Trp、F2Phe、Me2Phe、MePhe、或いはNal2であり;
aa10はTyr、Leu、Met、Nal2、Bip、或いはBip2EtMeOであり;
aa11はSer、Asn、或いはU(X)であり;
aa12はLys、Glu、Ser、或いはU(X)であり;
aa13は存在しない、或いはTyr、Gln、Cit、或いはU(X)であり;
aa14は存在しない、或いはLeu、Met、Nle、或いはU(X)であり;
aa15は存在しない、或いはAsp、Glu、或いはU(X)であり;
aa16は存在しない、或いはSer、Gly、Glu、Aib、Ac4c、Ac5c、Lys、R、或いはU(X)であり;
aa17は存在しない、或いはArg、hArg、Gln、Glu、Cit、Aib、Ac4c、Ac5c、或いはU(X)であり;
aa18は存在しない、或いはArg、hArg、Ala、Aib、Ac4c、Ac5c、或いはU(X)であり;
aa19は存在しない、或いはAla、Val、Aib、Ac4c、Ac5c、或いはU(X)であり;
aa20は存在しない、或いはGln、Lys、Arg、Cit、Glu、Aib、Ac4c、Ac5c、或いはU(X)であり;
aa21は存在しない、或いはAsp、Glu、Leu、Aib、Ac4c、Ac5c、或いはU(X)であり;
aa22は存在しない、或いは、Phe、Aib、Ac4c、Ac5c、或いはU(X)であり;
aa23は存在しない、或いはVal、Ile、Aib、Ac4c、Ac5c、或いはU(X)であり;
ここで、aa1-aa23のうちのいずれか2つが、ラクタム結合を形成するため、それらの側鎖を介して随意に環化され;及び
ただし、aa16、aa17、aa18、aa19、aa20、aa21、aa22、aa23、或いはaa24の1つ、或いは少なくとも1つが、Xに共有結合的に付けられた天然又は非天然アミノ酸Uであることを条件とする。
【0043】
式I-A、III-A、III-B或いは式Vの幾つかの実施形態において、Uは本明細書に記載の任意のリンカーアミノ酸である。
【0044】
式I-A、III-A、III-B或いは式Vの幾つかの実施形態において、aa12はリシンである。式I-A、III-A、III-B或いは式Vの幾つかの実施形態において、aa14はロイシンである。
【0045】
式I-A、III-A、III-B或いは式Vの幾つかの実施形態において、aa18はXに付けられたリシン残基である。
【0046】
式I-A、III-A、III-B或いは式Vの幾つかの実施形態において、aa17はホモアルギニン(hArg)残基である。
【0047】
式I-A、III-A、III-B或いは式Vの幾つかの実施形態において、aa17はグリシン残基である。
【0048】
式I-A、III-A、III-B或いは式Vの幾つかの実施形態において、aa2はAib又はAc4cの残基である。
【0049】
式I-A、III-A、III-B或いは式Vの幾つかの実施形態において、ペプチドは1つ以上のAib残基を含む。
【0050】
式I-A、III-A、III-B或いは式Vの幾つかの実施形態において、ペプチドはC末端にて1つ以上のAib残基を含む。
【0051】
式I-A、III-A、III-B或いは式Vの幾つかの実施形態において、ペプチド生成物は以下の構造を有する:
His1-aa2-Gln3-Gly4-Thr5-Phe6-Thr7-Ser8-Asp9-Tyr10-Ser11-Lys12-Tyr13 -Leu14-Asp15-Aib16-aa17-Lys(N-オメガ-1’-アルキルベータD-グルクロニル)18-aa19-NH2;(配列番号318)式中:
aa2はAib、或いはAc4cであり;
aa17はArg、hArg、或いはGlnであり;
aa19はAib、Ac4c、或いはAc5cであり;
及び、アルキルはC8からC20までの直線状のアルキル鎖である。
【0052】
式I-A、III-A、III-B或いは式Vの幾つかの実施形態において、ペプチド生成物は以下の構造を有する:
His1-aa2-Gln3-Gly4-Thr5-Phe6-Thr7-Ser8 -Asp9-Tyr10-Ser11-Lys12-Tyr13-Leu14-Asp15-Aib16-aa17-Lys(N-オメガ-1’-アルキルベータD-グルクロニル)18-aa19-aa20-NH2;(配列番号319)式中:
aa2はAib、或いは、Ac4cであり、
aa17はArg、hArg、或いは、Glnであり、
aa19とaa20は各々、Aib、Ac4c、或いはAc5cであり;
及び、アルキルはC8からC20までの直線状のアルキル鎖である。
【0053】
式I-A、III-A、III-B或いは式Vの幾つかの実施形態において、ペプチド生成物は以下の構造を有する:
His1-aa2-Gln3-Gly4-Thr5-Phe6-Thr7-Ser8 -Asp9-Tyr10-Ser11-Lys12-Tyr13-Leu14-Asp15-aa16-aa17-Lys(N-オメガ-1’-アルキルベータD-グルクロニル)18-aa19-NH2;(配列番号320)
式中:
aa2はAib、或いは、Ac4cであり;
aa16はAib、或いは、Ac4cであり;
aa17はArg、hArg、或いはGlnであり;
aa19はAib、Ac4c、或いはAc5cであり;及び
アルキルはC8-C20までの直線状のアルキル鎖である。
【0054】
式I-A、III-A、III-B或いは式Vの幾つかの実施形態において、aa16とaa20はラクタム結合を形成するために環化される。
【0055】
式I-A、III-A、III-B或いは式Vの幾つかの実施形態において、ペプチド生成物は以下の構造を有する:
His1-aa2-Gln3-Gly4-Thr5-Phe6-Thr7-Ser8-Asp9-Tyr10-Ser11-Lys12-Tyr13-Leu14-Asp15-aa16-aa17―Ala18-Ala19-aa20-Glu21-Phe22-Ile23-Lys(N-オメガ-1’-アルキルベータD-グルクロニル)24-Trp25-Leu26-aa27-Asn28-Thr29-NH2;(配列番号321)
式中:
aa2はAib、或いは、Ac4cであり;
aa16とaa20は各々Lys又はGluのいずれかであり、ラクタム結合を形成するために、それらの側鎖を介して環化され;
aa17はArg、hArg、或いはGlnであり;
aa27はMet、或いはNleであり;及び
アルキルはC8-C20の直線状のアルキル鎖である。
【0056】
式I-A、III-A、III-B或いは式Vの幾つかの実施形態において、ペプチド生成物は以下の構造を有する:
His1-aa2-Gln3-Gly4-Thr5-Phe6-Thr7-Ser8-Asp9-Tyr10-Ser11-Lys12-Tyr13-Leu14-Asp15-環式(Glu16-Gln17-Ala18-Ala19-Lys20)-Glu21-Phe22-Ile23-Lys(N-オメガ-1’-アルキルベータD-グルクロニル)24-Trp25-Leu26-Met27-Asn28-aa29-NH2;(配列番号322)
式中:aa2はAib、或いは、Ac4cであり;aa29はThr、Aib、Ac4c、或いは、Ac5cであり、及び1’-アルキル基は、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、或いはオクタデシルから選択され;及び
位置16及び20におけるアミノ酸上の側鎖は側鎖ラクタムを形成するために環化される。
【0057】
式I-A、III-A、III-B或いは式Vの幾つかの実施形態において、aa12とaa16はラクタム結合を形成するために環化される。
【0058】
式I-A、III-A、III-B或いは式Vの幾つかの実施形態において、ペプチド生成物は下記の構造を有する:
His1-aa2-Gln3-Gly4-Thr5-Phe6-Thr7-Ser8-Asp9-Tyr10-Ser11-aa12-Tyr13-Leu14-Asp15-aa16-aa17-Lys(N-オメガ-1’-アルキルベータD-グルクロニル)18-aa19-aa20-NH2;(配列番号323)
式中:
aa2はAib又はAc4cであり;
aa12とaa16は各々Lys又はGluのいずれかであり、ラクタム結合を形成するためにそれらの側鎖を介して環化され;
aa17はArg、hArgであり;
aa19とaa20は各々Aib、Ac4c、又はAc5cのいずれかであり;及び
アルキルはC8-C20の直線状のアルキル鎖である。
【0059】
式I-A、III-A、III-B或いは式Vの幾つかの実施形態において、ペプチド生成物は下記の構造を有する:
His1-Ac4c2-Gln3-Gly4-Thr5-Phe6-Thr7-Ser8-Asp9-Tyr10-Ser11-環式(Glu12-Tyr13-Leu14-Asp15- Lys16)-aa17-Lys(N-オメガ-1’-アルキルベータD-グルクロニル)18-Aib19-Aib20-NH2;(配列番号324)
式中:
aa12とaa16はラクタム結合を形成するために、それらの側鎖を介して環化され;
aa17はArg、或いはhArgであり;及び
アルキルは、C12、C14、C16、或いはC18の直線状のアルキル鎖である。
【0060】
式I-A、III-A、III-B或いは式Vの幾つかの実施形態において、ペプチド生成物は下記の構造を有する:
His1-aa2-Gln3-Gly4-Thr5-Phe6-Thr7-Ser8-Asp9-Tyr10-Ser11-aa12-Tyr13-Leu14-Asp15-aa16-aa17-Lys(N-オメガ-1’-アルキルベータD-グルクロニル)18-aa19-aa20-NH2;(配列番号325)
式中:
aa12とaa16は各々Lys又はGluのいずれかであり、aa12及びaa16はラクタム結合を形成するためにそれらの側鎖を介して環化され;
aa17はArg、或いはhArgであり;
aa19とaa20は各々Aib、Ac4c、或いはAc5cのいずれかであり;及び
1’-アルキル基はドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、或いはオクタデシルから選択される。
【0061】
式I-A、III-A、III-B或いは式Vの幾つかの実施形態において、ペプチド生成物は以下の構造を有する:
His1-aa2-Gln3-Gly4-Thr5-aa6-Thr7-Ser8-Asp9-Tyr10-Ser11-Lys12-Tyr13-Leu14-Asp15-Ser16-Aib17-Lys(N-オメガ-1’-ドデシルベータD-グルクロニル)18-aa19-NH2;(配列番号326)
式中:aa2はAib、或いはAc4cであり;aa6はMe2Phe、MePhe、或いはPheであり;或いは、aa19はAib、Ac4c、或いはAc5cである。
【0062】
式I-A、III-A、III-B或いは式Vの幾つかの実施形態において、ペプチド生成物は下記の構造を有する:
His1-aa2-Gln3-Gly4-Thr5-aa6-Thr7-Ser8-Asp9-Tyr10-Ser11-Lys12-Tyr13-Leu14-Asp15-Ser16-aa17-Lys(N-オメガ-1’-ドデシルベータD-グルクロニル)18-aa19-aa20-NH2;(配列番号327)
式中:aa2はAib、或いはAc4cであり、aa6はMe2Phe、MePhe、或いはPheであり;aa17はArg、或いはhArgであり、及び、aa19又はaa20はAib、Ac4c、或いはAc5cである。
【0063】
式I-A、III-A、III-B或いは式Vの幾つかの実施形態において、ペプチド生成物は以下の構造を有する:
His1-Aib2-Gln3-Gly4-Thr5-Phe6-Thr7-Ser8-Asp9-Tyr10-Ser11-Lys12-Tyr13-Leu14-Asp15-環式(Glu16-Arg17-Ala18-Ala19-Lys20)-Lys(N-オメガ-1’-アルキルベータD-グルクロニル)21-Phe22-aa23-NH2;(配列番号328)
式中:aa23はAib、Ac4C、或いはAc5cであり、及び、1’-アルキル基はドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、或いはオクタデシルから選択される。
【0064】
式I-A、III-A、III-B或いは式Vの幾つかの実施形態において、ペプチド生成物は以下の構造を有する:
His1-aa2-Gln3-Gly4-Thr5-aa6-Thr7-Ser8-Asp9-Tyr10-Ser11-aa12-Tyr13-Leu14-Asp15-aa16-aa17-aa18-Ala19-aa20-Lys(N-オメガ-1’-アルキルベータD-グルクロニル)21-Phe22-aa23-NH2;(配列番号329)
式中:
aa2はAib、或いはAc4cであり:
aa6はMe2Phe、MePhe或いはPheであり;
aa12とaa16も各々Lys或いはGluのいずれかであり;及び
aa16とaa20はラクタム結合を形成するためにそれらの側鎖を介して環化され;
aa17はArg、hArg或いはGlnであり;
aa18はAib又はAlaであり;
aa23はAib、Ac4c或いはAc5cであり、及び、1’-アルキル基はドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル或いはオクタデシルから選択される。
【0065】
式I-A、III-A、III-B或いは式Vの幾つかの実施形態において、ペプチド生成物は以下の構造を有する:
His1-aa2-Gln3-Gly4-Thr5-aa6-Thr7-Ser8-Asp9-Tyr10-Ser11-aa12-Tyr13-Leu14-Asp15-aa16-aa17-Lys(N-オメガ-1’-アルキルベータD-グルクロニル)18-aa19-aa20-NH2;(配列番号330)
式中:
aa2はAib又はAc4cであり;
aa6はPheであり;
aa12とaa16は各々Lys又はGluのいずれかであり;及び、aa12とaa16はラクタム結合を形成するために、それらの側鎖を介して環化され;
aa17はArg又はhArgであり;
aa19はAib、Ac4c或いはAc5cであり;
aa20はAib、Ac4c或いはAc5cであり;及び、1’-アルキル基はドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル或いはオクタデシルから選択される。
【0066】
幾つかの実施形態において、式I-A、式III-A、式III-B或いは式Vの任意の化合物に関しては、Xはドデシルアルキル鎖で構成される。
【0067】
幾つかの実施形態において、ペプチド生成物は、GLP1R及び/又はGLCRに結合する活性生物学的に活性なペプチド生成物である。
【0068】
特定の実施形態において、上記及び本明細書に記載の式I-A、式III-A、III-B或いは式Vペプチド生成物は、以下の構造を有する:
【0069】
【0070】
式中:R
1aは、
図1の表1に記載されるようなC
1-C
20のアルキル鎖であり、R’は、
図1の表1及び
図2の表2に記載されるようなペプチドであり、式I-AのW
2は-O-であり、及び式I-AのW
1は-(C=O)NH-及びペプチドR’へのアミド結合の一部である。そのような実施形態の幾つかにおいて、R
1aはC
6-C
20のアルキル鎖である。そのような実施形態の幾つかにおいて、R
1aはC
8-C
20のアルキル鎖である。そのような実施形態の幾つかにおいて、R
1aはC
12-C
20のアルキル鎖である。そのような幾つかの実施形態において、R
1aはC
12-C
16のアルキル鎖である。
【0071】
上記実施形態において、アミノ酸及び/又はペプチドR’のアミノの部分(例えば、リジンのようなアミノ酸残基のアミノ基、或いはペプチドR’の内のリジン残基)は下記の構造の化合物を備えた共有結合を形成するために使用され:
【0072】
【0073】
式中:R
1aは、上述の
図1の表1ならびに
図2の表2におけるC
1-C
20のアルキル鎖である。
【0074】
そのような場合において、上述の化合物Aへの共有結合を形成するために使用されるアミノの部分(例えばペプチドR’の内のリジン)を有するアミノ残基は、式Aの構造を有する界面活性物質Xに付着するリンカーアミノ酸Uである。従って、1例として、
図1の表1、又は
図2の表2のLys(C
12)は以下の構造を有する:
【0075】
【0076】
また、本明細書に提示された実施形態の範囲内に、一方又は両方のカルボン酸官能基での結合を介して、マルトウロン酸ベースの界面活性物質を由来とする式I-Aのペプチド生成物が熟考される。したがって、1例として、
図1の表1、或いは
図2の表2におけるペプチドは、マルトウロン酸ベースの界面活性物質Xに結合され、以下の構造を有するリジンリンカーアミノ酸を含む:
【0077】
【0078】
1つの実施形態において、式I-Aの化合物は、基Xにリジン基を付着させ、その後、追加のアミノ酸残基及び/又はペプチドの付着物が、リジン-X化合物に付けられた後、式I-Aの化合物が得られることが理解され得るであろう。また、本明細書に記載の他の天然又は非天然のアミノ酸は界面活性物質Xへの付着物として適しており、式I-Aの化合物を得るために、追加のアミノ酸/ペプチドへの付着に適していることが理解され得るであろう。別の実施形態において、式I-Aの化合物は、全長又は部分長のペプチドを基Xに付着させ、その後、式I-Aの化合物を得るために、随意の追加のアミノ酸残基及び/又はペプチドは付けられることが理解され得るであろう。
【0079】
特定の実施形態において、本明細書に化合物は、
図1の表1、或いは
図2の表2の化合物から選択される。
【0080】
また、本明細書には、上述のペプチド生成物の治療上に効果的な量、又はその許容可能な塩、及び少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体又は賦形剤を含む医薬組成物が提供される。
【0081】
医薬組成物の幾つかの実施形態において、担体は水性基剤の担体である。医薬組成物の幾つかの実施形態において、担体は非水性基剤の担体である。医薬組成物の幾つかの実施形態において、非水性基剤担体、サブミクロンの無水α-ラクト-ス、又は他の賦形剤を含みうるヒドロフルオロアルカン様の溶媒である。
【0082】
本明細書に提示の実施形態の範囲で、アミノ酸及び/又はペプチドの反応に関し、求核分子を有するリンカーアミノ酸Uを含み、また、脱離基或いは官能基を有する基Xに関し、活性化によって脱離基を含ませることが熟考され、例えば、カルボン酸、或いは他の反応基は、リンカーアミノ酸Uを介してアミノ酸及び/又は界面活性物質Xへのペプチドの共有結合を可能にし、式I-Aのペプチド生成物を提供する。
【0083】
さらに本明細書に記載の実施形態の範囲内において、アミノ酸及び/又は離脱基及び官能基を有するリンカーアミノ酸Uを含むペプチドの反応に関し、活性化によって離脱基を含ませることが熟考され、例えば、カルボン酸、或いは他の反応基、有核基を含有するグル-プXは、リンカーアミノ酸Uを介してアミノ酸及び/又は界面活性物質Xへのペプチドの共有結合を可能にし、式I-Aのペプチド生成物を提供する。
【0084】
1つの実施形態において、式I-Aの化合物は、リンカーアミノ酸UとXとの反応によって調製され、その後、式I-Aのペプチド生成物を得るために、Uへのさらなる残基を追加することが理解され得るであろう。代替の実施形態において、式I-Aの化合物は、Xとリンカーアミノ酸Uを含む適切なペプチド生成物によって調製され、その後、式I-Aのペプチド生成物を得るために、Uにさらなる残基が任意に追加することが理解され得るであろう。
【0085】
また、本明細書では、記載のペプチド生成物を合成する方法が提供され、以下の連続の工程を含む:
(a)中間体(すなわち式IVの化合物)とペプチドを連結させる工程:
【0086】
【0087】
式中:
R1aは、独立的に、各発生時に、単結合、H、脱離基、保護基、天然又は非天然のアミノ酸、置換又は非置換のC1-C30アルキル基、置換又は非置換のアルコキシアリール基、或いは置換又は非置換のアラルキル基であり;
R1b、R1c及びR1dは各々、独立的に、各発生時に、単結合、H、脱離基、保護基、可逆的に保護された天然又は非天然のアミノ酸、置換又は非置換のC1-C30アルキル基、置換又は非置換のアルコキシアリール基、或いは、置換又は非置換のアラルキル基であり;
W1は、独立的に、各発生時に、-CH2-、-CH2-O-、-(C=O)、-(C=O)-O-、-(C=O)-NH-、-(C=S)-、-(C=S)-NH-、或いは-CH2-S-であり;
W2は-O-、-CH2-、或いは-S-であり;
R2は、独立的に、各発生時に、単結合、H、脱離基、保護基、可逆的に保護された天然又は非天然のアミノ酸、置換又は非置換のC1-C30アルキル基、置換又は非置換のアルコキシアリール基、或いは置換又は非置換のアラルキル基、-NH2、-SH、C2-C4-アルケン、C2-C4-アルキン、-NH(C=O)-CH2-Br、-(CH2)m-マレイミド、或いは-N3であり;
nは1、2或いは3であり;
mは1-10であり;及び
(b)工程(a)のカップリングペプチドを随意に脱保護する工程。
【0088】
方法の幾つかの実施形態において、各々の天然又は非天然のアミノ酸は、独立的に各発生時に、可逆的に保護されたリンカーアミノ酸である。方法の幾つかの実施形態において、各々天然又は非天然のアミノ酸は、独立的に各発生時に、可逆的に保護された又は遊離のリジンである。
【0089】
方法の幾つかの実施形態において、ペプチドは上記式IIのペプチドである。
【0090】
方法の幾つかの実施形態において、
nは1であり;
W1は、-(C=O)-であり;
R1aは、置換又は非置換のC1-C30アルキル基、置換又は非置換のアルコキシアリール基、或いは置換又は非置換のアラルキル基であり、
R2は、D-或いはL-配置の可逆的に保護されたリジンである。
【0091】
方法の幾つかの実施形態において、
nは1であり;
W1は-(C=O)-であり;
R1aは、置換又は非置換のC8-C30アルキル基、置換又は非置換のアルコキシアリール基、或いは置換又は非置換のアラルキル基であり;
R2はD-或いはL-配置の可逆的に保護されたリジンである。
【0092】
方法の幾つかの実施形態において、R1aは、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、或いはヘキサデシル基である。
【0093】
方法の幾つかの実施形態において、
nは1であり;
W1は-(C=O)-NH-或いは(C=O)-O-であり;
R2は、置換又は非置換のC1-C30アルキル疎水基、置換又は非置換のアルコキシアリール基、或いは置換又は非置換のアラルキル基であり;
R1aはD-、L-配置の可逆的に保護されたセリン又はトレオニンである。
【0094】
方法の幾つかの実施形態において、R2は、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基或いはヘキサデシル基である。
【0095】
方法の幾つかの実施形態において、
nは1であり;
mは1-6であり;
W1は-CH2-であり;
R1aは、置換又は非置換のC1-C30アルキル疎水基、置換又は非置換の-アルコキシアリール基、或いは置換又は非置換の-アラルキル基であり、
R2は-N3、NH2、-C2-アルキン、-(CH2)m-マレイミド、NH-(C=O)-CH2-Br、或いはNH-(C=O)-CH2-Iである。
【0096】
式IVの幾つかの実施形態において、
nは1であり;
W1は-(C=O)-O-であり;
R2はHであり、
R1aは置換又は非置換のC1-C30アルキル疎水基である。
【0097】
方法の幾つかの実施形態において、W1は-(CH2)Oである。方法の幾つかの実施形態において、nは1である。方法の幾つかの実施形態において、nは2であり、及び、第1のグリコシドは第1のグリコシドのW2と第2のグリコシドのOR1b、OR1c或いはOR1dのうちのいずれか1つとの間の結合によって、第2のグリコシドに付けられる。
【0098】
方法の幾つかの実施形態において、nは3であり、また、第1のグリコシドは、第1のグリコシドのW2と第2のグリコシドのOR1b、OR1c或いはOR1dのうちのいずれか1つとの間の結合によって、第2のグリコシドに付けられる。また、第2のグリコシドは、第2のグリコシドのW2と第3のグリコシドのOR1b、OR1c或いはOR1dのうちのいずれか1つとの間の結合によって、第3のグリコシドに付けられる。
【0099】
方法の幾つかの実施形態において、可逆的に保護されたD-又はL-配置の式IVの化合物は、N-ε-(1’-アルキルグルクロニル)-リジンであり、ここで、R1aは置換又は非置換のC1-C20アルキル鎖、置換又は非置換の1‐アルコキシアリール基、或いは置換又は非置換の1-アラルキル基である。
【0100】
方法の幾つかの実施形態において、D-、又はL-配置の式IVの化合物は可逆的に保護されたN-ε-(1’-ドデシル-D-グルクロニル)-リジンである。
【0101】
方法の幾つかの実施形態において、脱保護は、緩酸、及び/又は緩塩基(mild base)の処置の使用を含む。方法の幾つかの実施形態において、脱保護は、強酸の使用を含む。
【0102】
幾つかの実施形態において、方法は、クロマトグラフィー、逆相による中間体の脱塩、高速液体クロマトグラフィー、又は中間体のイオン交換クロマトグラフィーの工程をさらに含む。
【0103】
医薬組成物は、上記及び本明細書のペプチド生成物の効果的な量、又はその許容可能な塩、及び少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体、又は賦形剤を含む。
【0104】
本明細書では、インスリン抵抗性に関連する疾病を処置するための方法が記載され、該方法は、それを必要とする個体に本明細書の記載の任意の化合物を投与する工程を含む。
【0105】
本明細書では、糖尿病、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、創傷治癒、インスリン抵抗性、高血糖症、高インスリン血症、メタボリック症候群、糖尿病合併症、遊離脂肪酸又はグリセロ-ルの高い血中濃度、高脂血、肥満症、高トリグリセリド血症、アテロ-ム性動脈硬化症、急性の心臓血管の症候群、梗塞、虚血再灌流或いは高血圧を処置するための方法が記載され、該方法は、それを必要とする個体に、治療上効果的な量の上記及び本明細書に記載のペプチド生成物の投与する工程を含む。
【0106】
本明細書では、体重増加の減少、又は体重損失を含む方法が提供され、該方法は、それを必要とする個体/被験体に、治療上効果的な量の上記及び本明細書に記載のペプチド生成物の投与する工程を含む。
【0107】
本明細書では、肥満症に関係するインスリン抵抗性、或いはメタボリック症候群を特徴とする哺乳動物の疾病のための処置方法が提供され、該方法は、それを必要とする個体/被験体に、体重減少を誘発、又はインスリンに敏感な量、上記及び本明細書に記載のペプチド生成物の量を投与する工程を含む。
【0108】
幾つかの実施形態において、処置される疾病はメタボリック症候群(症候群X)である。幾つかの実施形態において、処置される疾病は糖尿病である。幾つかの実施形態において、処置される疾病は高脂血である。幾つかの実施形態において、処置される疾病は高血圧である。幾つかの実施形態において、処置される疾病は、アテロ-ム性動脈硬化症を含む血管疾患、或いは高いC反応タンパク質を特徴とする全身性の炎症である。
【0109】
方法の幾つかの実施形態において、投与のためのペプチド生成物の効果的な量は、約0.1μg/kg/日から約100μg/kg/日まで、又は約0.01μg/kg/日から1mg/kg/日まで、又は0.1μg/kg/日から約50mg/kg/日までである。幾つかの実施形態において、ペプチド生成物は非経口的に投与される。幾つかの実施形態において、ペプチド生成物は皮下に投与される。幾つかの実施形態において、ペプチド生成物の投与の方法は経鼻吸入法である。
【0110】
しかしながら、処置を必要とする任意の特定被験体のための特定の用量レベル及び投薬の頻度が異なることがあり、使用される特定の化合物の活性、該化合物の代謝の安定性及び作用の持続時間、年齢、体重、健康状態、性別、食事、投与の形態及び時間、排泄率、複合薬、特定の疾病の重症度、及び治療を受ける宿主を含む様々な要因に依存することを理解されたい。
【0111】
本明細書では、メタボリック症候群又はその処置方法、又はその構成疾患が提供され、該方法は必要とする被験体に治療上効果的な量の上記及び本明細書に記載のペプチド生成物の投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、メタボリック症候群の疾病は糖尿病に繋がる。
【0112】
また、本明細書中では、親水基を含む共有結合的に修飾されたGLCR及び/又はGLP1R結合ペプチド又はそのアナログ、及び共有結合的に親水基に付く疎水基が提供される。特定の実施形態において、共有結合的に修飾されたペプチド及び/又はタンパク質生成物は、疎水基が糖類及び疎水基のC1-C20のアルキル鎖、又はアラルキル鎖を有する。
【0113】
1つの実施形態において、組成物又は分子の生物作用、例えば、受容体結合又は酵素活性を、増加又は保持するために、界面活性物質への共有結合によって分子を化学的に修飾する方法が提供される。幾つかの実施形態において、分子はペプチドである。該方法は、ポリエチレングリコール様ポリマーへの組成物の分子の共有結合な付着を含む、さらなるの修飾を含みうる。
【0114】
別の実施形態において、ペプチド鎖を少なくとも1つのアルキルグリコシドに共有結合することによって、ペプチド及び/又はタンパク薬物の免疫原性を減少又は除去する方法が提供され、ここで、アルキルは1~30の炭素原子を有する。
【0115】
また、本明細書では、インスリン抵抗性に関連する疾病に対する処置の方法が提供され、該疾病は、肥満症、メタボリック症候群、2型糖尿病、高血圧、アテロ-ム性動脈硬化症等を含むが、それらに限定されず、前記方法は、少なくとも1つのアルキルグリコシドに共有結合される及び脊椎動物に送達されるペプチドを含む薬物組成物の投与を含み、ここで、アルキルは、1~30の炭素原子、1~20の炭素、又はさらに、6~16の炭素原子の範囲、或いは6~18の炭素を有し、及び、ペプチドへのアルキルグリコシドの共有結合は、薬物の安定性、バイオアベイラビリティ及び/又は作用持続時間を増加させる。
【0116】
本明細書では、上記及び本明細書に記載された任意の疾病の処置のための薬の製造のための、上記及び本明細書に記載されたペプチド生成物(例えば式I-A、式III-A、式III-B或いは式Vのペプチド生成物)の使用が、さらに提供される。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【
図1A】
図1Aの表1は、本明細書に記載の方法によって調製された化合物を描く。本明細書は、配列番号1-3及び配列番号318-343についての配列を提供する。加えて、
図1Aの表1は、
図1Aの表1に示されるように、各々配列番号4-129を有するEU-A300からEU-A425の化合物の配列番号を提供する。
図1Aの表1中の化合物、及び
図1Bの表1に示されたそれらの各々の配列番号は、出願されたとおりの本明細書に組み込まれる。
【
図1B】
図1Bの表1は、本明細書に記載の方法によって調製された化合物を描く。本明細書は、配列番号1-3及び配列番号318-343についての配列を提供する。加えて、
図1Bの表1は、
図1Bの表1に示されるように、各々配列番号4-129を有するEU-A300からEU-A425の化合物の配列番号を提供する。
図1Bの表1中の化合物、及び
図1Bの表1に示されたそれらの各々の配列番号は、出願されたとおりの本明細書に組み込まれる。
【
図1C】
図1Cの表1は、本明細書に記載の方法によって調製された化合物を描く。本明細書は、配列番号1-3及び配列番号318-343についての配列を提供する。加えて、
図1Cの表1は、
図1Cの表1に示されるように、各々配列番号4-129を有するEU-A300からEU-A425の化合物の配列番号を提供する。
図1Cの表1中の化合物、及び
図1Cの表1に示されたそれらの各々の配列番号は、出願されたとおりの本明細書に組み込まれる。
【
図1D】
図1Dの表1は、本明細書に記載の方法によって調製された化合物を描く。本明細書は、配列番号1-3及び配列番号318-343についての配列を提供する。加えて、
図1Dの表1は、
図1Dの表1に示されるように、各々配列番号4-129を有するEU-A300からEU-A425の化合物の配列番号を提供する。
図1Dの表1中の化合物、及び
図1Dの表1に示されたそれらの各々の配列番号は、出願されたとおりの本明細書に組み込まれる。
【
図1E】
図1Eの表1は、本明細書に記載の方法によって調製された化合物を描く。本明細書は、配列番号1-3及び配列番号318-343についての配列を提供する。加えて、
図1Eの表1は、
図1Eの表1に示されるように、各々配列番号4-129を有するEU-A300からEU-A425の化合物の配列番号を提供する。
図1Eの表1中の化合物、及び
図1Eの表1に示されたそれらの各々の配列番号は、出願されたとおりの本明細書に組み込まれる。
【
図2A】
図2Aの表2は、本明細書に記載の方法によって調製された化合物を描く。本明細書は、配列番号1-3及び配列番号318-343を提供する。加えて、
図2Aの表2は、
図2Aの表2に示されるように、各々化合物EU-A426-EU-A599についての配列番号を提供する。
図2Aの表2の化合物、及び
図2Aの表2に示される、それらの各々の配列番号が、出願されたとおりの本明細書に組み込まれる。
【
図2B】
図2Bの表2は、本明細書に記載の方法によって調製された化合物を描く。本明細書は、配列番号1-3及び配列番号318-343を提供する。加えて、
図2Bの表2は、
図2Bの表2に示されるように、各々化合物EU-A426-EU-A599についての配列番号を提供する。
図2Bの表2の化合物、及び
図2Bの表2に示される、それらの各々の配列番号が、出願されたとおりの本明細書に組み込まれる。
【
図2C】
図2Cの表2は、本明細書に記載の方法によって調製された化合物を描く。本明細書は、配列番号1-3及び配列番号318-343を提供する。加えて、
図2Cの表2は、
図2Cの表2に示されるように、各々化合物EU-A426-EU-A599についての配列番号を提供する。
図2Cの表2の化合物、及び
図2Cの表2に示される、それらの各々の配列番号が、出願されたとおりの本明細書に組み込まれる。
【
図2D】
図2Dの表2は、本明細書に記載の方法によって調製された化合物を描く。本明細書は、配列番号1-3及び配列番号318-343を提供する。加えて、
図2Dの表2は、
図2Dの表2に示されるように、各々化合物EU-A426-EU-A599についての配列番号を提供する。
図2Dの表2の化合物、及び
図2Dの表2に示される、それらの各々の配列番号が、出願されたとおりの本明細書に組み込まれる。
【
図2E】
図2Eの表2は、本明細書に記載の方法によって調製された化合物を描く。本明細書は、配列番号1-3及び配列番号318-343を提供する。加えて、
図2Eの表2は、
図2Eの表2に示されるように、各々化合物EU-A426-EU-A599についての配列番号を提供する。
図2Eの表2の化合物、及び
図2Eの表2に示される、それらの各々の配列番号が、出願されたとおりの本明細書に組み込まれる。
【
図2F】
図2Fの表2は、本明細書に記載の方法によって調製された化合物を描く。本明細書は、配列番号1-3及び配列番号318-343を提供する。加えて、
図2Fの表2は、
図2Fの表2に示されるように、各々化合物EU-A426-EU-A599についての配列番号を提供する。
図2Fの表2の化合物、及び
図2Fの表2に示される、それらの各々の配列番号が、出願されたとおりの本明細書に組み込まれる。
【
図2G】
図2Gの表2は、本明細書に記載の方法によって調製された化合物を描く。本明細書は、配列番号1-3及び配列番号318-343を提供する。加えて、
図2Gの表2は、
図2Gの表2に示されるように、各々化合物EU-A426-EU-A599についての配列番号を提供する。
図2Gの表2の化合物、及び
図2Gの表2に示される、それらの各々の配列番号が、出願されたとおりの本明細書に組み込まれる。
【
図3】
図3は、GLP-1受容体の細胞外のドメインの結合部位のX線結晶構造(Runge,S.,et al.(2008)J Biol Chem 283:11340-7)を示し、本発明のペプチド上の界面活性物質の疎水性の1’-アルキルの部分に模倣され、置換される受容体及び結合要素リガントエクセジン-4の重大な疎水性(Val
19*、Phe
22*、Trp
25*、Leu
26*)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0118】
本明細書には、改善された医薬の性質を備える特定の共有結合的に修飾されたペプチド及び/又はタンパク質が記載される。また、本明細書には、肥満症及びメタボリック症候群に関連する障害を処置するための共有結合的に修飾されたペプチド及び/又はタンパク質の使用方法が提供される。
【0119】
幾つかの実施形態において、修飾されたペプチド及び/又はタンパク質は、親水基の「頭部」(例えばポリオール(例えば糖類))に共有結合的に付着するペプチド及び/又はタンパク質を含み;親水基は共有結合的に疎水基の「尾部」に付着し、それによって界面活性物質を生成する。幾つかの実施形態において、ペプチド又はタンパク質(例えば、グルカゴン又はGLP-1に関連するペプチド等)の共有結合な修飾のための疎水基結合グリコシド界面活性物質(例えば、アルキルグリコシド)部分の使用は、複数の機構によりペプチド及び/又はタンパク質の作用時間を延長し、前記機構は、体内に投与する部位に薬物のデポの形成及び疎水基担体タンパク質への結合を含む。幾つかの実施形態において、立体障害のペプチド及び/又はタンパク質への組み込みは、プロテアーゼのペプチド及び/又はタンパク生成物への接近を防ぎ、及びそれにより、タンパク質分解を防ぐ。幾つかの実施形態において、本明細書に記載されたペプチド及び/又はタンパク質の共有結合な修飾(例えば、界面活性物質のアルキルグリコシドの共有結合な付着)は粘膜障壁をわたる運送を増加する。従って、本明細書に記載されたペプチド及び/又はタンパク質の修飾は、制限されないが、タンパク質分解の防止、投与部位から移動の遅延、望ましい効果を含み、それにより、薬物動態学の行動の延長(循環T1/2の延長)、及び経粘膜的なバイオアベイラビリティの改善を引き起こす。
【0120】
幾つかの実施形態において、改善されたペプチド及び/又はタンパク質とそれらの受容体のとの相互作用は、配列の切断、制約の導入及び/又は立体障害の取り込みによって有益な方法で修飾される。本明細書には、新しいアルキルグリコシド試薬が記載され、該試薬は、修飾されたペプチド及び/又はタンパク質における強鋼性及び立体障害の両方の組み込みを可能にする。幾つかの実施形態において、立体障害は、本明細書に記載の修飾されたペプチド及び/又はタンパク質に受容体選択性を与える。幾つかの実施形態において、立体障害は、タンパク質分解からの保護を提供する。
【0121】
タンパク質及びペプチドは、潜在能力と安全性に影響を与え得る多数の物理的及び化学な変化を受ける。これらの中には、凝集があり、二量体化、三量体化、及びアミロイド等の高次凝集体の形成を含む。凝集は、ペプチド及び/又はタンパク質に基づいた治療学のための複数の潜在的に有害な影響の基礎となる重要な問題であり、効能の損失、薬物動態学の変更、安定性や製品の貯蔵寿命の減少、及び不適当な免疫原性の誘導を含む。自己会合のペプチドのバイオアベイラビリティ及び薬物動態学は、皮下の部位 (Maji,S.K.,et al.(2008)Plos Biol 6: E17)での集合体のサイズ、及び非共有結合の分子間相互作用の混乱の容易さによって影響を受ける場合がある。幾つかの例において、ペプチドは、30日以上のT1/2により分離する皮下沈着物へ集合することができる。そのような遅い溶解は、単回の皮下注射からの1ヶ月間の送達により、ペプチドがインビボ(in vivo)で不活性を表すような低い血中濃度を引き起こされるというような、好ましい効果を引き起こし得る。したがって、幾つかの例において、疎水性の凝集はペプチドのバイオアベイラビリティ及び有効性を排除する(Clodfelter,D.K.,et al.(1998)Pharm Res 15:254-262)。本明細書に記載の修飾されたペプチド生成物は、界面活性物質に結合し、所望されるように凝集への干渉、又は凝集の増強を可能にするよう随意に設計される。
【0122】
タンパク質に共有結合的に付着する、頻繁に自然発生するオリゴ糖は、外面活性物質の特徴を有しない。幾つかの実施形態において、本明細書に記載のペプチド及び/又はタンパク質生成物は、共有結合的に付けられた糖類及び修飾されたペプチドに界面活性物質の特徴の影響を与える追加の疎水基を有し、それによって、バイオアベイラビリティ、免疫原性及び/又は界面活性物質に修飾されたペプチドの薬物動態学の動きの調和を可能にする。
【0123】
オリゴ糖によって修飾されたタンパク質及びペプチドは、例えば、「Jensen,K.J.and Brask,J.(2005)Biopolymers 80:747-761」に記載される酵素的な手法(Gijsen,H.J.,et al.(1996)Chem Rev 96:443-474; Sears,P. and Wong,C.H.(1998)Cell Mol Life Sci 54: 223-252;Guo,Z.and Shao,N.(2005) Med Res Rev 25:655-678)、又は化学的手法(Urge,L.,et al.(1992)Biochem Biophys Res Commun 184:1125-1132;Salvador,L.A.,et al.(1995)Tetrahedron 51:5643-5656;Kihlberg,J.,et al.(1997)Methods Enzymol 289: 221-245; Gregoriadis,G.,et al.(2000)Cell Mol Life Sci 57:1964-1969; Chakraborty,T.K.,et al.(2005)Glycoconj J 22:83-93;Liu,M.,et al.(2005)Carbohydr Res 340:2111-2122;Payne,R.J.,et al.(2007)J Am Chem Soc 129:13527-13536;Pedersen,S.L.,et al.(2010)Chembiochem 11:366-374)を使用する、糖類又はオリゴ糖の組み込みを通じる。タンパク質と同様に、ペプチドは、グリコシル化によって修飾された(Filira,F.,et al.(2003)Org Biomol Chem 1: 3059-3063);(Negri,L.,et al.(1999)J Med Chem 42:400-404);(Negri,L.,et al.(1998)Br J Pharmacol 124: 1516-1522);Rocchi,R.,et al.(1987)Int J Pept Protein Res 29:250-261;Filira,F.,et al.(1990)Int J Biol Macromol 12:41-49; Gobbo,M.,et al.(1992)Int J Pept Protein Res 40:54-61; Urge,L.,et al.(1992)Biochem Biophys Res Commun 184: 1125-1132;Djedaini-Pilard,F.,et al.(1993)Tetrahedron lett 34:2457-2460;Drouillat, B.,et al(1997)Bioorg Med Chem Lett 7: 2247-2250;Lohof,E.,et al.(2000)Angew Chem Int Ed Engl 39:2761-2764;Gruner,S.A.,et al.(2001)Org Lett 3: 3723-3725; Pean, C.,et al.(2001)Biochim Biophys Acta 1541:150-160;Filira,F.,et al.(2003)Org Biomol Chem 1:3059-3063; Grotenbreg,G.M., et al.(2004)J Org Chem 69: 7851-7859; Biondi,L.,et al.(2007)J Pept Sci 13: 179-189; Koda,Y.,et al.(2008)Bioorg Med Chem 16: 6286-6296;Yamamoto,T.,et al.(2009)J Med Chem 52: 5164-5175)。
【0124】
しかしながら、前記の試みは、ペプチド結合のオリゴ糖に付けられた追加の疎水基を記載しない。従って、本明細書には、糖類及び/又はオリゴ糖に付けられる疎水基を組み込む、修飾されたペプチド及び/又はタンパク質が提供され、及び前記疎水基は、ペプチド及び/又はタンパク質に共有結合的に付けられ、及び前記ペプチド及び/又はタンパク質は、バイオアベイラビリティ、免疫原性及び薬物動態学の動きの調和を可能にする。従ってまた、本明細書には、界面活性物質の試薬が提供され、該試薬はオリゴ糖と疎水基を含み、例えば、グルカゴン、及び/又は、GLP-1、及び/又は、そのアナログ等のペプチド及び/又はタンパク質の共有結合的な修飾を可能にする。
【0125】
本明細書では、ペプチド及び/又はタンパク質の特性の改善のための、ペプチドへの共有結合において、糖類ベースの界面活性物質の使用が提供される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるようなペプチド及び/又はタンパク質の界面活性物質の修飾(例えば、界面活性物質のアルキルグリコシドクラスの共有結合的な付着)は、粘膜障壁にわたる輸送を増加させる。幾つかの実施形態において、ペプチド及び/又はタンパク質生成物への界面活性物質の共有結合は、ペプチド及び/又はタンパク質の凝集を減少又は妨げる。幾つかの実施形態において、共有結合的に修飾されたペプチド及び/又はタンパク質は共有結合的に修飾されたグルカゴン又はGLP-1ペプチド、或いはそのアナログであり、それらはアルキルグリコシド界面活性物質部分による共有結合的な修飾を介し、製薬的及び医薬的な特性を改善するため修飾される。これらの界面活性物質に修飾されたアナログは、タンパク質分解を妨害し、身体の摂取及び除去を遅くし、立体障害を増加させた。
【0126】
特定の例において、界面活性物質の効果は、医薬製剤の物理的性質或いは性能に関し有益であるが、皮膚及び/又は他の組織に刺激的であり、とりわけ、鼻、口、目、膣、直腸、頬側、或いは舌下の領域によく見られるもの等の粘膜に刺激的である。さらに、幾つかの例において、界面活性物質は、タンパク質を変性させ、ゆえにそれらの生体機能を破壊する。界面活性物質は、臨界ミセル濃度(CMC)上に影響を及ぼすため、界面活性物質が望ましく、その結果、それらは、医薬製剤中、低濃度或いは少量で有効に利用される低いCMCを有する。従って、幾つかの実施形態において、本明細書に記載のペプチド修飾に適している界面活性物質(例えば、アルキルグリコシド)は、純水又は水溶液中に約1mM未満のCMCを有する。ほんの一例として、水の中のアルキルグリコシドに対する特定のCMC値は次のとおりである:オクチルマルトシドは19.5mMであり;デシルマルトシドは1.8mMであり;ドデシル-β-D-マルトシドは0.17mMであり;トリデシルマルトシドは0.03mMであり;テトラデシルマルトシドは0.01mMであり;糖類ドデカノアートは0.3 MMである。適切な界面活性剤は、修飾されたペプチド及び/又はタンパク質に依存する、より高い又はより低いCMCを有し得ることが認識されるであろう。本明細書に使用されるように「臨界ミセル濃度」或いは「CMC」は、溶液中の両親媒性の構成成分(アルキルグリコシド)の濃度であり、そこで、溶液中のミセル(球状のミセル、丸桿状体、層状組織等)の形成から開始される。特定の実施形態において、アルキルグリコシドドデシル、トリデシル、及びテトラデシルマルトシド、或いはグルコシド、同様に、糖類ドデカノアート、トリデカノアート、及びテトラデカノアートは、より低いCMCを有し、本明細書に記載のペプチド及び/又はタンパク質修飾に適している。
【0127】
インスリン抵抗性
長引く高血糖症に関連するリスクは、微小血管の合併症、感覚ニューロパチー、心筋梗塞、脳卒中、大血管性の死亡率及び総死亡率の増加のリスクを含む。2型糖尿病はまた、肥満症が原因であると常に関連付けられ、さらなる世界的な流行病である。2007年に、世界中の糖尿病の処置及び予防には、少なくとも2320億ドルが費やされ、その4分の3が、微小血管と大血管性の合併症の予防に努める等、長期的合併症の処置及び一般看護のために、工業先進国で費やされる。2007年に、米国の経済に対する糖尿病(障害、生産性の損失、及び糖尿病による若死)のおよその間接費用は、580億ドルであった。
【0128】
肥満症は、インスリン抵抗性、すなわち、インスリン刺激に反応する身体の細胞の能力の低下、及び重大な細胞内シグナル伝達システムへのそれらの受容体のカップリングの減少を引き起こす。肥満状態は、「メタボリック症候群」、すなわち、非常に大規模なヘルスケアの結果による疾患群(インスリン抵抗性、高血圧、アテロ-ム性動脈硬化症等)をさらに引き起こす。インスリン抵抗性が十分に早期に診断される場合、顕性2型糖尿病は、カロリー摂取、及び体脂肪の減少を目的とする生活習慣の介入により、薬物療法による血糖コントロ-ルの正常化のための薬物の処置により、予防或いは遅延され得る。初期に積極的な介入を推奨する処置ガイドラインにもかかわらず、多くの患者は、血糖コントロ-ルの目標を達成できなかった。多くの要因は、2型糖尿病をうまく管理できず、それは、利用可能な抗糖尿病薬の効能、利便性、及び耐用性の特徴における心理社会的、及び経済的な影響ならびに欠点を含む。本明細書に記載されたペプチド及び/又はタンパク質の生成物は、これらの欠点を克服するために設計される。
【0129】
インクレチン効果
「インクレチン効果」は、経口送達されるグルコース負荷が、経静脈投与される同じグルコース負荷よりも、はるかに多いインスリン分泌を提供する現象を記載するために使用される。この効果は、腸のL細胞によって分泌される少なくとも2つのインクレチンホルモンによって媒介される。グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)及びグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)は、インクレチン等として識別され、また、健康な個体はインクレチン効果から、食事のインスリン分泌反応を70%まで引き出すことができると考えられる。
【0130】
通常、インクレチンペプチドは、摂取した栄養素に応じ、必要時に分泌され、またジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-4)酵素の分解により、短い血漿半減期を有する。2型糖尿病のヒトにおいて、GLP-1への膵臓の反応性は低下するが、インスリン分泌反応は、ヒトのGLP-1の薬理学の用量によって回復され得る(Kieffer,T.J.,et al.(1995)Endocrinology 136: 3585-3596)。さらに、GLP-1はβ細胞ネオゲネシス及び貯蔵法を促進する(Aaboe, K., et al. (2008) Diabetes Obes Metab 10: 994-1003)。GLP-1は、心機能等に対する付加的な有益な効果を有し:例えば、ヒト被験体の左心室機能を改善する(Sokos,G.G.,et al.(2006)J Card Fail 12: 694-699)。GLP-1はまた、ヒトの胃を空にするのを遅くし、また食欲を減退させる(Toft-Nielsen, M.B., et al. (1999) Diabetes Care 22: 1137-1143)。
【0131】
GLP-1は代謝的に安定し、長時間作用性のアナログによる糖尿病患者の処置は、例えばDrab,S.R.(2010)Pharmacotherapy 30:609-624に記載され、使用の利便性及び吐き気等の副作用、膵炎及び甲状腺癌のリスクに関する問題に悩む。GLP-1アナログは、インスリン分泌のグルコース依存性刺激を提供し、低血糖症のリスクの減少を引き起こす。さらに、現在の多くの糖尿病処置法は体重の増加を引き起こし、以下記載の通り、GLP-1アナログは満腹感及び緩やかな体重減少を引き起こす。従って、幾つかの実施形態において、本明細書にはGLP-1アナログが提供され、該GLP-1アナログは、長く作用し、低用量で投与され、それにより、現在の処置に関連する副作用を減少する。
【0132】
多くのペプチド消化管ホルモンは食欲を調節すると知られている(Sanger,G.J. and Lee,K.(2008)Nat Rev Drug Discov 7: 241-254)。幾つかのペプチドは、前駆体遺伝子生成物:例えば、グルカゴン、GLP-l及びグルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)、グリセンチン、オキシントモジュリン(OXM)の組織特有の酵素的処理(プロホルモン コンベルターゼ;PCs)に由来する(Drucker,D.J.(2005) Nat Clin Pract Endocrinol Metab 1:22-31;Sinclair,E.M.and Drucker,D.J.(2005)Physiology(Bethesda)20: 357-365)。GLP-1、GLP-2、グリセンチン及びOXMは、摂食に応じて腸のL細胞から共同分泌される。グルカゴン前駆体は、代替的に処理され(PC2)、その結果、膵ランゲルハンス島のアルファ細胞においてグルカゴンを生産する。OXMの構造は本質的に8つの残基のC末端伸長を備えたグルカゴンである。
【0133】
インスリン生合成、及びグルコース依存性インスリン分泌の刺激に加えて、GLP-1及びその安定したミメティック(Byetta(登録商標))はまた、動物モデル(Mack,C.M.,et al.(2006)Int J Obes(LOND)30:1332-1340)、及び2型糖尿病患者(Defronzo, R.A., et al. (2005) Diabetes Care 28: 1092-1100; Buse, J.B., et al. (2010) Diabetes Care 33: 1255-1261)に適度の体重減少を引き起こす。グルカゴンの注入は、ヒトの食物摂取量を減らし(Geary,N.,et al.(1992)Am J Physiol 262: R975-980)、一方、脂肪組織の連続的なグルカゴン処置はさらに脂肪分解(Heckemeyer,C.M.,et al.(1983)Endocrinology 113: 270-276)及び体重減少(Salter,J.M.,et al.(1960)Metabolism 9: 753-768;Chan,E.K.,et al.(1984)Exp Mol Pathol 40: 320-327)を促進する。グルカゴンは、エネルギー代謝に対する広範な効果を有する(Heppner,K.M.,et al.(2010)Physiol Behav)。グルカゴン又はアナログは、胃管の一時的麻痺のための診断の形態において使用することができる。したがって、グルカゴン前駆体タンパク質のPC処理から少なくとも2つの生成物は、満腹感と代謝効果に関連付けられる。
【0134】
OXMの繰り返しの腹腔内投与を受けたげっ歯動物において、グルカゴン前駆体の第3の生成物は、対照と比較して白色脂肪組織の減少及び体重の減少に関係する(Dakin, C.L., et al. (2004) Endocrinology 145: 2687-2695)。OXMは、標準体重のヒトへの静脈注入投与の間に、食物摂取量を19.3%までに減らし、及び、この効果は、注入後、12時間より長く継続する(Cohen, M.A., et al. (2003) J Clin Endocrinol Metab 88: 4696-4701)。4週の期間にわたるボランティアの処置は、体脂肪の減少を反映する、満腹感効果の持続及び体重減少をもたらす(Wynne,K.,et al.(2005)Diabetes 54: 2390-2395)。
【0135】
OXMは、構造上、GLP-1及びグルカゴンと同族であり、グルカゴン受容体(GCGR)及びGLP-1受容体(GLP1R)の両方を活性化するが、潜在能力は名祖のリガンドよりも10~100倍低い。さらに、GLP1RとのOXM相互作用に関する研究は、GLP-1と比較して、ベータレスチン漸増に対する異なる効果を有し(Jorgensen,R.,et al.(2007)J Pharmacol Exp Ther 322:148-154)、ゆえに、「偏った」リカンドとして作用することを示す。OXMのための独特な受容体は、数年の間に求められていたが、まだ解明されておらず、また、それはGLP1RとGCGRの経路を通じて作用すると仮定される。従って、本明細書に、満腹感の誘発、体重減少、インスリン抵抗性の緩和及び/又は糖尿病前症から糖尿病への進行の遅延を可能にする腸ペプチドの界面活性物質の修飾のための方法が提供される。
【0136】
GLP-1
上記の満腹感と代謝グルカゴン前駆体タンパク質の生成物の複合体及び相互に作用する行動を考慮して、多数の団体の研究員は、GLP-1及びグルカゴン構造上の構造活性関係を研究してきた。配列の全体にわたる残基は、交替を許容すると示された。例えば、Alaによる交換は、GLP-1のN‐末端領域、特に2、3、5、8、11及び12において、十分に許容される(Adelhost,K.,et al.(1994)J Biol Chem 269:6275-6278)。
【0137】
グルカゴンのN末端の上にGLP-1からのC末端残基を移植することにより、GLP1RとGLCRに結合する能力を有するキメラ的なアナログが達成され得ることが示された(Hjorth,S.A.,et al.(1994)J Biol Chem 269: 30121-30124)。位置3にある残基(GLP1の酸性Glu、或いはグルカゴン又はOXMの中性Gln)は、GLP1Rのためにグルカゴン(Runge,S.,et al.(2003)J Biol Chem 278:28005-28010)又はOXM(Pocai,A.,et al.(2009)Diabetes 58: 2258-2266)の親和性を縮小する。位置3において、Glnを有するGLP-1、又はグルカゴン、或いはOXMの安定したアナログにより処置される動物の代謝の特性に対する効果が研究された(Day,J.W.,et al.(2009)Nat Chem Biol 5:749-757;Druce,M.R.,et al.(2009)Endocrinology 150:1712-1722;Pocai,A.,et al.(2009)Diabetes 58:2258-2266)。これらのアナログは、GLP1R及びGCGRの両方(Day,J.W.et al.US2010/0190701A1)の上に反発的な作用を有するように設計された。
【0138】
キメラ的なアナログは、受容体上で作用する親ホルモンの好ましい効果を有するべきであり、及びゆえに、OXM効果に類似し、それは、GLP-1R及びGLCRの両方に明らかに作用する:グルコース依存性インスリン分泌及び満腹感、脂肪分解との組み合わせ、及びグルカゴンによる脂肪燃焼の増加。アナログは、体重の減少及び脂肪燃焼の増加に望ましい効果を引き起こすと示された。そのような特性は、肥満症の処置において魅力的であるが、肥満処置の主な問題はコンプライアンスである。各々のGLP-1RとGLCRの両方の親和性を備えるグルカゴン及びOXMの、現在知られている全長のアナログは、体重の損失をもたらすことがあるが、これらのアナログは、最適な薬物処置レジメンを必要とする患者への高いバイオアベイラビリティ、製薬の特性、及び利便的な送達のために最適化されていない。したがって、本明細書には、腸ペプチド(例えば、GLP、OXM、グルカゴン等)のアナログが提供され、該アナログは、肥満症及び/又は糖尿病及び/又はメタボリック症候群等の疾病の処置における治療結果の改善のため、高いバイオアベイラビリティ及び/又は長い持続効果を可能にする。
【0139】
OXM様な分子によるメタボリック症候群及び糖尿病の最適化された処置のさらなる要因は、処置の持続時間及びグルカゴン活性の量に関係する。例えば、GLP-1及びグルカゴン受容体(OXM薬理学的特性)を活性化するアナログによる継続的な処置は、体脂肪量の大量かつ急速な損失をもたらすが(Day,J.W.,et al.(2009)Nat Chem Biol 5: 749-757)、この部類の製薬に好ましくない、痩せた(lean)筋肉量の減少も引き起こす(kosinski,J.R.,et al.(2012)Obesity(Silver Spring):doi:10.1038/oby.2012.67)。例えば、「Kosinski,J.R.,et al.」の研究記事において、Alzetのミニポンプから天然ホルモンOXMを14日間継続的に投与した結果、体脂肪が30%減少するだけでなく、筋肉量(lean mass)(筋肉)も7%減少した。
【0140】
グルカゴン作用は、グリコーゲン分解、脂肪分解及び脂肪燃焼の増加を刺激すると知られるが、その筋肉にも異化の効果も有し得る。GLP-1及びグルカゴン作用(OXM特性)を組み合わせる薬剤を使用する成功的な処置は、賢明な量のグルカゴン作用(脂肪燃焼)により、満腹感、及びGLP-1アナログの増強したグルコース依存性インスリン分泌を最適に引き起こす必要があるであろう。さらに、そのような薬剤の断続的な使用は、最小限の筋肉の損失を伴う、体脂肪の損失により、中度の継続的な体重損失の望ましい臨床特性を提供するであろう。本明細書には、望ましいGLP-1及びOXM作用の組み合わせ、同様に調整可能な薬物動態学/薬力学の特性により、治療(例えばメタボリック症候群、糖尿病、肥満症等)における最適な使用を可能にする分子が提供される。
【0141】
1つの実施形態において、式I-A、III-A、III-B及び式Vの化合物は、グルカゴン様活性又はGLP-1様活性のいずれかを提供するために設計される。さらなる実施形態において、式I-A、III-A、III-B及び式Vの化合物は、調整可能な過活性を提供する。例えば、1つの例において、本明細書に記載のペプチド生成物(例えば
図1の表1及び
図2の表2中の化合物)は、グルカゴン及びGLP-1の両方について、受容体にて、約500nM未満、好ましくは約50nM未満、より好ましくは約20nM未満のEC50を有する。別の例において、本明細書に記載のペプチド生成物(例えば
図1の表1及び
図2の表2中の化合物)は、GLP-1受容体に対し、より有力であり(例えば、10nM未満、好ましくは5nM未満、より好ましくは約1nM未満のEC50)、グルカゴン受容体に対してはあまり有力でない(例えば、50nM未満、好ましくは約20nM未満、より好ましくは約5nM未満のEC50)。生物活性のこの同調性は、賢明な量のグルカゴン作用の幾つかの保持を可能にし、それにより、脂肪燃焼を可能にし、一方で強化されたグルコース依存性のインスリン分泌の有益な効果も保持する。OXMは、構造上、GLP-1及びグルカゴンと同族であり、グルカゴン受容体(GCGR)及びGLP-1受容体(GLP1R)の両方を活性化する。従って、幾つかの実施形態において、式I-A、式III-A、式III-B及び式Vの化合物は、調整可能なOXMのような生物活性を提供する。幾つかの特定の実施形態において、本明細書に記載のペプチド生成物はGLP-1のアミノ酸残基1-17を有するペプチド及び/又はそのアナログ(例えば、本明細書に記載の修飾された非天然アミノ酸の置換、本明細書に記載のラクタム結合、本明細書に記載の界面活性物質修飾又はそれらの組み合わせを含むアナログ)である。他の幾つかの実施形態において、本明細書に記載のペプチド生成物は、GLP-1のアミノ酸残基1-16を有するペプチド及び/又はそのアナログ(例えば、本明細書に記載の修飾された非天然アミノ酸の置換、本明細書に記載の環化されたラクタム結合、本明細書に記載の界面活性物質修飾又はそれらの組み合わせを含むアナログ)である。追加の実施形態において、本明細書に記載のペプチド生成物は、GLP-1のアミノ酸残基1-18を有するペプチド及び/又はそのアナログ(例えば、本明細書に記載の修飾された非天然アミノ酸の置換、本明細書に記載の環化されたラクタム結合、本明細書に記載の界面活性物質修飾又はそれらの組み合わせを含むアナログ)である。さらに、本明細書に記載のペプチド生成物は、式I-A、式III-A、式III-B、式Vの設計された化合物、又は
図1の表1及び
図2の表2の化合物のへリックス安定化を提供する1つ以上の残基(例えばAib, Ac4c)を含む。
【0142】
リガンドのグルカゴン亜群は、受容体の多くのクラスB(セクレチンクラス、Gタンパク質共役受容体(GPCR))に共通の2つのドメイン形態において、それらの受容体に結合すると考えられる。GLP-1については、膜貫通ヘリックス(膜近傍領域)の上面に結合する残基1乃至約16の残基のN末端領域があり、及び受容体の大きく、細胞外に位置するN末端伸長(ECD)に結合する17乃至31のらせん状のC末端領域があると考えられる。これらのペプチドリガンドのN末端切断型アナログは、未だに受容体の分離したECD領域のみのため、本質的な結合親和性及び選択性を保持し得るという事実に注目する。したがって、N末端領域は、受容体活性化の原因であり、一方、C末端領域は結合の原因であることが示唆されてきた。近年、GLP-1の短いN末端アナログは、有力な結合剤と同様に、受容体活性物質の両方であり得ることが示されてきた(Mapelli, C., et al. (2009) J Med Chem 52: 7788-7799; Haque, T.S., et al. (2010) Peptides 31: 950-955; Haque, T.S., et al. (2010) Peptides 31: 1353-1360)。
【0143】
加えて、この領域に結合される、GLP-1模倣体エクセジン-4(Byetta(登録商標))の切断型アンタゴニストアナログを備えた、GLP1RのN末端領域のX線結晶構造(Runge,S.,et al.(2008)J Biol Chem 283: 11340-7)の研究は、ECDにおける臨界的リガンド結合領域が高疎水性である(
図3)ことを示す。Glu15を越えたエクセジン-4の配列は、この非常に疎水性の領域(Val
19*、Phe
22*、Trp
25*、Leu
26*)を備えた両親媒性の螺旋として相互に作用する。1つの実施形態において、GLP-1或いはグルカゴンの切断型N末端フラグメントはGLCRに結合するよう、修飾された界面活性物質に共有結合する。界面活性物質の疎水性の1’-アルキル部分は、自然のホルモンリガンドのC末端領域を模倣及び置換し、ペプチド潜在効能、効果及び作用持続時間を増加する。さらに、そのようなアナログは、それらのより小さなサイズにより、主な利点を有し、それらの複雑さ、合成コスト及びタンパク質分解に対する感受性を減少する。さらに、より小さなペプチドは、鼻粘膜又は腸細胞障壁を通って、より容易に吸収される。
【0144】
低血糖症は、命にかかわりうる低血糖の状態であり、徐々に、より多くの患者に使用されている強度なインスリン処置による高血糖のより積極的な処置として見なされている。低血糖症は、血液グルコースレベルが体の活動のため、脳や筋肉に十分なエネルギーを提供できないほど、低く落ち込んだ時に見られる。グルカゴンは、この状態の処置に使用されることができ、肝臓に刺激を与えることによって行われ、グリコーゲンを破壊しグルコースを生成させ、血液グルコースレベルを正常値にまで上昇する。GLCRを活性化する能力を保持するグルカゴンのアナログは、血液グルコースレベルに対する望ましい効果を達成するために使用され得る。
【0145】
GLP1Rを活性化させるGLP-1のアナログは、生産を刺激し、高い血液グルコースレベルの存在下で、膵臓からのインスリンの放出を刺激する。この作用は、エクセナチド(Byetta(登録商標))等の現在の商品にみられるように、血液グルコースレベルの有効的な制御及び正常化をもたらす。加えて、このような商品は、食欲の低下、及び胃からの食物の移動の遅延をもたらすように思われる。したがって、それらは多数の機構によって糖尿病の処置に有効である。GLCR及びGLP1Rの両方活性化させるグルカゴン及びGLP-1の効果を組み合わせるアナログは、食欲を抑制し、グルコース依存性の様式でインスリンを放出し、低血糖症からの保護を助け、及び脂肪燃焼を加速させるための協調作用を通じて糖尿病の処置において利点を提供し得る。
【0146】
糖尿病、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病、又は妊娠糖尿病を含む高血糖症の処置のこのような方法は、インスリン依存性、又は非インスリン依存性のいずれかで、腎症、網膜症、及び血管疾患を含む糖尿病の合併症を減少させるのに有用であると期待される。心疾患における適用は、微小血管疾患、同様に巨大血管性疾患を包含し(Davidson,M.H.,(2011)Am Jcardiol 108[Suppl]:33B-41B;Gejl,M.,et al.(2012)J Clin Endocrinol Metab 97:DOI:10.1210/JC.2011-3456)、心筋梗塞の処置を含む。食欲を低下させ、又は体重の損失を促進させるこのような方法は、体重の減少、体重増量の予防、薬物誘発肥満症を含む様々な原因の肥満症の処置、及び血管疾患(冠動脈疾患、卒中、末梢血管疾患、虚血再灌流等)、高血圧、2型糖尿病の発症、高脂血及び筋骨格の疾患を含む肥満症に関連する合併症の減少に有用であると期待される。
【0147】
本明細書中で使用されるように、用語「グルカゴン」又は「GLP-1アナログ」は、それらの薬学的に許容可能な塩又はエステルをすべて含む。
【0148】
ペプチド及びそのアナログ
1つの態様において、共有結合的に修飾され、且つ、本明細書に記載の方法に適しているペプチドは、以下のものを含むがこれらに限定されない、グルカゴンの切断型アナログ(truncated analogs)及び/又は関連ホルモンGLP-1である:
グルカゴン:
His1-Ser2-Gln3-Gly4-Thr5 Phe6-Thr7-Ser8-Asp9-Tyr10-Ser11-Lys12-Tyr13-Leu14-Asp15-Ser16-Arg17-Arg18-Ala19-Gln20-Asp21-Phe22-Val23-Gln24-Trp25-Leu26-Met27-Asn28-Thr29(配列番号331)
オキシントモジュリン:
His1-Ser2-Gln3-Gly4-Thr5 Phe6-Thr7-Ser8-Asp9-Tyr10-Ser11-Lys12-Tyr13-Leu14-Asp15-Ser16-Arg17-Arg18-Ala19-Gln20-Asp21-Phe22-Val23-Gln24-Trp25-Leu26-Met27-Asn28-Thr29-Lys30-Arg31-Asn32-Arg33-Asn34-Asn35-Ile36-Ala37(配列番号332)
GLP-1(グルカゴンのナンバリングを使用):
His1-Ala2-Glu3-Gly4-Thr5 Phe6-Thr7-Ser8-Asp9-Val10-Ser11-Ser12-Tyr13-Leu14-Glu15-Gly16-Gln17-Ala18-Ala19-Lys20-Glu21-Phe22-Ile23-Ala24-Trp25-Leu26-Val27-Lys28-Gly29-Arg30(配列番号333)
【0149】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載のペプチド生成物は、式Vの構造を有する:
aa1-aa2-aa3-aa4-aa5-aa6-aa7-aa8-aa9-aa10-aa11-aa12-aa13-aa14-aa15-aa16-aa17-aa18-aa19-aa20-aa21-aa22-aa23-aa24-aa25-aa26-aa27-aa28-aa29-aa30-aa31-aa32-aa33-aa34-aa35-aa36-aa37-Z 式5(配列番号334)
式中:
Uは結合アミノ酸(linking amino acid)であり;
Xは、Uの側鎖に結合した界面活性物質であり;
Zは、OH、又は-NH-R3であり、ここで、R3は、H、又はC1-C12の置換又は非置換のアルキルであり;
aa1は、His、N-Ac-His、pGlu-His、又はN-R3-Hisであり;
aa2は、Ser、Ala、Gly、Aib、Ac4c、又はAc5cであり;
aa3は、Gln、又はCitであり;
aa4は、Gly、又はD-Alaであり;
aa5は、Thr、又はSerであり、
aa6は、Phe、Trp、F2Phe、Me2Phe、又はNal(2)であり;
aa7は、Thr、又はSerであり;
aa8は、Ser、又はAspであり;
aa9は、Asp、又はGluであり;
aa10は、Tyr、Leu、Met、Nal(2)、Bip、又はBip2EtMeOであり;
aa11は、Ser、Asn、又はU(X)であり;
aa12は、Lys、Glu、Ser、Arg、又はU(X)であり;
aa13は、存在しない、Tyr、Glu、Cit、又はU(X)であり;
aa14は、存在しない、Leu、Met、Nle、又はU(X)であり;
aa15は、存在しない、Asp、Glu、又はU(X)であり;
aa16は、存在しない、Ser、Gly、Glu、Aib、Ac5c、Lys、Arg、又はU(X)であり;
aa17は、存在しない、Arg、hArg、Gln、Glu、Cit、Aib、Ac4c、Ac5c、又はU(X)であり;
aa18は、存在しない、Arg、hArg、Ala、Aib、Ac4c、Ac5c、又はU(X)であり;
aa19は、存在しない、Ala、Val、Aib、Ac4c、Ac5c、又はU(X)であり;
aa20は、存在しない、Gln、Lys、Arg、Cit、Glu、Aib、Ac4c、Ac5c、又はU(X)であり;
aa21は、存在しない、Asp、Glu、Leu、Aib、Ac4c、Ac5c、又はU(X)であり;
aa22は、存在しない、Phe、Trp、Nal(2)、Aib、Ac4c、Ac5c、又はU(X)であり;
aa23は、存在しない、Val,Ile、Aib、Ac4c、Ac5c、又はU(X)であり;
aa24は、存在しない、Gln、Ala、Glu、Cit、又はU(X)であり;
aa25は、存在しない、Trp、Nal(2)、又はU(X)であり;
aa26は、存在しない、Leu、U(X)であり;
aa27は、存在しない、Met、Val、Nle、Lys、又はU(X)であり;
aa28は、存在しない、Asn、Lys、又はU(X)であり;
aa29は、存在しない、Thr、Gly、Aib、Ac4c、Ac5c、又はU(X)であり;
aa30は、存在しない、Lys、Aib、Ac4c、Ac5c、又はU(X)であり;
aa31は、存在しない、Arg、Aib、Ac4c、Ac5c、又はU(X)であり;
aa32は、存在しない、Asn、Aib、Ac4c、Ac5c、又はU(X)であり;
aa33は、存在しない、Arg、Aib、Ac5c、又はU(X)であり;
aa34は、存在しない、Asn、Aib、Ac4c、Ac5c、又はU(X)であり;
aa35は、存在しない、Asn、Aib、Ac4c、Ac5c、又はU(X)であり;
aa36は、存在しない、Ile、Aib、Ac4c、Ac5C、又はU(X)であり;
aa36は、存在しない、Ala、Aib、Ac4c、Ac5C、又はU(X)であり;
aa37は、存在しない、又はU(X)であり;
ただし、aa11-aa37の1つ、又は少なくとも1つがU(X)であることを条件とする。
【0150】
特定の実施形態において、結合アミノ酸Uは、Lys又はOrnのようなジアミノ酸であり、Xは、Uに結合された1-アルキルグリコシドのクラスからの修飾された界面活性物質であり、Zは、OH、又は-NH-R2であり、ここで、R3は、H、又はC1-C12;又は10Da未満のPEG鎖である。
【0151】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載のペプチド生成物は、式III-Bの構造を有し:
His1-aa2-aa3-Gly4-Thr5-aa6-Thr7-Ser8-Asp9-aa10-aa11-aa12-aa13-aa14-aa15-aa16-aa17-aa18-aa19-aa20-aa21-aa22-aa23-Z 式III-B(配列番号3)
式中:
Zは、OH、又は-NH-R3であり、ここで、R3は、H、或いは置換又は非置換のC1-C12アルキル;又は10Da未満のPEG鎖であり;
aa2は、Ser、Ala、Gly、Aib、Ac4c、又はAc5cであり;
aa3は、Gln、又はCitであり;
aa6は、Phe、Trp、F2Phe、Me2Phe、MePhe、又はNal2であり;
aa10は、Tyr、Leu、Met、Nal2、Bip、又はBip2EtMeOであり;
aa11は、Ser、Asn、又はUであり;
aa12は、Lys、Glu、Ser、又はU(X)であり;
aa13は、存在しない或いはTyr、Gln、Cit、又はU(X)であり;
aa14は、存在しない或いはLeu、Met、Nle、又はU(X)であり;
aa15は、存在しない或いはAsp、Glu、又はU(X)であり;
aa16は、存在しない或いはSer、Gly、Glu、Aib、Ac4c、Ac5c、Lys、R、又はU(X)であり;
aa17は、存在しない或いはArg、hArg、Gln、Glu、Cit、Aib、Ac4c、Ac5c、又はU(X)であり;
aa18は、存在しない或いはArg、hArg、Ala、Aib、Ac4c、Ac5c、又はU(X)であり;
aa19は、存在しない或いはAla、Val、Aib、Ac4c、Ac5c、又はU(X)であり;
aa20は、存在しない或いはGlu、Lys、Arg、Cit、Glu、Aib、Ac4c、Ac5c又はU(X);
aa21は、存在しない或いはAsp、Glu、Leu、Aib、Ac4c、Ac5c、又はU(X)であり;
aa22は、存在しない或いはPhe、Aib、Ac4c、Ac5c、又はU(X)であり;
aa23は、存在しない或いはVal、Ile、Aib、Ac4c、Ac5c、又はU(X)であり;
ここで、aa1-aa23の何れか2つは、ラクタム結合を形成するため、それらの側鎖によって随意に環化され;及び
ただし、aa16、aa17、aa18、aa19、aa20、aa21、aa22、aa23、又はaa24の1つ、又は少なくとも1つが、Xに共有結合的に付けられる、天然又は非天然のアミノ酸Uであることを条件とする。
【0152】
式III-A、式III-B、及び式Vの幾つかの特定の実施形態において、Xは以下の構造を有し:
【0153】
【0154】
式中:
R1aは、置換又は非置換のC1-C30アルキル基であり;
R1b、R1c、及びR1dは、Hであり;
W1は、-(C=O)-NH-であり;
W2は、-O-であり;及び
R2は、単結合である。
【0155】
上記の実施形態の幾つかにおいて、R1aは、C1-C20アルキル基、C8-C20アルキル基、C12-18アルキル基、又はC14-C18アルキル基である。
【0156】
式III-Bの幾つかの実施形態において、Uは、本明細書に記載の任意のリンカーアミノ酸である。
図1の表1及び
図2の表2は、本明細書に記載されるような界面活性物質と共有結合的に結合したペプチドの特定の例を図示する。
【0157】
本明細書で提示された実施形態の範囲内では、式I-A、式III-A、式III-B、又は式Vが熟考され、ここで、ペプチド生成物は、1つの、又は1より多くの界面活性物質の基(例えば、式Iの構造を有する基X)を含む。1つの実施形態において、式I-A、式III-A、式III-B、又は式Vのペプチド生成物は、1つの界面活性物質の基を含む。別の実施形態において、式I-A、式III-A、式III-B、又は式Vのペプチド生成物は、2つの界面活性物質の基を含む。また別の実施形態において、式I-A、式III-A、式III-B、又は式Vのペプチド生成物は、3つの界面活性物質の基を含む。
【0158】
本明細書において、インスリン抵抗性及び/又は心血管疾患に関連した疾病の処置のための、配列番号331の特定の部分の重要性が、認識される。従って、本明細書では、配列番号331のアミノ酸残基aa1-aa17を含むグルカゴンアナログの治療上効果的な量の、それを必要とする個体への投与を含む、それを必要とする個体における糖尿病を処置する方法が提供される。
【0159】
更なる実施形態において、本明細書では、配列番号331のアミノ酸残基aa1-aa18を含むグルカゴンアナログの治療上効果的な量の、それを必要とする個体への投与を含む、それを必要とする個体における糖尿病を処置する方法が提供される。
【0160】
別の実施形態において、本明細書では、配列番号331のアミノ酸残基aa1-aa19を含むグルカゴンアナログの治療上効果的な量の、それを必要とする個体への投与を含む、必要とする個体における糖尿病を処置する方法が提供される。
【0161】
別の実施形態において、本明細書では、配列番号331のアミノ酸残基aa1-aa20を含むグルカゴンアナログの治療上効果的な量の、それを必要とする個体への投与を含む、必要とする個体における糖尿病を処置する方法が提供される。
【0162】
追加の実施形態において、上記の前記グルカゴンアナログの投与は、体重損失を引き起こす。
【0163】
本明細書において、インスリン抵抗性及び/又は心血管疾患に関連した疾病の処置のための、配列番号1の特定の部分の重要性が、認識される。従って、本明細書では、配列番号1のアミノ酸残基aa1-aa17を含むグルカゴンアナログの治療上効果的な量の、それを必要とする個体への投与を含む、それを必要とする個体における糖尿病を処置する方法が提供される。
【0164】
更なる実施形態において、本明細書では、配列番号1のアミノ酸残基aa1-aa18を含むグルカゴンアナログの治療上効果的な量の、それを必要とする個体への投与を含む、それを必要とする個体における糖尿病を処置する方法が提供される。
【0165】
別の実施形態において、本明細書では、必要とする個体における糖尿病を処置する方法が提供され、該方法は、配列番号1のアミノ酸残基aa1-aa19を含むグルカゴンアナログの治療上効果的な量の、それを必要とする個体への投与を含む。
【0166】
別の実施形態において、本明細書では、配列番号1のアミノ酸残基aa1-aa20を含むグルカゴンアナログの治療上効果的な量の、それを必要とする個体への投与を含む、それを必要とする個体における糖尿病を処置する方法が提供される。
【0167】
追加の実施形態において、上記の前記グルカゴンアナログの投与は、体重損失を引き起こす。
【0168】
上記の実施形態の何れかにおいて、前記グルカゴンアナログは、式Iの界面活性物質Xにより修飾され:
【0169】
【0170】
式中:
R1aは、独立的に、各発生時に、単結合、H、置換又は非置換のC1-C30アルキル基、置換又は非置換のアルコキシアリール基、置換又は非置換のアラルキル基、或いはステロイド核を含有する部分であり;
R1b、R1c、及びR1dは各々、独立的に、各発生時に、単結合、H、置換又は非置換のC1-C30アルキル基、置換又は非置換のアルコキシアリール基、或いは置換又は非置換のアラルキル基であり;
W1は、独立的に、各発生時に、-CH2-、-CH2-O-、-(C=O)、-(C=O)-O-、-(C=O)-NH-、-(C=S)-、-(C=S)-NH-、或いは-CH2-S-であり;
W2は、-O-、-CH2-、又は-S-であり;
R2は、独立的に、各発生時に、Uに対する単結合、H、置換又は非置換のC1-C30アルキル基、置換又は非置換のアルコキシアリール基、或いは置換又は非置換のアラルキル基、-NH2、-SH、C2-C4-アルケン、C2-C4-アルキン、-NH(C=O)-CH2-Br、-(CH2)m-マレイミド、又は-N3であり;
nは、1、2、又は3であり;及び
mは1-10である。
【0171】
特定の実施形態において、前記グルカゴンアナログは、以下の構造を有する界面活性物質、Xにより修飾される:
【0172】
【0173】
式中:
R1aは、置換又は非置換のC1-C30アルキル基であり;
R1b、R1c、及びR1dは、Hであり;
W1は、-(C=O)-NH-であり;
W2は、-O-であり;及び
R2は、単結合である。
【0174】
上記の実施形態の何れかにおいて、R1aは、C1-C20アルキル基、C8-C20アルキル基、C12-C18アルキル基、又はC14-C18アルキル基である。
【0175】
本明細書中で使用されるように、用語「糖尿病」は、1型糖尿病及び2型糖尿病の両方を含む。従って、幾つかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、1型糖尿病に苦しむ個体に、式II、III-A、III-B及び/又は式Vの化合物を含む、本明細書に記載の任意の化合物を、及び/又は、
図1の表1及び
図2の表2に記載の化合物を投与する工程を含む。幾つかの他の実施形態において、本明細書に記載の方法は、2型糖尿病に苦しむ個体に、式II、III-A、III-B及び/又は式Vの化合物を含む、本明細書に記載の任意の化合物を、及び/又は、
図1の表1及び
図2の表2に記載の化合物を投与する工程を含む。
【0176】
また、本明細書には、配列番号331のアミノ酸残基aa1-aa17を含むグルカゴンアナログの治療上効果的な量の、それを必要とする個体への投与を含む、それを必要とする個体における心疾患を処置する方法が提供される。
【0177】
また、本明細書には、配列番号331のアミノ酸残基aa1-aa18を含むグルカゴンアナログの治療上効果的な量の、それを必要とする個体への投与を含む、必要とする個体における心疾患を処置する方法が提供される。
【0178】
また、本明細書には、該方法は、配列番号331のアミノ酸残基aa1-aa19を含むグルカゴンアナログの治療上効果的な量の、それを必要とする個体への投与を含む、それを必要とする個体における心疾患を処置する方法が提供される。
【0179】
また、本明細書には、配列番号331のアミノ酸残基aa1-aa20を含むグルカゴンアナログの治療上効果的な量の、それを必要とする個体への投与を含む、それを必要とする個体における心疾患を処置する方法が提供される。
【0180】
上記の実施形態に関する幾つかの場合において、心疾患が虚血性の事象に関係する場合に、前記グルカゴンアナログが投与される。
【0181】
また、本明細書には、配列番号1のアミノ酸残基aa1-aa17を含むグルカゴンアナログの治療上効果的な量の、それを必要とする個体への投与を含む、それを必要とする個体における心疾患を処置する方法が提供される。
【0182】
また、本明細書には、配列番号1のアミノ酸残基aa1-aa18を含むグルカゴンアナログの治療上効果的な量の、それを必要とする個体への投与を含む、それを必要とする個体における心疾患を処置する方法が提供される。
【0183】
また、本明細書には、配列番号1のアミノ酸残基aa1-aa19を含むグルカゴンアナログの治療上効果的な量の、それを必要とする個体への投与を含む、それを必要とする個体における心疾患を処置する方法が提供される。
【0184】
また、本明細書には、配列番号1のアミノ酸残基aa1-aa20を含むグルカゴンアナログの治療上効果的な量の、それを必要とする個体への投与を含む、それを必要とする個体における心疾患を処置する方法が提供される。
【0185】
上記の実施形態に関する幾つかの場合において、心疾患が虚血性の事象に関係する場合、前記グルカゴンアナログが投与される。
【0186】
上記の実施形態の何れかにおいて、前記グルカゴンアナログは、式Iの界面活性物質Xにより修飾される:
【0187】
【0188】
式中:
R1aは、独立的に、各発生時に、単結合、H、置換又は非置換のC1-C30アルキル基、置換又は非置換のアルコキシアリール基、置換又は非置換のアラルキル基、或いはステロイド核を含有する部分であり;
R1b、R1c、及びR1dは各々、独立的に、各発生時に、単結合、H、置換又は非置換のC1-C30アルキル基、置換又は非置換のアルコキシアリール基、或いは置換又は非置換のアラルキル基であり;
W1は、独立的に、各発生時に、-CH2-、-CH2-O-、-(C=O)、-(C=O)-O、-(C=O)-NH-、-(C=S)-、-(C=S)-NH-、或いは-CH2-S-であり;
W2は、-O-、-CH2-、又は-S-であり;
R2は、独立的に、各発生時に、Uに対する単結合、H、置換又は非置換のC1-C30アルキル基、置換又は非置換のアルコキシアリール基、或いは置換又は非置換のアラルキル基、-NH2、-SH、C2-C4-アルケン、C2-C4-アルキン、-NH(C=O)-CH2-Br、-(CH2)m-マレイミド、又は-N3であり;
nは、1、2、又は3であり;及び
mは1-10である。
【0189】
特定の実施形態において、前記グルカゴンアナログは、以下の構造を有する界面活性物質、Xにより修飾され:
【0190】
【0191】
式中:
R1aは、置換又は非置換のC1-C30アルキル基であり;
R1b、R1c、及びR1dは、Hであり;
W1は、-(C=O)-NH-であり;
W2は、-O-であり;及び
R2は、単結合である。
【0192】
上記の実施形態の幾つかにおいて、R1aは、C1-C20アルキル基、C8-C20アルキル基、C12-C18アルキル基、又はC14-C18アルキル基である。
【0193】
アミノ又はカルボキシルの末端の修飾は、ペプチド(例えば、グルカゴン又はGLP-1)へと随意に導入され得る(Nestor, J.J., Jr. (2009) Current Medicinal Chemistry 16: 4399 - 4418)。例えば、ペプチドは、いくつかのペプチドに関して見られてきたように、低い効果、部分アゴニスト、及びアンタゴニスト活性を示すペプチドアナログをもたらすため、N末端の上で切断される又はアシル化され得る(Gourlet, P., et al. (1998) Eur J Pharmacol 354: 105-111, Gozes, I. and Furman, S. (2003) Curr Pharm Des 9: 483-494)、その内容は、引用により本明細書に組み込まれる)。例えば、bPTHの最初の6の残基の欠失は、拮抗性のアナログ(Mahaffey, J.E., et al. (1979) J Biol Chem 254: 6496-6498; Goldman, M.E., et al. (1988) Endocrinology 123: 2597-2599)をもたらし、及び、本明細書に記載のペプチドに対する同様の作用は、有力な拮抗性のアナログを生成する。D-PheのようなD-アミノ酸の欠失又は組み込みなどの、ペプチドのN末端への他の修飾も、長鎖アルキルグリコシドなどの、本明細書に記載の修飾により置換された場合に、強力で長く作用するアゴニスト又はアンタゴニストを提供し得る。そのようなアゴニスト及びアンタゴニストはまた、商業上の有用性を有しており、本明細書に記載の、熟考された実施形態の範囲内にある。
【0194】
また、本明細書に記載の実施形態の範囲内では、ペプチドアナログに共有結合的に付けられた界面活性物質が熟考され、ここで、天然のペプチドは、アセチル化、アシル化、ペグ化、ADPリボシル化、アミド化、脂質又は脂質誘導体の共有結合的な付着、ホスホチジルイノシトールの共有結合的な付着、架橋結合、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル反応、システインの共有結合的な架橋生成の形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、ガンマ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、グリコシル化、脂質付着、硫酸化、グルタミン酸残基のガンマ-カルボキシル化、水酸化及びADPリボシル化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化などのアミノ酸のタンパク質への転移RNAを介する付加、及びユビキチン化により、修飾される。例えば、(Nestor, J.J., Jr.(2007) Comprehensive Medicinal Chemistry II 2: 573-601, Nestor, J.J., Jr.(2009) Current Medicinal Chemistry 16: 4399-4418, Creighton, T.E.(1993, Wold, F. (1983) Posttranslational Covalent Modification of Proteins 1-12, Seifter, S. and Englard, S. (1990) Methods Enzymol 182: 626-646, Rattan, S.I., et al. (1992) Ann N Y Acad Sci 663: 48-62)を参照。また、本明細書に記載の実施形態の範囲内で、分枝状の、或いは分枝のある又は分枝のない環式のペプチドが、熟考される。環式の、分枝の、及び分枝がある環式のペプチドは、翻訳後のナチュラルプロセスに起因し、適切な合成法によって作られる。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の任意のペプチド生成物は、後にアルキル-グリコシドの界面活性物質部分に共有結合的に付けられる、上記のペプチドアナログを含む。
【0195】
また、本明細書で提示される実施形態の範囲内では、例えば、Lysのε-位置にて、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、3-フェニルプロパノン酸など脂肪酸、飽和又は不飽和のアルキル鎖による、リンカーアミノ酸上のアシル化による本明細書に請求されるアナログの置換によって、適切な位置において置換されるペプチド鎖が、熟考される(Zhang, L. and Bulaj, G. (2012) Curr Med Chem 19: 1602-1618)。そのようなアナログの、限定しない実例となる例は、次のとおりである:
【0196】
His1-Aib2-Gln3-Gly4-Thr5-Phe6-Thr7-Ser8-Asp9-Tyr10-Ser11-Lys12-Tyr13-Leu14-Asp15-Ser16-Arg17-Lys(N-イプシロン-ドデカノイル)18-Aib19-NH2(配列番号335)
【0197】
His1-Aib2-Gln3-Gly4-Thr5-Phe6-Thr7-Ser8-Asp9-Tyr10-Ser11-Lys12-Tyr13-Leu14-Asp15-Ser16-Arg17-Lys(N-イプシロン-テトラデカノイル)18-Ac4c19-NH2(配列番号336)
【0198】
His1-Aib2-Gln3-Gly4-Thr5-Phe6-Thr7-Ser8-Asp9-Tyr10-Ser11-Lys12-Tyr13-Leu14-Asp15-Ser16-Arg17-Lys(N-イプシロン-ヘキサデカノイル)18-Aib19-NH2(配列番号337)
【0199】
His1-Aib2-Gln3-Gly4-Thr5-Phe6-Thr7-Ser8-Asp9-Tyr10-Ser11-Lys12-Tyr13-Leu14-Asp15-Aib16-Arg17-Lys(N-イプシロン-ドデカノイル)18-NH2(配列番号338)
【0200】
His1-Aib2-Gln3-Gly4-Thr5-Phe6-Thr7-Ser8-Asp9-Tyr10-Ser11-Lys12-Tyr13-Leu14-Asp15-Aib16-Arg17-Lys(N-イプシロン-テトラデカノイル)18-NH2(配列番号339)
【0201】
His1-Aib2-Gln3-Gly4-Thr5-Phe6-Thr7-Ser8-Asp9-Tyr10-Ser11-Lys12-Tyr13-Leu14-Asp15-Aib16-Arg17-Lys(N-イプシロン-ヘキサデカノイル)18-NH2(配列番号340)
【0202】
His1-Aib2-Gln3-Gly4-Thr5-Phe6-Thr7-Ser8-Asp9-Tyr10-Ser11-Lys12-Tyr13-Leu14-Asp15-Ser16-Arg17-Lys(N-イプシロン-(ガンマ-グルタミル)-N-アルファ-テトラデカノイル)18-Aib19-NH2(配列番号341)など。
【0203】
更なる実施形態において、ペプチド鎖は、ステロイド核(例えば、コレステロール部分)などのスペーサー及び疎水性の部分との、リンカーアミノ酸(例えば、Cysのスルフィドリル)に対する反応によって、適切な位置において随意に置換される。そのような実施形態の幾つかにおいて、修飾したペプチドは、1以上のPEG鎖を更に含む。そのような分子の制限しない例は、次のとおりである:
【0204】
His1-Aib2-Gln3-Gly4-Thr5-Phe6-Thr7-Ser8-Asp9-Tyr10-Ser11-Lys12-Tyr13-Leu14-Asp15-Aib16-Arg17-Cys(S-(3-(PEG4-アミノエチルアセトアミド-コレステロール)))18-Aib19-NH2(配列番号342)
【0205】
His1-Aib2-Gln3-Gly4-Thr5-Phe6-Thr7-Ser8-Asp9-Tyr10-Ser11-シクロ(Glu12-Tyr13-Leu14-Asp15-Lys16)-Arg17-Cys(S-(3-(PEG4-アミノエチルアセトアミド-コレステロール)))18-NH2(配列番号343)。
【0206】
20の標準のアミノ酸に加えて、上記のように、当業者に既知であり、且つ、本明細書に記載の化合物中に組み込まれ得る、莫大な数の「非標準のアミノ酸」又は非天然のアミノ酸が存在する。他の非標準のアミノ酸は、接合のため反応的な側鎖により修飾される(Gauthier, M.A. and Klok, H.A. (2008) Chem Commun (Camb) 2591-2611; de Graaf, A.J., et al. (2009) Bioconjug Chem 20: 1281-1295)。1つの手法において、進展したtRNA/tRNA合成酵素のペアは、アンバー抑制遺伝子コドンにより、発現プラスミド中でコード化される(Deiters, A, et al. (2004). Bio-org. Med. Chem. Lett. 14, 5743-5)。例えば、p-アジドフェニルアラニンは、ペプチドに組み込まれ、その後、官能化した界面活性物質、又は「Huisgen[3+2]環化付加」として知られる有機反応を促進するため、還元剤と銅イオンの存在下でアセチレン部分を有するPEGポリマーと反応される。アセチレンにより修飾されたアルキルグリコシド又はPEGにより修飾されたグリコシドを含む、本明細書に記載の試薬を使用する同様の反応シーケンスは、ペグ化した、又はアルキルグリコシドにより修飾されたペプチドをもたらすであろう。約50未満の残基のペプチドに関して、標準固相合成法は、鎖の中で所望される位置で、反応的な前記アミノ酸残基の組み込みのために使用される。このような界面活性物質により修飾したペプチド及び/又はタンパク質は、PEGの組み込みのみによって修飾されるペプチドとは異なる、薬理学的特性及び医薬品特性のスペクトルを提供する。
【0207】
当業者は、ペプチドアナログの多数の並べ替えが可能であることを認識し、アミノ酸配列が、組み込まれた界面活性物質を有していれば、本明細書に記載の界面活性物質により修飾されたペプチド生成物を有するであろう。
【0208】
特定の定義
本明細書中で使用されるように、「a」又は「an」は、1以上を意味する。請求項(複数)において使用されるように、単語「comprising」と共に使用すると、単語「a」又は「an」は、1以上を意味する。本明細書中で使用されるように、「another」は、少なくとも2つ以上を意味する。
【0209】
本明細書中で使用されるように、様々な共通のアミノ酸のための1文字及び3文字の略語は、「Pure Appl. Chem. 31, 639-645 (1972) and 40, 277-290 (1974) and comply with 37 CFR § 1.822 (55 FR 18245, May 1, 1990)」において推奨される通りである。他にD-又はDLとして指定されない限り、略語はL-アミノ酸を表わす。特定のアミノ酸、天然と非天然のものの両方は、アキラル性であり、例えば、グリシン、Cα-ジエチルグリシン(Deg)、α-アミノ-イソ酪酸(Aib)、1-アミノシクロブタン-1-カルボン酸(Ac4c)、1-アミノシクロペンタン-1-カルボン酸(Ac5c)、1-アミノシクロヘキサン-1-カルボン酸(Ac6c)である。グルタミンのアナログは、シトルリン(Cit)を含む。全てのペプチド配列は、左側のN末端アミノ酸及び右側のC末端アミノ酸と共に提示される。
【0210】
「アルキル」基は、脂肪族炭化水素基を指す。アルキル基への言及は、「飽和アルキル」及び/又は「不飽和アルキル」を含む。アルキル基は、飽和又は不飽和であっても、分枝鎖、直鎖、又は環式基を含む。「置換した」アルキル基は、1つ以上の追加の基(複数)により置換される。特定の実施形態において、1つ以上の追加の基(複数)は、個々に、独立的に、アミド、エステル、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、エステル、アルキルスルホン、アリールスルホン、シアノ、ハロゲン、アルコイル、アルコイルオキソ、イソシアナート、チオシアナート、イソチオシアナート、ニトロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、フルオロアルキル、アミノ、アルキル-アミノ、ジアルキル-アミノ、アミド、オキソ、ステロイド等の疎水性の天然生成物、アラルキル鎖(アルコキシアリールを含む)、アシル部分を含むアルキル鎖などから、選択される。幾つかの実施形態において、アルキル基は、ペプチドにおける残基(例えば、Tyr又はDmt)のNα-位置に結合される。このクラスは、N-アルキルと称され、且つ、C1-C10からの直線又は分枝状のアルキル基、あるいはベンジル、フェニルエチルなどの、アリールによって置換されたアルキル基を含む。幾つかの実施形態において、アルキル部分は、糖類部分への(典型的に、例えばグルコースの1-位置への)グリコシド結合にある、1-アルキル基である。そのような1-アルキル基は、C1-C30アルキル基である。
【0211】
「アリール」基は芳香環を指し、ここで、環を形成する原子の各々は、炭素原子である。本明細書に記載のアリール環は、5、6、7、8、9、又は9より多くの炭素原子を有する環を含む。アリール基は、ハロゲン、アルキル、アシル、アルキルチオ、スルホニル、ジアルキル-アミノ、カルボキシルエステル、シアノなどから選択される置換基により、随意に置換される。アリール基の例は、限定されないが、フェニル、及びナフタレニルを含む。
【0212】
用語「アシル」は、C1-C20アシル鎖を指す。この鎖は、直鎖状の脂肪族の鎖、分枝した脂肪族の鎖、環式のアルキル部分を含む鎖、ステロイドなどの疎水性の天然産物、アラルキル鎖、又はアシル部分を含むアルキル鎖を含み得る。
【0213】
用語「ステロイド核」は、以下に示すように、A、B、C、及びDと示される4つの縮合環の配置を含む、ステロイドの中心を指す:
【0214】
【0215】
部分を含むステロイド核の例は、限定されないが、コレステロール等を含む。
【0216】
本明細書中で使用されるように、「治療上の組成物」は、水性又は有機の担体或いは賦形剤を備えた混合物を含むことができ、例えば、錠剤、ペレット剤、カプセル剤、凍結乾燥物、坐剤、溶液、乳剤、懸濁液、又は使用に適切な他の形態で組み合わせられ得る。担体は、上記で開示したものに加えて、固体、半固体、又は液体の形態で、アルギン、コラーゲン、グルコース、ラクトース、マンノース、アラビアゴム、ゼラチン、マンニトール、デンプン糊、三ケイ酸マグネシウム、タルク、トウモロコシデンプン、ケラチン、コロイダル-シリカ、ジャガイモデンプン、尿素、中鎖長トリグリセリド、デキストラン、及び調製物の製造で使用するのに適した他の担体を含み得る。加えて、補助の安定化剤、肥厚剤、又は着色剤は、例えば、トリウロースなどの安定乾燥剤として使用され得る。
【0217】
本明細書中で使用されるように、「薬学的に許容可能な担体」又は「治療上効果的な担体」は、水性又は非水性のもの(固体)、例えば、アルコール性又は油性のもの、或いはそれらの混合物であり、且つ、界面活性物質、皮膚軟化剤、潤滑剤、安定剤、染料、芳香剤、防腐剤、pH調節用の酸又は塩基、溶液、乳化剤、ゲル化剤、保湿剤、安定剤、加湿薬、時間放出薬剤(time release agent)、保水剤、又は医薬品組成物の特定の形態に一般的に含まれる他の成分を含み得る。薬学的に許容可能な担体は、当業者には周知であり、例えば、水又は生理食塩水などの水溶液、或いは、グリコール、グリセロール、及びオリーブオイル等の油又は注入可能な有機エステルなどの他の溶媒溶剤或いはビヒクルを含む。薬学的に許容可能な担体は、例えば、特異的阻害剤(例えば、グルコース、スクロース、又はデキストランなどの炭水化物、アスコルビン酸又はグルタチオンなどの酸化防止剤、キレート剤、低分子量タンパク質、他の安定剤、又は賦形剤)の吸収を安定又は増加させるために作用する、生理的に許容可能な化合物を含み得る。
【0218】
本明細書中で使用されるように、ペプチド生成物の「インスリン抵抗性再改善の(insulin-resensitizing)」量は、経口グルコース誘発試験又は正常血糖クランプテストによって証明されるように、例えば典型的には体重が減る間に、それを必要とする個体に内因的又は外因的に投与されたインスリンに対する身体の反応を増加させる量である。
【0219】
医薬組成物はまた、生理学的条件に近づくために求められるような他の薬学的に許容可能な補助的な物質を含むことができ、そのような「物質」は、限定されないが、pH調節剤及び緩衝剤、等張化剤など(例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムなど)を含む。加えて、ペプチド、又はその変異体、懸濁液は、貯蔵時のフリーラジカル及び脂質への過酸化的な損傷から脂質を保護する、脂質保護剤を含み得る。フェリオキサミンなどの、アルファ-トコフェロールと水溶性の鉄に特異的なキレート化剤のような、親油性のフリーラジカル消光剤が、適切である。
【0220】
本明細書中で使用されるように、「界面活性物質」は、水の界面張力を修正する界面活性剤である。典型的に、界面活性物質は、分子中に1つの親油性の及び1つの親水性の基又は領域を有する。広くは、前記基は、石鹸、洗浄剤、乳化剤、分散剤及び加湿薬、並びに防腐剤の様々な基を含む。より具体的には、界面活性物質は、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸(laurylaminopropionic acid)、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、及びモノステアリン酸グリセリン;及び、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール(PEG)、カルボキシメチルセルロース、ナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性ポリマー、又はアルキルグリコシドを含む。幾つかの実施形態において、界面活性物質は、非イオン性の界面活性物質である(例えば、アルキルグリコシドの界面活性物質)。幾つかの実施形態において、界面活性物質はイオン性の界面活性物質である。
【0221】
本明細書中で使用されるように、「アルキルグリコシド」は、当業者に既知であるように、任意の疎水性アルキルへの結合によってつながれた任意の糖を指す。疎水性のアルキルは、所望される疎水性及び糖類部分の親水性に依存して、任意の所望のサイズに選択され得る。1つの態様において、アルキル鎖の範囲は、1乃至30の炭素原子;又は6乃至16の炭素原子である。
【0222】
本明細書中で使用されるように、「糖類」は、直鎖又は環状における単糖類、オリゴ糖類、又は多糖類を含む。オリゴ糖類は、2つ以上の単糖類の残基を有する糖類である。官能化した形態で使用するのに適した多くの可能な糖類のいくつかの例は、グルコース、ガラクトース、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、スクロース、トレハロース等を含む。
【0223】
本明細書中で使用されるように、「スクロースエステル」は、脂肪酸のスクロースエステルである。スクロースエステルは、反応に利用可能なスクロース中の8つの水酸基と、スクロースと反応させられ得る、より大きく、よりかさ高い(bulky)脂肪上の酢酸塩から、反応に利用可能なスクロース中の8つの水酸基及び多くの脂肪酸グループのため、多くの形態をとり得る。この柔軟性は、使用される脂肪酸部分に基づいて、多くの生成物及び機能性が調整され得ることを意味する。スクロースエステルは、調合薬、化粧品、洗浄剤及び食品添加物における適用が増えるにつれ、特に界面活性物質及び乳化剤として、食物及び食料品以外で使用されている。それらは、生物分解性、無毒、及び皮膚に対して穏やかである。
【0224】
本明細書中で使用されるように、「適切な」アルキルグリコシドは、無毒且つ非イオン性のものを意味する。幾つかの例において、適切なアルキルグリコシドは、免疫原性又は凝集を縮小し、且つ、眼、鼻、鼻涙管、舌下、頬側、吸入のルートを介して、又は皮下、筋肉内、又は静脈の経路などの注入経路により、化合物と共に投与される場合に、化合物のバイオアベイラビリティを増加させる。
【0225】
「リンカーアミノ酸」は、官能化した界面活性物質との共有結合的な結合に使用される反応性官能基(de Graaf, A.J., et al. (2009) Bioconjug Chem 20: 1281-1295)を含む、任意の天然又は非天然のアミノ酸である。一例として、幾つかの実施形態において、リンカーアミノ酸は、Lys、又は反応性官能基NH2を有するOrn;或いは反応性官能基-SHを有するCys;又は反応性官能基-C(=O)-OHを有するAsp又はGluである。一例として、他の幾つかの実施形態において、リンカーアミノ酸は、-OH、-N3、ハロアセチル、又は適切に官能化した界面活性物質を備えた共有結合の形成に使用されるアセチレン基などの反応性官能基を有する、任意のアミノ酸である。
【0226】
本明細書中で使用されるように、「官能化した界面活性物質」は、リンカーアミノ酸との共有結合に適した、反応性の基を含む界面活性物質である。一例として、幾つかの実施形態において、官能化した界面活性物質は、リンカーアミノ酸との共有結合に適した反応性の基として、(例えば、単糖類の6の位置にて)カルボン酸基を含む。一例として、幾つかの実施形態において、官能化した界面活性物質は、例えば、適切なリンカーアミノ酸との共有結合を可能にする、(模式
図6で示されるような)単糖類の6の位置にて、-NH
2基、-N
3基、アセチレン基、ハロアセチル基、-O-NH
2基、又は-(CH
2-)m-マレイミド基を含む。幾つかの実施形態において、官能化した界面活性物質は、本明細書に記載されるような式IIの化合物である。随意に、幾つかの特定の実施形態において、官能化した界面活性物質は、共有結合的に付けられたリンカーアミノ酸を含み;その後、界面活性物質により修飾されたペプチドは、リンカーアミノ酸への、1つ以上のアミノ酸の連続する追加によって形成される。
【0227】
本明細書中で使用されるように、用語「ペプチド」は、2つ以上のアミノ酸を含む任意のペプチドである。用語ペプチドは、ポリペプチド、短いペプチド(例えば2乃至14の間のアミノ酸を含むペプチド)、中間の長さのペプチド(15-50)、又は長鎖ペプチド(例えばタンパク質)を含む。ペプチド、ポリペプチド、中間の長さのペプチド、及びタンパク質という用語は、本明細書において互換的に使用され得る。本明細書で使用されるように、用語「ペプチド」は、自然発生の構造変異種、およびペプチド結合を介して結合した合成の非自然発生のアナログに関連づけられた、アミノ酸残基から構成するポリマーを意味すると解釈される。合成ペプチドは、例えば自動ペプチド合成機を使用して、合成することができる。
【0228】
ペプチドは、20の遺伝子コード化したアミノ酸以外のアミノ酸を含み得る。「ペプチド(複数)」は、プロセシング及び他の翻訳後修飾などのナチュラルプロセス、又は化学修飾技術のいずれかによって修飾されたものを含む。そのような修飾は、基礎的なテキスト、及びより詳細な学術論文において十分に述べられており、当業者に周知である。幾つかの実施形態において、同じタイプの修飾が、与えられたペプチドにおける様々な部位にて、同じ又は異なる程度で存在することが認識されるであろう。また、与えられたペプチドは、幾つかの実施形態において、1より多くの修飾のタイプを含む。修飾は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖、及びアミノ又はカルボキシルの末端を含む、ペプチドにおけるいかなる場所にも生じる。
【0229】
用語ペプチドは、天然及び非天然のアミノ酸又は天然のアミノ酸のアナログを含む、ペプチド又はタンパク質を含む。本明細書中で使用されるように、ペプチド及び/又はタンパク質の「アナログ」は、チロシンアナログ等の天然のアミノ酸に基づいた非天然のアミノ酸を含み、それは、パラ置換したチロシン、オルソ置換したチロシン、及びメタ置換したチロシンを含み、ここで、チロシン上の置換基は、アセチル基、ベンゾイル基、アミノ基、ヒドラジン、ヒドロキシアミン、チオール基、カルボキシ基、メチル基、イソプロピル基、C2-C20の直鎖又は分枝の炭化水素、飽和又は不飽和の炭化水素、O-メチル基、ポリエーテル基、ハロゲン、ニトロ基などを含む。Tyrアナログの例は、2,4-ジメチル-チロシン(Dmt)、2,4-ジエチル-チロシン、O-4-アリル-チロシン、4-プロピル-チロシン、Cα-メチル-チロシンなどを含む。リジンアナログの例は、オルニチン(Orn)、ホモ-リジン、Cα-メチル-リジン(CMeLys)などを含む。フェニルアラニンアナログの例は、限定されないが、メタ置換したフェニルアラニンを含み、ここで、置換基は、メトキシ基、C1-C20アルキル基(例えばメチル基、アリル基、アセチル基)などを含む。具体的な例は、限定されないが、2,4,6-トリメチル-L-フェニルアラニン(Tmt)、O-メチル-チロシン、3-(2-ナフチル)アラニン(Nal(2))、3-(1-ナフチル)アラニン(Nal(1))、3-メチル-フェニルアラニン、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸(Tic)、フッ素処理したフェニルアラニン、イソプロピル-フェニルアラニン、p-アジド-フェニルアラニン、p-アシル-フェニルアラニン、p-ベンゾイル-フェニルアラニン、p-ヨード-フェニルアラニン、p-ブロモフェニルアラニン、p-アミノ-フェニルアラニン、及びイソプロピル-フェニルアラニンなどを含む。ペプチドアナログ設計に使用される他の非標準又は非天然のアミノ酸は、限定されないが、Aib、Cα-ジエチルグリシン(Deg)、アミノシクロペンタン-1-カルボン酸(Ac5c)などのC-アルファ-二置換のアミノ酸を含む。そのようなアミノ酸は頻繁に、アルファヘリックス磁気構造の方に向かってしばしば偏る、制限された構造に通じる。アナログ設計に有用な、そのような非天然のアミノ酸の追加の例は、ホモ-アルギニン(Har)などである。縮小したアミド結合の置換は、特定の例において、酵素破壊からの保護の改善を引き起こすか、又は受容体結合を変更する。一例として、残基(Tic-Ψ[CH2-NH]-Ψ-Pheとして指定される)の間の縮小されたアミド結合による、Tic-Pheジペプチドユニットの組み込みは、酵素分解を縮小する。従って、また、本明細書に記載の実施形態の範囲内で、修飾されたアミノ酸及び/又は上記のペプチドアナログを含むペプチドに共有結合的に付けられる、界面活性物質が、熟考される。特定の非天然のアミノ酸は、以下に示される。
【0230】
【0231】
【0232】
本明細書中で使用されるように、用語「変異体」は、参照のペプチドと異なるが、本質的な特性を保持するペプチドを意味するものと解釈される。ペプチドの典型的な変異体は、アミノ酸配列において、別の参照のペプチドとは異なる。一般に、違いは、参照のペプチドと変異体の配列が、全体的に非常に類似し、及び多くの領域において同一であるように、制限される。変異体及び参照のペプチドは、任意の組み合わせにおける1つ以上の置換、追加、欠失により、アミノ酸配列において異なり得る。置換又は挿入されたアミノ酸残基は、遺伝子コードによってコード化されたものであるか、又はそうでないものでもある。ペプチドの非自然発生の変異体は、突然変異誘発技術、直接標識法、及び他の適切な組み換え法によって作られ得る。
【0233】
方法
本明細書には、幾つかの実施形態において、インスリン感受性の減少に関連した疾病の予防及び/又は処置のための方法が提供され、該方法は、本明細書に記載の、界面活性物質により修飾されたペプチド及び/又はタンパク質の生成物(例えば、式I-A、III-A、III-B、又は式Vのペプチド生成物)の治療上効果的な量を、それを必要とする個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、インスリン感受性の減少を特徴とする疾病は、限定されないが、メタボリック症候群、インスリン抵抗性に関連する肥満症、高血圧、高いC反応タンパク質に関連した全身性の炎症、糖尿病などを含む。
【0234】
また、本明細書には、インスリン抵抗性の処置方法が提供され、該方法は、本明細書に記載の、界面活性物質により修飾されたペプチド及び/又はタンパク質の生成物(例えば、式I-A、III-A、III-B、又は式Vのペプチド生成物)の治療上効果的な量を、それを必要とする個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、インスリン抵抗性は、メタボリック症候群(症候群X)及び/又は糖尿病に関連する。
【0235】
また、本明細書には、インスリンに対する身体の再感作を刺激するための方法が提供され、該方法は、本明細書に記載の、界面活性物質により修飾されたペプチド及び/又はタンパク質の生成物(例えば、式I-A、III-A、III-B、又は式Vのペプチド生成物)の治療上効果的な量を、それを必要とする個体に投与する工程を含む。
【0236】
また更なる実施形態において、本明細書には、体重損失によりインスリン感受性を増加するための方法が提供され、該方法は、本明細書に記載の、界面活性物質により修飾されたペプチド及び/又はタンパク質の生成物(例えば、式I-A、III-A、III-B、又は式Vのペプチド生成物、及び
図1の表1並びに
図2の表2におけるもの)の治療上効果的な量を、それを必要とする個体に投与する工程を含む。
【0237】
また、本明細書には、糖尿病又は糖尿病前症を処置する方法が提供され、該方法は、上記、本明細書における、及び
図1の表1並びに
図2の表2における、ペプチド生成物の治療上効果的な量を、それを必要とする被験体/個体に投与する工程を含む。
【0238】
本明細書には、疾病の進行又は発症を処置又は遅らせるための方法が提供され、前記疾病は、糖尿病、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、インスリン抵抗性、高血糖症、高インスリン血症、メタボリック症候群、糖尿病合併症、遊離脂肪酸又はグリセロールの高い血中濃度、高脂血、肥満症、高トリグリセリド血症、アテローム性動脈硬化症、急性心血管系疾患(cardiovascular syndrome)、梗塞、虚血再灌流、高血圧から選択され、前記方法は、本明細書に記載の、及び
図1の表1並びに
図2の表2における、ペプチド生成物の治療上効果的な量を、それを必要とする個体に投与する工程を含む。追加の実施形態において、創傷治癒の遅れを処置する方法が提供され、該方法は、本明細書に記載の、及び
図1の表1並びに
図2の表2における、ペプチド生成物の治療上効果的な量を、それを必要とする個体に投与する工程を含む。
【0239】
1つの実施形態において、処置される前記疾病は糖尿病である。1つの実施形態において、処置される前記疾病はインスリン抵抗性である。1つの実施形態において、処置される前記疾病はメタボリック症候群である。1つの実施形態において、前記ペプチドの前記効果的な量は、約0.1μg/kg/日から約100.0μg/kg/日までである。
【0240】
1つの実施形態において、投与方法は、非経口である。1つの実施形態において、投与方法は、経口である。1つの実施形態において、投与方法は、皮下である。1つの実施形態において、投与方法は、経鼻吸入法である。
【0241】
さらに本明細書には、体重増加の減少又は体重損失の誘発の方法が提供され、該方法は、本明細書に記載の、及び
図1の表1並びに
図2の表2における、ペプチド生成物の治療上効果的な量を、それを必要とする個体に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、体重増加はメタボリック症候群に関連する。
【0242】
本明細書には、低血糖症を処置する方法が提供され、該方法は、本明細書に記載の、及び
図1の表1並びに
図2の表2における、ペプチド生成物の治療上効果的な量を、それを必要とする個体に投与する工程を含む。
【0243】
また、本明細書には、糖尿病の処置方法が提供され、該方法は、本明細書に記載の、及び
図1の表1並びに
図2の表2における、ペプチド生成物の治療上効果的な量、及び少なくとも1つの追加の治療薬を、それを必要とする個体に投与する工程を含み;
ここで、前記治療薬は、糖尿病薬剤、抗肥満剤、満腹剤(satiety agent)、抗炎症薬、抗昇圧薬、抗アテローム性動脈硬化薬剤、及び脂質低下薬剤から選択される。
【0244】
上記の方法の幾つかの実施形態において、界面活性物質に共有結合的につけられるペプチド及び/又はタンパク質は、グルカゴン又はGLP-1ペプチド、あるいはそのアナログである。幾つかの実施形態において、界面活性物質により修飾されたペプチド及び/又はタンパク質(例えば、式I-A、III-A、III-B、又は式Vのペプチド生成物)は、予防的に投与され、限定されないが、メタボリック症候群、高血圧、糖尿病、2型糖尿病、妊娠性糖尿病、高脂血、アテローム性動脈硬化症、全身性の炎症等を含む、インスリン抵抗性に関連する任意の疾病の発生を遅らせる。幾つかの実施形態において、界面活性物質により修飾されたペプチド及び/又はタンパク質(例えば、式I-A、III-A、III-B、又は式Vのペプチド生成物)は、治療的に投与され、メタボリック症候群、高血圧、糖尿病、2型糖尿病、妊娠性糖尿病、高脂血、アテローム性動脈硬化症、全身性の炎症等を含む、インスリン抵抗性に関連する任意の疾病の進行を遅らせる。幾つかの実施形態において、界面活性物質により修飾されたペプチド及び/又はタンパク質(例えば、式I-A、III-A、III-B、又は式Vのペプチド生成物)は、予防的及び/又は治療的に投与され、糖尿病に対するインスリン抵抗性の進行を遅らせる。幾つかの実施形態において、界面活性物質により修飾されたペプチド及び/又はタンパク質(例えば、式I-A、III-A、III-B、又は式Vのペプチド生成物)は、予防的及び/又は治療的に投与され、インスリン抵抗性の更なる損失を減少又は停止し、それにより疾患を安定させる。
【0245】
幾つかの実施形態において、界面活性物質により修飾されたペプチド及び/又はタンパク質(例えば、式I-A、III-A、III-B、又は式Vのペプチド生成物)は、非経口的に投与される。幾つかの実施形態において、界面活性物質により修飾されたペプチド及び/又はタンパク質(例えば、式I-A、III-A、III-B、又は式Vのペプチド生成物)は、皮下投与される。幾つかの実施形態において、界面活性物質により修飾されたペプチド及び/又はタンパク質(例えば、式I-A、III-A、III-B、又は式Vのペプチド生成物)は、経鼻吸入法によって投与される。
【0246】
上記の方法の幾つかの実施形態において、界面活性物質により修飾されたペプチド及び/又はタンパク質(例えば、式I-A、III-A、III-B、又は式Vのペプチド生成物)は、現在既知の治療薬(例えば、エクセナチド、メトホルミンなど)を含む調合薬と比較して、作用のより長い持続時間を有する。
【0247】
併用療法
上記の方法の幾つかの実施形態において、界面活性物質により修飾されたペプチド及び/又はタンパク質(例えば、式I-A、III-A、III-B、又は式Vのペプチド生成物)は、糖尿病薬剤、抗肥満剤、抗昇圧薬、抗アテローム性動脈硬化薬剤、及び脂質低下薬剤を含む群から選択された、メタボリック症候群の処置の他の方法と組み合わせて投与される。一例として、本明細書に記載の界面活性物質により修飾されたペプチド及び/又はタンパク質の生成物と組み合わせた投与に適切な、有効な糖尿病薬剤は、ビグアニド、スルホニル尿素、αグルコシダーゼ阻害剤、PPARγアゴニスト、PPARα/γの2重アゴニスト、aP2阻害剤、DPP4阻害剤、インスリン抵抗性改善薬、GLP-1アナログ、インスリン、及びメグリチニドを含む。追加の例は、メトホルミン、グリブライド、グリメピリド、グリピリド、グリピジド、クロルプロパミド、グリクラジド、アカルボース、ミグリトール、ピオグリタゾン、トログリタゾン、ロシグリタゾン、ムラグリタザール(muraglitazar)、インスリン、Gl-262570、イサグリタゾン、JTT-501、NN-2344、L895 645、YM-440、R-119702、A19677、レパグリニド、ナテグリニド、KAD、AR-HO 39242 1129、GW-40 I 5 44、KRP2 I 7、AC2993、LY3 I 5902、NVP-DPP-728A、及びサクサグリプチンを含む。
【0248】
上記の方法の幾つかの実施形態において、界面活性物質により修飾されたペプチド及び/又はタンパク質(例えば、式I-A、III-A、III-B、又は式Vのペプチド生成物)は、有効な抗肥満剤の群から選択されたメタボリック症候群の処置の他の方法と組み合わせて投与される。一例として、本明細書に記載のペプチド生成物と共に投与するのに適した有効な抗肥満剤は、ベータ3アドレナリンアゴニスト、リパーゼ阻害剤、セロトニン(及びドーパミン)再摂取阻害剤、甲状腺受容体ベータ化合物、CB-1アンタゴニスト、NPY-Y2及びNPY-Y4の受容体アゴニスト、及び食欲抑制剤を含む。これらのクラスの特定のメンバーは、オルリスタット、AfL-962、A19671、L750355、CP331648、シブトラミン、トピラマート、アキソキン(axokine)、デキサンアンフェタミン、フェンテルミン、フェニルプロパノラミン、リモナバン(SR1 4I7164)、及びマチンドールを含む。
【0249】
上記の方法の幾つかの実施形態において、界面活性物質により修飾されたペプチド及び/又はタンパク質(例えば、式I-A、III-A、III-B、又は式Vのペプチド生成物)は、有効な脂質低下薬剤の群から選択されたメタボリック症候群の処置の他の方法と組み合わせて投与される。一例として、本明細書に記載のペプチド生成物と共に投与するのに適した有効な脂質低下薬剤は、MTP阻害剤、コレステロールエステル転送タンパク質、HMG CoAリダクターゼ阻害剤、スクワレン合成酵素阻害剤、フィブリン酸誘導体、LDL受容体活性のアップレギュレーター、リポキシゲナーゼ阻害剤及びACAT阻害剤から成る群から選択される薬剤を含む。これらのクラスからの特定の例は、プラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、アトロバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ニスバスタチン、ビサスタチン、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、クロフィブレート、アバシミブ、TS-962、MD-700、CP-52941 4、及びLY295 427を含む。
【0250】
上記の方法の幾つかの実施形態において、界面活性物質により修飾されたペプチド及び/又はタンパク質(例えば、式I-A、III-A、III-B、又は式Vのペプチド生成物)は、動物モデルとヒトにおいて満腹感誘発効果(pro-satiety effect)を示すと知られるペプチドホルモン、及びそのアナログと組み合わせて投与される。本明細書で提示される実施形態の範囲内で、本明細書に記載のペプチド生成物と、肥満症の処置のための長時間作用性の満腹剤(satiety agent)の組み合わせが、熟考される。そのようなペプチド満腹剤の例は、GLP-1パンクレアチックポリペプチド(PP)、コレシストキニン(CCK)、ペプチドYY(PYY)、アミリン、カルシトニン、OXM、神経ペプチドY(NPY)、及びそのアナログを含む(Bloom, S.R., et al. (2008) Mol Interv 8: 82-98; Field, B.C., et al. (2009) Br J Clin Pharmacol 68: 830-843)。
【0251】
また、本明細書で提示される実施形態の範囲内で、肥満症の処置方法が熟考され、該方法は、レプチン、グレリン、及びCART(コカイン・アンフェタミン調節転写産物)アナログ並びにアンタゴニストを含むが、これらに限定されないペプチドホルモンと組み合わせて、本明細書に記載のペプチド生成物を投与する工程を含む。
【0252】
身体における追加のペプチド生成物は、脂肪細胞又は肥満状態(アディポカイン)に関連し、炎症誘発性の効果があると知られている(Gonzalez-Periz, A. and Claria, J. (2010) ScientificWorldJournal 10: 832-856)。そのような薬剤は、本明細書に記載のペプチド生成物と組み合わせて使用した時、追加の好ましい作用を有するであろう。本明細書に記載のペプチド生成物と組み合わせて使用した時に有益な効果を提供する薬剤の例は、アディポネクチン、ケマリン、ビスファチン、ネスファチン、オメンチン、レジスチン、TNFアルファ、IL-6、及びオベスタチンのアナログ並びにアンタゴニストを含む。
【0253】
中間体
1つの実施形態において、本明細書では、天然又は非天然のアミノ酸上で反応性官能基との結合を形成することが可能な、界面活性剤部分及び反応性官能基を含む、中間体及び/又は試薬が提供される。これらの中間体及び/又は試薬は、ヒト及び動物の疾患において使用されるペプチド及び/又はタンパク質のバイオアベイラビリティと薬学的、薬物動態学的及び/又は薬力学的な動きにおける改善を可能にする。アミノ酸の側鎖上の官能基を介する、例えば、Lysのイプシロン-アミノ官能基、Cysのスルフィドリル上での、又はペプチド及び/又はタンパク質標的のアミノ又はカルボキシの末端での、そのような中間体及び/又は試薬の共有結合的な付着は、本明細書に記載のペプチド生成物の合成を可能にする。特定の実施形態において、非イオン性の界面活性物質部分は、O-アルキルグリコシドの置換を備えた、単糖類又は二糖類であり、前記グリコシド結合は、アルファ又はベータ構造である。特定の実施形態において、O-アルキル鎖は、C1-C20又はC6-C16のアルキル鎖に由来する。
【0254】
別の実施形態において、本明細書には、天然又は非天然のアミノ酸上で反応性官能基を備えた結合を形成することができる、O-アルキルグリコシド結合及び反応性官能基を模倣する、特定のアルキルグリコシド結合を備えたと非イオン性の界面活性物質部分を含む、中間体及び/又は試薬が提供される。そのような中間体及び/又は試薬は、S-結合アルキル鎖又はN-結合アルキル鎖を含み、O-結合アルキルグリコシド結合生成物と比較して、変更された化学的及び/又は酵素的な安定性を有する。
【0255】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の中間体及び/又は試薬は、親水基が、修飾されたグルコース、ガラクトース、マルトース、グルクロン酸、ジグルコン酸などである化合物である。幾つかの実施形態において、親水基は、グルコース、マルトース、グルクロン酸、又はジグルコン酸であり、疎水基は、C1-C20のアルキル鎖又はアラルキル鎖である。幾つかの実施形態において、疎水基へのグリコシド結合は、アルファ配置のものであり、幾つかの実施形態において、結合は、糖類上のアノマー中心にてベータである。
【0256】
幾つかの実施形態において、親水基は、グルコース、マルトース、グルクロン酸、又はジグルコン酸であり、疎水基は、C1-C20のアルキル鎖又はアラルキル鎖である。
【0257】
幾つかの実施形態において、本明細書で提供される中間体及び/又は試薬は、カルボン酸基、アミノ基、アジド、アルデヒド、マレイミド、スルフィドリル、ヒドロキシルアミノ基、アルキンなどである反応性官能基を含む、界面活性物質を含む。
【0258】
幾つかの実施形態において、中間体及び/又は試薬は、カルボン酸又はアミノの官能基であるように修飾される水酸基の1つを備えた、O-結合アルキルグリコシドである。幾つかの実施形態において、試薬は、アルファ又はベータ構造の1-O-アルキルグルクロン酸であり、アルキル鎖はC1乃至C20の長さである。そのような実施形態の幾つかにおいて、アルキル基はC6乃至C16の長さである。
【0259】
幾つかの実施形態において、試薬は、アルファ又はベータ構造の1-O-アルキルジグルクロン酸であり、アルキル鎖はC1乃至C20の長さである。そのような実施形態の幾つかにおいて、アルキル基はC6乃至C16の長さである。
【0260】
幾つかの実施形態において、試薬は、カルボン酸又はアミノの官能基であるように修飾される水酸基の1つを備えた、アルファ又はベータ構造のS-結合アルキルグリコシドである。
【0261】
幾つかの実施形態において、試薬は、カルボン酸又はアミノの官能基であるように修飾される水酸基の1つを備えた、アルファ又はベータ構造のN-結合アルキルグリコシドである。
【0262】
また別の実施形態において、本明細書には、ヒト及び動物の疾患において使用するのにふさわしい特性を備えた、共有結合されたアルキルグリコシドを含む、ペプチド及び/又はタンパク質の生成物が提供される。模式
図1は、本明細書に記載の界面活性物質により修飾されたペプチド生成物の合成に有用な試薬及び/又は中間体をもたらすように修飾することができる、典型的な非イオン性の界面活性物質を記載する。
【0263】
【0264】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の共有結合的に修飾されたペプチド及び/又はタンパク質は、界面活性剤部分をペプチド構造に組み込む。特定の実施形態において、本明細書に記載の共有結合的に修飾されたペプチド及び/又はタンパク質は、アルキル、アルコキシアリール、又はアラルキルグリコシドのクラスの非イオン性の界面活性物質を組み込む。アルキルグリコシドは、重要な商品であり、食品、サービス、及びクリーニング産業において広く使用される。故に、商業上著しい規模のそれらの生産は、広範囲な研究の主題であった。酵素プロセス及び化学プロセスの両方は、非常に低コストでのそれらの生産を可能にする(Park, D.W., et al. (2000) Biotechnology Letters 22: 951-956)。これらのアルキルグリコシドは、本明細書に記載の共有結合的に修飾されたペプチド及び/又はタンパク質の合成のための中間体を、更に生成するように修飾され得る。故に、酸素の存在下で非保護の物質及び白金黒触媒を使用する場合、高収率で対応するグルクロン酸アナログをもたらすため、1-ドデシルベータ-D-グルコシドは6の位置上で優先的に酸化することが、知られている(van Bekkum, H. (1990) Carbohydrates as Organic Raw Materials 289-310)。アルキルグルコシドの6の位置での第一アルコールの酸化のための追加の化学選択的な方法が、利用可能である。例えば、有機酸化剤[ビス(アセトキシ)ヨード]ベンゼン(BAIB)の化学量と共に、2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシル(TEMPO)の触媒量を使用すると(De Mico, A., et al. (1997) J Org Chem 1997: 6974-6977)、第一のヒドロキシルの酸化によってヌクレオシド-5’-カルボン酸(Epp, J.B. and Widlanski, T.S.(1999) J Org Chem 64:293-295)の顕著な収量を得た。この酸化は、他の第2のヒドロキシルが保護されない場合であっても、第一のヒドロキシルには化学選択的である(Codee, J.D., et al.(2005) J Am Chem Soc 127:3767-3773)。同様の方法において、1-ドデシルβ-D-グルコピラノシド、1-テトラデシルβ-D-グルコピラノシド、1-ヘキサデシルβ-D-グルコピラノシド、1-オクタデシルβ-D-グルコピラノシド、及び1-アイコシルβ-D-グルコピラノシドは、水中の化学量論のオキシダント(Milkereit, G., et al.(2004) Chem Phys Lipids 127:47-63)としてKBrと次亜塩素酸ナトリウムを使用するTEMPOとの酸化により、対応するウロン酸(1-ドデシルβ-D-グルクロン酸、1-テトラデシルβ-D-グルクロン酸、1-ヘキサデシルβ-D-グルクロン酸、1-オクタデシルβ-D-グルクロン酸、1-アイコシルβ-D-グルクロン酸)へと酸化した。(ジアセトキシヨード)ベンゼン(DAIB aka BAIB)を使用する、穏やかな酸化手順は、実施例において提供される。特定のこれらのグルクロン酸中間体は、市販で入手可能であり(例えば、オクチルb-Dグルクロン酸;Carbosynth、MO 07928)、及び示されるように、広範囲のものが、常法(Schamann, M. and Schafer, H.J. (2003) Eur J Org Chem 351-358; Van den Bos, L.J., et al. (2007) Eur J Org Chem 3963-3976)により、又は要求時に商業上の供給源から、調製の対象となる。模式
図2は、例として、本明細書に記載の中間体及び/又は試薬を調製するために使用される反応性官能基として、-COOH基含む、特定の官能化した界面活性物質中間体を示す。
【0265】
【0266】
同様に、アラルキルグリコシド(アルコキシアリールを含む)は、密接に関連する非イオン性界面活性物質試薬の基礎を形成することができる。例えば、4-アルコキシフェニルβ-D-グルコピラノシドは、三弗化硼素エーテラートの存在下で、4-アルキルオキシフェノールのペンタ-O-アセチルβ-D-グルコースとの反応によって容易に合成される。本明細書に記載のような及び実施例における、メタノール/水及び選択的な酸化においてトリメチルアミンを使用する、後の脱アセチル化は、本明細書に記載の試薬とペプチドを形成するのに適したアルコキシアリールグルクロン酸試薬をもたらす(Smits, E., et al. (1996) J Chem Soc, Perkin Trans I 2873-2877; Smits, E., et al. (1997) Liquid Crystals 23:481-488)。
【0267】
【0268】
中間体のグルクロン酸クラスは、アミノ酸側鎖(例えば、Lysのもの)への結合のため、標準カップリング剤によって容易に活性化される。故に、Fmoc-Lys-O-TMS(トリメチルシリル=TMS)は、カップリング剤の存在下でオクチルベータ-D-グルクロン酸と共に反応され得、O-TMS保護基はその後、模式
図4で示されるようなFmoc-Lys(1-オクチルベータ-D-グルクロン酸アミド)をもたらすため、水性のワークアップ時にて加水分解され得る。この試薬は、分子のN末端領域の近くの界面活性物質部分を組み込むことが望まれる場合、標準のカップリングプロトコルを使用して、ペプチドの固相合成に組み込むために使用され得る。第2の水酸基は、Lysアミノ官能基の非常に高い反応性により、非保護のままにすることができ、又はそれらは、ペルアセチル化によって保護され得る。アセチルにより保護された形態が使用される場合、アセチル保護基は、MeOH/NaOMe又はMeOH/Et3Nの何れかによる処置により、高収率で除去され得る。模式
図4は、本明細書に記載の試薬の調製を示す。
【0269】
【0270】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の生物活性ペプチドの調製用の試薬及び/又は中間体は、合成ペプチド生成物への組み込みのための、界面活性物質により修飾されたリンカーアミノ酸のファミリーを含む。故に、1つの実施形態において、本明細書に記載のペプチド生成物は、直線的に合成され、ここで、官能化した界面活性物質は、増殖するペプチド鎖に組み込まれ得る所有試薬(proprietary reagent)(模式
図4で示されるような)をもたらすため、リンカーアミノ酸(例えば、リシン残基のアミノ基)の側鎖上の官能基を介して、可逆的に保護されたリンカーアミノ酸に付けられ、その後、残りのペプチドは、更にアミノ酸がシステイン残基に付着することにより、合成される。本明細書に記載の修飾されたペプチド及び/又はタンパク質の合成に適した保護基は、例えば、「T. W. Green, P. G. M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, Wiley-Interscience, New York, 1999, 503-507, 736-739」に記載され、この開示は、引用により本明細書に組み込まれる。
【0271】
別の実施形態において、本明細書に記載のペプチド生成物は、ペプチド鎖の中にあるリンカーアミノ酸上の適切な官能基を介して、官能化した界面活性物質が全長のペプチドへと共有結合的に付着することによって合成される。
【0272】
代替的に、官能化した界面活性物質は、ペプチドの固相合成法の最中に脱保護された、リンカーアミノ酸側鎖に加えられ得る。一例として、アルキルグルクロン酸基は、ペプチドの固相合成法の間にリンカーアミノ酸側鎖(例えば、脱保護されたLys側鎖)に直接加えられ得る。例えば、サブユニットとしてのFmoc-Lys-(Alloc)-OHの使用は、ペプチドがまだレジン上にある間に除去され得る、直交保護を提供する。故に、Pd/チオバルビタール又は他のAlloc脱保護レシピを使用する、Lys側鎖の脱保護は、アシルにより保護された又は保護されていない、1-オクチル-ベータ-D-グルクロン酸ユニットとのカップリングのため、アミノ基の曝露を可能にする。その後、低い% CF3CO2H(TFA)開裂カクテルによる最終的な脱保護は、所望の生成物を送達するであろう。グリコシド結合は強酸まで不安定であるが、本明細書における又は他のものによる経験(the experience here and by others)によると、低い% TFA開裂条件に対して比較的安定している。代替的に、糖類OH官能基上のアシル保護(例えば、アセチル、Ac;ベンゾイル、Bz)又はトリアルキルシリル保護は、グリコシド結合に対する保護を増加させるために使用され得る。塩基(NH
2NH
2/MeOH;NH
3/MeOH、NaOMe/MeOH)による後の脱保護は、所望の脱保護された生成物をもたらす。模式
図4は、本明細書に記載の試薬を示す。模式
図5は、本明細書に記載のペプチド中間体の制限しない例を示す。この例は、ペプチドのN末端にて界面活性物質結合を備えるペプチドを示すが、本明細書に記載の方法は、ペプチド内の中間の領域、C末端領域、又は任意の位置の中に界面活性剤に対する単結合を有するペプチド中間体の合成に適している。
【0273】
【0274】
追加の試薬は、模式
図6において下記に示されるように、アミノ酸側鎖官能基に対する単結合の異なる手段を与えるため、6の位置の官能基の修飾によって生成される。故に、アミノ置換は、Asp又はGluの側鎖への結合に使用され得る。アジド又はアルキンの置換は、ヒュスゲン3+2付加環化のための補足的な受容体を含む、非天然のアミノ酸への結合に使用され得る(Gauthier, M.A. and Klok, H.A. (2008) Chem Commun (Camb) 2591-2611)。アミノオキシ(Aminoxy)又はアルデヒドの官能基は、アルデヒド(即ち、オキシム結合)又はアミノ官能基(即ち、縮小するアルキル化)にそれぞれ結合するために使用され得る。マレイミド又は-NH(C=O)-CH
2-Brの官能基は、Cys又は他のSH官能基と、化学選択的に結合することができる。本明細書に記載の試薬と共に使用された時、これらのタイプの結合戦略は、有利である。官能基の相互変換が、有機合成において広く実行され、本明細書で挙げられた官能基修飾の各々に対する多数のルートの総合目録が、利用可能である((Larock, R.C. (1999)) “Comprehensive Organic Transformations”, VCH Publishers, New York)。
【0275】
故に、例えば、オクチル1-β-D-グルコシドの位置6上の第1のヒドロキシルは、アジド陰イオンによる活性化及び置換、(例えば、トシル化後のNaN3による)炭水化物化学検査で使用される反応などの反応により、アジドに変換される。対応するアジドは、ピリジンにおけるチオ酢酸による還元(Elofsson, M., et al. (1997) Tetrahedron 53: 369-390)、又はアミノ基生成の同様の方法(Stangier, P., et al. (1994) Liquid Crystals 17: 589-595)によって、アミノ官能基へと還元される。アセチレン、アミノオキシ、及びアルデヒドの部分への接近は、Ac2Oによる処置、その後の第一級アミンの穏やかな加水分解によって、市販のグルコシドから利用可能である、トリアセトキシ形態上で最も良く実行される。この6-ヒドロキシ形態は、アルデヒドへと選択的に酸化される、又はトシラート或いはトリフレートとして活性化され、且つ、NH2OH又はナトリウムアセチリドによって置換され得る。マレイミド結合は、当業者に周知の、活性化されたヒドロキシルの置換、又はアミノが結合したマレイミド試薬に対するグルクロン酸誘導体のカップリングによって再び、示されるような炭素結合を通じる、又は、好ましくはO或いはアミドの結合を通じ得る。追加の官能基の相互変換は、医薬品化学の一般的な当業者に周知であり、本明細書に記載の実施形態の範囲内にある。
【0276】
また、本明細書に記載の合成方法の範囲内で、糖類及び疎水性の鎖が、アルファグリコシド結合を介して共有結合的に付けられる界面活性物質が、熟考される。主にα結合したグリコシドへの合成ルートは、当業者に周知であり、典型的に、ペルアセチル化糖(peracetyl sugar)から生じ、α-グリコシル化を達成するために酸性の触媒作用(例えば、SnCl4、BF3、又はHCl)を使用する(Cudic, M. and Burstein, G.D. (2008) Methods Mol Biol 494: 187-208; Vill, V., et al. (2000) Chem Phys Lipids 104: 75-91,そのような開示については引用により本明細書に組み込まれる)。同様の合成ルートは、二糖グリコシドのため存在する(von Minden, H.M., et al. (2000) Chem Phys Lipids 106: 157-179,そのような開示については引用により本明細書に組み込まれる)。その後、官能基の相互変換は、対応するα結合した試薬の生成のため、6-カルボン酸などに通じるため、上述の通りに進められる。
【0277】
模式
図6は、共有結合的に修飾されたペプチド及び/又はタンパク質の合成に有用な、特定の化合物及び試薬を挙げる。アミノ酸に関して1文字の略語を使用する正式名称が使用される。
【0278】
【0279】
多くのアルキルグリコシドは、例えば、Rosevear, P., et al. (1980) Biochemistry 19: 4108-4115, Li, Y.T., et al. (1991) J Biol Chem 266: 10723-10726) or Koeltzow and Urfer, J. Am. Oil Chem. Soc., 61:1651-1655 (1984), 米国特許第3,219,656号及び米国特許第3,839,318号に記載されるように、既知の手順によって合成され得、或いは、Li, Y.T., et al. (1991) J Biol Chem 266: 10723-10726, Gopalan, V., et al. (1992) J Biol Chem 267: 9629-9638に記載されるように、酵素的に既知の手順によって合成され得る。Serなどの天然のアミノ酸へのO-アルキル結合は、Nα-Fmoc-4-O-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシル)-L-セリンをもたらすため、ペルアセチルグルコースを使用してFmoc-Ser-OH上で実行され得る。この材料は、新しいクラスの非イオン性界面活性物質及び試薬を生成するために親油性のアミンにカップリングされ得る、対応する6-カルボキシル官能基をもたらすため、第一炭素原子(位置6)にて選択的に脱保護され、上記のようにTEMPO/BAIBを使用して選択的に酸化される(模式
図7)。
【0280】
【0281】
疎水性のアルキルと親水性の糖類の間の結合は、他の可能性の中に、グリコシド、チオグリコシド、アミド(Carbohydrates as Organic Raw Materials, F. W. Lichtenthaler ed. , VCH Publishers, New York, 1991)、ウレイド(Austrian Pat. 386,414 (1988); Chem. Abstr. 110:137536p (1989); see Gruber, H. and Greber, G., “Reactive Sucrose Derivatives” in Carbohydrates as Organic Raw Materials, pp. 95-116)、又はエステルの結合(Sugar Esters: Preparation and Application, J. C. Colbert ed., (Noyes Data Corp., New Jersey), (1974))を含み得る。
【0282】
有用なアルキルグリコシドが、試薬に対する修飾、又は本明細書に記載の生成物の処方のために選択され得る例は、以下のものを含む:オクチル-、ノニル-、デシル-、ウンデシル-、ドデシル-、トリデシル-、テトラデシル-、ペンタデシル-、ヘキサデシル-、ヘプタデシル-、及びオクタデシル-D-マルトシド、-グルコシド又は-スクロシド(即ち、スクロースエステル)などのアルキルグリコシド(Koeltzow and Urfer; Anatrace Inc., Maumee, Ohio; Calbiochem, San Diego, Calif.; Fluka Chemie, Switzerlandに従って合成される);ヘプチル、オクチル、ドデシル-、トリデシル-、及びテトラデシル-β-D-チオマルトシドなどのアルキルチオマルトシド(Defaye, J. and Pederson, C., “Hydrogen Fluoride, Solvent and Reagent for Carbohydrate Conversion Technology” in Carbohydrates as Organic Raw Materials, 247-265 (F. W. Lichtenthaler, ed.) VCH Publishers, New York (1991); Ferenci, T., J. Bacteriol, 144:7-11 (1980)に従って合成される);1-ドデシル-又は1-オクチル-チオα-又はβ-D-グルコピラノシドなどのアルキルチオグルコシド(Anatrace, Inc., Maumee, Ohio; see Saito, S. and Tsuchiya, T. Chem. Pharm. Bull. 33:503-508 (1985));アルキルチオスクロース(例えば、Binder, T. P. and Robyt, J. F., Carbohydr. Res. 140:9-20 (1985)に従って合成される);アルキルマルトトリオシド(Koeltzow and Urferに従って合成される);スクロースアミノ-アルキルエーテルの長鎖脂肪族炭酸アミド;(オーストラリア特許第382,381号(1987); Chem. Abstr., 108:114719 (1988) and Gruber and Greber pp. 95-116に従って合成される);アルキル鎖へのアミド結合によって結合される、パラチノーゼ及びイソマルトアミンの誘導体(Kunz, M., “Sucrose-based Hydrophilic Building Blocks as Intermediates for the Synthesis of Surfactants and Polymers” in Carbohydrates as Organic Raw Materials, 127-153に従って合成される);アルキル鎖に対して尿素によって結合されるイソマルトアミンの誘導体(Kunzに従って合成される);スクロースアミノ-アルキルエーテルの長鎖脂肪族炭酸ウレイド(Gruber and Greber, pp. 95-116に従って合成される);及び、スクロースアミノ-アルキルエーテルの長鎖脂肪族炭酸アミド(オーストラリア特許第382,381号 (1987), Chem. Abstr., 108:114719 (1988) and Gruber and Greber, pp. 95-116に従って合成される)。
【0283】
ペプチドへの結合のための反応的な機能性を組み込むために更に修飾され得る、幾つかの好ましいグリコシドは、6、8、10、12、14、又は16炭素原子のアルキル鎖へのグリコシド又はエステルの結合によって結合される、糖類マルトース、スクロース、グルコース、及びガラクトース、例えば、ヘキシル-、オクチル-、デシル-、ドデシル-、テトラデシル-、及びヘキサデシル-マルトシド、スクロシド、グルコシド、及びガラクトシドを含む。身体において、これらグルコシドは、無毒のアルコール又脂肪酸、及びオリゴ糖類又は糖類へと分解される。上記の例は、本明細書で請求される方法において使用されるべきアルキルグリコシドのタイプを示すが、このリストは、完全なものと意図されていない。
【0284】
一般に、これらの界面活性物質(例えば、アルキルグリコシド)は、バイオアベイラビリティ、半減期、受容体選択性、毒性、生物分散、溶解度、安定性、例えば、熱、加水分解、酸化、酵素分解に対する抵抗性など、精製及び処理用の設備、構造特性、分光器の特性、化学的及び/又は光化学的特性、触媒能力、酸化還元電位、例えば、共有結合的又は非共有結合的に他の分子と反応する能力などを調節するなど、ペプチドの生物学的な特性を修飾するように随意に設計又は選択される。
【0285】
界面活性物質
用語「界面活性物質(surfactant)」は、句「界面活性物質(surface active agent)」を短くしたものに由来する。製薬の適用において、界面活性物質は、それらが乳化剤、可溶化剤、及び加湿薬として作用して、多くの目的に役立つ、液体の医薬製剤に有用である。乳化剤は、親油性の又は部分的に親油性の物質の水溶液を安定させる。可溶化剤は、達成され得る濃度を増加させる医薬組成物の成分の溶解度を増加させる。加湿薬は、適用される表面上で容易に広がるためにそれを含む、液体の表面張力を縮小する化学添加物であり、故に、流体により表面の「湿り」までも引き起こす。加湿薬は、医薬製剤が接触する粘膜又は他の表面積との密接な接触を液体製剤が達成するための手段を提供する。故に、界面活性物質は、ペプチド自体の特性の修飾と同様、本明細書に記載のペプチド生成物の製剤の安定化のための、有用な添加物であり得る。
【0286】
特定の実施形態において、合成的にアクセス可能であるアルキルグリコシド、例えば、スクロースドデカノアート、トリデカノアート、及びテトラデカノアートと同様に、アルキルグリコシドドデシル、トリデシル、及びテトラデシルマルトシドは、本明細書に記載のペプチドへの共有結合的な付着に適している。同様に、対応するアルキルチオグリコシドは、製剤の開発に許容可能である、安定した、合成的に許容可能な界面活性物質である。
【0287】
広範囲の物理的な界面活性物質特性は、界面活性物質(例えば、アルキルグリコシド)の疎水性又は親水性の領域の適切な修飾によって、達成され得る。例えば、ドデシルマルトシド(DM)の二重層活性をドデシルグルコシド(DG)のものと比較する研究は、疎水性の尾部の同じ長さを有するにもかかわらず、DMのものがDGよりも3倍以上高いことを見出した(Lopez, O., et al. (2002) Colloid Polym Sci 280: 352-357)。この特定の例において、極地(二糖類対単糖類)の同一性は、界面活性物質の行動に影響を及ぼす。ペプチド(例えば、本明細書に記載のペプチド生成物)に結合した界面活性物資の場合、ペプチド領域はまた、全体的な分子に対して疎水性又は親水性の特徴を寄与し得る。故に、物理的特性及び界面活性物質特性の調整は、個々のペプチド標的に適した特別な物理的及び医薬的な特性を達成するために使用され得る。
【0288】
PEG修飾
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の界面活性物質により修飾されたペプチド生成物は、1以上のPEG部分を組み込むように更に修飾される(Veronese, F.M. and Mero, A. (2008) BioDrugs 22: 315-329)。幾つかの例において、大きなPEG鎖の組み込みは、そこに生ずる薄い尿の中への、腎臓中の糸球体におけるペプチドの濾過を防ぐ(Nestor, J.J., Jr. (2009) Current Medicinal Chemistry 16: 4399 - 4418, Caliceti, P. and Veronese, F.M. (2003) Adv Drug Deliv Rev 55: 1261-1277)。幾つかの実施形態において、任意のPEG親水性の鎖は、より長鎖のアルキルグリコシド部分の組み込みにより疎水性を与えられる、ペプチド又はタンパク質の溶解度及び物理的性質の平衡を保つことを可能にする。
【0289】
タンパク質のPEG化は、同様に潜在的に負の効果を有し得る。故に、PEG化は、いくつかのタンパク質に関して生物活性の本質的な損失を引き起こす場合があり、これは、特定のクラスの受容体のためのリガンドに関係し得る。そのような例において、可逆的なPEG化に対する利益が存在し得る(Peleg-Shulman, T., et al. (2004) J Med Chem 47: 4897-4904, Greenwald, R.B., et al. (2003) Adv Drug Deliv Rev 55: 217-250, Roberts, M.J. and Harris, J.M. (1998) J Pharm Sci 87: 1440-1445)。
【0290】
加えて、分子量の増加は、糸球体の薄膜障壁以外の生理学的な障壁の浸透を防ぎ得る。例えば、PEG化の高分子量形態は、幾つかの組織への浸透を防ぎ、それにより治療効果を減らし得ることが示唆されてきた。加えて、高分子量は、粘膜の膜壁(鼻、口腔、膣、口、直腸、肺送達)にわたる摂取を防ぎ得る。しかし、摂取の遅れは、安定した分子の肺への投与に関して非常に有利なものであり得、実質的に作用の持続時間を延長する。本明細書に記載のペプチド及び/又はタンパク質の生成物は、経粘膜的なバイオアベイラビリティを増加させ、このことは、より長鎖のPEG修飾が、鼻腔内又は他の経粘膜的な経路に伴う商業上重要なバイオアベイラビリティの達成により、界面活性物質修飾と共に使用されることを可能にするであろう。
【0291】
幾つかの実施形態において、長鎖PEGポリマー及び短鎖PEGポリマーは、本明細書に記載のタンパク質とペプチドの修飾に適している。吸入による糖尿病の処置の投与は、薬物送達のための新しい手法であり、肺は、非常に浸透性の障壁(例えば、エクスベラ)を有する。この適用に関して、肺障壁の遅い浸透、PEG化の好ましい形態は、C10乃至C400(10,000Daに対しておよそ250)の低い分子量範囲内にある。故に、PEGによる延長への主要なルートは、糸球体濾過のカットオフより上の「効果的な分子量」の達成であるが(68kDaより大きい)、より短い鎖の使用は、肺疾患及び他の呼吸器疾病の処置のための、肺における滞留の延長用のルートであり得る。故に、約500乃至3000daのPEG鎖は、末梢循環への侵入を遅くするのに十分なサイズではあるが、循環時間をかなり延長させるのには不十分である。幾つかの実施形態において、PEG化は、本明細書に記載の共有結合的に修飾されたペプチド及び/又はタンパク質への全身性副作用の可能性が少ない肺組織に局所効果の増加を与えるために適用される。そのような実施形態の幾つかにおいて、約750乃至約1500daの範囲のPEG鎖は、「PEG1K」として総称される。
【0292】
加えて、他のポリマーは、それらの物理的特性を最適化するために、本明細書に記載の化合物と共に使用され得る。例えば、ポリ(2-エチル2-オキサゾリン)結合体は、作用の持続時間を増強するための可変性の疎水性及び十分なサイズを有する(Mero, A., et al. (2008) J Control Release 125: 87-95)。糖類に対するそのようなポリマーの結合は、本明細書に記載のペプチド及び/又はタンパク質の修飾において使用するのに適した界面活性物質のクラスをもたらす。
【0293】
ポリエチレングリコール鎖は、ペプチド及び/又はタンパク質の鎖上の反応的な基への接合を可能にするため、官能化される。典型的な官能基は、ポリエチレングリコール鎖上の対応するカルボキシル基、アミノ基、又はマレイミド基(など)によって、ペプチド上のアミノ基、カルボキシル基、又はスルフィドリル基との反応を可能にする。1つの実施形態において、PEGはC10-C3000鎖を含む。別の実施形態において、PEGは、40,000ダルトンより上の分子量を有する。また別の実施形態において、PEGは、10,000ダルトンより下の分子量を有する。タンパク質修飾としてのPEGは、当該技術分野において周知であり、その使用は、例えば、米国特許第4,640,835号;第4,496,689号;第4,301,144号;第4,670,417号;第4,791,192号;及び第4,179,337号に記載される。
【0294】
PEG鎖の従来とは異なるタイプは、両親媒性の性質となるように修飾される。つまり、前記タイプは、両方の親水性のPEG構造を有するが、脂肪酸エステル及び他の疎水性の構成成分などの疎水性領域を含むように修飾される。例えば、(Miller, M.A., et al. (2006) Bioconjug Chem 17: 267-274) ; Ekwuribe, et al. 米国特許第6,309,633号; Ekwuribe, et al. 米国特許第6,815,530号; Ekwuribe, et al. 米国特許第6,835,802号)を参照。タンパク質に対するこれら両親媒性のPEG結合体は、経口バイオアベイラビリティを増加させるように本来は開発されていたが、それらは、この役割において比較的効果が無かった。しかし、両親媒性のペプチドとのそのような両親媒性のPEG結合体の使用は、これら調合薬の有用な生物活性を拡張するために、肺において著しく延長された滞留を提供するであろう。好ましいPEG鎖は、500乃至3000Daの分子量範囲にある。これら結合体の合成方法の詳細な記載は、上記の引用において提供され、その十分な内容は、本明細書に組み込まれる。
【0295】
PEGの実体自体は、ペプチドなどの標的分子に付けられる官能基を有していない。したがって、PEG付着を作るため、PEGの実体は、最初に官能化されなければならず、その後、官能化した付着は、ペプチドなどの標的分子にPEGの実体を付けるために使用される(Greenwald, R.B., et al. (2003) Adv Drug Deliv Rev 55: 217-250, Veronese, F.M. and Pasut, G. (2005) Drug Discov Today 10: 1451-1458, Roberts, M.J., et al. (2002) Adv Drug Deliv Rev 54: 459-476)。1つの実施形態において、部位特異的なPEG化は、ペプチド分子上のCys置換によって達成され得る。標的ペプチドは、本明細書に記載されるように、固相合成法、組み換え手段、又は他の手段によって合成され得る。
【0296】
故に、幾つかの実施形態において、本明細書に記載のペプチド生成物は、分子の他の部分にある少なくとも1つのCys残基、Lys残基、又は他の反応的なアミノ酸残基上のアルキルグリコシド及び特定のPEG化により修飾された、Lys又は他の反応残基を含む。
【0297】
別の実施形態において、Lys又は求核性の側鎖を備えた他の残基は、PEG残基の組み込みのために使用され得る。これは、PEG-カルボキシル鎖又はPEG-カルボナート鎖に対するアミド又はカルバマートの結合の使用を通じて達成され得る。例えば、(Veronese, F.M. and Pasut, G. (2005) Drug Discov Today 10: 1451-1458)に記載されるものを参照。代替的な手法は、メルカプトアセチル、メルカプトプロピオニル(CO-CH2-CH2-CH2-SH)などの、SH含有残基の付着により、Lys側鎖のアミノ官能基を修正することである。代替的に、PEG鎖は、合成の最中にアミドとしてC-末端に組み込まれ得る。PEG鎖を付けるための追加の方法は、His及びTrpの側鎖との反応を利用する。PEG鎖の付着を可能にするためペプチド鎖を修飾する他の同様な方法は、当該技術分野において既知であり、引用により本明細書に組み込まれる(Roberts, M.J., et al. (2002) Adv Drug Deliv Rev 54: 459-476)。
【0298】
製剤
1つの実施形態において、本明細書に記載されるように共有結合的に修飾されたペプチド又はタンパク質は、組成物におけるペプチド及び/又はタンパク質の会合(association)又は凝集を更に縮小、防ぐ、又は減少させる(例えば、ペプチド及び/又はタンパク質の自己会合又は自己凝集を縮小する)、又は、被験体への投与時に他のペプチド又はタンパク質との会合又は凝集を縮小する製剤において、提供される。
【0299】
高いタンパク質濃度の自己会合は、治療用の製剤において問題である。例えば、自己会合は、水溶液中で濃縮された単クローン抗体の粘性を増加させる。濃縮したインスリン製剤は、自己凝集によって不活性化される。これらの自己会合を行うタンパク質の相互作用は、特に高いタンパク質濃度で、多くの治療の生物活性を縮小、調節、又は抹消する(Clodfelter, D.K., et al. (1998) Pharm Res 15: 254-262)。注入又は他の手段による送達のため、高濃度で処方された治療用のタンパク質は、物理的に不安定であり得、又はこれらタンパク質の相互作用の結果として不溶性になり得る。
【0300】
ペプチド及びタンパク質の製剤の調製における重要な課題は、製造可能であり安定した剤形を開発することである。処理と取り扱いに関して重大である、物理的な安定性の特性は、大抵は特徴化されにくく、予測するのが難しい。タンパク質相互作用及び溶解度特性によって決定されるように、会合、凝集、結晶化、及び沈殿などの、様々な物理的な不安定性の現象に遭遇する。このことは、結果として重大な製造、安定性、分析的、及び送達の課題をもたらす。(mg/kgの桁での)高い投薬を要求するペプチド及びタンパク質の薬物のための製剤の開発は、多くの臨床的な状況において求められる。例えば、SCルートを使用して、およそ<1.5mLは、許容可能な投与量である。これは、適切な投薬を達成するため、>100mg/mLのタンパク質濃度を要求し得る。同様の考慮が、単クローン抗体のための高濃度凍結乾燥された製剤を開発する際に存在する。一般に、より高いタンパク質濃度は、より小さな注入量の使用を可能にし、それは、患者の快適さ、利便性、及びコンプライアンスに非常に重要である。本明細書に記載の界面活性物質により修飾された化合物は、このような凝集の事象を最小限にするように設計され、本明細書に記載されるように、少量の界面活性物質の使用を通じて更に促進され得る。
【0301】
注入は多くの人々にとって投与の不快な様式であるため、ペプチド治療を施行する他の手段が求められる。特定のペプチド及びタンパク質の治療は、例えば、鼻腔内、頬側、経口、膣内、吸入、又は他の経粘膜の投与によって施行され得る。例は、商業上の鼻内噴霧製剤として施行される、ナファレリン(Synarel(登録商標))及びカルシトニンである。本明細書に記載の共有結合的に修飾されたペプチド及び/又はタンパク質は、そのような経粘膜投与を促進するように設計され、そのような製剤は、本明細書に記載されるように少量の界面活性物質の使用を通じてさらに促進され得る。
【0302】
典型的な製剤パラメーターは、最適な溶液pH、バッファー及び安定化賦形剤(stabilizing excipient)の選択を含む。加えて、凍結乾燥されたケーキ再構成は、凍結乾燥製剤又は粉末の製剤に重要である。更なる重要な問題は、自己会合時のタンパク質製剤の粘性の変化を含む。粘性の変化は、例えば、鼻腔内スプレー、肺スプレー、又は口腔スプレー用のスプレー(エアロゾル)送達における、送達特性を著しく変更することができる。更に、増加した粘性は、シリンジ又はivラインによる注入送達を、より困難なものに又は不可能にし得る。
【0303】
ペプチドの完全性及び生理活性を安定させ且つ維持するための多くの試みが、報告されてきた。幾つかの試みは、特にインスリンポンプシステム用に、熱変性と凝集に対する安定化を作り出してきた。重合体の界面活性物質が記載される(Thurow, H. and Geisen, K. (1984) Diabetologia 27: 212-218; Chawla, A.S., et al. (1985) Diabetes 34: 420-424)。これら化合物によるインスリンの安定化は、立体的性質であると考えられる。他のシステム中で、糖類(Arakawa, T. and Timasheff, S.N. (1982) Biochemistry 21: 6536-6544)、アミノ酸などのオスモライト(Arakawa, T. and Timasheff, S.N. (1985) Biophys J 47: 411-414)、及び尿素などの水構造ブレーカー(water structure breaker(Sato, S., et al. (1983) J Pharm Sci 72: 228-232))が使用される。これらの化合物は、タンパク質又はペプチドの分子内の疎水的相互作用の調整により、それらの作用を行使する。
【0304】
様々なペプチド、ペプチド、又はタンパク質が、本明細書に記載され、本明細書に記載の共有結合的に結合された界面活性物質試薬の何れかにより修飾され得る。有利に、本明細書に記載のペプチド修飾は、親水性(例えば、糖類)及び疎水性(例えば、アルキル鎖)の基を含む界面活性物質の共有結合的な付着を含み、それにより、生理学的条件においてペプチドの安定化を可能にする。幾つかの実施形態において、本明細書に記載のペプチド及び/又はタンパク質に対する、親水基及び疎水基(例えば、グリコシド界面活性物質)を含む部分の共有結合は、安定性を増強するため(例えば、凝集を縮小する)、ペプチド及び/又はタンパク質のアミノ酸配列を修飾する必要性を排除する。
【0305】
幾つかの実施形態において、製剤は、本明細書に記載の界面活性物質由来の試薬により修飾されるペプチドを含む少なくとも1つの薬物を含み、加えて製剤において、界面活性物質に会合し得、ここで、界面活性物質は、例えば、糖類、アルキルグリコシド、又は他の賦形剤から更に構成され、ドロップ、スプレー、エアロゾル、凍結乾燥体、スプレー乾燥製品、1つの、注射剤、及び徐放性フォーマットからなる基から選択されるフォーマットにおいて投与され得る。スプレー及びエアロゾルは、適切なディスペンサーの使用を通じて達成され得、鼻腔内、経頬側、吸入、又は他の経粘膜経路により投与され得る。凍結乾燥体は、マンニトール、糖類、サブミクロンの無水のα-ラクトース、ゼラチン、生物学的適合のゲル、又はポリマーなどの他の化合物を含み得る。徐放性フォーマットは、目の挿入物、侵食可能な微粒子、加水分解性ポリマー、膨張粘膜付着性微粒子、pH感受性微粒子、ナノ粒子/ラテックスシステム、イオン交換樹脂、及び他の重合体のゲル並びに注入物であり得る(Ocusert, Alza Corp., California; Joshi, A., S. Ping and K. J. Himmelstein, Patent Application WO 91/19481)。さらに、重要な経口バイオアベイラビリティが達成可能である。
【0306】
本明細書に記載のペプチド及びタンパク質の修飾は緩和し、幾つかの場合において、有機溶媒の必要性を排除し得る。トレハロース、ラクトース、及びマンニトール、並びに他の糖類は、凝集を防ぐために使用されてきた。抗IgEヒト化単クローン抗体の凝集は、300:1乃至500:1の範囲内のモル比で、又はそれより上のモル比で、トレハロースを備えた製剤によって最小化された(賦形剤:タンパク質)。しかし、粉末剤は、過度に密着力がありエアロゾル投与には不適当であり、又は、貯蔵時に望まれないタンパク質グリケーションを示した(Andya, J.D., et al. (1999) Pharm Res 16: 350-358)。発見された添加物の各々は、異物代謝、刺激又は毒性、或いは高コストを含む治療への添加物としての制限を有する。共有結合的に修飾したペプチド及び/又はタンパク質との使用に関して、賦形剤が熟考され、該賦形剤は、効果的、刺激のない、及び無毒であり、天然の糖、脂肪酸、又は長鎖アルコールで構成されるため、異物代謝を必要とせず、且つ、血漿又は唾液などの水性の体液による生理学的な水性の再構成によって、インサイツの乾燥ペプチド及び/又はタンパク質の製剤の水溶液中で、又はその水性の再構成の際に、凝集を最小化するためにも使用され得る。
【0307】
他の製剤の構成成分は、とりわけ、バッファー及び生理的な塩類、アプロチニン及びダイズトリプシン阻害剤などの無毒なプロテアーゼ阻害剤、α1-アンチトリプシン、及びプロテアーゼ不活性化モノクローナル抗体を含み得る。バッファーは、酢酸塩、シトラート、グルコン酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、ポリリシン、ポリグルタマート、キトサン、硫酸デキストランなどの有機物、又はリン酸塩及び硫酸塩などの無機物を含み得る。そのような製剤は、加えて、ベンジルアルコールなどのような静菌剤の小さな濃度を含み得る。
【0308】
鼻腔内投与に適した製剤はまた、ヒドロフルオロアルカンなどの許容可能な蒸発する溶媒において、本明細書に記載の修飾したペプチド及び/又はタンパク質の生成物の溶液又は懸濁液を含む。そのような製剤は、測定された線量吸入器(MDI)からの投与に適しており、投与部位からの移動の不足、低刺激、及び滅菌の必要性の欠如という長所を有する。そのような製剤はまた、サブミクロンの無水のα-ラクトース等の賦形剤又は充填剤を含み得る。
【0309】
また別の態様において、本明細書に記載の共有結合的に修飾したペプチド及び/又はタンパク質は、保存期間の増加を示す。本明細書中で使用されように、句「保存期間」は、生成物が使用又は消費に不適切なものとならずに保存され得る時間の長さとして、広く記載される。本明細書に記載の組成物の「保存期間」はまた、組成物の品質において許容される損失に相当する時間の長さを示し得る。本明細書中で使用されるような組成上の保存期間は、使用期限と識別され;「保存期間」は、本明細書に記載の組成物の品質に関係し、一方で「使用期限」は、組成物の製造要件及び試験要件の方に関係する。例えば、その「使用期限」を過ぎた組成物は、まだ安全かつ効果的であるが、最適な品質はもはやメーカーによって保証されない。
【0310】
投薬
本明細書に記載の共有結合的に修飾したペプチド及び/又はタンパク質は、多くの疾患状態における有益な治療効果を与えるために、任意の量で投与され得る。幾つかの実施形態において、共有結合的に修飾したペプチド及び/又はタンパク質は、炎症の処置に有用である。1つの実施形態において、本明細書で提示される化合物は、手術後又は慢性的疼痛の調節において有益な活性を与える。1つの実施形態において、ペプチドは、疼痛を調節する処置の他の形態の濃度よりも高い又は低い濃度で患者に投与される。また別の実施形態において、ペプチドは、相乗的な治療効果を生むために他の化合物と共に投与される。
【0311】
代表的な送達レジメンは、投与の経口、経粘膜投与、非経口(皮下、腹腔内、筋肉内、及び静脈内注入を含む)、直腸、頬側(舌下腺を含む)、経皮、吸入、視覚、経粘膜(鼻腔内を含む)の形態を含む。ペプチドの送達のための魅力的で、広く使用された方法は、制御放出の注入可能な製剤の皮下注入を必要とする。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の共有結合的に修飾したペプチド及び/又はタンパク質は、皮下、鼻腔内、吸入の投与に有用である。さらに、処置される疾病に依存して、これらの治療用の組成物は、全身的又は局所的に投与される。製剤及び投与に関する技術は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Co, Easton Pa.)」の最新版で見出され得る。
【0312】
正確な投与量及び組成物並びに最も適切な送達レジメンの選択は、とりわけ、選択されたペプチドの薬理学的性質、処置される疾病の性質及び重症度、並びにレシピエントの健康状態及び知力によって影響を受けるであろう。加えて、投与経路は、結果として吸収された物質の差次的な量をもたらすであろう。異なるルートによるペプチドの投与用生物学的利用能は、特に変わりやすく、1%未満から100%近くまでの量が見られる。典型的に、静脈内、腹腔内、又は皮下注射以外の経路からのバイオアベイラビリティは、50%以下である。
【0313】
一般に、本明細書に記載の共有結合的に修飾したペプチド及び/又はタンパク質、又はその塩は、皮下注射によって、1日当たり約0.1乃至1000μg/体重kgの間、又は1日当たり約0.1乃至100のμg/体重kgの間の量で投与される。50kgのヒトの女性の被験体について、活性成分の日用量は、皮下注入によって、約5乃至5000μg、又は約5乃至約5000μgである。異なる投与量は、投与経路、化合物の効能、薬物動態学の特性、及び観察された適用可能なバイオアベイラビリティに依存して、必要とされるであろう。吸入によって、日用量は、1日2回、1000乃至約20,000μgである。ウマ、イヌ、及びウシなどの他の哺乳動物において、より高用量が必要とされ得る。この投与量は、最も効果的な結果を達成するために必要とされるように、単回投与によって、複数の適用によって、又は制御放出を介して従来の医薬組成物中で送達され得る。
【0314】
薬学的に許容可能な塩は、有毒な副作用のない親ペプチドの所望の生物活性を保持する。そのような塩の例は、(a)無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸など)により形成された酸付加塩;及び有機酸(例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモ酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ポリガラクツロン酸など)により形成された塩;(b)亜鉛、カルシウム、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウムなどの多価金属陽イオンにより;又はN,N’-ジベンジルエチレンジアミン或いはエチレンジアミンから形成される有機陽イオンにより形成される塩基付加塩又は複合体;又は、(c)(a)と(b)の組み合わせ(例えば、亜鉛タンニン酸塩など)である。
【0315】
また、幾つかの実施形態において、薬学的に許容可能な無毒の担体と混合した、本明細書に記載の活性成分により共有結合的に修飾したペプチド及び/又はタンパク質、又はその薬学的に許容可能な塩を含む、医薬組成物が熟考される。上述されるように、そのような組成物は、特に液体溶液又は懸濁液の形態で、非経口(皮下、筋肉内、又は静脈内)投与用に;特に錠剤又はカプセル剤の形態で、経口又は頬側投与用に;特に粉末剤、点鼻液、蒸発する溶液、又はエアロゾルの形態で、鼻腔内投与用に;特に広く定義される、添加剤を備えた液体溶液又は乾燥粉末剤の形態で、吸入用に;及び、直腸又は経皮的投与用に調製され得る。
【0316】
組成物は、ユニット剤形で都合良く投与され得、例えば引用により本明細書に組み込まれる「Remington’s Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., (1985)」に記載されるような、薬学の分野において周知の方法の何れかによって調製され得る。非経口投与用の製剤は、賦形剤滅菌水(excipients sterile water)又は食塩水、プロピレングリコールなどのアルキレングリコール、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、糖類、植物由来の油、水素化したナフタレン、血清アルブミンナノ粒子(Abraxane(商標), American Pharmaceutical Partners, Inc. Schaumburg ILにおいて使用されるようなもの)などを含む。経口投与について、製剤は、胆汁酸塩又はアシルカルニチンの追加によって増強され得る。鼻投与用の製剤は、ヒドロフルオロカーボンなどの蒸発する溶媒において固体又は溶液であり、安定化のための賦形剤、例えば、糖類、界面活性物質、サブミクロンの無水のα-ラクトース、又はデキストランを含み、又は、点鼻液又は測定されたスプレーの形態での使用のための水性又は油性の溶液であり得る。頬側投与について、典型的な賦形剤は、糖、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、あらかじめゼラチン化したデンプンなどを含む。
【0317】
鼻の投与のために処方された時、鼻粘膜をわたる吸収は、約0.1乃至15重量パーセントの間、約0.5乃至4重量パーセントの間、又は約2重量パーセントの間の範囲の量で、界面活性物質(例えば、グリココール酸、コール酸、タウロコール酸、エトコール酸(ethocholic acid)、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、デヒドロコール酸、グリコデオキシコール酸、シクロデキストリンなど)によってさらに増強され得る。刺激の減少を伴うより大きな効果を示すと報告される、吸収促進剤の追加のクラスは、テトラデシルマルトシド(Arnold, J.J., et al. (2004) J Pharm Sci 93: 2205-2213, Ahsan, F., et al. (2001) Pharm Res 18: 1742-1746)及びその中で引用されるものなどのアルキルマルトシドのクラスであり、前記文献の全ては、引用により本明細書に組み込まれる。
【0318】
吸入による送達のため処方された時、多くの製剤は長所を提供する。ジケトピペラジン(例えば、テクノスフェア粒子状物質;(Pfutzner, A. and Forst, T. (2005) Expert Opin Drug Deliv 2: 1097-1106))又は同様の構造などの容易に分散した固体への、活性なペプチドの吸収は、結果として治療薬の迅速な最初の摂取をもたらす製剤を提供する。活性なペプチド及び賦形剤を含む、凍結乾燥した粉末剤(特に、ガラス質の粒子)は、優れたバイオアベイラビリティを備える肺への送達に有用であり、例えば、Exubera(登録商標)(inhaled insulin by Pfizer and Aventis Pharmaceuticals Inc.)を参照。吸入によるペプチドの送達用の追加のシステムが記載される(Mandal, T.K., Am. J. Health Syst. Pharm. 62: 1359-64 (2005))。
【0319】
長期間(例えば、1週間乃至1年間)にわたる、被験体への本明細書に記載の共有結合的に修飾したペプチド及び/又はタンパク質の送達は、所望の放出期間の間、十分な活性成分を含む制御放出システムの単回投与によって達成され得る。単一体のマイクロカプセル又はリザーバータイプのマイクロカプセル、デポ剤インプラント(depot implant)、重合体のヒドロゲル、浸透圧ポンプ、小胞、ミセル、リポソーム、経皮パッチ、イオン導入デバイス、及び代替の注入可能な剤形などの、様々な制御放出システムが、この目的のために利用され得る。制御放出賦形剤はまた、週に2回又は週に1回の投与のために開発され、例えば、保護されたグラフトコポリマーシステム(Castillo, G.M., et al. (2012) Pharm Res 29: 306-18)は、本発明のもの等の、疎水性のペプチド又は疎水的に修飾したペプチドに使用され得る。活性成分の送達が所望される部位での局在化は、幾つかの制御放出デバイスの追加の特徴であり、それは、特定の障害の処置において有益であると証明し得る。
【0320】
制御放出製剤の1つの形態は、引用により本明細書に組み込まれる、Kent, Lewis, Sanders, and Ticeの先駆的活動、米国特許第4,675,189号に記載されるように、コポリ(乳/グリコール)酸などの、ゆっくり分解する、無毒で、非抗原性のポリマーの中で分散される又はカプセル化される、ペプチド又はその塩を含む。化合物、又はその塩はまた、コレステロール又は他の脂質マトリックスのペレット剤、或いはシラストマー(silastomer)マトリックスインプラントにおいて処方され得る。更に遅い放出の、デポ剤インプラント又は注射可能な製剤は、当業者に明白である。例えば、「Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, J. R. Robinson ed., Marcel Dekker, Inc., New York, 1978, and R. W. Baker, Controlled Release of Biologically Active Agents, John Wiley & Sons, New York, 1987」を参照
【0321】
制御放出製剤の追加の形態は、生物許容可能な溶媒である、コポリ(乳酸/グリコール酸)又は乳酸とPEGのブロックコポリマーなどの、生分解性高分子の溶液を含み、これは、デポ製剤を達成するため皮下又は筋肉内に注入される。そのような重合体の製剤と、本明細書に記載のペプチドとの混合は、作用の持続時間が非常に長い製剤を達成するのに適切である。
【0322】
本明細書中で使用されるように、「治療上効果的な量」は、本明細書における目的のため「効果的な量」と交換可能であり、当該技術分野において既知のような考察によって決定される。量は、その疾患に苦しむ処置された被験体において、所望の薬物媒介性の効果を達成するのに効果的でなければならない。治療上効果的な量はまた、限定されないが、当業者によって選択される適切な手段(例えば、生存率の改善、より迅速な回復、即ち向上、症状の改善又は除去、或いは他の許容可能なバイオマーカー又は代理マーカー)を含む。
【0323】
しかし、処置を必要とする任意の特定の被験体用の投与量の具体的なの用量レベル及び頻度は、変動することがあり、利用された特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性及び作用の持続時間、年齢、体重、健康状態、性別、食事、投与形態及び投与時間、分泌の割合、複合薬、特定の疾病の重症度、及び治療を受ける宿主を含む様々な要因に依存するであろうことが、理解される。
【0324】
投薬方法(複数)は、ペプチド及び(又は)タンパク薬物の免疫原性を縮小するか除去し、刺激が無く、抗菌又は抗真菌の活性を有し、薬物の安定性又はバイオアベイラビリティを増加させ、その薬物のバイオアベイラビリティの変動を減少し、第1パス肝臓クリアランス(first pass liver clearance)を回避し、任意の副作用を縮小又は除去する組成物を含むが、これらに限定されない本明細書に記載の組成物の、全ての態様を含む。本明細書中で使用されるように、用語「免疫原性」は、免疫学的応答を刺激する特定の物質、組成物、又は薬剤の能力である。本明細書に記載される共有結合的に修飾したペプチド及び/又はタンパク質の免疫原性は、当該技術分野において既知の方法によって確認される。
【0325】
本明細書において言及される全ての広報及び特許出願は、各々の独立した公報又は特許出願が引用により組み込まれるように具体的かつ個々に示されるのと同じ程度にまで、引用により本明細書に組み込まれる。
【0326】
本明細書に記載の共有結合的に修飾したペプチド及び/又はタンパク質、及びそれらの合成のための試薬は、本明細書における多くの改変及び変更が当業者に明らかであるため、説明のみを目的とする者として意図される以下の実施例においてより具体的に記載される。
【実施例】
【0327】
実施例1:試薬-N-α-Fmoc,N-ε-(1-オクチルβ-D-グルクロニド-6-イル)-L-リジン
オーブン乾燥した250mLのエルレンマイヤーフラスコに、1-オクチルβ-D-グルクロン酸(Carbosynth Ltd.、3.06g、10mmol)、50mLの無水のDMF、及び無水の1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(1.62g、12mmol)を入れる。50mLのDMF中のN,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミドの冷却した(4℃)溶液を加えて攪拌し、反応を5分間進めることを可能にする。N,N’-ジシクロヘキシル尿素の豊富な白降汞を、フリットガラス漏斗上で濾過し、濾液を25mlの無水のDMF中のN-α-Fmoc-L-リジン(3.68g、10mmol)の溶液に加える。反応を、室温にまで温めることにより、又はニンヒドリン色が非常に弱くなるまで、25分間進めることを可能にする。反応混合物を濾過し、取り除いて乾燥して、MeOH中の希釈及びEt2Oによる曇り点までの遅い希釈、その後の冷凍によって、MeOH/Et2Oから結晶化する。更なる精製は、EtOAcからEtOAc/EtOH/AcOHまでの溶媒勾配を使用するシリカゲルクロマトグラフィーによって達成することができる。
【0328】
同様の方法ではあるが、N-α-Boc-L-リジンを置換することにより、N末端の組み込み及び遊離N末端への開裂に適切な、N-α-Boc,N-ε-(1-オクチルβ-D-グルクロニド-6-イル)-L-リジンを得る。同様の方法ではあるが、N-α-Ac-L-リジンを置換することにより、遮断したN末端を有するペプチドのN末端での組み込みに適切な、N-α-Ac,N-ε-1-オクチルβ-D-グルクロニド-6-イル)-L-リジンを得る。同様の方法ではあるが、N-α-Fmoc-L-オルニチンの適正量を置換することにより、N-α-Fmoc,N-δ-(1-オクチルβ-D-グルクロニド-6-イル)-L-オルニチンを得る。同様の方法ではあるが、他のN-モノ-保護ジアミノ酸-one(N-mono-protected diamino acids ine)を置換することにより、対応する試薬を得る。代替的に、カップリング中に、1-オクチルβ-D-グルクロン酸の前活性無しに、一時的にMe3Siエステル保護基を使用することにより、試薬の形成に対して容易な経路を得る。一時的なMe3Siエステルを、ジクロロメタン(CH2Cl2)の中で等モルの量のN,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミドとFmoc-Lys-OHとの反応によって生成する。有機質層は、上述のような1-アルキルグルコロニドとのカップリングのため用意される、CH2Cl2中の溶液として所望の試薬を含む。濾過した反応混合物を水性のNaHSO4で洗浄してMe3Siエステルを加水分解し、MgSO4により乾燥し、溶媒を除去する。
【0329】
同様にではあるが、ペルアセチル又はペルベンゾイル1-オクチルβ-D-グルクロン酸one(perbenzoyl 1-octyl β-D-glucuronic acid one)を使用することにより、試薬(例えば、Ac2Oによる処置によって形成される、2,3,4-トリスアセチル1-オクチルβ-D-グルクロン酸など)のAc又はBz保護形態を得る。そのような試薬は、レジンからの酸の開裂中に安定を増加させ、脱保護中の不安定性が検知される場合に使用される。「Kihlberg, J., et al. (1997) Methods Enzymol 289: 221-245」、及びその中の引用文献を参照。そのような生成物の最終脱保護を、上述のように、MeOH/NH3、MeOH/NaOMe、MeOH/NH2NH2の使用によって、開裂後に塩基に触媒されたエステル交換によって実行する。
【0330】
実施例2:合成ペプチドアナログ
一般に、ペプチド合成方法は、増殖するペプチド鎖への保護されたアミノ酸の連続した追加に関与する。通常、第1のアミノ酸及び任意の反応的な側鎖の基であるアミノ基又はカルボキシル基の何れかを、保護する。この保護したアミノ酸をその後、不活性な固体支持体に付着、又は溶液中で利用し、及び適切に保護された配列における次のアミノ酸を、アミド結合の形成に受け入れられる条件下で加える。全ての所望のアミノ酸を適切な配列において結合した後、保護基及び任意の固体支持体を除去し、未精製のペプチドを得る。ペプチドを脱塩し、クロマトグラフィーにより精製する。
【0331】
約50よりも少ないアミノ酸を有する、生理学的に活性な切断型ペプチドのアナログを調製する好ましい方法は、固相ペプチド合成法を含む。この方法において、α-アミノ(Nα)官能基及び任意の反応的な側鎖を、酸又は塩基に敏感な基によって保護する。保護基は、ペプチド結合形成の条件に安定している一方で、残存するペプチド鎖に影響を及ぼすことなく容易に除去可能である。適切なα-アミノ保護基は、限定されないが、t-ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、o-クロロベンジルオキシカルボニル、ビフェニルイソプロピルオキシカルボニル、t-アミルオキシカルボニル(Amoc)、イソボルニルオキシカルボニル、α,α-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジルオキシ-カルボニル、o-ニトロフェニルスルフェニル、2-シアノ-t-ブトキシカルボニル、9-フルオレニル-メトキシカルボニル(Fmoc)など、好ましくはBoc、又はより好ましくはFmocを含む。適切な側鎖保護基は、限定されないが、以下のものを含む:アセチル、ベンジル(Bzl)、ベンジルオキシメチル(Bom)、Boc、t-ブチル、o-ブロモベンジルオキシカルボニル、t-ブチル、t-ブチルジメチルシリル、2-クロロベンジル(Cl-z)、2,6-ジクロロベンジル、シクロヘキシル、シクロペンチル、イソプロピル、ピバリル(pivalyl)、テトラヒドロピラン-2-イル、トシル(Tos)、2,2,4,6,7-ペンタメチルジヒドロベンゾフラン-5-スルホニル(Pbf)、トリメチルシリル、及びトリチル。化合物の合成に好ましいNα-保護基はFmoc基である。好ましい側鎖保護基は、Glu、Tyr、Thr、Asp、及びSerのためのOt-ブチル基;Lys及びTrp側鎖のためのBoc基;ArgのためのPbf基;Asn、Gln、及びHisのためのTrt基である。Lys残基の選択的な修飾について、Fmocを開裂する試薬によって除去されない保護基、又はt-ブチルベースの保護基を備えた直交保護(orthogonal protection)が、好ましい。Lys側鎖の修飾に関する好ましい例は、限定されないが、ピペリジンではなくヒドラジンによって除去されるもの;例えば、1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘックス-1-イリデン)-3-メチルブチル(ivDde)又は1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘックス-1-イリデン)エチル(Dde)及びアリルオキシカルボニル(Alloc)を含む。Fmoc-Lys(ivDde)又はFmoc-Lys(Dde)保護基のスキームは、側鎖ラクタム形成が所望される場合に好まれ(Houston, M.E., Jr., et al. (1995) J Pept Sci 1: 274-282; Murage, E.N., et al. (2010) J Med Chem)、それは、この場合、Fmoc-Glu(O-アリル)及びFmoc-Lys(Alloc)が、一時的な保護を提供するために組み込まれ且つ使用され得、その後、Lys(Dde)保護基が後の除去及び官能化した界面活性物質との反応のため残る一方で、ラクタム形成のため脱保護されるからである。
【0332】
Fmoc-Lys(ivDde)又はFmoc-Lys(Dde)保護基のスキームは、側鎖ラクタム形成が所望される場合に好まれ(Houston, M.E., Jr., et al. (1995) J Pept Sci 1: 274-282; Murage, E.N., et al. (2010) J Med Chem)、それは、この場合、Fmoc-Glu(O-アリル)及びFmoc-Lys(Alloc)が、一時的な保護を提供するために組み込まれ且つ使用され得、その後、Lys(Dde)保護基が後の除去及び官能化した界面活性物質との反応のため残る一方で、ラクタム形成のため脱保護されるからである。
【0333】
固相合成法において、C末端アミノ酸は、適切なレジン支持体に最初に付けられる。適切なレジン支持体は、使用される培地において不溶性であるのと同様に、段階的な縮合及び脱保護の反応の試薬及び反応条件に対して不活性な、物質である。市販のレジンの例は、反応基により修飾されるスチレン/ジビニルベンゼンレジン、例えば、クロロメチル化したco-ポリ-(スチレン-ジビニルベンゼン)、ヒドロキシメチル化したco-ポリ-(スチレン-ジビニルベンゼン)などを含む。ベンジル化した、ヒドロキシメチル化した、フェニルアセトアミドメチル化した(PAM)レジンは、ペプチド酸の調製に好ましい。化合物のC末端がアミドである場合、好ましいレジンは、p-メチルベンズヒドリルアミノ-co-ポリ(スチレン-ジビニル-ベンゼン)レジン、2,4-ジメトキシベンズヒドリルアミノベースのレジン(「リンクアミド(Rink amide)」)などである。より大きなペプチドの合成に、特に好ましい支持体は、リンクアミド-PEG及びPAL-PEG-PSレジン(Applied Biosystems)、などの他の重合体のマトリクス上でグラフトされるPEG配列を含む市販のレジン、又はFmocプロトコルを使用するペプチドアミド合成のために設計される同様のレジンである。故に、特定の場合において、PEG鎖へのアミド結合を有することが望ましい。それらの場合において、N-Fmoc-アミノ-PEG-カルボン酸を、上述のアミド形成レジン(例えば、リンクアミドレジンなど)と結合させるのが、都合が良い。鎖の第1のアミノ酸は、PEG鎖のアミノ官能基に対して、N-Fmocアミノ酸として結合され得る。最終的な脱保護は、所望のペプチド-NH-PEG-CO-NH2生成物をもたらすであろう。
【0334】
PAMレジンへの付着は、約12乃至72時間(好ましくは約48時間)、高温(例えば、約40℃と60℃の間、好ましくは約50℃)でのレジンと、アンモニウム、セシウム、トリエチルアンモニウム、1,5-ジアザビシクロ-[5.4.0]ウンデカ-5-エン、テトラメチルアンモニウム、又はエタノール、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)などにおける同様の塩(好ましくは、DMF中のセシウム塩)として、Nαにより保護したアミノ酸(例えば、Bocアミノ酸)の反応によって、達成され得る。これは、酸性の開裂を伴うペプチド酸性生成物、又はアミノ分解を伴うアミドを最終的にもたらすであろう。
【0335】
Nα-Boc-アミノ酸は、例えば、CH2Cl2又はDMF(好ましくはCH2Cl2)などの溶媒において、約10℃と50℃の間の温度(好ましくは25℃)で、約2乃至約24時間(好ましくは2時間)、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)/1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)によって媒介されたカップリングにより、ベンズヒドリルアミンレジンに付着され得る。
【0336】
Bocベースのプロトコルについて、保護されたアミノ酸の連続カップリングは、当該技術分野で周知の方法、典型的には自動ペプチド合成機において、実行され得る。トリエチルアミン、N,N-ジ-イソプロピルエチルアミン(DIEA)、N-メチルモルホリン(NMM)、コリジン、又は類似の塩基による中和後、各々の保護されたアミノ酸は、およそ約1.5~2.5倍のモル過剰、及び周囲温度での、CH2Cl2、DMF、N-メチルピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)、又はそれらの混合物において、好ましくはジクロロメタンにおいて実行されるカップリングにおいて導入される。Fmocベースのプロトコルについて、酸は、脱保護に使用されないが、塩基(好ましくはDIEA又はNMM)は、カップリング混合物へ通常組み込まれる。カップリングは、DMF、NMP、DMA、又は混合溶媒、好ましくはDMFにおいて典型的に行われる。代表的なカップリング剤は、単独で、又はHOBt、O-アシル尿素、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリス(ピロロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート(PyBop)、N-ヒドロキシスクシンイミド、他のN-ヒドロキシイミド、又はオキシムの存在下で、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N’-ジイソプロピル-カルボジイミド(DIC)、又は他のカルボジイミドである。代替的に、保護されたアミノ酸活性のエステル(例えば、p-ニトロフェニル、ペンタフルオロフェニルなど)又は対称的な無水物が使用され得る。好ましいカップリング剤は、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルアミニウムヘキサフルオロホスファート(HBTU)、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HATU)、2-(6-クロロ-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルアミニウムヘキサフルオロホスファート(HCTU)などの、アミニウム/ウロニウム(提供者によって使用される代替的な名称)のクラスのものである。
【0337】
Fmoc-PAL-PEG-PSレジンへの付着に好ましい方法は、DMF中の20%ピペリジンによるレジンリンカーの脱保護によって、その後、5分、75℃の最大カップリングサイクルを備えたマイクロ波により支援されたペプチド合成機において、DMF中のHBTU:ジ-イソプロピルエチルアミン(DIEA)(1:2)を使用し、N-α-Fmoc-アミノ酸の約5倍のモル過剰による、N-α-Fmocにより保護されるアミノ酸の反応によって達成され得る。
【0338】
マイクロ波により支援されたペプチド合成機における、このFmocベースのプロトコルについて、N-α-Fmocアミノ酸保護基は、30秒間、その後75℃に設定された最大温度で3分間の二重脱保護プロトコルにおいて、0.1M 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)を含むDMF中の20%のピペリジンにより、除去される。
HOBtを脱保護溶液に加え、アスパルトイミド形成を縮小する。その後、次のアミノ酸のカップリングは、5分、75℃の最大二重カップリングサイクルを備えたHBTU:DIEA(1:2)を使用して、5倍のモル過剰を利用する。
【0339】
固相合成法の終わりに、完全に保護されたペプチドを、レジンから除去する。レジン支持体への結合がベンジルエステル型である場合、開裂は、約-10℃乃至50℃の間の温度(好ましくは約25℃)で、約12乃至24時間(好ましくは約18時間)、アルキルアミドC末端を備えたペプチドについてアルキルアミン又はフルオロアルキルアミンによるアミノ分解により、又は、例えば、非置換のアミドC末端を備えたペプチドについてアンモニア/メタノール又はアンモニア/エタノールによるアミノ分解により、影響を受け得る。ヒドロキシC末端を備えたペプチドは、HF又は他の強く酸性である脱保護レジメンにより、或いはけん化(saponification)によって開裂され得る。代替的に、ペプチドは、(例えばメタノールとの)エステル交換、その後、アミノ分解又はけん化によってレジンから除去され得る。保護されたペプチドは、シリカゲル又は逆相HPLCによって精製され得る。
【0340】
側鎖保護基は、アミノ分解生成物を処置すること(例えば、アニソールあるいは他のカルボニウムイオンスカベンジャーの存在下での無水の液体水素フッ化物、フッ化水素/ピリジン複合体による処置、トリス(トリフルオロアセチル)ホウ素とトリフルオロ酢酸による処置)により、炭素又はポリビニルピロリドン上の水素及びパラジウムによる還元により、又は、約-10℃と+10℃の間の温度(好ましくは約0℃)で、約15分と2時間の間の時間(好ましくは約1.5時間)での、液体アンモニア中のナトリウムによる(好ましくは、液体水素フッ化物及びアニソールによる)還元により、ペプチドから除去され得る。
【0341】
ベンズヒドリルアミン型のレジン上のペプチドについて、レジン開裂及び脱保護の工程は、上記の液体水素フッ化物及びアニソールを利用する、又は好ましくはより穏やかな開裂カクテルの使用を通じる単一の工程に、組み合わせられ得る。例えば、PAL-PEG-PSレジンについて、好ましい方法は、毎回38℃で18分間、TFA/水/トリ-イソ-プロピルシラン/3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジチオール(DODT)(92.5/2.5/2.5/2.5)などの、当該技術分野において既知の穏やかな開裂カクテルの1つを使用する、マイクロ波により支援されたペプチド合成機における二重脱保護プロトコルの使用を通じるものである。物質を含むアルキルグリコシドの開裂は、9/1乃至19/1の範囲のTFA/水の比率によるプロトコルを使用して、アルキルグリコシド結合の残存を示してきた。典型的なカクテルは、94%TFA:2%EDT;2%H2O;2%TISである。典型的に、完全に脱保護された生成物を、沈殿し、冷たい(-70℃乃至4℃)のEt2Oで洗浄し、脱イオン水及び凍結乾燥物において溶解する。
【0342】
ペプチド溶液は、(例えば、BioRad AG-3(登録商標)陰イオン交換レジンにより)脱塩され得、ペプチドは、以下のタイプの何れか又は全てを利用するクロマトグラフィー工程の順序によって精製される:アセテート形態における弱アルカリ性のレジン上でのイオン交換;非誘導化co-ポリ(スチレン-ジビニルベンゼン)上での疎水性の吸着クロマトグラフィー、例えばAmberlite(登録商標)XAD;シリカゲル吸着クロマトグラフィー;カルボキシメチルセルロース上でのイオン交換クロマトグラフィー;例えば、Sephadex(登録商標)G-25上での分配クロマトグラフィー;向流分配;超臨界流体クロマトグラフィー;又はHPLC(特に、オクチル-又はオクタデシルシリルシリカ(ODS)結合相のカラムパック上での逆相HPLC)。
【0343】
また、本明細書には、本明細書に記載の共有結合的に修飾したペプチド及び/又はタンパク質、並びにその薬学的に許容可能な塩を調製するプロセスが提供され、該プロセスは、生理学的に活性な切断型ホモログのアナログ、及び本明細書に記載の共有結合的に修飾したペプチド及び/又はタンパク質のアナログを得るため、適切なレジン支持体上で保護されたアミノ酸を連続して圧縮する工程、保護基とレジン支持体を除去する工程、及び生成物を精製する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の共有結合的に修飾したペプチド及び/又はタンパク質は、上述の通り、アルキルグリコシド修飾を組み込む。別の態様は、本明細書に記載の共有結合的に修飾したペプチド及び/又はタンパク質と、その薬学的に許容可能な塩を調製するプロセスに関連し、該プロセスは、上述の通り、薬理学的に活性なペプチドのアナログを得るため、適切なレジン支持体上で保護されたアミノ酸を連続的に圧縮するためのマイクロ波により支援された固相合成ベースのプロセス又は標準ペプチド合成プロトコルの使用、保護基及びレジン支持体を除去する工程、及び生成物を精製する工程を含む。
【0344】
実施例3:ウロン酸のための一般的な酸化方法
20mLのアセトニトリル及び20mLのDI水における1-ドデシルβ-D-グルコピラノシドの溶液(Carbosynth)[2.0g、5.74mmol]に、(ジアセトキシヨード)ベンゼン(Fluka)[4.4g、13.7mmol]とTEMPO(SigmaAldrich)[0.180g、1.15mmol]を加えた。結果として生じる混合物を、室温で20時間攪拌した。反応混合物を水で希釈し、凍結乾燥して、白色粉末として、1.52gの未精製の生成物(未精製の収率73.1%)、1-ドデシルβ-D-グルクロン酸を得て、それを更に精製することなく、固相合成法に直接使用した。この生成物を、本明細書に記載されるように、酸化体としてNaOClを使用する代替のプロセスによって調製し、また、より長いアルキル基に使用した。同様の方法において、所望のアルキル糖類ウロン酸を調整し、それを使用して、本明細書に記載の生成物及び試薬を作る。
【0345】
同様の方法においてではあるが、対応する1-テトラデシル、1-ヘキサデシル、及び1-オクタデシルβ-D-グルコピラノシド(Anatrace, Maumee, OHから購入)を使用して、所望の1-アルキル糖類ウロン酸を調整し、それを使用して、本明細書に記載の生成物及び試薬を作った。
【0346】
実施例4:アナログEU-A387の調製
Fmoc-His-Aib-Gln-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Bip-Ser-Lys-Tyr-Leu-Glu-Ser-Lys(Alloc)-Rinkアミドレジンのサンプルを、実施例1に記載されるように、N-アルファ-Fmocにより保護したアミノ酸の連続追加によって調製し、室温で暗所の中で一晩、DMF/CH2Cl2(1:1)中のPd(PPh3)4(0.5 eq)及びDMBA(20 eq)によるインキュベーションにより、Lys-N-イプシロン位置上で脱保護した。DMF/CH2Cl2によって洗浄した後、Lys側鎖を、DIC/HOBtの使用を通じて、DMF/CH2Cl2の中の1’-ドデシル-β-D-グルクロン酸によりアシル化した。カップリングの完了を、ニンヒドリンによって確認し、生成物をCH2Cl2により広範囲に洗浄した。
【0347】
生成物レジンを、室温で240分間、開裂カクテル(94%TFA:2%EDT;2%H2O;2%TIS)による処置によって、レジンからの最終脱保護及び開列にさらす。混合物をEt2Oにより処置し、生成物を沈殿させ、Et2Oにより広範囲に洗浄し、真空内での乾燥後、未精製の表題のペプチド生成物を得た。
【0348】
精製を、逆相(C18)hplcによって、2つのバッチの中で実行する。未精製のペプチドを、15mL/minの流量(15%の有機的な修飾物質;酢酸バッファー)で、4.1x25cm hplcのカラムに充填し、50℃で60分、15-45%のバッファーBからの勾配により溶出した。生成物画分を凍結乾燥し、分析的なhplc(18.6min;0.1%TFAの中の30-60%CH3CN)/質量分光測定(M+1ピーク=2382.14)によって、純度98.03%を備えた表題生成物のペプチドを得た。
【0349】
表題化合物の対応する1-メチル及び1-オクチルのアナログは、同様の方法で調製されるが、試薬1’-メチルβ-D-グルクロン酸及び1’-オクチルβ-D-グルクロン酸(Carbosynth)を使用する。対応する1-デシル、1-ドデシル、1-テトラデシル、1-ヘキサデシル、1-オクタデシル、及び1-アイコシルのアナログを、対応するグルクロン酸を使用して調製し、上述のように調製する。代替的に、1-アルキルグルクロニル、又は他のウロン酸によりアシル化したアナログは、脱保護された又は部分的に脱保護されたペプチドの最初の精製により、その後、所望のウロン酸試薬によるアシル化により、調製され得る。
【0350】
分析を、以下の表において提供される溶出剤勾配を使用する、陽性イオンモードにおけるHPLC/質量分析によって行った。
【0351】
【0352】
【0353】
0.1%TFAにおけるHPLC勾配
[a]30分にわたり35乃至65%のCH3CN。
[b]20分にわたり30乃至60%のCH3CN。
[c]20分にわたり35乃至65%のCH3CN。
[d]20分にわたり25乃至55%のCH3CN。
[e]20分にわたり40乃至70%のCH3CN。
Phenomenex Luna C18 5micron 250x4.6 mm上のHPLC。
【0354】
実施例5:化合物の細胞アッセイ。
化合物を、およそ1mgの量で正確に重さを量り、標準の細胞アッセイ(Cerep SA)において分析した。読み出し情報は、アゴニスト又はアンタゴニストのモードの何れかにおいて、試験化合物により処置される細胞において生成されるcAMPの量である。使用される分析は、グルカゴン及びGLP-1細胞アッセイにおけるcAMPレベルの刺激であった。分析は、「Chicchi, G.G., et al. (1997) J Biol Chem 272: 7765-7769 and Runge, S., et al. (2003) Br J Pharmacol 138: 787-794」に記載される。
【0355】
化合物EU-A391について、GLCR細胞反応は変化せず、GLP1R細胞反応は、420nMのEC50により急勾配に上昇する。
【0356】
【0357】
【0358】
実施例6:化合物のインビボ(In vivo)アッセイ
60(60)の食事により誘発した肥満のC57BL/6Jのオスのマウスは、生後14週でJAX研究所から得られる。識別のため、マウスの耳に傷をつけ、1つのケージ当たり1匹のマウスの密度でのHEPA除菌空気を備えた、個々に及び積極的に換気したポリカーボネートケージに収容する。動物ルームを、制御した12hの光/暗闇のサイクルにより、人工の蛍光照明で完全に照らす。動物ルーム内の標準温度及び相対湿度の範囲は、それぞれ22±4℃及び50±15%である。水道水を濾過し、2.8乃至3.1のpHに酸性化し、及び高脂肪食(60kcal%)を適宜提供する。
【0359】
2週の順応後、40のマウスを、所望の体重範囲に基づいて選択し、マウスを以下のような群(n=10)へと無作為化する。群1.ビヒクル処置したもの;群2.低用量試験cmpd;群3.中間用量試験cmpd;群4.高用量試験cmpd。マウスに、28日間毎日、皮下投与を介して投薬する。体重及び症状観察(cage side observations)を毎日記録する。食物と水の摂取量を毎週記録する。マウスは、1日目(投薬前)及び26日目に、全身脂肪及び除脂肪組成物(lean composition)を測定するためのNMR測定を受ける。0、14、及び27日目に、経口グルコース負荷試験のためにマウスを一晩絶食させる。翌日、最初の血液サンプルを尾部の傷を介して収集する(t=0)。その後、マウスに、1.0g/kgのグルコースのボーラスを投与する。グルコメーターを使用してグルコース及び血漿グルコースを直ちに測定した後、血液サンプルを、5、30、60、及び120分で尾部の傷を介して得る。
【0360】
犠牲及び組織収集:マウスを29日目に屠殺する。末端の血液を血清/血漿に処理し、アリコートを、グルコース、インスリン、及び脂質の特性の分析のために送達する。脂肪組織を分析のために集め、重さを量り、冷凍する。最適な化合物特性は、OGTTにおけるグルコース可動域の減少、増強したグルコース依存性のインスリン分泌による基礎のインスリン分泌の減少、体重増加の減少、脂肪質量の減少ではあるが除脂肪質量に対する最小の効果を示す。
【0361】
実施例7:化合物の使用
本明細書に記載の共有結合的に修飾したペプチド及び/又はタンパク質は、肥満症に関連する様々な疾患、メタボリック症候群、心疾患、及び糖尿病の予防及び処置に有用である。適切に標識化した、界面活性物質により修飾したペプチドは、診断プローブとして使用され得る。
【0362】
代表的な送達レジメンは、経口、口、非経口(皮下、筋肉内、及び静脈内の注入を含む)、直腸、頬側(舌下腺を含む)、経皮、吸入、眼、及び鼻腔内を含む。ペプチドの送達のための魅力的で、広く使用される方法は、制御放出の注入可能な製剤の皮下注入を要する。本明細書に記載の共有結合的に修飾したペプチド及び/又はタンパク質の適用のための他の投与経路は、皮下、鼻腔内、及び吸入投与である。
【0363】
実施例8:インスリン抵抗性の処置のための医薬品の使用。
インスリン又はメタボリック症候群の証拠を備えるヒト患者を、0.5乃至10mg/mLの医薬品を含み、且つ、ベンジルアルコールなどの標準賦形剤を含む、生理食塩水の中の医薬品の溶液の当該技術分野において使用される標準アトマイザーからの鼻腔内投与(200μl)によって、EU-A596により処置する。肥満症、高血糖などの症状の緩和に必要であるため、処置を繰り返す。同様の方法において、ヒドロフルオロアルカンなどを含む蒸発する溶媒における、EU-A596の溶液、及び選択された賦形剤を、インスリン抵抗性を縮小するために必要とされるものとして、定量噴霧式吸入器(MDI)によって鼻腔内投与する。処置効果を、血糖レベル、体容量指数、及び/又は体重の測定及び/又は腰と臀部の比率の測定を含む、標準試験を使用して測定する。
【0364】
同様の方法において、経頬側、膣内、吸入、皮下、静脈内、眼内、又は経口経路による調節した量の投与を、身体の細胞上のGLP1R及び/又はGLCRの刺激のレベルを測定するため、及び治療効果を測定するために試験する。
【0365】
配列
本明細書は、配列番号1乃至3及び配列番号318乃至343についての配列を提供する。加えて、
図1の表1は、
図1の表1に示されるように、それぞれ配列番号4乃至129を有する化合物EU-A300乃至EU-A425についての配列番号を提供する。
図1の表1の化合物、及び
図1の表1に示されるそれら各々の配列番号は、出願された通りの本明細書に組み込まれる。加えて、
図2の表2は、
図2の表2に示されるように、それぞれ配列番号130乃至317を有する化合物EU-A426乃至EU-599についての配列番号を提供する。
図2の表2の化合物、及び
図2の表2に示されるそれら各々の配列番号は、出願された通りの本明細書に組み込まれる。
【配列表】