(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】バルブ装置および流体制御装置
(51)【国際特許分類】
F16K 27/00 20060101AFI20231122BHJP
【FI】
F16K27/00 Z
(21)【出願番号】P 2019198505
(22)【出願日】2019-10-31
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】110002893
【氏名又は名称】弁理士法人KEN知財総合事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 隆博
(72)【発明者】
【氏名】相川 献治
(72)【発明者】
【氏名】稲田 敏之
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 一誠
(72)【発明者】
【氏名】茂木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】中田 知宏
(72)【発明者】
【氏名】篠原 努
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-152218(JP,A)
【文献】特開2014-190387(JP,A)
【文献】特開2019-178718(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0013803(US,A1)
【文献】特開2015-178893(JP,A)
【文献】特開2005-291481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/00-27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略ブロック状を成し、上面から第1の弁室と第2の弁室が凹設されるとともに、内部に、前記第1の弁室にそれぞれ連通する第1~第3の流路と、前記第2の弁室にそれぞれ連通する第4~第6の流路と、が形成されたボディと、
前記第1の弁室内に設けられ、前記第2と第3の流路の間を常に連通させつつ、該第2及び第3の流路と前記第1の流路との間の連通と遮断を切換える第1の弁体と、
前記第2の弁室内に設けられ、前記第5と第6の流路の間を常に連通させつつ、該第5及び第6の流路と前記第4の流路との間の連通と遮断を切換える第2の弁体と、
前記第1及び第2の弁体をそれぞれ駆動する第1及び第2のアクチュエータと、
を有し、
前記第2、第3、第5及び第6の流路はそれぞれ別々に前記ボディの下面にポートを有する一方、前記第1の流路及び前記第4の流路は前記ボディの下面に共通のポートを有することを特徴とするバルブ装置。
【請求項2】
前記ボディの下面において、前記第2及び第5の流路は、流通方向である第1の方向の一端部側にそれぞれのポートを有し、前記第3及び第6の流路は、前記第1の方向の他端部側にそれぞれのポートを有し、前記第1及び第4の流路は、略中央の位置に共通のポートを有する、請求項1に記載のバルブ装置。
【請求項3】
上面視において、前記第1及び第2の弁室は、前記ボディの前記第1の方向に配列され、
前記ボディの前記第1の方向に直交する第2の方向の両端部側に、前記ボディを垂直方向に貫通する貫通孔が設けられている、請求項2に記載のバルブ装置。
【請求項4】
前記貫通孔として、径の異なる2種類の貫通孔が設けられている、請求項3に記載のバルブ装置。
【請求項5】
前記第2、第3、第5及び第6の流路のポートと、前記第1の流路及び前記第4の流路の共通のポートとは、径が異なる、請求項1~4のいずれかに記載のバルブ装置。
【請求項6】
上面視で、前記第2、第4、第5及び第6の流路のそれぞれのポートと、前記各貫通孔は、前記第1及び第3の流路の共通のポートを中心に、180度反転対称の位置に配置されている、請求項
3または4に記載のバルブ装置。
【請求項7】
前記第2及び第3の流路の合計の内容積と、前記第5及び第6の流路の合計の内容積とが、略同一である、請求項1~6のいずれかに記載のバルブ装置。
【請求項8】
前記第1及び第2の弁体は、ダイヤフラムである、請求項1~7のいずれかに記載のバルブ装置。
【請求項9】
前記第1及び第2のアクチュエータは、エアシリンダアクチュエータである、請求項1~8のいずれかに記載のバルブ装置。
【請求項10】
継手ブロックを介して一方向に配列された複数の流体機器からなる少なくとも2列のラインと、
前記各ラインの継手ブロック間を通過して該ラインに直交するように配置されたマニホールドと、
を含む流体制御装置であって、
前記複数の流体機器は、請求項
1~9のいずれかに記載のバルブ装置を含み、
該バルブ装置は、前記マニホールドを跨いで配置され、
前記第1及び第4の流路の共通のポートは、前記マニホールドの接続口に接続され、
前記第2及び第5の流路の各ポートは、前記マニホールドの一方の側の継手ブロックを介してそれぞれ流体機器のラインに接続され、
前記第3及び第6の流路の各ポートは、前記マニホールドの他方の側の継手ブロックを介してそれぞれ流体機器のラインに接続されている、
ことを特徴とする流体制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブ装置および流体制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造プロセスに用いられるプロセスガス等の流通・遮断制御や流量制御に各種バルブ装置が用いられており、特に気密性維持のためにダイヤフラムバルブが多く用いられている。
これらのバルブ装置は、他の流体機器とともに、統合された流体制御システムに組み込まれることが一般的である。例えば、特許文献1に示す流体制御システムでは、各流体機器は上流から下流に向かってラインを構成し、このようなラインが複数列配置されている。各ラインの幅は、規格で1.125inch(約29mm)に統一され、各流体機器の幅もこの寸法に統一されている。
しかし、流量制御の応答性向上の要求のため、流体機器が処理チャンバ近くで流体制御できるように、流体制御装置の小型化が求められている。特許文献2のシステムでは、小型化のため、各ラインの幅が10mmと規格され、この規格に準拠した新たなバルブ等の流体機器も開発されている。
【0003】
このような流体制御システムにおいて、各ラインを直交する方向にパージガスのマニホールドが設けられ、このパージガスのマニホールドにおける各ラインとの交点にはパージガス供給口が設けられて、N2等のパージガスを各ラインに供給するようになっている。
各接続点には三方弁が設けられ、各接続点のすぐ上流に設けられた開閉バルブと連携して、接続点の下流へ流すガスを、プロセスガスとパージガスとの間で切り替えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-206700号公報
【文献】国際公開第2017/221893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、1.125inchの流体制御システムは多く、これを改造して、ライン数を増やすために、1つのラインのスペース中に、2つの10mmラインを配置したいという需要もある。その場合、パージガスのマニホールド(1.125inch対応)の供給口のピッチが10mmラインの配列ピッチと合わなくなるという問題がある。勿論、1.125inchライン用の供給口の配列ピッチを10mmのライン用の供給口の配列ピッチに細分化するための分岐継手ブロックを介在させる方法もあるが、部品点数が多くなって部品コストや組み立てコストが増えるという問題を生ずる。
【0006】
本発明の目的は、このような課題を解決し、パージガスのマニホールド(1.125inch対応)に接続して2本のガスラインへガスを流すことができるバルブ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のバルブ装置は、
略ブロック状を成し、上面から第1の弁室と第2の弁室が凹設されるとともに、内部に、前記第1の弁室にそれぞれ連通する第1~第3の流路と、前記第2の弁室にそれぞれ連通する第4~第6の流路と、が形成されたボディと、
前記第1の弁室内に設けられ、前記第2と第3の流路の間を常に連通させつつ、該第2及び第3の流路と前記第1の流路との間の連通と遮断を切換える第1の弁体と、
前記第2の弁室内に設けられ、前記第5と第6の流路の間を常に連通させつつ、該第5及び第6の流路と前記第4の流路との間の連通と遮断を切換える第2の弁体と、
前記第1及び第2の弁体をそれぞれ駆動する第1及び第2のアクチュエータと、
を有し、
前記第2、第3、第5及び第6の流路はそれぞれ別々に前記ボディの下面にポートを有する一方、前記第1の流路及び前記第4の流路は前記ボディの下面に共通のポートを有するバルブ装置であることを特徴とする。
この構成により、旧規格のパージガスのマニホールドの1つの供給口からのパージガスを、共通のポートから第1及び第4の流路に導入し、第1及び第2の弁室にて制御し、例えば第3及び第6の流出路に流すことできるので、1つの前記バルブ装置を介して、2つのガスラインにそれぞれ供給できる。
尚、第1の弁室と第1~第3の流路、及び、後述する第1の弁体及び第1のアクチュエータによって構成されるバルブ要素を「第1のバルブ要素」ともいう。同様に、第2の弁室と第4~第6の流路、及び、後述する第2の弁体及び第2のアクチュエータによって構成されるバルブ要素を「第2のバルブ要素」ともいう。
【0008】
好ましくは、前記ボディの下面において、前記第2及び第5の流路は、流通方向である第1の方向の一端部側にそれぞれのポートを有し、前記第3及び第6の流路は、前記第1の方向の他端部側にそれぞれのポートを有し、前記第1及び第4の流路は、略中央の位置に共通のポートを有する、構成を採用できる。
この構成により、前記バルブ装置は、「第1の方向」を流体制御装置のライン方向に合わせて、パージガスのマニホールドを跨いで配置することで、当該パージガスのマニホールドの供給口に接続できるとともに、一端部側で継手ブロックを介して上流側の1本又は2本のライン(開閉バルブ等)に接続でき、他端部側で継手ブロックを介して下流側の1本又は2本のライン(流量制御装置等)に接続できる。
【0009】
好ましくは、上面視において、前記第1及び第2の弁室は、前記ボディの前記第1の方向に配列され、前記ボディの前記第1の方向に直交する第2の方向の両端部側に、前記ボディを垂直方向に貫通する貫通孔が設けられている、構成を採用できる。
この構成により、前記バルブ装置は、前記貫通孔を通して固定ねじを旧規格のパージガスのマニホールドに設けられた既存のねじ穴に螺合することにより、固定できる。
【0010】
好ましくは、前記貫通孔として、径の異なる2種類の貫通孔が設けられている、構成を採用できる。
この構成により、前記バルブ装置を、小径の貫通孔を通して固定ねじをマニホールドの小径のねじ穴に螺合できるとともに、大径の貫通孔を通して固定ねじを継手ブロック大径のねじ穴に螺合できる。
【0011】
好ましくは、前記第2、第3、第5及び第6の流路のポートと、前記第1の流路及び前記第4の流路の共通のポートとは、径が異なる、構成を採用できる。
この構成により、前記共通ポートを旧規格のパージガスのマニホールドの1つの供給口の径に合わせ、一方、第2、第3、第5及び第6の流路の各ポートを2つのガスラインの接続口の径に合わせることができ、いずれも適切なガスケットを介して気密に接続することができる。
【0012】
好ましくは、上面視で、前記第2、第3、第5及び第6の流路のそれぞれのポートと、前記各貫通孔は、前記第1及び第4の流路の共通のポートを中心に、180度反転対称に配置されている、構成を採用できる。
この構成により、前記バルブ装置を、マニホールド及び各継手ブロックに対して、180度反転して接続し、同様に使用することも可能になる。
【0013】
好ましくは、前記第2及び第3の流路の合計の内容積と、前記第5及び第6の流路の合計の内容積とが、略同一である構成を採用できる。
この構成により、第1のバルブ要素と第2のバルブ要素110bのそれぞれを通過するプロセスガスのガスラインの圧力損失や応答性が等しくなるので、2つのガスラインの互換性が向上する。
【0014】
好ましくは、前記ボディの前記第2の方向の寸法は、1.125inch以下である、構成を採用できる。
この構成により、前記バルブ装置を1つの旧規格のラインのスペース中に、配置することができる。
【0015】
好ましくは、前記第1及び第2の弁体は、ダイヤフラムである、構成を採用できる。
【0016】
好ましくは、前記第1及び第2のアクチュエータは、エアシリンダアクチュエータである、構成を採用できる。
【0017】
本発明の流体制御装置は、継手ブロックを介して一方向に配列された複数の流体機器からなる少なくとも2列のラインと、
前記ラインの継手ブロック間を通過して該ラインに直交するように配置されたマニホールドと、
を含む流体制御装置であって、
前記複数の流体機器は、前記いずれかのバルブ装置を含み、
該バルブ装置は、前記マニホールドを跨いで配置され、
前記第1及び第4の流路の共通のポートは、前記マニホールドの接続口に接続され、
前記第2及び第5の流路の各ポートは、前記マニホールドの一方の側の継手ブロックを介してそれぞれ流体機器のラインに接続され、
前記第3及び第6の流路の各ポートは、前記マニホールドの他方の側の継手ブロックを介してそれぞれ流体機器のラインに接続されている、
ものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、パージガスのマニホールドの1つの供給口からのパージガスを、第1及び第4の流路に導入し、第1及び第2の弁室にて制御し、例えば、第3及び第6の流路に流すことできるので、パージガスを、1つのバルブ装置を介して2つのガスラインにそれぞれ供給できる。
このため、旧規格のパージガスのマニホールドに接続して2本のガスラインへガスを流すことができるバルブ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態のバルブ装置を示す外観斜視図。
【
図2】
図1のバルブ装置に流体の通路を破線で示した外観斜視図。
【
図3A】
図2の外観斜視図において、流体通路のうち第1のバルブ要素を構成する流体通路のみを示した図。
【
図3B】
図2の外観斜視図において、流体通路のうち第2のバルブ要素を構成する流体通路のみを示した図。
【
図4A】
図1のバルブ装置の第1のバルブの要素の詳細を示す部分断面図。
【
図4B】
図1のバルブ装置の第2のバルブの要素の詳細を示す部分断面図。
【
図6】本発明の実施形態の流体制御装置を示す平面図。
【
図7】
図6の流体制御装置を示す正面図(但し、奥側のラインの流体機器等は図示省略している)。
【
図8A】
図6の流体制御装置のパージガスのマニホールドを示す平面図。
【
図8B】
図6の流体制御装置のパージガスのマニホールドを示す縦断面図。
【
図9A】
図6の流体制御装置において
図1のバルブ装置の接続状態を示す正面図。
【
図9B】
図6の流体制御装置において
図1のバルブ装置の接続状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施形態のバルブ装置について図面を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態に係るバルブ装置を示す外観斜視図であり、
図2は、
図1のバルブ装置に流体の通路を破線で示した外観斜視図である。
本実施形態のバルブ装置100は、ボディ10と、第1及び第2の弁体20a,20b(
図4A及び
図4B参照)と、第1及び第2のアクチュエータ30a,30bと、を有する。
【0021】
ボディ10は、略ブロック状を成し、上面から円筒状凹部である第1の弁室11aと第2の弁室11bが穿設されている。
図3A及び
図3Bに示すように、ボディ10の内部には、第1の弁室11aにそれぞれ連通する第1の流路13a、第2の流路12a及び第3の流路14aと、第2の弁室11bにそれぞれ連通する第4の流路13b、第5の流路12b及び第6の流路14bと、が形成されている。
尚、第1の弁室11aと第1~第3の流路13a,12a,14a、及び、後述する第1の弁体20a及び第1のアクチュエータ30aによって構成されるバルブ要素を「第1のバルブ要素110a」ともいう。同様に、第2の弁室11bと第4~第6の流路13b,12b,14b、及び、後述する第2の弁体20b及び第2のアクチュエータ30bによって構成されるバルブ要素を「第2のバルブ要素110b」ともいう。
【0022】
ボディ10の下面において、第2及び第5の流路12a,12bは、第1の方向(G1―G2、「流通方向」ともいう)の一端部G1側にそれぞれのポート15A,15Bを有し、第3及び第6の流路14a,14bは、他端部G2側にそれぞれのポート15D、15Eを有し、第1及び第4の流路13a,13bは、一体として略中央の位置にポート15Cを有する。
この構成により、バルブ装置100は、流通方向(G1―G2)を流体制御装置のライン方向に合わせて、パージガスのマニホールドを跨いで配置することで、当該パージガスのマニホールドの供給口に接続できるとともに、一端部G1側で継手ブロックを介して上流側の1本又は2本のライン(開閉バルブ等)に接続でき、他端部G2側で継手ブロックを介して下流側の1本又は2本のライン(流量制御装置等)に接続できるようになっている。
【0023】
図5A及び
図5Bに示すように、上面視において、前記第1及び第2の弁室11a,11bは、前記ボディ10の流通方向(G1―G2)に配列され、直交する第2の方向(W1―W2、「幅方向」ともいう)の両端部側に、ボディ10を垂直方向に貫通する貫通孔16,17が設けられている。
貫通孔16は、小径の貫通孔で、これを通して固定ねじをマニホールドの小径の既存のねじ穴に螺合することにより、本バルブ装置100を旧規格のパージガスのマニホールドに固定できる。
貫通孔17は、大径の貫通孔で、これを通して固定ねじを継手ブロック大径のねじ穴に螺合し、本バルブ装置100をこれらの継手ブロックに接続できるようになっている。
すなわち、第1及び第2の弁室11a,11bを流通方向(G1―G2)に配置することにより、ボディ10の幅を1.125inch等にしても、幅方向(W1-W2)の両端部側に貫通孔16,17を設けることができる。
【0024】
第2、第3、第5及び第6の流路のポート15A、15B,15D,15Eと、第1及び第4の流路の共通のポート15Cとは、径が異なる。この構成により、前記共通ポートを旧規格のパージガスのマニホールドの1つの供給口の径に合わせ、一方、第2、第3、第5及び第6の流路の各ポートを2つのガスラインの接続口の径に合わせることができ、いずれも適切なガスケットを介して気密に接続することができる。
【0025】
図5A及び
図5Bに示すように、上面視で、前記第2、第3、第5及び第6の流路12a,14a,12b,14bのそれぞれのポート15A,15D,15B,15Eと、前記各貫通孔16,17は、前記第1及び第4の流路の共通のポート15Cを中心に、180度反転対称の位置に配置されている。
この構成により、前記バルブ装置を、マニホールド及び各継手ブロックに対して、反転して接続することも可能になる。
【0026】
前記第2及び第3の流路12a,14aの合計の内容積と、前記第5及び第6の流路12b,14bの合計の内容積とが、略同一である。
この構成により、第1のバルブ要素110aと第2のバルブ要素110bのそれぞれを通過するプロセスガスのガスラインの圧力損失や応答性が等しくなるので、2つのガスラインの互換性が向上する。
【0027】
本実施形態において、ボディ10の幅方向(W1-W2)の寸法は、1.125inch(約29mm)である。
この構成により、前記バルブ装置を1つの旧規格のラインのスペース中に、配置することができる。
【0028】
第1の弁体20aは、第1の弁室11a内に設けられ、第2の流路12aと第3の流路14aとを常に連通させつつ、これらの流路と第1の流路13aとの間の連通・遮断を切換えるものである。同様に、第2の弁体20bは、第2の弁室11b内に設けられ、第5の流路12bと第6の流路14bとを常に連通させつつ、これらの流路と第4の流路13bとの間の連通・遮断を切換えるものである。
本実施形態では、第1及び第2の弁体20a,20bとしてダイヤフラムを用いている。弁体としてダイヤフラムを用いることは、ガス流路の外部に対する高い気密性を確保できる点で好ましい。但し、第1及び第2の弁体20a,20bはダイヤフラムに限らず、種々用いてもよい。
【0029】
図4Aに、第1のバルブ要素110aの詳細を示す部分断面図を示す。
各ポート15A,15C,15Dからの第2、第1、第3の流路12a,13a,14aは、第1の弁室11aの底面に開口している。このうち第2及び第3の流路12a,14aは、第1の弁室11aの底面の周溝23を通して常に連通し、第1の流路13aは、その開口部の周囲に配置されたバルブシート26と、その上に配置されたダイヤフラム20aとの間の隙間を通して、第2及び第3の流路12a,14aと連通する。ダイヤフラム20aを、第1のアクチュエータ30aに駆動されるダイヤフラム押え28により、バルブシート26に当接・離間させることにより、前記隙間を開閉し、それにより、第1の流路13aと、第2及び第3の流路12a,14aとの間の連通と遮断を切り替えるようになっている。
第2のバルブ要素110bについては、説明省略するが、
図4Bの部分断面図に示すように、第1のバルブ要素110aと構造は同様である。
【0030】
第1及び第2のアクチュエータ30a,30bは、前記第1及び第2の弁体20a,20bをそれぞれ駆動するものである。本実施形態では、第1及び第2のアクチュエータ30a,30bとして、エアシリンダアクチュエータを用いている。詳細な図示は省略するが、エアシリンダアクチュエータ30a,30bは、外部から供給される駆動エアのON/OFFにより、作動するものである。
例えば、エアシリンダアクチュエータ30aは、駆動エアがOFFのときは作動せず、コイルバネ(図示省略)がダイヤフラム押え28を押し下げて、ダイヤフラム20aをバルブシート26に当接させ、本バルブ装置は閉状態になっている。一方、外部からの駆動エアがONになると、エアシリンダアクチュエータ30aは、コイルバネの押下げ力に打ち勝ってダイヤフラム押え28を引き上げ、ダイヤフラム20aをバルブシート26から離間させて、本バルブ装置を開状態にする。
エアシリンダアクチュエータ30bも同様に動作する。
エアシリンダアクチュエータにより開閉するバルブ(エアオペレートバルブ)は、駆動エアを制御する電磁弁の小さな電力で大流量の制御が可能出るという利点を有する。
但し、アクチュエータはエアシリンダアクチュエータに限らず、ソレノイドアクチュエータやピエゾアクチュエータ等であってもよい。
【0031】
次に、このように構成された本実施形態のバルブ装置100の動作について、第1のバルブ要素110aを例として、
図4Aを参照して説明する。
初期状態では、駆動エアの供給がOFFで、エアシリンダアクチュエータ30aは作動せず、コイルバネ(図示省略)がダイヤフラム押え28を押し下げて、ダイヤフラム20aをバルブシート26に当接させ、本バルブ装置は閉状態になっている。このとき、第2の流路12aと第3の流路14aとは、周溝23を通して連通しているが、これらの流路と第1の流路13aとの間は、ダイヤフラム20aとバルブシート26との当接により、遮断されている。
次に、外部からの駆動エアがONになると、エアシリンダアクチュエータ30aは、コイルバネの押下げ力に打ち勝ってダイヤフラム押え28を引き上げ、ダイヤフラム20aをバルブシート26から離間させて、本バルブ装置を開状態にする。このとき、第2の流路12aと第3の流路14aとは、周溝23を通して引き続き連通し、また、これらの流路と第1の流路との間も、ダイヤフラム20aとバルブシート26との隙間を通して連通する。
第2のバルブ要素110bも同様に動作して、第5及び第6の流路と第4の流路との間の連通と遮断を切り替える。
【0032】
尚、本実施形態では、通常時がバルブ閉で作動時がバルブ開のノーマルクローズの構成について説明したが、本発明のバルブ装置は、これに限らず、ノーマルオープンの構成にしてもよい。例えば、本実施形態では、コイルバネ(図示省略)がダイヤフラム押え28を押し下げて、エアシリンダアクチュエータ30a,30bがダイヤフラム押え28を押し上げているが、コイルバネ(図示省略)がダイヤフラム押え28を引き上げて、エアシリンダアクチュエータ30a,30bがダイヤフラム押え28を押し下げることにより、ノーマルオープンの構成にできる。
【0033】
(第2の実施形態)
次に、本発明の流体制御装置について説明する。
図6は、本発明の実施形態の流体制御装置を示す平面図であり、
図7は正面図である。但し、
図7において、
図6の奥側のラインの流体機器等は図示省略している。
【0034】
本実施形態の流体制御装置200は、半導体製造プロセスに用いられ、処理チャンバへ供給するプロセスガスやパージガスの流量制御やON/OFF制御を行う装置である。
流体制御装置200は、ベースプレート201上に継手ブロックを介して一方向に配列された複数の流体機器からなるライン210A,210B,220,230と、これらのラインの継手ブロック間を通過して各ラインに直交するように配置されたパージガス供給用のマニホールド300と、を有する。
ライン210A,210B,220はプロセスガスのライン、ライン230はパージガスのラインで、それぞれの供給源から左端部の継手に供給されたガスを制御して、右側の出力マニホールド310を経由して、継手311から出力している。
ライン220,230は、1.125inch幅のラインで、ライン210A、210Bは、1.125inch幅のラインのスペースに、10mm幅のラインをそれぞれ2本設けたものである。
【0035】
例えば、ライン210Aは、10mm幅のサブライン210Aaとサブライン210Abとからなる。各サブライン210Aa,210Abにおいて、左側から、プロセスガスが導入用の継手211a,211b、配管212a,212b、共通の継手ブロック213及び二方弁214が接続されている。この二方弁214は、並列された2つの開閉バルブからなり、それぞれのサブライン210Aa,210Abを独立して開閉する。
さらに、共通の継手ブロック215、本発明のバルブ装置100、継手ブロック217及びそれぞれのサブライン210Aa,210Ab用のマスフローコントローラ216a,216b、さらに二方弁214と同じ構造の二方弁218を経由して、出力マニホールド310に接続されている。
ライン210Bも、10mm幅のサブライン210Baとサブライン210Bbとからなり、同様の構成になっている。
【0036】
一方、パージガス用のマニホールド300は、ライン230からパージガスの供給を受け、その他のライン210A,210B,220にパージガスを供給している。このマニホールド300は、
図8A及び
図8Bに示すように、角柱状の部材で、上面に開口している各接続口301は、内部の長手方向の流路303を介して連通している。また、上面側には、ねじ穴302が設けられ、各流体機器が接続用できるようになっている。
【0037】
本発明のバルブ装置100は、
図9A及び
図9Bに示すように、マニホールド300を跨いで配置され、貫通孔16を通してマニホールド300のねじ穴302(
図8A及び
図8B参照)に螺合された2本のボルト(図示省略)によってマニホールド300に固定されている。また、貫通孔17を通して上流側の継手ブロック215のねじ穴(図示省略)に螺合された2本のボルト(図示省略)によって継手ブロック215に固定され、さらに、貫通孔17を通して下流側の継手ブロック217のねじ穴(図示省略)に螺合された2本のボルト(図示省略)によって継手ブロック217に固定されている。
これにより、
図9A,
図9B,
図3A及び
図3Bを参照して、バルブ装置100の第1及び第4の流路13a,13bの共通のポート15Cは、マニホールド300の接続口301に接続されている。また、第2及び第5の流路12a,12bの各ポート15A,15Bは、前記マニホールドのG1側(上流側)の継手ブロック215を介して、それぞれサブライン210Aa,210Abの上流側の部分に接続され、さらに、第3及び第6の流路14a,14bの各ポート15D,15Eは、マニホールド300のG2側(下流側)の継手ブロック217を介して、それぞれサブライン210Aa,210Abの下流側の部分に接続されている。
尚、各接続点においては、ガスケットGS(
図4A及び
図4B参照)が用いられ、気密性を確保されている。
【0038】
このように構成された本実施形態の流体制御装置200では、バルブ装置100の第1のバルブ要素110aが、マニホールド300からの第1の流路13aと、サブライン210Aaの一部を成す第2及び第3の流路12a,14aとの間の連通と遮断を切換えることができるので、サブライン210Aaへのパージガスの供給をON/OFFできる。また、第2のバルブ要素110bも同様に、サブライン210Abへのパージガスの供給をON/OFFできる。
サブライン210Aaのガス種の切り替えは、以下のように行う。上流側の二方弁214のサブライン210Aaを開閉する開閉バルブを開にして、バルブ装置100の第1のバルブ要素110aを閉(パージガスの供給をOFF)にすることにより、サブライン210Aaの下流側にプロセスガスを流すことができる。一方、二方弁214のサブライン210Aaを開閉する開閉バルブを閉にして、バルブ装置100の第1のバルブ要素110aを開(パージガスの供給をON)にすることにより、サブライン210Aaの下流側にパージガスを流すことができる。これにより、下流側へ流すガス種を切り替えることができる。
サブライン212Abについても、同様に二方弁214のサブライン210Abを開閉する開閉バルブとバルブ装置100の「第2のバルブ要素110b」を同様に動作させることにより、下流側へ流すガス種を切り替えることができる。
【0039】
本実施形態によれば、流体制御装置に本発明のバルブ装置を導入することにより、旧規格のパージガスのマニホールドに接続して2本のガスラインへガスを流すことができる。
【0040】
なお、本実施形態は、上述した実施例に限定されない。当業者であれば、本開示の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。
【符号の説明】
【0041】
10 :ボディ
11a :第1の弁室
11b :第2の弁室
12a :第2の流路
12b :第5の流路
13a :第1の流路
13b :第4の流路
14a :第3の流路
14b :第6の流路
15A,15B,15C,15D,15E:ポート
16,17:貫通孔
20a :第1の弁体(ダイヤフラム)
20b :第2の弁体(ダイヤフラム)
23 :周溝
26 :バルブシート
28 :ダイヤフラム押さえ
30a :第1のアクチュエータ(エアシリンダアクチュエータ)
30b :第2のアクチュエータ(エアシリンダアクチュエータ)
100 :バルブ装置
110a:第1のバルブ要素
110b:第2のバルブ要素
200 :流体処理装置
201 :ベースプレート
210A,210B,220,230:ライン
210Aa,210Ab,201Ba,210Bb:サブライン
211a,211b:継手
212a,212b:配管
213,215,217:継手ブロック
214,218:二方弁
216a,216b:マスフローコントローラ
300 :マニホールド
301 :接続口
303 :流路
302 :ねじ穴
310 :出力マニホールド
311 :継手
G1―G2:第1の方向(流通方向)
G1 :一端部
G2 :他端部
GS :ガスケット