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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/786 20060101AFI20231121BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20231121BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20231121BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20231121BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20231121BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20231121BHJP
   H05B 33/14 20060101ALI20231121BHJP
   H10K 59/12 20230101ALI20231121BHJP
【FI】
H01L29/78 618C
H01L27/06 102A
H01L27/088 E
H01L27/088 331E
H01L29/78 618B
H01L29/78 618D
H05B33/02
H05B33/14 Z
H10K59/12
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022181807
(22)【出願日】2022-11-14
(62)【分割の表示】P 2021077248の分割
【原出願日】2013-06-25
(65)【公開番号】P2023016840
(43)【公開日】2023-02-02
【審査請求日】2022-12-13
(31)【優先権主張番号】P 2012144728
(32)【優先日】2012-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】笹川 慎也
(72)【発明者】
【氏名】藤木 寛士
【審査官】上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-039102(JP,A)
【文献】特開2011-054951(JP,A)
【文献】特開2010-080952(JP,A)
【文献】特開2011-071476(JP,A)
【文献】特開2010-123923(JP,A)
【文献】特開2011-077514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336、21/8234、
27/088、29/786、
H05B 33/02、33/14、
H10K 59/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート電極層と、
前記ゲート電極層上のゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上の酸化物半導体膜と、
前記酸化物半導体膜上のソース電極層及びドレイン電極層と、を有し、
前記酸化物半導体膜は、
第1の領域と、
第2の領域と、
前記第1の領域と前記第2の領域との間に位置し、且つ前記第1の領域が有する膜厚よりも小さい膜厚を有する第3の領域と、を有し、
前記第1の領域は、前記ソース電極層と重なり、
前記第2の領域は、前記ドレイン電極層と重なり、
前記第3の領域は、前記ソース電極層と重ならず、
前記第3の領域は、前記ドレイン電極層と重ならず、
断面視において、前記酸化物半導体膜は、傾斜した側面を有し、
前記断面視において、前記ゲート電極層は、傾斜した側面を有し、
前記断面視において、前記ソース電極層及び前記ドレイン電極層のそれぞれは、傾斜した側面を有し、
前記断面視において、前記ソース電極層及び前記ドレイン電極層のそれぞれは、前記酸化物半導体膜が有する前記側面に接する領域を有し、
前記断面視において、前記ソース電極層及び前記ドレイン電極層のそれぞれは、チャネル長方向に突出している領域を有し、
前記ソース電極層及び前記ドレイン電極層のそれぞれは、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo及びWから選ばれた元素を含む、半導体装置。
【請求項2】
ゲート電極層と、
前記ゲート電極層上のゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上の酸化物半導体膜と、
前記酸化物半導体膜上のソース電極層及びドレイン電極層と、を有し、
前記酸化物半導体膜は、
第1の領域と、
第2の領域と、
前記第1の領域と前記第2の領域との間に位置し、且つ前記第1の領域が有する膜厚よりも小さい膜厚を有する第3の領域と、を有し、
前記第1の領域は、前記ソース電極層と重なり、
前記第2の領域は、前記ドレイン電極層と重なり、
前記第3の領域は、前記ソース電極層と重ならず、
前記第3の領域は、前記ドレイン電極層と重ならず、
断面視において、前記酸化物半導体膜は、傾斜した側面を有し、
前記断面視において、前記ゲート電極層は、傾斜した側面を有し、
前記断面視において、前記ソース電極層及び前記ドレイン電極層のそれぞれは、傾斜した側面を有し、
前記断面視において、前記ソース電極層及び前記ドレイン電極層のそれぞれは、前記酸化物半導体膜が有する前記側面に接する領域を有し、
前記断面視において、前記ソース電極層及び前記ドレイン電極層のそれぞれは、チャネル長方向に突出している領域を有し、
前記ソース電極層及び前記ドレイン電極層のそれぞれが有する前記突出している領域は、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo及びWから選ばれた元素を含む、半導体装置。
【請求項3】
ゲート電極層と、
前記ゲート電極層上のゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上の酸化物半導体膜と、
前記酸化物半導体膜上のソース電極層及びドレイン電極層と、を有し、
前記酸化物半導体膜は、
第1の領域と、
第2の領域と、
前記第1の領域と前記第2の領域との間に位置し、且つ前記第1の領域が有する膜厚よりも小さい膜厚を有する第3の領域と、を有し、
前記第1の領域は、前記ソース電極層と重なり、
前記第2の領域は、前記ドレイン電極層と重なり、
前記第3の領域は、前記ソース電極層と重ならず、
前記第3の領域は、前記ドレイン電極層と重ならず、
断面視において、前記酸化物半導体膜は、傾斜した側面を有し、
前記断面視において、前記ゲート電極層は、傾斜した側面を有し、
前記断面視において、前記ソース電極層及び前記ドレイン電極層のそれぞれは、傾斜した側面を有し、
前記断面視において、前記ソース電極層及び前記ドレイン電極層のそれぞれは、前記酸化物半導体膜が有する前記側面に接する領域を有し、
前記断面視において、前記ソース電極層は、第4の領域と、前記第4の領域よりも下に位置し、且つ前記第4の領域よりもチャネル長方向に突出している第5の領域と、を有し、
前記断面視において、前記ドレイン電極層は、第6の領域と、前記第6の領域よりも下に位置し、且つ前記第6の領域よりもチャネル長方向に突出している第7の領域と、を有し、
前記ソース電極層及び前記ドレイン電極層のそれぞれは、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo及びWから選ばれた元素を含む、半導体装置。
【請求項4】
ゲート電極層と、
前記ゲート電極層上のゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上の酸化物半導体膜と、
前記酸化物半導体膜上のソース電極層及びドレイン電極層と、を有し、
前記酸化物半導体膜は、
第1の領域と、
第2の領域と、
前記第1の領域と前記第2の領域との間に位置し、且つ前記第1の領域が有する膜厚よりも小さい膜厚を有する第3の領域と、を有し、
前記第1の領域は、前記ソース電極層と重なり、
前記第2の領域は、前記ドレイン電極層と重なり、
前記第3の領域は、前記ソース電極層と重ならず、
前記第3の領域は、前記ドレイン電極層と重ならず、
断面視において、前記酸化物半導体膜は、傾斜した側面を有し、
前記断面視において、前記ゲート電極層は、傾斜した側面を有し、
前記断面視において、前記ソース電極層及び前記ドレイン電極層のそれぞれは、傾斜した側面を有し、
前記断面視において、前記ソース電極層及び前記ドレイン電極層のそれぞれは、前記酸化物半導体膜が有する前記側面に接する領域を有し、
前記断面視において、前記ソース電極層は、第4の領域と、前記第4の領域よりも下に位置し、且つ前記第4の領域よりもチャネル長方向に突出している第5の領域と、を有し、
前記断面視において、前記ドレイン電極層は、第6の領域と、前記第6の領域よりも下に位置し、且つ前記第6の領域よりもチャネル長方向に突出している第7の領域と、を有し、
前記第4の領域、前記第5の領域、前記第6の領域及び前記第7の領域のそれぞれは、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo及びWから選ばれた元素を含む、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
酸化物半導体を用いる半導体装置及びその作製方法に関する。
【0002】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置
全般を指し、電気光学装置、半導体回路および電子機器は全て半導体装置である。
【背景技術】
【0003】
チャネル形成領域に酸化物半導体膜を用いてトランジスタなどを作製し、表示装置に応用
する技術が注目されている。例えば、酸化物半導体膜として酸化亜鉛(ZnO)を用いる
トランジスタや、InGaO(ZnO)を用いるトランジスタが挙げられる。これら
の酸化物半導体膜を用いたトランジスタを、透光性を有する基板上に形成し、画像表示装
置のスイッチング素子などに用いる技術が特許文献1及び特許文献2で開示されている。
【0004】
また、特許文献3には、酸化物半導体層と接するソース電極及びドレイン電極と、酸化物
半導体層と重なるゲート電極と、酸化物半導体層とゲート電極との間に設けられたゲート
絶縁層と、を有し、ソース電極及びドレイン電極は、第1の導電層と、第1の導電層の端
部よりチャネル長方向に伸長した領域を有する第2の導電層を備えたトランジスタ構造が
開示されている。
【0005】
また、特許文献4には、酸化物半導体層の上下にゲート電極が形成されている構造が開示
されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-123861号公報
【文献】特開2007-96055号公報
【文献】特開2011-171721号公報
【文献】特開2011-103458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
酸化物半導体膜の上下にゲート電極が形成されているデュアルゲート構造や、ボトムゲー
ト構造や、トップゲート構造などのトランジスタを作製する際、酸化物半導体膜上に接し
て電極層を形成し、酸化物半導体膜の表面の一部を露出させる場合がある。その場合、電
極層と酸化物半導体膜は、十分に選択比がとれるエッチング処理を行うことが好ましい。
【0008】
しかしながら、電極層と酸化物半導体膜とが十分に選択比がとれるエッチング処理は困難
である。特に酸化物半導体膜の膜厚が小さい場合には、電極層のエッチングの際に除去さ
れてしまい、膜自体が消失することもある。また、エッチング条件によっては電極層の形
状不良や、酸化物半導体膜への穴形成を引き起こす恐れもある。このような半導体装置の
形状不良は、電気的特性の低下を招いてしまう。
【0009】
酸化物半導体膜上に接してソース電極層及びドレイン電極層を形成する場合、上述した半
導体装置の形状不良の発生を抑えるトランジスタの作製方法を提供することを課題の一と
する。
【0010】
また、酸化物半導体膜上にソース電極層及びドレイン電極層を形成し、ソース電極層及び
ドレイン電極層の端部に生じる恐れのある電界集中の緩和を実現するトランジスタ構造を
提供することを課題の一とする。
【0011】
また、酸化物半導体膜をチャネル形成領域に用いたトランジスタを有する半導体装置にお
いて、安定した電気的特性を付与し、信頼性の向上を達成することを課題の一つとする。
【0012】
また、ソース電極層及びドレイン電極層上に形成するゲート絶縁膜の膜厚や酸化物半導体
膜の膜厚が小さくても段切れが生じにくい断面形状を有するソース電極層及びドレイン電
極層を形成することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
下地膜は結晶構造を有する酸化物半導体膜とし、下地膜上に単層の金属膜を形成した後、
レジストマスクを形成し、複数回のエッチングを行うことで突出部を有する断面構造の電
極を形成する。
【0014】
具体的には、金属膜上にレジストマスクを形成し、金属膜の膜厚の半分程度を除去して部
分的に薄膜にする第1のエッチングを行い、レジストマスクにアッシングを行ってレジス
トマスクの面積を小さくする処理を行った後、小さくしたレジストマスクを用いて第2の
エッチングを行い、突出部を有する単層の金属膜を形成する。
【0015】
また、下地膜が結晶構造を有する酸化物半導体膜である場合、結晶構造を有する酸化物半
導体膜に接する単層の金属膜を加工する際、または、その後に金属膜をマスクとするウェ
ットエッチングを行って酸化物半導体膜に薄い領域(即ち、金属膜と重なる領域の厚さよ
りも薄く、且つ、金属膜と重ならない領域)を形成してもよく、その薄い領域をチャネル
形成領域とするトランジスタを作製することができる。
【0016】
チャネル形成領域となる酸化物半導体膜の薄い領域は、希釈フッ酸を用いたウェットエッ
チングにより形成する。希釈フッ酸は、0.25%以下の濃度が好ましく、さらにそれよ
りも水で希釈した極めて濃度の低い、例えば0.0025%のものを用いる。このような
希釈フッ酸を用いることで、非晶質構造の酸化物半導体膜に比べて結晶構造を有する酸化
物半導体膜のエッチング速度を約3倍程度遅くすることができ、さらにエッチングの進行
状況も異ならせることができる。結晶構造を有する酸化物半導体膜に対して、このような
希釈フッ酸を用いることで、異方的にエッチングさせることができ、電極層及び酸化物半
導体膜の断面形状を良好なものとすることができる。一方、非晶質構造の酸化物半導体膜
に対して、このような希釈フッ酸を用いると等方的なエッチングとなる。
【0017】
本明細書で開示する発明の構成の一形態は、絶縁表面上に結晶構造を有する酸化物半導体
膜を形成し、酸化物半導体膜の一部上に接して電極層を形成し、濃度が0.0001%よ
り高く0.25%以下の希フッ酸に曝すことで酸化物半導体膜の露出部の膜厚を小さくす
ることを特徴とする半導体装置の作製方法である。
【0018】
また、酸化物半導体膜上にソース電極層及びドレイン電極層を形成する場合、上記手順に
より、チャネル長方向に伸長した突出部を有するソース電極層及びドレイン電極層を形成
することができる。このような断面形状を有するソース電極層及びドレイン電極層上にゲ
ート絶縁膜を形成すると、ゲート絶縁膜の膜厚や酸化物半導体膜の膜厚が小さくても段切
れが生じにくい。また、単層の金属膜を用いて、チャネル長方向に伸長した突出部を有す
るソース電極層及びドレイン電極層を形成することで、積層の金属膜を用いる場合に比べ
て製造工程を単純なものとすることができる。
【0019】
また、ソース電極層の突出部(またはドレイン電極層の突出部)は、酸化物半導体膜上に
重なり、端部に生じる恐れのある電界集中の緩和の効果があり、トランジスタの電気的特
性の向上及び信頼性の向上にも寄与する。
【0020】
そして、酸化物半導体膜の上方及び下方にそれぞれゲート電極層を配置し、一方のゲート
電極層の電位をGNDとすることでトランジスタのしきい値電圧をよりプラスとし、ノー
マリーオフのトランジスタとすることができる。
【0021】
また、電位をGNDとするゲート電極層は外部の電場を遮蔽する、すなわち外部の電場が
トランジスタに作用しないようにする機能(特に静電気に対する静電遮蔽機能)も有する
。電位をGNDとするゲート電極層の遮蔽機能により、静電気などの外部の電場の影響で
トランジスタの電気的な特性が変動することを防止することができる。
【0022】
上記作製方法により、ソース電極層及びドレイン電極層の形成後に、該電極層をマスクと
してウェットエッチングを行い、酸化物半導体膜に薄い領域を形成してチャネル形成領域
とすることで、トランジスタの高性能化を図ることができる。また、ソース電極層とドレ
イン電極層との間に生じる恐れのある電界集中を緩和できる。
【0023】
希釈フッ酸を用いて酸化物半導体膜をウェットエッチングすることで、チャネル形成領域
(薄い領域)の膜厚をより正確に制御することができ、更にチャネル形成領域(薄い領域
)付近の汚染物質を低減させることができる。
【0024】
また、チャネル長方向に伸長した突出部を有するソース電極層及びドレイン電極層を有し
ているため、ソース電極層及びドレイン電極層上にゲート絶縁膜を形成すると、ゲート絶
縁膜の膜厚や酸化物半導体膜の膜厚が小さくても段切れが生じにくい。また、単層の金属
膜を用いて、チャネル長方向に伸長した突出部を有するソース電極層及びドレイン電極層
を形成することで、工程を単純なものとすることができる。
【0025】
また、酸化物半導体膜の上下にゲート電極が形成されているデュアルゲート構造において
、酸化物半導体膜の下に位置するゲート電極として機能する導電層は酸化物絶縁膜中に埋
没するように設けられており、酸化物絶縁膜において酸化物絶縁膜下面近傍、及び導電層
が存在する場所では該導電層の近傍には、酸化物絶縁膜の化学量論的組成を超える酸素が
存在する酸素過剰領域が設けられている。
【0026】
酸素過剰領域は、導電層、及び導電層上に酸化物絶縁膜を形成した後、導電層の形状が反
映して上面に凸部を有する酸化物絶縁膜に酸素導入処理(酸素ドープ処理)を行って形成
することができる。酸素過剰領域形成後、酸化物絶縁膜に上面の凸部を除去する平坦化処
理を行う。平坦化処理は、化学的機械研磨法を用いる。
【0027】
平坦化処理によって、導電層上の酸化物絶縁膜は選択的に除去されて薄くなり、導電層上
の酸素過剰領域と、酸化物絶縁膜上面との距離も短くなる。一方、酸化物絶縁膜において
、導電層が存在しない領域では、酸化物絶縁膜の除去はほとんど行わず、酸素過剰領域は
酸化物絶縁膜下面近傍に存在する。よって、酸化物絶縁膜において、酸素過剰領域は、酸
化物絶縁膜上面から、導電層の存在する領域ではより浅い位置に設けられ、他の領域(導
電層の存在しない領域)では深い位置に設けられる。
【0028】
従って、酸化物半導体膜(少なくともチャネル形成領域)が設けられる、導電層と重なる
酸化物絶縁膜において、酸化物半導体膜に近接して酸素過剰領域を設けることができるた
め、酸素過剰領域から酸化物半導体膜へ効率よく酸素を供給することができる。また、酸
素の供給は、熱処理を行って促進させることもできる。
【0029】
従って、半導体装置において、効率よく酸化物半導体膜中及び界面の酸素欠損の補填を行
うことが可能となる。
【0030】
また、酸化物半導体膜は、組成の異なる酸化物半導体膜の積層を用いることができる。
【0031】
例えば、2層の酸化物半導体膜を積層する場合、In:Ga:Zn=3:1:2(=1/
2:1/6:1/3)の原子数比のターゲットを用いて成膜されるIn-Ga-Zn系酸
化物膜上にIn:Ga:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)の原子数比のタ
ーゲットを用いて成膜されるIn-Ga-Zn系酸化物膜を積層した積層膜を用いること
ができる。
【0032】
この場合、膜厚の小さい領域を有する酸化物半導体膜は、In:Ga:Zn=1:1:1
の原子数比のターゲットを用いたIn-Ga-Zn系酸化物膜とすることが好ましい。
【0033】
また、例えば、3層の酸化物半導体膜を積層する場合、In:Ga:Zn=1:3:2(
=1/6:1/2:1/3)の原子数比のターゲットを用いて成膜されるIn-Ga-Z
n系酸化物膜上に、In:Ga:Zn=3:1:2の原子数比のターゲットを用いて成膜
されるIn-Ga-Zn系酸化物膜を積層し、In:Ga:Zn=3:1:2の原子数比
のターゲットを用いて成膜されるIn-Ga-Zn系酸化物膜上に、In:Ga:Zn=
1:1:1の原子数比のターゲットを用いて成膜されるIn-Ga-Zn系酸化物膜を積
層した積層膜を用いることができる。
【0034】
この場合、膜厚の小さい領域を有する酸化物半導体膜は、In:Ga:Zn=1:1:1
の原子数比のターゲットを用いて成膜されたIn-Ga-Zn系酸化物膜とすることが好
ましい。
【0035】
また、例えば、3層の酸化物半導体膜を積層する場合、In:Ga:Zn=1:1:1の
原子数比のターゲットを用いて成膜されるIn-Ga-Zn系酸化物膜上に、In:Ga
:Zn=3:1:2の原子数比のターゲットを用いて成膜されるIn-Ga-Zn系酸化
物膜を積層し、In:Ga:Zn=3:1:2の原子数比のターゲットを用いて成膜され
るIn-Ga-Zn系酸化物膜上に、In:Ga:Zn=1:3:2の原子数比のターゲ
ットを用いて成膜されるIn-Ga-Zn系酸化物膜を積層した積層膜を用いることがで
きる。
【0036】
この場合、膜厚の小さい領域を有する酸化物半導体膜は、In:Ga:Zn=1:3:2
の原子数比のターゲットを用いて成膜したIn-Ga-Zn系酸化物膜とすることが好ま
しい。
【0037】
なお、単層の酸化物半導体膜を用いる場合、膜厚の小さい領域を有する酸化物半導体膜と
接する下地膜の表面が露出しないように、下地膜の表面上に酸化物半導体膜を残すように
することが好ましい。
【0038】
なお、組成の異なる酸化物半導体膜の積層を用いる場合、膜厚の小さい領域を有する酸化
物半導体膜と接する酸化物半導体膜の表面が露出しないように、酸化物半導体膜を残すよ
うにすることが好ましい。
【0039】
また、上記構成において、さらにソース電極層及びドレイン電極層上に重なる絶縁層を設
け、その絶縁層上に接してゲート絶縁膜を有する構成としてもよい。この絶縁層は、ゲー
ト電極層とソース電極層との間に形成される寄生容量及びゲート電極層とドレイン電極層
との間に形成される寄生容量を低減する。また、この絶縁層は、酸化シリコン膜、酸化窒
化シリコン膜などを用いて形成し、ゲート絶縁膜のエッチング時や、ゲート電極層のエッ
チング時にソース電極層及びドレイン電極層を保護する。
【0040】
また、ゲート絶縁膜として酸化ガリウム膜(GaOとも表記する、なお、Xは自然数と
は限らず、非自然数を含む。)、Ga(Gd)膜、ガリウムの含有量が多く
、且つ、インジウムの含有量の少ない絶縁性のIn-Ga-Zn系酸化物膜などのガリウ
ムを含む絶縁膜を用いることが好ましい。また、ガリウムを含む絶縁膜は、膜中に酸素を
多く含ませることが好ましく、ガリウムを含む絶縁膜の成膜条件を膜中に酸素を多く含む
成膜条件とする、またはガリウムを含む絶縁膜の成膜後に酸素ドープ処理を行う。
【0041】
なお、「酸素ドープ」とは、酸素(少なくとも、酸素ラジカル、酸素原子、酸素分子、オ
ゾン、酸素イオン(酸素分子イオン)、及び/又は酸素クラスタイオンのいずれかを含む
)をバルクに添加することを言う。なお、当該「バルク」の用語は、酸素を、薄膜表面の
みでなく薄膜内部に添加することを明確にする趣旨で用いている。また、「酸素ドープ」
には、プラズマ化した酸素をバルクに添加する「酸素プラズマドープ」が含まれる。
【0042】
酸素ドープ処理には、酸素を含むガスを用いることができる。酸素を含むガスとしては、
酸素、一酸化二窒素、二酸化窒素、二酸化炭素、一酸化炭素などを用いることができる。
また、酸素ドープ処理において、酸素を含むガスに希ガスを含ませてもよい。
【0043】
酸素ドープ処理は処理条件により、直接酸素ドープ処理に曝される膜だけでなく、該膜の
下に設けられた膜にも酸素をドープすることができる。即ち、酸化物半導体膜上に酸化ガ
リウム膜からなるゲート絶縁膜を形成し、酸素ドープ処理を行うと、ゲート絶縁膜だけで
なく、酸化物半導体膜中にも酸素を含ませることができる。
【0044】
また、酸化物半導体膜は、結晶構造を有することが好ましい。結晶構造を有する酸化物半
導体膜は、単結晶膜、微結晶膜、多結晶膜(ポリクリスタルともいう。)またはCAAC
-OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Sem
iconductor)膜とする。
【0045】
また、膜厚の小さい領域(金属膜と重ならない領域)と、膜厚の大きい領域(金属膜と重
なる領域)との間の境界領域が膜厚方向に立ち上がる断面形状を有する酸化物半導体膜を
備えた半導体装置も本発明の一つであり、その構成は、導電層と、導電層上の酸化物絶縁
膜と、酸化物絶縁膜上の第1の絶縁膜と、第1の絶縁膜上に接するチャネル形成領域を含
む酸化物半導体膜と、酸化物半導体膜上の、酸化物半導体膜と電気的に接続するソース電
極層及びドレイン電極層と、酸化物半導体膜、ソース電極層、及びドレイン電極層上の第
2の絶縁膜とを有し、酸化物半導体膜は、膜厚の小さい領域と膜厚の大きい領域との間の
境界領域が膜厚方向に立ち上がる断面形状を有する半導体装置である。上記構成において
、酸化物半導体膜は、CAAC-OS膜であることが特に好ましい。CAAC-OS膜を
用いることによって、酸化物半導体膜の薄い領域(金属膜と重ならない領域、即ちチャネ
ル形成領域)と、厚い領域(金属膜と重なる領域、即ちソース電極層またはドレイン電極
層と接する領域)との間の境界領域が膜厚方向に立ち上がる断面形状とし、滑らかに順テ
ーパ方向に傾斜する断面形状、具体的には境界領域の表面と酸化物絶縁膜の表面とがなす
角度が0°より大きく90°未満、好ましくは20°以上70°以下にすることが可能で
ある。境界領域においては、薄い領域との境界から連続的に膜厚が増加して厚い領域とな
った断面形状となっており、大きな段差がない。従って、酸化物半導体膜上に形成される
ゲート絶縁膜及びゲート電極層の被覆性の向上を図ることができる。更に、ゲート絶縁膜
の膜厚が小さくても段切れを生じにくくすることができる。
【0046】
CAAC-OS膜のチャネル形成領域を薄膜化することで、トランジスタのスイッチング
特性の劣化の防止、電気的特性の向上を図ることができる。
【0047】
CAAC-OS膜に含まれる結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさ
であることが多い。また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission El
ectron Microscope)による観察像では、CAAC-OS膜に含まれる
結晶部と結晶部との境界は明確ではない。また、TEMによってCAAC-OS膜には粒
界(グレインバウンダリーともいう。)は確認できない。そのため、CAAC-OS膜は
、粒界に起因する電子移動度の低下が抑制される。
【0048】
CAAC-OS膜に含まれる結晶部は、c軸がCAAC-OS膜の被形成面の法線ベクト
ルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃い、かつab面に垂直な方向か
ら見て金属原子が三角形状または六角形状に配列し、c軸に垂直な方向から見て金属原子
が層状または金属原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶部間で、そ
れぞれa軸およびb軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載
する場合、80°以上100°以下、好ましくは85°以上95°以下の範囲も含まれる
こととする。また、単に平行と記載する場合、-10°以上10°以下、好ましくは-5
°以上5°以下の範囲も含まれることとする。
【0049】
なお、CAAC-OS膜において、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CAA
C-OS膜の形成過程において、酸化物半導体膜の表面側から結晶成長させる場合、被形
成面の近傍に対し表面の近傍では結晶部の占める割合が高くなることがある。また、CA
AC-OS膜へ不純物を添加することにより、当該不純物添加領域において結晶部の結晶
性が低下することもある。
【0050】
CAAC-OS膜に含まれる結晶部のc軸は、CAAC-OS膜の被形成面の法線ベクト
ルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃うため、CAAC-OS膜の形
状(被形成面の断面形状または表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くこと
がある。また、結晶部は、成膜したとき、または成膜後に加熱処理などの結晶化処理を行
ったときに形成される。従って、結晶部のc軸の方向は、CAAC-OS膜が形成された
ときの被形成面の法線ベクトル方向または表面の法線ベクトル方向に平行な方向になるよ
うに揃う。
【0051】
また、CAAC-OSのように結晶部を有する酸化物半導体では、よりバルク内欠陥を低
減することができ、表面の平坦性を高めればアモルファス状態の酸化物半導体以上の移動
度を得ることができる。表面の平坦性を高めるためには、平坦な表面上に酸化物半導体を
形成することが好ましく、具体的には、平均面粗さ(Ra)が1nm以下、好ましくは0
.3nm以下、より好ましくは0.1nm以下の表面上に形成するとよい。
【0052】
CAAC-OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気的特性の変
動を低減することが可能である。従って、酸化物半導体膜をCAAC-OS膜とすること
で、可視光や紫外光の照射よるトランジスタの電気的特性の変化を抑制し、信頼性の高い
半導体装置とすることができる。
【0053】
また、酸化物半導体膜をCAAC-OS膜とする場合、CAAC-OS膜に接する第1の
絶縁膜及び第2の絶縁膜は、非晶質構造を有することが好ましい。具体的には、CAAC
-OS膜の成膜温度よりも低い基板温度で第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜の成膜を行う、
またはスパッタリングの成膜ガスにアルゴンなどの希ガスを用いて第1の絶縁膜及び第2
の絶縁膜の成膜を行う。
【0054】
また、酸化ガリウムを含む第1の絶縁膜に酸素ドープ処理を行って非晶質構造とし、且つ
、酸化ガリウムを含む第1の絶縁膜の化学量論的組成を超える酸素が存在する酸素過剰領
域を形成してもよい。例えば、Gaで表すことのできる酸化ガリウム膜の場合、酸
素過剰領域は、GaO(X>1.5)である。酸素過剰領域を含む第1の絶縁膜は、酸
化物半導体膜からの酸素の脱離を防止し、酸化物半導体膜へ酸素を供給する有効な酸素供
給層としても機能する。
【0055】
また、酸化ガリウムを含む第2の絶縁膜に酸素ドープ処理を行って非晶質構造とし、且つ
、酸化ガリウムを含む第2の絶縁膜の化学量論的組成を超える酸素が存在する酸素過剰領
域を形成してもよい。また、酸素過剰領域を含む第2の絶縁膜は、酸化物半導体膜からの
酸素の脱離を防止し、酸化物半導体膜へ酸素を供給する有効な酸素供給層としても機能す
る。
【0056】
酸化物半導体膜としてガリウムを含む半導体膜(例えば、In-Ga-Zn系酸化物膜)
を用い、その酸化物半導体膜を挟むように上下に接してガリウムを含む絶縁膜(例えば酸
化ガリウム膜)を用いると、上下に配置する絶縁膜中には、酸化物半導体膜の同一構成材
料を含んでいるため、酸化物半導体膜の界面状態を良好なものとすることができ、安定な
電気的特性を付与することができる。また、酸化物半導体膜を挟むように上下に接して酸
化ガリウムからなる絶縁膜を設けることで、外部から酸化物半導体膜に影響を与える恐れ
のある不純物、例えば窒素や金属元素などの拡散による侵入をブロックする役目を果たす
ことができる。従って、酸化物半導体膜を挟む、或いは酸化物半導体膜を囲むように酸化
ガリウムからなる絶縁膜を設けることで、囲まれている酸化物半導体膜の組成およびその
純度を一定に保ち、安定した電気的特性を有する半導体装置を実現できる。
【0057】
なお、本明細書において、酸化物半導体膜における膜厚の小さい領域をチャネル形成領域
として機能させるものとする。チャネル長方向に伸長したソース電極層の下端部と、チャ
ネル長方向に伸長したドレイン電極層の下端部との間の距離をチャネル長とする。
【0058】
なお、本明細書において、「エッチングレート」(「エッチング速度」ともいう)とは、
1分間当たりの膜厚方向についてのエッチング量を指すものとする。「エッチングレート
」の単位は、(単位:nm/min)で示すものとする。
【0059】
なお、本明細書において、「汚染」とは、トランジスタの電気的特性に対して電気的特性
のバラツキや電気的特性の低下や信頼性の低下を招くという意味で用いられるものとする
【発明の効果】
【0060】
酸化物半導体膜上に接してソース電極層及びドレイン電極層を形成した後、希釈したフッ
酸を用いたウェットエッチングを行うことにより、半導体装置の形状不良の発生を抑える
。さらに、希釈したフッ酸を用いたウェットエッチングを行うことにより、Cl、Al、
C、Bなどの不純物が付着している酸化物半導体膜の表面の一部を除去し、膜厚の小さい
領域をチャネル形成領域として機能させ、電気的特性のバラツキを低減させることができ
る。
【0061】
また、薄い領域の膜厚が20nm以下であっても、酸化物半導体膜の消失を防止すること
ができ、チャネル形成領域における酸化物半導体膜を薄膜化することでトランジスタの高
性能化を図ることができる。
【0062】
ゲート絶縁膜の膜厚が20nm以下、または酸化物半導体膜の膜厚(厚い領域の膜厚)が
30nm以下であっても段切れが生じにくい断面形状を有するソース電極層及びドレイン
電極層を形成することができる。
【0063】
また、酸化物半導体膜を挟むように上下に接して酸化ガリウムを含む絶縁膜を用いること
によって、安定した電気的特性を付与し、信頼性の向上を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】本発明の一態様を示す工程断面図である。
図2】本発明の一態様を示す工程断面図である。
図3】本発明の一態様を示す断面図である。
図4】本発明の一態様を示す工程断面図である。
図5】本発明の一態様を示す断面図である。
図6】本発明の一態様を示す断面図及び上面図である。
図7】半導体装置の一形態を示す断面図及び回路図。
図8】半導体装置の一形態を示す断面図及び回路図。
図9】半導体装置の一形態を示す回路図。
図10】半導体装置の一形態を示す斜視図。
図11】半導体装置の一形態を示すブロック図。
図12】本発明の一態様を示す断面図である。
図13】本発明の一態様を示す上面図及び断面図である。
図14】本発明の一態様を示す断面図である。
図15】本発明の一態様との比較を示す断面図である。
図16】本発明の一態様に係るSIMS測定結果を示す図である。
図17】本発明の一態様に係るSIMS測定結果を示す図である。
図18】本発明の一態様に係るSIMS測定結果を示す図である。
図19】本発明の一態様に係るSIMS測定結果を示す図である。
図20】本発明の一態様に係るSIMS測定結果を示す図である。
図21】本発明の一態様に係るサンプルと比較のサンプルを示す図である。
図22】電子機器を説明する図。
図23】電子機器を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0065】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は
以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれ
ば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈さ
れるものではない。
【0066】
(実施の形態1)
本実施の形態では、半導体装置及び半導体装置の作製方法の一形態を、図1を用いて説明
する。本実施の形態では、酸化物半導体膜を有するトランジスタの作製方法の一例を示す
【0067】
まず、絶縁表面を有する基板400上に、スパッタリング法、蒸着法などを用いて導電膜
を形成し、該導電膜をエッチングして、導電層491を形成する。
【0068】
絶縁表面を有する基板400に使用することができる基板に大きな制限はないが、少なく
とも、後の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有していることが必要となる。例えば、バリ
ウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、セラミック基板、
石英基板、サファイア基板などを用いることができる。また、シリコンや炭化シリコンな
どの単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウムなどの化合物半導体基
板、SOI基板などを適用することもでき、これらの基板上に半導体素子が設けられたも
のを、基板400として用いてもよい。
【0069】
導電層491の材料は、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、
銅、クロム、ネオジム、スカンジウム等の金属材料またはこれらを主成分とする合金材料
を用いて形成することができる。また、導電層491としてリン等の不純物元素をドーピ
ングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜、ニッケルシリサイドなどのシリサイド
膜を用いてもよい。導電層491は、単層構造としてもよいし、積層構造としてもよい。
【0070】
また、導電層491の材料は、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム
酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸
化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、酸化インジウム酸化亜鉛、酸化ケイ素を添
加したインジウム錫酸化物などの導電性材料を適用することもできる。また、上記導電性
材料と、上記金属材料の積層構造とすることもできる。
【0071】
また、ノーマリーオフのスイッチング素子を実現するために、5eV(電子ボルト)以上
、好ましくは5.5eV(電子ボルト)以上の仕事関数を有する材料を導電層491とし
て用いて、トランジスタのしきい値電圧をプラスにすることが好ましい。具体的には、I
n-N結合を有し、且つ、固有抵抗が1×10-4~1×10-1Ω・cm、好ましくは
固有抵抗が1×10-4~5×10-2Ω・cmを有する材料を導電層491として用い
る。その材料の一例としては、窒素を含むIn-Ga-Zn系酸化物膜や、窒素を含むI
n-Sn-O膜や、窒素を含むIn-Ga-O膜や、窒素を含むIn-Zn-O膜や、窒
素を含むIn-O膜や、金属窒化膜(InNなど)などが挙げられる。
【0072】
次いで、基板400及び導電層491上に酸化物絶縁膜480を形成する(図1(A)参
照)。酸化物絶縁膜480は導電層491の形状を反映した表面に凸部を有する膜である
【0073】
酸化物絶縁膜480としては、プラズマCVD法又はスパッタリング法等により、酸化シ
リコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ハフニウム
、酸化ガリウム、酸化亜鉛、又はこれらの混合材料を用いて形成することができる。酸化
物絶縁膜480は、単層でも積層でもよい。
【0074】
本実施の形態では酸化物絶縁膜480としてスパッタリング法を用いて形成する酸化シリ
コン膜を用いる。また、プラズマCVD法を用いて形成する酸化窒化シリコン膜を用いて
もよい。
【0075】
次いで、表面に凸部を有する酸化物絶縁膜480に対して、酸素431を導入する処理(
酸素ドープ処理)を行い、酸化物絶縁膜480下面近傍及び導電層491近傍に、酸素過
剰領域481を形成する。これによって、酸素過剰領域481を有する酸化物絶縁膜48
4が形成される(図1(B)参照)。なお、図中において、点線で示す酸素過剰領域48
1は、導入された酸素の分布中心を模式的に表している。
【0076】
酸素431には、少なくとも、酸素ラジカル、酸素原子、酸素分子、オゾン、酸素イオン
(酸素分子イオン)、及び/又は酸素クラスタイオンのいずれかが含まれている。
【0077】
酸化物絶縁膜480への酸素431の導入は、例えば、イオン注入法、イオンドーピング
法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法、プラズマ処理等を用いること
ができる。なお、イオン注入法として、ガスクラスタイオンビームを用いてもよい。また
、酸素431の導入は、基板400の全面を一度に処理してもよいし、例えば、線状のイ
オンビームを用いてもよい。線状のイオンビームを用いる場合には、基板又はイオンビー
ムを相対的に移動(スキャン)させることで、酸化物絶縁膜480全面に酸素431を導
入することができる。
【0078】
酸素431の供給ガスとしては、Oを含有するガスを用いればよく、例えば、Oガス、
Oガス、COガス、COガス、NOガス等を用いることができる。なお、酸素の
供給ガスに希ガス(例えばAr)を含有させてもよい。
【0079】
また、例えば、イオン注入法で酸素の導入を行う場合、酸素431のドーズ量を0.5×
1016cm-2以上5×1016cm-2以下(例えば、1×1016cm-2)、加
速エネルギーを50eV以上70eV以下(例えば、50eV)とするのが好ましく、酸
素ドープ処理後の酸素過剰領域481を含む酸化物絶縁膜中の酸素の含有量は、酸化物絶
縁膜の化学量論的組成を超える程度とするのが好ましい。なお、このような化学量論的組
成よりも酸素を過剰に含む領域は、酸素過剰領域481に存在していればよい。なお、酸
素431の注入深さは、注入条件により適宜制御すればよい。
【0080】
次いで、酸素過剰領域481を含む酸化物絶縁膜484に上面の凸部を除去する平坦化処
理を行う。導電層491上の酸化物絶縁膜484を選択的に除去することで表面を平坦化
し、平坦化した酸化物絶縁膜436を形成する(図1(C)参照)。
【0081】
平坦化処理によって、導電層491上の酸化物絶縁膜は選択的に除去されて薄くなるため
、導電層491上の酸素過剰領域481と、酸化物絶縁膜上面との距離は短くなる。一方
、酸化物絶縁膜において、導電層491が存在しない領域では、酸化物絶縁膜の除去はほ
とんど行われず、酸素過剰領域481は酸化物絶縁膜下面近傍に存在する。よって、酸化
物絶縁膜436において、酸素過剰領域481は、酸化物絶縁膜上面から、導電層491
の存在する領域ではより浅い位置に設けられ、他の領域(導電層491の存在しない領域
)では深い位置に設けられる。
【0082】
従って、後の工程で酸化物半導体膜が設けられる、導電層491と重なる酸化物絶縁膜4
36において、酸化物半導体膜に近接して酸素過剰領域481を設けることができるため
、酸素過剰領域481から酸化物半導体膜へ効率よく酸素を供給することができる。また
、酸素の供給は、熱処理を行ってより促進することもできる。
【0083】
さらに、酸化物絶縁膜436において、酸素過剰領域481は、酸素供給が必要な酸化物
半導体膜の下以外の領域では、酸化物絶縁膜436上面から離れた、酸化物絶縁膜436
下面近傍に設けられている。よって、特に熱処理を行ったときでも、酸化物絶縁膜436
上面からの不必要な酸素の放出が抑制でき、酸化物絶縁膜436を酸素過剰な状態に維持
することができる。
【0084】
なお、本実施の形態では、酸化物絶縁膜480への酸素431の導入を行う例を示したが
、成膜直後に十分な酸素を含む酸化物絶縁膜480が形成できるのであれば、酸化物絶縁
膜480への酸素431の導入を省略することができる。
【0085】
また、平坦化処理としては、特に限定されないが、研磨処理(例えば、化学的機械研磨法
(Chemical Mechanical Polishing:CMP))、ドライ
エッチング処理、プラズマ処理を用いることができる。
【0086】
次いで、酸化物絶縁膜436上に酸化物半導体膜403を形成する。酸化物半導体膜40
3は、二元系金属の酸化物であるIn-Zn系酸化物、In-Mg系酸化物、In-Ga
系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn-Ga-Zn系酸化物(IGZOとも表記する
。)、In-Sn-Zn系酸化物、In-Hf-Zn系酸化物、In-La-Zn系酸化
物、In-Ce-Zn系酸化物、In-Pr-Zn系酸化物、In-Nd-Zn系酸化物
、In-Sm-Zn系酸化物、In-Eu-Zn系酸化物、In-Gd-Zn系酸化物、
In-Tb-Zn系酸化物、In-Dy-Zn系酸化物、In-Ho-Zn系酸化物、I
n-Er-Zn系酸化物、In-Tm-Zn系酸化物、In-Yb-Zn系酸化物、In
-Lu-Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn-Sn-Ga-Zn系酸化物、I
n-Hf-Ga-Zn系酸化物、In-Sn-Hf-Zn系酸化物などを用いることがで
きる。
【0087】
なお、ここで、例えば、In-Ga-Zn系酸化物とは、In、Ga及びZnを有する酸
化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、In、Ga及びZn
以外の金属元素が含まれていてもよい。
【0088】
本実施の形態において、酸化物半導体膜403を、スパッタリング法で作製するためのタ
ーゲットとしては、In:Ga:Zn=3:1:2[原子数比]の酸化物ターゲットを用
い、In-Ga-Zn系酸化物膜(IGZO膜)を5nm以上30nm以下の膜厚で成膜
する。
【0089】
なお、酸化物半導体膜403は、CAAC-OS膜であることが特に好ましい。CAAC
-OS膜を用いた場合、後の工程(ウェットエッチング)において、酸化物半導体膜40
3を一部(導電層491と重畳し、且つチャネル形成領域となる部分)薄膜化しても、酸
化物半導体膜403の薄い領域と、厚い領域(金属膜と重なる領域)との間の境界領域が
膜厚方向に立ち上がる断面形状とし、滑らかに順テーパ方向に傾斜する断面形状にするこ
とが可能である。酸化物半導体膜403の薄い領域は、少なくとも厚い領域よりも薄く、
厚い領域の膜厚の半分よりも厚いこととする。
【0090】
また、金属酸化物ターゲットの相対密度(充填率)は90%以上100%以下、好ましく
は95%以上99.9%以下である。相対密度の高い金属酸化物ターゲットを用いること
により、成膜した酸化物半導体膜は緻密な膜とすることができる。
【0091】
酸化物半導体膜403を、成膜する際に用いるスパッタリングガスは水素、水、水酸基又
は水素化物などの不純物が除去された高純度ガスを用いることが好ましい。
【0092】
減圧状態に保持された成膜室内に基板を保持する。そして、成膜室内の残留水分を除去し
つつ水素及び水分が除去されたスパッタガスを導入し、上記ターゲットを用いて酸化物絶
縁膜436上に酸化物半導体膜403を成膜する。成膜室内の残留水分を除去するために
は、吸着型の真空ポンプ、例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーシ
ョンポンプを用いることが好ましい。また、排気手段としては、ターボ分子ポンプにコー
ルドトラップを加えたものであってもよい。クライオポンプを用いて排気した成膜室は、
例えば、水素原子、水(HO)など水素原子を含む化合物(より好ましくは炭素原子を
含む化合物も)等が排気されるため、当該成膜室で成膜した酸化物半導体膜403に含ま
れる不純物の濃度を低減できる。
【0093】
酸化物半導体膜403は、膜状の酸化物半導体膜をフォトリソグラフィ工程により島状の
酸化物半導体膜に加工して形成することができる。
【0094】
また、島状の酸化物半導体膜403を形成するためのレジストマスクをインクジェット法
で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用
しないため、製造コストを低減できる。
【0095】
また、酸化物半導体膜403へ、酸化物絶縁膜436からの酸素の供給を促進するために
熱処理を行ってもよい。
【0096】
次いで、酸化物半導体膜403と電気的に接続するソース電極層405a、ドレイン電極
層405bを形成する。ソース電極層405a、ドレイン電極層405bを用いて他のト
ランジスタや素子と電気的に接続させ、様々な回路を構成することができる。
【0097】
ソース電極層405a、ドレイン電極層405bは、例えば、スパッタリング法、蒸着法
などを用いて導電膜を成膜し、エッチング法により加工して形成することができる。
【0098】
ソース電極層405a、及びドレイン電極層405bに用いる導電膜としては、例えば、
Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素を含む金属膜、または上述し
た元素を成分とする金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン
膜)等を用いることができる。
【0099】
本実施の形態では単層のタングステン膜を用い、タングステン膜上にレジストマスクを形
成し、タングステン膜の膜厚の半分程度を除去して部分的に薄膜にする第1のエッチング
を行い、レジストマスクにアッシング(Oアッシング等)を行ってレジストマスクの面
積を小さくする処理を行った後、小さくしたレジストマスクを用いて第2のエッチングを
行い、図1(D)に示す断面形状、即ち、突出部を有するソース電極層405a、及び突
出部を有するドレイン電極層405bをそれぞれ形成する。
【0100】
次いで、小さくしたレジストマスクを除去する。この段階の断面図が図1(D)に相当す
る。
【0101】
次いで、希釈フッ酸(濃度0.0025%)を用いて、酸化物半導体膜403に対してウ
ェットエッチングを行う。ウェットエッチングを行う際、希釈フッ酸の濃度、ウェットエ
ッチングの処理時間、及び酸化物半導体膜403の結晶化度等を適宜制御することによっ
て酸化物半導体膜403に膜厚の小さい領域を形成することができる。希釈フッ酸を用い
てウェットエッチングを行う事で、チャネル形成領域における酸化物半導体膜の膜厚をよ
り正確に制御することができ、また、チャネル形成領域付近の汚染物質を低減させること
ができる。従って、トランジスタの高性能化を図ることができる。
【0102】
また、酸化物半導体膜403に膜厚の小さい領域を形成することでソース電極層405a
とドレイン電極層405bとの間に生じる恐れのある電界集中の緩和を図ることができる
【0103】
本実施の形態では、一例として、タングステン膜を加工した後に、希釈フッ酸を用いてウ
ェットエッチングを行うことで、酸化物半導体膜403に薄い領域を形成する工程につい
て説明するが、この工程に限定されない。タングステン膜を加工する際のエッチング条件
を適宜調整することで、酸化物半導体膜403に薄い領域を形成しても良い。
【0104】
ウェットエッチングは、突出部を有するソース電極層405a、及び突出部を有するドレ
イン電極層405bをマスクとして、露出した酸化物半導体膜403についてのみ行われ
る。
【0105】
本実施の形態においては、露出した酸化物半導体膜403に対して、例えば5nm程度の
エッチングを行う(膜厚を5nm程度薄くする)。この場合、ウェットエッチングの処理
時間はエッチングレートから最適時間を適宜算出すればよい。
【0106】
ソース電極層405a及びドレイン電極層405bをマスクとするウェットエッチングが
、酸化物半導体膜403に対して行われると、ソース電極層405a及びドレイン電極層
405bと重ならない領域の酸化物半導体膜403の膜厚は、ソース電極層405a及び
ドレイン電極層405bと重なる領域の酸化物半導体膜403の膜厚よりも小さくなる(
図1(E)参照)。この薄い領域をトランジスタのチャネル形成領域として機能させるこ
とができる。従って、導電層491と重なり、チャネル長方向に伸長したソース電極層4
05aの下端部と、チャネル長方向に伸長したドレイン電極層405bの下端部との間の
距離をチャネル長とすることができる。
【0107】
なお、酸化物半導体膜403に薄い領域を形成する際、酸化物半導体膜403を過剰にエ
ッチングすることで、酸化物半導体膜403と接して形成されている酸化物絶縁膜436
の表面が露出しないように、十分注意する必要がある。即ち、希釈フッ酸の濃度、ウェッ
トエッチングの処理時間、及び酸化物半導体膜403の結晶化度等を適宜制御することが
好ましい。
【0108】
次いで、純水メガソニック洗浄を行う。この段階の断面図が図1(E)に相当する。
【0109】
なお、上記のように希釈フッ酸を用いたウェットエッチングを行う酸化物半導体膜として
、結晶構造を有する酸化物半導体膜、具体的にはCAAC-OS膜を用いると、CAAC
-OS膜上に形成されるゲート絶縁膜及びゲート電極層の被覆性向上の効果、トランジス
タの性能向上の効果、及びトランジスタの電気的特性の劣化を防止する効果、等が顕著に
現れるため、CAAC-OS膜を用いることが好ましい。
【0110】
CAAC-OS膜は、例えば、膜の全部またはほとんどが非晶質構造である酸化物半導体
膜(アモルファス-OS膜ともよぶ)と比べると、異方的にエッチングを進行させ易い。
CAAC-OS膜が有する結晶構造が、各結晶面に対してエッチングレートに違いを生じ
させるため、この違いを利用する事で、エッチングを異方的に進行させることが可能にな
る。
【0111】
従ってCAAC-OS膜を用いることで、CAAC-OS膜の薄い領域(ソース電極層4
05a及びドレイン電極層405bと重ならない領域)とCAAC-OS膜の厚い領域(
ソース電極層405a及びドレイン電極層405bと重なる領域)との間の境界領域が膜
厚方向に立ち上がる断面形状とし、滑らかに順テーパ方向に傾斜する断面形状にすること
が可能である。
【0112】
また、ゲート絶縁膜の膜厚が小さくても被覆性の向上が図れる。CAAC-OS膜の薄い
領域と、厚い領域との境界での電界集中を緩和させ、トランジスタの信頼性の向上を実現
することが可能である。
【0113】
一方、アモルファス-OS膜は、等方的にエッチングを進行させ易い。等方的にエッチン
グが進行した場合、下方向だけでなく横方向にも、同じ速度でエッチングが進むため、マ
スクとして用いられている突出部を有するソース電極層405a、及び突出部を有するド
レイン電極層405bの直下まで除去される。従って、アモルファス-OS膜上に形成さ
れるゲート絶縁膜及びゲート電極層の被覆性は低下する。
【0114】
次いで、酸化物半導体膜403、ソース電極層405a、及びドレイン電極層405bを
覆うゲート絶縁膜402を形成する(図1(F)参照)。
【0115】
ゲート絶縁膜402の膜厚は、例えば1nm以上20nm以下とし、スパッタリング法、
MBE法、CVD法、パルスレーザ堆積法、ALD法等を適宜用いることができる。また
、ゲート絶縁膜402は、スパッタリングターゲット表面に対し、概略垂直に複数の基板
表面がセットされた状態で成膜を行うスパッタ装置を用いて成膜してもよい。
【0116】
ゲート絶縁膜402としては、酸化シリコン膜、酸化ガリウム膜、Ga(Gd
)膜、酸化亜鉛膜、酸化アルミニウム膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化
窒化アルミニウム膜、または窒化酸化シリコン膜を用いることができる。また、絶縁性を
有するIn-Ga-Zn系酸化物膜もゲート絶縁膜402として用いることができる。絶
縁性を有するIn-Ga-Zn系酸化物膜は、In:Ga:Zn=1:3:2[原子数比
]の酸化物ターゲットを用い、基板温度を室温とし、スパッタリングガスにアルゴン、ま
たはアルゴンと酸素の混合ガスを用いて形成すればよい。
【0117】
本実施の形態では、ゲート絶縁膜402としてスパッタ法で形成する酸化ガリウム膜を用
いる。酸化ガリウム膜をゲート絶縁膜402として用いると、酸化物半導体膜403の同
一構成材料を含んでいるため、酸化物半導体膜の界面状態を良好なものとすることができ
、安定な電気的特性を付与することができる。
【0118】
次いで、ゲート絶縁膜402上に、スパッタリング法、蒸着法などを用いて導電膜を形成
し、該導電膜をエッチングして、ゲート電極層401a、401bを形成する。
【0119】
ゲート電極層401a、401bの材料は、モリブデン、チタン、タンタル、タングステ
ン、アルミニウム、銅、クロム、ネオジム、スカンジウム等の金属材料またはこれらを主
成分とする合金材料を用いて形成することができる。また、ゲート電極層401a、40
1bとしてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜
、ニッケルシリサイドなどのシリサイド膜を用いてもよい。ゲート電極層401a、40
1bは、単層構造としてもよいし、積層構造としてもよい。
【0120】
本実施の形態では、ゲート絶縁膜402上に接するゲート電極層401aとして、窒素を
含む金属酸化物膜(窒素を含むIn-Ga-Zn系酸化物膜)を用い、その上にゲート電
極層401bとしてタングステン膜を用いる。窒素を含む金属酸化物膜をゲート電極層4
01aとして用いてトランジスタのしきい値電圧をプラスにすることができる。
【0121】
以上の工程で、本実施の形態のトランジスタ440aを作製することができる(図2(A
)参照)。トランジスタ440aは、トップゲート構造のトランジスタの一例であり、図
2(A)は、トランジスタ440aのチャネル長方向の断面図である。
【0122】
また、酸素過剰領域481を含む酸化物絶縁膜436中に設けられた導電層491は、ゲ
ート電極層401a、401bとチャネル形成領域を介して重なり、トランジスタ440
aの電気的特性を制御する。
【0123】
導電層491はトランジスタ440aの電気的特性を制御する第2のゲート電極層(いわ
ゆるバッグゲートともいう)として機能することができる。例えば導電層491の電位を
GND(または固定電位)とすることでトランジスタ440aのしきい値電圧をよりプラ
スとし、さらにノーマリーオフのトランジスタとすることができる。
【0124】
また、ゲート電極層401a、401bは、ソース電極層405a及びドレイン電極層4
05bの一部と重なる構成である。ソース電極層405aの突出部(またはドレイン電極
層405bの突出部)は、ゲート絶縁膜402の被覆性の向上が図れる形状となっている
ため、電界集中の緩和の効果があり、トランジスタの電気的特性の向上及び信頼性の向上
に寄与する。
【0125】
次いで、ゲート電極層401a、401bを覆う絶縁膜407を形成する(図2(B)参
照)。この絶縁膜407は、酸化物半導体膜403またはゲート絶縁膜402からの酸素
の放出を防止する機能が高いバリア膜(保護膜)として機能する。
【0126】
バリア膜として機能する絶縁膜407は、酸化物半導体膜403への水素、水分などの不
純物侵入が防止できる緻密な膜が好ましい。
【0127】
バリア膜として機能する絶縁膜407としては、例えば、酸化ガリウム膜、Ga
Gd)膜、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化窒化
アルミニウム膜、窒化シリコン膜、窒化アルミニウム膜、窒化酸化シリコン膜、窒化酸化
アルミニウム膜、酸化亜鉛膜などの無機絶縁膜を用いることができ、単層でも積層でもよ
い。バリア膜として機能する絶縁膜407は、プラズマCVD法又はスパッタリング法、
又は成膜ガスを用いたCVD法、又はMBE法を用いることができる。
【0128】
次いで、絶縁膜407上に層間絶縁膜485を形成する。層間絶縁膜485は、酸化シリ
コン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、窒化シリ
コン膜、窒化アルミニウム膜、窒化酸化シリコン膜、窒化酸化アルミニウム膜、酸化ガリ
ウム膜、などの無機絶縁膜を用いることができ、単層でも積層でもよい。
【0129】
そして、層間絶縁膜485に埋め込み配線を形成した段階の断面図が図2(C)に相当す
る。層間絶縁膜485にソース電極層405aに達するコンタクトホールを形成し、第1
のバリア金属膜486を成膜し、その上に低抵抗導電層487を形成するための銅または
銅合金膜を成膜する。そして、平坦化するために研磨を行い、露出した低抵抗導電層48
7を保護するため、第2のバリア金属膜488を形成する。埋め込み配線は、第1のバリ
ア金属膜486と、第2のバリア金属膜488と、第1のバリア金属膜486と第2のバ
リア金属膜488で囲まれた低抵抗導電層487とで構成される。
【0130】
第1のバリア金属膜486、及び第2のバリア金属膜488は、低抵抗導電層487に含
まれる銅の拡散を抑える導電材料を用いればよく、例えば窒化タンタル膜、窒化モリブデ
ン膜、窒化タングステン膜などを用いる。
【0131】
以上の工程を経ることによって、トランジスタ440a上にさらに他の半導体素子や配線
などを形成して多層構造を有する半導体装置を形成することができる。なお、トランジス
タ440a上に設ける他の半導体素子や配線などは、埋め込み配線と電気的に接続を行う
ことができる。
【0132】
また、本実施の形態に示したトランジスタ440aの断面構造は一例であって、酸化物半
導体膜403(好ましくはソース電極層405a及びドレイン電極層405bも)の断面
形状が同じであれば、特に限定されない。また、トランジスタ440aとしてMOSFE
Tを例示しているが、トランジスタ440aとしてIGBT(Insulated Ga
te Bipolar Transistor)、MESFET(Metal Semi
conductor Field Effect Transistor)などを用いる
こともできる。ただし、トランジスタ440aとしてIGBTを用いる場合、ソース電極
層がエミッタ端子に相当し、ドレイン電極層がコレクタ端子に相当する。以下に、他のト
ランジスタの断面構造の一例を列挙する。
【0133】
図3(A)に示すトランジスタ440bは、第1の酸化物半導体膜403a上に、第1の
酸化物半導体膜403aと組成の異なる第2の酸化物半導体膜403bを形成して2層の
積層構造とし、膜厚の小さい領域を有する第2の酸化物半導体膜403bを有している。
2層の積層である構成以外は、図2(B)と同一であるため、ここでは詳細な説明は省略
することとする。
【0134】
第1の酸化物半導体膜403aとしては、In:Ga:Zn=3:1:2の原子数比のタ
ーゲットを用いて成膜されるIn-Ga-Zn系酸化物膜を用いる。なお、第1の酸化物
半導体膜403aは、原子数比でInがGa及びZnよりも多い半導体膜であればよい。
また、第2の酸化物半導体膜403bとしては、In:Ga:Zn=1:1:1の原子数
比のターゲットを用いて成膜されるIn-Ga-Zn系酸化物膜を用いる。
【0135】
組成の異なる酸化物半導体膜の積層を用いる場合、第1の酸化物半導体膜403aが露出
しないように第2の酸化物半導体膜403bに膜厚の小さい領域を形成する。
【0136】
図3(A)に示すトランジスタ440bは、チャネル形成領域にIn:Ga:Zn=3:
1:2の原子数比のターゲットを用いて成膜されるIn-Ga-Zn系酸化物膜を用いる
ため、電界効果移動度の向上を図ることができる。
【0137】
また、図3(B)に示すトランジスタ440cは、第3の酸化物半導体膜403c上に、
第3の酸化物半導体膜403cと組成の異なる第1の酸化物半導体膜403aを形成し、
第1の酸化物半導体膜403a上に、第1の酸化物半導体膜403aと組成の異なる第2
の酸化物半導体膜403bを形成して3層の積層構造とし、膜厚の小さい領域を有する第
2の酸化物半導体膜403bを有している。3層の積層である構成以外は、図2(B)と
同一であるため、ここでは詳細な説明は省略することとする。
【0138】
第1の酸化物半導体膜403aとしては、In:Ga:Zn=3:1:2の原子数比のタ
ーゲットを用いて成膜されるIn-Ga-Zn系酸化物膜を用いる。なお、第1の酸化物
半導体膜403aは、原子数比でInがGa及びZnよりも多い半導体膜であればよい。
また、第2の酸化物半導体膜403bとしては、In:Ga:Zn=1:1:1の原子数
比のターゲットを用いて成膜されるIn-Ga-Zn系酸化物膜を用いても良いし、In
:Ga:Zn=1:3:2の原子数比のターゲットを用いて成膜されるIn-Ga-Zn
系酸化物膜を用いても良い。また、第3の酸化物半導体膜403cとしては、In:Ga
:Zn=1:3:2の原子数比のターゲットを用いて成膜されるIn-Ga-Zn系酸化
物膜を用いても良いし、In:Ga:Zn=1:1:1の原子数比のターゲットを用いて
成膜されるIn-Ga-Zn系酸化物膜を用いても良い。
【0139】
組成の異なる酸化物半導体膜の積層を用いる場合、第1の酸化物半導体膜403aが露出
しないように第2の酸化物半導体膜403bに膜厚の小さい領域を形成する。
【0140】
図3(B)に示すトランジスタ440cは、チャネル形成領域にIn:Ga:Zn=3:
1:2の原子数比のターゲットを用いて成膜されるIn-Ga-Zn系酸化物膜を用いる
ため、電界効果移動度の向上を図ることができる。
【0141】
また、図3(C)に示すトランジスタ440dは、導電層492がチャネル形成領域と重
ならない位置に配置している例である。導電層492がチャネル形成領域と重ならない位
置に配置されている構成以外は、図3(B)と同一であるため、ここでは詳細な説明は省
略することとする。
【0142】
トランジスタ440dを作製した直後の段階でトランジスタのしきい値電圧をよりプラス
とし、ノーマリーオフのトランジスタが実現できている場合には、図3(C)に示すよう
に、導電層492はチャネル形成領域と重ねなくともよい。また、回路の構成上、ノーマ
リーオフのトランジスタである必要がない場合には、そのトランジスタだけノーマリーオ
ンのトランジスタとして用いることも可能である。
【0143】
また、図2(B)、図3(A)、図3(B)、及び図3(C)に示すトランジスタは、そ
れぞれ一部が異なる構成であるが、特に限定されず、様々な組み合わせが可能である。
【0144】
(実施の形態2)
本実施の形態では、ゲート電極層と、ゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜を介してゲート電極
層と重なるソース電極層との間に形成される寄生容量、及び、ゲート電極層と、ゲート絶
縁膜と、ゲート絶縁膜を介してゲート電極層と重なるドレイン電極層との間に形成される
寄生容量を低減するトランジスタの作製方法の一例を以下に示す。なお、実施の形態1と
途中の工程までは同一であるため、その部分の詳細な説明は省略することとする。
【0145】
まず、実施の形態1に示した図1(C)と同じ段階までの工程を行う。まず、基板400
上に導電層491を形成し、酸素過剰領域481を含む酸化物絶縁膜436を形成する。
この段階での断面図が図4(A)である。なお、図1(C)と図4(A)は同一である。
【0146】
次いで、酸化物絶縁膜436上に第1の酸化物半導体膜403aと、第1の酸化物半導体
膜403a上に第2の酸化物半導体膜403bを形成する。第1の酸化物半導体膜403
aを成膜した後、大気にふれることなく連続的に第2の酸化物半導体膜403bを成膜す
る。
【0147】
第1の酸化物半導体膜403aとしては、In:Ga:Zn=3:1:2の原子数比のタ
ーゲットを用いて成膜されるIn-Ga-Zn系酸化物膜を用いる。なお、第1の酸化物
半導体膜403aは、原子数比でInをGa及びZnよりも多い半導体膜であればよい。
また、第2の酸化物半導体膜403bとしては、In:Ga:Zn=1:1:1の原子数
比のターゲットを用いて成膜されるIn-Ga-Zn系酸化物膜を用いる。また、第1の
酸化物半導体膜403a及び第2の酸化物半導体膜403bは、結晶構造を有する酸化物
膜とし、好ましくはCAAC-OS膜とする。
【0148】
次いで、フォトリソグラフィ工程により島状の酸化物半導体膜に加工する。その後、スパ
ッタリング法、蒸着法などを用いて導電膜を成膜する。
【0149】
次いで、導電膜上にレジストマスク408a、408bを形成し、導電膜の膜厚の半分程
度を除去して部分的に薄膜にするエッチングを行う。そして、一部薄膜化した導電膜40
6が形成される。この段階での断面図が図4(B)である。
【0150】
次いで、レジストマスク408a、408bを除去した後、一部薄膜化した導電膜406
上に保護層409を形成する(図4(C)参照)。この保護層409は、後のゲート絶縁
膜402をエッチングする際に導電膜の一部を保護するために設けられる膜であり、酸化
シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、窒化
シリコン膜、窒化アルミニウム膜、窒化酸化シリコン膜、窒化酸化アルミニウム膜などを
用いる。なお、保護層409は、ゲート絶縁膜402の材料とは異なる材料を用い、エッ
チングの選択比が大きい材料が好ましい。本実施の形態ではスパッタ法で得られる酸化シ
リコン膜を用いる。
【0151】
次いで、保護層409上にレジストマスクを形成し、図4(D)に示す断面形状、即ち、
突出部を有するソース電極層405a、及び突出部を有するドレイン電極層405bをそ
れぞれ形成する。このソース電極層405a、及びドレイン電極層405bの形成時に保
護層409もエッチングされて、ソース電極層405a上に接して重なる第1の保護層4
10aと、ドレイン電極層405b上に接して重なる第2の保護層410bとが形成され
る。そしてレジストマスクを除去した段階での断面図が図4(D)である。
【0152】
次いで、希釈フッ酸(濃度0.0025%)を用いて、CAAC-OS膜である酸化物半
導体膜に対してウェットエッチングを行い、酸化物半導体膜(ここでは第2の酸化物半導
体膜403b)に膜厚の小さい領域を形成することができる。希釈フッ酸を用いてウェッ
トエッチングを行うことで、チャネル形成領域となる酸化物半導体膜の膜厚をより正確に
制御することができ、また、チャネル形成領域付近の汚染物質を低減させることができる
。従って、トランジスタの高性能化を図ることができる。
【0153】
次いで、純水メガソニック洗浄を行う。この段階の断面図が図4(E)に相当する。
【0154】
次いで、第2の酸化物半導体膜403b、第1の保護層410a、及び第2の保護層41
0bを覆うゲート絶縁膜402を形成する。本実施の形態ではゲート絶縁膜402の材料
として、酸化ガリウムを含む膜、代表的には酸化ガリウム膜を用いる。酸化ガリウムを含
む膜は、膜厚が20nm以下と薄くとも、後の工程で形成する窒素を含む金属酸化物膜を
スパッタ法などで成膜しても、窒素などの不純物が成膜時またはその後に下方の酸化物半
導体膜に侵入することを防ぐ効果もある。
【0155】
次いで、ゲート絶縁膜402上に、スパッタリング法、蒸着法などを用いて導電膜を形成
し、該導電膜をエッチングして、ゲート電極層401a、401bを形成する。次いで、
ゲート電極層401a、401bをマスクとしてゲート絶縁膜402の一部を除去する。
なお、ゲート絶縁膜402の一部を除去する際、第1の保護層410a、及び第2の保護
層410bがエッチングストッパーとして機能し、ソース電極層405a及びドレイン電
極層405bをエッチング処理から保護している。
【0156】
本実施の形態では、ゲート絶縁膜402上に接するゲート電極層401aとして、窒素を
含む金属酸化物膜(窒素を含むIn-Ga-Zn系酸化物膜)を用い、その上にゲート電
極層401bとしてタングステン膜を用いる。
【0157】
以上の工程で、本実施の形態のトランジスタ441aを作製することができる。最後に、
ゲート電極層401a、401bを覆い、第1の保護層410a、及び第2の保護層41
0bと接する絶縁膜407を形成する(図4(F)参照)。この絶縁膜407は、第1の
酸化物半導体膜403a、第2の酸化物半導体膜403b、またはゲート絶縁膜402か
らの酸素の放出を防止する機能が高いバリア膜として機能する。トランジスタ441aは
、トップゲート構造のトランジスタの一例であり、図4(F)は、トランジスタ441a
のチャネル長方向の断面図である。
【0158】
図4(F)に示すトランジスタ441aにおいて、ゲート電極層401a、401bは、
ソース電極層405a及びドレイン電極層405bの一部と重なる構成であるが、ソース
電極層405a上に接して第1の保護層410aと、ドレイン電極層405b上に接して
第2の保護層410bが設けられているため、この部分での寄生容量が実施の形態1に示
したトランジスタ440aに比べて低減された構成となっている。
【0159】
また、本実施の形態に示したトランジスタ441aの断面構造は一例であって、酸化物半
導体膜403(好ましくはソース電極層405a及びドレイン電極層405bも)の断面
形状が同じであれば、特に限定されない。以下に、他のトランジスタの断面構造の一例を
列挙する。
【0160】
図5(A)に示すトランジスタ441bは、酸化物絶縁膜436と第1の酸化物半導体膜
403aの間に、酸化ガリウムを含む絶縁膜438を設けた例である。
【0161】
図5(A)に示すトランジスタ441bは、ソース電極層405a及びドレイン電極層4
05bの下面にも接して酸化ガリウムを含む絶縁膜438を有している。酸化ガリウムを
含む絶縁膜438は、ゲート絶縁膜402のエッチング時に酸化物絶縁膜436を保護す
るエッチングストッパーとしても機能している。そして、トランジスタの周縁領域では、
絶縁膜407と酸化ガリウムを含む絶縁膜438とが接している。
【0162】
酸化物絶縁膜436と第1の酸化物半導体膜403aの間に、酸化ガリウムを含む絶縁膜
438を有する構成以外は、図4(F)と同一であるため、ここでは詳細な説明は省略す
ることとする。
【0163】
また、図5(B)に示すトランジスタ441cは、酸化物絶縁膜436と第1の酸化物半
導体膜403aの間に、酸化ガリウムを含む絶縁膜438を設け、絶縁膜438の一部と
ゲート絶縁膜402が接する構成とした例である。ゲート絶縁膜402の上面形状が異な
る以外は、図5(A)と同一であるため、ここでは詳細な説明は省略することとする。
【0164】
トランジスタ441cは、ゲート絶縁膜402が酸化ガリウムを含む絶縁膜であるため、
第1の酸化物半導体膜403a、第2の酸化物半導体膜403b、ソース電極層405a
、及びドレイン電極層405bが酸化ガリウムを含む絶縁膜で包まれた構成となっている
。従って、酸化物半導体膜の積層からの酸素の脱離を四方から防止する構成となっている
【0165】
また、図5(C)に示すトランジスタ441dは、酸化物半導体膜を、3層の積層構造と
し、第3の酸化物半導体膜403c上に、第3の酸化物半導体膜403cと組成の異なる
第1の酸化物半導体膜403aを形成し、第1の酸化物半導体膜403a上に、第1の酸
化物半導体膜403a及び第3の酸化物半導体膜403cと組成の異なる第2の酸化物半
導体膜403bを形成した例である。第2の酸化物半導体膜403bは、膜厚の小さい領
域を有している。
【0166】
また、導電層491を覆う絶縁膜434が形成されており、酸化物絶縁膜435が研磨さ
れ、絶縁膜434の一部が露出している構成となっている。
【0167】
絶縁膜434は、バリア膜であり、酸化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、窒化
シリコン膜、窒化アルミニウム膜、窒化酸化シリコン膜、窒化酸化アルミニウム膜、酸化
ガリウム膜などの無機絶縁膜を用いる。
【0168】
絶縁膜434は、プラズマCVD法で得られる酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜であ
る。
【0169】
図5(C)に示すトランジスタ441dは、酸化物半導体膜が3層の積層構造である点と
、絶縁膜434を有している点と、酸素ドープ処理を行っていない以外は、図5(A)と
同一であるため、ここでは詳細な説明は省略することとする。
【0170】
また、図6(A)に示すトランジスタ441eは、酸化物半導体膜が3層の積層構造であ
る点以外は、図5(A)と同一であるため、ここでは詳細な説明は省略することとする。
【0171】
また、図6(B)にトランジスタ441eの上面図の一例を示す。図6(B)中の鎖線A
Bで切断した断面が図6(A)に相当する。図6(B)に示すように、第2の酸化物半導
体膜403bの周縁は、ソース電極層405aまたはドレイン電極層405bで覆われ、
覆われていない領域の第2の酸化物半導体膜403bを覆ってゲート電極層401bは設
けられているため、ゲート電極層401bのエッチング時に第2の酸化物半導体膜403
bが露出している箇所はない。また、図6(A)に示すように、ソース電極層405aの
上面は、第1の保護層410aで覆われ、またはドレイン電極層405bの上面は、第2
の保護層410bで覆われているため、ゲート電極層401bのエッチング時にソース電
極層405aまたはドレイン電極層405bが除去されることはない。
【0172】
また、図4(F)、図5(A)、図5(B)、図5(C)、及び図6(A)に示すトラン
ジスタは、それぞれ一部が異なる構成であるが、特に限定されず、様々な組み合わせが可
能である。
【0173】
また、本実施の形態は、実施の形態1と自由に組み合わせることができる。
【0174】
また、本実施の形態において、実施の形態1と同一の箇所には同じ符号を用い、同じ材料
を用いることができることは言うまでもない。
【0175】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1または実施の形態2に示すトランジスタを使用した半導
体装置の例を、図7を用いて説明する。
【0176】
図7に示す半導体装置は、下部に第1の半導体材料を用いたトランジスタ740、750
を有し、上部に第2の半導体材料を用いたトランジスタ610を有するものである。トラ
ンジスタ610は、実施の形態2で示すトランジスタ441dと同様な構造を有する例で
ある。また、図5と同じ箇所は同じ符号を用いて説明する。なお、図7(B)は図7(A
)に相当する半導体装置の回路図である。
【0177】
ここで、第1の半導体材料と第2の半導体材料は異なるバンドギャップを持つ材料とする
ことが望ましい。例えば、第1の半導体材料を酸化物半導体以外の半導体材料(シリコン
など)とし、第2の半導体材料を酸化物半導体とすることができる。シリコンなどの材料
を用いたトランジスタは、高速動作が容易である。一方で、酸化物半導体を用いたトラン
ジスタは、その特性により長時間の電荷保持を可能とする。
【0178】
半導体装置に用いる基板は、シリコンや炭化シリコンなどの単結晶半導体基板、多結晶半
導体基板、シリコンゲルマニウムなどの化合物半導体基板、SOI(Silicon o
n Insulator)基板などを用いることができ、トランジスタのチャネル形成領
域は、半導体基板中、又は半導体基板上に形成することができる。図7(A)に示す半導
体装置は、半導体基板中にチャネル形成領域を形成して下部のトランジスタを作製する例
である。
【0179】
図7(A)に示す半導体装置においては、基板700に単結晶シリコン基板を用いて、該
単結晶シリコン基板にトランジスタ740、トランジスタ750を形成しており、第1の
半導体材料として単結晶シリコンを用いている。トランジスタ740はnチャネル型トラ
ンジスタ、トランジスタ750はpチャネル型トランジスタであり、トランジスタ740
及びトランジスタ750は電気的に接続されたCMOS(相補型金属酸化物半導体:Co
mplementary Metal Oxide Semiconductor)回路
760を形成している。
【0180】
なお、本実施の形態では、基板700としてp型の導電型を有する単結晶シリコン基板を
用いているため、pチャネル型トランジスタであるトランジスタ750の形成領域に、n
型を付与する不純物元素を添加し、nウェルを形成する。トランジスタ750のチャネル
形成領域753はnウェルに形成される。n型を付与する不純物元素としては、リン(P
)やヒ素(As)等を用いることができる。
【0181】
ここでは、nチャネル型トランジスタであるトランジスタ740の形成領域に、p型の導
電型を付与する不純物元素の添加を行っていないが、p型を付与する不純物元素を添加す
ることによりpウェルを形成してもよい。p型を付与する不純物元素としては、ボロン(
B)やアルミニウム(Al)やガリウム(Ga)等を用いることができる。
【0182】
一方、n型の導電型を有する単結晶シリコン基板を用いる場合には、p型を付与する不純
物元素を添加してpウェルを形成してもよい。
【0183】
トランジスタ740は、チャネル形成領域743、LDD(Lightly Doped
Drain)領域やエクステンション領域として機能するn型不純物領域744、ソー
ス領域又はドレイン領域として機能するn型不純物領域745、ゲート絶縁膜742、ゲ
ート電極層741を有している。なお、n型不純物領域745の不純物濃度は、n型不純
物領域744よりも高い。ゲート電極層741の側面には側壁絶縁層746が設けられて
おり、ゲート電極層741及び側壁絶縁層746をマスクとして用いて、不純物濃度が異
なるn型不純物領域744、n型不純物領域745を自己整合的に形成することができる
【0184】
トランジスタ750は、チャネル形成領域753、LDD領域やエクステンション領域と
して機能するp型不純物領域754、ソース領域又はドレイン領域として機能するp型不
純物領域755、ゲート絶縁膜752、ゲート電極層751を有している。なお、p型不
純物領域755の不純物濃度は、p型不純物領域754よりも高い。ゲート電極層751
の側面には側壁絶縁層756が設けられており、ゲート電極層751及び側壁絶縁層75
6をマスクとして用いて、不純物濃度が異なるp型不純物領域754、p型不純物領域7
55を自己整合的に形成することができる。
【0185】
基板700において、トランジスタ740及びトランジスタ750は素子分離領域789
により分離されており、トランジスタ740及びトランジスタ750上に絶縁膜788、
及び絶縁膜687が積層されている。絶縁膜687上には、絶縁膜788及び絶縁膜68
7に形成された開口を介してn型不純物領域745と電気的に接続する配線層647と、
絶縁膜788及び絶縁膜687に形成された開口を介してp型不純物領域755と電気的
に接続する配線層657とを有する。また、絶縁膜687上には、トランジスタ740及
びトランジスタ750を電気的に接続する配線層748が形成されている。配線層748
は、絶縁膜788及び絶縁膜687に形成されてn型不純物領域745に達する開口でn
型不純物領域745と電気的に接続され、絶縁膜788及び絶縁膜687に形成されてp
型不純物領域755に達する開口でp型不純物領域755と電気的に接続される。
【0186】
絶縁膜687、配線層647、配線層748、配線層657上に絶縁膜686が設けられ
、絶縁膜686上に配線層658が形成されている。配線層658は、絶縁膜788、絶
縁膜687、絶縁膜686に形成された開口を介してゲート配線と電気的に接続されてい
る。ゲート配線は、ゲート絶縁膜742及びチャネル形成領域753上に形成されており
、ゲート配線がそれぞれ分岐してゲート電極層741及びゲート電極層751となってい
る。
【0187】
また、本実施の形態の半導体装置は図7(A)に示す構成に限定されず、トランジスタ7
40、750としてシリサイド(サリサイド)を有するトランジスタや、側壁絶縁層を有
さないトランジスタを用いてもよい。シリサイド(サリサイド)を有する構造であると、
ソース領域及びドレイン領域がより低抵抗化でき、半導体装置の高速化が可能である。ま
た、低電圧で動作できるため、半導体装置の消費電力を低減することが可能である。
【0188】
次に、図7の半導体装置における下部のトランジスタ上に設けられる上部の素子構成を説
明する。
【0189】
絶縁膜686及び配線層658上に絶縁膜684が積層され、絶縁膜684上に、導電層
491と配線層692が形成されている。導電層491と配線層692を覆う絶縁膜43
4が設けられ、その上に酸化物絶縁膜435が設けられている。酸化物絶縁膜435上に
は、第3の酸化物半導体膜403cと、第3の酸化物半導体膜403c上に、第3の酸化
物半導体膜403cと組成の異なる第1の酸化物半導体膜403aと、第1の酸化物半導
体膜403a上に第1の酸化物半導体膜403a及び第3の酸化物半導体膜403cと組
成の異なる第2の酸化物半導体膜403bとを有する。第2の酸化物半導体膜403bは
、部分的に膜厚の小さい領域を含む構成となっている。そして、第2の酸化物半導体膜4
03b上に、突出部を有するソース電極層405a、及び突出部を有するドレイン電極層
405bを有し、ソース電極層405a上に接して重なる第1の保護層410aと、ドレ
イン電極層405b上に接して重なる第2の保護層410bとを有する。第2の酸化物半
導体膜403bのうち、ソース電極層405a及びドレイン電極層405bと重なってい
ない薄膜化された領域(チャネル形成領域)上に接してゲート絶縁膜402を有し、その
上にゲート電極層401a、401bが設けられている。
【0190】
また、容量素子690も酸化物絶縁膜435上にトランジスタ610と同様の工程で形成
しており、容量素子690は、ソース電極層405aを一方の電極とし、容量電極層69
3a、693bをもう一方の電極とし、それらの間に設けられた第1の保護層410aと
、ゲート絶縁膜402と同じ工程で形成される絶縁膜682を誘電体とする容量である。
なお、容量電極層693a、693bはゲート電極層401a、401bと同じ工程で形
成される。
【0191】
導電層491は、電位をGND(または固定電位)とすることでトランジスタ610の電
気的特性を制御するバッグゲートとして機能させる。なお、導電層491は静電気に対す
る静電遮蔽機能も有する。ただし、導電層491を用いてトランジスタ610のしきい値
を制御し、ノーマリーオフのトランジスタとする必要がない場合には、導電層491を設
けなくともよい。また、ある特定の回路の一部にトランジスタ610を用いる場合に導電
層491を設けると支障がでる恐れがある場合には、その回路には設けなくともよい。
【0192】
配線層692は、絶縁膜684に形成された開口を介して配線層658と電気的に接続す
る。本実施の形態において、絶縁膜684はCMP法による平坦化処理を行っている例で
ある。
【0193】
絶縁膜434は半導体装置において下部と上部の間に設けられており、上部のトランジス
タ610の電気的特性の劣化や変動を招く水素等の不純物が、下部から上部へ侵入しない
ように、バリア膜として機能する。よって、不純物等の遮断機能の高い、緻密な無機絶縁
膜(例えば、酸化アルミニウム膜、窒化シリコン膜など)を用いることが好ましい。
【0194】
トランジスタ610は実施の形態2に示した作製方法に従って作製すれば、トランジスタ
441dと同様に作製することができる。トランジスタ610の作製方法を簡略に説明す
る。
【0195】
トランジスタ740及びトランジスタ750上に設けた絶縁膜684上に、導電層491
及び配線層692を形成する。
【0196】
次いで、導電層491及び配線層692を覆う絶縁膜434を形成する。
【0197】
次いで、絶縁膜434上に表面に導電層491及び配線層692の形状を反映した凸部を
有する酸化物絶縁膜を形成する。そして、酸化物絶縁膜にCMP処理を施して、導電層4
91及び配線層692上の酸化物絶縁膜を選択的に除去することで表面を平坦化し、平坦
化した酸化物絶縁膜435を形成する。
【0198】
次いで、配線層692の上面に形成された絶縁膜434を一部選択的に除去して配線層6
92の上面を露出させる開口を形成する。
【0199】
次いで、第3の酸化物半導体膜403cと、第1の酸化物半導体膜403aと、第2の酸
化物半導体膜403bとを大気にふれることなく、スパッタ法により連続的に成膜し、1
枚のフォトマスクを用いて選択的にエッチングする。
【0200】
そして、第2の酸化物半導体膜403b上に、スパッタリング法などを用いて導電膜を成
膜し、その上に酸化シリコン膜を成膜する。次いで、酸化シリコン膜上にレジストマスク
を形成し、酸化シリコン膜の膜厚の半分程度を除去して部分的に薄膜にする第1のエッチ
ングを行う。レジストマスクにアッシングを行ってレジストマスクの面積を小さくする処
理を行った後、小さくしたレジストマスクを用いて第2のエッチングを行い、突出部を有
するソース電極層405a、及び突出部を有するドレイン電極層405bをそれぞれ形成
する。また、ソース電極層405aの膜厚の大きい領域上には第1の保護層410aが残
存し、ドレイン電極層405bの膜厚の大きい領域上には第2の保護層410bが残存す
る。また、ソース電極層405aは、絶縁膜434の開口を介して配線層692と電気的
に接続している。
【0201】
次いで、第2の酸化物半導体膜403b、第1の保護層410a、及び第2の保護層41
0b上にゲート絶縁膜402を形成する。本実施の形態ではゲート絶縁膜402の材料と
して、酸化ガリウム膜を用いる。
【0202】
次いで、ゲート絶縁膜402上に、スパッタリング法、蒸着法などを用いて導電膜を形成
し、該導電膜をエッチングして、ゲート電極層401a、401bと、容量電極層693
a、693bを形成する。次いで、ゲート電極層401a、401bをマスクとしてゲー
ト絶縁膜402の一部を除去する。また、同じ工程で容量電極層693a、693bをマ
スクとしてゲート絶縁膜402の一部が除去されて絶縁膜682が形成される。なお、酸
化ガリウム膜であるゲート絶縁膜402の一部を除去する際、酸化シリコン膜である第1
の保護層410a、及び第2の保護層410bがエッチングストッパーとして機能し、ソ
ース電極層405a及びドレイン電極層405bをエッチング処理から保護している。
【0203】
以上の工程でトランジスタ610及び容量素子690を形成する。酸化ガリウム膜からな
るゲート絶縁膜402は、膜厚が20nm以下と薄くとも、後の工程で形成する窒素を含
む金属酸化物膜をスパッタ法などで成膜しても、窒素などの不純物が成膜時またはその後
に下方の第2の酸化物半導体膜403bに侵入することを防ぐ効果もある。
【0204】
次いで、トランジスタ610及び容量素子690上に絶縁膜407及び層間絶縁膜485
を形成する。この段階の断面図が図7(A)に相当する。さらに、実施の形態1に示した
ように層間絶縁膜485に埋め込み配線を形成し、埋め込み配線上方に他の半導体素子や
配線などを形成して多層構造を有する半導体装置を作製してもよい。
【0205】
また、本実施の形態は、実施の形態1または実施の形態2と自由に組み合わせることがで
きる。
【0206】
(実施の形態4)
実施の形態1または実施の形態2に示すトランジスタを使用した半導体装置の他の例とし
て、論理回路であるNOR型回路の断面図の一例を図8(A)に示す。図8(B)は図8
(A)に対応するNOR型回路の回路図であり、図8(C)はNAND型回路の回路図で
ある。
【0207】
図8(A)及び図8(B)に示すNOR型回路において、pチャネル型トランジスタであ
るトランジスタ801、802は、図7に示すトランジスタ750と同様な構造を有する
、チャネル形成領域に単結晶シリコン基板を用いたトランジスタとし、nチャネル型トラ
ンジスタであるトランジスタ803、804は、図7に示すトランジスタ610、及び実
施の形態2で示すトランジスタ441dと同様に、酸化物半導体膜の膜厚の小さい領域を
チャネル形成領域とするトランジスタを用いる。
【0208】
トランジスタ803は、酸化物半導体膜を、3層の積層構造とした例である。第3の酸化
物半導体膜403c上に、第3の酸化物半導体膜403cと組成の異なる第1の酸化物半
導体膜403aを形成し、第1の酸化物半導体膜403a上に、第3の酸化物半導体膜4
03c及び第1の酸化物半導体膜403aと組成の異なる第2の酸化物半導体膜403b
を形成した例である。第2の酸化物半導体膜403bは、膜厚の小さい領域をチャネル形
成領域とすることができる。
【0209】
なお、酸化物絶縁膜435と第1の酸化物半導体膜403aの間に酸化ガリウムを含む絶
縁膜を設け、第1の酸化物半導体膜403a上に、第1の酸化物半導体膜403aと組成
の異なる第2の酸化物半導体膜403bを形成して積層構造とし、膜厚の小さい領域を有
する第2の酸化物半導体膜403bを形成した構成を用いてもよい。また、この構成の場
合、酸化物半導体膜の積層への酸素供給は、化学量論的組成を超える酸素が存在する酸素
過剰領域を有する酸化ガリウムを含む絶縁膜が行うため、酸化物絶縁膜435に酸素ドー
プ処理を行わなくてもよい。また、この構成の場合、導電層491を覆う絶縁膜434が
形成されており、酸化物絶縁膜435が研磨され、絶縁膜434の一部を露出させ、その
露出部分上に重なる酸化ガリウムを含む絶縁膜が設けられている。
【0210】
なお、図8(A)及び図8(B)に示すNOR型回路において、トランジスタ803は、
酸化物半導体膜を介して、ゲート電極層と重なる位置にトランジスタの電気的特性を制御
する導電層491を設ける。該導電層の電位を制御し、例えばGNDとすることでトラン
ジスタ803のしきい値電圧をよりプラスとし、さらにノーマリーオフのトランジスタと
することができる。なお、本実施の形態は、NOR型回路において、トランジスタ803
及びトランジスタ804に設けられ、バックゲートとして機能できる該導電層同士は電気
的に接続する例である。しかしこれに限定されず、上記バックゲートとして機能できる導
電層はそれぞれ独立して電気的に制御される構造であってもよい。
【0211】
図8(A)に示す半導体装置は、基板800に単結晶シリコン基板を用いて、該単結晶シ
リコン基板にトランジスタ802を形成し、トランジスタ802上に、酸化物半導体膜の
積層をチャネル形成領域に用いたトランジスタ803を積層する例である。
【0212】
トランジスタ803のゲート電極層401a、401bは配線層832と電気的に接続し
ている。また、配線層832は、配線層835と電気的に接続している。また、トランジ
スタ803のゲート電極層401a、401bは、埋め込み配線と電気的に接続し、埋め
込み配線は、導電層842と電気的に接続している。なお、埋め込み配線は、第1のバリ
ア金属膜486と、第2のバリア金属膜488と、第1のバリア金属膜486と第2のバ
リア金属膜488で囲まれた低抵抗導電層487とで構成される。なお、埋め込み配線の
作製方法は実施の形態1に示しているため、ここでは詳細な説明は省略することとする。
【0213】
配線層832は絶縁膜830上に設けられ、配線層835は絶縁膜833に形成された開
口に設けられ、導電層842は絶縁膜434に形成された開口に設けられている。
【0214】
トランジスタ802の電極層825は配線層831及び配線層834を介して、トランジ
スタ803の電極層845bと電気的に接続する。配線層831は絶縁膜830に形成さ
れた開口に設けられ、配線層834は絶縁膜833に形成された開口に設けられ、電極層
845bは絶縁膜434に形成された開口に設けられている。なお、電極層845aまた
は電極層845bは、トランジスタ803のソース電極層またはドレイン電極層である。
【0215】
酸化ガリウムを含む絶縁膜を用いた場合、酸化ガリウムを含む絶縁膜としては、非晶質構
造を有する酸化ガリウム膜を用いる。また、第1の酸化物半導体膜403aは、酸素雰囲
気(酸素100%雰囲気)下で、In:Ga:Zn=3:1:2[原子数比]の酸化物タ
ーゲットを用いて成膜し、膜中に、c軸が膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線
ベクトルに平行な方向に揃い、かつab面に垂直な方向から見て三角形状または六角形状
の原子配列を有し、c軸に垂直な方向から見て金属原子が層状または金属原子と酸素原子
とが層状に配列している結晶部を含ませ、所謂CAAC-OS膜とする。また、第2の酸
化物半導体膜403bは、酸素雰囲気(酸素100%雰囲気)下で、In:Ga:Zn=
1:1:1[原子数比]の酸化物ターゲットを用いて成膜し、CAAC-OS膜とする。
また、最終的にトランジスタを完成させた時の第1の酸化物半導体膜403aと第2の酸
化物半導体膜403bの膜厚の合計は、5nm以上10nm以下とする。なお、本実施の
形態では成膜直後に結晶部を有する酸化物半導体膜を形成する例を示したが、成膜後に加
熱処理を行うことで結晶部を形成してもよい。
【0216】
酸化ガリウム膜からなる絶縁膜上に接して第1の酸化物半導体膜403aが形成され、第
2の酸化物半導体膜403b上に接して酸化ガリウム膜からなるゲート絶縁膜402が形
成された構成を有する場合、第1の酸化物半導体膜403a及び第2の酸化物半導体膜4
03bへ効率よく酸素を供給することができる。また、酸化ガリウム膜からなる絶縁膜及
び酸化ガリウム膜からなるゲート絶縁膜402によって、不必要な酸素の放出が抑制でき
、第1の酸化物半導体膜403aを酸素過剰な状態に維持することができる。従って、ト
ランジスタ803において、効率よく第1の酸化物半導体膜403a中及び界面の酸素欠
損の補填を行うことが可能となる。
【0217】
図8(C)に示すNAND型回路では、pチャネル型トランジスタであるトランジスタ8
11、814は、図7に示すトランジスタ750と同様な構造を有し、nチャネル型トラ
ンジスタであるトランジスタ812、813は、図7に示すトランジスタ610と同様に
膜厚の小さい領域をチャネル形成領域に有する酸化物半導体膜を用いたトランジスタを用
いる。
【0218】
なお、図8(C)に示すNAND型回路において、トランジスタ812、813は、酸化
物半導体膜を介して、ゲート電極層と重なる位置にトランジスタの電気的特性を制御する
導電層を設ける。該導電層の電位を制御し、例えばGNDとすることでトランジスタ81
2、813のしきい値電圧をよりプラスとし、さらにノーマリーオフのトランジスタとす
ることができる。なお、本実施の形態は、NAND型回路において、トランジスタ812
及びトランジスタ813に設けられ、バックゲートとして機能する該導電層同士は電気的
に接続する例である。しかしこれに限定されず、上記バックゲートとして機能できる導電
層はそれぞれ独立して電気的に制御される構造であってもよい。
【0219】
本実施の形態に示す半導体装置では、チャネル形成領域に酸化物半導体を用いたオフ電流
の極めて小さいトランジスタを適用することで、消費電力を十分に低減することができる
【0220】
また、異なる半導体材料を用いた半導体素子を積層することにより、微細化及び高集積化
を実現し、かつ安定で高い電気的特性を付与された半導体装置、及び該半導体装置の作製
方法を提供することができる。
【0221】
また、本実施の形態では、実施の形態1または実施の形態2に示すトランジスタを使用し
たNOR型回路とNAND型回路の例を示したが、特に限定されず、実施の形態1または
実施の形態2に示すトランジスタを使用してAND型回路やOR回路などを形成すること
ができる。例えば、実施の形態1または実施の形態2に示すトランジスタを使用して電力
が供給されない状況でも記憶内容の保持が可能で、かつ、書き込み回数にも制限が無い半
導体装置(記憶装置)を作製することもできる。
【0222】
図9に半導体装置の回路図を示す。
【0223】
図9において、第1の配線(1st Line)とトランジスタ160のソース電極層と
は、電気的に接続され、第2の配線(2nd Line)とトランジスタ160のドレイ
ン電極層とは、電気的に接続されている。トランジスタ160は、実施の形態3で示した
トランジスタ740、750、本実施の形態で示した802等を用いることができる。
【0224】
また、第3の配線(3rd Line)とトランジスタ162のソース電極層又はドレイ
ン電極層の一方とは、電気的に接続され、第4の配線(4th Line)と、トランジ
スタ162のゲート電極層とは、電気的に接続されている。そして、トランジスタ160
のゲート電極層と、トランジスタ162のソース電極層又はドレイン電極層の他方は、容
量素子164の電極の一方と電気的に接続され、第5の配線(5th Line)と、容
量素子164の電極の他方は電気的に接続されている。
【0225】
トランジスタ162は、実施の形態1または実施の形態2で示すトランジスタ440a、
440b、440c、440d、441a、441b、441c、441d、441e、
実施の形態3で示すトランジスタ610、本実施の形態で示すトランジスタ803のいず
れか一の構造を用いることができる。
【0226】
図9に示す回路構成を有する半導体装置では、トランジスタ160のゲート電極層の電位
が保持可能という特徴を生かすことで、次のように、情報の書き込み、保持、読み出しが
可能である。
【0227】
情報の書き込みおよび保持について説明する。まず、第4の配線の電位を、トランジスタ
162がオン状態となる電位にして、トランジスタ162をオン状態とする。これにより
、第3の配線の電位が、トランジスタ160のゲート電極層、および容量素子164に与
えられる。すなわち、トランジスタ160のゲート電極層には、所定の電荷が与えられる
(書き込み)。ここでは、異なる二つの電位レベルを与える電荷(以下Lowレベル電荷
、Highレベル電荷という)のいずれかが与えられるものとする。その後、第4の配線
の電位を、トランジスタ162がオフ状態となる電位にして、トランジスタ162をオフ
状態とすることにより、トランジスタ160のゲート電極層に与えられた電荷が保持され
る(保持)。
【0228】
トランジスタ162のオフ電流は極めて小さいため、トランジスタ160のゲート電極層
の電荷は長時間にわたって保持される。
【0229】
次に情報の読み出しについて説明する。第1の配線に所定の電位(定電位)を与えた状態
で、第5の配線に適切な電位(読み出し電位)を与えると、トランジスタ160のゲート
電極層に保持された電荷量に応じて、第2の配線は異なる電位をとる。一般に、トランジ
スタ160をnチャネル型とすると、トランジスタ160のゲート電極層にHighレベ
ル電荷が与えられている場合の見かけのしきい値Vth_Hは、トランジスタ160のゲ
ート電極層にLowレベル電荷が与えられている場合の見かけのしきい値Vth_Lより
低くなるためである。ここで、見かけのしきい値電圧とは、トランジスタ160を「オン
状態」とするために必要な第5の配線の電位をいうものとする。したがって、第5の配線
の電位をVth_HとVth_Lの間の電位Vとすることにより、トランジスタ160
のゲート電極層に与えられた電荷を判別できる。例えば、書き込みにおいて、Highレ
ベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線の電位がV(>Vth_H)となれば
、トランジスタ160は「オン状態」となる。Lowレベル電荷が与えられていた場合に
は、第5の配線の電位がV(<Vth_L)となっても、トランジスタ160は「オフ
状態」のままである。このため、第2の配線の電位を見ることで、保持されている情報を
読み出すことができる。
【0230】
なお、メモリセルをアレイ状に配置して用いる場合、所望のメモリセルの情報のみを読み
出せることが必要になる。このように情報を読み出さない場合には、ゲート電極層の状態
にかかわらずトランジスタ160が「オフ状態」となるような電位、つまり、Vth_H
より小さい電位を第5の配線に与えればよい。又は、ゲート電極層の状態にかかわらずト
ランジスタ160が「オン状態」となるような電位、つまり、Vth_Lより大きい電位
を第5の配線に与えればよい。
【0231】
図10に異なる記憶装置の構造の一形態の例を示す。
【0232】
図10は、記憶装置の斜視図である。図10に示す記憶装置は上部に記憶回路としてメモ
リセルを複数含む、メモリセルアレイ(メモリセルアレイ3400(1)乃至メモリセル
アレイ3400(n)nは2以上の整数)を複数層有し、下部にメモリセルアレイ340
0(1)乃至メモリセルアレイ3400(n)を動作させるために必要な論理回路300
4を有する。
【0233】
図10では、論理回路3004、メモリセルアレイ3400(1)及びメモリセルアレイ
3400(2)を図示しており、メモリセルアレイ3400(1)又はメモリセルアレイ
3400(2)に含まれる複数のメモリセルのうち、メモリセル3170aと、メモリセ
ル3170bを代表で示す。メモリセル3170a及びメモリセル3170bとしては、
例えば、本実施の形態において説明した図9の回路構成と同様の構成とすることもできる
【0234】
なお、メモリセル3170a及びメモリセル3170bに含まれるトランジスタは、酸化
物半導体膜の膜厚の小さい領域をチャネル形成領域とするトランジスタを用いる。酸化物
半導体膜の膜厚の小さい領域をチャネル形成領域とするトランジスタの構成については、
実施の形態1、または実施の形態2において説明した構成と同様であるため、説明は省略
する。
【0235】
また、論理回路3004は、酸化物半導体以外の半導体材料をチャネル形成領域として用
いたトランジスタを有する。例えば、半導体材料(例えば、シリコンなど)を含む基板に
素子分離絶縁層を設け、素子分離絶縁層に囲まれた領域にチャネル形成領域となる領域を
形成することによって得られるトランジスタとすることができる。なお、トランジスタは
、絶縁表面上に形成された多結晶シリコン膜等の半導体膜や、SOI基板のシリコン膜に
チャネル形成領域が形成されるトランジスタであってもよい。
【0236】
メモリセルアレイ3400(1)乃至メモリセルアレイ3400(n)及び論理回路30
04は層間絶縁層を間に介して積層され、層間絶縁層を貫通する電極や配線によって適宜
電気的接続等を行うことができる。
【0237】
本実施の形態に示す半導体装置では、酸化物半導体膜の膜厚の小さい領域をチャネル形成
領域とし、且つ、オフ電流の極めて小さいトランジスタを適用することで、極めて長期に
わたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作が不要となるか
、又は、リフレッシュ動作の頻度を極めて低くすることが可能となるため、消費電力を十
分に低減することができる。また、電力の供給がない場合(ただし、電位は固定されてい
ることが望ましい)であっても、長期にわたって記憶内容を保持することが可能である。
【0238】
また、本実施の形態に示す半導体装置では、情報の書き込みに高い電圧を必要とせず、素
子の劣化の問題もない。例えば、従来の不揮発性メモリのように、フローティングゲート
への電子の注入や、フローティングゲートからの電子の引き抜きを行う必要がないため、
ゲート絶縁膜の劣化といった問題が全く生じない。すなわち、開示する発明に係る半導体
装置では、従来の不揮発性メモリで問題となっている書き換え可能回数に制限はなく、信
頼性が飛躍的に向上する。さらに、トランジスタのオン状態、オフ状態によって、情報の
書き込みが行われるため、高速な動作も容易に実現しうる。
【0239】
以上のように、微細化及び高集積化を実現し、かつ高い電気的特性を付与された半導体装
置、及び該半導体装置の作製方法を提供することができる。
【0240】
また、本実施の形態は、実施の形態1、実施の形態2、または実施の形態3と自由に組み
合わせることができる。
【0241】
(実施の形態5)
本実施の形態では、半導体装置の一例として、実施の形態1または実施の形態2で示すト
ランジスタ440a、440b、440c、440d、441a、441b、441c、
441d、441eのいずれか一を少なくとも一部に用いたCPU(Central P
rocessing Unit)について説明する。
【0242】
図11(A)は、CPUの具体的な構成を示すブロック図である。図11(A)に示すC
PUは、基板1190上に、ALU1191(ALU:Arithmetic logi
c unit、演算回路)、ALUコントローラ1192、インストラクションデコーダ
1193、インタラプトコントローラ1194、タイミングコントローラ1195、レジ
スタ1196、レジスタコントローラ1197、バスインターフェース1198(Bus
I/F)、書き換え可能なROM1199、及びROMインターフェース1189(R
OM I/F)を有している。基板1190は、半導体基板、SOI基板、ガラス基板な
どを用いる。ROM1199及びROMインターフェース1189は、別チップに設けて
もよい。もちろん、図11(A)に示すCPUは、その構成を簡略化して示した一例にす
ぎず、実際のCPUはその用途によって多種多様な構成を有している。
【0243】
バスインターフェース1198を介してCPUに入力された命令は、インストラクション
デコーダ1193に入力され、デコードされた後、ALUコントローラ1192、インタ
ラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ
1195に入力される。
【0244】
ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントロー
ラ1197、タイミングコントローラ1195は、デコードされた命令に基づき、各種制
御を行なう。具体的にALUコントローラ1192は、ALU1191の動作を制御する
ための信号を生成する。また、インタラプトコントローラ1194は、CPUのプログラ
ム実行中に、外部の入出力装置や、周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマスク
状態から判断し、処理する。レジスタコントローラ1197は、レジスタ1196のアド
レスを生成し、CPUの状態に応じてレジスタ1196の読み出しや書き込みを行なう。
【0245】
また、タイミングコントローラ1195は、ALU1191、ALUコントローラ119
2、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、及びレ
ジスタコントローラ1197の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタイ
ミングコントローラ1195は、基準クロック信号CLK1を元に、内部クロック信号C
LK2を生成する内部クロック生成部を備えており、内部クロック信号CLK2を上記各
種回路に供給する。
【0246】
図11(A)に示すCPUでは、レジスタ1196に、メモリセルが設けられている。レ
ジスタ1196のメモリセルには、上記実施の形態4に開示したメモリセルを用いること
ができる。
【0247】
図11(A)に示すCPUにおいて、レジスタコントローラ1197は、ALU1191
からの指示に従い、レジスタ1196における保持動作の選択を行う。すなわち、レジス
タ1196が有するメモリセルにおいて、フリップフロップによるデータの保持を行うか
、容量素子によるデータの保持を行うかを、選択する。フリップフロップによるデータの
保持が選択されている場合、レジスタ1196内のメモリセルへの、電源電圧の供給が行
われる。容量素子におけるデータの保持が選択されている場合、容量素子へのデータの書
き換えが行われ、レジスタ1196内のメモリセルへの電源電圧の供給を停止することが
できる。
【0248】
電源停止に関しては、図11(B)または図11(C)に示すように、メモリセル群と、
電源電位VDDまたは電源電位VSSの与えられているノード間に、スイッチング素子を
設けることにより行うことができる。以下に図11(B)及び図11(C)の回路の説明
を行う。
【0249】
図11(B)及び図11(C)では、メモリセルへの電源電位の供給を制御するスイッチ
ング素子に、実施の形態1または実施の形態2で示すトランジスタ440a、440b、
440c、440d、441a、441b、441c、441d、441eのいずれか一
を含む記憶回路の構成の一例を示す。
【0250】
図11(B)に示す記憶装置は、スイッチング素子1141と、メモリセル1142を複
数有するメモリセル群1143とを有している。具体的に、各メモリセル1142には、
実施の形態3に記載されているメモリセルを用いることができる。メモリセル群1143
が有する各メモリセル1142には、スイッチング素子1141を介して、ハイレベルの
電源電位VDDが供給されている。さらに、メモリセル群1143が有する各メモリセル
1142には、信号INの電位と、ローレベルの電源電位VSSの電位が与えられている
【0251】
図11(B)では、スイッチング素子1141として、実施の形態1または実施の形態2
で示すトランジスタ440a、440b、440c、440d、441a、441b、4
41c、441d、441eのいずれか一を用いており、該トランジスタは、そのゲート
電極層に与えられる信号SigAによりスイッチングが制御される。
【0252】
なお、図11(B)では、スイッチング素子1141がトランジスタを一つだけ有する構
成を示しているが、特に限定されず、トランジスタを複数有していてもよい。スイッチン
グ素子1141が、スイッチング素子として機能するトランジスタを複数有している場合
、上記複数のトランジスタは並列に接続されていてもよいし、直列に接続されていてもよ
いし、直列と並列が組み合わされて接続されていてもよい。
【0253】
また、図11(B)では、スイッチング素子1141により、メモリセル群1143が有
する各メモリセル1142への、ハイレベルの電源電位VDDの供給が制御されているが
、スイッチング素子1141により、ローレベルの電源電位VSSの供給が制御されてい
てもよい。
【0254】
また、図11(C)には、メモリセル群1143が有する各メモリセル1142に、スイ
ッチング素子1141を介して、ローレベルの電源電位VSSが供給されている、記憶装
置の一例を示す。スイッチング素子1141により、メモリセル群1143が有する各メ
モリセル1142への、ローレベルの電源電位VSSの供給を制御することができる。
【0255】
メモリセル群と、電源電位VDDまたは電源電位VSSの与えられているノード間に、ス
イッチング素子を設け、一時的にCPUの動作を停止し、電源電圧の供給を停止した場合
においてもデータを保持することが可能であり、消費電力の低減を行うことができる。具
体的には、例えば、パーソナルコンピュータのユーザーが、キーボードなどの入力装置へ
の情報の入力を停止している間でも、CPUの動作を停止することができ、それにより消
費電力を低減することができる。
【0256】
ここでは、CPUを例に挙げて説明したが、DSP(Digital Signal P
rocessor)、カスタムLSI、FPGA(Field Programmabl
e Gate Array)等のLSIにも応用可能である。
【0257】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適
宜組み合わせて用いることができる。
【0258】
(実施の形態6)
本実施の形態ではボトムゲート型のトランジスタを用いて表示装置を作製する例を示す。
ボトムゲート型のトランジスタは、実施の形態1や実施の形態2のトランジスタの作製工
程の一部を変更すれば形成することができ、例えばゲート電極層を形成した後、酸化物絶
縁膜を形成し、CMP処理をせずに酸化物半導体膜の積層を形成し、その上にソース電極
層及びドレイン電極層を形成することで作製することができる。また、ソース電極層及び
ドレイン電極層を形成した後、希釈フッ酸でウェットエッチングして酸化物半導体膜の一
部を薄膜化させることでチャネルエッチ型のトランジスタを作製することができる。
【0259】
表示装置に設けられる表示素子としては液晶素子(液晶表示素子ともいう)、発光素子(
発光表示素子ともいう)を用いることができる。発光素子は、電流又は電圧によって輝度
が制御される素子をその範疇に含んでおり、具体的には無機EL(Electro Lu
minescence)、有機EL等が含まれる。また、電子インク表示装置(電子ペー
パー)など、電気的作用によりコントラストが変化する表示媒体も適用することができる
【0260】
表示装置の一形態について、図12を用いて説明する。図12では表示素子として液晶素
子を用いた液晶表示装置の例を示す。
【0261】
液晶表示装置は、縦電界方式、又は、横電界方式を適用することができる。図12(A)
では、縦電界方式を採用する例を示し、図12(B)では、横電界方式の一例として、F
FS(Fringe Field Switching)モードを採用する例を示す。
【0262】
但し、表示パネルは、画素部4002に設けられたトランジスタ4010が表示素子と電
気的に接続して構成され、該表示素子としては表示を行うことができれば特に限定されず
、様々な表示素子を用いることができる。
【0263】
図12で示すように、表示装置は接続端子電極4015及び端子電極4016を有してお
り、接続端子電極4015及び端子電極4016はFPC4018が有する端子と異方性
導電層4019を介して、電気的に接続されている。
【0264】
接続端子電極4015は、第1の電極層4034と同じ導電層から形成され、端子電極4
016は、トランジスタ4010、4011のソース電極層及びドレイン電極層と同じ導
電層で形成されている。
【0265】
また基板4001上に設けられた画素部4002と、走査線駆動回路4004は、トラン
ジスタを複数有しており、図12では、画素部4002に含まれるトランジスタ4010
と、走査線駆動回路4004に含まれるトランジスタ4011とを例示している。図12
では、トランジスタ4010、4011上には絶縁層4032が設けられている。
【0266】
また、図12(B)では、絶縁層4032上に平坦化絶縁層4040が設けられ、第1の
電極層4034と第2の電極層4031との間に絶縁層4042が設けられている。
【0267】
トランジスタ4010、4011としては、実施の形態1又は2に示したトランジスタを
適用することができる。トランジスタ4010、4011は、ボトムゲート構造のトラン
ジスタである。
【0268】
トランジスタ4010、4011は、電流経路(チャネル)として機能する第2の酸化物
半導体膜を挟んで、第2の酸化物半導体膜よりもキャリア密度が低い第1の酸化物半導体
膜及び第3の酸化物半導体膜を含む。よって、トランジスタ4010、4011は電流経
路が絶縁層界面から遠ざけられた埋め込みチャネル型のトランジスタであり、高い電界効
果移動度を有する。また、バックチャネル側に形成されうる界面準位の影響を低減される
とともに、トランジスタの光劣化(例えば、光負バイアス劣化)を低減された信頼性の高
いトランジスタである。
【0269】
また、駆動回路用のトランジスタ4011の酸化物半導体膜のチャネル形成領域と重なる
位置にさらに導電層を設けてもよい。導電層を酸化物半導体膜のチャネル形成領域と重な
る位置に設けることによって、トランジスタ4011のしきい値電圧の変化量をさらに低
減することができる。また、導電層は、電位がトランジスタ4011のゲート電極層と同
じでもよいし、異なっていても良く、第2のゲート電極層として機能させることもできる
。また、導電層の電位がGND、0V、或いはフローティング状態であってもよい。
【0270】
また、該導電層は外部の電場を遮蔽する、すなわち外部の電場が内部(トランジスタを含
む回路部)に作用しないようにする機能(特に静電気に対する静電遮蔽機能)も有する。
導電層の遮蔽機能により、静電気などの外部の電場の影響によりトランジスタの電気的な
特性が変動することを防止することができる。
【0271】
図12において、液晶素子4013は、第1の電極層4034、第2の電極層4031、
及び液晶層4008を含む。なお、液晶層4008を挟持するように配向膜として機能す
る絶縁層4038、4033が設けられている。
【0272】
図12(A)では、第2の電極層4031は基板4006側に設けられ、第1の電極層4
034と第2の電極層4031とは液晶層4008を介して積層する構成となっている。
また、図12(B)では、液晶層4008の下方に開口パターンを有する第2の電極層4
031を有し、絶縁層4042を介して第2の電極層4031のさらに下方に、平板状の
第1の電極層4034を有する。図12(B)において開口パターンを有する第2の電極
層4031は、屈曲部や枝分かれした櫛歯状を含む形状である。第1の電極層4034及
び第2の電極層4031はその電極間に電界を発生させるため、同形状で重ならない配置
とする。なお、平坦化絶縁層4040上に接して平板状の第2の電極層4031を形成し
、絶縁層4042を介して第2の電極層4031上に、画素電極として機能し、開口パタ
ーンを有する第1の電極層4034を有する構成としてもよい。
【0273】
第1の電極層4034、第2の電極層4031は、酸化タングステンを含むインジウム酸
化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化
物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物
、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物、グラフェンなどの透光性を有する導電性材
料を用いることができる。
【0274】
また、第1の電極層4034、第2の電極層4031はタングステン(W)、モリブデン
(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(N
b)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタ
ン(Ti)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)等の金属、
又はその合金、若しくはその金属窒化物から一つ、又は複数種を用いて形成することがで
きる。
【0275】
また、第1の電極層4034、第2の電極層4031として、導電性高分子(導電性ポリ
マーともいう)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。導電性高分子として
は、いわゆるπ電子共役系導電性高分子が用いることができる。例えば、ポリアニリン又
はその誘導体、ポリピロール又はその誘導体、ポリチオフェン又はその誘導体、若しくは
アニリン、ピロールおよびチオフェンの2種以上からなる共重合体若しくはその誘導体な
どがあげられる。
【0276】
またスペーサ4035は絶縁層を選択的にエッチングすることで得られる柱状のスペーサ
であり、液晶層4008の膜厚(セルギャップ)を制御するために設けられている。なお
球状のスペーサを用いていてもよい。
【0277】
表示素子として、液晶素子を用いる場合、サーモトロピック液晶、強誘電性液晶、反強誘
電性液晶等を用いることができる。これらの液晶材料は、低分子化合物でも高分子化合物
でもよい。これらの液晶材料(液晶組成物)は、条件により、コレステリック相、スメク
チック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す。
【0278】
また、液晶層4008に、配向膜を用いないブルー相を発現する液晶組成物を用いてもよ
い。この場合、液晶層4008と、第1の電極層4034及び第2の電極層4031とは
接する構造となる。ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していく
と、コレステリック相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は、液晶
及びカイラル剤を混合させた液晶組成物を用いて発現させることができる。また、ブルー
相が発現する温度範囲を広げるために、ブルー相を発現する液晶組成物に重合性モノマー
及び重合開始剤などを添加し、高分子安定化させる処理を行って液晶層を形成することも
できる。ブルー相を発現する液晶組成物は、応答速度が短く、光学的等方性であるため配
向処理が不要であり、視野角依存性が小さい。また配向膜を設けなくてもよいのでラビン
グ処理も不要となるため、ラビング処理によって引き起こされる静電破壊を防止すること
ができ、作製工程中の液晶表示装置の不良や破損を軽減することができる。よって液晶表
示装置の生産性を向上させることが可能となる。
【0279】
また、液晶材料の固有抵抗は、1×10Ω・cm以上であり、好ましくは1×1011
Ω・cm以上であり、さらに好ましくは1×1012Ω・cm以上である。なお、本明細
書における固有抵抗の値は、20℃で測定した値とする。
【0280】
液晶表示装置に設けられる保持容量の大きさは、画素部に配置されるトランジスタのリー
ク電流等を考慮して、所定の期間の間電荷を保持できるように設定される。保持容量の大
きさは、トランジスタのオフ電流等を考慮して設定すればよい。本明細書に開示する酸化
物半導体膜を有するトランジスタを用いることにより、各画素における液晶容量に対して
1/3以下、好ましくは1/5以下の容量の大きさを有する保持容量を設ければ充分であ
る。
【0281】
本明細書に開示する酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、オフ状態における電流値(
オフ電流値)を低く制御することができる。よって、画像信号等の電気信号の保持時間を
長くすることができ、書き込み間隔も長く設定できる。よって、リフレッシュ動作の頻度
を少なくすることができるため、消費電力を抑制する効果を奏する。
【0282】
また、本明細書に開示する酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、高い電界効果移動度
が得られるため、高速駆動が可能である。例えば、このようなトランジスタを液晶表示装
置に用いることで、画素部のスイッチングトランジスタと、駆動回路部に使用するドライ
バートランジスタを同一基板上に形成することができる。また、画素部においても、この
ようなトランジスタを用いることで、高画質な画像を提供することができる。
【0283】
液晶表示装置には、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In-P
lane-Switching)モード、ASM(Axially Symmetric
aligned Micro-cell)モード、OCB(Optical Comp
ensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelect
ric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroele
ctric Liquid Crystal)モードなどを用いることができる。
【0284】
また、ノーマリーブラック型の液晶表示装置、例えば垂直配向(VA)モードを採用した
透過型の液晶表示装置としてもよい。垂直配向モードとしては、いくつか挙げられるが、
例えば、MVA(Multi-Domain Vertical Alignment)
モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード
、ASV(Advanced Super View)モードなどを用いることができる
。また、VA型の液晶表示装置にも適用することができる。VA型の液晶表示装置とは、
液晶表示パネルの液晶分子の配列を制御する方式の一種である。VA型の液晶表示装置は
、電圧が印加されていないときにパネル面に対して液晶分子が垂直方向を向く方式である
。また、画素(ピクセル)をいくつかの領域(サブピクセル)に分け、それぞれ別の方向
に分子を倒すよう工夫されているマルチドメイン化あるいはマルチドメイン設計といわれ
る方法を用いることができる。
【0285】
また、表示装置において、ブラックマトリクス(遮光層)、偏光部材、位相差部材、反射
防止部材などの光学部材(光学基板)などは適宜設ける。例えば、偏光基板及び位相差基
板による円偏光を用いてもよい。また、光源としてバックライト、サイドライトなどを用
いてもよい。
【0286】
また、画素部における表示方式は、プログレッシブ方式やインターレース方式等を用いる
ことができる。また、カラー表示する際に画素で制御する色要素としては、RGB(Rは
赤、Gは緑、Bは青を表す)の三色に限定されない。例えば、RGBW(Wは白を表す)
、又はRGBに、イエロー、シアン、マゼンタ等を一色以上追加したものがある。なお、
色要素のドット毎にその表示領域の大きさが異なっていてもよい。ただし、開示する発明
はカラー表示の表示装置に限定されるものではなく、モノクロ表示の表示装置に適用する
こともできる。
【0287】
また、表示装置に含まれる表示素子として、エレクトロルミネッセンスを利用する発光素
子を適用することができる。エレクトロルミネッセンスを利用する発光素子は、発光材料
が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別され、一般的に、前者は有機E
L素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。
【0288】
有機EL素子は、発光素子に電圧を印加することにより、一対の電極から電子および正孔
がそれぞれ発光性の有機化合物を含む層に注入され、電流が流れる。そして、それらキャ
リア(電子および正孔)が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成
し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、このよう
な発光素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。本実施の形態では、発光素子として有
機EL素子を用いる例を示す。
【0289】
発光素子は発光を取り出すために少なくとも一対の電極の一方が透光性であればよい。そ
して、基板上にトランジスタ及び発光素子を形成し、基板とは逆側の面から発光を取り出
す上面射出や、基板側の面から発光を取り出す下面射出や、基板側及び基板とは反対側の
面から発光を取り出す両面射出構造の発光素子があり、どの射出構造の発光素子も適用す
ることができる。
【0290】
図13(A)、図13(B)に表示素子として発光素子を用いた発光装置の例を示す。
【0291】
図13(A)は発光装置の平面図であり、図13(A)中の一点鎖線S1-T1、S2-
T2、及びS3-T3で切断した断面が図13(B)に相当する。なお、図13(A)の
平面図においては、電界発光層542及び第2の電極層543は省略してあり図示してい
ない。
【0292】
図13に示す発光装置は、基板500上に、トランジスタ510、容量素子520、配線
層交差部530を有しており、トランジスタ510は発光素子540と電気的に接続して
いる。なお、図13は基板500を通過して発光素子540からの光を取り出す、下面射
出型構造の発光装置である。
【0293】
トランジスタ510は、ボトムゲート構造のトランジスタである。
【0294】
トランジスタ510はゲート電極層511a、511b、ゲート絶縁膜501、502、
第1の酸化物半導体膜512a、n型の第2の酸化物半導体膜512b及び第3の酸化物
半導体膜512cを含む酸化物半導体積層512、ソース電極層又はドレイン電極層とし
て機能する導電層513a、513bを含む。また、トランジスタ510上には絶縁層5
25が形成されている。
【0295】
容量素子520は、導電層521a、521b、ゲート絶縁膜501、502、第1の酸
化物半導体膜522a、n型を付与する不純物を含有する第2の酸化物半導体膜522b
、第3の酸化物半導体膜522cを含む酸化物半導体積層522、導電層523を含み、
導電層521a、521bと導電層523とで、ゲート絶縁膜501、502及び酸化物
半導体積層522を挟む構成とすることで容量を形成する。
【0296】
配線層交差部530は、ゲート電極層511a、511bと、導電層533との交差部で
あり、ゲート電極層511a、511bと、導電層533とは、間にゲート絶縁膜501
、502を介して交差する。
【0297】
本実施の形態においては、ゲート電極層511a及び導電層521aとして膜厚30nm
のチタン膜を用い、ゲート電極層511b及び導電層521bとして膜厚200nmの銅
膜を用いる。よって、ゲート電極層はチタン膜と銅膜との積層構造となる。
【0298】
トランジスタ510は、電流経路(チャネル)として機能する第2の酸化物半導体膜を挟
んで、第2の酸化物半導体膜よりもキャリア密度が低い第1の酸化物半導体膜及び第3の
酸化物半導体膜を含む。よって、トランジスタ510は電流経路が絶縁層界面から遠ざけ
られた埋め込みチャネル型のトランジスタであり、高い電界効果移動度を有する。また、
バックチャネル側に形成されうる界面準位の影響を低減されるとともに、トランジスタの
光劣化(例えば、光負バイアス劣化)を低減された信頼性の高いトランジスタである。
【0299】
また、トランジスタ510は、ゲート絶縁膜502としてアンモニアの含有量の低減され
た銅のバリア膜として機能する第1の窒素を含むシリコン膜、厚膜(例えば、膜厚300
nm)の膜中欠陥の低減された第2の窒素を含むシリコン膜、水素濃度の低減された第3
の窒素を含むシリコン膜の積層構造を含み、ゲート絶縁膜501として酸化物絶縁層を有
するトランジスタである。このような構成とすることで、トランジスタ510の電気的特
性を良好とすることができ、またトランジスタ510の静電破壊を防止することができる
。よって、信頼性の高い半導体装置を歩留まりよく提供することが可能となる。
【0300】
トランジスタ510、容量素子520、及び配線層交差部530上には層間絶縁層504
が形成され、層間絶縁層504上において発光素子540と重畳する領域にカラーフィル
タ層505が設けられている。層間絶縁層504及びカラーフィルタ層505上には平坦
化絶縁層として機能する絶縁層506が設けられている。
【0301】
絶縁層506上に第1の電極層541、電界発光層542、第2の電極層543の順に積
層した積層構造を含む発光素子540が設けられている。発光素子540とトランジスタ
510とは、導電層513aに達する絶縁層506及び層間絶縁層504に形成された開
口において、第1の電極層541及び導電層513aが接することによって電気的に接続
されている。なお、第1の電極層541の一部及び該開口を覆うように隔壁507が設け
られている。
【0302】
絶縁層506には膜厚1500nmの感光性のアクリル膜、隔壁507には膜厚1500
nmの感光性のポリイミド膜を用いることができる。
【0303】
カラーフィルタ層505としては、例えば有彩色の透光性樹脂を用いることができる。有
彩色の透光性樹脂としては、感光性、非感光性の有機樹脂を用いることができるが、感光
性の有機樹脂層を用いるとレジストマスク数を削減することができるため、工程が簡略化
し好ましい。
【0304】
有彩色は、黒、灰、白などの無彩色を除く色であり、カラーフィルタ層は、着色された有
彩色の光のみを透過する材料で形成される。有彩色としては、赤色、緑色、青色などを用
いることができる。また、シアン、マゼンダ、イエロー(黄)などを用いてもよい。着色
された有彩色の光のみを透過するとは、カラーフィルタ層における透過光は、その有彩色
の光の波長にピークを有するということである。カラーフィルタ層は、含ませる着色材料
の濃度と光の透過率の関係に考慮して、最適な膜厚を適宜制御するとよい。例えば、カラ
ーフィルタ層505の膜厚は1500nm以上2000nm以下とすればよい。
【0305】
隔壁507は、有機絶縁材料、又は無機絶縁材料を用いて形成する。特に感光性の樹脂材
料を用い、第1の電極層541上に開口部を形成し、その開口部の側壁が連続した曲率を
持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。
【0306】
電界発光層542は、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成さ
れていてもどちらでもよい。
【0307】
発光素子540に酸素、水素、水分、二酸化炭素等が侵入しないように、第2の電極層5
43及び隔壁507上に保護膜を形成してもよい。保護膜としては、窒化シリコン膜、窒
化酸化シリコン膜、DLC膜等を形成することができる。
【0308】
また、発光素子540に酸素、水素、水分、二酸化炭素等が侵入しないように、発光素子
540を覆う有機化合物を含む層を蒸着法により形成してもよい。
【0309】
また、必要であれば、発光素子の射出面に偏光板、又は円偏光板(楕円偏光板を含む)、
位相差板(λ/4板、λ/2板)、カラーフィルタなどの光学フィルムを適宜設けてもよ
い。また、偏光板又は円偏光板に反射防止膜を設けてもよい。例えば、表面の凹凸により
反射光を拡散し、映り込みを低減できるアンチグレア処理を施すことができる。
【0310】
また、平坦化絶縁層として機能する絶縁層506は、アクリル樹脂、ポリイミド、ベンゾ
シクロブテン系樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂等の、耐熱性を有する有機材料を用いる
ことができる。また上記有機材料の他に、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、B
PSG(リンボロンガラス)等の低誘電率材料(low-k材料)を用いることができる
。なお、これらの材料で形成される絶縁層を複数積層させることで、絶縁層506を形成
してもよい。
【0311】
絶縁層506の形成法は、特に限定されず、その材料に応じて、スパッタリング法、スピ
ンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法)、スクリーン印刷
、オフセット印刷等を用いることができる。
【0312】
第1の電極層541、第2の電極層543としては、図12に示す表示装置の第1の電極
層4034、第2の電極層4031と同様の材料を適用することができる。
【0313】
本実施の形態においては、図13に示す発光装置は下面射出型なので、第1の電極層54
1は透光性、第2の電極層543は反射性を有する。よって、第1の電極層541に金属
膜を用いる場合は透光性を保てる程度膜厚を小さくし、第2の電極層543に透光性を有
する導電層を用いる場合は、反射性を有する導電層を積層するとよい。
【0314】
また、駆動回路保護用の保護回路を設けてもよい。保護回路は、非線形素子を用いて構成
することが好ましい。
【0315】
本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み
合わせて用いることができる。
【0316】
(実施の形態7)
本明細書に開示する半導体装置は、さまざまな電子機器(遊技機も含む)に適用すること
ができる。電子機器としては、テレビ、モニタ等の表示装置、照明装置、デスクトップ型
或いはノート型のパーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、DVD(Digital
Versatile Disc)などの記録媒体に記憶された静止画又は動画を再生す
る画像再生装置、ポータブルCDプレーヤ、ラジオ、テープレコーダ、ヘッドホンステレ
オ、ステレオ、コードレス電話子機、トランシーバ、携帯無線機、携帯電話、自動車電話
、携帯型ゲーム機、電卓、携帯情報端末、電子手帳、電子書籍、電子翻訳機、音声入力機
器、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、電気シェーバ、電子レンジ等の高周波加熱装
置、電気炊飯器、電気洗濯機、電気掃除機、エアコンディショナーなどの空調設備、食器
洗い器、食器乾燥器、衣類乾燥器、布団乾燥器、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、電気冷凍冷蔵
庫、DNA保存用冷凍庫、煙感知器、放射線測定器、透析装置等の医療機器、などが挙げ
られる。さらに、誘導灯、信号機、ベルトコンベア、エレベータ、エスカレータ、産業用
ロボット、電力貯蔵システム等の産業機器も挙げられる。また、石油を用いたエンジンや
、非水系二次電池からの電力を用いて電動機により推進する移動体なども、電気機器の範
疇に含まれるものとする。上記移動体として、例えば、電気自動車(EV)、内燃機関と
電動機を併せ持ったハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)
、これらのタイヤ車輪を無限軌道に変えた装軌車両、電動アシスト自転車を含む原動機付
自転車、自動二輪車、電動車椅子、ゴルフ用カート、小型又は大型船舶、潜水艦、ヘリコ
プター、航空機、ロケット、人工衛星、宇宙探査機や惑星探査機、宇宙船が挙げられる。
これらの電子機器の具体例を図22及び図23に示す。
【0317】
図22(A)及び図22(B)は2つ折り可能なタブレット型端末である。図22(A)
は、開いた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、表示部9631a、表示部
9631b、表示モード切り替えスイッチ9034、電源スイッチ9035、省電力モー
ド切り替えスイッチ9036、留め具9033、操作スイッチ9038、を有する。
【0318】
図22(A)及び図22(B)に示すような携帯機器においては、画像データの一時記憶
などにメモリとしてSRAMまたはDRAMが使用されている。例えば、実施の形態4に
説明した半導体装置をメモリとして使用することができる。先の実施の形態で説明した半
導体装置をメモリに採用することによって、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長
期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力が十分に低減することができる。また、図22
A)及び図22(B)に示すような携帯機器においては、画像処理や演算処理を行うCP
Uが使用されている。そのCPUに実施の形態5に示したCPUを用いることが可能であ
り、用いた場合、携帯機器の消費電力を低減することができる。
【0319】
また、表示部9631aは、一部をタッチパネルの領域9632aとすることができ、表
示された操作キー9638にふれることでデータ入力をすることができる。表示部963
1aは、実施の形態6に示す表示装置を用いることができる。なお、表示部9631aに
おいては、一例として半分の領域が表示のみの機能を有する構成、もう半分の領域がタッ
チパネルの機能を有する構成を示しているが該構成に限定されない。表示部9631aの
全ての領域がタッチパネルの機能を有する構成としても良い。例えば、表示部9631a
の全面をキーボードボタン表示させてタッチパネルとし、表示部9631bを表示画面と
して用いることができる。
【0320】
また、表示部9631bにおいても表示部9631aと同様に、表示部9631bの一部
をタッチパネルの領域9632bとすることができる。また、タッチパネルのキーボード
表示切り替えボタン9639が表示されている位置に指やスタイラスなどでふれることで
表示部9631bにキーボードボタン表示することができる。
【0321】
また、タッチパネルの領域9632aとタッチパネルの領域9632bに対して同時にタ
ッチ入力することもできる。
【0322】
また、表示モード切り替えスイッチ9034は、縦表示又は横表示などの表示の向きを切
り替え、白黒表示やカラー表示の切り替えなどを選択できる。省電力モード切り替えスイ
ッチ9036は、タブレット型端末に内蔵している光センサで検出される使用時の外光の
光量に応じて表示の輝度を最適なものとすることができる。タブレット型端末は光センサ
だけでなく、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサなどの他の検出装置を内
蔵させてもよい。
【0323】
また、図22(A)では表示部9631bと表示部9631aの表示面積が同じ例を示し
ているが特に限定されず、一方のサイズともう一方のサイズが異なっていてもよく、表示
の品質も異なっていてもよい。例えば一方が他方よりも高精細な表示を行える表示パネル
としてもよい。
【0324】
図22(B)は、閉じた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、太陽電池96
33、充放電制御回路9634、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636を有
する。なお、図22(B)では充放電制御回路9634の一例としてバッテリー9635
、DCDCコンバータ9636を有する構成について示している。
【0325】
なお、タブレット型端末は2つ折り可能なため、未使用時に筐体9630を閉じた状態に
することができる。従って、表示部9631a、表示部9631bを保護できるため、耐
久性に優れ、長期使用の観点からも信頼性の優れたタブレット型端末を提供できる。
【0326】
また、この他にも図22(A)及び図22(B)に示したタブレット型端末は、様々な情
報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻など
を表示部に表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作又は編集するタッチ入
力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有するこ
とができる。
【0327】
タブレット型端末の表面に装着された太陽電池9633によって、電力をタッチパネル、
表示部、又は映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池9633は、筐
体9630の片面又は両面に設けることができ、バッテリー9635の充電を効率的に行
う構成とすることができる。なおバッテリー9635としては、リチウムイオン電池を用
いると、小型化を図れる等の利点がある。
【0328】
また、図22(B)に示す充放電制御回路9634の構成、及び動作について図22(C
)にブロック図を示し説明する。図22(C)には、太陽電池9633、バッテリー96
35、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3、
表示部9631について示しており、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636
、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3が、図22(B)に示す充放電制御回
路9634に対応する箇所となる。
【0329】
まず外光により太陽電池9633による発電がされる場合の動作の例について説明する。
太陽電池で発電した電力は、バッテリー9635を充電するための電圧となるようDCD
Cコンバータ9636で昇圧又は降圧がなされる。そして、表示部9631の動作に太陽
電池9633からの電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コンバータ96
37で表示部9631に必要な電圧に昇圧又は降圧をすることとなる。また、表示部96
31での表示を行わない際には、SW1をオフにし、SW2をオンにしてバッテリー96
35の充電を行う構成とすればよい。
【0330】
なお太陽電池9633については、発電手段の一例として示したが、特に限定されず、圧
電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電手段によるバッ
テリー9635の充電を行う構成であってもよい。例えば、無線(非接触)で電力を送受
信して充電する無接点電力伝送モジュールや、また他の充電手段を組み合わせて行う構成
としてもよい。
【0331】
図23(A)において、テレビジョン装置8000は、筐体8001に表示部8002が
組み込まれており、表示部8002により映像を表示し、スピーカ部8003から音声を
出力することが可能である。
【0332】
表示部8002は、実施の形態6に示した液晶表示装置、実施の形態6に示した有機EL
素子などの発光素子を各画素に備えた発光装置、電気泳動表示装置、DMD(Digit
al Micromirror Device)、PDP(Plasma Displa
y Panel)などの、半導体表示装置を用いることができる。
【0333】
テレビジョン装置8000は、受信機やモデムなどを備えていてもよい。テレビジョン装
置8000は、受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを
介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から
受信者)又は双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行う
ことも可能である。
【0334】
また、テレビジョン装置8000は、情報通信を行うためのCPUや、メモリを備えてい
てもよい。テレビジョン装置8000は、実施の形態4に示すメモリや、実施の形態5に
示したCPUを用いることが可能である。
【0335】
図23(A)において、室内機8200及び室外機8204を有するエアコンディショナ
ーは、実施の形態5のCPUを用いた電気機器の一例である。具体的に、室内機8200
は、筐体8201、送風口8202、CPU8203等を有する。図23(A)において
、CPU8203が、室内機8200に設けられている場合を例示しているが、CPU8
203は室外機8204に設けられていてもよい。或いは、室内機8200と室外機82
04の両方に、CPU8203が設けられていてもよい。実施の形態5に示したCPUを
エアコンディショナーのCPUに用いることによって省電力化が図れる。
【0336】
図23(A)において、電気冷凍冷蔵庫8300は、酸化物半導体を用いたCPUを備え
る電気機器の一例である。具体的に、電気冷凍冷蔵庫8300は、筐体8301、冷蔵室
用扉8302、冷凍室用扉8303、CPU8304等を有する。図23(A)では、C
PU8304が、筐体8301の内部に設けられている。実施の形態5に示したCPUを
電気冷凍冷蔵庫8300のCPU8304に用いることによって省電力化が図れる。
【0337】
図23(B)において、電気機器の一例である電気自動車の例を示す。電気自動車970
0には、二次電池9701が搭載されている。二次電池9701の電力は、制御回路97
02により出力が調整されて、駆動装置9703に供給される。制御回路9702は、図
示しないROM、RAM、CPU等を有する処理装置9704によって制御される。実施
の形態5に示したCPUを電気自動車9700のCPUに用いることによって省電力化が
図れる。
【0338】
駆動装置9703は、直流電動機若しくは交流電動機単体、又は電動機と内燃機関と、を
組み合わせて構成される。処理装置9704は、電気自動車9700の運転者の操作情報
(加速、減速、停止など)や走行時の情報(上り坂や下り坂等の情報、駆動輪にかかる負
荷情報など)の入力情報に基づき、制御回路9702に制御信号を出力する。制御回路9
702は、処理装置9704の制御信号により、二次電池9701から供給される電気エ
ネルギーを調整して駆動装置9703の出力を制御する。交流電動機を搭載している場合
は、図示していないが、直流を交流に変換するインバータも内蔵される。
【0339】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【実施例1】
【0340】
本実施例では、CAAC-IGZO膜を用いたトランジスタの断面図の一部を図14に、
アモルファス-IGZO膜を用いたトランジスタの断面図の一部を図15に示す。図14
(A)及び図15(A)は、断面TEM像を示し、図14(B)及び図15(B)は、断
面模式図を示す。
【0341】
本実施例におけるトランジスタは、ソース電極層及びドレイン電極層の形成後に、該電極
層をマスクとしてIGZO膜に対してウェットエッチングを行い、IGZO膜に薄い領域
を形成している。なお、CAAC-IGZO膜と、アモルファス-IGZO膜とでは、結
晶構造の状態が異なる(アモルファス-IGZO膜はCAAC-IGZO膜よりも結晶性
が低い)。
【0342】
具体的に、ウェットエッチングは、0.0025%のフッ酸を用いて行った。0.002
5%のフッ酸は、水(HO):1990mlと0.5%HF:10mlとを混合するこ
とにより作製した。
【0343】
なお、上述した実施の形態におけるトランジスタは、図14に示すCAAC-IGZO膜
を用いたトランジスタである。図15に示すアモルファス-IGZO膜を用いたトランジ
スタは、比較のために作製した。
【0344】
以下に、本実施例に用いたサンプルの詳細について説明する。
【0345】
図14に示すサンプルAは、In:Ga:Zn=3:1:2の原子数比のターゲットを用
いて1層目を成膜し、その上にIn:Ga:Zn=1:1:1の原子数比のターゲットを
用いて2層目を積層したCAAC-IGZO膜を用いた。図15に示すサンプルBは、I
n:Ga:Zn=1:1:1の原子数比のターゲットを用いて成膜される単層のアモルフ
ァス-IGZO膜を用いた。
【0346】
<サンプルA>
シリコン基板上に、下地膜としてスパッタ法により酸化シリコン膜(SiOx膜)を30
0nm成膜した。その後、下地膜上に、スパッタ法によりCAAC-IGZO膜を15n
m成膜した。CAAC-IGZO膜は、In:Ga:Zn=3:1:2の原子数比のター
ゲットを用いて1層目のCAAC-IGZO膜を5nm成膜し、次いで1層目のCAAC
-IGZO膜上に、In:Ga:Zn=1:1:1の原子数比のターゲットを用いて2層
目のCAAC-IGZO膜を10nm成膜した。その後、金属膜としてW膜を100nm
成膜し、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型
プラズマ)エッチング法を用いたICPエッチング装置を用いて金属膜をエッチングした
【0347】
SiOx膜の成膜条件は、単結晶シリコンターゲットを用い、成膜圧力を0.4Paとし
、Ar流量を25sccmとし、O流量を25sccmとし、成膜温度を100℃(基
板温度100℃)とし、DC電源を用いた投入電力を5kWとし、ターゲットと基板間の
距離は60mmとした。
【0348】
CAAC-IGZO膜(3:1:2)の成膜条件は、In:Ga:Zn=3:1:2の原
子数比のターゲットを用い、成膜圧力を0.4Paとし、Ar流量を30sccmとし、
流量を45sccmとし、成膜温度を308℃(基板温度250℃)とし、DC電源
を用いた投入電力を0.5kWとし、ターゲットと基板間の距離を60mmとした。
【0349】
CAAC-IGZO膜(1:1:1)の成膜条件は、In:Ga:Zn=1:1:1の原
子数比のターゲットを用い、成膜圧力を0.4Paとし、Ar流量を30sccmとし、
流量を45sccmとし、成膜温度を416℃(基板温度350℃)とし、DC電源
を用いた投入電力を0.5kWとし、ターゲットと基板間の距離を60mmとした。
【0350】
W膜の第1のエッチング条件は、圧力を0.67Paとし、CF流量を55sccmと
し、Cl流量を45sccmとし、O流量を55sccmとし、基板温度を40℃と
した。また、ICP電力は3000W(0.76W/cm)とし、バイアス電力は11
0W(0.07W/cm)とし、エッチング時間は10secとした。この工程により
、W膜をエッチングして、部分的に膜厚の小さい領域を設けた。
【0351】
W膜の第2のエッチング条件は、圧力を3.0Paとし、O流量を55sccmとし。
基板温度を40℃とした。また、ICP電力は2000W(0.51W/cm)とし、
バイアス電力は0Wとし、エッチング時間は15secとした。この工程により、レジス
トマスクの面積を小さくした。
【0352】
W膜の第3のエッチング条件は、圧力を0.67Paとし、CF流量を55sccmと
し、Cl流量を45sccmとし、O流量を55sccmとし、基板温度を40℃と
した。また、ICP電力は3000W(0.76W/cm)とし、バイアス電力は11
0W(0.07W/cm)とし、エッチング時間は15secとした。この工程により
、さらにW膜をエッチングした。
【0353】
<サンプルB>
シリコン基板上に、下地膜としてスパッタ法によりSiOx膜を300nm成膜した。そ
の後、下地膜上に、スパッタ法によりアモルファス-IGZO膜を15nm成膜した。ア
モルファス-IGZO膜は、In:Ga:Zn=1:1:1の原子数比のターゲットを用
いて成膜した。その後、金属膜としてW膜を100nm成膜し、ICPエッチング装置に
より金属膜をエッチングした。
【0354】
SiOx膜の成膜条件は、単結晶シリコンターゲットを用い、成膜圧力を0.4Paとし
、Ar流量を25sccmとし、O流量を25sccmとし、成膜温度を100℃(基
板温度100℃)する。また、DC電源を用いた投入電力を5kWとし、ターゲットと基
板間の距離を60mmとした。
【0355】
アモルファス-IGZO膜の成膜条件はIn:Ga:Zn=1:1:1の原子数比のター
ゲットを用い、成膜圧力を0.4Paとし、Ar流量を30sccmとし、O流量を1
5sccmとし、成膜温度を室温(基板温度23℃~25℃)とした。また、DC電源を
用いた投入電力を0.5kWとし、ターゲットと基板間の距離を60mmとした。
【0356】
W膜の第1のエッチング条件は、圧力を0.67Paとし、CF流量を55sccmと
し、Cl流量を45sccmとし、O流量を55sccmとし、基板温度を40℃と
した。また、ICP電力を3000W(0.76W/cm)とし、バイアス電力を11
0W(0.07W/cm)とし、エッチング時間を13secとした。
【0357】
W膜の第2のエッチング条件は、圧力を3.0Paとし、O流量を55sccmとし、
基板温度を40℃とした。また、ICP電力を2000W(0.51W/cm)とし、
バイアス電力を0Wとし、エッチング時間を15secとした。
【0358】
W膜の第3のエッチング条件は、圧力を0.67Paとし、CF流量を55sccmと
し、Cl流量を45sccmとし、O流量を55sccmとし、基板温度を40℃と
した。また、ICP電力を3000W(0.76W/cm)とし、バイアス電力を11
0W(0.07W/cm)とし、エッチング時間を12secとした。
【0359】
上述した、サンプルA、サンプルBに、0.0025%フッ酸を用いたウェットエッチン
グを行った。
【0360】
ウェットエッチング条件は、サンプルAのエッチング時間は86secとし、サンプルB
のエッチング時間23secとした。また、サンプルAのエッチング温度は25℃、サン
プルBのエッチング温度も25℃とした。
【0361】
なお、本実施例において、希釈フッ酸の温度は、25℃以上40℃以下が好ましい。
【0362】
なお、本実施例において、希釈フッ酸の濃度は、0.25%以下が好ましく、さらに希釈
した0.0025%(即ち25ppm)以下が好ましい。なお、希釈フッ酸の濃度は、0
.0001%(即ち1ppm)を下限とし、それより高い濃度とする。また、希釈フッ酸
の濃度が0.0025%より高いと、IGZO膜のエッチングレートが速くなり、上述し
た実施の形態におけるトランジスタの電気的特性を劣化させ、信頼性を低下させる恐れが
ある。従って、チャネル形成領域におけるIGZO膜の薄膜化を実現するためには、0.
0025%以下とすることが好ましい。
【0363】
図14及び図15は、希釈フッ酸によるウェットエッチング後のCAAC-IGZO膜及
びアモルファス-IGZO膜の断面形状の様子である。
【0364】
図14(A)より、CAAC-IGZO膜では、膜厚が薄い領域(ウェットエッチングに
より膜厚が減少した領域)と、厚い領域との間の境界領域が膜厚方向に立ち上がる断面形
状とし、滑らかに順テーパ方向に傾斜する断面形状となっていることがわかった。境界領
域を設けることによって金属膜の下端部と、薄い領域との間隔を広げることができ、CA
AC-IGZO膜の断面形状を凹部形状とすることができている。なお、図14(A)の
模式図である図14(B)に境界領域を図示しており、薄い領域との境界から連続的に膜
厚が増加して厚い領域となっている領域を指している。境界領域の表面と酸化物絶縁膜表
面とのなすテーパ角θ1は、0°より大きく90°未満、好ましくは20°以上70°以
下とすることが好ましい。また、テーパ角θ2とは、金属膜の側面と酸化物絶縁膜表面と
がなす角を指しており、テーパ角θ1との違いが20°以内、好ましくは10°以内、さ
らに好ましくは同一角度とする。テーパ角θ1とテーパ角θ2との差が小さければ、金属
膜の側面と境界領域の表面は滑らかといえる。図14(A)において、テーパ角θ1とテ
ーパ角θ2は、ともに90°未満であることが確認できた。ここでのテーパ角θ1とは、
酸化物半導体膜の断面形状において酸化物絶縁膜表面と境界領域(厚い領域と薄い領域と
の間の斜面)の表面とがなす角度を指している。図14(B)では、酸化物絶縁膜である
下地膜(SiOx膜)とのなす角度でテーパ角θ1とテーパ角θ2を図示しているが、基
板表面にほぼ平行な表面を有するため、基板表面となす角度でテーパ角θ1とテーパ角θ
2を算出しても同等である。酸化物絶縁膜である下地膜(SiOx膜)と基板の間に導電
層などを設ける場合は、酸化物絶縁膜表面が平坦にならないため、基準面としにくい場合
には、基板表面となす角度でテーパ角θ1とテーパ角θ2を決定すればよい。また、マス
クとして用いられている金属膜(W)の直下には、エッチングが進行していない。従って
、CAAC-IGZO膜では、異方的にエッチングが進行することが確認できた。
【0365】
図15(A)より、アモルファス-IGZO膜では、ウェットエッチングが行われた領域
がマスクの下方と重なり、マスクとして用いられている金属膜(W)の直下がえぐられオ
ーバーハング形状となっていることがわかった。従って、アモルファス-IGZO膜では
、等方的にエッチングが進行することが確認できた。
【0366】
図14(A)及び図15(A)の結果から、結晶構造の違いにより、ウェットエッチング
後の、CAAC-IGZO膜の断面形状とアモルファス-IGZO膜の断面形状とに、違
いが生じたと考えることができる。CAAC-IGZO膜とアモルファス-IGZO膜と
の結晶構造の違いは、エッチングの方向や、エッチングレートに影響を及ぼすことが示唆
される。
【0367】
また、CAAC-IGZO膜の境界領域の表面と、金属膜の端部における側面とは、滑ら
かである(ほぼ同一平面を形成している)ため、アモルファス-IGZO膜に比べて、I
GZO膜上に形成されるゲート絶縁膜及びゲート電極層の被覆性の向上を図ることができ
ることがわかった。更に、ゲート絶縁膜の膜厚が小さくても段切れを生じにくくすること
ができることが示唆される。
【0368】
また、希釈フッ酸を用いてCAAC-IGZO膜をウェットエッチングすることで、チャ
ネル形成領域の膜厚をより正確に制御することができることが示唆される。
【実施例2】
【0369】
本実施例では、希釈フッ酸を用いて、CAAC-IGZO膜をウェットエッチングする事
で、CAAC-IGZO膜付近に付着してしまう、金属膜(W)を形成する際のエッチン
グにおけるプロセスガス(CFガス、Clガス)起因による汚染物質Cl、C、F
、装置内のHEPAフィルター(High Efficiency Particula
te Air Filter)に使用しているガラス繊維からの飛散起因による汚染物質
B、及びエッチングチャンバ-部材に含まれる成分起因による汚染物質Al、等が大幅に
低減できたことを、図16乃至図20を用いて示す。
【0370】
測定は、2次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass S
pectrometry)により行った。イオン(1次イオン)を試料表面に入射させる
と、試料表面からは電子・中性粒子・イオンなど様々な粒子が放出される。2次イオン質
量分析法とは、これらの粒子のうちイオン(2次イオン)を質量分離し、各質量の2次イ
オンの検出量を測定することで、試料中に含まれる成分の定性・定量を行う手法である。
【0371】
以下に、本実施例における測定に用いたサンプルの詳細について説明する。
【0372】
図21に示すように、測定には、サンプルC及びサンプルDを用いた。図21(A)に示
すサンプルCと図21(B)に示すサンプルDとの違いは、サンプルCに対しては0.0
025%のフッ酸を用いたウェットエッチングを行ったという点のみであり、他の条件は
同じである。なお、サンプルC及びサンプルDには、In:Ga:Zn=1:1:1の原
子数比のターゲットを用いて成膜した単層のCAAC-IGZO膜を用いた。
【0373】
<サンプルC及びサンプルD>
シリコン基板上に、下地膜としてスパッタ法によりSiOx膜を300nm成膜した。そ
の後、下地膜上に、スパッタ法によりCAAC-IGZO膜を50nm成膜した。その後
、金属膜としてW膜を100nm成膜し、ICPエッチング装置により金属膜をエッチン
グした。その後、CAAC-IGZO膜及び金属膜上に、ゲート絶縁膜としてPCVD法
により酸化窒化シリコン膜(SiON膜とも呼ぶ)を100nm成膜した。
【0374】
SiOx膜の成膜条件は、単結晶シリコンターゲットを用い、成膜圧力を0.4Paとし
、Ar流量を25sccmとし、O流量を25sccmとし、成膜温度を100℃(基
板温度100℃)とした。また、DC電源を用いた投入電力を5kWとし、ターゲットと
基板間の距離を60mmとした。
【0375】
CAAC-IGZO膜の成膜条件は、In:Ga:Zn=1:1:1の原子数比のターゲ
ットを用い、成膜圧力を0.4Paとし、Ar流量を30sccmとし、O流量を45
sccmとし、成膜温度を416℃(基板温度350℃)とした。また、DC電源を用い
た投入電力を0.5kWとし、ターゲットと基板間の距離を60mmとした。
【0376】
W膜の第1のエッチング条件は、圧力を0.67Paとし、CF流量を55sccmと
し、Cl流量を45sccmとし、O流量を55sccmとし、基板温度を40℃と
した。また、ICP電力を3000W(0.76W/cm)とし、バイアス電力を11
0W(0.07W/cm)とし、エッチング時間を13secとした。
【0377】
W膜の第2のエッチング条件は圧力を3.0Paとし、O流量を55sccmとし、基
板温度を40℃とした。また、ICP電力を2000W(0.51W/cm)とし、バ
イアス電力を0Wとし、エッチング時間を15secとした。
【0378】
W膜の第3のエッチング条件は、圧力を0.67Paとし、CF流量を55sccmと
し、Cl流量を45sccmとし、O流量を55sccmとし、基板温度を40℃と
した。また、ICP電力を3000W(0.76W/cm)とし、バイアス電力を11
0W(0.07W/cm)とし、エッチング時間を12secとした。
【0379】
SiON膜の成膜条件は、成膜圧力を40Paとし、SiH流量を1sccmとし、N
O流量を800sccmとし、成膜温度を400℃(基板温度400℃)とした。
【0380】
作製したサンプルCのみに、0.0025%のフッ酸を用いたウェットエッチングを行っ
た。
【0381】
サンプルCのウェットエッチング条件は、エッチング時間を72secとし、エッチング
温度を25℃以上40℃以下とした。
【0382】
図16乃至図20に測定結果を示す。
【0383】
図16は、サンプルC及びサンプルDにおける、CAAC-IGZO膜付近のClの濃度
(単位:atoms/cm)を比較したグラフである。明らかにサンプルDでは、サン
プルCに比べて、CAAC-IGZO膜付近に、Clが多く残存していることが確認でき
た。
【0384】
図17は、サンプルC及びサンプルDにおける、CAAC-IGZO膜付近のAlの濃度
(単位:atoms/cm)を比較したグラフである。明らかにサンプルDでは、サン
プルCに比べて、CAAC-IGZO膜付近に、Alが多く残存していることが確認でき
た。
【0385】
図18は、サンプルC及びサンプルDにおける、CAAC-IGZO膜付近のCの濃度(
単位:atoms/cm)を比較したグラフである。明らかにサンプルDでは、サンプ
ルCに比べて、CAAC-IGZO膜付近に、Cが多く残存していることが確認できた。
【0386】
図19は、サンプルC及びサンプルDにおける、CAAC-IGZO膜付近のFの濃度(
単位:atoms/cm)を比較したグラフである。サンプルDでは、サンプルCに比
べて、CAAC-IGZO膜付近に、Fが多く残存していることが確認できた。
【0387】
図20は、サンプルC及びサンプルDにおける、CAAC-IGZO膜付近のBの濃度(
単位:atoms/cm)を比較したグラフである。サンプルDでは、サンプルCに比
べて、CAAC-IGZO膜付近に、Bが多く残存していることが確認できた。
【0388】
以上図16乃至図20の測定結果を考慮すると、希釈フッ酸を用いてCAAC-IGZO
膜に対してウェットエッチングを行う事で、CAAC-IGZO膜付近に残存する汚染物
質を大幅に低減できることがわかった。汚染物質の付着によりトランジスタは、スイッチ
ング特性の劣化や電気的特性の変動が生じやすい。従って、このようなトランジスタ性能
に対して不都合な影響を与える汚染物質を大幅に低減できることで、希釈フッ酸を用いて
ウェットエッチングを行ったCAAC-IGZO膜をチャネル形成領域に用いたトランジ
スタを有する半導体装置において、安定した電気的特性を付与でき、信頼性の向上を達成
できることが示唆される。
【実施例3】
【0389】
本実施例では、希釈フッ酸を用いて、CAAC-IGZO膜及びアモルファス-IGZO
膜に対して、ウェットエッチングを行い、ウェットエッチングの際のエッチングレート(
単位:nm/min)を測定した。チャネル形成領域が薄膜化されたIGZO膜をトラン
ジスタに適用する際、アモルファス-IGZO膜よりも、CAAC-IGZO膜を用いた
方が、トランジスタの高性能化が図れることを測定結果により示す。
【0390】
使用したサンプルは、実施例1におけるサンプルA及びサンプルBと同様のサンプル構造
を有するため、詳細については実施例1の説明を参酌できる。
【0391】
CAAC-IGZO膜を有するサンプルA、アモルファス-IGZO膜を有するサンプル
Bのそれぞれに対して、0.0025%のフッ酸を用いてウェットエッチングを行った点
も実施例1と同様であり、ウェットエッチング条件も実施例1と同様である。
【0392】
エッチングレートは、分光エリプソメータUT300を用いて測定した。5インチ角(1
2.7cm×12.7cm)の面内を25ポイント測定し、測定した25個の値を平均化
した。
【0393】
測定結果として、CAAC-IGZO膜の平均エッチングレートは、約4.3nm/mi
n、アモルファス-IGZO膜の平均エッチングレートは、約12.9nm/minであ
った。従って、アモルファス-IGZO膜のエッチングレートは、CAAC-IGZO膜
のエッチングレートと比較すると、約3倍速いことがわかった。即ち、CAAC-IGZ
O膜の膜厚は、アモルファス-IGZO膜の膜厚と比べて制御し易い。
【0394】
CAAC-IGZO膜のエッチングレートが遅いため、希釈フッ酸を用いてウェットエッ
チングを行い、CAAC-IGZO膜を薄膜化すれば、チャネル形成領域におけるCAA
C-IGZO膜の膜厚をより正確に制御できることが示唆される。また、CAAC-IG
ZO膜上に形成されるゲート絶縁膜の膜厚が、酸化物半導体膜の膜厚と比較して、更に小
さい場合であっても、ゲート絶縁膜の被覆性を向上させることが可能であることが示唆さ
れる。即ち、希釈フッ酸を用いてウェットエッチングを行い、CAAC-IGZO膜のチ
ャネル形成領域を薄膜化することで、トランジスタの高性能化を図れることが示唆される
【符号の説明】
【0395】
400:基板
401:ゲート電極層
401a:ゲート電極層
401b:ゲート電極層
402:ゲート絶縁膜
403:酸化物半導体膜
403a:酸化物半導体膜
403b:酸化物半導体膜
403c:酸化物半導体膜
405a:ソース電極層
405b:ドレイン電極層
406:導電膜
407:絶縁膜
408a:レジストマスク
408b:レジストマスク
409:保護層
410a:保護層
410b:保護層
431:酸素
434:絶縁膜
435:酸化物絶縁膜
436:酸化物絶縁膜
438:絶縁膜
440a:トランジスタ
440b:トランジスタ
440c:トランジスタ
440d:トランジスタ
441a:トランジスタ
441b:トランジスタ
441c:トランジスタ
441d:トランジスタ
441e:トランジスタ
480:酸化物絶縁膜
481:酸素過剰領域
482:絶縁膜
484:酸化物絶縁膜
485:層間絶縁膜
486:バリア金属膜
487:低抵抗導電層
488:バリア金属膜
491:導電層
492:導電層
493:酸化物絶縁膜
610:トランジスタ
647:配線層
657:配線層
658:配線層
682:絶縁膜
684:絶縁膜
686:絶縁膜
687:絶縁膜
690:容量素子
692:配線層
693a:容量電極層
693b:容量電極層
700:基板
740:トランジスタ
741:ゲート電極層
742:ゲート絶縁膜
743:チャネル形成領域
744:n型不純物領域
745:n型不純物領域
746:側壁絶縁層
748:配線層
750:トランジスタ
751:ゲート電極層
752:ゲート絶縁膜
753:チャネル形成領域
754:p型不純物領域
755:p型不純物領域
756:側壁絶縁層
760:回路
788:絶縁膜
789:素子分離領域
800:基板
801:トランジスタ
802:トランジスタ
803:トランジスタ
811:トランジスタ
812:トランジスタ
813:トランジスタ
814:トランジスタ
825:電極層
826:絶縁膜
830:絶縁膜
831:配線層
832:配線層
833:絶縁膜
834:配線層
835:配線層
842:導電層
845a:電極層
845b:電極層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23