(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】温度センサ素子および温度センサ
(51)【国際特許分類】
H01C 1/032 20060101AFI20231121BHJP
H01C 7/04 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
H01C1/032
H01C7/04
(21)【出願番号】P 2023558998
(86)(22)【出願日】2023-06-23
(86)【国際出願番号】 JP2023023276
【審査請求日】2023-09-26
(31)【優先権主張番号】P 2022102365
(32)【優先日】2022-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000145242
【氏名又は名称】株式会社芝浦電子
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】新関 尚宏
【審査官】木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-12696(JP,A)
【文献】特開2014-16158(JP,A)
【文献】特開2009-170555(JP,A)
【文献】特開平11-251109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 1/032
H01C 7/02 - 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度によって電気抵抗が変化する感熱体と、
前記感熱体の周囲を覆う複数の被覆層と、
前記感熱体に接続されるとともに、前記被覆層を貫通して後端側に向けて引き出される一対の引出線と、を備え、
少なくともひとつの前記被覆層は、酸素供給酸化物とガラスとの混合物からなる、
ことを特徴とする温度センサ素子。
【請求項2】
複数の前記被覆層は、
前記感熱体を基準にして最も内側に設けられる第一被覆層と、
前記第一被覆層の周囲を覆うとともに、前記第一被覆層を貫通して引き出される一対の前記引出線の周囲を覆う第二被覆層と、
前記第二被覆層の周囲を覆う第三被覆層と、を備え、
前記第一被覆層、前記第二被覆層および第三被覆層のいずれか一つの層が、前記酸素供給酸化物と前記ガラスとの混合物からなる、
請求項1に記載の温度センサ素子。
【請求項3】
前記酸素供給酸化物は、遷移金属元素の酸化物からなる、
請求項1または請求項2に記載の温度センサ素子。
【請求項4】
前記遷移金属元素は、
Cr,Mn,Fe,Ni,Co,Ta,WおよびCuの少なくとも一種である、
請求項3に記載の温度センサ素子。
【請求項5】
前記酸素供給酸化物は、希土類金属元素の酸化物からなる、
請求項1または請求項2に記載の温度センサ素子。
【請求項6】
前記希土類金属元素は、
La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,YbおよびLuの少なくとも一種である、
請求項5に記載の温度センサ素子。
【請求項7】
前記第一被覆層は、第一酸化物粉末、または、前記第一酸化物粉末と前記ガラスの混合物から構成され、
前記第三被覆層は、第三酸化物粉末と前記ガラスとの混合物から構成される、
請求項2に記載の温度センサ素子。
【請求項8】
前記第一酸化物粉末は、前記感熱体を構成するサーミスタの粉末からなる、
請求項7に記載の温度センサ素子。
【請求項9】
前記第二被覆層は、
前記第一被覆層を貫通して引き出される一対の前記引出線の周囲を覆うとともに、前記第一被覆層と前記第三被覆層の間において、前記第一被覆層を覆う、
請求項2に記載の温度センサ素子。
【請求項10】
前記第二被覆層は、前記第一被覆層を貫通して引き出される一対の前記引出線の周囲を限定して覆い、
前記第一被覆層と前記第三被覆層が直に接している、
請求項2に記載の温度センサ素子。
【請求項11】
請求項1または請求項2に記載の温度センサ素子を備えること、
を特徴とする温度センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度変化に応じて電気的特性が変化するサーミスタなどの感熱体を備える温度センサ素子に関する。
【背景技術】
【0002】
温度センサ素子としては、例えば導電性酸化物焼結体からなるサーミスタと、サーミスタの周囲を被覆する被覆層と、サーミスタに接続されるとともに被覆層を貫通して引き出される一組の引出線と、を備える。
【0003】
この温度センサ素子を還元性ガス雰囲気下で使用していると、被覆層と引出線との界面を通じて還元性ガスがサーミスタまで侵入してしまう。サーミスタは酸化物であるから、侵入してきた還元性ガスにより還元されてしまい、温度センサ素子としての温度検出精度が低下することがある。
【0004】
以上の課題に対して、特許文献1は、サーミスタの周囲を被覆する第1被覆層に加えて、第1被覆層の外表面のうち引出線の延出部分を取り囲み、酸素供給酸化物を主に含んで形成される第2被覆層を備える。特許文献1における酸素供給酸化物は、Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Ce,Prのうち少なくとも1つの酸化物を含む。特許文献1は、引出線と第1被覆層との界面に隙間が存在する場合であっても、酸素供給酸化物を含む第2被覆層を備えることで、サーミスタが強い還元雰囲気に晒されても、還元反応を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1においては、強い還元性雰囲気における使用を長時間続けると、酸素供給酸化物が枯渇することが懸念される。
そこで、本発明は、酸素供給の向上を図り、感熱体の還元反応を抑制できる温度センサ素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の温度センサ素子は、温度によって電気抵抗が変化する感熱体と、感熱体の周囲を覆う複数の被覆層と、感熱体に接続されるとともに、被覆層を貫通して後端側に向けて引き出される一対の引出線と、を備える。
本発明の温度センサ素子において、少なくとも一つの被覆層は、酸素供給酸化物とガラスとの混合物からなる。
【0008】
本発明の温度センサ素子における複数の被覆層は、好ましくは、感熱体を基準にして最も内側に設けられる第一被覆層と、第一被覆層の周囲を覆うとともに、第一被覆層を貫通して引き出される一対の引出線の周囲を覆う第二被覆層と、第二被覆層の周囲を覆う第三被覆層と、を備える。第一被覆層、第二被覆層および第三被覆層のいずれか一つの層が、酸素供給酸化物とガラスとの混合物からなる。
【0009】
本発明の温度センサ素子における酸素供給酸化物は、好ましくは、遷移金属元素の酸化物とすることができる。この遷移金属元素としては、好ましくは、Cr,Mn,Fe,Ni,Ta,WおよびCuの少なくとも一種とすることができる。
【0010】
本発明の温度センサ素子における酸素供給酸化物は、好ましくは、希土類金属元素の酸化物とすることができる。この希土類金属元素としては、La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,YbおよびLuの少なくとも一種とすることができる。
【0011】
本発明の温度センサ素子において、第一被覆層は、第一酸化物粉末、または、第一酸化物粉末とガラスの混合物から構成され、第三被覆層は、第三酸化物粉末とガラスとの混合物とすることが好ましい。
この第一酸化物粉末としては、感熱体を構成するサーミスタの粉末とすることができる。
【0012】
さらに本発明において、第二被覆層は、第一被覆層を貫通して引き出される一対の引出線の周囲を覆うとともに、第一被覆層と第三被覆層の間において、第一被覆層を覆う形態にできる。
さらに本発明においては、第二被覆層は、第一被覆層を貫通して引き出される一対の引出線の周囲を限定して覆い、第一被覆層と第三被覆層が直に接する形態にできる。
【0013】
さらに本発明は、以上の温度センサ素子を備える温度センサを提供できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、引出線の周囲に設けられるガラスを含む第2被覆層から酸素を供給することを通じて、強い還元性雰囲気における使用を長時間続けても、感熱体の還元反応を抑制できる温度センサ素子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態に係るサーミスタ素子の概略構成を示す縦断面図である。
【
図2】第1実施形態に係るサーミスタ素子を製造する手順を示すフロー図である。
【
図3】
図2に加えて、第1実施形態に係るサーミスタ素子を製造する工程を示す図である。
【
図4】
図3に引き続き、第1実施形態に係るサーミスタ素子を製造する工程を示す図である。
【
図5】第2実施形態に係るサーミスタ素子の概略構成を示す縦断面図である。
【
図6】第2実施形態に係るサーミスタ素子を製造する工程を示す図である。
【
図7】酸素供給酸化物であるPr
6O
11粉末の示差熱天秤-質量分析装置(TG―MS)による酸素の放出曲線を示すグラフである。
【
図8】酸素供給酸化物であるTb
4O
7粉末の示差熱天秤-質量分析装置(TG―MS)による酸素(O-2)の放出曲線を示すグラフである。
【
図9】第二被覆層から酸素が放出される挙動を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
本発明の一実施形態に係る温度センサ素子1について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る温度センサ素子1は、
図1に示すように、サーミスタ素子3と被覆層5と、を備えている。サーミスタ素子3は、温度によって電気的特性、例えば電気抵抗値が変化する感熱体11と、感熱体11の対向する側面に形成される一対の電極13,13と、電極13,13のそれぞれに接続される一対の引出線15,15と、電極13,13と引出線15,15を電気的に接続する接続電極17,17と、を備える。また、被覆層5は、感熱体11を引出線15,15の一部とともに覆う第一被覆層20と、第一被覆層20の外側を覆う第三被覆層30と、第一被覆層20と第三被覆層30の間に介在する第二被覆層25と、を備える。
【0017】
温度センサ素子1は、第一被覆層20と第三被覆層30の間に第二被覆層25を設けるが、この第二被覆層25に詳しくは後述する酸素供給効果を担わせる。温度センサ素子1は、還元性雰囲気、例えば水素を含む雰囲気下において、感熱体11の電気抵抗値の変化率を小さく抑えることができる。
なお、ここでは具体的な記載を省略するが、温度センサ素子1は、ステンレス鋼、Ni超合金などの耐熱性および耐酸化性に優れた金属製の保護管の内部に収容されて使用されることがある。
以下、温度センサ素子1の各要素について説明したのちに、温度センサ素子1の作用および効果について説明する。
【0018】
[感熱体11]
感熱体11には、サーミスタ焼結体が用いられる。サーミスタはthermally sensitive resistorの略称であり、温度によって電気抵抗値が変化することを利用して温度を測定する金属酸化物である。
サーミスタは、NTC(negative temperature coefficient)サーミスタとPTC(positive temperature coefficient)に区分されるが、本発明はいずれのサーミスタをも使用できる。
【0019】
NTCサーミスタとして典型的なスピネル構造を有する酸化マンガン(Mn3O4)を基本組成とする酸化物焼結体を感熱体11に用いることができる。この基本組成にM元素(Ni、Co、Fe、Cu、Al及びCrの1種又は2種以上)を加えたMxMn3-xO4の組成を有する酸化物焼結体を感熱体11に用いることができる。さらに、V、B、Ba、Bi、Ca、La、Sb、Sr、Ti及びZrの1種又は2種以上を加えることができる。
また、NTCサーミスタとして典型的なペロブスカイト構造を有する複合酸化物、例えばYCrO3を基本構成とする酸化物焼結体を感熱体11に用いることができる。このNTCサーミスタとしては、Y2O3相と、Y(Cr,Mn)O3相、YCrO3相およびYMnO3相の中の少なくとも1種とを備えている、焼結体が最も典型的である。
【0020】
[サーミスタ焼結体の製造方法]
サーミスタ焼結体からなる感熱体11は、原料粉末の秤量、原料粉末の混合、原料粉末の乾燥、仮焼き、仮焼き後の混合・粉砕、乾燥・造粒、成形および焼結の工程を経ることにより製造される。以下、Y2O3相とY(Cr,Mn)O3相を備えるサーミスタ焼結体を例にして各工程を説明する。
【0021】
[原料粉末の秤量]
酸化イットリウム(Y2O3)粉末、酸化クロム(Cr2O3)粉末、酸化マンガン(MnO,Mn2O3,Mn3O4等)粉末および炭酸カルシウム(CaCO3)粉末を含む原料粉末を、上述した化学組成となるように秤量する。
なお、本実施形態において、粉末とは複数の粒子から構成されるものである。
【0022】
Y2O3粉末はY2O3相の生成に寄与し、Y2O3粉末、Cr2O3粉末および酸化マンガン粉末(Mn3O4粉末)はY(Cr,Mn)O3相の生成に寄与する。CaCO3粉末は、焼結助剤として機能するのに加えて、Y(Cr,Mn)O3相にCaとなって固溶し、B定数を低くするのに寄与する。
原料粉末は、高い特性のサーミスタ焼結体を得るために、98%以上、好ましくは99%以上、より好ましくは99.9%以上の純度の粉末を用いる。
また、原料粉末の粒径は、仮焼が進行する限り限定されるものでないが、粒径(d50)で0.1~6.0μmの範囲で選択することができる。
【0023】
[原料粉末の混合・ボールミル]
所定量だけ秤量されたY2O3粉末、Cr2O3粉末、Mn3O4粉末およびCaCO3粉末を混合する。混合は、例えば、混合粉末に水を加えたスラリー状としてボールミルによって行うことができる。混合には、ボールミル以外の混合機を用いることもできる。
【0024】
[原料粉末の乾燥]
混合後のスラリーをスプレードライヤ、その他の機器によって乾燥・造粒して、仮焼用の混合粉末とすることが好ましい。
【0025】
[仮焼き]
乾燥後の仮焼用の混合粉末を仮焼きする。仮焼きすることにより、Y2O3粉末、Cr2O3粉末、Mn3O4粉末およびCaCO3粉末から、Y2O3相とY(Cr,Mn)O3相の複合組織を有する仮焼結体を得る。
仮焼きは、仮焼用の混合粉末を例えば坩堝に投入し、大気中で800~1300℃の温度範囲で保持することで行われる。仮焼きの温度が800℃未満では複合組織の生成が不十分であり、また、1300℃を超えると焼結密度の低下や抵抗値の安定性の低下を招く恐れがある。そこで仮焼の保持温度は、800~1300℃の範囲とする。
仮焼きにおける保持時間は、保持温度に応じて適宜設定されるべきであるが、上記温度範囲であれば、0.5~100時間程度の保持時間で仮焼の目的を達成できる。
【0026】
[混合・粉砕・ボールミル]
仮焼後の粉末を混合および粉砕する。混合・粉砕は仮焼き前と同様に、水を加えてスラリー状とし、ボールミルを用いて行うことができる。
[乾燥・造粒]
粉砕後の粉末は、スプレードライヤ、その他の機器によって乾燥・造粒することが好ましい。
【0027】
[成形]
仮焼後の造粒粉を所定の形状に成形する。
成形は、金型を用いたプレス成形のほかに、冷間静水圧プレス(CIP:Cold Isostatic Press)を用いることができる。
成形体の密度が高いほど、高い密度の焼結体を得るのが容易であるから、可能な限り成形体の密度を高くしたい。そのためには高い密度を得ることができるCIPを用いることが好ましい。
【0028】
[焼結]
次に、得られた成形体を焼結する。
焼結は、大気中で1400~1650℃の温度範囲で保持することで行われる。焼結の温度が1400℃未満では複合組織の生成が不十分であり、また、1650℃を超えると焼結体が融解したり焼結用の坩堝等との反応が生じたりする。焼結における保持時間は、保持温度に応じて適宜設定されるべきであるが、上記温度範囲であれば、0.5~200時間程度の保持時間で緻密な焼結体を得ることができる。
【0029】
得られたサーミスタ焼結体は、そのサーミスタ特性を安定化させるために、アニール(annealing:焼き鈍し)を施すことが好ましい。アニールは、例えば大気中、1000℃で保持することにより行われる。
【0030】
[電極13,13および接続電極17,17]
電極13,13は、
図1に示すように、板状をなす感熱体11の表裏両面の全域に、それぞれ膜状に形成されている。電極13,13は、白金(Pt)、その他の貴金属から構成される。
電極13,13は、厚膜又は薄膜として形成される。厚膜の電極13,13は、白金粉末に有機バインダを混合して作製したペーストをサーミスタ焼結体の表裏両面に塗布し、乾燥した後に焼結して形成する。また、薄膜電極は、真空蒸着またはスパッタリングによって形成することができる。
電極13,13が形成された感熱体11は、所定の寸法に加工される。
接続電極17,17は、それぞれ電極13,13の表面に形成される金属膜から構成される。接続電極17,17も、白金(Pt)、その他の貴金属から構成される。
【0031】
[引出線15,15]
引出線15,15は、
図1に示すように、一端側が接続電極17,17を介して電極13,13に電気的および機械的に接続される。引出線15,15は、他端側が外部の図示を省略する検出回路と接続される。引出線15,15は、耐熱性を有する、例えば白金または白金とイリジウム(Ir)の合金からなる線材から構成される。なお、感熱体11を還元する水素は、この引出線15,15を伝って感熱体11に達するものと推測される。
【0032】
引出線15,15は、以下のようにして電極13,13に接続される。
引出線15,15のそれぞれの一端側に予め接続電極17,17をなす白金粉末を含むペーストを塗布しておく。引出線15,15のそれぞれの白金ペーストが塗布された側を電極13,13に接触させた状態で白金ペーストを乾燥させ、その後、白金粉末を焼結する。
【0033】
[第一被覆層20]
次に、第一被覆層20について説明する。
第一被覆層20は、第三被覆層30の熱膨張に伴って生じる応力が感熱体11に直に加わるのを緩和する緩衝材となることが主たる機能である。換言すれば、第一被覆層20は、第三被覆層30による熱応力を受け止める。
また、第一被覆層20は、感熱体11と引出線15,15の接続部を固定することにより、安定した電気的および機械的な接続を実現する。
【0034】
本実施形態に係る第一被覆層20は、一つの好ましい形態として、ガラスと酸化物粉末(第一酸化物粉末)との混合体からなる。
第一被覆層20において、ガラスは酸化物粉末同士を結合して第一被覆層20に形状を維持させる結合剤として機能する。
ガラスと酸化物粉末の比率は、所望する線膨脹係数が得られかつ結合剤として機能する限り限定されない。
第一被覆層20を構成するガラスは、結晶質ガラスおよび非晶質ガラスの一方または双方を用いることができるが、高温で安定な結晶質ガラスを用いることが好ましい。結晶質ガラスとしては、例えば、SiO2:30~60重量%、CaO:10~30重量%、MgO:5~25重量%、Al2O3:0~15重量%からなる組成を適用できる。
【0035】
第一被覆層20を構成する酸化物粉末としては、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)などが挙げられる。また、この酸化物粉末としては、感熱体11を構成するサーミスタ粉末を用いることができる。
【0036】
サーミスタ粉末としては、感熱体11を構成するサーミスタ焼結体と同等の組成を有する粉末を用いることができる。同等の組成とは、感熱体11および第1内層形態に含まれるサーミスタ粉末の両方が、例えば上述した酸素を除くCr,Mn,CaおよびYの化学組成が、Cr:3~15モル%,Mn:5~15モル%,Ca:0.5~8モル%の組成範囲に含まれることをいう。サーミスタ粉末と感熱体11を構成するサーミスタ焼結体が同じ組成である場合を含む。
本実施形態に係る第一被覆層20は、他の好ましい形態として、酸化物粉末だけからなることを許容する。
【0037】
[第三被覆層30]
次に、第三被覆層30について説明する。
第三被覆層30は、周囲の雰囲気から感熱体11を気密に封止する気密性をもたらすことを主たる機能とする。また、第三被覆層30は、感熱体11を外力から保護する機械的な強度を付与する。
第三被覆層30は、第一被覆層20と同様のガラスから構成できる。また、第三被覆層30は、第一被覆層20と同様のガラスと酸化物粉末(第三酸化物粉末)との混合物から構成することもできる。酸化物粉末としては、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化チタン(TiO)および酸化ランタン(La2O3)の1種または2種以上を用いることができる。
【0038】
本実施形態に係る第三被覆層30は、第一被覆層20と同様のガラスと酸化物粉末との混合体からなる。ただし、第一被覆層20に比べて、第三被覆層30はガラスを多く含む。
【0039】
第三被覆層30は、1回の形成による1層の第三被覆層30により必要な厚さおよび状態を得ることができるが、第三被覆層30を複数層とすることもできる。第三被覆層30を複数層とする場合、各層は厚さが均等であってもよいし、不均等であってもよい。
また、第三被覆層30に酸化物供給粉末を含有させることもできる。この場合、複数層の一層だけに酸化供給粉末を含有させてもよいし、全部の層に酸化物供給粉末を含有させてもよい。酸化物供給粉末を含む第三被覆層30は、第二被覆層25と構成が同じということができる。
【0040】
[第二被覆層25]
次に、第二被覆層25について説明する。
第二被覆層25は、第一被覆層20と第三被覆層30の間に設けられ、第一被覆層20を覆うのに加えて、第一被覆層20から引き出される引出線15の外周面を覆う。引出線15を覆っている第二被覆層25の周囲は、第三被覆層30に覆われている。
【0041】
第二被覆層25は、温度センサ素子1が水素を含む高温度域で使用されている最中に、酸素を放出して水素と反応させることにより、水素が感熱体11を還元するのを抑制する。詳しくは後述するが、酸素を直に放出するのは酸素供給酸化物であるが、酸素供給酸化物から放出される酸素がガラスを伝播して、引出線15を伝って侵入する水素による感熱体11の還元反応が抑制される。
【0042】
第二被覆層25は、第一被覆層20と同様のガラスと酸素供給酸化物からなる。酸素供給酸化物としては、遷移金属元素の酸化物、希土類金属元素の酸化物を用いることができる。
遷移金属元素としては、Cr,Mn,Fe,Ni,Co,Ta,WおよびCuの少なくとも一種が好ましい。希土類金属元素としては、La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,YbおよびLuの少なくとも一種が好ましい。
【0043】
第二被覆層25における酸素供給酸化物粉末の含有量は、0.5~30質量%の範囲から選択され、残部はガラスである。0.5質量%未満では酸素供給による効果が不十分な場合があり、また、30質量%を超えるとガラスによる封止性・気密性を阻害し、還元ガスが侵入しやすくなる。好ましい酸素供給酸化物粉末の含有量は1~25質量%の範囲であり、より好ましい酸素供給酸化物粉末の含有量は2~20質量%の範囲であり、さらに好ましい酸素供給酸化物粉末の含有量は5~15質量%の範囲である。
【0044】
[温度センサ素子1の製造方法]
次に、温度センサ素子1の製造方法を説明する。
温度センサ素子1は、
図2および
図3に示すように、感熱体11と引出線15,15を接合するステップ(
図2 S100,
図3(a))と、接合された感熱体11に第一被覆層20を形成するステップ(
図2 S200,
図3(b))と、第一被覆層20の周囲に第二被覆層25を形成するステップ(
図2 S300,
図4(a))と、第一被覆層20および第二被覆層25の周囲に第三被覆層30を形成するステップ(
図2 S400,
図4(b))と、を経て製造される。
【0045】
[S200]
第一被覆層20について、例えば、前述した酸化物粉末、好ましくはサーミスタ粉末と結晶質ガラス粉末を溶剤と混合してペーストを用意する。このペーストを感熱体11の上に形成した後に、乾燥、例えば1200℃でガラス成分の焼成処理をすることで、第一被覆層20が形成される。こうして得られる第一被覆層20は、サーミスタ粉末が焼成されたガラスに接合され、ガラスの中にサーミスタ粉末を構成する粒子が分散している。第二被覆層25および第三被覆層30も同様である。
ペーストを感熱体11の上に形成するのは、当該ペーストの中に感熱体11の側から引出線15の所定の範囲まで浸漬したのちに、ペーストから引き揚げる、ディッピングが好適に適用される。第二被覆層25、第三被覆層30も同様である。
【0046】
第一被覆層20が複数の層から形成される場合、ディッピングを複数回行ってから、乾燥、例えば1200℃で焼成処理が行われる。また、第一被覆層20が複数の層から形成される場合、隣接する被覆層同士の境界は目視により視認できるが、第一被覆層20としての機能を担保できる程度の力で隣接する被覆層は接合されている。これについても、第二被覆層25、第三被覆層30に同様に適用される。
【0047】
[S300]
第二被覆層25について、酸素供給酸化物の粉末と結晶質ガラス粉末を溶剤と混合してペーストを用意する。このペーストを第一被覆層20の上に形成した後に、乾燥、例えば1200℃でガラス成分の焼成処理をすることで、第二被覆層25が形成される。
【0048】
[S400]
さらに、第三被覆層30についても、上記と同様に酸化物粉末、ガラス粉末と溶剤を混合して用意された外層用ガラスペーストを用いて、第二被覆層25の上に第三被覆層30が形成される。
【0049】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態にかかる温度センサ素子2を、
図5および
図6を参照して説明する。
温度センサ素子2を温度センサ素子1と対比して説明すると、
図5に示すように、第二被覆層27が第一被覆層20を覆っておらず、引出線15,15の周囲を覆う。つまり、温度センサ素子2は、第一被覆層20と第三被覆層30が直に接触しており、第二被覆層27は引出線15,15の外周だけに設けられている。したがって、第二被覆層27が設けられている部位の横断面は、第1実施形態と同様に、引出線15、第二被覆層27および第三被覆層30の順に内側または中心から配列される構造を有している。この点を除けば、
図6に示すように、温度センサ素子2は温度センサ素子1と同様の工程を経て製造される。
【0050】
引出線15の周りに以上の横断面構造を有する温度センサ素子2は、第1実施形態の温度センサ素子1と同様に、耐還元性を向上できる。
【0051】
第二被覆層27は、ディッピングにより形成することは困難である。例えば、ディスペンサと称される液体定量吐出装置によりペーストを当該領域に塗布し、乾燥、焼成処理を施すことにより、第二被覆層27は形成される。
【0052】
[第1実施例]
次に、具体的な実施例に基づいて本発明の一例を説明する。
以下で説明する第一被覆層20、第二被覆層25および第三被覆層30を備える温度センサ素子1を製造して、抵抗値の変化率を測定した。結果を表1に示す。
【0053】
[感熱体11の製造]
以下の粒径(d50)を有する原料粉末を以下に示す混合比率として原料粉末を用意し、上述した工程にしたがって感熱体11を製造した。仮焼きは1300℃×24時間、焼結は1500℃×24時間の条件とし、いずれも大気中で行った。
Y2O3:79.5mol% 粒径:0.1μm
Cr2O3:8.5mol% 粒径:2.0μm
CaCO3:3.5mol% 粒径:2.0μm
Mn3O4:8.5mol% 粒径:5.0μm
【0054】
電極13,引出線15,接続電極17はいずれも白金(Pt)からなり、実施形態で説明した手順でサーミスタ素子3を作製した。
【0055】
[被覆層の形成]
以上のサーミスタ素子3に、第一被覆層20、第二被覆層25および第三被覆層30を形成した。
第一被覆層20は、ガラスとして結晶質ガラスおよび感熱体11と同じ組成のサーミスタ粉末を用いた。結晶質ガラスとサーミスタ粉末との質量比率は20:80とした。また、バインダとして有機バインダを用いて第一被覆層20用のペーストとし、ディッピングにより1層の前駆層を形成した。その後、乾燥、焼成用の熱処理を行って実施例に係る第一被覆層20を形成した。
【0056】
第二被覆層25は、結晶質ガラスと酸素供給酸化物の粉末とを用意して作製された。結晶質ガラスと酸素供給酸化物の粉末の質量比率は表1,表2に示される通りである。また、比較として、酸化イットリウム粉末を用意して、結晶質ガラスと酸化イットリウム粉末の質量比率を80:20とした第二被覆層25の例も作製した。なお、表1は遷移金属元素の酸化物の例を示し、表2は希土類金属元素の酸化物の例を示している。なお、酸化イットリウムは加熱したとしても酸素を放出しないため、本発明の酸素供給酸化物に該当しない。
第三被覆層30は、結晶質ガラスと第三酸化物粉末としてのY2O3を用いた。結晶質ガラスと第三酸化物粉末のY2O3の質量比率は80:20である。
第二被覆層25と第三被覆層30は、以下のようにして形成した。第二被覆層25用のペーストをディッピングして第二被覆層25の前駆層を形成した後に、第三被覆層30用のペーストをディッピングして第三被覆層30の前駆層を形成し、その後に乾燥、焼成用の熱処理を行って実施例に係る第二被覆層25および第三被覆層30を形成した。
【0057】
表1および表2に示す温度センサ素子(試料No.1~19)を用いて、以下の条件による電気抵抗値の変化率を測定した。測定結果を表1および表2に示す。
[第1測定条件]
保持温度:900℃
雰囲気:水素5vol.%+窒素95vol.%
保持時間:10時間
抵抗値測定温度:25℃
【0058】
[第2測定条件]
保持温度を1050℃とする以外は第1測定条件と同じ第2測定条件で、電気抵抗値の変化率を測定した。
【0059】
【0060】
【0061】
表1および表2より、ガラスを含む第二被覆層25に酸素供給酸化物を含有させることにより、900℃、1050℃という高温度域における電気抵抗値の変化率を低減でき、耐還元性が向上することがわかる。
900℃と1050℃で電気抵抗値の変化率の傾向が異なる場合があるが、これは温度による酸素放出の程度に差があるためと解される。これにより、900℃における電気抵抗値の変化率が小さいのに比べて1050℃における電気抵抗値の変化率が大きいこともあれば、この逆の場合もある。前者の例としてセリウム酸化物(試料No.11)が掲げられ、後者の例としてユウロピウム酸化物(試料No.18)が掲げられる。
【0062】
温度による酸素放出の程度に差があることを、
図7および
図8を参照して説明する。
図7はプラセオジム酸化物(Pr
6O
11)のTG―MSによる温度と酸素(O
2)の放出-量の関係を示すグラフ、
図8はテルビウム酸化物(Tb
4O
7)のTG―MSによる温度と酸素(O
2)の放出-量の関係を示すグラフである。
図7および
図8より、酸素供給酸化物の種類によって、酸素を放出する挙動が異なることが解る。例えば、プラセオジム酸化物の方がテルビウム酸化物よりも広い温度範囲にわたって酸素を放出することができる。また、テルビウム酸化物は750℃以下の温度範囲でほとんどの酸素が放出される。このように、温度によって酸素放出の挙動が異なることが、900℃、1050℃という温度によって抵抗変化率の傾向が異なる要因と解される。
【0063】
[第2実施例]
第二被覆層25における酸素供給酸化物を表3に示す酸化銅(CuO)とする以外は、第1実施例と同様に作製した温度センサ素子(試料No.22)を用いて、第1実施例の第1測定条件および第2測定条件による電気抵抗値の変化率を測定した。測定結果を表3に示す。
【0064】
【0065】
表3より、ガラスを含む第二被覆層25に酸素供給酸化物としての酸化銅(CuO)を含有させることにより、900℃、1050℃という高温度域における電気抵抗値の変化率を低減でき、耐還元性が向上することがわかる。
酸化銅は触媒元素として知られており、酸素保有量は金属(Cu)が1に対し、酸素が1で少ない。しかしながら、ガラスが酸化物から構成されていることより、それらから酸素を取得し、還元ガスに対し酸素を供給することにより、耐還元性が顕著になるものと解される。
【0066】
[第3実施例]
第二被覆層25に加えて第三被覆層30にも酸素供給酸化物の粉末を加える以外は、第1実施例と同様に作製した温度センサ素子(試料No.23~30)を用いて、第1実施例の第1測定条件および第2測定条件による電気抵抗値の変化率を測定した。測定結果を表4に示す。
【0067】
【0068】
表4より、ガラスを含む第二被覆層25に酸素供給酸化物を含有させることに加えて第三被覆層30にも酸素供給酸化物を含有させることにより、900℃、1050℃という高温度域における電気抵抗値の変化率を低減でき、耐還元性が向上することがわかる。
【0069】
[第二被覆層25における酸素供給の挙動]
次に、
図9を参照して、発明者が推察している、第二被覆層25における酸素供給の挙動について説明する。
図9に示すように、第二被覆層25におけるガラスの中に分散する酸素供給酸化物の粒子OSは、引出線15に接していることもあれば、引出線15から離れていることもある。なお、
図9はこの二つの例のみを示している。
当該粒子OSが引出線15に接している場合には、引出線15の周囲に対して酸素が直に供給される。当該粒子OSが引出線15から離れている場合には、当該粒子OSから放出される酸素(O
2)がガラスを通過して引出線15の周囲に直に供給されるわけではない。当該粒子OSから放出される酸素はその周囲のガラスを構成する酸化ケイ素(SiO
2)や酸化カルシウム(CaO)と結合されることで、ガラスが還元ガスに侵された際に酸素を供給する。ガラスは気密性能を有するため、酸素も例外ではない。しかしながら化学的安定性を損なうガスに曝された時に当該粒子OSから酸素を供給されることでガラスの性能を保持しながら気密性を維持することで高温還元ガス下での性能劣化を耐久する。
【0070】
また、過剰な還元ガスが侵入してきた際には、ガラスの化学的結合が破壊される。ガラスの気密性能が破壊された場合、通常は還元ガスの侵入が加速的に進行するが、当該粒子OSが存在することで、ガラスへの酸素供給ではなく周囲に酸素が放出される。周囲に放出される酸素はさらに周囲のガラスを構成する酸化ケイ素や酸化カルシウムと結合されることで、余剰となった酸素が周囲に放出される。なお、過剰な還元ガスが引き起こすガラスの気密性能を低下させる状態を故意に作り出すため、当該粒子の添加量を過剰とすることや、適正添加量内でも酸化銅CuOを同時添加することでガラスの化学的性質を任意に変化させて、周囲への酸素供給する範囲を制御することが可能である。
【0071】
このように酸素供給酸化物の粒子から始まるガラスへの酸素供給による気密性能保持と、酸素の放出が繰り返されることで、当該粒子が引出線15から離れている場合であっても、引出線15の周囲に酸素が供給されるものと推察される。
【0072】
本実施の形態においては、酸素供給酸化物粉末を第二被覆層25に含有させた場合を例示して説明しているが、本発明はこれに限られない。例えば、第一被覆層20、第二被覆層25および第三被覆層30の少なくとも一つの層に酸素供給酸化物粉末を含有させることができる。したがって、例えば第一被覆層20、第二被覆層25および第三被覆層30のすべてに酸素供給酸化物粉末を含有させてもよい。さらに、例えば、第二被覆層25を複数の層で構成し、このそれぞれの層に酸素供給酸化物粉末を含有させ、さらにそれぞれの層における酸素供給酸化物粉末の量を調整するようにしてもよい。このように、酸素供給酸化物粉末が含有される層及び量を調整することで、耐還元性を調整することができる。また、以上より明らかなように、本発明における被覆層が複数とは、第一被覆層20、第二被覆層25および第三被覆層30のように異なる素性の層を複数ある場合の外に、上記した第二被覆層25の例示のように同じ素性の層が複数ある場合を含んでいる。
【0073】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に置き換えたりすることができる。
【符号の説明】
【0074】
1 温度センサ素子
3 サーミスタ素子
5 被覆層
11 感熱体
13 電極
15 引出線
17 接続電極
20 第一被覆層
25 第二被覆層
30 第三被覆層
【要約】
【解決手段】本発明の温度センサ素子1は、温度によって電気抵抗が変化する感熱体11と、感熱体11の周囲を覆う第一被覆層20と、感熱体11に接続されるとともに、第一被覆層20を貫通して後端側に向けて引き出される一対の引出線15,15と、第一被覆層20を貫通して引き出される一対の引出線15,15の周囲を覆う第二被覆層25と、第一被覆層20および第二被覆層25,27の周囲を覆う第三被覆層30と、を備える。温度センサ素子1において、第二被覆層25は、酸素供給酸化物とガラスとの混合物からなる。