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特許7389431単一の型枠装置で製造される形状の異なる複数の基礎ブロック付き可変インバート及びその型枠装置
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  • 特許-単一の型枠装置で製造される形状の異なる複数の基礎ブロック付き可変インバート及びその型枠装置 図1
  • 特許-単一の型枠装置で製造される形状の異なる複数の基礎ブロック付き可変インバート及びその型枠装置 図2
  • 特許-単一の型枠装置で製造される形状の異なる複数の基礎ブロック付き可変インバート及びその型枠装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】単一の型枠装置で製造される形状の異なる複数の基礎ブロック付き可変インバート及びその型枠装置
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/04 20060101AFI20231122BHJP
【FI】
E03F5/04 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019235909
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021105259
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】592243313
【氏名又は名称】フジプレコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082658
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 儀一郎
(72)【発明者】
【氏名】松林 神秀
(72)【発明者】
【氏名】松林 克法
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-019179(JP,A)
【文献】特開2000-027277(JP,A)
【文献】特開2008-088778(JP,A)
【文献】特開昭61-277725(JP,A)
【文献】特開平10-080911(JP,A)
【文献】特開平03-130110(JP,A)
【文献】特開平11-148167(JP,A)
【文献】米国特許第04640643(US,A)
【文献】特開平02-293104(JP,A)
【文献】特開平10-140641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎ブロック部と可変インバート部を有する、形状の異なる複数の基礎ブロック付き可変インバートを製造する単一の型枠装置であり、
前記型枠装置は、底型枠、一対の側型枠及び前後の前型枠、後型枠とを有して構成され、
一対の側型枠内周面には、前記基礎ブロック部を形成する基礎ブロック部形成用スペース壁を可変インバート部形成用の型枠スペース壁の上部に設けてなり、
前記基礎ブロック部形成用スペース壁は、側型枠の内側面下部から高さ方向略中間上部まで垂直な平面として可変インバート部形成用の型枠スペース壁を構成した箇所から外側に向かって側型枠厚み方向に広がり、可変インバート部の幅より幅広となる基礎ブロック部が形成できる壁とし、
前記基礎ブロック部形成用スペース壁の内側には、形成する基礎ブロック部の幅を変更できるスペーサが取り付け可能とされた、
ことを特徴とする単一の型枠装置で製造される形状の異なる複数の基礎ブロック付き可変インバートを製造する型枠装置。
【請求項2】
基礎ブロック部と可変インバート部を有する、形状の異なる複数の基礎ブロック付き可変インバートを製造する単一の型枠装置であり、
前記型枠装置は、底型枠、一対の側型枠及び前後の前型枠、後型枠とを有して構成され、
一対の側型枠内周面には、前記基礎ブロック部を形成する基礎ブロック部形成用スペース壁を可変インバート部形成用の型枠スペース壁の上部に設けてなり、
前記基礎ブロック部形成用スペース壁は、側型枠の内側面下部から高さ方向略中間上部まで垂直な平面として可変インバート部形成用の型枠スペース壁を構成した箇所から外側に向かって側型枠厚み方向に広がり、可変インバート部の幅より幅広となる基礎ブロック部が形成できる壁とし、
前記基礎ブロック部形成用スペース壁の内側には、形成する基礎ブロック部の高さを変更できる延長壁材が取り付け可能とされた、
ことを特徴とする単一の型枠装置で製造される形状の異なる複数の基礎ブロック付き可変インバートを製造する型枠装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば道路や住宅の脇に敷設されてなる水路に使用される可変インバート付き側溝に係り、特に単一の型枠装置で製造される形状の異なる複数の基礎ブロック付き可変インバート及びその形成型枠に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特開平10-140641号公報に記載されているように、いわゆる水路を形成するインバート付き側溝及びインバートや側溝の形成型枠については多くの特許出願がなされ、多くの特許も取得されている。
【0003】
しかしながら、例えば、都市部に存在する家庭用排水などを流す水路の状況を考察すると、該水路は、U字溝で形成されていたり、単なる土留めにより形成されていたり、自然の谷川などで形成されていたりしている。また、水路はすべて水平な箇所に設置されてはおらず所定の高低差をもって傾斜して設置されているのが常である。すなわち、水路の設置方向に斜め傾きの勾配を有して敷設されるのが一般的なのである。
【0004】
また、前記水路は、通常家庭用排水を流すためのものであり、普段はほとんど強い水の流れを有していない。従って、長い間、雨が降らない場合には、この水路に、ゴミや土砂が堆積し、悪臭が発生したり、雑草が繁殖したりしてきわめて不衛生になりがちであった。
【0005】
ここで、近年では前記のような高低差のある傾き勾配を有する水路を迅速に設置できる基礎ブロック付き可変インバートを用いた側溝の製造及び前記側溝を使用して水路の敷設が要請されている。
【0006】
また、敷設する側溝の下には従来、現場でコンクリートを打設し、基礎ブロックを敷設しなければならないが、狭い水路の敷設場所によっては前記の現場工事が困難な場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平10-140641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
かくして、本発明は前記従来からの課題を解決するために創案されたもので、特に民家の隙間などをぬって水路を形成しなければならないときには重機などが進入できず、もって基礎ブロックを現場打ちする工事がきわめて困難な箇所に側溝を敷設して水路を形成しなければならない場合や、通常の家庭用排水を流すためのもので、普段はほとんど水の流れを有しない、従って、長い間、雨が降らない場合に、ゴミや土砂が堆積し、悪臭が発生したり、雑草が繁殖したりしてきわめて不衛生になりがちとなるとき、インバート付き側溝の設置工事が容易に行え、少量の流れであってもスムーズな流れを作ることができ、さらにはいかなる高低差のある設置箇所であっても、その高低差に合わせた勾配を有する基礎ブロック付き可変インバートをあらかじめ工場で製造して側溝を含めての水路形成が容易にでき、かつ設置場所の勾配に抗して逆の勾配を有する水路を作ることさえもできる単一の型枠装置で製造される形状の異なる複数の基礎ブロック付き可変インバート及びその型枠装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
基礎ブロック部と可変インバート部を有する、形状の異なる複数の基礎ブロック付き可変インバートを製造する単一の型枠装置であり、
前記型枠装置は、底型枠、一対の側型枠及び前後の前型枠、後型枠とを有して構成され、
一対の側型枠内周面には、前記基礎ブロック部を形成する基礎ブロック部形成用スペース壁を可変インバート部形成用の型枠スペース壁の上部に設けてなり、
前記基礎ブロック部形成用スペース壁は、側型枠の内側面下部から高さ方向略中間上部まで垂直な平面として可変インバート部形成用の型枠スペース壁を構成した箇所から外側に向かって側型枠厚み方向に広がり、可変インバート部の幅より幅広となる基礎ブロック部が形成できる壁とし、
前記基礎ブロック部形成用スペース壁の内側には、形成する基礎ブロック部の幅を変更できるスペーサが取り付け可能とされた、
ことを特徴とし、
または、
基礎ブロック部と可変インバート部を有する、形状の異なる複数の基礎ブロック付き可変インバートを製造する単一の型枠装置であり、
前記型枠装置は、底型枠、一対の側型枠及び前後の前型枠、後型枠とを有して構成され、
一対の側型枠内周面には、前記基礎ブロック部を形成する基礎ブロック部形成用スペース壁を可変インバート部形成用の型枠スペース壁の上部に設けてなり、
前記基礎ブロック部形成用スペース壁は、側型枠の内側面下部から高さ方向略中間上部まで垂直な平面として可変インバート部形成用の型枠スペース壁を構成した箇所から外側に向かって側型枠厚み方向に広がり、可変インバート部の幅より幅広となる基礎ブロック部が形成できる壁とし、
前記基礎ブロック部形成用スペース壁の内側には、形成する基礎ブロック部の高さを変更できる延長壁材が取り付け可能とされた、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明による単一の型枠装置で製造される形状の異なる複数の基礎ブロック付き可変インバート及びその型枠装置であれば、特に民家の隙間などをぬって水路を形成しなければならない場合、そこには重機などが進入できないため、基礎ブロックを現場打ちする工事がきわめて困難な箇所に形成されている場合や、通常の家庭用排水を流すためのもので、普段はほとんど水の流れを有しない、従って、長い間、雨が降らない場合には、ゴミや土砂が堆積し、悪臭が発生したり、雑草が繁殖したりしてきわめて不衛生になりがちとなる様な水路形成に際し、設置工事が容易に行え、少量の流れであってもスムーズな流れを作ることができ、さらには高低差のある、換言すれば勾配を有する水路形成箇所において、前記勾配と逆の勾配に流れを作ることさえもできる水路を形成できるとの優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明による基礎ブロック付き可変インバートの構成説明図である。
図2】本発明による基礎ブロック付き可変インバートを製造する型枠装置の構成説明図(1)である。
図3】本発明による基礎ブロック付き可変インバートを製造する型枠装置の構成説明図(2)である。
図4】本発明による基礎ブロック付き可変インバートを製造する型枠装置の構成説明図(3)である。
図5】本発明による基礎ブロック付き可変インバートを製造する型枠装置の構成説明図(4)である。
図6】本発明による基礎ブロック付き可変インバートを製造する型枠装置の構成説明図(5)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず先に、本発明による基礎ブロック付き可変インバート1を用いた側溝の敷設概略につき述べる。
敷設現場における地形の高低差程度など地形の計測作業を行う。この計測作業により、要求される水路の水路傾斜度などをあらかじめ各々決定できる。
【0013】
次いで、敷設現場で決定した各々の傾斜度などに基づいて、要求される水路傾斜度に該当する傾斜度を連結時に有するよう、分割接続型にして形成した側溝、基礎ブロック付き可変インバート1からなる自由勾配側溝をあらかじめ工場で製造するものとなる。
【0014】
なお、側溝に関しては、場合によって既設の側溝を使用することもできる。この場合には、基礎ブロック付き可変インバート1のみを工場で製造しておき、敷設現場で既設の側溝と連結し、これを自由勾配側溝として使用してもかまわない。
よって、既設の側溝が他社製品である場合でも充分に前記要請に応えられ、対応できる製品が製造できるものとなる。
【0015】
ここで、略直方体状をした基礎ブロック部2は、可変インバート部3と一体化されてあらかじめ工場で製造されるものであり、敷設現場ではこの基礎ブロック部2を現場打ちする必要がないものとなっている。本発明の大きな特徴である。よって、基礎ブロックを現場打ちコンクリートで敷設できない狭い場所でも水路が形成できるものとなった。
【0016】
そして、基礎ブロック部2と可変インバート部3がセット化された所定の傾斜度を有した基礎ブロック付き可変インバート1と側溝とからなる自由勾配側溝を敷設箇所に各々敷設する。
【0017】
この際、重要なことは自由勾配側溝を長手方向に繋いで敷設するとき、敷設現場で決定した傾斜度に基づき、要求される水路傾斜度、例えば左側から右側に向かって下り勾配の水路全体の傾斜度を、各々の自由勾配側溝を連結したときに、全体として有するよう繋がなければならないことである。
【0018】
そのため、工場では各々の自由勾配側溝が敷設される敷設箇所の基礎ブロック部2までの深さ(寸法)の違いや、その箇所に敷設される自由勾配側溝、特に可変インバート部3は、その厚みや傾斜度などいずれの形状からなるものであるかを、例えば連続番号をつけるなどして明確にしておく必要がある。
【0019】
以上のようにして敷設施工することにより、例えば、水路傾斜度が左側から右側に向かって下り勾配の傾斜度を、連結したときに側溝全体として有する水路が形成できるものとなる。
【0020】
ここで、自由勾配側溝の具体的構成につき説明する。
まず、側溝は、その上面幅方向中央に上下に貫通するスリットが設けられていると共に、例えば、側溝上面は該スリットに向かって下り傾斜面となるよう構成され、該スリットにより側溝上面に溜まった雨水などを側溝内に流入できるよう構成されている。また、側溝の側壁の高さについても、高さの異なる側溝を簡単に製造することが出来るよう、型枠構成がなされている。
【0021】
また、基礎ブロック付き可変インバート1についても,傾斜度、すなわち勾配が異なるものを自由に選択して1つの型枠装置により製造することが出来る様になっている。
【0022】
ところで、側溝の敷設現場が、中央部から幅方向両脇に向かい下り傾斜面として形成された路面ある道路を幅方向に横断して側溝を敷設しなければならない現場がある。
【0023】
その場合、敷設された側溝内の水の流れる方向は、例えば右側から左側に向かい、下り傾斜度を有して構成され、側溝内の水の流れる通路内を雨水などが下り勾配で流れるように構成しなくてはならないのである。本発明ではこれらも解決されている。
【0024】
さらに、道路を横断して側溝を敷設施工しなければならない場合、もっとも重要な点は敷設工事を速やかに行い、交通遮断期間を短くすることにある。交通遮断期間が長期間になると、経済活動等に多大な支障を来すことになるからである。
【0025】
従来では側溝下の基礎ブロックやインバート部分は現場打ちコンクリートで形成していたため、そのコンクリートの養生期間などの時間を必要とし、交通遮断期間を短くすることが出来ないものであったが、本発明ではこのような課題をも解消したものとなっている。
【0026】
次に本発明の基礎ブロック付き可変インバート部1及びその型枠装置5につき説明する。
基礎ブロック付き可変インバート1は、長尺の長方形状をなす基礎ブロック部2と、その上に一体的に作製された可変インバート部3を有して構成される。
【0027】
該可変インバート部3は、図1から理解されるように、長方形状をなす基礎ブロック部2の上に基礎ブロック部2より小さい略長方形状をなして形成され、その幅方向中央部には半円状に凹む流水路部4が長手方向に向かって設けられる。
【0028】
これは前記可変インバート部3が水路の底面として形成されたとき、この流水路部4に排水などがたまり、たとえ大きな流れでなくとも、スムーズに流れるように流路を狭めることを企図として工夫されたものである。
【0029】
そして、可変インバート部3は、その長手方向に向かって厚みを変えて形成されており、側方から見ると所定の傾斜角度を有する勾配をもって形成されている。
【0030】
ここで、所定勾配を有する水路形成のためには、側溝の底面に敷設される基礎ブロック付き可変インバート1は一種類のみではなく、複数種類の基礎ブロック付き可変インバート1を用意しなくてはならない。
【0031】
水路を設置する箇所の地形は様々であり、決して水平な箇所のみではない。またアップダウンの勾配も様々であり、一種類の勾配からなる基礎ブロック付き可変インバート1では水路形成に対応できない。
【0032】
さらに、所定の勾配を有する水路を敷設するには、前記基礎ブロック付き可変インバート1を複数個用意し、それをつなぎ合わせて敷設しており、もってそれぞれの基礎ブロック付き可変インバート1は、それぞれの勾配を異ならせて製造しなければならない。
【0033】
また、可変インバート部3の勾配のみならず基礎ブロック部2の幅や厚みも設置箇所により様々に製造しなければならない可能性があり、そうすると、複数種類の基礎ブロック付き可変インバート1を複数種類の型枠装置5を用意して製造することは極めて非効率的である。
【0034】
そこで、本件発明者は、一種類の型枠措置5で各種類の基礎ブロック付き可変インバート1が製造できる型枠装置5を創案したものである。
図2において符号5は、基礎ブロック付き可変インバート1を製造する型枠装置を示す。該型枠装置5は、底型枠6、左右の側型枠7及び前後の前型枠8、後型枠9とを有して構成されている。
【0035】
底型枠6は、その幅方向略中央部に略半円状をなす可変インバート部流水路用凸条10が長手方向に向かって設けられている。
そして、この底型枠6は、その長手方向中間下側に可変インバート部3に傾斜を持たせ、勾配を有するよう形成すべく、前記底型枠6を回動させる回動軸部13が形成されており、この回動軸部13を回動軸として前記底型枠6を左右に傾斜できる構成を採用している。すなわち、底型枠6をその長手方向に向かって左右のいずれの方向にも無段階調節で勾配が付けられるように構成されているのである。
【0036】
さらに、この底型枠6によって可変インバート部3の厚みを変更することもできる構成とされている。すなわち、図2及び図3に示すように、回動軸部13の下方には底型枠6を上下方向に移動させる上下方向移動装置14が設けられている。この上下方向移動装置14は底型枠6を無段階で上下方向に移動させるものであり、それはハンドル16を回転させることにより前記上下方向移動措置14が上下動するものとなる。これによって可変インバート部3の厚みを簡単に変更して製造することができる。
【0037】
ここで、可変インバート部3の形成は、底型枠6と左右の側型枠7及び前型枠8、後型枠9との型枠で行われる。そして、例えば、可変インバート部3の厚みを変更したい場合、例えば厚くしたい場合には、この底型枠6を前記上下方向移動装置14により下側に下げれば厚みのある可変インバート部3が形成できる。また薄くしたい場合には、この底型枠6を上下方向移動装置14により上側に上げれば厚みの薄い可変インバート部3が形成できる。このように、本発明での底型枠6は上下方向に無段階調節で移動できる構成になっている。
【0038】
次に、左右の側型枠7は各々外側に拓くように構成されており、所定の形状に組み立てられた型枠装置5内にコンクリートを充填した後、脱型する際に、この左右の側型枠7が左右に拓いて脱型作業が行われる。
【0039】
なお、左右の側型枠7は、基礎ブロック部2を形成する基礎ブロック部形成用スペース19を前記可変インバート部形成用スペース18の上部に設けてある。すなわち、左右の側型枠7の各々の内側面は垂直な平面ではなく、段差のある内側面として構成されているのである。
【0040】
例えば、側型枠内側面の下部から中間上部までは垂直な平面として構成され、そこから上方は外側に向かって拡開し、幅方向に向かって幅広になる様構成されている。すなわち、基礎ブロック部形成用スペース壁17は、側型枠7の内側面下部から高さ方向略中間上部まで垂直な平面として可変インバート部形成用スペース壁11を構成してある箇所から外側に向かって側型枠厚み方向に広がり、可変インバート部3の幅より幅広となる基礎ブロック部2が形成できる壁としたものである。
【0041】
しかして、この幅広に構成された全体のスペースが基礎ブロック部2を形成する基礎ブロック部形成用スペース19となる。
【0042】
なお、基礎ブロック部2を形成する基礎ブロック部形成用スペース19の幅方向の長さは変更できるものとなっている。すなわち、前記幅を狭くする場合には、幅広に形成されている基礎ブロック部形成用スペース19の幅方向内周面にスペーサ20を付設すれば、幅の狭い基礎ブロック部2を形成することもできる。また、幅の広い基礎ブロック部2を形成したい場合には、あらかじめ基礎ブロック部形成用スペース19を広くとるべく側型枠7のこの部分の厚みを薄くしておくことが考えられる。また、この部分を外側にスライドして拡開できる側型枠7としてもよい。
【0043】
また、基礎ブロック部形成用スペース19の幅方向内周面に形成された基礎ブロック部形成用スペース壁17に上方に延びる延長壁材15を取り付ければ、コンクリートの充填高さを高くすることができ、もって厚みの厚い基礎ブロック部2を形成できる。また、厚さの薄い基礎ブロック部2を形成したい場合には、前記基礎ブロック部形成用スペース19の幅方向内周面に形成された基礎ブロック部形成用スペース壁17の中間高さあたりまでのコンクリートの充填量とすれば厚さの薄い基礎ブロック部2が容易に形成できる。
【0044】
次に前型枠8及び後型枠9につき説明する。
これら前型枠8及び後型枠9は、基礎ブロック付き可変インバート1の前後面を形成するための型枠となる。
【0045】
そのため前型枠8及び後型枠9の形状は、その下端面に、前記可変インバート部流水路用凸条10が嵌まり合うようにその幅方向略中央部に略半円状をなす切り欠き部12が設けられている。さらに、これら前型枠8及び後型枠9は、底型枠6と同様に上下方向に移動可能に構成されている。そして、底型枠6が上下移動したときは、同じように上下移動して型枠装置5の前後を塞ぐように構成されている。
【0046】
以上において、型枠装置5の組み立てにつき説明する。
例えば、まず、前述したように水路を形成すべき設置場所に赴き、その地形を把握する。具体的にはどの程度の勾配を有して水路を形成すべき自由勾配側溝を敷設するか調査する。
【0047】
調査の結果から、所定の勾配角度を検出し、その勾配角度を備え、そして、調査結果に即した大きさと厚みを有した基礎ブロック部2を、所定の厚みと所定の傾斜角を有した可変インバート部3を備えた複数種類の基礎ブロック付き可変インバート1をあらかじめ工場で製造するのである。
【0048】
その型枠装置5の調整は、まず底型枠6を上下移動調整して可変インバート部3が所定の厚みになる位置に設定して決定する。この移動調整は前記ハンドル16を回動させ、上下方向移動装置14を操作することにより行う。次に、底型枠6を前記調査で決定された勾配に合わせて傾斜させる。
【0049】
次いで、前型枠8及び後型枠9を上下移動させ、底型枠6の前後の上端部に当接させる。これにより、底型枠6の傾斜は固定され、底型枠6も固定される。
【0050】
さらに、左右の側型枠7を内側に閉じる。すると、図3に示す状態になる。
なお、基礎ブロック部2の厚みを変更する場合、特に厚くする場合には、図5に示すように延長壁材15を取り付けるものとなる。
【0051】
上記のように組み立てた型枠装置5内にコンクリートを充填して固化させれば、基礎ブロック付き可変インバート1が製造できる。
【0052】
さらに、可変インバート部3につき、勾配角度が違いや厚みの違うもの、基礎ブロック部2につき、大きさと厚みが異なる可変インバート部3を、前記型枠装置5を調整操作して順次製造していく。
そして、その後製造した複数種類の基礎ブロック付き可変インバート1および側溝を水路の敷設場所まで運搬する。
【0053】
基礎ブロック付き可変インバート1を例えばボルトとパッキンを用いて側溝に固定し、その固定した基礎ブロック付き可変インバート1と側溝を複数種類、移動車両に搭載し設置場所まで運搬する。
【0054】
ここで、前述のように、移動車両に搭載した複数種類の固定した基礎ブロック付き可変インバート1と側溝には、各々順番を付けておけば、設置場所ではその順番通りに敷設することにより所定の勾配を有した水路が簡単に敷設できるものとなる。
【符号の説明】
【0055】
1 基礎ブロック付き可変インバート
2 基礎ブロック部
3 可変インバート部
4 流水路部
5 型枠装置
6 底型枠
7 側型枠
8 前型枠
9 後型枠
10 可変インバート部流水路用凸条
11 可変インバート部形成用スペ-ス壁
12 切り欠き部
13 回動軸部
14 上下方向移動装置
15 延長壁材
16 ハンドル
17 基礎ブロック部形成用スペース壁
18 可変インバート部形成用スペース
19 基礎ブロック部形成用スペ-ス
20 スペーサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6