(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】剥離検知ラベル
(51)【国際特許分類】
G09F 3/03 20060101AFI20231121BHJP
G09F 3/10 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
G09F3/03 E
G09F3/10 A
(21)【出願番号】P 2022186318
(22)【出願日】2022-11-22
(62)【分割の表示】P 2021079864の分割
【原出願日】2018-08-09
【審査請求日】2022-12-16
(31)【優先権主張番号】P 2017158845
(32)【優先日】2017-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土渕 晃司
(72)【発明者】
【氏名】網野 由美子
(72)【発明者】
【氏名】天野 泰之
(72)【発明者】
【氏名】山本 貴司
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-285243(JP,A)
【文献】特開2007-155885(JP,A)
【文献】特開2004-170776(JP,A)
【文献】特開2011-242489(JP,A)
【文献】特表2004-519722(JP,A)
【文献】特表2002-513164(JP,A)
【文献】登録実用新案第3185671(JP,U)
【文献】特開2003-345255(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0175823(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 3/03
G09F 3/10
G09F 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、前記支持体の表面の一部に形成されたパターン層と、少なくとも粘着剤層(X)及び基材層(Y)を有する粘着性積層体とをこの順で積層した、下記要件(1)を満たす積層体であって、基材層(Y)の弾性率が、10MPa以上800MPa以下であ
り、
基材層(Y)が、アクリルウレタン系樹脂及び酸変性オレフィン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上の非粘着性樹脂(y1)を含む組成物(y)から形成された層である、剥離検知ラベル。
要件(1):前記剥離検知ラベルを被着体に貼付後、当該被着体から剥離する際に、前記支持体と前記パターン層との間で界面剥離が生じることにより、視覚的に前記剥離検知ラベルの被着体からの剥離有無が検知可能となる。
【請求項2】
基材層(Y)の厚さ(Yt)に対する粘着剤層(X)の厚さ(Xt)の比〔(Xt)/(Yt)〕が、1/3~3/1である、請求項1に記載の剥離検知ラベル。
【請求項3】
前記粘着性積層体が、基材層(Y)の一方の表面側に粘着剤層(X)を有する積層体であって、基材層(Y)が、前記支持体の表面及び前記パターン層と接する、請求項1又は2に記載の剥離検知ラベル。
【請求項4】
前記粘着性積層体が、前記パターン層側から、第1の粘着剤層(X1)と基材層(Y)と第2の粘着剤層(X2)とをこの順で積層した積層体(P1)である、請求項1に記載の剥離検知ラベル。
【請求項5】
第1の粘着剤層(X1)が前記支持体の表面及び前記パターン層と接する、請求項
4に記載の剥離検知ラベル。
【請求項6】
第1の粘着剤層(X1)の弾性率が、0.05MPa以上0.70MPa以下である、請求項4又は5に記載の剥離検知ラベル。
【請求項7】
前記パターン層と、
第1の粘着剤層(X
1)とが、互いに同種の樹脂を含有する、請求項
4~6のいずれか1項に記載の剥離検知ラベル。
【請求項8】
前記パターン層が、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、及びポリエステル系樹脂からなる群より選ばれる1種以上を含む組成物から形成された層であり、
第1の粘着剤層(X
1)が、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、及びポリエステル系樹脂からなる群より選ばれる1種以上を含む粘着性樹脂を含む組成物(x
-1)から形成された層である、請求項
4~7のいずれか1項に記載の剥離検知ラベル。
【請求項9】
第1の粘着剤層(X
1)
、第2の粘着剤層(X2)及び基材層(Y)から選ばれる少なくとも一つの層が着色剤を含む層である、請求項
4~8のいずれか1項
に記載の剥離検知ラベル。
【請求項10】
前記パターン層が形成された側の前記支持体の表面が、梨地処理されてなる表面である、請求項1~
9のいずれか1項に記載の剥離検知ラベル。
【請求項11】
前記梨地処理が、サンドブラスト処理である、請求項
10に記載の剥離検知ラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は剥離検知ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、医薬品や食品等のパッケージでは、安全性のため、高いセキリュティ性が求められており、一度開封されたかどうかを確認する目的で、改ざん防止用ラベルが用いられている。また、例えば、薬品瓶や燃料タンクといった危険物等の充填容器、封書、化粧箱等の不正開封等を防止する目的、並びにパスポート等の身分証明書の証明写真の不正使用等を防止する目的等でも改ざん防止用ラベルが用いられている。
また、高価な電子機器や精密機械部品等に貼り付けられているラベルについても、表示内容の改ざんや、正規製品のラベルを剥がして別の製品に貼付する模倣手段に用いられることを防止する等の目的で、改ざん防止用ラベルが用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、厚さ寸法が10μm以上40μm以下のポリスチレンフィルムと、その一面に積層されたJIS Z 0237に規定の接着強度が80℃で15N/25mm以上の耐熱性粘着剤層とから成ることを特徴とする改ざん防止ラベル又はシートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の改ざん防止ラベル又はシートでは、前記ポリスチレンフィルムを剥がそうとするとポリスチレンフィルムが破断してしまうことで、改ざん防止機能を発揮している。
しかしながら、このように従来の剥離検知ラベルでは、破壊した基材層の一部や粘着剤層が被着体に残存してしまうことにより、被着体を汚染してしまうといった問題があった。
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、被着体への糊残りが生じない剥離検知ラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、支持体と、前記支持体の表面の一部に形成されたパターン層と、少なくとも粘着剤層(X)及び基材層(Y)を有する粘着性積層体とをこの順で積層した、特定の要件を満たす積層体であって、基材層(Y)が特定の弾性率を満たす、剥離検知ラベルとすることで、前記課題を解決し得ることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、下記[1]~[11]に関する。
[1] 支持体と、前記支持体の表面の一部に形成されたパターン層と、少なくとも粘着剤層(X)及び基材層(Y)を有する粘着性積層体とをこの順で積層した、下記要件(1)を満たす積層体であって、基材層(Y)の弾性率が、10MPa以上800MPa以下である、剥離検知ラベル。
要件(1):前記剥離検知ラベルを被着体に貼付後、当該被着体から剥離する際に、前記支持体と前記パターン層との間で界面剥離が生じることにより、視覚的に前記剥離検知ラベルの被着体からの剥離有無が検知可能となる。
[2] 基材層(Y)の厚さ(Yt)に対する粘着剤層(X)の厚さ(Xt)の比〔(Xt)/(Yt)〕が、1/3~3/1である、前記[1]に記載の剥離検知ラベル。
[3] 前記粘着性積層体が、基材層(Y)の一方の表面側に粘着剤層(X)を有する積層体であって、基材層(Y)が、前記支持体の表面及び前記パターン層と接する、前記[1]又は[2]に記載の剥離検知ラベル。
[4] 前記粘着性積層体が、第1の粘着剤層(X1)と基材層(Y)と第2の粘着剤層(X2)とをこの順で積層した積層体(P1)であって、粘着剤層(X1)が前記支持体の表面及び前記パターン層と接する、前記[1]又は[2]に記載の剥離検知ラベル。
[5] 基材層(Y)の弾性率が600MPa以下である、前記[1]~[4]のいずれかに記載の剥離検知ラベル。
[6] 前記パターン層が形成された側の前記支持体の表面が、梨地処理されてなる表面である、前記[1]~[5]のいずれかに記載の剥離検知ラベル。
[7] 前記梨地処理が、サンドブラスト処理である、前記[6]に記載の剥離検知ラベル。
[8] 前記パターン層と、粘着剤層(X)とが、互いに同種の樹脂を含有する、前記[1]~[7]のいずれかに記載の剥離検知ラベル。
[9] 前記パターン層が、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、及びポリエステル系樹脂からなる群より選ばれる1種以上を含む組成物から形成された層であり、
粘着剤層(X)が、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、及びポリエステル系樹脂からなる群より選ばれる1種以上を含む粘着性樹脂を含む組成物(x)から形成された層である、前記[1]~[8]に記載の剥離検知ラベル。
[10] 基材層(Y)が、アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上の非粘着性樹脂(y1)を含む組成物(y)から形成された層である、前記[1]~[9]のいずれかに記載の剥離検知ラベル。
[11] 粘着剤層(X)と基材層(Y)から選ばれる少なくとも一つの層が着色剤を含む層である前記[1]~[10]のいずれかに記載の剥離検知ラベル。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、被着体への糊残りが生じない剥離検知ラベルを提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の剥離検知ラベルの構成の一例を示す、剥離検知ラベル101の断面模式図である。
【
図2】本発明の剥離検知ラベルの構成の一例を示す、剥離検知ラベル102の断面模式図である。
【
図3】本発明の剥離検知ラベルの構成の一例である剥離
検知ラベル102を、被着体40から剥離する途中の状況を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明において、対象となる樹脂が、「粘着性樹脂」又は「非粘着性樹脂」のどちらに属するかの判断は、次の手順(1)~(4)に基づいて行う。
・手順(1):対象となる樹脂のみから形成した厚さ20μmの樹脂層を、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に設け、縦300mm×横25mmの大きさに切断した試験片を作製する。
・手順(2):23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、当該試験片の樹脂層の表出している側の表面を、ステンレス板(SUS304 360番研磨)に貼付し、同環境下で24時間静置する。
・手順(3):静置後、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、JIS Z0237:2000に基づき、180°引き剥がし法により、引張速度300mm/分にて、粘着力を測定する。
・手順(4):測定した粘着力が0.1N/25mm以上であれば、対象となる樹脂は「粘着性樹脂」と判断する。一方、測定した粘着力が0.1N/25mm未満であれば、対象となる樹脂は「非粘着性樹脂」と判断する。
【0011】
本発明において、「有効成分」とは、対象となる組成物に含まれる成分のうち、希釈溶媒を除いた成分を指す。
また、本発明において、「剥離検知ラベルの剥離」とは、例えば、剥離検知ラベルを、剥離検知ラベルの粘着剤層(X)の貼付面に剥離材を有する場合、当該剥離材から剥離検知ラベルを剥離する時の剥離操作のことを指す。
それに対して、本発明において、「剥離検知ラベルの再剥離」とは、当該剥離材を除去した剥離検知ラベルを被着体に貼付した後、当該被着体から当該剥離検知ラベルを剥離する時の剥離操作のことを指す。
また、本発明において、「視覚的に検知可能」とは、剥離検知ラベルの再剥離前後の変化を人間の目で確認できることをいう。
【0012】
本発明において、例えば、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の双方を示し、他の類似用語も同様である。
また、質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される標準ポリスチレン換算の値であり、具体的には実施例に記載の方法に基づいて測定した値である。
また、好ましい数値範囲(例えば、含有量等の範囲)について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10~90、より好ましくは30~60」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10~60」とすることもできる。同様に、例えば、「好ましくは10以上、より好ましくは30以上であり、そして、好ましくは90以下、より好ましくは60以下である」という記載からも、好適範囲として、「10以上60以下」を選択することもでき、また、単に、「60以下」という範囲を選択することもできる。
【0013】
[剥離検知ラベル]
本発明の剥離検知ラベルは、支持体と、前記支持体の表面の一部に形成されたパターン層と、少なくとも粘着剤層(X)及び基材層(Y)を有する粘着性積層体とをこの順で積層した、下記要件(1)を満たす積層体であって、基材層(Y)の弾性率が、10MPa以上800MPa以下である、剥離検知ラベルである。
要件(1):前記剥離検知ラベルを被着体に貼付後、当該被着体から剥離する際に、前記支持体と前記パターン層との間で界面剥離が生じることにより、視覚的に前記剥離検知ラベルの被着体からの剥離有無が検知可能となる。
当該剥離検知ラベルが、前記層構成を満たすことで、被着体への糊残りが生じない剥離検知ラベルとなる。更に、要件(1)を満たすことで、剥離検知性能に優れるものとなる。
【0014】
以下に、本発明の実施態様に係る剥離検知ラベルの好ましい例を、
図1及び
図2を用いて説明するが、本発明の剥離検知ラベルは、本発明の効果が発現する限り、以下の例に限定されるものではない。
図1は、本発明の剥離検知ラベルの構成の一例を示す、剥離検知ラベル101の断面模式図である。
例えば、本発明の剥離検知ラベルは、
図1に示す剥離検知ラベル101のように、支持体1と、パターン層2と、粘着剤層(X)3及び基材層(Y)4を有する粘着性積層体11をこの順で積層したものが挙げられる。そして、本発明の剥離検知ラベルは、
図1に示す剥離検知ラベル101のような態様である場合、粘着性積層体11が、基材層(Y)4の一方の表面4a側に粘着剤層(X)3を有する積層体であって、基材層(Y)4が、支持体1のパターン層
2が形成されている側の表面1a及びパターン層2と接する態様であってもよく、基材層(Y)4が、支持体1のパターン層2が形成されている側の表面1a及びパターン層2の支持体1側と反対側の表面2aと接する態様であってもよく、
図1に示す剥離検知ラベル101のように、基材層(Y)4が、支持体1のパターン層2が形成されている側の表面1aと接し、かつパターン層2の支持体1の当該表面1aと接する面以外の面を被覆する態様であってもよく、粘着性積層体11中、粘着剤層(X)3及び基材層(Y)4はこの順で直接積層していることが好ましい。
【0015】
図2は、本発明の剥離検知ラベルの構成の一例を示す、剥離検知ラベル102の断面模式図である。
本発明の剥離検知ラベルは、
図2に示す剥離検知ラベル102のように、支持体1、パターン層2、及び第1の粘着剤層(X1)(以下、「粘着剤層(X1)」ともいう。)31と基材層(Y)4と第2の粘着剤層(X2)(以下、「粘着剤層(X2)」ともいう。)32とをこの順で積層した粘着性積層体である積層体(P1)(以下、「積層体(P1)」ともいう。)12をこの順で積層したものがより好適な態様として挙げられる。
図2に示す態様は、粘着性積層体が基材層(Y)4の両面に粘着剤層(X)を有する場合の態様を示すものであり、当該2層存在する粘着剤層(X)について、それぞれ、パターン層
2側に位置する粘着剤層(X)を第1の粘着剤層(X1)31とし、基材層(Y)4の粘着剤層(X1)31とは反対側に位置する粘着剤層(X)を第2の粘着剤層(X2)32とするものである。
図2に示す剥離検知ラベル102のような態様である場合、粘着剤層(X1)31が、支持体1のパターン層
2が形成されている側の表面1a及びパターン層2と接する態様であってもよく、粘着剤層(X1)31が、支持体1のパターン層2が形成されている側の表面1a及びパターン層2の支持体1側と反対側の表面2aと接する態様であることが好ましく、
図2に示す剥離検知ラベル102のように、粘着剤層(X1)31が、支持体1のパターン層2が形成されている側の表面1aと接し、かつパターン層2の支持体1の当該表面1
aと接する面以外の面を被覆する態様であることがより好ましく、積層体(P1)12中、粘着剤層(X1)31、基材層(Y)4及び粘着剤層(X2)32はこの順で直接積層していることが更に好ましい。
ここで、前述の「直接積層」とは、例えば、
図1に示す剥離検知ラベル101の場合、粘着剤層(X)3と基材層(Y)4との間に、他の層を有さずに、2層が直接接触している構成を指す。また、例えば、
図2に示す剥離検知ラベル102の場合、粘着剤層(X1)31と基材層(Y)4、並びに基材層(Y)4と粘着剤層(X2)32との間に、他の層を有さずに、3層が直接接触している積層状態を指す。
【0016】
また、
図3は、
図2に示した剥離
検知ラベル102を、被着体40に貼付した後、被着体40から剥離する途中の状況、すなわち、剥離検知ラベル102を再剥離する状況を示す断面模式図である。
本発明の剥離検知ラベルは、
図3に示すように、剥離検知ラベル102を被着体40から剥離する際、支持体1とパターン層2との間で界面剥離が生じて空隙50が生じることでパターンが顕在化し、剥離検知ラベル102を被着体40から剥離したか否かについて、視覚的に検知可能となるラベルである。すなわち、要件(1)の態様を満たす剥離検知ラベルである。
【0017】
また、前記剥離検知ラベルの他の態様としては、粘着性積層体とは反対側の支持体の表面、及び粘着剤層(X)の貼付表面(基材層(Y)と接触している側とは反対側の表面上)から選ばれる少なくとも1つの面に、更に、剥離材を積層した構成としてもよい(図示せず)。
また、前記剥離検知ラベルの他の態様としては、粘着剤層(X)の貼付表面上に、更に異なる形成材料である組成物から形成した粘着剤層(Xn)を積層した構成としてもよい(図示せず)。nは3以上の整数を表す。
また、前記剥離検知ラベルの他の態様としては、基材層(Y)と粘着剤層(X)との間に、更に異なる形成材料である組成物から形成した中間層(M)(例えば、プライマー層、金属系蒸着膜や着色層等)を積層した構成としてもよい(図示せず)。
なお、前述したとおり、本発明の剥離検知ラベルは、本発明の効果が発現する限り、これらの態様に限定されるものではない。
【0018】
前記剥離検知ラベルの厚さとしては、好ましくは5~150μm、より好ましくは10~100μm、更に好ましくは20~80μm、より更に好ましくは30~70μmである。ここで、当該剥離検知ラベルが、前述のとおり、更に剥離材を積層する態様である場合、当該剥離検知ラベルの厚さとは、当該剥離材を除いた剥離検知ラベルの総厚を指す。
当該剥離検知ラベルの厚さは、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0019】
前記剥離検知ラベルの被着体と接する貼付表面における粘着力は、好ましくは0.5N/25mm以上、より好ましくは1.0N/25mm以上、更に好ましくは3.0N/25mm以上、より更に好ましくは5.0N/25mm以上、より更に好ましくは8.0N/25mm以上であり、そして、好ましくは40.0N/25mm以下、より好ましくは30.0N/25mm以下、より更に好ましくは25.0N/25mm以下、より更に好ましくは20.0N/25mm以下、より更に好ましくは15.0N/25mm以下である。
当該剥離検知ラベルの粘着力の値は、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0020】
また、本発明の好適な一態様である剥離検知ラベルは、当該剥離検知ラベルの再剥離時に、前記支持体と前記パターン層との間で界面剥離を生じることで、視覚的に当該剥離検知ラベルの再剥離有無の検知が可能になるものである。したがって、剥離検知ラベルを被着体に貼付した際、当該剥離検知ラベルの支持体側から、少なくとも前記界面剥離に起因する変化が視覚的に認識可能な程度の透明性を有する剥離検知ラベルであることが好ましく、被着体上の情報が視覚的に認識可能な程度の透明性を有する剥離検知ラベルであることがより好ましい。すなわち、剥離検知ラベルが透けて、当該剥離検知ラベルの支持体側の表面側から、当該剥離検知ラベルのもう一方の表面側に存在する任意の物体が目視で見えることがより好ましい。
以下、前記剥離検知ラベルを構成する各部材について更に詳細に説明する。
【0021】
<支持体>
前記支持体としては、剥離検知ラベル中で前記要件(1)を満たすものであれば、特に限定されないが、前記パターン層が形成される側の表面が、梨地処理されてなる表面である支持体が好ましい。ここで、梨地処理とは、支持体の表面を、微細な凹凸が形成された面に加工する処理のことをいい、梨地とは、一般的には、梨の皮の表面のようにざらついている面である。なお、本明細書で、「梨地処理されてなる表面」は、その微細凹凸面が不規則な形状であってもよく、規則的な形状であってもよい。
前記パターン層が形成される側の前記支持体の表面が、梨地処理されてなる表面であると、後述する基材層(Y)又は粘着剤層(X1)との界面密着性が向上し、これらの界面で界面剥離が生じることをより効果的に防止できるため好ましい。すなわち、要件(1)を満たすために好ましい。
また、例えば、前記支持体の片面が梨地処理されている場合、当該支持体と前記パターン層との間で界面剥離が生じて剥離部分に空隙が生じた場合、当該空隙内に露出した梨地面上で光が乱反射し、当該剥離箇所が剥離前後で透明から半透明又は不透明に変化したり、マット調のパターンを形成することができる。それによって、剥離検知ラベルの再剥離を検知する際の視認性が向上するため好ましい。
【0022】
前述のとおり、本発明の好適な一態様である剥離検知ラベルは、当該剥離検知ラベルの再剥離時に、前記支持体と前記パターン層との間で界面剥離を生じることで、視覚的に当該剥離検知ラベルの再剥離有無の検知が可能になるものである。そのため、前記支持体としては、当該支持体が剥離検知ラベル中に組み込まれた際、当該支持体が透けて、前記剥離検知ラベルの当該支持体側の表面側から、少なくとも当該支持体のもう一方の表面側に存在する任意の物体が目視で見える程度の透明性を有する支持体であることが好ましい。
したがって、当該剥離検知ラベルの再剥離の有無が視覚的に検知可能な透明性を有し、かつ、前記パターン層が形成される側の表面が梨地処理されてなる表面である支持体であることがより好ましい。
【0023】
前記支持体としては、例えば、透明性のプラスチックフィルムが好ましく用いられる。プラスチックフィルムの材料としては、例えば、ポリ(メタ)アクリレート等のアクリル系樹脂;全芳香族ポリアミド、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン共重合体等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート等のポリエステル系樹脂;ポリウレタンアクリレート等のポリウレタン系樹脂;ポリエチレン系樹脂;ポリプロピレン系樹脂;ポリ(4-メチルペンテン-1);ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;エチレン-酢酸ビニル共重合体;ポリスチレン系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ノルボルネン系樹脂;シクロオレフィン樹脂等が挙げられる。これらの中では、透明性や、コスト、汎用性の点から、ポリアミド、ポリエステル系樹脂が好ましく、ポリエチレンテレフタレートがより好ましい。
【0024】
また、前記梨地処理としては、例えば、梨地面を有するエンボスロールを用いたエンボス処理、サンドブラスト処理(サンドマット処理)、プラズマ処理、溶剤を用いるケミカルエッチング処理、透明な微細樹脂粒子の練り込み処理、マット材のコーティング処理等による微細凹凸化処理が挙げられる。これらの中では、コスト面、汎用性の観点から、好ましくは梨地面を有するエンボスロールを用いたエンボス処理又はサンドブラスト処理、より好ましくはサンドブラスト処理が挙げられる。
したがって、前記支持体としては、前記パターン層が形成される側の当該支持体の表面が梨地処理されてなる表面を有するポリアミドフィルム又はポリエステル系樹脂を材料とするフィルムがより好ましく、前記パターン層が形成される側の当該支持体の表面が梨地処理されてなる表面を有するポリエチレンテレフタレートフィルムが更に好ましい。
【0025】
前記支持体の厚さとしては、好ましくは1~150μm、より好ましくは5~130μm、更に好ましくは10~80μm、より更に好ましくは20~60μm、より更に好ましくは30~50μmである。
当該支持体の厚さは、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0026】
なお、本発明の効果が発現する限り、すなわち、前記界面剥離による変化が視覚的に認識可能な程度の剥離検知ラベルの透明性を損なわない程度に、意匠性や偽造防止を目的として、前記支持体の粘着性積層体とは反対側の面に印刷受理層を設けて印刷層を設けてもよい。また、本発明の効果が発現する限り、巻回テープとするために、前記支持体の粘着性積層体とは反対側の面に剥離剤層を設けてもよい。
【0027】
<パターン層>
前記パターン層とは、前記剥離検知ラベルの再剥離時に、当該剥離検知ラベルが再剥離された事を視覚的に検知可能とするために必要となる層である。そして、剥離検知ラベル中で前記要件(1)を満たす材料から形成される層である。
また、当該パターン層としては、剥離検知ラベルの再剥離前にはパターンが潜在化していることが好ましいため、透明性を有する層であることが好ましい。透明性を有するパターン層とすることで、剥離検知ラベルの再剥離前後の変化がより明確になること、また、剥離検知ラベルを被着体に貼付している状態においては、剥離検知ラベルを通して被着体表面の文字や図柄といった情報も確認することも可能となる、または剥離検知ラベル自体が透明となりラベルを目立たなくできるといった観点からも好ましい。
【0028】
前記パターン層としては、剥離検知ラベル中で前記要件(1)を満たすものであれば、特に限定されないが、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系樹脂;ポリ(メタ)アクリレート、ポリメチル(メタ)アクリレート等のアクリル系樹脂;ウレタン系樹脂;アクリルウレタン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート等のポリエステル系樹脂;及びエポキシ系樹脂からなる群より選ばれる1種以上を含む組成物から形成された層であることが好ましく、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、及びポリエステル系樹脂からなる群より選ばれる1種以上を含む組成物から形成された層であることがより好ましく、アクリル系樹脂及びアクリルウレタン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上を含む組成物から形成された層であることが更に好ましく、アクリル系樹脂を含む組成物から形成された層であることがより更に好ましい。
【0029】
前記パターン層は、粘着剤層(X)の粘着力より低い粘着力となる樹脂から形成された層であることが好ましく、非粘着性樹脂から形成された層であることがより好ましい。
したがって、前記アクリル系樹脂を含む組成物から形成された層としては、後述するアクリル系樹脂のうち、粘着剤層(X)で用いられる樹脂よりも粘着力の低い層を形成できるアクリル系樹脂で形成された層であることが好ましく、主モノマーがメチル(メタ)アクリレートであるアクリル系重合体を含む組成物から形成された層であることがより更に好ましい。ここで、当該「主モノマー」とは、重合体を形成するモノマー成分中で最も含有量(使用量)の多いモノマー成分をいう。
【0030】
また、剥離検知ラベルの再剥離時に、前記支持体と前記パターン層との間での界面剥離がより生じ易くなり、前記要件(1)を満たし易くなる観点から、前記パターン層と前記支持体との接着力が、前記粘着性積層体と当該支持体との接着力よりも低いことが好ましく、前記パターン層と前記支持体との接着力が、前記粘着性積層体と当該支持体との接着力よりも低く、かつ当該パターン層と当該粘着性積層体との接着力よりも低いことがより好ましい。
同様の観点から、例えば、パターン層が基材層(Y)で被覆される場合、前記パターン層と前記支持体との接着力が、基材層(Y)と当該支持体との接着力よりも低いことが好ましく、前記パターン層と前記支持体との接着力が、基材層(Y)と当該支持体との接着力よりも低く、かつ当該パターン層と基材層(Y)との接着力よりも低いことがより好ましい。
同様の観点から、粘着性積層体が積層体(P1)である場合、前記パターン層と前記支持体との接着力が、粘着剤層(X1)と当該支持体との接着力よりも低いことが好ましく、前記パターン層と前記支持体との接着力が、粘着剤層(X1)と当該支持体との接着力よりも低く、かつ当該パターン層と粘着剤層(X1)との接着力よりも低いことがより好ましい。
また、このような態様であれば、例えば、前記支持体と前記パターン層との間の界面以外の界面で剥離が生じることを、より効果的に防止できるため好ましい。すなわち、要件(1)を満たすために好ましい。
【0031】
前記パターン層中、前述した各樹脂の合計含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下である。
【0032】
また、前記パターン層は、前記支持体の表面の一部に形成される。前記パターン層が、前記支持体の表面の全面に形成された場合、前記支持体と当該パターン層との界面の全面で剥離が生じてしまい、被着体への糊残りが生じてしまう。
ここで、前記支持体の表面の一部に形成されるとは、剥離検知ラベルが実際に貼付されている状態のサイズ、又は使用するために所定のサイズに抜き加工された後の剥離検知ラベルにおいて、前記支持体のパターン層が形成されている表面上の面積100%中、パターン層が形成されている面積が100%未満であればよく、好ましくは1~99%、より好ましくは2~95%、更に好ましくは3~90%、より更に好ましくは5~80%、より更に好ましくは8~70%、より更に好ましくは10~60%、より更に好ましくは12~45%である。
【0033】
前記パターン層の形成方法は、前記支持体上に、パターン層を形成できる方法であれば、特に限定されない。例えば、前記樹脂と溶剤とを含有するインキを用いて、一般的な印刷方法、例えば、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷等により形成することができる。
また、形成されるパターンの形状等も、剥離検知ラベルの再剥離の有無が検知可能であれば特に限定されず、幾何学的なパターン又は図柄であってもよく、文字パターンであってもよい。
なお、当該パターンとは、必ずしも一定の規則性に基づいて「配置」されたものに限らず、不規則(ランダム)な形状のものも含むものとする。例えば、前記印刷方法を用いて特定の規則的形状を印刷するに限らず、単に、パターン層用原料を支持体上にスプレーする等、不規則(ランダム)な形状となるように処理した場合に、一部の箇所において、ランダムにラベルの色調や光透過性が変化して視覚的に認識できるような場合であっても、当該支持体上に形成されたパターン層用原料から形成されている箇所は、パターン層に含まれる。
ただし、より確実かつ明確に剥離検知ラベルの再剥離の有無を検知する観点、また、どのラベルサイズに加工した場合、そのサイズに適したパターン層を形成することができる観点等の製造上、製品品質上の観点からも、一定以上の面積で前記支持体とパターン層との界面が存在していることが好ましいため、所定の規則的なパターンを形成することが好ましい。
【0034】
また、前述のとおり、パターン層自体で所定のパターンを形成することが可能であるため、前記パターン層が透明性を有する層である場合、前記のパターンを隠し文字等の隠しパターンとして形成することができる。ここで、「隠しパターン」とは、剥離検知ラベルの再剥離前には、形成されたパターンが透明であるため、潜在化していて視覚的には検知できず、当該剥離検知ラベルの再剥離後に当該パターンが顕在化することで視覚的に検知できるようになるパターンを指す。
【0035】
また、前述のとおり、本発明で用いられるパターン層は、パターン層自体が支持体から界面剥離するため、例えば、パターン層として剥離層と印刷層といったようにそれぞれの機能を分離した層を設ける必要がなくなるといった利点がある。
そして、前述した本発明の剥離検知ラベルの構成とすることで、支持体とパターン層との間で界面剥離が生じさせ、一方でその他の箇所での界面剥離を効果的に抑制することができるため、パターン層自体で文字のような比較的入り組んだ形状のパターンを形成した場合でも、剥離検知ラベルを再剥離する際に、そのパターンを視覚的に検知できる程度に表示させることが可能になる。
【0036】
前記パターン層の厚さとしては、後述する粘着性積層体の厚さ未満であればよく、前述のとおり、前記支持体が基材層(Y)と接する態様である場合は、基材層(Y)の厚さ未満であることが好ましく、また、後述する粘着性積層体が積層体(P1)の態様である場合は、粘着剤層(X1)の厚さ未満であることが好ましい。パターン層の厚さとしては、例えば、好ましくは0.05~16μm、より好ましくは0.1~12μm、更に好ましくは0.5~8μmである。
当該パターン層の厚さは、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0037】
<粘着性積層体>
前記粘着性積層体は、粘着剤層(X)及び基材層(Y)を有する積層体であり、前述のとおり、好ましくは2以上の粘着剤層(X)を有する積層体であり、より好ましくは第1の粘着剤層(X1)と基材層(Y)と第2の粘着剤層(X2)とをこの順で積層した粘着性積層体である積層体(P1)である。
【0038】
<<粘着剤層(X)>>
粘着剤層(X)は、粘着性樹脂を含む組成物(x)から形成された層であることが好ましく、粘着性樹脂を含む組成物(x)からなる塗膜(x’)を乾燥させて形成された層であることがより好ましい。
ここで、本明細書において、「塗膜」とは、公知の塗布方法によって、形成材料である組成物から形成された膜であって、当該膜中に含まれる溶媒等の揮発成分の残存率が、塗布前の当該組成物中に含まれる揮発成分の全量100質量%に対して、10~100質量%となる状態のものを指す。
つまり、本明細書において、塗膜には、溶媒等の揮発成分が一定量含まれている。
【0039】
なお、前記粘着性積層体が複数の粘着剤層(X)を有する場合、例えば、前記粘着性積層体が積層体(P1)である場合、本明細書中、各粘着剤層(X)を形成する組成物(x)に対応する組成物は、粘着剤層(X1)及び粘着剤層(X2)を形成するものとして、それぞれ、組成物(x-1)、組成物(x-2)とも表す。この場合、同様に、塗膜(x’)に対応する塗膜を、それぞれ、塗膜(x-1’)、塗膜(x-2’)とも表す。
【0040】
また、前記パターン層と、粘着剤層(X)とが、互いに同種の樹脂を含有することが好ましく、例えば、前記パターン層がアクリル系樹脂から形成されている層である場合、粘着剤層(X)も、後述するアクリル系樹脂であることが好ましい。このような態様とすることで、粘着剤層(X)とパターン層との界面密着性が向上し、前記要件(1)をより満たしやすくなるため好ましい。
例えば、前記粘着性積層体が積層体(P1)である場合は、同様の理由から、前記パターン層と、粘着剤層(X1)とが、互いに同種の樹脂を含有することが好ましく、例えば、前記パターン層がアクリル系樹脂から形成されている層である場合、粘着剤層(X1)も、後述するアクリル系樹脂であることが好ましい。
【0041】
〔組成物(x)〕
粘着剤層(X)の形成材料である組成物(x)は、粘着性樹脂を含むものである。
なお、本発明の一態様において、組成物(x)に含まれる粘着性樹脂以外の成分は、本発明の剥離検知ラベルの使用用途に応じて、適宜調整可能である。
例えば、本発明の一態様において、粘着力を所望の範囲に調整する観点から、組成物(x)は、更に粘着付与剤及び架橋剤からなる群より選ばれる1種以上を含有してもよく、これら以外にも、希釈溶媒及び一般的な粘着剤に使用される粘着剤用添加剤からなる群より選ばれる1種以上を含有してもよい。
【0042】
(粘着性樹脂)
前記粘着性樹脂の質量平均分子量(Mw)としては、好ましくは1万~200万、より好ましくは2万~150万、更に好ましくは3万~100万である。
組成物(x)に含まれる粘着性樹脂としては、例えば、後述する粘着剤層(X)の粘着力を満たすアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂及びポリエステル系樹脂等が挙げられる。これらの中では、好ましくはアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群より選ばれる1種以上であり、より好ましくはアクリル系樹脂である。
これらの粘着性樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、これらの粘着性樹脂が、2種以上の構成単位を有する共重合体である場合、当該共重合体の形態は、特に限定されず、ブロック共重合体、ランダム共重合体、及びグラフト共重合体のいずれであってもよい。
更に、粘着剤層(X)と基材層(Y)との界面密着性をより向上させる観点から、これらの粘着性樹脂は、重合性官能基を有さない紫外線非硬化型粘着性樹脂であることが好ましい。
【0043】
組成物(x)中の粘着性樹脂の含有量は、組成物(x)の有効成分の全量(100質量%)中、好ましくは30~99.99質量%、より好ましくは40~99.95質量%、より好ましくは50~99.90質量%、更に好ましくは55~99.80質量%、より更に好ましくは60~99.50質量%である。
【0044】
{アクリル系樹脂}
本発明の一態様において、基材層(Y)との界面密着性をより向上させる観点から、組成物(x)に含まれる粘着性樹脂が、アクリル系樹脂を含むことが好ましい。
粘着性樹脂中のアクリル系樹脂の含有割合としては、界面密着性をより向上させる観点から、組成物(x)に含まれる粘着性樹脂の全量(100質量%)中、好ましくは30~100質量%、より好ましくは50~100質量%、更に好ましくは70~100質量%、より更に好ましくは85~100質量%である。
【0045】
粘着性樹脂として使用し得るアクリル系樹脂としては、例えば、直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体、環状構造を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体等が挙げられる。
【0046】
アクリル系樹脂の質量平均分子量(Mw)としては、好ましくは10万~150万、より好ましくは20万~130万、更に好ましくは35万~120万、より更に好ましくは50万~110万である。
【0047】
前記アクリル系樹脂としては、アルキル(メタ)アクリレート(a1’)(以下、「モノマー(a1’)」ともいう。)に由来する構成単位(a1)を有するアクリル系重合体(A0)が好ましく、構成単位(a1)と共に、官能基含有モノマー(a2’)(以下、「モノマー(a2’)」ともいう。)に由来する構成単位(a2)を有するアクリル系共重合体(A1)がより好ましい。
【0048】
モノマー(a1’)が有するアルキル基の炭素数としては、粘着特性の向上の観点から、好ましくは1~24、より好ましくは1~12、更に好ましくは1~8、より更に好ましくは4~6である。
なお、モノマー(a1’)が有するアルキル基は、直鎖アルキル基であってもよく、分岐鎖アルキル基であってもよい。
【0049】
モノマー(a1’)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
モノマー(a1’)としては、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート及び2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。そして、粘着性積層体が積層体(P1)であり、粘着剤層(X)が粘着剤層(X1)である場合、モノマー(a1’)としては、メチル(メタ)アクリレート及びブチル(メタ)アクリレートがより好ましく、粘着剤層(X)が粘着剤層(X2)である場合、モノマー(a1’)としては、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート及びブチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
これらのモノマー(a1’)は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0050】
構成単位(a1)の含有量は、アクリル系重合体(A0)又はアクリル系共重合体(A1)の全構成単位(100質量%)中、好ましくは50~100質量%、より好ましくは60~99.9質量%、更に好ましくは70~99.5質量%、より更に好ましくは80~99.0質量%である。
【0051】
モノマー(a2’)が有する官能基は、後述の組成物(x)が含有してもよい架橋剤と反応し、架橋起点となり得る官能基又は架橋促進効果を有する官能基を指し、例えば、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。
つまり、モノマー(a2’)としては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー等が挙げられる。
これらのモノマー(a2’)は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
モノマー(a2’)としては、水酸基含有モノマー及びカルボキシ基含有モノマーが好ましい。
【0052】
水酸基含有モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;ビニルアルコール、アリルアルコール等の不飽和アルコール類等が挙げられる。
【0053】
カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸;フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸及びその無水物;2-(アクリロイルオキシ)エチルサクシネート、2-カルボキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
モノマー(a2’)としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸が好ましい。
これらのモノマー(a2’)は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
そして、粘着性積層体が積層体(P1)であり、粘着剤層(X)が粘着剤層(X1)である場合、モノマー(a2’)としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましく、粘着剤層(X)が粘着剤層(X2)である場合、モノマー(a1’)としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸を共に含有することがより好ましい。
【0054】
構成単位(a2)の含有量は、前記アクリル系共重合体(A1)の全構成単位(100質量%)中、好ましくは0.1~40質量%、より好ましくは0.3~30質量%、更に好ましくは0.5~20質量%、より更に好ましくは0.7~10質量%である。
【0055】
アクリル系共重合体(A1)は、更にモノマー(a1’)及び(a2’)以外の他のモノマー(a3’)に由来の構成単位(a3)を有していてもよく、粘着性積層体が積層体(P1)であり、粘着剤層(X)が粘着剤層(X1)である場合、モノマー(a3’)を有していることが好ましい。
なお、アクリル系共重合体(A1)において、構成単位(a1)及び(a2)の含有量は、アクリル系共重合体(A1)の全構成単位(100質量%)中、好ましくは70~100質量%、より好ましくは80~100質量%、更に好ましくは85~100質量%、より更に好ましくは90~100質量%である。
【0056】
モノマー(a3’)としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類;塩化ビニル、ビニリデンクロリド等のハロゲン化オレフィン類;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系モノマー類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート等の環状構造を有する(メタ)アクリレート;スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリロイルモルホリン、N-ビニルピロリドン等が挙げられる。
モノマー(a3’)としては、酢酸ビニルが好ましい。
【0057】
{ウレタン系樹脂}
粘着性樹脂として使用し得るウレタン系樹脂としては、主鎖及び側鎖の少なくとも一方に、ウレタン結合及び尿素結合の1つ以上を有する重合体であれば、特に限定されない。
具体的なウレタン系樹脂としては、例えば、ポリオールと多価イソシアネート化合物とを反応して得られるウレタン系プレポリマー(UX)等が挙げられる。
なお、ウレタン系プレポリマー(UX)は、更に鎖延長剤を用いた鎖延長反応を施して得られたものであってもよい。
【0058】
ウレタン系樹脂の質量平均分子量(Mw)としては、好ましくは1万~20万、より好ましくは1.2万~15万、更に好ましくは1.5万~10万、より更に好ましくは2万~7万である。
【0059】
ウレタン系プレポリマー(UX)の原料となるポリオールとしては、例えば、アルキレン型ポリオール、ポリエーテル型ポリオール、ポリエステル型ポリオール、ポリエステルアミド型ポリオール、ポリエステル・ポリエーテル型ポリオール、ポリカーボネート型ポリオール等のポリオール化合物が挙げられるが、ポリオールであれば特に限定されず、2官能のジオール、3官能のトリオールであってもよい。
これらのポリオールは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのポリオールの中でも、入手の容易性、反応性等の観点から、ジオールが好ましく、アルキレン型ジオールがより好ましい。
【0060】
アルキレン型ジオールとしては、例えば、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール等のアルカンジオール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレングリコール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリアルキレングリコール;ポリテトラメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール;等が挙げられる。
これらのアルキレン型ジオールの中でも、更に鎖延長剤との反応を行う際にゲル化を抑制する観点から、質量平均分子量(Mw)が1,000~3,000のグリコールが好ましい。
【0061】
ウレタン系プレポリマー(UX)の原料となる多価イソシアネート化合物としては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート(2,6-TDI)、4,4’-トルイジンジイソシアネート、2,4,6-トリイソシアネートトルエン、1,3,5-トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”-トリフェニルメタントリイソシアネート、1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI:イソホロンジイソシアネート)、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
なお、これらの多価イソシアネート化合物は、前記ポリイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト型変性体、水と反応させたビュウレット型変性体、イソシアヌレート環を含有させたイソシアヌレート型変性体であってもよい。
【0062】
これらの多価イソシアネート化合物の中でも、粘着物性に優れたウレタン系ポリマーを得る観点から、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート(2,6-TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)及びこれらの変性体から選ばれる1種以上が好ましく、耐候性の観点から、HMDI、IPDI及びこれらの変性体から選ばれる1種以上がより好ましい。
【0063】
ウレタン系プレポリマー(UX)中のイソシアネート基含有量(NCO%)は、JIS K1603-1:2007に準じて測定された値において、好ましくは0.5~12質量%、より好ましくは1~4質量%である。
【0064】
鎖延長剤としては、水酸基及びアミノ基の少なくとも一方を2つ有する化合物、又は、水酸基及びアミノ基の少なくとも一方を3つ以上有する化合物が好ましい。
【0065】
水酸基及びアミノ基の少なくとも一方を2つ有する化合物としては、脂肪族ジオール、脂肪族ジアミン、アルカノールアミン、ビスフェノール、芳香族ジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましい。
脂肪族ジオールとしては、例えば、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール等のアルカンジオール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレングリコール;等が挙げられる。
脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン等が挙げられる。
アルカノールアミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、イソプロパノールアミン等が挙げられる。
ビスフェノールとしては、例えば、ビスフェノールA等が挙げられる。
芳香族ジアミンとしては、例えば、ジフェニルメタンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン等が挙げられる。
【0066】
水酸基及びアミノ基の少なくとも一方を3つ以上有する化合物としては、例えば、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等のポリオール;1-アミノ-2,3-プロパンジオール、1-メチルアミノ-2,3-プロパンジオール、N-(2-ヒドロキシプロピルエタノールアミン)等のアミノアルコール;テトラメチルキシリレンジアミンのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物;等が挙げられる。
【0067】
{ポリイソブチレン系樹脂}
粘着性樹脂として使用し得る、ポリイソブチレン系樹脂(以下、「PIB系樹脂」ともいう。)は、主鎖及び側鎖の少なくとも一方にポリイソブチレン骨格を有する樹脂であれば、特に限定されない。
【0068】
PIB系樹脂の質量平均分子量(Mw)としては、好ましくは2万以上、より好ましくは3万~100万、更に好ましくは5万~80万、より更に好ましくは7万~60万である。
【0069】
PIB系樹脂としては、例えば、イソブチレンの単独重合体であるポリイソブチレン、イソブチレンとイソプレンの共重合体、イソブチレンとn-ブテンの共重合体、イソブチレンとブタジエンの共重合体、及びこれら共重合体を臭素化又は塩素化等したハロゲン化ブチルゴム等が挙げられる。
【0070】
なお、PIB系樹脂が共重合体である場合、イソブチレンからなる構成単位が、全構成単位の中で一番多く含まれているものとする。
イソブチレンからなる構成単位の含有量は、PIB系樹脂の全構成単位(100質量%)中、好ましくは80~100質量%、より好ましくは90~100質量%、更に好ましくは95~100質量%である。
これらのPIB系樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0071】
また、PIB系樹脂を用いる場合、質量平均分子量(Mw)が高いPIB系樹脂と、質量平均分子量(Mw)が低いPIB系樹脂とを併用することが好ましい。
より具体的には、質量平均分子量(Mw)が27万~60万のPIB系樹脂(pb1)(以下、「PIB系樹脂(pb1)」ともいう。)と、質量平均分子量(Mw)が5万~25万のPIB系樹脂(pb2)(以下、「PIB系樹脂(pb2)」ともいう。)とを併用することが好ましい。
質量平均分子量(Mw)の高いPIB系樹脂(pb1)を用いることで、形成される粘着剤層の耐久性及び耐候性を向上させると共に、粘着力を向上させることもできる。
また、質量平均分子量(Mw)の低いPIB系樹脂(pb2)を用いることで、PIB系樹脂(pb1)と良好に相溶して、適度にPIB系樹脂(pb1)を可塑化させることができ、粘着剤層の被着体に対する濡れ性を高め、粘着物性、柔軟性等を向上させることができる。
【0072】
PIB系樹脂(pb1)の質量平均分子量(Mw)は、好ましくは27万~60万、より好ましくは29万~48万、更に好ましくは31万~45万、より更に好ましくは32万~40万である。
PIB系樹脂(pb2)の質量平均分子量(Mw)は、好ましくは5万~25万、より好ましくは8万~23万、更に好ましくは14万~22万、より更に好ましくは18万~21万である。
【0073】
PIB系樹脂(pb1)100質量部に対する、PIB系樹脂(pb2)の含有割合は、好ましくは5~55質量部、より好ましくは6~40質量部、更に好ましくは7~30質量部、より更に好ましくは8~20質量部である。
【0074】
{オレフィン系樹脂}
粘着性樹脂として使用し得るオレフィン系樹脂は、エチレン、プロピレン等のオレフィン化合物に由来する構成単位を有する重合体であれば、特に限定されない。
当該オレフィン系樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
具体的なオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、及び線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとプロピレンとの共重合体、エチレンと他のα-オレフィンとの共重合体、プロピレンと他のα-オレフィンとの共重合体、エチレンとプロピレンと他のα-オレフィンとの共重合体、エチレンと他のエチレン性不飽和単量体との共重合体(エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アルキル(メタ)アクリレート共重合体等)等が挙げられる。
前記のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン等が挙げられる。
前記のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、酢酸ビニル、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルアルコール等が挙げられる。
【0075】
{アクリルウレタン系樹脂}
粘着性樹脂として使用し得るアクリルウレタン系樹脂としては、後述するアクリルウレタン系樹脂中、粘着性を有するようにモノマー成分及び架橋剤等の種類及び量を適宜調整したものが挙げられ、粘着性を有するものであれば特に限定されない。
【0076】
{ポリエステル系樹脂}
粘着性樹脂として使用し得るポリエステル系樹脂としては、粘着性を有するものであれば特に限定されない。当該ポリエステル系樹脂の主成分(当該ポリエステル系樹脂中で、最も含有量(使用量)の多い樹脂成分)としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、メチルテレフタル酸、ナフタリンジカルボン酸等の芳香族の酸成分と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコール成分とのランダム共重合体が挙げられる。なお、当該ポリエステル系樹脂を用いるポリエステル系粘着剤としては、ポリエステル、溶剤、架橋剤、粘着付与剤などから構成されており、架橋システムとしてはメチロール基縮合、イオン架橋、イソシアネート架橋、エポキシ架橋等が利用されている。
【0077】
(粘着付与剤)
本発明の一態様において、粘着力をより向上させた粘着剤層(X)とする場合、組成物(x)は、更に粘着付与剤を含有することが好ましい。そのため、粘着性積層体が積層体(P1)である場合、後述するように粘着剤層(X1)の粘着力が、粘着剤層(X2)の粘着力より大きい場合が好ましいため、当該構成とする場合、粘着剤層(X1)を形成する組成物(x-1)が、更に、粘着付与剤を含有することが好ましく、粘着剤層(X1)を形成する組成物(x-1)が、更に、粘着付与剤を含有し、かつ粘着剤層(X2)を形成する組成物(x-2)は粘着付与剤を含有しないことがより好ましい。
ここで、「粘着付与剤」とは、粘着性樹脂の粘着力を補助的に向上させる成分であって、質量平均分子量(Mw)が1万未満のオリゴマーを指し、前述の粘着性樹脂とは区別されるものである。
粘着付与剤の質量平均分子量(Mw)は、好ましくは400~10,000、より好ましくは500~8,000、更に好ましくは800~5,000である。
【0078】
粘着付与剤としては、例えば、ロジン樹脂、ロジンエステル樹脂、ロジン変性フェノール樹脂等のロジン系樹脂;これらロジン系樹脂を水素化した水素化ロジン系樹脂;テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール系樹脂等のテルペン系樹脂;これらテルペン系樹脂を水素化した水素化テルペン系樹脂;α-メチルスチレン又はβ-メチルスチレン等のスチレン系モノマーと脂肪族系モノマーとを共重合して得られるスチレン系樹脂;これらスチレン系樹脂を水素化した水素化スチレン系樹脂;石油ナフサの熱分解で生成するペンテン、イソプレン、ピペリン、1.3-ペンタジエン等のC5留分を共重合して得られるC5系石油樹脂及びこのC5系石油樹脂の水素化石油樹脂;石油ナフサの熱分解で生成するインデン、ビニルトルエン等のC9留分を共重合して得られるC9系石油樹脂及びこのC9系石油樹脂を水素化石油樹脂;等が挙げられる。
これらの粘着付与剤は、単独で用いてもよく、軟化点や構造が異なる2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0079】
粘着付与剤の軟化点は、好ましくは60~170℃、より好ましくは65~160℃、更に好ましくは70~150℃である。
なお、本明細書において、粘着付与剤の「軟化点」は、JIS K2531に準拠して測定した値を意味する。
また、2種以上の複数の粘着付与剤を用いる場合、それら複数の粘着付与剤の軟化点の加重平均が、前記範囲に属することが好ましい。
【0080】
組成物(x)が粘着付与剤を含有する場合、組成物(x)中の粘着付与剤の含有量は、組成物(x)中の有効成分の全量(100質量%)中、好ましくは0.01~65質量%、より好ましくは0.05~55質量%、更に好ましくは0.1~50質量%、より更に好ましくは0.5~45質量%、より更に好ましくは1.0~40質量%である。
【0081】
なお、組成物(x)中の粘着性樹脂及び粘着付与剤の合計含有量は、組成物(x)の有効成分の全量(100質量%)中、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは85質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上である。
【0082】
(架橋剤)
本発明の一態様において、組成物(x)は、前述の構成単位(a1)及び(a2)を有するアクリル系共重合体等の前述の官能基を有する粘着性樹脂と共に、更に架橋剤を含有することが好ましい。
当該架橋剤は、当該粘着性樹脂が有する官能基と反応して、樹脂同士を架橋するものである。
【0083】
架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等、及びそれらのアダクト体等のイソシアネート系架橋剤;エチレングリコールグリシジルエーテル等のエポキシ系架橋剤;ヘキサ〔1-(2-メチル)-アジリジニル〕トリフオスファトリアジン等のアジリジン系架橋剤;アルミニウムキレート等のキレート系架橋剤;等が挙げられる。
これらの架橋剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの架橋剤の中でも、凝集力を高めて粘着力を向上させる観点、及び入手し易さ等の観点から、イソシアネート系架橋剤が好ましい。
【0084】
架橋剤の含有量は、粘着性樹脂が有する官能基の数により適宜調整されるものであるが、例えば、前記アクリル系共重合体等の前述の官能基を有する粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01~10質量部、より好ましくは0.03~7質量部、更に好ましくは0.05~4質量部である。
【0085】
(粘着剤用添加剤)
本発明の一態様において、組成物(x)は、本発明の効果を損なわない範囲で、前述の粘着付与剤及び架橋剤以外の一般的な粘着剤に使用される粘着剤用添加剤を含有していてもよい。
当該粘着剤用添加剤としては、例えば、酸化防止剤、軟化剤(可塑剤)、防錆剤、遅延剤、触媒、紫外線吸収剤等が挙げられる。
なお、これらの粘着剤用添加剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの粘着剤用添加剤を含有する場合、各粘着剤用添加剤の含有量は、それぞれ独立に、粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.0001~20質量部、より好ましくは0.001~10質量部である。
【0086】
(希釈溶媒)
本発明の一態様において、組成物(x)は、前述の各種有効成分と共に、希釈溶媒として、水や有機溶媒を含有し、溶液の形態としてもよい。
有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、tert-ブタノール、s-ブタノール、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、n-ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。
なお、これらの希釈溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0087】
組成物(x)が希釈溶媒を含有して溶液の形態である場合、組成物(x)の有効成分濃度としては、好ましくは1~65質量%、より好ましくは5~60質量%、更に好ましくは10~50質量%、より更に好ましくは25~45質量%、より更に好ましくは30~45質量%である。
【0088】
粘着剤層(X)の粘着力は、好ましくは1.0N/25mm以上、より好ましくは5.0N/25mm以上、更に好ましくは10.0N/25mm以上、より更に好ましくは14.0N/25mm以上である。そして、粘着剤層(X)の粘着力の上限値は特に限定されないが、好ましくは40.0N/25mm以下、より好ましくは35.0N/25mm以下、より更に好ましくは30.0N/25mm以下、より更に好ましくは25.0N/25mm以下である。
【0089】
前記剥離検知ラベルが粘着剤層(X1)及び粘着剤層(X2)を有する態様の場合、粘着剤層(X1)の粘着力は、好ましくは1.0N/25mm以上、より好ましくは5.0N/25mm以上、更に好ましくは10.0N/25mm以上、より更に好ましくは14.0N/25mm以上、より更に好ましくは18.0N/25mm以上である。
粘着剤層(X1)の粘着力が、当該範囲を満たす場合、前記剥離検知ラベルの再剥離時に、前記支持体及び/又はパターン層と当該粘着剤層(X1)との界面で剥離が生じにくく、粘着剤層(X1)自体も破断しにくくなり、被着体への糊残りをより効果的に防止できると考えられるため好ましい。
そして、粘着剤層(X1)の粘着力の上限値は特に限定されないが、好ましくは40.0N/25mm以下、より好ましくは35.0N/25mm以下、更に好ましくは30.0N/25mm以下、より更に好ましくは25.0N/25mm以下である。
【0090】
前記剥離検知ラベルが粘着剤層(X1)及び粘着剤層(X2)を有する態様の場合、粘着剤層(X2)の粘着力は、好ましくは1.0N/25mm以上、より好ましくは5.0N/25mm以上、更に好ましくは10.0N/25mm以上、より更に好ましくは14.0N/25mm以上であり、そして、好ましくは40.0N/25mm以下、より好ましくは30.0N/25mm以下、更に好ましくは25.0N/25mm以下、より更に好ましくは18.0N/25mm以下である。
粘着剤層(X2)の粘着力が、当該範囲を満たす場合、例えば、当該剥離検知ラベルが剥離材を有する場合、剥離検知ラベルを当該剥離材から剥離する際にはパターンを発現させないようにし、剥離検知ラベルの再剥離時にパターンを発現できるといった機能を、より発現し易くできるために好ましい。
また、前記剥離検知ラベルが粘着剤層(X1)及び粘着剤層(X2)を有する態様の場合、粘着剤層(X1)の粘着力が前記粘着剤層(X2)の粘着力より大きいことが好ましい。粘着剤層(X1)の粘着力が、粘着剤層(X2)の粘着力より大きいことで、剥離検知ラベルの再剥離時、被着体から粘着剤層(X2)を剥離する前に、支持体及び/又はパターン層と粘着剤層(X1)との界面で剥離が生じてしまい、粘着性積層体が被着体に残って、糊残りを生じてしまうといった不具合の発生を、より効果的に防止できるために好ましい。また、粘着剤層(X1)の粘着力が、粘着剤層(X2)の粘着力より大きいことで、例えば、剥離検知ラベルの抜き加工や剥離検知ラベルをロールとして巻き取りや繰り出しといった製造時や保管時、並びに、使用直前に剥離材から剥離検知ラベルを剥離する時といった、本来、想定している場面とは異なる場面で前記界面剥離が生じることも、より効果的に防止できるため好ましい。
【0091】
また、粘着剤層(X)の弾性率は、より優れたパターン発現性を得る観点から、好ましくは0.05MPa以上、より好ましくは0.08MPa以上、更に好ましくは0.10MPa以上、より更に好ましくは0.12MPa以上、より更に好ましくは0.15MPa以上であり、そして、好ましくは0.70MPa以下、より好ましくは0.50MPa以下、より更に好ましくは0.40MPa以下、より更に好ましくは0.30MPa以下、より更に好ましくは0.25MPa以下である。
【0092】
前記剥離検知ラベルが粘着剤層(X1)及び粘着剤層(X2)を有する態様の場合、粘着剤層(X1)の弾性率は、好ましくは0.05MPa以上、より好ましくは0.08MPa以上、更に好ましくは0.10MPa以上、より更に好ましくは0.12MPa以上、より更に好ましくは0.15MPa以上であり、そして、好ましくは0.70MPa以下、より好ましくは0.50MPa以下、より更に好ましくは0.40MPa以下、より更に好ましくは0.30MPa以下、より更に好ましくは0.25MPa以下である。
粘着剤層(X1)の弾性率が、当該範囲を満たす場合、前記剥離検知ラベルの再剥離時に、当該粘着剤層(X1)が破断せず、かつ十分に変形できるため、粘着剤層(X1)の変形に伴って前記パターン層が引っ張られることで、前記支持体と前記パターン層との間で界面剥離を生じやすくなると考えられる。その結果、より優れたパターン発現性を得られると考えられるため好ましい。
【0093】
前記剥離検知ラベルが粘着剤層(X1)及び粘着剤層(X2)を有する態様の場合、粘着剤層(X2)の弾性率は、好ましくは0.05MPa以上、より好ましくは0.08MPa以上、更に好ましくは0.10MPa以上、より更に好ましくは0.12MPa以上、より更に好ましくは0.15MPa以上であり、そして、好ましくは0.70MPa以下、より好ましくは0.50MPa以下、より更に好ましくは0.40MPa以下、より更に好ましくは0.30MPa以下、より更に好ましくは0.25MPa以下、より更に好ましくは0.18MPa以下である。
粘着剤層(X2)の弾性率が、当該範囲を満たす場合、前記剥離検知ラベルの再剥離時に、当該粘着剤層(X2)が十分に変形して破断せず、糊残りを生じてしまうという不具合の発生を、より効果的に防止できるために好ましい。
【0094】
前記粘着剤層(X)(粘着剤層(X1)、及び粘着剤層(X2)の値も含む)の粘着力及び弾性率の値は、具体的には、実施例に記載の方法により測定することができる。
また、粘着剤層(X)の粘着力及び弾性率は、例えば、前述した粘着剤層を形成する粘着性樹脂、粘着付与剤、架橋剤、及び粘着剤用添加剤等の各成分の種類の選択並びにそれらの含有量を調整することによっても調整することができる。
【0095】
<<基材層(Y)>>
本発明の剥離検知ラベルに用いられる基材層(Y)は、弾性率が10MPa以上800MPa以下である。当該基材層(Y)が、上記要件を満たすことで、被着体への糊残りが生じない剥離検知ラベルとなる。
また、被着体への糊残り防止とより優れたパターン発現性とを両立する観点から、基材層(Y)の弾性率は、好ましくは15MPa以上、より好ましくは18Mpa以上、更に好ましくは50MPa以上、より更に好ましくは100MPa以上、より更に好ましくは200MPa以上であり、そして、好ましくは700MPa以下、より好ましくは600MPa以下、更に好ましくは500MPa以下、より更に好ましくは400MPa以下、より更に好ましくは300MPa以下である。
また、より優れたパターン発現性を得る観点から、基材層(Y)としては、前記支持体の弾性率よりも低い弾性率を有する層であることが好ましく、前記支持体の弾性率よりも低い弾性率を有し、かつ、前記粘着剤層(X)よりも高い弾性率を有する層であることがより好ましい。
当該基材層(Y)の弾性率の値は、当該値が100MPa以下である場合、ねじりせん断法により測定された23℃での貯蔵弾性率E’の値を意味し、そして、当該値が100MPaを超える場合、引張法により測定された23℃での貯蔵弾性率E’の値を意味する。具体的には、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0096】
基材層(Y)としては、前記弾性率を満たす層であればよく、例えば、前記支持体の欄で説明したプラスチックフィルムのうち、前記弾性率を満たすものも基材層(Y)として使用することができる。当該プラスチックフィルムを用いる場合、透明性や、コスト、汎用性の点から、アクリルウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリアミド、ポリエステル系樹脂から形成されるフィルムが好ましい。また、基材層(Y)としては、非粘着性樹脂を含む組成物からなる塗膜を乾燥させて形成された層であってもよい。
また、より好ましい基材層(Y)としては、アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上の非粘着性樹脂(y1)を含む組成物(y)から形成された層であり、アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上の非粘着性樹脂(y1)を含む組成物(y)からなる塗膜(y’)を乾燥させて形成された層であることが更に好ましい。
基材層(Y)が、組成物(y)からなる塗膜(y’)を乾燥して形成された層である場合、無延伸のフィルム状物又はシート状物となるため、例えば溶融押出成型等の方法によって得られたプラスチックフィルム又はシートで構成された基材層(Y)と比べて、柔軟性が格段に優れる。
そのため、基材層(Y)が、組成物(y)からなる塗膜(y’)を乾燥して形成された層である場合、前記剥離検知ラベルを再剥離する際に、基材層(Y)がパターン層発現に必要な変形をより生じ易くなり、かつ、剥離材検知ラベル内に生じる引張応力がより大きい場合にも破断しにくくなるため、より優れたパターン発現性と糊残り防止性とを両立させ易くなるものと考えられる。
【0097】
本明細書で、「無延伸のフィルム状物又はシート状物」とは、意図的に特定の方向に延伸して得られたフィルム状物又はシート状物を除外するものである。除外されるものの例としては、フィルム状物又はシート状物に対して延伸をかける目的で、意図的に各ロール間の回転速度比を調整するような場合、すなわち、延伸機としてのRoll to Roll製造装置を用いる場合である。
一方で、例えば、Roll to Roll製造装置を用いる等の連続的な製造過程で、流れ方向に、不可抗力的にかかる応力によって延伸した場合は、その限りではなく、「無延伸のフィルム状物又はシート状物」とみなすことができる。
【0098】
〔組成物(y)〕
基材層(Y)の形成材料である組成物(y)は、アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂からなる群から選ばれる1種以上の非粘着性樹脂(y1)を含む組成物であることが好ましい。
なお、本発明の一態様において、組成物(y)に含まれる非粘着性樹脂(y1)以外の成分は、本発明の剥離検知ラベルの使用用途に応じて、適宜調整可能である。
例えば、本発明の一態様において、組成物(y)は、本発明の効果を損なわない範囲で、アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂以外の樹脂を含有してもよく、また、希釈溶媒及び一般的な粘着シートが有する基材に含まれる基材用添加剤からなる群より選ばれる1種以上を含有してもよい。
【0099】
(非粘着性樹脂(y1))
非粘着性樹脂(y1)は、アクリルウレタン系樹脂又はオレフィン系樹脂に属する樹脂であることが好ましい。
非粘着性樹脂(y1)が、2種以上の構成単位を有する共重合体である場合、当該共重合体の形態は、特に限定されず、ブロック共重合体、ランダム共重合体、及びグラフト共重合体のいずれであってもよい。
更に、本発明の一態様において、基材層(Y)及び粘着剤層(X)との界面密着性をより向上させる観点から、組成物(y)に含まれる前記非粘着性樹脂(y1)が、重合性官能基を有しない紫外線非硬化型樹脂であることが好ましい。
【0100】
組成物(y)中の非粘着性樹脂(y1)の含有量は、組成物(y)の有効成分の全量(100質量%)中、好ましくは50~100質量%、より好ましくは65~100質量%、更に好ましくは80~98質量%、より更に好ましくは90~96質量%である。
【0101】
{アクリルウレタン系樹脂}
前記アクリルウレタン系樹脂としては、例えば、アクリルポリオール化合物とイソシアネート化合物との反応生成物や、両末端にエチレン性不飽和基を有する直鎖ウレタンプレポリマー(UY)と、(メタ)アクリル酸エステルを含むビニル化合物(VY)とを重合してなる共重合体が挙げられる。
【0102】
アクリルポリオール化合物とイソシアネート化合物との反応生成物であるアクリルウレタン系樹脂(以下、「アクリルウレタン系樹脂(I)」ともいう。)は、アクリル系樹脂の主鎖を骨格としつつ、それらの分子間がウレタン結合によって架橋されて硬化された化学構造を有している。
主鎖であるアクリル系樹脂が剛性に富むため、剥離検知ラベルの再剥離時、剥離検知ラベルが変形する過程で生じる引張応力に対して粘着性積層体が破断しにくくなるため、糊残りの発生を抑制する効果の向上に寄与し得ると考えられる。更には、粘着剤層(X)に含まれる粘着性樹脂との密着性にも優れているため、粘着剤層(X)との界面密着性の向上にも寄与し得ると考えられ、当該効果によっても、粘着性積層体中で粘着剤層(X)と基材層(Y)との界面剥離が抑制されて、糊残りの発生をより効果的に抑制し得ると考えられる。
【0103】
一方、両末端にエチレン性不飽和基を有する直鎖ウレタンプレポリマー(UY)と(メタ)アクリル酸エステルを含むビニル化合物(VY)とを重合してなる共重合体であるアクリルウレタン系樹脂(以下、「アクリルウレタン系樹脂(II)」ともいう。)は、直鎖ウレタンプレポリマー(UY)の主鎖を骨格としつつ、直鎖ウレタンプレポリマー(UY)の両末端に(メタ)アクリル酸エステルを含むビニル化合物(VY)に由来する構成単位を有するものである。
アクリルウレタン系樹脂(II)は、主鎖骨格におけるアクリル部位間に直鎖ウレタンプレポリマー(UY)に由来する部位が介されるため、架橋点間距離が、アクリルウレタン系樹脂(I)よりも長くなり、その分子構造が二次元的構造(網状構造)となり易い。
また、主鎖のウレタンプレポリマー(UY)が直鎖状であるため、外力がかかった時に延伸効果が高い。そのため、剥離検知ラベルの再剥離時、剥離検知ラベルが変形する過程で粘着性積層体も追従して変形し易くなることで破断しにくくなり、糊残りの発生を抑制する効果の向上に寄与し得ると考えられる。
更に、(メタ)アクリル酸エステルを含むビニル化合物(VY)に由来する構成単位の側鎖が、粘着剤層(X)中の粘着性樹脂と絡み易い構造を有している。
そのために、基材層(Y)の形成材料として、アクリルウレタン系樹脂(II)を用いることで、粘着剤層(X)との界面密着性の向上に寄与し得ると考えられる。当該効果によっても、粘着性積層体中で粘着剤層(X)と基材層(Y)との界面剥離が抑制されて、糊残りの発生をより効果的に抑制し得ると考えられる。
【0104】
アクリルウレタン系樹脂の質量平均分子量(Mw)としては、好ましくは2,000~50万、より好ましくは4,000~30万、更に好ましくは5,000~20万、より更に好ましくは1万~15万である。
【0105】
なお、本発明の一態様において、組成物(y)に非粘着性樹脂(y1)として含まれるアクリルウレタン系樹脂としては、アクリルウレタン系樹脂(II)が好ましい。
以下、アクリルウレタン系樹脂(I)及び(II)について説明する。
【0106】
{{アクリルウレタン系樹脂(I)}}
アクリルウレタン系樹脂(I)の原料となる、アクリルポリオール化合物としては、アルキル(メタ)アクリレート(b1’)(以下、「モノマー(b1’)」ともいう。)に由来する構成単位(b1)と、水酸基含有モノマー(b2’)(以下、「モノマー(b2’)」ともいう。)に由来する構成単位(b2)とを有するアクリル系共重合体(B1)が好ましい。
【0107】
モノマー(b1’)が有するアルキル基の炭素数としては、好ましくは1~12、より好ましくは4~8、更に好ましくは4~6である。
なお、モノマー(b1’)が有するアルキル基は、直鎖アルキル基であってもよく、分岐鎖アルキル基であってもよい。
具体的なモノマー(b1’)としては、前述のモノマー(a1’)と同じものが挙げられる。
なお、モノマー(b1’)は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ただし、モノマー(b1’)としては、ブチル(メタ)アクリレート及び2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく、ブチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0108】
構成単位(b1)の含有量は、アクリル系共重合体(B1)の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは60~99.9質量%、より好ましくは70~99.7質量%、更に好ましくは80~99.5質量%である。
【0109】
また、モノマー(b2’)としては、前述のモノマー(a2’)として選択可能な水酸基含有モノマーと同じものが挙げられる。
なお、モノマー(b2’)は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0110】
構成単位(b2)の含有量は、アクリル系共重合体(B1)の全構成単位(100質量%)中、好ましくは0.1~40質量%、より好ましくは0.3~30質量%、更に好ましくは0.5~20質量%である。
【0111】
また、アクリル系共重合体(B1)は、更にモノマー(b1’)及び(b2’)以外の他のモノマー(b3’)に由来の構成単位(b3)を有していてもよい。
モノマー(b3’)としては、前述のモノマー(a2’)として選択可能な水酸基含有モノマー以外の官能基含有モノマーや、前述のモノマー(a3’)と同じものが挙げられる。
【0112】
なお、アクリル系共重合体(B1)において、構成単位(b1)及び(b2)の含有量は、アクリル系共重合体(B1)の全構成単位(100質量%)中、好ましくは70~100質量%、より好ましくは80~100質量%、更に好ましくは90~100質量%、より更に好ましくは95~100質量%である。
【0113】
一方、アクリルウレタン系樹脂(I)の原料となる、イソシアネート系化合物としては、前述のウレタン系プレポリマー(UX)の原料となる多価イソシアネート化合物と同じものが挙げられる。
ただし、イソシアネート系化合物としては、外力がかかった時の延伸性の観点から、芳香族環を有しないイソシアネート系化合物が好ましく、脂肪族ポリイソシアネート及び脂環式ポリイソシアネートがより好ましい。
【0114】
アクリルウレタン系樹脂(I)において、アクリルポリオール化合物に由来する構成単位と、イソシアネート系化合物に由来の構成単位との比率〔アクリルポリオール化合物/イソシアネート系化合物〕は、質量比で、好ましくは10/90~90/10、より好ましくは20/80~80/20、更に好ましくは30/70~70/30、より更に好ましくは40/60~60/40である。
【0115】
{{アクリルウレタン系樹脂(II)}}
アクリルウレタン系樹脂(II)の原料となる直鎖ウレタンプレポリマー(UY)としては、ジオールとジイソシアネート化合物との反応物が挙げられる。
当該ジオール及びジイソシアネート化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
直鎖ウレタンプレポリマー(UY)の質量平均分子量(Mw)としては、好ましくは1,000~30万、より好ましくは3,000~20万、更に好ましくは5,000~10万、より更に好ましく1万~8万、より更に好ましくは2万~6万である。
【0116】
直鎖ウレタンプレポリマー(UY)を構成するジオールとしては、例えば、アルキレングリコール、ポリエーテル型ジオール、ポリエステル型ジオール、ポリエステルアミド型ジオール、ポリエステル・ポリエーテル型ジオール、ポリカーボネート型ジオール等が挙げられる。
これらのジオールの中でも、ポリカーボネート型ジオールが好ましい。
【0117】
直鎖ウレタンプレポリマー(UY)を構成するジイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート等が挙げられ、外力がかかった時の延伸性の観点から、脂環式ジイソシアネートが好ましい。
なお、具体的なジイソシアネート化合物としては、前述のウレタン系プレポリマー(UX)の原料となる多価イソシアネートとして例示された化合物のうち、ジイソシアネート化合物に該当するものが挙げられる。
【0118】
また、直鎖ウレタンプレポリマー(UY)は、ジオールとジイソシアネート化合物と共に、鎖延長剤を用いた鎖延長反応を施して得られたものであってもよい。
当該鎖延長剤としては、前述のウレタン系プレポリマー(UX)の合成時に使用し得る鎖延長剤として例示したものと同じものが挙げられる。
【0119】
本発明の一態様において、直鎖ウレタンプレポリマー(UY)は、両末端に、エチレン性不飽和基を有するものである。
直鎖ウレタンプレポリマー(UY)の両末端にエチレン性不飽和基を導入する方法としては、ジオールとジイソシアネート化合物とを反応してなるウレタンプレポリマーの末端のNCO基と、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを反応させる方法が挙げられる。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0120】
アクリルウレタン系樹脂(II)の原料となる、ビニル化合物(VY)としては、少なくとも(メタ)アクリル酸エステルを含む。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、前述のアクリル系共重合体(A1)の原料として使用しているモノマー(a1’)~(a3’)のうち(メタ)アクリル酸エステルに該当するものと同じものが挙げられる。
ただし、(メタ)アクリル酸エステルとしては、アルキル(メタ)アクリレート及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上が好ましく、アルキル(メタ)アクリレート及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを併用することがより好ましい。
【0121】
アルキル(メタ)アクリレート及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを併用する場合、アルキル(メタ)アクリレート100質量部に対する、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの配合割合としては、好ましくは0.1~100質量部、より好ましくは0.2~90質量部、更に好ましくは0.5~30質量部、より更に好ましくは1.0~20質量部、より更に好ましくは1.5~10質量部である。
【0122】
当該アルキル(メタ)アクリレートが有するアルキル基の炭素数としては、好ましくは1~24、より好ましくは1~12、更に好ましくは1~8、より更に好ましくは1~3である。
当該アルキル(メタ)アクリレートとしては、前述のアクリル系共重合体(A1)の原料となるモノマー(a1’)として例示したものと同じものが挙げられる。
【0123】
また、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、前述の直鎖ウレタンプレポリマー(UY)の両末端にエチレン性不飽和基を導入するために用いられるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとして例示したものと同じものが挙げられる。
【0124】
(メタ)アクリル酸エステル以外のビニル化合物としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族炭化水素系ビニル化合物;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、N-ビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メタ(アクリルアミド)等の極性基含有モノマー;等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0125】
本発明の一態様において、アクリルウレタン系樹脂(II)の原料として用いるビニル化合物(VY)中の(メタ)アクリル酸エステルの含有量としては、当該ビニル化合物(VY)の全量(100質量%)中、好ましくは40~100質量%、より好ましくは65~100質量%、更に好ましくは80~100質量%、より更に好ましくは90~100質量%である。
【0126】
本発明の一態様において、アクリルウレタン系樹脂(II)の原料として用いるビニル化合物(VY)中のアルキル(メタ)アクリレート及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの合計含有量としては、当該ビニル化合物(VY)の全量(100質量%)中、好ましくは40~100質量%、より好ましくは65~100質量%、更に好ましくは80~100質量%、より更に好ましくは90~100質量%である。
【0127】
アクリルウレタン系樹脂(II)は、原料である直鎖ウレタンプレポリマー(UY)と、ビニル化合物(VY)とを、重合することによって得ることができる。
具体的な重合方法としては、有機溶媒中に、原料である直鎖ウレタンプレポリマー(UY)及びビニル化合物(VY)と共に、ラジカル発生剤を配合し、直鎖ウレタンプレポリマー(UY)の両末端に有するエチレン性不飽和基を起点としたビニル系化合物(VY)のラジカル重合反応によって合成するができる。
使用するラジカル発生剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリルのようなジアゾ化合物や、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
なお、このラジカル重合反応において、チオール基含有化合物等の連鎖移動剤を溶媒中に添加してアクリルの重合度を調整してもよい。
【0128】
本発明の一態様で用いるアクリルウレタン系樹脂(II)において、直鎖ウレタンプレポリマー(UY)に由来の構成単位と、ビニル化合物(VY)に由来する構成単位との含有量比〔(UY)/(VY)〕としては、質量比で、好ましくは10/90~80/20、より好ましくは20/80~70/30、更に好ましくは30/70~60/40、より更に好ましくは35/65~55/45である。
【0129】
{オレフィン系樹脂}
組成物(y)に非粘着性樹脂(y1)として含まれるオレフィン系樹脂としては、オレフィンモノマーに由来の構成単位を少なくとも有する重合体である。
前記オレフィンモノマーとしては、炭素数2~8のα-オレフィンが好ましく、具体的には、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、1-ヘキセン等が挙げられる。
これらの中でも、エチレン及びプロピレンが好ましい。
【0130】
具体的なオレフィン系樹脂としては、例えば、超低密度ポリエチレン(VLDPE、密度:880kg/m3以上910kg/m3未満)、低密度ポリエチレン(LDPE、密度:910kg/m3以上915kg/m3未満)、中密度ポリエチレン(MDPE、密度:915kg/m3以上942kg/m3未満)、高密度ポリエチレン(HDPE、密度:942kg/m3以上)、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン樹脂;ポリプロピレン樹脂(PP);ポリブテン樹脂(PB);エチレン-プロピレン共重合体;オレフィン系エラストマー(TPO);エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA);エチレン-プロピレン-(5-エチリデン-2-ノルボルネン)等のオレフィン系三元共重合体;等が挙げられる。
【0131】
本発明の一態様において、オレフィン系樹脂は、更に酸変性、水酸基変性、及びアクリル変性から選ばれる1種以上の変性を施した変性オレフィン系樹脂であってもよい。
【0132】
例えば、オレフィン系樹脂に対して酸変性を施してなる酸変性オレフィン系樹脂としては、前述の無変性のオレフィン系樹脂に、不飽和カルボン酸又はその無水物を、グラフト重合させてなる変性重合体が挙げられる。
前記の不飽和カルボン酸又はその無水物としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、テトラヒドロフタル酸、アコニット酸、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸、ノルボルネンジカルボン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物等が挙げられる。
なお、不飽和カルボン酸又はその無水物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0133】
オレフィン系樹脂に対してアクリル変性を施してなるアクリル変性オレフィン系樹脂としては、主鎖である前述の無変性のオレフィン系樹脂に、側鎖として、アルキル(メタ)アクリレートをグラフト重合させてなる変性重合体が挙げられる。
前記のアルキル(メタ)アクリレートが有するアルキル基の炭素数としては、好ましくは1~20、より好ましくは1~16、更に好ましくは1~12である。
前記のアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、前述のモノマー(a1’)として選択可能な化合物と同じものが挙げられる。
【0134】
オレフィン系樹脂に対して水酸基変性を施してなる水酸基変性オレフィン系樹脂としては、主鎖である前述の無変性のオレフィン系樹脂に、水酸基含有化合物をグラフト重合させてなる変性重合体が挙げられる。
前記の水酸基含有化合物としては、前述のモノマー(a2’)として選択可能な水酸基含有モノマーと同じものが挙げられる。
【0135】
オレフィン系樹脂の質量平均分子量(Mw)としては、好ましくは2,000~100万、より好ましくは1万~50万、更に好ましくは2万~40万、より更に好ましくは5万~30万である。
【0136】
(アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂以外の樹脂)
本発明の一態様において、組成物(y)は、本発明の効果を損なわない範囲で、アクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂以外の樹脂を含有してもよい。
そのような樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体等のビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリスチレン;アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体;三酢酸セルロース;ポリカーボネート;アクリルウレタン系樹脂には該当しないポリウレタン;ポリメチルペンテン;ポリスルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルスルホン;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルイミド、ポリイミド等のポリイミド系樹脂;ポリアミド系樹脂;アクリル樹脂;フッ素系樹脂等が挙げられる。
【0137】
ただし、基材層(Y)と粘着剤層(X)の界面密着性をより向上させる観点から、組成物(y)中のアクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂以外の樹脂の含有割合は、少ない方が好ましい。
具体的なアクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂以外の樹脂の含有割合としては、組成物(y)中に含まれるアクリルウレタン系樹脂及びオレフィン系樹脂からなる群から選ばれる非粘着性樹脂(y1)の全量100質量部に対して、好ましくは30質量部未満、より好ましくは20質量部未満、より好ましくは10質量部未満、更に好ましくは5質量部未満、より更に好ましくは1質量部未満である。
【0138】
(架橋剤)
本発明の一態様において、組成物(y)がアクリルウレタン系樹脂を含む場合、アクリルウレタン系樹脂を架橋するため、更に、架橋剤を含有することがより好ましい。
当該架橋剤としては、例えば、架橋剤としてのイソシアネート系化合物が好ましい。
架橋剤としてのイソシアネート系化合物は、前記アクリルウレタン系樹脂の官能基と反応して、架橋構造を形成するものであれば、種々のイソシアネート系化合物を用いることができる。
当該イソシアネート系化合物としては、1分子当たりイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物が好ましい。
【0139】
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ジイソシアネート化合物、トリイソシアネート化合物、テトライソシアネート化合物、ペンタイソシアネート化合物、ヘキサイソシアネート化合物等が挙げられる。より具体的には、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート化合物;ジシクロヘキシルメタン-4,4-ジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等の脂環式イソシアネート化合物;ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート化合物等が挙げられる。
また、これらのイソシアネート化合物のビウレット体、イソシアヌレート体や、これらのイソシアネート化合物とエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ひまし油等の非芳香族性低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体等の変性体も用いることができる。
【0140】
これらのイソシアネート系化合物のうち、脂肪族イソシアネート化合物が好ましく、脂肪族ジイソシアネート化合物がより好ましく、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネートが更に好ましい。
組成物(y)中、イソシアネート系化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0141】
組成物(y)中、前記アクリルウレタン系樹脂と、架橋剤としてのイソシアネート系化合物との含有割合は、固形分換算で前記アクリルウレタン系樹脂の合計100質量部に対し、架橋剤としてのイソシアネート系化合物が好ましくは1~30質量部、より好ましくは2~20質量部、更に好ましくは3~15質量部である。
【0142】
(触媒)
本発明の一態様において、組成物(y)がアクリルウレタン系樹脂及び前記架橋剤を含む場合、組成物(y)は、更に、前記架橋剤と共に、触媒を含有することが更に好ましい。
当該触媒としては、金属系触媒が好ましく、ブチル基を有するスズ系化合物を除く金属系触媒がより好ましい。
当該金属系触媒としては、例えば、スズ系触媒、ビスマス系触媒、チタン系触媒、バナジウム系触媒、ジルコニウム系触媒、アルミニウム系触媒、ニッケル系触媒等が挙げられる。この中では、好ましくはスズ系触媒又はビスマス系触媒であり、より好ましくはブチル基を有するスズ系化合物を除くスズ系触媒又はビスマス系触媒である。
【0143】
スズ系触媒としては、スズの有機金属化合物であって、アルコキシド、カルボキシラート、キレート等の構造を有する化合物が挙げられ、好ましくは、それらの金属のアセチルアセトン錯体、アセチルアセトネート、オクチル酸化合物又はナフテン酸化合物等が挙げられる。
また、同様に、ビスマス系触媒、チタン系触媒、バナジウム系触媒、ジルコニウム系触媒、アルミニウム系触媒、又はニッケル系触媒は、それぞれ、ビスマス、チタン、バナジウム、ジルコニウム、アルミニウム、又はニッケルの有機金属化合物であって、アルコキシド、カルボキシラート、キレート等の構造を有する化合物が挙げられ、好ましくは、それらの金属のアセチルアセトン錯体、アセチルアセトネート、オクチル酸化合物又はナフテン酸化合物等が挙げられる。
【0144】
金属のアセチルアセトン錯体の具体例としては、アセチルアセトンスズ、アセチルアセトンチタン、アセチルアセトンバナジウム、アセチルアセトンジルコニウム、アセチルアセトンアルミニウム、アセチルアセトンニッケル等が挙げられる。
アセチルアセトネートの具体例としては、スズアセチルアセトネート、ビスマスアセチルアセトネート、チタンアセチルアセトネート、バナジウムアセチルアセトネート、ジルコニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセトネート、ニッケルアセチルアセトネート等が挙げられる。
オクチル酸化合物の具体例としては、2-エチルヘキシル酸ビスマス、2-エチルヘキシル酸ニッケル、2-エチルヘキシル酸ジルコニウム、2-エチルヘキシル酸スズ等が挙げられる。
ナフテン酸化合物の具体例としては、ナフテン酸ビスマス、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸ジルコニウム、ナフテン酸スズ等が挙げられる。
【0145】
スズ系触媒としては、一般式RzSn(L)(4-z)(該一般式中、Rは炭素数1~25のアルキル基、好ましくは炭素数1~3若しくは5~25のアルキル基、又はアリール基であり、Lはアルキル基及びアリール基以外の有機基、又は無機基であり、zは1、2又は4である。)で表されるスズ化合物が好ましい。
【0146】
前記一般式RzSn(L)(4-z)において、Rのアルキル基は、炭素数5~25のアルキル基がより好ましく、炭素数5~20のアルキル基が更に好ましく、Rのアリール基は、炭素数は特に限定されないが、炭素数6~20のアリール基が好ましい。1分子中にRが2以上の複数存在する場合は、それぞれのRは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
また、Lは、炭素数2~20の脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、芳香族スルホン酸が好ましく、炭素数2~20の脂肪族カルボン酸がより好ましい。炭素数2~20の脂肪族カルボン酸としては、炭素数2~20の脂肪族モノカルボン酸、炭素数2~20の脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。1分子中にLが2以上の複数存在する場合は、それぞれのLは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0147】
組成物(y1)中、前記触媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
組成物(y1)中、前記アクリルウレタン系樹脂と触媒との含有割合は、前記アクリルウレタン系樹脂の合計100質量部に対し、触媒が固形分換算で好ましくは0.001~5質量部、より好ましくは0.01~3質量部、更に好ましくは0.1~2質量部である。
【0148】
(基材用添加剤)
本発明の一態様において、組成物(y)は、本発明の効果を損なわない範囲で、一般的な粘着シートが有する基材に含まれる基材用添加剤を含有してもよい。
そのような基材用添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤等が挙げられる。
なお、これらの基材用添加剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの基材用添加剤を含有する場合、それぞれの基材用添加剤の含有量は、前記非粘着性樹脂の100質量部に対して、好ましくは0.0001~20質量部、より好ましくは0.001~10質量部である。
【0149】
(希釈溶媒)
本発明の一態様において、組成物(y)は、前述の各種有効成分と共に、希釈溶媒として、水や有機溶媒を含有し、溶液の形態としてもよい。
有機溶媒としては、前述の組成物(x)を溶液の形態に調製する際に使用する有機溶媒と同じものが挙げられる。
なお、組成物(y)中に含まれる希釈溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0150】
組成物(y)が希釈溶媒を含有して溶液の形態である場合、組成物(y)の有効成分濃度としては、それぞれ独立に、好ましくは0.1~60質量%、より好ましくは0.5~50質量%、更に好ましくは1.0~40質量%である。
【0151】
(着色剤)
前記剥離検知ラベルは、更に、粘着剤層(X)及び基材層(Y)から選ばれる少なくとも一つの層が、着色剤を含むことが好ましく、基材層(Y)が着色剤を含むことが好ましい。
粘着剤層(X)及び基材層(Y)から選ばれる少なくとも一つの層が、着色剤を含有することで、剥離検知パターンの視認性が更に向上し、前記剥離検知ラベルの再剥離有無の検知がより容易となる。
また、前述したように、基材層(Y)と粘着剤層(X)の間に、パターンの視認性を向上させるために、金属蒸着膜層や他の着色層を設けてもよいが、粘着剤層(X)及び基材層(Y)から選ばれる少なくとも一つの層が、着色剤を含有する場合、これら他の層との界面での接着性を考慮する必要がなくなり、また、製造時の工程数も削減できるといった観点でも好ましい。同様に、粘着剤層(X)の粘着力への影響を少なくする観点からも、基材層(Y)が着色剤を含むことが好ましい。
【0152】
前記着色剤としては、顔料、染料のいずれであってもよく、顔料が好ましい。
顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよいが、有機顔料が好ましい。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物が挙げられる。黒色インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料が挙げられる。
染料としては、酸性染料、反応染料、直接染料、油溶性染料、分散染料、カチオン染料等が挙げられる。
色相は特に限定されず、イエロー、マゼンタ、シアン、ブルー、レッド、オレンジ、グリーン等の有彩色の顔料又は染料のいずれも用いることができる。
上記の着色剤は、単独で又は2種以上を任意の割合で混合して用いることができる。
【0153】
粘着剤層(X)及び基材層(Y)から選ばれる少なくとも一つの層が、これらの着色剤を含有する場合、当該着色剤の含有量は、それぞれ独立に、固形分換算で各層が含有する樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1~40質量部、より好ましくは1.0~35質量部、更に好ましくは5.0~30質量部である。
【0154】
前記粘着性積層体としては、塗膜(x’)と、塗膜(y’)とをこの順で直接積層した後、塗膜(x’)及び塗膜(y’)を同時に乾燥することで、揮発成分を除去して、形成される粘着性積層体であることがより好ましく、そして、組成物(x)及び組成物(y)を同時に塗布して、塗膜(x’)と、塗膜(y’)とをこの順で直接積層した後、塗膜(x’)及び塗膜(y’)を同時に乾燥することで、揮発成分を除去して、形成される粘着性積層体であることがより更に好ましい。
粘着性積層体が、塗膜(x)と、塗膜(y’)とをこの順で直接積層した後、塗膜(x’)と塗膜(y’)とを「同時に」乾燥して形成されたものあると、粘着剤層(X)と基材層(Y)との界面密着性が、予め形成された基材層(Y)に後から粘着剤層(X)を形成する場合に比べて高いものとなるため、より効果的に糊残りを生じなくする観点から好ましい。これは、粘着剤層(X)の形成材料である組成物(x)からなる塗膜(x’)と、基材層(Y)の形成材料である組成物(y)からなる塗膜(y’)とを同時に乾燥する過程で、界面付近で塗膜の混層が生じつつ、互いの組成物に含まれる樹脂の分子鎖が絡み合うことで、粘着剤層(X)と基材層(Y)との界面密着性が向上するためと考えられる。
更に、組成物(x)と、組成物(y)とを同時に塗布して形成された粘着性積層体である場合、各組成物を逐次塗布して形成される場合と比べて、各塗膜表面に薄膜の乾燥皮膜が形成されにくくなるため、得られる各層間の密着性に優れるため、より効果的に糊残りを生じなくする観点から更に好ましい。
【0155】
同様に、前記粘着性積層体が積層体(P1)である場合、塗膜(x-1’)と、塗膜(y’)と、塗膜(x-2’)とをこの順で直接積層した後、塗膜(x-1’)、塗膜(y’)及び塗膜(x-2’)を同時に乾燥することで、揮発成分を除去して、形成される粘着性積層体(P1)であることがより好ましく、そして、組成物(x-1)と、組成物(y)と、組成物(x-2)とを同時に塗布して、塗膜(x-1’)と、塗膜(y’)と、塗膜(x-2’)とをこの順で直接積層した後、塗膜(x-1’)、塗膜(y’)及び塗膜(x-2’)を同時に乾燥することで、揮発成分を除去して、形成される粘着性積層体(P1)であることが更に好ましい。
組成物(x-1)と、組成物(y)と、組成物(x-2)とを同時に塗布することで、各組成物を逐次塗布する場合と比べて、各塗膜表面に薄膜の乾燥皮膜が形成されにくくなるため、得られる各層間の密着性に優れるため、より効果的に糊残りを生じなくする観点から好ましい。
【0156】
前述した理由と同様の理由から、積層体(P1)が、塗膜(x-1’)と、塗膜(y’)と、塗膜(x-2’)とをこの順で直接積層した後、塗膜(x-1’)、塗膜(y’)及び塗膜(x-2’)を同時に乾燥して形成されたものである場合、粘着剤層(X1)と基材層(Y)との界面密着性だけでなく、粘着剤層(X2)と基材層(Y)との界面密着性も、予め形成された基材層(Y)に後から粘着剤層(X1)及び粘着剤層(X2)を形成する場合や、前述の方法で予め粘着剤層(X1)又は(X2)と基材層(Y)との積層体を作成した後、残りの粘着剤層(X1)又は(X2)のいずれかを基材層(Y)の露出面に形成する場合に比べて高いものとなるため、より効果的に糊残りを生じなくする観点から好ましい。
更に、組成物(x-1)と、組成物(y)と、組成物(x-2)とを同時に塗布して形成された粘着性積層体(P1)である場合、各組成物を逐次塗布して形成される場合と比べて、各塗膜表面に薄膜の乾燥皮膜が形成されにくくなるため、得られる各層間の密着性に優れるため、より効果的に糊残りを生じなくする観点から更に好ましい。
【0157】
なお、本発明において、剥離検知ラベルが有する粘着性積層体について、各層を塗膜から形成する層とする場合、前述のとおり製造方法にて特定しているが、この場合には、そのような製造方法による特定をせざるを得ない事情が存在する。
つまり、例えば、積層体の基材層(Y)の表面に対して垂直方向に切断した厚さ方向の断面を電子顕微鏡等を用いて、基材層(Y)と粘着剤層(X)との界面を観察することで、主観的な視覚を伴う観点で、本発明の方法に基づき形成されたか否かを判断する方法として、例えば、表面粗さを測定する方法が考えられる。しかしながら、各層を塗膜を同時に乾燥して形成した場合、特に、各層を同時塗布してから同時乾燥した場合、前記界面の粗さは、微少であるため、正確に測定することができず、また、観察する領域による粗さの状態の相違が非常に大きい。そのため、表面粗さ等の特定の物性値による評価が極めて難しい。
このような事情から、本発明においては、剥離検知ラベルが有する粘着性積層体を、前述のとおり製造方法にて特定せざるを得ない場合がある。
前記粘着性積層体が、例えば、塗膜(x-1’)と、塗膜(y’)と、塗膜(x-2’)とをこの順で直接積層した後、塗膜(x-1’)、塗膜(y’)及び塗膜(x-2’)を同時に乾燥して形成された積層体(P1)である場合における、基材層(Y)と粘着剤層(X1)との関係性、並びに基材層(Y)と粘着剤層(X2)との関係性についても同様である。
【0158】
前記粘着性積層体の厚さ(粘着性積層体の総厚)としては、好ましくは2~100μm、より好ましくは4~80μm、更に好ましくは5~50μm、より更に好ましくは10~40μm、より更に好ましくは15~35μm、より更に好ましくは15~30μmである。
【0159】
粘着剤層(X)の厚さ(Xt)は、好ましくは0.5~50.0μm、より好ましくは1.0~30.0μm、更に好ましくは2.0~20.0μm、より更に好ましくは3.0~15.0μm、より更に好ましくは4.0~12.0μmである。
【0160】
基材層(Y)の厚さ(Yt)は、好ましくは0.5~50.0μm、より好ましくは1.0~30.0μm、更に好ましくは2.0~20.0μm、より更に好ましくは2.5~15.0μm、より更に好ましくは3.0~12.0μmである。
【0161】
本明細書において、粘着性積層体の合計厚さ(総厚)はJIS K6783-1994、Z1702-1994、Z1709-1995に準拠した定圧厚さ測定器を用いて測定された値であって、具体的には実施例に記載の方法に基づいて測定することができる。
また、粘着性積層体を構成する各層の厚さは、前述の粘着剤層積層体の総厚と同じ方法で測定してもよく、また、例えば、実施例に記載の方法により測定することができ、粘着性積層体を厚さ方向に切断した断面を走査型電子顕微鏡で観察して、各層の厚さの比をそれぞれ測定し、前述の方法で測定した粘着性積層体の総厚から算出してもよい。
【0162】
前記剥離検知ラベルにおいて、基材層(Y)の厚さ(Yt)に対する粘着剤層(X)の厚さ(Xt)の比〔(Xt)/(Yt)〕は、好ましくは1/3~3/1、より好ましくは2/5~5/2、更に好ましくは1/2~2/1である。
なお、前記厚さ(Xt)及び厚さの比〔(Xt)/(Yt)〕は、積層体(P1)のように粘着剤層(X1)及び粘着剤層(X2)の複数の粘着剤層(X)を有する場合でも、粘着剤層(X)の厚さ(Xt)は、粘着剤層(X1)の厚さ(X1t)、粘着剤層(X2)の厚さ(X2t)のそれぞれと同義である。すなわち、厚さ(X1t)、厚さ(X2t)、厚さの比〔(X1t)/(Yt)〕、厚さの比〔(X2t)/(Yt)〕のそれぞれの好適範囲は、前記厚さ(Xt)及び厚さの比〔(Xt)/(Yt)〕のそれぞれと同じである。
また、前記剥離検知ラベルが、前述した粘着剤層(Xn)(nは3以上の整数)、中間層(M)を有する場合、これらの層の厚さは、それぞれ独立に、本発明の効果が発現する限り、特に限定されない。
【0163】
なお、前記粘着性積層体が、前述のとおり、前記粘着性積層体を形成する際に、塗膜(x’)及び塗膜(y’)を同時に乾燥することで、揮発成分を除去し、粘着剤層(X)及び基材層(Y)を有する粘着性積層体を形成したものである場合、塗膜の乾燥過程で粘着剤層(X)と基材層(Y)との塗膜間で混層が生じ、粘着剤層(X)と基材層(Y)との界面が、消失する程に不明瞭となる場合がある。
各塗膜間及び形成された層の間に混層が生じている場合、例えば、前述したように、粘着性積層体を厚さ方向に切断した断面を走査型電子顕微鏡で観察して、各層の厚さの比をそれぞれ測定する場合であって、粘着剤層(X)と基材層(Y)との間に混層が生じている場合であれば、当該混層の厚さ方向の中間点を通りかつ粘着剤層(X)の基材層(Y)とは反対側の表面と平行な面に界面が存在するものと仮定して、各層の厚さ比を測定してもよい。前記粘着性積層体が粘着性積層体(P1)である場合も同様である。
【0164】
<剥離材>
前述のとおり、本発明の一態様である剥離検知ラベルとしては、取扱性の観点から、例えば、
図1に示すような態様であれば粘着剤層(X)3の貼付面3a上に、更に剥離材を有する構成であってもよい。また、例えば、
図2に示すような態様であれば、粘着性積層体(P1)12の貼付面12a上に、更に剥離材を有する構成であってもよい。また、
図1又は
図2の態様のいずれの場合でも、更に、支持体1の粘着剤層(X)とは反対側の表面に、更に剥離材を設けた、2枚の剥離材で挟持された態様であってもよい。2枚の剥離材を用いる場合、各剥離材は、互いに同一でも異なっていてもよい。
剥離材としては、両面剥離処理をされた剥離シートや、片面剥離処理された剥離シート等が用いられ、剥離材用の基材上に剥離剤を塗布したもの等が挙げられる。
【0165】
剥離材用の基材としては、例えば、上質紙、グラシン紙、クラフト紙等の紙類;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のオレフィン樹脂フィルム等のプラスチックフィルム;等が挙げられる。
【0166】
剥離剤としては、例えば、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
【0167】
なお、粘着剤層(X)の前記表面上、例えば、
図1に示すような態様であれば粘着剤層(X)3の貼付面3a上、又は、
図2に示すような態様であれば、粘着性積層体(P1)12の貼付面12a上に剥離材を用いる場合、前記剥離検知ラベルから当該剥離材を剥離する際に、パターン層が発現しない剥離力を有する剥離材、例えば、前記支持体と前記パターン層との間で界面剥離が生じることがないように剥離力を調整されたものであることが好ましい。
なお、当該剥離材を剥離時に前記界面剥離を効果的に防止する方法として、前述したように支持体表面を梨地処理する方法も挙げられる。当該剥離材の剥離力を調整するという手段と前記梨地処理の方法とは、それぞれを単独で用いてもよく、併用してもよいが、併用することがより好ましい。
【0168】
剥離材の厚さは、特に限定されないが、好ましくは10~200μm、より好ましくは25~170μm、更に好ましくは30~125μm、更に好ましくは50~100μmである。
【0169】
[剥離検知ラベルの製造方法]
前記剥離検知ラベルの製造方法としては、例えば、前記支持体の一方の面上に、前述した方法でパターン層を設けたパターン層付き支持体を得たのち、更に、当該パターン層を設けた側の支持体上に、前記粘着性積層体を形成することによって製造することができる。
前記粘着性積層体を形成方法としては、次に、示す各方法が挙げられる。なお、以下の説明では、
図1及び
図2に記載の前記剥離検知ラベルの構成の一例を製造する場合を例にとって説明する。
【0170】
図1に示す剥離検知ラベル101を製造する場合、前述のとおり、予めパターン層2が形成された支持体1(以下、「パターン層付き支持体」ともいう。)を準備する。
そして、パターン層付き支持体のパターン層2が形成された面に対して、当該パターン層2を被覆するように、基材層(Y)4を形成する。例えば、基材層(Y)4を形成する原料を加熱溶融して、前記パターン層付き支持体のパターン層2が形成された面上に押出ラミネートしてもよく、基材層(Y)4を形成する非粘着性樹脂を含む組成物からなる塗膜を前記パターン層付き支持体のパターン層2が形成された面上に後から塗布して乾燥して形成してもよい。
【0171】
続けて、形成された基材層(Y)4のパターン層付き支持体とは反対側の面上に、粘着剤層(X)3を形成する。なお、粘着剤層(X)3を形成する場合、例えば、粘着剤層(X)3を形成する原料を加熱溶融して基材層(Y)4上に押出ラミネートしてもよく、粘着性樹脂を含む組成物(x)からなる塗膜(x’)を基材層(Y)4上に後から塗布して乾燥して形成してもよい。また、例えば、粘着剤層(X)3は、予め押出成形又は塗膜(x’)を乾燥させて作成したものを、基材層(Y)4上に直接貼付してもよい。
前述のとおり、粘着剤層(X)3と基材層(Y)4との積層体を形成する場合、前記パターン層付き支持体のパターン層2が形成された面上に、塗膜(y’)と、塗膜(x’)とをこの順で直接積層した後、塗膜(y’)及び塗膜(x’)を同時に乾燥することで、揮発成分を除去して、粘着性積層体を形成することが好ましい。そして、前記パターン層付き支持体のパターン層2が形成された面上に、組成物(y)及び組成物(x)を同時に塗布して、塗膜(y’)と、塗膜(x’)とをこの順で直接積層した後、塗膜(y’)及び塗膜(x’)を同時に乾燥することで、揮発成分を除去して、形成することがより好ましい。
【0172】
また、
図2に示す剥離検知ラベル102の場合も、同様に、前述のとおり、予めパターン層2が形成された支持体1を準備する。
そして、パターン層付き支持体のパターン層2が形成された面に対して、当該パターン層2を被覆するように、粘着剤層(X1)31を形成する。なお、粘着剤層(X1)31は、粘着性樹脂を含む組成物(x1)から形成される層であり、例えば、当該組成物を加熱溶融して、前記パターン層付き支持体のパターン層2が形成された面上に押出ラミネートしてもよく、粘着性樹脂を含む組成物(x1)からなる塗膜(x1’)を前記パターン層付き支持体のパターン層2が形成された面上に後から塗布して乾燥して形成してもよい。
【0173】
続けて、形成された粘着剤層(X1)31のパターン層付き支持体とは反対側の面上に、基材層(Y)4を形成する。なお、基材層(Y)4を形成する場合、例えば、基材層(Y)4を形成する原料を加熱溶融して粘着剤層(X1)31上に押出ラミネートしてもよく、組成物(y)からなる塗膜(y’)を粘着剤層(X1)31上に後から塗布して乾燥して形成してもよい。また、例えば、基材層(Y)4として、予め押出成形又は塗膜(y’)を乾燥させて作成したものを、粘着剤層(X1)31上に直接貼付してもよい。
なお、前述のとおり、粘着剤層(X1)31と基材層(Y)4との積層体を形成する場合、前記パターン層付き支持体のパターン層2が形成された面上に、塗膜(x-1’)と、塗膜(y’)とをこの順で直接積層した後、塗膜(x-1’)及び塗膜(y’)を同時に乾燥することで、揮発成分を除去して、積層体を形成することが好ましい。そして、前記パターン層付き支持体のパターン層2が形成された面上に、組成物(x-1)及び組成物(y)を同時に塗布して、塗膜(x-1’)と、塗膜(y’)とをこの順で直接積層した後、塗膜(x-1’)及び塗膜(y’)を同時に乾燥することで、揮発成分を除去して、積層体を形成することがより好ましい。
【0174】
続けて、形成された基材層(Y)4の粘着剤層(X1)31とは反対側の面上に、粘着剤層(X2)32を形成する。なお、粘着剤層(X2)32を形成する場合、例えば、粘着性樹脂を含む組成物(x2)を加熱溶融して基材層(Y)4上に押出ラミネートしてもよく、組成物(x2)からなる塗膜(x2’)を基材層(Y)4上に後から塗布して乾燥して形成してもよい。また、例えば、粘着剤層(X2)として、予め押出成形又は塗膜(x2’)を乾燥させて作成したものを、基材層(Y)4上に直接貼付してもよい。
【0175】
また、形成された粘着剤層(X1)31のパターン層付き支持体とは反対側の面上に、基材層(Y)4を形成するその他の方法として、予め押出成形又は塗膜(y’)を乾燥させて作成した基材層(Y)4のいずれか一方の面上に前述の方法で粘着剤層(X2)32を形成した積層体を予め準備し、当該積層体の基材層(Y)4の露出面を粘着剤層(X1)31上に直接貼付してもよい。
【0176】
また、形成された粘着剤層(X1)31のパターン層付き支持体とは反対側の面上に、基材層(Y)4を形成するその他の方法として、予め別に用意した剥離材上に前述の方法で粘着剤層(X2)32を形成し、当該粘着剤層(X2)32の剥離材とは反対側の面上に、前述の方法と同様の方法で基材層(Y)4を形成した積層体を予め準備し、当該積層体の基材層(Y)4の露出面を粘着剤層(X1)31の露出面上に直接貼付してもよい。
前述のとおり、粘着剤層(X2)32と基材層(Y)4との積層体を形成する場合、塗膜(x-2’)と、塗膜(y’)とをこの順で直接積層した後、塗膜(x-2’)及び塗膜(y’)を同時に乾燥することで、揮発成分を除去して、積層体を形成することが好ましい。そして、組成物(x-2)及び組成物(y)を同時に塗布して、塗膜(x-2’)と、塗膜(y’)とをこの順で直接積層した後、塗膜(x-2’)及び塗膜(y’)を同時に乾燥することで、揮発成分を除去して、形成することがより好ましい。
【0177】
なお、前述のとおり、粘着剤層(X1)31と、基材層(Y)4と、粘着剤層(X2)32とから形成される積層体(P1)を形成する場合、前記パターン層付き支持体のパターン層2が形成された面上に、塗膜(x-1’)と、塗膜(y’)と、塗膜(x-2’)とをこの順で直接積層した後、塗膜(x-1’)、塗膜(y’)及び塗膜(x-2’)を同時に乾燥することで、揮発成分を除去して、積層体を形成することが更に好ましい。そして、前記パターン層付き支持体のパターン層2が形成された面上に、組成物(x-1)と組成物(y)と組成物(x-2)とを同時に塗布して、塗膜(x-1’)と、塗膜(y’)と、塗膜(x-2’)とをこの順で直接積層した後、塗膜(x-1’)、塗膜(y’)及び塗膜(x-2’)を同時に乾燥することで、揮発成分を除去して、積層体(P1)を形成することがより更に好ましい。
【0178】
なお、前記粘着性積層体(P1)を形成する際、前記パターン層を完全に被覆するように粘着剤層(X1)を形成することが好ましい。
【0179】
前述した各塗膜を逐次形成する際には、各組成物の塗布に用いるコーターとしては、例えば、スピンコーター、スプレーコーター、バーコーター、ナイフコーター、ロールコーター、ナイフロールコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、ダイコーター等が挙げられる。
【0180】
また、各組成物を同時に塗布する際に用いるコーターとしては、多層コーターが挙げられ、具体的には、多層カーテンコーター、多層ダイコーター等が挙げられる。これらの中でも、操作性の観点から、多層ダイコーターが好ましい。
【0181】
なお、各塗膜を形成し易くし、生産性を向上させる観点から、各組成物が、それぞれ独立に、更に希釈溶媒を含有することが好ましい。
希釈溶媒としては、剥離検知ラベルの欄で説明した前述の希釈溶媒が使用できる。
また、各組成物に希釈溶媒を配合して得られる溶液の有効成分濃度は、剥離検知ラベルの欄で前述したとおりである。
【0182】
なお、前述した製造工程中、複数の塗膜を逐次塗工した後、それらを同時に乾燥処理する場合、同時乾燥処理前に、1層以上の塗膜を形成した後に、当該塗膜の硬化反応が進行しない程度のプレ乾燥処理を施してもよい。
例えば、塗膜(x-1’)及び塗膜(y’)の各塗膜の形成ごとに、その都度プレ乾燥処理を行ってもよく、塗膜(x-1’)及び塗膜(y’)の2層の塗膜を形成後に、当該2層を同時にプレ乾燥処理してもよい。プレ乾燥を行う場合、粘着剤層(X1)と基材層(Y)との界面密着性をより良好とする観点からは、塗膜(x-1’)及び塗膜(y’)の2層の塗膜を形成後に、当該2層を同時にプレ乾燥処理する方が好ましい。
プレ乾燥処理を行う際の乾燥温度としては、通常は、形成した塗膜の硬化が進行しない程度の温度範囲で適宜設定されるが、好ましくは同時乾燥処理を行う際の乾燥温度未満である。具体的な乾燥温度として、例えば、好ましくは10~45℃、より好ましくは10~34℃、更に好ましくは15~30℃である。
【0183】
また、前記複数の塗膜を同時乾燥する際の乾燥温度としては、例えば、好ましくは60~150℃、より好ましくは70~145℃、更に好ましくは80~140℃、より更に好ましくは90~135℃である。
【0184】
[剥離検知ラベルの使用]
前記剥離検知ラベルを使用する場合、前述のとおり、被着体に糊残りを生じないため、剥離が必要な時に剥離検知ラベルを剥離した際、被着体に糊残りが生じることが望ましくない用途であって、かつ、剥離検知が必要とされる用途に好適に用いることができる。
例えば、自動車部品、電気・電子部品、精密機械部品等の表示内容の改ざん防止用;物品の託送又は梱包における不当な物品の梱包や開封防止用;医薬品、化粧品、食料品等の内容物のバージン性を保証するための封印用ラベル;各種乗用車、航空機、電車、船舶等の乗り物が備える各種開閉口の不当な開閉の防止用(例えば、運搬物搬入口や燃料タンク等への不当な異物混入防止用);パスポート等の各種証明書や製品証明等の識別若しくは証明用ラベルの剥離有無又は改ざん有無の防止用;各種乗用車、航空機、電車、船舶等の乗り物への不当な侵入の防止や各種建造物への不当な侵入の防止といったセキュリティー対策用;等の用途が想定される。
これらの用途における対象物(被着体)に対して、前記剥離検知ラベルを貼付して使用することができ、当該被着体から剥離する際に、前述のとおり、前記支持体と前記パターン層との間で界面剥離が生じることにより、視覚的に前記剥離検知ラベルの被着体からの剥離有無が検知可能となる。
【実施例】
【0185】
本発明について、以下の実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の製造例及び実施例における物性値は、以下の方法により測定した値である。
【0186】
<質量平均分子量(Mw)>
ゲル浸透クロマトグラフ装置(東ソー株式会社製、製品名「HLC-8020」)を用いて、下記の条件下で測定し、標準ポリスチレン換算にて測定した値を用いた。
(測定条件)
・カラム:「TSK guard column HXL-L」「TSK gel G2500HXL」「TSK gel G2000HXL」「TSK gel G1000HXL」(いずれも東ソー株式会社製)を順次連結したもの
・カラム温度:40℃
・展開溶媒:テトラヒドロフラン
・流速:1.0mL/分
【0187】
<ガラス転移点の測定>
JIS K 7121に準拠し、示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製、製品名「DSC Q2000」)を用いて、昇温速度20℃/分にて測定した。
【0188】
<支持体、パターン層、粘着性積層体、及び剥離検知ラベルの厚さ>
株式会社テクロック製の定圧厚さ測定器(型番:「PG-02J」、標準規格:JIS K6783-1994、Z1702-1994、Z1709-1995に準拠)を用いて測定した。
なお、パターン層の厚さは、測定対象の剥離検知ラベルを作成する途中、支持体上にパターン層を形成したパターン層付き支持体の状態で、支持体とパターン層とを積層した箇所の総厚を測定した上で、予め測定した支持体の厚みを差し引いた値を「パターン層の厚さ」とした。
粘着性積層体の厚さは、測定対象の剥離検知ラベルの総厚を測定した上で、予め測定した支持体(ただし、パターン層を積層していない箇所)の厚みを差し引いた値を「粘着性積層体の厚さ」とした。
剥離検知ラベルの総厚は、粘着剤層(X2)上の剥離材を除去した値として測定した。
【0189】
<粘着性積層体中の各層の厚さ>
実施例及び比較例で作製した剥離検知ラベルの粘着剤層(X2)の貼付面に、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱ケミカル株式会社製、商品名「ダイアホイル(登録商標) T-100」、厚さ50μm)を貼合して測定サンプルとした。
該測定サンプルの粘着剤層(X2)の表面に対して垂直方向に切断した厚さ方向における断面を、走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、製品名「S-4700」)を用いて観察し、粘着剤層(X1)、基材層(Y)及び粘着剤層(X2)の厚さの合計に対する、粘着剤層(X1)、基材層(Y)及び粘着剤層(X2)のそれぞれの厚さの比(厚さ比)を測定した。
そして、各層の厚さ比に基づき、前述の方法により測定した「粘着性積層体の厚さ」の実測値から、各層の厚さを算出した。表1には各層の厚さ比率を示す。
【0190】
<基材層(Y)、粘着剤層(X1)及び粘着剤層(X2)の弾性率>
基材層(Y)、粘着剤層(X1)及び粘着剤層(X2)の弾性率は、次の方法を用いて測定した。
測定対象となる層を形成する組成物と同一の組成物から形成した直径8mm×厚さ3mmの試験サンプルを作成した。粘弾性測定装置(Anton Paar社製、装置名「MCR300」)を用いて、試験開始温度:-20℃、試験終了温度:150℃、昇温速度:3℃/分、周波数:1Hzの条件で、ねじりせん断法によって、23℃における、試験サンプルの貯蔵せん断弾性率G’を測定した。
なお、貯蔵せん断弾性率G’の値から貯蔵弾性率E’の値の算出は、近似式「E’=3G’」から算出した。
また、数値が100MPaを超えるような、上記の粘弾性測定装置では測定できない測定サンプルに関しては、動的粘弾性自動測定機(株式会社オリエンテック製、製品名「レオバイブロン(登録商標)DDV-01FD」)を用いて、別途、測定対象となる層を形成する組成物と同一の組成物から形成し、MD方向30mm×TD方向5mm×厚さ200μmの大きさに裁断した試験サンプルに対して、試験開始温度:-50℃、試験終了温度:200℃、昇温速度:3℃/分、振幅:5μm、周波数:1Hzの条件で、引張法によって、23℃における、試験サンプルの貯蔵弾性率E’を測定した。
なお、実施例6では、後述する基材層用フィルム(1)をMD方向30mm×TD方向5mmの大きさに裁断したものを、そのまま試験サンプルとして用いた。また、比較例1では、実質的に基材層(Y)が存在しない。また、比較例2では、基材層(Y)に変えて、粘着剤層(X)を粘着性積層体の中間層として用いている。これらの比較例1及び2については、基材層(Y)に代えて粘着剤層(X)単層の弾性率を測定した。
また、MD方向のMDとは、Machine Directionの略記であり、MD方向は剥離検知ラベル成型時の長尺方向を意味する。また、TD方向のTDとは、Transverse Directionの略記で、TD方向は剥離検知ラベル成型時の幅方向を意味する。ここで、実施例1~5で用いる基材層(Y)における「MD方向」は、塗膜を形成する際に組成物を塗布した方向を指す。
【0191】
<粘着剤層(X1)及び粘着剤層(X2)の粘着力>
粘着剤層(X1)及び粘着剤層(X2)の粘着力は、下記方法を用いて測定した。
・手順(1):測定対象となる粘着剤層を形成する組成物と同一の組成物から形成した厚さ25μmの粘着剤層を、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に設け、縦300mm×横25mmの大きさに切断した試験片を作製した。
・手順(2):23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、当該試験片の粘着剤層の表出している側の表面を、ステンレス板(SUS304 360番研磨)に貼付し、同環境下で24時間静置した。
・手順(3):手順(2)の後、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、JIS Z0237:2000に基づき、180°引き剥がし法により、引張速度(剥離速度)300mm/分にて、粘着剤層の粘着力を測定した。測定結果を、対象となる粘着剤層の粘着力とした。
【0192】
製造例1
(組成物(x-1)の調製)
粘着性樹脂である、アクリル系共重合体(1)(n-ブチルアクリレート(BA)/メチルメタクリレート(MMA)/酢酸ビニル(VAc)/2-ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)=80.0/10.0/9.0/1.0(質量比)からなる原料モノマーに由来の構成単位を有するアクリル系共重合体、質量平均分子量(Mw):100万、希釈溶媒:酢酸エチル、固形分濃度:45質量%)100質量部(固形分比)に、粘着付与剤として、水素化ロジン系樹脂(荒川化学工業株式会社製、製品名「KE-359」、軟化点:94~104℃)25質量部(固形分比)、及び、架橋剤として、イソシアネート系架橋剤(三井化学株式会社製、製品名「タケネート D-110N」)1.62質量部(固形分比)を配合して混合し、更に、トルエンで希釈して、均一に撹拌し、固形分濃度(有効成分濃度)40質量%の組成物(x-1)を調製した。
【0193】
製造例2
(組成物(x-2)の調製)
粘着性樹脂である、アクリル系共重合体(2)(n-ブチルアクリレート(BA)/2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)/アクリル酸(AAc)/2-ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)=47.0/47.0/5.5/0.5(質量比)からなる原料モノマーに由来の構成単位を有するアクリル系共重合体、質量平均分子量(Mw):55万、希釈溶媒:酢酸エチル、固形分濃度:40質量%)100質量部(固形分比)に、架橋剤として、イソシアネート系架橋剤(東ソー株式会社製、製品名「コロネートL」)2質量部(固形分比)を配合して混合し、更に、トルエンで希釈して、均一に撹拌し、固形分濃度(有効成分濃度)30質量%の組成物(x-2)を調製した。
【0194】
製造例3
(組成物(y-a)の調製)
(1)直鎖ウレタンプレポリマー(UY)の合成
窒素雰囲気下の反応容器内に、質量平均分子量(Mw)1,000のポリカーボネートジオール100質量部(固形分比)に対して、イソホロンジイソシアネートを、ポリカーボネートジオールの水酸基とイソホロンジイソシアネートのイソシアネート基との当量比が1/1となるように配合し、更にトルエン160質量部を加え、窒素雰囲気下にて、混合物を撹拌しながら、イソシアネート基濃度が理論量に到達するまで、80℃で6時間以上反応させた。
次いで、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-HEMA)1.44質量部(固形分比)をトルエン30質量部に希釈した溶液を添加して、両末端のイソシアネート基が消滅するまで、更に80℃で6時間反応させ、質量平均分子量(Mw)2.9万の直鎖ウレタンプレポリマー(UY)を得た。
(2)アクリルウレタン系樹脂(II)の合成
窒素雰囲気下の反応容器内に、前記(1)で得た直鎖ウレタンプレポリマー(UY)100質量部(固形分比)、メチルメタクリレート(MMA)117質量部(固形分比)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-HEMA)5.1質量部(固形分比)、1-チオグリセロール1.1質量部(固形分比)、及びトルエン50質量部を加え、撹拌しながら、105℃まで昇温した。
そして、前記反応容器内に、更にラジカル開始剤(株式会社日本ファインケム製、製品名「ABN-E」)2.2質量部(固形分比)をトルエン210質量部で希釈した溶液を、105℃に維持したまま4時間かけて滴下した。
前記溶液の滴下終了後、105℃で6時間反応させ、質量平均分子量(Mw)10.5万のアクリルウレタン系樹脂(II)の溶液を得た。
(3)組成物(y-a)の調製
非粘着性樹脂(y1)である、前記(2)で得たアクリルウレタン系樹脂(II)の溶液100質量部(固形分比)に、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネート系架橋剤(東ソー株式会社製、製品名「コロネートHL」)6.3質量部(固形分比)、及び、触媒として、ジオクチルスズビス(2-エチルヘキサノエート)1.4質量部(固形分比)を配合して混合した。更に、該混合物をトルエンにて希釈し、均一に撹拌して、固形分濃度(有効成分濃度)30質量%の組成物(y-a)を調製した。
【0195】
製造例4
(組成物(y-b)の調製)
非粘着性樹脂(y1)である、酸変性オレフィン系樹脂の溶液(三井化学株式会社製、製品名「ユニストール H-200」、質量平均分子量(Mw):14.5万、ガラス転移点:-53℃、希釈溶媒:メチルシクロヘキサンとメチルエチルケトンの混合溶媒、固形分濃度(有効成分濃度):20質量%)を組成物(y-b)として用いた。
【0196】
製造例5
(組成物(y-c)の調製)
非粘着性樹脂(y1)である、前記製造例3で得たアクリルウレタン系樹脂(II)の溶液100質量部(固形分比)に、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネート系架橋剤(東ソー株式会社製、製品名「コロネートHL」)6.3質量部(固形分比)、触媒としてジオクチルスズビス(2-エチルヘキサノエート)1.4質量部(固形分比)、及び着色剤として銅フタロシアニンブルー(日弘ビックス株式会社製)27.9質量部(固形分比)を配合して混合し混合物を得た。更に、該混合物をトルエンにて希釈し、均一に撹拌して、固形分濃度(有効成分濃度)30質量%の組成物(y-c)を調製した。
【0197】
以下の実施例及び比較例で使用した、パターン層付き支持体及び剥離材の詳細を以下に示す。
・パターン層付き支持体(1):片面梨地処理済みポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、製品名「ルミラー(登録商標)」の片方の表面を、サンドマット処理で梨地にしたもの、厚さ:38μm。)の梨地処理がされた側の表面上に、アクリル系樹脂(主モノマーがメチルメタクリレートであるアクリル系重合体)を含む樹脂溶液で「開封済み」の文字パターンをグラビア印刷し、乾燥して厚さ5μmのパターン層を形成したもの。
・パターン層付き支持体(2):片面梨地処理済みポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、製品名「ルミラー(登録商標)」の片方の表面を、サンドマット処理で梨地にしたもの、厚さ:38μm。)の梨地処理がされた側の表面の全面に、アクリル系樹脂(主モノマーがメチルメタクリレートであるアクリル系重合体)を含む樹脂溶液を塗布、乾燥して支持体の表面の全部に厚さ5μmのパターン層を形成したもの。
・基材層用フィルム(1):2軸延伸ポリエステルフィルム(三菱ケミカル株式会社製、製品名「ダイアホイル(登録商標)」、ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ:6μm。)。
・剥離材:リンテック株式会社製、製品名「SP-8LKアオ」、厚さ:88μm、グラシン紙をポリオレフィン被覆し、シリコーン剥離処理を施したもの。
【0198】
実施例1
(1)塗膜の形成
前記パターン層付き支持体(1)のパターン層形成面上に、製造例1で調製した組成物(x-1)からなる塗膜(x-1’)を形成し、塗膜(x-1’)上に製造例3で調製した組成物(y-a)からなる塗膜(y-a’)、及び、塗膜(y-a’)上に製造例2で調製した組成物(x-2)からなる塗膜(x-2’)を多層ダイコーター(幅:250mm)を用いて同時塗布し、同時形成した。
なお、塗膜(x-1’)、塗膜(y-a’)及び塗膜(x-2’)を形成するための各組成物の塗布速度及び塗布量は、表1に記載の粘着性積層体(P1)の厚さ(総厚)及び各層(第1の粘着剤層(X1)、基材層(Y)、第2の粘着剤層(X2))の厚さ(厚さ比率)となるように調整した。
(2)乾燥処理
形成した塗膜(x-1’)、塗膜(y-a’)及び塗膜(x-2’)を、乾燥温度125℃で60秒間、同時に乾燥させ、支持体側から順に、支持体、パターン層、第1の粘着剤層(X1)、基材層(Y)及び第2の粘着剤層(X2)を直接積層した粘着性積層体(P1)を形成した。
そして、表出している粘着剤層(X2)の表面上に、予め用意した前記剥離材を積層させ、剥離検知ラベル1を得た。
【0199】
実施例2及び3
塗膜(x-1’)、塗膜(y-a’)及び塗膜(x-2’)を形成するための各組成物の塗布量を、それぞれ、表1に記載の粘着性積層体(P1)の厚さ(総厚)及び各層(第1の粘着剤層(X1)、基材層(Y)、第2の粘着剤層(X2))の厚さ(厚さ比率)となるように調整したこと以外は、実施例1と同様の方法を用いて、剥離検知ラベル2及び3を得た。
【0200】
実施例4
組成物(y-a)に代えて、製造例4で調製した組成物(y-b)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法を用いて、剥離検知ラベル4を得た。
【0201】
実施例5
組成物(y-a)に代えて、製造例5で調製した組成物(y-c)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法を用いて、剥離検知ラベル5を得た。
【0202】
実施例6
前記パターン層付き支持体(1)のパターン層形成面上に、製造例1で調製した組成物(x-1)からなる塗膜(x-1’)をアプリケーターを用いて塗布し、乾燥温度110℃で120秒間、乾燥させて粘着剤層(X1)を形成した。更に、粘着剤層(X1)の露出面に、前記基材層用フィルム(1)を基材層(Y)として貼り合わせて積層した。
また、予め用意した前記剥離材上に、製造例2で調製した組成物(x-2)からなる塗膜(x-2’)をアプリケーターを用いて塗布し、乾燥温度110℃で120秒間、乾燥させて粘着剤層(X2)を形成した。
そして、前記基材層用フィルム(1)の露出面上に、当該剥離材付き粘着剤層(X2)の露出面を貼合して、剥離検知ラベル6を得た。
【0203】
比較例1
(1)塗膜の形成
前記パターン層付き支持体(1)の梨地処理がされた側の表面上に、アプリケーターを用いて、製造例2で調製した組成物(x-2)からなる塗膜(x-2’)を表1に記載の厚さ(総厚)となるように形成した。
(2)乾燥処理
形成した塗膜(x-2’)を、乾燥温度110℃で120秒間、乾燥させ、支持体側から順に、支持体、パターン層、組成物(x-2)から形成された粘着剤層(X)を直接積層した積層体を形成した。
そして、表出している粘着剤層(X)の表面上に、予め用意した前記剥離材を積層させ、粘着性積層体を有しない剥離検知ラベル7を得た。
【0204】
比較例2
組成物(y-a)に代えて、製造例2で調製した組成物(x-2)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法を用いて、基材層(Y)を有しない剥離検知ラベル8を得た。
【0205】
比較例3
スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(日本ゼオン株式会社製、製品名「クインタック(登録商標)3433N」)をトルエンにて希釈し、均一に撹拌して、固形分濃度(有効成分濃度)30質量%の組成物(y-d)を調製した。組成物(y-a)に代えて、当該組成物(y-d)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法を用いて、剥離検知ラベル9を得た。
【0206】
比較例4
パターン層付き支持体(1)に代えて、パターン層付き支持体(2)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法を用いて、剥離検知ラベル10を得た。
【0207】
実施例及び比較例で作製した剥離検知ラベルが有する粘着性積層体の厚さ(総厚)、並びに、当該粘着性積層体を構成する粘着剤層(X1)、基材層(Y)、及び粘着剤層(X2)の厚さを、前述の方法に準拠して測定した。当該測定結果を表1に示す。表1には総厚と各層の厚さ比率とを示す。
【0208】
【0209】
実施例及び比較例で作製した剥離検知ラベルについて、以下に示す方法を用いて、各種物性及び性状を測定、評価した。得られた結果を表2に示す。
【0210】
<パターン発現性及び糊残りの評価>
実施例及び比較例で作製した剥離検知ラベルを、長さ(MD方向)40mm×幅(TD方向)25mmの大きさに切断し、更に、第2の粘着剤層(X2)上の剥離材を除去したものを、試験サンプルとした。
前記試験サンプルの表出した粘着剤層(X2)の表面を、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、被着体であるアクリル塗装板(株式会社パルテック製、「SPCC-SD アクリル塗装片面/白」、サイズ:長さ150mm×幅70mm×厚さ0.4mm)に2kgゴムロールを用いて当該ゴムロールを1往復させて圧着させ、同じ環境下で24時間静置した。
24時間静置後、剥離角度135°にて手で引き剥がしを行い、以下の基準により、剥離後の剥離検知ラベルのパターン発現性と被着体上の糊残りの有無を目視で評価した。パターン発現性は、以下の基準により評価した。
(パターン発現性の評価基準)
・A:パターン層が形成された面の総面積100%中、80%以上の面積でパターンが発現した。
・B:パターン層が形成された面の総面積100%中、50%以上80%未満の面積でパターンが発現した。
・C:パターン層が形成された面の総面積100%中、30%以上50%未満の面積でパターンが発現した。
・D:パターン層が形成された面の総面積100%中、30%未満の面積でパターンが発現した。
・F:パターンが発現しなかった。
(糊残りの評価基準)
・A:被着体上への糊残り(転着)が生じなかった。
・F:被着体上への糊残り(転着)が生じた。
【0211】
<剥離検知ラベルの粘着力>
実施例及び比較例で作製した剥離検知ラベルを、長さ(MD方向)200mm×幅(TD方向)25mmの大きさに切断した。
そして、第2の粘着剤層(X2)上の剥離材を除去し、表出した粘着剤層(X2)の表面に、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、アクリル塗装板(株式会社パルテック製、「SPCC-SD アクリル塗装片面/白」)を貼付し、同じ環境下で24時間静置した。
24時間静置後、JIS Z0237:2000に基づき、180°引き剥がし法により、引張速度300mm/分にて、剥離検知ラベルの粘着力を測定した。
【0212】
【0213】
表2に示すように、実施例1~6で得られた剥離検知ラベル1~6は、パターン発現性を有し、かつ、被着体への糊残りも生じないことが確認された。特に、実施例1~5で得られた剥離検知ラベル1~5は、パターン発現性が優れることも確認された。更に、発現した「開封済み」の文字パターンの質感がマット状であることも確認された。これは、パターン層が形成された側の支持体の表面が、梨地処理されてなる表面であることに由来しているものと考えられる。この点から、前記パターンが、支持体とパターン層との間で界面剥離が生じることで発現していること、すなわち、要件(1)を満たすものであることが確認された。
一方で、比較例1の剥離検知ラベルは、前記粘着性積層体を有しない態様であり、被着体への糊残りが生じた。また、比較例2の剥離検知ラベルは、前記粘着性積層体中、基材層(Y)を有しない態様であり、被着体への糊残りが生じた。比較例1及び2の剥離検知ラベルの場合、被着体と貼合される粘着剤層の強度が劣る又は剥離検知ラベルを再剥離する時の当該粘着剤層の変形に追従できずに破断して糊残りが生じるものと考えられる。
また、比較例3の剥離検知ラベルは、粘着性積層体中の基材層の弾性率が10MPa未満と低いため、剥離検知ラベルの再剥離時に生じる引張応力によって粘着性積層体が破断してしまい、糊残りを生じてしまう結果となった。
また、比較例4の剥離検知ラベルは、支持体の全面にパターン層が形成されているため、支持体とパターン層との間で界面剥離が生じて、被着体側に糊残りが生じてしまう結果となった。そのため、文字発現性及び粘着力の評価は行わなかった。なお、比較例4の結果からも、前記実施例で発現するパターンが、支持体の表面の一部に形成されたパターン層と支持体との間で生じる界面剥離により発現していることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0214】
本発明の剥離検知ラベルは、各種容器等の開封有無の検知、パスポート等の各種証明書や製品証明等の識別若しくは証明用ラベルの剥離有無又は改ざん有無の検知等に使用され、かつ、被着体への糊残りが生じないことが要求される箇所で用いられる剥離検知ラベルとして有用である。
【符号の説明】
【0215】
101、102 剥離検知ラベル
1 支持体
2 パターン層
3 粘着剤層(X)
4 基材層(Y)
11 粘着性積層体
12 粘着性積層体(P1)
1a 支持体の表面
2a パターン層の表面
3a 粘着剤層(X)の貼付面
4a 基材層(Y)の表面
12a 粘着性積層体(P1)の貼付面
31 粘着剤層(X1)
32 粘着剤層(X2)
40 被着体
50 剥離検知ラベルを被着体から剥離する際に生じた空隙