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特許7389373冷媒を含む組成物、その使用、並びにそれを有する冷凍機及びその冷凍機の運転方法
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  • 特許-冷媒を含む組成物、その使用、並びにそれを有する冷凍機及びその冷凍機の運転方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】冷媒を含む組成物、その使用、並びにそれを有する冷凍機及びその冷凍機の運転方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/04 20060101AFI20231122BHJP
   F25B 1/00 20060101ALN20231122BHJP
   B60H 1/22 20060101ALN20231122BHJP
【FI】
C09K5/04 F ZAB
C09K5/04 A ZHV
F25B1/00 396Z
B60H1/22 671
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022041678
(22)【出願日】2022-03-16
(65)【公開番号】P2023136191
(43)【公開日】2023-09-29
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】板野 充司
(72)【発明者】
【氏名】午坊 健司
(72)【発明者】
【氏名】仲上 翼
【審査官】中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/256087(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/240205(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を含む組成物であって、
前記冷媒が、2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(R1234yf)及び/又は1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R1234ze)と、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))と、CO 2 とを、前記冷媒の合計に対して総量で99.5質量%以上含み、
前記冷媒が、R1234yfを含み、かつ
HFO-1132(E)、R1234yf及びCO2の、これらの総和を基準とする質量%をそれぞれx、y及びzとするとき、HFO-1132(E)、R1234yf及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図において、座標(x,y,z)が、
点Ar=0(30.0, 69.1, 0.9)
点Br=0(6.2, 83.8, 10.0)
点Or=0(30.0, 60.0, 10.0)
の3点をそれぞれ結ぶ直線Ar=0Br=0、Br=0Or=0、及びOr=0Ar=0で囲まれる図形の範囲内又は前記直線上にある、組成物。
【請求項2】
冷媒を含む組成物であって、
前記冷媒が、R1234yf及び/又はR1234zeと、HFO-1132(E)と、CO 2 とを、前記冷媒の合計に対して総量で99.5質量%以上含み、
前記冷媒が、R1234zeを含み、かつ
HFO-1132(E)、R1234ze及びCO2の、これらの総和を基準とする質量%をそれぞれx、y及びzとするとき、HFO-1132(E)、R1234ze及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図において、座標(x,y,z)が、
点Ar=1(30.0, 62.9, 7.1)
点Br=1(23.1, 66.9, 10.0)
点Or=1(30.0, 60.0, 10.0)
の3点をそれぞれ結ぶ直線Ar=1Br=1、Br=1Or=1、及びOr=1Ar=1で囲まれる図形の範囲内又は前記直線上にある、組成物。
【請求項3】
冷媒を含む組成物であって、
前記冷媒が、R1234yfと、R1234zeと、HFO-1132(E)と、CO 2 とを、前記冷媒の合計に対して総量で99.5質量%以上含み、
前記冷媒が、R1234yf及びR1234zeの総和に対するR1234zeの比率をr(0<r<1)とするとき、HFO-1132(E)、R1234yf及びR1234zeの総和(R1234yf+R1234ze)、並びにCO2の、これらの総和を基準とする質量%をそれぞれx、y及びzとするとき、HFO-1132(E)、R1234yf+R1234ze及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図において、座標(x,y,z)が、
点Ar(30.0, -6.2r+69.1, 6.2r+0.9)
点Br(0.2r2+16.7r+6.2, -0.2r2-16.7r+83.8, 10.0)
点Or(30.0, 60.0, 10.0)
の3点をそれぞれ結ぶ直線Ar=0Br=0、Br=0Or=0、及びOr=0Ar=0で囲まれる図形の範囲内又は前記直線上にある、組成物。
【請求項4】
冷媒を含む組成物であって、
前記冷媒が、R1234yf及び/又はR1234zeと、HFO-1132(E)と、CO 2 とを、前記冷媒の合計に対して総量で99.5質量%以上含み、
前記冷媒が、R1234yfを含み、かつ
HFO-1132(E)、R1234yf及びCO2の、これらの総和を基準とする質量%をそれぞれx、y及びzとするとき、HFO-1132(E)、R1234yf及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図において、座標(x,y,z)が、
点Hr=0(12.2, 87.8, 0.0)
点Ir=0(0.0, 98.1, 1.9)
点Jr=0(0.0, 94.8, 5.2)
点J2r=0(10.0, 85.4, 4.6)
点K2r=0(20.0, 75.1, 4.9)
点Kr=0(30.0, 64.0, 6.0)
点Qr=0(30.0, 70.0, 0.0)
の7点をそれぞれ結ぶ線分Hr=0Ir=0、Ir=0Jr=0、Jr=0J2r=0、J2r=0K2r=0、K2r=0Kr=0、Kr=0Qr=0及びQr=0Hr=0で囲まれる図形の範囲内又は前記線分Hr=0Ir=0、Ir=0Jr=0、Jr=0Kr=0及びKr=0Qr=0上にあり(ただし、点Hr=0及び点Qr=0を除く)、
線分Ir=0Jr=0、Kr=0Qr=0及びQr=0Hr=0が直線であり、
線分Hr=0Ir=0上の点の座標(x,y,z)が、
(x, -0.0013x2-0.8279x+98.1, 0.0013x2-0.1721x+1.9)で表され、
線分Jr=0J2r=0上の点の座標(x,y,z)が、
(x, -0.004x2-0.9x+94.8, 0.004x2-0.1x+5.2)で表され、
線分J2r=0K2r=0上の点の座標(x,y,z)が、
(x, -0.006x2-0.85x+94.5, 0.006x2-0.15x+5.5)で表され、
線分K2r=0Kr=0上の点の座標(x,y,z)が、
(x, -0.002x2-1.01x+96.1, 0.002x2+0.01x+3.9)で表される、組成物。
【請求項5】
冷媒を含む組成物であって、
前記冷媒が、R1234yf及び/又はR1234zeと、HFO-1132(E)と、CO 2 とを、前記冷媒の合計に対して総量で99.5質量%以上含み、
前記冷媒が、R1234zeを含み、かつ
HFO-1132(E)、R1234ze及びCO2の、これらの総和を基準とする質量%をそれぞれx、y及びzとするとき、HFO-1132(E)、R1234ze及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図において、座標(x,y,z)が、
点Hr=1(22.7, 77.3, 0.0)
点Ir=1(0.0, 96.4, 3.6)
点Jr=1(0.0, 96.1, 3.9)
点J2r=1(10.0, 87.6, 2.4)
点K2r=1(20.0, 78.1, 1.9)
点Kr=1(30.0, 67.8, 2.2)
点Qr=1(30.0, 70.0, 0.0)
の7点をそれぞれ結ぶ線分Hr=1Ir=1、Ir=1Jr=1、Jr=1J2r=1、J2r=1K2r=1、K2r=1Kr=1、Kr=1Qr=1及びQr=1Hr=1で囲まれる図形の範囲内又は前記線分Hr=1Ir=1、Ir=1Jr=1、Jr=1Kr=1及びKr=1Qr=1上にあり(ただし、点Hr=1及び点Qr=1を除く)、
線分Ir=1Jr=1、Kr=1Qr=1及びQr=1Hr=1が直線であり、
線分Hr=1Ir=1上の点の座標(x,y,z)が、
(x, -0.003x2-0.7723x+96.4, 0.003x2-0.2277x+3.6)で表され、
線分Jr=1J2r=1上の点の座標(x,y,z)が、
(x, -0.006x2-0.79x+96.1, 0.006x2-0.21x+3.9)で表され、
線分J2r=1K2r=1上の点の座標(x,y,z)が、
(x, -0.002x2-0.89x+96.7, 0.002x2-0.11x+3.3)で表され、
線分K2r=1Kr=1上の点の座標(x,y,z)が、
(x, -0.002x2-0.93x+97.5, 0.002x2-0.07x+2.5)で表される、組成物。
【請求項6】
冷媒を含む組成物であって、
前記冷媒が、R1234yfと、R1234zeと、HFO-1132(E)と、CO 2 とを、前記冷媒の合計に対して総量で99.5質量%以上含み、
前記冷媒が、R1234yf及びR1234zeの総和に対するR1234zeの比率をr(0<r<1)とするとき、HFO-1132(E)、R1234yf及びR1234zeの総和(R1234yf+R1234ze)、並びにCO2の、これらの総和を基準とする質量%をそれぞれx、y及びzとするとき、HFO-1132(E)、R1234yf+R1234ze及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図において、座標(x,y,z)が、
点Hr(r2+9.5r+12.2, -r2-9.5r+87.8, 0.0)
点Ir(0.0, -0.6r2-1.1r+98.1, 0.6r2+1.1r+1.9)
点Jr(0.0, -0.6r2+1.9r+94.8, 0.6r2-1.9r+5.2)
点J2r(10.0, -0.4r2+2.6r+85.4, 0.4r2-2.6r+4.6)
点K2r(20.0, 3.0r+75.1, -3.0r+4.9)
点Kr(30.0, -0.4r2+4.2r+64.0, 0.4r2-4.2r+6.0)
点Qr(70.0, 30.0, 0.0)
の7点をそれぞれ結ぶ線分HrIr、IrJr、JrJ2r、J2rK2r、K2rKr、KrQr及びQrHrで囲まれる図形の範囲内又は前記線分HrIr、IrJr、JrKr及びKrQr上にあり(ただし、点Hr及び点Qrを除く)、
線分IrJr、KrQr及びQrHrが直線であり、
線分HrIr上の点の座標(x,y,z)が、
(x, (-0.003r2+0.0013r-0.0013)x2+(0.102r2-0.0464r-0.8279)x+(-0.6r2-1.1r+98.1), (0.003r2-0.0013r+0.0013)x2+(-0.102r2+0.0464r-0.1721)x+(0.6r2+1.1r+1.9))で表され、
線分JrJ2r上の点の座標(x,y,z)が、
(x, (0.0068r2-0.0034r-0.004)x2+(0.06r2+0.05r-0.9)x+(-0.6r2+1.9r+94.8), (0.004r2-0.002r+0.004)x2+(-0.06r2-0.05r-0.1)x+(0.6r2-1.9r+5.2))で表され,
線分J2rK2r上の点の座標(x,y,z)が、
(x, (0.016r2-0.012r-0.006)x2+(-0.44r2+0.4r-0.85)x+(2.4r2-0.2r+94.5), (-0.016r2+0.012r+0.006)x2+(0.44r2-0.4r-0.15)x+(-2.4r2+0.2r+5.5))で表され、
線分K2rKr上の点の座標(x,y,z)が、
(x, (0.008r2-0.008r-0.002)x2+(-0.44r2+0.52r-1.01)x+(5.6r2-4.2r+96.1), (-0.008r2+0.008r+0.002)x2+(0.44r2-0.52r+0.01)x+(-5.6r2+4.2r+3.9))で表される、組成物。
【請求項7】
さらに、冷凍機油を含有し、冷凍機用作動流体として用いられる、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
R134a、R1234yf、R404Aの代替冷媒として用いられる、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載の組成物の、冷媒としての使用。
【請求項10】
請求項のいずれか一項に記載の組成物を含む、電気自動車用冷媒。
【請求項11】
請求項1~のいずれか一項に記載の組成物を作動流体として含む、冷凍機。
【請求項12】
冷凍機の運転方法であって、
請求項1~のいずれか一項に記載の組成物を作動流体として冷凍機において循環させる工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷媒を含む組成物、その使用、並びにそれを有する冷凍機及びその冷凍機の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冷媒として現在、R404A、R134a等が用いられている。
しかし、R404Aの地球温暖化係数(GWP)は3920、R134aのGWPは1430であり、地球温暖化への懸念の高まりからGWPが675のR32がより多く使用されつつある。
また、R404AやR134aに代替可能な低GWP混合冷媒が種々提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/186557号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、新たな低GWP混合冷媒を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
項1.
冷媒を含む組成物であって、
前記冷媒が、2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(R1234yf)及び/又は1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R1234ze)と、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))と、CO2とを含み、
冷媒全体を基準として、HFO-1132(E)の含有割合が30質量%以下であり、CO2の含有割合が10質量%以下である、組成物。
項2.
前記冷媒が、R1234yfを含み、かつ
HFO-1132(E)、R1234yf及びCO2の、これらの総和を基準とする質量%をそれぞれx、y及びzとするとき、HFO-1132(E)、R1234yf及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図において、座標(x,y,z)が、
点Ar=0(30.0, 69.1, 0.9)
点Br=0(6.2, 83.8, 10.0)
点Or=0(30.0, 60.0, 10.0)
の3点をそれぞれ結ぶ直線Ar=0Br=0、Br=0Or=0、及びOr=0Ar=0で囲まれる図形の範囲内又は前記直線上にある、
項1に記載の組成物。
項3.
前記冷媒が、R1234zeを含み、かつ
HFO-1132(E)、R1234ze及びCO2の、これらの総和を基準とする質量%をそれぞれx、y及びzとするとき、HFO-1132(E)、R1234ze及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図において、座標(x,y,z)が、
点Ar=1(30.0, 62.9, 7.1)
点Br=1(23.1, 66.9, 10.0)
点Or=1(30.0, 60.0, 10.0)
の3点をそれぞれ結ぶ直線Ar=1Br=1、Br=1Or=1、及びOr=1Ar=1で囲まれる図形の範囲内又は前記直線上にある、
項1に記載の組成物。
項4.
前記冷媒が、R1234yf及びR1234zeを含み、
R1234yf及びR1234zeの総和に対するR1234zeの比率をr(0<r<1)とするとき、
HFO-1132(E)、R1234yf及びR1234zeの総和(R1234yf+R1234ze)、並びにCO2の、これらの総和を基準とする質量%をそれぞれx、y及びzとするとき、HFO-1132(E)、R1234yf+R1234ze及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図において、座標(x,y,z)が、
点Ar(30.0, -6.2r+69.1, 6.2r+0.9)
点Br(0.2r2+16.7r+6.2, -0.2r2-16.7r+83.8, 10.0)
点Or(30.0, 60.0, 10.0)
の3点をそれぞれ結ぶ直線Ar=0Br=0、Br=0Or=0、及びOr=0Ar=0で囲まれる図形の範囲内又は前記直線上にある、
項1に記載の組成物。
項5.
前記冷媒が、R1234yfを含み、かつ
HFO-1132(E)、R1234yf及びCO2の、これらの総和を基準とする質量%をそれぞれx、y及びzとするとき、HFO-1132(E)、R1234yf及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図において、座標(x,y,z)が、
点Hr=0(12.2, 87.8, 0.0)
点Ir=0(0.0, 98.1, 1.9)
点Jr=0(0.0, 94.8, 5.2)
点J2r=0(10.0, 85.4, 4.6)
点K2r=0(20.0, 75.1, 4.9)
点Kr=0(30.0, 64.0, 6.0)
点Qr=0(30.0, 70.0, 0.0)
の7点をそれぞれ結ぶ線分Hr=0Ir=0、Ir=0Jr=0、Jr=0J2r=0、J2r=0K2r=0、K2r=0Kr=0、Kr=0Qr=0及びQr=0Hr=0で囲まれる図形の範囲内又は前記線分Hr=0Ir=0、Ir=0Jr=0、Jr=0Kr=0及びKr=0Qr=0上にあり(ただし、点Hr=0及び点Qr=0を除く)、
線分Ir=0Jr=0、Kr=0Qr=0及びQr=0Hr=0が直線であり、
線分Hr=0Ir=0上の点の座標(x,y,z)が、
(x, -0.0013x2-0.8279x+98.1, 0.0013x2-0.1721x+1.9)
で表され、
線分Jr=0J2r=0上の点の座標(x,y,z)が、
(x, -0.004x2-0.9x+94.8, 0.004x2-0.1x+5.2)
で表され、
線分J2r=0K2r=0上の点の座標(x,y,z)が、
(x, -0.006x2-0.85x+94.5, 0.006x2-0.15x+5.5)
で表され、
線分K2r=0Kr=0上の点の座標(x,y,z)が、
(x, -0.002x2-1.01x+96.1, 0.002x2+0.01x+3.9)
で表される、
項1に記載の組成物。
項6.
前記冷媒が、R1234zeを含み、かつ
HFO-1132(E)、R1234ze及びCO2の、これらの総和を基準とする質量%をそれぞれx、y及びzとするとき、HFO-1132(E)、R1234ze及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図において、座標(x,y,z)が、
点Hr=1(22.7, 77.3, 0.0)
点Ir=1(0.0, 96.4, 3.6)
点Jr=1(0.0, 96.1, 3.9)
点J2r=1(10.0, 87.6, 2.4)
点K2r=1(20.0, 78.1, 1.9)
点Kr=1(30.0, 67.8, 2.2)
点Qr=1(30.0, 70.0, 0.0)
の7点をそれぞれ結ぶ線分Hr=1Ir=1、Ir=1Jr=1、Jr=1J2r=1、J2r=1K2r=1、K2r=1Kr=1、Kr=1Qr=1及びQr=1Hr=1で囲まれる図形の範囲内又は前記線分Hr=1Ir=1、Ir=1Jr=1、Jr=1Kr=1及びKr=1Qr=1上にあり(ただし、点Hr=1及び点Qr=1を除く)、
線分Ir=1Jr=1、Kr=1Qr=1及びQr=1Hr=1が直線であり、
線分Hr=1Ir=1上の点の座標(x,y,z)が、
(x, -0.003x2-0.7723x+96.4, 0.003x2-0.2277x+3.6)
で表され、
線分Jr=1J2r=1上の点の座標(x,y,z)が、
(x, -0.006x2-0.79x+96.1, 0.006x2-0.21x+3.9)
で表され、
線分J2r=1K2r=1上の点の座標(x,y,z)が、
(x, -0.002x2-0.89x+96.7, 0.002x2-0.11x+3.3)
で表され、
線分K2r=1Kr=1上の点の座標(x,y,z)が、
(x, -0.002x2-0.93x+97.5, 0.002x2-0.07x+2.5)
で表される、
項1に記載の組成物。
項7.
前記冷媒が、R1234yf及びR1234zeを含み、
R1234yf及びR1234zeの総和に対するR1234zeの比率をr(0<r<1)とするとき、
HFO-1132(E)、R1234yf及びR1234zeの総和(R1234yf+R1234ze)、並びにCO2の、これらの総和を基準とする質量%をそれぞれx、y及びzとするとき、HFO-1132(E)、R1234yf+R1234ze及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図において、座標(x,y,z)が、
点Hr(r2+9.5r+12.2, -r2-9.5r+87.8, 0.0)
点Ir(0.0, -0.6r2-1.1r+98.1, 0.6r2+1.1r+1.9)
点Jr(0.0, -0.6r2+1.9r+94.8, 0.6r2-1.9r+5.2)
点J2r(10.0, -0.4r2+2.6r+85.4, 0.4r2-2.6r+4.6)
点K2r(20.0, 3.0r+75.1, -3.0r+4.9)
点Kr(30.0, -0.4r2+4.2r+64.0, 0.4r2-4.2r+6.0)
点Qr(70.0, 30.0, 0.0)
の7点をそれぞれ結ぶ線分HrIr、IrJr、JrJ2r、J2rK2r、K2rKr、KrQr及びQrHrで囲まれる図形の範囲内又は前記線分HrIr、IrJr、JrKr及びKrQr上にあり(ただし、点Hr及び点Qrを除く)、
線分IrJr、KrQr及びQrHrが直線であり、
線分HrIr上の点の座標(x,y,z)が、
(x, (-0.003r2+0.0013r-0.0013)x2+(0.102r2-0.0464r-0.8279)x+(-0.6r2-1.1r+98.1), (0.003r2-0.0013r+0.0013)x2+(-0.102r2+0.0464r-0.1721)x+(0.6r2+1.1r+1.9))
で表され、
線分JrJ2r上の点の座標(x,y,z)が、
(x, (0.0068r2-0.0034r-0.004)x2+(0.06r2+0.05r-0.9)x+(-0.6r2+1.9r+94.8), (0.004r2-0.002r+0.004)x2+(-0.06r2-0.05r-0.1)x+(0.6r2-1.9r+5.2))
で表され,
線分J2rK2r上の点の座標(x,y,z)が、
(x, (0.016r2-0.012r-0.006)x2+(-0.44r2+0.4r-0.85)x+(2.4r2-0.2r+94.5), (-0.016r2+0.012r+0.006)x2+(0.44r2-0.4r-0.15)x+(-2.4r2+0.2r+5.5))
で表され、
線分K2rKr上の点の座標(x,y,z)が、
(x, (0.008r2-0.008r-0.002)x2+(-0.44r2+0.52r-1.01)x+(5.6r2-4.2r+96.1), (-0.008r2+0.008r+0.002)x2+(0.44r2-0.52r+0.01)x+(-5.6r2+4.2r+3.9))
で表される、
項1に記載の組成物。
項8.
さらに、冷凍機油を含有し、冷凍機用作動流体として用いられる、項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
項9.
R134a、R1234yf、R404Aの代替冷媒として用いられる、項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
項10.
項1~4のいずれか一項に記載の組成物の、冷媒としての使用。
項11.
項5~7のいずれか一項に記載の組成物を含む、電気自動車用冷媒。
項12.
項1~8のいずれか一項に記載の組成物を作動流体として含む、冷凍機。
項13.
冷凍機の運転方法であって、
項1~8のいずれか一項に記載の組成物を作動流体として冷凍機において循環させる工程を含む、方法。
【発明の効果】
【0006】
本開示の冷媒は、GWPが十分に小さい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】HFO-1132(E)、R1234yf及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図に、本開示の冷媒を規定する点及び線分を示した図である。
図2】HFO-1132(E)、R1234ze及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図に、本開示の冷媒を規定する点及び線分を示した図である。
図3】HFO-1132(E)、R1234yf、R1234ze及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図の拡大図において、R1234yf及びR1234zeの総和に対するR1234zeの比率をr(0<r<1)とするときの、本開示の冷媒を規定する点及び線分を示した図である。
図4】HFO-1132(E)、R1234yf及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図に、本開示の冷媒を規定する点及び線分を示した図である。
図5】HFO-1132(E)、R1234ze及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図に、本開示の冷媒を規定する点及び線分を示した図である。
図6】HFO-1132(E)、R1234yf、R1234ze及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図の拡大図において、R1234yf及びR1234zeの総和に対するR1234zeの比率をr(0<r<1)とするときの、本開示の冷媒を規定する点及び線分を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明者らは、独自の検討により、従来技術においては、R134a、R1234yf、R404Aと同等の冷凍能力[Refrigeration Capacity(Cooling Capacity又はCapacityと表記されることもある)]を有し、GWPが十分に小さい、という性能を兼ね備える冷媒組成物の開発を行った。また、本発明者らは、独自の検討により、電気自動車用空調機器に使用する作動流体に関し、同様に、冷媒組成物の開発を行った。本発明者らは、鋭意研究を行った結果、冷媒であって、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))、2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(R1234yf)及び/又は1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R1234ze)と、CO2とを含み、さらに冷媒全体を基準とするトランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))の含有割合が30質量%以下であり、冷媒全体を基準とするCO2の含有割合が10質量%以下である冷媒が、上記特性を有することを見出した。
【0009】
本開示は、かかる知見に基づきさらに研究を重ねた結果完成されたものである。本開示は、以下の実施形態を含む。
【0010】
<用語の定義>
本明細書において用語「冷媒」には、ISO817(国際標準化機構)で定められた、冷媒の種類を表すRで始まる冷媒番号(ASHRAE番号)が付された化合物が少なくとも含まれ、さらに冷媒番号が未だ付されていないとしても、それらと同等の冷媒としての特性を有するものが含まれる。冷媒は、化合物の構造の面で、「フルオロカーボン系化合物」と「非フルオロカーボン系化合物」とに大別される。「フルオロカーボン系化合物」には、クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)及びハイドロフルオロカーボン(HFC)が含まれる。「非フルオロカーボン系化合物」としては、プロパン(R290)、プロピレン(R1270)、ブタン(R600)、イソブタン(R600a)、二酸化炭素(R744)及びアンモニア(R717)等が挙げられる。
【0011】
本明細書において、用語「冷媒を含む組成物」には、(1)冷媒そのもの(冷媒の混合物を含む)と、(2)その他の成分をさらに含み、少なくとも冷凍機油と混合することにより冷凍機用作動流体を得るために用いることのできる組成物と、(3)冷凍機油を含有する冷凍機用作動流体とが少なくとも含まれる。本明細書においては、これら三態様のうち、(2)の組成物のことを、冷媒そのもの(冷媒の混合物を含む)と区別して「冷媒組成物」と表記する。また、(3)の冷凍機用作動流体のことを「冷媒組成物」と区別して「冷凍機油含有作動流体」と表記する。
【0012】
本明細書において、用語「代替」は、第一の冷媒を第二の冷媒で「代替」するという文脈で用いられる場合、第一の類型として、第一の冷媒を使用して運転するために設計された機器において、必要に応じてわずかな部品(冷凍機油、ガスケット、パッキン、膨張弁、ドライヤその他の部品のうち少なくとも一種)の変更及び機器調整のみを経るだけで、第二の冷媒を使用して、最適条件下で運転することができることを意味する。すなわち、この類型は、同一の機器を、冷媒を「代替」して運転することを指す。この類型の「代替」の態様としては、第二の冷媒への置き換えの際に必要とされる変更乃至調整の度合いが小さい順に、「ドロップイン(drop in)代替」、「ニアリー・ドロップイン(nealy drop in)代替」及び「レトロフィット(retrofit)」があり得る。
【0013】
第二の類型として、第二の冷媒を用いて運転するために設計された機器を、第一の冷媒の既存用途と同一の用途のために、第二の冷媒を搭載して用いることも、用語「代替」に含まれる。この類型は、同一の用途を、冷媒を「代替」して提供することを指す。
【0014】
本明細書において用語「冷凍機(refrigerator)」とは、物あるいは空間の熱を奪い去ることにより、周囲の外気よりも低い温度にし、かつこの低温を維持する装置全般のことをいう。言い換えれば、冷凍機は温度の低い方から高い方へ熱を移動させるために、外部からエネルギーを得て仕事を行いエネルギー変換する変換装置のことをいう。
【0015】
本明細書において、「車載用空調機器」とは、ガソリン車、ハイブリッド自動車、電気自動車、水素自動車などの自動車で用いられる冷凍装置の一種である。車載用空調機器とは、蒸発器にて液体の冷媒に熱交換を行わせ、蒸発した冷媒ガスを圧縮機が吸い込み、断熱圧縮された冷媒ガスを凝縮器で冷却して液化させ、さらに膨張弁を通過させて断熱膨張させた後、蒸発機に再び液体の冷媒として供給する冷凍サイクルからなる冷凍装置を指す。
【0016】
本明細書において、圧力は、特に断りのない限り、絶対圧を示す。
【0017】
1.冷媒
1.1 冷媒成分
本開示の冷媒は、R1234yf及び/又はR1234zeと、CO2とを含み、さらに冷媒全体を基準として30質量%以下のHFO-1132(E)を含み、冷媒全体を基準とするCO2の含有割合が10質量%以下である、混合冷媒である。
【0018】
本開示の冷媒は、GWPが十分に小さい。
また、本開示の冷媒において、HFO-1132(E)、R1234yf及びR1234zeの総和(R1234yf+R1234ze)並びにCO2の、これらの総和を基準とする質量%をそれぞれx、y及びzとするとき、HFO-1132(E)、R1234yf及びR1234zeの総和並びにCO2の総和が100質量%となる3成分組成図において、座標(x,y,z)が以下の要件を満たすとき、3MPa、150℃において不均化反応が起こらず、かつ機器の不均化対策も不要となる。
【0019】
本開示の冷媒は、R1234yfを含み、かつ
HFO-1132(E)、R1234yf及びCO2の、これらの総和を基準とする質量%をそれぞれx、y及びzとするとき、HFO-1132(E)、R1234yf及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図において、座標(x,y,z)が、
点Ar=0(30.0, 69.1, 0.9)
点Br=0(6.2, 83.8, 10.0)
点Or=0(30.0, 60.0, 10.0)
の3点をそれぞれ結ぶ直線Ar=0Br=0、Br=0Or=0、及びOr=0Ar=0で囲まれる図形の範囲内又は前記直線上にある、冷媒であってもよい。この場合、本開示の冷媒は、R404Aを基準とする冷凍能力比が90%以上となる。
【0020】
本開示の冷媒は、R1234yfを含み、かつ
HFO-1132(E)、R1234yf及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図において、座標(x,y,z)が、
点Er=0(30.0, 66.2, 3.8)
点Fr=0(13.4, 76.6, 10.0)
点Or=0(30.0, 60.0, 10.0)
の3点をそれぞれ結ぶ直線Er=0Fr=0、Fr=0Or=0、及びOr=0Er=0で囲まれる図形の範囲内又は前記直線上にある、冷媒であってもよい。この場合、本開示の冷媒は、R404Aを基準とする冷凍能力比が100%以上となる。
【0021】
本開示の冷媒は、R1234zeを含み、かつ
HFO-1132(E)、R1234ze及びCO2の、これらの総和を基準とする質量%をそれぞれx、y及びzとするとき、HFO-1132(E)、R1234ze及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図において、座標(x,y,z)が、
点Ar=1(30.0, 62.9, 7.1)
点Br=1(23.1, 66.9, 10.0)
点Or=1(30.0, 60.0, 10.0)
の3点をそれぞれ結ぶ直線Ar=1Br=1、Br=1Or=1、及びOr=1Ar=1で囲まれる図形の範囲内又は前記直線上にある、冷媒であってもよい。この場合、本開示の冷媒は、R404Aを基準とする冷凍能力比が90%以上となる。
【0022】
本開示の冷媒は、HFO-1132(E)、R1234ze及びCO2の総和を基準として、30.0質量%のHFO-1132(E)、60.0質量%のR1234ze及び10.0質量%のCO2を含む、冷媒であってもよい。この場合、本開示の冷媒は、R404Aを基準とする冷凍能力比が100%となる。
【0023】
本開示の冷媒は、R1234yf及びR1234zeの総和に対するR1234zeの比率をr(0<r<1)とするとき、
HFO-1132(E)、R1234yf及びR1234zeの総和(R1234yf+R1234ze)、並びにCO2の、これらの総和を基準とする質量%をそれぞれx、y及びzとするとき、HFO-1132(E)、R1234yf+R1234ze及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図において、座標(x,y,z)が、
点Ar(30.0, -6.2r+69.1, 6.2r+0.9)
点Br(0.2r2+16.7r+6.2, -0.2r2-16.7r+83.8, 10.0)
点Or(30.0, 60.0, 10.0)
の3点をそれぞれ結ぶ直線Ar=0Br=0、Br=0Or=0、及びOr=0Ar=0で囲まれる図形の範囲内又は前記直線上にある、冷媒であってもよい。この場合、本開示の冷媒は、R404Aを基準とする冷凍能力比が90%以上となる。
【0024】
本開示の冷媒は、R1234yf及びR1234zeの総和に対するR1234zeの比率をr(0<r<1)とするとき、
HFO-1132(E)、R1234yf及びR1234zeの総和(R1234yf+R1234ze)、並びにCO2の、これらの総和を基準とする質量%をそれぞれx、y及びzとするとき、HFO-1132(E)、R1234yf+R1234ze及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図において、座標(x,y,z)が、
点Er(30.0, 0.4r2-6.6r+66.2, -0.4r2+6.6r+3.8)
点Fr(-1.2r2+17.8r+13.4, 1.2r2-17.8r+76.6, 10.0)
点Or(30.0, 60.0, 10.0)
の3点をそれぞれ結ぶ直線ArBr、BrOr、及びOrArで囲まれる図形の範囲内又は前記直線上にある、冷媒であってもよい。この場合、本開示の冷媒は、R404Aを基準とする冷凍能力比が100%以上となる。
【0025】
本開示の冷媒は、R1234yfを含み、かつ
HFO-1132(E)、R1234yf及びCO2の、これらの総和を基準とする質量%をそれぞれx、y及びzとするとき、HFO-1132(E)、R1234yf及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図において、座標(x,y,z)が、
点Hr=0(12.2, 87.8, 0.0)
点Ir=0(0.0, 98.1, 1.9)
点Jr=0(0.0, 94.8, 5.2)
点J2r=0(10.0, 85.4, 4.6)
点K2r=0(20.0, 75.1, 4.9)
点Kr=0(30.0, 64.0, 6.0)
点Qr=0(30.0, 70.0, 0.0)
の7点をそれぞれ結ぶ線分Hr=0Ir=0、Ir=0Jr=0、Jr=0J2r=0、J2r=0K2r=0、K2r=0Kr=0、Kr=0Qr=0及びQr=0Hr=0で囲まれる図形の範囲内又は前記線分Hr=0Ir=0、Ir=0Jr=0、Jr=0Kr=0及びKr=0Qr=0上にあり(ただし、点Hr=0及び点Qr=0を除く)、
線分Ir=0Jr=0、Kr=0Qr=0及びQr=0Hr=0が直線であり、
線分Hr=0Ir=0上の点の座標(x,y,z)が、
(x, -0.0013x2-0.8279x+98.1, 0.0013x2-0.1721x+1.9)
で表され、
線分Jr=0J2r=0上の点の座標(x,y,z)が、
(x, -0.004x2-0.9x+94.8, 0.004x2-0.1x+5.2)
で表され、
線分J2r=0K2r=0上の点の座標(x,y,z)が、
(x, -0.006x2-0.85x+94.5, 0.006x2-0.15x+5.5)
で表され、
線分K2r=0Kr=0上の点の座標(x,y,z)が、
(x, -0.002x2-1.01x+96.1, 0.002x2+0.01x+3.9)
で表される、冷媒であってもよい(冷媒A)。この場合、本開示の冷媒は、沸点が-40℃以下となり、かつ蒸発グライドが15K以下となる。この特性のため、この冷媒は、特に電気自動車用空調機器における作動流体に適している。
【0026】
本開示の冷媒は、R1234zeを含み、かつ
HFO-1132(E)、R1234ze及びCO2の、これらの総和を基準とする質量%をそれぞれx、y及びzとするとき、HFO-1132(E)、R1234ze及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図において、座標(x,y,z)が、
点Hr=1(22.7, 77.3, 0.0)
点Ir=1(0.0, 96.4, 3.6)
点Jr=1(0.0, 96.1, 3.9)
点J2r=1(10.0, 87.6, 2.4)
点K2r=1(20.0, 78.1, 1.9)
点Kr=1(30.0, 67.8, 2.2)
点Qr=1(30.0, 70.0, 0.0)
の7点をそれぞれ結ぶ線分Hr=1Ir=1、Ir=1Jr=1、Jr=1J2r=1、J2r=1K2r=1、K2r=1Kr=1、Kr=1Qr=1及びQr=1Hr=1で囲まれる図形の範囲内又は前記線分Hr=1Ir=1、Ir=1Jr=1、Jr=1Kr=1及びKr=1Qr=1上にあり(ただし、点Hr=1及び点Qr=1を除く)、
線分Ir=1Jr=1、Kr=1Qr=1及びQr=1Hr=1が直線であり、
線分Hr=1Ir=1上の点の座標(x,y,z)が、
(x, -0.003x2-0.7723x+96.4, 0.003x2-0.2277x+3.6)
で表され、
線分Jr=1J2r=1上の点の座標(x,y,z)が、
(x, -0.006x2-0.79x+96.1, 0.006x2-0.21x+3.9)
で表され、
線分J2r=1K2r=1上の点の座標(x,y,z)が、
(x, -0.002x2-0.89x+96.7, 0.002x2-0.11x+3.3)
で表され、
線分K2r=1Kr=1上の点の座標(x,y,z)が、
(x, -0.002x2-0.93x+97.5, 0.002x2-0.07x+2.5)
で表される、冷媒(冷媒B)であってもよい。この場合、本開示の冷媒は、沸点が-40℃以下となり、かつ蒸発グライドが15K以下となる。この特性のため、この冷媒は、特に電気自動車用空調機器における作動流体に適している。
【0027】
本開示の冷媒は、R1234yf及びR1234zeの総和に対するR1234zeの比率をr(0<r<1)とするとき、
HFO-1132(E)、R1234yf及びR1234zeの総和(R1234yf+R1234ze)、並びにCO2の、これらの総和を基準とする質量%をそれぞれx、y及びzとするとき、HFO-1132(E)、R1234yf+R1234ze及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図において、座標(x,y,z)が、
点Hr(r2+9.5r+12.2, -r2-9.5r+87.8, 0.0)
点Ir(0.0, -0.6r2-1.1r+98.1, 0.6r2+1.1r+1.9)
点Jr(0.0, -0.6r2+1.9r+94.8, 0.6r2-1.9r+5.2)
点J2r(10.0, -0.4r2+2.6r+85.4, 0.4r2-2.6r+4.6)
点K2r(20.0, 3.0r+75.1, -3.0r+4.9)
点Kr(30.0, -0.4r2+4.2r+64.0, 0.4r2-4.2r+6.0)
点Qr(70.0, 30.0, 0.0)
の7点をそれぞれ結ぶ線分HrIr、IrJr、JrJ2r、J2rK2r、K2rKr、KrQr及びQrHrで囲まれる図形の範囲内又は前記線分HrIr、IrJr、JrKr及びKrQr上にあり(ただし、点Hr及び点Qrを除く)、
線分IrJr、KrQr及びQrHrが直線であり、
線分HrIr上の点の座標(x,y,z)が、
(x, (-0.003r2+0.0013r-0.0013)x2+(0.102r2-0.0464r-0.8279)x+(-0.6r2-1.1r+98.1), (0.003r2-0.0013r+0.0013)x2+(-0.102r2+0.0464r-0.1721)x+(0.6r2+1.1r+1.9))
で表され、
線分JrJ2r上の点の座標(x,y,z)が、
(x, (0.0068r2-0.0034r-0.004)x2+(0.06r2+0.05r-0.9)x+(-0.6r2+1.9r+94.8), (0.004r2-0.002r+0.004)x2+(-0.06r2-0.05r-0.1)x+(0.6r2-1.9r+5.2))
で表され,
線分J2rK2r上の点の座標(x,y,z)が、
(x, (0.016r2-0.012r-0.006)x2+(-0.44r2+0.4r-0.85)x+(2.4r2-0.2r+94.5), (-0.016r2+0.012r+0.006)x2+(0.44r2-0.4r-0.15)x+(-2.4r2+0.2r+5.5))
で表され、
線分K2rKr上の点の座標(x,y,z)が、
(x, (0.008r2-0.008r-0.002)x2+(-0.44r2+0.52r-1.01)x+(5.6r2-4.2r+96.1), (-0.008r2+0.008r+0.002)x2+(0.44r2-0.52r+0.01)x+(-5.6r2+4.2r+3.9))
で表される、冷媒(冷媒C)であってもよい。この場合、本開示の冷媒は、沸点が-40℃以下となり、かつ蒸発グライドが15K以下となる。この特性のため、この冷媒は、特に電気自動車用空調機器における作動流体に適している。
【0028】
また、冷媒A、冷媒B、及び冷媒Cは、沸点が-40.0℃以下であるため、ヒートポンプによる暖房において使用しやすいという利点がある。例えば、上記本開示の冷媒は、車載用空調機器の冷凍サイクルを運転するために用いることにより、電気ヒーターに比べて消費電力の少ないヒートポンプによる暖房が可能になるという利点がある。車載用空調機器としては、ガソリン車用、ハイブリッド自動車用、電気自動車用又は水素自動車用等が挙げられる。
【0029】
本開示の冷媒は、上記の特性や効果を損なわない範囲内で、HFO-1132(E)、R1234yf、R1234ze及びCO2に加えて、さらに他の追加的な冷媒を含有していてもよい。この点で、本開示の冷媒が、HFO-1132(E)、R1234yf、R1234ze及びCO2の合計を、冷媒全体に対して99.5質量%以上含むことが好ましく、99.75質量%以上含むことがより好ましく、99.9質量%以上含むことがさらに好ましい。
【0030】
追加的な冷媒としては、特に限定されず、幅広く選択できる。混合冷媒は、追加的な冷媒として、一種を単独で含んでいてもよいし、二種以上を含んでいてもよい。
追加的な冷媒としては、アセチレン、HFO-1132a、HFO-1141、HFO-1123、HFC-143a、HFC-134a、Z-HFO-1132、HFC-152a、HFC-161、HFO-1243zf、HFC-245cb、HCFC-1122、HCFC-124、CFC-1113、3,3,3-トリフルオロプロピン等が挙げられる。
追加的な冷媒の合計量は、冷媒全体に対して0.5質量%以下であることが好ましく、0.25質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましく、0.01質量%以下であることが最も好ましい。
【0031】
1.2 用途
本開示の冷媒は、冷凍機における作動流体として好ましく使用することができる。
【0032】
本開示の組成物は、上記したある態様においては、R404Aの代替冷媒としての使用に適している。
【0033】
本開示の組成物は、上記したある態様においては、電気自動車の空調機器用冷媒としての使用に適している。
【0034】
2. 冷媒組成物
本開示の冷媒組成物は、本開示の冷媒を少なくとも含み、本開示の冷媒と同じ用途のために使用することができる。また、本開示の冷媒組成物は、さらに少なくとも冷凍機油と混合することにより冷凍機用作動流体を得るために用いることができる。
本開示の冷媒組成物は、本開示の冷媒に加え、さらに少なくとも一種のその他の成分を含有する。本開示の冷媒組成物は、必要に応じて、以下のその他の成分のうち少なくとも一種を含有していてもよい。上述の通り、本開示の冷媒組成物を、冷凍機における作動流体として使用するに際しては、通常、少なくとも冷凍機油と混合して用いられる。したがって、本開示の冷媒組成物は、好ましくは冷凍機油を実質的に含まない。具体的には、本開示の冷媒組成物は、冷媒組成物全体に対する冷凍機油の含有量が好ましくは0~1質量%であり、より好ましくは0~0.1質量%である。
【0035】
2.1
本開示の冷媒組成物は微量の水を含んでもよい。冷媒組成物における含水割合は、冷媒全体に対して、0.1質量%以下とすることが好ましい。冷媒組成物が微量の水分を含むことにより、冷媒中に含まれ得る不飽和のフルオロカーボン系化合物の分子内二重結合が安定化され、また、不飽和のフルオロカーボン系化合物の酸化も起こりにくくなるため、冷媒組成物の安定性が向上する。
【0036】
2.2 トレーサー
トレーサーは、本開示の冷媒組成物が希釈、汚染、その他何らかの変更があった場合、その変更を追跡できるように検出可能な濃度で本開示の冷媒組成物に添加される。
【0037】
本開示の冷媒組成物は、トレーサーとして、一種を単独で含有してもよいし、二種以上を含有してもよい。
【0038】
トレーサーとしては、特に限定されず、一般に用いられるトレーサーの中から適宜選択することができる。好ましくは、本開示の冷媒に不可避的に混入する不純物とはなり得ない化合物をトレーサーとして選択する。
【0039】
トレーサーとしては、例えば、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロカーボン、フルオロカーボン、重水素化炭化水素、重水素化ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、フルオロエーテル、臭素化化合物、ヨウ素化化合物、アルコール、アルデヒド、ケトン、亜酸化窒素(N2O)等が挙げられる。トレーサーとしては、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ハイドロクロロカーボン、フルオロカーボン及びフルオロエーテルが特に好ましい。
【0040】
上記トレーサーとしては、具体的には、以下の化合物が好ましい。
FC-14(テトラフルオロメタン、CF4
HCC-40(クロロメタン、CH3Cl)
HFC-23(トリフルオロメタン、CHF3
HFC-41(フルオロメタン、CH3F)
HFC-125(ペンタフルオロエタン、CF3CHF2
HFC-134a(1,1,1,2-テトラフルオロエタン、CF3CH2F)
HFC-134(1,1,2,2-テトラフルオロエタン、CHF2CHF2
HFC-143a(1,1,1-トリフルオロエタン、CF3CH3
HFC-143(1,1,2-トリフルオロエタン、CHF2CH2F)
HFC-152a(1,1-ジフルオロエタン、CHF2CH3
HFC-152(1,2-ジフルオロエタン、CH2FCH2F)
HFC-161(フルオロエタン、CH3CH2F)
HFC-245fa(1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン、CF3CH2CHF2
HFC-236fa(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、CF3CH2CF3
HFC-236ea(1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン、CF3CHFCHF2
HFC-227ea(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン、CF3CHFCF3)
HCFC-22(クロロジフルオロメタン、CHClF2
HCFC-31(クロロフルオロメタン、CH2ClF)
CFC-1113(クロロトリフルオロエチレン、CF2=CClF)
HFE-125(トリフルオロメチル-ジフルオロメチルエーテル、CF3OCHF2
HFE-134a(トリフルオロメチル-フルオロメチルエーテル、CF3OCH2F)
HFE-143a(トリフルオロメチル-メチルエーテル、CF3OCH3
HFE-227ea(トリフルオロメチル-テトラフルオロエチルエーテル、CF3OCHFCF3
HFE-236fa(トリフルオロメチル-トリフルオロエチルエーテル、CF3OCH2CF3
【0041】
トレーサー化合物は、約10重量百万分率(ppm)~約1000ppmの合計濃度で冷媒組成物中に存在し得る。好ましくは、トレーサー化合物は約30ppm~約500ppmの合計濃度で冷媒組成物中に存在し、最も好ましくは、トレーサー化合物は約50ppm~約300ppmの合計濃度で冷媒組成物中に存在する。
【0042】
2.3 紫外線蛍光染料
本開示の冷媒組成物は、紫外線蛍光染料として、一種を単独で含有してもよいし、二種以上を含有してもよい。
【0043】
紫外線蛍光染料としては、特に限定されず、一般に用いられる紫外線蛍光染料の中から適宜選択することができる。
【0044】
紫外線蛍光染料としては、例えば、ナフタルイミド、クマリン、アントラセン、フェナントレン、キサンテン、チオキサンテン、ナフトキサンテン及びフルオレセイン、並びにこれらの誘導体が挙げられる。紫外線蛍光染料としては、ナフタルイミド及びクマリンのいずれか又は両方が特に好ましい。
【0045】
2.4 安定剤
本開示の冷媒組成物は、安定剤として、一種を単独で含有してもよいし、二種以上を含有してもよい。
【0046】
安定剤としては、特に限定されず、一般に用いられる安定剤の中から適宜選択することができる。
【0047】
安定剤としては、例えば、ニトロ化合物、エーテル類及びアミン類等が挙げられる。
【0048】
ニトロ化合物としては、例えば、ニトロメタン及びニトロエタン等の脂肪族ニトロ化合物、並びにニトロベンゼン及びニトロスチレン等の芳香族ニトロ化合物等が挙げられる。
【0049】
エーテル類としては、例えば、1,4-ジオキサン等が挙げられる。
【0050】
アミン類としては、例えば、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルアミン、ジフェニルアミン等が挙げられる。
【0051】
その他にも、ブチルヒドロキシキシレン、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0052】
安定剤の含有割合は、特に限定されず、冷媒全体に対して、通常、0.01~5質量%とすることが好ましく、0.05~2質量%とすることがより好ましい。
【0053】
2.5 重合禁止剤
本開示の冷媒組成物は、重合禁止剤として、一種を単独で含有してもよいし、二種以上を含有してもよい。
【0054】
重合禁止剤としては、特に限定されず、一般に用いられる重合禁止剤の中から適宜選択することができる。
【0055】
重合禁止剤としては、例えば、4-メトキシ-1-ナフトール、ヒドロキノン、ヒドロキノンメチルエーテル、ジメチル-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0056】
重合禁止剤の含有割合は、特に限定されず、冷媒全体に対して、通常、0.01~5質量%とすることが好ましく、0.05~2質量%とすることがより好ましい。
【0057】
3. 冷凍機油含有作動流体
本開示の冷凍機油含有作動流体は、本開示の冷媒又は冷媒組成物と、冷凍機油とを少なくとも含み、冷凍機における作動流体として用いられる。具体的には、本開示の冷凍機油含有作動流体は、冷凍機の圧縮機において使用される冷凍機油と、冷媒又は冷媒組成物とが互いに混じり合うことにより得られる。冷凍機油含有作動流体には冷凍機油は一般に10~50質量%含まれる。
【0058】
3.1 冷凍機油
本開示の組成物は、冷凍機油として、一種を単独で含有してもよいし、二種以上を含有してもよい。
【0059】
冷凍機油としては、特に限定されず、一般に用いられる冷凍機油の中から適宜選択することができる。その際には、必要に応じて、前記混合物との相溶性(miscibility)及び前記混合物の安定性等を向上する作用等の点でより優れている冷凍機油を適宜選択することができる。
【0060】
冷凍機油の基油としては、例えば、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリオールエステル(POE)及びポリビニルエーテル(PVE)からなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。
【0061】
冷凍機油は、基油に加えて、さらに添加剤を含んでいてもよい。添加剤は、酸化防止剤、極圧剤、酸捕捉剤、酸素捕捉剤、銅不活性化剤、防錆剤、油性剤及び消泡剤からなる群より選択される少なくとも一種であってもよい。
【0062】
冷凍機油として、40℃における動粘度が5~400 cStであるものが、潤滑の点で好ましい。
【0063】
本開示の冷凍機油含有作動流体は、必要に応じて、さらに少なくとも一種の添加剤を含んでもよい。添加剤としては例えば以下の相溶化剤等が挙げられる。
【0064】
3.2 相溶化剤
本開示の冷凍機油含有作動流体は、相溶化剤として、一種を単独で含有してもよいし、二種以上を含有してもよい。
【0065】
相溶化剤としては、特に限定されず、一般に用いられる相溶化剤の中から適宜選択することができる。
【0066】
相溶化剤としては、例えば、ポリオキシアルキレングリコールエーテル、アミド、ニトリル、ケトン、クロロカーボン、エステル、ラクトン、アリールエーテル、フルオロエーテルおよび1,1,1-トリフルオロアルカン等が挙げられる。相溶化剤としては、ポリオキシアルキレングリコールエーテルが特に好ましい。
【0067】
4.冷凍機の運転方法
本開示の冷凍機の運転方法は、本開示の冷媒を用いて冷凍機を運転する方法である。
【0068】
具体的には、本開示の冷凍機の運転方法は、本開示の冷媒を冷凍機において循環させる工程を含む。
【0069】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【実施例
【0070】
以下に、実施例を挙げてさらに詳細に説明する。ただし、本開示は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0071】
HFO-1132(E)、R-1234yf及びR-1234zeを、これらの総和を基準として、表1にそれぞれ示した質量%で混合した混合冷媒を調製した。
【0072】
これらの各混合冷媒について、次の試験方法及び試験条件において、不均化反応の有無を調べた。
試験方法
試験容器に、試験する混合冷媒を移充填し、150℃まで加熱した後、容器内のPt線に電圧を印可して溶断させることで、混合冷媒に30Jのエネルギーを与えた。不均化反応の有無は装置内の急激な圧力上昇及び温度上昇によって判定した。
試験条件
試験容器:38cc SUS製容器
試験温度:150℃
圧力:3 MPa
判定基準
「不爆」:Pt線溶断後の温度又は圧力が2倍未満であり、急激な不均化反応が起こっていない。
「爆発」:Pt線溶断後の温度又は圧力が2倍以上に達し、急激な不均化反応が起こった。
【0073】
【表1】
【0074】
表1の結果から、本開示の冷媒は図1から図6に示す三角図において示される領域内では、不均化が起こらないことが判る。
【0075】
HFO-1132(E)、R1234yf、R1234ze及びCO2を、これらの総和を基準として、表1~6にそれぞれ示した質量%で混合した混合冷媒を調製した。
【0076】
各混合冷媒のGWPは、IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)第4次報告書の値に基づいて評価した。HFO-1132(E)のGWPは記載がないが、HFO-1132a(GWP=1以下)、HFO-1123(GWP=0.3,特許文献1に記載)から、そのGWPを1と想定した。
【0077】
表1~4の各混合冷媒について、吐出圧力、凝縮グライド、R404Aを基準とする成績係数[Coefficient of Performance(COP)]比及び冷凍能力比をそれぞれ求めた。各混合冷媒のサイクル性能は、National Institute of Science and Technology(NIST) Reference Fluid Thermodynamic and Transport Properties Database(Refprop 9.0)を使い、下記条件で混合冷媒の冷凍サイクル理論計算を実施することにより求めた。
なお、HFO-1132(E)の物性データについては実測値により求めた。
蒸発温度:-40℃
凝縮温度:40℃
過熱度:20K
過冷却度;0K
Ecomp(圧縮仕事量):0.7kWh
【0078】
評価結果を、各混合冷媒についてのGWPと合わせて表1~4に示す。
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
【表4】
【0082】
【表5】
【0083】
表5から表6の混合冷媒のCOP、冷凍能力、吐出温度及び沸点は、National Institute of Science and Technology(NIST)Reference Fluid Thermodynamic and Transport Properties Database(Refprop 9.0)を使い、下記条件で混合冷媒の冷凍サイクル理論計算を実施することにより求めた。なお、HFO-1132(E)の物性データについては実測値により求めた。
蒸発温度 -30℃
凝縮温度 30℃
過熱温度 5K
過冷却温度 5K
圧縮機効率 70%
【0084】
以下の表中、「COP比」及び「冷凍能力比」とは、R1234yfに対する割合(%)を示す。表中、「沸点(℃)」とは、混合冷媒の液相が大気圧(101.33kPa)となる温度を示す。表中、「動力の消費電力量(%)」とは、電気自動車が走行するために使用した電気エネルギーを示し、冷媒をHFO-1234yfとしたとき消費電力量との比で表す。表中、「暖房の消費電力量(%)」とは、電気自動車が暖房を運転するために使用した電気エネルギーを示し、冷媒をHFO-1234yfとしたとき消費電力量との比で表す。
【0085】
以下の表中、「走行可能距離(あり)」とは、一定の電気容量の二次電池を搭載した電気自動車において、暖房せずに(暖房の消費電力が0)走行した場合の走行可能距離(なし)を100%とした場合の暖房ありで走行した場合の走行可能距離を相対割合(%)で表したものである。
【0086】
暖房方法は、沸点が-40℃を超える冷媒では暖房に電気ヒーター方式を用い、沸点が-40
℃以下の冷媒には暖房にヒートポンプ方式を用いた。
【0087】
暖房使用時の消費電力量は、次式により求めた。なお、暖房COPとは「暖房効率」を意味する。
暖房使用時の消費電力量=暖房能力/暖房COP
【0088】
暖房効率について、電気ヒーターの場合は暖房COP=1であり、動力と同等の電極を暖房
に消費する。つまり、暖房の消費電力はE=E/(1+COP)となる。
【0089】
一方、ヒートポンプの場合もRefprop 9.0(NIST製)を使用し、下記条件で混合冷媒の冷凍サイクル理論計算を実施することにより暖房COPを求めた。
蒸発温度 -30℃
凝縮温度 30℃
過熱温度 5K
過冷却温度 5K
圧縮機効率 70%
走行可能距離は、次式により求めた。
走行可能距離=(電池容量)/(動力の消費電力量+暖房での消費電力量)
これらの値を、各混合冷媒についてのGWPと合わせて以下の表に示す。なお、比COP及び比冷凍能力については、HFO-1234yに対する割合を示す。
【0090】
成績係数(COP)は、次式により求めた。
COP =(冷凍能力又は暖房能力)/消費電力量
【0091】
【表6】
【0092】
【表7】
【0093】
これらの結果から、以下のことが判る。
R1234yfを含み、かつ
HFO-1132(E)、R1234yf及びCO2の、これらの総和を基準とする質量%をそれぞれx、y及びzとするとき、HFO-1132(E)、R1234yf及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図において、座標(x,y,z)が、
点Ar=0(30.0, 69.1, 0.9)
点Br=0(6.2, 83.8, 10.0)
点Or=0(30.0, 60.0, 10.0)
の3点をそれぞれ結ぶ直線Ar=0Br=0、Br=0Or=0、及びOr=0Ar=0で囲まれる図形の範囲内又は前記直線上にある場合、本開示の冷媒は、R404Aを基準とする冷凍能力比が90%以上となる。
【0094】
R1234yfを含み、かつ
HFO-1132(E)、R1234yf及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図において、座標(x,y,z)が、
点Er=0(30.0, 66.2, 3.8)
点Fr=0(13.4, 76.6, 10.0)
点Or=0(30.0, 60.0, 10.0)
の3点をそれぞれ結ぶ直線Er=0Fr=0、Fr=0Or=0、及びOr=0Er=0で囲まれる図形の範囲内又は前記直線上にある場合、本開示の冷媒は、R404Aを基準とする冷凍能力比が100%以上となる。
【0095】
R1234zeを含み、かつ
HFO-1132(E)、R1234ze及びCO2の、これらの総和を基準とする質量%をそれぞれx、y及びzとするとき、HFO-1132(E)、R1234ze及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図において、座標(x,y,z)が、
点Ar=1(30.0, 62.9, 7.1)
点Br=1(23.1, 66.9, 10.0)
点Or=1(30.0, 60.0, 10.0)
の3点をそれぞれ結ぶ直線Ar=1Br=1、Br=1Or=1、及びOr=1Ar=1で囲まれる図形の範囲内又は前記直線上にある場合、本開示の冷媒は、R404Aを基準とする冷凍能力比が90%以上となる。
【0096】
HFO-1132(E)、R1234ze及びCO2の総和を基準として、30.0質量%のHFO-1132(E)、60.0質量%のR1234ze及び10.0質量%のCO2を含む場合、本開示の冷媒は、R404Aを基準とする冷凍能力比が100%となる。
【0097】
R1234yf及びR1234zeの総和に対するR1234zeの比率をr(0<r<1)とするとき、
HFO-1132(E)、R1234yf及びR1234zeの総和(R1234yf+R1234ze)、並びにCO2の、これらの総和を基準とする質量%をそれぞれx、y及びzとするとき、HFO-1132(E)、R1234yf+R1234ze及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図において、座標(x,y,z)が、
点Ar(30.0, -6.2r+69.1, 6.2r+0.9)
点Br(0.2r2+16.7r+6.2, -0.2r2-16.7r+83.8, 10.0)
点Or(30.0, 60.0, 10.0)
の3点をそれぞれ結ぶ直線Ar=0Br=0、Br=0Or=0、及びOr=0Ar=0で囲まれる図形の範囲内又は前記直線上にある場合、本開示の冷媒は、R404Aを基準とする冷凍能力比が90%以上となる。
【0098】
R1234yf及びR1234zeの総和に対するR1234zeの比率をr(0<r<1)とするとき、
HFO-1132(E)、R1234yf及びR1234zeの総和(R1234yf+R1234ze)、並びにCO2の、これらの総和を基準とする質量%をそれぞれx、y及びzとするとき、HFO-1132(E)、R1234yf+R1234ze及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図において、座標(x,y,z)が、
点Er(30.0, 0.4r2-6.6r+66.2, -0.4r2+6.6r+3.8)
点Fr(-1.2r2+17.8r+13.4, 1.2r2-17.8r+76.6, 10.0)
点Or(30.0, 60.0, 10.0)
の3点をそれぞれ結ぶ直線ArBr、BrOr、及びOrArで囲まれる図形の範囲内又は前記直線上にある場合、本開示の冷媒は、R404Aを基準とする冷凍能力比が100%以上となる。
【0099】
R1234yfを含み、かつ
HFO-1132(E)、R1234yf及びCO2の、これらの総和を基準とする質量%をそれぞれx、y及びzとするとき、HFO-1132(E)、R1234yf及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図において、座標(x,y,z)が、
点Hr=0(12.2, 87.8, 0.0)
点Ir=0(0.0, 98.1, 1.9)
点Jr=0(0.0, 94.8, 5.2)
点J2r=0(10.0, 85.4, 4.6)
点K2r=0(20.0, 75.1, 4.9)
点Kr=0(30.0, 64.0, 6.0)
点Qr=0(30.0, 70.0, 0.0)
の7点をそれぞれ結ぶ線分Hr=0Ir=0、Ir=0Jr=0、Jr=0J2r=0、J2r=0K2r=0、K2r=0Kr=0、Kr=0Qr=0及びQr=0Hr=0で囲まれる図形の範囲内又は前記線分Hr=0Ir=0、Ir=0Jr=0、Jr=0Kr=0及びKr=0Qr=0上にあり(ただし、点Hr=0及び点Qr=0を除く)、
線分Ir=0Jr=0、Kr=0Qr=0及びQr=0Hr=0が直線であり、
線分Hr=0Ir=0上の点の座標(x,y,z)が、
(x, -0.0013x2-0.8279x+98.1, 0.0013x2-0.1721x+1.9)
で表され、
線分Jr=0J2r=0上の点の座標(x,y,z)が、
(x, -0.004x2-0.9x+94.8, 0.004x2-0.1x+5.2)
で表され、
線分J2r=0K2r=0上の点の座標(x,y,z)が、
(x, -0.006x2-0.85x+94.5, 0.006x2-0.15x+5.5)
で表され、
線分K2r=0Kr=0上の点の座標(x,y,z)が、
(x, -0.002x2-1.01x+96.1, 0.002x2+0.01x+3.9)
で表される場合、本開示の冷媒は、沸点が-40℃以下となり、かつ蒸発グライドが15K以下となる。この特性のため、この冷媒は、特に電気自動車用空調機器における作動流体に適している。
【0100】
R1234zeを含み、かつ
HFO-1132(E)、R1234ze及びCO2の、これらの総和を基準とする質量%をそれぞれx、y及びzとするとき、HFO-1132(E)、R1234ze及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図において、座標(x,y,z)が、
点Hr=1(22.7, 77.3, 0.0)
点Ir=1(0.0, 96.4, 3.6)
点Jr=1(0.0, 96.1, 3.9)
点J2r=1(10.0, 87.6, 2.4)
点K2r=1(20.0, 78.1, 1.9)
点Kr=1(30.0, 67.8, 2.2)
点Qr=1(30.0, 70.0, 0.0)
の7点をそれぞれ結ぶ線分Hr=1Ir=1、Ir=1Jr=1、Jr=1J2r=1、J2r=1K2r=1、K2r=1Kr=1、Kr=1Qr=1及びQr=1Hr=1で囲まれる図形の範囲内又は前記線分Hr=1Ir=1、Ir=1Jr=1、Jr=1Kr=1及びKr=1Qr=1上にあり(ただし、点Hr=1及び点Qr=1を除く)、
線分Ir=1Jr=1、Kr=1Qr=1及びQr=1Hr=1が直線であり、
線分Hr=1Ir=1上の点の座標(x,y,z)が、
(x, -0.003x2-0.7723x+96.4, 0.003x2-0.2277x+3.6)
で表され、
線分Jr=1J2r=1上の点の座標(x,y,z)が、
(x, -0.006x2-0.79x+96.1, 0.006x2-0.21x+3.9)
で表され、
線分J2r=1K2r=1上の点の座標(x,y,z)が、
(x, -0.002x2-0.89x+96.7, 0.002x2-0.11x+3.3)
で表され、
線分K2r=1Kr=1上の点の座標(x,y,z)が、
(x, -0.002x2-0.93x+97.5, 0.002x2-0.07x+2.5)
で表される場合、本開示の冷媒は、沸点が-40℃以下となり、かつ蒸発グライドが15K以下となる。この特性のため、この冷媒は、特に電気自動車用空調機器における作動流体に適している。
【0101】
R1234yf及びR1234zeの総和に対するR1234zeの比率をr(0<r<1)とするとき、
HFO-1132(E)、R1234yf及びR1234zeの総和(R1234yf+R1234ze)、並びにCO2の、これらの総和を基準とする質量%をそれぞれx、y及びzとするとき、HFO-1132(E)、R1234yf+R1234ze及びCO2の総和が100質量%となる3成分組成図において、座標(x,y,z)が、
点Hr(r2+9.5r+12.2, -r2-9.5r+87.8, 0.0)
点Ir(0.0, -0.6r2-1.1r+98.1, 0.6r2+1.1r+1.9)
点Jr(0.0, -0.6r2+1.9r+94.8, 0.6r2-1.9r+5.2)
点J2r(10.0, -0.4r2+2.6r+85.4, 0.4r2-2.6r+4.6)
点K2r(20.0, 3.0r+75.1, -3.0r+4.9)
点Kr(30.0, -0.4r2+4.2r+64.0, 0.4r2-4.2r+6.0)
点Qr(70.0, 30.0, 0.0)
の7点をそれぞれ結ぶ線分HrIr、IrJr、JrJ2r、J2rK2r、K2rKr、KrQr及びQrHrで囲まれる図形の範囲内又は前記線分HrIr、IrJr、JrKr及びKrQr上にあり(ただし、点Hr及び点Qrを除く)、
線分IrJr、KrQr及びQrHrが直線であり、
線分HrIr上の点の座標(x,y,z)が、
(x, (-0.003r2+0.0013r-0.0013)x2+(0.102r2-0.0464r-0.8279)x+(-0.6r2-1.1r+98.1), (0.003r2-0.0013r+0.0013)x2+(-0.102r2+0.0464r-0.1721)x+(0.6r2+1.1r+1.9))
で表され、
線分JrJ2r上の点の座標(x,y,z)が、
(x, (0.0068r2-0.0034r-0.004)x2+(0.06r2+0.05r-0.9)x+(-0.6r2+1.9r+94.8), (0.004r2-0.002r+0.004)x2+(-0.06r2-0.05r-0.1)x+(0.6r2-1.9r+5.2))
で表され,
線分J2rK2r上の点の座標(x,y,z)が、
(x, (0.016r2-0.012r-0.006)x2+(-0.44r2+0.4r-0.85)x+(2.4r2-0.2r+94.5), (-0.016r2+0.012r+0.006)x2+(0.44r2-0.4r-0.15)x+(-2.4r2+0.2r+5.5))
で表され、
線分K2rKr上の点の座標(x,y,z)が、
(x, (0.008r2-0.008r-0.002)x2+(-0.44r2+0.52r-1.01)x+(5.6r2-4.2r+96.1), (-0.008r2+0.008r+0.002)x2+(0.44r2-0.52r+0.01)x+(-5.6r2+4.2r+3.9))
で表される場合、本開示の冷媒は、沸点が-40℃以下となり、かつ蒸発グライドが15K以下となる。この特性のため、この冷媒は、特に電気自動車用空調機器における作動流体に適している。
【0102】
各点の座標は、前記の表に記載される各点に基づいて近似式を求めることにより決定した。具体的には表8~16に示す通り計算を行った。
【0103】
【表8】
【0104】
【表9】
【0105】
【表10】
【0106】
【表11】
【0107】
【表12】
【0108】
【表13】
【0109】
【表14】
【0110】
【表15】
【0111】
【表16】
図1
図2
図3
図4
図5
図6