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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】荷重付与部及び機械試験装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/02 20060101AFI20231122BHJP
   B60C 19/00 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
G01M17/02
B60C19/00 H
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021173535
(22)【出願日】2021-10-22
(62)【分割の表示】P 2020039337の分割
【原出願日】2013-10-11
(65)【公開番号】P2022009438
(43)【公開日】2022-01-14
【審査請求日】2021-10-25
(31)【優先権主張番号】P 2012226487
(32)【優先日】2012-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2012270821
(32)【優先日】2012-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2012270822
(32)【優先日】2012-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2013180798
(32)【優先日】2013-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391046414
【氏名又は名称】国際計測器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100078880
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 修平
(72)【発明者】
【氏名】松本 繁
(72)【発明者】
【氏名】宮下 博至
(72)【発明者】
【氏名】村内 一宏
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 正伸
(72)【発明者】
【氏名】坂上 友隆
【審査官】岩永 寛道
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-140482(JP,U)
【文献】国際公開第2008/133187(WO,A1)
【文献】特開2008-174190(JP,A)
【文献】特開2007-082384(JP,A)
【文献】特開平09-140094(JP,A)
【文献】特開2004-125549(JP,A)
【文献】特開平07-245912(JP,A)
【文献】特表2007-502599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 17/02
G01M 17/007
G01M 13/02
G01M 99/00
G01L 3/00
G01L 3/10
G01L 3/26
H02K 5/00
H02K 5/173
H02K 7/14
H02K 7/20
B60C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に支持されたケーシングと、
前記ケーシングを回転駆動可能なインバータモータと、
前記ケーシングに取り付けられた電動機と、
を備え、
前記電動機は、定格出力が10kW以上であり、回転部の慣性モーメントが10-2kg・m以下であり、
前記ケーシングに入力された回転に前記電動機が発生する回転を加えて出力する、
荷重付与部。
【請求項2】
前記電動機によって回転駆動される連結軸と、
前記ケーシングを回転可能に支持する軸受部と、を備え、
前記ケーシングが、前記軸受部によって回転可能に支持された円筒状の軸部を有し、
前記軸部の内周に、該軸部の中空部に通された前記連結軸を回転可能に支持する軸受が設けられた、
請求項1に記載の荷重付与部。
【請求項3】
前記ケーシングが筒状であり、
前記電動機が、前記ケーシングの中空部内に配置された、
請求項1又は請求項2に記載の荷重付与部。
【請求項4】
前記電動機の軸が、前記ケーシングの回転軸と同心に配置された、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の荷重付与部。
【請求項5】
前記電動機がモータケースを備え、
前記モータケースが、複数の固定ロッドを介して前記ケーシングに固定された、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の荷重付与部。
【請求項6】
前記モータケースが、前記電動機の軸を回転可能に支持する第2の軸受が設けられたブラケットを備え、
前記固定ロッドの一端部が前記ブラケットに固定された、
請求項5に記載の荷重付与部。
【請求項7】
前記ケーシングが、前記電動機を収容する筒状の胴部を備え、
前記固定ロッドの他端部が前記胴部に固定された、
請求項6に記載の荷重付与部。
【請求項8】
前記電動機の回転を減速する減速機を備え、
前記減速機が、
取付フランジを備え、
前記取付フランジを前記胴部と前記軸部との間に挟み込んで締め付けることにより前記ケーシングに固定された、
請求項2を直接又は間接に引用する請求項7に記載の荷重付与部。
【請求項9】
前記ケーシングの外部に配置され、前記電動機に電力を供給する電力供給部と、
前記電力供給部から前記電動機へ電力を伝送する電力伝送路と、
を備え、
前記電力伝送路が、
前記ケーシングの外部に配置された外部電力伝送路と、
前記ケーシングの内部に配置され、該ケーシングと共に回転可能な内部電力伝送路と、
前記外部電力伝送路と前記内部電力伝送路とを接続するスリップリング部と、を備えた、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の荷重付与部。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の荷重付与部を備えた、
機械試験装置。
【請求項11】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の荷重付与部と、
供試体の一端部が取り付けられる第1のワーク取付部と、
供試体の他端部が取り付けられる第2のワーク取付部と、
を備えた、
機械試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷重付与部及び機械試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者等は、従来のサーボモータに対してイナーシャを大幅に低減させた超低慣性サーボモータを採用することで、数10~数100Hzの高い周波数の繰り返し負荷を加えることが可能なサーボモータ式の各種疲労試験装置や振動試験装置を実用化した(例えば特許文献1)。
【0003】
上記のサーボモータ式試験装置は、従来の油圧式試験装置が抱えていた多くの深刻な課題(例えば、オイルタンクや油圧配管等の大規模な油圧供給設備の設置が必要、定期的に大量の作動油の交換が必要、作動油の漏洩による作業環境・土壌汚染)を解決することから、急激に適用範囲が拡大している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2008/133187号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、回転数とトルクのそれぞれを独立かつ高精度に制御可能な荷重付与部及び機械試験装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、回転可能に支持されたケーシングと、ケーシングに取り付けられた電動機と、電動機によって回転駆動される連結軸と、を備え、電動機は、定格出力が10kW以上であり、回転部の慣性モーメントが10 -2 kg・m 以下である、荷重付与部が提供される。
【0007】
上記の荷重付与部において、ケーシングを回転可能に支持する軸受部を備え、ケーシングが、軸受部によって回転可能に支持された円筒状の軸部を有し、軸部の内周に、軸部の中空部に通された連結軸を回転可能に支持する軸受が設けられた構成としてもよい。
【0008】
上記の荷重付与部において、ケーシングが筒状であり、電動機が、ケーシングの中空部内に配置された構成としてもよい。
【0009】
上記の荷重付与部において、電動機の軸が、ケーシングの回転軸と同心に配置された構成としてもよい。
【0010】
上記の荷重付与部において、電動機がモータケースを備え、モータケースが、複数の固定ロッドを介してケーシングに固定された構成としてもよい。
上記の荷重付与部において、モータケースが、電動機の軸を回転可能に支持する第2の軸受が設けられたブラケットを備え、固定ロッドの一端部がブラケットに固定された構成としてもよい。
【0011】
上記の荷重付与部において、ケーシングが、電動機を収容する筒状の胴部を備え、固定ロッドの他端部が胴部に固定された構成としてもよい。
【0012】
上記の荷重付与部において、電動機の回転を減速する減速機を備え、減速機が、取付フランジを備え、取付フランジを胴部と軸部との間に挟み込んで締め付けることによりケーシングに固定された構成としてもよい。
【0013】
上記の荷重付与部において、ケーシングの外部に配置され、電動機に電力を供給する電力供給部と、電力供給部から電動機へ電力を伝送する電力伝送路と、を備え、電力伝送路が、ケーシングの外部に配置された外部電力伝送路と、ケーシングの内部に配置され、ケーシングと共に回転可能な内部電力伝送路と、外部電力伝送路と内部電力伝送路とを接続するスリップリング部と、を備えた構成としてもよい。
【0014】
本発明の一態様によれば、上記の荷重付与部を備えた、機械試験装置が提供される。
【0015】
本発明の別の一態様によれば、上記の荷重付与部と、供試体の一端部が取り付けられる第1のワーク取付部と、供試体の他端部が取り付けられる第2のワーク取付部と、
を備えた、機械試験装置が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、回転数とトルクのそれぞれを独立かつ高精度に制御することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る2軸出力サーボモータの側面図である。
図2】本発明の実施形態に係るサーボモータユニットの側面図である。
図3】本発明の実施形態に係るサーボモータユニットの変形例の縦断面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る回転ねじり試験装置の側面図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る回転ねじり試験装置の荷重付与部付近の縦断面図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る回転ねじり試験装置の制御システムの概略構成を示すブロック図である。
図7】本発明の第1実施形態の変形例に係る動力シミュレータの外観図である。
図8】本発明の第1実施形態の変形例に係る動力シミュレータの外観図である。
図9】本発明の第1実施形態の変形例に係る動力シミュレータを備えた試験装置の側面図である。
図10】本発明の第1実施形態の変形例に係る動力シミュレータを備えた試験装置の一部拡大図である。
図11】本発明の第2実施形態に係る回転ねじり試験装置の平面図である。
図12】本発明の第2実施形態に係る回転ねじり試験装置の側面図である。
図13】本発明の第2実施形態に係る回転ねじり試験装置の荷重付与部付近の縦断面図である。
図14】本発明の第3実施形態に係るねじり試験装置の上面図及び側面図である。
図15】本発明の第3実施形態に係るねじり試験装置のトルク付与部の側断面図である。
図16】本発明の第4実施形態に係るねじり試験装置の上面図である。
図17】本発明の第5実施形態に係るねじり試験装置の上面図である。
図18】本発明の第6実施形態に係るねじり試験装置の上面図である。
図19】本発明の第7実施形態に係る回転ねじり試験装置の外観図である。
図20】本発明の第8実施形態に係る回転ねじり試験装置の外観図である。
図21】本発明の第9実施形態に係るタイヤ摩耗試験装置の上面図である。
図22】本発明の第10実施形態に係るタイヤ試験装置の外観図である。
図23】本発明の第10実施形態に係るタイヤ試験装置の外観図である。
図24】本発明の第11実施形態に係るFRトランスミッション用の動力吸収式耐久試験装置の外観図である。
図25】本発明の第12実施形態に係るFFトランスミッション用の動力吸収式耐久試験装置の外観図である。
図26】本発明の第13実施形態に係るねじり試験装置の側面図である。
図27】本発明の第13実施形態の第1駆動部の側面図である。
図28】本発明の第13実施形態の第1変形例に係るねじり試験装置の平面図である。
図29】本発明の第13実施形態の第2変形例に係るねじり試験装置の平面図である。
図30】本発明の第13実施形態の第3変形例に係るねじり試験装置の平面図である。
図31】本発明の第14実施形態に係るねじり試験装置の側面図である。
図32】本発明の第14実施形態の駆動部の拡大図である。
図33】本発明の第15実施形態に係る振動試験装置の上面図である。
図34】本発明の第15実施形態に係る第1アクチュエータをY軸方向から見た側面図である。
図35】本発明の第15実施形態に係る第1アクチュエータの上面図である。
図36】本発明の第15実施形態のテーブル及び第3アクチュエータをX軸方向から見た側面図である。
図37】本発明の第15実施形態のテーブル及び第3アクチュエータをY軸方向から見た側面図である。
図38】本発明の第15実施形態に係る振動試験装置における制御システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
(第1実施形態)
先ず、本発明の実施形態に係る2軸出力サーボモータ150Aについて説明する。図1は、2軸出力サーボモータ150Aの側面図である。2軸出力サーボモータ150Aは、二つの出力軸150A2a、150A2bを備えた高出力(定格出力37kW)の超低慣性サーボモータである。2軸出力サーボモータ150Aは、本体フレーム150A1、駆動軸150A2、第1ブラケット150A3及び第2ブラケット150A4を備えている。
【0020】
本体フレーム150A1は略円筒状のフレームであり、その内周にコイルを有する固定子(不図示)が設けられている。本体フレーム150A1の軸方向両端部には、本体フレーム150A1の開口を塞ぐように、第1ブラケット150A3と第2ブラケット150A4がそれぞれ取り付けられている。本体フレーム150A1、第1ブラケット150A3及び第2ブラケット150A4により、モータケースが形成されている。第1ブラケット150A3と第2ブラケット150A4には、それぞれ駆動軸150A2を回転自在に支持する軸受150A3b、150A4bが設けられている。駆動軸150A2の長手方向中央部の外周には回転子(不図示)が設けられており、固定子が発生する回転磁場と駆動軸150A2に設けられた回転子との相互作用によって、駆動軸150A2に回転力が与えられる。
【0021】
駆動軸150A2の一端部150A2a(図1における右端部)は、第1ブラケット150A3を貫通して、モータケースから外部に突出し、出力軸150A2aとなっている。また、駆動軸150A2の他端部150A2bは、第2ブラケット150A4を貫通し、モータケースから外部に突出して、第2出力軸150A2bとなっている。第2ブラケット150A4には、駆動軸150A2の他端部150A2bの回転を検出するロータリーエンコーダ(不図示)が内蔵されている。
【0022】
また、第1ブラケット150A3及び第2ブラケット150A4の下面には、2軸出力サーボモータ150Aを固定するための一対のタップ穴150A3t及び150A4tがそれぞれ設けられている。従来のサーボモータでは、負荷側(出力軸が突出する側)のブラケットの取付座面(図1における右側面)のみに駆動軸と平行に延びる固定用タップ穴が設けられていた。精密機械試験以外の用途では負荷側ブラケットの取付座面に設けられたタップ穴による固定のみで十分であるが、特に数10Hz(例えば20Hz)以上の高い周波数の動荷重を加える精密機械試験装置(例えば、疲労試験装置や振動試験装置)において、定格出力が10kW程度以上の高出力のサーボモータを使用する場合には、ブラケットの取付座面での固定のみでは駆動軸と垂直な方向にサーボモータを完全に固定することができず、例えば数μm~数10μm程度の微小な振幅の振動が発生し、試験結果に無視できない誤差を与えていた。
【0023】
本発明者等は、数多くの振動解析や実験の結果、各ブラケットの下面に2箇所ずつ駆動軸と垂直な方向に延びる固定用のタップ穴を追加することにより、振動ノイズが顕著に(例えば1桁程度)改善することを見出した。負荷側ブラケットの取付座面に加えて、各ブラケットの下面にタップ穴を設けて、これらのタップ穴を用いてサーボモータをボルトで固定することにより、振動ノイズが低減し、より高精度の機械試験が可能になる。
【0024】
また、サーボモータ150Aは、定格出力が37kWと高く、作動時の発熱量も大きいため、内部で発生した熱を水冷により外部へ放熱するように構成されている。本体フレーム150A1の上部には、冷却水を供給及び排出するための外部配管が接続される2つのチューブ継手150A6が設けられている。
【0025】
本実施形態では、上述の2軸出力サーボモータ150Aと、一つの出力軸150B2aを有するサーボモータ150Bとを直列に連結したサーボモータユニット150が使用される。図2は、本発明の実施形態に係るサーボモータユニット150の側面図である。サーボモータユニット150は、1つの駆動軸152を有している。
【0026】
なお、サーボモータユニット150に関する以下の説明では、駆動軸152が突出する側(図2における右側)を負荷側、その反対側を反負荷側と呼ぶ。2軸出力サーボモータ150A及びサーボモータ150Bは、それぞれ最大で350N・mに及ぶトルクを発生し、回転部の慣性モーメントが10-2(kg・m)以下に抑えられた、定格出力37kWの大出力超低慣性サーボモータである。
【0027】
サーボモータ150Bは、本体フレーム150B1、駆動軸150B2、負荷側ブラケット150B3、反負荷側ブラケット150B4及びロータリーエンコーダ150B5を備えている。本体フレーム150B1及び負荷側ブラケット150B3は、2軸出力サーボモータ150Aの本体フレーム150A1及び第1ブラケット150A3と同一のものであり、本体フレーム150B1の上部には、冷却水を供給及び排出するための外部配管が接続される2つのチューブ継手150B6が設けられている。反負荷側ブラケット150B4は、2軸出力サーボモータ150Aの第2ブラケット150A4と略同じ構成のものであるが、ロータリーエンコーダは内蔵されておらず、後述のようにロータリーエンコーダ150B5が反負荷側ブラケット150B4に外付けされている。また、負荷側ブラケット150B3と反負荷側ブラケット150B4の下面にも、それぞれ一対のタップ穴150B3t及び150B4tが設けられている。
【0028】
駆動軸150B2の負荷側の一端部150B2aは、負荷側ブラケット150B3を貫通し、モータケースから外部に突出して、出力軸150B2aとなっている。一方、反負荷側ブラケット150B4の取付座面(図2における左側面)には、駆動軸150B2の角度位置を検出するロータリーエンコーダ150B5が取り付けられており、駆動軸150B2の他端部150B2bは反負荷側ブラケット150B4を貫通して、ロータリーエンコーダ内に収容されている。
【0029】
図2に示すように、サーボモータ150Bの出力軸152B2aと、2軸出力サーボモータ150Aの第2出力軸150A2bとは、カップリング150Cによって連結されている。また、サーボモータ150Bの負荷側ブラケット150B3と、2軸出力サーボモータ150Aの第2ブラケット150A4とは、連結フランジ150Dによって所定の間隔を空けて連結されている。
【0030】
連結フランジ150Dは、円筒状の胴部150D1と、胴部150D1の軸方向両端部からそれぞれ半径方向外側に延びる2つのフランジ部150D2を有している。各フランジ部150D2には、負荷側ブラケット150B3及び第2ブラケット150A4の取付座面に設けられたタップ穴に対応する位置にボルト固定用の貫通穴が設けられており、負荷側ブラケット150B3及び第2ブラケット150A4にボルトで固定される。
【0031】
なお、サーボモータユニット150には、駆動軸150B2の角度位置を検出するための2つのロータリーエンコーダ(2軸出力サーボモータ150Aの第2ブラケット150A4に内蔵されたものと、サーボモータ150Bの反負荷側ブラケット150B4に取り付けられたロータリーエンコーダ150B5)が設けられているが、サーボモータユニット150の駆動制御には通常は一方のロータリーエンコーダのみが使用され、他方はメンテナンスや駆動状態の監視に使用される。
【0032】
例えば、振動試験や動力伝達装置の耐久試験(回転ねじり試験)を行うには、高速(高周波数)で変動する大きな軸トルクが必要となる。このように高周波数で変動する大きなトルクを発生するためには、回転子の慣性モーメント(イナーシャ)が小さく、尚且つ、大容量(高出力)のモータが必要になる。このようなサーボモータを実現するには、回転子を細長くする必要がある。しかしながら、回転子をある程度を超えて細長くすると、回転子(回転軸)の剛性が低くなるため、弓形に反るような回転子の振動が顕著になって、モータが正常に動作できなくなる。従って、従来のように一対の軸受により回転軸を両端部のみで軸支する構成では、低慣性モーメントを維持したままでの大容量化には限界があった。
【0033】
本実施形態のサーボモータユニット150は、カップリング150Cによって連結された長い回転子が、長手方向の両端部と、連結部付近の2か所の、計4か所で軸受により支持されているため、回転子が長尺化しても高い剛性で保持され、安定して動作することが可能になり、これにより、従来のサーボモータでは不可能であった高周波数で変動する大トルクの発生が可能になった。例えば、サーボモータユニット150単体(無負荷状態)で、30000rad/s以上の角加速度が達成可能である。
【0034】
なお、本実施形態のサーボモータユニット150は、2つのサーボモータ(2つのモータケースと2つの回転軸)を連結する構成となっているが、図3に示すように、1組の長尺モータの長手方向中途に一つ以上の軸受を設け、駆動軸を両端部及びその中途の1ヶ所以上で軸支する構成としてもよい。
【0035】
次に、本発明の第1実施形態に係る回転ねじり試験装置1の構成について説明する。図4は、本発明の第1実施形態に係る回転ねじり試験装置1の側面図である。回転ねじり試験装置1は、自動車用クラッチを供試体T1として回転ねじり試験を行う装置であり、供試体T1を回転させながら供試体T1の入力軸と出力軸(例えば、クラッチカバーとクラッチディスク)との間に設定された固定又は変動トルクを加えることができる。回転ねじり試験装置1は、回転ねじり試験装置1の各部を支持する架台10と、供試体T1と共に回転しながら供試体T1に所定のトルクを加える荷重付与部100と、荷重付与部100を回転自在に支持する軸受部20、30及び40と、荷重付与部100の内外を電気的に接続するスリップリング部50及び60と、荷重付与部100の回転数を検出するロータリーエンコーダ70と、荷重付与部100を設定された回転方向及び回転数で回転駆動するインバータモータ80、駆動プーリー91及び駆動ベルト(タイミングベルト)92を備えている。
【0036】
架台10は、上下に水平に並べて配置された下段ベース板11及び上段ベース板12と、下段ベース板11と上段12を連結する複数の垂直な支持壁13を有している。下段ベース板11の下面には複数の防振マウント15が取り付けられており、架台10は防振マウント15を介して平坦な床F上に配置されている。下段ベース板11の上面にはインバータモータ80が固定されている。また、上段ベース板12の上面には、軸受部20、30、40及びロータリーエンコーダ70が取り付けられている。
【0037】
図5は、回転ねじり試験装置1の荷重付与部100の縦断面図である。荷重付与部100は、段付き筒状のケーシング100aと、ケーシング100a内に取り付けられたサーボモータユニット150、減速機160及び連結軸170と、トルクセンサ172を備えている。ケーシング100aは、サーボモータユニット150が収容されたモータ収容部(胴部)110と、軸受部20に回転自在に支持された軸部120と、軸受部30に回転自在に支持された軸部130と、スリップリング部50(図4)のスリップリング51が取り付けられた軸部140を備えている。モータ収容部110と軸部120、130及び140は、それぞれ中空部を有する略円筒状(若しくは、直径が軸方向で階段状に変化する段付き円筒状)の部材である。モータ収容部110は、中空部にサーボモータユニット150を収容する最も外径の大きな部材である。モータ収容部110の供試体T1側の一端部(図5における右端部)には軸部120が接続され、他端部には軸部130が接続されている。また、軸部130におけるモータ収容部110と反対側の端部には、軸部140が接続されている。軸部140は、先端部(図4における左端部)にて軸受部40により回転自在に支持されている。
【0038】
に示すように、サーボモータユニット150は、複数の固定ロッド111によってモータ収容部110に固定されている。各固定ロッド111は、図2に示す、サーボモータ150Bの負荷側ブラケット150B3に設けられたタップ穴150B3t、反負荷側ブラケット150B4に設けられたタップ穴150B4t、2軸出力サーボモータ150Aの第1ブラケット150A3に設けられたタップ穴150A3t及び第2ブラケット150A4に設けられたタップ穴150A4tにそれぞれ捻じ込まれている。
【0039】
サーボモータユニット150の駆動軸152は、カップリング154を介して、減速機160の入力軸に連結されている。また、減速機160の出力軸には連結軸170が接続されている。なお、減速機160は取付フランジ162を備えており、取付フランジ162をモータ収容部110と軸部120との間に挟み込んだ状態で、図示されていないボルトによりモータ収容部110と軸部120とを締め付けることで、減速機160はケーシング100aに固定されている。
【0040】
軸部120は、略段付き円筒状の部材であり、モータ収容部110側に外径の大きなプーリー部121を有し、供試体T1側に軸受部20により回転自在に支持される主軸部122を有する。図4に示すように、プーリー部121の外周面と、インバータモータ80の駆動軸81に取り付けられた駆動プーリー91とには、駆動ベルト92が巻き掛けられており、インバータモータ80の駆動力が駆動ベルト92によってプーリー部121に伝達され、荷重付与部100が回転するようになっている。また、プーリー部121内には、減速機160と連結軸170との連結部が収容される。この連結部を収容するために外径を太くする必要のある箇所をプーリーとして利用することで、部品点数を増やさずに、コンパクトな装置構造が実現されている。
【0041】
軸部120の主軸部122の先端部(図5における右端部)には、トルクセンサ172が取り付けられている。また、トルクセンサ172の一面(図5における右側面)は、供試体T1の入力軸(クラッチカバー)を取り付ける座面となっており、トルクセンサ172によって供試体T1に加えられるトルクが検出される。
【0042】
軸部120の主軸部122の内周面には、軸方向両端付近に軸受123、124が設けられている。連結軸170は、軸受123、124により、軸部120内で回転自在に支持されている。トルクセンサ172は中空部を有する略円筒状に形成されており、連結軸170の先端部(図5における右端部)は、トルクセンサ172の中空部を貫通して、外部へ突出している。トルクセンサ172から突出した先端部は、供試体T1の出力軸であるクラッチディスク(クラッチハブ)の軸穴に差し込まれて固定される。すなわち、サーボモータユニット150により、荷重付与部100のケーシング100aに対して連結軸170を回転駆動させることで、ケーシング100aに固定された供試体T1の入力軸(クラッチカバー)と連結軸170に固定された供試体T1の出力軸(クラッチディスク)との間に、設定された動的又は静的なトルクを加えることができる。
【0043】
また、図4に示すように、軸部130の端部(図4における左端)付近には、荷重付与部100の回転数を検出するためのロータリーエンコーダ70が配置されている。
【0044】
軸部140の軸方向中央部には、スリップリング部50のスリップリング51が取り付けられている。スリップリング51には、サーボモータユニット150に駆動電流を供給する動力線150W(図5)が接続されている。サーボモータユニット150から延びる動力線150Wは、軸部130及び軸部140に形成された中空部を通ってスリップリング51に接続されている。
【0045】
スリップリング部50は、スリップリング51、ブラシ固定具52及び4つのブラシ53を備えている。上述のように、スリップリング51は、荷重付与部100の軸部140に取り付けられている。また、ブラシ53は、ブラシ固定具52により軸受部40に固定されている。スリップリング51は、軸方向に等間隔に配置された4つの電極環51rを有しており、各電極環51rと対向して各ブラシ53が配置されている。各電極環51rにはサーボモータユニット150の各動力線150Wが接続され、各ブラシ53はサーボモータ駆動ユニット330(後述)に接続されている。すなわち、サーボモータユニット150の各動力線150Wは、スリップリング部50を介して、サーボモータ駆動ユニット330に接続されている。スリップリング部50は、サーボモータ駆動ユニット330が供給するサーボモータユニット150の駆動電流を、回転する荷重付与部100の内部へ導入する。
【0046】
また、軸部140の先端部(図4における左端部)には、スリップリング部60のスリップリング(不図示)が取り付けられている。スリップリング部60のスリップリングには、サーボモータユニット150から延びる通信線150W´(図5)が接続されており、例えばトルクセンサ172や、サーボモータユニット150に内蔵されたロータリーエンコーダ150B5(図2)等の信号がスリップリング部60を介して外部に出力される。スリップリングに大容量モータの駆動電流等の大電流を流すと、放電により大きな電磁ノイズが発生し易い。また、スリップリングは十分に遮蔽されていないため、電磁ノイズの干渉を受け易い。上記のように、微弱電流が流れる通信線150W´と、大電流が流れる動力線150Wとを、一定の距離を空けて配置された別々のスリップリングを使用して外部配線に接続する構成により、通信用信号へのノイズの混入が有効に防止される。また、本実施形態では、スリップリング部60は、軸受部40のスリップリング部50側とは反対側の面に設けられている。この構成により、軸受部40によって、スリップリング部50で発生する電磁ノイズからスリップリング部60を遮蔽する効果も得られる。
【0047】
次に、回転ねじり試験装置1の制御システムについて説明する。図6は、回転ねじり試験装置1の制御システムの概略構成を示すブロック図である。回転ねじり試験装置1は、回転ねじり試験装置1の全体を制御する制御ユニットC1と、試験条件を設定するための設定ユニット370と、設定された試験条件(供試体に加えるトルクやねじれ角の波形等)に基づいてサーボモータユニット150の駆動量の波形を計算して制御ユニットC1へ出力する波形生成ユニット320と、制御ユニットC1の制御に基づいてサーボモータユニット150の駆動電流を生成するサーボモータ駆動ユニット330と、制御ユニットC1の制御に基づいてインバータモータ80の駆動電流を生成するインバータモータ駆動ユニット340と、トルクセンサ172の信号に基づいて供試体に加えられているトルクを計算するトルク計測ユニット350と、ロータリーエンコーダ70の信号に基づいて荷重付与部100の回転数を計算する回転数計測ユニット360を備えている。
【0048】
設定ユニット370は、図示されていないタッチパネル等のユーザ入力インターフェース、CD-ROMドライブ等の可換型記録メディア読取装置、GPIB(General Purpose Interface Bus)やUSB(Universal Serial Bus)等の外部入力インターフェース及びネットワークインターフェースを備えている。設定ユニット370は、ユーザ入力インターフェースを介して受け付けたユーザ入力、可換型記録メディアから読み取ったデータ、外部入力インターフェースを介して外部機器(例えばファンクションジェネレータ)から入力されたデータ、及び/又はネットワークインターフェースを介してサーバから取得したデータに基づいて、試験条件の設定を行う。なお、本実施形態の回転ねじり試験装置1は、供試体T1に与えるねじれを、供試体T1に加えられるねじれ角(すなわち、サーボモータユニット150に内蔵されたロータリーエンコーダ150B5により検出されるサーボモータユニット150の駆動量)に基づいて制御する変位制御と、供試体T1に加えられる(すなわち、トルクセンサ172によって検出される)トルクに基づいて制御するトルク制御との2つの制御方式に対応しており、いずれの制御方式により制御を行うかを設定ユニット370により設定することができる。
【0049】
制御ユニットC1は、設定ユニット370から取得した供試体T1の回転速度の設定値に基づいて、インバータモータ駆動ユニット340にインバータモータ80の回転駆動を指令する。また、制御ユニットC1は、波形生成ユニット320から取得したサーボモータユニット150の駆動量の波形データに基づいて、サーボモータ駆動ユニット330にサーボモータユニット150の駆動を指令する。
【0050】
図6に示すように、トルクセンサ172の信号に基づいてトルク計測ユニット350が算出したトルクの計測値は、制御ユニットC1及び波形生成ユニット320へ送られる。また、サーボモータユニット150に内蔵された内蔵ロータリーエンコーダの信号は、制御ユニットC1、波形生成ユニット320及びサーボモータ駆動ユニット330へ送られる。波形生成ユニット320は、サーボモータユニット150の駆動軸152の回転角を検出する内蔵ロータリーエンコーダの信号から、サーボモータユニット150の回転数の計測値を計算する。波形生成ユニット320は、トルク制御の場合にはトルク(変位制御の場合にはサーボモータユニット150の駆動量)の設定値と計測値とを比較して、両者が一致するように制御ユニットC1へ送るサーボモータユニット150の駆動量の設定値を修正する。
【0051】
また、ロータリーエンコーダ70の信号に基づいて回転数計測ユニット360が算出した荷重付与部100の回転数の計測値は、制御ユニットC1へ送られる。制御ユニットC1は、荷重付与部100の回転数の設定値と計測値とを比較して、両者が一致するようにインバータモータ80へ送る駆動電流の周波数をフィードバック制御する。
【0052】
また、サーボモータ駆動ユニット330は、サーボモータユニット150の駆動量の目標値と、内蔵ロータリーエンコーダ150B5によって検出された駆動量とを比較して、駆動量が目標値に近づくようにサーボモータユニット150へ送る駆動電流をフィードバック制御する。
【0053】
また、制御ユニットC1は、試験データを保存するための図示されていないハードディスク装置を備えており、供試体T1の回転速度、供試体T1に加えられたねじれ角(サーボモータユニット150の回転角)及びねじり荷重の各計測値のデータをハードディスク装置に記録する。各計測値の時間変化が、試験開始から終了までの全期間にわたって記録される。以上に説明した第1実施形態の構成により、自動車用クラッチを供試体T1とした回転ねじり試験が行われる。
【0054】
上記の回転ねじり試験装置1では、回転数制御用のインバータモータ80の出力と、トルク制御用のサーボモータユニット150の出力が結合され、回転数とトルクのそれぞれを独立かつ高精度に制御可能に構成されている。特に、複数の超低慣性サーボモータを直列に連結したサーボモータユニット150を新たに採用することにより、高い角加加速度(角躍度)で変動する大トルクの制御が可能になり、自動車用エンジンの出力(特に、レシプロエンジンのトルク振動)を正確に再現できるようになっている。また、サーボモータユニット150を使用することにより、トルク制御の応答性も向上し、3ms以下の応答時間が達成される。このような構成の回転駆動装置は、回転ねじり試験装置に限らず、各種装置の動力原として使用することができる。特に、自動車用(又は自動車部品用)試験装置において、様々な種類のエンジン出力を模擬した動力を出力可能な動力シミュレータ(模擬エンジン)として使用することができる。また、サーボモータユニット150が発生するトルクは、高精度に制御されているため、再現性が極めて高く、個体差も無い。そのため、従来のように実物のエンジンを使用した試験よりも均一な負荷を与えることが可能であり、より再現性の高い試験が可能になる。
【0055】
(第1実施形態の変形例)
図7図8は、それぞれ上述した本発明の第1実施形態に係る回転ねじり試験装置1の一部を変更した動力シミュレータ1a、1bの外観図である。
【0056】
図7に示される動力シミュレータ1aは、軸受部1020、スリップリング1401及び取付部173を備えている点で上記の回転ねじり試験装置1と異なる。軸受部1020は、後述する第2実施形態の軸受部1020と同一構成のものであり、連結軸170(第2実施形態では連結軸1170)のトルクを検出するトルクセンサを内蔵している。スリップリング1401は、軸受部1020に取り付けられており、軸受部1020に内蔵されたトルクセンサから出力される信号を外部に取り出す。また、取付部173はフランジ継手であり、連結軸170の先端部に取り付けられている。このように構成された動力シミュレータ1aは、エンジン補機類(例えば、ダンパープーリー、オルターネータ、バランスシャフト、スターターモータ、リングギア、ウォーターポンプ、オイルポンプ、チェーン、タイミングベルト、カップリング、VCT)、動力伝達装置、タイヤ等の耐久試験等に使用される。
【0057】
また、以上説明した回転ねじり試験装置1や動力シミュレータ1aでは、インバータモータ80が下段ベース板11上に配置され、荷重付与部100が上段ベース板12上に配置された二段構造になっているが、図8に示す動力シミュレータ1bのように、インバータモータ80と荷重付与部100を同一のベース板10X上に配置した一段構造としてもよい。なお、二段構造は設置面積の小型化に有効である。また、一段構造は、構造が単純であるため低コスト化に有利であり、また、ベースの剛性(すなわち、耐振動特性や耐荷重特性)の向上に有利である。
【0058】
次に、動力シミュレータ1aを使用したエンジン補機類用耐久試験装置の具体例を説明する。以下に説明する試験装置100Eは、供試体であるフライホイールのリングギアT1とスターターモータT2に、動力シミュレータ1aが発生するエンジン負荷をシミュレートした回転駆動力を与えて耐久試験を行うスターターモータ用試験装置である。試験装置100Eは、スターターモータとフライホイールのリングギアとを係合した状態で保持し、これに動力シミュレータ1aの回転駆動力を与えて、スターターモータ及びリングギアの耐久試験を行う。
【0059】
図9は、試験装置100Eの側面図である。また、図10は、供試体(リングギアT1、スターターモータT2)付近の拡大図である。
【0060】
図9及び図10に示されるように、試験装置100Eは、動力シミュレータ1aに供試体を保持する支持部Sを追加したものである。すなわち、試験装置100Eは、架台10の下段ベース板11に取り付けられたインバータモータ80と、上段ベース板12に取り付けられた軸受部1020、30、40により回転自在に支持された荷重付与部100を備えている。荷重付与部100は、インバータモータ80により回転駆動される。荷重付与部100には、サーボモータユニット150及び減速機が内蔵され、サーボモータユニット150の出力軸は減速機を介して、荷重付与部100の外部に突出する連結軸170に接続されている。連結軸170は、荷重付与部100の回転軸と同軸に配置されており、連結軸170の回転は、インバータモータ80による荷重付与部100の回転にサーボモータユニット150の回転を加えたものとなる。インバータモータ80によってエンジンの回転数が再現され、サーボモータユニット150によりエンジンの高速変動トルク(高角加速度、高角躍度(角加加速度))が再現される。
【0061】
荷重付与部100の連結軸170の先端部には、リングギアT1を取り付けるための取付部173が取り付けられている。また、架台10の上段ベース板12には、スターターモータT2を支持する支持部Sが取り付けられている。取付部173にリングギアT1を取り付け、支持部SにスターターモータT2を取り付けると、リングギアT1とスターターモータT2のピニオンギアが係合するようになっている。この状態で試験装置100Eの動力シミュレータ1aを駆動して、エンジンの回転を模擬した回転をリングギアT1及びスターターモータT2に与えることで、試験が行われる。
【0062】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る動力循環方式の回転ねじり試験装置1000について説明する。回転ねじり試験装置1000は、自動車用プロペラシャフトを供試体T2として回転ねじり試験を行う装置であり、プロペラシャフトを回転させながらプロペラシャフトの入力軸と出力軸との間に設定された固定又は変動トルクを加えることができる。図11は回転ねじり試験装置1000の平面図であり、図12は回転ねじり試験装置1000の側面図(図11において下側から上側を見た図)である。また、図13は後述する荷重付与部1100付近の縦断面図である。なお、回転ねじり試験装置1000の制御システムは、図に示す第1実施形態と同じ概略構成を有している。
【0063】
図11に示すように、回転ねじり試験装置1000は、回転ねじり試験装置1000の各部を支持する4つのベース1011、1012、1013及び1014と、供試体T2と共に回転しながら供試体T2の両端部間に所定のトルクを加える荷重付与部1100と、荷重付与部1100を回転自在に支持する軸受部1020、1030及び1040と、荷重付与部1100の内外の配線を電気的に接続するスリップリング部1050、1060及び1400と、荷重付与部1100の回転数を検出するロータリーエンコーダ1070と、荷重付与部1100及び供試体T2の一端部(図11における右端部)を設定された回転方向及び回転数で回転駆動するインバータモータ1080と、インバータモータ1080の駆動力を荷重付与部1100に伝達する駆動力伝達部1190(駆動プーリー1191、駆動ベルト(タイミングベルト)1192及び従動プーリー1193)と、インバータモータ1080の駆動力を供試体T2の一端部に伝達する駆動力伝達部1200を備えている。駆動力伝達部1200は、軸受部1210、駆動軸1212、中継軸1220、軸受部1230、駆動軸1232、駆動プーリー1234、軸受部1240、駆動軸1242、従動プーリー1244、駆動ベルト(タイミングベルト)1250及びワーク取付部1280を備えている。
【0064】
なお、回転ねじり試験装置1000における軸受部1020、1030、1040、スリップリング部1050、スリップリング部1060、ロータリーエンコーダ1070、インバータモータ1080及び駆動プーリー1091は、それぞれ第1実施形態の回転ねじり試験装置1における軸受部20、30、40、スリップリング部50、スリップリング部60、ロータリーエンコーダ70、インバータモータ80、及び駆動プーリー91と同様に構成されている。また、荷重付与部1100は、後述する軸部1120、連結軸1170、ワーク取付部1180及びスリップリング部1400を除き、第1実施形態の荷重付与部100と同一の構成を有している。また、駆動ベルト1192は、従動側で従動プーリー1193に掛けられている点で第1実施形態の駆動ベルト92の構成と異なるが、その他の構成は駆動ベルト92と同じものである。以下の第2実施形態の説明においては、第1実施形態と同一又は類似の構成に対して同一又は類似の符号を用いて詳しい説明を省略し、第1実施形態との構成上の相違点を中心に説明する。
【0065】
4つのベース1011、1012、1013及び1014は、それぞれ同一の平坦な床F上に配置され、固定ボルト(不図示)によって固定されている。ベース1011上には、インバータモータ1080及び軸受部1210が固定されている。ベース1012上には、荷重付与部1100を支持する軸受部1020、1030及び1040と、スリップリング部1400の支持フレーム1402が固定されている。また、ベース1013には軸受部1230が固定され、ベース1014には軸受部1240が固定されている。ベース1013及び1014は、それぞれ固定ボルトを緩めることで、供試体T1の長さに応じて、軸受部1230又は1240の軸方向に移動可能になっている。
【0066】
荷重付与部1100の連結軸1170は、軸部1120の先端部(図13における右端)から外部へ突出しており、連結軸1170の先端部(図13における右端部)にはワーク取付部(フランジ継手)1180が固定されている。連結軸1170の軸部1120から突出した部分の軸方向中央部には、複数の電極環を有するスリップリング1401が取り付けられている。
【0067】
また、図13に示すように、連結軸1170の軸部1120内に収容された部分には、外径が細く形成された環状の狭窄部1172が形成されており、狭窄部1172の周面にはひずみゲージ1174が貼り付けられている。また、連結軸1170は、中心軸上を貫通する図示されていない中空部を有する筒状部材であり、狭窄部1172には中空部に連絡する図示されていない挿通孔が形成されている。ひずみゲージ1174のリード(不図示)は、連結軸1170に形成された上記の挿通孔及び中空部に通され、スリップリング1401の各電極環に接続されている。なお、中空部及び挿通孔に替えて、連結軸1170の周面に狭窄部1172からスリップリング1401まで延びる配線溝を設けて、ひずみゲージ1174のリードを配線溝に通してスリップリング1401まで配線する構成としてもよい。
【0068】
スリップリング1401の下部には、支持フレーム1402上に固定されたブラシ部1403が配置されている。ブラシ部1403は、スリップリング1401の各電極環とそれぞれ接触するように対向して配置された複数のブラシを備えている。各ブラシの端子は図示されていないワイヤによりトルク計測ユニット1350(後述)に接続されている。
【0069】
次に、駆動力伝達部1200(図11)の構成を説明する。軸受部1210、1230及び1240は、駆動軸1212、1232及び1242をそれぞれ回転自在に支持している。駆動軸1212の一端部(図11における左端部)は、駆動プーリー1191を介して、インバータモータ1080の駆動軸に連結されている。また、駆動軸1232の一端部(図11における左端部)は、中継軸1220を介して駆動軸1212の他端部(図11における右端部)に連結されている。駆動軸1232の他端部(図11における右端部)には駆動プーリー1234が、駆動軸1242の一端部(図11における右端部)には従動プーリー1244が、それぞれ取り付けられている。駆動プーリー1234と従動プーリー1244には、駆動ベルト1250が掛け渡されている。また、駆動軸1242の他端部(図11における左端部)には、供試体T2の一端部を固定するためのワーク取付部(フランジ継手)1280が取り付けられている。
【0070】
インバータモータ1080の駆動力は、上述した駆動力伝達部1200(すなわち、駆動軸1212、中継軸1220、駆動軸1232、駆動プーリー1234、駆動ベルト1250、従動プーリー1244、及び駆動軸1242)を介してワーク取付部1280に伝達され、設定された回転方向及び回転数でワーク取付部1280を回転させる。また同時に、インバータモータ1080の駆動力は、駆動力伝達部1190(すなわち、駆動プーリー1191、駆動ベルト1192及び従動プーリー1193)を介して荷重付与部1100に伝達され、荷重付与部1100とワーク取付部1280とを同期して(すなわち、常に同じ回転数及び同じ位相で)回転させる。
【0071】
(第3実施形態)
上記の第2実施形態では、互いに平行に配置された、駆動軸1212と荷重付与部1100、駆動軸1232と駆動軸1242が、駆動ベルト1192、1250によって夫々連結され、動力循環系が構成されている。しかし、本発明はこの構成に限定されず、以下に説明する第3~第7実施形態のように、駆動ベルトの替わりに歯車装置を使用して動力を伝達する構成も本発明の範囲に含まれる。
【0072】
図14(a)は本発明の第3実施形態に係るねじり試験装置の上面図である。また、図14(b)は本実施形態に係るねじり試験装置の側面図である。図14に示されるように、本実施形態のねじり試験装置100は、ベース110の上に、ワーク回転用サーボモータ121、トルク付与ユニット130、第1ギアボックス141、第2ギアボックス142が固定された構成となっている。
【0073】
第1ギアボックス141は、141a1、141a2、141b1及び141b2の4つの軸接続部を備えている。また、第2ギアボックス142は、142a及び142bの2つの軸接続部を備えている。
【0074】
ワーク回転用サーボモータ121の出力軸121aには駆動プーリー122が取り付けられている。また、第1ギアボックス141の軸接続部141a1には従動プーリー123の軸123aが装着されている。また、駆動プーリー122と従動プーリー123には、無端ベルト124が掛けられており、ワーク回転用サーボモータ121を駆動することによって従動プーリー123を所望の回転速度で回転させることが可能となっている。
【0075】
軸接続部141b1及び141b2には、トルク付与ユニット130が接続される。トルク付与ユニット130の構成について、以下に説明する。
【0076】
図15は、本実施形態のトルク付与ユニット130及び第1ギアボックス141の側断面図である。トルク付与ユニット130は、ケーシング131と、ケーシング131内に固定されたトルク付与用サーボモータユニット132及び減速機133を備えている。なお、トルク付与用サーボモータユニット132は、第1実施形態のサーボモータユニット150と同一構成のものであるが、サーボモータユニット150の代わりに第1実施形態のサーボモータ150Bを単体で使用してもよい。ケーシング131の軸方向一端側(図中右側)には管状部131aが形成されている。管状部131aは、軸接続部141b1を介して第1ギアボックス141内に挿入されており、第1ギアボックス141内で回転可能に支持されている。また、管状部131aには、歯車141b3が装着されている。
【0077】
減速機133は入力軸133aと出力軸133bを有しており、入力軸133aに入力された回転運動を減速して出力軸133bに出力する。減速機133の入力軸133aは、カップリング134によってトルク付与用サーボモータユニット132の出力軸132aと連結されている。また、減速機133の出力軸133bは、ケーシング131の管状部131aの内部で回転可能に支持されると共に、管状部131aの先端部から突出している。管状部131aから突出した減速機133の出力軸133bは、第1ギアボックス141の軸接続部141b2に接続される。
【0078】
図14に示されるように、減速機133の出力軸133bは、カップリング151を介して試験対象であるトランスミッションユニットW1の入力軸W1aに連結される。トランスミッションユニットW1の出力軸W1bは、トルクセンサ160を介して第2ギアボックス142の軸接続部142bに接続される。
【0079】
第2ギアボックス142の軸接続部142aには、中継シャフト143を介してトランスミッションユニットW2の出力軸W2bが接続される。トランスミッションユニットW2の入力軸W2aは、カップリング152を介して第1ギアボックス141の軸接続部141a2に接続される。
【0080】
ここで、第1ギアボックス141の軸接続部141a1に装着されている従動プーリー123の軸123aと、軸接続部141a2に装着される軸は、第1ギアボックス141の内部でカップリング153を介して連結され、両者が一体となって回転するよう構成されている。また、軸接続部141a1に装着される従動プーリー123の軸123aには、歯車141a3が装着される。軸接続部141b1に接続されている管状部131aには、第1ギアボックス141の内部で歯車141b3が装着される。図14(a)に示されるように、歯車141a3と歯車141b3とは中間歯車141iを介して噛み合っており、軸接続部141a1及び141a2に接続される軸と、軸接続部141b1に接続される軸との間で、互いに回転運動を伝達可能となっている。なお、中間歯車141iが歯車141a3と歯車141b3との間に介在しているので、従動プーリー123と、中継シャフト143及びトルク付与ユニット130のケーシング131は同じ方向に回転するようになっている。
【0081】
軸接続部142aに接続されている軸部(中継シャフト143の一端部)には、歯車142a1が装着されている。また、軸接続部142bに接続されている軸部には歯車142b1が接続されている。歯車142a1と142b1とは、第2ギアボックス142の内部で中間歯車142iを介して噛み合っており、軸接続部142aに接続される軸と、軸接続部142bに接続される軸との間で、互いに回転運動を伝達可能となっている。なお、中間歯車142iが歯車142a1と歯車142b1との間に介在しているので、軸接続部142aに接続される軸と、軸接続部142bに接続される軸とは同じ方向に回転するようになっている。
【0082】
従って、本実施形態においては、ワーク回転用サーボモータ121(図14)を駆動すると、従動プーリー123及び、従動プーリー123と歯車を介して接続されているケーシング131(図15)が回転駆動されることになる。前述のように、トルク付与用サーボモータユニット132はケーシング131に固定されている為、ケーシング131とトルク付与用サーボモータは一体となって回転するようになっている。その為、ケーシング131が回転している状態でトルク付与用サーボモータユニット132を駆動すると、減速機133の出力軸133bは、ケーシング131の回転数と、トルク付与用サーボモータユニット132による出力軸133bの回転数を加算した回転数で回転することになる。
【0083】
トランスミッションユニットW2は、トランスミッションユニットW1と同型(同一の減速比)である。また、ギアボックス141及び142のギア比は共に1:1である。その為、第1ギアボックス141の軸接続部141a2と141b2に接続された軸の回転数は略等しくなる。なお、トランスミッションユニットW2は、上記のように軸接続部141a2と141b2に接続された軸の回転数を整えるために利用される一種のダミーワークであり、ねじり試験の対象ではない。
【0084】
本実施形態においては、例えばワーク回転用サーボモータ121を定速駆動すると共に、トルク付与用サーボモータユニット132(図15)によって出力軸132aを往復駆動させることによって、トランスミッションユニットW1の入力軸W1aを回転させながら周期的に変動するトルクを加えることが可能となる。
【0085】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図16は、本発明の第4実施形態に係るねじり試験装置の上面図である。図16に示されるように、本実施形態のねじり試験装置100Aは、ダミーワークを使用せず、カップリング152と第2ギアボックス142の軸接続部142aが中継シャフト143Aによって直接連結されている点を除き、第3実施形態のねじり試験装置100と同一である。なお、以下の第4実施形態の説明においては、第3実施形態と同一又は類似の機能を有する要素には同一又は類似の符号を付けて、重複する説明は省略する。
【0086】
本実施形態においては、中継シャフト143Aの回転数(すなわち、トルク付与ユニット130のケーシング131の回転数)と、第1ギアボックス141の軸接続部141b2に接続される軸の回転数(すなわち、トランスミッションユニットW1の入力軸W1aの回転数)とが異なる。その為、本実施形態においては、トランスミッションユニットW1の入出力軸での回転数の変化を補うように、トルク付与ユニット130のトルク付与用サーボモータユニット132(図15)を回転駆動している。例えば、トランスミッションユニットW1の減速比が1/3.5で、入力軸W1aの回転数を4000rpm、出力軸W1bの回転数を1143rpmとしてねじり試験を行うのであれば、1143rpmの回転をトルク付与ユニット130のケーシング131に付与するようワーク回転用サーボモータ121の回転数を設定すると共に、減速機133の出力軸133bのケーシング131に対する相対回転数が2857rpmとなるようトルク付与用サーボモータユニット132の回転数を設定することにより、トランスミッションユニットW1の入力軸W1aの回転数を4000rpmとすることができる。
【0087】
このように、本実施形態においては、動力循環を行いつつ、ダミーワークを用いることなくトランスミッションユニットW1のねじり試験を行うことができる。
【0088】
また、本実施形態においては、応答性の高いサーボモータによってワークの回転駆動及びトルク付与を行っている為、ねじり試験を行っている最中にトランスミッションユニットW1のギア比を変更することも可能である。すなわち、本実施形態においては、トランスミッションユニットW1のギア比変更による出力軸W1bの回転数の変化に同期させて、トルク付与用サーボモータユニット131の回転数を急変させることが可能であるため、トランスミッションユニットW1のギア比を変更したとしてもギアボックス141、142内の歯車やトランスミッションユニットW1に過度の負荷がかかって破損することはない。
【0089】
(第5実施形態)
本発明の第3及び第4実施形態においては、トランスミッションユニットを被検体(ワーク)としている。しかしながら、本発明は上記の構成に限定されるものではなく、他種のワークに対してねじり試験を行うことも可能である。以下に説明する本発明の第5実施形態に係るねじり試験装置は、FR車の動力伝達系全体をワークとしてねじり試験を行うものである。
【0090】
図17は、本発明の第5実施形態に係るねじり試験装置の上面図である。図17に示されるように、本実施形態に係るねじり試験装置100Bは、トランスミッションユニットTR1、プロペラシャフトPS、ディファレンシャルギアDG1から構成されるFR車の動力伝達系W3に対してねじり試験を行うものである。
【0091】
本実施形態のねじり試験装置100Bは、ディファレンシャルギアDG1の出力軸が2系統(DG1a、DG1b)ある為、ディファレンシャルギアDG1の出力を第1ギアボックス141Bに戻す為の第2ギアボックス(142B1、142B2)及び中継シャフト(143B1、143B2)が2系統ずつ設けられている。具体的には、ディファレンシャルギアDG1の出力軸DG1a、DG1bが夫々第2ギアボックス142B1、142B2を介して中継シャフト143B1、143B2に接続されている。
【0092】
また、第1ギアボックス141Bは、トルク付与ユニット130のケーシング131の管状部131a並びにトランスミッションユニットTR1の入力軸TR1aが夫々取り付けられる軸接続部141Bb1、141Bb2(第3実施形態の軸接続部141b1、141b2と同機能)と、ワーク回転用サーボモータ121の出力軸121aと中継シャフト143B1が接続される軸接続部141Ba1、141Ba2に加え、中継シャフト143B2と接続される軸接続部143Bcを有している。また、ワーク回転用サーボモータ121の出力軸121aと中継シャフト143B1は、第1ギアボックス141内に配置されたカップリング153Bを介して連結している。さらに、トランスミッションユニットTR1の入力軸TR1aとトルク付与ユニット130の減速機133の出力軸133bは、第1ギアボックス141内に配置されたカップリング151Bを介して連結している。
【0093】
軸接続部141Ba1、141Bb1、141Bcに接続される軸同士は、各軸に別個に取り付けられる歯車及び中間歯車(図示せず)を介して互いに接続されており、ワーク回転用サーボモータ121を駆動すると、中継シャフト143B1、143B2及びトルク付与ユニット130のケーシング131が回転するようになっている。
【0094】
本実施形態においては、第4実施形態と同様、トランスミッションユニットTR1の入力軸TR1aの回転数と、中継シャフト143B1及び143B2の回転数が異なる為、上記回転数の差を補うようにトルク付与用モータ131(図15)の回転数を制御している。
【0095】
(第6実施形態)
また、本発明の構成において、FF車用の動力伝達系をワークとすることも可能である。以下に説明する本発明の第6実施形態に係るねじり試験装置は、FF車の動力伝達系に対してねじり試験を行うものである。
【0096】
図18は、本発明の第6実施形態に係るねじり試験装置100Cの上面図である。図18に示されるように、本実施形態のねじり試験装置100Cは、トルクコンバータTCを内蔵するトランスミッションユニットTR2とディファレンシャルギアDG2が一体となったFF車用の動力伝達系W4をワークとしてねじり試験を行うものである。
【0097】
図18に示されるように、動力伝達系W4は、トランスミッションユニットTR2の入力軸TR2aと、ディファレンシャルギアDG2の出力軸DG2a、DG2bが略平行に形成されている、横置きエンジン用の動力伝達系である。その為、本実施形態においては、ディファレンシャルギアDG2の一方の出力軸DG2aをそのまま第1ギアボックス141Cに接続し、もう一方の出力軸DG2bのみを第2ギアボックス142Cを介して中継シャフト143Cに接続している。
【0098】
本実施形態の第1ギアボックス141Cは、第5実施形態と同様、トルク付与ユニット130のケーシング131の管状部131a並びにトランスミッションユニットTR2の入力軸TR2aが夫々取り付けられる軸接続部141Cb1、141Cb2と、ワーク回転用サーボモータ121の出力軸121aとディファレンシャルギアDG2の出力軸DG2aが接続される軸接続部141Ca1、141Ca2と、中継シャフト143Cと接続される軸接続部143Ccを有している。ワーク回転用サーボモータ121の出力軸121aとディファレンシャルギアDG2の出力軸DG2aとは第1ギアボックス141C内に配置されたカップリング153Cによって連結されている。また、トルク付与ユニット130の減速機133の出力軸133bとトランスミッションユニットTR2の入力軸TR2aは、第1ギアボックス141C内に配置されたカップリング151Cによって連結されている。
【0099】
軸接続部141Ca1、141Cb1、141Ccに接続される軸同士は、各軸に別個に取り付けられる歯車を介して互いに接続されており、ワーク回転用サーボモータ121を駆動すると、ディファレンシャルギアDG2の出力軸DG2a、中継シャフト143C及びトルク付与ユニット130のケーシング131が回転するようになっている。
【0100】
また、本実施形態においては、第4及び第5実施形態と同様、トランスミッションユニットTR2の入力軸TR2aの回転数と、ディファレンシャルギアDG2の出力軸DG2a及び中継シャフト143Cの回転数が異なる為、上記回転数の差を補うようにトルク付与用モータ131(図15)の回転数を制御している。
【0101】
(第7実施形態)
図19は、本発明の第7実施形態に係る回転ねじり試験装置100Bの外観図である。図19に示されるように、本実施形態に係るねじり試験装置100Bは、ディファレンシャルギアDG1を対象に回転ねじり試験を行うものである。
【0102】
本実施形態のねじり試験装置100Bは、ディファレンシャルギアDG1の出力軸が2系統(DG1a、DG1b)ある為、ディファレンシャルギアDG1の出力を第1ギアボックス141Bに戻す為の第2ギアボックス(142B1、142B2)、ベベルギアボックス(144B1、144B2)及び中継シャフト(143B1、143B2)が2系統ずつ設けられている。具体的には、ディファレンシャルギアDG1の出力軸DG1a、DG1bが夫々第2ギアボックス142B1、142B2及びベベルギアボックス144B1、144B2を介して中継シャフト143B1、143B2に接続されている。
【0103】
また、第1ギアボックス141Bは、ギア141Bbと、ギア141Bbに夫々係合するギア141Ba、141Bcを備えている。ギア141Bbにはトルク付与ユニット130のケーシングの管状部が接続されている。また、ギア141Ba、141Bcには、中継シャフト143B1、143B2が夫々接続されている。これにより、インバータモータ80を駆動すると、中継シャフト143B1、143B2及びトルク付与ユニット130のケーシング131が回転するようになっている。
【0104】
ディファレンシャルギアDG1の出力軸DG1a、DG1b及び入力軸DG1cは、夫々トルクセンサ172a、172b及び172cを介して各ギアボックス142B1、142B2及びトルク付与ユニット130の軸部に接続されている。トルクセンサ172a、172b、172cは、それぞれ図13(第2実施形態)に示されている、狭窄部1172にひずみゲージ1174が貼り付けられた軸1170を軸受部1020で(軸部1120を介さずに直接)支持したような構成のものである。
【0105】
本実施形態においては、ディファレンシャルギアDG1の入力軸DG1cの回転数と、出力軸DG1a、DG1bの回転数が異なる為、この回転数の差を補うようにトルク付与ユニット130に内蔵されるサーボモータユニット150の回転数が制御されている。
【0106】
(第8実施形態)
また、本発明は、FF車用の動力伝達装置を対象とする試験装置に適用することも可能である。以下に説明する本発明の第8実施形態に係るねじり試験装置は、FF車の動力伝達系を対象に回転ねじり試験を行う動力循環式の試験装置のである。
【0107】
図20は、本発明の第8実施形態に係るねじり試験装置100Cの外観図である。図20に示されるように、本実施形態のねじり試験装置100Cは、FF車用のトランスミッションユニットTRを対象に回転ねじり試験を行うものである。
【0108】
図20に示されるように、トランスミッションユニットTRの入力軸TRa及び出力軸TRb、TRcは、いずれも減速されることなく、トルクセンサ172b、172b、172cを夫々介して第1ギアボックス141Cに接続されている。また、トランスミッションユニットTRの入力軸TRa及び出力軸TRb、TRcは、互いに略平行に配置されている。そのため、本実施形態においては、トランスミッションユニットTRの入力軸TRa及び一方の出力軸TRbがそのまま第1ギアボックス141Cに接続され、もう一方の出力軸TRcが、第2ギアボックス142Cと、出力軸TRcと略平行に配置された中継シャフト143Cとを介して第1ギアボックス141Cに接続されている。すなわち、出力軸TRcの駆動力は、第2ギアボックス142Cによって180°折り返された後、中継シャフト143Cによって第1ギアボックス141Cに伝達される。
【0109】
本実施形態の第1ギアボックス141Cは、ギア141Cbと、ギア141Cbに夫々係合するギア141Ca、141Ccを備えている。なお、ギア141Caは、ピニオンギアを介してギア141Cbに係合しており、ギア141Cbの回転は減速されてギア141Caに伝達される。ギア141Caには、トルク付与ユニット130のケーシングの管状部が接続されており、ギア141Ccには、インバータモータ80の出力軸が、タイミングベルトを介して接続されている。これにより、インバータモータ80を駆動すると、ランスミッションユニットTRの出力軸TRb、(中継シャフト143Cを介して)出力軸TRc及びトルク付与ユニット130のケーシングが回転するようになっている。
【0110】
また、本実施形態においては、トランスミッションユニットTRが減速比を有するため、入力軸TRaの回転数と、出力軸TRb、TRcの回転数が異なる。そのため、この回転数の差を補うようにトルク付与ユニット130に内蔵されるサーボモータユニット150の回転数が制御されている。
【0111】
以上説明した本発明の第3~第8実施形態は、トランスミッションユニット等の動力伝達系をワークとする動力循環方式のねじり試験装置に本発明を適用した例である。しかしながら、本発明は上記の構成に限定されるものではない。以下に説明する本発明の第9、第10実施形態のように、タイヤの各種試験に本発明を適用することも可能である。
【0112】
(第9実施形態)
図21は、本発明の第9実施形態に係るタイヤ摩耗試験装置100Dの上面図である。タイヤ摩耗試験装置100Dは、上述した第3実施形態と同様の構成の動力循環機構を有している。
【0113】
第1ギアボックス141Dは、141Da1、141Da2、141Db1及び141Db2の4つの軸接続部を備えている。また、第2ギアボックス142Dは、142Da及び142Dbの2つの軸接続部を備えている。
【0114】
本実施形態においては、模擬路面としての回転ドラムDRの回転軸となる軸145の両端部が、夫々第1ギアボックス141Dの軸接続部141Da2と第2ギアボックス142Dの軸接続部142Daに接続されている。また、被検体であるタイヤTの回転軸となる軸144の両端部が、夫々第1ギアボックス141Dの軸接続部141Db2と第2ギアボックス142Dの軸接続部142Dbに接続されている。
【0115】
第2実施形態と同様、タイヤT及び回転ドラムDRを駆動する為のワーク回転用サーボモータ121の出力軸121aの回転は、駆動プーリー122、従動プーリー123及び無端ベルト124から構成されるベルト機構を介して、従動プーリー123の軸123aを回転駆動するようになっている。軸123aは、第1ギアボックス141Dの軸接続部141aに接続されている。
【0116】
第1ギアボックス141Dの軸接続部141Db1には、トルク付与ユニット130のケーシング131の管状部131aが接続されている。また、トルク付与ユニット130の減速機133の出力軸133bは、第1ギアボックス141Dの内部に配置されているカップリング151Dを介して、タイヤT用の軸144の一端部と連結されている。
【0117】
回転ドラムDR用の軸145の、第1ギアボックス141Dに装着される一端部は、第1ギアボックス141Dの内部に配置されているカップリング153Dを介して、従動プーリー123の軸123aに連結されている。
【0118】
第1ギアボックス141Dの軸接続部141Da1に装着される軸123aと軸接続部141Db1に装着される軸(管状部131a)は、夫々第1ギアボックス141の内部に設けられた異なる歯車に接続されるようになっている。これらの歯車同士は、第2ギアボックス142の内部で互いに噛み合っており、ワーク回転用サーボモータ121を駆動すると、回転ドラムDR用の軸145とトルク付与ユニット130のケーシング131が回転するようになっている。
【0119】
また、第2ギアボックス142の軸接続部142Daに装着される軸145と軸接続部142Dbに装着される軸144は、夫々第2ギアボックス142の内部に設けられた異なる歯車に接続されるようになっている。これらの歯車同士は、第2ギアボックス142の内部で互いに噛み合っており、第2ギアボックス142によって、軸144の回転は軸145に伝達される。
【0120】
以上のように構成されているため、回転用サーボモータ121を駆動することにより、動力循環を行いつつ回転ドラムDRとタイヤTを回転駆動することが可能となっている。なお、図21に示されるように、本実施形態においては回転ドラムDRとタイヤTの径が異なる為、第1ギアボックス141D及び第2ギアボックス142D内のギア比は、回転ドラムDRとタイヤTの径の比に応じた値に設定されている。
【0121】
以上説明した構成のタイヤ摩耗試験装置において、タイヤTを軸144にセットして回転用サーボモータ121を駆動することによって、タイヤT及び回転ドラムDRが回転する。その状態でトルク付与ユニット130のトルク付与用サーボモータユニット131(図2)を駆動して、タイヤTに正方向や逆方向のトルクを付与することによって、自動車の加減速時をシミュレートした摩耗試験を行うことが可能となる。
【0122】
(第10実施形態)
本発明をタイヤの試験に適用した実施例をもう一例紹介する。以下に説明する本発明の第10実施形態に係るタイヤ試験装置は、タイヤの摩耗試験、耐久試験、走行安定性試験等を行う試験装置である。
【0123】
図22及び図23は、それぞれ異なる方向から見た、本発明の第10実施形態に係るタイヤ試験装置100Dの斜視図である。本実施形態のタイヤ試験装置100Dは、外周面に模擬路面が形成された回転ドラム10と、回転ドラム10及びトルク付与ユニット130のケーシングを回転駆動するインバータモータ80と、アライメント制御機構160と、アライメント制御機構160に回転自在に支持されたタイヤTにトルクを与えるトルク付与ユニット130を備えている。トルク付与ユニット130には、第1実施形態と同一構成のサーボモータユニット150が内蔵されている。
【0124】
回転ドラム10は一対の軸受11aによって回転自在に支持されている。インバータモータ80の出力軸にはプーリー12aが取り付けられ、回転ドラム10の一方の軸にはプーリー12bが取り付けられている。プーリー12aとプーリー12bとは駆動ベルトにより連結されている。回転ドラム10の他方の軸は、中継軸13を介して、プーリー12cが取り付けられている。なお、中継軸13は、プーリーが取り付けられる一端部付近において軸受11bにより回転自在に支持されている。プーリー12cは、駆動ベルトによってプーリー12dに連結されている。プーリー12dは、プーリー12eに同軸に固定されており、プーリー12eと共に軸受11c(図27)によって回転自在に支持されている。また、プーリー12eは、駆動ベルトによってトルク付与ユニット130のケーシングの管状部に連結されている。
【0125】
また、トルク付与ユニット130に内蔵されたサーボモータユニット150の駆動軸は、中継軸14及びフレキシブルカップリングを介して、タイヤTが装着されるアライメント制御機構160のホイールに接続されている。
【0126】
これにより、インバータモータ80を駆動すると、回転ドラム10が回転すると共に、回転ドラム10を介してインバータモータ80に連結されたトルク付与ユニット130のケーシングが回転するようになっている。また、回転ドラム10とタイヤTは、トルク付与ユニット130が作動しないときに、接触部における周速が同一となるよう、逆方向に回転するようになっている。また、トルク付与ユニット130を作動させることで、タイヤTに動的な駆動力及び制動力を与えることができる。
【0127】
本実施形態のアライメント制御機構160は、供試体であるタイヤTをホイールに装着した状態で支持して、トレッド部を回転ドラム10の模擬路面に押し当てると共に、模擬路面に対するタイヤTのアライメントやタイヤ荷重(接地圧)を設定された状態に調整する機構である。アライメント制御機構160は、タイヤTの回転軸の位置を回転ドラム10の半径方向に移動してタイヤ荷重を調整するタイヤ荷重調整部161と、タイヤTの回転軸を模擬路面の垂線の周りに傾けて模擬路面に対するタイヤTのスリップ角を調整するスリップ角調整部162と、タイヤTの回転軸を回転ドラム10の回転軸に対して傾斜させてキャンバー角を調整するキャンバー角調整部163と、タイヤTを回転軸方向に移動させるトラバース装置164を備えている。
【0128】
以上説明した構成のタイヤ試験装置100DにタイヤTをセットして、回転駆動用のインバータモータ80を駆動することによって、タイヤT及び回転ドラム10が同じ周速で回転する。その状態で、トルク付与ユニット130のサーボモータユニット150を駆動して、タイヤTに駆動力や制動力を与えることによって、実際の走行状態をシミュレートしたタイヤの摩耗試験、耐久試験、走行安定性試験等を行うことが可能となる。
【0129】
(第11実施形態)
次に、本発明の実施形態に係る動力シミュレータを使用した動力吸収式の動力伝達装置用試験装置について説明する。
【0130】
図24は、本発明の第11実施形態に係るFRトランスミッション用の動力吸収式耐久試験装置100Fの外観図である。
【0131】
試験装置100Fは、インバータモータ80と、サーボモータユニット150を内蔵した荷重付与部100とを備えた動力シミュレータ100Xと、供試体であるFRトランスミッションTのケースを支持する支持部Sと、トルクセンサ172a、172bと、2機の動力吸収用サーボモータ90A、90Bを備えている。FRトランスミッションTの入力軸は、トルクセンサ172aを介して荷重付与部100の出力軸に接続される。また、FRトランスミッションTの出力軸Toは、トルクセンサ172bを介してプーリー部180に接続される。なお、トルクセンサ172a、172bは、第7実施形態のトルクセンサ172a、172b、172cと同一構成のものである。
【0132】
プーリー部180は、2本の駆動ベルトにより2機の動力吸収用サーボモータ90A、90Bに連結されている。2機の動力吸収用サーボモータ90A、90Bは、同期駆動して、FRトランスミッションTの出力軸Toに負荷を与える。
【0133】
(第12実施形態)
図25は、本発明の第12実施形態に係るFFトランスミッション用の動力吸収式耐久試験装置100Gの外観図である。
【0134】
供試体であるFFトランスミッションTRは、1つの入力軸と、2つの出力軸TRb、TRcを備えている。FFトランスミッションTRの入力軸は、トルクセンサ172aを介して荷重付与部100の出力軸に接続される。また、FFトランスミッションTRの出力軸TRb(TRc)は、トルクセンサ172b(172c)及びプーリー部180b(180c)及び駆動ベルトを介して、動力吸収用サーボモータ90B(90C)に接続される。動力吸収用サーボモータ90B(90C)は、FFトランスミッションTRの出力軸TRb(TRc)に負荷を与える。なお、トルクセンサ172a、172b、172cは、第7実施形態のトルクセンサ172a、172b、172cと同一構成のものである。
【0135】
(第13実施形態)
次に、本発明の第13実施形態に係る低速型の回転ねじり試験装置について説明する。図26は、本発明の第13実施形態に係るねじり試験装置3100の側面図である。本実施形態のねじり試験装置3100は、2つの回転軸を有する供試体T1(例えばFR車用トランスミッションユニット)の回転ねじり試験を行う装置である。すなわち、ねじり試験装置3100は、供試体T1の2つの回転軸を同期回転させながら2つの回転軸の回転に位相差を与えることで、トルクを負荷しながら供試体T1の2つの回転軸を回転させる。本実施形態のねじり試験装置3100は、第1駆動部3110、第2駆動部3120、及びねじり試験装置3100の動作を統合的に制御する制御ユニットC3を備えている。
【0136】
先ず、第1駆動部3110の構造について説明する。図27は、第1駆動部3110の一部を切り欠いた側面図である。第1駆動部3110は、本体3110aと、この本体3110aを所定の高さで支持するベース3110bを備えている。本体3110aは、サーボモータユニット150、減速機3113、ケース3114、スピンドル3115、チャック装置3116、トルクセンサ3117、スリップリング3119a及びブラシ3119bを備えており、本体3110aはベース3110bの最上部に水平に配置された可動プレート3111上に組み立てられている。サーボモータユニット150は、第1実施形態と同じものである。サーボモータユニット150は、出力軸(不図示)を水平方向に向けて、可動プレート3111上に固定されている。また、ベース3110bの可動プレート3111は、サーボモータユニット150の出力軸方向(図26における左右方向)にスライド移動可能に設けられている。
【0137】
サーボモータユニット150の出力軸(不図示)は、カップリング(不図示)により減速機3113の入力軸(不図示)に連結されている。減速機3113の出力軸3113aは、トルクセンサ3117の一端部に連結されている。トルクセンサ3117の他端部は、スピンドル3115の一端部に連結されている。スピンドル3115は、ケース3114のフレーム3114bに固定された軸受3114aにより回転自在に支持されている。スピンドル3115の他端部には、供試体T1の一端部(回転軸の一つ)を第1駆動部3110に取り付ける為のチャック装置3116が固定されている。サーボモータユニット150を駆動すると、サーボモータユニット150の出力軸の回転運動が、減速機113によって減速された後、トルクセンサ3117、スピンドル3115及びチャック装置3116を介して、供試体T1の一端部に伝達されるようになっている。また、スピンドル3115には、スピンドル3115の回転角を検出するロータリーエンコーダ(不図示)が取り付けられている。
【0138】
図27に示されるように、減速機3113は、ケース3114のフレーム3114bに固定されている。また、減速機3113は、ギアケースと、軸受を介してギアケースにより回転自在に支持されたギア機構とを備えている(不図示)。すなわち、ケース3114は、減速機3113からチャック装置3116に至る動力伝達軸を覆うと共に、この動力伝達軸を減速機3113及びスピンドル3115の位置で回転自在に支持する装置フレームとしての機能も有する。すなわち、トルクセンサ3117の一端部が接続される減速機3113のギア機構と、トルクセンサ3117の他端部が接続されるスピンドル3115は、いずれも軸受を介してケース3114のフレーム3114bに回転自在に支持されている。そのため、トルクセンサ3117には、減速機3113のギア機構やスピンドル3115(及びチャック装置3116)の重量による曲げモーメントが加わらず、試験荷重(ねじり荷重)のみが加わるため、高い精度で試験荷重を検出することができる。
【0139】
トルクセンサ3117の一端側の円筒面には、複数のスリップリング3119aが形成されている。一方、可動プレート3111には、スリップリング3119aを外周側から囲むようにブラシ保持フレーム3119cが固定されている。ブラシ保持フレーム3119cの内周には、それぞれ対応するスリップリング3119aと接触する複数のブラシ3119bが取り付けられている。サーボモータユニット150が駆動して、トルクセンサ3117が回転している状態では、ブラシ3119bは、スリップリング3119aとの接触を保ちつつ、スリップリング3119a上でスリップする。トルクセンサ3117の出力信号はスリップリング3119aに出力されるよう構成されており、スリップリング3119aと接触するブラシ3119bを介して、トルクセンサ3117の出力信号を第1駆動部3110の外部に取り出せるようになっている。
【0140】
第2駆動部3120(図26)は、第1駆動部3110と同一の構造となっており、サーボモータユニット150を駆動するとチャック装置3126が回転する。チャック装置3126には、供試体T1の他端部(回転軸の一つ)が固定される。なお、供試体T1のハウジングは、支持フレームSに固定されている。
【0141】
本実施形態のねじり試験装置3100は、FR車用のトランスミッションユニットである供試体T1の出力軸Oと入力軸I(エンジン側)を、夫々第1駆動部3110と第2駆動部3120のチャック装置3116、3126に固定した状態で、サーボモータユニット150、150によって同期させて回転駆動すると共に、両チャック装置3116、3126の回転数(あるいは回転の位相)に差を持たせることにより供試体T1にねじり荷重を加えるものである。例えば、第2駆動部3120のチャック装置3126を等速回転駆動させると共に、第1駆動部3110のトルクセンサ3117が検出するトルクが所定の波形に従って変動するようにチャック装置3116を回転駆動して、トランスミッションユニットである供試体T1に周期的に変動するトルクが加わるようにする。
【0142】
このように、本実施形態のねじり試験装置3100は、トランスミッションユニットの入力軸Iと出力軸Oの双方をサーボモータユニット150、150によって精密に駆動することが可能であるため、トランスミッションユニットを回転駆動させながら、トランスミッションユニットの各軸に変動トルクを加えることにより、自動車の実際の走行状態に近い条件で試験を行うことができる。
【0143】
トランスミッションユニットのように、入力軸Iと出力軸Oがギアなどを介して連結されている装置の回転ねじり試験を行う場合、入力軸Iと出力軸Oに加わるトルクの大きさは必ずしも一致しない。そのため、ねじり試験時の供試体T1の挙動をより正確に把握する為には、入力軸I側と出力軸O側とで個別にトルクを計測できるようにすることが好ましい。本実施形態においては、上記のように第1駆動部3110と第2駆動部3120の双方にトルクセンサが設けられているため、トランスミッションユニット(供試体T1)の入力軸I側と出力軸O側とでトルクを個別に計測することができる。
【0144】
なお、上記の例ではトランスミッションユニットの入力軸I側を等速回転駆動し、出力軸O側でトルクを付与する構成としているが、本発明は上記の例に限定されるものではない。すなわち、トランスミッションユニットの出力軸O側を等速回転駆動すると共に、入力軸I側に変動トルクを加える構成としてもよい。或いは、トランスミッションユニットの入力軸I側と出力軸O側の双方を、それぞれ変動する回転数で回転駆動させる構成としてもよい。また、回転数では制御せず、各軸のトルクのみを制御する構成としてもよい。また、トルクや回転数を所定の波形に従って変動させる構成としてもよい。トルクや回転数は、例えばファンクションジェネレータで発生させた任意の波形に従って変動させることができる。また、実際の走行試験で計測したトルクや回転数の波形データに基づいて、供試体T1の各軸のトルクや回転数を制御することもできる。
【0145】
本実施形態のねじり試験装置3100は、様々な寸法のトランスミッションユニットに対応できるように、チャック装置3116と3126との間隔を調整可能となっている。具体的には、可動プレート駆動機構(不図示)により、第1駆動部3110の可動プレート3111が、ベース3110bに対してチャック装置3116の回転軸方向(図26中左右方向)に移動可能となっている。なお、回転ねじり試験を行っている間は、図示されていないロック機構によって可動プレート3111はベース3110bに強固に固定されている。また、第2駆動部3120も、第1駆動部3110と同様の可動プレート駆動機構を備えている。
【0146】
以上説明した本発明の第13実施形態に係るねじり試験装置3100は、FR車用のトランスミッションユニットを対象に回転ねじり試験を行うものであるが、本発明は上記の第13実施形態の基本例の構成に限定されるものではなく、他の動力伝達機構の回転ねじり試験を行う為の装置も又、本発明に含まれる。以下に説明する本発明の第13実施形態の第1、第2及び第3変形例は、夫々FF車用のトランスミッションユニット、ディファレンシャルギアユニット、及び4WD車用のトランスミッションユニットの試験に適したねじり試験装置の構成例である。
【0147】
(第13実施形態の第1変形例)
図28は、本発明の第13実施形態の第1変形例に係るねじり試験装置3200の平面図である。上述のように、本変形例は、FF車用のトランスミッションユニットを供試体T2とする回転ねじり試験に適したねじり試験装置の構成例である。供試体T2は、ディファレンシャルギアを内蔵するトランスミッションユニットであり、入力軸Iと、左側出力軸OL及び右側出力軸ORを有している。
【0148】
本変形例のねじり試験装置3200は、供試体T2の入力軸Iを駆動する第1駆動部3210、左側出力軸OLを駆動する第2駆動部3220及び右側出力軸ORを駆動する第3駆動部3230を備えている。また、ねじり試験装置3200は、その動作を統合的に制御する制御ユニットC3aを備えている。第1駆動部3210、第2駆動部3220及び第3駆動部3230の構造は、共に上述の第13実施形態の基本例に係る第1駆動部3110や第2駆動部3120のものと同一であるため、重複する具体的構成の説明は省略する。
【0149】
本変形例のねじり試験装置3200を用いて供試体T2の回転ねじり試験を行う場合は、例えば第1駆動部3210によって入力軸Iを所定の回転数で駆動し、同時に、第2駆動部3220及び第3駆動部3230によって、所定のトルクが加わるように左側出力軸OL及び右側出力軸ORを回転駆動する。
【0150】
上記のように第1駆動部3210、第2駆動部3220及び第3駆動部3230を制御することによって、トランスミッションユニットを回転駆動させながら、トランスミッションユニットの各軸に変動トルクを加えることにより、自動車の実際の走行状態に近い条件で試験を行うことができる。
【0151】
また、本変形例のねじり試験装置3200を使用して試験を行うトランスミッションユニットは、入力軸Iと左側出力軸OL及び右側出力軸ORがギアなどを介して連結された装置であり、その回転ねじり試験を行う場合は、入力軸Iと左側出力軸OL及び右側出力軸ORとに加わるトルクの大きさは一致しない。また、左側出力軸OLと右側出力軸ORに加わるトルクも、必ずしも一致するとは限らない。そのため、ねじり試験時の供試体T2の挙動をより正確に把握する為には、入力軸I、左側出力軸OL及び右側出力軸ORに加わるトルクを個別に計測できるようにすることが好ましい。本変形例においては、第1駆動部3210、第2駆動部3220、第3駆動部3230の全てにトルクセンサが設けられているため、トランスミッションユニット(供試体T2)の入力軸I、左側出力軸OL及び右側出力軸ORのそれぞれに加わるトルクを個別に計測することができる。
【0152】
なお、左側出力軸OLのトルクと右側出力軸ORのトルクとが同一の波形を描くように第2駆動部3220及び第3駆動部3230が制御される構成としてもよく、又、両者が異なる(例えば逆位相の)波形を描くように第1駆動部3210、第2駆動部3220及び第3駆動部3230が制御される構成としてもよい。
【0153】
また、左側出力軸OLと右側出力軸ORを等速回転駆動し、速度が一定周期で変動するように入力軸Iを駆動する構成としてもよい。或いは、入力軸I、左側出力軸OL及び右側出力軸ORの全てを、回転数が個別に変動するよう駆動する構成としてもよい。
【0154】
(第13実施形態の第2変形例)
次に、本発明の第13実施形態の第2変形例について説明する。図19は、本変形例に係るねじり試験装置3300の平面図である。本変形例は、FR車用のディファレンシャルギアユニットを供試体T3とする回転ねじり試験に適したねじり試験装置の構成例である。第1変形例と同様に、供試体T3は、入力軸I、左側出力軸OL及び右側出力軸ORを有している。
【0155】
本変形例のねじり試験装置3300は、供試体T3の入力軸Iを駆動する第1駆動部3310、左側出力軸OLを駆動する第2駆動部3320及び右側出力軸ORを駆動する第3駆動部3330を備えている。また、ねじり試験装置3300は、その動作を統合的に制御する制御ユニットC3bを備えている。第1駆動部3310、第2駆動部3320及び第3駆動部3330の構造は、共に第13実施形態の基本例に係る第1駆動部3110や第2駆動部3120と同一であるため、重複する具体的構成の説明は省略する。
【0156】
本変形例のねじり試験装置3300により供試体T3の回転ねじり試験を行う場合は、例えば第1駆動部3310によって入力軸Iを所定の回転数で駆動し、同時に、第2駆動部320及び第3駆動部3330によって、左側出力軸OL及び右側出力軸ORにそれぞれトルクが加わるように駆動する。
【0157】
上記のように第1駆動部3310、第2駆動部3320及び第3駆動部3330を制御することによって、供試体T3の各軸を回転駆動しながら供試体T3の各軸に変動トルクを加えることにより、実際の使用状態に近い条件で試験を行うことができる。
【0158】
ディファレンシャルギアユニットも又、トランスミッションユニットと同様に、入力軸Iと左側出力軸OL及び右側出力軸ORとがギアを介して連結された装置であり、その回転ねじり試験を行う場合は、入力軸Iに加わるトルクの大きさと左側出力軸OL及び右側出力軸ORに加わるトルクの大きさとは一致しない。また、左側出力軸OLと右側出力軸ORに加わるトルクの大きさも、必ずしも一致するとは限らない。そのため、試験時の供試体T3の挙動をより正確に把握する為には、入力軸I、左側出力軸OL及び右側出力軸ORのトルクを個別に計測できるようにすることが望ましい。本変形例においては、第1駆動部3310、第2駆動部3320、第3駆動部3330の全てにトルクセンサが設けられているため、ディファレンシャルギアユニット(供試体T3)の入力軸I、左側出力軸OL及び右側出力軸ORのそれぞれに加わるトルクを個別に計測することができる。
【0159】
なお、入力軸Iの回転数と左側出力軸OL及び右側出力軸ORの回転数とが同一の波形を描くように第2駆動部3320及び第3駆動部3330が制御される構成としてもよく、又、両者が異なる(例えば入力軸Iとの速度差が逆位相となるような)波形を描くように第2駆動部3320及び第3駆動部3330が制御される構成としてもよい。
【0160】
また、左側出力軸OL及び右側出力軸ORを等速回転駆動し、入力軸Iを速度が一定周期で変動するように駆動する構成としてもよい。或いは、入力軸I、左側出力軸OL及び右側出力軸ORの全てを、回転数が変動するよう駆動する構成としてもよい。
【0161】
(第13実施形態の第3変形例)
図20は、本発明の第13実施形態の第3変形例に係るねじり試験装置3400の平面図である。本変形例のねじり試験装置3400は、4つの回転軸を有する供試体T4の回転ねじり試験に適したねじり試験装置の構成例である。以下、一例として、4WDシステムを供試体T4として試験を行う場合について説明する。供試体T4は、図示されていないトランスミッション、フロントディファレンシャルギア、トランスファー及び電子制御多板クラッチを備えたFFベースの電子制御式4WDシステムである。供試体T4は、エンジンに接続される入力軸Iと、左右の前輪用のドライブシャフトに接続される左側出力軸OL及び右側出力軸ORと、後輪に動力を伝達するプロペラシャフトに接続される後部出力軸OPを有している。入力軸Iから供試体T4に入力された駆動力は、供試体T4に備わるトランスミッションにより減速された後、フロントディファレンシャルギアを介して、左側出力軸OLと右側出力軸ORに分配される。また、フロントディファレンシャルギアに伝達された駆動力の一部は、トランスファーにより分岐されて、後部出力軸OPから出力されるように構成されている。
【0162】
本変形例のねじり試験装置3400は、供試体T4の入力軸Iを駆動する第1駆動部3410、左側出力軸OLを駆動する第2駆動部3420、右側出力軸ORを駆動する第3駆動部3430及び後部出力軸OPを駆動する第4駆動部3440を備えている。また、ねじり試験装置3400は、その動作を統合的に制御する制御ユニットC3cを備えている。第1駆動部3410、第2駆動部3420、第3駆動部3430及び第4駆動部3440の構造は、共に第13実施形態基本例の第1駆動部3110や第2駆動部3120と同一であるため、重複する具体的構成の説明は省略する。
【0163】
(第14実施形態)
上記の第1から第13実施形態では、本発明の実施形態に係る2軸出力サーボモータ150Aが、1つの出力軸を有するサーボモータ150Bと連結して使用されているが、次に説明する本発明の第14実施形態のように、2軸出力サーボモータ150Bを単体で使用することもできる。
【0164】
図31は、本発明の第14実施形態に係るねじり試験装置4000の側面図である。ねじり試験装置4000は、2軸出力サーボモータ150Aを1台のみ使用して、2つの供試体T3a、T3bの回転ねじり試験を同時に行うことを可能にした装置である。ねじり試験装置4000は、固定ベース4100、駆動部4200、第1反力部4400A、第2反力部4400B及び制御ユニットC4を備えている。
【0165】
図32は、駆動部4200の拡大図である。駆動部4200は、2軸出力サーボモータ150Aと、1対の駆動伝達部4200A、4200Bを備えている。2軸出力サーボモータ150Aは、制御ユニットC4に接続されており、制御ユニットC4により駆動が制御される。駆動伝達部4200A、4200Bは、それぞれ2軸出力サーボモータ150Aの第1出力軸150A2a、第2出力軸150A2bの回転を減速して、供試体T3a、T3bの入力軸に伝達する。駆動伝達部4200Aと駆動伝達部4200Bは同一構成であるため、構成の詳細は一方の駆動伝達部4200Aのみについて説明する。
【0166】
駆動伝達部4200Aは、フレーム4210、減速機4220、プーリー4230、タイミングベルト4240、ロータリーエンコーダ4250、及びチャック装置4260を備えている。フレーム4210は、固定ベース4100上に取り付けられたアングル(L型材)状のフレームであり、固定ベース4100上に水平に配置された平板である底板4212と、底板4212の上面一端部から直立した平板である縦板4214と、底板4212及び縦板4214に垂直に接続する一対のリブ板4216を備えている。底板4212、縦板4214及びリブ板4216は、溶接により相互に接続されている。縦板4214は、2軸出力サーボモータ150Aの第1出力軸150A2aと垂直に配置されており、第1出力軸150A2aと同軸に形成された開口部4214aを有している。縦板4214の開口部4214aには、減速機4220が差し込まれて固定されている。
【0167】
減速機4220の入力側フランジ板4224には、2軸出力サーボモータ150Aの第1ブラケット150A3がボルトで取り付けられている。第1ブラケット150A3は、取付座面(図31における右側面)のみではなく、その下面に設けられたタップ穴150A3tによっても、補強板4212を介して入力側フランジ板4224に固定されている。これにより、減速機4220の入力側フランジ板4224と2軸出力サーボモータ150Aの第1ブラケット150A3とは高い剛性で連結され、高精度の試験が可能となっている。
【0168】
2軸出力サーボモータ150Aの第1出力軸150A2aは、減速機4220の入力軸(不図示)と連結されている。また、減速機4220の出力軸4228の先端部にはチャック装置4260が取り付けられている。チャック装置4260には、供試体T3aの入力軸が取り付けられる。2軸出力サーボモータ150Aの第1出力軸150A2aの回転は、減速機4220によって減速され、トルクが増幅された後、チャック装置4260を介して供試体T3aの入力軸に伝達される。
【0169】
減速機4220には、給油カップ4222が設けられており、減速機4220の内部空間が潤滑油で充填され、減速機4220を構成する各ギアが常に潤滑油に完全に浸されるようになっている。ねじり試験では、供試体に常用域の往復ねじり荷重を加えるため、供試体をねじる角度は多くても数10°程度となり、減速機の入力軸でも反復回転の振幅は1回転(360°)に未たないことが多い。減速機4220の内部空間を潤滑油で充填することにより、このような使用形態においても減速機を構成する歯車機構の油膜切れが防止されると共に、潤滑油による放熱効果が高められ、歯面の焼き付けが効果的に防止される。
【0170】
出力軸4228の外周には、プーリー4230が設けられている。また、フレーム4210の縦板4214には、減速機4220の下方にロータリーエンコーダ4250が配置されている。ロータリーエンコーダ4250の入力軸に取り付けられたプーリー4252と減速機4220の出力軸4228に取り付けられたプーリー4230とにはタイミングベルト4240が巻き掛けられており、減速機4220の出力軸4228の回転は、タイミングベルト4240を介して、ロータリーエンコーダ4250に伝達されて検出される。ロータリーエンコーダ4250は制御ユニットC4接続されており、ロータリーエンコーダ4250が検出した回転を示す信号が制御ユニットC4に送られる。
【0171】
次に、第1反力部4400Aについて説明する。なお、第2反力部4400Bについては、第1反力部4400Aと構成が同一であるため、詳しい説明は省略する。
【0172】
第1反力部4400Aは、フレーム4410、トルクセンサ4420、スピンドル4440、軸受部4460及びチャック装置4480を備えている。フレーム4410は、固定ベース4100上にボルトBで取り付けられたアングル(L型材)状のフレームであり、固定ベース4100上に水平に配置された底盤部4412と、底盤部4412の上面一端部(図31における左端部)から直立した平板である縦板2414と、底盤部4412及び縦板2414に垂直に接続する一対のリブ板2416を備えている。底盤部4412、縦板4214及びリブ板4216は、溶接により相互に接続されている。また、軸受部4460は、縦板2414及びリブ板2416よりも駆動部4200側において、底盤部4412上にボルトBで固定されている。
【0173】
固定ベース4100は、第1反力部4400Aを2軸出力サーボモータ150Aの第1出力軸150A2aの方向へスムーズに移動させる第1反力部移動機構(不図示)を備えており、底盤部4412上を固定ベース4100に固定するボルトBを緩めた状態で、第1反力部移動機構を作動させることで、第1反力部4400Aを第1出力軸150A2aの方向へスムーズに移動可能になっている。なお、固定ベース4100は、第2反力部4400Bを2軸出力サーボモータ150Aの第2出力軸150A2bの方向へスムーズに移動させる第2反力部移動機構(不図示)も備えている。
【0174】
トルクセンサ4420、スピンドル4440、軸受部4460及びチャック装置4480は、それぞれ、2軸出力サーボモータ150Aの第1出力軸150A2aと同軸に配置されている。フレーム4410の縦板4214には、トルクセンサ4420の一端部(図31における左端部)が固定されている。また、トルクセンサ4420の他端部には、スピンドル4440の一端部(図31における左端部)が固定されており、スピンドル4440の他端部にはチャック装置4480が取り付けられている。チャック装置4480には、供試体T3aの出力軸が取り付けられる。
【0175】
供試体T3aの出力軸のトルクは、チャック装置4480及びスピンドル4440を介してトルクセンサ4420に伝達されて、検出される。トルクセンサ4420は制御ユニットC4に接続されており、トルクセンサ4420が検出した供試体T3aの出力軸のトルクを示す信号は、制御ユニットC4に送られ、処理される。
【0176】
また、スピンドル4440は、他端部(チャック装置4480側の端部)の付近において軸受部4460により回転自在に支持されている。従って、トルクセンサ4420とスピンドル4440は、縦板2414と軸受部4460とによって両持ち支持されるため、トルクセンサ4420に大きな曲げモーメントが加わることによってトルクセンサ4420の検出誤差が大きくなることが防止される。
【0177】
上記構成のねじり試験装置4000を用いて回転ねじり試験を行うときには、上述のように、駆動伝達部4200Aのチャック装置4260に供試体T3aの入力軸が取り付けられ、第1反力部4400Aのチャック装置4480に供試体T3aの出力軸が取り付けられる。同様に、駆動伝達部4200Bのチャック装置4260に供試体T3bの入力軸が取り付けられ、第2反力部4400Bのチャック装置4480に供試体T3bの出力軸が取り付けられる。この状態で2軸出力サーボモータ150Aを駆動すると、第1出力軸150A2aと第2出力軸150A2bが同位相で回転し、駆動伝達部4200Aと駆動伝達部4200Bのチャック装置4260も同位相で回転する。これにより、供試体T3aとT3bには同じねじり量が加えられ、すなわち供試体T3aとT3bに対して同一条件のねじり試験が行われる。
【0178】
上述した第14実施形態の構成によれば、1台のサーボモータ及び制御ユニットC4を用いて、2つの供試体T3a、T3bのねじり試験(疲労試験)を同時に行うことができるため、効率的に試験を行うことが可能になる。
【0179】
また、駆動伝達部4200A、4200Bの代わりに、例えば送りねじ機構等の直動変換器を設けることにより、2つの供試体T3a、T3bに圧縮力と引張力を繰り返し与える(あるいは、供試体T3a、T3bの一方に圧縮力を与え、他方に引張力を与える)引張・圧縮試験装置が得られる。この構成により、2つの供試体T3a、T3bに対する繰返し伸縮試験(又は供試体T3aに対する引張試験と供試体T3bに対する圧縮試験)を同時に行うことが可能になる。また、このとき、第1反力部4400A、第2反力部4400Bを無くすことにより、2つの供試体T3a、T3bの振動試験を同時に行うことが可能になる。
【0180】
(第15実施形態)
本発明の実施形態に係る2軸出力サーボモータ150A及びサーボモータユニット150は、例えば送りねじ機構等の直動変換器と組み合わせて直動アクチュエータの駆動源として使用することもできる。このような直動アクチュエータを用いて、例えば、加振試験装置や引張・圧縮試験装置を実現することができる。
【0181】
図33は、本発明の第15実施形態に係る振動試験装置(加振装置)5000の上面図である。本実施形態の振動試験装置5000は、振動試験の対象であるワークをテーブル5100の上に固定し、第1、第2、第3アクチュエータ5200、5300、5400を用いてテーブル5100及びその上のワークを直交3軸方向に加振するようになっている。なお、以下の説明においては、第1アクチュエータ5200がテーブル5100を加振する方向(図33における上下方向)をX軸方向、第2アクチュエータ5300がテーブル5100を加振する方向(図33における左右方向)をY軸方向、第3アクチュエータ5400がテーブルを加振する方向、すなわち鉛直方向(図33において、紙面に垂直な方向)をZ軸方向と定義する。
【0182】
図38は、本発明の実施形態による振動試験装置の制御システムのブロック図である。第1、第2、第3アクチュエータ5200、5300、5400には、夫々振動センサ5220、5320、5420が設けられている。これらの振動センサの出力に基づいて制御ユニットC5が第1、第2、第3アクチュエータ5200、5300、5400(具体的には、サーボモータユニット150X、150Y、150Z)をフィードバック制御することによって、所望の振幅及び周波数(これらのパラメータは、通常は時間の関数として設定される)でテーブル5100及びその上に取り付けられたワークを加振することができる。サーボモータユニット150X、150Y、150Zは、第1実施形態のサーボモータユニット150と同一のものである。
【0183】
第1、第2、第3アクチュエータ5200、5300、5400は、夫々ベースプレート5202、5302、5402上にモータや動力伝達部材等が取り付けられた構成となっている。このベースプレート5202、5302、5402は、図示されていないボルトによって、装置ベース5002上に固定されている。
【0184】
また、装置ベース5002上には、ベースプレート5202、5302、5402に近接する複数の位置にアジャスタAが配置されている。アジャスタAは、装置ベース5002にボルトABで固定されるめねじ部A1と、このめねじ部A1にねじ込まれているおねじ部A2とを有している。おねじ部A2は、円筒面にネジ山が形成された円柱状の部材であり、おねじ部A2をめねじ部A1に形成されたネジ穴に係合させて回動させることによって、おねじ部A2を対応するベースプレートに対して進退させることができる。おねじ部A2の一端部(対応するベースプレートに対して近位となる側)は、略球面状に形成されており、この突出部と対応するベースプレートの側面とを当接させることによって、ベースプレートの位置の微調整を行うことができる。また、おねじ部A2の他端部(対応するベースプレートに対して遠位となる側)には、図示されていない六角レンチ用の六角穴が形成されている。また、一旦ベースプレート5202、5302、5402を固定した後は、振動試験によってベースプレートからアジャスタAに伝達されうる振動等によっておねじ部A2が緩まないように、ナットA3がおねじ部A2に取り付けられている。ナットA3は、その一端面がめねじ部A1に当接するように取り付けられており、この状態からナットA3をねじ込んでめねじ部A1を押し込み、おねじ部A2とめねじ部A1に軸力を作用させ、この軸力によっておねじ部A2とめねじ部A1のねじ山に生じる摩擦力によって、おねじ部A2からめねじ部A1が緩まないようになっている。
【0185】
次に、第1アクチュエータ5200の構成について説明する。図34は、本発明の実施形態による第1アクチュエータ5200をY軸方向から(図33の右側から左側へ向かって)見た側面図である。この側面図は、内部構造を示すために一部が切り欠かれている。また、図35は、第1アクチュエータ5200の上面図の一部切り欠いて内部構造を示したものである。なお、以下の説明においては、第1アクチュエータ5200からテーブル5100に向うX軸に沿った方向を「X軸正の方向」、テーブル5100から第1アクチュエータに向うX軸に沿った方向を「X軸負の方向」と定義する。
【0186】
図34に示されるように、ベースプレート5202の上には、互いに溶接された複数のはり5222aと、天板5222bからなるフレーム5222が溶接によって固定されている。また、テーブル5100(図33)を加振するための駆動機構5210や駆動機構5210による加振運動をテーブル5100に伝達させるための連結機構5230を支持するための支持機構5240の底板5242が、フレーム5222の天板5222bの上に図示されていないボルトを介して固定されている。
【0187】
駆動機構5210は、サーボモータユニット150X、カップリング5260、軸受部5216、ボールねじ5218及びボールナット5219を有している。カップリング5260は、サーボモータユニット150Xの駆動軸152Xとボールねじ5218とを連結するものである。また、軸受部5216は、支持機構5240の底板5242に対して垂直に溶接で固定された軸受支持プレート5244によって支持されており、ボールねじ5218を回転可能に支持している。ボールナット5219は、その軸回りに移動しないよう軸受支持プレート5244によって支持されつつ、ボールねじ5218と係合する。そのため、サーボモータユニット150Xを駆動すると、ボールねじが回転して、ボールナット5219がその軸方向(すなわちX軸方向)に進退する。このボールナット5219の運動が、連結機構5230を介してテーブル5100に伝達されることによって、テーブル5100はX軸方向に駆動される。そして、短い周期でサーボモータユニット150Xの回転方向を切り換えるようサーボモータユニット150Xを制御することによって、テーブル5100を所望の振幅及び周期でX軸方向に加振することができる。
【0188】
支持機構5240の底板5242の上面には、モータ支持プレート5246が底板5242と垂直に溶接されている。モータ支持プレート5246の一面(X軸負の方向側の面)には、駆動軸152Xがモータ支持プレート5246と垂直になるよう、サーボモータユニット150Xが片持ち支持されている。モータ支持プレート5246には、開口部5246aが設けられており、サーボモータユニット150Xの駆動軸152Xはこの開口部5246aを貫通し、モータ支持プレート5246の他面側でボールねじ5218と連結される。
【0189】
なお、サーボモータユニット150Xがモータ支持プレート5246に片持ち支持されているため、モータ支持プレート5246には、特に底板5242との溶接部において、大きな曲げ応力が加わる。この曲げ応力を緩和するために、底板5242とモータ支持プレート5246との間には、リブ5248が設けられている。
【0190】
軸受部5216は、正面組合せで組み合わされた一対のアンギュラ球軸受5216a、5216b(X軸負の方向側にあるものが5216aであり、X軸正の方向側にあるものが5216bである)を有している。アンギュラ球軸受5216a、5216bは、軸受支持プレート5244の中空部の中に収納されている。アンギュラ球軸受5216bの一面(X軸正の方向側の面)には、軸受押圧プレート5216cが設けられており、この軸受押圧プレート5216cをボルト5216dを用いて軸受支持プレート5244に固定することによって、アンギュラ球軸受5216bはX軸負の方向に押し込まれる。また、ボールねじ5218において、軸受部5216に対してX軸負の方向側に隣接する円筒面には、ねじ部5218aが形成されている。このねじ部5218には、内周にめねじが形成されたカラー5217が取り付けられるようになっている。カラー5217をボールねじ5218に対して回動させてX軸正の方向に移動させることによって、アンギュラ球軸受5216aはX軸正の方向に押し込まれる。このように、アンギュラ球軸受5216aと5216bが、互いに近づく方向に押し込まれるようになっているので、両者が互いに密着して好適なプリロードが軸受5216a、5216bに付与される。
【0191】
次に、連結部5230の構成について説明する。連結部5230は、ナットガイド5232、一対のY軸レール5234、一対のZ軸レール5235、中間ステージ5231、一対のX軸レール5237、一対のX軸ランナーブロック5233、及びランナーブロック取付部材5238を有している。
【0192】
ナットガイド5232は、ボールナット5219に固定されている。また、一対のY軸レール5234は、共にY軸方向に伸びるレールであり、ナットガイド5232のX軸正の方向側の端部に、上下方向に並べて固定されている。また、一対のZ軸レール5235は、共にZ軸方向に伸びるレールであり、テーブル5100のX軸負の方向側の端部に、Y軸方向に並べて固定されている。中間ステージ5231は、このY軸レール5234の各々と係合するY軸ランナーブロック5231aがX軸負の方向側の面に、Z軸レール5235の各々と係合するZ軸ランナーブロック5231bがX軸正の方向側の面に設けられているブロックであり、Y軸レール5234及びZ軸レール5235の双方に対してスライド可能に構成されている。
【0193】
すなわち、中間ステージ5231は、テーブル5100に対してZ軸方向にスライド可能であり、且つ、ナットガイド5232に対してY軸方向にスライド可能である。従って、テーブル5100に対してナットガイド5231はY軸方向及びZ軸方向にスライド可能となっている。このため、他のアクチュエータ5300及び/又は5400によってテーブル5100がY軸方向及び/又はZ軸方向に加振されたとしても、それによってナットガイド5232が変位することはない。すなわち、テーブル5100のY軸方向及び/又はZ軸方向の変位に起因する曲げ応力が、ボールねじ5218や軸受5216、カップリング5260などに加わることはない。
【0194】
一対のX軸レール5237は、共にX軸方向に伸びるレールであり、支持機構5240の底板5242の上に、Y軸方向に並べて固定されている。X軸ランナーブロック5233は、このX軸レール5237の各々と係合し、X軸レール5237に沿ってスライド可能となっている。ランナーブロック取付部材5238は、Y軸方向両側に向って張り出すようにナットガイド5232の底面に固定された部材であり、X軸ランナーブロック5233はランナーブロック取付部材5238の底部に固定されている。このように、ナットガイド5232は、ランナーブロック取付部材5238及びX軸ランナーブロック5233を介してX軸レール5237にガイドされており、これによって、X軸方向のみに移動可能となっている。
【0195】
このように、ナットガイド5232の移動方向がX軸方向のみに制限されているため、サーボモータユニット150Xを駆動してボールねじ5218を回動させると、ナットガイド5232及びこのナットガイド5232と係合するテーブル5100は、X軸方向に進退する。
【0196】
ランナーブロック取付部材5238の、Y軸方向側の一方の側面(図34においては手前側、図35においては右側)5238aには、位置検出手段5250が配置されている。位置検出手段5250は、X軸方向に一定間隔で並べられた3つの近接センサ5251、ランナーブロック取付部材5238の側面5238aに設けられた検出用プレート5252、及び近接センサ5251を支持するセンサ支持プレート5253を有している。近接センサ5251は、各々の近接センサの前に何らかの物体が近接して(例えば1ミリメートル以内に)いるかどうかを検出可能な素子である。ランナーブロック取付部材5238の側面5238aと近接センサ5251とは充分に離れているため、近接センサ5251は、各々の近接センサ5251の前に検出用プレート5252があるかどうかを検知することができる。振動試験装置5000の制御ユニットC5は、例えば近接センサ5251の検出結果を用いてサーボモータユニット150Xをフィードバック制御することができる(図38)。
【0197】
また、支持機構5240の底板5242の上には、X軸ランナーブロック5233をX軸方向両側から挟むように配置された規制ブロック5236が設けられている。この規制ブロック5236は、ナットガイド5232の移動範囲を制限するためのものである。すなわち、サーボモータユニット150Xを駆動させてナットガイド5232をX軸正の方向に向って移動させ続けると、最終的には、X軸正の方向側に配置された規制ブロック5236とランナーブロック取付部材5238とが接触し、それ以上ナットガイド5232はX軸正の方向に移動できなくなる。ナットガイド5232をX軸負の方向に向って移動させ続ける場合も同様であり、X軸負の方向側に配置された規制ブロック5236とランナーブロック取付部材5238とが接触して、それ以上ナットガイド5232はX軸負の方向に移動できなくなる。
【0198】
以上説明した第1アクチュエータ5200と第2アクチュエータ5300とは、設置される方向が異なる(X軸とY軸が入れ代わる)点を除いては同一の構造である。従って、第2アクチュエータ5300については詳細な説明は省略する。
【0199】
次に、本発明の実施形態による第3アクチュエータ5400の構成について説明する。図36は、テーブル5100及び第3アクチュエータ5400をX軸方向から(図16の下方から上方へ向かって)見た側面図である。この側面図も、内部構造を示すために一部が切り欠かれている。また、図37は、本発明の実施形態によるテーブル5100及び第3アクチュエータ5400をY軸方向から(図33の左側から右側へ向かって)見た側面図である。図37も、内部構造を示すために一部が切り欠かれている。なお、以下の説明においては、第2アクチュエータ5300からテーブル5100に向うY軸に沿った方向をY軸正の方向、テーブル5100から第2アクチュエータ5300に向うY軸に沿った方向をY軸負の方向と定義する。
【0200】
図36及び図37に示されるように、ベースプレート5402上には、鉛直方向に伸びる複数のはり5422aと、この複数のはり5422aを上から覆うように配置された天板5422bからなるフレーム5422が設けられている。各はり5422aは、下端がベースプレート5402の上面に、上端が天板5422bの下面に、それぞれ溶接されている。また、支持機構5440の軸受支持プレート5442が、フレーム5422の天板5422bの上に図示されていないボルトを介して固定されている。この軸受支持プレート5442は、テーブル5100(図33)を上下方向に加振するための駆動機構5410や、駆動機構5410による加振運動をテーブルに伝達させるための連結機構5430を支持するための部材である。
【0201】
駆動機構5410は、サーボモータユニット150Z、カップリング5460、軸受部5416、ボールねじ5418、及びボールナット5419を有している。カップリング5460は、サーボモータユニット150Zの駆動軸152Zとボールねじ5418とを連結するものである。また、軸受部5416は、前述の軸受支持プレート5442に固定されており、ボールねじ5418を回転可能に支持するようになっている。ボールナット5419は、その軸回りに移動しないよう軸受支持プレート5442によって支持されつつ、ボールねじ5418と係合する。そのため、サーボモータユニット150Zを駆動すると、ボールねじが回転して、ボールナット5419がその軸方向(すなわちZ軸方向)に進退する。このボールナット5419の運動が、連結機構5430を介してテーブル5100に伝達されることによって、テーブル5100はZ軸方向に駆動される。そして、短い周期でサーボモータユニット150Zの回転方向を切り換えるようサーボモータユニット150Zを制御することによって、テーブル5100を所望の振幅及び周期でZ軸方向(上下方向)に加振することができる。
【0202】
支持機構5440の軸受支持プレート5442の下面から、2枚の連結プレート5443を介して、水平方向(XY平面)に広がるモータ支持プレート5446が固定されている。モータ支持プレート5446の下面には、サーボモータユニット150Zが吊り下げられ、固定されている。モータ支持プレート5446には、開口部446aが設けられており、サーボモータユニット150Zの駆動軸152Zはこの開口部446aを貫通し、モータ支持プレート5446の上面側でボールねじ5418と連結される。
【0203】
なお、本実施形態においては、フレーム5422の高さよりもサーボモータユニット150Zの軸方向(上下方向、Z軸方向)の寸法が大きいため、サーボモータユニット150Zの大部分は、ベースプレート5402よりも低い位置に配置される。このため、装置ベース5002には、サーボモータユニット150Zを収納するための空洞部5002aが設けられている。また、ベースプレート5402には、サーボモータユニット150Zを通すための開口5402aが設けられている。
【0204】
軸受部5416は、軸受支持プレート5442を貫通するように設けられている。なお、軸受部5416の構造は、第1アクチュエータ5200における軸受部5216(図34図35)と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0205】
次に、連結部5430の構成について説明する。連結部5430は、可動フレーム5432、一対のX軸レール5434、一対のY軸レール5435、複数の中間ステージ5431、二対のZ軸レール5437、及び二対のZ軸ランナーブロック5433を有している。
【0206】
可動フレーム5432は、ボールナット5419に固定された枠部5432aと、枠部5432aの上端に固定された天板5432bと、天板5432bのX軸方向両縁から下方に伸びるよう固定された側壁5432cを有している。一対のY軸レール5435は、共にY軸方向に伸びるレールであり、可動フレーム5432の天板5432bの上面に、X軸方向に並べて固定されている。また、一対のX軸レール5434は、共にX軸方向に伸びるレールであり、テーブル5100の下面に、Y軸方向に並べて固定されている。中間ステージ5431は、X軸レール5434と係合するX軸ランナーブロック5431aが上部に、Y軸レール5435の各々と係合するY軸ランナーブロック5431bが下部に設けられているブロックであり、X軸レール5434及びY軸レール435の双方に対してスライド可能に構成されている。なお、中間ステージ5431は、X軸レール5434とY軸レール5435とが交差する位置毎に一つずつ設けられている。X軸レール5434とY軸レール5435は、夫々2つずつ設けられているので、X軸レール5434とY軸レール5435とは4箇所で交差する。従って、本実施形態においては、4つの中間ステージ5431が使用される。
【0207】
このように、中間ステージ5431の各々は、テーブル5100に対してX軸方向にスライド可能であり、且つ、可動フレーム5432に対してY軸方向にスライド可能である。すなわち、テーブル5100に対して可動フレーム5432はX軸方向及びY軸方向にスライド可能となっている。このため、他のアクチュエータ5200及び/又は5300によってテーブル5100がX軸方向及び/又はY軸方向に加振されたとしても、それによって可動フレーム5432が変位することはない。すなわち、テーブル5100のX軸方向及び/又はY軸方向の変位に起因する曲げ応力がボールねじ5418や軸受5416、カップリング5460などに加わることはない。
【0208】
また、本実施形態においては、可動フレーム5432には比較的大重量のテーブル5100及びワークを支えるため、X軸レール5434及びY軸レール5435の間隔を、第1アクチュエータ5200のY軸レール5234及びZ軸レール5235と比べて広くとっている。このため、第1アクチュエータ5200と同様に一つの中間ステージのみによってテーブル5100と可動フレーム5432とを連結させる構成とすると、中間ステージが大型化し、可動フレーム5432に加わる荷重が増大してしまう。このため、本実施形態においては、X軸レール5434とY軸レール5435とが交差する部分ごとに小型の中間ステージ5431を配置する構成として、可動フレーム5432に加わる荷重の大きさを必要最低限に抑えている。
【0209】
二対のZ軸レール5437は、Z軸方向に伸びるレールであり、可動フレーム5432の側壁5432cの夫々に、Y軸方向に並べて一対ずつ固定されている。Z軸ランナーブロック5433は、このZ軸レール5437の各々と係合し、Z軸レール5437に沿ってスライド可能となっている。Z軸ランナーブロック5433は、ランナーブロック取付部材5438を介してフレーム5422の天板5422bの上面に固定されるようになっている。ランナーブロック取付部材5438は、可動フレーム5432の側壁5432cと略平行に配置された側板5438aと、この側板5438aの下端に固定された底板5438bとを有しており、全体としてはL字断面形状となっている。また、本実施形態においては、特に重心の高く且つ大重量のワークをテーブル5100の上に固定すると、X軸回り及び/又はY軸回りの大きなモーメントが可動フレーム5432に加わりやすくなっている。そのため、ランナーブロック取付部材5438は、この回転モーメントに耐えられるよう、リブによって補強されている。具体的には、ランナーブロック取付部材5438のY軸方向両端における側板5438aと底板5438bとが成すコーナーに、一対の第1リブ5438cが設けられ、さらに、この一対の第1リブ5438cの間に渡された第2リブ5438dが設けられている。
【0210】
このように、Z軸ランナーブロック5433がフレーム5422に固定されており、且つZ軸レール5437に対してスライド可能となっている。従って、可動フレーム5432は、上下方向にスライド可能であるとともに、可動フレーム5432の上下方向以外の移動は規制される。このように、可動フレーム5432の移動方向が上下方向のみに制限されているため、サーボモータユニット150Zを駆動してボールねじ5418を回動させると、可動フレーム5432及びこの可動フレーム5432と係合するテーブル5100は、上下方向に進退する。
【0211】
また、第1アクチュエータ5200の位置検出手段5250(図34図35)と同様の位置検出手段(不図示)が第3アクチュエータ5400にも設けられている。振動試験装置5000の制御ユニットC5は、この位置検出手段の検出結果に基づいて、可動フレーム5432の高さが所定の範囲内となるように制御することができる(図38)。
【0212】
以上説明したように、本実施形態においては、駆動軸が互いに直交する各アクチュエータとテーブル5100との間に、二対のレールとこのレールに対してスライド可能に構成された中間ステージが設けられている。これによって、各アクチュエータに対して、テーブル5100はそのアクチュエータの駆動方向に垂直な面上の任意の方向にスライド可能となっている。このため、あるアクチュエータによってテーブル5100が変位したとしても、この変位に起因する荷重やモーメントが他のアクチュエータに加わることは無く、且つ他のアクチュエータとテーブル5100とが中間ステージを介して係合する状態が維持される。すなわち、テーブルが任意の位置に変位したとしても、各アクチュエータがテーブルを変位させることが可能な状態が維持される。このため、本実施形態においては、3つのアクチュエータ5200、5300、5400を同時に駆動させてテーブル5100及びその上に固定されるワークを3軸方向に加振可能である。
【0213】
本実施形態においては、前述のように、アクチュエータ5200、5300、5400とテーブル5100の間には、レールとランナーブロックを組み合わせたガイド機構を備えた連結部が設けられている。また、同様のガイド機構が、アクチュエータ5200、5300、5400に設けられており、このガイド機構は各アクチュエータのボールねじ機構のナットをガイドするために使用される。
【0214】
また、上記の各実施形態において、トルク発生装置に超低慣性サーボモータが使用されているが、本発明の構成はこれに限定されない。回転子の慣性モーメントが小さく、高加速度あるいは高加加速度で駆動可能な他の形式の電動機(例えば、インバータモータ)を使用した構成も本発明に含まれる。この場合、上記の各実施形態と同様に、電動機にエンコーダを設けて、エンコーダが検出した電動機の出力軸の回転状態(例えば回転数や角度位置)によるフィードバック制御を行う構成が採用され得る。
【0215】
また、上記の実施形態は、主に自動車用の動力伝達装置の耐久試験装置に本発明を適用した例であるが、本発明はこれに限定されず、産業全般において様々な用途に使用することができる。例えば、2輪車、農業機械、建設機械、鉄道車両、船舶、航空機、発電システム、給排水システム、又は、これらを構成する各種部品の機械特性や耐久性の評価に、本発明を使用することができる。
【0216】
以上が本実施形態の説明であるが、本発明は、上記の構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば、上記の各実施形態においては、一つの(1出力軸を有する)サーボモータ150Bと1つの2軸出力サーボモータ150Aとを2段連結したサーボモータユニット150(又はトルク付与用サーボモータユニット132)が使用されているが、一つのサーボモータ150Bと複数の2軸出力サーボモータ150Aとを3段以上に連結したサーボモータユニットを使用する構成としてもよい。
【0217】
<補遺>
サーボモータ式試験装置の適用範囲の更なる拡大のために、超低慣性サーボモータの高い加速特性を維持しながら、更なる高出力化が求められている。
【0218】
また、サーボモータ式試験装置の製造原価においてサーボモータの原価が占める割合が大きいため、1台のサーボモータを使用して同時に複数の供試体の試験が可能なサーボモータ式試験装置が求められている。
【0219】
しかしながら、単純にサーボモータを高出力化すると、サーボモータの各部の強度を高める必要が生じるため、出力の増加分以上にサイズが大型化し、重量が増加する。また、これにより、サーボモータの慣性モーメントの出力比(サーボモータの出力に対する慣性モーメントの割合)が増大するため、加速特性(躍度を含む)が低下し、出力可能な変動負荷の周波数範囲が低下してしまうという問題が生じる。
【0220】
また、従来のサーボモータは出力軸が1軸しかないため、同時に複数の供試体の試験を可能にするためには、動力を分配するギア機構等を設ける必要があり、摩擦抵抗の増大や試験装置の大型化といった問題があった。
【0221】
本発明の一実施形態によれば、筒状の本体フレームと、本体フレームの軸方向一端部に取り付けられた略平板状の第1ブラケットと、本体フレームの軸方向他端部に取り付けられた略平板状の第2ブラケットと、本体フレームの中空部を通り、第1ブラケット及び第2ブラケットを貫通し、第1ブラケット及び第2ブラケットにそれぞれ設けられた軸受により回転自在に支持された駆動軸と、を備え、駆動軸の一端部を第1ブラケットから外部へ突出させて、外部に駆動力を出力する第1出力軸とし、他端部を第2ブラケットから外部へ突出させて第2出力軸として構成したことを特徴とする2軸出力サーボモータが提供される。
【0222】
第1ブラケット及び第2ブラケットに、互いに対向する面の反対側に、2軸出力サーボモータを取り付けるためのタップ穴が設けられた第1取付面を形成した構成としてもよい。
【0223】
第1ブラケット及び第2ブラケットに、2軸出力サーボモータを取り付けるためのタップ穴が設けられた、第1取付面と垂直な第2取付面を形成した構成としてもよい。
【0224】
第1ブラケット及び第2ブラケットの少なくとも一方に、駆動軸の回転位置を検出するロータリーエンコーダを設けた構成としてもよい。
【0225】
本発明の一実施形態によれば、筒状の本体フレームと、本体フレームの軸方向一端部に取り付けられた負荷側ブラケットと、本体フレームの軸方向他端部に取り付けられた反負荷側ブラケットと、本体フレームの中空部を通り、第1ブラケット及び第2ブラケットを貫通し、負荷側ブラケット及び反負荷側ブラケットにそれぞれ設けられた軸受により回転自在に支持された駆動軸と、を備え、駆動軸の一端部のみが負荷側ブラケットから外部へ突出して、外部に駆動力を出力する出力軸を構成する第2サーボモータと、上記の2軸出力サーボモータと、負荷側ブラケットと第2ブラケットとを所定の間隔を空けて連結する連結部材と、第2サーボモータの出力軸と、2軸出力サーボモータの第2出力軸とを連結するカップリングと、第2サーボモータと2軸出力サーボモータとを同位相で駆動する駆動制御部と、を備えたサーボモータユニットが提供される。
【0226】
上記のサーボモータユニットは、上記の2軸出力サーボモータを備え、負荷側ブラケット及び反負荷側ブラケットのいずれか一方に、駆動軸の回転位置を検出するロータリーエンコーダが取り付けられており、駆動制御部は、ロータリーエンコーダが出力する信号に基づいて第2サーボモータ及び2軸出力サーボモータの駆動を制御するように構成されていてもよい。
【0227】
上記のサーボモータユニットは、上記の2軸出力サーボモータを備え、駆動制御部は、ロータリーエンコーダの一方が出力する信号に基づいて第2サーボモータ及び2軸出力サーボモータの駆動を制御ように構成されていてもよい。
【0228】
本発明の一実施形態によれば、ワークの一端部が取り付けられ、所定の回転軸を中心に回転する第1駆動軸と、ワークの他端部が取り付けられ、回転軸を中心に回転する第2駆動軸と、第1駆動軸を支持すると共に第1駆動軸を回転駆動してワークにねじり荷重を与える荷重付与部と、回転軸を中心に回転自在に荷重付与部を支持する少なくとも一つの第1軸受と、第1駆動軸及び荷重付与部を同位相で回転駆動する回転駆動部と、ねじり荷重を検出するトルクセンサと、を備え、回転駆動部により、第1駆動軸及び第2駆動軸を介してワークを回転させると共に、荷重付与部により、第1駆動軸と第2駆動軸の回転に位相差を与えることで、ワークに荷重を与えるように構成されており、荷重付与部が、第1駆動軸が差し込まれた円筒状の軸部を有するフレームを備え、軸部においてフレームが第1軸受により支持されると共に第1駆動軸を支持し、トルクセンサが、第1駆動軸の軸部に差し込まれた部分に取り付けられると共に部分のねじり荷重を検出するように構成され、荷重付与部が、上記のサーボモータユニットを備えた回転ねじり試験装置が提供される。
【0229】
回転ねじり試験装置が、荷重付与部の外部に配置された、サーボモータユニットに駆動電力を供給する駆動電力供給部と、駆動電力供給部からサーボモータユニットへ駆動電力を伝送する駆動電力伝送路と、荷重付与部の外部に配置された、トルクセンサが出力するトルク信号を処理するトルク信号処理部と、トルクセンサからトルク信号処理部へトルク信号を伝送するトルク信号伝送路と、を備え、駆動電力伝送路が、荷重付与部の外部に配置された外部駆動電力伝送路と、荷重付与部の内部に配置され、荷重付与部と共に回転する内部駆動電力伝送路と、外部駆動電力伝送路と内部駆動電力伝送路とを接続する第1スリップリング部と、を備え、トルク信号伝送路が、荷重付与部の外部に配置された外部トルク信号伝送路と、荷重付与部の内部に配線され、荷重付与部と共に回転する内部トルク信号伝送路と、外部トルク信号伝送路と内部トルク信号伝送路とを接続する第2スリップリング部と、を備え、第2スリップリング部が第1スリップリング部から離隔して配置された構成としてもよい。
【0230】
回転駆動部が、第2モータと、第2モータの駆動力を荷重付与部及び第2駆動軸に伝達して同位相で回転させる駆動力伝達部を備え、駆動力伝達部が、第2モータの駆動力を第2駆動軸に伝達する第1駆動力伝達部と、第2モータの駆動力を荷重付与部に伝達する第2駆動力伝達部と、を備えた構成としてもよい。
【0231】
第1駆動力伝達部及び第2駆動力伝達部が、それぞれ無端ベルト機構を備え、第1駆動力伝達部が、回転軸と平行に配置された、第2モータにより駆動される第3駆動軸と、第3駆動軸に同軸に固定された第1駆動プーリーと、荷重付与部に同軸に固定された第1従動プーリーと、第1駆動プーリーと第1従動プーリーとに掛け渡された第1無端ベルトと、を備え、第2駆動力伝達部が、第3駆動軸に同軸に連結された第4駆動軸と、第4駆動軸に固定された第2駆動プーリーと、第1駆動軸に固定された第2従動プーリーと、第2駆動プーリーと第2従動プーリーとに掛け渡された第2無端ベルトと、を備えた構成としてもよい。
【0232】
本発明の一実施形態によれば、動力伝達装置である供試体の入出力軸にトルクを与えるねじり試験装置であって、供試体の入力軸に接続される第1駆動部と、供試体の出力軸に接続される第2駆動部とを備え、第1駆動部及び第2駆動部は、上記のサーボモータユニットと、サーボモータユニットの駆動軸の回転を減速する減速機と、供試体の入力軸又は出力軸が取り付けられ、減速機の出力を供試体の入力軸又は出力軸に伝達するチャックと、減速機の出力をチャックへ伝達すると共に、減速機が出力するトルクを検出するトルクセンサと、チャックの回転数を検出する回転計と、を備えたねじり試験装置が提供される。
【0233】
トルクセンサとチャックとを連結するスピンドルと、スピンドルを回転自在に支持する軸受部とを備え、減速機は、ギアケースと、軸受と、該軸受を介してギアケースに支持されたギア機構とを備え、サーボモータの駆動力を供試体まで伝達する減速機のギア機構、トルクセンサ、及びスピンドルを含む動力伝達軸の荷重が、スピンドル及び減速機のギア機構において支持される構成としてもよい。
【0234】
本発明の一実施形態によれば、第1供試体及び第2供試体の試験を同時に行うねじり試験装置であって、上記の2軸出力サーボモータと、第1出力軸の回転を第1供試体の一端部に伝達する第1駆動伝達部と、第1供試体の他端部を固定する第1反力部と、第2出力軸の回転を第2供試体の一端部に伝達する第2駆動伝達部と、第2供試体の他端部を固定する第2反力部と、を備え、第1駆動伝達部及び第2駆動伝達部は、第1供試体又は第2供試体の一端部を取り付けるチャック装置を備え、第1反力部及び第2反力部は、第1供試体又は第2供試体の他端部を取り付けるチャック装置を備え、第1供試体又は第2供試体に加えられたトルクを検出するトルクセンサを備えた構成としてもよい。
【0235】
第1駆動伝達部及び第2駆動伝達部は、第1出力軸又は第2出力軸の回転を減速する減速機と、減速機の出力軸の回転を検出するロータリーエンコーダと、を備えた構成としてもよい。
【0236】
本発明の一実施形態によれば、フレームと、フレームに固定された、上記のサーボモータユニットと、サーボモータと、サーボモータの回転を減速する減速機構と、減速機構の入力軸とサーボモータの駆動軸とを連結するカップリングと、減速機構の出力軸に固定され、供試体の一端部を把持する第1把持部と、フレームに固定され、供試体の他端部を把持する第2把持部と、を備えたねじり試験装置が提供される。
【0237】
本発明の一実施形態によれば、上記のサーボモータユニットと、送りねじと、送りねじとサーボモータユニットの駆動軸とを連結するカップリングと、送りねじと係合するナットと、ナットの移動方向を送りねじの軸方向のみに制限するリニアガイドと、サーボモータ及びリニアガイドが固定されている支持プレートと、を備えた直動アクチュエータが提供される。
【0238】
本発明の一実施形態によれば、ワークを取り付けるためのテーブルと、テーブルを第1の方向に加振可能な第1アクチュエータと、を備え、第1アクチュエータは、上記のサーボモータユニットと、サーボモータユニットの回転運動を第1の方向又は第2の方向の並進運動に変換するボールねじ機構と、を備えたことを特徴とする加振装置が提供される。
【0239】
本発明の一実施形態によれば、ワークを取り付けるためのテーブルと、テーブルを第1の方向に加振可能な第1アクチュエータと、テーブルを、第1の方向と直交する第2の方向に加振可能な第2アクチュエータと、テーブルを第1アクチュエータに対して第2の方向にスライド可能に連結する第1連結手段と、テーブルを第2アクチュエータに対して第1の方向にスライド可能に連結する第2連結手段と、を備え、第1アクチュエータ及び第2アクチュエータは、上記のサーボモータユニットと、サーボモータユニットの回転運動を第1の方向又は第2の方向の並進運動に変換するボールねじ機構と、をそれぞれ備えた加振装置が提供される。
【0240】
本発明の一実施形態によれば、ワークを取り付けるためのテーブルと、テーブルを第1の方向に加振可能な第1アクチュエータと、テーブルを、第1の方向と直交する第2の方向に加振可能な第2アクチュエータと、テーブルを、第1の方向及び第2の方向の双方に垂直な第3の方向に加振可能な第3アクチュエータと、テーブルを第1アクチュエータに対して第2の方向及び第3の方向にスライド可能に連結する第1連結手段と、テーブルを第2アクチュエータに対して第1の方向及び第3の方向にスライド可能に連結する第2連結手段と、テーブルを第3アクチュエータに対して第1の方向及び第2の方向にスライド可能に連結する第3連結手段と、を備え、第1アクチュエータ、第2アクチュエータ及び第3アクチュエータは、上記のサーボモータユニットと、サーボモータユニットの回転運動を第1の方向、第2の方向又は第3の方向の並進運動に変換するボールねじ機構と、をそれぞれ備えたことを特徴とする加振装置が提供される。
【0241】
本発明の一実施形態によれば、第1サーボモータと、筒状のケーシング、ケーシング内に固定された第2サーボモータ、及びケーシング内に固定されたフレームとサーボモータの出力軸が連結される入力軸と入力軸の回転を減速して出力すると共にケーシングから突出する出力軸とを備えた減速機を有するトルク付与ユニットと、被検体が取り付けられ一端部が減速機の出力軸と接続される第1シャフトと、一端部がモータの出力軸と接続される第2シャフトと、減速機の出力軸及びトルク付与ユニットのケーシングが接続される接続部を有し出力軸とケーシングの回転運動を歯車にて伝達する第1ギアボックスと、第1シャフトの他端部及び第2シャフトの他端部が接続される接続部を有し該第1シャフトと第2シャフトの回転運動を歯車にて伝達する第2ギアボックスと、を有するねじり試験装置が提供される。
【0242】
本発明によれば、第1ギアボックス及び第2ギアボックスを介して動力循環を行っている為、ベルト機構にて動力循環を行っていた従来構成と比べて、動力のロスが少なくなり、ランニングコストのより低いねじり試験装置が実現される。
【0243】
本発明の一実施形態によれば、出力軸と、所定の動力を模擬した模擬動力を発生するように出力軸の回転を制御する制御部と、制御部から指示されたトルクを出力軸に与える、回転自在に支持された加重付与部と、制御部から指示された回転速度で荷重付与部を回転駆動する回転駆動部と、を備え、加重付与部は、その回転軸が出力軸に連結されたサーボモータを備えた、動力シミュレータが提供される。
【0244】
本発明の実施形態の構成によれば、高回転数においても高い周波数成分のトルク変動を正確に模擬することができる電動式の動力シミュレータが提供される。
【0245】
駆動軸の両端部をそれぞれ第1出力軸と及び第2出力軸とすることにより、ギア機構等の動力分配手段を追加することなく出力の分配が可能になり、動力分配手段の追加に伴う摩擦抵抗の増大や試験装置の大型化が防止される。また、この構成により、第1出力軸及び第2出力軸の一方を他のサーボモータの出力軸に連結して出力を合成することが可能になり、サーボモータの大型化や、それに伴う慣性モーメントの増大による加速特性の低下を抑制しながら高出力化を達成することが可能になる。
図1
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