(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】流体混合装置
(51)【国際特許分類】
B01F 25/31 20220101AFI20231122BHJP
B01F 23/2326 20220101ALI20231122BHJP
B01F 25/313 20220101ALI20231122BHJP
B01F 35/83 20220101ALI20231122BHJP
【FI】
B01F25/31
B01F23/2326
B01F25/313
B01F35/83
(21)【出願番号】P 2020048616
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127845
【氏名又は名称】石川 壽彦
(72)【発明者】
【氏名】浦部 治貴
(72)【発明者】
【氏名】淺香 竜太
(72)【発明者】
【氏名】山口 以昌
(72)【発明者】
【氏名】松本 繁則
【審査官】山田 陸翠
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-206071(JP,A)
【文献】特開2011-056400(JP,A)
【文献】実開昭59-179266(JP,U)
【文献】特開2012-030200(JP,A)
【文献】特開2013-208555(JP,A)
【文献】特開2016-030000(JP,A)
【文献】特開2000-007033(JP,A)
【文献】特開2020-037052(JP,A)
【文献】特開2010-158621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 21/00-25/90
B01F 35/00-35/95
B05B 7/00- 7/32
C10L 3/00- 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主流管を流れるガス状の第1流体に、前記主流管の途中で液状の第2流体を供給することによって両流体を混合する流体混合装置であって、
前記主流管内に配設された前記主流管よりも小径の副流管と、該副流管に前記第2流体を供給する第2流体供給管と、前記主流管と前記副流管によって挟まれた隙間主流路の流路断面積を調整することで前記副流管に流入する前記第1流体の流量を調整する流路断面積調整弁を備えたことを特徴とする流体混合装置。
【請求項2】
前記主流
管にベンチュリ管を設け、前記副流管の出口側を前記ベンチュリ管ののど部またはその上流側に配置したことを特徴とする請求項1記載の流体混合装置。
【請求項3】
前記流路断面積調整弁を操作するアクチュエータと、前記流路断面積調整弁よりも上流側及び/又は下流側を流れる流体の圧力を検知する検知装置と、該検知装置の検知信号に基づいて前記アクチュエータを制御する制御部を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の流体混合装置。
【請求項4】
前記流路断面積調整弁を操作するアクチュエータと、前記副流管を流れる流体の流量又は流速を検知する検知装置と、該検知装置の検知信号に基づいて前記アクチュエータを制御する制御部を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の流体混合装置。
【請求項5】
前記流路断面積調整弁を操作するアクチュエータと、前記流路断面積調整弁よりも上流側を流れる流体の流量を検知する第1流量検知装置と、前記隙間主流路を流れる流体の流量を検知する第2流量検知装置と、前記第1流量検知装置及び前記第2流量検知装置の検知信号に基づいて前記アクチュエータを制御する制御部を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の流体混合装置。
【請求項6】
前記流路断面積調整弁は、前記隙間主流路を閉止可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の流体混合装置。
【請求項7】
前記流路断面積調整弁は、主流路に交差方向に板状体を移動可能なシャッター弁であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の流体混合装置。
【請求項8】
前記流路断面積調整弁は、前記隙間主流路に直交する軸を中心に板状の弁体を回転するバタフライ弁であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の流体混合装置。
【請求項9】
前記バタフライ弁は、閉止状態で前記副流管の入口に相当する部位に開口を有することを特徴とする請求項8記載の流体混合装置。
【請求項10】
前記副流管の上流側の端部は前記主流管の管壁側に屈曲していることを特徴とする請求項9記載の流体混合装置。
【請求項11】
前記副流管の入口は、前記主流管の中央部に配置され、前記副流管の入口近傍の管壁には、前記バタフライ弁を閉止した際に、該バタフライ弁と前記副流管の管壁との隙間を閉止するバッフル板が設けられていることを特徴とする請求項9に記載の流体混合装置。
【請求項12】
前記バタフライ弁は、前記副流管を挟む2枚の板状の弁体によって構成されていることを特徴とする請求項8に記載の流体混合装置。
【請求項13】
前記副流管の入口は扁平状に拡径する拡径部を有し、該拡径部の上流端の側面が前記主流管の管壁に当接しており、前記バタフライ弁の2枚の弁体は前記拡径部を挟むように設けられていることを特徴とする請求項12記載の流体混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主流管を流れるガス状の流体に液状の流体を添加して混合を行う流体混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液化天然ガス(以下、「LNG」という)を気化して都市ガスとして供給する際、熱量調整を行っている。近年はシェールガスなどメタン成分の多いLNGの輸入が増加しており、都市ガス用に増熱する場合が多い。熱量調整はLNGを気化させた天然ガス(以下、「NG」という)に熱量調整用の熱調剤(例えば、LPG)を混合することにより行う。
【0003】
このようにNGに熱調剤を混合する場合、NGの流量が都市ガス需要量に応じて変動するため、NG流量が変動しても一定の熱量調整ができるようにする必要がある。
このような工夫をしたものとして、例えば特許文献1に開示された「流体混合装置」がある。
特許文献1に開示のものは、「主流管を流れる第1流体に、主流管の途中で第2流体を供給することによって両流体を混合する流体混合装置であって、前記主流管から分岐して設けられ、流路断面が前記主流管よりも小さい小径部を有すると共に出口側を前記主流路における前記分岐流路の分岐位置よりも下流側に接続された分岐管と、該分岐管の前記小径部又はその近傍に設けられて前記第2流体を供給する第2流体供給口と、前記主流管における前記分岐管の分岐部よりも下流側かつ前記分岐管の出口部より上流側に設けられて前記主流管を流れる流量を調整する流量調整弁とを備えたことを特徴とする流体混合装置。」である(特許文献1の請求項4参照)。
【0004】
そして、上記の特許文献1の流体混合装置においては、「主流路よりも流路断面が小さい小径部を有する分岐流路を前記主流路から分岐して設け、該分岐流路の出口側を主流管に配置し、該分岐流路における前記小径部又はその近傍に前記第2流体の供給部を設け、前記主流路の流量を調整することにより前記分岐流路の前記小径部を流れる前記第1流体の流速を、前記第1流体と前記第2流体の混合に必要な流速に保つようにしたので、広い流量範囲に対して高い混合効果を確実に得ることが可能となる。」としている(特許文献1の[0020]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の流体混合装置においては、分岐流路を主流路より分岐させ、主流路の外側から再び導入しているため、分岐流路を設けるための分岐管が必要となりその分だけ装置サイズが大きくなり、実プラントでの設置エリアが増大してしまうという問題がある。
また、分岐流路を形成する分岐管を主流路の外側で引き回しており、圧力損失が増大し、その分だけNG輸送動力コストが増加してしまうという問題もある。
【0007】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、圧力損失を抑制できると共に装置サイズを大きくすることなく、主流管を流れるガス状の流体の流量変動があっても、高い混合効果を得られる流体混合装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る流体混合装置は、主流管を流れるガス状の第1流体に、前記主流管の途中で液状の第2流体を供給することによって両流体を混合する流体混合装置であって、
前記主流管内に配設された前記主流管よりも小径の副流管と、該副流管に前記第2流体を供給する第2流体供給管と、前記主流管の主流路の流路断面積を調整することで前記副流管に流入する前記第1流体の流量を調整する流路断面積調整弁を備えたことを特徴とするものである。
【0009】
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記主流路にベンチュリ管を設け、前記副流管の出口側を前記ベンチュリ管ののど部またはその上流側に配置したことを特徴とするものである。
【0010】
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記流路断面積調整弁を操作するアクチュエータと、前記流路断面積調整弁よりも上流側及び/又は下流側を流れる流体の圧力を検知する検知装置と、該検知装置の検知信号に基づいて前記アクチュエータを制御する制御部を備えたことを特徴とするものである。
【0011】
(4)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記流路断面積調整弁を操作するアクチュエータと、前記副流管を流れる流体の流量又は流速を検知する検知装置と、該検知装置の検知信号に基づいて前記アクチュエータを制御する制御部を備えたことを特徴とするものである。
【0012】
(5)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記流路断面積調整弁を操作するアクチュエータと、前記流路断面積調整弁よりも上流側を流れる流体の流量を検知する第1流量検知装置と、前記副流管と前記主流管の隙間の主流路を流れる流体の流量を検知する第2流量検知装置と、前記第1流量検知装置及び前記第2流量検知装置の検知信号に基づいて前記アクチュエータを制御する制御部を備えたことを特徴とするものである。
【0013】
(6)また、上記(1)乃至(5)のいずれかに記載のものにおいて、前記流路断面積調整弁は、主流路を閉止可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0014】
(7)また、上記(1)乃至(6)のいずれかに記載のものにおいて、前記流路断面積調整弁は、主流路に交差方向に板状体を移動可能なシャッター弁であることを特徴とするものである。
【0015】
(8)また、上記(1)乃至(6)のいずれかに記載のものにおいて、前記流路断面積調整弁は、主流路に直交する軸を中心に板状の弁体を回転するバタフライ弁であることを特徴とするものである。
【0016】
(9)また、上記(8)に記載のものにおいて、前記バタフライ弁は、閉止状態で前記副流管の入口に相当する部位に開口を有することを特徴とするものである。
【0017】
(10)また、上記(9)に記載のものにおいて、前記副流管の入口は、前記主流管の管壁近傍に配置されていることを特徴とするものである。
【0018】
(11)また、上記(9)に記載のものにおいて、前記副流管の入口は、前記主流路の中央部に配置され、前記副流管の入口近傍の管壁には、前記バタフライ弁を閉止した際に、該バタフライ弁と前記副流管の管壁との隙間を閉止するバッフル板が設けられていることを特徴とするものである。
【0019】
(12)また、上記(8)に記載のものにおいて、前記バタフライ弁は、前記副流管を挟む2枚の板状の弁体によって構成されていることを特徴とするものである。
【0020】
(13)また、上記(12)に記載のものにおいて、前記副流管の入口は扁平状に拡径する拡径部を有し、該拡径部の上流端の側面が前記主流管の管壁に当接しており、前記バタフライ弁の2枚の弁体は前記拡径部を挟むように設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明においては、主流管内に配設された前記主流管よりも小径の副流管と、該副流管に液状の第2流体を供給する第2流体供給管と、前記主流管の主流路の流路断面積を調整することで前記副流管に流入するガス状の第1流体の流量を調整する流路断面積調整弁を備えたことにより、主流管を流れるガス状の流体の流量変動があっても高い混合効果を得られると共に、従来例のように、分岐管を設ける必要がなく省スペースであり、かつ、分岐管のように、主流路の外側で引き回す必要がなく、分岐管のような大きな圧力損失も発生せず、ガス輸送動力コストの増加を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施の形態1に係る流体混合装置の平断面図である。
【
図2】
図1に示した流体混合装置の一部を拡大して示す斜視図(a)、及びシャッター弁の説明図(b)である。
【
図3】
図1に示したシャッター弁の動作説明図である。
【
図4】
図1に示した流体混合装置の他の態様の説明図である(その1)。
【
図5】
図1に示した流体混合装置の他の態様の説明図である(その2)。
【
図6】
図1に示した流体混合装置の他の態様の説明図である(その3)。
【
図7】
図1に示した流体混合装置の他の態様の説明図である(その4)。
【
図8】
図1に示した流体混合装置の他の態様の説明図である(その5)。
【
図9】実施の形態2に係る流体混合装置の平断面図である。
【
図10】
図9に示した流体混合装置の動作説明図である。
【
図11】実施の形態2に係る流体混合装置の他の態様の平断面図である(その1)。
【
図14】実施の形態2に係る流体混合装置の他の態様の平断面図である(その2)。
【
図17】実施の形態2に係る流体混合装置の他の態様の平断面図である(その3)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[実施の形態1]
本発明の一実施の形態に係る流体混合装置1は、
図1に示すように、主流管3を流れるガス状の第1流体に、主流管3の途中で液状の第2流体(添加剤)を供給することによって両流体を混合するものであって、主流管3内に配設された主流管3よりも小径の副流管5と、副流管5に第2流体を供給する第2流体供給管7と、主流管3の主流路8、8aの流路断面積を調整することで副流管5に流入する第1流体の流量を調整する流路断面積調整弁としてのシャッター弁9を備えたものである。
本実施の形態1においては、主流管3にベンチュリ管11を設置してベンチュリ型混合装置として構成したものである。
なお、本実施の形態に係る流体混合装置1は、例えば、第1流体としてLNGを気化したNGに、第2流体としてLPGを添加することにより増熱して都市ガスを製造する際に用いられるものである。
以下、各構成を詳細に説明する。
【0024】
<主流管>
主流管3は、ガス状の第1流体(例えばNG)が流れる管である。主流管3の形状は特に限定されるものではなく、本実施の形態では、
図2、
図3に示すように軸方向直交断面が矩形状であるが、軸方向直交断面が円形であってもよい。
本発明の主流路は、主流管3によって形成される流路であり、副流管5が配置されている部位では、主流管3と副流管5によって挟まれた流路が主流路となる。そのため、本実施の形態では、主流管3と副流管5によって挟まれた主流路を隙間主流路8aと表記し、それ以外の主流路を主流路8と表記している。
【0025】
<副流管>
副流管5は、主流管3内に配設され、主流管3よりも小径の管である。
副流管5は、図示しないステー等によって主流管3内に配設されるが、
図1に示すように、主流管と平行となるように配置されるのが好ましい。
副流管5は主流管3よりも小径で、その流路断面積は主流管3よりも小さいため、主流路8を流れるNG流量が一定の場合、隙間主流路8aを流れるNG流量を相対的に減少させて副流管5を流れるNG流量を増加させることで、副流管5を流れるNGの流速が主流路8の流速よりも速くなる。このため、副流管5に第2流体供給管7を介して供給される液状の第2流体(例えば、LPG)の微粒化が促進される。
【0026】
<第2流体供給管>
第2流体供給管7は、副流管5に第2流体を供給する管である。第2流体供給管7から供給される液状の第2流体は、副流管5を流れる第1流体のガス流れによって微粒化されて第1流体と混合される。
第2流体供給管7における第2流体の出口部7aは、
図1に示すように、副流管5の管壁に設けられ、副流管5の管軸と第2流体供給管7の出口部7aの管軸が直交するようになっている。
もっとも、第2流体供給管7の出口部7aの形状は、
図1に示すものに限られず、先端部分を屈曲して副流管5の管軸と平行にしてもよい。
【0027】
<シャッター弁>
シャッター弁9は、本発明の流路断面積調整弁の一態様であり、主流管3の隙間主流路8aの流路断面積を調整することで副流管5に流入する第1流体の流量を調整する弁である。
シャッター弁9は、
図1、
図2、
図3に示すように、副流管5の周壁に沿う円弧状の凹部13aを有する2枚の板状体13を有し、この2枚の板状体13が副流管5を挟んで図中上下に移動可能に構成されている。
シャッター弁9を全閉した状態では、
図1、
図2に示すように、隙間主流路8aが全閉状態となり、副流管5の上流側から流れてくる第1流体は全てが副流管5を通過することになる。
【0028】
他方、シャッター弁9を全開した状態では、
図3に示すように、隙間主流路8aが全開状態となり、副流管5の上流側から流れてくる第1流体は、副流管5の外側の隙間主流路8aと、副流管5の内側の両方を通過することになる。
そして、シャッター弁9の開度を調整することで、隙間主流路8aを通過する第1流体の流量を調整することで、副流管5を通過する第1流体の流量を調整できる。すなわち、第1流体の総流量が同じであれば、シャッター弁9の開度を小さくすれば副流管5を流れる第1流体の流量が相対的に増加し、逆にシャッター弁9の開度を大きくすれば副流管5を流れる第1流体の流量が相対的に減少する。
【0029】
逆に言えば、第1流体の流量が変化する場合に、シャッター弁9の開度を調整することで、副流管5を流れる第1流体の流量を一定にすることができる。すなわち、第1流体の総流量が減少すると、シャッター弁9の開度を小さくして副流管5を流れる第1流体の流量を相対的に増加させることで副流管5を流れる第1流体の流量を総流量の変化前と同じ流量にすることができ、また、第1流体の総流量が増加すると、シャッター弁9の開度を大きくして副流管5を流れる第1流体の流量を相対的に減少させることで副流管5を流れる第1流体の流量を総流量の変化前と同じ流量にすることができる。
【0030】
このようにしているのは、特許文献1でも開示されているように、副流管5を通過する第1流体の流量を一定にして副流管5を流れる第1流体の流速を一定にすることで、第1流体の流量変化があった場合にも副流管5に供給される液状の第2流体の微粒化を確実に行えるようにするためである。
【0031】
シャッター弁9の操作は手動でもよいが、
図4に示すように、シャッター弁9の上流側と下流側の両方に設けられてシャッター弁9の一次圧および二次圧を検知する圧力検知装置15、シャッター弁9を操作するアクチュエータ17、圧力検知装置15の検知信号を入力してアクチュエータ17を制御する制御部19を設けて、自動制御するようにしてもよい。
この場合、圧力検知装置15によって検知される一次圧と二次圧の差圧が予め定めた所定値になるように、シャッター弁9の開度を調整する。
【0032】
<動作説明>
上記のように構成された本実施の形態の動作について、シャッター弁9を自動制御する場合を例に挙げて説明する。なお、第1流体がNG、第2流体がLPG、混合流体が都市ガスとする。
NG流量は都市ガスの需要量によって変動するが、NG流量が多い場合には、シャッター弁9は
図3に示すように開いた状態になっている。
【0033】
上流側から供給されるNGは、副流管5を通過する際に副流管5の内側及び副流管5の外側の隙間主流路8aを流れる。副流管5には第2流体供給管7からLPGが供給されており、副流管5を流れるNGのガス流れによってLPGの微粒化・混合が行われ、ベンチュリ管11ののど部11aに流入する。
他方、隙間主流路8aを流れるNGものど部11aに流入し、のど部11aにおいて、LPGの混合が促進される。
【0034】
NGの流量は都市ガスの需要量に応じて成り行きで増減する。例えば、都市ガス需要量が減少し、主流路8を流れるNGの流量が減少すると、副流管5を流れるNG流量が所定値よりも減少し、副流管5内の流速が低下するためLPGの微粒化・混合が不十分になることが懸念される。
この場合、主流路8を流れるNGの圧力損失が小さくなり、圧力検知装置15で検知される一次圧と二次圧の差圧が低下する。そこで、圧力検知装置15で検知される一次圧と二次圧の差圧が所定値Aよりも低くなったら、シャッター弁9を閉止方向に動かし、隙間主流路8a流路断面積を小さくすることによって副流管5を流れるNG流量が所定値を維持するようにする。
副流管5を流れるNG流量を所定値以上に維持することで、副流管5における流速が維持されLPGの微粒化・混合効果を確保することができる。
【0035】
逆に、都市ガス需要量が増加し、主流路8を流れるNGの流量が増加し、副流管5を流れるNG流量が所定量よりも増加すると圧力損失が大きくなり、圧力検知装置15で検知される一次圧と二次圧の差圧が上昇する。
そこで、圧力検知装置15で検知される一次圧と二次圧の差圧が所定値Bよりも高くなったら、シャッター弁9の開度を大きくして隙間主流路8aを流れる量を増やし、副流管5を流れるNG流量を減少させる。ここで、所定値B≧所定値Aの関係にある。
主流管3を流れるNGの圧力検知装置15で検知される一次圧と二次圧の差圧を所定値A以上B以下にすることで、副流管5における流速が所定の範囲に維持されLPGの微粒化・混合を十分にすることができる。
【0036】
以上のように、本実施の形態によれば、主流路8を流れる流量が大きく変化してもLPGが供給される副流管5のNG流速を所定の流速に維持することができ、LPGの微粒化・混合効果が得られる。
しかも、副流管5が主流管3の内部に配設されているので、従来例のように、分岐管を設ける必要がなく省スペースであると共に、分岐管のように、主流管3の外側で引き回す必要がなく、分岐管のような大きな圧力損失も発生せず、流体輸送動力コストの増加を抑制できる。
【0037】
なお、シャッター弁9の自動制御の場合には、系が一次圧一定の場合、
図5に示すように、シャッター弁9の下流側に圧力検知装置15を設け、シャッター弁9の下流側の二次圧を検知し、この圧力に基づいてアクチュエータ17を制御するようにしてもよい。この場合、主流路8を流れるNGの流量が減少すると圧力損失が低下し、圧力検知装置15で検知される二次圧が上昇するから、シャッター弁9を閉止方向に動かし、隙間主流路8a流路断面積を小さくすることによって副流管5を流れるNG流量が所定値を維持するようにする。逆に、主流路8を流れるNGの流量が増加すると圧力損失が大きくなり、圧力検知装置15で検知される二次圧が低下するから、シャッター弁9の開度を大きくして隙間主流路8aを流れる量を増やし、副流管5を流れるNG流量を減少させる。
さらには、系が二次圧一定の場合、
図6に示すように、圧力検知装置15をシャッター弁9の上流側に設け、シャッター弁9の上流側の一次圧を検知し、この圧力に基づいてアクチュエータ17を制御するようにしてもよい。この場合、主流路8を流れるNGの流量が減少すると圧力損失が低下し、圧力検知装置15で検知される一次圧が低下するから、シャッター弁9を閉止方向に動かし、隙間主流路8a流路断面積を小さくすることによって副流管5を流れるNG流量が所定値を維持するようにする。逆に、主流路8を流れるNGの流量が増加すると圧力損失が大きくなり、圧力検知装置15で検知される一次圧が上昇するから、シャッター弁9の開度を大きくして隙間主流路8aを流れる量を増やし、副流管5を流れるNG流量を減少させる。
【0038】
また、圧力検知装置15に代えて、流量を検知する流量検知装置16を設けて、流量検知装置16の検知信号に基づいてアクチュエータ17を操作するようにしてもよい。この場合には、副流管5を流れる流体の流量を検知するように流量検知装置16を設け(
図7参照)、流量を一定値に保つようにアクチュエータ17を操作する。
【0039】
また、流量を検知する流量検知装置16に代えて、流速を検知する流速検知装置を設けてもよく、この場合、流速検知装置は、
図7に示す流量検知装置16と同じ位置に設け、この流速検知装置の検知信号に基づいて、流速を一定値に保つようにアクチュエータ17を操作すればよい。
【0040】
さらには、
図8に示すように、流量検知装置16をシャッター弁9の上流側の主流路8と下流側の隙間主流路8aの両方に設けて、これら2つの流量検知装置16(本発明の第1流量検知装置、第2流量検知装置)の検知信号に基づいて、一次側と二次側の流量差が一定になるようにアクチュエータ17を制御するようにしてもよい。
【0041】
[実施の形態2]
実施の形態1においては、流路断面積調整弁としてシャッター弁9を挙げたが、本発明の流路断面積調整弁はこれに限られず、主流路8に直交する軸を中心に回転するバタフライ弁であってもよい。
流路断面積調整弁としてバタフライ弁を用いた流体混合装置20について、
図9、
図10に基づいて説明する。
図9(a)は、流体混合装置20の平断面図であり、
図9(b)はバタフライ弁を示している。なお、
図9、
図10において、
図1と同一部分には同一の符号が付してある。
【0042】
本実施の形態のバタフライ弁21は、円形板からなる弁体23と、弁体23を回転させる回転軸25と、回転軸25を操作する操作部27とを有し、弁体23における周縁側に偏った位置に円形の開口部23aが設けられている。
開口部23aは、弁体23で隙間主流路8aを閉止した際に、第1流体が副流管5に向かって通過する通路を形成するものである。
副流管5の上流側の端部は、
図9、
図10に示すように、主流管3の管壁側に屈曲しており、その上流端が弁体23の開口部23aに位置するようになっている。副流管5の上流側の端部を主流管3の管壁側に屈曲させているのは、弁体23を回動するときに弁体23が副流管5に干渉するのを避けるためである。
【0043】
上記のように構成されたバタフライ弁21においては、閉止状態では、
図9に示すように、隙間主流路8aが弁体23で閉じられて、弁体23の開口部23aが副流管5と連通している。この状態では、第1流体は全て副流管5を流れることになる。
操作部27を操作して、
図9の矢印で示す方向に回転軸25を回転することで、
図10に示すように、弁体23と主流管3の管壁との間に隙間が形成される。この状態では、第1流体は隙間主流路8aと副流管5の両方を流れることができる。
【0044】
図9、
図10に示す例では、副流管5の上流側の端部を主流管3の管壁側に屈曲させて弁体23との干渉を避けるようにしているが、同様の目的を達成するために、
図11~
図13に示すように、副流管5を直管として、弁体23に設ける開口部23aを楕円形にしてもよい。
この場合、バタフライ弁21を全閉にした状態でも、
図12の斜線で示す部分には隙間29が形成され、全ての第1流体が副流管5を通過するようにすることはできない。しかし、副流管5を直管とすることができ、構造が簡単である。
【0045】
もっとも、バタフライ弁21を閉じた状態で
図12に示すような隙間29が形成されるのを防止するために、
図14~
図16に示すように、副流管5の上流端部に隙間29を覆うバッフル板31を設けるようにしてもよい。このようにすれば、
図15に示すように、バタフライ弁21を閉じた状態で隙間29が形成されず、全ての第1流体を副流管5に流すことができる。
【0046】
本発明に係るバタフライ弁21の他の態様として、
図17~
図19に示すように、弁体を、副流管5を挟む2枚の板状の弁体33によって構成してもよい。
この場合、副流管5の上流端の入口は扁平状に拡径する拡径部35を有し(
図18参照)、拡径部35の上流端の側面が主流管3の管壁に当接しており、バタフライ弁21の2枚の弁体33は拡径部35の上下を挟むように設けられている。
このような構造であれば、バタフライ弁21を全閉にした際に全ての第1流体を副流管5に流すことができる。
【0047】
バタフライ弁21の操作は手動でもよいが、シャッター弁9の操作(
図4~
図8参照)と同様に、圧力検知装置、流量検知装置、流速検知装置、アクチュエータ、制御部を設けて自動制御するようにしてもよいことはいうまでもない。
【0048】
なお、上記の実施の形態で示した流路断面積調整弁(シャッター弁9、バタフライ弁21)は、主流路のうちの隙間主流路8aの流路断面積を調整する態様のものであり、そのため、シャッター弁9は隙間主流路8aに配置され、バタフライ弁21は副流管5の上流端に接するように配置されていた。
しかしながら、本発明の流路断面積調整弁は、例えば副流管の上流端の近傍であれば、副流管の上流端よりもさらに上流側の主流路8で前記上流端との間に隙間を空けた状態で配置してもよい。この場合でも、流路断面積調整弁を配置した位置で主流路8の流路断面積を調整することで、副流管5に流入する第1流体の流量を調整できる。
同様の理由で、本発明の流路断面積調整弁は、副流管の下流端に接するように配置したものや、副流管の下流端の近傍に配置したものであってもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 流体混合装置(実施の形態1)
3 主流管
5 副流管
7 第2流体供給管
7a 出口部
8 主流路
8a 隙間主流路
9 シャッター弁
11 ベンチュリ管
11a のど部
13 板状体
13a 凹部
15 圧力検知装置
16 流量検知装置
17 アクチュエータ
19 制御部
20 流体混合装置(実施の形態2)
21 バタフライ弁
23 弁体
23a 開口部
25 回転軸
27 操作部
29 隙間
31 バッフル板
33 弁体
35 拡径部