(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】メラニン生成抑制剤、コラーゲン産生促進剤及び抗酸化剤
(51)【国際特許分類】
A61K 36/282 20060101AFI20231122BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20231122BHJP
A61Q 19/02 20060101ALI20231122BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231122BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20231122BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20231122BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20231122BHJP
C12Q 1/686 20180101ALN20231122BHJP
A61P 19/10 20060101ALN20231122BHJP
A61P 19/02 20060101ALN20231122BHJP
A61P 39/06 20060101ALN20231122BHJP
A61P 21/00 20060101ALN20231122BHJP
A61P 29/00 20060101ALN20231122BHJP
A61P 17/02 20060101ALN20231122BHJP
A61Q 19/08 20060101ALN20231122BHJP
A61Q 1/00 20060101ALN20231122BHJP
A61Q 19/00 20060101ALN20231122BHJP
A61Q 19/10 20060101ALN20231122BHJP
A61K 9/06 20060101ALN20231122BHJP
A61K 9/14 20060101ALN20231122BHJP
A61K 9/20 20060101ALN20231122BHJP
【FI】
A61K36/282 ZNA
A61K8/9789
A61Q19/02
A61P43/00 111
A61P17/00
A23L33/105
C12N15/09 Z
C12Q1/686 Z
A61P19/10
A61P19/02
A61P39/06
A61P21/00
A61P29/00
A61P17/02
A61Q19/08
A61Q1/00
A61Q19/00
A61Q19/10
A61K9/06
A61K9/14
A61K9/20
(21)【出願番号】P 2019218943
(22)【出願日】2019-12-03
【審査請求日】2022-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】592262543
【氏名又は名称】日本メナード化粧品株式会社
(72)【発明者】
【氏名】深田 紘介
(72)【発明者】
【氏名】福田 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】村上 祐子
【審査官】長谷川 茜
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2014-0109221(KR,A)
【文献】特開2001-114634(JP,A)
【文献】特開2016-006021(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0025376(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第109316416(CN,A)
【文献】特開平07-126149(JP,A)
【文献】特開2001-206835(JP,A)
【文献】特開2006-104118(JP,A)
【文献】特開平11-322569(JP,A)
【文献】特開2005-110760(JP,A)
【文献】特開昭62-221633(JP,A)
【文献】第十七改正日本薬局方(平成28年3月7日厚生労働省告示第64号) 通則~医薬品各条(生薬等),「日本薬局方」ホームページ,2016年,第1758頁,https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000066530.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00-36/9068
A61K 8/00- 8/99
A61Q 19/00-19/10
A23L 33/00-33/29
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オオヨモギ(Artemisia montana)の
エタノール抽出物を
0.001~10重量%含有することを特徴とするメラニン生成抑制剤。
【請求項2】
オオヨモギ(Artemisia montana)の
エタノール抽出物を
0.001~10重量%含有することを特徴とする、メラニンによる色素沈
着の改善及び予防用食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メラニン生成抑制剤、コラーゲン産生促進剤、抗酸化剤及び食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にシミ、ソバカス、日焼け等に見られる皮膚の色素沈着は、ホルモンの異常や紫外線の刺激により、皮膚内に存在するメラニン色素生成細胞がメラニン色素を過剰に生成し、これが皮膚内に沈着することが原因と考えられている。このような色素沈着を防ぐ方法の一つに、メラニンの過剰な生成を抑制する方法が知られている。従来、色素沈着の治療にはハイドロキノンやアスコルビン酸(ビタミンC)等を外用する処置が行われてきた。
【0003】
コラーゲンは、哺乳動物組織の約1/3を占める主要な構造タンパク質であり、軟骨、骨、腱、及び皮膚等の、多くのマトリックス組織の必須な成分である。その為、加齢等によってコラーゲン産生が低下することにより、骨粗鬆症、関節炎、腱鞘炎等の原因になることが知られている。また、創傷の治癒過程において、コラーゲンの産生量が亢進し、創傷の治癒を促進することが知られている。よって、コラーゲンの産生促進は、皮膚の創傷治癒の促進や、骨粗鬆症、関節炎及び腱鞘炎等の改善等にも有効である。
【0004】
皮膚は生体の最外層に位置し、紫外線等の影響により活性酸素が発生しやすい臓器であり、絶えずその酸素ストレスに曝されている。一方、皮膚細胞内には活性酸素消去酵素が存在しており、その能力を超える活性酸素が発生しないかぎり活性酸素の傷害から皮膚細胞を防衛している。ところが、皮膚細胞内の活性酸素消去酵素の活性は加齢と共に低下することが知られており、活性酸素による傷害がその防御反応を凌駕したとき、皮膚は酸化され、細胞機能が劣化して老化してゆくと考えられる。また、皮膚以外の臓器においても、その活性酸素消去能を越える活性酸素に曝されたとき、機能低下が起こり老化したり、ガンや心筋梗塞等様々な生活習慣病が発症したりすると考えられる。そこで、活性酸素による傷害からの防御を目的として活性酸素消去剤や抗酸化剤が検討され、SODやカタラーゼ等の活性酸素消去酵素、SOD様活性物質等の活性酸素消去剤や抗酸化剤を含有した食品、化粧品、医薬部外品及び医薬品等が開発されている(特許文献1)。
【0005】
ヨモギ属植物は、世界中いたるところに分布し、その種類は250に及ぶことが知られている。ヨモギ属植物の薬効としては、ヨモギ(Artemisia princeps)の発酵物の含水エタノール抽出物がI型コラーゲン産生促進作用を有すること(特許文献2)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-212233号公報
【文献】特開2009-242263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
メラニン生成抑制効果、コラーゲン産生促進効果及び抗酸化効果に優れた素材が望まれているが、未だ十分満足し得るものが提供されていないのが現状である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、オオヨモギ(Artemisia montana)の抽出物が優れたメラニン生成抑制作用、コラーゲン産生促進作用及び抗酸化作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)オオヨモギ(Artemisia montana)の抽出物を含有することを特徴とするメラニン生成抑制剤。
(2)オオヨモギ(Artemisia montana)の抽出物を含有することを特徴とするコラーゲン産生促進剤。
(3)オオヨモギ(Artemisia montana)の抽出物を含有することを特徴とする抗酸化剤。
(4)オオヨモギ(Artemisia montana)の抽出物を含有することを特徴とする、メラニンによる色素沈着、骨粗鬆症、関節炎、腱鞘炎、創傷、酸化ストレスに起因する疾病及び皮膚老化の改善及び予防用食品組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明のメラニン生成抑制剤は色素沈着の治療、改善及び予防に、コラーゲン産生促進剤は、骨粗鬆症、関節炎、腱鞘炎及び創傷の治療、改善及び予防に、抗酸化剤は、酸化ストレスに起因する疾病及び皮膚老化の治療、改善及び予防に、それぞれ有効である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に用いるオオヨモギ(Artemisia montana)は、キク科ヨモギ属の多年草で、主に本州(近畿地方以北)、北海道に自生している。一方、ヨモギ(Artemisia princepsあるいはArtemisia indica)は、主に本州~九州、小笠原に分布し、植物体の大きさ(例えば、茎の高さ、頭花の径、葉の長さ等)は本発明のオオヨモギより小形であり、オオヨモギとは異なる種の植物である。なお、Artemisia princepsとArtemisia indicaとはシノニム(Synonym)の関係になる。
【0012】
本発明に用いるオオヨモギは、上記の生育地域からも入手することができるし、市販品を購入することもできる。抽出原料として使用するオオヨモギの部位は、全草であっても良いし、その一部であっても良いが、効果の面から、葉部が好ましい。また、抽出には、植物体を生のまま使用しても良く、乾燥、粉砕、細切等の処理を行っても良い。
【0013】
本発明の抽出物に用いる抽出溶媒としては、例えば、水、低級アルコール類(メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール等)、液状多価アルコール類(1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、アセトニトリル、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、流動パラフィン等)、エーテル類(エチルエーテル、テトラヒドロフラン、プロピルエーテル等)が挙げられる。好ましくは、水、低級アルコール及び液状多価アルコール等の極性溶媒が良く、特に好ましくは、水、エタノール、1,3-ブチレングリコール及びプロピレングリコールが良い。これらの溶媒は一種でも二種以上を混合して用いても良い。また、これらの溶媒に酸やアルカリを添加して、pHを調整した溶媒を用いることもできる。また、抽出方法は、特に限定されないが、例えば、連続抽出や浸漬抽出が挙げられる。抽出温度は、加熱抽出であっても良いし、常温抽出や冷温抽出であっても良く、抽出物の使用用途や抽出溶媒等によって、適宜選択できる。
【0014】
本発明の抽出物は、抽出した溶液のまま用いても良いが、必要に応じて、本発明の効果を奏する範囲で、濃縮(減圧濃縮、膜濃縮等による濃縮)、希釈、濾過、活性炭等による脱色、脱臭等の処理を行ってから用いても良い。更には、抽出した溶液を濃縮乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥等の処理を行い、乾燥物として用いても良い。
【0015】
本発明のメラニン生成抑制剤、コラーゲン産生促進剤、抗酸化剤及び食品組成物は、上記抽出物をそのまま使用しても良く、抽出物の効果を損なわない範囲内で、化粧品、医薬部外品、医薬品又は食品等に用いられる成分である油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、金属石鹸、pH調整剤、防腐剤、香料、保湿剤、粉体、紫外線吸収剤、増粘剤、色素、酸化防止剤、美白剤、キレート剤、賦形剤、皮膜剤、甘味料、酸味料等の成分が含有されていても良い。
【0016】
本発明のメラニン生成抑制剤、コラーゲン産生促進剤、抗酸化剤及び食品組成物の剤形としては、例えば、化粧水、クリーム、乳液、ゲル剤、エアゾール剤、エッセンス、パック、洗浄剤、浴用剤、ファンデーション、打粉、口紅、軟膏、パップ剤、錠菓、カプセル剤、チョコレート、ガム、飴、飲料、散剤、顆粒剤、錠剤、糖衣錠剤、カプセル剤、シロップ剤、丸剤、懸濁剤、液剤、乳剤、坐剤、注射用溶液等が挙げられる。
【0017】
外用の場合、本発明に用いる上記抽出物の含有量は、固形物に換算して0.0001重量%以上が好ましく、0.001~10重量%がより好ましい。更に、0.01~5重量%が最も好ましい。0.0001重量%未満では十分な効果は望みにくい。10重量%を越えると、効果の増強は認められにくく不経済である。
【0018】
内用の場合、摂取量は年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なる。通常、成人1人当たりの1日の摂取量としては、5mg以上が好ましく、10mg~5gがより好ましい。更に、20mg~2gが最も好ましい。
【0019】
次に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特に指定のない場合は、実施例に示す%とは重量%を示す。
【実施例1】
【0020】
(製造例1)オオヨモギの熱水抽出物1の調製
オオヨモギ(Artemisia montana)の葉の乾燥物10gに200mLの水を加え、95~100℃で2時間抽出した。得られた抽出液を濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してオオヨモギの熱水抽出物1を1.7g得た。
【0021】
(製造例2)オオヨモギの50%エタノール抽出物の調製
オオヨモギ(Artemisia montana)の葉の乾燥物10gを200mLの50%エタノール水溶液に室温で7日間浸漬し抽出を行った。得られた抽出液を濾過した後、エバポレーターで濃縮乾固してオオヨモギの50%エタノール抽出物を2.1g得た。
【0022】
(製造例3)オオヨモギのエタノール抽出物の調製
オオヨモギ(Artemisia montana)の葉の乾燥物10gを200mLのエタノールに室温で7日間浸漬し抽出を行った。得られた抽出液を濾過した後、エバポレーターで濃縮乾固してオオヨモギのエタノール抽出物を0.5g得た。
【0023】
(製造例4)オオヨモギの1,3-ブチレングリコール抽出物の調製
オオヨモギ(Artemisia montana)の葉の乾燥物10gを200mLの1,3-ブチレングリコールに室温で7日間浸漬し抽出を行った。得られた抽出液を濾過してオオヨモギの1,3-ブチレングリコール抽出物を192g得た。
【0024】
(製造例5)オオヨモギの熱水抽出物2の調製
オオヨモギ(Artemisia montana)の全草の乾燥物10gに200mLの水を加え、95~100℃で2時間抽出した。得られた抽出液を濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してオオヨモギの熱水抽出物2を1.8g得た。
【0025】
(比較製造例1)ヨモギの熱水抽出物の調製
ヨモギ(Artemisia princeps)の乾燥物10gに200mLの水を加え、95~100℃で2時間抽出した。得られた抽出液を濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してヨモギの熱水抽出物を1.7g得た。
【0026】
(比較製造例2)ヨモギの50%エタノール抽出物の調製
ヨモギ(Artemisia princeps)の乾燥物10gを200mLの50%エタノール水溶液に室温で7日間浸漬し抽出を行った。得られた抽出液を濾過した後、エバポレーターで濃縮乾固してヨモギの50%エタノール抽出物を1.4g得た。
【0027】
(比較製造例3)ヨモギのエタノール抽出物の調製
ヨモギ(Artemisia princeps)の乾燥物10gを200mLのエタノールに室温で7日間浸漬し抽出を行った。得られた抽出液を濾過した後、エバポレーターで濃縮乾固してヨモギのエタノール抽出物を0.4g得た。
【実施例2】
【0028】
(処方例1) 化粧水1
処方 含有量(%)
1.オオヨモギの熱水抽出物1(製造例1) 2.0
2.1,3-ブチレングリコール 8.0
3.グリセリン 2.0
4.キサンタンガム 0.02
5.クエン酸 0.01
6.クエン酸ナトリウム 0.1
7.エタノール 5.0
8.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
9.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.) 0.1
10.香料 適量
11.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分1~6及び11と、成分7~10をそれぞれ均一に溶解し、両者を混合し濾過して製品とする。
【0029】
(処方例2) 化粧水2
処方例1において、オオヨモギの熱水抽出物1をオオヨモギの熱水抽出物2(製造例5)に置き換えたものを処方例2とした。
【0030】
(処方例3) クリーム
処方 含有量(%)
1.オオヨモギの50%エタノール抽出物(製造例2) 1.0
2.スクワラン 5.5
3.オリーブ油 3.0
4.ステアリン酸 2.0
5.ミツロウ 2.0
6.ミリスチン酸オクチルドデシル 3.5
7.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
8.ベヘニルアルコール 1.5
9.モノステアリン酸グリセリン 2.5
10.香料 0.1
11.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
12.1,3-ブチレングリコール 8.5
13.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2~9を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1及び11~13を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分10を加え、更に30℃まで冷却して製品とする。
【0031】
(処方例4) 乳液
処方 含有量(%)
1.オオヨモギのエタノール抽出物(製造例3) 0.01
2.スクワラン 5.0
3.オリーブ油 5.0
4.ホホバ油 5.0
5.セタノール 1.5
6.モノステアリン酸グリセリン 2.0
7.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
8.ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(20E.O.) 2.0
9.香料 0.1
10.プロピレングリコール 1.0
11.グリセリン 2.0
12.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
13.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分1~8を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分10~13を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分9を加え、更に30℃まで冷却して製品とする。
【0032】
(処方例5) ゲル剤
処方 含有量(%)
1.オオヨモギの1,3-ブチレングリコール抽出物(製造例4) 1.0
2.エタノール 5.0
3.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
4.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 0.1
5.香料 適量
6.1,3-ブチレングリコール 5.0
7.グリセリン 5.0
8.キサンタンガム 0.1
9.カルボキシビニルポリマー 0.2
10.水酸化カリウム 0.2
11.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2~5と、成分1及び6~11をそれぞれ均一に溶解し、両者を混合して製品とする。
【0033】
(処方例6) パック
処方 含有量(%)
1.オオヨモギの熱水抽出物1(製造例1) 1.0
2.オオヨモギの1,3-ブチレングリコール抽出物(製造例4) 5.0
3.ポリビニルアルコール 12.0
4.エタノール 5.0
5.1,3-ブチレングリコール 8.0
6.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
7.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(20E.O.) 0.5
8.クエン酸 0.1
9.クエン酸ナトリウム 0.3
10.香料 適量
11.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分1~11を均一に溶解し製品とする。
【0034】
(処方例7) ファンデーション
処方 含有量(%)
1.オオヨモギの50%エタノール抽出物(製造例2) 1.0
2.ステアリン酸 2.4
3.ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(20E.O.) 1.0
4.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 2.0
5.セタノール 1.0
6.液状ラノリン 2.0
7.流動パラフィン 3.0
8.ミリスチン酸イソプロピル 6.5
9.カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.1
10.ベントナイト 0.5
11.プロピレングリコール 4.0
12.トリエタノールアミン 1.1
13.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
14.二酸化チタン 8.0
15.タルク 4.0
16.ベンガラ 1.0
17.黄酸化鉄 2.0
18.香料 適量
19.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2~8を加熱溶解し、80℃に保ち油相とする。成分19に成分9をよく膨潤させ、続いて、成分1及び10~13を加えて均一に混合する。これに粉砕機で粉砕混合した成分14~17を加え、ホモミキサーで撹拌し75℃に保ち水相とする。この油相に水相をかき混ぜながら加え、乳化する。その後、冷却し、45℃で成分18を加え、かき混ぜながら30℃まで冷却して製品とする。
【0035】
(処方例8) 浴用剤
処方 含有量(%)
1.オオヨモギのエタノール抽出物(製造例3) 1.0
2.炭酸水素ナトリウム 50.0
3.黄色202号(1) 適量
4.香料 適量
5.硫酸ナトリウムにて全量を100とする
[製造方法]成分1~5を均一に混合し製品とする。
【0036】
(処方例9) 軟膏
処方 含有量(%)
1.オオヨモギの1,3-ブチレングリコール抽出物(製造例4) 1.0
2.オオヨモギの熱水抽出物2(製造例5) 5.0
3.ポリオキシエチレンセチルエーテル(30E.O.) 2.0
4.モノステアリン酸グリセリン 10.0
5.流動パラフィン 5.0
6.セタノール 6.0
7.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
8.プロピレングリコール 10.0
9.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分3~6を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1、2及び7~9を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら30℃まで冷却して製品とする。
【0037】
(処方例10) 散剤1
処方 含有量(%)
1.オオヨモギの熱水抽出物1(製造例1) 1.0
2.乾燥コーンスターチ 39.0
3.微結晶セルロース 60.0
[製造方法]成分1~3を混合し、製品とする。
【0038】
(処方例11) 散剤2
処方例10において、オオヨモギの熱水抽出物1(製造例1)をオオヨモギの熱水抽出物2(製造例5)に置き換えたものを散剤2とした。
【0039】
(処方例12) 散剤3
処方例10において、オオヨモギの熱水抽出物1(製造例1)をオオヨモギの50%エタノール抽出物(製造例2)に置き換えたものを散剤3とした。
【0040】
(処方例13) 錠剤
処方 含有量(%)
1.オオヨモギのエタノール抽出物(製造例3) 5.0
2.乾燥コーンスターチ 25.0
3.カルボキシメチルセルロースカルシウム 20.0
4.微結晶セルロース 40.0
5.ポリビニルピロリドン 7.0
6.タルク 3.0
[製造方法]成分1~4を混合し、次いで成分5の水溶液を結合剤として加えて顆粒成型する。成型した顆粒に成分6を加えて打錠する。1錠0.52gとする。
【0041】
(処方例14) 錠菓1
処方 含有量(%)
1.オオヨモギのエタノール抽出物(製造例3) 2.0
2.乾燥コーンスターチ 49.8
3.エリスリトール 40.0
4.クエン酸 5.0
5.ショ糖脂肪酸エステル 3.0
6.香料 0.1
7.精製水 0.1
[製造方法]成分1~4及び7を混合し、顆粒成型する。成型した顆粒に成分5及び6を加えて打錠する。1粒1.0gとする。
【0042】
(処方例15) 錠菓2
処方例14において、オオヨモギのエタノール抽出物(製造例3)をオオヨモギの熱水抽出物2(製造例5)に置き換えたものを錠菓2とした。
【0043】
(処方例16) 錠菓3
処方例14において、オオヨモギのエタノール抽出物(製造例3)をオオヨモギの50%エタノール抽出物(製造例2)に置き換えたものを錠菓3とした。
【0044】
(処方例17) 飲料
処方 含有量(%)
1.オオヨモギの熱水抽出物1(製造例1) 0.05
2.ステビア 0.05
3.リンゴ酸 5.0
4.香料 0.1
5.精製水 94.8
[製造方法]成分2及び3を少量の水に溶解する。次いで、成分1、4及び5を加えて混合する。
【実施例3】
【0045】
実験例1 メラニン生成抑制試験
対数増殖期にあるB16マウスメラノーマを60mmdishに3×104個播種し、各試料(終濃度は表1に記載)を含むEagle’s MEM(10%FBS含有)培地にて、37℃、5%CO2の条件下で5日間培養した。次に、細胞をdishから剥離し、超音波破砕した後、4N NaOHを加え60℃で2時間の処理を行い、分光光度計を用いて475nmにおける吸光度を測定することでメラニンを定量した。なお、超音波処理後の細胞破砕液についてLowryの方法(J.Biol.Chem.,193,265-275,1951)にてタンパク定量し、タンパク量当りのメラニン量を算出すると共に、試料未添加時のメラニン量をコントロールとし、コントロールに対する試料添加時のメラニン量の値から、メラニン生成抑制率を算出した。
【0046】
【0047】
この試験結果を表1に示した。本発明のオオヨモギの抽出物は、ヨモギの抽出物よりも顕著に優れたメラニン生成抑制効果を有していることが認められた。なお、ヨモギのエタノール抽出物については、10μg/mLで細胞毒性が認められた。これに対して、オオヨモギのエタノール抽出物は、同濃度でも細胞毒性は認められず、優れたメラニン生成抑制効果を示したことから、安全性についても優れていることが確認された。
【0048】
実験例2 コラーゲン産生促進試験
COL1A1 mRNA発現量の測定を行った。ヒト皮膚線維芽細胞を60mm dishに1×105個播種し、10%FBSを含むDMEM培養液にて、37℃、5%CO2条件下で培養した。コンフルエントな状態になったところで、各試料(終濃度は表2に記載)を添加したDMEM(-)培養液にて24時間培養した後、総RNAの抽出を行った。細胞からの総RNAの抽出はRNAiso Plus(タカラバイオ)を用いて行い、総RNA量は分光光度計(NanoDrop)を用いて260nmにおける吸光度により求めた。mRNA発現量の測定は、細胞から抽出した総RNAを基にしてリアルタイムRT-PCR法により行った。リアルタイムRT-PCR法には、High Capacity RNA-to-cDNA Kit(Applied Biosystems)及びSYBR Select Master Mix(Applied Biosystems)を用いた。即ち、500ngの総RNAを逆転写反応後、PCR反応(95℃:15秒間、60℃:60秒間、40cycles)を行った。その他の操作は定められた方法に従い、COL1A1 mRNAの発現量を、内部標準であるβ―actin mRNAの発現量に対する割合として求めた。COL1A1発現促進率は、コントロール(試料未添加)群のCOL1A1 mRNAの発現量に対する試料添加群のCOL1A1 mRNAの発現量の比率として算出した。なお、各遺伝子の発現量の測定に使用したプライマーは次の通りである。
【0049】
COL1A1用のプライマーセット
AGGACAAGAGGCATGTCTGGTT(配列番号1)
TTGCAGTGGTAGGTGATGTTCTG(配列番号2)
β―actin用のプライマーセット
CACTCTTCCAGCCTTCCTTCC(配列番号3)
GTGTTGGCGTACAGGTCTTTG(配列番号4)
【0050】
【0051】
この実験結果を表2に示した。その結果、本発明のオオヨモギの抽出物は、ヨモギの抽出物よりも顕著に優れたコラーゲン産生促進効果を有していることが認められた。
【0052】
実験例3 DPPHラジカル消去試験(抗酸化試験)
活性酸素種として、安定なフリーラジカルであるα,α-ジフェニル-β-ピクリルヒドラジル(以下DPPHとする)を用い、試料と一定の割合で一定時間反応させ、減少するDPPHの量を、分光光度計を用いて517nmにおける吸光度の減少量から測定した。
【0053】
DPPHラジカル消去効果の測定方法
各試料(終濃度は表3に記載)を添加した0.1M酢酸緩衝液(pH5.5)0.4mLに無水エタノール0.4mL及び0.5mM DPPH無水エタノール溶液0.2mLを加えて反応液とした。また、油溶性の試料の場合は無水エタノール0.4mLに試料を加えて反応液とした。その後、37℃で30分間反応させ、水を対照として517nmの吸光度(A)を測定した。また、コントロールとして試料の代わりに精製水を用いて吸光度(B)を測定した。DPPHラジカル消去率は、以下に示す式より算出した。
DPPHラジカル消去率(%)=(1-A/B)×100
【0054】
【0055】
これらの試験結果を表3に示した。本発明のオオヨモギの抽出物は、ヨモギの抽出物よりも顕著に優れたDPPHラジカル消去効果を有していることが認められた。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上のことから、本発明のオオヨモギの抽出物は、優れたメラニン生成抑制効果、コラーゲン産生促進効果及び抗酸化効果を有しているので、本発明のオオヨモギの抽出物は、美容分野だけでなく、医療分野にも利用でき、食品、化粧品、医薬部外品及び医薬品等への応用が期待される。
【配列表】