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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】試験体支持具
(51)【国際特許分類】
   G01M 7/08 20060101AFI20231122BHJP
【FI】
G01M7/08 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020017395
(22)【出願日】2020-02-04
(65)【公開番号】P2021124361
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】島 哲也
(72)【発明者】
【氏名】安福 大輔
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/083376(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の部分構造を模擬した試験体を支持する試験体支持具であって、
前記試験体支持具は、
ベース部材と、
前記ベース部材の端部と剛体とを接続する剛体接続部材と、
前記ベース部材における前記端部を除く中間部と前記試験体とを接続する試験体接続部材と、を備え、
前記ベース部材及び前記剛体接続部材は、前記試験体が試験外力を受ける際に弾性変形するように設定され、
前記試験体接続部材は、前記試験体が試験外力を受ける際に塑性変形するように設定され
前記剛体接続部材と前記ベース部材との間に、前記ベース部材を軸支する軸受部材を有する
ことを特徴とする試験体支持具。
【請求項2】
前記ベース部材は、棒状である
ことを特徴とする請求項1に記載の試験体支持具。
【請求項3】
前記試験体接続部材は、板状である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の試験体支持具。
【請求項4】
前記試験体支持具は、前記試験体の両端を支持する
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の試験体支持具。
【請求項5】
前記中間部は、前記試験体の両端を通る方向の延長上に位置し、
前記ベース部材の前記端部は、前記延長上から離れて位置することを特徴とする請求項に記載の試験体支持具。
【請求項6】
前記試験体支持具は、前記試験体の両端を通る方向に対して対称な構造であることを特徴とする請求項又は請求項に記載の試験体支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験体支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、試験外力を、車体の部分構造を模擬した試験体に作用させる試験の際、その試験体を支持する試験体支持具があった。
【0003】
しかしながら、従来の試験体支持具は、試験を実施する度に塑性させる構造であったため、交換に要するコストが過大となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6070862号公報
【文献】特許第4902027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記背景技術の問題点に鑑み、交換に要するコストを低減できる試験体支持具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の要旨は以下の通りである。
【0007】
(1)本発明の一態様に係る試験体支持具は、車体の部分構造を模擬した試験体を支持する試験体支持具であって、ベース部材と、前記ベース部材の端部と剛体とを接続する剛体接続部材と、前記ベース部材における前記端部を除く中間部と前記試験体とを接続する試験体接続部材と、を備え、前記ベース部材及び前記剛体接続部材は、前記試験体が試験外力を受ける際に弾性変形するように設定され、前記試験体接続部材は、前記試験体が試験外力を受ける際に塑性変形するように設定され、前記剛体接続部材と前記ベース部材との間に、前記ベース部材を軸支する軸受部材を有する
(2)上記(1)において、前記ベース部材は、棒状であってよい。
)上記(1)又は(2)において、前記試験体接続部材は、板状であってよい。
)上記(1)から()のいずれかにおいて、前記試験体支持具は、前記試験体の両端を支持してよい。
)上記()において、前記中間部は、前記試験体の両端を通る方向の延長上に位置し、前記ベース部材の前記端部は、前記延長上から離れて位置してよい。
)上記()又は()において、前記試験体支持具は、前記試験体の両端を通る方向に対して対称な構造であってよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、交換に要するコストを低減できる試験体支持具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】試験体支持具を用いた試験の状況を示す説明図である。
図2】試験体支持具と試験体との関係を示す説明図である。
図3】試験体支持具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の試験体支持具は、車体の部分構造を模擬した試験体を支持する試験体支持具である。本発明の試験体支持具は、ベース部材と、ベース部材の端部と剛体とを接続する剛体接続部材とベース部材における端部を除く中間部と試験体とを接続する試験体接続部材と、を備えている。ここで、ベース部材及び剛体接続部材は、試験体が試験外力を受ける際に弾性変形するように設定されている。そして、試験体接続部材は、試験体が試験外力を受ける際に塑性変形するように設定されている。これにより、試験体に試験外力を作用させた際に、試験体支持具のうち、試験体側の部分となる試験体接続部材が塑性変形して破損する代わりに、剛体側の部分となるベース部材及び剛体接続部材の変形を弾性域内に抑えることができる。したがって、試験体に試験外力を作用させた後に、次の試験に備えるためには、比較的交換容易又は低コストである、試験体支持具の副部となる試験体接続部材のみを交換すればよい。比較的交換困難又は高コストである、試験体支持具の主要部となるベース部材及び剛体接続部材を、試験の度に交換する必要をなくすことができる。よって、交換に要するコストを低減できる試験体支持具を提供できる。
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0011】
(実施形態)
図1は、試験体支持具1を用いた試験の状況を示す説明図である。図2は、試験体支持具1と試験体2との関係を示す説明図である。図3は、試験体支持具1の斜視図である。なお、図3において、試験体2及び試験体接続部材13は、図示を省略されている。
【0012】
図1に示すように、試験は、試験体支持具1によって支持された試験体2に対して、試験機3によって、試験外力Fを作用させるものである。
試験外力Fは、例えば、アクチュエータ(不図示)によって動作するインパクタ30を、直接的に試験体2に対して接触させることにより、試験体2に作用する。試験外力Fは、例えば、想定する入力エネルギーを有するインパクタ30が試験体2に衝突することによる衝撃荷重である。試験外力Fは、実際の車体の部分構造に作用する想定外力又は想定入力エネルギーに基づいて設定される。なお、通常、試験外力Fは、想定外力と同等となるように設定される。
【0013】
試験体2は、車体の部分構造(不図示)を模擬したものである。試験体2は、例えば、サイドシル等のような、車体の部分構造を切り出したものである。試験体2は、例えば、実際のサイドシルを模擬した中空状の梁である。試験体2は、例えば、実際の車体におけるサイドシルの境界条件を模擬して、両端を、試験体支持具1によって、支持されている。
【0014】
図1及び図2に示すように、試験体支持具1は、試験体2を支持している。試験体支持具1は、試験を実施する部屋を構成する鉛直面を有する壁のような、実質的に変形を無視できるような高い剛性を有する剛体Wに固定されている。
具体的には、試験体支持具1は、試験体2の両端を支持している。これにより、実際の車体における部分構造が、両端を支持されている梁の一部とみなせるような場合を、適切に模擬できる。
【0015】
試験体支持具1は、試験体2の両端を通る方向(部材軸2aに沿う方向)に対して対称な構造である。これにより、試験体支持具1の構造を簡素にでき、試験体支持具1の設計計算及び製造に係るコストを低減できる。
試験体支持具1は、好ましくは、試験体2の両端を通る方向に対して、試験外力Fの作用方向に垂直な方向において対称な構造である。これにより、試験体支持具1の挙動(変形モード)を、試験体2の両端を通る方向に対して、試験外力Fの作用方向に垂直な方向(試験外力Fと試験体2の部材軸2aの方向とが水平面上で互いに垂直な関係である場合における鉛直方向)において対称にできる。よって、実際に車体の部分構造に想定外力(衝撃荷重)が作用した際に、その部分構造の部材軸2a周りの回転を伴うことのないような場合における境界条件を適切に模擬するように、試験体2を支持できる。
【0016】
試験体支持具1は、ベース部材11と、ベース部材11の端部11eと剛体Wとを接続する剛体接続部材12と、ベース部材11における端部11eを除く中間部11mと試験体2とを接続する試験体接続部材13と、を備えている。試験体支持具1は、例えば、鋼製である。
【0017】
ここで、ベース部材11及び剛体接続部材12は、試験体2が試験外力Fを受ける際に弾性変形するように設定されている。他方、試験体接続部材13は、試験体2が試験外力Fを受ける際に塑性変形するように設定されている。これらにより、試験体2に試験外力Fを作用させた際に、試験体支持具1のうち、最も試験体側の部分となる試験体接続部材13が塑性変形して過大な入力を緩衝する。その代わりに、試験体接続部材13を除く、剛体W側の部分となるベース部材11及び剛体接続部材12の変形を弾性域内に抑えることができる。したがって、試験体2に試験外力Fを作用させた後に、次の試験に備えるためには、比較的交換容易又は低コストである、試験体支持具1の副部となる試験体接続部材13のみを交換すればよい。そして、比較的交換困難又は高コストである、試験体支持具1の主要部となるベース部材11及び剛体接続部材12を、試験の度に交換する必要をなくすことができる。よって、交換に要するコストを低減できる試験体支持具1を提供できる。
【0018】
中間部11mは、試験体2の両端を通る方向の延長上に位置している。また、ベース部材11の端部11eは、その延長上から離れて位置している。具体的には、図1に示すように、例えば、試験体2の部材軸2aとベース部材11の部材軸11aの交点と、端部11eの回転中心となる中心nとは、距離D離れている。これにより、実際の想定外力(衝撃荷重)が作用した際の車体における部分構造の曲げ変形を、試験外力Fが作用した際のベース部材11の曲げ変形によって模擬できる。なお、試験体2の位置に対する中間部11mの位置は、試験体2の両端を通る方向の延長上であることに限らず、実際の車体における部分構造の境界条件、変形モード等に応じて、適宜設定してよい。なお、試験体2の位置に対する端部11eの位置は、試験体2の両端を通る方向の延長上から離れていることに限らず、実際の車体における部分構造の境界条件、変形モード等に応じて、適宜設定してよい。
【0019】
(ベース部材11)
ベース部材11は、試験体2が試験外力Fを受ける際に弾性変形するように設定されている。ベース部材11は、棒状であってよい。これにより、ベース部材11を、高い曲げ剛性を備えたものにできる。したがって、試験体2を、高い曲げ剛性で支持できる。よって、試験外力Fによって大きな荷重が作用しても、ベース部材11を弾性域内に抑えられるようにできる。ベース部材11は、部材軸11aに沿って均質である。ベース部材11は、部材軸11aに沿って均一な断面形状を有する直線状である。これにより、所望の曲げ剛性を有するベース部材11を、簡易に設計できる。ベース部材11は、円形状の中実断面であってよく、円形状の中空断面、すなわち、円環形状であってもよい。これにより、ベース部材11が、部材軸11aの周りに回転しても、曲げ剛性が変わらないようにできる。
【0020】
ベース部材11の端部11eは、ベース部材11を軸支する軸受部材14を介して、剛体接続部材12に接続している。
【0021】
ベース部材11の中間部11mは、被接続部材15及び試験体接続部材13を介して、試験体2に接続している。
【0022】
(剛体接続部材12)
剛体接続部材12は、試験体2が試験外力Fを受ける際に弾性変形するように設定されている。剛体接続部材12は、ベース部材11の端部11eと剛体Wとを接続している。
剛体接続部材12は、試験を実施する部屋を構成する鉛直面を有する壁のような、実質的に変形を無視できるような高い剛性を有する剛体Wに固定されている。剛体接続部材12は、例えば、ボルト等によって、剛体Wに対して強固に固定されている。
【0023】
(試験体接続部材13)
試験体接続部材13は、試験体2が試験外力Fを受ける際に塑性変形するように設定されている。試験体接続部材13は、図2に示すように、試験体2に対して直接的に接した状態で溶接等の手段によって固定される接続体131と、接続体131と被接続部材15とを着脱自在に固定するボルト、ナット等の固定部材132と、を備えている。接続体131は、被接続部材15(取付部15c)の外形状に合わせて、矩形状の板を断面がL字状になるように折り曲げて形成したような形状を有している。接続体131は、適宜、固定部材132を通すことが可能な通孔を有している。
【0024】
(軸受部材14)
試験体支持具1は、ベース部材11を軸支する軸受部材14を備えている。軸受部材14は、球面軸受であることが好ましい。
【0025】
軸受部材14は、具体的には、ベース部材11に対して直接的に固定されて、球面状の外側表面を有するブッシュ141と、ブッシュ141を内側に保持するとともに剛体接続部材12に固定されて、ブッシュ141の外側表面の曲率と実質的に同じ曲率の球面状の内側表面を有する保持リング142と、を備えている。
【0026】
ブッシュ141と保持リング142とは、適宜、グリス等の潤滑材を介して、互いに摺動自在に接している。ブッシュ141の外側表面の中心と保持リング142の内側表面の中心は、ベース部材11の部材軸11a上にある中心nで一致している。したがって、ブッシュ141は、保持リング142に対して、中心nを中心として回転できるようになっている。つまり、ブッシュ141を固定したベース部材11の端部11eは、中心nを中心として回転自在な状態で、剛体接続部材12に支持されている。
【0027】
このように、ベース部材11は、軸受部材14によって軸支されているため、ベース部材11が曲げ変形する際に、ベース部材11の端部11eに生じるモーメントをほとんどなくすことができる。したがって、試験体2に試験外力Fが作用した際であっても、ベース部材11の変形を弾性域内に抑えつつ、ベース部材11を大きく変形させることができる。そして、試験体2の部材軸2aから軸受部材14の中心nまでの距離D及びベース部材11の曲げ剛性(断面二次モーメント)を変化させることで、試験体支持具1の剛性を調節できる。よって、実際の車体の部分構造の境界部における、実際の車体の部分構造に作用する想定外力の方向への剛性を、試験体支持具1によって適切に模擬できる。
【0028】
(被接続部材15)
試験体支持具1は、中間部11mに、試験体接続部材13に対して、接続自在な被接続部材15を備えている。被接続部材15は、試験体2が試験外力Fを受ける際の変形が弾性域に抑えられるように設定されている。これにより、試験体支持具1における試験体接続部材13と被接続部材15との構造的な境界を、試験体2が試験外力Fを受ける際における弾性変形する部分と塑性変形する部分との境界とすることができる。
【0029】
被接続部材15は、図2及び図3に示すように、ベース部材11に固定される固定部15fと、固定部材132によって試験体接続部材13の接続体131を取り付ける部分である取付部15cと、を備えている。
【0030】
固定部15fは、ベース部材11の部材軸11aの方向に対して垂直になるように固定された板状のものである。固定部15fは、ベース部材11に対して、例えば、溶接等によって固定されている。
【0031】
取付部15cは、固定部15fに対して垂直になるように固定された板状のものである。取付部15cは、固定部材132を挿通するための挿通孔を有している。取付部15cは、試験体接続部材13の接続体131に対向して接する取付面を有している。取付部15cは、接続体131の形状に合わせて、L字状の断面を有する形状となっている。
【0032】
このように、被接続部材15の取付部15cは、ベース部材11の部材軸11aから所定の距離で離れた位置で、試験体接続部材13の接続体131に取り付けられる。ここで、試験体2に試験外力Fが作用した際における試験体2は、ベース部材11の部材軸11aを支軸(部材軸11a方向に見た支点)として、試験外力Fの方向に曲げ変形することになる。よって、このベース部材11の部材軸11aから取付部15cまでの距離を調節することにより、試験体2に試験外力Fが作用した際における試験体2の曲げ変形の支軸を調節できる。よって、このような被接続部材15を備えた試験体接続部材13によれば、実際の車体における部分構造の挙動をより適切に模擬できる。
【0033】
(試験方法)
次に、実施形態に係る試験体支持具1を用いた試験体2の試験方法について説明する。ここでは、実際の車体に側方から障害物が衝突した際における車体の部分構造であるサイドシルの挙動を評価する試験方法を想定する。そして、試験体支持具1を用いてサイドシルを模擬した試験体2を支持した状態で、試験体2に対して試験機3によって、試験外力Fを作用させる試験方法について説明する。
(1)まず、試験体2を準備する。試験体2に、試験体接続部材13の接続体131を溶接等により固定する。
(2)試験体2に作用させる試験外力F又は入力エネルギーを、出力及び制御可能な試験機3を準備する。試験機3は、適宜、アクチュエータと、アクチュエータによって加速され、試験体2に直接的に接触するインパクタ30を備えている。
(3)試験体支持具1を準備する。具体的には、実際のサイドシルの挙動に基づき、試験体支持具1を設計し、製造する。そして、その試験体支持具1を、試験を実施する部屋の壁(剛体W)に、試験体支持具1の剛体接続部材12を強固に固定する。
(4)試験体支持具1により、試験体2を支持する。具体的には、試験体支持具1の被接続部材15における取付部15cに、固定部材132を介して、試験体接続部材13における接続体131を取り付ける。
(5)試験外力Fの想定する作用点及び作用方向に基づき、試験体2と試験機3との位置関係を調節する。例えば、梁状の試験体2の部材軸2aを横向きにし、試験機3のインパクタ30の動作方向を試験体2の部材軸2aに対して垂直になるような関係となるようにする。
(6)試験機3のインパクタ30を試験体2に向けて動作させて、試験機3のインパクタ30を試験体2に衝突させる(衝突工程)。すると、試験体2が変形する。他方、試験体支持具1においては、試験外力Fの作用によって塑性変形するようにあらかじめ設定された試験体接続部材13(接続体131及び固定部材132)のみが塑性変形して、損傷する。その他の部材であるベース部材11、剛体接続部材12、軸受部材14及び被接続部材15は、弾性変形して、損傷を免れる。
(7)試験機3のインパクタ30が停止した後、適宜、試験体2の変形及び反力、インパクタ30の変形及び反力、試験体支持具1の変形及び反力等を測定する。なお、適宜、試験機3のインパクタ30と試験体2とが接触する前から、試験機3のインパクタ30が停止するまでの間において、試験体2の変形及び反力、インパクタ30の変形及び反力、試験体支持具1の変形及び反力等を測定する。なお、変形又は反力は、試験機3のインパクタ30と試験体2とが接触する前から、試験機3のインパクタ30が停止した後まで、適宜の期間において、リアルタイムで測定されてもよい。
(8)試験体2と試験体支持具1とを分離する。また、試験体支持具1において弾性域内で変形して元に戻った弾性部と、塑性域まで変形して損傷した塑性部とを分離する。具体的には、例えば、試験体接続部材13の固定部材132を切断することにより、塑性部である試験体接続部材13の接続体131と、弾性部である被接続部材15の取付部15cとを分離する。続いて、損傷した塑性部である試験体接続部材13(接続体131及び固定部材132)を、未使用の(新たな損傷していない)試験体接続部材13(接続体131及び固定部材132)に交換する。そして、その未使用の(新たな損傷していない)試験体接続部材13と使用済みの被接続部材15とを結合して一体化して、新たな試験体支持具1を製造する。すなわち、使用済みの弾性部である剛体接続部材12、軸受部材14及び被接続部材15は、再利用できる。
(9)新たな試験体支持具1を用いて新たな試験体2を支持した状態で、新たな試験体2に対して、上述の(1)から(7)で説明されたような試験を、新たに実施する。
このようにして、本実施形態に係る試験方法を実施する。本実施形態に係る試験方法によれば、試験の実施によって損傷する部分を試験体接続部材13に集約させ、試験体支持具1の主要部の変形が弾性域に抑えられるように設定されているので、試験の度に試験体支持具1の主要部を交換する必要がない。したがって、試験を実施する度に試験体支持具1の主要部を交換することなく、繰り返し再利用できる。よって、交換に要するコストを低減できる試験体支持具1を提供できる。
【0034】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、ベース部材11の端部11eを、軸受部材14を介して剛体接続部材12で支持した試験体支持具1の構造を説明した。しかしながら、試験体支持具1の構造は、ベース部材11の端部11eを、軸受部材14を介すことなく、直接的に、剛体接続部材12に剛結したものであってもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 試験体支持具
2 試験体
2a 部材軸
3 試験機
30 インパクタ
11 ベース部材
11a 部材軸
11e 端部
11m 中間部
12 剛体接続部材
13 試験体接続部材
14 軸受部材
15 被接続部材
15c 取付部
15f 固定部
131 接続体
132 固定部材
141 ブッシュ
142 保持リング
D 距離
F 試験外力
n 中心
W 剛体
図1
図2
図3