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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/50 20160101AFI20231122BHJP
   B60K 6/46 20071001ALI20231122BHJP
   B60W 10/00 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
B60W20/50
B60K6/46 ZHV
B60W10/00 900
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019126301
(22)【出願日】2019-07-05
(65)【公開番号】P2021011184
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 浩隆
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-063535(JP,A)
【文献】特開2014-201250(JP,A)
【文献】特開2007-068358(JP,A)
【文献】特開2003-260990(JP,A)
【文献】特開平05-328520(JP,A)
【文献】特開2018-069910(JP,A)
【文献】特開2001-342868(JP,A)
【文献】特開2016-113138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20 - 6/547
B60W 10/00 - 20/50
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリの電力でモータを駆動して車両が走行され、かつ前記バッテリのSOCが所定値以下に低下すると自動的にエンジンを始動させ発電機を介して前記バッテリを充電させるハイブリッド車両であり、
車両の走行を許可するとともに前記エンジンの始動を許可することが可能な状態である走行可能状態の入切操作を行う入切部を有するハイブリッ車両であって、
前記エンジンを始動させる頻度が異なるとともに乗員により選択可能とされており、使用者が意図的に前記エンジンを始動させ前記発電機を介して前記バッテリを充電させるチャージモードを含む複数のモードが設定されたモード選択部と、
ハイブリッド車両の駐車時、前記走行可能状態の切忘れおよび前記チャージモードの切忘れを検出する検出手段と、
前記車両の外面に設けられ、前記走行可能状態の切忘れおよび前記チャージモードの切忘れのいずれか一方が検出されると、車外へ離れる乗員に向けて記切忘れを周囲に視覚的に報知する報知手段と
を有することを特徴とするハイブリッ車両。
【請求項2】
前記検出手段は、ハイブリッド車両のガレージ内の駐車時に、前記チャージモードの切忘れを検出する請求項1に記載のハイブリッド車両。
【請求項3】
前記報知手段は、車体の外面から周囲へ向け発光する発光装置である
ことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッ車両。
【請求項4】
記発光装置は、前記複数のモード毎に割り当てられた発光色で発光する
ことを特徴とする請求項に記載のハイブリッ車両。
【請求項5】
前記報知手段は、
通常時は車体に格納され、前記切忘れが検出されると、周囲から前記車両の外装変化が認識されるよう車体外面から車外へ張り出す作動を行う装備品である
ことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッ車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリーズ方式を採用したハイブリッ車両に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車両では、EV走行の航続距離、すなわちバッテリに蓄えた電力でモータを駆動して走行するEVモードの航続距離を延ばすために、シリーズ方式が採用されつつある。
同シリーズ方式は、バッテリのSOC(電力の残存量)が所定値以下に低下すると、自動的にエンジンを始動させて発電機を駆動し、同発電機を介して得られた電力でモータを駆動しつつ、SOCが低下したバッテリを充電させて走行するモードをいう。
【0003】
多くは、ハイブリッド車両に、エンジン始動の頻度の異なる各種ドライバー選択モード(モード選択部)を設定しておき、乗員が要望するドライバー選択モードを選択することにより、バッテリのSOCが乗員の要望するSOCとなるようにコントロールしたり、好みの加速性能で走行したりできるようにしている。
こうしたハイブリッド車両は、ハイブリッド車両に装備された入切部を入操作することで走行可能状態となり、所望のドライバー選択モードの選択を行うことで各種モードに応じた走行が可能となる。ドライバー選択モードを切るためには、入切部を切操作すればよい。
【0004】
ところで、走行可能状態では、バッテリのSOC低下に応じてエンジンが始動してバッテリの充電を行うために、走行可能状態でハイブリッド車両の駐車が行われた場合、モータやエンジンが停止状態であると(動作音が無い)、乗員は、走行可能状態を切忘れて車外へ離れてしまうことがある。特に、エンジン始動頻度が低くなるバッテリモードを選択していると、走行状態を切忘れて車両から離れてしまう可能性は高まると考えられる。
【0005】
走行可能状態を切忘れたハイブリッド車両は、放置され続けるとバッテリのSOCが低下する。そして、SOCが所定値以下になると、自動的にエンジンを始動させ、バッテリを充電させる。
ところが、駐車されたハイブリッド車両は、意図しないときにエンジン始動が始まるので周囲を驚かす。また長い間、ガレージ内に放置される場合、意図しないときに始動されるエンジンの排気ガスが、ガレージ内に充満するおそれがある。また、乗員が走行可能状態を切忘れて車外へ離れてしまうことはエンジンが停止状態でなくとも想定されるが(焦り、聴覚不良などの理由により)、エンジン始動頻度が高くなるドライバー選択モードを選択している場合、エンジンの排気ガスがガレージ内に充満する速度が早くなってしまうおそれがある。
【0006】
一方、特許文献1では、表示されるドライブモードの照明光の色を変えることが提案されている。
そこで、同技術を入切部やドライバー選択モード(モード選択部)に適用して、乗員に注意喚起を促すことが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2010-190084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、同注意喚起は、車室内の乗員を対象に行われるため、ハイブリッド車から乗員が離れた場合、入切部やドライバー選択モード(モード選択部)の切忘れの注意喚起は乗員へ届かない。
特に駐車時、乗員が車外へ離れると、入切部やドライバー選択モードの切忘れを視覚的に乗員に教える手立てはなく、意図しないときにエンジンが始動して周囲を驚かせたり、ガレージに駐車した場合における排気ガスがガレージ内に充満したりするという問題は改善されるものではなかった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、駐車時における車両走行可能状態の切忘れを車外から認識できるハイブリッド車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の態様は、バッテリの電力でモータを駆動して車両が走行され、かつバッテリのSOCが所定値以下に低下すると自動的にエンジンを始動させ発電機を介してバッテリを充電させるハイブリッド車両であり、車両の走行を許可するとともにエンジンの始動を許可することが可能な状態である走行可能状態の入切操作を行う入切部を有するハイブリッ車両であって、エンジンを始動させる頻度が異なるとともに乗員により選択可能とされており、使用者が意図的にエンジンを始動させ発電機を介してバッテリを充電させるチャージモードを含む複数のモードが設定されたモード選択部と、ハイブリッド車両の駐車時、走行可能状態の切忘れおよびチャージモードの切忘れを検出する検出手段と、車両の外面に設けられ、走行可能状態の切忘れおよびチャージモードの切忘れのいずれか一方が検出されると、車外へ離れる乗員に向けて切忘れを周囲に視覚的に報知する報知手段と有するものとした。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、駐車時、乗員が走行可能状態を切忘れてハイブリッド車両から車外へ離れた場合、報知手段により車両外面から周囲へ向け、走行可能状態を切忘れたことが視覚的に報知される。この報知がもたらす注意喚起により、乗員は走行可能状態の切忘れを認識して、ハイブリッド車両へ戻り、走行可能状態を切操作することになる。
それ故、ハイブリッド車両の駐車時における走行可能状態の切忘れが抑制でき、走行可能状態における意図しないエンジン始動の影響や、同エンジン始動がもたらす排気ガスの影響を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る態様となるハイブリッド車両の各部を示す構成図。
図2】同ハイブリッド車両の外面に設けた発光装置(報知手段)を示す斜視図。
図3】ガレージ内にハイブリッド車両が駐車したときにおいて、走行可能状態やドライバー選択モード(モード選択部)の切忘れの報知が行われた状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を図1から図3に示す一実施形態にもとづいて説明する。
図1は、ハイブリッド車両を示している。
まず、図1(a)~(c)を参照してハイブリッド車両の各部を説明すると、図1中の符号1は車体、3は車体1内に形成された車室内(フロントシートやリアシートが設置される空間)、5は車室内3の前部に形成されたパワーユニット室、7は車室内3に設けたインストルメントパネルを示している。ちなみに、1xは車体前部に配置された前輪、1yは車体後部に配置された後輪、1zは車両を左右(車幅方向)に操舵するハンドルを示している。
【0014】
パワーユニット室5内には、例えば前輪1xを駆動するモータ11や、同モータ11につながるインバータ11aや、エンジン13を駆動源として発電するジェネレータ15(本願の発電機に相当)が収められる。また車体1の床下にはバッテリ17が設けられ、ジェネレータ15からの発電電力がバッテリ17へ入力されたり、バッテリ17からのバッテリ電力がモータ11のインバータ11aへ出力されたりする。ちなみにバッテリ17には、バッテリ17のSOC(電力の残量量)などバッテリ状態を検出するバッテリ状態センサ17aが設けられる。
【0015】
また車室内3には、例えばコントローラ19(例えばECUで構成)が据え付けられる。コントローラ19には、上記各機器や、アクセルペダルに設けたアクセルセンサ(いずれも図示しない)、ブレーキペダルに設けたブレーキスイッチ(いずれも図示しない)や、フロントドア1a(図2に図示)などドア開閉を検出するドア開閉センサ1bや、駐車のための車両ロック操作を行うパーキングスイッチ21が接続される。むろん、コントローラ19には、図示はしないが各種レンジを選択するセレクタ部も接続される。
【0016】
コントローラ19には、乗員の操作によりハイブリッド走行に求められるモードを選択したり、車両を走行可能状態にしたりする入力装置として、例えばタッチパネルを用いたタッチスイッチ部25が接続される。むろん、タッチパネルでなく、一般的に用いられるスイッチ類と表示部(メータ)とが分かれた装置などでもよい。
例えば図1(b)に示されるようにタッチスイッチ部25は、設定部E1と、走行可能状態の入切を行う入切部E2とを有している。このうち設定部E1に、ハイブリッド走行に求められるモードの選択を行うモード選択部であるドライバー選択モードXが設けられる。また入切部E2には、車両を走行可能状態にするスイッチ類Yが設けられる。図1では「走行可能状態」として示唆。
【0017】
スイッチ類Yは、車両の走行を許可するとともにエンジン13の始動を許可することが可能な状態である走行可能状態の入切操作を行うもので、例えばハイブリッド車両を走行可能状態にする「READY-ON」たるレディオン部β1と、同走行可能状態を解除する「READY-OFF」たるレディオフ部β2とを有している。
ちなみに、レディオン部β1は、例えばブレーキペダルを踏みつつオン操作することで、車両が走行可能状態、すなわち車両の走行を許可するとともにエンジン13の始動を許可することが可能な状態となり、レディオフ部β2は、オフ操作により同走行可能状態の解除が行われる。
【0018】
ドライバー選択モードXは、バッテリ充電に関するモード群αと、車両の走行に関するモード群γとを有している。
バッテリ充電に関するモード群α(モード選択部に相当)には、エンジン始動の頻度を異ならせた複数のモード、例えば通常時に使用されるSOC値を閾値に用いてエンジン13を自動的に始動させて充電を可能にしたノーマルモードα1や、通常時よりも低いエンジン13の使用頻度に抑えるEVモードα2や、現在のSOC値が保たれるようエンジン13の使用頻度をセーブするセーブモード部α3といった複数のスイッチが設定されている。
【0019】
モード群αには、この他、乗員の手動操作により意図的(強制的)にエンジン13を始動させ発電機15を介してバッテリ17を充電させるチャージモード部α4も設定されている(本願のチャージモードに相当)。ちなみに、チャージモード部α4は、手動操作でバッテリ17を満充電付近まで充電させるモードである
車両の走行に関するモード群γは、加速性能の異なる複数のモードでなる。例えば通常走行の加速に適した加速性能をもたらすノーマルモードγ1(加速性能:中)や、同加速性能よりも高い加速性能をもたらす加速性を重視したスポーツモードγ2(加速性能:大)や、加速よりも電費(ガソリン車の燃費に相当)を重視した低い加速性能となるエコモードγ3(加速性能:小)など車両の加速性能を選択可能とした複数のスイッチを有して構成される。いずれのモードγ1~γ3も、モータ11の作動を制御して、所望の加速性能を確保するものである。
【0020】
これにより、例えばハイブリッド車両は、ブレーキペダルを踏みつつレディオン部β1を操作(オン操作)する。またドライバー選択モードX(モード群α、モード群γ)から所望のモードを選択する。そして、セレクタ部をパーキングレンジからドライブレンジ(いずれも図示しない)にシフトし、アクセルペダル(図示しない)を踏込むと、アクセルペダルの開度にしたがい、バッテリ充電に関するモード群αから選択されたモードα1~α3、車両の走行に関するモード群γから選択されたモードγ1~γ3にもとづき走行が行われる。
【0021】
ハイブリッド車両が駐車するときは、例えばブレーキ操作、アクセル操作、ハンドル操作などで所望の位置に停車させてから、パーキングレンジにシフトして、パーキングスイッチ21をオンし、レディオフ部β2を操作(切操作)すると、ハイブリッド車両の走行可能な状態が解除され、駐車状態へ至る。つまり、レディオフ部β2を操作すると、バッテリモードαは解除(切)される。
【0022】
こうしたハイブリッド車両に、走行可能状態の切忘れを防ぐ切忘れ防止装置31が設けられている。同切忘れ防止装置31は、ハイブリッド車両の駐車時、レディオフ部β2の切忘れが生じた場合、当該切り忘れを周囲(車外)に視覚的に報知するものである。
これには、レディオフ部β2を操作せず(切操作)、乗員がハイブリッド車両から離れた場合、車体1の外面に設けた報知手段、例えば発光装置を作動させて(発光)、離れた乗員に注意喚起を促す構造が用いられている。
【0023】
具体的には、例えば図2に示されるように車体1(ドアを含む)の幅方向両側の側面中段や、側面下段や、車体1の前面および後面に、それぞれ発光装置として、多色発光が可能な複数のLEDから構成される帯形のLED発光装置31a,31bが設けられる。
なお、車体側面のLED発光装置31aは片側しか図示していない。これらLED発光装置31a,31bが、コントローラ19とつながる。
【0024】
LED発光装置31a、31bにおける発光色としては、各モードα1~α4毎、異なる発光色が割り当てられている。
またコントローラ19には、レディオフ部β1の信号、ドライバー選択モードXの信号、フロントドア1aの開閉を検出するドア開閉センサ1bの信号(車両のドア開閉である)などにもとづき走行可能状態の切忘れやチャージモードα4の切り忘れを検出する検出機能(本願の検出手段に相当)、これら切忘れを検出するとLED発光装置31a,31bを、各モードα1毎に割り当てられた発光色で発光動作させる発光機能が設定されている。
【0025】
つまりコントローラ19は、車室内3の乗員(運転者)が、駐車操作を終えた後、レディオフ部β2やチャージモードα4を切忘れたまま、乗員がフロントドア1aを開閉して車室内3から車外へ出ると、LED発光装置31a,31bを各モード毎に割り当てられた発光色で発光させる。
これにより、車外(周囲)へ向け、すなわち車外へ離れる乗員へ向け、車両走行可能状態や意図的に充電するチャージモードα4を切忘れたことが報知される。
【0026】
つまり、乗員への注意喚起が施される。特に発光色は、各モードα1~α4毎、 異なるので、何のモードのとき切り忘れたかの報知も同時に行われ、的確に乗員へ情報が伝えられる。
むろん、報知により乗員が、走行可能状態の切忘れに気付いて(認識)、ハイブリッド車両へ戻り、レディオフ部β2を操作(切操作)すると、走行可能状態は解除され、LED発光装置31a.31bの発光は止まる。
【0027】
つぎに、図1図3を参照して切忘れ防止装置31の作用について説明する。
今、ハイブリッド車両は、レディオン部β1が操作されることによって走行が可能な状態(走行可能状態)となり、セレクタ部(図示しない)がドライブレンジにシフトされ、ノーマルモードα1~α3のいずれかが選択され、ノーマルモードγ1~γ3のいずれかが選択されることによって、走行されているとする。
【0028】
ここで、図3に示されるように例えばガレージ41内でハイブリッド車両を駐車させるとする。
このときは、ドライブレンジあるいはリバースレンジ(いずれもセレクタ部)で、ブレーキ操作、アクセル操作、ハンドル操作を駆使して、ハイブリッド車両をガレージ41内の所望位置に停車させてから、パーキングレンジにシフトし、パーキングスイッチ21をオンし、レディオフ部β2を操作(切操作)すると、ハイブリッド車両の状態、すなわち車両が走行可能な状態は解除され、駐車状態へ至る。
【0029】
このとき、車室内3の乗員(運転者)が、レディオフ部β2を操作せずに(切操作)、フロントドアを開閉して、車外へ離れてしまうことがある。
すなわち、モードα1~α3は、いずれも意図しない時期に自動的にエンジン13が始動され、バッテリ17を充電するモードのため、多くはモータ11やエンジン13は停止状態である(動作音:無)。このため、車室内3の乗員(運転者)は、走行可能状態であることに気付かず、そのままフロントドア1aから車外へ離れることがある(走行可能状態の切忘れ)。特にエンジン始動頻度が低くなるモードを選択している場合、乗員が車外へ離れる可能性は高まる。
【0030】
このときコントローラ19は、レディオン部β1がオンのまま、フロントドア1aが開閉されたことを検出するため、ハイブリッド車両の走行可能状態は解除されないまま、乗員が車外へ離れたと判定する。つまり、コントローラ19は、「走行可能状態の切忘れ」が生じたことを検出する。
切忘れたときのハイブリッド車両のモードα1~α3は、SOCが所定値以下になると自動的にエンジン13を始動させて充電を始めるモードのため、周囲を驚かせるだけでなく、長い間、ガレージ41に報知され続ける場合、始動されるエンジンの排気ガスがガレージ41内に充満するなどの影響を与える。特にエンジン始動頻度が高くなるモードを選択している場合、排気ガスが充満する速度が早い。
【0031】
そこで、コントローラ19は、図3に示されるようにハイブリッド車両の走行可能状態を切忘れたまま、乗員が車外へ離れると、車両外面のLED発光装置31a,31bを、各モードα1~α3毎、割り当てられた発光色で発光動作させる。これにより、車外(周囲)へ向け、すなわち車外へ離れる乗員(運転者)へ向け、走行可能状態の切忘れが報知される。
【0032】
つまり、乗員(運転者)へ向け、注意喚起が促される。注意喚起は、単なる発光動作でなく、点滅動作でも構わない。
このとき、LED発光装置31a,31bの発光色の違いによって、モードα1~α4のうち何のモードで切り忘れたかの報知も同時に行われるので、的確に乗員へ情報が伝えられる。
【0033】
ちなみに、チャージモードα4を切忘れたまま、乗員が車外へ離れた場合についても、LED発光装置31a,31bの異なる発光色にて切忘れが報知される(注意喚起)。
こうした発光動作による注意喚起により、車外へ離れた乗員は、走行可能状態の切忘れを認識して、ハイブリッド車両へ戻り、レディオフ部α2を操作(切操作)すると、走行可能状態は解除される。つまり、意図しないエンジン始動が防げる。
【0034】
それ故、レディオフ部β2の切忘れを周囲へ視覚的に報知させることにより、ハイブリッド車両の駐車時における走行可能状態の切忘れを防ぐことができ、走行可能状態における意図しないエンジン始動の影響や、同エンジン始動がもたらす排気ガスの影響を解消することができる。
しかも、報知には、車体外面に設けたLED発光装置31a,31b(発光装置)を用いたので、車外へ離れる乗員に的確に注意喚起を促すことができる。
【0035】
そのうえ、LED発光装置31a,31bは、エンジン始動頻度を選択するモード毎に割り当てられた発光色で発光させたので、どのようなエンジン始動頻度のモードでの切忘れかを伝えることができ、認識しやすい。
また、乗員が手動操作で意図的にバッテリ17を充電させるチャージモードα4の切忘れについても、同様に報知が行われるので、無用なチャージモードα4の作動を防ぐことができる。
【0036】
なお、本発明は、一実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々可変して実施しても構わない。例えば一実施形態では、車体外面(前後、左右)に設けた発光装置を用いて、車両の走行可能状態の切忘れを報知する例を挙げたが、これに限らず、他の手段、例えば車体の外面形状を変化させることで、車両の走行可能状態の切忘れが報知されるようにしてもよい。
【0037】
例えば図1および図2中の二点鎖線に示されるように車体1の前後左右に、通常時は車体1に格納され、レディオフ部β2の操作忘れが検出されると、車体外面から自動的に車外へ張り出す作動を可能とした装備品、例えば可変形のフロントスポイラ装置51a,可変形のサイドスポイラ装置51b、可変形のリヤスポイラ装置51cを設けて、外装形状の変化にて、ハイブリッド車両の走行可能状態の切忘れを周囲から報知させるようにしても、上述した一実施形態と同様の作用効果をもたらすことができる。
【0038】
むろん、外装形状の変化と一実施形態の発光動作との双方を組み合わせて、ハイブリッド車両の走行可能状態の切忘れを報知するようにしても構わない。
【符号の説明】
【0039】
1 車体
11 モータ
13 エンジン
15 ジェネレータ(発電機)
17 バッテリ
19 コントローラ(検出手段)
31 切忘れ防止装置
31a,31b LED発光装置(報知手段)
51a,51b,51c 可変形フロントスポイラ装置,可変形サイドスポイラ装置、可変形リヤスポイラ装置(装備品)
α モード群(モード選択部)
α4 チャージモード
β1、β2 レディオン部、レディオフ部(入切部)
図1
図2
図3