(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置、プログラム、及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/231 20110101AFI20231122BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20231122BHJP
【FI】
H04N21/231
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2021198953
(22)【出願日】2021-12-08
(62)【分割の表示】P 2020084910の分割
【原出願日】2020-05-14
【審査請求日】2022-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】513190830
【氏名又は名称】Fairy Devices株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】片岡 太郎
(72)【発明者】
【氏名】藤野 真人
【審査官】大西 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-312208(JP,A)
【文献】特開2001-028046(JP,A)
【文献】特開2004-030623(JP,A)
【文献】特開2008-289083(JP,A)
【文献】特開2012-099976(JP,A)
【文献】特開2012-137943(JP,A)
【文献】特開2016-004179(JP,A)
【文献】特開2019-176423(JP,A)
【文献】特開2020-023024(JP,A)
【文献】特開2020-040519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 -21/858
G06Q 50/00 -50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現場の作業を支援する、動画像を再生させる処理を実行する情報処理方法であって、
作業対象が第1状態から第2状態に変化されるときに、前記作業対象が被写体とされた動画像を撮影するステップと、
前記動画像に対し、少なくとも前記第2状態を示す画像にタグを対応付けて記憶部に記憶するステップと、
前記作業対象を前記第2状態から前記第1状態に変化させる必要が生じた場合に、トリガに応じて、前記第2状態に関するタグ
に基づいて決定された再生位置から前記動画像を逆方向に再生するステップと
を含む、情報処理方法。
【請求項2】
前記動画像の再生中に、前記作業対象が被写体とされた動画像を撮影するステップ、
を含む、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記トリガは、作業員によって入力された指示を取得することである、請求項1または2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記トリガは、作業員の発話内容を取得して解析することである、請求項1または2に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記再生させる処理では、
前記動画像が撮影されている間に、作業員により所定の操作がされた際の時点、及び作業員により所定の発話がされた際の時点の少なくとも一方に基づいて、前記動画像の再生位置を決定する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記再生させる処理では、
作業員による発話、及び前記動画像の少なくとも一つに基づいて推定された、所定の作業が行われている期間に基づいて、前記動画像を逆方向に再生する区間を決定する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記再生させる処理では、
作業員による発話、及び前記動画像の少なくとも一つに基づいて推定された、所定の作
業を示す情報を作業員に提示する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記再生させる処理では、
前記動画像に基づいて、前記作業対象を前記第2状態から前記第1状態に戻す作業
の誤りを提示する処理を実行する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記再生させる処理では、
前記記憶部に記憶された前記第2状態から
前記第1状態に戻す際の正しい手順と、前記作業対象が前記第2状態から前記第1状態に変化されるときに前記作業対象が被写体とされた動画像に基づいて認識された作業員の作業の手順と、を比較し、
前記作業対象を前記第2状態から前記第1状態に戻す作業に誤りがあるときは、前記誤りを提示する処理を実行する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記再生させる処理では、
前記動画像に基づいて認識された作業員の組み立ての作業の手順と、モデル手順とが異なる場合、モデル手順を示す情報を作業員に提示する、
請求項1から9のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記再生させる処理では、
前記作業対象の状態が変化していない期間の再生時間を短縮して再生させる、
請求項1から10のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記再生させる処理では、
前記作業対象の状態が変化している領域を拡大して画面に表示させる、
請求項1から11のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項13】
作業対象が第1状態から第2状態に変化されるときに前記作業対象が被写体として撮影された動画像を受信する受信部と、
前記動画像と、少なくとも前記第2状態を示す画像に対応付けたタグと、を記憶する記憶部と、
前記作業対象を前記第2状態から前記第1状態に変化させる必要が生じた場合に、トリガに応じて、前記第2状態に関するタグ
に基づいて決定された再生位置から前記記憶部に記憶された前記動画像を逆方向に再生する動画像を送信する送信部と
を有する、サーバ。
【請求項14】
前記サーバは、
作業員の発話内容を前記受信部にて受信し、
前記発話内容を解析し前記動画像の中から前記第2状態を判定した結果に基づいて、前記第2状態に関するタグを特定する、請求項13に記載のサーバ。
【請求項15】
コンピュータに、
作業対象が第1状態から第2状態に変化されるときに、前記作業対象が被写体とされた動画像を撮影する処理、
前記動画像に対し、少なくとも前記第2状態を示す画像にタグを対応付けて記憶部に記憶する処理、
前記作業対象を前記第2状態から前記第1状態に変化させる必要が生じた場合に、トリガに応じて、前記第2状態に関するタグ
に基づいて決定された再生位置から前記動画像を逆方向に再生する処理
を実行させるプログラム。
【請求項16】
サーバと端末とを含む通信システムであって、
作業対象が第1状態から第2状態に変化されるときに、前記作業対象が被写体とされた動画像を撮影し、
前記動画像に対し、少なくとも前記第2状態を示す画像にタグを対応付けて記憶部に記憶し、
前記作業対象を前記第2状態から前記第1状態に変化させる必要が生じた場合に、トリガに応じて、前記第2状態に関するタグ
に基づいて決定された再生位置から前記動画像を逆方向に再生する
通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理方法、情報処理装置、プログラム、及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テキストやアニメーションを表示させて、作業員の作業を支援する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、例えば、作業員の作業を適切に支援することが困難な場合がある。
【0005】
本開示は、作業員の作業を適切に支援することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様による情報処理方法は、情報処理装置が、オブジェクトが第1状態から第2状態に変化される際に前記オブジェクトが撮影された動画像を、前記オブジェクトが前記第2状態から前記第1状態に戻される際に再生させる処理を実行する。これにより、作業員の作業を適切に支援することができる。
【0007】
また、本開示の第2の態様は、第1の態様に記載の情報処理方法であって、前記再生させる処理では、前記動画像が撮影されている間に、ユーザにより所定の操作がされた際の時点、及びユーザにより所定の発話がされた際の時点の少なくとも一方に基づいて、前記動画像の再生位置を決定する。
【0008】
また、本開示の第3の態様は、第1または2の態様に記載の情報処理方法であって、前記再生させる処理では、所定の期間の前記動画像を逆方向に再生させる。
【0009】
また、本開示の第4の態様は、第3の態様に記載の情報処理方法であって、前記再生させる処理では、ユーザによる発話、及び前記動画像の少なくとも一つに基づいて推定された、前記所定の作業が行われている期間に基づいて、前記動画像を逆方向に再生する区間を決定する。
【0010】
また、本開示の第5の態様は、第4の態様に記載の情報処理方法であって、前記再生させる処理では、さらに、前記所定の作業が、分解の手順と組み立ての手順とが異なる作業である場合、組み立ての手順を示す情報をユーザに提示する。
【0011】
また、本開示の第6の態様は、第1から5のいずれかの態様に記載の情報処理方法であって、前記再生させる処理では、ユーザによる発話、及び前記動画像の少なくとも一つに基づいて推定された、前記所定の作業を示す情報をユーザに提示する。
【0012】
また、本開示の第7の態様は、第1から6のいずれかの態様に記載の情報処理方法であって、前記情報処理装置が、前記動画像に基づいて、前記オブジェクトを前記第2状態から前記第1状態に戻す作業の誤りを提示する処理を実行する。
【0013】
また、本開示の第8の態様は、第1から7のいずれかの態様に記載の情報処理方法であって、前記再生させる処理では、前記動画像に基づいて認識されたユーザの作業の手順と、設定されている手順とが異なる場合、設定されている手順を示す情報をユーザに提示する。
【0014】
また、本開示の第9の態様は、第1から8のいずれかの態様に記載の情報処理方法であって、前記再生させる処理では、前記オブジェクトの状態が変化していない期間の再生時間を短縮して再生させる。
【0015】
また、本開示の第10の態様は、第1から9のいずれかの態様に記載の情報処理方法であって、前記再生させる処理では、前記オブジェクトの状態が変化している領域を拡大して画面に表示させる。
【0016】
また、本開示の第11の態様による情報処理装置は、オブジェクトが第1状態から第2状態に変化される際に前記オブジェクトが撮影された動画像を、前記オブジェクトが前記第2状態から前記第1状態に戻される際に再生させる処理を実行する。
【0017】
また、本開示の第12の態様によるプログラムは、情報処理装置に、オブジェクトが第1状態から第2状態に変化される際に前記オブジェクトが撮影された動画像を、前記オブジェクトが前記第2状態から前記第1状態に戻される際に再生させる処理を実行させる。
【0018】
また、本開示の第13の態様による情報処理システムは、サーバと端末とを含む情報処理システムであって、前記サーバは、オブジェクトが第1状態から第2状態に変化される際に前記オブジェクトが前記端末により撮影された動画像を、前記オブジェクトが前記第2状態から前記第1状態に戻される際に再生させる情報を前記端末に送信し、前記端末は、前記サーバから受信した情報に基づいて、前記動画像を再生させて画面に表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態に係る通信システムのシステム構成の一例を示す図である。
【
図2】実施形態に係るサーバ、及び端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】実施形態に係るサーバの機能構成の一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る通信システムの処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図5A】実施形態に係る作業DBの一例について説明する図である。
【
図5B】実施形態に係るタグ群の一例について説明する図である。
【
図6】実施形態に係る端末の表示画面一例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、各実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0021】
<システム構成>
はじめに、通信システム1のシステム構成について説明する。
図1は、実施形態に係る通信システム1のシステム構成の一例を示す図である。
図1に示すように、通信システム1は、サーバ10、及び端末20A、端末20B、端末20C(以下で、区別する必要がない場合は、単に、「端末20」と称する。)を有する。なお、サーバ10、及び端末20の数は、
図1の例に限定されない。
【0022】
サーバ10と端末20とは、例えば、LAN(Local Area Network)、無線LAN、インターネット、及び携帯電話網等のネットワークNを介して通信を行ってもよい。なお、携帯電話網は、例えば、5G(第5世代移動通信システム)、4G、及びLTE(Long Term Evolution)等の通信規格に準拠していてもよい。
【0023】
端末20は、例えば、動画像を撮影するカメラ、音声を集音するマイク、ディスプレイ、及び通信装置を有する情報処理装置である。端末20は、複数の情報処理装置を含んでもよい。この場合、端末20は、例えば、カメラ等を有するウェアラブルデバイスと、ディスプレイ等を有する情報処理装置とを含んでもよい。この場合、ディスプレイ等を有する情報処理装置は、例えば、タブレット端末、スマートフォン、及びノートPC(Personal Computer)等でもよい。この場合、ウェアラブルデバイスは、タブレット端末等を介してネットワークNに接続してもよいし、タブレット端末等を介さずにネットワークNに接続してもよい。
【0024】
また、端末20は、例えば、作業員(ユーザ)の頭部に装着可能なヘッドマウントディスプレイ方式の拡張現実ウェアラブルコンピュータ(スマートグラス)でもよい。
【0025】
サーバ10は、端末20で撮影された動画像(動画)を保存し、保存している動画像等に基づいたコンテンツを端末20に表示させる。サーバ10は、例えば、端末20を使用する作業員の作業現場において、現場の作業対象の物品(機器、設置物)、及び現場の施設等のオブジェクト(物体)が第1状態(元の状態)から第2状態に変化される際に端末20により撮影された動画像(以下で、適宜「変更時の動画像」とも称する。)を保存する。そして、サーバ10は、作業対象のオブジェクトを第2状態から第1状態に戻す(原状回復、原状復帰、復旧、復元、修理)作業が作業員により行われる際に、当該動画像を端末20に逆方向(前方)に再生(逆再生、リバース再生)、または順方向(後方)に再生(順再生、通常の再生)させる。これにより、例えば、現場に設置されている物品を移動(撤去)させて養生や足場を設置し、工事等が完了した後に養生や足場を撤去して当該物品を元の配置に戻す作業を適切に支援できる。また、例えば、機器を分解し、機器内部の部品の配線を取り外して当該部品を新しい部品に交換した後、配線を再度接続し、当該機器を再度組み立てる作業を適切に支援できる。
【0026】
なお、以下では、適宜、逆再生、及び順再生を、単に「再生」とも称する。なお、サーバ10は、各端末20の作業員毎に、動画像を逆再生するか順再生するかを各端末20での各作業員の操作により予め指定できるようにしてもよい。
【0027】
<サーバ10、及び端末20のハードウェア構成>
次に、実施形態に係るサーバ10、及び端末20のハードウェア構成について説明する。
図2は、実施形態に係るサーバ10、及び端末20のハードウェア構成の一例を示す図である。以下では、サーバ10を例として説明するが、端末20のハードウェア構成もサーバ10のハードウェア構成と同様でもよい。
【0028】
図2に示すように、サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103を有する。CPU101、ROM102、RAM103は、いわゆるコンピュータを形成する。また、サーバ10は、補助記憶装置104、表示装置105、操作装置106、I/F(Interface)装置107、ドライブ装置108を有する。サーバ10の各ハードウェアは、バスBを介して相互に接続される。
【0029】
CPU101は、補助記憶装置104にインストールされている各種プログラム(例えば、機械学習プログラム等)を実行する演算デバイスである。ROM102は、不揮発性メモリである。ROM102は、主記憶デバイスとして機能し、補助記憶装置104にインストールされている各種プログラムをCPU101が実行するために必要な各種プログラムやデータ等を格納する。具体的には、ROM102はBIOS(Basic Input/Output System)やEFI(Extensible Firmware Interface)等のブートプログラム等を格納する。
【0030】
RAM103は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性メモリである。RAM103は、主記憶デバイスとして機能し、補助記憶装置104にインストールされている各種プログラムがCPU101によって実行される際に展開される作業領域を提供する。
【0031】
補助記憶装置104は、各種プログラムや、各種プログラムが実行される際に用いられる情報を格納する。
【0032】
表示装置105は、各種の情報を表示する表示デバイスである。操作装置106は、各種操作を受け付けるための操作デバイスである。I/F装置107は、外部の機器と通信する通信デバイスである。
【0033】
ドライブ装置108は記録媒体110をセットするためのデバイスである。ここでいう記録媒体110には、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する媒体が含まれる。また、記録媒体110には、ROM、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等が含まれていてもよい。
【0034】
なお、補助記憶装置104にインストールされる各種プログラムは、例えば、配布された記録媒体110がドライブ装置108にセットされ、該記録媒体110に記録された各種プログラムがドライブ装置108により読み出されることでインストールされる。あるいは、補助記憶装置104にインストールされる各種プログラムは、不図示のネットワークよりダウンロードされることで、インストールされてもよい。
【0035】
<機能構成>
次に、
図3を参照し、実施形態に係るサーバ10の機能構成について説明する。
図3は、実施形態に係るサーバ10の機能構成の一例を示す図である。
【0036】
サーバ10は、取得部11、記憶部12、制御部13、及び表示制御部14を有する。これら各部は、例えば、サーバ10にインストールされた1以上のプログラムと、サーバ10のCPU101等のハードウェアとの協働により実現されてもよい。
【0037】
取得部11は、各種の情報を端末20から取得する。記憶部12は、各種の情報を記憶する。記憶部12は、例えば、作業DB(データベース)121を有する。
【0038】
制御部13は、サーバ10の各部を制御する。表示制御部14は、端末20に表示させる情報を端末20に送信し、端末20で表示される表示画面を制御する。
【0039】
<処理>
次に、
図4から
図6を参照し、実施形態に係る通信システム1の処理の一例について説明する。
図4は、実施形態に係る通信システム1の処理の一例を示すシーケンス図である。
図5Aは、実施形態に係る作業DB121の一例について説明する図である。
図5Bは、実施形態に係るタグ群の一例について説明する図である。
図6は、実施形態に係る端末20の表示画面一例について説明する図である。
【0040】
なお、端末20は、作業員IDとパスワードによるユーザ認証等をサーバ10から受けてサーバ10にログインし、HTTPS (Hypertext Transfer Protocol Secure)等を用いた暗号化された通信セッションにより以下の通信を行ってもよい。
【0041】
ステップS1において、端末20は、オブジェクトが第1状態から第2状態に変化される際に、当該オブジェクトが被写体とされた動画像を撮影する。続いて、端末20は、撮影した動画像をサーバ10に送信する(ステップS2)。ここで、端末20は、例えば、撮影している動画像をリアルタイムでサーバ10に送信してもよい。また、端末20は、例えば、作業員の操作に応答して、撮影して記録していた動画像をサーバ10に送信してもよい。
【0042】
続いて、サーバ10の制御部13は、受信した動画像を記憶部12の作業DB121記録する(ステップS3)。ここで、サーバ10は、
図5Aに示す作業DB(データベース)121の例では、受信した動画像にタグを対応付けて記録している。
図5Aの例では、作業員ID及び作業IDに対応付けて、作業情報、動画像及びタグ群の組(データセット)が記録されている。
【0043】
作業員IDは、端末20を使用する作業員の識別情報である。作業IDは、当該作業員が行う作業の識別情報である。作業情報は、当該作業に関する各種の情報である。作業情報には、例えば、当該作業が行われた日時、場所、客先名称、作業対象の機器、及び作業内容等を示す情報が含まれてもよい。サーバ10は、端末20にて作業員に入力された作業情報を、端末20から受信して記録してもよい。
【0044】
図5Bの例では、
図5Aの動画像に対応付けられたタグ群A1211に含まれる各タグには、作業項目、開始時刻、及び終了時刻の組のデータが含まれている。作業項目は、作業にて実施される各項目を示す情報である。開始時刻、及び終了時刻は、それぞれ、各項目に対応する作業期間の開始時刻、及び終了時刻である。サーバ10の制御部13は、端末20にて作業員に入力されたタグを、端末20から受信して記録してもよい。また、サーバ10の制御部13は、端末20から受信した動画像、及び音声の少なくとも一方に基づいて、タグを生成してもよい。
【0045】
(発話に基づくタグの生成)
サーバ10は、端末20の作業員の発話に基づいて、タグを生成してもよい。この場合、サーバ10は、例えば、端末20から受信した音声を認識し、当該音声が発話された時点と、音声認識の結果とに基づいて、タグを生成してもよい。これにより、動画像において、オブジェクトが第1状態から第2状態に変化される際(「動画像が撮影されている間」の一例。)に作業員に指示された時点にタグを付加することができる。
【0046】
サーバ10は、例えば、端末20の作業員の発話に基づいて、所定の作業項目の作業が行われている期間を推定してもよい。この場合、サーバ10は、例えば、作業員による「現場物品の移動開始」との音声をAI(Artificial Intelligence)により認識して、「現場物品移動」の作業項目を生成し、当該音声が発話された時刻を当該作業項目の開始時刻として記録してもよい。そして、サーバ10は、例えば、作業員による「終了」との音声をAIにより認識して、当該音声が発話された時刻を当該作業項目の終了時刻として記録してもよい。また、サーバ10は、例えば、一の作業項目の終了時刻が記録されていない状態で、他の作業項目の開始時刻が記録された場合、当該他の作業項目の開始時刻に基づく時刻を、当該一の作業項目の終了時刻として記録してもよい。
【0047】
(作業者の入力操作に基づくタグの生成)
サーバ10は、端末20の作業員の入力操作に基づいて、タグを生成してもよい。この場合、サーバ10は、例えば、端末20の作業員に入力された情報に基づいて、タグを生成してもよい。この場合、端末20は、例えば、作業項目を指定する操作と、現在日時を開始時刻として指定する操作、または現在日時を終了時刻として指定する操作とを受け付けてもよい。
【0048】
(動画像等に基づくタグの生成)
また、サーバ10は、端末20の作業員による発話、及び端末20で撮影された動画像の少なくとも一つに基づいて、所定の作業項目の作業が行われている期間を推定し、タグを生成してもよい。この場合、サーバ10は、例えば、ディープラーニング等の機械学習を用いたAIにより、動画像に基づいて、作業項目、開始時刻、及び終了時刻を認識(推論)してもよい。また、サーバ10は、AIにより、端末20の作業員による発話に基づいて、作業項目、開始時刻、及び終了時刻の少なくとも一つを認識してもよい。
【0049】
続いて、サーバ10の制御部13は、端末20に配信するコンテンツを決定する(ステップS4)。ここで、サーバ10は、例えば、オブジェクトが第2状態から第1状態に戻される際に、コンテンツを端末20に再生させるようにしてもよい。
【0050】
(作業員に指定されたタグに基づく再生位置の決定)
サーバ10は、ステップS4の処理で、作業員に指定されたタグに基づいて、動画像の再生位置を決定してもよい。この場合、端末20は、作業員がオブジェクトを第2状態から第1状態に戻す際に、タグを指定する操作を作業員から受け付けてもよい。なお、サーバ10は、例えば、
図5Aの作業DB121に記録されているタグ群に含まれる各タグの一覧を端末20に表示させ、一のタグを作業員に選択させてもよい。また、サーバ10は、作業員に発話された音声を認識し、当該音声で指定された作業項目のタグを判定してもよい。
【0051】
そして、サーバ10は、
図5Aの作業DB121を参照し、指定されたタグの開始時刻と終了時刻とに基づいて、動画像を再生させる区間の開始位置(再生開始位置)と終了位置(再生終了位置)とを決定してもよい。ここで、サーバ10は、指定されたタグの開始時刻と終了時刻とを、それぞれ、端末20にて再生させる動画像の再生開始位置と再生終了位置としてもよい。
【0052】
また、サーバ10は、指定されたタグの終了時刻と開始時刻とを、それぞれ、端末20にて再生させる動画像の再生開始位置と再生終了位置とし、当該動画像を端末20に逆再生させてもよい。これにより、作業員は、例えば、分解した機器を組み立てて元に戻す際に、当該機器を分解した際の動画像を逆再生して閲覧することができる。そのため、機器を分解した手順の逆を表す動画像により、機器を元の状態に組み立てる手順を適切に把握することができる。
【0053】
また、サーバ10は、動画像を端末20に再生させる際、当該動画像に対応付けられた作業項目を示す情報(「作業を示す情報」の一例。)を作業員に提示してもよい。この場合、サーバ10は、例えば、指定されたタグの作業項目の文字データを当該動画像に重畳させて表示させてもよい。これにより、例えば、作業員は、動画像の逆再生が開始された際に、これから行う作業項目の内容を把握することができる。また、サーバ10は、当該タグが作業員の音声に基づいて生成されたタグである場合、当該音声を端末20に再生させてもよい。
【0054】
(組み立ての手順の提示)
サーバ10は、作業員に指定されたタグの作業項目が、分解の手順と組み立ての手順とが異なる作業である場合、組み立ての手順を示す情報を作業員に提示してもよい。これにより、作業員は、分解の手順と組み立ての手順とが異なる場合は、組み立て手順書等に基づいて、機器を元の状態に組み立てる手順を適切に把握することができる。そのため、例えば、より適切な手順で組み立てることができる。
【0055】
この場合、例えば、指定された作業項目が「機器組み立て」であり、作業対象の機器が、分解の手順と組み立ての手順とが異なる機種であることがサーバ10に予め登録されている場合、サーバ10は、当該機種の組み立て手順書のデータを端末20に表示させてもよい。
【0056】
(モデル手順の提示)
サーバ10は、動画像に基づいて認識された作業員の作業の手順と、モデルとして設定されている手順とが異なる場合、モデルとして設定されている手順を示す情報を作業員に提示してもよい。これにより、例えば、作業員が機器の分解等の作業に手間取り、不要等の手順を行っていた等の場合に、モデルとして設定されている組み立て作業の手順を作業員に提示できる。
【0057】
この場合、サーバ10は、例えば、AI等により、動画像に基づいて、作業員による第1状態から第2状態に変化される際の順番を認識してもよい。そして、サーバ10は、認識した手順と、モデルとして設定されている手順との乖離度が閾値以上の場合、モデルとして設定されている手順の動画像を再生してもよい。
【0058】
なお、サーバ10は、例えば、習熟度の高い作業員により行われた作業の動画像に基づいて認識した手順を、モデルとして設定してもよい。この場合、サーバ10は、例えば、作業員Aによる作業対象の機器に対する分解作業の所要時間と、作業員Bによる当該機器に対する分解作業の所要時間との比の値が閾値以上である場合、作業員Bによる手順を作業員Aに提示してもよい。
【0059】
続いて、サーバ10の表示制御部14は、決定したコンテンツを端末20に配信する(ステップS5)。続いて、端末20は、受信したコンテンツを表示させる(ステップS6)。
【0060】
ステップS5の処理で、サーバ10は、作業対象の物品の状態が変化していない期間の再生時間を短縮して再生させるようにしてもよい。これにより、例えば、分解時に作業が進捗していなかった際の動画像が組み立て時に再生される時間を省くことができる。
【0061】
この場合、サーバ10は、例えば、動画像のうち、作業員の手が映っていない期間の動画像をスキップさせて(飛ばして)再生させてもよい。また、サーバ10は、動画像に基づいてAIにより各物品の配置を認識し、配置が変更されていない期間の動画像をスキップさせて再生させてもよい。
【0062】
また、サーバ10は、作業対象の物品の状態が変化している領域を拡大して画面に表示させてもよい。これにより、例えば、分解時に作業員が作業していた領域を拡大して、作業員に提示することができる。
【0063】
この場合、サーバ10は、例えば、動画像のうち、作業員の手が映っている領域を拡大(ズーム)して再生させてもよい。また、サーバ10は、AIにより、動画像に基づいて各物品の配置を認識し、配置が変化している領域を拡大して再生させてもよい。
【0064】
(原状回復作業の誤りの提示)
サーバ10は、変更時の動画像と、作業対象の物品を第2状態から第1状態に戻す際の動画像とに基づいて、作業対象の物品を第2状態から第1状態に戻す作業における誤りを作業員に提示してもよい。これにより、例えば、作業員は、元の状態と異なる部分があることを把握することができる。
【0065】
この場合、サーバ10は、例えば、まず、作業員により現在行われていた作業項目が完了したことを検出してもよい。ここで、サーバ10は、例えば、端末20にて現在撮影され、端末20からリアルタイムでサーバ10に送信されている動画像(以下で、適宜「現在の動画像」とも称する。)に基づいて作業項目が完了したことを検出してもよい。この場合、サーバ10は、例えば、動画像に基づいて作業対象の機器の筐体の蓋が作業員により閉じられたこと検出した場合に、作業項目が完了したと判定してもよい。
【0066】
また、サーバ10は、作業員からの音声、または手動操作に基づいて作業項目が完了したことを検出してもよい。
【0067】
そして、サーバ10は、変更時の動画像における変更前の各被写体の配置と、当該作業項目が完了した際の動画像における各被写体の配置とが異なる場合、誤りが発生したと判定してもよい。この場合、サーバ10は、例えば、分解作業が開始された際の第1静止画を拡大・縮小、回転、及び平行移動させて、組み立て作業が終了された際の第2静止画と最も一致する状況を判定し、当該一致する状況でRGB値の差が閾値以上である画素の数が閾値以上である場合に、誤りが発生したと判定してもよい。
【0068】
そして、サーバ10は、作業員の端末20に警報のメッセージ、及び音声を出力させてもよい。また、サーバ10は、変更時の動画像のうち、誤りが検出された被写体の配置が変更された時点を含む所定の期間の動画像または静止画像を端末20に再生させ、
図6に示すように、当該被写体に対応付けて所定の表示オブジェクトを動画像または静止画像に重畳して表示させてもよい。
【0069】
図6の例では、サーバ10は、端末20の表示画面601において、変更時の動画像のうち、変更前のケーブルのコネクタ602に対応付けて、組み立て時に分解前との誤りが検出された旨を示すメッセージを含む表示オブジェクト603を表示させている。
【0070】
(各被写体の状態に応じた再生)
サーバ10は、作業員が作業対象の物品を第2状態から第1状態に戻す際の動画像の各被写体の状態に応じて、変更時の動画像を再生させてもよい。これにより、例えば、作業員は各手順を実行する毎に、次の手順を表す動画像を作業員に提示することができる。
【0071】
この場合、サーバ10は、まず、変更時の動画像に基づいて、状態が変化させられた各被写体の順番を判定してもよい。そして、サーバ10は、現在の動画像に基づいて、第1被写体が、第2状態から第1状態に戻されたことを検出した場合、変更時の動画像のうち、当該第1被写体よりも一つ前に変化させられた第2被写体の状態が変化された際の動画像を再生してもよい。これにより、例えば、端末20で現在撮影されているケーブルの状況が、当該ケーブルを取り外す際の開始時点と同様の状況になったら、次に接続するケーブルが取り外された際の動画像を逆再生等して作業員に提示することができる。
【0072】
<変形例>
サーバ10の各機能部は、例えば1以上のコンピュータにより提供されるクラウドコンピューティングにより実現されていてもよい。また、サーバ10の各処理を、端末20にて実行する構成としてもよい。この場合、記憶部12、制御部13、及び表示制御部14の少なくとも一部の処理を端末20にて実行する構成としてもよい。また、記憶部12、制御部13、及び表示制御部14を端末20に設け、サーバ10を有しない構成(スタンドアローン型)としてもよい。
【0073】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0074】
1 通信システム
10 サーバ
11 取得部
12 記憶部
13 制御部
14 表示制御部
20 端末