(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】クリップ装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/122 20060101AFI20231121BHJP
【FI】
A61B17/122 100
(21)【出願番号】P 2022018973
(22)【出願日】2022-02-09
【審査請求日】2022-02-09
(32)【優先日】2021-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100207789
【氏名又は名称】石田 良平
(72)【発明者】
【氏名】湯淺 勝
(72)【発明者】
【氏名】植草 良嗣
(72)【発明者】
【氏名】安齋 慎矢
(72)【発明者】
【氏名】服巻 拓志
(72)【発明者】
【氏名】新藤 尚吾
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-166003(JP,A)
【文献】国際公開第2018/057370(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/095427(WO,A1)
【文献】特開2020-185036(JP,A)
【文献】特開2013-135864(JP,A)
【文献】特表2008-526376(JP,A)
【文献】特開2002-345828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/122
17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象組織を受け入れるために開いた第一形態と前記対象組織を把持するために閉じた第二形態との間で移動可能な複数のクリップアームを有するクリップユニットと、
前記クリップユニットと接続され
、前記複数のクリップアームを前記第一形態と前記第二形態との間で移動させる操作を行う操作部材と、
ルーメンおよび少なくとも一つの開口端を含み、前記操作部材が挿通されるシースと、
前記複数のクリップアームにそれぞれ設けられ、前記複数のクリップアームが前記第二形態を保つために互いに係合するロック機構と、
前記対象組織が前記ロック機構の間に挟持されることを防ぐ規制機構と、
を備え、
前記複数のクリップアームは、第一アームおよび第二アームを含み、
前記規制機構は、前記第一アームに設けられ、前記第一アームから第一方向に第一距離離れるように延び、
前記第一アームに設けられた前記ロック機構は、前記第一アームから前記第一方向に第二距離離れるように延び、
前記第一距離は前記第二距離より大きいクリップ装置。
【請求項2】
前記ロック機構は、前記第一アームの内面および前記第二アームの内面にそれぞれ設けられている
請求項1に記載のクリップ装置。
【請求項3】
前記規制機構は、第一規制部材および第二規制部材を含み、前記第一規制部材および前記第二規制部材の各遠位端部は、それぞれ前記ロック機構より遠位側に位置する
請求項2に記載のクリップ装置。
【請求項4】
前記規制機構は、第一規制部材および第二規制部材を含み、
前記ロック機構は第一ロック部材および第二ロック部材を含
み、
前記第一形態において、
前記第一規制部材と前記第二規制部材との間の距離は、前記第一ロック部材と前記第二ロック部材との間の距離より小さい
請求項2に記載のクリップ装置。
【請求項5】
前記複数のクリップアームが前記第二形態の時、前記第一規制部材および前記第二規制部材は互いに接触することで、前記遠位側に延びるように変形し、
前記第一規制部材および前記第二規制部材が変形することによって、前記対象組織を前記ロック機構から離れるように押す
請求項3に記載のクリップ装置。
【請求項6】
前記複数のクリップアームが前記第二形態の時、前記第一規制部材と前記第二規制部材とが交差し、前記対象組織が前記ロック機構の間に挟持されることを防ぐ停止バーとしてそれぞれ構成される
請求項3に記載のクリップ装置。
【請求項7】
前記第一規制部材および前記第二規制部材は平坦または円形の端面を有する湾曲バーとしてそれぞれ構成される
請求項5に記載のクリップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、内視鏡用のクリップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本願は、2021年2月12日に米国に出願された仮出願番号63/148,655号に基づく出願であり、米国特許法第119条の下でその仮出願に基づき優先権を主張する。
【0003】
本願は、内視鏡用のクリップ装置に関し、特に、クリップ装置のクリップアームを係止するために改良された機構を備えるクリップ装置に関する。
【0004】
内出血を制御するための止血用クリップが望まれる様々な内視鏡用クリップ装置が知られている。止血用クリップは、自然治癒プロセスを経て創傷を永久に閉じ得るように、創傷を囲む組織を把持し、創傷の縁部を保持する。体内の所望の位置に止血用クリップを搬送し、内視鏡用クリップデリバリーデバイスを抜去した後に体内に止血用クリップを残すことに特化した内視鏡用クリップ装置が用いられている。このような従来の内視鏡用クリップ装置では、止血用クリップは内視鏡処置の前にアプリケータアセンブリの遠位端に搭載されている。止血用クリップが体内の決められた対象領域に留置されると、アプリケータアセンブリには、新たなクリップユニットが再搭載される。
【0005】
従来の内視鏡用クリップ装置は、アプリケータの操作部材の遠位端に対して着脱可能に係合された連結部に基端が接続された一対のクリップアームを含む。クリップアームは、対象組織を把持した時に、一方のロック機構が他方のロック機構に係合するまでクリップアームが他方に向かって引き込まれるように、クリップアームが互いに係止されるロック機構をそれぞれ備えている。クリップアームは一旦ロックされると、所定の閾値以上の力を近位側に付与して、操作部材が連結部から係合解除され、制御部材は新たなクリップユニットに連結される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の内視鏡用クリップ装置のロック機構は、いくつかの不十分な点がある。例えば、従来のロック機構は移動してクリップアームを係止し、対象組織はロック機構間に挟持される。この状況において、ロック機構が適正に機能せず想定外の止血処置が行われ得る。
【0007】
そこで、本開示は、従来の内視鏡用クリップ装置およびクリップユニットの制約事項および不利事項に起因する一以上の課題を概ね取り除く内視鏡用のクリップ装置およびクリップユニットに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の目的は、対象組織を受け入れるために開いた第一形態と前記対象組織を把持するために閉じた第二形態との間で移動可能な複数のクリップアームを有するクリップユニットと、前記クリップユニットと接続され、前記複数のクリップアームを前記第一形態と前記第二形態との間で移動させる操作を行う操作部材と、ルーメンおよび少なくとも一つの開口端を含み、前記操作部材が挿通されるシースと、前記複数のクリップアームにそれぞれ設けられ、前記複数のクリップアームが前記第二形態を保つために互いに係合するロック機構と、前記対象組織が前記ロック機構の間に挟持されることを防ぐ規制機構と、を備えるクリップ装置を提供することである。前記複数のクリップアームは、第一アームおよび第二アームを含み、前記規制機構は、前記第一アームに設けられ、前記第一アームから第一方向に第一距離離れるように延び、前記第一アームに設けられた前記ロック機構は、前記第一アームから前記第一方向に第二距離離れるように延びる。前記第一距離は前記第二距離より大きい。
【0011】
追加的な特徴および優位性は以下の説明に記載され、一部が明らかになり、あるいは、本発明の実施によって理解され得る。内視鏡用のクリップ装置、システム、および方法の目的および他の優位性は、明細書、請求項、および添付の図面に特に示されている構造によって実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るシステムの斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1のシステムに係るアプリケータの側面図である。
【
図7】
図7は、
図6のアプリケータの長手方向の断面図である。
【
図8A】
図8Aは、一実施形態の一対のクリップアームが対象組織を受け入れるために開いている第一形態のクリップユニットを模式的に示す正面図である。
【
図8C】
図8Cは、一実施形態における第一形態のクリップユニットの模式図であり、規制部材が一対のクリップユニット上におけるロック部材よりも近位側に配置された図を示している。
【
図8D】
図8Dは、規制部材とロック部材との間の構造配置の例を模式的に示す斜視図である。
【
図8E】
図8Eは、規制部材とロック部材との間の構造配置の他の例を模式的に示す斜視図である。
【
図9A】
図9Aは、一実施形態の一対のクリップアームによって対象組織を把持している第二形態のクリップユニットを模式的に示す正面図である。
【
図10A】
図10Aは、他の実施形態において、一対のクリップアームが対象組織を受け入れるために開いている第一形態のクリップユニットを模式的に示す正面図である。
【
図11A】
図11Aは、他の実施形態において、一対のクリップアームによって対象組織を把持している第二形態のクリップユニットを模式的に示す正面図である。
【
図12A】
図12Aは、第一実施形態のクリップ装置システムの他の実施例の遠位部の側面図である。
【
図12B】
図12Bは、第一実施形態のクリップ装置システムの他の実施例の遠位部の側面図である。
【
図13A】
図13Aは、更なる実施形態において、一対のクリップアームが対象組織を受け入れるために開いている第一形態のクリップユニットを模式的に示す正面図である。
【
図13B】
図13Bは、一対のクリップアームが閉じて対象組織を把持している第二形態のクリップユニットを模式的に示す正面図である。
【
図14A】
図14Aは、他の実施形態において、一対のクリップアームが対象組織を受け入れるために開いている第一形態のクリップユニットを模式的に示す正面図である。
【
図15A】
図15Aは、他の実施形態において、一対のクリップアームが対象組織を受け入れるために開いている第一形態のクリップユニットを模式的に示す正面図である。
【
図16】
図16は、クリップユニットと一実施形態の内視鏡のチャンネルに挿入された規制レールを模式的に示す図である。
【
図17】
図17は、一実施形態に係るクリップユニットと第一形態の規制レールを模式的に示す図である。
【
図18】
図18は、第二実施形態のクリップ装置システムの他の実施例の遠位部の側面図である。
【
図19A】
図19Aは、例示的な実施形態における一対のクリップアームが対象組織を受け入れるために開いている第一形態のクリップユニットを模式的に示す正面図である。
【
図19B】
図19Bは、一対のクリップアームが閉じて対象組織を把持している第二形態のクリップユニットを模式的に示す正面図である。
【
図19C】
図19Cは、クリップユニットが第二形態へ向かってシースに引き込まれているときの
図19Aのクリップユニットを模式的に示す側面図である。
【
図20A】
図20Aは、一実施形態において、一対のクリップアームが対象組織を受け入れるために開いている第一形態のクリップユニットを模式的に示す正面図である。
【
図20B】
図20Bは、一対のクリップアームが閉じて対象組織を把持している第二形態のクリップユニットを模式的に示す正面図である。
【
図20C】
図20Cは、
図20Aの例と異なる他の実施形態において、第一形態のクリップユニットを模式的に示す正面図である。
【
図21】
図21は、第三実施形態のクリップ装置システムの他の実施例の遠位部の断面図である。
【
図22A】
図22Aは、更なる他の実施形態において、一対のクリップアームが開いている第一形態のクリップユニットを模式的に示す断面図である。
【
図22C】
図22Cは、一対のクリップアームが閉じている第二形態におけるクリップユニットを模式的に示す断面図である。
【
図23】
図23は、一実施形態に係るクリップユニットを用いた内視鏡のアプリケータを模式的に示す斜視図である。
【
図24】
図24は、
図23のアプリケータと共に用いられるクリップユニットを模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面は、明細書の一部を構成し、発明の実施形態の例を図示し、明細書とともに上記一般的な説明および以下の発明の詳細な実施形態の例を説明し、発明の原理を説明するために用いられる。好ましい実施形態の以下の詳細な説明は、同様の符号が同様の要素を示す添付の図面と関連付けて読むことができる。全ての図において、分かりやすくするために構成要素は適宜寸法を調整している。見やすさのために、言及する機能の一部のみに符号を付している場合がある。
【0014】
また、以下で“近位”および“近位側”とは、装置のユーザに向かう方向を示し、“遠位”、“遠位側”とは、装置のユーザから遠ざかる方向を示す。文言“患者”は、あらゆる生物を含む。患者はヒトおよび動物を含み得る。
【0015】
図1は、クリップ装置システム100の一例を示す斜視図である。
図2は、クリップ装置システム100の一例を示す側面図である。
図1及び
図2に示すように、クリップ装置システム100は、クリップユニット102、アプリケータ104、およびカートリッジ106を含む。対象組織を挟むためにクリップ装置システム100が体内に挿入される前に、クリップユニット102は、アプリケータ104の遠位部に装填可能である。アプリケータ104は、クリップユニット102を患者の体内に留置した後、同じアプリケータ104を用いて、患者の対象組織の第二の部位に新しいクリップユニット102を搬送できるように、新しいクリップユニット102をアプリケータ104に装填可能である。本実施形態に係る各クリップユニット102は、アプリケータ104へのクリップユニット102の装填を容易にするカートリッジ106に収納されていてもよい。
【0016】
具体的には、
図1に示すように、クリップユニット102は、アプリケータ104に装填される前に、カートリッジ106に収納されている。カートリッジ106は、例えば、クリップユニット102が安全に保管可能な補完容器である。一実施形態において、クリップユニット102は、第一形態(組織受入形態、開形態)でカートリッジ106内に収容されている。カートリッジ106は、クリップユニット102をアプリケータ104に装填する為に、アプリケータ104の遠位部(例えば、操作部材110の遠位端およびシース108の遠位端)が近位端174に挿入可能に構成されている。操作部110の遠位端118がクリップユニット102のコネクタ116に一旦連結されると、クリップユニット102がカートリッジ106から離脱するために、クリップユニット102が第二形態(組織把持形態、閉形態)へ向かって取り込まれる。
【0017】
アプリケータ104は、遠位端部に設けられたシース108と、シース108内に延びる操作部材110とを含む。クリップユニット102は、操作部材110の遠位端118と離脱可能にコネクタ116に接続される近位端114を含む。クリップユニット102が一度操作部材110に接続されると、クリップユニット102は、シース108に対して第一形態と第二形態との間で移動する。第一形態は、一対のクリップアーム112が対象組織を受け入れるために開いた組織受入形態である。第二形態は、対象組織を一対のクリップアーム112で挟持するための組織把持形態である。
【0018】
図3~7に示すように、アプリケータ104は、シース108と、シース108から近位側に延びる可撓性部材120と、シース108および可撓性部材120内を通る操作部材110とを含む。可撓性部材120の近位端は、例えば、スプール124等のアクチュエータを含むハンドル部材122に接続されている。一例として、スプール(スライダ)124は操作部材110の近位端126に接続され、クリップユニット102が一度アプリケータ104に接続されると、スプール124がハンドル部材122上を長手方向に摺動されることによって、クリップユニット102を第一形態(組織受入形態)と第二形態(組織把持形態)との間で移動させる。具体的には、スプール124がハンドル部材122上を摺動することによって、操作部材110が移動し、その結果クリップユニット102が第一形態と第二形態との間で移動するようにシース108に対して相対移動する。
【0019】
一実施形態において、
図6及び
図7に示すように、ハンドル部材122は、スプール124と相互作用し、クリップ装置システム100のユーザにシース108に対するコネクタ116の位置を感覚フィードバックする位置決め部128を含む。例えば、感覚フィードバックにより、ユーザがクリック感を感じる。位置決め部128は、外表面から径方向外側に向かって延びており、変形可能な突起を含む。所定の閾値を超える力が位置決め部128に掛かるときに、突起が変形してスプール124が摺動し得る。クリップユニット102の無負荷時、スプール124はハンドル部材122上をスライド可能である。しかし、スプール124の遠位面130が突起部分に当接しているときは、位置決め部128は、シース108が完全に遠位側に出ることなく、コネクタ116がシース108に対して最も遠位位置にあることを示す感覚フィードバックをユーザに付与する。言い換えると、クリップユニット102がシース108から完全に遠位側に出ることなく(例えば、クリップユニット102がシース108から離れることなく)、クリップユニット102が最大開形態になる。
【0020】
さらに、ハンドル部材122の一部が切り欠かれて凹部が形成されていてもよく、屋根形状のカバーである蓋部材129がハンドル部材122に嵌合して凹部を覆う。蓋部材129は、蓋部材129の近位端に形成された突起129aを有する。突起129aは、蓋部材129がハンドル部材122から外れることを防ぐように、位置決め部128と係合可能に構成されている。
【0021】
可撓性部材120(例、
図1および3)は、内部に操作部材110が遠位端118から近位端126へ延びるワイヤコイルとして形成されていてもよい。当業者の理解として、ワイヤコイルは、体内の蛇行経路であっても通過可能なように十分な可撓性を有することが好ましい。本実施形態では、ワイヤコイルは、内視鏡又は他の挿入装置のチャンネルを通過可能な大きさ及び形を有する。可撓性部材120は、ワイヤコイルとして図示しているが、可撓性部材120はクリップユニット102から操作部材110に対して十分な張力を付与する圧縮力が掛けられるものであれば、他の好適な可撓性構造を適用可能であることは、当業者に理解され得る。アプリケータ104はスプール124を含む例を示しているが、アプリケータ104は、クリップアーム112の移動を制御するために操作部材110を移動させるための他の多様な作動機構を含んでもよい。
【0022】
操作部材110は、コネクタ116取り外し可能に連結された遠位端118からスプール124に接続された近位端126まで延びている。遠位端118は、コネクタ116の対応要素に取り外し可能に連結される大きさおよび形を有する。一実施形態では、遠位端118は、コネクタ116において、対応する形のソケット内で受け止め可能な拡大球のような形に形成されてもよい。しかしながら、遠位端118がコネクタ116に取り外し可能に連結されれば、遠位端118は他の多様な形状および大きさを有してもよいことは当業者に理解され得る。
【0023】
図2に示すように、コネクタ116は、近位端114に接続され、近位側に延びて操作部材110の遠位端118を内部に受け入れる遠位端148を含む。コネクタ116は、操作部材110の遠位端118を受け入れるように分離可能な対向部162を介して画成された長手スロット160を含む。長手スロット160は、遠位端118を受け入れる大きさおよび形を備える空間166へ向かって近位開口164から延びる。一実施形態では、遠位端118は、空間166の対応する形及び大きさのソケット内に受け入れられるボールとして構成されている。スロット160の近位開口164は、空間の断面領域よりも小さい断面領域(例えば、直径)を有する。対向部162は、操作部材110の遠位端118を受け入れて分離可能であり、互いの方向に付勢されており、遠位端118が一度、遠位側に通過して空間166内に入ると対向部162は弾性力で元に戻り、空間166内の遠位端を係止して、操作部材110がコネクタ116に連結される。これにより、シース108に対する操作部材110の長手方向の移動は組織受入形態と組織把持形態との間におけるクリップアーム112の移動を制御する。
【0024】
本実施形態では、操作部材110の遠位端118が近位開口164を介してコネクタ116に挿入されていてもよい。操作部材110が所定の閾値よりも小さい力で遠位側に押されてコネクタ116内に入る時、遠位端118が近位開口164を通過して空間166内に進入可能に長手スロット160の近位開口164が変形する。一実施形態では、遠位端118が近位開口164を通過して空間166内に進入可能となるように、長手スロット160を画成する対向部162が互いに離れてもよい。一度、遠位端118を空間166内に受け入れると、長手スロット160は元の大きさに戻り、操作部材110の遠位端118を保持する。
【0025】
図4および
図5に示すように、シース108は、可撓性部材120の遠位端134に接続された近位端132から近位端136まで長手方向に延び、内部に連通するルーメン138を含む。ルーメン138は、少なくともクリップユニット102の一部を受け入れ可能な大きさおよび形を有する。ルーメン138は、ルーメン138の近位部に沿い、近位部に向かってルーメン138の断面積が小さくなる肩部176を含み、コネクタ116は肩部176の近位側へ通過できない。シース108は、可撓性部材120の遠位端134に取り付けられるハイポチューブとして構成されている。シース108は、可撓性が増加するようにレーザーカットされていてもよい。例えば、シース108は、シース108に沿って螺旋状に延びる切り欠きを含み、シース108が長手方向に可撓性を有していてもよい。さらに、シース108は、例えば、シース108内に挿通される複数の金属撚り線とコイルシースとの間に設けられたPTFE管を含むコイルシースでもよい。複数の金属ワイヤの撚り線は、潤滑剤としてシリコンコーティングされていてもよい。
【0026】
図2に示すように、クリップユニット102は、コネクタに接続された近位端114を有する一対のクリップアーム112を含む。一実施形態では、一対のクリップアーム112は、一つの素材片を近位端114で半分に曲げて2つのクリップアーム112を形成してもよい。コネクタ116は、二つのクリップアーム112を形成するために素材片が曲げられた位置(例えば、近位端114)で上記一つの素材片と接続されている。クリップアーム112は、上記一つの素材片で形成された例を図示したが、一対のクリップアーム112は、2つの分離した素材により形成され、コネクタ116を介して互い近位端同士が接続されて形成されていてもよい。
【0027】
本実施形態のクリップアーム112は、シース108が引き込まれない時は、各クリップアーム112の遠位端140が互いに離れて組織受入形態となるように付勢されている。シース108が引き込まれたとき、シース108は、クリップアーム112を拘束し、各クリップアーム112の遠位端140が近付いた状態を保持して組織把持形態にする。コネクタ116は、シース108のルーメン138と共に長手方向に摺動可能でありクリップアーム112を組織受入形態と組織把持形態との間で移動させる。クリップアーム112の各遠位端140は、互いの間に対象組織を挟持し易くするために、他方のクリップアーム112の遠位端140に向かって径方向内側に突出してもよい。遠位端140は、例えば、複数の歯および/または複数の突起等の様に他の挟持機能更に含んでもよい。
【0028】
クリップアーム112は、クリップユニット102が組織把持形態のときに一対のクリップアームを係止するロック機構を含んでもよい。本実施形態の例では、
図2に示すように、ロック機構は、クリップアーム112を組織把持形態に係止するための対応嵌合部150,152(一対の係止部材)を含む。一方のクリップアーム112は、雄係止部150を含み、他方のクリップアーム112は雌係止部152を含む。特に、雄係止部150は、第一のクリップアーム112上に、第二のクリップアーム112に向かって延びて設けられ、一対の突起を含む。雌係止部152は、第二のクリップアーム112上に内面から第一のクリップアーム112に向かって延びて設けられている。雌係止部152は、一対の突起を受け入れ可能な大きさ及び形の開口を含む。
【0029】
加えて、各アーム112上に、規制機構およびロック機構がアームから離れる方向に異なる長さで延びている。例えば、
図2に示すように、規制機能の規制部材181が第一アーム112aから第一方向に離れて第一距離d1で延びており、ロック機構の嵌合部150が第一アーム112aから第一方向に離れて第二距離d2で延びている。第一距離d1は第二距離d2より大きい。
【0030】
一対のプロングは、変形可能であり、一対のプロングが開口を一度通過して初期形態に戻ると、雄係止部材150が雌係止部材152内に係止される。雄係止部材150および雌係止部材152は、特に、一対のクリップアーム112同士が所定の閾値の距離を超えて近付くように引き込まれた場合のみ雄係止部材150と雌係止部材152とが係合するように構成されている。したがって、一対のクリップアーム112は、クリップユニット102が組織把持形態にロックされる前は、組織受入形態と組織把持形態との間で必要に応じて何度も移動可能である。
【0031】
クリップユニット102は、上記ロック機構150、152を含む例を示したが、クリップアーム同士を互いに係止するための対応する嵌合部は各種形態を含むことは、当業者に理解され得る。
【0032】
クリップユニット102は、ロック機構と同期して操作され、クリップユニット102がシース108に引き込まれて一対のクリップアーム112が組織把持形態に向かって閉じたときに、対象組織がロック機構間に挟持されることを防ぐように構成されている。上記に詳細に記載したように、規制部材は、ロック機構間に対象組織が教示されることを防ぐ好適な規制機構であれば、異なる形態を備えてもよく、ロック機構との位置関係が異なる位置に配置されてもよい。
【0033】
(第一実施形態)
図8Aは、第一実施形態において、一対のクリップアームが対象組織を受け入れるために開いている第一形態のクリップユニットを模式的に示す正面図である。
図8Bは、
図8AのA-A線の拡大断面図である。第一実施形態において、クリップユニット102は一対のクリップアーム112上に設けられた規制部材を含む。具体的には、規制機構は、第一規制部材181および第二規制部材182を含む。第一規制部材181は、第一のクリップアーム112の内面に配置されて第二のクリップアーム112に向かって延びている。第二規制部材182は、第二のクリップアーム112の内面に配置されて第一のクリップアーム112に向かって延びている。第一規制部材181および第二規制部材182は、それぞれロック機構150,152よりも遠位側に設けられている。あるいは、規制部材181、182は、それぞれロック機構150,152の遠位端側に取り付けられていてもよい。
【0034】
さらに、
図8Cに示すように、第一規制部材181および第二規制部材182は、ロック部材150,152よりも近位側の一対のクリップアーム112上にそれぞれ配置されていてもよい。この場合、第一規制部材181aおよび第二規制部材181bは、ロック部材150,152よりも遠位側に配置される。
図8Dは、規制部材181,182とロック部材150,152との間の構造配置の例を模式的に示す斜視図である。
図8Dに示すように、規制部材181,182はそれぞれ、対応するロック部材150,152が対応する規制部材181,182と干渉することなく一方のクリップアーム112の内面から開口部を通って延びる大きさおよび形を有する。
図8Eは、各規制部材181,182とロック部材150,152との間の構造配置例を模式的に示す斜視図である。
図8Eに示すように、ロック部材150,152は、対応するクリップアーム112の二面に取り付けられており、規制部材181,182が、それぞれロック部材150,152と干渉することなく、対応するロック部材150,152を通過して遠位方向に延びる。
【0035】
上述の通り、クリップユニット102が第一形態であるとき、一対のクリップアーム112は、対象組織200を受け入れ可能に開いている。詳細は以下に示すが、第一規制部材181および第二規制部材182は、一対のクリップアーム112が対象組織200を挟持するように閉じるように移動するとき、対象組織200をロック機構150、152間に挟持することを防ぐ大きさおよび形を有する。
【0036】
この実施形態において、第一規制部材181および第二規制部材182は、一対のクリップアーム112が対象組織200を受け入れて把持するように移動するとき、対象組織200を傷つけることがないように対象組織200に接触する平坦/円形の端面を有する湾曲バーとしてそれぞれ構成されている。本発明は、前端面が平坦/円形に限定されない。各規制部材181、182の前端面の形状は、規制部材181,182が対象組織200に望まない損傷を最小限に抑えるあるいは防ぐ形状であればよい。加えて、規制部材181,182が湾曲バーであると、規制部材(つまり、クリップアーム112に取り付けられていない端部)がクリップユニット102の遠位端面に向かうことが可能(つまり、対象組織200がクリップユニット102によって受け入れられるような開口に向かうことが可能)、あるいは、クリップユニット102の近位端に向かうことが可能(つまり、コネクタ116に接続された近位端114に向かうことが可能)なように湾曲可能である。
【0037】
第一および第二規制部材181,182は、上述の一対のクリップアームを形成可能な一つの素材片で形成されていてもよい。あるいは、一対の規制部材181,182は、クリップアーム112と異なる材料で形成され、接着剤または半田付けによってクリップアーム112に取り付けられていてもよい。
【0038】
第一および第二規制部材181,182は、可撓性および変形可能な材料からなり、好適な生体適合性を有する任意の材料、例えば、金属、炭素繊維、ガラス繊維、あるいはセラミック等、およびそれらの混合物のフィラー等および高分子ポリマーを含む材料により形成されていてもよいが、これらの材料に限定されない。金属は、コバルトクロム合金、ニッケルチタン合金、チタン、ステンレス鋼等を含んでもよい。有用な高分子材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナフタレンジカルボキシラートε誘導体(例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリトリメチレンナフタレートおよびトリメチレンジオールナフタレート)、ポリウレタン、ポリ尿素、シリコーンゴム、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルデヒド、天然ゴム、ポリエステル共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリエーテル、全部または一部ハロゲン化されたポリエーテル、ポリアミド/ポリエーテルポリエステル、およびその共重合体とそれらの組み合わせ、およびABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)を含むが、これに限定されない。
【0039】
図9Aは、第一実施形態の一対のクリップアームによって対象組織を把持している第二形態のクリップユニットを模式的に示す正面図である。
図9Bは、
図9AのB-B線の拡大断面図である。
図9Aに示すように、一度対象組織200がクリップアーム112の間に受け入れられると、操作部材110がクリップユニット102に対して近位側に移動することによって、クリップユニット102は、対象組織200が一対のクリップアーム112で把持される第二形態に向かって移動する。一対のクリップアーム112が互いに閉じ、かつ遠位側に延びるように変形するため、第一規制部材181および第二規制部材182は互いに接触するように移動し、ロック機構150,152から離れて対象組織を押す。
図9Bに示すように、規制部材181,182は、互いに接触し、ロック機構150,152の前方で停止バーを形成する。規制部材181,182によって形成された停止バーは、ロック機構150,152間の領域に対象組織200が進入することを止めることができるため、対象組織200がロック機構150,152間に挟持されることを防ぐ。
【0040】
また、第一および第二規制部材181,182は、可撓性および変形可能(つまり、互いの方向に移動可能)であってもよい。一対のクリップアーム112がさらに互いに近付くように閉じられたとき、
図9Aに示すように、規制部材181,182によって形成された停止バーは、対象組織がロック機構150,152からは離れた状態を保持しながらさらに遠位側に移動する。
【0041】
対象組織200の所望の位置(例えば、出血している傷の反対側の組織の一部)がクリップアーム112によって把持されたことが確認出来たら、操作部材110は(スプール124を介して)クリップアセンブリ102(クリップユニット)に対してさらに近位側に引き込まれてクリップアセンブリ102が閉形態にロックされる。つまり、クリップアーム112はロック機構150,152が互いに係合してクリップアーム112が互いにロックされるまで、スリーブ1088内にさらに引き込まれる。
【0042】
図10Aは他の実施形態において、一対のクリップアームが対象組織を受け入れるために開いている第一形態のクリップユニットを模式的に示す正面図である。
図10Bは、
図10AのC-C線の拡大断面図である。
図11Aは、他の実施形態において、一対のクリップアームによって対象組織を把持している第二形態のクリップユニットを模式的に示す正面図である。
図11Bは、
図11AのD-D線に沿う断面図である。
【0043】
この変形例において、
図10Bに示すように、規制部材181は、第二のクリップアーム112上に配置された規制部材182の位置と異なる位置で、第一のクリップアーム112上に設けられている。したがって、一対のクリップアーム112が対象組織200を把持するように閉じられた第二形態に向かってクリップユニット102が引き込まれたとき、規制部材181,182は、互いに接触しない。
図11Aおよび
図11Bに示すように、第二形態では規制部材181,182は互いに交差し、ロック機構150、152が互いに係合したときにロック機構150,152間に対象組織200が挟持されることを防ぐ停止バーとして機能する。
【0044】
図12Aおよび
図12Bは、第一実施形態のクリップ装置システムの他の実施例の遠位部の側面図である。クリップ装置システム100は、アプリケータ104の遠位端に取り付けられたクリップユニット102を含む。例えば、クリップユニット102は、コネクタ116を介して操作部材110に接続されている。操作部材110は、アプリケータ104の全域内を移動可能である。操作部110は、例えば、クリップユニット102が通路10cの少なくとも一部に引き込まれる、あるいは、操作部材110の遠位端の開口から引き出されるように移動する操作を行う。停止部56は、クリップユニット102の後退方向の移動距離を規定するように機能する。
【0045】
図12Aおよび
図12Bに示すように、クリップユニット102は、2つのクリップアーム112a,112bを有し、2つのクリップアーム112a、112bの基部は、回動接続部142a周りに互いに相対回動可能に構成されている。加えて、クリップユニット102は、操作部材110に対して、回転接続部142b周りに回動可能および/または回転可能である。本実施形態では、クリップアーム112a,112bにおける溝または経路144は、クリップアーム112a,112bの動作、つまり、クリップアーム112a,112bが開位置から移動し、つまり第二形態となる動作に対応する。加えて、クリップユニット102は、操作部材110に対して、回転接続部142b周りに回動可能および/または回転可能である。
【0046】
本明細書で示す他の実施形態と同様に、各クリップアーム112a、112bは、クリップユニット102が組織把持形態であるときに、一対のクリップアームを係止するロック機構を含み、ロック機構は、クリップアーム112を係止するための、対応する嵌合部150,152(例えば、一対の係止部材-雄係止部150および雌ロック部係止部152)を含む。本明細書で示した他の実施形態と同様に、各クリップアーム112a,112bは、一対のクリップアーム112a,112b上に規制機構も含む。具体的には、規制機構は、第一規制部材181および第二規制部材182を含む。ここで示すロック機構および規制機構の実施形態のいずれも
図12Aおよび
図12Bに示した実施形態のクリップユニット102において適用可能である。いくつかの実施形態では、クリップユニット102は、組織がクリップユニット102の近位側に進入することを抑制し、かつ、クリップユニット102の回動に干渉することを抑制する一つの規制機構(例えば
図12Bに示した第一規制部材181および第二規制部材182)のみを含む。構造的特徴、構成、操作等、その他の点では、
図12Aおよび
図12Bに示すクリップユニット102およびクリップアーム112a,112bの実施形態は
図2から
図11を参照した上述の第一実施形態の構造的特徴、構成、および操作と同様である。
【0047】
(第二実施形態)
図13Aは、第二実施形態において、一対のクリップアームが対象組織を受け入れるために開いている第一形態のクリップユニットを模式的に示す正面図である。
図13Bは、第二実施形態において、一対のクリップアームが閉じて対象組織を把持している第二形態のクリップユニットを模式的に示す正面図である。
【0048】
第二実施形態において、規制部材はロック機構150をロック機構152に接続する規制レール184である。規制レール184は、バー形状であり、ロック機構150、152同士の間の停止バーとして機能する。規制レール184は、対象組織200がロック機構150,152間に進入すること阻止可能であるため、対象組織200がロック機構150,152間に挟持されることを防ぐ。
【0049】
図13Aに示すように、クリップユニット102は、一方の端部がロック機構150の先端に取り付けられ、他方の端部がロック機構152上に形成された貫通孔(またはスロット)を通過している。この形態例によって、規制レール184は、対象組織200がロック機構150,152間に進入すること阻止可能な停止バーとして機能し、対象組織200がロック機構150,152間に挟持されることが防がれる。
【0050】
規制レール184の一端は、接着剤、加熱処理、またはプレス処理によってロック機構150の先端に貼り付けられている。貫通孔はロック機構152の開口の一部である。ロック機構152の開口は、ロック機構150を内部に受け入れ可能な大きさおよび形を有し、規制レール184が内部に挿通可能に構成されている。
【0051】
図13Bに示すように、一対のクリップアーム112が対象組織200を把持するように閉じられた第二形態に向かって、クリップユニット102が基端側に引き込まれているとき、規制レール184はロック機構152の開口を通過し、その間、対象組織200がロック機構150,152間に挟持されることが規制レール184によって防止される。ロック機構150,152同士が一度係合すると、規制レール184はクリップユニット102の外側に移動する。
【0052】
規制レール184は、可撓性および変形可能な材料からなり、好適な生体適合性を有する任意の材料、例えば、金属、炭素繊維、ガラス繊維、あるいはセラミック等、およびそれらの混合物のフィラー等および高分子ポリマーを含む材料により形成されていてもよいが、これらの材料に限定されない。金属は、コバルトクロム合金、ニッケルチタン合金、チタン、ステンレス鋼等を含んでもよい。有用な高分子材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナフタレンジカルボキシラートε誘導体(例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリトリメチレンナフタレートおよびトリメチレンジオールナフタレート)、ポリウレタン、ポリ尿素、シリコーンゴム、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルデヒド、天然ゴム、ポリエステル共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリエーテル、全部または一部ハロゲン化されたポリエーテル、ポリアミド/ポリエーテルポリエステル、およびその共重合体とそれらの組み合わせ、およびABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)を含むが、これに限定されない。
【0053】
図14Aは、他の実施形態において、一対のクリップアームが対象組織を受け入れるために開いている第一形態のクリップユニットを模式的に示す正面図である。
図14Bは、
図14Aに示すE-E線に沿う断面図である。
【0054】
この変形例では、
図14Aおよび
図14Bに示すように、一対の規制レール186は、一方の端部がロック機構150の対応する側に取り付けられ、他方の端部が、ロック機構152の対応する貫通孔に挿通されている。または、一対の規制レール186の各他端は、対応するロック機構152及び一対のクリップアーム112の第二端上に形成された溝上を通る。
【0055】
規制レール186の一端は、接着剤、加熱処理、またはプレス処理によってロック機構150の対応する側に貼り付けられている。対応する貫通孔はロック機構152の開口の一部である。ロック機構152の開口は、ロック機構150を内部に受け入れ可能な大きさおよび形を有し、規制レール186が内部に挿通可能に構成されている。あるいは、溝は、ロック機構152および第二の一対のクリップアーム112内を規制レール186が挿通可能な形状および大きさを有する。
【0056】
本発明は、一対の規制レール186を有する例に限定されない。本発明は、一端がロック機構150に取り付けられ、他端がロック機構152の貫通孔に挿通された一つの規制レール186であってもよい。あるいは、一つの規制レール186の他端がロック機構152の一端上に形成された溝および一対クリップアーム112の第二端上を挿通してもよい。
【0057】
規制レール186は、可撓性および変形可能な材料からなり、好適な生体適合性を有する任意の材料、例えば、金属、炭素繊維、ガラス繊維、あるいはセラミック等、およびそれらの混合物のフィラー等および高分子ポリマーを含む材料により形成されていてもよいが、これらの材料に限定されない。金属は、コバルトクロム合金、ニッケルチタン合金、チタン、ステンレス鋼等を含んでもよい。有用な高分子材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナフタレンジカルボキシラートε誘導体(例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリトリメチレンナフタレートおよびトリメチレンジオールナフタレート)、ポリウレタン、ポリ尿素、シリコーンゴム、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルデヒド、天然ゴム、ポリエステル共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリエーテル、全部または一部ハロゲン化されたポリエーテル、ポリアミド/ポリエーテルポリエステル、およびその共重合体とそれらの組み合わせ、およびABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)を含むが、これに限定されない。
【0058】
図15Aは、他の実施形態において、一対のクリップアームが対象組織を受け入れるために開いている第一形態のクリップユニットを模式的に示す正面図である。
図15Bは、
図15Aに示すF-F線に沿う断面図である。
【0059】
本変形例において、
図15Aおよび
図15Bに示すように、溝260は、各ロック機構150,152の一方側に形成されており、規制レール188は、一方のロック機構150の溝260に取り付けられる一端と、他のロック機構152の溝260に挿通される他端とを有する。
【0060】
規制レール188の一端は、接着剤、加熱処理、またはプレス処理によってロック機構150の溝260先端に貼り付けられている。溝260は、規制レール188がロック機構152および一対のクリップアーム112第二の端部の内部を通過可能な大きさおよび形を有する。
【0061】
規制レール188は可撓性および変形可能な材料からなり、好適な生体適合性を有する任意の材料、例えば、金属、炭素繊維、ガラス繊維、あるいはセラミック等、およびそれらの混合物のフィラー等および高分子ポリマーを含む材料により形成されていてもよいが、これらの材料に限定されない。金属は、コバルトクロム合金、ニッケルチタン合金、チタン、ステンレス鋼等を含んでもよい。有用な高分子材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナフタレンジカルボキシラートε誘導体(例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリトリメチレンナフタレートおよびトリメチレンジオールナフタレート)、ポリウレタン、ポリ尿素、シリコーンゴム、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルデヒド、天然ゴム、ポリエステル共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリエーテル、全部または一部ハロゲン化されたポリエーテル、ポリアミド/ポリエーテルポリエステル、およびその共重合体とそれらの組み合わせ、およびABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)を含むが、これに限定されない。
【0062】
図16は、クリップユニットと一変形例の内視鏡のチャンネルに挿入された規制レールを模式的に示す図である。
図17は、一変形例に係るクリップユニットと第一形態の規制レールを模式的に示す図である。
図16および
図17に示すように、使用時、クリップユニット102をアプリケータ104に取り付けた後、閉形態のクリップユニット102がシース108の遠位端に設けられ、一対のクリップアームがシース108の開口端222から突出する。この構成において、クリップユニット102を内視鏡(または他の挿入装置)の挿入部240のチャンネル230に挿通し、体内(例えば、生体管路)に挿入して、把持対象となる組織の対象部位の近傍までクリップユニット102を挿入する。規制レール184は、ロック機構150、152に接続され、クリップユニット102とチャンネル230の内面間に配置可能変形する。挿入部240が把持対象部位の近傍に一度到達すると、クリップユニット102は内視鏡先端部242を通してチャンネル230から押し出され、かつ、一対のクリップアーム112が使用のために開く。
【0063】
図18は、第二実施形態のクリップ装置システムの変形例の遠位部の側面図である。クリップ装置システム100は、アプリケータ104の遠位端に取り付けられたクリップユニット102を含む。例えば、クリップユニット102は、コネクタ116を介して操作部材110に接続されている。操作部材110は、アプリケータ104の全域内を移動可能である。操作部110は、例えば、クリップユニット102が通路10cの少なくとも一部に引き込まれる、あるいは、操作部材110の遠位端の開口から引き出されるように移動する操作を行う。停止部56は、クリップユニット102の後退方向の移動距離を規定するように機能する。
【0064】
図18に示すように、クリップユニット102は2つのクリップアーム112a,112bを有し、二つのクリップアーム112の基部が回転接続部142a周りに互いに回動可能である。本実施形態で示すように、クリップアーム112a,112bにおける溝または経路144は、クリップアーム112a,112bの開位置、つまり第一形態から移動しで閉位置、つまり第二形態となる動作に対応する。加えて、クリップユニット102は、操作部材110に対して、回転接続部142b周りに回動可能および/または回転可能である。
【0065】
本明細書で示した他の実施形態と同様に、各クリップアーム112a,112bは、クリップユニット102が組織把持形態であるときに、一対のクリップアームを係止するロック機構を含み、ロック機構は、クリップアーム112を係止するための、対応する嵌合部150,152(例えば、一対の係止部材-雄係止部150および雌係止部152)を含む。本明細書で示した他の実施形態と同様に、クリップアーム112a,112bの一つは、一対のクリップアーム112a,112b上に規制機構も含む。具体的には、規制機構は、規制レール184を含む。ここで示すロック機構および規制機構の実施形態のいずれも
図18に示した実施形態のクリップユニット102において適用可能である。いくつかの実施形態では、クリップユニット102は、規制機構(例えば
図13A~13B、14A~14B、および
図16~17に示す規制レール184あるいは、
図15A~15Bに示す規制レール188)を含む。構造的特徴、構成、操作等、その他の点では、
図18に示すクリップユニット102およびクリップアーム112a,112bの実施形態は
図13A~17を参照した上述の第二実施形態の構造的特徴、構成、および操作と同様である。
【0066】
(第三実施形態)
図19Aは、第三実施形態における一対のクリップアームが対象組織を受け入れるために開いている第一形態のクリップユニットを模式的に示す正面図である。
図19Bは、一対のクリップアームが閉じて対象組織を把持している第二形態のクリップユニットを模式的に示す正面図である。
図19Cは、クリップユニットが第二形態へ向かってシースに引き込まれているときの
図19Aのクリップユニットを模式的に示す側面図である。
図19Dは、クリップユニットが第二形態のときの
図19Aのクリップユニットを模式的に示す側面図である。
【0067】
第三実施形態において、ロック機構150,152は第一及び第二実施形態のロック機構よりも近位側に位置するように調整されおり、シース108内でロック機構150,152同士が係合している。シースの開口端は、対象組織200が開口を通じてシース108内に進入できない大きさ及び形であるため、この位置調整によって、シース108の開口端222は、規制機構となり、対象組織200がロック機構150,152間に挟持されることを防ぐ。
【0068】
図19A~19Dに示すように、クリップユニット102が近位側に引き込まれてシース108に入ると、一対のクリップアーム112が閉形態に向かって移動する。ロック機構150,152の中間に突出した対象組織200の部分が存在しても、ロック機構150,152は、シース108内で互いに係合するように調整されているため、対象組織200の当該部分は、開口端222によってシース108の外部でブロックされる。
【0069】
図20Aは、他の実施形態において、一対のクリップアームが対象組織を受け入れるために開いている第一形態のクリップユニットを模式的に示す正面図である。
図20Bは、一対のクリップアームが閉じて対象組織を把持している第二形態のクリップユニットを模式的に示す正面図である。
【0070】
図20Aおよび20Bに示すように、シース108の開口端222は、開口端222を一対のクリップアーム112のうちの第一のクリップアーム用の第一開口222aと、一対のクリップアーム112のうちの第二のクリップアーム用の第二開口222bとに均等に仕切る仕切部材である規制部材190(
図20Aの枠Iおよび
図20Bの枠II参照)を含む。第一開口222aは、一対のクリップアーム112のうちの第一のクリップアームおよびロック機構150が通過可能な大きさおよび形状を有し、第二開口222bは、一対のクリップアーム112のうちの第二のクリップアームおよびロック機構152が通過可能な大きさおよび形状を有する。この構成によって、ロック機構150,152の中間に突出した対象組織200の部分が存在しても、ロック機構150,152は、シース108内で互いに係合するように調整されているため、対象組織200の当該部分は、規制部材190によってシース108の外部でブロックされる。
【0071】
図20Cは、
図20Aの例と異なる変形例において、第一形態のクリップユニットを模式的に示す正面図である。
図20Cに示すように、シース108の開口縁222は、2つの規制部材191および192(
図20Cの枠III参照)を含む。規制部材191は、開口端222から開口端222の中心軸Oに向かって内側に延びるバー形状の部材である。規制部材192も、開口端222から開口端222の中心軸Oに向かって内側に延びるバー形状の部材であり、規制部材191に接触することなく対向する。この構成によって、ロック機構150,152の中間に突出した対象組織200の部分が存在しても、ロック機構150,152は、シース108内で互いに係合するように調整されているため、対象組織200の当該部分は、規制部材191,192によってシース108の外部でブロックされる。
【0072】
規制部材190は、シース108と一体に形成され、あるいは、接着剤、加熱処理、またはプレス処理によって開口端222に固着されていてもよい。規制部材191,192もシース108と一体に形成され、あるいは、接着剤、加熱処理、またはプレス処理によって開口端222に固着されていてもよい。
【0073】
規制レール190は、可撓性および変形可能な材料からなり、好適な生体適合性を有する任意の材料、例えば、金属、炭素繊維、ガラス繊維、あるいはセラミック等、およびそれらの混合物のフィラー等および高分子ポリマーを含む材料により形成されていてもよいが、これらの材料に限定されない。金属は、コバルトクロム合金、ニッケルチタン合金、チタン、ステンレス鋼等を含んでもよい。有用な高分子材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナフタレンジカルボキシラートε誘導体(例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリトリメチレンナフタレートおよびトリメチレンジオールナフタレート)、ポリウレタン、ポリ尿素、シリコーンゴム、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルデヒド、天然ゴム、ポリエステル共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリエーテル、全部または一部ハロゲン化されたポリエーテル、ポリアミド/ポリエーテルポリエステル、およびその共重合体とそれらの組み合わせ、およびABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)を含むが、これに限定されない。
【0074】
図21は、第三実施形態のクリップ装置システムの他の実施例の遠位部の側面図である。クリップ装置システム100は、アプリケータ104の遠位端に取り付けられたクリップユニット102を含む。例えば、クリップユニット102は、コネクタ116を介して操作部材110に接続されている。操作部材110は、アプリケータ104の全域内を移動可能である。操作部110は、例えば、クリップユニット102が通路10cの少なくとも一部に引き込まれる、あるいは、操作部材110の遠位端の開口から引き出されるように移動する操作を行う。停止部56は、クリップユニット102の後退方向の移動距離を規定するように機能する。
【0075】
図21に示すように、クリップユニット102は2つのクリップアーム112a,112bを有し、二つのクリップアーム112の基部が回転接続部142a周りに互いに回動可能である。本実施形態で示すように、クリップアーム112a,112bにおける溝または経路144は、クリップアーム112a,112bの開位置、つまり第一形態から移動しで閉位置、つまり第二形態となる動作に対応する。加えて、クリップユニット102は、操作部材110に対して、回転接続部142b周りに回動可能および/または回転可能である。
【0076】
本明細書で示した他の実施形態と同様に、各クリップアーム112a、112bは、クリップユニット102が組織把持形態であるときに、一対のクリップアームを係止するロック機構を含み、ロック機構は、クリップアーム112を係止するための、対応する嵌合部150,152(例えば、一対の係止部材-雄係止部150および雌係止部152)を含む。ロック機構について本明細書で示した実施形態のいずれも
図21で示したクリップユニット102を適用できる。いくつかの実施形態では、クリップユニット102は、
図19A~19Dおよび20A~20Bに示すようなロック機構を含み、保持機構を含まない。構造的特徴、構成、操作等、その他の点では、
図18に示すクリップユニット102およびクリップアーム112a,112bの実施形態は
図19A~19Dおよび
図20A~20Bを参照した上述の第一実施形態の構造的特徴、構成、および操作と同様である。
【0077】
(第四実施形態)
図22Aは、第四実施形態において、一対のクリップアームが開いている第一形態のクリップユニットを模式的に示す側面図である。
図22Bは、
図22Aのクリップユニットを模式的に示す上面図である。
図22Cは、一対のクリップアームが閉じている第二形態におけるクリップユニットを模式的に示す側面図である。
図22Dは、
図22Cのクリップユニットを模式的に示す上面図である。
【0078】
第四実施形態において、
図22Aおよび
図22Bに示すように、クリップユニット102は、シース108内に設けられ、シース108の開口端222よりも近位側に配置されたロック機構154,156を含む。シース108は、開口端222から近位側に延び、略U字形の凹部(切り込み)224を含む。本発明における凹部/切り込み224は、U字形に限定されず、凹部/切り込み224がロック機構154,156を受け入れるために好適な形及び大きさであればよい。ロック機構154,156は、それぞれ、ロックピンPを含む。ロックピンPは、溝192の幅よりも直径が大きく、ロック機構154,156は一対のクリップアーム112が外れることなく溝192に沿って摺動可能である。
【0079】
溝192は、遠位方向に向かって狭くなるように延びるテーパー形状に形成されていてもよい。溝192の遠位端部には、縮径部194を含む。この構成によって、
図22Cおよび22Dに示すように、クリップユニット102が近位側に引き込まれると、ロックピンPは、一対のクリップアーム112に対して遠位側に移動し、ロック機構154,156を互いに近付ける。ロックピンPが縮径部194に到達した時、ロック機構154,156が一対のクリップアーム112に対して動くことが防止されるように、ロックピンPは、縮径部194で係止される。
【0080】
ロック機構154,156は、シース108の開口端222よりも近位側のシース108内に位置しているため、開口端222の上記構成によって、対象組織200がシース108内に進入しない。したがって、対象組織200は、開口端222によってシースへの進入が阻止され、対象組織200がロック機構154,156の間に挟持されることが防止される。
【0081】
(方法の実施形態)
カートリッジ106に収容されたクリップユニット102をアプリケータ104に引き込む方法の一例は、アプリケータ104の操作部材110および/またはシース108をカートリッジ106の近位開口174に挿通するプロセスを含む。例えば、コネクタ116に対する遠位端118の遠位側への力が所定の閾値を超えるまで、スプール124をコネクタ116に対して遠位側に移動させることによって、操作部材110の遠位端118がカートリッジ106に対して移動し、スロット160の近位開口164が変形し、遠位端118がコネクタ116を通過して空間166内に入ることを可能にする。遠位端118がシース108に対して遠位側に移動するとき、スプール124はハンドル部材122の位置決め部128を超えて遠位側にスライドし、操作部材110の遠位端118が、遠位側に延びてシース108の遠位端136を超えてコネクタ116に連結されたことを示す感覚フィードバックをユーザに付与する。遠位端118が一度空間166内に受け入れられると、コネクタ116は元の形に戻り、操作部材110の遠位端118を内部に保持する。コネクタ116と操作部材110の連結したとき、クリップユニット102はアプリケータ104に正常に取り付けられる。
【0082】
引き込まれたクリップユニット102をカートリッジ106から取り外すことによって、クリップアーム112はアプリケータ104のシース108に対して近位側に引き込まれ、クリップアーム112は組織把持形態に向かって移動し、
図9Aに示すように規制部材181,182は、接触して互いに変形し、あるいは、
図11Aに示すように互いに交差する。スプール124が位置決め部128の近位側に引き込まれるまで、スプール124がハンドル部材122に対して近位側に引き込まれる。上述の通り、シース108のルーメン138の内面は、クリップアーム112がルーメン内に引き込まれるときにクリップアーム112が押圧され、クリップユニット102は組織把持形態に向かって移動する。クリップユニット102は、開口174を介してカートリッジ106から引き出される。
【0083】
使用時、クリップユニット102をアプリケータ104に取り付けた後、クリップユニット102を内視鏡(または他の挿入装置)のチャンネル230(
図16)に挿通し、体内(例えば、生体管路)に挿入して、把持対象となる組織の対象部位の近傍までクリップユニット102を挿入する。閉形態のクリップユニット102は、チャンネル230に挿通され、対象組織200に向かって挿入される。対象組織200に到達すると、クリップユニット102はチャンネル230の遠位端42(
図17)から押し出され、クリップアーム112はアプリケータ104のシース108から延出し、スプール124をハンドル部材122を超えて遠位側にスライドさせることによって、クリップアーム112は組織受入形態に向かって移動する。スプール124の遠位面130(
図6)が位置決め部128に当接することによって、クリップアーム112が最大開口形態であることと、コネクタ116がシース108の遠位側に出て延びた結果スプール124がこれ以上遠位側に動かないことを示す感覚フィードバックをユーザに付与する。
【0084】
クリップアーム112は、上述の通り、対象組織がクリップアーム112の遠位端140間に受け入れられるまで、組織受入形態と組織把持形態との間で繰り返し移動可能である。組織の対象部位がクリップアーム112間に一度受け入れられると、操作部材110がクリップユニット102に対して移動することによって、クリップユニット102は、組織把持形態に向かって移動する。このとき、第一から第四実施形態で示したように、規制部材180も、組織の対象部位がロック機構150,152間に挟持されることを防止できる。
【0085】
組織の所望の位置(例えば、出血している傷の反対側の組織の一部)がクリップアーム112間に把持されたことが確認出来たら、操作部材110は(スプール124を介して)クリップユニット102に対してさらに近位側に引き込まれてクリップユニット102が閉形態にロックされる。つまり、クリップアーム112はロック機構150,152が互いに係合してクリップアーム112が互いにロックされるまで、シース108内にさらに引き込まれる。コネクタ116がシース108のルーメン138の肩部176に当接して嵌合するまで操作部材110がシース108に対して近位側に引き込まれる。肩部176は、コネクタ116に近位側への力が操作部材110に掛かり続ける間、コネクタ116がルーメンを通過することを防ぐ。
【0086】
操作部材110の遠位端により所定の閾値を上回る力がコネクタ116に付与されたとき、コネクタ116は変形し(例えば、近位開口164が拡がり)、遠位端118が長手スロット160から外れ得る。遠位端118が一度コネクタ116から離れると、アプリケータ104がコネクタ116から外れると、アプリケータ104は体内から引き出され、規制部材180を含むクリップユニット102が体内の対象組織上に留置される。必要に応じて、規制部材180を含む新しいクリップユニット102を上述の方法と同様にアプリケータ104上に装着し、装置は組織の第二の部位を把持するために使用される。必要に応じて、このプロセスを同じアプリケータ104を用いて繰り返す。
【0087】
本発明は、クリップユニット102とアプリケータ104との接続形態を含む上記各実施形態に限定されない。
図23は、変形例に係るクリップユニットを用いた内視鏡のアプリケータを模式的に示す斜視図である。
図24は、
図23のアプリケータと共に用いられるクリップユニットを模式的に示す斜視図である。
【0088】
図23に示すように、アプリケータ10は、腹腔に挿入されるユニット(操作ユニット)であり、挿入管20、操作ワイヤ30、および操作ユニット40を含む。アプリケータ10は、クリップユニット60と共に使用され、例えば、内視鏡の処置具挿入チャンネル(不図示)に挿入される。そのため、挿入管20は、遠位チップ21、遠位端コイル22および近位コイル24を含む。操作ワイヤ30は、アプリケータ10の遠位端に設けられたフックユニット31と、ワイヤ32とを含む。操作ユニット40は、操作ユニット本体41、スライダ42、支持体47、および指掛けリング48を含む。操作ユニット本体41は、スリット41aおよびグリップ41bを含む。スライダ42は、第一スライド部材51と、およびスリット52bを備える第二スライド部材52とを含む。
【0089】
図24に示すように、クリップユニット60は、フックユニット31に係合可能である。クリップユニット60は、クリップ61、接続部材62、および締付部材としての拘束パイプ63を含む。クリップ61は、例えば、ステンレス鋼からなる板バネ等の金属板の略中央部を曲げて形成されたループ(基部)61aを有する。クリップ61は、ループ61aの近傍で交差し、遠位端同士が離れた状態となる拡張性能を備える一対のクリップアーム61bとして延びている。クリップ61の遠位端には、組織把持部(クリップ爪)61cが形成されている。
【0090】
クリップ61のアーム61bの交差部は、遠位端よりも狭くなり、組織把持部61cは互いに逆に向かう。クリップ61が拘束パイプ63内に引き込まれる方向に移動しているとき、クリップ61は、拘束パイプ63の内面上をスライド可能であるが、クリップ61が拘束パイプ63の引き込み方向と逆方向に移動しているとき、クリップ61は、拘束パイプ63の内面に係合している。
【0091】
接続部材62は、例えば、液晶ポリマー、ポリアミド合成繊維のような高強度樹脂を射出成型して形成されている。接続部材は、円筒形の棒状部材であり、拘束パイプ63内でクリップ61と係合している。
【0092】
接続部材62は、拘束パイプ63に接続されたストッパ突起62iを含み。接続部材62の近位端は、切り欠き62dおよび弾性アーム62eを含む2つの分岐部が形成されている。2つの分岐部は矢じりフックユニット31の端部を受け入れる。
【0093】
拘束パイプ63は、クリップ61よりも柔軟な材料、例えば、ポリフタルアミド(PPA)およびポリアミド(PA)等、適切な弾性を有する高剛性樹脂を射出成型して形成されている。拘束パイプ63がクリップ61のアーム61bに係合することによって、クリップ61のアーム61bが閉じる。拘束パイプ63は、半径方向に後退可能な一対の羽根部63dを含む。
【0094】
本発明の好ましい実施形態は上で説明および図示されてきたが、これらは本発明の例示であり、限定的であると見なされるべきではない。追加、省略、置換、および他の修正は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく行うことができる。したがって、本発明は、前述の説明によって限定されると見なされるべきではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0095】
開示された技術の様々な実施形態を上述したが、それらは単なる例として提示されたものであり、限定ではない。同様に、様々な図は、開示された技術に含まれ得る特徴および機能を理解するのを助けるために示された技術の例示的な概略または他の構成を描写し得る。開示された技術は、図示された例示的な概略図または構成に限定されないが、所望の特徴は、様々な代替の例示および構成を使用して実施することができる。実際、本明細書に開示される技術の所望の特徴を実施するために、代替の機能的、論理的または物理的位置および構成をどのように実施することができるかは、当業者に明らかである。
【0096】
開示された技術は、様々な例示的な実施形態および実装に関して上に説明されているが、1つまたは複数の個々の実施形態に記載されている様々な特徴、態様、および機能は、それらが使用する特定の実施形態への適用可能性において限定されない。実施形態が記載されているか否か、およびそのような特徴が記載されたものの一部として提示されているかどうかにかかわらず、開示された技術の他の実施形態の1つまたは複数に、単独でまたは様々な組み合わせで適用することができる。したがって、本明細書に開示される技術の幅および範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても制限されるべきではない。
【0097】
このドキュメントで使用されている用語やフレーズ、およびそれらのバリエーションは、特に明記されていない限り、制限ではなくオープンエンドとして解釈されるべきである。前述の例として、「含む」という用語は、「含むがこれに限定されない」などを意味するものとして解釈されるべきである。「例」という用語は、議論中の項目の例示的な例を提供するために使用され、その網羅的または限定的なリストではない。「a」または「an」という単語は、「少なくとも1つ」、「1つ以上」などを意味するものとして解釈する必要がある。また、「従来型」、「従来型」、「通常」、「標準」、「既知」などの形容詞および同様の意味の用語は、説明されている項目を特定の期間または現在入手可能な項目に限定するものと解釈されるべきではなく、現在または将来いつでも利用可能または既知である可能性のある従来の、従来の、通常の、または標準の技術を包含するように読まれる必要がある。同様に、この文書が当業者に明らかであるかまたは知られていると推定される技術に言及する場合、そのような技術は、現在または将来いつでも当業者に明らかであるかまたは知られている技術を包含する。
【0098】
明細書における広義の用語、および“一以上”、“少なくとも”、“限定されない”等の文言は、狭い意味に解釈されるべきではなく、あるいは、そのような拡大された文言が存在し得ない場合に、当該文言は不要となり得る。
【0099】
さらに、本明細書に記載されている様々な実施形態は、例示的な概略図、ブロック図、その他の図面に関して説明している。当業者が本文書を読んだ後に明らかになるように、図示された実施形態および各種代替案は、図示例に限定されることなく実施し得る。例えば、ブロック図とこれに関連する説明は特定の構成要件として解釈されるべきものではない。