(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】電池寿命延長方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20231121BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20231121BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
H02J7/02 H
H01M10/48 P
H01M10/44 P
(21)【出願番号】P 2022146684
(22)【出願日】2022-09-15
【審査請求日】2022-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】522366727
【氏名又は名称】太普動力新能源(常熟)股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鍾 知宇
(72)【発明者】
【氏名】張 峰銘
(72)【発明者】
【氏名】呉 聡男
【審査官】井上 弘亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-249793(JP,A)
【文献】特開2017-60364(JP,A)
【文献】特開2015-61335(JP,A)
【文献】国際公開第2016/098631(WO,A1)
【文献】特許第6976468(JP,B1)
【文献】特許第6195310(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/02
H01M 10/48
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池を直列接続して構成される電池パックの充電が完了し、かつ静置状態にあることを確定すると、前記複数の電池における各電池の電圧値を検出し続けるステップと、
前記複数の電池における最高電圧値と最低電圧値の間の差分値を第1差分値とするステップと、
前記複数の電池における各電池の電圧値と前記最低電圧値の間の差分値を第2差分値とするステップと、
前記第1差分値が第1デフォルト電圧差分値より小さく、かつ前記最低電圧値が放電起動電圧値より大きいと判断された時、放電動作を実行し、前記最低電圧値が前記放電起動電圧値より小さくなったら前記放電動作を停止するステップと、
前記第1差分値が前記第1デフォルト電圧差分値より大きく、かつ前記最低電圧値がバランシング起動電圧値より大きいと判断された時、バランシング動作を実行し、各前記第2差分値が第2デフォルト電圧差分値より小さくなった時、又は前記最低電圧値が前記バランシング起動電圧値より小さくなった時に前記バランシング動作を停止するステップを含み、前記第2デフォルト電圧差分値は前記第1デフォルト電圧差分値より小さく、前記放電起動電圧値は前記バランシング起動電圧値より大きい、電池寿命延長方法。
【請求項2】
前記複数の電池を直列接続して構成される電池パックの充電が完了し、かつ静置状態にあることを確定するステップは、
前記電池パックの総電圧値又は平均電圧値が判定電圧値より大きい状態の維持時間が判定時間より長い時、前記電池パックが充電を完了し、かつ前記静置状態にあることを確定することを含む、請求項1に記載の電池寿命延長方法。
【請求項3】
前記放電動作又は前記バランシング動作を実行する過程において、前記電池パックが充電又は放電を行うと判断された場合、前記放電動作又は前記バランシング動作の実行を停止するステップをさらに含む、請求項1に記載の電池寿命延長方法。
【請求項4】
前記複数の電池における各電池はスイッチを介してバランス抵抗に並列接続し、前記放電動作の実行は、
すべての前記スイッチをオンにすることで、前記複数の電池がそのスイッチを介して前記バランス抵抗に並列接続して放電が実行されることを含む、請求項1に記載の電池寿命延長方法。
【請求項5】
前記複数の電池における各電池はスイッチを介してバランス抵抗に並列接続し、前記バランシング動作の実行は、
前記第2差分値が前記第1デフォルト電圧差分値より大きいすべての電池が並列接続する前記スイッチをオンにすることで、前記複数の電池がそれぞれ並列接続する前記バランス抵抗を介して放電が行われ、各前記第2差分値が前記第2デフォルト電圧差分値より小さいか否かを判断し続けることと、
前記複数の電池におけるいずれか1個の電池の前記第2差分値が前記第2デフォルト電圧差分値より小さい時、前記電池が並列接続する前記スイッチをオフにすることを含む、請求項1に記載の電池寿命延長方法。
【請求項6】
複数の電池を直列接続して構成される電池パックの充電が完了し、かつ静置状態になるたびに、前記複数の電池における各電池の電圧値を検出し続けるステップと、
前記複数の電池における第1差分値が第1デフォルト電圧差分値より大きく、かつ最低電圧値がバランシング起動電圧値より大きいと判断された時にバランシング動作を実行し、前記複数の電池における各電池の第2差分値が第2デフォルト電圧差分値より小さくなった時、又は前記最低電圧値が前記バランシング起動電圧値より小さくなった時に前記バランシング動作を停止するステップを含み、前記第1差分値は前記複数の電池における最高電圧値と前記最低電圧値の間の差分値であり、各前記第2差分値は前記複数の電池における各電池の電圧値と前記最低電圧値の間の差分値であり、前記第2デフォルト電圧差分値は前記第1デフォルト電圧差分値より小さい、電池寿命延長方法。
【請求項7】
前記バランシング動作を実行する過程において、前記電池パックが充電又は放電を行うと判断された場合、前記バランシング動作の実行を停止するステップをさらに含む、請求項6に記載の電池寿命延長方法。
【請求項8】
前記複数の電池における各電池はスイッチを介してバランス抵抗に並列接続し、前記バランシング動作の実行は、
前記第2差分値が前記第1デフォルト電圧差分値より大きいすべての電池が並列接続する前記スイッチをオンにすることで、前記複数の電池がそれぞれ並列接続する前記バランス抵抗を介して放電が行われ、各前記第2差分値が前記第2デフォルト電圧差分値より小さいか否かを判断し続けることと、
前記複数の電池におけるいずれか1個の電池の前記第2差分値が前記第2デフォルト電圧差分値より小さい時、前記電池が並列接続する前記スイッチをオフにすることを含む、請求項6に記載の電池寿命延長方法。
【請求項9】
前記複数の電池を直列接続して構成される電池パックの充電が完了したということは前記電池パックの総電圧値又は平均電圧値が判定電圧値より大きくなったということである、請求項6に記載の電池寿命延長方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は電池分野に関し、特に、電池寿命延長方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザーの異なる電力や電圧の使用ニーズに対応するため、複数の充電池を直列及び/又は並列方式により対応する電池パックを構成することができる。しかし、そのような電池パックを構成する各充電池はその製造工程において有する特性が異なり、例えば同じ温度下でも抵抗、電圧及び電気量に差があり、このような充電池が充放電を繰り返すとより明らかな差が生じ(すなわち相互にアンバランスである状態になり)、電池のアンバランスを解消せずに充放電を続けると、電圧の高い充電池に充電されて電圧が上がり過ぎ、安全上のリスクが生じるとともに電池パックの使用寿命が大幅に減少してしまう。また、充電端の変圧器の電圧が一定である場合、充電池がフルに充電された後、高温高圧のフル充電状態が長時間続くと、充電池の使用寿命が短くなってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の主な目的は、既存技術の電池パックにおいて電池がアンバランスな状態、又は充電池が長時間高温高圧下でフル充電状態になることにより、電池パックの使用寿命が短くなるという問題を解決する、電池寿命延長方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の目的を達成するため、本発明は次のように実施する。
【0005】
提供される電池寿命延長方法は次のステップを含む。複数の電池を直列接続して構成される電池パックの充電が完了し、かつ静置状態にあることを確定すると、複数の電池における各電池の電圧値を検出し続けるステップ。複数の電池における最高電圧値と最低電圧値の間の差分値を第1差分値とするステップ。複数の電池における各電池の電圧値と最低電圧値の間の差分値を第2差分値とするステップ。第1差分値が第1デフォルト電圧差分値より小さく、かつ最低電圧値が放電起動電圧値より大きいと判断された時に放電動作を実行し、最低電圧値が放電起動電圧値より小さくなったら放電動作を停止するステップ。第1差分値が第1デフォルト電圧差分値より大きく、かつ最低電圧値がバランシング起動電圧値より大きいと判断された時にバランシング動作を実行し、各第2差分値が第2デフォルト電圧差分値より小さくなった時、又は最低電圧値がバランシング起動電圧値より小さくなった時にバランシング動作を停止するステップ。ここでは、第2デフォルト電圧差分値は第1デフォルト電圧差分値より小さく、放電起動電圧値はバランシング起動電圧値より大きい。
【0006】
提供されるもう一つの電池寿命延長方法は次のステップを含む。複数の電池を直列接続して構成される電池パックの充電が完了し、かつ静置状態になるたびに、複数の電池における各電池の電圧値を検出し続けるステップ。複数の電池における第1差分値が第1デフォルト電圧差分値より大きく、かつ最低電圧値がバランシング起動電圧値より大きいと判断された時にバランシング動作を実行し、複数の電池における各電池の第2差分値が第2デフォルト電圧差分値より小さくなった時、又は最低電圧値がバランシング起動電圧値より小さくなった時にバランシング動作を停止するステップ。第1差分値は複数の電池における最高電圧値と最低電圧値の間の差分値であり、各第2差分値は複数の電池における各電池の電圧値と最低電圧値の間の差分値であり、第2デフォルト電圧差分値は第1デフォルト電圧差分値より小さい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の方法によれば、複数の電池を直列接続して構成される電池パックの充電が完了し、かつ静置状態になると、各電池の電圧値、第1デフォルト電圧差分値及び放電起動電圧値の対応関係に基づいて放電動作が行われることにより、又は各電池の電圧値、第1デフォルト電圧差分値、バランシング起動電圧値及び第2デフォルト電圧差分値の対応関係に基づいてバランシング動作が行われることにより、各電池のフル充電状態での電圧を下げ、高圧下でフル充電状態にある時間を短縮し、各電池の使用寿命を延長することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書における添付図面は、本発明をより理解するためのものであり、本発明の一部を構成する。本願の例示的実施形態及びその説明は、本発明を解釈するために用いられ、本発明を不当に限定するものではない。
【0009】
【
図1】本発明の電池寿命延長方法を適用した電池装置が充電装置を用いて充電を行う実施形態を示す図である。
【
図2】
図1の電池装置に適用される電池寿命延長方法の一実施形態におけるフローチャートである。
【
図3】放電動作を行う各電池の充放電曲線の一例を示す図である。
【
図4】バランシング動作を行う各電池の充放電曲線の一例を示す図である。
【
図5】
図1の電池装置に適用される電池寿命延長方法の別の実施形態におけるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
関連図面を合わせて本発明の実施形態について以下に説明する。
【0011】
本明細書で使用される「含む」、「備える」等の語句は、特定の技術的特徴、数値、方法手順、動作プロセス及び/又は構成要素の存在を示すために用いられるが、さらなる技術的特徴、数値、方法手順、動作プロセス及び/若しくは構成要素、又はそれらの任意の組み合わせを追加する可能性を排除するものではないことを理解する必要がある。
【0012】
また、ある構成要素が他の構成要素に「接続」又は「結合」すると表現されている場合、それは他の構成要素に直接接続又は結合されていてもよく、中間構成要素が存在してもよいことを理解する必要がある。逆に、ある構成要素が他の構成要素に「直接接続」又は「直接結合」していると表現される場合は、中間構成要素が存在しないことになる。
【0013】
本発明の電池寿命延長方法を適用した電池装置が充電装置を用いて充電を行う実施形態を示す図である
図1を参照されたい。本実施形態において、充電装置100は電池装置200に接続して充電電力を供給する。電池装置200は電池パック210及び制御モジュール220を含む。電池パック210は複数の直列接続する電池モジュール300を含み、各電池モジュール300は電池310、バランス抵抗320及びスイッチ330を含み、各電池モジュール300において電池310はスイッチ330を介してバランス抵抗320に並列接続する。制御モジュール220は、各電池310の電圧値を検出するとともに、各スイッチ330を適時オン又はオフにすることにより、放電動作又はバランシング動作を実行する。この電池パック210は、乗り物内部にあるような大型電気機械設備の高圧電源装置に活用でき、また、モバイル電子デバイスのような小型電子機器にも活用できる。各電池パック310はさまざまなタイプの充電池であってもよい。
【0014】
本実施形態において、電池パック210に含まれる電池モジュール300の数量は3つであるが、本実施形態は本発明を限定するものではないので、この数量に限定されない。つまり、電池パック210に含まれる電池モジュール300の数量は実際の必要に応じて調整を行うことができる。
【0015】
図1と、
図1の電池装置に適用される電池寿命延長方法の一実施形態におけるフローチャートである
図2を参照されたい。本実施形態において、電池寿命延長方法は制御モジュール220により実行され、この電池寿命延長方法は次のステップを含む。まず、複数の電池310を直列接続して構成される電池パック210の充電が完了し、かつ静置状態にあることを確定すると、複数の電池310における各電池の電圧値を検出し続けるステップ410である。次に、複数の電池310における最高電圧値と最低電圧値の間の差分値を第1差分値とするステップ420である。次に、複数の電池310における各電池の電圧値と最低電圧値の間の差分値を第2差分値とするステップ430である。次に、第1差分値が第1デフォルト電圧差分値より小さく、かつ最低電圧値が放電起動電圧値より大きいと判断された時に放電動作を実行し、最低電圧値が放電起動電圧値より小さくなったら放電動作を停止するステップ440である。そして、第1差分値が第1デフォルト電圧差分値より大きく、かつ最低電圧値がバランシング起動電圧値より大きいと判断された時、バランシング動作を実行し、各第2差分値が第2デフォルト電圧差分値より小さくなった時、又は最低電圧値がバランシング起動電圧値より小さくなった時にバランシング動作を停止し、第2デフォルト電圧差分値は第1デフォルト電圧差分値より小さく、放電起動電圧値はバランシング起動電圧値より大きいステップ450である。
【0016】
図1と、放電動作を行う各電池の充放電曲線の一例を示す
図3を参照されたい。
図3において、太線は
図1中1個目の電池310(すなわち
図1中最も左側の電池310)の充放電曲線であり、二点鎖線は
図1中2個目の電池310(すなわち
図1中で左から2個目の電池310)の充放電曲線であり、細線は
図1中3個目の電池310(すなわち
図1中最も右側の電池310)の充放電曲線であり、破線は
図1中3個の電池310の異なる時点における平均電圧により構成された曲線である。本実施形態において、制御モジュール220は、続けて検出された各電池310の電圧値に基づいて、第1差分値が第1デフォルト電圧差分値より小さくかつ最低電圧値が放電起動電圧値より大きいと判断された時、すべてのスイッチ330をオンにし、放電動作を行い、各電池310はそのスイッチを介してバランス抵抗320に並列接続して放電を行い、3個の電池310における最低電圧値が放電起動電圧値より小さいと判断されるとすべてのスイッチ330をオフにし、それまで続いていた放電動作を停止する。ここでは、電池310はリチウム電池であり、第1デフォルト電圧差分値は75ミリボルト(mV)であり、放電起動電圧値は4075 mVであるが、種類及び数値はこれらに限定されない。第1デフォルト電圧差分値と放電起動電圧値の大きさは異なる電池の種類や実際のニーズに基づいて調整を行う。
【0017】
図1と、バランシング動作を行う各電池の充放電曲線の一例を示す
図4を参照されたい。
図4において、太線は
図1中1個目の電池310(すなわち
図1中最も左側の電池310)の充放電曲線であり、二点鎖線は
図1中2個目の電池310(すなわち
図1中で左から2個目の電池310)の充放電曲線であり、細線は
図1中3個目の電池310(すなわち
図1中最も右側の電池310)の充放電曲線であり、破線は
図1中3個の電池310の異なる時点における平均電圧により構成された曲線である。本実施形態において、制御モジュール220は、検出し続けられた各電池310の電圧値に基づいて、第1差分値が第1デフォルト電圧差分値より大きくかつ最低電圧値がバランシング起動電圧値より大きいと判断された時、バランシング動作を行い、各電池310の第2差分値が第2デフォルト電圧差分値より小さい、又は最低電圧値がバランシング起動電圧値より小さいと判断されると、それまで続いていたバランシング動作を停止する。ここでは、第2差分値は第1デフォルト電圧差分値より小さく、放電起動電圧値はバランシング起動電圧値より大きい。第2デフォルト電圧差分値は50mVであり、バランシング起動電圧値は3925 mVであるが、数値はこれらに限定されない。第2デフォルト電圧差分値とバランシング起動電圧値の大きさは異なる電池の種類や実際のニーズに基づいて調整を行う。
【0018】
さらに詳しく説明すると、このバランシング動作の実行は次のステップを含んでいる。まず、第2差分値が第1デフォルト電圧差分値より大きいすべての電池310が並列接続するスイッチ330をオンにし、これら複数の電池310はそれぞれ並列接続するバランス抵抗320を介して放電を行い、各第2差分値が第2デフォルト電圧差分値より小さいか否かを判断し続けるステップである。そして、複数の電池310のうちいずれか1つの第2差分値が第2デフォルト電圧差分値より小さい時、その電池310が並列接続するスイッチ330をオフにするステップである。
【0019】
つまり、制御モジュール220がバランシング動作を行う際は、一部/全部のスイッチ330をオンにできる。制御モジュール220が、各第2差分値が第2デフォルト電圧差分値より小さい、又は最低電圧値がバランシング起動電圧値より小さいと判断した時、オンになっていたスイッチ330をオフにし、バランシング動作を停止する。
【0020】
また、本実施形態において、電池寿命延長方法は次のステップを含むこともできる。まず、放電動作又はバランシング動作を行う過程において、電池パック210が充放電を行うと判断されると、放電動作又はバランシング動作を停止するステップである。言い換えると、制御モジュール220が放電動作又はバランシング動作を行う過程において、電池パック210が充放電を行うと判断されると、すべてのスイッチ330をオフにし、放電動作又はバランシング動作を停止する。本発明において、電池パック210が放電を行うということは、電池パック210が外部負荷に電力を供給することである。この放電動作は制御モジュール220がスイッチ330をオンにすると、電池パック210の電池310が並列接続するバランス抵抗320を介して放電を行う(すなわちバランス抵抗320を介して電気エネルギーを放出)ことであり、これによりフル充電時の電圧が下がるようになる。このバランシング動作は、制御モジュール220がスイッチ330をオンにすると、電池パック210の電池310が並列接続するバランス抵抗320を介して放電を行う(すなわちバランス抵抗320を介して電気エネルギーを放出する)ことであり、これにより電池パック210のすべての電池310の間の電圧のバランスが取れるようになる。
【0021】
一実施形態では、複数の電池310を直列接続して構成される電池パック210の充電が完了し、かつ静置状態にあることを確定するステップ410は、電池パック210の総電圧値又は平均電圧値が判定電圧値より大きい状態の維持時間が判定時間より長い時、電池パック210が充電を完了し、かつ前述の静置状態にあることを確定することを含む。ここでは、電池パック210の平均電圧値は電池パック210のすべての電池310の平均電圧値であり、前述の判定電圧値と判定時間は必要に応じて調整可能である。
【0022】
一実施形態では、上述した
図2の電池寿命延長方法を用いた電池装置200を無停電電源装置(UPS:uninterruptible power supply)に設置することができる。電池パック210はフルに充電された後、放電動作により、電池310が長時間高温高圧下でフル充電状態になることはない。あるいは、バランシング動作により、複数の電池310の間にアンバランスが生じる問題が起こらない。したがって、電池パック210の使用寿命を延長でき、さらには前述のUPSのメンテナンスコストが抑えられる。
【0023】
図1と、
図1の電池装置に適用される電池寿命延長方法の別の実施形態におけるフローチャートである
図5を参照されたい。本実施形態において、電池寿命延長方法は制御モジュール220によって実行され、この電池寿命延長方法は次のステップを含む。まず、複数の電池310を直列接続して構成される電池パック210の充電が完了し、かつ静置状態になるたびに、複数の電池310における各電池の電圧値を検出し続けるステップ510である。そして、複数の電池310における第1差分値が第1デフォルト電圧差分値より大きく、かつ最低電圧値がバランシング起動電圧値より大きいと判断された時にバランシング動作を実行し、複数の電池310における各電池の第2差分値が第2デフォルト電圧差分値より小さくなった時、又は最低電圧値がバランシング起動電圧値より小さくなった時にバランシング動作を停止するステップ520である。ここでは、複数の電池310における最高電圧値と最低電圧値の間の差分値が第1差分値となり、複数の電池310における各電池の電圧値と最低電圧値の間の差分値が各第2差分値となり、第2デフォルト電圧差分値は第1デフォルト電圧差分値より小さい。
【0024】
上述のステップによれば、電池パック210の充電が完了して前述の静置状態になるたびに、電池パック210の複数の電池310はバランシング動作を行うので、充放電を繰り返した後でも電池パック210の複数の電池310はバランスが取れた状態を保つことができ、電池パック210の使用寿命が延長される。
【0025】
一実施形態では、前述の電池寿命延長方法は次のステップを含む。バランシング動作を行う過程において、電池パック210が充放電を行うと判断されると、そのバランシング動作を停止するステップである。言い換えると、制御モジュール220がバランシング動作を行う過程において、電池パック210が充電又は放電を行うと判断されると、すべてのスイッチ330をオフにし、バランシング動作を停止する。
【0026】
一実施形態では、前述のバランシング動作の実行は次のステップを含む。まず、前述の第2差分値が第1デフォルト電圧差分値より大きいすべての電池310が並列接続するスイッチ330をオンにし、これら複数の電池310はそれぞれ並列接続する前述バランス抵抗320を介して放電を行い、続けて各第2差分値が第2デフォルト電圧差分値より小さいか否かを判断するステップである。そして、複数の電池310のうちいずれか1つの第2差分値が第2デフォルト電圧差分値小さい時、その電池310が並列接続するスイッチ330をオフにするステップである。詳細は上述の段落で説明したので、ここでは再述しない。
【0027】
一実施形態では、複数の電池310を直列接続して構成される電池パック210の充電が完了するということは、電池パック210の総電圧値又は平均電圧値が判定電圧値より大きいということである。この判定電圧値は必要に応じて調整可能である。
【0028】
上述の内容をまとめると、本発明の実施形態における電池寿命延長方法によれば、複数の電池を直列接続して構成される電池パックの充電が完了し、かつ静置状態になると、各電池の電圧値、第1デフォルト電圧差分値、放電起動電圧値及び/又はバランシング起動電圧値、第2デフォルト電圧差分値の対応関係に基づいて放電及び/又はバランシング動作が行われることにより、電池パックにおける各電池のフル充電状態での電圧を下げ、高圧下でフル充電状態にある時間を短縮し、電池の使用寿命を延長することができる。
【0029】
本願の図面には上述した構成要素が含まれているが、本発明の精神に反することがなければ、より優れた技術的成果を得るために、より多くのその他の追加的な構成要素を使用することも可能である。
【0030】
以上、実施形態を例示して本発明を説明したが、これらの記載は本発明を限定するものではないことに留意されたい。 むしろ、本発明は、当業者にとって自明な変更および類似の設定を含む。 したがって、特許請求の範囲は、すべての自明な変更及び類似の設定を含むように最も広く解釈される必要がある。
【符号の説明】
【0031】
100 充電装置
200 電池装置
210 電池パック
220 制御モジュール
300 電池モジュール
310 電池
320 バランス抵抗
330 スイッチ
【要約】
【課題】各電池のフル充電時の電圧を下げ、高圧でフル充電状態にある時間を短縮できる、電池寿命延長方法を提供する。
【解決手段】本発明の電池寿命延長方法は次のステップを含む。(1)直列接続した複数の電池からなる電池パックの充電が完了し、静置状態を確定すると、各電池の電圧値を検出する。(2)複数の電池における最高電圧値と最低電圧値の差を第1差分値とする。(3)複数の電池における各電池の電圧値と最低電圧値の差を第2差分値とする。(4)第1差分値が第1デフォルト電圧差分値より小さく、最低電圧値が放電起動電圧値より大きい時、最低電圧値が放電起動電圧値より小さくなるまで放電を行う。(5)第1差分値が第1デフォルト電圧差分値より大きく、最低電圧値がバランシング起動電圧値より大きい時、各第2差分値が第2デフォルト電圧差分値より小さくなるまで、又は最低電圧値がバランシング起動電圧値より小さくなるまでバランシングを行う。
【選択図】
図2