(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】アリールプロピオン酸誘導体の調製方法
(51)【国際特許分類】
C07C 67/10 20060101AFI20231122BHJP
C07C 68/06 20200101ALI20231122BHJP
C07C 69/732 20060101ALI20231122BHJP
C07C 69/96 20060101ALI20231122BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20231122BHJP
【FI】
C07C67/10
C07C68/06
C07C69/732 Z
C07C69/96 Z
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2022510806
(86)(22)【出願日】2021-09-08
(86)【国際出願番号】 CN2021117108
(87)【国際公開番号】W WO2022052936
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】202010943996.5
(32)【優先日】2020-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520099508
【氏名又は名称】南京海融医薬科技股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】叶海
(72)【発明者】
【氏名】閔涛
(72)【発明者】
【氏名】呂田
(72)【発明者】
【氏名】周文亮
(72)【発明者】
【氏名】徐穎
(72)【発明者】
【氏名】馮雲慶
【審査官】早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111635309(CN,A)
【文献】特表2014-523911(JP,A)
【文献】特表2011-504495(JP,A)
【文献】国際公開第2014/065577(WO,A1)
【文献】国際公開第93/002999(WO,A1)
【文献】特表2012-508165(JP,A)
【文献】Bandgar, Babasaheb P. et al.,Synthesis, Characterization, and Biological Evaluation of Novel Diclofenac Prodrugs,Journal of Medicinal Chemistry,2011年,54(5),pp. 1202-1210
【文献】Yamakawa, N. et al.,Properties and Synthesis of 2-{2-Fluoro (or Bromo)-4-[(2-oxocyclopentyl)methyl]phenyl}propanoic Acid: Nonsteroidal Anti-inflammatory Drugs with Low Membrane Permeabilizing and Gastric Lesion-Producing Activities,Journal of Medicinal Chemistry,2010年,53,pp. 7879-7882
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化合物aと化合物bとを反応させて式(I)で示される化合物を取得することを含
む、式(I)の構造を有する化合物の調製方法。
【化1】
(化合物aは、ロキソプロフェン活性代謝物である(S)-2-(4-(((1R,2S)-2-ヒドロキシシクロペンチル)メチル)フェニル)プロピオン酸であ
り、
Xは塩素、臭素、またはヨウ素から選ばれ、
R
1
、R
2
はそれぞれ独立して、水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基およびシクロヘキシル基から選ばれ、R
1
、R
2
は同時に水素になれず、R
3
は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基およびシクロヘキシル基から選ばれる。)
【請求項2】
前記調製方法は、有機溶剤の存在下で行
われ、前記有機溶剤は、アセトン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド
、エチルプロピルエーテル、n-ブチルエーテル、アニソール、フェネトール、シクロヘキシルメチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジメチルグリコール、ジフェニルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、イソプロピルエチルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロジエチルエーテル
、エチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドのポリエーテ
ル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、またはジクロロベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、石油エーテル、オクタン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、キシレン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネート、
並びにエチレンカーボネートの少なくとも1種から選ばれ
る、請求項1に記載の調製方法。
【請求項3】
前記調製方法は、酸結合剤
としての塩基の存在下で行
われ、前記塩基は、有機塩基または無機塩基
であり、前記無機塩基は
、アミノナトリウム、水素化ナトリウム、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムメトキシド、カリウム-t-ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸セシウム
の少なくとも1種から選ばれ、前記有機塩基は、三級アミン、置換もしくは未置換のピリジン系、置換もしくは未置換のトリエチルアミン、トリメチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリ-n‐プロピルアミン、トリ-n‐ブチルアミン、トリ-n‐ヘキシルアミン、トリシクロへキシルアミン、N-メチルシクロヘキシルアミン、N-メチルピロリジン、N-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルモルホリン、ピリジン、2,3-または4-メチルピリジン、2-メチル-5-エチルピリジン、2,6-ジメチルピリジン、2,4,6-トリメチルピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、キノリン、メチルキノリン、N,N,N,N-テトラメチルエチレンジアミン、N,N-ジメチル-1,4-ジアザシクロヘキサン、N,N-ジエチル-1,4-ジアザシクロヘキサン、1,8-ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン、ジアザビシクロオクタンDABCO、ジアザビシクロノナンDBN、ジアザビシクロウンデカンDBU、ブチルイミダゾール、
およびメチルイミダゾールの少なくとも1種から選ばれ
る、請求項1に記載の調製方法。
【請求項4】
前記調製方法は、相間移動触媒の存在下で行
われ、前記
相間移動触媒は、テトラブチルアンモニウムブロマイドTBAB、テトラブチルアンモニウムクロライドTBAC、テトラブチルアンモニウムヨージドTBAI、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、
および18-クラウン6-エーテルから選ばれ
る、
請求項1に記載の調製方法。
【請求項5】
前記調製方法の反応温度は-5~80℃であ
る、請求項1に記載の調製方法。
【請求項6】
前記調製方法の反応時間は0.5~24hであ
る、請求項1に記載の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、出願人が2020年9月9日に中国国家知的財産権局に提出した、特許出願番号が202010943996.5で、発明の名称が「ロキソプロフェン誘導体、医薬組成物、その調製方法および使用」である先行出願に対して、優先権の利益を主張するものであり、該先行出願の全文を引用により本願に援用する。
【0002】
本願は、薬剤分野に属し、具体的には、アリールプロピオン酸誘導体、その調製方法、使用、および前記アリールプロピオン酸誘導体を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
ロキソプロフェンナトリウムは、日本第一三共株式会社により開発されたアリールプロピオン酸系非ステロイド性抗炎症薬剤であり、非選択的シクロオキシゲナーゼ阻害剤で、プロスタグランジンおよび不飽和脂肪酸の合成に対するアラキドン酸の触媒作用を阻害することにより、抗炎症鎮痛の薬効を発揮する。現在、ロキソプロフェンナトリウムは、臨床で経口製剤および外用製剤しかない。経口投与は、半減期が短く、1日3~4回投与する必要があるため、胃腸道への損傷を引き起こしやすく、特に長期間の服薬が必要となる患者または胃潰瘍患者には耐えられないことが多い。
【0004】
ロキソプロフェンナトリウムは、プロドラッグであり、人体内でカルボニルレダクターゼの作用により、シクロペンタノン基が立体選択的に還元され、理論的には、8つの立体異性体を生成し、その中で、主な生物学的活性を発揮するのは、その活性代謝産物である(S)-2-(4-(((1R,2S)-2-ヒドロキシシクロペンチル)メチル)フェニル)プロピオン酸(化合物a)であり、その構造式は以下のとおりである。
【0005】
【0006】
薬剤開発の段階で、ロキソプロフェン活性代謝物の外観がホワイトまたはオフホワイトの固体であり、純水への溶解度が低く、アルカリ性水溶液に溶解することが分かった。その理化学的安定性が悪く、高温、高湿、クールホワイトの蛍光ランプおよび紫外線ランプの条件で、粘着になって黄変する傾向があり、固体間が吸湿して接着しやすく、固体製剤の調製に困難をもたらす。そのため、ロキソプロフェンの活物質である化合物aの構造を更に最適化して改良する必要が十分にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願は、ロキソプロフェンの活物質である化合物aの構造を更に最適化することにより、活性代謝物のカルボキシル基を誘導体化し、一連のエステル系誘導体を設計して調製し、化合物自体に存在する溶解度が悪く、安定性が悪いという欠陥を克服するとともに、ロキソプロフェンナトリウムに対して投与量を低減する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願は、アリールプロピオン酸誘導体、医薬組成物、その調製方法および使用を提供する。
【0009】
態様1において、本願は、式(I)で示される化合物、そのラセミ体、立体異性体、医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物であるアリールプロピオン酸誘導体を提供する。
【0010】
【0011】
(ただし、R1、R2およびR3は同じまたは異なり、それぞれ独立して水素、C1~40アルキル基、C2~40アルケニル基、C2~40アルキニル基、C1~40アルコキシ基、C3~40シクロアルキル基、C3~40シクロアルキルオキシ基、3~20員ヘテロ環基、C6~20アリール基、5~20員ヘテロアリール基、または1つ、2つまたは複数のRaで置換された3~20員ヘテロ環基から選ばれ、各Raは同じまたは異なり、それぞれ独立してハロゲン、C1~40アルキル基、C1~40アルコキシ基、C6~20アリールアシル基から選ばれる。)
【0012】
本願の実施形態によれば、R1、R2およびR3は同じまたは異なり、それぞれ独立して水素、C1~20アルキル基、C2~20アルケニル基、C2~20アルキニル基、C1~20アルコキシ基、C3~20シクロアルキル基、C3~20シクロアルキルオキシ基、5~10員ヘテロ環基、C6~14アリール基、5~14員ヘテロアリール基、または1つ、2つまたは複数のRaで置換された5~14員ヘテロ環基から選ばれ、各Raは同じまたは異なり、それぞれ独立してハロゲン、C1~20アルキル基、C1~20アルコキシ基、C6~20アリールアシル基から選ばれる。
【0013】
本願の実施形態によれば、R1、R2およびR3は同じまたは異なり、それぞれ独立して水素、C1~8アルキル基、C2~8アルケニル基、C2~8アルキニル基、C1~8アルコキシ基、C3~8シクロアルキル基、C3~8シクロアルキルオキシ基、5~10員ヘテロ環基、C6~10アリール基、5~10員ヘテロアリール基、または1つ、2つまたは複数のRaで置換された5~10員ヘテロ環基から選ばれ、各Raは同じまたは異なり、それぞれ独立してC6~10アリールアシル基から選ばれる。
【0014】
本願の実施形態によれば、R1、R2およびR3は同じまたは異なり、それぞれ独立して水素、C1~6アルキル基、C2~6アルケニル基、C2~6アルキニル基、C1~6アルコキシ基、C3~6シクロアルキル基、C3~6シクロアルキルオキシ基、5~8員ヘテロ環基、C6~8アリール基、5~8員ヘテロアリール基、または1つ、2つまたは複数のRaで置換された5~8員ヘテロ環基から選ばれ、各Raは同じまたは異なり、それぞれ独立してC6~10アリールアシル基から選ばれ、例えば、フェニルアシル基である。
【0015】
本願の実施形態によれば、R
1は、水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、またはシクロヘキシル基から選ばれ、R
2は、水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、またはシクロヘキシル基から選ばれ、R
3は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t-ブトキシ基、イソブトキシ基、シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、または
【化3】
等から選ばれ、
【化4】
は連結部位を表す。
【0016】
本願の実施形態によれば、式(I)で示される化合物は以下の構造から選ばれることが好ましい。
【0017】
【0018】
態様2において、本願は、下記化合物aと化合物bとを反応させて式(I)で示される化合物を取得することを含む、構造式(I)で示される化合物、そのラセミ体、立体異性体、医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物の調製方法を提供する。
【0019】
【0020】
(ただし、R1、R2およびR3は、いずれも独立して上記定義を有し、
Lは、ハロゲン、ヒドロキシ基のような脱離基から選ばれ、
化合物aは、ロキソプロフェン活性代謝物である(S)-2-(4-(((1R,2S)-2-ヒドロキシシクロペンチル)メチル)フェニル)プロピオン酸である。)
【0021】
本願の実施形態によれば、前記化合物bは、以下のような構造式3または構造式4で示される化合物から選ばれる。
【0022】
【0023】
(ただし、R1、R2およびR3は、いずれも独立して上記定義を有し、
Xは塩素、臭素、またはヨウ素から選ばれる。)
【0024】
本願の実施形態によれば、前記調製方法は、有機溶剤の存在下で行うことができ、例えば、前記有機溶剤は、アセトン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、エーテル系(例えば、エチルプロピルエーテル、n-ブチルエーテル、アニソール、フェネトール、シクロヘキシルメチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジメチルグリコール、ジフェニルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、イソプロピルエチルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロジエチルエーテル、およびエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドのポリエーテル)、脂肪族、環脂肪族、または芳香族炭化水素系(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン)、フッ素および塩素原子で置換可能な系(例えば、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、またはジクロロベンゼン)、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、石油エーテル、オクタン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、キシレン、およびエステル系(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネート、またはエチレンカーボネート)の少なくとも1種から選ばれてもよい。
【0025】
本願の実施形態によれば、前記調製方法は、塩基のような酸結合剤の存在下で行うことができる。前記塩基は、有機塩基または無機塩基であってもよく、ここで、前記無機塩基は、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属の水素化物、水酸化物、アルコキシド、酢酸塩、フッ化物、リン酸塩、炭酸塩および炭酸水素塩の少なくとも1種から選ばれてもよく、好適な塩基は、アミノナトリウム、水素化ナトリウム、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムメトキシド、カリウム-t-ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸セシウムであり、前記有機塩基は、三級アミン、置換もしくは未置換のピリジン系、置換もしくは未置換のトリエチルアミン、トリメチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリ-n‐プロピルアミン、トリ-n‐ブチルアミン、トリ-n‐ヘキシルアミン、トリシクロへキシルアミン、N-メチルシクロヘキシルアミン、N-メチルピロリジン、N-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルモルホリン、ピリジン、2,3-または4-メチルピリジン、2-メチル-5-エチルピリジン、2,6-ジメチルピリジン、2,4,6-トリメチルピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、キノリン、メチルキノリン、N,N,N,N-テトラメチルエチレンジアミン、N,N-ジメチル-1,4-ジアザシクロヘキサン、N,N-ジエチル-1,4-ジアザシクロヘキサン、1,8-ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノナン(DBN)、ジアザビシクロウンデカン(DBU)、ブチルイミダゾール、またはメチルイミダゾールの少なくとも1種から選ばれてもよい。
【0026】
本願の実施形態によれば、前記調製方法は、相間移動触媒のような触媒の存在下で行うことができ、ここで、前記触媒は、テトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)、テトラブチルアンモニウムクロライド(TBAC)、テトラブチルアンモニウムヨージド(TBAI)、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、または18-クラウン6-エーテルから選ばれてもよい。
【0027】
本願の実施形態によれば、前記調製方法の反応温度は-5~80℃であり、例えば、0~50℃であり、例示的には、10℃、20℃、25℃、30℃、40℃である。
【0028】
本願の実施形態によれば、前記調製方法の反応時間は0.5~24hであり、例えば、1~12hであり、例示的には、1h、2h、3h、4h、5h、6hである。
【0029】
本願の実施形態によれば、構造式(I)で示される化合物は、構造式1または構造式2で示される化合物を有する。
【0030】
【0031】
【0032】
本願に係る構造式1で示される化合物の調製方法は、反応式が以下のとおりである。
【0033】
【0034】
(ただし、R1、R2は、それぞれ独立して水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等であり、R1、R2は同時に水素であることができず、R3は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基である。)
【0035】
構造式1で示される化合物の調製方法は以下のとおりである。
【0036】
一定の温度で、一定量の化合物a、構造式(3)で示される化合物
【化11】
(Xは、塩素、臭素、またはヨウ素であり、R
1、R
2は、それぞれ独立して水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等であり、R
1、R
2は同時に水素であることができず、R
3は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等である)を反応容器に入れ、適量の反応溶剤を加えて混合させ、その後、反応容器に酸結合剤をゆっくりと添加し、添加が終了した後、反応液を一定の温度でしばらく撹拌反応させる。XがClである場合、反応で相間移動触媒を加えたり加熱したりすることにより、反応の進行を加速することができる。反応後処理では、反応液を抽出して洗浄して乾燥してから濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより目的化合物を取得する。
【0037】
ここで、調製過程において、反応温度は-5~80℃で、総反応時間は0.5~24hであり、使用される酸結合剤は、無機塩基であるNaOH、KOH、K2CO3、KHCO3、Na2CO3、NaHCO3、または有機塩基であるトリエチルアミン、ピリジン、DMAP、DIEA、DBUのうちの1種または複数種であり、反応溶剤は、アセトン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、DMF、DMAc、酢酸エチル、またはエチルエーテルのうちの1種または複数種であり、使用される相間移動触媒は、テトラブチルアンモニウムブロマイド、18-クラウン6-エーテル等であってもよく、具体的な化合物の合成実験方法は、具体的な実施例を参照する。
【0038】
本願に係る構造式2で示される化合物の調製方法は、反応式が以下のとおりである。
【化12】
【0039】
(ただし、R1、R2は、それぞれ独立して水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等であり、R1、R2は同時に水素であることができず、R3は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等である。)
【0040】
構造式2で示される化合物の調製方法は以下のとおりである。
【0041】
一定の温度で、一定量の化合物a、構造式(4)で示される化合物
【化13】
(Xは、塩素、臭素、またはヨウ素であり、R
1、R
2は、それぞれ独立して水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等であり、R
1、R
2は同時に水素であることができず、R
3は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、または
【化14】
等である。)を反応容器に入れ、適量の反応溶剤を加えて混合させ、その後、反応容器に酸結合剤をゆっくりと添加し、添加が終了した後、反応液を一定の温度でしばらく撹拌反応させる。XがClである場合、反応で相間移動触媒を加えたり加熱したりすることにより、反応の進行を加速することができる。反応後処理では、反応液を抽出して洗浄して乾燥してから濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより目的化合物を取得する。
【0042】
ここで、調製過程において、反応温度は-5~80℃で、総反応時間は0.5~24hであり、使用される酸結合剤は、無機塩基であるNaOH、KOH、K2CO3、KHCO3、Na2CO3、NaHCO3、または有機塩基であるトリエチルアミン、ピリジン、DMAP、DIEA、DBUのうちの1種または複数種であり、反応溶剤は、アセトン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、DMF、DMAc、酢酸エチル、またはエチルエーテルのうちの1種または複数種であり、使用される相間移動触媒は、テトラブチルアンモニウムブロマイド、18-クラウン6-エーテル等であってもよく、具体的な化合物の合成実験方法は、具体的な実施例を参照する。
【0043】
本願の実施形態によれば、R2が水素である場合、構造式3で示されるハロゲン化有機酸エステルの調製方法は、触媒の存在下でアルデヒドと有機酸塩化物または有機酸臭化物とを反応させて調製することを含む。
【0044】
反応式は以下のとおりである。
【0045】
【0046】
(ただし、Xは塩素または臭素であり、R1は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等であり、R3は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等である。)
【0047】
構造式(3)で示される化合物の調製方法は以下のとおりである。
【0048】
一定の温度で、一定量のアルキル酸塩化物またはアルキル酸臭化物
【化16】
(R
2は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等である)と触媒(例えば、ZnCl
2)とを反応容器に入れ、反応溶剤を加えて撹拌し続け、N
2で反応容器を3回置換した後、アルデヒド系化合物
【化17】
(R
1は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等である)を反応容器にゆっくりと添加し、添加が終了した後、反応を調整して一定の温度でしばらく反応させ、その後、反応液を濃縮して溶剤を除去し、洗浄し、濃縮し、または蒸留により目的化合物を取得する。
【0049】
ここで、上記調製過程において、反応温度は-5~80℃で、総反応時間は1~8hであり、ここで、
【化18】
が酸塩化物である場合(Xは塩素である)、アルデヒドと反応させる際に加熱する必要があり、且つ反応時間が長い。使用される触媒は、一般的にZnCl
2であり、使用される溶剤はアセトン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、テトラヒドロフラン、DMF、トルエン、またはエチルエーテルのうちの1種または複数種であり、具体的な化合物の合成実験方法は、具体的な実施例を参照する。
【0050】
本願の実施形態によれば、R2が水素である場合、構造式4で示されるハロゲン化有機カーボネート(Xは塩素またはヨウ素である)の調製方法は、まず、有機アルデヒドとトリホスゲンとを低温で反応させてクロロアルキルクロロホルメート中間体を取得し、その後、クロロアルキルクロロホルメートと対応する有機アルコールとを反応させて塩素化有機カーボネートを取得することを含む。塩素化有機カーボネートとNaIとを更に反応させてヨウ化有機カーボネートを合成することができる。
【0051】
反応式は以下のとおりである。
【0052】
【0053】
(ただし、R1は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等であり、R3は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等である。)
【0054】
本願の実施形態によれば、構造式4で示される塩素化有機カーボネート(XはClである)の調製方法は以下のとおりである。
【0055】
ステップ1において、トリホスゲン、酸結合剤及び反応溶剤を反応容器に入れ、反応容器を低温環境に置き、N
2の保護下で、アルデヒド系化合物
【化20】
を上記反応容器にゆっくりと滴下し、滴下が終了した後、0℃でしばらく反応させ続け、その後、減圧下で排気(排除されたガスをアルカリ液で吸収する)し、残液を室温にて減圧下で濃縮して溶剤を除去し、蒸留法によりクロロアルキルクロロホルメートを取得する。
【0056】
ステップ2において、前のステップでそれぞれ得られたクロロアルキルクロロホルメートとアルキルアルコールR3-OHとを反応溶剤を含む無水無酸素の反応容器に入れ、0℃の氷浴条件に置き、その中に酸結合剤(例えば、ピリジン等)をゆっくりと添加し、添加が終了した後、反応液を室温下に移してしばらく撹拌反応させ、その後、反応液を洗浄し、乾燥して減圧下で濃縮した後、構造式4の塩素化有機カーボネート(XはClである)を取得する。
【0057】
ステップ3において、N2の保護下で、前段階で調製された塩素化有機カーボネート、無水NaI、相間移動触媒、または乾燥剤等を反応フラスコに入れ、溶剤を加えて混合した後、しばらく加熱反応させ、その後、反応液を室温に降温し、5%~25%のチオ硫酸ナトリウム、水、飽和食塩水で順に洗浄し、乾燥し、濃縮して溶剤を除去した後、または更に蒸留により、ヨウ化有機カーボネートを取得する。
【0058】
ここで、上記調製過程において、反応溶剤は、アセトン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、またはエチルエーテルのうちの1種または複数種であってもよく、使用される酸結合剤は、ピリジン、トリエチルアミン、DIEA、DBU、またはNaOH、KOH、K2CO3、KHCO3、Na2CO3、NaHCO3のうちの1種または複数種であってもよく、反応時間は、一般的に0.5~2hであり、最終的に得られた化合物は、精製せずに直接次の反応を行うことができる。具体的な化合物の合成実験方法は、具体的な実施例を参照する。
【0059】
本願の実施形態によれば、本願は、構造式4で示されるヨウ化有機カーボネート(構造式4においてXはヨウ素である)の調製方法を提供し、前記方法は、前段階で調製された塩素化有機カーボネートとNaIとを反応させることにより調製することである。
【0060】
反応式は以下のとおりである。
【0061】
【0062】
(ただし、R1は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等であり、R3は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等である。)
【0063】
上記ヨウ化有機カーボネート(構造式4において、Xはヨウ素である)の調製方法は以下のとおりである。N2の保護下で、前段階で調製された塩素化有機カーボネート、無水NaI、相間移動触媒、または乾燥剤等を反応フラスコに入れ、溶剤を加えて混合した後、しばらく加熱反応させ、その後、反応液を室温に降温し、5%~25%のチオ硫酸ナトリウム、水、飽和食塩水で順に洗浄し、乾燥し、濃縮して溶剤を除去した後、または更に蒸留により、ヨウ化有機カーボネートを取得する。
【0064】
ここで、上記調製過程において、使用される相間移動触媒は、18-クラウン6-エーテル、テトラブチルアンモニウムブロマイド等であってもよく、反応中に添加可能な乾燥剤は、CaCl2、MgSO4、Na2SO4等であってもよく、反応溶剤は、アセトニトリル、酢酸エチル、DMF、トルエン、テトラヒドロフラン、DMAc等であってもよく、反応温度は25~100℃であり、反応時間は1~12hである。
【0065】
態様3において、本願は、上記構造式(I)で示される化合物、そのラセミ体、立体異性体、医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物の、非ステロイド性抗炎症薬剤の調製における使用を提供する。
【0066】
本願の実施形態によれば、前記薬剤は、関節リウマチ、腰痛症、偏頭痛、神経痛、肩関節周囲炎、変形性膝関節症の治療、頸肩腕症候群の消炎および/または鎮痛、手術後、外傷後、または抜歯後の鎮痛および/または消炎、急性上気道炎の解熱および/または鎮痛に使用できる。
【0067】
本願は、関節リウマチ、腰痛症、偏頭痛、神経痛、肩関節周囲炎、変形性膝関節症を治療し、頸肩腕症候群を消炎および/または鎮痛し、手術後、外傷後、または抜歯後に鎮痛および/または消炎し、急性上気道炎を解熱および/または鎮痛する方法を更に提供し、予防または治療に有効な量の構造式(I)で示される化合物、そのラセミ体、立体異性体、医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物のうちの少なくとも1種を患者に投与することを含む。
【0068】
いくつかの実施形態において、前記患者はヒトである。
【0069】
本願は、関節リウマチ、腰痛症、偏頭痛、神経痛、肩関節周囲炎、変形性膝関節症を治療し、頸肩腕症候群を消炎および/または鎮痛し、手術後、外傷後、または抜歯後に鎮痛および/または消炎し、急性上気道炎を解熱および/または鎮痛するための構造式(1)で示される化合物、そのラセミ体、立体異性体、医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物、またはその医薬組成物を更に提供する。
【0070】
薬剤とする場合、医薬組成物の形態で本願の化合物を投与することができる。これらの組成物は、薬剤分野でよく知られている方式で調製でき、且つ、局所的または全身的に治療する必要があるか否か、または治療対象となる領域に依存して、様々なルートを介して投与することができる。局所的(例えば、経皮、皮膚、目、および鼻内、膣および直腸を含む粘膜投与)、経肺(例えば、噴霧器、気管内、鼻内を介して粉末またはエアゾール剤を吸い込むまたは吹き込む)、経口、または非経口投与が可能である。非経口投与は、静脈内、動脈内、皮下、腹膜内、または筋肉内注射あるいは輸液を含む。あるいは、鞘内もしくは脳室内のような頭蓋内に投与される。1回の投与量が大きい形態で非経口投与してもよいし、連続灌流ポンプのようなものにより投与してもよい。局所的投与される薬用組成物および製剤は、経皮パッチ、軟膏、洗剤、クリーム剤、ゲル剤、点滴剤、坐剤、スプレー剤、液剤、脂肪エマルジョン注射剤および散剤を含んでもよい。通常の薬剤担体、水、粉末、または油性基剤、増稠剤等は必須または必要である可能性がある。
【0071】
本願の医薬組成物を調製する場合、通常、活性成分と賦形剤とを混合させ、賦形剤により希釈したり、カプセル、試薬カートリッジ、紙、または他の容器形態の担体内に装入したりする。賦形剤が希釈剤として使用される場合、溶媒、担体、または活性成分の媒体として使用される固体、半固体、または液体の物質であってもよい。そのため、組成物は、タブレット、丸剤、散剤、カプセル剤、注射剤、錠剤、試薬カートリッジ、オブラート、エリキシル剤、懸濁化剤、乳剤、溶液剤、点眼液、シロップ剤、ゲル剤、軟膏剤、エアゾール剤(固体または液体溶媒に可溶)、またはパップ剤という形態と、例えば、10重量%の活性化合物を含む軟膏剤、ソフト・ハードゼラチンカプセル、坐剤、無菌注射溶液および無菌包装粉末のような形態であってもよい。
【0072】
適当な賦形剤のいくつかの実例は、乳糖、グルコース、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアガム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガントガム、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップおよびメチルセルロースを含む。製剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよび鉱油のような潤滑剤と、湿潤剤と、乳化剤および懸濁剤と、安息香酸メチルおよび安息香酸ヒドロキシプロピルのような防腐剤と、甘味料および矯味剤とを更に含んでもよい。患者に投与した後に活性成分を即放するか、徐放するか、または活性成分の放出を遅延させる作用を提供するように、本分野でよく知られている方法を使用することにより本願の組成物を調製することができる。
【0073】
単位剤形で組成物を調製することができ、1薬用量あたり約5~1000mg、更に、通常、約100~500mgの活性成分を含む。「単位剤形」という用語は、物理的に分離された、ヒト患者および他の哺乳動物に適用される単一の薬用量単位を意味し、各単位には、適当な薬剤賦形剤と混合する、計算により必要な治療効果が産生可能な所定量の活性物質が含まれる。
【0074】
活性化合物の有効量の範囲が大きい可能性があり、通常、薬用有効量で投与される。しかし、実際に投与される化合物の量は、通常、医師により、治療される病態、選択される投与ルート、投与される実際の化合物、患者個体の年齢、重量および反応、患者の症状の重症度等という関連状況に応じて決定されることが理解できる。
【0075】
錠剤のような固体組成物を調製する場合、主な活性成分と薬剤賦形剤とを混合させ、本願の化合物を含む均一な混合物の固体予備調製物組成物を形成する。これらの予備調製物組成物が均一であると言う場合、活性成分が通常組成物全体に均一に分布し、該組成物を容易に錠剤、丸剤およびカプセル剤のような同等の有効な単位剤形に分割できることを意味する。その後、該固体予備調製物を、上記タイプの、例えば、約0.1~1000mgの本願の活性成分を含む単位剤形に分割する。
【0076】
本願の錠剤または丸剤をコーティングまたは複合し、長期間作用の利点を提供する剤形を取得することができる。例えば、錠剤または丸剤は内用量および外用量の成分を含み、後者は前者の皮膜形態である。腸溶層を介して2種の成分を隔離することができ、腸溶層は、胃内で崩壊を阻止し、内成分を完全に十二指腸を通過させるかまたは放出を遅延させることに用いられる。複数種の物質はこのような腸溶層またはコーティング剤に使用でき、このような物質は、複数種の高分子酸および高分子酸とこのような物質(例えば、セラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロース)との混合物を含む。
【0077】
その中に本願の化合物および組成物が混入されてもよく、経口または注射投与用の液体形態は、水溶液、適当に矯味するシロップ剤、水または油懸濁液、綿実油、ゴマ油、中鎖油、ヤシ油、または落花生油のような食用油を用いて調製された乳剤、エリキシル剤、および類似する薬用溶媒を含む。
【0078】
吸い込みまたは吹き込み用の組成物は、医薬的に許容される水もしくは有機溶剤またはその混合物に溶解した溶液剤および懸濁液、散剤を含む。液体または固体組成物は、上述した適当な医薬的に許容される賦形剤を含んでもよい。いくつかの実施形態において、経口または鼻呼吸ルートを介して組成物を投与し、局所的または全身的な作用を実現する。不活性ガスを使用することにより組成物を霧化することができる。直接霧化装置により霧化溶液を吸い込んでもよいし、霧化装置がマスクカーテンまたは間欠陽圧呼吸器に接続されてもよい。経口または適当な方式で製剤を送達する装置により経鼻で溶液、懸濁液、または粉末組成物を投与することができる。
【0079】
患者に投与される化合物または組成物の量は固定ではなく、投与される薬剤、予防または治療のような投与の目的、患者の状態、投与の方式等に依存する。治療用の場合、疾患およびその合併症の症状を十分に治癒または少なくとも部分的に抑制する量の組成物を疾患に罹患した患者に投与することができる。有効用量は、治療される疾患の状態および臨床の主治医の判断に依存すべきであり、該判断は、例えば、疾患の重症度、患者の年齢、体重および一般的な状況等の要素に依存する。
【0080】
患者に投与される組成物は、上記薬用組成物の形態であってもよい。通常の滅菌技術または濾過可能な滅菌によりこれらの組成物を滅菌することができる。水溶液を包装してそのまま使用してもよいし、凍結乾燥して投与前に凍結乾燥した製剤と無菌水性担体とを混合してもよい。化合物製剤のpHは通常3~11であり、より好ましくは5~9であり、最も好ましくは7~8である。前記賦形剤、担体、または安定化剤を使用すると、薬剤塩を形成することが理解できる。
【0081】
本願に係る化合物の治療用量は、例えば、治療の具体的な用途、化合物を投与する方式、患者の健康および状態、および処方箋を作成する医師の判断により決定される。本願に係る化合物の薬用組成物における割合または濃度は固定ではなく、用量、化学特性(例えば、疎水性)および投与ルートを含む様々な要素に依存する。例えば、約0.1~10%w/vの該化合物を含む生理的緩衝水溶液で本願に係る化合物を提供することができ、非経口投与に使用される。いくつかの典型的な用量範囲は約1μg/kg~約1g/kg体重/日である。いくつかの実施形態において、用量範囲は約0.01mg/kg~約100mg/kg体重/日である。用量は、疾患または病態の種類および進行度合い、具体的な患者の一般的な健康状態、選択された化合物の相対的な生物学的効力、賦形剤製剤およびその投与ルートのような変数に依存する可能性が高い。invitroまたは動物モデル試験システムから導出された用量-反応曲線により外挿し、有効用量を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【
図1】本願に係る化合物1の水素スペクトルである。
【
図2】本願に係る化合物1の質量分析スペクトルである。
【
図3】本願に係る化合物7の水素スペクトルである。
【
図4】本願に係る化合物7の質量分析スペクトルである。
【
図5】本願に係る化合物1および化合物7のヒト血漿中での分解状況である。
【
図6】本願に係る化合物1および化合物7のヒト血漿中での生成状況である。
【発明を実施するための形態】
【0083】
以下、具体的な実施例を参照しながら本願の技術案について更に詳細に説明する。以下の実施例は、本願を例示的に説明して解釈するためのものに過ぎず、本願の保護範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。本願の上記内容に基づいて実現される技術は、全て本願の保護しようとする範囲内に含まれる。
【0084】
特に断りのない限り、以下の実施例で使用される原料および試薬は、全て市販品であるか、または既知の方法で調製できるものである。
【0085】
本願は、アリールプロピオン酸誘導体を提供し、該化合物は、構造式1または構造式2の構造を有する。
【0086】
【0087】
【0088】
(ただし、R
1、R
2は、それぞれ独立して水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等であり、R
1、R
2は同時に水素であることができず、R
3は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、または
【化24】
等である。)
【0089】
合成の一般式1(構造式1の化合物N7~N12について)
【0090】
【0091】
(Xは、塩素、臭素、またはヨウ素であり、R
1、R
2は、それぞれ独立して水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等であり、R
1、R
2は同時に水素であることができず、R
3は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、または
【化26】
等である。)
【0092】
合成の一般的な方法は以下のとおりである。
【0093】
ヨウ化有機酸エステルを合成した。N2の保護下で、購入されたまたは前段階で調製された塩素化有機カーボネート、無水NaI、相間移動触媒および乾燥剤等を反応フラスコに入れ、溶剤を加えて混合した後、一定の温度でしばらく反応させ、その後、反応液を室温に降温し、5%~25%のチオ硫酸ナトリウム、水、飽和食塩水で順に洗浄し、乾燥し、濃縮して溶剤を除去した後、または更に蒸留により、ヨウ化有機酸エステルを取得する。
【0094】
構造式(1)の関連化合物を合成した。一定量の化合物a(1.0eq)、酸結合剤(1.0eq)を反応容器に入れ、適量の反応溶剤を加えて混合させた後、反応容器に構造(3)で示される化合物
【化27】
(Xは、塩素、臭素、またはヨウ素であり、R
1、R
2は、それぞれ独立して水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等であり、R
1、R
2は同時に水素であることができず、R
3は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等である。)をゆっくりと添加し、添加が終了した後、反応液を一定の温度でしばらく撹拌反応させる。ここで、XがClである場合、反応で相間移動触媒を加えたり加熱したりすることにより、反応の進行を加速することができる。反応後処理では、反応液を抽出、洗浄、乾燥してから濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製し、目的化合物を取得する。
【0095】
合成の一般式2(構造式2の化合物N1~N6、N13~N15について)
【0096】
【0097】
合成の一般的な方法は以下のとおりである。
【0098】
R2が水素である場合、塩素化有機カーボネートの合成は、以下のような一般的な方法を有する。
【0099】
クロロアルキルクロロホルメートを合成した。トリホスゲン、酸結合剤および反応溶剤を反応容器に入れ、反応容器を低温環境に置き、N
2の保護下で、アルデヒド系化合物
【化29】
を上記反応容器にゆっくりと滴下し、滴下が終了した後、0℃でしばらく反応させ続け、その後、減圧下で排気(排除されたガスをアルカリ液で吸収する)し、残液を室温にて減圧下で濃縮して溶剤を除去し、蒸留法によりクロロアルキルクロロホルメートを取得する。
【0100】
塩素化有機カーボネートを合成した。前のステップでそれぞれ得られたクロロアルキルクロロホルメートとアルキルアルコールR3-OHとを無水無酸素の反応溶剤を含む反応容器に入れ、0℃の氷浴条件に置き、その中に酸結合剤(例えば、ピリジン等)をゆっくりと添加し、添加が終了した後、反応液を室温下に移してしばらく撹拌反応させる。その後、反応液を洗浄し、乾燥して減圧下で濃縮した後、構造式(4)の塩素化有機カーボネート(XはClである)を取得する。
【0101】
任意のR1、R2基に対し、構造式2の化合物の合成は、以下のような一般的な方法を有する。
【0102】
ヨウ化有機カーボネートを合成した。N2の保護下で、購入されたまたは前段階で調製された塩素化有機カーボネート、無水NaI、相間移動触媒、または乾燥剤等を反応フラスコに入れ、溶剤を加えて混合した後、しばらく加熱反応させ、その後、反応液を室温に降温し、5%~25%のチオ硫酸ナトリウム、水、飽和食塩水で順に洗浄し、乾燥し、濃縮して溶剤を除去した後、または更に蒸留により、ヨウ化有機カーボネートを取得する。
【0103】
構造式2で示される化合物を合成した。一定の温度で、一定量のイブプロフェンと、酸結合剤とを反応容器に入れ、適量の反応溶剤を加えて混合させた後、反応容器に構造式4で示される化合物
【化30】
(Xは、塩素、臭素、またはヨウ素であり、R
1、R
2は、それぞれ独立して水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等であり、R
1、R
2は同時に水素であることができず、R
3は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等である。)をゆっくりと添加し、添加が終了した後、反応液を一定の温度でしばらく撹拌反応させる。XがClである場合、反応でNaI/KI、相間移動触媒を加えたり、加熱したりすることにより、反応の進行を加速することができる。反応後処理では、反応液を抽出、洗浄、乾燥してから濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製し、目的化合物を取得する。
【実施例1】
【0104】
化合物1の合成について、反応式は以下のとおりである。
【0105】
【0106】
1-ヨードエチルエチルカーボネートを合成した。1-クロロエチルエチルカーボネート(2.434g、16.01mmol)を秤量して乾燥した100mLの二つ口反応フラスコに入れ、無水NaI(2.14g、14.25mmol)、TBAB(51.6mg、0.16mmol)、無水CaCl2(649mg、5.76mmol)および酢酸エチル(10mL)を加え、80℃に加熱して3h還流反応させた。反応フラスコに水を加え、振ってから分液し、EA層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、褐色油状物である1-ヨードエチルエチルカーボネートを取得し、精製せずに直接次の反応に使用した。
【0107】
化合物1を合成した。室温下で、化合物a(0.717g、2.89mmol)を秤量して乾燥した50mLの一つ口反応フラスコに入れ、10mLのアセトンを加えて撹拌溶解し、その後、1-ヨードエチルエチルカーボネート(2.116g、8.67mmol)を秤量して上記反応フラスコに加え、その後、DBU(0.443g、2.91mmol)を秤量して反応フラスコにゆっくりと滴下し、滴下が終了した後、室温で一晩撹拌して反応させた。反応フラスコに水(10mL)および酢酸エチル(30mL)を加え、分液し、有機層を5%のNaHCO3で洗浄し、水洗し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EA=4:1)により目的生成物(0.768g、2.11mmol)を取得し、収率が73.0%であった。
【0108】
1H NMR(500MHz, d6-DMSO)δ7.19(d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.12(d, J = 8.0 Hz, 2H), 6.78-6.82(m, 1H), 4.25(s, 1H), 4.15-4.24(m, 2H), 3.59-3.69(m, 2H), 2.78(dd, J = 13.5, 5.4 Hz, 1H), 2.32(dd, J = 13.4, 9.4 Hz, 1H), 1.75-1.92(m, 2H), 1.51-1.55(m, 3H), 1.39-1.70(m, 4H), 1.35(d, 3H, J = 7.1 Hz), 1.27-1.33(m, 3H), 1.12-1.13(m, 1H).
【実施例2】
【0109】
化合物2の合成について、反応式は以下のとおりである。
【0110】
【0111】
1-ヨードエチルイソプロピルカーボネートを合成した。1-クロロエチルイソプロピルカーボネート(2.600g、15.66mmol)を秤量して乾燥した100mLの二つ口反応フラスコに入れ、無水NaI(2.09g、13.94mmol)、TBAB(50.5mg、0.157mmol)、無水CaCl2(625.78mg、5.64mmol)および酢酸エチル(12mL)を加え、80℃に加熱して3h還流反応させた。反応フラスコに水を加え、振ってから分液し、EA層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、褐色油状物である1-ヨードエチルイソプロピルカーボネートを取得し、精製せずに直接次の反応に使用した。
【0112】
化合物2を合成した。室温下で、化合物a(1.980g、7.98mmol)を秤量して乾燥した50mLの一つ口反応フラスコに入れ、10mLのアセトンを加えて撹拌溶解し、その後、1-ヨードエチルイソプロピルカーボネート(3.111g、12.06mmol)を秤量して上記反応フラスコに加え、その後、DBU(1.200g、7.88mmol)を秤量して反応フラスコにゆっくりと滴下し、滴下が終了した後、室温で一晩撹拌して反応させた。反応フラスコに水(10mL)および酢酸エチル(30mL)を加え、分液し、有機層を5%のNaHCO3で洗浄し、水洗し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EA=4:1)により目的生成物(2.016g、5.33mmol)を取得し、収率が66.8%であった。
【0113】
1H NMR(500MHz, d6-DMSO)δ7.19(d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.12(d, J = 8.0 Hz, 2H), 6.78-6.82(m, 1H), 4.69-4.82(m, 1H), 4.25(s, 1H), 3.59-3.69(m, 2H), 2.78(dd, J = 13.5, 5.4 Hz, 1H), 2.32(dd, J = 13.4, 9.4 Hz, 1H), 1.75-1.92(m, 2H), 1.51-1.55(m, 3H), 1.39-1.70(m, 4H), 1.35(d, 3H, J = 7.1 Hz), 1.26-1.33(m, 6H), 1.12-1.13(m, 1H).
【実施例3】
【0114】
化合物3の合成について、反応式は以下のとおりである。
【0115】
【0116】
まず、1-クロロプロピルクロロホルメートを合成した。トリホスゲン(10.03g、33.70mmol)を秤量して100mLの三つ口反応フラスコに入れ、15mLの無水ジクロロメタンを加え、反応フラスコをArガスで3回置換し、反応フラスコを-20℃のコールドトラップに移して撹拌し続けた。ピリジン(0.540g、6.83mmol)を秤量して5mLのジクロロメタンで希釈した後、反応フラスコに入れた。その後、n-プロピオンアルデヒド(4.602g、79.20mmol)を秤量して反応フラスコにゆっくりと滴下し、滴下が終了した後、コールドトラップの温度を-20℃に設定し、20h反応させ続けた。水ポンプを、KOH水溶液を含む反応フラスコと連結して抽気処理を5min行った後、反応フラスコをコールドトラップから移し出し、減圧下で濃縮してDCMを除去し、その後、蒸留により無色ないし淡黄色油状物である1-クロロプロピルクロロホルメートを3.91g取得し、収率が73.2%であった。
【0117】
次に、1-クロロプロピルエチルカーボネートを合成した。1-クロロプロピルクロロホルメート(1.011g、6.38mmol)を秤量して乾燥した二つ口反応フラスコに入れ、10mLの無水DCMを加えて撹拌し続け、エタノール(0.440g、9.55mmol)を秤量して上記反応フラスコに加え、反応フラスコを氷水浴に移して撹拌し続け、ピリジン(0.631g、7.96mmol)を秤量して上記反応フラスコにゆっくりと加え、滴下中に白色の固体が現れ、滴下が終了した後、反応フラスコを室温に移して反応を1h行った。反応フラスコに10mLの水を加え、分液し、DCM層を5%のKHSO4でpH=3~4となるまで洗浄し、その後、中性近くまで水洗し、更に、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で濃縮して無色油状物である1-クロロプロピルクロロホルメートを0.766g取得し、精製せずに直接次の反応を行った。
【0118】
1-ヨードプロピルエチルカーボネートを合成した。1-クロロプロピルエチルカーボネート(0.766g、4.61mmol)を秤量して乾燥した100mLの二つ口反応フラスコに入れ、無水NaI(614.5mg、4.1mmol)、TBAB(14.86mg、0.046mmol)、無水CaCl2(184mg、1.66mmol)および酢酸エチル(7mL)を加え、80℃に加熱して3h還流反応させた。反応フラスコに水を加え、振ってから分液し、EA層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、褐色油状物である1-ヨードプロピルエチルカーボネートを0.757g取得し、精製せずに直接次の反応に使用した。
【0119】
化合物3を合成した。室温下で、化合物a(0.757g、3.05mmol)を秤量して乾燥した50mLの一つ口反応フラスコに入れ、10mLのアセトンを加えて撹拌溶解し、その後、1-ヨードプロピルエチルカーボネート(1.163g、4.51mmol)を秤量して上記反応フラスコに加え、その後、DBU(0.472g、3.10mmol)を秤量して反応フラスコにゆっくりと滴下し、滴下が終了した後、室温で一晩撹拌して反応させた。反応フラスコに水(10mL)および酢酸エチル(30mL)を加え、分液し、有機層を5%のNaHCO3で洗浄し、水洗し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EA=4:1)により目的生成物(0.840g、2.22mmol)を取得し、収率が72.8%であった。
【0120】
1H NMR(500MHz, d6-DMSO)δ7.19(d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.12(d, J = 8.0 Hz, 2H), 6.78-6.82(m, 1H), 4.25(s, 1H), 4.15-4.25(m, 2H), 3.59-3.69(m, 2H), 2.78(dd, J = 13.5, 5.4 Hz, 1H), 2.32(dd, J = 13.4, 9.4 Hz, 1H), 1.82-1.91(m, 2H), 1.75-1.92(m, 2H), 1.39-1.70(m, 4H), 1.35(d, 3H, J = 7.1 Hz), 1.26-1.33(m, 3H), 1.12-1.13(m, 1H), 0.96-1.02(m, 3H).
【実施例4】
【0121】
化合物4の合成について、反応式は以下のとおりである。
【0122】
【0123】
まず、1-クロロプロピルクロロホルメートを合成した。トリホスゲン(10.030g、33.70mmol)を秤量して100mLの三つ口反応フラスコに入れ、15mLの無水ジクロロメタンを加え、反応フラスコをArガスで3回置換し、反応フラスコを-20℃のコールドトラップに移して撹拌し続けた。ピリジン(0.540g、6.83mmol)を秤量して5mLのジクロロメタンで希釈した後、反応フラスコに入れた。その後、n-プロピオンアルデヒド(4.602g、79.20mmol)を秤量して反応フラスコにゆっくりと滴下し、滴下が終了した後、コールドトラップの温度を-2℃に設定し、20h反応させ続けた。水ポンプを、KOH水溶液を含む反応フラスコと連結して抽気処理を5min行った後、反応フラスコをコールドトラップから移し出し、減圧下で濃縮してDCMを除去し、その後、蒸留により無色ないし淡黄色油状物である1-クロロプロピルクロロホルメートを3.91g取得し、収率が73.2%であった。
【0124】
次に、1-クロロプロピルイソプロピルカーボネートを合成した。1-クロロプロピルクロロホルメート(1.034g、6.63mmol)を秤量して乾燥した二つ口反応フラスコに入れ、10mLの無水DCMを加えて撹拌し続け、イソプロピルアルコール(0.598g、9.95mmol)を秤量して上記反応フラスコに加え、反応フラスコを氷水浴に移して撹拌し続け、ピリジン(0.629g、7.96mmol)を秤量して上記反応フラスコにゆっくりと加え、滴下中に白色の固体が現れ、滴下が終了した後、反応フラスコを室温に移して反応を1h行った。反応フラスコに10mLの水を加え、分液し、DCM層を5%のKHSO4でpH=3~4となるまで洗浄し、その後、中性近くまで水洗し、更に、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で濃縮し、無色油状物である1-クロロプロピルイソプロピルカーボネートを0.822g取得し、精製せずに直接次の反応を行った。
【0125】
1-ヨードプロピルイソプロピルカーボネートを合成した。1-クロロプロピルイソプロピルカーボネート(0.822g、4.57mmol)を秤量して乾燥した100mLの二つ口反応フラスコに入れ、無水NaI(610mg、4.07mmol)、TBAB(14.82mg、0.046mmol)、無水CaCl2(183mg、1.65mmol)および酢酸エチル(8mL)を加え、80℃に加熱して3h還流反応させた。反応フラスコに水を加え、振ってから分液し、EA層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、褐色油状物である1-ヨードプロピルイソプロピルカーボネートを1.055g取得し、精製せずに直接次の反応に使用した。
【0126】
化合物4を合成した。室温下で、化合物a(0.648g、2.61mmol)を秤量して乾燥した50mLの一つ口反応フラスコに入れ、10mLのアセトンを加えて撹拌溶解し、その後、1-ヨードプロピルイソプロピルカーボネート(1.055g、3.88mmol)を秤量して上記反応フラスコに加え、その後、DBU(0.388g、2.55mmol)を秤量して反応フラスコにゆっくりと滴下し、滴下が終了した後、室温で一晩撹拌して反応させた。反応フラスコに水(10mL)および酢酸エチル(30mL)を加え、分液し、有機層を5%のNaHCO3で洗浄し、水洗し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EA=4:1)により目的生成物(0.698g、1.78mmol)を取得し、収率が68.2%であった。
【0127】
1H NMR(500MHz, d6-DMSO)δ7.19(d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.12(d, J = 8.0 Hz, 2H), 6.78-6.82(m, 1H), 4.69-4.82(m, 1H), 4.25(s, 1H), , 3.59-3.69(m, 2H), 2.78(dd, J = 13.5, 5.4 Hz, 1H), 2.32(dd, J = 13.4, 9.4 Hz, 1H), 1.82-1.91(m, 2H), 1.75-1.92(m, 2H), 1.39-1.70(m, 4H), 1.35(d, 3H, J = 7.1 Hz), 1.26-1.33(m, 6H), 1.12-1.13(m, 1H), 0.96-1.02(m, 3H).
【実施例5】
【0128】
化合物5の合成について、反応式は以下のとおりである。
【0129】
【0130】
まず、1-クロロ-1-メチル-エチルエチルカーボネートを合成した。クロロギ酸-2-プロペニル(1.010g、8.30mmol)を秤量して一つ口反応フラスコに入れ、20mLの無水ジクロロメタンを加えて撹拌し続けた。エタノール(0.382g、8.30mmol)を秤量して上記反応フラスコに加え、反応フラスコを氷浴に移して撹拌した。5mLの乾燥したCH2Cl2で希釈したピリジン(0.691g、8.72mmol)をゆっくりと滴下した後、室温で2時間反応させた。系を20mLの氷水に注ぎ、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾液を蒸発乾固して油状液体を取得した。該液体に10mLのエチルエーテルを加え、その後、50mLの4N塩酸/エチルエーテルをゆっくりと滴下し、滴下が終了した後、室温で一晩撹拌し、減圧下で濃縮し、無色液体である1-クロロ-1-メチル-エチルエチルカーボネートを0.883g取得し、精製せずに直接次の反応を行った。
【0131】
化合物5を合成した。室温下で、化合物a(0.878g、3.54mmol)を秤量して乾燥した50mLの一つ口反応フラスコに入れ、10mLのアセトンを加えて撹拌溶解し、その後、1-クロロ-1-メチル-エチルエチルカーボネート(0.883g、5.32mmol)を秤量して上記反応フラスコに加え、その後、DBU(0.542g、3.56mmol)を秤量して反応フラスコにゆっくりと滴下し、滴下が終了した後、室温で一晩撹拌して反応させた。反応フラスコに水(10mL)および酢酸エチル(30mL)を加え、分液し、有機層を5%のNaHCO3で洗浄し、水洗し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EA=4:1)により目的生成物(0.753g、1.99mmol)を取得し、収率が56.2%であった。
【0132】
1H NMR(500MHz, d6-DMSO)δ7.19(d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.12(d, J = 8.0 Hz, 2H), 4.25(s, 1H), 4.15-4.24(m, 2H), 3.59-3.69(m, 2H), 2.78(dd, J = 13.5, 5.4 Hz, 1H), 2.32(dd, J = 13.4, 9.4 Hz, 1H), 1.75-1.92(m, 2H), 1.61-1.65(m, 6H), 1.39-1.70(m, 4H), 1.35(d, 3H, J = 7.1 Hz), 1.27-1.33(m, 3H), 1.12-1.13(m, 1H).
【実施例6】
【0133】
化合物6の合成について、反応式は以下のとおりである。
【0134】
【0135】
まず、1-クロロ-1-メチル-エチルイソプロピルカーボネートを合成した。クロロギ酸-2-プロペニル(1.010g、8.30mmol)を秤量して一つ口反応フラスコに入れ、20mLの無水ジクロロメタンを加えて撹拌し続けた。イソプロピルアルコール(0.511g、8.50mmol)を秤量して上記反応フラスコに加え、反応フラスコを氷浴に移して撹拌した。5mLの乾燥したCH2Cl2で希釈したピリジン(0.691g、8.72mmol)をゆっくりと滴下した後、室温で2時間反応させた。系を20mLの氷水に注ぎ、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾液を蒸発乾固して油状液体を取得した。該液体に10mLのエチルエーテルを加え、その後、50mLの4N塩酸/エチルエーテルをゆっくりと滴下し、滴下が終了した後、室温で一晩撹拌し、減圧下で濃縮し、無色液体である1-クロロ-1-メチル-エチルイソプロピルカーボネートを取得し、精製せずに直接次の反応を行った。
【0136】
化合物6を合成した。室温下で、化合物a(0.797g、3.21mmol)を秤量して乾燥した50mLの一つ口反応フラスコに入れ、10mLのアセトンを加えて撹拌溶解し、その後、1-クロロ-1-メチル-エチルイソプロピルカーボネート(0.879g、4.88mmol)を秤量して上記反応フラスコに加え、その後、DBU(0.483g、3.17mmol)を秤量して反応フラスコにゆっくりと滴下し、滴下が終了した後、室温で一晩撹拌して反応させた。反応フラスコに水(10mL)および酢酸エチル(30mL)を加え、分液し、有機層を5%のNaHCO3で洗浄し、水洗し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EA=4:1)により目的生成物(0.698g、1.78mmol)を取得し、収率が55.5%であった。
【0137】
1H NMR(500MHz, d6-DMSO)δ7.19(d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.12(d, J = 8.0 Hz, 2H), 4.69-4.82(m, 1H), 4.25(s, 1H), , 3.59-3.69(m, 2H), 2.78(dd, J = 13.5, 5.4 Hz, 1H), 2.32(dd, J = 13.4, 9.4 Hz, 1H), 1.75-1.92(m, 2H), 1.61-1.65(m, 6H), 1.39-1.70(m, 4H), 1.35(d, 3H, J = 7.1 Hz), 1.26-1.33(m, 6H), 1.12-1.13(m, 1H).
【実施例7】
【0138】
化合物7の合成について、反応式は以下のとおりである。
【0139】
【0140】
1-ヨードエチルアセタートを合成した。1-クロロエチルアセタート(0.931g、6.56mmol)を秤量して乾燥した100mLの二つ口反応フラスコに入れ、無水NaI(983.2mg、5.84mmol)、TBAB(21.27mg、0.066mmol)、無水CaCl2(262mg、2.36mmol)および酢酸エチル(10mL)を加え、80℃に加熱して3h還流反応させた。反応フラスコに水を加え、振ってから分液し、EA層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、褐色油状物である1-ヨードエチルアセタートを0.809g取得し、精製せずに直接次の反応に使用した。
【0141】
化合物7を合成した。室温下で、化合物a(1.325g、5.34mmol)を秤量して乾燥した50mLの一つ口反応フラスコに入れ、10mLのアセトンを加えて撹拌溶解し、その後、1-ヨードエチルアセタート(0.809g、3.78mmol)を秤量して上記反応フラスコに加え、その後、DBU(0.822g、5.40mmol)を秤量して反応フラスコにゆっくりと滴下し、滴下が終了した後、室温で一晩撹拌して反応させた。反応フラスコに水(10mL)および酢酸エチル(30mL)を加え、分液し、有機層を5%のNaHCO3で洗浄し、水洗し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EA=4:1)により目的生成物(1.631g、4.88mmol)を取得し、収率が91.4%であった。
【0142】
1H NMR(500MHz, d6-DMSO)δ7.19(d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.12(d, J = 8.0 Hz, 2H), 6.87-6.93(m, 1H), 4.25(s, 1H), 3.59-3.69(m, 2H), 2.78(dd, J = 13.5, 5.4 Hz, 1H), 2.08-2.11(m, 3H), 2.32(dd, J = 13.4, 9.4 Hz, 1H), 1.52-1.55(m, 3H)1.75-1.92(m, 2H), 1.39-1.70(m, 4H), 1.35(d, 3H, J = 7.1 Hz), 1.12-1.13(m, 1H).
【実施例8】
【0143】
化合物8の合成について、反応式は以下のとおりである。
【0144】
【0145】
1-ヨードエチルプロピオネートを合成した。1-クロロエチルプロピオネート(0.785g、5.77mmol)を秤量して乾燥した100mLの二つ口反応フラスコに入れ、無水NaI(764.4mg、5.1mmol)、TBAB(18.7mg、0.058mmol)、無水CaCl2(230.6mg、2.08mmol)および酢酸エチル(8mL)を加え、80℃に加熱して3h還流反応させた。反応フラスコに水を加え、振ってから分液し、EA層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、褐色油状物である1-ヨードエチルプロピオネートを1.215g取得し、精製せずに直接次の反応に使用した。
【0146】
化合物8を合成した。室温下で、化合物a(0.881g、3.55mmol)を秤量して乾燥した50mLの一つ口反応フラスコに入れ、10mLのアセトンを加えて撹拌溶解し、その後、1-ヨードエチルプロピオネート(1.215g、5.33mmol)を秤量して上記反応フラスコに加え、その後、DBU(0.525g、3.45mmol)を秤量して反応フラスコにゆっくりと滴下し、滴下が終了した後、室温で一晩撹拌して反応させた。反応フラスコに水(10mL)および酢酸エチル(30mL)を加え、分液し、有機層を5%のNaHCO3で洗浄し、水洗し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EA=4:1)により目的生成物を1.097g取得し、収率が88.7%であった。
【0147】
1H NMR(500MHz, d6-DMSO)δ7.19(d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.12(d, J = 8.0 Hz, 2H), 6.89-6.94(m, 1H), 4.25(s, 1H), 3.59-3.69(m, 2H), 2.78(dd, J = 13.5, 5.4 Hz, 1H), 2.41-2.35(m, 2H), 2.32(dd, J = 13.4, 9.4 Hz, 1H), 1.52-1.55(m, 3H)1.75-1.92(m, 2H), 1.39-1.70(m, 4H), 1.35(d, 3H, J = 7.1 Hz), 1.19-1.13(m, 3H)1.12-1.13(m, 1H).
【実施例9】
【0148】
化合物9の合成について、反応式は以下のとおりである。
【0149】
【0150】
1-ヨードプロピルアセタートを合成した。1-クロロプロピルアセタート(1.040g、7.65mmol)を秤量して乾燥した100mLの二つ口反応フラスコに入れ、無水NaI(1.02g、6.81mmol)、TBAB(24.81mg、0.077mmol)、無水CaCl2(305.7mg、2.75mmol)および酢酸エチル(12mL)を加え、80℃に加熱して3h還流反応させた。反応フラスコに水を加え、振ってから分液し、EA層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、褐色油状物である1-ヨードプロピルアセタートを取得し、精製せずに直接次の反応に使用した。
【0151】
化合物9を合成した。室温下で、化合物a(0.913g、3.68mmol)を秤量して乾燥した50mLの一つ口反応フラスコに入れ、10mLのアセトンを加えて撹拌溶解し、その後、1-ヨードプロピルアセタート(1.293g、5.67mmol)を秤量して上記反応フラスコに加え、その後、DBU(0.548g、3.60mmol)を秤量して反応フラスコにゆっくりと滴下し、滴下が終了した後、室温で一晩撹拌して反応させた。反応フラスコに水(10mL)および酢酸エチル(30mL)を加え、分液し、有機層を5%のNaHCO3で洗浄し、水洗し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EA=4:1)により目的生成物を1.086g取得し、収率が84.8%であった。
【0152】
1H NMR(500MHz, d6-DMSO)δ7.19(d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.12(d, J = 8.0 Hz, 2H), 6.77-6.82(m, 1H), 4.25(s, 1H), 3.59-3.69(m, 2H), 2.78(dd, J = 13.5, 5.4 Hz, 1H), , 2.32(dd, J = 13.4, 9.4 Hz, 1H), 2.27-2.29-(m, 3H), 1.75-1.92(m, 4H), 1.39-1.70(m, 4H), 1.35(d, 3H, J = 7.1 Hz), 1.12-1.13(m, 1H), 0.94-1.00(m, 3H)
【実施例10】
【0153】
化合物10の合成について、反応式は以下のとおりである。
【0154】
【0155】
1-ヨードプロピルプロピオネートを合成した。1-クロロプロピルプロピオネート(0.888g、5.92mmol)を秤量して乾燥した100mLの二つ口反応フラスコに入れ、無水NaI(789.7mg、5.27mmol)、TBAB(19mg、0.059mmol)、無水CaCl2(236.6mg、2.13mmol)および酢酸エチル(10mL)を加え、80℃に加熱して3h還流反応させた。反応フラスコに水を加え、振ってから分液し、EA層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、褐色油状物である1-ヨードプロピルプロピオネートを1.101g取得し、精製せずに直接次の反応に使用した。
【0156】
化合物10を合成した。室温下で、化合物a(0.749g、3.02mmol)を秤量して乾燥した50mLの一つ口反応フラスコに入れ、10mLのアセトンを加えて撹拌溶解し、その後、1-ヨードプロピルプロピオネート(1.101g、4.55mmol)を秤量して上記反応フラスコに加え、その後、DBU(0.472g、3.10mmol)を秤量して反応フラスコにゆっくりと滴下し、滴下が終了した後、室温で一晩撹拌して反応させた。反応フラスコに水(10mL)および酢酸エチル(30mL)を加え、分液し、有機層を5%のNaHCO3で洗浄し、水洗し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EA=4:1)により目的生成物を0.848g取得し、収率が77.5%であった。
【0157】
1H NMR(500MHz, d6-DMSO)δ7.19(d, J = 8.0 Hz, 2H), 6.77-6.83(m, 1H)7.12(d, J = 8.0 Hz, 2H), 4.25(s, 1H), 3.59-3.69(m, 2H), 2.78(dd, J = 13.5, 5.4 Hz, 1H), 2.33-2.41(m, 2H), 2.32(dd, J = 13.4, 9.4 Hz, 1H), 1.75-1.92(m, 4H), 1.39-1.70(m, 4H), 1.35(d, 3H, J = 7.1 Hz), 1.12-1.13(m, 4H), 0.95-0.99(m, 3H).
【実施例11】
【0158】
化合物11の合成について、反応式は以下のとおりである。
【0159】
【0160】
まず、1-ヨード-1-メチル-エチルアセタートを合成した。1-クロロ-1-メチル-エチルアセタート(0.801g、5.89mmol)を秤量して乾燥した100mLの二つ口反応フラスコに入れ、無水NaI(785.4mg、5.24mmol)、TBAB(19mg、0.059mmol)、無水CaCl2(235.3mg、2.12mmol)および酢酸エチル(10mL)を加え、80℃に加熱して3h還流反応させた。反応フラスコに水を加え、振ってから分液し、EA層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、褐色油状物である1-ヨード-1-メチル-エチルアセタートを1.062g取得し、精製せずに直接次の反応に使用した。
【0161】
化合物11を合成した。室温下で、化合物a(0.757g、3.05mmol)を秤量して乾燥した50mLの一つ口反応フラスコに入れ、10mLのアセトンを加えて撹拌溶解し、その後、1-ヨード-1-メチル-エチルアセタート(1.062g、4.66mmol)を秤量して上記反応フラスコに加え、その後、DBU(0.467g、3.07mmol)を秤量して反応フラスコにゆっくりと滴下し、滴下が終了した後、室温で一晩撹拌して反応させた。反応フラスコに水(10mL)および酢酸エチル(30mL)を加え、分液し、有機層を5%のNaHCO3で洗浄し、水洗し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EA=4:1)により目的生成物(0.846g、2.43mmol)を取得し、収率が79.7%であった。
【0162】
1H NMR(500MHz, d6-DMSO)δ7.19(d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.12(d, J = 8.0 Hz, 2H), 4.25(s, 1H), 3.59-3.69(m, 2H), 2.78(dd, J = 13.5, 5.4 Hz, 1H), 2.08-2.11(m, 3H), 2.32(dd, J = 13.4, 9.4 Hz, 1H), 1.75-1.92(m, 2H), 1.61-1.65(m, 6H), 1.39-1.70(m, 4H), 1.35(d, 3H, J = 7.1 Hz), 1.12-1.13(m, 1H).
【実施例12】
【0163】
化合物12の合成について、反応式は以下のとおりである。
【0164】
【0165】
まず、1-ヨード-1-メチル-エチルプロピオネートを合成した。1-クロロ1-メチル-エチルプロピオネート(0.833g、5.55mmol)を秤量して乾燥した100mLの二つ口反応フラスコに入れ、無水NaI(740.4mg、4.94mmol)、TBAB(17.7mg、0.055mmol)、無水CaCl2(222mg、2.0mmol)および酢酸エチル(8mL)を加え、80℃に加熱して3h還流反応させた。反応フラスコに水を加え、振ってから分液し、EA層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、褐色油状物である1-ヨード-1-メチル-エチルプロピオネートを1.038g取得し、精製せずに直接次の反応に使用した。
【0166】
化合物12を合成した。室温下で、化合物a(0.697g、2.81mmol)を秤量して乾燥した50mLの一つ口反応フラスコに入れ、10mLのアセトンを加えて撹拌溶解し、その後、1-ヨード-1-メチル-エチルプロピオネート(1.038g、4.29mmol)を秤量して上記反応フラスコに加え、その後、DBU(0.431g、2.83mmol)を秤量して反応フラスコにゆっくりと滴下し、滴下が終了した後、室温で一晩撹拌して反応させた。反応フラスコに水(10mL)および酢酸エチル(30mL)を加え、分液し、有機層を5%のNaHCO3で洗浄し、水洗し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EA=4:1)により目的生成物(0.623g、1.72mmol)を取得し、収率が61.2%であった。
【0167】
1H NMR(500MHz, d6-DMSO)δ7.19(d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.12(d, J = 8.0 Hz, 2H), 4.25(s, 1H), 3.59-3.69(m, 2H), 2.78(dd, J = 13.5, 5.4 Hz, 1H), 2.17-2.21(m, 2H), 2.32(dd, J = 13.4, 9.4 Hz, 1H), 1.75-1.92(m, 2H), 1.61-1.65(m, 6H), 1.39-1.70(m, 4H), 1.35(d, 3H, J = 7.1 Hz).
【実施例13】
【0168】
化合物13の合成について、反応式は以下のとおりである。
【0169】
【0170】
まず、1-クロロエチルクロロホルメートを合成した。トリホスゲン(10.01g、33.70mmol)を秤量して100mLの三つ口反応フラスコに入れ、15mLの無水ジクロロメタンを加え、反応フラスコをArガスで3回置換し、反応フラスコを-20℃のコールドトラップに移して撹拌し続けた。Py(0.540g、6.83mmol)を秤量して5mLのジクロロメタンで希釈した後、反応フラスコに入れた。その後、アセトアルデヒド(3.502g、79.46mmol)を秤量して反応フラスコにゆっくりと滴下し、滴下が終了した後、コールドトラップの温度を-20℃に設定し、20h反応させ続けた。水ポンプを、KOH水溶液を含む反応フラスコと連結して抽気処理を5min行った後、反応フラスコをコールドトラップから移し出し、減圧下で濃縮してDCMを除去し、その後、蒸留により無色ないし淡黄色油状物である1-クロロエチルクロロホルメートを3.912g取得し、収率が73.2%であった。
【0171】
次に、1-クロロエチルシクロヘキシルカーボネートを合成した。1-クロロエチルクロロホルメート(1.010g、6.38mmol)を秤量して乾燥した二つ口反応フラスコに入れ、10mLの無水DCMを加えて撹拌し続け、シクロヘキサノール(0.960g、9.56mmol)を秤量して上記反応フラスコに加え、反応フラスコを氷水浴に移して撹拌し続け、ピリジン(0.633g、7.96mmol)を秤量して上記反応フラスコにゆっくりと加え、滴下中に白色の固体が現れ、滴下が終了した後、反応フラスコを室温に移して反応を1h行った。反応フラスコに10mLの水を加え、分液し、DCM層を5%のKHSO4でpH=3~4となるまで洗浄し、その後、中性近くまで水洗し、更に、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で濃縮し、無色油状物である1-クロロエチルシクロヘキシルカーボネートを取得し、精製せずに直接次の反応を行った。
【0172】
1-ヨードエチルシクロヘキシルカーボネートを合成した。1-クロロエチルシクロヘキシルカーボネート(1.008g、4.89mmol)を秤量して乾燥した100mLの二つ口反応フラスコに入れ、無水NaI(652mg、4.35mmol)、TBAB(15.8mg、0.049mmol)、無水CaCl2(195.4mg、1.76mmol)および酢酸エチル(10mL)を加え、80℃に加熱して3h還流反応させた。反応フラスコに水を加え、振ってから分液し、EA層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、褐色油状物である1-ヨードエチルシクロヘキシルカーボネートを取得し、精製せずに直接次の反応に使用した。
【0173】
化合物13を合成した。室温下で、化合物a(0.462g、1.86mmol)を秤量して乾燥した50mLの一つ口反応フラスコに入れ、10mLのアセトンを加えて撹拌溶解し、その後、1-ヨードエチルシクロヘキシルカーボネート(0.697g、2.81mmol)を秤量して上記反応フラスコに加え、その後、DBU(0.274g、1.80mmol)を秤量して反応フラスコにゆっくりと滴下し、滴下が終了した後、室温で一晩撹拌して反応させた。反応フラスコに水(10mL)および酢酸エチル(30mL)を加え、分液し、有機層を5%のNaHCO3で洗浄し、水洗し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EA=4:1)により目的生成物(0.598g、1.43mmol)を取得し、収率が76.9%であった。
【0174】
1H NMR(500MHz, d6-DMSO)δ7.19(d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.12(d, J = 8.0 Hz, 2H), 6.77-6.82(m, 1H), 4.60-4.67(m, 1H)4.25(s, 1H), , 3.59-3.69(m, 2H), 2.78(dd, J = 13.5, 5.4 Hz, 1H), 2.32(dd, J = 13.4, 9.4 Hz, 1H), 1.75-1.92(m, 5H), 1.39-1.70(m, 13H), 1.35(d, 3H, J = 7.1 Hz), 1.12-1.13(m, 1H).
【実施例14】
【0175】
化合物14の合成について、反応式は以下のとおりである。
【0176】
【0177】
まず、1-クロロプロピルクロロホルメートを合成した。トリホスゲン(10.01g、33.70mmol)を秤量して100mLの三つ口反応フラスコに入れ、15mLの無水ジクロロメタンを加え、反応フラスコをArガスで3回置換し、反応フラスコを-20℃のコールドトラップに移して撹拌し続けた。Py(0.542g、6.83mmol)を秤量して5mLのジクロロメタンで希釈した後、反応フラスコに入れた。その後、n-プロピオンアルデヒド(4.304g、79.46mmol)を秤量して反応フラスコにゆっくりと滴下し、滴下が終了した後、コールドトラップの温度を-20℃に設定し、20h反応させ続けた。水ポンプを、KOH水溶液を含む反応フラスコと連結して抽気処理を5min行った後、反応フラスコをコールドトラップから移し出し、減圧下で濃縮してDCMを除去し、その後、蒸留により無色ないし淡黄色油状物である1-クロロプロピルクロロホルメートを3.910g取得し、収率が73.2%であった。
【0178】
次に、1-クロロプロピルシクロヘキシルカーボネートを合成した。1-クロロプロピルクロロホルメート(1.025g、6.57mmol)を秤量して乾燥した二つ口反応フラスコに入れ、10mLの無水DCMを加えて撹拌し続け、シクロヘキサノール(0.960g、9.56mmol)を秤量して上記反応フラスコに加え、反応フラスコを氷水浴に移して撹拌し続け、ピリジン(0.631g、7.96mmol)を秤量して上記反応フラスコにゆっくりと加え、滴下中に白色の固体が現れ、滴下が終了した後、反応フラスコを室温に移して反応を1h行った。反応フラスコに10mLの水を加え、分液し、DCM層を5%のKHSO4でpH=3~4となるまで洗浄し、その後、中性近くまで水洗し、更に、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で濃縮し、無色油状物である1-クロロプロピルシクロヘキシルカーボネートを1.008g取得し、精製せずに直接次の反応を行った。
【0179】
1-ヨードプロピルシクロヘキシルカーボネートを合成した。1-クロロプロピルシクロヘキシルカーボネート(1.008g、4.58mmol)を秤量して乾燥した100mLの二つ口反応フラスコに入れ、無水NaI(611mg、4.08mmol)、TBAB(14.8mg、0.046mmol)、無水CaCl2(183.2mg、1.65mmol)および酢酸エチル(12mL)を加え、80℃に加熱して3h還流反応させた。反応フラスコに水を加え、振ってから分液し、EA層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、褐色油状物である1-ヨードプロピルシクロヘキシルカーボネートを取得し、精製せずに直接次の反応に使用した。
【0180】
化合物14の合成について、反応式は以下のとおりであった。室温下で、化合物a(0.625g、2.52mmol)を秤量して乾燥した50mLの一つ口反応フラスコに入れ、10mLのアセトンを加えて撹拌溶解し、その後、1-ヨードプロピルシクロヘキシルカーボネート(1.179g、3.78mmol)を秤量して上記反応フラスコに加え、その後、DBU(383.6mg、2.52mmol)を秤量して反応フラスコにゆっくりと滴下し、滴下が終了した後、室温で一晩撹拌して反応させた。反応フラスコに水(10mL)および酢酸エチル(30mL)を加え、分液し、有機層を5%のNaHCO3で洗浄し、水洗し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EA=4:1)により、目的生成物を1.054g取得し、収率が79.8%であった。
【0181】
1H NMR(500MHz, d6-DMSO) δ 7.19(d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.12(d, J = 8.0 Hz, 2H), 6.77-6.82(m, 1H), 4.60-4.67(m, 1H)4.25(s, 1H), , 3.59-3.69(m, 2H), 2.78(dd, J = 13.5, 5.4 Hz, 1H), 2.32(dd, J = 13.4, 9.4 Hz, 1H), 1.75-1.92(m, 8H), 1.39-1.70(m, 13H)1.35(d, 3H, J = 7.1 Hz), 1.12-1.13(m, 1H).
【実施例15】
【0182】
化合物15の合成について、反応式は以下のとおりである。
【0183】
【0184】
まず、1-クロロ-1-メチル-エチルシクロヘキシルカーボネートを合成した。クロロギ酸-2-プロペニル(1.006g、8.30mmol)を秤量して一つ口反応フラスコに入れ、20mLの無水ジクロロメタンを加えて撹拌し続けた。シクロヘキサノール(0.837g、8.30mmol)を秤量して上記反応フラスコに加え、反応フラスコを氷浴に移して撹拌した。5mLの乾燥したCH2Cl2で希釈したピリジン(0.690g、8.72mmol)をゆっくりと滴下した後、室温で2時間反応させた。系を20mLの氷水に注ぎ、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾液を蒸発乾固して油状液体を取得した。該液体に10mLのエチルエーテルを加え、その後、50mLの4N塩酸/エチルエーテルをゆっくりと滴下し、滴下が終了した後、室温で一晩撹拌し、減圧下で濃縮し、無色液体である1-クロロ1-メチル-エチルシクロヘキシルカーボネートを1.589g取得し、精製せずに直接次の反応を行った。
【0185】
1-ヨード-メチル-エチルシクロヘキシルカーボネートを合成した。1-クロロ1-メチル-エチルシクロヘキシルカーボネート(1.589g、7.22mmol)を秤量して乾燥した100mLの二つ口反応フラスコに入れ、無水NaI(963.8mg、6.43mmol)、TBAB(23.2mg、0.072mmol)、無水CaCl2(288.6mg、2.6mmol)および酢酸エチル(15mL)を加え、80℃に加熱して3h還流反応させた。反応フラスコに水を加え、振ってから分液し、EA層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、褐色油状物である1-ヨード-1-メチル-エチルシクロヘキシルカーボネートを1.938g取得し、精製せずに直接次の反応に使用した。
【0186】
化合物15を合成した。室温下で、化合物a(1.027g、4.14mmol)を秤量して乾燥した50mLの一つ口反応フラスコに入れ、10mLのアセトンを加えて撹拌溶解し、その後、1-ヨード-1-メチル-エチルシクロヘキシルカーボネート(1.938g、6.21mmol)を秤量して上記反応フラスコに加え、その後、DBU(0.632g、4.15mmol)を秤量して反応フラスコにゆっくりと滴下し、滴下が終了した後、室温で一晩撹拌して反応させた。反応フラスコに水(10mL)および酢酸エチル(30mL)を加え、分液し、有機層を5%のNaHCO3で洗浄し、水洗し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EA=4:1)により目的生成物を1.567g取得し、収率が72.2%であった。
【0187】
1H NMR(500MHz, d6-DMSO)δ7.19(d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.12(d, J = 8.0 Hz, 2H), 4.60-4.67(m, 1H)4.25(s, 1H), , 3.59-3.69(m, 2H), 2.78(dd, J = 13.5, 5.4 Hz, 1H), 2.32(dd, J = 13.4, 9.4 Hz, 1H), 1.75-1.92(m, 6H), 1.39-1.70(m, 16H), 1.35(d, 3H, J = 7.1 Hz), 1.12-1.13(m, 1H).
【実施例16】
【0188】
【0189】
中間体1を合成した。
化合物a(1.2g、4.83mmol)を秤量して50mLの予備乾燥した二つ口反応フラスコに入れ、10mLの無水DCMを加え、撹拌しながらN2で反応フラスコを2回置換し、反応フラスコを氷浴条件下に移して撹拌し続け、5滴のDMFを加え、その後、反応フラスコに塩化オキサリル(0.918g、7.24mmol)をゆっくりと滴下し、滴下が終了した後、氷浴下で2h反応させ続けた。反応液を減圧下で濃縮し、溶剤を除去して黄色油状物を1.13g取得し、更に精製せずに直接次の反応を行った。
【0190】
中間体2を合成した。
N2の保護下で、作製された直後の中間体1(1.13g、4.24mmol)を50mLの二つ口反応フラスコに入れ、反応フラスコに無水ZnCl2(58mg、0.424mmol)を加えた。その後、無水トルエン(20mL)を秤量して反応フラスコに加え、反応フラスコを氷浴に移して撹拌し続けた。パラアルデヒド(209.2mg、1.58mmol)を秤量して5mLのトルエンで希釈した後、上記反応フラスコにゆっくりと滴下し、滴下が終了した後、反応フラスコを80℃に移して5h加熱反応させた。反応フラスコに10mLの水を加え、分液し、DCM層を5%のNaHCO3水溶液でPHが8~9となるまで2回洗浄し、更に、水、飽和食塩水で順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、黄色油状物である中間体2の粗品を0.91g取得し、精製せずに直接次の反応を行った。
【0191】
化合物16を合成した。
化合物a(0.54g、2.17mmol)、KHCO3(0.38g、3.8mmol)を秤量して50mLの一つ口反応フラスコに入れ、10mLのアセトンを加えて撹拌し続け、その後、作製された直後の中間体2(0.91g、2.93mmol)を反応フラスコに加え、反応フラスコを60℃に加熱して6h反応させた。反応フラスコにDCMおよび水を加え、分液し、DCM層を5%のNaHCO3で洗浄し、水、飽和食塩水で洗浄し、乾燥して濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(PE/EA=4:1)により黄色油状物を0.427g取得し、収率が37.6%であった。
【0192】
1H NMR(500MHz, d6-DMSO) δ 7.19(d, J = 8.0 Hz, 4H), 7.12(d, J = 8.0 Hz, 4H), 6.87-6.93(m, 1H), 4.25(s, 2H), 3.59-3.69(m, 4H), 2.78(dd, J = 13.5, 5.4 Hz, 2H), 2.32(dd, J = 13.4, 9.4 Hz, 2H), 1.52-1.55(m, 6H)1.75-1.92(m, 4H), 1.39-1.70(m, 8H), 1.35(d, 3H, J = 7.1 Hz), 1.12-1.13(m, 2H).
【0193】
試験例1 本願に係る化合物のヒト血漿中の代謝についての研究
(1)40mMの化合物1、化合物7、化合物aの純アセトニトリル原液を調製した。
(2)25μLの化合物aの原液を取って1mLのヒト血漿中で混合させ、30s旋回させ、200μLサンプリングして800μLのアセトニトリルに入れてタンパク質を沈降させ、1min旋回させて反応を終了し、ロキソプロフェン活性代謝物コントロールとし、40mMの化合物1および化合物7の原液を200倍に希釈してプロドラッグコントロールとした。
(4)100μLの化合物1および化合物7の純アセトニトリル原液を取って4mLのヒト血漿中に入れて混合させ、30s旋回させ、37℃の恒温振とうバスヒータに置いて200rpmで振とうした。
(5)異なる時点(0、15、30、60、120min)において200μLサンプリングし、各時点で3回サンプリングし、800μLのアセトニトリルに入れてタンパク質を沈降させ、1min旋回させて反応を終了し、同じ方法でブランク血漿コントロールを作製した。
(6)12000rpm、4℃で10min遠心し、上清を取り、(濾過膜を介して)30μLのサンプルを注入し、ピーク面積の変化を記録した。
(7)化合物1および化合物7の加水分解速度を観察して分析した。
【0194】
実験結果は以下の表1に示すとおりであった。
【0195】
【0196】
試験の結果から分かるように、化合物7の代謝速度は、化合物1の代謝速度より速いが、差が大きくなく、2種の化合物は、in vitroヒト血漿中でいずれも速やかに活性代謝物に変換してその薬理活性作用を発揮することができる(
図5および
図6参照)。