(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/633 20060101AFI20231122BHJP
【FI】
H01R13/633
(21)【出願番号】P 2019040835
(22)【出願日】2019-03-06
【審査請求日】2022-02-12
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093034
【氏名又は名称】後藤 隆英
(72)【発明者】
【氏名】津須 晧一
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-204163(JP,A)
【文献】特開2009-238425(JP,A)
【文献】特開2018-097975(JP,A)
【文献】特開2004-079337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/70
H01R 13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング部材に設けられた挿入開口部を通して前記ハウジング部材の内部に平板状信号伝送媒体の端末部分が挿入された際に、前記平板状信号伝送媒体の端末部分にロック部材の一部が係合状態になされることで、前記平板状信号伝送媒体が前記ロック部材により保持されるものであって、
軸部材を中心として回動するロック解除部材
が、前記ロック部材とは別体の部材で構成され、当該ロック解除部材の本体部分には、前記ハウジング部材から離間した待機位置から、前記ハウジング部材に近付いた作用位置まで前記ロック解除部材を回動させる解除操作部が、前記平板状信号伝送媒体の挿入方向において前記軸部材よりも手前の位置に設けられ、
前記解除操作部を介して前記ロック解除部材を前記待機位置から前記作用位置まで回動させて、前記解除操作部を前記挿入開口部に対面する状態に近付けることにより、前記係合状態にある前記ロック部材を解除状態に移行させて、前記平板状信号伝送媒体を前記ハウジング部材から抜去される状態とする電気コネクタにおいて、
前記ハウジング部材に第1係合部が設けられている一方、前記ロック解除部材の前記本体部分に、前記第1係合部に対して係合可能な第2係合部が設けられたものであって、
前記ロック解除部材が、前記待機位置から前記作用位置に回動されて前記解除操作部が前記挿入開口部に対面する状態に近付けられ
ることにより、片手で、前記ロック部材を解除しつつ前記平板状信号伝送媒体を把持可能とした際に、前記第1係合部と前記第2係合部が係合されることで、前記平板状信号伝送媒体が抜去される方向への移動が規制されることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記第1係合部が、前記解除操作部の回動軌跡の接線方向に向かって突出する凸状部材からなるとともに、
前記第2係合部が、前記解除操作部の回動軌跡の接線方向に向かって窪む凹状部材からなることを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記第1係合部が、前記解除操作部の回動軌跡の接線方向に向かって窪む凹状部材からなるとともに、
前記第2係合部が、前記解除操作部の回動軌跡の接線方向に向かって突出する凸状部材からなることを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記第1係合部が、前記軸部材の延在方向において前記ハウジング部材の両端寄りの部位に、前記ハウジング部材と一体に配置されていることを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記第1係合部が、前記軸部材の延在方向において前記ハウジング部材の中央寄りの部位に、前記ハウジング部材と一体に配置されていることを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、種々の電子機器等において、フレキシブルフラットケーブル(FFC)やフレキシブルプリント基板(FPC)などの平板状の信号伝送媒体(以後、「平板状信号伝送媒体」と称す。)を、回路配線基板に接続するための電気コネクタが広く採用されている。この種の電気コネクタは、導電性のコンタクト部材を回路配線基板の主面上に半田付けして実装した状態で使用されるが、当該電気コネクタの挿入開口部から挿入された平板状信号伝送媒体は、コンタクト部材と接触した状態に保持され、回路配線基板に対する電気的な接続が行われるようになっている。
【0003】
このように、電気コネクタの内部に挿入された平板状信号伝送媒体を保持するには、ロック部材の一部を平板状信号伝送媒体に係合させる構成が一般に採用されているが、そのロック部材により保持されている平板状信号伝送媒体を抜去するには、ロック解除部材を操作することによって、係合状態にあるロック部材を解除状態に移行させることとなる。
【0004】
ここで、下記の特許文献1においては、ロック解除部材を、挿入開口部から離間させた初期位置となる待機位置と、挿入開口部に近接した作用位置との間で往復回動させる構成が採用されており、作業者が片手で、ロック部材を解除しながら平板状信号伝送媒体を把持することにより、片手での抜去操作を可能とし、平板状信号伝送媒体の抜去を容易化するとともに、電気コネクタの低背化及び小型化をも図ることをも可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した先行の特許文献では、ハウジング部材に挿入された平板状信号伝送媒体が抜去される際に、作用位置に回動されているロック解除部材が、平板状信号伝送媒体とともに作業者に把持され、そのままハウジング部材から分離されるおそれがある。そのような事態を防止するためには、例えば、ロック解除部材の軸部材とハウジング部材との保持力を上げることが考えられるが、そのような構成では、軸部材が大径化又は大型化してしまい、電気コネクタの大型化を招来するおそれがある。
【0007】
そこで本発明は、ハウジング部材の内部に挿入された平板状信号伝送媒体の抜去を行う際におけるロック解除部材のハウジング部材からの分離を、電気コネクタの大型化を招来することなく防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため請求項1にかかる電気コネクタでは、ハウジング部材に設けられた挿入開口部を通して前記ハウジング部材の内部に平板状信号伝送媒体の端末部分が挿入された際に、前記平板状信号伝送媒体の端末部分にロック部材の一部が係合状態になされることで、前記平板状信号伝送媒体が前記ロック部材により保持されるものであって、軸部材を中心として回動するロック解除部材が、前記ロック部材とは別体の部材で構成され、当該ロック解除部材の本体部分には、前記ハウジング部材から離間した待機位置から、前記ハウジング部材に近付いた作用位置まで前記ロック解除部材を回動させる解除操作部が、前記平板状信号伝送媒体の挿入方向において前記軸部材よりも手前の位置に設けられ、前記解除操作部を介して前記ロック解除部材を前記待機位置から前記作用位置まで回動させて、前記解除操作部を前記挿入開口部に対面する状態に近付けることにより、前記係合状態にある前記ロック部材を解除状態に移行させて、前記平板状信号伝送媒体を前記ハウジング部材から抜去される状態とする電気コネクタにおいて、 前記ハウジング部材に第1係合部が設けられている一方、前記ロック解除部材の前記本体部分に、前記第1係合部に対して係合可能な第2係合部が設けられたものであって、前記ロック解除部材が、前記待機位置から前記作用位置に回動されて前記解除操作部が前記挿入開口部に対面する状態に近付けられることにより、片手で、前記ロック部材を解除しつつ前記平板状信号右伝送媒体を把持可能とした際に、前記第1係合部と前記第2係合部が係合されることで、前記平板状信号伝送媒体が抜去される方向への移動が規制される構成が採用されている。
【0009】
このような構成を有する請求項1記載にかかる発明によれば、ハウジング部材に挿入された平板状信号伝送媒体が抜去される際に、ロック部材とは別体の部材で構成されたロック解除部材が軸部材で保持されることに加えて、第1係合部と第2係合部との係合力によってロック解除部材の移動が規制されることから、作用位置に回動されているロック解除部材が挿入開口部に対面する状態に近付けられることにより、当該ロック解除部材が、平板状信号伝送媒体とともに作業者の片手に把持された状態で、そのまま平板状信号伝送媒体とともにハウジング部材から分離される事態が防止される。特に、ロック解除部材の抜去方向への移動を規制する部材である第2係合部が、軸部材以外の部材であるロック解除部材の本体部分に設けられていることから、ロック解除部材の移動を規制する部材を軸部材に設けることなどによって軸部材の大径化又は大型化を招来する構成のものに比して、軸部材が小径化又は小型化されることとなり、電気コネクタ全体も小型化される。
【0010】
このとき、請求項2にかかる電気コネクタのように、前記第1係合部が、前記解除操作部の回動軌跡の接線方向に向かって突出する凸状部材からなるとともに、前記第2係合部が、前記解除操作部の回動軌跡の接線方向に向かって窪む凹状部材からなる構成とすることが可能である。
【0011】
また、請求項3にかかる電気コネクタのように、前記第1係合部が、前記解除操作部の回動軌跡の接線方向に向かって窪む凹状部材からなるとともに、前記第2係合部が、前記解除操作部の回動軌跡の接線方向に向かって突出する凸状部材からなる構成とすることが可能である。
【0012】
さらに、請求項4にかかる電気コネクタのように、前記第1係合部が、前記軸部材の延在方向において前記ハウジング部材の両端寄りの部位に、前記ハウジング部材と一体に配置された構成とすることが可能である。
【0013】
さらにまた、請求項5にかかる電気コネクタのように、前記第1係合部が、前記軸部材の延在方向において前記ハウジング部材の中央寄りの部位に、前記ハウジング部材と一体に配置された構成とすることが可能である。
【発明の効果】
【0014】
以上述べたように本発明にかかる電気コネクタは、ロック部材とは別体の部材で構成されたロック解除部材を作用位置に回動させて挿入開口部に対面する状態に近付けた際に、ハウジング部材に設けた第1係合部に、ロック解除部材の本体部分に設けた第2係合部を係合させて、平板状信号伝送媒体の抜去方向にロック解除部材の移動を軸部材の保持力に加えて規制し、平板状信号伝送媒体の抜去を行う際に、当該平板状信号伝送媒体とともにロック解除部材が作業者の片手に把持された状態で、そのままハウジング部材から分離される事態を防止するとともに、ロック解除部材の抜去方向への移動を規制する部材である第2係合部を、軸部材以外の部材であるロック解除部材の本体部分に設けることで、電気コネクタ全体の小型化を図る構成を採用したものであるから、ハウジング部材の内部に挿入された平板状信号伝送媒体の抜去を行う際におけるロック解除部材のハウジング部材からの分離を、電気コネクタの大型化を招来することなく防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる電気コネクタの初期状態(ロック解除部材が待機位置にある状態)を正面上方側から表した外観斜視説明図である。
【
図2】
図1に示されている電気コネクタの正面説明図である。
【
図3】
図1及び
図2に示されている電気コネクタの平面説明図である。
【
図4】
図1~
図3に示されている電気コネクタの側面説明図である。
【
図5】
図2中のV-V 線に沿った横断面説明図である。
【
図6】
図2中のVI-VI 線に沿った横断面説明図である。
【
図7】
図2中のVII-VII 線に沿った横断面説明図である。
【
図8】
図2中のVIII-VIII 線に沿った横断面説明図である。
【
図9】
図1~
図4に示された電気コネクタに用いられているロック部材を、背面上方から表した外観斜視説明図である。
【
図10】
図9に示されているロック部材の背面説明図である。
【
図11】
図1~
図4に示された電気コネクタに用いられているハウジング部材とロック解除部材を分解した状態で表した外観斜視説明図である。
【
図12】
図1~
図4に示されている電気コネクタのロック解除部材を「作用位置」まで回動した状態を表した外観斜視説明図である。
【
図13】
図12に示されている状態の電気コネクタの正面説明図である。
【
図14】
図13中のXIV-XIV 線に沿った横断面説明図である。
【
図15】
図13中のXV-XV 線に沿った横断面説明図である。
【
図16】
図13中のXVI-XVI 線に沿った横断面説明図である。
【
図17】
図13中のXVII-XVII 線に沿った横断面説明図である。
【
図18】
図1~
図4に示された初期状態にある電気コネクタに対して平板状信号伝送媒体を挿入した状態を正面上方から表した外観斜視説明図である。
【
図19】
図18に示されている平板状信号伝送媒体を挿入した状態の電気コネクタの正面説明図である。
【
図20】
図19中のXX-XX 線に沿った横断面説明図である。
【
図21】
図18~
図20に示された平板状信号伝送媒体を挿入した状態にある電気コネクタのロック解除部材を「作用位置」まで回動した状態を表した外観斜視説明図である。
【
図22】平板状信号伝送媒体の一例となるフレキシブルプリント基板(FPC)を表した外観斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態にかかる電気コネクタを、図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
[電気コネクタの全体構造について]
図1~
図8に示されている本発明の一実施形態にかかる電気コネクタ1は、スマートフォンなどの各種電子装置に設けられた電子回路の一部を構成している回路配線基板(図示省略)の主面上に、半田接続等によって実装されるものであって、当該電気コネクタ1は、略水平に配置された回路配線基板(図示省略)の主面に対して垂直方向に立ち上がる状態に配置されるハウジング部材11を有している。そのハウジング部材11は、回路配線基板(図示省略)の主面に沿って細長状に延在する絶縁性の中空枠状体から形成されている。
【0018】
以下において、回路配線基板(図示省略)の主面が水平状態に延在しているものとし、その回路配線基板(図示省略)の主面からハウジング部材11が立ち上がる方向を「上方向」、当該ハウジング部材11の立ち上がり方向と反対の方向を「下方向」とする。また、ハウジング部材11が細長状に延在する方向を「コネクタ長手方向」とし、その「コネクタ長手方向」と「上下方向」との双方に直交する方向を「コネクタ幅方向」とする。さらに、その「コネクタ幅方向」において、後述するロック解除部材14が設けられている正面に向かう方向を「前方」、その反対に向かう方向を「後方」とする。
【0019】
上述したハウジング部材11の上端面には、「コネクタ長手方向」に沿ってスリット状に延在する挿入開口部11aが設けられており、当該挿入開口部11aを通して、
図22に示されているようなフレキシブルプリント基板(FPC)などの平板状信号伝送媒体PBがハウジング部材11の内部に挿入されるようになっている。すなわち、挿入開口部11aからハウジング部材11の内部にかけての部分には、平板状信号伝送媒体PBの端末部分が収容される中空状の媒体挿入通路11bが「下方」に向かって延出する状態で設けられている。
【0020】
そのように平板状信号伝送媒体PBが媒体挿入通路11bの内部に挿入されるにあたっては、まず、ハウジング部材11の挿入開口部11aの上方位置に、平板状信号伝送媒体PBの端末部分が対向配置された状態、すなわち回路配線基板(図示省略)の主面に対して略直交する方向に立てられた状態に把持された平板状信号伝送媒体PBの端末部分が、下方に押し込まれていくことによって、
図18~
図20に示されているように、挿入開口部11aから媒体挿入通路11bの内部に向かって平板状信号伝送媒体PBの端末部分が挿入される。
【0021】
このような平板状信号伝送媒体PBの挿入構造によれば、挿入開口部11aと平板状信号伝送媒体PBとの位置関係がハウジング部材11の上方から容易に観察されつつ挿入が行われることから、平板状信号伝送媒体PBの挿入動作が容易かつ正確に行われ、また平板状信号伝送媒体PBの挿入後の状態が直ちに確認される。
【0022】
[ハウジング部材及びコンタクト部材について]
上述したようにして平板状信号伝送媒体PBの端末部分が挿入されるハウジング部材11の媒体挿入通路11bには、特に
図5に示されているように、複数体の導電性部材からなるコンタクト部材(導電端子)12が、「コネクタ長手方向」に沿って、予め定められた間隔をなして並列された状態で取り付けられている。それらの各コンタクト部材12は、ハウジング部材11の媒体挿入通路11bに沿って上下方向に延在する弾性ビーム部12aを有しているとともに、その弾性ビーム部12aの下端部分に、回路配線基板(図示省略)に接続される基板接続脚部12bが設けられている。
【0023】
各コンタクト部材12の下端部分に設けられた基板接続脚部12bは、後方(
図5の左方)に向かって略水平に延出することでハウジング部材11の外方に突出しているが、その外方に突出した先端部分(後端部分)が、回路配線基板(図示省略)の表面に形成された信号用又はグランド用の導電路(図示省略)に対して半田接合されることにより、信号伝送回路又はグランド回路の一部が構成されるようになっている。なお、複数体にわたって並列された基板接続脚部12bに対する半田付け作業は一括的に行うことが可能である。
【0024】
また、各基板接続脚部12bにおける半田接合部分(外端部分)と反対の内端部(
図5の右端部)からは、上述した弾性ビーム部12aが上方に向かって略直角に折れ曲がって片持ち状に延びている。その弾性ビーム部12aは、媒体挿入通路11bの内壁面に沿って上方に延びた後に、媒体挿入通路11bの内方に向かって斜め上方に延出しており、当該弾性ビーム部12aの上端部分には、平板状信号伝送媒体PBの端子部(図示省略)に接触する突状接点部12cが設けられている。この突状接点部12cは、媒体挿入通路11bの内部空間に向かって側面略「く」の字状に張り出す状態で形成されている。
【0025】
[信号伝送媒体について]
ハウジング部材11の内部に挿入される平板状信号伝送媒体PBの端末部分には、特に
図22に示されているように、外方に露出された端子部となる信号導電路PB1が、コンタクト部材12に対応した間隔をなして「コネクタ長手方向」に複数並列された状態で設けられている。また、それら複数の信号導電路PB1の配列方向の外方に位置する、平板状信号伝送媒体PBの端縁部分には、一対の切り欠き状の凹部からなる位置決め部PB2が形成されている。この平板状信号伝送媒体PBに設けられた一対の位置決め部PB2には、電気コネクタ1に取り付けられたロック部材13(後述)の係止部13aが係合する構成になされており、そのロック部材13の係合作用によって、平板状信号伝送媒体PBの挿入状態が維持されるようになっている。
【0026】
[ロック部材について]
上述したハウジング部材11における「コネクタ長手方向」の両端部分には、薄板状の金属部材を折り曲げて形成された一対のロック部材13,13が、前記ハウジング部材11の内部に、下方から上方に向かって圧入されて取り付けられている。これら一対のロック部材13,13は、「コネクタ長手方向」の両端部分において互いに対称的に向かい合うように装着されており、そのように一対のロック部材13,13を設けることで、電気コネクタ1に対する平板状信号伝送媒体PBの挿入状態を安定的に維持することができる。
【0027】
これらの両ロック部材13,13は、同一の構成を対称にした関係を有していることから、以下の説明においては、一方のロック部材13についてのみ説明を行うこととし、他方のロック部材13については、同一の符号を付して説明は省略する。
【0028】
ロック部材13の下方部分には、特に
図9及び
図10に示されているように、ハウジング部材11の両端部分の外郭形状に沿って平面略コの字状に延在する基枠板13bが設けられている。その基枠板13bにおける「コネクタ長手方向」の最外端の外端壁部(
図10の左端壁部)には、固定片13cが上方に突出するように設けられており、当該固定片13cが、ハウジング部材11の内部に圧入されて係止状態になされることで、ロック部材13の全体が固定状態になされる。
【0029】
上述した基枠板13bは、「コネクタ幅方向」に対向した状態に配置された板状の正面壁部(
図10の奥方壁部)と背面壁部(
図10の手前壁部)とを有しており、そのうちの背面壁部における立ち上がり部分には、当該背面壁部の立ち上がり部分の一部を切り起こすようにしてストッパ片13dが設けられている。そのストッパ片13dは、上端の根元部分から下方に向かって片持ちバネ状に延在しており、当該ストッパ片13dの下端縁が、特に
図8に示されているように、ハウジング部材11の略水平に延在する受け面に対して上方から突き当てられていることによって、ロック部材13の下方への脱落が規制されている。
【0030】
すなわち、上述したストッパ片13dによるハウジング部材11に対する上下方向の対抗力によって、ロック部材13の全体が下方に脱落することが防止されるとともに、平板状信号伝送媒体PBが上方に向かって抜去される際に、平板状信号伝送媒体PBと一緒にハウジング部材11が、ロック部材13から上方に抜け、ハウジング部材11と分離するような事態が防止される構成になされている。
【0031】
さらに、上述した各基枠板13bを構成している正面壁部(
図10奥方壁部)及び背面壁部(
図10手前壁部)の下端縁部には、「コネクタ幅方向」に沿って略水平に突出する板状部材からなる基板接続脚部13e,13eがそれぞれ設けられている。それらの各基板接続脚部13eは、例えば、回路配線基板(図示省略)に形成されたグランド用の導電路に半田付けされ、それによってグランド(接地)回路の一部が構成されるとともに、電気コネクタ1の全体が、回路配線基板上に強固に保持されるようになっている。
【0032】
また、上述した基枠板13bを構成している正面壁部(
図10の奥方壁部)の上端縁からは、弾性変位可能なビーム状部材からなる一対のロックアーム部材13f,13fが、上方に向かって二股状をなして突出している。これらの各ロックアーム部材13fは、上述した基枠板13bの正面壁部の上端縁部から、媒体挿入通路11bの内壁面に沿って上方に延びており、前述した挿入開口部11aの近傍位置まで延出した後に、媒体挿入通路11bの内方(コネクタ内方)に向かって、側面略逆U字状をなすようにして湾曲状に折り返され、当該折り返し部分から、下方に向かって垂れ下がる状態で片持ち状に延びている。
【0033】
上述した各ロックアーム部材13fの上端部分を構成している折り返し部分から下方に向かう片持ち状の延出部分は、折り返し部分及びその近傍を中心として「コネクタ幅方向」に弾性変位可能な揺動部分になされている。そして、それらの各ロックアーム部材13fの揺動部分の下端領域には、前述した平板状信号伝送媒体PBの位置決め部PB2に係合する係止部13aが設けられている。ここで、上述したようにロックアーム部材13fを、二股状の構成(
図9を参照)とした理由は、当該ロックアーム部材13fの可撓性及び剛性の双方を良好に確保するためである。
【0034】
このように二股状をなすロックアーム部材13fは、上端の折返し部分から所定量にわたって下方に延出しているが、当該一対のロックアーム部材13f,13fの下端縁部分同士は、「コネクタ長手方向」に延びるアーム連結部13gによって一体的に繋げられている。そのアーム連結部13gによって一体化された一対のロックアーム部材13f,13fのうち、電気コネクタ1の中央に近い方のロックアーム部材13fの側縁部には、上述した係止部13aが、媒体挿入通路11bの内方に向かって突出する状態に設けられている。
【0035】
その係止部13aは、略三角形状のフック状部材から形成されていて、ロックアーム部材13fの側縁部から略直角に折れ曲がるようにしてハウジング部材11の媒体挿入通路11bまで突出している。この係止部13aの外形状を構成している三角形状の底辺に相当する下端縁は、前述した平板状信号伝送媒体PBの位置決め部PB2に対する係合辺になされており、その位置決め部PB2の内周縁部に対して係止部13aの係合辺が係合可能となる構成になされている。
【0036】
また、その係止部13aの係合辺からは、上述した平板状信号伝送媒体PBの位置決め部PB2に対する案内機能を有する案内辺が上方に向かって突出量を減少させる傾斜面状をなすように延出しており、ハウジング部材11の媒体挿入通路11bに差し込まれた平板状信号伝送媒体PBの端末部分が、係止部13aの案内辺に対して上方から接触しながら乗り上がるように移動した後に、当該平板状信号伝送媒体PBの位置決め部PB2に対して係止部13aの係合辺が係合されるようになっている。
【0037】
なお、
図9及び
図10中の符号13hで示したコンタクト状部材は、グランド用の端子部材を構成するものであって、前述した基枠板13bの背面側壁部(
図10の手前壁部)から媒体挿入通路11bに向かって斜め上方に片持ち状に突出している。そのグランド用のコンタクト状部材13hの上端部分には、平板状信号伝送媒体PBに設けられたグランド用の端子部(図示省略)に接触するグランド接点部が設けられている。
【0038】
[ロック解除部材について]
このような構成を備えたロック部材13には、平板状信号伝送媒体PBの位置決め部PB2から係止部13aを離脱させるためのロック解除部材14が付設されている。このロック解除部材14は、前述した一対のロック部材13,13を同時に操作する構成を備えたものであって、特に
図11に示されているように、「コネクタ長手方向」に延在する板状部材からなる本体部分14aが、上述したハウジング部材11の正面壁部(
図5の右方壁部)における上縁部分に沿って延在している。
【0039】
上述した本体部分14aは、「コネクタ長手方向」の中央領域に後述する解除操作部14bを一体的に有しているとともに、当該解除操作部14bの下端部分における「コネクタ長手方向」の略中央領域に回動支持軸14cを有している。この回動支持軸14cは、ハウジング部材11の正面壁部(
図5の右方壁部)に設けられた軸受け凹部11cの内壁面によって、略水平に延在する状態で回動自在に支持されており、当該回動支持軸14cを中心としてロック解除部材14の全体が、一体的に回動操作される構成になされている。なお、上述した軸受け凹部11cの詳細な構造については後段において説明する。
【0040】
ここで、上述した回動支持軸14cは、特に
図5に示されているように、断面円弧状をなす外周摺動面14c1と、平坦面状をなすストッパ面14c2とを有しており、断面円弧状の外周摺動面14c1によって回動自在に保持されたロック解除部材14の全体が、当該回動支持軸14cを中心として、
図1~
図8に示された初期位置となる「待機位置」と、
図12~
図17に示された「作用位置」との間において往復回動される構成になされている。そして、ロック解除部材14が「作用位置」に位置した際にあっては、上述した回動支持軸14cのストッパ面14c2が、軸受け凹部11cを形成している内壁面の上面部分に当接し、それ以後のロック解除部材14の回動が規制される構成になされている。
【0041】
このような解除操作部14bを操作する際の回動範囲を規制するストッパ面14c2を回動支持軸14cに設けておけば、ロック解除部材14の過度な回動操作が規制されることから、ロック部材13の塑性変形が回避されるとともに、コネクタ1を構成している各部の破損が防止される等の作用・効果が得られる。
【0042】
ここで、上述した軸受け凹部11cは、ハウジング部材11の正面壁部(
図5の右方壁部)に突設された軸受け体11dの下方に形成されている。この軸受け体11dは、ハウジング部材11における「コネクタ幅方向」の略中央部分にブロック状をなして「前方」に突出する状態に設けられており、当該軸受け体11dの下方に形成されている溝状の窪み部分が軸受け凹部11cになされている。また、この軸受け凹部11cを構成している軸受け体11dの下端面は、平坦面状をなすように形成されており、前述したように回動支持軸14cのストッパ面14c2が、当該軸受け体11dの下端面に当接することにより、ロック解除部材14の回動が規制されるようになっている。
【0043】
一方、上述したロック解除部材14の本体部分14aにおける「コネクタ長手方向」の両端部分には、一対の解除作用部14d,14dが一体的に設けられている。これらの解除作用部14d,14dは、前述した挿入開口部11aを含む媒体挿入通路11bの「コネクタ長手方向」の最外端部分に配置されており、それら一対の解除作用部14d,14d同士が、上述した本体部分14aを介して一体となるように繋げられている。
【0044】
これらの各解除作用部14dは、特に
図8及び
図11に示されているように、本体部分14aから下方に向かって延出する爪状当接部14d1を有している。その爪状当接部14d1は、媒体挿入通路11bの内部で下方に向かって垂れ下がるように配置されており、同じく媒体挿入通路11bに配置されている前述のロック部材13のアーム連結部13gに対して、その背面(
図8の右方)から「コネクタ幅方向」に対面する状態に配置されている。
【0045】
そして、次に説明する解除操作部14bに加えられる解除操作によって、解除作用部14dが、回動支持軸14cを中心として、
図8の時計回り(右回り)に回動されることで、当該解除作用部14dに設けられた爪状当接部14d1が、ロック部材13のアーム連結部13gに対して背面(
図8の右方)から接触する構成になされている。
【0046】
上述したように、解除作用部14dの爪状当接部14d1が、ロック部材13のアーム連結部13gに接触した後に、後述の解除操作部14bによる解除操作がさらに継続されると、特に
図15に示されているように、解除作用部14dの爪状当接部14d1が、ロック部材13のアーム連結部13gを正面(
図15の左方)に向かって押圧し、それによってロック部材13のロックアーム部材13f,13fが弾性的に変位させられて、係止部13aが、正面(
図15の左方)に向かって変位する構成になされている。
【0047】
一方、特に
図11に示されているように、上述したロック解除部材14の本体部分14aにおける「コネクタ長手方向」の略中央部分には、ブロック状をなす解除操作部14bが一体的に設けられている。その解除操作部14bは、「コネクタ長手方向」において本体部分14aの約2/3程度の長さにわたって延在しており、作業者の指先が接触可能な平坦面状をなす外方壁面を有している。
【0048】
上述した解除操作部14bは、特に
図8に示されているように、回動支持軸14cを中心とした回動半径の方向において、前述した解除作用部14dと反対に位置する領域に配置されており、これらの解除操作部14bと解除作用部14dとが、前記回動支持軸14cを間に挟んで対向した配置関係になされている。より具体的には、解除操作部14bは、前述した回動支持軸14cに対して上方の領域で、かつ「コネクタ幅方向」における正面(
図8の左方)寄りの領域に配置されていて、当該解除操作部14bが、挿入開口部11aに対して離間した初期位置となる「待機位置」(
図1~
図8参照)と、挿入開口部11aに近接した「作用位置」(
図12~
図17参照)との間において、前記回動支持軸14cを中心として往復回動可能な構成になされている。
【0049】
このように
「待機位置」にあるロック解除部材14の解除操作部14bが、回動支持軸14cを中心として
「作用位置」に向かって回動するようにして移動すると、
当該解除操作部14bは、ハウジング部材11の媒体挿入通路11bに挿入された平板状信号伝送媒体PBに近接する。一方、回動支持軸14cを間に挟んで当該解除操作部14bとは反対の領域(
図8に示す背面領域)寄りに配置された解除作用部14dの爪状当接部14d1は、ハウジング部材11の媒体挿入通路11bに挿入された平板状信号伝送媒体PBから、正面方向(
図8の左方向)に向かって離間する。
【0050】
より具体的には、まず解除操作部14bが、挿入開口部11aから離間した「待機位置」にある状態では、
図8に示すように、解除作用部14dの爪状当接部14d1が、ロック部材13のアーム連結部13gから離間
又は軽接触した状態、すなわち、爪状当接部14d1が、アーム連結部13gを押圧することなくロックアーム部材13f,13fが弾性変位されない状態に配置されている。そして、このように解除操作部14bが「待機位置」にある状態において、
図18~
図20のように、平板状信号伝送媒体PBの端末部分がハウジング部材11の媒体挿入通路11bに挿入されると、ロック部材13の係止部13aによって平板状信号伝送媒体PBはロック状態になされる。
【0051】
さらに、上述した平板状信号伝送媒体PBのロック状態から、
図12~
図17のように、解除操作部14bが、挿入開口部11aに近接するようにして「作用位置」まで回動操作されると、解除作用部14dの爪状当接部14d1は、特に
図15に示されているように、ロック部材13のアーム連結部13gに当接して押圧状態となる。それによって、ロックアーム部材13f,13fが、正面方向(
図15の左方項)に向かって弾性変位し、それまで平板状信号伝送媒体PBの位置決め部PB2に対して係合状態となっていた係止部13aが、平板状信号伝送媒体PBの位置決め部PB2から離間して解除状態となり、当該平板状信号伝送媒体PBの抜去が可能となる。
【0052】
一方、ハウジング部材11の正面壁部(
図5の左方壁部)の上端縁部分における「コネクタ幅方向」の中央領域には、
図11に示されるように、軸受け凹部11cを形成する軸受け体11dが設けられているが、その軸受け体11dを「コネクタ長手方向」に挟んだ両側には、一対の第1係合部11e,11eが設けられている。これら一対の第1係合部11e,11eは、ハウジング部材11における「コネクタ長手方向」の両端寄りの部位に配置されており、当該各第1係合部11eが、ハウジング部材11の正面壁部(
図6の右方壁部)から「前方(
図6の右方)」に向かって四角柱状に突出する凸状部材から構成されている。
【0053】
これら第1係合部11e,11eの突出方向は、上述したロック解除部材14の解除操作部14bの回動軌跡の接線方向に向かっており、当該第1係合部11e,11eに対して、同回動軌跡の接線方向に突出するようにロック解除部材14に設けられた一対の第2係合部14e,14eが係合可能となっている。これらの第2係合部14e,14eは、前述したロック解除部材14の本体部分14aを「コネクタ幅方向」に貫通する穴部から形成されている。
【0054】
これらの第2係合部14e,14eを構成している穴部は、上述したハウジング部材11の第1係合部11e,11eより一回り大きな角柱状をなす内壁面を有しており、第1係合部11e,11eと「コネクタ幅方向」に対面する位置において、正面略矩形状の開口部を有しているとともに、その略矩形状の開口部から、ロック解除部材14の回動軌跡の接線方向に向かって窪む状態に形成されている。
【0055】
そして、特に
図16に示されているように、ロック解除部材14が作用位置に回動された際に、ハウジング部材11に設けられた第1係合部11e,11eが、ロック解除部材14に設けられた第2係合部14e,14eの内方に挿入された状態となり、第1係合部11e,11eの上端面と、第2係合部14e,14eの上端面とが、「上下方向」に近接した状態に対面する係合状態となることによって、平板状信号伝送媒体PBが抜去される上方向において、前述したロック解除部材14の移動が規制される構成になされている。
【0056】
上述したような構成を備えた本実施形態においては、
図18~
図20のように、ハウジング部材11の挿入開口部11aから内部に挿入された平板状信号伝送媒体PBを、ハウジング部材11の上方に抜去するにあたって、まずロック部材13により係止された状態を解除することとなる。そのため、例えば、作業者の指先を、ロック解除部材14の解除操作部14bに押し当てることにより、
図21のように解除操作部14bを「作用位置」まで回動させる。それによって、ロック解除部材14の解除操作部14bは、挿入開口部11aに挿入されている平板状信号伝送媒体PBの主面に近接した状態に移動される。このようにロック解除部材14の解除操作部14bに押し付けられている作業者の指先は、平板状信号伝送媒体PBの主面にも同時に接触した状態となる。
【0057】
すなわち、上記作業者は、ロック解除部材14を指先で操作することによって、ロック部材13の係止状態を解除しつつ、平板状信号伝送媒体PBを把持することが可能となり、その結果、片手のみの操作で、平板状信号伝送媒体PBの抜去を行うことができる。
【0058】
一方、上述したようにハウジング部材11の内方に挿入された平板状信号伝送媒体PBを抜去するにあたっては、「作用位置」に回動されて挿入開口部11aに対面する状態に近付けられたロック解除部材14が、平板状信号伝送媒体PBとともに作業者の片手に把持された状態で、そのまま平板状信号伝送媒体PBとともにハウジング部材から分離されるおそれがあるが、本実施形態では、ロック解除部材14が回動支持軸(軸部材)14cで保持されることに加えて、ハウジング部材11に設けられた第1係合部11cに対して、ロック解除部材14に設けられた第2係合部14eが係合状態になされていることから、これら第1係合部11cと第2係合部14eとの係合力によって、ロック解除部材14の移動が規制されることとなり、ロック解除部材14のハウジング部材11からの分離が防止される。
【0059】
特に、本実施形態では、上述したようにロック解除部材14の抜去方向(上方向)への移動を規制する第2係合部14eが、回動支持軸(軸部材)14c以外の部材であるロック解除部材14の本体部分14aに設けられていることから、ロック解除部材14の移動を規制する部材を軸部材に設けることなどによって軸部材の大径化又は大型化を招来する構造のものに比して、軸部材が小径化又は小型化されることとなり、電気コネクタ1の全体も小型化される。
【0060】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であるというのはいうまでもない。
【0061】
例えば、上述した実施形態における第2係合部14eは、ロック解除部材14の本体部分14aを貫通する穴部から形成されているが、本体部分14aを貫通しない凹部や溝部等によって形成することも可能である。
【0062】
また、上述した実施形態における第1係合部11eと第2係合部14eの凹凸関係を逆にして、第1係合部11eを、解除操作部14bの回動軌跡の接線方向に向かって窪む凹状部材から構成するとともに、第2係合部14eを、解除操作部14bの回動軌跡の接線方向に向かって突出する凸状部材から構成することも可能である。
【0063】
さらに、ハウジング部材11に設けられた第1係合部11eは、上述した実施形態のようにハウジング部材11の両端寄りの部位に配置する構成に限定されることはなく、ハウジング部材11の中央寄りの部位に配置することも可能である。
【0064】
さらにまた、上述した実施形態は、平板状信号伝送媒体PBを、電気コネクタ1が取り付けられる回路配線基板に対して略垂直の方向に挿入・抜去する構造の電気コネクタに本発明を適用したものであるが、回路配線基板に対して略水平な方向に挿入・抜去する構造の電気コネクタに対しても、本発明は同様に適用することができる。
【0065】
また、上述した実施形態では、ロック部材13がハウジング部材11に一対設けられているが、このような構造に限定されるものではなく、ロック部材13は、ハウジング部材11に、1つ設けられていても、3つ以上設けられていてもよい。
【0066】
さらに、本発明にかかる電気コネクタは、上述した実施形態のような平板状信号伝送媒体の接続を行うものに限定されることはなく、基板と基板、或いはケーブルと基板を電気的に接続する多種多様な電気コネクタに対しても本発明は同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上のように本発明は、電子機器に使用される多種多様な電気コネクタに対して広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 電気コネクタ
11 ハウジング部材
11a 挿入開口部
11b 媒体挿入通路
11c 軸受け凹部
11d 軸受け体
11e 第1係合部
12 コンタクト部材(導電端子)
12a 弾性ビーム部
12b 基板接続脚部
12c 突状接点部
13 ロック部材
13a 係止部
13b 基枠板
13c 固定片
13d ストッパ片
13e 基板接続脚部
13f ロックアーム部材
13g アーム連結部
13h シールド用コンタクト状部材
14 ロック解除部材
14a 本体部分
14b 解除操作部
14c 回動支持軸
14c1 外周摺動面
14c2 ストッパ面
14d 解除作用部
14d1 爪状当接部
14e 第2係合部
PB 平板状信号伝送媒体
PB1 信号導電路
PB2 位置決め部