IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20231122BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
B65G1/00 521A
F25D23/00 301G
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021059430
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022155966
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2022-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】松井 秀徳
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 喜一郎
(72)【発明者】
【氏名】向谷 俊昭
(72)【発明者】
【氏名】山内 順子
(72)【発明者】
【氏名】井上 寛子
(72)【発明者】
【氏名】片田 千晴
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-128802(JP,A)
【文献】特開昭60-258009(JP,A)
【文献】特開2001-315906(JP,A)
【文献】特開2020-196575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00
F25D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を貯蔵する温度調整領域を備えた貯蔵庫であって、
前記温度調整領域を冷却する冷凍冷蔵手段と、
前記温度調整領域に貯蔵する物品及び前記温度調整領域に貯蔵されている物品の前記温度調整領域における配置を、前記温度調整領域の設定温度を含む前記温度調整領域の状況情報と、計測した前記物品の温度データ及び前記物品が貯蔵中に求められる温度を含む前記物品に関する温度に応じて決定する配置決定手段と、
を備える貯蔵庫。
【請求項2】
前記配置決定手段が決定した配置に基づき、前記温度調整領域において前記物品を配置する自動搬送手段、
を更に備えること
を特徴とする請求項1記載の貯蔵庫。
【請求項3】
前記温度調整領域を仕切る仕切り手段を移動させる仕切り移動手段、
を更に備え、
前記温度調整領域の状況情報は、前記仕切り手段の移動により変化する前記仕切り手段により仕切られた前記温度調整領域に関する情報を含むこと
を特徴とする請求項1又は2記載の貯蔵庫。
【請求項4】
前記配置決定手段が決定した配置に基づき、前記仕切り移動手段の位置情報を出力する位置情報出力手段、
を更に備え、
前記仕切り移動手段は、前記仕切り移動手段の位置情報に基づいて前記仕切り手段を移動させること
を特徴とする請求項3記載の貯蔵庫。
【請求項5】
前記自動搬送手段は、前記物品の温度を計測するセンサが設けられていること
を特徴とする請求項2記載の貯蔵庫。
【請求項6】
前記自動搬送手段は、前記物品に関する情報を読み取るセンサが設けられており、
前記配置決定手段は、前記物品に関する情報を考慮して、前記物品の前記温度調整領域における配置を決定すること
を特徴とする請求項2又は5記載の貯蔵庫。
【請求項7】
前記温度調整領域の状況情報は、前記温度調整領域の分割に関する情報、前記温度調整領域の温度分布に関する情報、及び前記温度調整領域に貯蔵されている物品に関する情報の少なくとも一つが更に含まれること
を特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の貯蔵庫。
【請求項8】
前記配置決定手段は、前記温度調整領域が保つべき設定温度から所定値以上離れている温度の前記物品の配置先を、前記温度調整領域への影響を抑制可能な領域とすること
を特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、配送する荷物の温度管理を行うための技術が知られている。例えば荷物が収容された保温保冷容器内の温度を管理する場合であって、1台の輸送トラックで常温荷物と冷蔵(冷凍)荷物など、管理すべき温度が異なる複数の保温保冷容器を輸送する場合には、それぞれの保温保冷容器に対して温度調整を適切に行う必要があった(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/155408号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば温度管理が必要な複数の物品を貯蔵する貯蔵庫では、プレクール(予冷)されていない物品が入庫された場合など、庫内の他の物品の温度に影響を与えてしまう可能性があった。また、例えば温度管理が必要な複数の物品を貯蔵する貯蔵庫では、庫内の温度ムラなどを考慮した、貯蔵中の物品の細かな温度管理ができていなかった。
【0005】
本開示は、温度調整領域の物品の温度管理を適切に行うことができる貯蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の貯蔵庫は、物品を貯蔵する温度調整領域を備えた貯蔵庫であって、前記温度調整領域に貯蔵する物品又は前記温度調整領域に貯蔵されている物品の前記温度調整領域における配置を、前記温度調整領域の状況情報及び前記物品に関する温度に応じて決定する配置決定手段、を備える。
【0007】
本開示によれば、温度調整領域に貯蔵する物品又は温度調整領域に貯蔵されている物品の温度調整領域における配置を、温度調整領域の状況情報及び物品に関する温度に応じて決定できるので、温度調整領域の物品の温度管理を適切に行うことができる貯蔵庫を提供することができる。
【0008】
また、配置決定手段が決定した配置に基づき、温度調整領域において物品を配置する自動搬送手段、を更に備えることを特徴としてもよい。
【0009】
本開示によれば、配置決定手段が決定した配置に基づき、温度調整領域において物品を配置できる。
【0010】
また、前記温度調整領域を仕切る仕切り手段を移動させる仕切り移動手段、を更に備え、前記温度調整領域の状況情報は、前記仕切り手段の移動により変化する前記仕切り手段により仕切られた前記温度調整領域に関する情報を含むことを特徴としてもよい。
【0011】
本開示によれば、さらに、仕切り手段により仕切られた温度調整領域に関する情報に応じて、温度調整領域に貯蔵する物品又は温度調整領域に貯蔵されている物品の温度調整領域における配置を決定できる。
【0012】
また、前記配置決定手段が決定した配置に基づき、前記仕切り移動手段の位置情報を出力する位置情報出力手段、を更に備え、前記仕切り移動手段は、前記仕切り移動手段の位置情報に基づいて前記仕切り手段を移動させることを特徴としてもよい。
【0013】
本開示によれば、配置決定手段が決定した配置に基づき、仕切り手段を移動させることができる。
【0014】
また、前記自動搬送手段は、前記物品の温度を計測するセンサが設けられていることを特徴としてもよい。
【0015】
本開示によれば、温度調整領域に貯蔵する物品又は温度調整領域に貯蔵されている物品の温度を計測できる。
【0016】
また、前記自動搬送手段は、前記物品に関する情報を読み取るセンサが設けられており、前記配置決定手段は、前記物品に関する情報を考慮して、前記物品の前記温度調整領域における配置を決定することを特徴としてもよい。
【0017】
本開示によれば、温度調整領域に貯蔵する物品又は温度調整領域に貯蔵されている物品に関する情報を読み取って、その物品の温度調整領域における配置を、物品に関する情報を考慮して決定できる。
【0018】
また、前記温度調整領域の状況情報は、前記温度調整領域の分割に関する情報、前記温度調整領域の温度分布に関する情報、及び前記温度調整領域に貯蔵されている物品に関する情報の少なくとも一つが含まれることを特徴としてもよい。
【0019】
本開示によれば、温度調整領域の分割に関する情報、温度調整領域の温度分布に関する情報、及び温度調整領域に貯蔵されている物品に関する情報、に応じて、温度調整領域に貯蔵する物品又は温度調整領域に貯蔵されている物品の温度調整領域における配置を決定できる。
【0020】
また、前記配置決定手段は、前記温度調整領域が保つべき設定温度から所定値以上離れている温度の前記物品の配置先を、前記温度調整領域への影響を抑制可能な領域とすることを特徴としてもよい。
【0021】
本開示によれば、温度調整領域への影響を抑制可能な領域に、温度調整領域が保つべき設定温度から所定値以上離れている温度の物品を配置できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態に係る貯蔵庫の一例の外観図である。
図2】本実施形態に係る貯蔵庫の一例の断面図及び平面図である。
図3】本実施形態に係るコンピュータの一例のハードウェア構成図である。
図4】本実施形態に係る貯蔵庫の一例の構成図である。
図5】本実施形態に係る貯蔵庫の一例の構成図である。
図6】本実施形態に係る貯蔵庫の動作概要の一例の説明図である。
図7】本実施形態に係る貯蔵庫の物品の入庫処理手順の一例を示した説明図である。
図8】物品データ及び棚管理データの一例の構成図である。
図9】物品データ及び棚管理データの一例の構成図である。
図10】本実施形態に係る貯蔵庫の物品の再配置処理手順の一例を示した説明図である。
図11】物品データ及び棚管理データの一例の構成図である。
図12】温度管理等級の設定例を示した説明図である。
図13】本実施形態に係る貯蔵庫の貯蔵領域の調整処理手順の一例を示した説明図である。
図14】物品データ及び棚管理データの一例の構成図である。
図15】本実施形態に係る貯蔵庫の仕切り板の移動の一例の説明図である。
図16】仕切り板の位置変更の仕組みの一例の説明図である。
図17】仕切り板の位置変更の仕組みの一例の説明図である。
図18】仕切り板の位置変更の仕組みの一例の説明図である。
図19】仕切り板の位置変更の仕組みの一例の説明図である。
図20】仕切り板の位置変更の仕組みの一例の説明図である。
図21】仕切り板の位置変更の仕組みの一例の説明図である。
図22】仕切り板の位置変更の仕組みの一例の説明図である。
図23】仕切り板の位置変更の仕組みの一例の説明図である。
図24】仕切り板の位置変更の仕組みの一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0024】
<外観>
図1は、本実施形態に係る貯蔵庫の一例の外観図である。図1の貯蔵庫1は例えば輸送コンテナである可搬型の冷凍冷蔵コンテナを利用して実現できる。冷凍冷蔵コンテナは冷凍冷蔵機能を備えており、冷凍冷蔵機能を利用した温度調整領域の一例である貯蔵領域を実現する。貯蔵領域は冷凍冷蔵機能により温度制御されている。貯蔵庫1内に貯蔵した物品は温度制御により品質が保たれている。
【0025】
図1の貯蔵庫1は、貯蔵領域に物品を入庫する入庫機能及び貯蔵領域に貯蔵している物品の取出機能を備える。入庫機能及び取出機能は例えば操作パネル10及び後述の受付装置20を利用して実現できる。操作パネル10は、例えばユーザからの操作を受け付ける操作受付部とユーザへの情報を画面表示又は音声出力する情報出力部とを備える。操作受付部はユーザからの操作を受け付けるための物理ボタン、タッチスクリーン、音声入力のためのマイクなどを備える。情報出力部は、例えばディスプレイ装置、スピーカなどを備える。後述の受付装置20は、操作パネル10がユーザから受け付けた物品の入庫の為の操作又はユーザからの物品の取出の為の操作を受け付け、後述の各種制御を行う。
【0026】
図1に示した貯蔵庫1の受付装置20は、物品の入庫/取出口12を備える。ユーザが入庫/取出口12に入庫した物品は、後述の自動搬送装置24により貯蔵領域へ搬送可能である。また、貯蔵領域に貯蔵中の物品は、自動搬送装置24により入庫/取出口12へ搬送可能である。
【0027】
図1の入庫/取出口12には、開閉が可能な扉14が設けられていてもよい。図1は扉14が開いた状態を表している。また、図1の貯蔵庫1は入庫/取出口12以外にも物品の入庫を効率化するための仕組みが設けられていてもよい。
【0028】
例えば図1の貯蔵庫1は側面に扉16を設け、その扉16を開けることで、後述する貯蔵領域の棚に直接、物品を入庫可能としている。また、図1の貯蔵庫1は側面に扉16を設け、扉16を開けることで、複数の物品を仮置き場所に入庫可能としてもよい。貯蔵庫1は、扉16から入庫された物品の貯蔵領域における配置を後述のように決定して、自動搬送装置24により搬送可能である。
【0029】
図1の貯蔵庫1の構成は一例である。例えば貯蔵庫1はクラウドサーバなどのサーバとインターネットなどのネットワークを介してと接続されているのであれば、情報処理機能の少なくとも一部をサーバに設けてもよい。貯蔵庫1はユーザが所持するスマートフォンなどの情報端末を、操作パネル10の替わりに利用できるようにしてもよい。図1の貯蔵庫1は用途や目的に応じて様々な構成例があることは言うまでもない。
【0030】
<断面図及び平面図>
図2は、本実施形態に係る貯蔵庫の一例の断面図及び平面図である。図2(A)は貯蔵庫1の長手方向の断面図である。図2(B)は貯蔵庫1の平面図である。貯蔵庫1は長手方向の一端に冷凍冷蔵機能を提供する冷凍装置30を備え、他端に受付装置20及び総合管理装置22を備える。貯蔵庫1は冷凍装置30の冷凍冷蔵機能により、複数の棚32を備えた貯蔵領域を実現している。
【0031】
貯蔵領域の複数の棚32には、それぞれ棚住所が設定されている。貯蔵庫1に入庫された物品は、貯蔵領域を底部レール36に沿って移動可能な自動搬送装置24により受付装置20から貯蔵領域の棚32に搬送される。また、自動搬送装置24は後述の再配置を行うため、一の棚32から他の異なる棚32に物品を搬送できる。また、貯蔵庫1から取り出す物品は、自動搬送装置24により貯蔵領域の棚32から受付装置20に搬送される。
【0032】
図2の貯蔵庫1の棚32は、側面の扉16から物品を入庫できるように、両側面に設置されている。図2の貯蔵庫1は、縦6×横12の2列の棚32が設置されている例を示している。図2の貯蔵庫1は、横方向に3つの棚32ごとに、仕切り板28を設置するための隙間が設けられている。仕切り板移動装置26及び後述の温度調整装置27はレール34に沿って移動し、後述のように仕切り板28の設置位置を移動する。
【0033】
図2の貯蔵庫1は仕切り板28を設置することにより、複数の設定温度の貯蔵領域(温度帯)を実現することができる。また、図2の貯蔵庫1は仕切り板28の設置位置を移動することにより、それぞれの貯蔵領域で貯蔵できる物品の数(貯蔵領域の容量)を調整できる。
【0034】
総合管理装置22は、操作パネル10から受け付けたユーザの操作に基づき、自動搬送装置24、冷凍装置30、及び仕切り板移動装置26などの動作を制御して、本実施形態に係る貯蔵庫1を実現する。
【0035】
<ハードウェア構成>
図1の総合管理装置22は、例えば図3に示すハードウェア構成のコンピュータ500により実現する。
【0036】
図3は、本実施形態に係るコンピュータの一例のハードウェア構成図である。図3のコンピュータ500は、入力装置501、表示装置502、外部I/F503、RAM504、ROM505、CPU506、通信I/F507、及びHDD508などを備えており、それぞれがバスBで相互に接続されている。なお、入力装置501及び表示装置502は接続して利用する形態であってもよい。
【0037】
入力装置501は、ユーザが各種信号を入力するのに用いるタッチパネル、操作キーやボタン、キーボードやマウスなどである。表示装置502は、画面を表示する液晶や有機ELなどのディスプレイ、音声や音楽などの音データを出力するスピーカ等で構成されている。通信I/F507はコンピュータ500がデータ通信を行うためのインタフェースである。
【0038】
また、HDD508は、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置の一例である。格納されるプログラムやデータには、コンピュータ500全体を制御する基本ソフトウェアであるOS、及びOS上において各種機能を提供するアプリケーションなどがある。なお、コンピュータ500はHDD508に替えて、記憶媒体としてフラッシュメモリを用いるドライブ装置(例えばソリッドステートドライブ:SSDなど)を利用するものであってもよい。
【0039】
外部I/F503は、外部装置とのインタフェースである。外部装置には、記録媒体503aなどがある。これにより、コンピュータ500は外部I/F503を介して記録媒体503aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。記録媒体503aにはフレキシブルディスク、CD、DVD、SDメモリカード、USBメモリなどがある。
【0040】
ROM505は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)の一例である。ROM505にはコンピュータ500の起動時に実行されるBIOS、OS設定、及びネットワーク設定などのプログラムやデータが格納されている。RAM504はプログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)の一例である。
【0041】
CPU506は、ROM505やHDD508などの記憶装置からプログラムやデータをRAM504上に読み出し、処理を実行することで、コンピュータ500全体の制御や機能を実現する演算装置である。本実施形態に係る総合管理装置22は、後述するような各種機能を実現できる。
【0042】
<構成>
本実施形態に係る貯蔵庫1の構成について説明する。図4は本実施形態に係る貯蔵庫の一例の構成図である。なお、図4の構成図は、本実施形態の説明に不要な部分について適宜省略している。
【0043】
図4に示した貯蔵庫1は、受付装置20、総合管理装置22、自動搬送装置24、仕切り板移動装置26、温度調整装置27、取出口開閉制御装置29、及び冷凍装置30を有する。
【0044】
受付装置20は、ユーザからの物品の入庫の為の操作又はユーザからの物品の取出の為の操作を受け付け、ユーザから受け付けた操作内容を総合管理装置22に通知する。総合管理装置22は、通知されたユーザの操作内容に従って、自動搬送装置24の制御などの各種制御を行う。また、総合管理装置22は後述の再配置、複数の温度帯の空き容量を調整などのため、自動搬送装置24、仕切り板移動装置26、温度調整装置27、及び冷凍装置30の制御などの各種制御を行う。
【0045】
総合管理装置22は、配置決定部40、空き容量管理部42、棚管理DB44、及び物品DB46を有する。また、配置決定部40は物品データ作成部50及び再配置監視部52を有する。空き容量管理部42は位置情報出力部54を有する。
【0046】
配置決定部40は貯蔵領域に貯蔵する物品又は貯蔵領域に貯蔵されている物品を配置する棚32を決定する。物品データ作成部50は、貯蔵領域に貯蔵する物品の物品データを作成する。物品データは物品DB46に記録される。物品データの詳細は後述する。再配置監視部52は物品データ及び棚管理データを利用して貯蔵領域に貯蔵中の物品の再配置の管理を行う。棚管理データは棚管理DB44に記録されている。棚管理データの詳細は後述する。
【0047】
空き容量管理部42は、棚管理データを利用し、複数の温度帯それぞれで貯蔵できる物品の数(設定温度の異なる貯蔵領域ごとの空き容量)を管理する。位置情報出力部54は空き容量管理部42の仕切り板28の位置変更の立案に従い、仕切り板28の設置位置を移動するための仕切り板28の位置情報を出力する。
【0048】
自動搬送装置24は、温度センサ60及び情報読取センサ62を有する。自動搬送装置24は、総合管理装置22からの指示に従い、入庫された物品の入庫/取出口12から貯蔵領域への搬送、貯蔵されている物品の貯蔵領域から入庫/取出口12への搬送、一の棚32から他の異なる棚32への物品の搬送などを行う。自動搬送装置24は搬送ロボットなどの既存の搬送装置や自動機による搬送技術を利用できる。
【0049】
温度センサ60は、物品の温度を計測するセンサである。温度センサ60は入庫/取出口12の物品の温度、棚32の物品の温度などを計測する。情報読取センサ62は、物品に関する情報を読み取るセンサである。例えば情報読取センサ62は物品のパッケージ画像や二次元コードなどのコード画像などを撮影するカメラであって、撮影画像から物品に関する情報を読み取る。また、情報読取センサ62は物品に貼付されたICタグから物品に関する情報を読み取るICタグリーダであってもよい。
【0050】
仕切り板移動装置26は、空き容量管理部42からの仕切り板28の移動指示を受け付けると、位置情報出力部54が出力した仕切り板28の位置情報に基づいて仕切り板28を移動させる。温度調整装置27は、総合管理装置22からの動作指示に従い、仕切り板28により実現される複数の設定温度の貯蔵領域間の送風量の調整などを行う。また、冷凍装置30は、総合管理装置22からの動作指示に従い、冷凍冷蔵機能のON/OFF制御を行う。取出口開閉制御装置29は、例えば貯蔵庫1からの指示に従い、入庫/取出口12の扉14の開閉を制御する。
【0051】
なお、図4の構成図は一例であって、例えば図5に示すような構成でもよい。図5は本実施形態に係る貯蔵庫の一例の構成図である。なお、図5の構成図は、本実施形態の説明に不要な部分について適宜省略している。図5のクラウドサーバ3は、例えば図2に示したハードウェア構成の一台以上のコンピュータ500により実現する。
【0052】
図5の構成図は、図4の構成図において受付装置20がユーザから受け付けていた情報入力を、ユーザが所持するスマートフォンなどの情報端末2からクラウドサーバ3を介して貯蔵庫1が受け付ける構成である。貯蔵庫1、情報端末2、及びクラウドサーバ3はインターネットやLAN等のネットワーク等により、データ通信可能に接続される。
【0053】
ユーザは情報端末2に情報を入力する。クラウドサーバ3は、情報入力受付部70及び情報送信部72を有する。情報入力受付部70は、ユーザが情報端末2に入力した情報入力の内容を受け付ける。情報送信部72は、情報入力受付部70が受け付けたユーザの情報入力の内容を貯蔵庫1の総合管理装置22に送信する。図5に示すように、貯蔵庫1へのユーザの情報入力は、受付装置20から行うこともできるし、情報端末2からクラウドサーバ3を介して行うこともできる。
【0054】
図4及び図5に示すように、本実施形態に係る貯蔵庫1の構成は、様々考えることができる。例えば貯蔵庫1の総合管理装置22が行う情報処理の少なくとも一部を、クラウドサーバ3で行うようにしてもよい。
【0055】
図6は、本実施形態に係る貯蔵庫の動作概要の一例の説明図である。なお、図6図4の構成図を一例として説明する。また、図6は説明に不要な構成について図示を省略している。
【0056】
受付装置20はユーザから物品の入庫及び情報の入力を受け付ける。図6ではユーザから基本情報として管理No、設定温度、及び予定貯蔵時間の入力を受け付ける例を示している。管理Noは入庫された物品を管理する情報の一例である。設定温度は、入庫された物品に設定されている、貯蔵中に求められる温度である。予定貯蔵時間は、貯蔵庫1に入庫された物品の予定された貯蔵時間である。
【0057】
受付装置20がユーザから入力を受け付けた基本情報は、受付データとして総合管理装置22に通知される。総合管理装置22は自動搬送装置24に動作指示を行い、温度センサ60、情報読取センサ62、物品の搬送などの動作指示を行う。
【0058】
自動搬送装置24の温度センサ60は総合管理装置22からの動作指示に従い、入庫された物品の温度を測定する。また、温度センサ60は総合管理装置22からの動作指示に従い、再配置を管理する物品の温度を測定する。測定した物品の温度データは総合管理装置22に送信される。自動搬送装置24の情報読取センサ62は総合管理装置22からの動作指示に従い、入庫された物品に関する情報を、入庫された物品から読み取る。読み取られた物品に関する情報は、総合管理装置22に送信される。自動搬送装置24は総合管理装置22からの動作指示に従い、受取搬送、再配置搬送などの物品の搬送を行う。
【0059】
総合管理装置22の物品データ作成部50は、受信した受付データ、温度データ、及び物品に関する情報から、入庫された物品の貯蔵開始時の棚32の位置(棚住所)などの物品データに必要な内容を決定して、入庫された物品の物品データを作成する。棚管理DB44は棚住所が設定された棚32を管理する棚管理データを記録し、管理している。物品DB46は貯蔵領域に貯蔵中の物品の物品データを記録し、管理している。
【0060】
再配置監視部52は、物品の入庫時に作成した物品データに基づき、現在貯蔵されている棚32から他の棚32に移動させる物品の再配置を管理する。空き容量管理部42は複数の温度帯の空き容量を管理し、複数の温度帯の空き容量から仕切り板28の移動の要否を判断する。仕切り板28の移動が必要と判断すれば、総合管理装置22の空き容量管理部42は仕切り板移動装置26及び冷凍装置30に、仕切り板28の移動のための動作指示を行う。
【0061】
例えば冷凍装置30は、仕切り板28の移動時、冷凍冷蔵機能がOFFされるように制御される。仕切り板移動装置26は、空き容量管理部42からの動作指示により、仕切り板28の位置を変更するように、動作する。
【0062】
<処理>
以下、図4の構成の貯蔵庫1の処理手順を一例として説明する。図7は、本実施形態に係る貯蔵庫の物品の入庫処理手順の一例を示した説明図である。図8は物品データ及び棚管理データの一例の構成図である。
【0063】
貯蔵庫1に物品を入庫したいユーザは、ステップS10において、受付装置20に物品の入庫及び基本情報の入力を行う。ステップS12において、受付装置20は総合管理装置22に対して、物品の入庫及び基本情報を通知する。
【0064】
ステップS14において総合管理装置22は自動搬送装置24に入庫された物品(入庫物品)の受付及び温度計測の動作指示を行う。ステップS16において、自動搬送装置24の温度センサ60は入庫/取出口12の入庫物品の温度計測を行う。自動搬送装置24は入庫/取出口12の入庫物品を受け取る処理を行う。ステップS18において、温度センサ60は入庫物品の温度データを総合管理装置22に送信する。
【0065】
ステップS20において、総合管理装置22の物品データ作成部50は、通知された基本情報を、図8(A)の物品データの項目「管理データ」の「管理No.」「設定温度」及び「予定貯蔵期間」に入力する。物品データ作成部50は受信した温度データが示す入庫物品の現在温度と図8(A)の項目「管理データ」の設定温度とに基づき、温度管理等級を判定する。なお、温度管理等級は入庫物品の現在温度と設定温度との差を示す情報の一例である。図8の例では、入庫物品の現在温度と設定温度とが一致していれば「A」と判定し、入庫物品の現在温度と設定温度との差が大きくなるほど「A」「B」「C」と変化させる。
【0066】
物品データ作成部50は判定した温度管理等級を、図8(A)の物品データの項目「現在位置管理」の「温度等級管理」に入力する。また、物品データ作成部50は温度管理等級が上がるまでの時間を、再配置にかかる時間として、決定する。例えば物品データ作成部50は、入庫物品の現在温度が常温であれば、温度管理等級が上がるまでの時間を5時間(5hr)などに決定する。
【0067】
物品データ作成部50は、決定した温度管理等級が上がるまでの時間(再配置にかかる時間)を、図8(A)の物品データの項目「再配置管理」の「現在位置予定貯蔵時間」に入力する。
【0068】
ステップS22において、物品データ作成部50は入庫物品の設定温度及び温度管理等級に合った空き棚32を、図8(B)の棚管理データから確認する。図8(B)は棚管理データの一例であって、棚32ごとに棚住所No.と、設定温度と、温度管理等級と、状態と、が項目として設定されている。
【0069】
図8(B)の棚管理データの項目「棚住所No.」は棚32を識別する識別情報の一例である。項目「設定温度」は棚32の設定温度を示している。項目「温度管理等級」は棚32で貯蔵を受け付ける物品の温度管理等級を示している。項目「状態」は、その棚32の状態として、使用中、入庫予約、又は空き、を識別する情報の一例である。
【0070】
ステップS24において、物品データ作成部50は入庫物品の設定温度及び温度管理等級に合った空き棚32から、入庫物品を貯蔵する空き棚32を一つ選択する。例えば図8の例では、入庫物品の設定温度「5°C」及び温度管理等級「C」に合った空き棚32が選択され、その棚32の状態が「空き」から「使用中」に更新される。物品データ作成部50は、入庫物品を貯蔵する空き棚32の棚住所No.を、図8(A)の物品データの項目「現在位置管理」の「棚住所No.」に入力する。
【0071】
ステップS10~S24の処理により、図8(A)の物品データは図8(C)のように物品DB46に追加される。総合管理装置22の再配置監視部52は図8に示したような物品データ及び棚管理データに基づいて、棚32の物品の再配置を管理する。なお、物品データの項目「最終予定貯蔵位置」は、最終的に入庫物品を貯蔵予定の棚32の温度管理等級を示している。物品データの項目「累計経過時間」は、入庫物品が現在の棚32に貯蔵されてからの経過時間を示している。
【0072】
ステップS26において、配置決定部40は物品データの項目「現在位置管理」の「棚住所No.」を指定して、入庫物品の搬送実行指示を行う。ステップS28において、自動搬送装置24は総合管理装置22からの搬送実行指示に従い、指定された棚32へ入庫物品を搬送する。指定された棚32への入庫物品の搬送が完了すると、自動搬送装置24は指定された棚32への入庫物品の搬送完了を総合管理装置22に報告する。
【0073】
図8の物品データ及び棚管理データは、温度管理等級として「A」~「C」を設けた例である。図9の物品データ及び棚管理データは、温度管理等級として「A」~「C」以外に「急冷」を設けた例である。図9の物品データ及び棚管理データの場合の処理を、図7の入庫処理手順に従って説明する。
【0074】
ステップS10~S18の処理は、図8の物品データ及び棚管理データの場合と同様である。ステップS20において、総合管理装置22の物品データ作成部50は、通知された基本情報を、図9(A)の物品データの項目「管理データ」の「管理No.」「設定温度」及び「予定貯蔵期間」に入力する。
【0075】
物品データ作成部50は受信した温度データが示す入庫物品の現在温度が常温であれば温度管理等級を「急冷」と判定する。受信した温度データが示す入庫物品の現在温度が常温でなければ、物品データ作成部50は図8の物品データ及び棚管理データの場合と同様に温度管理等級を判定する。ここでは温度管理等級が「急冷」と判定された場合の処理を説明する。
【0076】
物品データ作成部50は判定した温度管理等級を、図9(A)の物品データの項目「現在位置管理」の「温度等級管理」に入力する。また、物品データ作成部50は温度管理等級が上がるまでの時間を、再配置にかかる時間として、決定する。図9(A)では温度管理等級が上がるまでの時間を2時間(2hr)に決定している。
【0077】
物品データ作成部50は、決定した温度管理等級が上がるまでの時間(再配置にかかる時間)を、図9(A)の物品データの項目「再配置管理」の「現在位置予定貯蔵時間」に入力する。
【0078】
ステップS22において、物品データ作成部50は入庫物品の設定温度及び温度管理等級に合った空き棚32を、図9(B)の棚管理データから確認する。なお、図9(B)は棚管理データの一例であって、図8(B)の棚管理データと同様、棚32ごとに棚住所No.と、設定温度と、温度管理等級と、状態と、が項目として設定されている。また、図9(B)の棚管理データの項目「温度管理等級」は棚32で貯蔵を受け付ける物品の温度管理等級として、急冷、A、B、及びCを示している。
【0079】
ステップS24において、物品データ作成部50は入庫物品の設定温度及び温度管理等級に合った空き棚32から、入庫物品を貯蔵する空き棚32を一つ選択する。例えば図9の例では、入庫物品の設定温度「0°C」及び温度管理等級「急冷」に合った空き棚32が選択され、その棚の状態が「空き」から「使用中」に更新される。物品データ作成部50は、入庫物品を貯蔵する空き棚32の棚住所No.を、図9(A)に示す物品データの項目「現在位置管理」の「棚住所No.」に入力する。
【0080】
ステップS10~S24の処理により、図9(A)の物品データは図9(C)のように物品DB46に追加される。総合管理装置22の再配置監視部52は図9に示したような物品データ及び棚管理データに基づいて、棚32の物品の再配置を管理する。
【0081】
ステップS26において、配置決定部40は物品データの項目「現在位置管理」の「棚住所No.」を指定して、温度管理等級が「急冷」の棚32への入庫物品の搬送実行指示を行う。ステップS28において、自動搬送装置24は総合管理装置22からの搬送実行指示に従い、指定された棚32へ入庫物品を搬送する。指定された棚32への入庫物品の搬送が完了すると、自動搬送装置24は指定された棚32への入庫物品の搬送完了を総合管理装置22に報告する。
【0082】
次に、本実施形態に係る貯蔵庫1で実行する物品の再配置処理を説明する。図10は本実施形態に係る貯蔵庫の物品の再配置処理手順の一例を示した説明図である。図11は物品データ及び棚管理データの一例の構成図である。
【0083】
貯蔵庫1の総合管理装置22が有する再配置監視部52は、図11(A)の物品DB46に記録されている物品データを監視する。再配置監視部52は、物品データの項目「再配置管理」の「現在位置予定貯蔵時間」及び「累計経過時間」から、累計経過時間が現在位置予定貯蔵時間に達している物品データの物品を、再配置管理のタイマーが経過した再配置候補の物品として確認する。
【0084】
ステップS52において、総合管理装置22は例えば図11(A)の項目「現在位置管理」の「棚住所No.」の棚32を指定して、自動搬送装置24に再配置候補の物品の温度計測の動作指示を行う。ステップS54において、自動搬送装置24の温度センサ60は再配置候補の物品の温度計測を行う。ステップS56において、温度センサ60は再配置候補の物品の温度データを総合管理装置22に送信する。
【0085】
ステップS58において、再配置監視部52は受信した再配置候補の物品の温度に基づいて再配置候補の物品の再配置の実行有無を判断する。例えば再配置監視部52は受信した再配置候補の物品の温度が温度管理等級を上げる温度まで下がっていなければ、再配置候補の物品の再配置を行わず、その再配置候補の物品の物品データの「現在位置予定貯蔵時間」を延長する更新を行う。
【0086】
また、例えば再配置監視部52は受信した再配置候補の物品の温度が温度管理等級を上げる温度まで下がっていれば、再配置候補の物品の再配置を行うと判断する。再配置を行うと判断した場合、再配置監視部52は図11(B)の物品データのように、再配置候補の物品の温度管理等級を「C」から「B」に上げる更新を行う。また、再配置監視部52は次の物品の温度管理等級に上がるまでの時間を、次の再配置までに掛かる時間として決定して、図11(B)の物品データのように、再配置候補の物品の現在位置予定貯蔵時間を「2hr」に更新する。
【0087】
再配置監視部52は再配置候補の物品の設定温度及び温度管理等級に合った空き棚32を、図9(C)の棚管理データから確認する。再配置監視部52は再配置候補の物品の設定温度及び温度管理等級に合った空き棚32から、再配置候補の物品を貯蔵する空き棚32を一つ選択する。例えば図11の例では、再配置候補の物品の設定温度「5°C」及び温度管理等級「B」に合った空き棚32が選択され、棚32の状態が「空き」から「使用中」に更新される。また、例えば図11の例では、再配置候補の物品を貯蔵中の棚32の状態が「使用中」から「空き」に更新される。再配置監視部52は、再配置候補の物品を移動させる変更後の棚32の棚住所No.を図11(B)の物品データの項目「現在位置管理」の「棚住所No.」に入力する。
【0088】
ステップS50~S60の処理により、再配置候補の物品の物品データは、例えば図11(A)から図11(C)に更新される。ステップS61において、配置決定部40は物品データの項目「現在位置管理」の「棚住所No.」を指定して、再配置候補の物品の搬送実行指示を行う。
【0089】
ステップS62において、自動搬送装置24は総合管理装置22からの搬送実行指示に従い、指定された棚32へ再配置候補の物品を搬送する。指定された棚32への再配置候補の物品の搬送が完了すると、自動搬送装置24は指定された棚32への再配置候補の物品の搬送完了を総合管理装置22に報告する。
【0090】
なお、上記した温度管理等級は、貯蔵する物品の設定温度及び現在温度の差で総合管理装置22が自動判断するようにしてもよいし、管理者などによってカスタマイズ可能としてもよい。温度管理等級のための貯蔵環境順位は例えば図12に示すように設定することができる。
【0091】
図12は温度管理等級の設定例を示した説明図である。図12(A)は冷凍装置30の吹出が下側に設けられており、吸込が上側に設けられた例である。図12(A)の冷凍装置30は制御センサとして吹出温度センサが設けられており、温度制御性の良い順に貯蔵環境順位A~Cを設定できる。
【0092】
図12(B)は冷凍装置30の吹出が上側に設けられており、吸込が下側に設けられた例である。図12(B)の冷凍装置30は制御センサとして吸込温度センサが設けられており、吹出温度が設定よりも低温になるため、温度制御性の良い順に貯蔵環境順位A~Cを設定できる。図12(B)の例では、例えば長期の貯蔵に対して、過度な冷却を避けることができる。
【0093】
次に、本実施形態に係る貯蔵庫1で実行する貯蔵領域の空き容量の調整処理について説明する。図13は本実施形態に係る貯蔵庫の貯蔵領域の調整処理手順の一例を示した説明図である。図14は物品データ及び棚管理データの一例の構成図である。図15は本実施形態に係る貯蔵庫の仕切り板の移動の一例の説明図である。
【0094】
なお、図15の貯蔵庫1は、貯蔵領域の空き容量の調整処理のため、貯蔵領域に仕切り区画I~IVを設定している。図15の例では、仕切区画IとIIとの間、仕切区画IIとIIIとの間、仕切区画IIIとIVとの間、に仕切り板28を設置する隙間を設けている。図15の仕切り板移動装置26及び後述の温度調整装置27はレール34に沿って移動し、後述のように仕切り板28の設置位置を移動できる。図14の棚管理DB44に記録されている棚管理データは、それぞれの棚32を仕切区画と対応付けるため、上述の棚管理データに項目「仕切区画」が追加されている。
【0095】
貯蔵庫1の総合管理装置22が有する空き容量管理部42は、図14(A)の棚管理DB44に記録されている棚管理データを監視する。2温度帯(又は多温度帯)を持つ貯蔵庫1の空き容量管理部42は、ステップS70において、棚管理データを参照して、空き棚32の個数が不足している温度帯があるか判断する。
【0096】
例えば仕切り板28により図15(A)の2温度帯が設定されており、棚管理データが図14(A)の棚管理データである場合、空き容量管理部42は仕切区画IVの温度帯の空き棚32が基準個数を下回っていると判断する。
【0097】
ステップS72において、空き容量管理部42は図15(A)のように設置された仕切区画IIIとIVとの間の仕切り板28を図15(B)のように仕切区画IIとIIIとの間に移動する仕切り板28の位置変更を立案する。また、空き容量管理部42は立案に従って、図14(B)のように仕切区画IIIの設定温度の変更を立案する。
【0098】
ステップS74において、位置情報出力部54は棚管理DB44を参照して、仕切り板28の位置変更により影響を受ける棚32にある物品を判断する。仕切り板28の位置変更により影響を受ける棚32は、例えば温度帯が変わる仕切区画であり、例えば図15の仕切区画IIIである。図14(A)の棚管理データの場合、仕切区画IIIの棚32に物品が貯蔵されているため、位置情報出力部54は図14(B)の棚管理データのように、仕切区画IIIから元の温度帯の仕切区画IIへの移動を決定する。
【0099】
ステップS76において、配置決定部40は空き容量管理部42の立案に従い、仕切区画IIIの棚32に貯蔵されていた物品を、仕切区画IIの棚32に移動させる搬送実行指示を行う。
【0100】
ステップS78において、自動搬送装置24は総合管理装置22からの搬送実行指示に従い、仕切区画IIIの棚32に貯蔵されていた物品を仕切区画IIの棚32に搬送する。仕切区画IIの棚32への搬送が完了すると、自動搬送装置24は搬送完了を総合管理装置22に報告する。ステップS82において、配置決定部40は自動搬送装置24からの報告に従い物品DB46の物品データ及び棚管理DB44の棚管理データを更新する。
【0101】
ステップS84において、総合管理装置22は仕切り板28の位置変更の前に、冷凍装置30に運転OFFを指示し、冷凍装置30の運転を停止させる。ステップS86において総合管理装置22の位置情報出力部54は、仕切り板移動装置26に仕切り板28の位置情報を出力して、仕切区画IIIとIVとの間の仕切り板28の撤去、及び仕切区画IIとIIIとの間への仕切り板28の設置を行わせる、仕切り板28の移動指示を行う。
【0102】
仕切り板移動装置26は総合管理装置22からの仕切り板28の移動指示に従い、仕切り板28を図15(B)のように、仕切区画IIとIIIとの間へ移動する。ステップS88において、総合管理装置22は仕切り板28の位置変更の後に、冷凍装置30に運転ONを指示し、冷凍装置30の運転を再開させる。
【0103】
ステップS90において、空き容量管理部42は仕切り板28の位置変更に従い、物品DB46の物品データ及び棚管理DB44の棚管理データを更新する。なお、図15に示した例では、仕切区画IIIの温度帯が変更となっており、例えば仕切区画IIIの使用を一定時間禁止としてもよいし、図14(C)に示したように温度管理等級を低く設定するようにしてもよい。そして、一定時間が経過後、仕切区画IIIの温度管理等級は仕切区画の位置に従った温度管理等級に変更する。
【0104】
なお、仕切り板28の位置変更後の仕切区画の温度管理等級は、例えば仕切区画に据え付けた温度センサと仕切区画の設定温度との差から、例えば以下のように温度管理等級を自動で付けるようにしてもよい。
【0105】
温度管理等級A:1°C以内×1時間継続
温度管理等級C:2°C以上×1時間継続
温度管理等級B:温度管理等級A及びC以外
また、仕切り板28の位置変更後の仕切区画の温度管理等級は、管理者などが設定するようにしてもよい。仕切り板28の位置変更後、一定時間は棚32の温度と設定温度との差が大きいことが想定されるため、本来、温度管理等級Aの位置であっても、使用禁止時間を設けてもよいし、一定時間の間、温度管理等級を低く設定してもよい。
【0106】
仕切り板28の位置変更は、例えば以下のような仕組みにより実行する。図16図24は仕切り板の位置変更の仕組みの一例の説明図である。仕切り板28の位置変更は、図16(A)に示すような水平レール34a及び垂直レール34bを含むレール34を利用する。レール34のT字部には図16(B)のゲート装置100a及び100bが取り付けられている。
【0107】
ゲート装置100aは、電動でプレートをレール方向に差し込むように移動させることができ、水平方向の仕切り板28の移動を制限する。また、ゲート装置100bは電動でプレートをレール方向に差し込むように移動させることができ、垂直方向の仕切り板28の移動を制限する。ゲート装置100a及び100bを制御することで、仕切り板28を下ろす垂直レール34bを選択し、仕切り板28の設置位置を制御できる。例えば仕切り板28を下ろす垂直レール34bのT字部は、ゲート装置100aのプレートがレール方向に差し込まれ、ゲート装置100bのプレートがレール方向に差し込まれていない状態となる。
【0108】
仕切り板28は、図17(A)に示したようなランナー152を備えた断熱壁150で実現される。ランナー152を備えた断熱壁150は、レール34と図17(B)に示したような位置関係となり、レール34に沿って移動可能である。
【0109】
仕切り板28は、図17(A)に示した断熱壁150が複数、図18(B)に示すように蛇腹状スラット160により接続されている。図18(B)の断熱壁150a及び150bは蛇腹状スラット160で接続されることで、図16(A)に示したレール34のT字部で水平レール34aから垂直レール34bに図19図21に示したように曲がることができる。
【0110】
また、設置された状態の仕切り板28は以下のように撤去する。図22のように設置された状態の仕切り板28は、動力を有する仕切り板移動装置26が引く力と、動力を有する最下部の断熱壁150が押し上げる力と、により垂直レール34bから水平レール34aに引き上げる。なお、仕切り板移動装置26と断熱壁150とはワイヤ180により接続されている。
【0111】
仕切り板移動装置26は、例えば図23に示すように温度調整装置27の両側に設置されており、温度調整装置27と一体に移動する。仕切り板移動装置26はランナー172を回転させるモーターを内蔵する。したがって、仕切り板移動装置26は水平レール34aに沿って移動できる。温度調整装置27は、2温度帯間の送風量の調整または熱交換を行う。
【0112】
動力を有する最下部の断熱壁150は、例えば図24に示すように構成される。動力を有する最下部の断熱壁150は、図24(A)に示すようにランナー152、ランナー154、及びギヤ156を備え、内蔵しているモーターでギヤ156を回転させる。例えば垂直レール34bの片側には、図24(B)に示すように、ラックギヤ158が設けられている。また、図24(C)に示すように、ランナー154は例えばスプリングでラックギヤ158の反対側の垂直レール34bに押し当てられる。したがって、動力を有する最下部の断熱壁150は、垂直レール34bを登るように移動することができ、仕切り板28を垂直レール34bに沿って押し上げることが可能となる。
【0113】
以上、本実施形態について説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。複数の設定温度の貯蔵領域(温度帯)は、例えば冷凍装置30に近い急冷領域、冷凍装置30から遠い貯蔵領域、のように分けることで、予冷されていない物品の温度を低下させた後、貯蔵領域に貯蔵できる。したがって、本実施形態の貯蔵庫1は予冷されていない物品が貯蔵済みの物品の温度に影響を与えないようにすることができる。
【0114】
また、複数の設定温度の貯蔵領域(温度帯)は、予冷されていない物品を貯蔵する領域と予冷されている物品を貯蔵する領域と、に分けることで、予冷されていない物品が貯蔵済みの物品の温度に影響を与えないようにすることができる。予冷されていない物品を貯蔵する領域と予冷されている物品を貯蔵する領域と、の分け方は、冷凍装置30の風向きに対して左右に分けることなどが考えられる。
【0115】
また、予冷されていない物品を貯蔵する領域を温度分布が良くない風下、冷凍装置30から離れた位置とすることにより、本実施形態の貯蔵庫1は予冷済みの物品の温度管理を優先できる。
【0116】
さらに、情報読取センサ62が読み取った物品に関する情報を利用し、高級品などの単価の高いもの、予定貯蔵期間の長いもの等を、温度ムラの少ない棚32に貯蔵するなどの運用も可能である。また、貯蔵領域における物品の配置は、賞味期限が近いものから取り出しやすいように決定してもよい。
【0117】
さらに、本実施携帯に係る貯蔵庫1は自動搬送装置24に温度センサ60が設けられているため、貯蔵領域における温度ムラの把握ができ、その温度ムラを利用した物品の配置位置の決定も可能である。
【符号の説明】
【0118】
1 貯蔵庫
2 情報端末
3 クラウドサーバ
10 操作パネル
12 入庫/取出口
14、16 扉
20 受付装置
22 総合管理装置
24 自動搬送装置
26 仕切り板移動装置
28 仕切り板
30 冷凍装置
32 棚
34 レール
40 配置決定部
42 空き容量管理部
44 棚管理DB
46 物品DB
50 物品データ作成部
52 再配置監視部
54 位置情報出力部
60 温度センサ
62 情報読取センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24