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▶ ヘレウス ドイチュラント ゲーエムベーハー ウント カンパニー カーゲーの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】電気化学セル用の高安定性触媒
(51)【国際特許分類】
   B01J 37/02 20060101AFI20231121BHJP
   B01J 35/10 20060101ALI20231121BHJP
   B01J 37/00 20060101ALI20231121BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20231121BHJP
   B01J 37/12 20060101ALI20231121BHJP
   B01J 37/16 20060101ALI20231121BHJP
   B01J 37/34 20060101ALI20231121BHJP
   C01B 32/205 20170101ALI20231121BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20231121BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20231121BHJP
   C25B 9/19 20210101ALI20231121BHJP
   C25B 11/054 20210101ALI20231121BHJP
   C25B 11/065 20210101ALI20231121BHJP
   C25B 11/081 20210101ALI20231121BHJP
   H01M 4/86 20060101ALI20231121BHJP
   H01M 4/88 20060101ALI20231121BHJP
   H01M 4/92 20060101ALI20231121BHJP
   H01M 8/10 20160101ALI20231121BHJP
【FI】
B01J37/02 101A
B01J35/10 301G
B01J37/00 K
B01J37/02 101E
B01J37/08
B01J37/12
B01J37/16
B01J37/34
C01B32/205
C25B1/04
C25B9/00 A
C25B9/19
C25B11/054
C25B11/065
C25B11/081
H01M4/86 B
H01M4/88 C
H01M4/88 K
H01M4/92
H01M8/10 101
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022524095
(86)(22)【出願日】2020-11-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-05
(86)【国際出願番号】 EP2020080965
(87)【国際公開番号】W WO2021089624
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-06-24
(31)【優先権主張番号】19206896.3
(32)【優先日】2019-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516039491
【氏名又は名称】ヘレウス ドイチュラント ゲーエムベーハー ウント カンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100102141
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 基憲
(74)【代理人】
【識別番号】100137316
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 宏
(72)【発明者】
【氏名】ハッシェ フレデリク
(72)【発明者】
【氏名】ネッセルベルガー マルクス
(72)【発明者】
【氏名】クヴェルツ ナディア
(72)【発明者】
【氏名】エヴァイナー フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】シュトイカ レオナルド
(72)【発明者】
【氏名】ミカウド-ベルンロヒナー ユリー
(72)【発明者】
【氏名】ラミレツ カストロ クラウディア
(72)【発明者】
【氏名】サムエリス ドミニク
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-311026(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0285392(US,A1)
【文献】国際公開第2019/081732(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/081735(WO,A1)
【文献】特表2011-514304(JP,A)
【文献】特開2006-012476(JP,A)
【文献】特表2017-524634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
C01B 32/00 - 32/991
C25B 1/04
C25B 9/00
C25B 9/19
C25B 11/054
C25B 11/065
C25B 11/081
H01M 4/86
H01M 4/88
H01M 4/92
H01M 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学セル用の触媒を製造する方法であって、
黒鉛化された多孔質の炭素材料を、酸素含有プラズマ又は酸化剤を含有する水性媒体で処理し、上記黒鉛化された多孔質の炭素材料の上記処理中の上記水性媒体の温度は70℃ ~100℃であり、
少なくとも1つの貴金属化合物を前記処理された炭素材料上に堆積させることにより、含浸された炭素材料を得て、
前記含浸された炭素材料を還元剤と接触させることにより、前記貴金属化合物を金属の貴金属に還元し、貴金属担持炭素材料を得る、
方法。
【請求項8】
少なくとも95体積%の酸素含有量を有するガスを前記酸素含有プラズマの生成に使用 する、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
黒鉛化された多孔質の炭素材料と上記黒鉛化された多孔質の炭素材料上に存在する貴金 属とを含む電気化学セル用の触媒であって、上記黒鉛化された多孔質の炭素材料が、粉末 回折によって特定される少なくとも0.15のLa/Lc比を有する黒鉛構造を有し、L aは前記黒鉛構造の基底面に対する平行方向の平均結晶子サイズであり、Lcは前記黒鉛 構造の基底面に対する垂直方向の平均結晶子サイズである、電気化学セル用の触媒。
【請求項16】
前記セルが、PEM燃料電池又はPEM電解セルである、請求項15に記載の電気化学セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学セル、特にPEM燃料電池又はPEM電解セルに使用することができ、高い安定性を有する触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
白金などの貴金属(単体金属として、又は合金の形態で)は、固体高分子形燃料電池(「PEM」燃料電池)中の触媒として使用される。アノードにおける水素の酸化及びカソードにおける酸素の還元の両方を、白金又は別の好適な貴金属によって触媒することができ、例えば、Springer Verlagから2008年に出版されたJ.Zhangの「PEM Fuel Cell Electrocatalysts and Catalyst Layers」のカソードにおける酸素の還元(「ORR」、「oxygen reduction reaction」)に関するpp110~115、及びアノードにおける水素の酸化(「HOR」、「hydrogen oxidation reaction」)に関するpp149~156を参照されたい。
【0003】
電気化学的活性の高い表面積を生成するために、触媒活性を有する白金含有材料が、基材材料上にナノ粒子の形態で提供されることが多い。基材としては炭素材料が多くの場合使用される。
【0004】
基材として使用される炭素材料は多孔質であり得る。目的とした様式の多孔度に調整することができる製造方法が、当業者に知られている。「ナノキャスティング」とも呼ばれる製造方法では、多孔質の無機固体(テンプレート又はホスト構造とも呼ばれる)を最初に、有機前駆体で適用して浸潤させる。熱処理によって無機テンプレートの細孔中に存在する有機前駆体を炭化させ、有機前駆体よりも炭素原子の割合が高い炭化した炭素材料を形成させる。次いで無機テンプレートを、例えば、酸又は塩基を作用させて除去し、炭化した炭素に富む材料を露出させる。「ナノキャスティング」法及びそれによって生成される多孔質の炭素材料の考えられる用途(例えば、触媒活性金属の基材材料として)は、例えば、J.YuのAcounts of Chemical Research,46,2013,pp1,397~1,406;P.StrasserらのChemPhysChem,13,2012,pp1,385~1,394;及びCh.NeumannらのJournal of Materials Chewmistry,22,2012,pp10,787~10,794に記載されている。
【0005】
PEM燃料電池の動作条件下では、基材として機能している炭素材料の酸化腐食が生じる可能性あり、基材材料へのこの損傷の結果として、燃料電池の電力が低下する可能性がある。
【0006】
例えば、PEM燃料電池の動作中に燃料水素(全体の反応の酸化パートナー)の欠乏がアノード側で生じる可能性がある。この現象は水素欠乏として知られており、電極電圧の極性の反転(「燃料電池の反転」)をもたらす。これにより、(CからCOへの)炭素の酸化が生じ、最終的には多孔質電極構造の崩壊と電力の低下をもたらす。燃料電池の起動又は停止中であっても、それはカソード側における炭素材料の酸化劣化につながる可能性がある。
【0007】
PEM燃料電池中の炭素材料の腐食安定性は、炭素材料が黒鉛化された場合に、特に、電極電圧の極性が反転する場合においても、又は、燃料電池の起動若しくは停止中においても、改善され得ることが知られており、例えば、C.ZhangらのCatalysts,2016,6,197,https://doi.org/10.3390/catal6120197;及びC.LiuらのJ.Mater.Chem.A,2017,5,pp1,808~1,825を参照されたい。
【0008】
黒鉛化された炭素とは、易黒鉛化性の出発材料の高温での熱処理の結果として、少なくとも部分的に黒鉛構造を有する炭素材料を意味すると理解され、例えば、H.B.BoehmらのPure & Appl.Chem.,67,1995,pp473~506を参照されたい。黒鉛構造は、例えば、X線回折チャートにおける対応する回折反射によって明らかになる。
【0009】
しかしながら黒鉛化は、炭素材料の比表面積の減少及び/又は炭素表面上の白金粒子の接着強度の低下をもたらす可能性がある。
【0010】
欧州特許出願公開第2,954,951(A1)号には、貴金属を担持させた多孔質の黒鉛化された炭素材料を製造する方法が記載されている。この方法では、テンプレートとして機能する多孔質の無機固体を最初に加えて、その後に、その細孔を液体の有機出発化合物(「前駆体」)で含浸させる。有機出発化合物を炭化させて炭化した炭素材料を形成した後、無機テンプレートを除去する。露出した炭化した炭素材料を熱処理によって黒鉛化させ、この黒鉛化された炭素材料を、次いで酸化雰囲気中で活性化処理する。活性化処理は、400~500℃の温度の空気中で行われる。活性化され黒鉛化された炭素材料は、白金金属粒子の基材として機能する。担持された組成物は、電気化学セル(例えば、燃料電池)中の触媒として使用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、PEM燃料電池又はPEM電解セルの動作条件下で高い腐食安定性を有する触媒を提供することである。PEM燃料電池で使用される場合、触媒は、アノード側の水素欠乏の場合であっても、又はカソード側の起動若しくは停止中であっても、高い耐食性を示さなければならない。好ましくは、高い安定性を得るために、活性の低下、例えば、低い電気化学的活性の表面積(EASA)を犠牲にするべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
目的は電気化学セル用の触媒を製造する方法であって、
黒鉛化された多孔質の炭素材料を、酸素含有プラズマ又は酸化剤を含有する水性媒体で処理し、
少なくとも1つの貴金属化合物を処理した炭素材料上に堆積させることにより、含浸された炭素材料を得て、
含浸された炭素材料を還元剤と接触させることにより、貴金属化合物を金属の貴金属に還元して、貴金属担持炭素材料を得る、方法によって実現される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
黒鉛化された多孔質の炭素材料は、当業者に知られており、既知の方法によって調製することができる、又は市販されている。例えば、多孔質の易黒鉛化性炭素材料を熱処理することにより(例えば、1400℃~3000℃の範囲の温度で)、黒鉛構造を有する領域を炭素材料中に形成させる。
【0014】
一実施形態では、黒鉛化された多孔質の炭素材料は、例えば、少なくとも60%、より好ましくは少なくとも63%の黒鉛化度を有する。例えば、黒鉛化度は60~90%、より好ましくは63~80%の範囲である。
【0015】
当業者に既知であり、例えば欧州特許出願公開第2,954,951(A1)号に記載されているように、黒鉛化度g(%)は、以下の式(1)によって特定することができ、
g=[(344pm-d002)/(344pm-335.4pm)]×100(1)
式中、d002は、黒鉛の基底面の距離であり、それは黒鉛化された炭素材料の粉末回折チャートにおける(002)面の回折反射に基づいて、既知のブラッグの式を使用して特定される。
【0016】
さらなる実施形態では、黒鉛化された多孔質の炭素材料は、例えば、少なくとも0.15のLa/Lc比を有する。好ましくは、La対Lcの比は0.15~3.0、より好ましくは0.15~1.5、又は0.15~0.5である。当業者に知られているように、La及びLcは黒鉛構造の基底面に対する平行方向(La)及び垂直方向(Lc)の平均結晶子サイズの尺度である。以下でより詳細に記載するように、La及びLcは、粉末回折及びシェラーの式の適用による既知の方法で特定される。La値の特定は、黒鉛化された炭素材料の粉末回折チャートにおける(100)面の回折反射(「100回折反射」)に基づいて行われ、Lc値の特定は、(002)面の回折反射(「002回折反射」)に基づいて行われる。
【0017】
黒鉛化された多孔質の炭素材料は、例えば、先ず有機出発化合物(有機「前駆体」)を炭化させることで炭化した炭素材料を得て、次いでこの炭化した炭素材料を黒鉛化させることによって得ることができる。当業者に知られているように、炭化の場合、有機前駆体を不活性雰囲気中で熱処理(熱分解)することで、炭化生成物として固体が得られ、その固体は前駆体よりも高い炭素含有量を有する。炭化は、例えば500℃~1200℃、より好ましくは500℃~900℃又は700℃~900℃の温度で行われる。以下でより詳細に記載するように、有機前駆体の炭化は、例えば、無機テンプレート材料の細孔内で起こすことができる。この場合、無機テンプレート材料と炭化生成物との間の反応を避けるために、好ましくは、炭化温度は500℃~900℃又は700℃~900℃であってよい。黒鉛化は、例えば1400℃~3000℃、より好ましくは2000℃~2500℃の範囲の温度で行われる。
【0018】
炭化及び黒鉛化によって黒鉛化された炭素材料に変換できる好適な有機出発化合物は、当業者に知られている。例えば、有機出発化合物は、ポリヒドロキシ化合物又はピッチである。
【0019】
ポリヒドロキシ化合物は、例えば、糖類、ポリビニルアルコール、又はフェノール樹脂である。例えば、単糖、二糖、オリゴ糖(3~10個の単糖単位)、又は多糖(例えば、デンプン)を糖類として使用することができる。
【0020】
ピッチは、タールの蒸留の残渣である。由来に応じて、例えば、コールタールピッチ、木タールピッチ、石油ピッチ、トール油ピッチ、又は魚油ピッチの間で区別することができる。ピッチは、概して熱可塑性材料である。
【0021】
好ましい実施形態では、黒鉛化された多孔質の炭素材料は、以下の工程を含む方法によって得ることができ、又は黒鉛化された多孔質の炭素材料は、以下の工程を含む方法によって製造され、方法は、
多孔質の無機固体を有機出発化合物で含浸させる工程、
多孔質の無機固体中に存在する有機出発化合物を炭化させることにより、炭化した炭素材料を得る工程、
無機固体を除去する工程、
無機固体の除去によって露出した炭化した炭素材料を黒鉛化させる工程、
を含む。
【0022】
好適な有機出発化合物に関しては上記の記載を参照することができる。好ましい実施形態では、ポリヒドロキシ化合物を有機出発化合物として使用し、それで多孔質の無機固体を含浸させる。本発明の状況で、ポリヒドロキシ化合物(例えば、糖類、ポリビニルアルコール、又はフェノール樹脂)を使用して黒鉛化された多孔質の炭素材料を製造した場合に、触媒組成物の酸化安定性及び電気化学的に活性な表面積のさらなる改善が実現できることを見出した。
【0023】
ナノキャスティングにおけるテンプレートとして使用することができる好適な多孔質固体は、当業者に知られている。例えば、多孔質固体は、SiO、Al、又は遷移金属酸化物である。多孔質の無機固体は、例えば、互いに連結された粒子からなってもよく、この場合、粒子間の空隙が、有機前駆体を吸収する細孔容積である。ナノキャスティングに使用できる無機テンプレートは、例えば、J.YuのAccounts of Chemical Research,46,2013,pp1,397~1,406;P.StrasserらのChemPhysChem,13,2012,pp1,385~1,394;及びCh.NeumannらのJournal of Materials Chemistry,22,2012,pp10,787~10,794;並びに欧州特許出願公開第2,954,951(A1)号及び欧州特許第2,528,879(B1)号に記載されている。
【0024】
含浸工程では、有機出発化合物は、好ましくは液体の形態(例えば、溶融した又は溶解した形態)で存在する。無機多孔質の固体を液体の有機出発化合物と接触させることにより、有機出発化合物は無機固体の細孔内に拡散することができる。
【0025】
無機多孔質の固体中に存在する有機出発化合物の好適な炭化温度に関しては、上記の記載を参照することができる。炭化は、例えば500℃~1200℃、より好ましくは500℃~900℃又は700℃~900℃の温度で行われる。炭化は、不活性ガス雰囲気中、例えばアルゴン下、又は好ましくは窒素下で行われる。炭化した生成物として、有機出発化合物よりも高い炭素含有量を有する固体が得られる。無機固体と炭化した炭素材料との間の反応のリスクを可能な限り低く保つために、炭化は、好ましくは500℃~900℃又は700℃~900℃で行われる。
【0026】
炭化した炭素材料を著しく損なうことなく無機固体を除去することができる方法が当業者に知られている。例えば、無機固体を酸又は塩基の作用によって除去する。
【0027】
無機固体の除去によって露出した炭化した炭素材料の好適な黒鉛化温度に関しては、上記の記載を参照することができる。黒鉛化は、例えば1400℃~3000℃、より好ましくは2000℃~2500℃の範囲の温度で行われる。
【0028】
好適な黒鉛化された多孔質の炭素材料はまた、例えばHeraeusからPorocarb(登録商標)の商標で市販されている。
【0029】
多孔質の黒鉛化された炭素材料は、例えば5m/g~200m/g、好ましくは10m/g~100m/g又は30~80m/gの範囲のBET比表面積を有する。
【0030】
多孔質の黒鉛化された炭素材料は、例えば0.7cm/g~3.5cm/g、好ましくは0.9cm/g~2.5cm/gの細孔容積を有する。例えば、細孔容積の少なくとも75%は、100nm~5000nmの範囲の細孔径を有するマクロ細孔によって占められる。
【0031】
好ましい実施形態では、多孔質の黒鉛化された炭素材料は、0.15~0.5の範囲のLa/Lc比及び30~80m/gの範囲のBET比表面積を有する。
【0032】
本発明の方法では、上記の黒鉛化された多孔質の炭素材料を、酸素含有プラズマ又は酸化剤を含有する水性媒体で処理する。
【0033】
プラズマは、例えば、低圧プラズマ、又は常圧若しくは大気圧プラズマである。低圧プラズマの場合、例えば、≦10mbar又はさらには≦1mbarという比較的低い圧力を有するガスをプラズマの生成に使用する。常圧プラズマの場合、ほぼ大気圧(1bar±0.1bar)でプラズマ生成を行う。
【0034】
酸素含有プラズマの生成に使用されるガスは、酸素(O)を含有する、又はさらには酸素からなる。酸素含有ガスはまた、酸素の他に、例えば、1つ以上の不活性なガス状成分を含有してもよい。プラズマ生成に使用される酸素含有ガスは、例えば、空気又はOに富む空気である。それはまた、例えば1つ以上の希ガスとの混合物中のOであってもよい。好ましくは、酸素含有プラズマの生成に使用されるガスは、酸素(O)を少なくとも20体積%、より好ましくは少なくとも95体積%の濃度で含む。
【0035】
プラズマは、例えば、50W~250Wの電力で操作される。
【0036】
黒鉛化された多孔質の炭素材料を、例えば10分~60分の間、酸素含有プラズマで処理する。
【0037】
水性媒体中に存在する酸化剤は、例えば、HNO、HSO、過マンガン酸塩(例えば、KMnO)、H、又は前述の酸化剤の少なくとも2つの混合物(例えば、HNOとHSOの混合物)である。
【0038】
酸化剤は、例えば少なくとも20重量%、例えば20重量%~80重量%の濃度で水性媒体中に存在する。
【0039】
好ましい実施形態では、酸化剤はHNOである。HNOを含有する水性媒体は、例えば、濃硝酸である。市販の濃硝酸のHNO含有量は約69重量%であることが知られている。
【0040】
黒鉛化された多孔質の炭素材料の処理中の水性媒体の温度は、例えば70℃~100℃、より好ましくは80℃~95℃である。
【0041】
黒鉛化された多孔質の炭素材料を、例えば30分~180分の間、酸化剤を含有する水性媒体で処理する。次いで、それを水で洗浄して乾燥させてよい。
【0042】
酸素含有プラズマ又は酸化剤を含有する水性媒体で処理した黒鉛化された多孔質の炭素材料は、例えば、X線光電子分光法(XPS)によって特定される0.1~10原子%、好ましくは0.5~5原子%の酸素含有量を有する。
【0043】
ラマンスペクトルにおいて、酸素含有プラズマ又は酸化剤を含有する水性媒体で処理した黒鉛化された多孔質の炭素材料は、例えば、GバンドとDバンドとを、少なくとも2.7、より好ましくは少なくとも3.3の強度比I/Iで有する。I/Iは、例えば2.7~4.2、より好ましくは3.3~3.9の範囲である。当業者に知られているように、Gバンドは約1582cm-1に現れ、Dバンドは約1350cm-1に現れる。
【0044】
上記のように、貴金属化合物を、酸素含有プラズマ又は酸化剤を含有する水性媒体で既に処理しておいた炭素材料上に堆積させることにより、含浸された炭素材料を得る。
【0045】
貴金属は、好ましくは白金族の金属であり、特に白金である。
【0046】
好ましい実施形態では、炭素材料上の貴金属化合物の堆積は、水性媒体中で行われる。
【0047】
基材材料への(好ましくは水性媒体中での)含浸及びその後の金属白金への還元に使用できる白金化合物は、当業者にとって既知である。
【0048】
例えば、白金化合物は、Pt(II)又は白金(IV)化合物、例えばPt(II)若しくはPt(IV)の塩又はPt(II)若しくはPt(IV)の錯体又はPtの有機金属化合物である。例示的な白金化合物は、ヘキサクロロ白金酸若しくはこの酸の塩、硝酸白金、ハロゲン化白金、白金アセチルアセトネート、若しくはシュウ酸白金、又はこれらの化合物の少なくとも2つの混合物であってよい。
【0049】
本発明による方法で生成される金属白金の粒子が、さらに合金元素を含有することになる場合、白金化合物の他に1つ以上の金属化合物も、水性媒体に添加されてよい。この場合、基材として機能する炭素材料は、白金化合物だけでなく、追加の金属化合物でも含浸される。このさらなる金属化合物は、例えば、貴金属又は別の遷移金属であってもよい。このさらなる化合物は、例えば、塩、錯体、又は有機金属化合物であってもよい。
【0050】
含浸工程において、炭素材料及びその上に堆積される白金化合物は、同時に、又は続けて水性媒体に導入してもよい。例えば、炭素材料を最初に水性媒体中に分散させ、次いで(例えば、水溶液の形態で)白金化合物を計量して加える。
【0051】
炭素材料を白金化合物で含浸させるための好適な条件は当業者に知られている。好ましくは、水性媒体は含浸工程中、連続的に撹拌される。
【0052】
水性媒体のpHは、含浸工程中に広い範囲にわたって変化し得る。例えば、含浸工程中に、水性媒体は最大9.5、より好ましくは最大6.0のpHを有する。
【0053】
含浸工程中の水性媒体の温度は、例えば20℃~95℃、より好ましくは40℃~90℃又は60℃~80℃であり、特に50℃~70℃である。
【0054】
白金化合物中に存在する白金の炭素材料に対する質量比は、例えば1/10~8/10、より好ましくは2/10~7/10である。
【0055】
炭素材料は、例えば0.05重量%~2.5重量%、より好ましくは0.1重量%~2.0重量%の量で水性媒体中に存在する。
【0056】
含浸工程の継続時間は、白金化合物が基材材料として機能する炭素材料上に十分な量で堆積できるように選択される。好適な継続時間は、日常的な実験に基づいて当業者によって決定することができる。
【0057】
含浸工程中に、白金化合物は炭素材料の表面に吸着される。炭素材料は多孔性であるため、それは特に内部の表面、すなわち細孔内にある表面である。含浸工程の結果として、含浸された(すなわち、白金化合物を担持させた)炭素材料を得る。
【0058】
上述のように、含浸された炭素材料を還元剤と接触させることにより、貴金属化合物を金属の貴金属に還元して、貴金属担持炭素材料を得る。
【0059】
既に上記で述べたように、金属の貴金属は、単体貴金属(例えば、単体白金)又は貴金属の合金(例えば、Pt合金)であってよく、合金の場合、貴金属は、好ましくは合金中の重量%として、最も高い濃度で存在する成分である。
【0060】
還元工程は、好ましくは水性媒体中で行われる。
【0061】
還元工程において、水性媒体は、例えば1.5~7.0の範囲のpHを有する。
【0062】
還元剤との接触の結果として、貴金属、好ましくは金属白金が、炭素材料上に、例えば粒子の形態で形成される。本発明による方法によって製造された貴金属担持炭素材料は、例えば5重量%~60重量%、より好ましくは15重量%~50重量%又は25重量%~50重量%の量で貴金属(好ましくは白金)を含有する。
【0063】
いくつかの例を挙げると、ギ酸、水素化ホウ素金属(例えば、NaBH及びLiBHなどの水素化ホウ素アルカリ金属)、アルカリ金属水素化物(例えば、水素化ナトリウム)、水素(H)、金属チオ硫酸塩(例えば、NaSなどのアルカリ金属チオ硫酸塩)、アルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド)、アルコール(例えば、イソプロパノールなどのモノヒドロキシアルコール)、ヒドラジン、ヒドラジン水和物、ヒドラジン塩酸塩、若しくはアスコルビン酸、又はこれらの還元剤の少なくとも2つの混合物を、還元剤として使用することができる。
【0064】
技術的な知識に基づいて、当業者は、使用する還元剤に応じて還元工程に好適な温度(すなわち、還元工程中の水性媒体の好適な温度)を特定することができる。還元工程において、水性媒体の温度は、例えば20℃~95℃、より好ましくは30℃~90℃、さらにより好ましくは50℃~80℃、特に50℃~70℃の範囲である。
【0065】
貴金属化合物を貴金属(単体貴金属又は貴金属合金である)に還元した後、触媒組成物を従来の方法によって水性媒体から単離して乾燥させてよい。
【0066】
本発明はまた、上記の本発明による方法によって得られる電気化学セル用の触媒にも関する。
【0067】
触媒は、黒鉛化された炭素材料と、この炭素材料上に存在する貴金属、特に白金とを含む。
【0068】
黒鉛化された炭素材料の好ましい特性に関しては、上記の記述を参照することができる。
【0069】
好ましい実施形態では、触媒は、以下の工程:
多孔質の無機固体を、ポリヒドロキシ化合物、特に、糖類、ポリビニルアルコール、又はフェノール樹脂で含浸させる工程、
多孔質の無機固体中に存在するポリヒドロキシ化合物を、好ましくは500~900℃の範囲の温度で、炭化させることにより、炭化した炭素材料を得る工程、
無機固体を除去する工程、
無機固体の除去によって露出した炭化した炭素材料を、好ましくは1400~3000℃、より好ましくは2000~2500℃の範囲の温度で、黒鉛化させることにより、黒鉛化された多孔質の炭素材料を得る工程、
黒鉛化された多孔質の炭素材料を、酸素含有プラズマ又は酸化剤を含有する水性媒体で処理する工程、
水性媒体中で、処理した炭素材料上に白金化合物を堆積させることにより、含浸された炭素材料を得る工程、
含浸された炭素材料を還元剤と接触させることにより、白金化合物を金属白金に還元し、白金担持炭素材料を得る工程、
を含む方法によって得ることができる。
【0070】
本発明はさらに、本発明による触媒を含む電気化学セルに関する。
【0071】
電気化学セルは、好ましくは固体高分子形燃料電池又は固体高分子形電解セル(水電解用)である。
【0072】
本発明で使用する測定方法を以下に詳述する。
【0073】
測定方法
粉末回折
黒鉛化度及び結晶子サイズLaとLcは、粉末回折によって特定した。
【0074】
粉末透過ジオメトリでの粉末回折を、STOE & CieのStadi P回折計で測定した。Ge-111フォーカシングモノクロメータは、λ=1.54060Åの単色の銅Kalpha1X線放射を与える(ジェネレータのパラメータ:40kV、30mA)。数mgの試料材料を軸ミルで細かく粉砕し、ホワイトグルーでセロファンフィルムの間に固定して、STOEの透過試料ホルダーに置いた。STOE IPPSD検出器を使用した。試料を、X線ビームに垂直な平面内の透過試料ホルダー中、50~150rpmで回転させた。STOE WinXPOWソフトウェアを試料収集に用いた。測定は8°~84°の2θの範囲で行い、記録時間は、8800秒であった。2θの増分は0.015°である。
【0075】
黒鉛化度
黒鉛化度g(%)は、以下の式(1):
g=[(344pm-d002)/(344pm-335.4pm)]×100 (1)
で特定し、式中、d002は、黒鉛の基底面の距離であり、それは黒鉛化された炭素材料の粉末回折チャートにおける(002)面の回折線に基づいて、既知のブラッグの式によって特定される。
当業者に既知のブラッグの式は以下の通りであり、
d=(nλ)/(2sinθ)
式中、
λはX線の波長であり、
nは回折次数であり、
θはブラッグ角である。
【0076】
結晶子サイズLa及びLcの特定
結晶子サイズLa及びLcは、ピークフィットによって合わせた六方晶の黒鉛構造の100(La、2θ=42.223°)及び002(Lc、2θ=26.382°)の反射の半値全幅(FWHM)から特定した。この目的のためにSTOEの結晶化度解析ソフトウェアを使用した。このソフトウェアは、当業者に知られているシェラー法又はシェラーの式を使用する。LaB試料を使用して機器による膨張を特定し、この機器による膨張を計算の前にフィッティングされたFWHM値から差し引いた。
当業者に既知のシェラーの式は以下の通りであり、
L=(Kλ)/((β-βinstcosθ)
式中、
Lは平均結晶子サイズであり、
Kは形状因子であり、
λはX線の波長であり、
βは反射の半値全幅(「FWHM」)であり、
βinstはLaB標準の半値全幅(「FWHM」)であり、
θはブラッグ角である。
La及びLcのそれぞれ場合において、0.9の形状因子を使用する。
【0077】
BET比表面積
BET比表面積は、BET理論に従って77Kで窒素を吸着質として用いて特定した(多点法、ISO 9277:2010)。
【0078】
細孔容積及び細孔径分布
細孔容積及び細孔径分布は、ISO15901-1:2016に従って水銀ポロシメトリで特定した。手順は以下の通りとした:試料質量30mg;水銀の表面張力0.48N/m;水銀の接触角140.0°;機器:Porotec Pascal 140+440、測定方法:スキャン;開始時圧入圧0.0128mPa;ディラトメーター:粉末、小容積;試料調製:真空下110℃で8時間。
【0079】
貴金属(例えば、白金)の含有量
貴金属含有量は、誘導結合プラズマを用いた発光分光分析(ICP-OES)によって特定した。
【0080】
電気化学的に活性な表面積(EASA)の特定
電気化学的に活性な表面積は、水素のアンダーポテンシャル析出の測定電荷から決定した。この目的のために、50mVs-1の電位掃引速度でのアルゴンで飽和させた電解質の分極曲線を使用した。電荷を、電気化学的二重層の静電容量を全体の時間での電流の積分から減算して得る。200μCcm-2の変換係数を使用して、白金の表面積を特定した。
【0081】
酸素含有量
酸素含有量はX線光電子分光法(XPS)によって特定する。測定は、X線光電子分光計(装置:PHI 5800 ESCAシステム)で、15kVのMg放射線(非単色化)のX線励起及び10分間の測定継続時間で行った。元素標準の感度係数に基づいて濃度を特定した。
【0082】
ラマンスペクトル、G及びDバンド強度比
それぞれの試料のラマンスペクトルを、532nmでのレーザー励起、約1.6mW(3.2%)の電力、及び30秒の励起継続時間で、3つの異なる測定点で記録した。分光計ソフトウェアを使用して、最初に、記録されたスペクトルのスペクトルの平滑化(ノイズ除去)、次いでベースライン補正を行った。関連するバンドをデコンボリューション(バンド分離)を使用して計算した。
【0083】
以下の実施例を参照して本発明をより詳細に説明する。
【実施例
【0084】
本発明による実施例1(EB1)
EB1では、黒鉛化された多孔質の炭素材料を、多孔質SiOテンプレートをスクロースで含浸させ、スクロースを炭化させ、SiOテンプレートを除去し、炭化した炭素材料を黒鉛化させることにより、ナノキャスティングによって製造した。
【0085】
酸素含有プラズマによる処理
黒鉛化された多孔質の炭素材料を酸素含有プラズマで処理した。プラズマの生成では、純粋な酸素、圧力:0.3mbar(低圧プラズマ)、電力:200Wであった。
プラズマ処理は30分行った。
【0086】
プラズマ処理した炭素材料上への白金化合物の堆積
6gのプラズマ処理した炭素材料を100mLの水でスラリー化し、二重シェル反応器に入れて、水を加えて2Lにした。混合物を撹拌し、懸濁液を70℃に加熱した。1時間保持した後、40gの硝酸のPt硝酸塩溶液(10重量%のPt)を計量して加え、次いで一定の混合及び温度で1時間保持した。
【0087】
金属白金への還元
NaCOを加えて水性媒体のpH値を5.6に調整した。これに続いて、還元剤として作用するギ酸を添加した。混合物を撹拌し、水性媒体の温度は70℃であった。還元中に炭素材料上に存在する白金化合物は金属白金に還元された。これにより、金属白金を担持した炭素材料を得た。0.5時間後、触媒組成物を水性媒体から濾別して、水で洗浄し、窒素雰囲気下110℃で乾燥させた。触媒組成物の白金含有量は、40重量%であった。
【0088】
本発明による実施例2(EB2)
EB2で使用する基材は同様に、多孔質SiOテンプレートをスクロースで含浸させ、スクロースを炭化させ、SiOテンプレートを除去し、炭化した炭素材料を黒鉛化させることにより、ナノキャスティングによって製造された黒鉛化された多孔質の炭素材料である。
【0089】
酸化剤を含有する水性媒体による処理
黒鉛化された多孔質の炭素材料を、撹拌しながら69重量%硝酸中に70℃で180分間分散させた。硝酸から取り出した後、処理した炭素材料を水で洗浄して乾燥させた。
【0090】
処理した炭素材料上への白金化合物の堆積
酸化剤を含有する水性媒体中で処理した炭素材料6gを、実施例EB1と同じ条件下、白金化合物で含浸させた。
【0091】
金属白金への還元
金属白金への還元は、実施例EB1と同じ条件下で行った。触媒組成物の白金含有量は、40重量%であった。
【0092】
比較例1(VB1)
本発明による実施例EB1及びEB2と同様に、比較例VB1で使用する黒鉛化された多孔質の炭素材料をナノキャスティングによって製造した。多孔質SiOテンプレートを、有機前駆体化合物としてRain Carbon,Inc.のピッチP15で含浸させ、前駆体化合物を炭化させ、SiOテンプレートを除去し、炭化した炭素材料を黒鉛化させた。
【0093】
空気中での熱処理
黒鉛化された多孔質の炭素材料を430℃で13時間、空気中で熱処理した。
【0094】
処理した炭素材料上への白金化合物の堆積
空気中で熱処理した炭素材料6gを、実施例EB1と同じ条件下、白金化合物で含浸させた。
【0095】
金属白金への還元
金属白金への還元は、実施例EB1と同じ条件下で行った。触媒組成物の白金含有量は、40重量%であった。
【0096】
EB1、EB2、及びVB1で調製した触媒組成物の開始/停止(SUSD)サイクル安定性の検討:
試験セルを、EB1、EB2、及びVB1で製造した触媒組成物を用いて調製し、セル電圧を始動/停止サイクルの回数の関数として特定した。SUSD試験は、GasteigerらによってJournal of the Electrochemical Society,165(16)F1349~F1357(2018)に記載されたように行った。
【0097】
結果は以下の通りであった:
EB1:220SUSDサイクル後に元の電圧の90%
EB2:240SUSDサイクル後に元の電圧の90%
VB1:70SUSDサイクル後に元の電圧の90%
【0098】
VB1で製造された触媒組成物を用いた試験セルと比較して、EB1及びEB2で製造された触媒組成物を用いた試験セルは、SUSDサイクル数の関数としてのセル電圧の低下が著しく小さいことを示している。これは、触媒の腐食安定性が高いためである。
【0099】
【表1】
【0100】
電気化学的に活性な表面積(EASA)
EB1及びVB1で調製した触媒組成物のそれぞれの場合について、電気化学的に活性な表面積を特定した。結果を表2に示す。
【0101】
【表2】
【0102】
本発明による方法で調製された触媒組成物は、貴金属の堆積前に炭素基材を空気中で熱処理した触媒組成物よりも著しく高い、電気化学的に活性な表面積を有する。