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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】90度光ハイブリッド
(51)【国際特許分類】
   G02F 2/00 20060101AFI20231122BHJP
   G02B 6/122 20060101ALI20231122BHJP
   G02B 6/125 20060101ALI20231122BHJP
   G02F 1/225 20060101ALN20231122BHJP
【FI】
G02F2/00
G02B6/122 311
G02B6/125 301
G02F1/225
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020049117
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021148965
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】309015134
【氏名又は名称】富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】岡 徹
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-009015(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0229069(US,A1)
【文献】米国特許第10126498(US,B1)
【文献】国際公開第2012/086846(WO,A1)
【文献】特開2013-007808(JP,A)
【文献】特開2011-018002(JP,A)
【文献】特開2012-013886(JP,A)
【文献】特開2020-020890(JP,A)
【文献】国際公開第2011/010469(WO,A1)
【文献】特開2011-257513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00 - 1/125
G02F 1/21 - 7/00
G02B 6/12 - 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された第1光を、第1分割光と第2分割光とに分割する第1光スプリッタと、
前記第1光スプリッタとは異なる光スプリッタであって、入力された第2光を第3分割光と第4分割光とに分割する第2光スプリッタと、
前記第1分割光と前記第4分割光とが入力され、入力された前記第1分割光と入力された前記第4分割光とを合波して2つの干渉光を出力する第1光コンバイナと、
前記第1光コンバイナとは異なる光コンバイナであって、前記第2分割光と前記第3分割光とが入力され、入力された前記第2分割光と入力された前記第3分割光を合波して2つの干渉光を出力する第2光コンバイナと、
前記第1光コンバイナに前記第1分割光を入力する第1アーム導波路と、
前記第2光コンバイナに前記第2分割光を入力する第2アーム導波路と、
前記第2光コンバイナに前記第3分割光を入力する第3アーム導波路と、
前記第1光コンバイナに前記第4分割光を入力する第4アーム導波路とを有し、
前記第1~第4アーム導波路は、互いに分離され、
前記第1~第4アーム導波路それぞれは、それぞれの中央に配置された曲げ導波路と、前記曲げ導波路に向かって幅が減少するテーパ導波路を含む複数の光導波路とを有し、
前記各光導波路の両端はそれぞれ、前記第1および第2光スプリッタ、前記第1および第2光コンバイナ、前記曲げ導波路、および前記複数の光導波路のいずれか一つの第1端面に接し、
前記各光導波路は、前記テーパ導波路または幅が一定の直線導波路であり、
前記第1~第4アーム導波路のうちの少なくとも一つは、前記テーパ導波路が一端に接し別の前記テーパ導波路が他端に接する前記直線導波路を有する
90度光ハイブリッド。
【請求項2】
前記第1アーム導波路が前記第1分割光の電界に与える位相をφ1とし、前記第2アーム導波路が前記第2分割光の電界に与える位相をφ2とし、前記第3アーム導波路が前記第3分割光の電界に与える位相をφ3とし、前記第4アーム導波路が前記第4分割光の電界に与える位相をφ4とし、mを零以上の整数とすると、前記第1光および前記第2光それぞれの波長が特定の第1波長である場合に、
位相差θが、
θ=(φ2-φ1)+(φ4-φ3)およ
85°+360°×m≦|θ|≦95°+360°×m
を満たすことを
特徴とする請求項1に記載の90度光ハイブリッド。
【請求項3】
前記第1アーム導波路は、前記直線導波路であって前記位相差θに零以外の値を与える第1位相シフト導波路を有し、
前記第2アーム導波路は、前記直線導波路であって前記位相差θに零以外の値を与える第2位相シフト導波路を有し、
前記第1位相シフト導波路および前記第2位相シフト導波路それぞれの長さおよび幅は、前記第1~第4分割光それぞれの波長が第2波長である場合に前記第2波長に対する前記位相差θの平均変化率の絶対値が前記第1波長を含む前記第2波長の特定の範囲において0.14度/nm以下になるように定められ、
前記特定の範囲は、Oバンド、Eバンド、Sバンド、Cバンド、LバンドおよびUバンドのいずれかであることを
特徴とする請求項2に記載の90度光ハイブリッド。
【請求項4】
前記第1アーム導波路は、前記直線導波路であって前記位相差θに零以外の値を与える第1位相シフト導波路を有し、
前記第2アーム導波路は、前記直線導波路であって前記位相差θに零以外の値を与える第2位相シフト導波路を有し、
前記第1位相シフト導波路および前記第2位相シフト導波路それぞれの長さおよび幅は、前記第1位相シフト導波路の幅の目標値からの第1誤差が前記第2位相シフト導波路の幅の目標値からの第2誤差である場合、前記第1誤差に対する前記位相差θの平均変化率の絶対値が式(1)で定められる範囲において、0.2度/nm以下になるように定められることを
特徴とする請求項2に記載の90度光ハイブリッド。
-10nm≦ΔW≦10nm ・・・・・ (1)
ただしΔWは、前記第1誤差である。
【請求項5】
前記曲げ導波路の第1側面の曲率半径は、前記曲げ導波路の第2側面の曲率半径より大きく、
前記第1側面は、前記複数の光導波路のいずれか一つの第2端面に接し、
前記第2側面は、前記第2端面から離隔していることを
特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の90度光ハイブリッド。
【請求項6】
前記曲げ導波路の各側面の曲率半径は、一端から中央部に向かって連続的に減少し更に、他端から前記中央部に向かって連続的に減少することを
特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の90度光ハイブリッド。
【請求項7】
入力された第1光を、第1分割光と第2分割光とに分割する第1光スプリッタと、
前記第1光スプリッタとは異なる光スプリッタであって、入力された第2光を第3分割光と第4分割光とに分割する第2光スプリッタと、
前記第1分割光と前記第4分割光とが入力され、入力された前記第1分割光と入力された前記第4分割光とを合波して2つの干渉光を出力する第1光コンバイナと、
前記第1光コンバイナとは異なる光コンバイナであって、前記第2分割光と前記第3分割光とが入力され、入力された前記第2分割光と入力された前記第3分割光を合波して2つの干渉光を出力する第2光コンバイナと、
前記第1光コンバイナに前記第1分割光を入力する第1アーム導波路と、
前記第2光コンバイナに前記第2分割光を入力する第2アーム導波路と、
前記第2光コンバイナに前記第3分割光を入力する第3アーム導波路と、
前記第1光コンバイナに前記第4分割光を入力する第4アーム導波路とを有し、
前記第1~第4アーム導波路は、互いに分離され、
前記第1~第4アーム導波路それぞれは、それぞれの中央に配置された曲げ導波路と、前記曲げ導波路に向かって幅が減少するテーパ導波路を含む複数の光導波路とを有し
前記各光導波路の両端はそれぞれ、前記第1および第2光スプリッタ、前記第1および第2光コンバイナ、前記曲げ導波路、および前記複数の光導波路のいずれか一つの第1端面に接し、
前記各光導波路は、前記テーパ導波路または幅が一定の直線導波路であり、
前記第1アーム導波路は、前記直線導波路であって式(1)で与えられる位相差θに零以外の値を与える第1位相シフト導波路を有し、
前記第2アーム導波路は、前記直線導波路であって前記位相差θに零以外の値を与える第2位相シフト導波路を有し、
前記第1位相シフト導波路および前記第2位相シフト導波路それぞれの長さおよび幅は、前記第1位相シフト導波路の幅の目標値からの第1誤差が前記第2位相シフト導波路の幅の目標値からの第2誤差である第1場合に、前記第1誤差に対する前記位相差θの平均変化率の絶対値が式(2)で定められる範囲において、0.2度/nm以下になるように定められた
90度光ハイブリッド。
θ=(φ2-φ1)+(φ4-φ3) ・・・・・ (1)
-10nm≦ΔW≦10nm ・・・・・ (2)
ただし、φ1は、前記第1光および前記第2光それぞれの波長が特定の第1波長である第2場合に前記第1アーム導波路が前記第1分割光の電界に与える位相であり、φ2は、前記第2場合に前記第2アーム導波路が前記第2分割光の電界に与える位相であり、φ3は、前記第2場合に前記第3アーム導波路が前記第3分割光の電界に与える位相であり、φ4は、前記第2場合に前記第4アーム導波路が前記第4分割光の電界に与える位相であり、mは零以上の整数であり、ΔWは、前記第1誤差である
【請求項8】
前記位相差θが
85°+360°×m≦|θ|≦95°+360°×m
を満たすことを
特徴とする請求項7に記載の90度光ハイブリッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、90度光ハイブリッドに関する。
【背景技術】
【0002】
90度光ハイブリッドは、位相が90°ずつ異なる4つの干渉光を信号光と参照光から発生する光学装置である(例えば、特許文献1および2参照)。90度光ハイブリッドは例えば、デジタル・コヒーレント光通信の受信機等に用いられる。90度光ハイブリッドから出力される干渉光は、バランス光検出器により位相が異なる2つの電気信号に変換される。この電気信号から、直交する2つの電気信号が復調される。
【0003】
90度光ハイブリッドは、信号光および参照光それぞれを2分割し、分割された参照光に互いに異なる位相を与える。互いに異なる位相が与えられた参照光の一方と分割された信号光の一方とが混合され、位相が90°ずつ異なる4つの干渉光が生成される。分割された参照光ではなく分割された信号光に互いに異なる位相が与えられ、分割された参照光と混合されることもある。
【0004】
分割された参照光に互いに異なる位相を与えるための構造が2つ提案されている。第1の構造では、参照光を分割する際に、分割される参照光の一方に他方に与える位相より90°大きい位相を与える。この分割は、2x2 MMI(Multi-Mode Interferometer)または方向性結合器により実現される(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
第2の構造では、光スプリッタにより分割された参照光の一方を光コンバイナに伝達するアーム導波路に、他の部分より幅が広い位相シフト導波路が設けられる(例えば、特許文献2参照)。位相シフト導波路は、分割された参照光の一方に他方に与える位相より90°大きい位相を与える。位相シフト導波路の両端にはテーパ導波路が設けられ、導波路幅の不連続な変化による散乱損失が抑制される。
【0006】
第1の構造によれば、位相シフト導波路を省略できるので、90度光ハイブリッドを小型化できる。しかし第1の構造では、光スプリッタ内の光路長が波長に依存するため、光スプリッタが分割光の電界に与える位相差が波長に依存する。このため、分割される参照光の電界に与えられる位相は、特定の波長でしか90度にならない(例えば、非特許文献1参照)。従って、第1の構造の90度光ハイブリッドは実用的でない。一方、第2の構造によれば、分割された参照光の電界に与えられる位相差は波長に依存しない(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第10126498号明細書
【文献】特開2011-18002号公報
【非特許文献】
【0008】
【文献】Hang Guan, et al., “Compact and low loss 90° optical hybrid on a silicon-on-insulator platform”, Optics EXPRESS, vol. 25, No. 23, 2017.
【文献】Zhen Shang, et al., “A Compact and Low-Loss MMI Coupler Fabricated With CMOS Technology,” IEEE Photonics Journal, vol. 4, no. 6, 2012.
【文献】神徳正樹、「次世代PLCを支える導波路作成技術」、NTT技術ジャーナル 2005/5 P28-31.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、第2の構造の90度光ハイブリッドには、位相シフト導波路の両端に設けられるテーパ導波路によって損失が増加するという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の問題を解決するために、一つの実施の形態では、90度光ハイブリッドは、入力された光を2つに分割する2つの光スプリッタと、入力された2つの光を合波してそれぞれ2つの干渉光を出力する2つの光コンバイナと、互いに分離された複数の光導波路であって前記光スプリッタのいずれかにより分割された光を前記光コンバイナのいずれかに入力する4つのアーム導波路とを有し、前記各アーム導波路は、中央に配置された曲げ導波路と、前記曲げ導波路に向かって幅が減少するテーパ導波路を含む複数の光導波路とを有し、前記各光導波路の両端はそれぞれ、前記光スプリッタ、前記光コンバイナ、前記曲げ導波路、および前記複数の光導波路のいずれか一つの第1端面に接し、前記各光導波路は、前記テーパ導波路または幅が一定の直線導波路である。
【発明の効果】
【0012】
一つの側面では、本発明によれば、90度光ハイブリッドを低損失化できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、90度光ハイブリッド2の特徴を説明する図である。
図2図2は、実施の形態1の90度光ハイブリッド8の一例を示す平面図である。
図3図3は、アーム導波路14の一例を示す図である。
図4図4は、アーム導波路14の一例を示す図である。
図5図5は、図3に示されたアーム導波路14の幅の変化の一例を示す図である。
図6図6は、図4に示されたアーム導波路14の幅の変化の一例を示す図である。
図7図7は、図3のアーム導波路14の幅W(z)(実線33)および図4のアーム導波路14の幅W(z)(破線35)を一つのグラフに示した図である。
図8図8は、図2のVIII-VIII線に沿った90度光ハイブリッド8の断面図の一例を示す図である。
図9図9は、曲げ導波路16の幅45と損失の関係の一例を示す図である。
図10図10は、図9の損失の算出に用いた光導波路46の平面図である。
図11図11は、位相シフト導波路56の幅が伝搬導波路57の幅より広い90度光ハイブリッド108の平面図の一例である。
図12図12は、図11の左上のアーム導波路114と右下のアーム導波路114とを示す図である。
図13図13は、図11の右上のアーム導波路114と左下のアーム導波路114とを示す図である。
図14図14は、直線導波路の製造誤差1nm当たりの位相誤差と直線導波路の幅との関係を示す図である。
図15図15は、実施の形態2の90度光ハイブリッド208の一例を説明する図である。
図16図16は、変形例2の90度光ハイブリッドM2の一例を示す平面図である。
図17図17は、変形例3の90度光ハイブリッドを説明する平面図である。
図18図18は、変形例3の90度光ハイブリッドを説明する平面図である。
図19図19は、変形例4の90度光ハイブリッドを説明する平面図である。
図20図20は、変形例5の90度光ハイブリッドM5を示す平面図である。
図21図21は、変形例6の90度光ハイブリッドM6の一例の平面図である。
図22図22は、位相差θと波長λの関係の一例を示す図である。
図23図23は、位相誤差と導波路幅の関係の一例を示す図である。
図24図24は、位相差θの誤差無依存条件が満たされた場合の位相誤差と波長λの関係の一例を示す図である。
図25図25は、複数の光導波路20の一つと曲げ導波路16との境界近傍を示す図である。
図26図26は、実施の形態6の曲げ導波路616を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面にしたがって本発明の実施の形態について説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。図面が異なっても同じ構造を有する部分等には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0015】
(実施の形態1)
(1)90度光ハイブリッド
図1は、90度光ハイブリッド2の特徴を説明する図である。90度光ハイブリッド2は、波長が同じ2つの光4,6が入力されると、2つの光4,6を混合して、互いの位相が90°ずつ異なる4つの干渉光Ip,In,Qp,Qnを出力するように構成された装置である。干渉光Ipと干渉光Inの位相差は180°である。干渉光Qpと干渉光Qnの位相差は180°である。干渉光Ipと干渉光Qpの位相差は90°である。干渉光Inと干渉光Qnの位相差は90°である。干渉光の位相差とは、干渉光の光強度(すなわち、パワー)の位相差のことである。実施の形態1の90度光ハイブリッドもこれらの特性を有する。
【0016】
(2)構造
図2は、実施の形態1の90度光ハイブリッド8の一例を示す平面図である。
【0017】
実施の形態1の90度光ハイブリッド8は、入力された光を2つに分割する2つの光スプリッタ10と、入力された2つの光を合波してそれぞれ2つの干渉光を出力する2つの光コンバイナ12と、4つのアーム導波路14とを有する。
【0018】
図3~4は、4つのアーム導波路14それぞれの一例を示す図である。図3には、図2の左上に配置されたアーム導波路14および右下に配置されたアーム導波路14が示されている。図4には、図2の左下に配置されたアーム導波路14および右上に配置されたアーム導波路14が示されている。図3および4にはそれぞれ、2つの光スプリッタ10および2つの光コンバイナ12も破線で示されている。図2~4には、後述する実施の形態2~4の90度光ハイブリッド208、308、408の構造も示されている。
【0019】
図3に示された2つのアーム導波路14は、同じ構造を有している。図3に示された2つのアーム導波路14は、実施の形態2の変形例で説明するように、別々の構造を有してもよい。図4に示された2つのアーム導波路14についても同様である。
【0020】
4つのアーム導波路14はそれぞれ、互いに分離された複数の光導波路であって、2つの光スプリッタ10のいずれかにより分割された光を、2つの光コンバイナ12のいずれかに入力する光導波路である。
【0021】
各アーム導波路14は、中央に配置された曲げ導波路16と複数の光導波路20とを有する(図3~4参照)。複数の光導波路20はそれぞれ、曲げ導波路16に向かって幅が徐々に減少するテーパ導波路18を含む。各光導波路20は、テーパ導波路18または幅が一定の直線導波路22である。複数の光導波路20は、直線導波路22を有さなくてもよい。光導波路の幅とは、平面視において光導波路を伝搬する光の進行方向に垂直な方向に沿って測ったコアの側面間の距離である。光導波路の長さとは、光導波路のコアの長さである。
【0022】
図3に示すアーム導波路14はそれぞれ、5つの光導波路20を有している。図4に示すアーム導波路14はそれぞれ、6つの光導波路20を有している。
【0023】
各光導波路20の両端はそれぞれ、光スプリッタ10、光コンバイナ12、曲げ導波路16、および別の光導波路20のいずれか一つの端面に接している。
【0024】
図5は、図3に示されたアーム導波路14の幅の変化の一例を示す図である。図6は、図4に示されたアーム導波路14の幅の変化の一例を示す図である。縦軸は、アーム導波路14の幅である。横軸は、アーム導波路14に沿った光スプリッタ10からの距離zである。図5~6中の両矢印(←→)に付された符号は、両矢印により示された領域に配置された導波路の種別を示している。例えば、図5における最も左側の両矢印に付された符号「18」は、テーパ導波路18を示している。図5~6に示されたテーパ導波路のテーパ角度は2°である。テーパ角度とは、テーパ導波路を伝搬する光の進行方向とテーパ導波路18の側面との間の角度である。
【0025】
複数の光導波路20はそれぞれ、曲げ導波路16に向かって幅が徐々に減少するテーパ導波路18または幅が一定の直線導波路22である。従って、光スプリッタ10からの距離z(≧0)に対するアーム導波路14の幅W(z)は、距離zの増加に対して減少または一定に保たれながら、光スプリッタ10側の端面24の幅W0(図5~6参照)から曲げ導波路16の幅W1になる。
【0026】
距離zが更に増加すると、アーム導波路14の幅W(z)は、増加しまたは一定に保たれながら、曲げ導波路16の幅W1から光コンバイナ12側の端面26(図3~4参照)の幅W2になる。
【0027】
各アーム導波路14の光スプリッタ10側の端面24は、光スプリッタ10の出力ポートPoutに接続されている。光スプリッタ10の出力ポートPoutの幅は、アーム導波路14の光スプリッタ10側の端面24の幅と同じである。従って、光スプリッタ10の出力ポートPoutの幅は、曲げ導波路16の幅W1より広い。
【0028】
各アーム導波路14の光コンバイナ12側の端面26は、光コンバイナ12の入力ポートPinに接続されている。光コンバイナ12の入力ポートPinの幅は、アーム導波路14の光コンバイナ12側の端面26の幅と同じである。従って、光コンバイナ12の入力ポートPinの幅は、曲げ導波路16の幅W1より広い。
【0029】
(3)動作
図7は、図3のアーム導波路14の幅W(z)(実線33)および図4のアーム導波路14の幅W(z)(破線35)を一つのグラフに示した図である。
【0030】
図7に示すように、実線33の一部37は、図3に示された直線導波路222aの幅W1を示している。破線35の一部39は、図4に示された直線導波路222bの幅W4を示している。
【0031】
直線導波路222aの幅W1と直線導波路222bの幅W4は異なっている。更に、直線導波路222aの長さと直線導波路222bの長さも僅かに異なっている。光導波路の実効屈折率は導波路幅に依存する。従って、直線導波路222aの光路長と直線導波路222bの光路長は異なる。この光路長の相違により、90°ずつ位相が異なる4つの干渉光が、光コンバイナ12から出力される(実施の形態2参照)。直線導波路222aおよび直線導波路222bは以後、位相シフト導波路と呼ばれる。位相シフト導波路以外の直線導波路は、伝搬導波路と呼ばれる。
【0032】
図3のアーム導波路14の位相シフト導波路222a以外の部分の光路長と、図4のアーム導波路14の位相シフト導波路222b以外の部分の光路長は一致する。
【0033】
具体的には、図3のアーム導波路14の伝搬導波路の長さの合計と、図4のアーム導波路14の伝搬導波路の長さの合計は一致する。更に、図3のアーム導波路14の伝搬導波路の幅と図4のアーム導波路14の伝搬導波路の幅も一致する。従って、図3のアーム導波路14の伝搬導波路の光路長の合計と、図4のアーム導波路14の伝搬導波路の光路長の合計は一致する。
【0034】
更に、図3のアーム導波路14のテーパ導波路18の長さの合計と、図4のアーム導波路14のテーパ導波路18の長さの合計は一致する。更に、図3のアーム導波路14のテーパ導波路18のテーパ角と図4のアーム導波路14のテーパ導波路18のテーパ角は一致する。従って、図3のアーム導波路14のテーパ導波路18の光路長の合計と、図4のアーム導波路14のテーパ導波路18の光路長の合計は一致する。
【0035】
更に、図3のアーム導波路14の曲げ導波路の長さおよび幅は、図4のアーム導波路14の曲げ導波路の長さおよび幅と同じである。従って、図3のアーム導波路14の曲げ導波路16の光路長と、図4のアーム導波路14の曲げ導波路16の光路長は一致する。
【0036】
従って、図3のアーム導波路14の位相シフト導波路222a以外の部分の光路長と、図4のアーム導波路14の位相シフト導波路222b以外の部分の光路長は一致する。アーム導波路14の位相シフト導波路222a以外の部分の光路長とは、伝搬導波路の光路長の合計とテーパ導波路の光路長の合計と曲げ導波路の光路長の合計である。
【0037】
従って、90度光ハイブリッド8の各アーム導波路14は、位相シフト導波路222a,222b以外の部分の光路長が互いに一致するように構成されている。
【0038】
―使用方法―
光スプリッタ10の一方には信号光S(図1参照)が入力され、他方には波長が信号光の波長と略同じ参照光LOが入力される。2つの光スプリッタ10はそれぞれ、信号光Sまたは参照光LOを分割し、分割された信号光Sまたは分割された参照光LOをアーム導波路14を介して2つの光コンバイナ12のいずれかに入力する。2つの光コンバイナ12はそれぞれ、分割された信号光Sと分割された参照光LOとを混合し、位相が略90度ずつ異なる4つの干渉光Ip,In,Qp,Qnを出力する。
【0039】
実施の形態1のアーム導波路14(図2参照)は、互いに分離された光導波路である。従って、アーム導波路が交差する90度光ハイブリッド(例えば、特許文献2参照)に比べ、実施の形態1の90度光ハイブリッド8のクロストークは格段に小さい。
【0040】
(4)製造方法
図8は、図2のVIII-VIII線に沿った90度光ハイブリッド8の断面図の一例を示す図である。90度光ハイブリッド8は、コア34とコアを囲むクラッド36とを有する。90度光ハイブリッド8のコア34は、例えば、SOI(Silicon-On-Insulator)ウェハの上部Si層を、エッチングマスクを介してエッチングすることで形成される。エッチングマスクは、フォトリソグラフィにより形成される。形成されたコア34は、帯状のシリコンである。コア34の厚さ44は例えば、100~1000nmである。
【0041】
90度光ハイブリッドのクラッド36は例えば、下部クラッド層38と上部クラッド層40とを有する。下部クラッド層38は例えば、SOIウェハのBOX(Buried Oxide)層から形成されるSiO層である。上部クラッド層40は例えば、コア34が形成されたSOIウェハ上に堆積されるSiO層である。
【0042】
(5)低損失化
(5-1)光スプリッタ10、光コンバイナ12および曲げ導波路16の低損失化
光スプリッタ10は例えば、1×2 MMIまたはY分岐光導波路である。光コンバイナ12は例えば、2×2 MMIである。MMIの挿入損失は、入出力ポート(すなわち、光が入力または出力される領域)の幅が広いほど低くなる(例えば、非特許文献2参照)。
【0043】
Y分岐導波路の損失は、光導波路が分岐する部分(すなわち、分岐部)における導波路間の隙間が狭いほど小さくなる。従って原理的には、分岐部における光導波路間の隙間を無くすことで、Y分岐導波路を無損失化することは可能である。
【0044】
しかし、フォトリソグラフィの解像度に限界があるため、分岐部における光導波路間の隙間を十分に狭くすることは困難である。このため、現実のY分岐導波路では、Y分岐導波路を伝搬する光は分岐部で散乱される。その結果、散乱損失が発生する。
【0045】
分岐部で分岐した導波路(すなわち、分岐導波路)の間に浸みだす光の割合は、分岐導波路の幅が広いほど低くなる。従って分岐部で散乱される光の割合は、分岐導波路の幅が広いほど低くなる。故に、Y分岐導波路の損失も、入出力ポートの幅が広いほど低くなる。
【0046】
上述したように、光スプリッタ10および光コンバイナ12は、MMIまたはY分岐導波路等により実現される。MMIおよびY分岐導波路の損失は入出力ポートの幅が広いほど低くなるので、光スプリッタ10の損失は出力ポートPoutの幅が広いほど低くなる。同様に光コンバイナ12の損失は、入力ポートPinの幅が広いほど低くなる。
【0047】
この傾向は、コア34とクラッド36の比屈折率差が大きいほど顕著である。例えば、コア34がSi層でクラッド36がSiOの場合、上記傾向は顕著である。コアとクラッドの大きな比屈折率差は、光導波路デバイスの小型化にとって有益である。
【0048】
図9は、曲げ導波路16の幅45と損失の関係の一例を示す図である。横軸は、曲げ導波路16の幅である。縦軸は、曲げ導波路16の挿入損失である。
【0049】
図10は、図9の損失の算出に用いた光導波路46の平面図である。曲げ導波路16の両端には、直線導波路22が接続される。直線導波路22の一方を介して曲げ導波路16に入力光48が入力されると、直線導波路22の他方を介して出力光50が出力される。出力光50と入力光48の強度比から、曲げ導波路16の損失が算出された。出力光50および入力光48それぞれの強度は、有限要素法及び有限差分時間領域法により算出された。
【0050】
算出に用いた光導波路46の厚さ44は、220nmである。光導波路46のコア34はSiである。クラッド36は、SiOである。算出に用いた曲げ導波路16の曲率半径Rは4μmである。曲げ導波路16の曲率半径Rとは、外周側の側面52および内周側の側面54それぞれの曲率半径の平均値のことである。入力光48の波長は、1.55μmである。曲げ導波路16の両端を通る2つの半径17,19の間の角度は、90°である。
【0051】
曲げ導波路16がマルチモード導波路の場合、曲げ導波路16の伝搬光(すなわち、導波路を伝搬する光)の電界分布は外周側に偏在する。このため、直線導波路22と曲げ導波路16との境界面で電界分布のミスマッチが発生しその結果、損失が発生する。
【0052】
曲げ導波路16の幅が広いほど、曲げ導波路16における電界分布の偏在は大きくなる。従って曲げ導波路16の幅が広いほど、曲げ導波路16の損失は高くなる。この傾向は、コアとクラッドの比屈折率差が大きいほど顕著である。
【0053】
従って図9に示すように、曲げ導波路16の損失は導波路幅が広いほど高い。逆にいえば、曲げ導波路16の損失は導波路幅が狭いほど低い。なお、図9に示す例では、曲げ導波路16の幅が0.46μm以上で、曲げ導波路16の伝搬光はマルチモードになる。
【0054】
実施の形態1のアーム導波路14は曲げ導波路16に向かって幅が徐々に減少するテーパ導波路18を有するので、実施の形態1の90度光ハイブリッドによれば、光スプリッタ10の出力ポートPoutの広い幅と曲げ導波路16の狭い幅を両立できる。同様に、実施の形態1の90度光ハイブリッドによれば、光コンバイナ12の入力ポートPinの広い幅と曲げ導波路16の狭い幅とを両立できる。
【0055】
従って実施の形態1よれば、光スプリッタ10、光コンバイナ12および曲げ導波路16それぞれを低損失化できる。アーム導波路14の光スプリッタ10側の端面24(図3~4参照)の幅は、例えば0.7μm~1.7μmである。アーム導波路14の光コンバイナ12側の端面24の幅は、例えば1.0μm~2.0μmである。曲げ導波路16の幅は、例えば0.6μm~1.2μmである。
【0056】
(5-2)アーム導波路14の低損失化
図11は、位相シフト導波路56の幅が伝搬導波路57の幅より広い90度光ハイブリッド108の平面図の一例である。
【0057】
図12は、図11の左上のアーム導波路114と右下のアーム導波路114とを示す図である。図13は、図11の右上のアーム導波路114と左下のアーム導波路114とを示す図である。図12~13には、光スプリッタ10および光コンバイナ12も破線で示されている。
【0058】
図11に示す例では、幅広の位相シフト導波路56が右上のアーム導波路114と左下のアーム導波路114に設けられている(図13参照)。幅が異なる導波路が接続されると、導波路の接続箇所で導波路幅が不連続に変化する。導波路幅の不連続な変化による伝搬光の散乱損失を抑制するため、幅広の位相シフト導波路56(図13参照)の両端にはテーパ導波路58,60が接続されている。テーパ導波路58,60は、位相シフト導波路56に向かって幅が徐々に増加する光導波路である。
【0059】
左上のアーム導波路114(図11参照)と右下のアーム導波路114には、互いに接するテーパ導波路158,160(図12参照)および伝搬導波路57と幅が同じ位相シフト導波路156が設けられる(図12参照)。テーパ導波路158,160は、図12のアーム導波路114の長さと図13のアーム導波路114の長さが大きく異なることを防ぐために設けられる。テーパ導波路158,160の構造(長さ、テーパ角度等)は、テーパ導波路58,60の構造と同じである。
【0060】
これらの構造により、図12のアーム導波路114と図13のアーム導波路114とは、光スプリッタ10により分割された参照光の電界に90度異なる位相を与える。
【0061】
図11~13に示す例では、導波路の幅の不連続による散乱損失は、テーパ導波路58,60により抑制される。しかし図11~13のアーム導波路114には、テーパ導波路58,60自体が、伝搬光に無視できない損失を与えるという問題がある。
【0062】
テーパ導波路58,60等のコアは例えば、Si層のエッチングにより形成される。Si層のエッチングにより、コアの側壁(すなわち、側面)には不規則な荒れが形成される。この側壁の荒れにより伝搬光が散乱されて、損失が発生する。
【0063】
導波路幅の不連続による散乱損失を小さくするためには、テーパ導波路58,60のテーパ角度を小さくすることが重要である。しかし、テーパ角度を小さくするとテーパ導波路58,60が長尺化し、テーパ導波路58,60自体の散乱損失が無視できなくなる。幅広の位相シフト導波路56が設けられないアーム導波路114(図12参照)のテーパ導波路158,160の散乱損失も、同様に無視できない。
【0064】
従って、幅広の位相シフト導波路56を有する図13のアーム導波路114の損失は、テーパ導波路58,60により高くなる。テーパ導波路158,160を有する図12のアーム導波路114の損失についても同様である。
【0065】
光導波路の側壁荒れによる散乱損失は、コアとクラッドの比屈折率差が大きい光導波路(例えば、SiコアとSiOクラッドとを有する光導波路)で特に問題になる。これは、比屈折率差が大きいほど、側壁の近傍に伝搬光が集中し、側壁荒れによる散乱が大きくなるためである。
【0066】
実施の形態1のアーム導波路14の各光導波路20は、曲げ導波路16に向かって幅が減少するテーパ導波路18または幅が一定の直線導波路22なので、幅広の位相シフト導波路56は含まない。従って、実施の形態1のアーム導波路14の損失が、幅広の位相シフト導波路56の両端に接続されるテーパ導波路58,60,158,160(図11参照)により増大することはない。故に実施の形態1によれば、アーム導波路14を低損失化できる。
【0067】
以上のように、実施の形態1によれば、光スプリッタ10、光コンバイナ12、曲げ導波路16およびアーム導波路14それぞれを低損失化できる。従って、実施の形態1によれば、90度光ハイブリッドを低損失化できる。
【0068】
(6)位相誤差の抑制
アーム導波路14,114が伝搬光の電界に与える位相は、アーム導波路14,114の幅に依存する。従って、エッチング等により形成されるコアの幅が設計値からずれと、アーム導波路14,114が伝搬光の電界に与える位相も設計値からずれる。
【0069】
幅広の位相シフト導波路56を有する図11のアーム導波路114は長尺なテーパ導波路を多数含むので、コア幅の設計値からのずれによるアーム導波路114の位相誤差は大きい。ここで位相誤差とは、位相の設計値からのずれのことである。コア幅等の設計値からのずれは、エッチング等の製造工程における誤差(すなわち、製造誤差)である。
【0070】
実施の形態1のアーム導波路14の各光導波路20は、曲げ導波路16に向かって幅が減少するテーパ導波路18または幅が一定の直線導波路22なので、幅広の位相シフト導波路56は含まない。従って実施の形態1のアーム導波路14に含まれるテーパ導波路は少数であり、実施の形態1の90度光ハイブリッド8の位相誤差は小さい。
【0071】
すなわち、実施の形態1の90度光ハイブリッド8には、幅広の位相シフト導波路56の両側のテーパ導波路58,60およびアーム導波路114の長さ調整のためのテーパ導波路158,160は含まれない。従って、実施の形態1の90度光ハイブリッド8には、テーパ導波路58,60,158,160の製造誤差による位相誤差は発生しない。
【0072】
従って、実施の形態1の90度光ハイブリッド8によれば、コア幅の設計値からのずれによる位相誤差を抑制することができる。
【0073】
ここで、テーパ導波路58,60の幅が設計値から1nmずれた場合の位相誤差を見積もる。テーパ導波路58,60の材質および厚さは、図10を参照して説明した曲げ導波路16の材質および厚さと同じとする。
【0074】
図14は、直線導波路の製造誤差1nm当たりの位相誤差と直線導波路の幅との関係を示す図である。横軸は、直線導波路の幅である。縦軸は、製造誤差1nm当たりの位相誤差である。図14の位相誤差は、直線導波路の長さが1μmの場合の製造誤差1nm当たりの位相誤差である。図14の関係は、有限要素法により算出された。直線導波路の材質および厚さは、図10を参照して説明した曲げ導波路16と同じとした。伝搬光の波長は、1.55μmとした。
【0075】
図14に示すように、直線導波路の位相誤差は導波路幅が広いほど小さい。従ってテーパ導波路58,60の位相誤差は、テーパ導波路58,60の最大の幅と幅が同じ直線導波路の位相誤差より小さいと考えられる。図14に基づいて、テーパ導波路58,60の位相差の合計を見積もると、0.24°より小さくなる。見積のためのテーパ導波路58,60の長さは、5.4μmとした。テーパ導波路58,60のテーパ角度は2°とした。テーパ導波路58,60の最大の幅は1278nmとした。
【0076】
90度光ハイブリッドに許される代表的な許容誤差は5°である。従って、テーパ導波路58,60の上記位相誤差0.24°は、許容誤差は5°に照らして無視できない。従って、幅広の位相シフト導波路56を含まない実施の形態1の光ハイブリッド8は、位相誤差の低減の観点からも優れている。
【0077】
実施の形態1では、曲げ導波路16に向かって幅が狭まるテーパ導波路18と直線導波路22とにより、光スプリッタ10と光コンバイナ12とが接続される。従って、光スプリッタ10および光コンバイナ12の入出力ポートPin,Poutの幅は広がり、曲げ導波路16の幅は狭くなる。その結果、光スプリッタ10、光コンバイナ12および曲げ導波路16が低損失化される。
【0078】
更にアーム導波路14の各光導波路20は、曲げ導波路16に向かって幅が減少するテーパ導波路18または幅が一定の直線導波路22なので、幅広の位相シフト導波路56は含まない。従って実施の形態1のアーム導波路14には、幅広の位相シフト導波路56の両端に接続されるテーパ導波路58,60は含まれない。故に実施の形態1のアーム導波路14は低損失である。
【0079】
以上のように、実施の形態1によれば、光スプリッタ10、光コンバイナ12、曲げ導波路16およびアーム導波路14それぞれを低損失化できる。従って、実施の形態1によれば、90度光ハイブリッドを低損失化できる。
【0080】
(実施の形態2)
実施の形態2は、実施の形態1に類似している。従って、実施の形態1と同じ構成等については、説明を省略または簡単にする。
【0081】
(1)構造
図15は、実施の形態2の90度光ハイブリッド208の一例を説明する図である。90度光ハイブリッド208の各光導波路(すわち、テーパ導波路18、直線導波路22、曲げ導波路16)の数および配置は、図2~4を参照して説明した実施の形態1の90度光ハイブリッド8と同じである。
【0082】
実施の形態2の2つの光スプリッタ10は、第1光スプリッタ10aと第2光スプリッタ10bである。第1光スプリッタ10aは、入力された第1光302aを第1分割光304aと第2分割光304bとに分割する。第2光スプリッタ10bは、入力された第2光302bを第3分割光304cと第4分割光304dとに分割する。
【0083】
実施の形態2の4つのアーム導波路14は、第1アーム導波路14a、第2アーム導波路14b、第3アーム導波路14cおよび第4アーム導波路14dである。実施の形態2の2つ光コンバイナ12は、第1光コンバイナ12aおよび第2光コンバイナ12bである。
【0084】
第1アーム導波路14aは、第1光コンバイナ12aに第1分割光304aを入力する。第2アーム導波路14bは、第2光コンバイナ12bに第2分割光304bを入力する。第3アーム導波路14cは、第2光コンバイナ12bに第3分割光304cを入力する。第4アーム導波路14dは、第1光コンバイナ12aに第4分割光304dを入力する。
【0085】
ここで第1アーム導波路14aが第1分割光304aの電界に与える位相をφ1とし、第2アーム導波路14bが第2分割光304bの電界に与える位相をφ2とする。更に第3アーム導波路14cが第3分割光304cの電界に与える位相φ3とし、第4アーム導波路14dが第4分割光304dの電界に与える位相をφ4とする。
【0086】
実施の形態2の90度光ハイブリッド208は、第1光302aおよび第2光302bそれぞれの波長λが特定の波長λ(例えば、1547.5nm)である場合に、位相差θが式(1)~(2)を満たすように構成されている。
【0087】
θ=(φ2-φ1)+(φ4-φ3) ・・・(1)
90°-Δ+360°×m≦|θ|≦90°+Δ+360°×m ・・・(2)
【0088】
ここでΔは許容誤差であり、mは零以上の整数である。許容誤差は好ましくは0°以上5°以下であり、更に好ましくは0°以上4°以下であり、最も好ましくは0°以上3°以下である。許容誤差が0°以上5°以下であれば、90度光ハイブリッド208から出力される干渉光(すなわち、Qp、Qn、Ip、In)の光信号対雑音比は0.5dB以下に抑制される(例えば、特許文献2参照)。第1光302aは例えば、デジタル・コヒーレント通信における信号光である。第2光302bは例えば、デジタル・コヒーレント通信における参照光である。
【0089】
(2)動作
第1光スプリッタ10aは第2分割光304bの電界に、第1分割光304aの電界に与える位相よりA12(例えば、0°または±180°)だけ大きい位相を与える。第2光スプリッタ10bは第3分割光304cの電界に、第4分割光304dの電界に与える位相よりA34(例えば、0°または±180°)だけ大きい位相を与える。第1光スプリッタ10aおよび第2光スプリッタ10bは例えば、1×2 MMIにより実現される。
【0090】
第1光コンバイナ12aは第1分割光304aの第1部分P1の電界に、第1分割光304aの第2部分P2の電界に与える位相より-90°大きい位相を与える。第1光コンバイナ12aは更に、第4分割光304dの第3部分P3の電界に、第4分割光304dの第4部分P4の電界に与える位相より-90°大きい位相を与える。
【0091】
第1光コンバイナ12aは、第2部分P2および第3部分P3の電界に上記位相を与えながら、第2部分P2と第3部分P3とを合波して干渉光If1を生成し出力する。第1光コンバイナ12aは更に、第2部分P2および第3部分P3の電界に上記位相を与えながら、第4部分P4と第1部分P1とを合波して、干渉光If2を生成し出力する。
【0092】
第2光コンバイナ12bは、第2分割光304bの第5部分P5の電界に、第2分割光304bの第6部分P6の電界に与える位相より-90°大きい位相を与える。第2光コンバイナ12bは更に、第3分割光304cの第7部分P7の電界に、第3分割光304cの第8部分P8の電界に与える位相より-90°大きい位相を与える。
【0093】
第2光コンバイナ12bは、第6部分P6および第7部分P7の電界に上記位相を与えながら、第6部分P6と第7部分P7とを合波して干渉光If3を生成し出力する。第2光コンバイナ12bは更に、第6部分P6および第7部分P7の電界に上記位相を与えながら、第8部分P8と第5部分P5とを合波して、干渉光If4を生成し出力する。
【0094】
上記合成の結果、干渉光If1の位相aと干渉光If2の位相bの位相差(=a-b)および干渉光If3の位相cと干渉光If4の位相dとの位相差(=c-d)は180°になる。更に、干渉光If1の位相aと干渉光If3の位相cの位相差(=a-c)はθ+(A12-A34)になる。同様に、干渉光If2の位相bと干渉光If4の位相dの位相差(=b-d)は、θ+(A12-A34)になる。θは、「(1)構造および動作」で説明した式(1)により与えられる位相差である。
【0095】
ここでは、A12とA34とが等しく、θの符号が正の場合を考える。A12とA34とが異なる場合は後述される。干渉光の強度に関し意味のない位相差360°×m(mは整数)を無視すればθは略90°なので、干渉光If1の位相aと干渉光If3の位相cの位相差(=a-c)は略90°である。同様に、干渉光If2の位相bと干渉光If4の位相dの位相差(=b-d)は略90°である。
【0096】
以上の結果をまとめると、干渉光If1の位相aと干渉光If3の位相cとの位相差(=a-b)および干渉光If2の位相bと干渉光If4の位相dとの位相差(=b-d)も略90°である。一方、干渉光If1の位相aと干渉光If2の位相bとの位相差(=a-b)は180°である。干渉光If3の位相cと干渉光If4の位相dとの位相差(=c-d)も180°である。
【0097】
12とA34とが等しい場合、干渉光If1は、図1を参照して説明した干渉光Qpの要件を満たし、If2は干渉光Qnの要件を満たす。干渉光If3は、干渉光Ipの要件を満たし、干渉光If4は干渉光Inの要件を満たす。従って、実施の形態2の90度光ハイブリッド208は、実施の形態1の「(1)90度光ハイブリッド」で説明した90度光ハイブリッドの要件を満たしている。
【0098】
ところで、90度光ハイブリッドの要件を満たすことは、光スプリッタ10の一方を2x2 MMIまたは方向性結合器とすることでも可能である(例えば、特許文献1)。2x2 MMIおよび方向性結合器は、分割光の一方に他方より90°大きい位相を与える。従って、光スプリッタ10の一方を2x2 MMIまたは方向性結合器とすることで90度光ハイブリッドから出力される干渉光の位相を90度ずつ異ならせることは可能である。
【0099】
しかし、光スプリッタ10の一方が2x2 MMIまたは方向性結合器の場合、90度光ハイブリットに入力される光の波長が最適な波長から外れると、90度光ハイブリットから出力される干渉光の位相差も90度から外れてしまう。
【0100】
2x2 MMIの入力光は多数のモードに展開され、展開されたモードが一定距離を伝搬する間に生じる干渉現象により分割される。このため、入力光の波長が変化すると展開されたモードの光路長が変化しその結果、分割光の電界の位相差が90°からずれてしまう(例えば、非特許文献1参照)。換言するならば、2x2 MMIが分割光の電界に与える位相差は、入力光の波長に依存する。
【0101】
このため光スプリッタ10の一方が2x2 MMIである場合、光コンバイナ12から出力される干渉光の位相差は、90度光ハイブリッドの入力光の波長に依存する。光スプリッタ10の一方が、方向性結合器の場合も同様である。
【0102】
一方、実施の形態2の90度光ハイブリッド208では、干渉光If1,If2,If3,If4の位相差は光スプリッタではなくアーム導波路14により制御される。従って実施の形態2の90度光ハイブリッド208によれば、干渉光の位相差の波長依存性を抑制できる。これは、光スプリッタ10が分割光の電界に与える位相差A12、A34が等しければ、干渉光If1,If3の位相差(=θ+(A12-A34))はアーム導波路14が分割光304a~304dに与える位相θだけに依存するためである。干渉光If2,If4(=θ+(A12-A34))の位相差についても同様である。
【0103】
(3)変形例
(3-1)変形例1
ここまでに例示された光スプリッタ10は、1×2 MMIである。しかし光スプリッタ10は、2x2 MMI、方向性結合器またはY分岐導波路等であってもよい。
【0104】
これらの光デバイスから出力される分割光の電界の位相差は様々である。しかし、上記A12、A34が一定の条件(例えば、A12=A34)を満たすデバイスであれば、90度光ハイブリッド208の光スプリッタ10として使用できる。
【0105】
「(2)動作」の説明から明らかなように、A12-A34=0°となる光デバイスは、光スプリッタ10として使用できる。A12-A34=±180°を満たす光デバイスも、90度光ハイブリッドの光スプリッタ10として使用できる。
【0106】
12-A34=±180°の場合、干渉光If1と干渉光If3の位相差(=θ+(A12-A34))は略270°または略-90°になる。干渉光If2と干渉光If4の位相差についても同様である。干渉光If1と干渉光If2の位相差は、180°である。同様に、干渉光If3と干渉光If4の位相差は、180°である。
【0107】
干渉光における360°異なる位相の同等性を考慮すると、干渉光If1~If4の位相の間隔は略90°になる。従って、A12-A34=±180°を満たすデバイスも、90度光ハイブリッドの光スプリッタ10として使用できる。
【0108】
12-A34=0°の場合、干渉光Qp,Qnは第1光コンバイナ12aから出力され、干渉光Ip,Inは第2光コンバイナ12bから出力される。一方、A12-A34=±180°の場合、干渉光Qp,Qnは第2光コンバイナ12bから出力され、干渉光Ip,Inは第1光コンバイナ12aから出力される。すなわち、A12-A34=±180°とすることで、光コンバイナ12a、12bから出力される干渉光が入れ替わる。従って、変形例1によれば、90度光ハイブリッドの設計の自由度が増す。
【0109】
(3-2)変形例2
図16は、変形例2の90度光ハイブリッドM2の一例を示す平面図である。図2~4に示された例では、各アーム導波路14に位相シフト導波路222が設けられる。一方、変形例2では図16に示すように、位相シフト導波路222は4つのアーム導波路のうちの2つだけに設けられる。変形例2によれば、位相シフト導波路の配置方法のバリエーションが増えるので、90度光ハイブリッドの設計の自由度が増す。
【0110】
(3-3)変形例3
図17~18は、変形例3の90度光ハイブリッドを説明する平面図である。図2~4に示された例では、一つのアーム導波路14に一つの位相シフト導波路222が設けられる。一方、変形例3では図17~18に示すように、一つのアーム導波路14に複数の位相シフト導波路222が設けられる。
【0111】
変形例3によれば、位相シフト導波路の数のバリエーションが増えるので、90度光ハイブリッドの設計の自由度が増す。
【0112】
(3-4)変形例4
図19は、変形例4の90度光ハイブリッドを説明する平面図である。図2~4に示された例では、位相シフト導波路222は直線導波路22である。一方、変形例4の位相シフト導波路218はテーパ導波路18である。
【0113】
変形例4によれば、位相シフト導波路のバリエーションが増えるので、90度光ハイブリッドの設計の自由度が増す。
【0114】
(3-5)変形例5
図20は、変形例5の90度光ハイブリッドM5を示す平面図である。図2~4に示された例では、位相シフト導波路222は直線導波路22である。一方、変形例5の位相シフト導波路216は曲げ導波路16である。
【0115】
変形例5によれば、位相シフト導波路のバリエーションが増えるので、90度光ハイブリッドの設計の自由度が増す。変形例5によれば更に、曲げ導波路16が位相シフト導波路を兼ねるので、アーム導波路14を短尺化できる。
【0116】
(3-6)変形例6
光スプリッタ10の分割光にアーム導波路14が与える位相差φ1~φ4は、式(3)~(4)で表すことができる。
【0117】
φi=φ0i+Δφi ・・・・・ (3)
φ02-φ01+φ04-φ03=0 ・・・・・ (4)
ここでiは、1以上4以下の整数である。
【0118】
Δφ1は、第1アーム導波路14aの位相シフト導波路が第1分割光304a(図15参照)に与える位相である。Δφ2は、第2アーム導波路14bの位相シフト導波路が第2分割光304bに与える位相である。Δφ3は、第3アーム導波路14cの位相シフト導波路が第3分割光304cに与える位相である。Δφ4は、第4アーム導波路14dの位相シフト導波路が第4分割光304dに与える位相である。
【0119】
図3~4に示す例では、φ01=φ03、φ02=φ04およびφ02=φ01である。しかしφ01~φ04は、これらの条件を満たさなくてもよい。φ01~φ04は例えば、φ01=φ02、φ03=φ04およびφ01≠φ03の3つの条件を満たしてもよい。あるいは、φ01~φ04は例えば、φ01=φ04、φ02=φ03およびφ01≠φ03の3つの条件を満たしてもよい。これら条件を満たす場合にも、式(4)は満たされる。
【0120】
図21は、変形例6の90度光ハイブリッドM6の一例の平面図である。図21には、φ01=φ02、φ03=φ04およびφ01≠φ03の3つの条件を満たす90度光ハイブリッドM6の一例が示されている。図21に示すように、変型例6によれば、2つの光スプリッタ10a,10bの構造(例えば、出力ポートPoutの幅や間隔)を大きく異ならせることができる。一方、φ01=φ04、φ02=φ03およびφ01≠φ03の場合には、2つの光コンバイナ12a,12bの構造を大きく異ならせることができる。
【0121】
従って、変形6によれば光スプリッタ10および光コンバイナ12の選択の幅が広がる。
【0122】
(3-7)変形例7
各アーム導波路14が配置される位置は、図15に示される位置には限られない。例えば、第1アーム導波路14aと第2アーム導波路14bとを入れ替え更に、第3アーム導波路14cと第4アーム導波路14dとを入れ替えてもよい。これらの入れ替えにより、干渉光Qp,Qnが出力される位置と干渉光Ip,Inが出力される位置が入れ替わるので、90度光ハイブリッドの周辺回路(バランス光検出器等)の配置方法の自由度が増す。
【0123】
以上の例では、θは略90°は正である。しかし、θは略-90°であってもよい。この場合、干渉光Ip,Inを出力する光コンバイナと干渉光Qp,Qnを出力する光コンバイナが入れ替わる。θが略-90°であることは、変形例6で説明したアーム導波路14の入れ替えと等価である。θが略-90°+360°×m(mは0以外の整数)の場合も同様である。
【0124】
実施の形態2によれば、実施の形態1と同様、90度光ハイブリッドを低損失化できる。実施の形態2によれば更に、光スプリッタ10の波長依存性による干渉光の位相差の変動を抑制することができる。これは、実施の形態2では光コンバイナ12から出力される干渉光の位相差が光スプリッタ10ではなく、アーム導波路14が分割光304a~304dに与える位相差θ(式(1)参照)により制御されるためである。
【0125】
変形例1~7が示すように、実施の形態2によればアーム導波路14等のバリエーションが増える。従って、実施の形態2によれば更に、90度光ハイブリッドの設計の自由度が増える。
【0126】
(実施の形態3)
実施の形態3は、実施の形態1および2に類似している。従って、実施の形態1および2と同じ構成等については、説明を省略または簡単にする。
【0127】
実施の形態3の90度光ハイブリッド308(図2~4参照)の構造は、実施の形態2の90度光ハイブリッド208(図15参照)と略同じである。実施の形態3の第1アーム導波路14aおよび第3アーム導波路14cはそれぞれ、第1位相シフト導波路222a有する(図3参照)。実施の形態3の第2アーム導波路14bおよび第4アーム導波路14dはそれぞれ、第2位相シフト導波路222bを有する(図4参照)。実施の形態3の位相シフト導波路222a,222bは、直線導波路22である。
【0128】
ところで、実施の形態2の式(3)~(4)から明らかなように、各アーム導波路14の位相シフト導波路が光スプリッタ10の分割光に与える位相Δφiは式(5)を満たす。
【0129】
θ=(Δφ2-Δφ1)+(Δφ4-Δφ3) ・・・(5)
【0130】
式(4)および(5)から明らかなように、位相シフト導波路は位相差θに零以外の値を与える光導波路である。
【0131】
実施の形態3の第1~第2位相シフト導波路222a,222bそれぞれの長さおよび幅は、波長λに対する位相差θの平均変化率の絶対値が波長λの特定の範囲で許容値以下になるように定められている。この条件は以下、「位相差θの波長無依存条件」と呼ばれる。
【0132】
ここで、「波長λの特定の範囲」は、φ1~φ4が式(2)を満たすように定められた特定の波長λ0(例えば、1547.5nm)を含む波長範囲である。「波長λの特定の範囲」は例えば、Cバンド(1530nm~1565nm)である。波長λ0は、第1光302aおよび第2光302bの波長(同一の波長)である。
【0133】
「波長λの特定の範囲」は、Cバンドには限られない。「波長λの特定の範囲」は例えば、Oバンド、Eバンド、Sバンド、LバンドおよびUバンド等であってもよい。或いは、これらの波長帯より狭い範囲であってもよい。例えば「波長λの特定の範囲」は、Cバンドより狭い1540nm以上1555nm以下の範囲であっても良い。或いは、「波長λの特定の範囲」は、Sバンドより狭い1480nm以上1510nm以下の範囲であってもよい。或いは「波長λの特定の範囲」は、Lバンドより狭い1585nm以上1605nm以下の範囲であってもよい。
【0134】
「波長λに対する位相差θの変化率」とは、波長λに対する位相差θ(式(1)参照)の平均変化率のことである。波長λは、第1~第4分割光304a~304dの波長(同一の波長)である。
【0135】
位相差θの平均変化率とは、{θ(λmax)-θ(λmin)}/(λmax-λmin)のことである。θ(λ)は、波長λにおける位相差θの値を示す関数である。λmaxは、「波長λの特定の範囲」における波長λの最大値(例えば、Cバンドの上限1565nm)である。λminは、「波長λの特定の範囲」における波長の最小値である例えば、Cバンドの上限1530nm)。
【0136】
平均変化率の許容値は好ましくは、0度/nm以上0.14度/nm以下であり、更に好ましくは0度/nm以上0.1度/nm以下であり、最も好ましくは0度/nm以上0.01度/nm以下である。
【0137】
許容値が0度/nm以上0.14度/nm以下であれば、Cバンドにおける位相差θの変化量は±5°以下になる。この場合、90度光ハイブリッド308から出力される干渉光Ip,In,Qp,QnのCバンドにおける光信号対雑音比は、0.5dB以下に抑制される。
【0138】
「位相差θの波長無依存条件」は例えば、「波長λの特定の範囲」の中心波長λcでθ=90°およびdθ/dλ=0となるように長さおよび幅が調整された位相シフト導波路により実現される。
【0139】
第1位相シフト導波路222aの長さをL1とし、第2位相シフト導波路222bの長さをL2とすると、位相差θおよびdθ/dλは式(6)~(7)により表される。
【0140】
θ=(φ2-φ1)+(φ4-φ3)=(4π/λ)×(N2×L2-N1×L1)
=(4π/λ)×L2×{N2-N1×(L1/L2)} ・・・ (6)
dθ/dλ=(1/λ)×[4π×L2×{(dN2/dλ)-(dN1/dλ)×(L1/L2)}-θ]
・・・ (7)
【0141】
N1は、第1位相シフト導波路の実効屈折率である。N2は、第2位相シフト導波路の実効屈折率である。実効屈折率とは、例えば有限要素法により算出されるTE0モードの屈折率のことである。N1は、第1位相シフト導波路222aの幅W1と波長λの関数である。N2は、第2位相シフト導波路222bの幅W2と波長λの関数である。
【0142】
式(6)および(7)のθにπ/2を代入し更に、dθ/dλに0rad/nmを代入すると式(8)および(9)が得られる。
【0143】
π/2=(4π/λ)×L2×{N2-N1×(L1/L2)} ・・・ (8)
0=4π×L2×{(dN2/dλ)-(dN1/dλ)×(L1/L2)}-π/2 ・・・ (9)
【0144】
「位相差θの波長無依存条件」は例えば、「波長λの特定の範囲」の中心波長λcにおいて式(8)および(9)を満たすL1,L2,W1,W2により実現される。式(8)~(9)は、4つの変数L1,L2,W1,W2に対する2つの方程式なので、式(8)~(9)を満たす変数L1,L2,W1,W2を特定することは容易である。一方、位相シフト導波路が一つだけの場合には、変数はL1、W1だけなので、式(8)~(9)を満たす変数L1,W1が存在するとは限らない。
【0145】
式(8)~(9)を満たすL1,L2,W1,W2を特定するためには、式(8)~(9)が満たされるように、L2の値を調整しながらL1/L2を調整することが効率的である。
【0146】
図22は、位相差θと波長λの関係の一例を示す図である。図22の関係は、中心波長1547.5nmにおいて式(8)~(9)が満たされるようにL1,L2,W1,W2が定められた場合の位相差θと波長λの関係である。横軸は波長λである。縦軸は位相差θである。
【0147】
位相差θのシミュレーションに用いたパラメータは以下の通りである。第1位相シフト導波路222aの幅W1および長さL1は、0.9μmおよび1.571μmである。第2シフト導波路222bの幅W2および長L2は、1.278μmおよび1.605μmである。アーム導波路14等のコアはSiである。アーム導波路14等のクラッドはSiOである。
【0148】
第2位相シフト導波路222b(図4参照)の幅W2は第1位相シフト導波路222a(図3参照)の幅W1より広いので、第2位相シフト導波路222bはテーパ導波路18に挟まれるように配置される(図4参照)。一方、第1位相シフト導波路222aは、直線導波路22とテーパ導波路18に挟まれるように配置される。
【0149】
図22に示すように、特定の波長範囲[1525nm~1570nm]における位相差θの変動幅は0.1nm以下である。すなわち、Cバンドを含む波長範囲[1525nm~1570nm]において位相差θの平均変化率は0.002度/nmであり、許容値の好ましい範囲(0度/nm以上以下0.14度/nm以下)に入っている。
【0150】
以上の例では、位相シフト導波路は各アーム導波路に設けられている。しかし、位相シフト導波路は第1~2アーム導波路だけに設けられ、第3~4アーム導波路には設けられなくてもよい。
【0151】
実施の形態3によれば、複数のアーム導波路に位相シフト導波路が設けられるので、特定の波長範囲で位相差θを波長無依存化できる。
【0152】
(実施の形態4)
実施の形態4は、実施の形態2~3に類似している。従って、実施の形態2~3と同じ構成等については、説明を省略または簡単にする。
【0153】
実施の形態4の90度光ハイブリッドの構造は、実施の形態3の90度光ハイブリッドと略同じである。ただし、第1~第2位相シフト導波路222a,222bそれぞれの長さおよび幅は、導波路幅の目標値からの誤差ΔWに対する位相差θの平均変化率の絶対値が誤差ΔWの特定の範囲において許容値以下になるように定められている。この条件は以下、「位相差θの誤差無依存条件」と呼ばれる。
【0154】
「導波路幅の目標値からの誤差ΔW」とは、第1~第2位相シフト導波路それぞれの幅の目標値(例えば、設計値)からの誤差ΔWのことである。「誤差ΔW」は数値計算上の誤差であり、第1位相シフト導波路222aの幅の誤差ΔW1と第2位相シフト導波路222bの幅の誤差ΔW2が一致すると仮定した場合の誤差ΔW1(またはΔW2)である。すなわち、ΔW=ΔW1=ΔW2である。
【0155】
従って、「誤差ΔWに対する位相差θの平均変化率」とは、第1シフト導波路の幅の目標値からの誤差と第2シフト導波路の幅の目標値からの誤差が一致すると仮定した場合の誤差ΔWに対する位相差θの平均変化率のことである。誤差ΔWは例えば、製造誤差に相当する。良く知られているように、製造誤差は導波路幅によらず、略一定である。
【0156】
「位相差θの平均変化率」とは、{θ(ΔWmax)-θ(ΔWmin)}/(ΔWmax-ΔWmin)のことである。θ(ΔW)は、誤差ΔWにおける位相差θの関数である。ΔWmaxは、「誤差ΔWの特定の範囲」における誤差ΔWの最大値である。ΔWminは、「誤差ΔWの特定の範囲」における誤差ΔWの最小値である。
【0157】
「誤差ΔWの特定の範囲」(以下、誤差範囲と呼ぶ)は例えば、不等式-25nm≦ΔW≦25nmにより定められる範囲である。この場合、ΔWminは-25nmである。ΔWmaxは25nmである。「誤差ΔWの特定の範囲」は、上記範囲には限られない。「誤差ΔWの特定の範囲」は例えば、不等式-10nm≦ΔW≦10nmにより定められる範囲であっても良い。或いは「誤差ΔWの特定の範囲」は、不等式-50nm≦ΔW≦50nmにより定められる範囲であってもよい。
【0158】
誤差範囲の許容値は好ましくは、0度/nm以上0.2度/nm以下であり、更に好ましくは0度/nm以上0.01度/nm以下であり、最も好ましくは0度/nm以上0.005度/nm以下である。許容値が0度/nm以上0.2度/nm以下であれば、上記誤差範囲(-25nm≦ΔW≦25nm)における位相差θの変化量は±5°以下になり、干渉光Ip,In,Qp,Qnの光信号対雑音比は0.5dB以下に抑制される。
【0159】
「位相差θの誤差無依存条件」は例えば、特定の波長λにおいて誤差ΔW=0nmの場合に、θ=90°およびdθ(ΔW)/dΔW=0となるように長さおよび幅が調整された位相シフト導波路により実現される。
【0160】
第1位相シフト導波路222aの長さをL1とし、第2位相シフト導波路222bの長さをL2とすると、位相差θおよびdθ(ΔW)/dΔWは式(10)~(11)により表される。
【0161】
θ=(φ2-φ1)+(φ4-φ3)=(4π/λ)×(N2×L2-N1×L1)
=(4π/λ)×L2×{N2-N1×(L1/L2)} ・・・ (10)
dθ(Δw)/dΔW=(4π/λ)×L2×{dN2/dΔW-(dN1/dΔW)×(L1/L2)}
・・・ (11)
【0162】
N1は、第1位相シフト導波路の実効屈折率である。N2は、第2位相シフト導波路の実効屈折率である。N1は、第1位相シフト導波路222aの幅W1と波長λの関数である。N2は、第2位相シフト導波路222bの幅W2と波長λの関数である。θ(ΔW)は、式(10)を満たすW1がW1+ΔWに変化し更に、式(10)を満たすW2がW2+ΔWに変化した場合の位相差θを示す関数である。ここで第1位相シフト導波路22aの導波路幅の目標値は、式(10)を満たすW1である。第2位相シフト導波路222bの導波路幅の目標値は、式(10)を満たすW2である。
【0163】
式(10)のθにπ/2(すなわち、90°)を代入し更に、式(11)のdθ(ΔW)/dΔWに0rad/nmを代入する。すると、式(12)および(13)が得られる。
【0164】
π/2=(4π/λ)×L2×{N2-N1×(L1/L2)} ・・・ (12)
0=dN2/dΔW-dN1/dΔW×(L1/L2) ・・・ (13)
【0165】
従って「位相差θの誤差無依存条件」は、式(12)および(13)を満たすL1,L2,W1,W2により実現される。
【0166】
式(12)~(13)は、4つの変数L1,L2,W1,W2に対する2つの方程式である。従って、式(12)~(13)を満たす変数L1,L2,W1,W2を特定することは容易である。一方、位相シフト導波路が一つだけの場合には、変数はL1、W1だけなので、式(12)~(13)を満たす変数L1,W1が存在するとは限らない。
【0167】
式(12)~(13)を満たすL1,L2,W1,W2を特定するためには、式(12)~(13)が満たされるように、L2の値を調整しながらL1/L2を調整することが効率的である。
【0168】
図23は、位相誤差と導波路幅の関係の一例を示す図である。横軸は導波路幅の誤差(すなわち、誤差ΔW)である。縦軸は位相誤差である。各分割光の波長は、1547.5nmである。縦軸の位相誤差は、位相差θと90°との差分を示している。
【0169】
位相誤差θのシミュレーションに用いたパラメータは、以下の通りである。第1位相シフト導波路222aの幅W1および長さL1は、1.065μmおよび0.620μmである。第2位相シフト導波路222bの幅W2および長L2は、1.118μmおよび0.688μmである。アーム導波路14等のコアはSiである。アーム導波路14等のクラッドはSiOである。
【0170】
図23に示すように、特定の誤差範囲[-25nm~+25nm]における位相誤差θの変動幅は0.1nm以下である。従って、特定の誤差範囲[-25nm~25nm]において位相差θの平均変化率は0.002度/nmであり、許容値の好ましい範囲(0度/nm以以上0.2度/nm以下)に入っている。
【0171】
図24は、位相差θの誤差無依存条件が満たされた場合の位相誤差と波長λの関係の一例を示す図である。横軸は各分割光の波長である。縦軸は、位相誤差である。プロット●は、誤差ΔWが-25nmの場合の位相誤差である。プロット▲は、誤差ΔWが0nmの場合の位相誤差である。プロット■は、誤差ΔWが25nmの場合の位相誤差である。各位相シフト導波路の幅および長さは、図23の算出に用いた幅および長さと同じである。
【0172】
図24に示すように各プロットは、Cバンドを含む広い範囲[1525nm~1570nm]で略重なっている。すなわち図24は、実施の形態4によれば製造誤差による位相誤差の変動を、Cバンドを含む広い範囲で抑制できることを示している。
【0173】
実施の形態4によれば、複数のアーム導波路に位相シフト導波路が設けられるので、導波路幅の誤差(例えば、製造誤差)による位相差θの変動を抑制することができる。
【0174】
(実施の形態5)
実施の形態5は、実施の形態1~4(特に、実施の形態1)に類似している。従って、実施の形態1~4と同じ構成等については、説明を省略または簡単にする。
【0175】
図25は、複数の光導波路20の一つ(以下、光導波路520と呼ぶ)と曲げ導波路16との境界近傍を示す図である。図2~4等に示すように、アーム導波路14に含まれる各導波路は、アーム導波路14に含まれる他の光導波路20と端面が過不足なく重なり側面が連続するように接続される。一方、実施の形態5の曲げ導波路16は、図25に示すように光導波路520とオフセット接続する。
【0176】
曲げ導波路16の第1側面502aは外周側の側面であり、第2側面502bは内周側の側面である。従って、曲げ導波路16の第1側面502a(図25参照)の曲率半径Raは、曲げ導波路16の第2側面502bの曲率半径Rbより大きい。
【0177】
実施の形態5では、曲げ導波路16の第1側面502aは、光導波路520の端面504(以下、第2端面と呼ぶ)に接する。一方、曲げ導波路16の第2側面502bは、光導波路520の端面504から離隔している。
【0178】
図10を参照して説明したように、曲げ導波路16を伝搬する光の電界分布は曲率半径が大きい第1側面502a側に偏在する。従って、光導波路520の側面と曲げ導波路16の側面が連続している場合(図10参照)、光導波路520と曲げ導波路16との境界面で電界分布のミスマッチが起きる。その結果、損失が発生する。
【0179】
光導波路520の電界分布は、光導波路520の中央に偏在する。実施の形態5によれば、光導波路520の電界分布と第1側面502a側に偏在する曲げ導波路16の電界分布とのミスマッチは抑制される(例えば、非特許文献3参照)。従って、実施の形態5によれば、曲げ導波路16と光導波路520との電界分布とのミスマッチによる損失を抑制できる。
【0180】
図25には、曲げ導波路16の一方の端面に接続された光導波路520だけが示されている。曲げ導波路16の他方の端面に接続される別の光導波路も、光導波路520と同様に、曲げ導波路16にオフセット接続されてもよい。
【0181】
ところで、曲げ導波路16が単一モード導波路であれば、電界分布は曲げ導波路の中心軸503の近傍に偏在するので、電界分布のミスマッチは起き難い。しかし、曲げ導波路16が単一モード導波路の場合、アーム導波路14の幅は単一モード導波路の狭い導波路幅まで狭まるので、アーム導波路14は長尺化する。その結果、アーム導波路14の損失は増大する。
【0182】
実施の形態5によれば、曲げ導波路16と光導波路520の境界面における電界分布のミスマッチが抑制されるので、90度光ハイブリッドを低損失化ができる。
【0183】
(実施の形態6)
実施の形態6は、実施の形態1~4(特に、実施の形態1)に類似している。従って、実施の形態1~4と同じ構成等については、説明を省略または簡単にする。
【0184】
図26は、実施の形態6の曲げ導波路616を説明する図である。図26に示すように、実施の形態6の曲げ導波路616の各側面602の曲率半径Ra、Rbは、曲げ導波路616の一端604から中央部606に向かって連続的に減少し更に、曲げ導波路616の他端608から中央部606に向かって連続的に減少する。曲げ導波路616の各側面602は平面視において、例えばクロソイド曲線(例えば、非特許文献3参照)である。
【0185】
図26に示す例では、各側面602の曲率半径Ra、Rbは、中間部607(中央部606を含む領域)では一定値に保たれる。しかし、曲げ導波路616の各側面602は一端604か中央部606まで連続的に減少し、中央部606から他端608まで連続的に増加してもよい。すなわち、曲率半径が一定値に保たれる領域は、設けられなくてもよい。曲げ導波路616両端における曲率半径Ra,Rbは、好ましくは無限大である。
【0186】
光導波路20に接する接続領域610で各側面602の曲率半径を大きくすると、接続領域610における電界分布が中心軸の近傍に偏在する。その結果、光導波路20の電界分布と曲げ導波路616の電界分布のミスマッチが抑制される。従って実施の形態6によれば、曲げ導波路616と光導波路20との境界面における損失を抑制することができる。更に、曲げ導波路616の一端604から遠ざかるにしたがい各側面602の曲率半径を徐々に小さくすることで、大きな曲げ角度(例えば、90°)を小さな曲げ導波路で実現できる。
【0187】
以上、本発明の実施形態について説明したが、実施の形態1~6は、例示であって制限的なものではない。例えば、実施の形態1~6では、アーム導波路14のコアはシリコンである。しかし、アーム導波路14のコアはInPやGaAsであってもよい。
【0188】
実施の形態1~6では、アーム導波路14のクラッドはSiOである。しかしアーム導波路14のクラッドは例えば、コアを搭載する部分がSiOで、コアの側面および上面を覆う部分がSiNの2層構造のクラッドであってもよい。或いはアーム導波路14は、PLC(Planar Lightwave Circuit)のように、コアおよびクラッドの双方がSiOの光導波路であってもよい。
【0189】
実施の形態1~6のアーム導波路14は、コアが矩形の断面を有する光導波路(すなわち、矩形導波路)である。しかしアーム導波路14は、コアがリブ部とリブ部の両脇に設けられた薄いスラブ部とを有すリブ導波路であってもよい。リブ導波路ではスラブ部に導波光が染み出すので、コアの側壁荒れによる損失が抑制される。
【0190】
或いはアーム導波路14は、クラッド層に設けられた帯状の凸部内にコアが設けられたハイメサ導波路であってもよい。アーム導波路14は、帯状の凸部を有する上部クラッドがスラブ状のコアの上面に設けられたリッジ導波路であってもよい。
【0191】
実施の形態1~6で説明したように、アーム導波路14は矩形導波路であってもよい。矩形導波路は光の閉じ込めが強いので、矩形導波路によれば曲率半径の小さい低損失曲げ導波路を実現できる。従って矩形導波路によれば、実施の形態1~6の90度光ハイブリッドを小型化できる。
【符号の説明】
【0192】
8,208,308,408 :光ハイブリッド
10 :光スプリッタ
12 :光コンバイナ
14 :アーム導波路
14a :第1アーム導波路
14b :第2アーム導波路
14c :第3アーム導波路
14d :第4アーム導波路
16 :曲げ導波路
18 :テーパ導波路
20 :光導波路
22 :直線導波路
If1,If3,If3,If4 :干渉光
In,Ip,Qp,Qn :干渉光
図1
図2
図3
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図5
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図10
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