(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】電池状態予測装置および電池状態予測方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/371 20190101AFI20231121BHJP
G01R 31/392 20190101ALI20231121BHJP
G01R 31/3842 20190101ALI20231121BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20231121BHJP
H01M 10/42 20060101ALI20231121BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231121BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20231121BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20231121BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20231121BHJP
B60L 58/16 20190101ALI20231121BHJP
【FI】
G01R31/371
G01R31/392
G01R31/3842
H01M10/48 P
H01M10/42 P
H01M10/48 301
H02J7/00 P
H02J7/00 Y
B60L3/00 S
B60L50/60
B60L58/12
B60L58/16
(21)【出願番号】P 2022500509
(86)(22)【出願日】2020-07-24
(86)【国際出願番号】 KR2020009784
(87)【国際公開番号】W WO2021020817
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】10-2019-0093275
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユーン、ホ ビュン
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2014-0042306(KR,A)
【文献】特開2009-296837(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0354289(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108736079(CN,A)
【文献】韓国登録特許第10-1527136(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0239365(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/371
G01R 31/392
G01R 31/3842
H01M 10/48
H01M 10/42
H02J 7/00
B60L 3/00
B60L 50/60
B60L 58/12
B60L 58/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パックに含まれた電池管理システムにより測定された複数の電池セルの温度、電流、及び電圧データの少なくとも1つを受信し、当該電池セルが用いられる車両から前記車両が走行中の第1環境情報を受信する第1通信部と、
外部から複数の環境での電池セルまたはパックの状態に対する実験データを受信する第2通信部と、
前記受信された複数の電池セルそれぞれの温度、電流、及び電圧の少なくとも1つと、前記第1環境情報と、前記実験データとを用いて、電池状態を予測する電池状態予測部と、を含み、
前記電池状態は、電池セルの充電状態および電池セルの劣化状態の少なくとも一方を含み、
前記電池セルの充電状態に基づいて、前記車両の走行距離を予測する走行可能距離予測部と、
前記電池セルの劣化状態に基づいて、前記電池セルが含まれた電池パックの急速充電電流および時間を予測する急速充電予測部と、
前記実験データに含まれた電池セルの発火データを用いて、電池セルの発火可能性を予測する電池セル発火予測部と、をさらに含み、
前記第1通信部は、前記走行可能距離予測部、前記急速充電予測部、または前記電池セル発火予測部により予測された結果値のうち少なくとも1つを前記電池管理システムに送信し、
前記第1通信部により送信された前記走行可能距離予測部、前記急速充電予測部、または前記電池セル発火予測部により予測された結果値が、前記車両のアルゴリズムにより算出された走行可能距離、急速充電電流および時間、または電池セルの発火可能性の予測結果値に対して予め設定された誤差範囲から外れると、前記第1通信部は前記車両から前記車両の第2環境情報を受信し、
前記第1環境情報と前記第2環境情報が同一な値であると、前記車両のアルゴリズム
が異常であると診断し、前記第1通信部が前記車両のアルゴリズム異常信号を送信するようにし、前記第1環境情報と前記第2環境情報が同一ではないと、前記電池セルの状態予測部が第2環境情報を用いて再び電池セルの状態を予測するようにする制御部をさらに含む、
電池状態予測装置。
【請求項2】
前記走行可能距離予測部、前記急速充電予測部、および前記電池セル発火予測部がそれぞれ第1時間の間隔で予め設定された回数だけ予測を行うことを1周期として予測を行い、1周期の予測の間、前記車両が走行する環境を示すデータの変化量が予め設定された第1数値以下であるか否かを判断する制御部をさらに含み、
前記1周期の予測の間、前記車両の環境を示すデータの変化量が予め設定された第1数値以下であると、前記走行可能距離予測部、前記急速充電予測部、および前記電池セル発火予測部の前記結果値を前記車両に伝送し、
前記1周期の予測の間、前記車両の環境を示すデータの変化量が予め設定された第1数値超過であると、前記走行可能距離予測部、前記急速充電予測部、および前記電池セル発火予測部は、変化した環境条件で再び結果値を予測する、請求項1に記載の電池状態予測装置。
【請求項3】
前記1周期は0.7秒以内に設定され、前記予め設定された回数は前記1周期に基づいて決定される、請求項2に記載の電池状態予測装置。
【請求項4】
前記予め設定された誤差範囲は5%である、請求項1に記載の電池状態予測装置。
【請求項5】
前記第1通信部により送信された前記走行可能距離予測部、前記急速充電予測部、または前記電池セル発火予測部により予測された結果値が、前記車両のアルゴリズムにより算出された走行可能距離、急速充電電流および時間、または電池セルの発火可能性の予測結果値が予め設定された誤差範囲から外れないと、
前記走行可能距離予測部、前記急速充電予測部、または前記電池セル発火予測部により予測された結果値が、車両のディスプレイ上に表示される、請求項1から4のいずれか一項に記載の電池状態予測装置。
【請求項6】
電池セルの温度、電流、および電圧の少なくとも1つと、車両が走行する環境情報とを用いて、電池セルの状態を予測する電池状態予測装置により行われる電池状態予測方法であって、
車両の電池管理システムにより測定された電池セルの温度、電流、および電圧の少なくとも1つと、前記車両が走行する第1環境情報と、実験データとを用いて、電池セルの状態を予測する第1ステップと、
前記予測された電池セルの状態を用いて、前記車両の走行可能距離、前記車両の急速充電電流および時間の少なくとも1つを予測する第2ステップと、を含み、
前記実験データは、複数の環境条件での電池セルの状態に対する実験結果に対するものであり、
前記実験データは、電池セルの発火データをさらに含み、
前記第2ステップは、予測された前記電池セルの状態と前記電池セルの発火データとを用いて、前記電池セルの発火可能性を予測するステップを含み、
予測された前記車両の走行可能距離、前記急速充電電流および時間、前記電池セルの発火可能性情報と、前記車両のアルゴリズムにより算出された走行可能距離、急速充電電流および時間、または電池セルの発火可能性の予測結果値との差が予め設定された誤差範囲から外れると、前記車両から新しい電池セルの温度、電流、および電圧と、車両が走行する第2環境情報とを受信して、前記第1環境情報と前記第2環境情報が同一な値であると、前記車両のアルゴリズム
が異常であると診断し、前記車両のアルゴリズム異常信号を送信するようにし、前記第1環境情報と前記第2環境情報が同一ではないと、前記第2環境情報を用いて前記第1ステップを再び行う、
電池状態予測方法。
【請求項7】
前記電池セルの状態は、電池セルの充電状態および電池セルの劣化状態を含み、
前記車両の走行可能距離は、前記電池セルの充電状態を用いて予測され、前記車両の急速充電電流および時間は、前記電池セルの劣化状態を用いて予測される、請求項6に記載の電池状態予測方法。
【請求項8】
前記第2ステップは、第1時間の間隔で予め設定された回数だけ行われることを1周期として行われ、第2ステップが1周期の間に行われる間、前記車両が走行する環境を示すデータの変化量が予め設定された第1数値以下であるか否かを判断するステップをさらに含み、
前記環境を示すデータの変化量が前記第1数値以下であると、前記予測された走行可能距離、急速充電電流および時間、および前記電池セルの発火可能性情報を前記車両に伝送し、
前記環境を示すデータの変化が前記第1数値超過であると、前記第1ステップを再び行う、請求項6に記載の電池状態予測方法。
【請求項9】
前記1周期は0.7秒以内に設定され、
前記予め設定された回数は前記1周期に基づいて決定される、請求項8に記載の電池状態予測方法。
【請求項10】
前記予め設定された誤差範囲は5%である、請求項6に記載の電池状態予測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2019年7月31日付けの韓国特許出願第10-2019-0093275号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、電池情報だけでなく、外部環境情報を用いて、電池状態を予測する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、二次電池に対する研究開発が活発に行われている。ここで、二次電池は、充放電が可能な電池であって、従来のNi/Cd電池、Ni/MH電池などと、最近のリチウムイオン電池とを何れも含む意味である。二次電池の中でも、リチウムイオン電池は、従来のNi/Cd電池、Ni/MH電池などに比べて、エネルギー密度が遥かに高いという長所がある、また、リチウムイオン電池は、小型、軽量に製作することができるため、移動機器の電源として用いられる。また、リチウムイオン電池は、電気自動車の電源にまでその使用範囲が拡張され、次世代エネルギー貯蔵媒体として注目を浴びている。
【0004】
また、二次電池は、一般的に複数の電池セルが直列および/または並列に連結された電池モジュールを含む電池パックとして用いられる。そして、電池パックは、電池管理システム(BATTERY MANAGEMENT SYSTEM、以下、「BMS」という)により、状態および動作が管理および制御される。
【0005】
特に、電気自動車のBMSは、電池セルの電圧、電流、および温度を測定し、現在の電池状態(充電状態、劣化程度、出力)を推定する。但し、このように、BMSは、現在の測定値を基準に電池セルの状態を推定して走行可能距離、出力可能電力を算出するが、未来に発生する走行環境に応じて変更される電池状態を予測することができないため、走行可能距離などの情報の正確な算出が難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、電気自動車の外部環境と同一な環境で実験された電池情報に対する実験データを用いて、さらに正確な電池状態を予測することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態に係る電池状態予測装置は、電池パックに含まれた電池管理システムにより測定された複数の電池セルの温度、電流、電圧データを受信し、当該電池セルが用いられる車両から前記車両が走行中の第1環境情報を受信する第1通信部と、外部から受信された多様な環境での電池セルまたはパックの状態に対する実験データを受信する第2通信部と、前記受信された複数の電池セルそれぞれの温度、電流、電圧、および前記第1環境情報と、前記状態実験データとを用いて、電池状態を予測する電池状態予測部と、を含み、前記電池状態は、電池セルの充電状態および電池セルの劣化状態を含むことを特徴とする。
【0008】
本開示の一実施形態に係る電池状態予測装置は、前記電池セルの充電状態に基づいて、前記車両の走行距離を予測する走行可能距離予測部と、前記電池セルの劣化状態に基づいて、前記電池セルが含まれた電池パックの急速充電電流および時間を予測する急速充電予測部と、前記実験データに含まれたセルの発火データを用いて、電池セルの発火可能性を予測する電池セル発火予測部と、をさらに含み、前記第1通信部は、前記走行可能距離予測部、前記急速充電予測部、または前記電池セル発火予測部により予測された結果値のうち少なくとも1つを前記電池管理システムに送信することを特徴とする。
【0009】
本開示の一実施形態に係る電池状態予測装置は、前記走行可能距離予測部、前記急速充電予測部、および前記電池セル発火予測部がそれぞれ第1時間の間隔で予め設定された回数だけ予測を行うことを1周期として予測を行い、1周期の予測の間、前記車両が走行する環境を示すデータの変化量が予め設定された第1数値以下であるか否かを判断する制御部をさらに含み、前記1周期の予測の間、前記車両の環境を示すデータの変化量が予め設定された第1数値以下であると、前記走行可能距離予測部、前記急速充電予測部、および前記電池セル発火予測部の前記結果値を前記車両に伝送し、前記1周期の予測の間、前記車両の環境を示すデータの変化量が予め設定された第1数値超過であると、前記走行可能距離予測部、前記急速充電予測部、および前記電池セル発火予測部は、変化した環境条件で再び結果値を予測することを特徴とする。
【0010】
本開示の一実施形態に係る電池状態予測装置において、前記1周期は0.7秒以内に設定されることができ、前記予め設定された回数は前記1周期に基づいて決定されることを特徴とする。
【0011】
本開示の一実施形態に係る電池状態予測装置において、前記第1通信部により送信された前記走行可能距離予測部、前記急速充電予測部、または前記電池セル発火予測部により予測された結果値が、前記車両のアルゴリズムにより算出された走行可能距離、急速充電電流および時間、または電池セルの発火可能性の予測結果値に対して予め設定された誤差範囲から外れると、前記第1通信部は前記車両から当該誤差情報および前記車両の第2環境情報を受信し、前記第1環境情報と前記第2環境情報が同一な値であると、前記車両のアルゴリズムの故障と診断し、前記第1通信部が前記車両のアルゴリズム異常信号を送信するようにし、前記第1環境測定データと前記第2環境測定データが同一ではないと、前記電池セルの状態予測部が第2環境測定データを用いて再び電池セルの状態を予測するようにする制御部をさらに含むことを特徴とする。
本開示の一実施形態に係る電池状態予測装置において、前記予め設定された誤差範囲は5%であることを特徴とする。
【0012】
本開示の一実施形態に係る電池状態予測装置において、前記第1通信部により送信された前記走行可能距離予測部、前記急速充電予測部、または前記電池セル発火予測部により予測された結果値が、前記車両のアルゴリズムにより算出された走行可能距離、急速充電電流および時間、または電池セルの発火可能性の予測結果値が予め設定された誤差範囲から外れないと、前記走行可能距離予測部、前記急速充電予測部、または前記電池セル発火予測部により予測された結果値が、車両のディスプレイ上に表示されることを特徴とする。
【0013】
本開示の一実施形態に係る電池状態予測方法は、電池セルの温度、電流、および電圧と、車両が走行する環境情報とを用いて、電池セルの状態を予測する電池状態予測装置により行われる、車両の電池管理システムにより測定された電池セルの温度、電流、および電圧と、前記車両が走行する環境情報と、実験データとを用いて、電池セルの状態を予測する第1ステップと、前記予測された電池セルの状態を用いて、前記車両の走行可能距離、前記車両の急速充電電流および時間を予測する第2ステップと、を含み、前記実験データは、多様な環境条件での電池セルの状態に対する実験結果に対するものであることを特徴とする。
【0014】
本開示の一実施形態に係る電池状態予測方法において、前記電池セルの状態は、電池セルの充電状態および電池セルの劣化状態を含み、前記車両の走行可能距離は、前記電池セルの充電状態を用いて予測され、前記車両の急速充電電流および時間は、前記電池セルの劣化状態を用いて予測されることを特徴とする。
【0015】
本開示の一実施形態に係る電池状態予測方法において、前記実験データは、セルの発火データをさらに含み、前記第2ステップは、予測された前記電池セルの状態と前記セルの発火データとを用いて、前記電池セルの発火可能性を予測するステップを含むことを特徴とする。
【0016】
本開示の一実施形態に係る電池状態予測方法は、前記第2ステップは、第1時間の間隔で予め設定された回数だけ行われることを1周期として行われ、第2ステップが1周期の間に行われる間、前記車両が走行する環境を示すデータの変化量が予め設定された第1数値以下であるか否かを判断するステップをさらに含み、前記環境を示すデータの変化量が前記第1数値以下であると、前記予測された走行可能距離、急速充電電流および時間、および前記電池セルの発火可能性情報を前記車両に伝送し、前記環境を示すデータの変化量が前記第1数値超過であると、前記第1ステップを再び行うことを特徴とする。
【0017】
本開示の一実施形態に係る電池状態予測方法において、前記1周期は0.7秒以内に設定されることができ、前記予め設定された回数は前記1周期に基づいて決定されることを特徴とする。
【0018】
本開示の一実施形態に係る電池状態予測方法において、予測された前記車両の走行可能距離、前記急速充電電流および時間、前記セルの発火可能性情報と、前記車両のアルゴリズムにより算出された走行可能距離、急速充電電流および時間、または電池セルの発火可能性の予測結果値との差が予め設定された誤差範囲から外れると、前記車両から新しい電池セルの温度、電流、および電圧と、車両が走行する環境情報とを受信して、前記第1ステップを再び行うことを特徴とする。
本開示の一実施形態に係る電池状態予測方法において、前記予め設定された誤差範囲は5%であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、電気自動車の外部環境と同一な環境で実験された電池情報に対する実験データを用いて、さらに正確な電池状態を予測できるという効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電池状態予測システムを示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態または他の実施形態に係る電池状態予測装置の構成図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る電池状態予測方法のフローチャートである。
【
図4】本発明の他の実施形態に係る電池状態予測方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して本発明の多様な実施形態について詳細に説明する。本文書において、図面上の同一な構成要素に対しては同一な参照符号を付し、同一な構成要素に対して重複した説明は省略する。
【0022】
本文書に開示されている本発明の多様な実施形態に対して、特定の構造的及び機能的説明は、単に本発明の実施形態を説明するための目的で例示されたものであり、本発明の多様な実施形態は、種々の形態で実施されてもよく、本文書に説明された実施形態に限定されるものと解釈されてはならない。
【0023】
多様な実施形態で用いられた「第1」、「第2」、「1番目」、または「2番目」などの表現は、多様な構成要素を、順序および/または重要度に関係なく修飾してもよく、当該構成要素を限定しない。例えば、本発明の権利範囲から逸脱せずに、第1構成要素は第2構成要素と命名してもよく、それと同様に、第2構成要素も第1構成要素に変更して命名してもよい。
【0024】
本文書で用いられた用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられたものであって、他の実施形態の範囲を限定しようとするものではない。単数の表現は、文脈上、明らかに他を意味しない限り、複数の表現を含んでもよい。
【0025】
技術的または科学的な用語を含めてここで用いられる全ての用語は、本発明の技術分野における通常の知識を有する者により一般的に理解されるものと同一な意味を有してもよい。一般的に用いられる辞書に定義された用語は、関連技術の文脈上有する意味と同一または類似した意味を有するものと解釈されてもよく、本文書で明らかに定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味に解釈されない。場合によっては、本文書で定義された用語であるとしても、本発明の実施形態を排除するように解釈されてはならない。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る電池状態予測システム1を示す図である。
電池状態予測システム1は、車両100、電池状態予測装置108としてのサーバ、および実験センター110を含むことができる。
【0027】
車両100には、電池セル102をモニターし制御する電池管理システム(BMS)104が含まれる。電池管理システム104は、電池セル102の温度、電流、および電圧を測定する。電池管理システム104は、リアルタイムで測定した電池セル102の温度、電流、および電圧値を含む電池セル情報を上位コントローラ106に伝送する。
【0028】
また、車両100には、各種外部環境を測定可能なセンサ105がある。外部環境としては、温度および湿度が挙げられるし、道路状態を含むこともできる。また、車両100のGPSを用いて走行している地域情報も環境的な要素として含まれることができる。また、外部環境は、車両が走行している全ての環境的な要素を含むことができ、全てが図示されてはいないが、このような全ての環境的な要素を測定可能な構成も車両100に含まれることができる。リアルタイムで測定された環境的な要素に対する測定値(環境情報)も上位コントローラ106に伝送される。
上位コントローラ106は、電池セル情報および環境情報をサーバ108に伝送する。
【0029】
一方、実験センター110は、多様な環境条件(温度、地域、天気、走行環境、時間)で実験を行い、多様な環境条件での電池セルの状態に対する実験データをサーバ108に伝送する。多様な環境条件には、例えば、高温多湿な地域+夏季、高温多湿な地域+冬季、砂漠地域+夏季、砂漠地域+冬季、高速道路環境、都心環境-渋滞、都心環境-円滑などが含まれることができる。実験センター110は、このような環境での電池セルの状態変化に対してそれぞれ実験する。また、実験データの多様な環境条件での電池セルの状態には、電池セルが発火し得る環境および状態データに関するデータであるセルの発火データも含まれる。
【0030】
サーバ108は、電池セル情報、環境情報、および実験データを受信する。
サーバ108は、受信された電池セル情報、環境情報、および実験データ上の情報を用いて、当該車両の電池セルの状態を予測することができる。サーバ108は、電池状態予測装置の機能を行う構成であって、以下では、「サーバ」および「電池状態予測装置」を混用して記載する。
【0031】
環境情報に対応した実験データを用いて予測された電池セルの状態は、単に電池の温度、電流、および電圧だけを用いて予測された電池セルの状態よりも正確な状態を予測することができる。車両が走行する環境に電池も影響を受けるためである。
【0032】
但し、ここで、サーバ108は、車両から環境情報を受信してもよいが、環境情報を別に受信せず、車両から受信された電池セル情報のリアルタイム変化量と実験データとを用いて、当該車両が走行している環境情報を類推して電池セルの状態を予測してもよい。
【0033】
サーバ108は、電池セルの状態から予測された電池セルの充電状態を用いて、車両の走行可能距離を予測する。また、サーバ108は、電池セルの状態から予測された電池セルの劣化状態を用いて、車両の急速充電電流および時間を予測する。
【0034】
また、サーバ108は、予測された電池セルの状態およびセルの発火データを用いて、電池セルの発火可能性に対して予測する。
サーバ108は、予測された車両の走行可能距離、車両の急速充電電流および時間、および電池セルの発火可能性に対する結果値を格納する。
【0035】
また、サーバ108は、リアルタイムで受信される車両の環境情報、電池セル情報、および実験データを用いて電池状態を予測し、車両の走行可能距離、車両の急速充電電流および時間、および電池セルの発火可能性に対する結果値を予測することができる。この際、かかる予測は、予め設定された予測周期で行われ、予測回数が予め設定された回数(例えば、5回)以上になると、予測された情報を車両に伝送する。すなわち、上述した予測周期で予め設定された回数だけ予測が繰り返し行われることを1周期として当該動作を繰り返す。
【0036】
ここで、予め設定された回数は、1周期が予め設定された時間以内になるように決定される。例えば、予め設定された時間は約0.5秒~0.7秒であってもよい。このような予め設定された時間は、電池セルに問題が発生した際、電池をシステムから分離しなければならない時間を考慮して決定されることができる。例えば、電池セルに問題が発生した際、1秒以内に電池をシステムから分離しなければならない場合であれば、予め設定された回数だけ予測を繰り返す時間が0.7秒以内になるように(残こりの0.3秒の間、電池をシステムから電気的に分離できるように)、上述した予測周期に基づいて、予め設定された回数を決定することができる。前述した回数および時間などは、説明のために例示したものにすぎず、これに限定されるものではなく、システムの仕様、BMS104の性能などの多様な条件に応じて変更可能であることは、通常の技術者であれば分かるはずである。
【0037】
また、サーバ108は、リアルタイムで受信される車両の環境情報を用いて、環境情報が変更されたか否かを判断する。環境情報がリアルタイムで変更され、その変化率が1周期内で20%以上であると、サーバ108は、予測された車両の走行可能距離、車両の急速充電電流、および電池セルの発火可能性に対する結果値を車両に伝送しない。サーバ108は、再び新たに車両から受信された電池情報および環境情報と、実験センターから受信された実験データとを用いて、電池セルの状態を予測する。すなわち、サーバは、再び予測周期を開始する。
【0038】
一方、本発明の他の実施形態として、車両が予測した電池セルの状態とサーバが予測した電池セルの状態とを比較して、電池セルの状態を予測することができる。
【0039】
具体的に、車両内のBMS104は、電池状態を従来の方式により予測する。BMS104が予測した電池状態を用いて、車両走行距離、急速充電電流および時間の予測、およびセルの発火可能性の予測を行う。次いで、BMS104は、リアルタイムで、サーバ108から、サーバ108により予測された電池セルの状態、走行可能距離、急速充電電流および時間、セルの発火可能性を受信し、それをBMS104が予測した値と比較する。比較の結果、BMS104が予測した値とサーバ108が予測した値との差が予め設定された範囲内であると、サーバ108から受信された走行可能距離、急速充電電流および時間、セルの発火可能性などを車両内のディスプレイ上に表示する。
【0040】
比較の結果、BMS104が予測した値とサーバ108が予測した値との差が予め設定された範囲を超過すると、車両走行環境が変化したか否かを判断する。変化していないと、車両の電池状態予測アルゴリズムが故障したと判断し、車両の外部環境が変化したと判断されると、再び測定された車両の環境情報および電池セル情報をサーバ108に伝送し、電池セルの状態予測をやり直す。
【0041】
図2は、本発明の一実施形態または他の実施形態に係る電池状態予測装置108の構成図である。
電池状態予測装置(
図1のサーバと対応)108は、第1通信部200、第2通信部202、状態予測部204、走行可能距離予測部206、急速充電予測部208、電池セル発火予測部210、格納部211、および制御部212を含む。
【0042】
第1通信部200は、車両から測定された電池セル情報および環境情報を受信する。
電池セル情報は、電池セルの電流、温度、および電圧値を含む。また、環境情報は、車両の走行環境に対する情報であって、温度、地域、天気、走行環境、時間情報などを含むことができる。
【0043】
第2通信部202は、実験センターから、多様な環境条件(温度、地域、天気、走行環境、時間)で実験を行って取得した、多様な環境条件での電池セルの状態に対する実験データを受信する。多様な環境条件には、例えば、高温多湿な地域+夏季、高温多湿な地域+冬季、砂漠地域+夏季、砂漠地域+冬季、高速道路環境、都心環境-渋滞、都心環境-円滑などが含まれることができる。実験センター110は、このような環境での電池セルの状態変化に対してそれぞれ実験する。また、実験データの多様な環境条件での電池セルの状態には、電池セルが発火し得る環境および状態データに関するデータであるセルの発火データも含まれる。
【0044】
第1通信部200および第2通信部202を別の構成として示しているが、これに限定されるものではなく、第1通信部200および第2通信部202が同一な通信プロトコルを用いる場合、1つの構成として車両および実験センターと通信を行ってもよい。
【0045】
状態予測部204は、第1通信部200が受信した電池セル情報および環境情報と、第2通信部202が受信した実験データとを用いて、電池状態を予測することができる。この際、状態予測部204は、車両の環境情報および電池情報と同一または類似した実験データを用いて、当該車両の電池状態を予測することができる。電池状態としては、電池セルの充電状態および電池セルの劣化状態を含むことができる。電池セルの劣化状態は、内部抵抗値により予測することができる。
【0046】
走行可能距離予測部206は、状態予測部204により予測された電池セルの充電状態を受信する。走行可能距離予測部206は、受信した電池セルの充電状態を用いて、車両の走行可能距離を算出する。また、走行可能距離予測部206は、受信した電池セルの充電状態だけでなく、受信した実験データおよび受信した車両の環境情報をさらに考慮して、車両の走行可能距離を算出してもよい。
【0047】
急速充電予測部208は、状態予測部204により予測された電池セルの劣化状態を受信する。急速充電予測部208は、受信した電池セルの劣化状態を用いて、車両の急速充電電流および時間を算出する。また、急速充電予測部208は、受信した実験データおよび受信した車両の環境情報をさらに考慮して、車両の急速充電電流および時間を算出することができる。
【0048】
電池セル発火予測部210は、実験データに含まれたセルの発火データ、車両から受信した環境情報および電池セル情報を用いて、電池セルの発火可能性を予測する。
格納部211は、車両の予測された走行可能距離、急速充電電流および時間、およびセルの発火可能性を格納する。
【0049】
制御部212は、車両の予測された走行可能距離、急速充電電流および時間、およびセルの発火可能性を格納し、かかる動作を1周期単位で繰り返す。例えば、1周期が一定の時間間隔(予測周期)で予め設定された回数、例えば、5回予測する期間とした際、1周期の間、車両の走行可能距離、急速充電電流および時間、およびセルの発火可能性を予測する。1周期の間、車両の走行可能距離、急速充電電流および時間、およびセルの発火可能性を一定の時間間隔で予め設定された回数を予測する間、1周期を開始する際の車両環境情報が予め設定された範囲、例えば20%以上に変更されるか否かを判断する。
【0050】
制御部212は、1周期の間、車両の環境情報が予め設定された範囲内でのみ変更されると、車両の予測された走行可能距離、急速充電電流および時間、およびセルの発火可能性情報を車両に伝送する。
【0051】
その反面、制御部212は、1周期の間、車両の環境情報が予め設定された範囲を超過して変更されると、再び車両から受信した電池情報および環境情報を用いて電池セルの状態を予測する。
【0052】
一方、車両から別の環境情報を受信せず、状態予測部204は、車両から受信した電池情報の変化量と、実験データとを用いて、車両の環境情報を類推することができる。
【0053】
一方、制御部212が1周期の間車両の環境変化を判断せず、車両側が判断することができる。
具体的に、第1通信部200が、車両に、予測された電池セルの状態、走行可能距離、急速充電電流および時間、およびセルの発火可能性情報を伝送する。
【0054】
車両が予測した電池セルの状態と電池状態予測装置が予測した電池セルの状態値の誤差範囲が予め設定された範囲内であると、車両は、電池状態予測装置により予測された走行可能距離、急速充電電流および時間、およびセルの発火可能性情報をディスプレイ上に表示する。
【0055】
図3は、本発明の一実施形態に係る電池状態予測方法のフローチャートである。
車両100には、電池セル102をモニターし制御する電池管理システム104が含まれる。電池管理システム104は、電池セル102の温度、電流、および電圧を測定する(S300)。電池管理システム104は、リアルタイムで測定した電池セル102の温度、電流、および電圧値を含む電池セル情報を上位コントローラ106に伝送する。
【0056】
また、車両100に取り付けられた各種センサを介して各種外部環境を測定する(S302)。外部環境としては、温度および湿度が挙げられるし、道路状態を含むことができる。また、車両100のGPSを用いて走行している地域情報も環境的な要素として含ませることができる。また、外部環境は、車両が走行している全ての環境的な要素を含むことができ、全てが図示されてはいないが、このような全ての環境的な要素を測定可能な構成も車両100に含まれることができる。リアルタイムで測定された環境的な要素に対する測定値(環境情報)も上位コントローラ106に伝送される。
上位コントローラ106は、電池セル情報および環境情報をサーバ108に伝送する(S304)。
【0057】
一方、実験センター110は、多様な環境条件(温度、地域、天気、走行環境、時間)で実験を行い、多様な環境条件での電池セルの状態に対する実験データをサーバである電池状態予測装置108に伝送する(S306)。
【0058】
電池状態予測装置108の第1通信部200は、車両100から測定された電池セル情報および環境情報を受信し、実験センター110から実験データを受信する(S308)。
【0059】
状態予測部204は、第1通信部200が受信した電池セル情報および環境情報と、第2通信部202が受信した実験データとを用いて、電池状態を予測する(S310)。
【0060】
この際、状態予測部204は、車両の環境情報および電池情報と同一または類似した実験データを用いて、当該車両の電池状態を予測することができる。電池状態としては、電池セルの充電状態および電池セルの劣化状態を含むことができる。電池セルの劣化状態は、内部抵抗値により予測することができる。すなわち、状態予測部204は、電池セルの状態を予測する際、当該電池セルの充電状態を予測し(S312)、当該電池セルの劣化状態を予測する(S314)。
【0061】
走行可能距離予測部206は、状態予測部204により予測された電池セルの充電状態を受信する。走行可能距離予測部206は、受信した電池セルの充電状態を用いて、車両の走行可能距離を算出する(S318)。また、走行可能距離予測部206は、受信した電池セルの充電状態だけでなく、受信した実験データおよび受信した車両の環境情報をさらに考慮して、車両の走行可能距離を算出してもよい。
【0062】
急速充電予測部208は、状態予測部204により予測された電池セルの劣化状態を受信する。急速充電予測部208は、受信した電池セルの劣化状態を用いて、車両の急速充電電流および時間を算出する(S320)。また、急速充電予測部208は、受信した実験データおよび受信した車両の環境情報をさらに考慮して、車両の急速充電電流および時間を算出することができる。
【0063】
電池セル発火予測部210は、実験データに含まれたセルの発火データ、車両から受信した環境情報および電池セル情報を用いて、電池セルの発火可能性を予測する(S316)。
格納部211は、車両の予測された走行可能距離、急速充電電流および時間、およびセルの発火可能性を格納する(S322)。
【0064】
制御部212は、車両の予測された走行可能距離、急速充電電流および時間、およびセルの発火可能性を格納した後、それぞれ予測された値が1周期の間測定されたか否か、および1周期の間車両の環境条件が予め設定された範囲内で変化したか否かを判断する(S324)。
【0065】
制御部212は、車両の予測された走行可能距離、急速充電電流および時間、およびセルの発火可能性を格納した後、それぞれ予測された値を1周期単位で測定する。例えば、1周期が一定の時間間隔で予め設定された回数、例えば、5回だけ予測する期間とした際、1周期の間、車両の走行可能距離、急速充電電流および時間、およびセルの発火可能性を予測する。1周期の間、車両の走行可能距離、急速充電電流および時間、およびセルの発火可能性を一定の時間間隔で予め設定された回数を予測する間、当該周期を開始する際の車両環境情報が予め設定された範囲、例えば20%以上に変更されるか否かを判断する(S324)。
【0066】
制御部212は、1周期の間、車両の環境情報が予め設定された範囲内で変更されると、車両の予測された走行可能距離、急速充電電流および時間、およびセルの発火可能性情報を車両に伝送する(S326)。
【0067】
その反面、制御部212は、1周期の間、車両の環境情報が予め設定された範囲を超過して変更されると、再び車両から受信した電池情報および環境情報を用いて電池セルの状態を予測するステップを再び実施する(S308、S310)。
【0068】
車両100は、電池状態予測装置108から受信した走行可能距離、急速充電電流および時間、およびセルの発火可能性情報をディスプレイ上に表示する(S328)。
【0069】
図4は、本発明の他の実施形態に係る電池状態予測方法のフローチャートである。
車両100には、電池セル102をモニターし制御する電池管理システム104が含まれる。電池管理システム104は、電池セル102の温度、電流、および電圧を測定する(S400)。電池管理システム104は、リアルタイムで測定した電池セル102の温度、電流、および電圧値を含む電池セル情報を上位コントローラ106に伝送する。
【0070】
また、車両100に取り付けられた各種センサを介して各種外部環境を測定する(S402)。外部環境としては、温度および湿度が挙げられるし、道路状態を含むこともできる。また、車両100のGPSを用いて走行している地域情報も環境的な要素として含ませることができる。また、外部環境は、車両が走行している全ての環境的な要素を含むことができ、全てが図示されてはいないが、このような全ての環境的な要素を測定可能な構成も車両100に含まれることができる。リアルタイムで測定された環境的な要素に対する測定値(環境情報)も上位コントローラ106に伝送される。
【0071】
車両100のBMSは、受信された電池セルの温度、電圧、および電流を用いて電池状態を推定する(S403)。車両において電池セルの状態を推定することは、当業者であれば容易に導き出すことができるため、詳しい説明は省略することにする。
上位コントローラ106は、電池セル情報および環境情報をサーバ108に伝送する(S404)。
【0072】
一方、実験センター110は、多様な環境条件(温度、地域、天気、走行環境、時間)で実験を行い、多様な環境条件での電池セルの状態に対する実験データをサーバ108に伝送する(S406)。
【0073】
サーバである電池状態予測装置108の第1通信部200は、車両100から測定された電池セル情報および環境情報を受信し、実験センター110から実験データを受信する(S408)。
【0074】
状態予測部204は、第1通信部200が受信した電池セル情報および環境情報と、第2通信部202が受信した実験データとを用いて、電池状態を予測する(S410)。
【0075】
この際、状態予測部204は、車両の環境情報および電池情報と同一または類似した実験データを用いて、当該車両の電池状態を予測することができる。電池状態としては、電池セルの充電状態および電池セルの劣化状態を含むことができる。電池セルの劣化状態は、内部抵抗値により予測することができる。すなわち、状態予測部204は、電池セルの状態を予測する際、当該電池セルの充電状態を予測し(S412)、当該電池セルの劣化状態を予測する(S414)。
【0076】
走行可能距離予測部206は、状態予測部204により予測された電池セルの充電状態を受信する。走行可能距離予測部206は、受信した電池セルの充電状態を用いて、車両の走行可能距離を算出する(S418)。また、走行可能距離予測部206は、受信した電池セルの充電状態だけでなく、受信した実験データおよび受信した車両の環境情報をさらに考慮して、車両の走行可能距離を算出してもよい。
【0077】
急速充電予測部208は、状態予測部204により予測された電池セルの劣化状態を受信する。急速充電予測部208は、受信した電池セルの劣化状態を用いて、車両の急速充電電流および時間を算出する(S420)。また、急速充電予測部208は、受信した実験データおよび受信した車両の環境情報をさらに考慮して、車両の急速充電電流および時間を算出することができる。
【0078】
電池セル発火予測部210は、実験データに含まれたセルの発火データ、車両から受信した環境情報および電池セル情報を用いて、電池セルの発火可能性を予測する(S416)。
【0079】
格納部211は、車両の予測された走行可能距離、急速充電電流および時間、およびセルの発火可能性を格納する(S422)。
第1通信部200は、予測された走行可能距離、急速充電電流および時間、およびセルの発火可能性情報を車両に伝送する(S424)。
【0080】
車両のBMS104は、リアルタイムでエネルギー状態予測装置108から予測された電池セルの状態、走行可能距離、急速充電電流および時間、セルの発火可能性を受信する。BMS104は、エネルギー状態予測装置108から受信した電池セルの状態値とBMS104が予測した電池セルの状態値との差値が予め設定された範囲、例えば5%以内にあるか否かを判断する(S425)。
【0081】
比較の結果、BMS104が予測した値とエネルギー状態予測装置108が予測した値との差が予め設定された範囲内であると、エネルギー状態予測装置108から受信された走行可能距離、急速充電電流および時間、セルの発火可能性などを車両内のディスプレイ上に表示する(S430)。
【0082】
比較の結果、BMS104が予測した値とエネルギー状態予測装置108が予測した値との差が予め設定された範囲を超過すると、車両走行環境が変化したか否かを判断する(S426)。
【0083】
変化していないと、車両の電池状態予測アルゴリズムが故障したと判断し(S428)、車両の外部環境が変化したと判断されると、再び測定された車両の環境情報および電池セル情報をエネルギー状態予測装置108に伝送し、電池セルの状態予測をやり直す(S400)。
【0084】
以上、本発明の実施形態を構成する全ての構成要素が1つに結合するかまたは結合して動作するものと説明されたからといって、本発明が必ずしもこのような実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明の目的の範囲内であれば、その全ての構成要素が1つ以上に選択的に結合して動作してもよい。
【0085】
また、以上に記載された「含む」、「構成する」、または「有する」などの用語は、特に反する記載がない限り、当該構成要素が内在できることを意味するため、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいものと解釈されなければならない。技術的または科学的な用語を含む全ての用語は、別に定義しない限り、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者により一般的に理解されるものと同一な意味を有する。辞書に定義された用語のように一般的に用いられる用語は、関連技術の文脈上の意味と一致するものと解釈されなければならず、本発明で明らかに定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味に解釈されない。
【0086】
以上の説明は本発明の技術思想を例示的に説明したものにすぎず、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲内で多様な修正および変形が可能であろう。よって、本発明に開示された実施形態は本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであって、このような実施形態により本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は後述の請求範囲により解釈されなければならず、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。