(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】アクチュエーター装置
(51)【国際特許分類】
F16H 19/02 20060101AFI20231122BHJP
【FI】
F16H19/02 E
F16H19/02 H
(21)【出願番号】P 2019142889
(22)【出願日】2019-08-02
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】304022609
【氏名又は名称】ライフィット有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100133271
【氏名又は名称】東 和博
(72)【発明者】
【氏名】金田 雅充
【審査官】山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0272494(US,A1)
【文献】実開昭61-085758(JP,U)
【文献】国際公開第02/064482(WO,A1)
【文献】特開2002-068638(JP,A)
【文献】特公昭52-004814(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面四角形状で中実の角棒又は角パイプからなる案内部材に沿って往復移動可能な本体部と、本体部に取付けられた送り出し機構部および駆動モータを備え、前記送り出し機構部は、前記案内部材を両側から挟むように配置される一対のベルトユニットを備えており、各ベルトユニットは、案内部材に沿って所定の距離を隔てて配置される一対の歯付きのプーリと当該プーリ間に巻回された歯付きの弾性ベルトを備えており、
前記一対のベルトユニットが、それぞれの弾性ベルトの外周面に複数列の多数の突起からなる連続模様が形成されており、前記複数列の突起のうち、中央の列は面積の比較的大きい突起が長さ方向に等ピッチで全周にわたり配列され、両側部の列は面積の比較的小さい突起が、長さ方向に等ピッチで、中央列の突起より半ピッチ長さ方向にずらして中央列の突起との間に隙間を形成する形で全周にわたり配列されており、前記案内部材
の相対する側面を両側の弾性ベルトにより所定の密着区間を確保して挟むと共に、駆動モータの作動により、両側の弾性ベルトが同調して回転駆動し、本体部を案内部材に沿って往復移動方向に送り出し動作することを特徴とするアクチュエーター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物や倉庫などに設置され、荷物やワークなどを移動させるためのアクチュエーター装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、工場や倉庫などに設置され、ワークや荷物を移動させるためのアクチュエーター装置が知られている。
【0003】
例えば特許文献1のアクチュエーターは、駆動プーリと従動プーリ、ガイドレールと主軸受、カウンタガイドレールとカウンタ軸受でアクチュエーターが構成されており、駆動プーリと従動プーリ間に無端ベルトが掛け渡され、無端ベルトの一部にワークを搭載する前記主軸受が取り付けられ、モータの駆動により、ガイドレールに沿って主軸受を移動させ、もってワークを移動させるようになっている。
【0004】
特許文献2のアクチュエーターは、一対のレールに沿って移動する移動体が支持され、滑り軸受に支持された出力軸の端部に前記移動体が連結された構成とされており、移動体に荷台を設けて荷台に物品を搭載し、リニアモータにより移動体に推力を得て、荷台に搭載した物品の搬送等の作業を行うようになっている。特許文献3のアクチュエーターは、シリンダの後端面にモータが固定され、モータで送りねじを回転させ、送りねじには送りナットが螺合され、送りナットには作動部材が連結され、モータで送りねじを回転させることで、先端にワークを取付けた作動部材を直線移動させるようになっている。
【0005】
特許文献4の搬送装置は、自動倉庫において、支柱と、支柱を昇降する荷物台を備え、荷物台は公知のベルトを用いた駆動機構により昇降させる構成となっており、荷物台に荷物を搭載して昇降し、自動倉庫に荷物を搬入・搬出するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2001-248703号公報
【文献】特開2002-325419号公報
【文献】特開平11-294553号公報
【文献】特開2016-169083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上に述べた従来の装置は、工場や倉庫で使用されるもので、ビルや住宅での使用は想定されていない。ビルや共同住宅では一般にエレベータを利用して荷物の搬入・搬出を行っているが、エレベータのない建物では階段を使って人力で地上階から上層階へあるいは上層階から地上階へ荷物を搬送せざるを得ず、配送ドライバーや高齢者の負担が非常に大きかった。一般住宅や低層の共同住宅では近年エレベータの設置が増えつつあるが、設置費用が高額で普及はなかなか進んでいない。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、工場や倉庫に限らず共同住宅などの建物にも容易に設置可能であり、また、比較的小さな駆動力で荷物やワークを移動させることが可能なアクチュエーター装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係るアクチュエーター装置は、
断面四角形状で中実の角棒又は角パイプからなる案内部材に沿って往復移動可能な本体部と、本体部に取付けられた送り出し機構部および駆動モータを備え、前記送り出し機構部は、前記案内部材を両側から挟むように配置される一対のベルトユニットを備えており、各ベルトユニットは、案内部材に沿って所定の距離を隔てて配置される一対の歯付きのプーリと当該プーリ間に巻回された歯付きの弾性ベルトを備えており、前記一対のベルトユニットが、それぞれの弾性ベルトの外周面に複数列の多数の突起からなる連続模様が形成されており、前記複数列の突起のうち、中央の列は面積の比較的大きい突起が長さ方向に等ピッチで全周にわたり配列され、両側部の列は面積の比較的小さい突起が、長さ方向に等ピッチで、中央列の突起より半ピッチ長さ方向にずらして中央列の突起との間に隙間を形成する形で全周にわたり配列されており、前記案内部材の相対する側面を両側の弾性ベルトにより所定の密着区間を確保して挟むと共に、駆動モータの作動により、両側の弾性ベルトが同調して回転駆動し、本体部を案内部材に沿って往復移動方向に送り出し動作することを第1の特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明のアクチュエーター装置は、一対のベルトユニットで案内部材を挟み込んで所定の密着区間を確保しながら駆動するようにしているので、駆動力の損失を少なくしながら、案内部材に沿って本体部をあるいは本体部を固定して案内部材を往復移動方向に送り出し動作することができ、荷物やワークを少ない駆動力で搬送または移動させることができるという効果を奏する。
【0014】
また、本発明のアクチュエーター装置は、建物の外部や内部に案内部材を垂直または水平に設置し本体部を昇降または水平移動させることで、少ない駆動力で重量のある荷物を運搬することや、本体部を固定して案内部材の先端にアタッチメントを付属し、往復動作を伴う単純作業や各種のアーム作業等に活用できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のアクチュエーター装置の適用例を示すもので(A)は側面図、(B)は正面図、
【
図3】
図1のアクチュエーター装置の要部を示すもので(A)は断面図、(B)は正面図、
【
図4】
図1のアクチュエーター装置の要部を示す斜視図、
【
図5】本発明のアクチュエーター装置の他の適用例を示すもので(A)は正面図、(B)は側面図、
【
図7】
図5のアクチュエーター装置の要部を示すもので(A)は断面図、(B)は正面図、
【
図8】本発明のアクチュエーター装置の他の実施形態を示すもので(A)は要部を示す側面図、(B)は要部を示す正面図、
【
図9】本発明のアクチュエーター装置のモデル例を示す説明図、
【
図10】本発明のアクチュエーター装置の別のモデル例を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を実施するための最良の形態について図面を参照し説明する。
図1ないし
図4は本発明に係る第1実施形態を示すもので、アクチュエーター装置をレール昇降器に適用した例である。これらの図において符号Sはアクチュエーター装置、符号1はレールを示している。
【0017】
アクチュエーター装置Sは、
図1および
図2に示すように、上下に延びる固定式のレール1に沿って昇降する本体部10と、
図3に示すように、本体部10の内部に配置された一対の送り出しベルトユニットU1,U2からなる駆動機構部20と、駆動モータ30から構成されている。
【0018】
レール1は、強度のある断面四角形状で中実の角棒からなり、
図1に示すように、連結部材2を介して支柱3に支持されている。レール1と支柱3は上方の支持部材4と下方の支持部材(図示せず)との間に支持されている。支柱3は例えば建物(共同住宅等)の壁面に地面と垂直に固定可能である。レール1には本体部10を上方位置および下方位置でそれぞれ停止させる停止部材5,5が設けられている。
【0019】
送り出し機構部20は、レール1を一定の押圧力で、
図3および
図4に示すように挟んで本体部10を上下方向に送り出し動作する。一方のベルトユニットU1は、レール1の片側、すなわち、
図3に示す本体部10の両側板部11,11の右寄りに軸受21を介して支持軸22に回転自在に軸支された歯付きの駆動プーリ23と、駆動プーリ23と上下方向に一定間隔(密着区間)Lを隔てて軸受21を介して支持軸22に回転自在に軸支された歯付きの従動プーリ24と、両プーリ23,24間に巻回された一定幅Wを有する歯付きの弾性ベルト25から構成されている。
【0020】
他方のベルトユニットU2は、
図3および
図4に示すように、レール1を挟んで、本体部10の両側板部11,11の左寄りに軸受21を介して支持軸22に回転自在に軸支された歯付きの駆動プーリ23と、駆動プーリ23と上下方向に一定区間(密着区間)Lを隔てて軸受21を介して支持軸22に回転自在に軸支された歯付きの従動プーリ24と、両プーリ23,24間に巻回された一定幅Wを有する歯付きの弾性ベルト25から構成されている。
【0021】
ベルトユニットU1は、駆動プーリ23の支持軸22に駆動モータ30の駆動軸31が直結され、駆動軸31に歯車32が固定されている。ベルトユニットU2は、駆動プーリ23の支持軸22に前記歯車32に噛み合って同調する歯車33が固定されている。各プーリ23,24の外面の各歯は各弾性ベルト25の内面の各歯に噛み合っている。
【0022】
送り出し機構部20は、
図3を参照して、駆動モータ30を駆動させると、歯車32,33を介して、両側の弾性ベルト25,25を同調して駆動させる、すなわち、本体部10を上下方向に送り出すように同調して両側の弾性ベルト25,25を駆動させるようになっている(
図3(B)の矢印は本体部10を上昇方向に送り出すように両側の弾性ベルト25,25を同調して駆動させる例を示している)。
【0023】
各弾性ベルト25は、所定の摩擦係数(μ=0.8以上)を備えており、また、所定の幅w(w=5mm以上、好ましくはw=6mm~10cm未満)を持ち、長尺な密着区間L(L=9cm以上、好ましくは11cm~90cm未満)を確保しながら、両側からレール1を一定の押圧力(0.1Pa以上、好ましくは0.5Pa~0.5MPa未満)で挟むようにしている。これにより、レール1との密着性および密着面積を高めながら、駆動力の損失を減らし、送り出し力を向上させている。
【0024】
送り出し機構部20は、
図3(B)に示すように、プーリ23,24のほぼ中間に歯付きの中間プーリ26が支持軸22により配置されている。中間プーリ26の配置により、上記密着区間Lの全範囲でレール1の側面に対する弾性ベルト25,25の密着度を均一にし、上記した駆動力の損失減少、送出し力の増加をより一層高める作用を発揮する。
【0025】
上記構成のアクチュエーター装置Sは、図示しない上昇釦の操作により、駆動モータ30を駆動させ、本体部10を上方向に移動させることができ、上方の停止部材5により停止する。また、図示しない下降釦の操作により、駆動モータ30を反転駆動させ、本体部10を下方向に移動させることができ、下方の停止部材5により停止する。本体部10の上下面に近接センサを設け、各停止部材5を近接センサで検知し停止させるようにしてもよい。駆動モータ30は例えばオーム式ギヤードモータを使用でき、走行速度を低速(例えば3rpm)にすると運搬トルクが大幅に増加する。
【0026】
上記実施形態によると、本体部10を筐体として収容室を設け、また、本体部10に収容ボックスを吊下げ、それぞれに荷物を収容し、図示しない上昇釦/下降釦を操作し、地上階から上層階に荷物を移動し、また、上層階から地上階に荷物を移動することができる。エレベータがない集合住宅などに設置すると、階段を使って荷物を搬送しなくてすみ、高齢者や配達ドライバーの負担の軽減につながる。
【0027】
上記実施形態のようにレール1に強度のある角棒を用いる場合、重量物の移動に適している。レール1は角パイプであってもよい。レール1は水平に支持してもよい。
図9(A)はレール1を地面に対し垂直に支持し、本体部10を垂直移動させるモデル図、同図(C)はレール1を水平に支持し、本体部10を水平移動させるモデル図を示している。レール1を上下および水平方向に配置することで、自動倉庫への荷物の搬入と搬出、工場内でのワークの垂直移動と水平移動にも適用可能である。
【0028】
図5ないし
図7は、本発明の第2実施形態を示すもので、アクチュエーター装置をロープウェイ昇降器に適用した例である。第1実施形態と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0029】
図5に示すように、レール1および支柱3に隣接して、上下の支持部材4,4間に補助プーリ6,6を介して無端状のワイヤロープ7が張設されている。ワイヤロープ7のうち補助プーリ6,6間の一方は駆動用ロープ7Aとして機能し、プーリ6,6間の他方は回転防止兼用案内ロープ7Bとして機能する。駆動用ロープ7Aには上下に停止部材5,5が支持されている。
【0030】
アクチュエーター装置S’は、
図5に示すように駆動用ロープ7Aに沿って昇降する本体部10と、
図7に示すように本体部10の内部に配置された一対のベルトユニットU1,U2からなる送り出し機構部20と、駆動モータ30から構成されている。
【0031】
送り出し機構部20は、駆動用ロープ7Aを一定の押圧力で、
図7に示すように挟んで本体部10を上下方向に送り出し動作する。一方のベルトユニットU1は、駆動用ロープ7Aの片側、すなわち、本体部10の両側板部11,11の左寄りに軸受21を介して支持軸22に回転自在に軸支された歯付きの駆動プーリ23と、駆動プーリ23と上下方向に一定間隔(密着区間)Lを隔てて軸受21を介して支持軸22に回転自在に軸支された歯付きの従動プーリ24と、両プーリ23,24間に巻回された一定幅Wを有する歯付きの弾性ベルト25から構成されている。
【0032】
他方の送り出しベルトユニットU2は、
図7に示すように、駆動用ロープ7Aを挟んで、本体部10の両側板部11,11の右寄りに軸受21を介して支持軸22に回転自在に軸支された歯付きの駆動プーリ23と、駆動プーリ23と上下方向に一定区間(密着区間)Lを隔てて軸受21を介して支持軸22に回転自在に軸支された歯付きの従動プーリ24と、両プーリ23,24間に巻回された一定幅Wを有する歯付きの弾性ベルト25から構成されている。
【0033】
弾性ベルト25,25は、
図7(A)に示すように、外周面の幅方向中央に溝部25a,25aが形成され、同溝部25a,25aが駆動用ロープ7Aの外面に一定区間Lにわたり密着することにより、弾性ベルト25,25と駆動用ロープ7Aとの密着度がより高められ、送り出し力がより一層向上している。
【0034】
送り出し機構部20は、
図7を参照して、駆動モータ30を駆動させると、第1実施形態と同様に、歯車32,33を介して、両側の弾性ベルト25,25を同調して駆動させる、すなわち、駆動用ロープ7Aに沿って本体部10を上下方向に送り出すように同調して両側の弾性ベルト25,25を駆動させるようになっている(
図7の矢印は本体部10を上昇方向に送り出すように両側の弾性ベルト25,25を同調して駆動させる例を示している)。なお、各弾性ベルト25,25の幅w、駆動用ロープ7Aに対する押圧力、表面の摩擦係数μ、駆動用ロープ7Aに対する密着区間L、中間プーリ26の配置は、第1実施形態と同様である。
【0035】
上記構成のアクチュエーター装置S’は、図示しない上昇釦の操作により、駆動モータ30を駆動させ、本体部10を駆動用ロープ7Aに沿って上方向に移動させることができ、上方の停止部材5により停止する。また、図示しない下降釦の操作により、駆動モータ30を反転駆動させ、本体部10を下方向に移動させることができ、下方の停止部材5により停止する。
【0036】
図5に示すように、本体部10の上下面に、上下方向への送り出し動作時に本体10の姿勢を安定させる姿勢安定部材12が、駆動用ロープ7A、回転防止兼用案内ロープ7Bを中に通す形で取付けられている。また、本体部10の上下面に、上昇時に上方の停止部材5を検知して停止させ、下降時に下方の停止部材5を検知して停止させる近接センサ13がそれぞれ取り付けられている。
【0037】
上記実施形態によると、前記実施形態と同様に、本体部10内に設けた収容室に荷物を収容し、また、本体部10に吊下げた収容ボックスに荷物を収容し、図示しない上昇釦/下降釦を操作し、駆動用ロープ7Aに沿って地上階から上層階に荷物を移動し、また、上層階から地上階に荷物を移動することができる。
【0038】
上記実施形態のようにレール1の代わりにワイヤロープ7を用いる場合、軽量物の移動に適している。ワイヤロープ7の場合、レール1に比べて架設がさらに容易であり、長い距離を確保することが容易である。ワイヤロープ7は水平に支持してもよい。
図9(B)はワイヤロープ7(駆動用ロープ7A、回転防止兼用案内ロープ7B)を地面に対し垂直に支持し、本体部10を垂直移動させるモデル図、同図(D)はワイヤロープ7を水平に支持し、本体部10を水平移動させるモデル図を示している。ワイヤロープ7は斜めに架設し、下の道路から高台の場所に荷物を移動させるようにしてもよい。
【0039】
図8は、本発明の第3実施形態を示すもので、アクチュエーター装置Sにおける弾性ベルト25,25の各外周に突起の連続模様を形成した例である。
【0040】
図8に示すように、各弾性ベルト25には、外周に複数列(図示例は3列)の突起25b、25cからなる連続模様が形成されている。中央の列には面積のやや大きな突起25bが長さ方向に等ピッチで全周にわたり配列されている。両側部の列には面積のやや小さい突起25cが長さ方向に等ピッチで全周にわたり配列されている。中央列の突起25bより両側部列の突起25cは半ピッチ長さ方向にずらして配列され、各突起25b、25cがベルト表面全体に均一に分散されている。
【0041】
上記実施形態によると、歯付きの弾性ベルト25,25の外周面に突起の連続模様を全周にわたり形成したので、滑面仕上げの表面に比べると、レール1やワイヤロープ7などの案内部材に対する弾性ベルト25,25のかみ合い力が増し、本体部10や案内部材の送り出し力をより確実に発揮させることができる。屋外での使用や雨など滑りやすい環境下であってもスリップを防ぎ、特に重量物の送り出しの不安を解消できる。全天候に対応できる。
【0042】
図10は、本体部10を固定し、レール1を往復動作させるモデル図であり、
図10(A)はレール1を上下方向に送り出し動作させる例、
図10(B)はレール1を水平方向に送り出し動作させる例である。本体部10を固定してレール1を送り出し動作させると、往復動作を伴う単純作業や各種のアーム作業(レール1の先端に掴み装置や運搬器具をアタッチメントとして付帯する)等に活用できる。駐車券やチケットの販売機などに応用することができる。
【0043】
かくして、本発明によると、工場や倉庫に限らず共同住宅などの建物にも容易に設置可能であり、また、比較的小さな駆動力で荷物やワークを移動させることが可能なアクチュエーター装置を実現することができた。本発明のアクチュエーター装置は本体部を筐体にして一般家庭用のエレベータに組み込んだり、小型、大型の産業機械に組み込んで使用することができる。簡単なベルト駆動の構造は変わらず、駆動力の損失を少なくし、物体の移動に幅広く活用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、荷物やワークなどの物体を垂直方向あるいは水平方向に移動させるためのアクチュエーター装置として、一般用途あるいは産業用途に利用可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 レール
2 連結部材
3 支柱
4 支持部材
5 停止部材
6 補助プーリ
7 ワイヤロープ
7A 駆動用ロープ
7B 回転防止兼用案内ロープ
10 本体部
11 側板部
12 姿勢安定部材
13 近接センサ
20 送り出し機構部
21 軸受
22 支持軸
23 駆動プーリ
24 従動プーリ
25 弾性ベルト
25a,25b,25c 突起
26 中間プーリ
30 駆動モータ
31 駆動軸
32,33 歯車
L ベルトの密着区間
w ベルトの幅
U1,U2 ベルトユニット
S,S’ アクチュエーター装置