(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】情報処理装置、空気調和システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/523 20180101AFI20231122BHJP
F24F 11/56 20180101ALI20231122BHJP
F24F 11/64 20180101ALI20231122BHJP
F24F 11/89 20180101ALI20231122BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20231122BHJP
【FI】
F24F11/523
F24F11/56
F24F11/64
F24F11/89
F24F110:10
(21)【出願番号】P 2021052073
(22)【出願日】2021-03-25
【審査請求日】2022-02-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100206405
【氏名又は名称】岸 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大輔
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-252850(JP,A)
【文献】特開平08-121849(JP,A)
【文献】特開2011-257071(JP,A)
【文献】特開2015-014422(JP,A)
【文献】特開2015-148410(JP,A)
【文献】特開2022-149774(JP,A)
【文献】国際公開第2018/179731(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/224916(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00 - 11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機の機器情報を取得する機器情報取得部と、
前記空気調和機が設置される対象空間の空間情報を取得する空間情報取得部と、
前記対象空間における測定位置の少なくとも温度を含む環境情報を取得する環境情報取得部と、
前記機器情報、前記空間情報および前記環境情報に基づいて前記対象空間における前記測定位置とは異なる特定位置の少なくとも温度を含む環境を推定する推定部と、
前記推定部が前記機器情報、前記空間情報および前記環境情報のパラメータを変化させることで推定した、前記特定位置における前記空気調和機が調整可能な温度を含む環境の範囲
を提示する提示部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記空間情報取得部は、前記対象空間の大きさの情報、および当該対象空間における前記空気調和機の配置の情報を含む前記空間情報を取得する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記空間情報取得部は、前記空気調和機とは異なる、前記対象空間における温度環境に影響を及ぼす物の情報を含む前記空間情報を取得する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記提示部は、前記対象空間の鉛直方向および/または水平方向における情報を提示する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記提示部は、前記対象空間を示す画像に前記空気調和機が調整可能な前記特定位置での少なくとも温度を含む環境の範囲の情報を重畳させて表示する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記提示部は、複数の前記特定位置での前記環境の範囲を提示する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記提示部は、前記特定位置の環境が所定の環境になるまでに要する時間に関する時間情報を提示する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
空気調和機の機器情報を取得する機器情報取得部と、
前記空気調和機が設置される対象空間の空間情報を取得する空間情報取得部と、
前記対象空間における測定位置の少なくとも温度を含む環境情報を取得する環境情報取得部と、
前記機器情報、前記空間情報および前記環境情報に基づいて前記対象空間における前記測定位置とは異なる特定位置の少なくとも温度を含む環境を推定する推定部と、
前記推定部が前記機器情報、前記空間情報および前記環境情報のパラメータを変化させることで推定した、前記特定位置における前記空気調和機が調整可能な温度を含む環境の範囲、および/または前記推定部が、前記空気調和機が温度を含む所定の環境に調整可能であると推定した、前記対象空間における空間範囲を提示する提示部と、
を備え、
前記提示部は、前記特定位置のうち第1特定位置の環境を維持したままで、当該第1特定位置とは異なる第2特定位置にて調整可能な環境の範囲を提示する
、情報処理装置。
【請求項9】
対象空間の少なくとも温度を調整する空気調和機と、
前記空気調和機の機器情報を取得する機器情報取得部と、
前記対象空間の空間情報を取得する空間情報取得部と、
前記対象空間における測定位置の少なくとも温度を含む環境情報を取得する環境情報取得部と、
前記機器情報、前記空間情報および前記環境情報に基づいて前記対象空間における前記測定位置とは異なる特定位置の少なくとも温度を含む環境を推定する推定部と、
前記推定部が前記機器情報、前記空間情報および前記環境情報のパラメータを変化させることで推定した、前記特定位置における前記空気調和機が調整可能な温度を含む環境の範囲
を提示する提示部と、
前記対象空間における所定位置に対する温度を含む環境の設定情報をユーザから受け付ける設定受付部と、
前記設定受付部にて受け付けた前記設定情報に応じて、前記空気調和機を制御する制御情報を作成する制御情報作成部と、
を備える、空気調和システム。
【請求項10】
コンピュータに、
空気調和機の機器情報を取得する機能と、
前記空気調和機が設置される対象空間の空間情報を取得する機能と、
前記対象空間における測定位置の少なくとも温度を含む環境情報を取得する機能と、
前記機器情報、前記空間情報および前記環境情報に基づいて前記対象空間における前記測定位置とは異なる特定位置の少なくとも温度を含む環境を推定する機能と、
前記推定する機能が前記機器情報、前記空間情報および前記環境情報のパラメータを変化させることで推定した、前記特定位置における前記空気調和機が調整可能な温度を含む環境の範囲
を提示する機能と、を実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、空気調和システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、空気調和機本体は、リモコンからのデータを受信する受信部と、受信したデータに基づいて運転を制御する制御部とを備え、制御部は、室外温度と、室内温度と、室内熱交換器の温度と、圧縮機の回転数に基づいて、室内環境に推奨される推奨データとして推奨温度及びまたは推奨湿度を決定する空気調和機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、空気調和機によって調整される所定の空間の調整可能な温度などの環境の範囲や、所定の環境に調整可能な空間範囲を把握することができれば、例えば、ユーザは、自身がいる場所の選択や空気調和機に対する設定を行う際の参考にすることができる。
本開示は、空気調和機によって調整される所定の空間の調整可能な環境の範囲や、所定の環境に調整可能な空間範囲をユーザが把握できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の情報処理装置は、空気調和機の機器情報を取得する機器情報取得部と、前記空気調和機が設置される対象空間の空間情報を取得する空間情報取得部と、前記対象空間における測定位置の少なくとも温度を含む環境情報を取得する環境情報取得部と、前記機器情報、前記空間情報および前記環境情報に基づいて前記対象空間における前記測定位置とは異なる特定位置の少なくとも温度を含む環境を推定する推定部と、前記推定部による推定に基づいて、前記特定位置における前記空気調和機が調整可能な温度を含む環境の範囲、および/または前記空気調和機が温度を含む所定の環境に調整可能な前記対象空間における空間範囲を提示する提示部と、を備える。この場合、空気調和機によって調整される所定の空間の調整可能な環境の範囲や空間範囲をユーザが把握できる。
また、前記空間情報取得部は、前記対象空間の大きさの情報、および当該対象空間における前記空気調和機の配置の情報を含む前記空間情報を取得する。この場合、対象空間の大きさと対象空間における空気調和機の配置が反映された、精度の高い推定を行うことができる。
また、前記空間情報取得部は、前記空気調和機とは異なる、前記対象空間における温度環境に影響を及ぼす物の情報を含む前記空間情報を取得する。この場合、環境に影響を及ぼす物の情報が反映された精度の高い推定を行うことができる。
また、前記提示部は、前記対象空間の鉛直方向および/または水平方向における情報を提示する。この場合、ユーザに対して対象空間における鉛直方向および/または水平方向ごとに異なる環境の範囲や空間範囲を提示することができる。
また、前記提示部は、前記対象空間を示す画像に前記空気調和機が調整可能な前記特定位置での少なくとも温度を含む環境の範囲の情報を重畳させて表示する。この場合、ユーザが環境の範囲をより把握し易くすることができる。
また、前記提示部は、複数の前記特定位置での前記環境の範囲を提示する。この場合、例えば単数の特定位置の環境の範囲を提示する場合と比較して、対象空間における調整可能な環境の範囲の情報をユーザが詳細に把握することができる。
また、前記提示部は、前記特定位置の環境が所定の環境になるまでに要する時間に関する時間情報を提示する。この場合、所定の環境になるまでに要する時間をユーザが把握することができる。
また、前記提示部は、前記特定位置のうち第1特定位置の環境を維持したままで、当該第1特定位置とは異なる第2特定位置にて調整可能な環境の範囲を提示する。この場合、例えば第1特定位置にいるユーザが希望する設定温度を維持しながら、第2特定位置にいる他のユーザが設定可能な環境の範囲を示すことができる。
また、他の観点から捉えると、本開示の空気調和システムは、対象空間の少なくとも温度を調整する空気調和機と、前記空気調和機の機器情報を取得する機器情報取得部と、前記対象空間の空間情報を取得する空間情報取得部と、前記対象空間における測定位置の少なくとも温度を含む環境情報を取得する環境情報取得部と、前記機器情報、前記空間情報および前記環境情報に基づいて前記対象空間における前記測定位置とは異なる特定位置の少なくとも温度を含む環境を推定する推定部と、前記推定部による推定に基づいて、前記特定位置における前記空気調和機が調整可能な温度を含む環境の範囲、および/または前記空気調和機が温度を含む所定の環境に調整可能な前記対象空間における空間範囲を提示する提示部と、前記対象空間における所定位置に対する温度を含む環境の設定情報をユーザから受け付ける設定受付部と、前記設定受付部にて受け付けた前記設定情報に応じて、前記空気調和機を制御する制御情報を作成する制御情報作成部と、を備える。この場合、空気調和機によって調整される所定の空間の調整可能な環境の範囲や空間範囲をユーザが把握できる。
また、他の観点から捉えると、本開示のプログラムは、空気調和機の機器情報を取得する機能と、前記空気調和機が設置される対象空間の空間情報を取得する機能と、前記対象空間における測定位置の少なくとも温度を含む環境情報を取得する機能と、前記機器情報、前記空間情報および前記環境情報に基づいて前記対象空間における前記測定位置とは異なる特定位置の少なくとも温度を含む環境を推定する機能と、前記推定に基づいて、前記特定位置における前記空気調和機が調整可能な温度を含む環境の範囲、および/または前記空気調和機が温度を含む所定の環境に調整可能な前記対象空間における空間範囲を提示する機能と、を実現させる。この場合、空気調和機によって調整される所定の空間の調整可能な環境の範囲や空間範囲をユーザが把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本実施形態の空気調和システムの概略図である。
【
図2】本実施形態におけるサーバ装置のハードウェア構成例を示した図である。
【
図3】本実施形態のサーバ装置の機能ブロック図である。
【
図4】本実施形態のサーバ装置が行う動作のフロー図である。
【
図5】情報端末装置の表示画面に表示される受付画面の一例の図である。
【
図6】情報端末装置の表示画面に表示される提示画面の一例の図である。
【
図7】(A)および(B)は、情報端末装置の表示画面に表示される設定画面の一例の図である。
【
図8】情報端末装置の表示画面に表示される提示画面の一例の図である。
【
図9】情報端末装置の表示画面に表示される提示画面の一例の図である。
【
図10】情報端末装置の表示画面に表示される提示画面の一例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照して、本開示の実施形態について詳細に説明する
【0008】
図1は、本実施形態の空気調和システム1の概略図である。
図1に示すように、空気調和システム1は、対象空間100における空気の温度などの空気環境を調整する空気調和機10と、対象空間100における温度や湿度などの空気質の環境情報を検出する環境センサ20と、ユーザが用いる情報端末装置30と、環境情報などの各種の情報に基づいて予め定められた情報を出力するサーバ装置40と、を有する。
【0009】
本実施形態の空気調和システム1では、各々の装置は、ネットワークを介して、相互に情報通信を行えるようになっている。ネットワークは、各装置の間のデータ通信に用いられる通信ネットワークであれば特に限定されず、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等として良い。データ通信に用いられる通信回線は、有線か無線かを問わず、これらを併用しても良い。
【0010】
本実施形態の説明では、対象空間100として、オフィス空間の一例を用いている。なお、対象空間100は、空気調和機10による空気環境の調整の対象となる空間であれば、オフィス空間の例に限定されず、他の空間であっても良い。
そして、
図1に示すように、対象空間100内には、空気調和機10の室内機11と、環境センサ20と、情報端末装置30と、サーバ装置40と、が配置される。さらに、対象空間100には、パソコン111、モニタ112、プリンタ113およびサーバラック114などの発熱する発熱什器と、空気の流れに影響を及ぼすデスク115、書棚116、パーティション117などの非発熱什器とが配置される。
さらに、対象空間100には、図示しないが、窓を介して対象空間100内に影響を与える対象空間100外の温度、湿度、日射量、日射角度等の外部環境を制御するカーテン、ブラインド等の窓什器が設けられている。
なお、以下の説明において、対象空間100の水平方向を平面方向と呼び、鉛直方向を高さ方向と呼ぶ。
【0011】
空気調和機10は、対象空間100の空気環境を調整する機器である。空気調和機10は、室内機11と室外機12とを有している。なお、
図1では、便宜上、対象空間100において室内機11および室外機12がそれぞれ1台である例を示しているが、室内機11および室外機12は、複数設けられていても良い。
室内機11は、対象空間100内に設置され、配管を通ってきた冷媒と対象空間100内の空気との間で熱交換を行うことにより、対象空間100内の空気から熱を吸収したり対象空間100内に熱を排出したりする。室外機12は、対象空間100外に設置され、配管内を通ってきた冷媒と対象空間100外の空気との間で熱交換を行うことにより、対象空間100外に熱を排出したり対象空間100外の空気から熱を吸収したりする。
【0012】
環境センサ20は、サーミスタなどの素子を用いた温度検知センサを用いる。環境センサ20は、対象空間100において例えば室内機11が設けられる位置とは異なる位置に設けられる。例えば、環境センサ20は、空気調和機10に対するユーザの操作を受け付けるリモートコントローラに設けられた温度センサを例示することができる。
環境センサ20は、検知した環境情報に、温度および湿度を検知したときの日時の情報である時間情報を関連付ける。そして、環境センサ20は、検知した温度および湿度の情報である環境情報を、サーバ装置40に送る。
【0013】
情報端末装置30は、スマートフォンなどの携帯電話、タブレット型端末などの携帯端末機器など、ユーザが持ち歩くことが可能な装置を用いることができる。
本実施形態の情報端末装置30は、表示画面300にタッチパネルが設けられている。情報端末装置30では、表示画面300をユーザがタッチすることで、表示画面300に表示される画像に対する操作や表示画面300を介した指示を受け付ける。さらに、情報端末装置30の表示画面300には、サーバ装置40から受信した提示情報が表示される。
さらに、情報端末装置30は、空気調和機10に対する設定温度の設定をユーザから受け付ける。すなわち、情報端末装置30は、サーバ装置40を介して空気調和機10を制御するリモートコントローラとしても機能する。
なお、情報端末装置30を用いた、サーバ装置40の提示情報の表示や、空気調和機10の制御については、後に詳しく説明する。
【0014】
サーバ装置40は、空気調和機10の機器情報と、空気調和機10が設置される対象空間100の空間情報と、対象空間100における測定位置の温度を含む環境情報とに基づいて対象空間100における測定位置とは異なる特定位置の温度を含む環境を推定する。そして、サーバ装置40は、環境の推定に基づいて、特定位置における空気調和機10が調整可能な温度を含む環境の範囲や、空気調和機10が温度を含む所定の環境に調整可能な対象空間における空間範囲を提示する。さらに、本実施形態のサーバ装置40は、空気調和機10の制御情報を空気調和機10に送信することで、空気調和機10を制御する。
なお、本実施形態のサーバ装置40は、情報処理装置の一例として機能する。
また、サーバ装置40の上記機能を空気調和機10の室内機11または室外機12が有する構成としてもよい。この場合は、本実施形態の室内機11または室外機12が、情報処理装置の一例として機能することになる。
【0015】
図2は、本実施形態のサーバ装置40のハードウェア構成例を示した図である。
【0016】
図2に示すように、サーバ装置40は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)401と、記憶手段であるRAM(Random Access Memory)402、ROM(Read Only Memory)403、記憶装置404とを備える。RAM402は、主記憶装置(メインメモリ)であり、CPU401が演算処理を行う際の作業用メモリとして用いられる。ROM403にはプログラムや予め用意された設定値等のデータが保持されており、CPU401は、ROM403から直接プログラムやデータを読み込んで処理する。記憶装置404は、プログラムやデータの保存手段である。記憶装置404にはプログラムが記憶されており、CPU401は、記憶装置404に格納されたプログラムを主記憶装置に読み込んで、プログラムを処理する。さらに、記憶装置404には、CPU401による処理の結果が保存される。記憶装置404としては、例えば磁気ディスク装置やSSD(Solid State Drive)等が用いられる。
なお、空気調和機10、環境センサ20および情報端末装置30のハードウェアの基本構成は、上述したサーバ装置40と同様である。
【0017】
図3は、本実施形態のサーバ装置40の機能ブロック図である。
【0018】
図3に示すように、本実施形態のサーバ装置40は、空気調和機10の機器情報を取得する機器情報取得部41と、対象空間100の空間情報を取得する空間情報取得部42と、対象空間100における測定位置の環境情報を取得する環境情報取得部43と、を備える。さらに、サーバ装置40は、対象空間における測定位置とは異なる位置(以下、特定位置)の環境を推定する推定部44と、推定部44による環境の推定に基づいてユーザに提示情報を提示する提示部45と、対象空間100における所定位置の温度の設定を受け付ける設定受付部46と、を備える。そして、サーバ装置40は、設定受付部46にて受け付けた設定に基づいて、空気調和機10を制御するための制御情報を作成する制御情報作成部47を備える。
【0019】
機器情報取得部41は、空気調和機10に関する情報である機器情報を取得する。機器情報には、空気調和機10の性能に関する性能情報と、空気調和機10の制御に関する制御情報と、が含まれる。
性能情報には、例えば、空気調和機10の暖房能力および冷房能力、室内機11の吹出面積などの空気調和機10の仕様などの情報が含まれる。
制御情報には、空気調和機10の室内機11の風量、室内機11における風向、室内機11の冷媒の温度などが含まれる。
なお、機器情報取得部41は、空気調和機10、ユーザ等による入力、不図示の外部装置から機器情報を取得することができる。
【0020】
空間情報取得部42は、対象空間100そのものの情報や、対象空間100に設置される物の情報である空間情報を取得する。
空間情報には、対象空間100の平面方向の広がり、対象空間100の高さ方向の広がりの情報が含まれる。空間情報には、対象空間100の例えば床面積、体積、天井高さ、レイアウトなど対象空間100の大きさの情報や形の情報が含まれる。ここで、大きさの情報とは、例えば、寸法の情報であってよい。
【0021】
空間情報には、対象空間100に設定される空気調和機10の室内機11の高さ方向における位置、平面方向における位置の情報が含まれる。さらに、空間情報には、発熱什器や非発熱什器の位置の情報が含まれる。
さらに、空間情報には、対象空間100における窓の位置やサイズ、カーテンまたはブラインドの位置やサイズなどの情報が含まれる。
なお、これらの空間情報は、対象空間100における温度環境に影響を及ぼす物の情報の一例である。
【0022】
環境情報取得部43は、例えば環境センサ20や室内機11がそれぞれ測定する環境情報を取得する。環境情報には、温度、湿度、二酸化炭素や匂いなどの空気質の情報が含まれる。本実施形態において、環境情報取得部43は、環境情報として、例えば温度の情報を取得する。具体的には、環境情報取得部43は、対象空間100の所定の位置に設けられる環境センサ20が実測した温度を、環境情報として取得する。さらに、環境情報取得部43は、対象空間100に設置される室内機11に内蔵される温度センサが実測する吸込温度を、環境情報として取得する。
【0023】
推定部44は、機器情報、空間情報および環境情報に基づいて、対象空間100における環境情報の測定位置とは異なる特定位置の環境を推定する。推定部44は、対象空間100における温度環境の推定のために、対象空間100内をモデル化した物理モデルを用いる。そして、推定部44は、対象空間100に設けられた少なくとも1地点で測定した温度情報と、物理モデルとを用いて、対象空間100において測定されていない地点の温度を推定する。
【0024】
推定部44は、対象空間100内の複数の位置のうち、温度を求めたい特定位置の温度を推定する。推定部44は、環境情報取得部43が取得した環境情報が示す温度と、特定位置の温度との温度差を、対象空間100内をモデル化した物理モデルを用いて算出する。そして、本実施形態の推定部44が用いる物理モデルには、以下の項が含まれることを例示できる。
【0025】
本実施形態の物理モデルは、環境センサ20が設置された位置から特定位置への熱拡散率および熱伝導率を規定した項を含む。熱拡散率および熱伝導率は、空間情報取得部42が取得する対象空間100のサイズの情報から算出することができる。
【0026】
さらに、本実施形態の物理モデルは、空気調和機10の室内機11の吹出温度、吹出湿度、風向、風速、風量による特定位置の温度への影響を規定した項を含む。室内機11の吹出温度、吹出湿度、風向、風速、風量は、機器情報取得部41から取得することができる。
【0027】
さらに、本実施形態の物理モデルは、対象空間100外の温度、湿度、日射量、日射角度等の外部環境が特定位置の温度に与える影響を規定した項を含む。ここで、外部環境が特定位置の温度に与える影響は、外部環境が対象空間100の窓140、壁、床、天井を介して与える影響や、外部環境が対象空間100に直接流入することにより与える影響を含む。対象空間100外の温度、湿度、日射量、日射角度は、サーバ装置40を介して外部の情報ソースである例えば気象情報等から特定することができる。
【0028】
さらに、本実施形態の物理モデルは、発熱什器が対象空間100内の空気の流れを遮断する遮断体として、または、発熱体として、特定位置の温度へ与える影響を規定した項を含む。発熱什器が発熱体として発する熱の情報は、空間情報取得部42が取得する空間情報の発熱什器に関する情報から特定することができる。
【0029】
さらに、本実施形態の物理モデルは、非熱什器が対象空間100の空気の流れを遮断する遮断体として、特定位置の温度へ与える影響を規定した項を含む。非発熱什器の遮断体としての影響は、空間情報取得部42が取得する空間情報の非発熱什器に関する情報から特定することができる。
【0030】
さらに、本実施形態の物理モデルは、窓什器が対象空間100外の外部環境から与えられる影響を制御することによって特定位置の温度に与える影響を規定した項である。窓什器による制御の情報は、空間情報取得部42が取得する空間情報から特定することができる。
【0031】
推定部44は、以上の項を含む物理モデルを用いて、環境情報取得部43が取得した温度と、特定位置の温度との温度差を算出する。そして、推定部44は、環境センサ20が測定した温度から、算出した温度差を減算することにより、特定位置の温度を推定する。
【0032】
そして、推定部44は、対象空間100を平面方向および高さ方向において複数のグリッドに分割する。推定部44は、対象空間100を複数の空間に分割することで形成された複数のグリッドごとに温度を推定する。このようにして、推定部44は、対象空間100における温度分布を推定する。
【0033】
さらに、推定部44は、上記の物理モデルに基づいて、特定位置の温度が、推定される温度になるまでにかかる時間についても特定する。そして、推定部44は、特定位置の推定温度を時系列データとして保持する。
【0034】
そして、推定部44は、上述の物理モデルを用いて、例えば機器情報、空間情報および環境情報などのパラメータを変化させることで、対象空間100における温度変化を推定する。具体的には、推定部44は、対象空間100を複数の領域に分割したグリッドを作成する。さらに、推定部44は、物理モデルに用いる各種のパラメータを変化させたときの、複数のグリッドごとに温度を特定する。これによって、推定部44は、本実施形態の空気調和機10が調整することが可能な温度などの環境の範囲を推定する。例えば、推定部44は、対象空間100における、あるグリッドにおいて、空気調和機10が調整可能な温度の範囲がX℃からY℃までの範囲であることを推定する。
【0035】
さらに、推定部44は、空気調和機10が所定の温度に調整可能な対象空間100における空間範囲を推定する。例えば、推定部44は、対象空間100において、X℃に調整可能な単数または複数のグリッドを推定する。
【0036】
さらに、推定部44は、物理モデルを用いて、対象空間100における所定の位置の温度を固定した場合に、所定の位置とは異なる他の特定位置の温度の調整可能な範囲を推定する。例えば、推定部44は、対象空間100におけるあるグリッドの温度をZ℃に維持した状態で、他のグリッドにおいて空気調和機10が調整可能な温度の範囲がX℃からY℃までの範囲であることを推定する。ただし、本実施の形態において、温度を固定する、温度を維持する、というときは、厳密に同じ温度に保つことまでを要求するものではなく、温度を一定の温度幅内に保っていれば良いものとする。
【0037】
なお、推定部44による環境の推定は、上述した物理モデルを用いる例に限定されない。例えば、推定部44は、機械学習を用いて、特定位置の環境を推定しても良い。
この場合、推定部44は、説明変数として、空間情報と、ある時点で取得できる環境情報と、空気調和機10の制御パラメータを用いる。ここで、空間情報には、対象空間100のサイズや対象空間100に設置される空気調和機10、発熱什器、非発熱什器の設置位置の情報を例示できる。環境情報には、環境センサ20の測定温度、室内機11の吸込温度を例示できる。制御パラメータには、室内機11の吹出面積、室内機11の風量に相当するファン回転数、吹出温度に関わる冷媒温度、室内機11のフラップの角度を例示できる。
【0038】
推定部44は、目的変数として、対象空間100に設置された複数の温度検知センサによる実測値や、CFD(Computational Fluid Dynamics)などの数値計算によるシミュレーション値であって、各種のパラメータの変更後の所定時間経過後の値を用いる。
そして、推定部44は、説明変数と目的変数とを用いて教師あり学習をして得られた学習済みモデルによって、対象空間100における特定位置の温度などの環境を推定する。また、本実施形態の推定部44は、学習済みモデルによる環境の推定の際に、対象空間100における少なくとも1地点にて測定された環境情報を用いることで、推定精度を高めている。
【0039】
また、推定部44は、例えば対象空間100における空気環境を調整する空気調和機10を制御するためのモデル予測制御により得られた予測モデルを用いて、対象空間100における空気環境を推定するようにしても良い。
【0040】
なお、推定部44は、例えば物理モデルなどを用いて、機器情報に関するパラメータを変化させて、対象空間100の環境を推定する際、対象空間100に設置されている空気調和機10の条件に限らず、対象空間100に空気調和機10を設置したと仮定した場合の条件を用いても良い。この場合、例えば、推定部44は、対象空間100に別の空気調和機10を新たに追加したり、空気調和機10の機種を変更したりした場合の対象空間100の環境を推定することができる。そのうえで、推定部44は、例えば対象空間100において調整可能な温度などの環境の範囲等を推定しても良い。
【0041】
提示部45は、推定部44が推定する特定位置の温度の環境の情報に基づいて、ユーザに提示する提示情報を作成する。そして、本実施形態では、提示部45は、提示情報を情報端末装置30に送信し、表示画面300に提示情報を提示させる。
本実施形態の提示部45は、対象空間100の特定位置における空気調和機10が調整可能な温度範囲を提示情報として提示する。さらに、提示部45は、空気調和機10が所定の温度に調整可能な対象空間100における空間範囲を提示情報として提示する。さらに、提示部45は、対象空間100における所定の位置の温度を所定の温度に維持したままで、他の特定位置において調整可能な温度範囲を提示情報として提示する。
【0042】
そして、本実施形態の提示部45は、上述した設定受付部46が空気調和機10に対する設定温度の設定を受け付ける際に、例えば温度の調整範囲をユーザに提示するようにしている。これによって、ユーザは、空気調和機10によって調整可能な温度の範囲や、所定の温度に調整可能な空間範囲を把握したうえで、設定温度の設定を行うことができる。
【0043】
設定受付部46は、例えば対象空間100にいるユーザから、対象空間100における空気調和機10が調整する際に目標とする設定温度を受け付ける。特に、本実施形態の設定受付部46は、対象空間100における所定の位置における設定温度の設定を受け付ける。本実施形態の設定受付部46は、情報端末装置30にて設定温度をユーザが設定するための設定画面70を表示画面300に表示させる(後述する
図7参照)。そして、設定受付部46は、情報端末装置30の表示画面300に表示させる設定画面70を介して、設定温度の指定と、その設定温度にする位置の指定とをユーザから受け付ける。
そして、設定受付部46は、ユーザから受け付けた設定温度の情報を、制御情報作成部47に送る。
【0044】
制御情報作成部47は、設定受付部46がユーザから受け付けた設定温度および指定位置の情報と、推定部44が推定する特定位置の温度の環境の情報とに基づいて、空気調和機10を制御するための制御情報を作成する。
具体的には、制御情報作成部47は、設定受付部46にて受け付けた設定温度およびその指定位置の条件を満たす空気調和機10の制御パラメータを、推定部44が推定に用いた物理モデルを用いて特定する。そして、制御情報作成部47は、設定受付部46にて受け付けた設定温度および指定位置の条件を満たす、空気調和機10の制御パラメータを空気調和機10に送信する。
【0045】
続いて、サーバ装置40による具体的な動作を説明する。
図4は、本実施形態のサーバ装置40が行う動作のフロー図である。
図5は、情報端末装置30の表示画面300に表示される受付画面50の一例の図である。
図6は、情報端末装置30の表示画面300に表示される提示画面60の一例の図である。
図7(A)および
図7(B)は、情報端末装置30の表示画面300に表示される設定画面70の一例の図である。
【0046】
図4に示すように、サーバ装置40の提示部45は、情報端末装置30の表示画面300に対象空間100の平面図を表示する(ステップ101)。具体的には、
図5に示すように、表示画面300には、受付画面50が表示される。そして、受付画面50には、対象空間100の平面
図51と、側面図ライン52と、指示メッセージ53と、決定ボタン54とが表示される。
【0047】
平面
図51は、本実施形態において対象空間100の一例として示すオフィスを鉛直方向における上側から見た図である。平面
図51は、壁の画像によって部屋の境界を表す。さらに、平面
図51には、パソコンやデスクなどの画像も表示される。
なお、平面
図51は、対象空間100の模式図であっても良く、対象空間100を実際に撮影した写真であっても良い。
【0048】
側面図ライン52は、対象空間100の後述する側面
図61の表示対象となる位置の指定を受け付けるためのガイドである。側面図ライン52は、ユーザによる表示画面300に対するタッチ操作に応じて、平面
図51に対して移動する。
【0049】
指示メッセージ53は、ユーザに対して、側面図ライン52を移動させることを指示する。指示メッセージ53は、例えば、「ラインを移動させて温度情報を提示する位置を選択」といったように、側面図ライン52を移動させること、側面図ライン52に対応する位置の温度情報が表示されることを伝える。
決定ボタン54は、側面図を表示するための側面図ライン52の位置にて側面
図61(後述)を示すことの決定を、ユーザから受け付けるボタン画像である。
【0050】
そして、
図4に示すように、サーバ装置40は、側面
図61(後述)の表示の指定を受け付けたか否かを判断する(ステップ102)。
側面
図61の表示の指定を受け付けたか否かは、受付画面50の決定ボタン54(
図5参照)が選択操作されることによって判断することができる。そして、サーバ装置40は、決定ボタン54が選択されると、側面
図61の表示の指定を受け付けたと判断し(ステップ102にてYES)、側面図ライン52にて指定された位置の側面
図61を、情報端末装置30の表示画面300に表示する(ステップ103)。
【0051】
図6に示すように、情報端末装置30の表示画面300には、提示画面60が表示される。そして、提示画面60には、対象空間100の側面
図61と、複数のグリッドを示すためのグリッド線62と、現状温度情報63と、調整可能範囲情報64と、表示移動ボタン65と、が表示される。
【0052】
側面
図61は、本実施形態において対象空間100の一例として示すオフィスを水平方向に沿った方向から見た図である。側面
図61には、パソコンやデスクなどの画像も表示される。なお、側面
図61は、対象空間100の模式図であっても良く、対象空間100を実際に撮影した写真であっても良い。
【0053】
グリッド線62は、対象空間100を複数のグリッド62Gに分割した場合におけるグリッド62Gの境界を示す線である。
図6の提示画面60の例では、側面
図61として表示される対象空間100は、鉛直方向において4つの領域に分割され、水平方向において2つの領域に分割された複数のグリッド62Gが表示される。さらに、提示画面60には、グリッド線62が示す鉛直方向における高さの具体的な数値も併せて表示される。
【0054】
現状温度情報63は、グリッド62Gごとに、それぞれ表示される。そして、現状温度情報63は、推定部44が推定したグリッド62Gごとの温度を示す。本実施形態において、現状温度情報63は、提示画面60が表示される時点において推定される温度である。これによって、提示画面60を参照するユーザは、例えば自身がいる位置にて推定される温度を把握することができる。特に、現状温度情報63は、鉛直方向に分割される複数のグリッド62Gごとに表示される。従って、ユーザは、例えば頭部、胴体および足元など、各々の高さにおける温度を把握できる。
【0055】
調整可能範囲情報64は、グリッド62Gごとに、それぞれ表示される。そして、調整可能範囲情報64は、グリッド62Gに対して、空気調和機10が調整することが可能な温度の範囲を示す。この温度の範囲は、推定部44によって推定される。これによって、ユーザは、グリッド62Gごとに、空気調和機10を用いて実現することが可能な温度を把握できる。
【0056】
表示移動ボタン65は、表示画面300に表示される側面
図61を動かす際に用いるボタン画像である。表示移動ボタン65は、ユーザに操作されることによって、表示画面300に表示される側面
図61の領域が変更される。そして、表示画面300に表示される側面
図61の領域の変化に応じて、その領域のグリッド62Gの現状温度情報63および調整可能範囲情報64が表示される。
【0057】
このように、提示画面60では、対象空間100の側面
図61に重畳させて、グリッド62Gごとの現状温度情報63および調整可能範囲情報64が表示される。そして、
図5に示す受付画面50における側面図ライン52の位置を変更することで、異なる側面図におけるグリッド62Gに対応する現状温度情報63および調整可能範囲情報64が改めて表示される。
【0058】
なお、
図4に示すように、側面
図61の表示の指定を受け付けていない場合(ステップ102にてNO)、再び102に戻って、側面
図61の表示の指定の受け付けを継続する。
【0059】
そして、
図4に示すように、複数のグリッド62Gのうち、ユーザによって一のグリッド62Gの選択を受け付けたか否かを判断する(ステップ104)。
一のグリッド62Gの選択を受け付けると(ステップ104にてYES)、表示画面300に設定画面70(後述の
図7参照)を表示し、そのグリッド62Gに対する温度の設定を受け付ける(ステップ105)。
【0060】
図7(A)および
図7(B)に示すように、情報端末装置30の表示画面300には、グリッド62Gごとの設定の温度をユーザから受け付けるための設定画面70が表示される。
そして、
図7(A)に示すように、設定画面70には、スライダ画像71と、温度範囲表示72と、決定ボタン73と、が表示される。
【0061】
スライダ画像71は、ユーザのタッチ操作によって移動させることができる。そして、スライダ画像71が配置される位置に対応する温度が、設定温度として設定される。
【0062】
温度範囲表示72は、選択されたグリッド62Gにおける調整可能な温度の範囲を表示する。温度範囲表示72は、そのグリッド62Gにおける調整可能範囲情報64に対応する。そして、温度範囲表示72は、調整可能範囲情報64における温度の下限値から上限値までを表示する。温度範囲表示72は、グリッド62Gごとに異なる温度の下限値および上限値を表示する。
そして、スライダ画像71は、この温度範囲表示72に対応して移動できるようになっている。従って、スライダ画像71は、温度範囲表示72の下限値および上限値の範囲を超えた温度に位置することができない。設定画面70では、調整可能範囲情報64の温度範囲外の温度を受け付けないようになっている。
【0063】
決定ボタン73は、スライダ画像71を用いた温度の設定が確定したことをユーザから受け付けるためのボタン画像である。決定ボタン73が選択されることで、スライダ画像71の位置に対応した温度が、設定温度として決定される。
【0064】
図7(B)に示す、他の例の設定画面70には、上下ボタン74と、温度範囲表示75と、決定ボタン76と、が表示される。
【0065】
上下ボタン74は、設定温度の温度を上げるためのボタンと、設定温度の温度を下げるためのボタンとを有する。さらに、上下ボタン74の操作に応じて、温度表示74Tの数値が変化する。
【0066】
温度範囲表示75は、選択されたグリッド62Gにおける調整可能な温度の範囲を表示する。温度範囲表示75は、そのグリッド62Gにおける調整可能範囲情報64に対応する。そして、温度範囲表示75は、調整可能範囲情報64における温度の下限値と上限値とを表示する。温度範囲表示75は、グリッド62Gごとに異なる温度の下限値および上限値を表示する。
なお、上下ボタン74に対する操作によって、温度範囲表示75の下限値および上限値の範囲を超えた温度を、温度表示74Tに表示させることができない。そして、他の例の設定画面70では、調整可能範囲情報64の温度範囲外の温度を受け付けないようになっている。
【0067】
決定ボタン76は、上下ボタン74を用いた設定温度の設定が確定したことをユーザから受け付けるためのボタン画像である。決定ボタン76が選択されることで、上下ボタン74の位置に対応した温度が、設定温度として決定される。
【0068】
なお、
図4に示すように、一のグリッド62Gの選択を受け付けない場合(ステップ104にてNO)、ステップ104に戻って、グリッド62Gの受け付けを継続する。
【0069】
そして、
図4に示すように、設定温度の設定が完了したか否かを判断する(ステップ106)。設定温度の設定が完了していない場合(ステップ106にてNO)、ステップ104に戻って、グリッドの選択を受け付ける。
一方、設定温度の設定が完了している場合(ステップ106にてYES)、制御情報を作成する(ステップ107)。
【0070】
なお、ユーザが所定の温度を設定温度として指定した場合に、指定された温度になるまでに要する時間を、表示画面300に表示しても良い。この場合において、表示画面300には、例えば、所定の温度になるまでに掛かる時間を示したり、時刻の目安を示したりしても良い。または、情報端末装置30にて、指定されたグリッド62Gが所定の温度になると推定される時間に、アラームなどの音声を用いて、ユーザに知らせても良い。
【0071】
続いて、情報端末装置30の表示画面300に表示する他の例の提示画面について説明する。
図8は、情報端末装置30の表示画面300に表示される提示画面260の一例の図である。
図8に示すように、情報端末装置30の表示画面300には、提示画面260が表示される。そして、提示画面260には、対象空間100の平面
図51と、複数のグリッドを示すためのグリッド線62と、現状温度情報63と、調整可能範囲情報64と、変更ボタン66とが表示される。
【0072】
他の例の提示画面260では、対象空間100の一例として示すオフィスを鉛直方向に沿った方向から見た平面
図51に対してグリッド線62が表示され、複数の領域に分割された複数のグリッド62Gが表示される。
そして、各グリッド62Gには、現状温度情報63および調整可能範囲情報64が表示される。
【0073】
変更ボタン66は、表示画面300に表示される複数のグリッド62Gの高さを変更する操作を受け付けるボタン画像である。例えば、
図8に示す例では、複数のグリッド62Gは、床面からの高さが700mmである場合の内容を示している。この場合、複数のグリッド62Gにおいて表示される現状温度情報63および調整可能範囲情報64は、床面からの高さが700mmに対応する内容である。
【0074】
そして、変更ボタン66を操作することで、グリッド62Gの床面からの高さを変更することができる。変更ボタン66によって高さを変更することで、変更された高さに対応するグリッド62Gの現状温度情報63および調整可能範囲情報64が表示される。
【0075】
このように、他の例の提示画面260では、対象空間100の平面
図51に重畳させて、グリッド62Gごとの現状温度情報63および調整可能範囲情報64が表示される。そして、変更ボタン66を変更することで、異なる高さのグリッド62Gに対応する現状温度情報63および調整可能範囲情報64を表示画面300に表示させることができる。
【0076】
以上説明したように、ユーザは、情報端末装置30を用いて、例えば自身がいる場所の温度を把握する。この場合に、ユーザは、例えば鉛直方向における異なる高さのグリッド62Gごとの温度を把握できる。そして、ユーザは、グリッド62Gごとに、空気調和機10が調整可能な温度の範囲を知ることができる。さらに、ユーザは、グリッド62Gごとに設定温度を指定できる。
【0077】
図面を参照しながら説明した例では、グリッド62Gごとに、それぞれ調整可能な温度の範囲を示しているが、この例に限定されない。例えば、サーバ装置40は、情報端末装置30の表示画面300に、空気調和機10が所定の温度に調整可能な対象空間100における空間範囲を表示しても良い。
【0078】
次に、空気調和機10が温度を含む所定の環境に調整可能な対象空間100における空間範囲を示す例について説明する。
図9は、情報端末装置30の表示画面300に表示される提示画面80の一例の図である。
【0079】
サーバ装置40は、情報端末装置30の表示画面300を介して、ユーザから、希望とする設定温度を受け付ける。そして、本実施形態のサーバ装置40では、推定部44によって、希望とする設定温度に空気調和機10が調整可能な対象空間100における空間範囲を推定する。そして、サーバ装置40は、情報端末装置30の表示画面300に、推定した空間範囲を提示情報として表示する。
【0080】
図9に示すように、提示画面80には、ユーザが希望する設定温度を受け付ける受付ボタン81が表示される。ユーザは、受付ボタン81を操作することで、希望とする設定温度を指定する。受付ボタン81によって指定された設定温度は、温度表示81Tにて表示される。
【0081】
そして、提示画面80には、ユーザが希望する設定温度に調整可能な空間範囲を示す範囲表示82が表示される。この場合に、範囲表示82は、提示画面80において、対象空間100の平面
図51に重畳される。
図9に示す提示画面80の例では、範囲表示82は、複数のグリッド62Gを跨がって表示される。これによって、例えば、ユーザは、希望とする設定温度に空気調和機10が調整可能な空間的な範囲を、対象空間100の平面
図51に基づいて視覚的に把握できる。
【0082】
なお、提示画面80においても、平面
図51において対象となる高さを変更する変更ボタン66が設けられている。従って、ユーザが変更ボタン66を操作することで、提示画面80には、鉛直方向の所定の高さにおける範囲表示82が表示される。
提示画面80において、ユーザが受付ボタン81を操作し、希望する設定温度を変化させると、新たに指定された設定温度に応じて範囲表示82が変更される。
【0083】
そして、提示画面80にて提示される希望の設定温度と、希望の設定温度に対応する範囲表示82との内容にて、空気調和機10の制御を希望する場合が考えられる。この場合、ユーザは、表示画面300に表示される決定ボタン83を操作する。
サーバ装置40の制御情報作成部47は、推定部44が推定を行った際の空気調和機10の制御パラメータに基づく制御情報を作成する。そして、サーバ装置40は、空気調和機10に対して、作成した制御情報を送信する。
【0084】
以上のように、サーバ装置40は、提示画面80にて、所定の温度に調整可能な空間範囲を提示したうえで、提示した空間範囲を所定の温度に空気調和機10を制御する指示をユーザから受け付ける。特に、
図9に示す例のように、空間範囲が、複数のグリッド62Gに跨がる場合がある。この場合に、サーバ装置40は、提示画面80を介して、対象空間における複数の位置に対する設定温度を受け付けている。
【0085】
続いて、対象空間100において、ある位置の温度などの環境を維持したままで、ある位置とは異なる他の位置にて調整可能な温度などの環境の範囲を提示する例について説明する。
図10は、情報端末装置30の表示画面300に表示される提示画面90の一例の図である。
【0086】
サーバ装置40は、情報端末装置30の表示画面300を介して、ユーザから、設定温度を維持するグリッド62Gの指定を受け付ける。そして、本実施形態のサーバ装置40では、推定部44によって、指定されたグリッド62Gの設定温度を維持するという条件で、指定されたグリッド62G以外のグリッド62Gに対して空気調和機10が調整可能な温度範囲を推定する。そして、サーバ装置40は、情報端末装置30の表示画面300に、推定した温度範囲を提示情報として表示する。
【0087】
図10に示すように、提示画面90には、対象空間100の平面
図51と、グリッド62Gと、指定メッセージ91とが表示される。
指定メッセージ91は、例えば「設定温度を維持するエリアを指定して下さい。」といったように、ユーザに対して、設定温度を維持するグリッド62Gの指定を行うことを指示する。
【0088】
そして、提示画面90では、複数のグリッド62Gのうち一のグリッド62Gの指定をユーザから受け付けると、対象のグリッド62Gを他のグリッド62Gとは異なる態様で表示する。
図10に示す例では、指定された左上のグリッド62Gには、「維持」のテキストが表示される。
さらに、提示画面90では、指定されたグリッド62Gの設定温度を受け付ける。
図10に示す例では、現状の温度が設定温度として設定されている。なお、指定するグリッド62Gの設定温度は、そのグリッド62Gにおいて調整可能な温度範囲内で、設定温度の指定を受け付けても良い。
【0089】
そして、提示画面90は、指定されたグリッド62G以外の複数のグリッド62Gごとに、それぞれ調整可能範囲情報64を表示する。
このように、サーバ装置40は、一のグリッド62Gの設定温度を固定するという条件のもと、対象空間100における他の位置において空気調和機10が調整可能な温度の範囲を表示する。
【0090】
なお、提示画面90においても、平面
図51において対象となる高さを変更する変更ボタン66が設けられている。従って、ユーザが変更ボタン66を操作することで、提示画面90には、鉛直方向の所定の高さにおけるグリッド62Gごとの調整可能範囲情報64が表示される。
【0091】
本実施形態におけるサーバ装置40が行う処理は、例えば、アプリケーションソフトウェア等のプログラムとして用意される。
【0092】
このプログラムは、コンピュータに、空気調和機10の機器情報を取得する機能と、空気調和機10が設置される対象空間100の空間情報を取得する機能と、対象空間100における測定位置の少なくとも温度を含む環境情報を取得する機能と、機器情報、空間情報および環境情報に基づいて対象空間100における測定位置とは異なる特定位置の少なくとも温度を含む環境を推定する機能と、推定に基づいて、特定位置における空気調和機10が調整可能な温度を含む環境の範囲、および/または空気調和機10が温度を含む所定の環境に調整可能な対象空間100における空間範囲を提示する機能と、を実現させるプログラムである。
【0093】
なお、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD-ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【0094】
ここで、上記にて説明した実施形態の各々は、以下のように捉えることができる。
本開示のサーバ装置40は、空気調和機10の機器情報を取得する機器情報取得部41と、空気調和機10が設置される対象空間100の空間情報を取得する空間情報取得部42と、対象空間における測定位置の少なくとも温度を含む環境情報を取得する環境情報取得部43と、機器情報、空間情報および環境情報に基づいて対象空間における測定位置とは異なる特定位置の少なくとも温度を含む環境を推定する推定部44と、推定部44による推定に基づいて、特定位置における空気調和機10が調整可能な温度を含む環境の範囲、および/または空気調和機10が温度を含む所定の環境に調整可能な対象空間における空間範囲を提示する提示部45と、を備える。この場合、空気調和機10によって調整される所定の空間の調整可能な環境の範囲や空間範囲をユーザが把握できる。
ここで、環境には、温度、湿度、二酸化炭素や匂いなどの空気質の情報を例示することができる。
【0095】
そして、空間情報取得部42は、対象空間100の大きさの情報、および対象空間100における空気調和機10の配置の情報を含む空間情報を取得する。この場合、対象空間100の大きさと対象空間100における空気調和機10の配置が反映された、精度の高い推定を行うことができる。
【0096】
そして、空間情報取得部42は、空気調和機10とは異なる、対象空間における温度環境に影響を及ぼす物の情報を含む空間情報を取得する。この場合、環境に影響を及ぼす物の情報が反映されることで、精度のより高い温度環境の推定を行うことができる。
ここで、温度環境に影響を及ぼす物には、パソコン111、モニタ112、プリンタ113およびサーバラック114などの発熱する発熱什器、デスク115、書棚116、パーティション117などの非発熱什器、カーテン、ブラインド等の窓什器を例示することができる。
【0097】
そして、提示部45は、対象空間100の鉛直方向および/または水平方向における情報を提示する。この場合、ユーザに対して対象空間100における鉛直方向および/または水平方向ごとに異なる環境の範囲や空間範囲を提示することができる。
ここで、鉛直方向において、例えばユーザの足元やユーザの頭部など、ユーザが例えば温度を体感する部位の位置に応じて異なる高さの情報を提示できると好ましい。
【0098】
そして、提示部45は、対象空間100を示す画像に空気調和機10が調整可能な特定位置での少なくとも温度を含む環境の範囲の情報を重畳させて表示する。この場合、対象空間100を示す例えば平面
図51や側面
図61などに環境の範囲の情報が重畳されることで、環境の範囲をユーザがより把握し易くすることができる。
ここで、対象空間100を示す画像としては、対象空間100の平面図や側面図、対象空間100を撮影した写真画像、対象空間100の模式図などを例示できる。
【0099】
そして、提示部45は、複数の特定位置での環境の範囲を提示する。この場合、例えば単数の特定位置の環境の範囲を提示する場合と比較して、対象空間100における調整可能な環境の範囲の情報をユーザが詳細に把握することができる。
【0100】
そして、提示部45は、特定位置の環境が所定の環境になるまでに要する時間に関する時間情報を提示する。この場合、所定の環境になるまでに要する時間をユーザが把握することができる。
【0101】
そして、提示部45は、特定位置のうち第1特定位置の環境を維持したままで、当該第1特定位置とは異なる第2特定位置にて調整可能な環境の範囲を提示する。この場合、例えば第1特定位置にいるユーザが希望する設定温度を維持しながら、第2特定位置にいる他のユーザが設定可能な環境の範囲を他のユーザに示すことができる。
【0102】
また、本開示の空気調和システム1は、対象空間100の少なくとも温度を調整する空気調和機10と、空気調和機10の機器情報を取得する機器情報取得部41と、対象空間100の空間情報を取得する空間情報取得部42と、対象空間100における測定位置の少なくとも温度を含む環境情報を取得する環境情報取得部43と、機器情報、空間情報および環境情報に基づいて対象空間100における測定位置とは異なる特定位置の少なくとも温度を含む環境を推定する推定部44と、推定部44による推定に基づいて、特定位置における空気調和機10が調整可能な温度を含む環境の範囲、および/または空気調和機10が温度を含む所定の環境に調整可能な対象空間100における空間範囲を提示する提示部45と、対象空間100における所定位置に対する温度を含む環境の設定情報をユーザから受け付ける設定受付部46と、設定受付部46にて受け付けた設定情報に応じて、空気調和機10を制御する制御情報を作成する制御情報作成部47と、を備える。この場合、空気調和機10によって調整される所定の空間の調整可能な環境の範囲や空間範囲をユーザが把握できる。
【0103】
ここで、例えば、機器情報取得部41、空間情報取得部42、環境情報取得部43、推定部44、提示部45、設定受付部46および制御情報作成部47の各種機能は、サーバ装置40のみが実現することに限定されない。これらの機能の一部または全部を、例えば情報端末装置30が実現しても良い。この場合、情報端末装置30は、情報処理装置の一例として機能する。
【0104】
さらに、上記で説明した各構成は、上記の各実施形態に限られるものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で変更できる。言い換えると、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解される。
上記にて説明した構成に限らず、上記にて説明した各構成の一部を省略したり、上記にて説明した各構成に対して他の機能を付加したりしても良い。
【符号の説明】
【0105】
1…空気調和システム、10…空気調和機、20…環境センサ、30…情報端末装置、40…サーバ装置、41…機器情報取得部、42…空間情報取得部、43…環境情報取得部、44…推定部、45…提示部、46…設定受付部、47…制御情報作成部、50…受付画面、60…提示画面、63…現状温度情報、64…調整可能範囲情報、70…設定画面、80…提示画面、90…提示画面、100…対象空間