(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】メモリの調整方法、調整システム及び半導体デバイス
(51)【国際特許分類】
G11C 11/4074 20060101AFI20231121BHJP
G11C 5/14 20060101ALI20231121BHJP
G11C 7/04 20060101ALI20231121BHJP
H10B 12/00 20230101ALI20231121BHJP
H10B 53/00 20230101ALI20231121BHJP
【FI】
G11C11/4074 250
G11C5/14 420
G11C7/04
H10B12/00 601
H10B53/00
(21)【出願番号】P 2022562391
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(86)【国際出願番号】 CN2021103838
(87)【国際公開番号】W WO2022042023
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2022-10-12
(31)【優先権主張番号】202010879444.2
(32)【優先日】2020-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522246670
【氏名又は名称】チャンシン メモリー テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CHANGXIN MEMORY TECHNOLOGIES,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】▲ニン▼ 樹梁
(72)【発明者】
【氏名】何 軍
(72)【発明者】
【氏名】応 戦
(72)【発明者】
【氏名】劉 傑
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-149561(JP,A)
【文献】特開2016-157505(JP,A)
【文献】米国特許第07330388(US,B1)
【文献】特開2010-160837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 11/4074
G11C 5/14
G11C 7/04
H10B 12/00
H10B 53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリの調整方法であって、前記メモリは、トランジスタを備え、前記トランジスタのゲート電極は、メモリのワード線に電気的に接続され、前記トランジスタのソース電極/ドレイン電極の一端は、センスアンプを介してメモリのビット線に電気的に接続され、他端は、メモリの蓄積コンデンサに電気的に接続され、前記メモリの調整方法は、
前記トランジスタの温度と、前記センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧と、前記メモリの実際のデータ書き込み時間との間のマッピング関係を取得することと、
前記トランジスタの現在の温度を取得することと、
調整後の前記基板バイアス電圧に対応する前記実際のデータ書き込み時間が所定の書き込み時間内になるように、前記現在の温度及び前記マッピング関係に基づいて、前記基板バイアス電圧を調整することと、を含む、メモリの調整方法。
【請求項2】
前記現在の温度及び前記マッピング関係に基づいて、前記基板バイアス電圧を調整することは、
所定の書き込み時間に対応する所定の温度を取得することと、
前記現在の温度と前記所定の温度との温度差分値を取得することと、
前記温度差分値及び前記マッピング関係に基づいて、前記基板バイアス電圧を調整することと、を含む、
請求項1に記載のメモリの調整方法。
【請求項3】
前記温度差分値及び前記マッピング関係に基づいて、前記基板バイアス電圧を調整する前に、
前記温度差分値が所定の範囲を超えるかどうかを判断することと、
前記温度差分値が前記所定の範囲を超える場合、前記温度差分値及び前記マッピング関係に基づいて、前記基板バイアス電圧を調整することと、を更に含む、
請求項2に記載のメモリの調整方法。
【請求項4】
前記温度差分値及び前記マッピング関係に基づいて、前記基板バイアス電圧を調整することは、
前記マッピング関係に基づいて、前記現在の温度に対応する前記実際のデータ書き込み時間と前記所定の書き込み時間との時間差分値を取得することと、
前記マッピング関係及び前記時間差分値に基づいて、前記基板バイアス電圧を調整して、前記時間差分値を相殺することと、を含む、
請求項2又は3に記載のメモリの調整方法。
【請求項5】
前記所定の範囲は、少なくとも第1所定の範囲と第2所定の範囲とを含み、前記第2所定の範囲は、前記第1所定の範囲よりも大きく、
前記温度差分値が前記第1所定の範囲を超え、且つ前記第2所定の範囲を超えていない場合、前記基板バイアス電圧を大きくするか又は小さくし、増量又は減量は、第1所定値であり、
前記温度差分値が前記第2所定の範囲を超える場合、前記基板バイアス電圧を大きくするか又は小さくし、増量又は減量は、第2所定値であり、前記第2所定値は、前記第1所定値よりも大きい、
請求項3に記載のメモリの調整方法。
【請求項6】
前記トランジスタの温度と、前記センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧と、前記メモリの実際のデータ書き込み時間との間のマッピング関係を取得することは、
前記トランジスタの温度と前記メモリの実際のデータ書き込み時間との第1マッピング関係を取得することと、
前記センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧と前記メモリの実際のデータ書き込み時間との第2マッピング関係を取得することと、
前記第1マッピング関係及び前記第2マッピング関係に基づいて、前記トランジスタの温度と、前記センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧と、前記メモリの実際のデータ書き込み時間との間のマッピング関係を取得することと、を含む、
請求項1に記載のメモリの調整方法。
【請求項7】
メモリに適用されるメモリの調整システムであって、
トランジスタの温度と、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧と、メモリの実際のデータ書き込み時間との間のマッピング関係を取得するように構成される第1取得モジュールと、
前記トランジスタの現在の温度を取得するように構成される第2取得モジュールと、
前記現在の温度及び前記マッピング関係に基づいて、前記基板バイアス電圧の調整方式を取得するように構成される処理モジュールと、
調整後の前記基板バイアス電圧に対応する前記実際のデータ書き込み時間が所定の書き込み時間内になるように、前記調整方式に基づいて、前記基板バイアス電圧を調整するように構成される調整モジュールと、を備える、メモリの調整システム。
【請求項8】
前記第2取得モジュールは、前記メモリに設けられる温度センサを含む、
請求項7に記載のメモリの調整システム。
【請求項9】
前記処理モジュールは、
前記所定の書き込み時間に対応する所定の温度を取得し、前記現在の温度と前記所定の温度との温度差分値を取得するように構成される比較ユニットと、
前記温度差分値及び前記マッピング関係に基づいて、前記基板バイアス電圧の調整方式を取得するように構成される処理ユニットと、を備える、
請求項7に記載のメモリの調整システム。
【請求項10】
前記処理モジュールは、前記温度差分値が所定の範囲を超えるかどうかを判断するように構成される判断ユニットを更に備え、前記温度差分値が前記所定の範囲を超える場合、前記処理ユニットは、前記温度差分値及び前記マッピング関係に基づいて、前記基板バイアス電圧の調整方式を取得するように構成される、
請求項9に記載のメモリの調整システム。
【請求項11】
前記判断ユニットは、少なくとも第1判断サブユニットと、第2判断サブユニットとを備え、
前記第1判断サブユニットは、前記温度差分値が第1所定の範囲を超えるかどうかを判断するように構成され、
前記第2判断サブユニットは、前記温度差分値が第2所定の範囲を超えるかどうかを判断するように構成され、
前記第2所定の範囲は、前記第1所定の範囲よりも大きい、
請求項10に記載のメモリの調整システム。
【請求項12】
前記第1取得モジュールは、
前記トランジスタの温度と前記メモリの実際のデータ書き込み時間との第1マッピング関係を取得するように構成される第1取得サブモジュールと、
前記センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧と前記メモリの実際のデータ書き込み時間との第2マッピング関係を取得するように構成される第2取得サブモジュールと、
前記第1マッピング関係及び前記第2マッピング関係に基づいて、前記トランジスタの温度、前記センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧及びメモリの実際のデータ書き込み時間のマッピング関係を取得するように構成される第3取得サブモジュールと、を備える、
請求項7に記載のメモリの調整システム。
【請求項13】
半導体デバイスであって、メモリと、請求項7~12のいずれか1項に記載のメモリの調整システムと、を備え、前記メモリの調整システムは、調整後の前記基板バイアス電圧に対応する前記メモリの実際のデータ書き込み時間が所定の書き込み時間内になるように、前記メモリにおけるトランジスタの温度に基づいて、前記メモリにおけるセンスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧を調整する、半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2020年08月27日に提出された、出願番号が202010879444.2であり、出願名称が「メモリの調整方法、調整システム及び半導体デバイス」である中国特許出願に基づいて提出され、そして、当該中国特許出願に基づく優先権を主張し、その全内容が参照として本願に組み込まれる。
【0002】
本願の実施例は、半導体分野に関し、特にメモリの調整方法、調整システム及び半導体デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
メモリは、コンピュータの不可欠な3つの部材の1つとして、システムの性能を決定するキーデバイスである。これは、一時的な倉庫のように、データの中継、一時記憶を担う。
【0004】
メモリの重要性能指標は、メモリによるデータの読み/書き時間である。ゲートトランジスタやコンデンサの充電に時間を要しなければならず、即ち、メモリへのデータ書き込みに一定の書き込みサイクルを要するため、メモリへのデータ書き込みは、蓄積コンデンサに直ちに書き込むことではない。データ書き込みの正確性を確保するために、十分なデータ書き込み時間を予約する。
【0005】
しかしながら、メモリの実際のデータ書き込み時間が温度からの影響を受けることによって、メモリの実際のデータ書き込み時間は、予約された十分なデータ書き込み時間よりも大きく、データが蓄積コンデンサに完全に書き込まれていないことを引き起こす。
【発明の概要】
【0006】
本願の実施例の第1態様によれば、メモリの調整方法を提供する。メモリは、トランジスタを備え、トランジスタのゲート電極は、メモリのワード線に電気的に接続され、トランジスタのソース電極/ドレイン電極の一端は、センスアンプを介してメモリのビット線に電気的に接続され、他端は、メモリの蓄積コンデンサに電気的に接続され、前記メモリの調整方法は、トランジスタの温度と、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧と、メモリの実際のデータ書き込み時間との間のマッピング関係を取得することと、トランジスタの現在の温度を取得することと、調整後の基板バイアス電圧に対応する実際のデータ書き込み時間が所定の書き込み時間内になるように、現在の温度及びマッピング関係に基づいて、基板バイアス電圧を調整することと、を含む。
【0007】
従来技術に比べて、温度がメモリの実際のデータ書き込み時間に影響を及ぼすため、トランジスタの温度と、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧と、メモリの実際のデータ書き込み時間との間のマッピング関係を取得し、トランジスタの現在の温度に基づいて、メモリの実際のデータ書き込み時間を取得し、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧を調整することで、トランジスタの現在の温度でのメモリの実際のデータ書き込み時間を調整し、これにより調整後のメモリのデータ書き込み時間を所定の時間内にし、データを蓄積コンデンサに完全に書き込むことを確保する。
【0008】
本願の実施例の第2態様によれば、メモリの調整システムを提供する。前記調整システムは、トランジスタの温度と、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧と、メモリの実際のデータ書き込み時間との間のマッピング関係を取得するように構成される第1取得モジュールと、トランジスタの現在の温度を取得するように構成される第2取得モジュールと、現在の温度及びマッピング関係に基づいて、基板バイアス電圧の調整方式を取得するように構成される処理モジュールと、調整後の基板バイアス電圧に対応する実際のデータ書き込み時間が所定の書き込み時間内になるように、調整方式に基づいて、基板バイアス電圧を調整するように構成される調整モジュールと、を備える。
【0009】
本願の実施例の第3態様によれば、半導体デバイスを提供する。前記半導体デバイスは、メモリと、上記メモリ調整システムと、を備え、メモリ調整システムは、調整後の基板バイアス電圧に対応するメモリの実際のデータ書き込み時間が所定の書き込み時間内になるように、メモリにおけるトランジスタの温度に基づいて、メモリにおけるセンスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧を調整する。
【0010】
従来技術に比べて、温度がメモリの実際のデータ書き込み時間に影響を及ぼすため、第1取得モジュールによって、トランジスタの温度と、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧と、メモリの実際のデータ書き込み時間との間のマッピング関係を取得し、第2取得モジュールによって、トランジスタの現在の温度とメモリの実際のデータ書き込み時間を取得し、処理モジュールによって、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧の調整方式を取得し、続いて、調整モジュールによって、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧を調整することで、トランジスタの現在の温度でのメモリの実際のデータ書き込み時間を調整し、これにより調整後のメモリのデータ書き込み時間を所定の書き込み時間内にし、データを蓄積コンデンサに完全に書き込むことを確保する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本願の第1実施例によるメモリのトランジスタの接続構造概略図である。
【
図2】本願の第1実施例によるメモリの書き込みタイミングの構造概略図である。
【
図3】本願の第1実施例によるメモリの調整方法のフローチャートである。
【
図4】本願の第2実施例によるメモリの調整方法のフローチャートである。
【
図5】本願の第3実施例によるメモリの調整システムの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1つ又は複数の実施例は、それらに対応する図面におけるピクチャによって例示的に説明される。これらの例示的な説明は、実施例を限定するものではなく、特に断らない限り、図面中の図は比例制限を構成しない。
【0013】
メモリの実際のデータ書き込み時間が温度からの影響を受けることによって、実際のデータ書き込み時間は、予約された十分なデータ書き込み時間よりも大きく、データが蓄積コンデンサに完全に書き込まれていないことを引き起こす。
【0014】
上記問題を解決するために、本願の第1実施例は、メモリの調整方法を提供する。メモリは、トランジスタを備え、トランジスタのゲート電極は、メモリのワード線に電気的に接続され、トランジスタのソース電極/ドレイン電極の一端は、センスアンプを介してメモリのビット線に電気的に接続され、他端は、メモリの蓄積コンデンサに電気的に接続され、前記メモリの調整方法は、トランジスタの温度と、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧と、メモリの実際のデータ書き込み時間との間のマッピング関係を取得することと、トランジスタの現在の温度を取得することと、調整後の基板バイアス電圧に対応する実際のデータ書き込み時間が所定の書き込み時間内になるように、現在の温度及びマッピング関係に基づいて、基板バイアス電圧を調整することと、を含む。
【0015】
本願の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下、図面を参照しながら、本願の各実施例を詳しく説明する。しかしながら、当業者であれば理解できるように、本願の各実施例において、読者が本願をより理解するために多くの技術的詳細が提案されている。しかしながら、これらの技術的詳細と以下の各実施例に基づく種々の変更や修正がなくても、本願で保護が要求されている技術的解決手段を実現することができる。以下の各実施例の区分は、記述を容易にするためのものであり、本願の具体的な実現形態に対していかなる限定を構成するものではなく、各実施例は矛盾しない前提で相互に結合し、相互に援用することができる。
【0016】
図3は、本願の実施例によるメモリの調整方法に対応するフローチャートである。以下、本実施例のメモリの調整方法を具体的に説明する。
【0017】
図1を参照すると、
図1は、メモリにおける単一の記憶ユニットの構造概略図である。メモリにおいて、複数の蓄積コンデンサを有し、ターゲット蓄積コンデンサの選択は、ビット線構造(Bit Line:BL)及びワード線構造(Word Line:WL)によって実現される。ワード線構造は、トランジスタのゲート電極に接続され、ビット構造は、センスアンプ(Sense Amplifier:SA)を介してトランジスタのソース電極/ドレイン電極の一端に接続され、トランジスタのソース電極/ドレイン電極の他端は、蓄積コンデンサに接続される。このような方式で形成される接続構造において、トランジスタは、スイッチの役割を果たす。ワード線構造において、トランジスタに入力されたゲート電圧がトランジスタの閾値電圧よりも大きいと、トランジスタは、オンにされ、蓄積コンデンサとビット線構造との間で電気的接続を形成する。蓄積コンデンサの電圧がビット線構造の電圧よりも小さい時、蓄積コンデンサが放電し、即ち、データ読み取りプロセスを行う。蓄積コンデンサの電圧がビット線構造の電圧よりも大きい時、蓄積コンデンサが充電し、即ち、データ書き込みプロセスを行う。上述から分かるように、メモリによるデータ読み取り/書き込みは、メモリにおける蓄積コンデンサの充/放電によって実現される。充電において、充電プロセスの実行を確保するために、一定の時間がかかる。即ち、データを完全に書き込むことを確保するために、メモリにおいて、データの書き込みのために一定の時間を予約する必要がある。
【0018】
図2を参照すると、
図2は、メモリにおけるデータ書き込みのタイミング図である。説明すべきこととして、
図2は、一部の記憶領域の書き込みタイミングの概略図だけであり、本願の実施例を限定するものではなく、当業者に本方案の実現目的を了解させるためのものである。図示されるように、T0時刻で、データ書き込みを実行する命令を受信する。メモリに多くの蓄積コンデンサが含まれるため、データ書き込みを実行するために、ターゲット蓄積コンデンサを探し出す必要がある。即ち、T1~T9は、シーク時間である。ターゲット蓄積コンデンサを探し出した後、書き込み操作の実行を開始する。T9~T11は、書き込みプロセスの実行時間である。T11~T23は、書き込みの完全な実行を確保するための空き時間であり、即ち、ライトリカバリ(Write Recovery Time:tWR)である。T23の後は、プリチャージプロセスである。データを書き込んだ後に、メモリが次の操作命令を正常に実行できるために、ビット線構造に対してプリチャージを行わなければならない。ここで、T9~T23は、いずれも、メモリのデータ書き込み時間である。
【0019】
メモリが作動する前に、メモリに対して、メモリへのデータ書き込みのための1つの所定の書き込み時間を設定する。メモリの実際の作動プロセスにおいて、トランジスタの温度、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧などの要因によって、メモリの実際のデータ書き込み時間に影響を及ぼす。メモリの実際のデータ書き込み時間が所定の書き込み時間以下である時、メモリへのデータ書き込みは、正常に実行され、この時、空き時間が存在する。メモリの実際のデータ書き込み時間が所定の書き込み時間よりも大きい時、メモリへのデータ書き込みは、正常に実行できない。そして、所定の書き込み時間が大きすぎると、メモリの書き込み効率が比較的に低い。説明すべきこととして、本願の実施例において、トランジスタの温度は、トランジスタ自体の温度を指す。
【0020】
図3を参照すると、メモリの調整方法は、以下のステップを含む。
【0021】
説明すべきこととして、本願の実施例において、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧を調整することで、トランジスタの温度によるメモリの実際のデータ書き込み時間への影響を補償する。これは、他の条件がメモリの実際のデータ書き込み時間に影響を及ぼさないことを表さない。本願の実施例において、トランジスタの温度及びセンスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧に加えて、メモリの実際のデータ書き込み時間に影響を及ぼす条件は、不変のままの状態にあると黙認される。
【0022】
ステップ101において、温度と実際のデータ書き込み時間との第1マッピング関係を取得する。
【0023】
トランジスタの温度の温度が低下すると、トランジスタの接触抵抗Rが大きくなり、且つトランジスタの温度が低下すると、トランジスタの閾値電圧Vthが大きくなる。これに応じて、トランジスタの温度が上昇すると、トランジスタの接触抵抗Rが小さくなり、且つトランジスタの温度が上昇すると、トランジスタの閾値電圧Vthが小さくなる。
【0024】
上述した構造の記述から分かるように、トランジスタがオンにされる時のみ、ビット線構造と蓄積コンデンサとの間で電気的接続が形成される。トランジスタがオンにされることは、トランジスタのゲート電圧VgsがVthよりも大きく、且つVgsとVthとの差分値Vgs-Vthとトランジスタのソースドレイン電流Idsとが正の相関を示すことである。即ち、VgsとVthとの差分値Vgs-Vthが大きいほど、Idsが大きくなる。Idsは、蓄積コンデンサの充電電流とし、Idsが大きいほど、メモリの実際のデータ書き込み時間が短くなる。
【0025】
即ち、トランジスタの温度が低下すると、閾値電圧Vthが大きくなり、トランジスタのソースドレイン電流Idsが小さくなり、メモリの実際のデータ書き込み時間が長くなる。トランジスタの温度が上昇すると、閾値電圧Vthが小さくなり、トランジスタのソースドレイン電流Idsが大きくなり、メモリの実際のデータ書き込み時間が短くなる。
【0026】
具体的には、第1マッピング関係を取得することは、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧を不変のままに維持し、トランジスタの温度を変え、トランジスタの温度とメモリの実際のデータ書き込み時間との第1マッピング関係を取得することを含み、ここで、第1マッピング関係は、二次元マッピング関係であり、引数は、トランジスタの温度であり、従属変数は、メモリの実際のデータ書き込み時間である。続いて、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧を変え、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧を変えた後に、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧を不変のままに維持し、トランジスタの温度を変え、トランジスタの温度とメモリの実際のデータ書き込み時間との第1マッピング関係を取得することによって、異なるセンスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧でのメモリの実際のデータ書き込み時間がトランジスタの温度に伴って変化する第1マッピング関係を取得する。
【0027】
ステップ102において、基板バイアス電圧と実際のデータ書き込み時間との第2マッピング関係を取得する。
【0028】
トランジスタが線形増幅領域に位置し、且つトランジスタのゲート電圧Vgsが不変のままである時、トランジスタのソースドレイン電流Idsとトランジスタのソースドレイン電圧Vdsとが正の相関を示し、即ち、Vdsが大きいほど、Idsが大きくなる。前述した記述から分かるように、トランジスタのソースドレイン電流Idsを大きくし、蓄積コンデンサのデータ書き込み時間を小さくする。センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタに基板バイアス電圧Vbsが存在し、且つ基板バイアス電圧Vbsは、負の値(デフォルトでは、NMOSトランジスタである)であるため、基板とソース電極とのp-n接合を逆バイアスする。それによって、トランジスタの閾値電圧Vthが大きくなり、トランジスタのソースドレイン電流Idsが小さくなることを引き起こす。
【0029】
この時、アンプトランジスタVbsが小さいほど、アンプトランジスタの基板とソース電極とのp-n接合の逆バイアスの度合いが深刻になり、アンプトランジスタの閾値電圧Vthが大きくなり、センスアンプの増幅効果の低下を引き起こし、トランジスタに入力されるソースドレイン電圧Vdsが小さくなる。それによって、トランジスタのソースドレイン電流Idsが小さくなり、蓄積コンデンサのデータ書き込み時間が長くなる。これに応じて、アンプトランジスタVbsが大きいほど、アンプトランジスタの基板とソース電極とのp-n接合の逆バイアスの度合いが低くなり、アンプトランジスタの閾値電圧Vthが小さくなり、センスアンプの増幅効果が大きくなることを引き起こし、トランジスタに入力されるソースドレイン電圧Vdsが大きくなることによって、トランジスタのソースドレイン電流Idsが大きくなり、蓄積コンデンサのデータ書き込み時間が短くなる。
【0030】
具体的には、第2マッピング関係を取得することは、トランジスタの温度を不変のままに維持し、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧を変え、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧とメモリの実際のデータ書き込み時間との第2マッピング関係を取得することを含み、ここで、第2マッピング関係は、二次元マッピング関係であり、引数は、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧であり、従属変数は、メモリの実際のデータ書き込み時間である。続いて、トランジスタの温度を変え、トランジスタの温度を変えた後に、トランジスタの温度を不変のままに維持し、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧を変え、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧とメモリの実際のデータ書き込み時間との第2マッピング関係を取得することによって、異なる温度でのメモリの実際のデータ書き込み時間がセンスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧に伴って変化する第2マッピング関係を取得する。
【0031】
ステップ103において、温度と、基板バイアス電圧と、実際のデータ書き込み時間との間のマッピング関係を取得する。
【0032】
具体的には、第1マッピング関係及び第2マッピング関係に基づいて、トランジスタの温度と、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧と、メモリの実際のデータ書き込み時間との間のマッピング関係を取得し、マッピング関係は、三次元マッピング関係である。
【0033】
説明すべきこととして、本実施例のステップ101、ステップ102及びステップ103において、トランジスタの温度と、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧と、メモリの実際のデータ書き込み時間との間のマッピング関係を取得するための具体的な方法が提供されている。データは、一対一に対応し、メモリの実際のデータ書き込み時間の調整の正確性を確保する。他の実施例において、三者の関係を調整することによって、上記マッピング関係を直接的に取得することができる。
【0034】
ステップ104において、トランジスタの現在の温度を取得する。
【0035】
具体的には、本実施例において、メモリに設けられる温度センサによって、トランジスタの現在の温度を取得する。温度センサによって、トランジスタの現在の温度を直接的に取得すると、取得される温度が正確であり、誤差が比較的に小さい。他の実施例において、メモリの作動の環境温度を取得することによって、トランジスタの現在の温度を取得することもできる。
【0036】
ステップ105において、所定の温度、及び現在の温度と所定の温度との温度差分値を取得する。
【0037】
ステップ106において、温度差分値及びマッピング関係に基づいて、基板バイアス電圧を調整する。本実施例において、温度差分値及びマッピング関係に基づいて、基板バイアス電圧を調整する方式は、以下のステップを含む。
【0038】
ステップ116において、現在の温度に対応する実際のデータ書き込み時間と所定の書き込み時間との時間差分値を取得する。
【0039】
給電されて作動する前に、メモリにトランジスタの所定の温度、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの所定の基板バイアス電圧及びトランジスタの所定の書き込み時間が設定される。ここで、所定の温度、所定の基板バイアス電圧及び所定の書き込み時間は、上記マッピング関係を満たすこともできる。
【0040】
現在の温度と所定の温度との温度差分値に基づいて、現在の基板バイアス電圧でのメモリの実際のデータ書き込み時間と所定の書き込み時間との時間差分値を取得する。即ち、温度の変化によって引き起こされるメモリの実際のデータ書き込み時間の変化を取得する。
【0041】
ステップ126において、マッピング関係及び時間差分値に基づいて、基板バイアス電圧を調整し、時間差分値を相殺する。
【0042】
トランジスタの温度の変化がメモリの実際のデータ書き込み時間の変化を引き起こすが、この変化は、メモリの使用に有利であるとは限らない。従って、メモリの実際のデータ書き込み時間を安定化するために、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧を調整する必要がある。即ち、基板バイアス電圧を調整することで、時間差分値を相殺することによって、メモリの実際のデータ書き込み時間を安定化する。
【0043】
従来技術に比べて、温度がメモリの実際のデータ書き込み時間に影響を及ぼすため、トランジスタの温度と、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧と、メモリの実際のデータ書き込み時間との間のマッピング関係を取得し、トランジスタの現在の温度に基づいて、メモリの実際のデータ書き込み時間を取得し、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧を調整することで、トランジスタの現在の温度でのメモリの実際のデータ書き込み時間を調整し、これにより調整後のメモリのデータ書き込み時間を所定の時間内にし、データを蓄積コンデンサに完全に書き込むことを確保する。
【0044】
上記の各ステップの区分は、明確に説明するためのものだけであり、実現時に、1つのステップに統合してもよく、いくつかのステップを分割して複数のステップに分解してもよく、同じ論理関係を含む限り、いずれも本特許の保護範囲内にある。プロセスに重要ではない修正を追加したり、重要ではない設計を導入したりするが、プロセスを変更しないコア設計はすべてこの特許の保護範囲内にある。
【0045】
本願の第2実施例は、メモリの調整方法に関する。第1実施例との相違点は、本実施例において、温度差分値に基づいて基板バイアス電圧を調整する前に、温度差分値が所定の範囲を超えるかどうかを判断し、温度差分値が所定の範囲を超える場合のみ、実際のデータ書き込み時間を調整し、不必要な調整操作を無くし、調整コストを節約することである。
【0046】
図4は、本願の実施例によるメモリの調整方法に対応するフローチャートである。以下、本実施例のメモリの調整方法を具体的に説明する。
【0047】
図4を参照すると、メモリの調整方法は、以下のステップを含む。
【0048】
ステップ201において、温度と実際のデータ書き込み時間との第1マッピング関係を取得する。
【0049】
ステップ202において、基板バイアス電圧と実際のデータ書き込み時間との第2マッピング関係を取得する。
【0050】
ステップ203において、温度と、基板バイアス電圧と、実際のデータ書き込み時間との間のマッピング関係を取得する。
【0051】
ステップ204において、トランジスタの現在の温度を取得する。
【0052】
ステップ205において、所定の温度、及び現在の温度と所定の温度との温度差分値を取得する。
【0053】
ここで、ステップ201~ステップ205は、第1実施例におけるステップ101~ステップ105と同じであり、本実施例において、説明を省略する。
【0054】
ステップ206において、温度差分値が所定の範囲を超えるかどうかを判断する。
【0055】
本実施例において、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧を調整する前に、更に、トランジスタの現在の温度と所定の温度との温度差分値が所定の範囲を超えるかどうかを判断する。
【0056】
温度差分値が所定の範囲を超える場合、温度差分値及びマッピング関係に基づいて、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧を調整することを実行し、即ち、ステップ207を実行する。
【0057】
ステップ207において、温度差分値及びマッピング関係に基づいて、基板バイアス電圧を調整する。
【0058】
具体的には、現在の温度が所定の温度よりも大きくて温度差分値が所定の範囲を超え、且つトランジスタがN型トランジスタであると、調整方式は、基板バイアス電圧を大きくすることである。現在の温度が所定の温度よりも小さくて温度差分値が所定の範囲を超え、且つトランジスタがN型トランジスタであると、調整方式は、基板バイアス電圧を小さくすることである。現在の温度が所定の温度よりも大きくて温度差分値が所定の範囲を超え、且つトランジスタがP型トランジスタであると、調整方式は、基板バイアス電圧を小さくすることである。現在の温度が所定の温度よりも小さくて温度差分値が所定の範囲を超え、且つトランジスタがP型トランジスタであると、調整方式は、基板バイアス電圧を大きくすることである。
【0059】
更に、本実施例は、所定の範囲を更に分割する。所定の範囲は、少なくとも第1所定の範囲と第2所定の範囲とを含み、第2所定の範囲は、第1所定の範囲よりも大きい。
【0060】
温度差分値が第1所定の範囲を超え、且つ第2所定の範囲を超えていない場合、基板バイアス電圧を大きくするか又は小さくし、増量又は減量は、第1所定値である。温度差分値が第2所定の範囲を超える場合、基板バイアス電圧を大きくするか又は小さくし、増量又は減量は、第2所定値である。第2所定値は、第1所定値よりも大きく、且つ第1所定値と第2所定値は、一定値である。所定の範囲を分割して調整・制御することで、調整コストの節約に基づいて、メモリの実際のデータ書き込み時間の調整の正確性を向上させる。
【0061】
説明すべきこととして、他の実施例において、所定の範囲は、少なくとも3つのサブ所定範囲に分けられ、より多くのサブ所定範囲に分けることで、メモリの実際のデータ書き込み時間の調整の正確性を更に向上させる。
【0062】
従来技術に比べて、温度がメモリの実際のデータ書き込み時間に影響を及ぼすため、トランジスタの温度と、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧と、メモリの実際のデータ書き込み時間との間のマッピング関係を取得し、トランジスタの現在の温度に基づいて、メモリの実際のデータ書き込み時間を取得し、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧を調整することで、トランジスタの現在の温度でのメモリの実際のデータ書き込み時間を調整し、これにより調整後のメモリのデータ書き込み時間を所定の時間内にし、データを蓄積コンデンサに完全に書き込むことを確保する。
【0063】
上記の各ステップの区分は、明確に説明するためのものだけであり、実現時に、1つのステップに統合してもよく、いくつかのステップを分割して複数のステップに分解してもよく、同じ論理関係を含む限り、いずれも本特許の保護範囲内にある。プロセスに重要ではない修正を追加したり、重要ではない設計を導入したりするが、プロセスを変更しないコア設計はすべてこの特許の保護範囲内にある。
【0064】
本願の第3実施例は、メモリの調整システムに関する。
【0065】
図5を参照すると、以下、図面を参照しながら、本実施例によるメモリの調整システムを詳しく説明する。第1実施例及び第2実施例と同じであるか又は相応する部分について、以下では、詳細な説明を省略する。
【0066】
メモリの調整システム300は、以下を含む。
【0067】
第1取得モジュール301は、トランジスタの温度と、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧と、メモリの実際のデータ書き込み時間との間のマッピング関係を取得するように構成され、ここで、マッピング関係は、三次元マッピング関係である。
【0068】
第2取得モジュール302は、トランジスタの現在の温度を取得するように構成される。
【0069】
具体的には、本実施例において、メモリに設けられる温度センサによって、トランジスタの現在の温度を取得する。温度センサによって、トランジスタの現在の温度を直接的に取得すると、取得される温度が正確であり、誤差が比較的に小さい。他の実施例において、メモリの作動の環境温度を取得することによって、トランジスタの現在の温度を取得することもできる。
【0070】
処理モジュール303は、現在の温度及びマッピング関係に基づいて、基板バイアス電圧の調整方式を取得するように構成される。
【0071】
本実施例において、処理モジュールは、比較ユニット313と、処理ユニット333と、を備える。
【0072】
比較ユニット313は、所定の書き込み時間に対応する所定の温度を取得し、現在の温度と所定の温度との温度差分値を取得するように構成される。
【0073】
処理ユニット333は、温度差分値及びマッピング関係に基づいて、基板バイアス電圧の調整方式を取得するように構成される。
【0074】
具体的には、給電されて作動する前に、メモリにトランジスタの所定の温度、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの所定の基板バイアス電圧及びメモリの所定の書き込み時間が設定される。ここで、所定の温度、所定の基板バイアス電圧及び所定の書き込み時間は、上記マッピング関係を満たすこともできる。処理ユニット333は、現在の温度と所定の温度との温度差分値に基づいて、現在の基板バイアス電圧でのメモリの実際のデータ書き込み時間と所定の書き込み時間との時間差分値を取得する。即ち、温度の変化によって引き起こされるメモリの実際のデータ書き込み時間の変化を取得する。トランジスタの温度の変化がメモリの実際のデータ書き込み時間の変化を引き起こすが、この変化は、メモリの使用に有利であるとは限らない。従って、メモリの実際のデータ書き込み時間を安定化するために、処理ユニット333によってセンスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧を調整する必要がある。即ち、マッピング関係及び時間差分値に基づいて、基板バイアス電圧を調整し、時間差分値を相殺することによって、メモリの実際のデータ書き込み時間を安定化する。
【0075】
調整モジュール304は、調整後の基板バイアス電圧に対応する実際のデータ書き込み時間が所定の書き込み時間内になるように、調整方式に基づいて、基板バイアス電圧を調整するように構成される。
【0076】
一例において、第1取得モジュール301は、第1取得サブモジュール311と、第2取得サブモジュール321と、第3取得サブモジュール331と、を備える。
【0077】
第1取得サブモジュール311は、トランジスタの温度とメモリの実際のデータ書き込み時間との第1マッピング関係を取得するように構成される。具体的には、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧を不変のままに維持し、トランジスタの温度とメモリの実際のデータ書き込み時間との第1マッピング関係を取得し、ここで、引数は、トランジスタの温度であり、従属変数は、メモリの実際のデータ書き込み時間であり、第1マッピング関係は、二次元マッピング関係である。
【0078】
第2取得サブモジュール321は、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧と実際のデータ書き込み時間との第2マッピング関係を取得するように構成される。具体的には、トランジスタの温度を不変のままに維持し、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧とメモリの実際のデータ書き込み時間との第2マッピング関係を取得し、ここで、引数は、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧であり、従属変数は、メモリの実際のデータ書き込み時間であり、第2マッピング関係は、二次元マッピング関係である。
【0079】
第3取得サブモジュール331は、第1マッピング関係及び第2マッピング関係に基づいて、トランジスタの温度と、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧と、メモリの実際のデータ書き込み時間との間のマッピング関係を取得する。
【0080】
一例において、処理モジュール303は、温度差分値が所定の範囲を超えるかどうかを判断するように構成される判断ユニット323を更に備え、温度差分値が所定の範囲を超える場合、処理ユニット333は、温度差分値及びマッピング関係に基づいて、基板バイアス電圧の調整方式を取得するように構成される。
【0081】
具体的には、判断ユニット323は、少なくとも第1判断サブユニット305と、第2判断サブユニット306とを備える。所定の範囲を分割して調整・制御することで、調整コストの節約に基づいて、メモリの実際のデータ書き込み時間の調整の正確性を向上させる。
【0082】
第1判断サブユニット305は、温度差分値が第1所定の範囲を超えるかどうかを判断するように構成される。
【0083】
第2判断サブユニット306は、温度差分値が第2所定の範囲を超えるかどうかを判断するように構成され、第2所定の範囲は、第1所定の範囲よりも大きい。
【0084】
説明すべきこととして、他の実施例において、判断ユニットは、少なくとも3つの判断サブユニットを備え、所定の範囲は、少なくとも3つのサブ所定範囲に分けられ、より多くのサブ所定範囲に分けることで、メモリの実際のデータ書き込み時間の調整の正確性を更に向上させる。
【0085】
従来技術に比べて、温度がメモリの実際のデータ書き込み時間に影響を及ぼすため、第1取得モジュールによって、トランジスタの温度と、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧と、メモリの実際のデータ書き込み時間との間のマッピング関係を取得し、第2取得モジュールによって、トランジスタの現在の温度とメモリの実際のデータ書き込み時間を取得し、処理モジュールによって、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧の調整方式を取得し、続いて、調整モジュールによって、センスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧を調整することで、トランジスタの現在の温度でのメモリの実際のデータ書き込み時間を調整し、これにより調整後のメモリのデータ書き込み時間を所定の書き込み時間内にし、データを蓄積コンデンサに完全に書き込むことを確保する。
【0086】
注意すべきこととして、本実施例に係る各モジュールはいずれも論理モジュールであり、実際の応用において、1つの論理ユニットは1つの物理ユニットであってもよく、1つの物理ユニットの一部であってもよく、また複数の物理ユニットの組み合わせで実現されてもよい。なお、本願の革新的な部分を強調するために、本実施例では、本願で提案された技術的問題を解決するのにあまり密接な関係のないユニットは導入されていないが、これは本実施例に他のユニットが存在しないことを示しているわけではない。
【0087】
第1実施例及び第2実施例は本実施例に対応しているので、本実施例は第1実施例及び第2実施例と協働して実施することができる。第1実施例及び第2実施例で言及された関連技術の詳細は、本実施例において依然として有効であり、第1実施例及び第2実施例で達成できる技術的効果は、本実施例においても同様に実現することができ、重複を減らすために、ここでは説明を省略する。したがって、本実施例で言及された関連技術の詳細は、第1実施例及び第2実施例にも適用することができる。
【0088】
本願の第4実施例は、半導体デバイスに関する。
【0089】
半導体デバイスは、メモリと、第3実施例によるメモリ調整システムと、を備え、メモリ調整システムは、調整後の基板バイアス電圧に対応するメモリの実際のデータ書き込み時間が所定の書き込み時間内になるように、メモリにおけるトランジスタの温度に基づいて、メモリにおけるセンスアンプにおけるセンスアンプトランジスタの基板バイアス電圧を調整する。
【0090】
第1実施例及び第2実施例は本実施例に対応しているので、本実施例は第1実施例及び第2実施例と協働して実施することができる。第1実施例及び第2実施例で言及された関連技術の詳細は、本実施例において依然として有効であり、第1実施例及び第2実施例で達成できる技術的効果は、本実施例においても同様に実現することができ、重複を減らすために、ここでは説明を省略する。したがって、本実施例で言及された関連技術の詳細は、第1実施例及び第2実施例にも適用することができる。
【0091】
当業者であれば理解できるように、上記各実施例は、本願を実現する具体的な実施例であり、実際の応用において、本願の精神及び範囲から逸脱することなく、形式的および詳細に様々な変更を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本願の実施例は、メモリの調整方法及びメモリの調整システムを提供する。本願の実施例による調整方法において、トランジスタの温度、センスアンプのトランジスタの基板バイアス電圧及びメモリの実際のデータ書き込み時間のマッピング関係によって、基板バイアス電圧を調整する。このように、記憶デバイスに設けられるセンスアンプによって、温度に基づいて、基板バイアス電圧を調整することができ、トランジスタの現在の温度でのメモリの実際のデータ書き込み時間を調整し、それによって、調整後のメモリのデータ書き込み時間を所定の時間内にし、データを蓄積コンデンサに完全に書き込むことを確保する。