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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】光学サンプルの特性評価
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/17 20060101AFI20231122BHJP
   G01N 21/21 20060101ALI20231122BHJP
   G01N 21/59 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
G01N21/17 Z
G01N21/21 Z
G01N21/59 M
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020551801
(86)(22)【出願日】2019-04-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 IB2019052852
(87)【国際公開番号】W WO2019197959
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-04-05
(31)【優先権主張番号】62/654,460
(32)【優先日】2018-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518010049
【氏名又は名称】ルムス エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】Lumus Ltd.
【住所又は居所原語表記】8 Pinchas Sapir Street, 7403631 Ness Ziona, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルダアグ,カイム
(72)【発明者】
【氏名】ラビ,ツォフィア
(72)【発明者】
【氏名】アルモニ,ドロール
(72)【発明者】
【氏名】ゲルベルグ,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ラビアン,ヨセフ
(72)【発明者】
【氏名】ゴールドスタイン,ネタネル
(72)【発明者】
【氏名】シャーリン,エラド
(72)【発明者】
【氏名】ラビ,エラド
(72)【発明者】
【氏名】グリーンスタイン,コビ
(72)【発明者】
【氏名】シャピラ,アミール
(72)【発明者】
【氏名】ジロ,モルデカイ
(72)【発明者】
【氏名】アイゼンフェルト,ティシオン
【審査官】三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-526981(JP,A)
【文献】特開2010-014705(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0233824(US,A1)
【文献】特開2001-021448(JP,A)
【文献】特開2000-074825(JP,A)
【文献】特開2008-058091(JP,A)
【文献】特開2005-308717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/01
G01N 21/17 - G01N 21/61
G01M 11/00 - G01M 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学材料サンプルの光学試験のための装置であって、
(a)回転可能なアセンブリーであって、
(i)円筒体であって、前記円筒体の高さ軸の軸線上に中央の窪みを有し、前記窪みは光学材料サンプルの少なくともコア領域を収容するように寸法決めされる、円筒体と、
(ii)前記軸線に位置合わせされ、および前記円筒体の高さ軸のまわりで前記回転可能なアセンブリーを回転させるように作動可能なターンテーブルと、
(iii)前記窪みを含む差込口であって、前記差込口は、光学材料サンプルの少なくとも一部を収容するように寸法決めされ、および、前記差込口は、一定量の屈折率整合流体を収容し、前記円筒体の窪みと、前記ターンテーブルを実装する下部は、前記差込口の前記窪みの底に密閉をもたらし、結果として前記流体が前記コア領域を囲み、および前記流体が少なくとも前記コア領域に接触しており、および、前記円筒体に接触している、差込口、を含む、回転可能なアセンブリーと、
(b)光源および光検器であって、
(i)前記円筒体の直径に沿って前記軸線に位置合わせされ、光ビームが前記軸線を横切るように配置される、前記光源および前記光検器の光学配置と、
(ii)シリンダの第1の側の表面領域に垂直な光ビームを提供する光源である、前記光源と、
(iii)シリンダの第2の側の表面領域に垂直な光ビームを受け入れる光検器である、前記光検器と、を含む、光源および光検器と、
(c)前記光検器によって出力信号を捕捉し、前記出力信号に基づいて、角度範囲内の角度でプレートのコア領域の透過率または反射率の少なくとも一方を計算するように構成されたコントローラーを、含む装置。
【請求項2】
前記光学配置を収容するための、および、前記光源と前記光検知器の位置合わせのために調節可能な搭載配置をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記差込口に対してサンプルの位置決めを固定するクランプ機構をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記回転可能なアセンブリーに作動的に接続され、回転可能なアセンブリーを回転させるために作動可能であるモーター、および、前記回転可能なアセンブリーに作動的に接続され、かつ前記回転可能なアセンブリーの少なくとも回転角に関する位置情報を提供するために作動可能なエンコーダー、をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記円筒体、サンプル、および前記流体の屈折率は等しいことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記円筒体および光学材料サンプルが、同じ光学的に透光性の固体材料でできていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記円筒体は、前記円筒体の前記高さ軸に対して平行に、対称であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記円筒体は、
(a)動かない、
(b)1つの軸線において回転可能、
(c)予め定義された角度範囲内で回転可能、および、
(d)サンプルに対する法線から±90度回転可能、
からなる群に従って位置することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
サンプルの前記コア領域は、光ビームがサンプルに当たり、サンプルの検査が実行される、サンプルの場所であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
(a)前記差込口は、
(i)前記円筒体の円筒体直径に沿った方向にある差込口幅を有し、前記差込口幅は前記円筒体直径より小さく、および、
(ii)前記差込口幅に対して平行ではない差込口厚を有し、前記差込口厚は前記円筒体の第1の側と第2の側の間であり、
(b)サンプルは、
(i)前記円筒体直径に沿った方向にプレート幅を有し、前記差込口幅は前記プレート幅より大きく、および、
(ii)前記プレート幅に対して平行ではないプレート厚を有し、前記差込口厚は前記プレート厚より大きい、ことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記差込口幅と前記プレート幅は平行に位置合わせされることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記差込口は0.5立方センチメートルから50立方センチメートルの流体を含むように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
サンプルは、
(a)ガラスプレート、
(b)コーティングされたガラスプレート、
(c)薄膜偏光子、
(d)プラスチック製偏光子、および、
(e)1/4波長フィルター、
からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記光学材料サンプルはサンプルへの入射光を操作するために使用されるコーティングを施されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記光学配置は、
学的な光ビームを調製し、前記円筒体に前記光学的な光ビームを入力する平行光学系であって、少なくとも2自由度で調節可能な前記平行光学系を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
学的な光ビームの光学経路は前記円筒体と前記流体を通り、および、前記光学経路の大部分は前記円筒体を通ることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
請求項1の装置に作動的に接続されたコントローラーであって、前記コントローラーは、
(a)前記円筒体の第1の側の表面領域に対して法線方向の光学的な光ビームの入力を開始し、
(b)光ビームの経路が、前記円筒体の第1の側を経由して前記窪みに達するまで通過し、その後、第1の側から、サンプルの第1の側の前記窪みの中の流体の中へと通過し、サンプルを通って、サンプルの他の側の流体を通って、前記円筒体の第2の側の中へ、第2の側を通過し、出力信号として、前記円筒体の第2の側の表面領域に対して法線状に外に出るように、前記円筒体を位置させ、および、
(c)前記光検知器による前記出力信号の捕捉を起動する、ように構成されるコントローラー。
【請求項18】
前記コントローラーは、
(a)前記光ビームの経路に対して前記円筒体をサンプルの第1の角度に配置した後、(b)サンプルが前記光ビームの経路に対して第2の角度にあるように、前記円筒体を回転させ、および、
(c)前記捕捉と前記回転移動を繰り返す、
ようにさらに構成される、請求項17に記載のコントローラー。
【請求項19】
光学材料サンプルの光学試験のための方法であって、前記方法は、
(a)請求項1の装置を提供する工程、
(b)前記円筒体の第1の面の表面領域に対して法線方向の、光学的な光ビームを入力する工程、
(c)光ビームの経路が、前記円筒体の第1の側を経由して前記窪みに達するまで通過し、その後、第1の側から、サンプルの第1の側の前記窪みの中の流体の中へと通過し、サンプルを通って、サンプルの他の側の流体を通って、前記円筒体の第2の側の中へ、第2の側を通過し、出力信号として、前記円筒体の第2の側の表面領域に対して法線状に外に出るように、前記円筒体を位置させ、および、
(d)前記光検知器によって前記出力信号を捕捉する工程、を含む方法。
【請求項20】
(a)前記光ビームの経路に対して前記円筒体をサンプルの第1の角度に配置する前記工程の後、
(b)サンプルが光ビームの経路に対して第2の角度にあるように、前記円筒体を回転させる工程、および、(c)前記捕捉する工程と前記回転させる工程を繰り返す工程をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
光学試験の結果を計算するために前記捕捉する工程によって収集されたデータを処理する工程をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
(a)サンプルを通過するように前記光学的な光ビームを入力する工程の前に、
(b)サンプルを伴わない前記円筒体に対して前記光学的な光ビームを入力することによってバックグラウンドノイズを測定する工程、をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
(a)前記バックグラウンドノイズを測定する工程に続いて、および、
(b)サンプルを通過するように前記光学的な光ビームを入力する工程の前に、
(c)コーティングされているサンプルの屈折率と同じ屈折率を有するコーティングされていないサンプルを使用することによって、コーティングされていないプレートを測定する工程をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体的に光学試験に関し、および、それは特にコーティングの全範囲試験に関する。
【背景技術】
【0002】
光学系、特にコーティングを測定するための現在の技術は、角度が小さな範囲に、または、一組の少数の個々の角度に制限されており、および/または屈折による著しい問題を有している。一般に、測定結果において、一貫性および/または精度が欠けている。
【発明の概要】
【0003】
本発明の実施形態の教示に従って、光学材料サンプルの光学試験のための装置が提供され、前記装置は:回転可能なアセンブリーであって:一般円筒体であって、前記一般円筒体の軸線上に中央の窪みを有し、前記窪みは光学材料サンプルの少なくともコア領域を収容するように寸法決めされる、一般円筒体と、前記軸線に位置合わせされ、および前記一般円筒体の高さ軸のまわりで前記回転可能なアセンブリーを回転させるように作動可能なターンテーブルと、前記窪みを含む差込口であって、前記差込口は、光学材料サンプルの少なくとも一部を収容するように寸法決めされ、および前記差込口は、一定量の屈折率整合流体を収容するために密閉され、結果として前記流体が前記コア領域を囲み、および前記流体が少なくとも前記コア領域に接触しており、および、一般円筒体に接触している、差込口、を含む、回転可能なアセンブリーと、光学配置であって、前記軸線に位置合わせされ、一般円筒体の第1の側における表面領域に対して法線状の光学的な光ビームを供給する光源を含み、および、一般円筒体の第2の側における表面領域に対して法線状の光学的な光ビームを受け入れる光検知器を含む、光学配置、を含む。
【0004】
随意の実施形態において、さらに、光学配置を収容するための、および、光源と光検知器の位置合わせのために調節可能な、搭載配置が含まれる。別の随意の実施形態において、差込口に対してサンプルの位置決めを固定するクランプ機構がさらに含まれる。別の随意の実施形態において、回転可能なアセンブリーに作動的に接続され、回転可能なアセンブリーを回転させるために作動可能であるモーター、および、回転可能なアセンブリーに作動的に接続され、かつ回転可能なアセンブリーの少なくとも回転角に関する位置情報を提供するために作動可能なエンコーダーが、さらに含まれる。
【0005】
別の随意の実施形態において、一般円筒体は以下のものからなる群から選ばれる:円筒、および、角柱。
【0006】
別の随意の実施形態において、一般円筒体、サンプルおよび流体の屈折率は、実質的に等しい。別の随意の実施形態において、一般円筒体および光学材料サンプルは同じ光学的に透光性の固体材料でできている。別の随意の実施形態において、一般円筒体は、前記一般円筒体の高さ軸に対して平行に、実質的に対称である。
【0007】
別の随意の実施形態において、一般円筒体は、動かない、1つの軸線において回転可能、2つ以上の軸線において回転可能、予め定義された角度範囲内で回転可能、および、サンプルに対する法線から±90度回転可能、のいずれかであるように位置する。別の随意の実施形態において、サンプルのコア領域は、光ビームがサンプルに当たり、サンプルの検査が実行される、サンプルの場所である。
【0008】
別の随意の実施形態において、差込口は、一般円筒体の円筒体直径に沿った方向に差込口幅を有し、前記差込口幅は前記円筒体直径より小さく、および、差込口幅に対して平行ではない差込口厚を有し、前記差込口厚は前記一般円筒体の第1の側と第2の側の間であり、および、サンプルを有し、前記サンプルは、円筒体直径に沿った方向にプレート幅を有し、前記差込口幅は前記プレート幅より大きく、および、前記プレート幅に対して平行ではないプレート厚を有し、前記差込口厚は前記プレート厚より大きい。
【0009】
別の随意の実施形態において、差込口幅およびプレート幅は実質的に平行に位置合わせされる。別の随意の実施形態において、差込口は0.5立方センチメートル(cc)から50ccの流体を含むように構成される。
【0010】
別の随意の実施形態において、サンプルは、ガラス板、コーティングするガラス板、薄膜偏光子、プラスチック製偏光子、および1/4波長フィルター、からなる群から選ばれる。別の随意の実施形態において、光学要素は、サンプルへの入射光を操作するために使用されるコーティングを施される。
【0011】
随意の実施形態において、「大部分」は以下のものからなる群から選ばれる:51%、80%、90%、95%、および98%。
【0012】
別の随意の実施形態において、光学配置は次のものを含む:光学的な光ビームを調製し、一般円筒体に光学的な光ビームを入力する、少なくとも2自由度で調節可能な、平行光学系。別の随意の実施形態において、光学的な光ビームの光学経路は一般円筒体と流体を通り、および、光学経路の大部分は一般円筒体を通る。
【0013】
本発明の実施形態の教示によると、請求項1の装置に作動的に接続されたコントローラーが提供され、前記コントローラーは:一般円筒体の第1の側の表面領域に対して法線状の光学的な光ビームの入力を開始し;光ビームの経路が、一般円筒体の第1の側を経由して前記窪みに達するまで通過し、その後、第1の側から、サンプルの第1の側の前記窪みの中の流体の中へと通過し、サンプルを通って、サンプルの他の側の流体を通って、前記一般円筒体の第2の側の中へ、第2の側を通過し、出力信号として、前記一般円筒体の第2の側の表面領域に対して法線状に外に出るように、前記一般円筒体を位置させ;および、光検知器による出力信号の捕捉を起動するように、構成される。
【0014】
随意の実施形態において、コントローラーは、光ビームの経路に対して一般円筒体をサンプルの第1の角度に配置した後、サンプルが光ビームの経路に対して第2の角度にあるように、一般円筒体を回転させて、捕捉と回転移動を繰り返すように、さらに構成される。
【0015】
本発明の実施形態の教示によると、光学材料サンプルの光学試験のための方法が提供され、前記方法は:光学材料サンプルを光学試験するための装置を提供する工程、一般円筒体の第1の面の表面領域に対して法線状の光学的な光ビームの入力する工程;光ビームの経路が、一般円筒体の第1の側を経由して前記窪みに達するまで通過し、その後、第1の側から、サンプルの第1の側の前記窪みの中の流体の中へと通過し、サンプルを通って、サンプルの他の側の流体を通って、前記一般円筒体の第2の側の中へ、第2の側を通過し、出力信号として、前記一般円筒体の第2の側の表面領域に対して法線状に外に出るように、前記一般円筒体を位置させ;および、光検知器によって出力信号を捕捉する工程、を含む。
【0016】
随意の実施形態において、さらに、光ビームの経路に対して一般円筒体をサンプルの第1の角度に配置する工程の後、サンプルが光ビームの経路に対して第2の角度にあるように、一般円筒体を回転させる工程、および、前記捕捉する工程と前記回転させる工程を繰り返す工程が含まれる。
【0017】
別の随意の実施形態において、さらに、光学試験の結果を計算するために前記捕捉する工程によって収集されたデータを処理する工程が含まれる。
【0018】
別の随意の実施形態において、さらに、サンプルを通過するように光学的な光ビームを入力する前に、サンプルを伴わない一般円筒体に対して光学的な光ビームを入力することによってバックグラウンドノイズを測定する工程が含まれる。別の随意の実施形態において、さらに、バックグラウンドノイズを測定する工程の後に続いて、および、サンプルを通過するように光学的な光ビームを入力する工程の前に、コーティングされているサンプルの屈折率と同じ屈折率を有するコーティングされていないサンプルを使用することによって、コーティングされていないプレートを測定する工程をさらに含む。
【0019】
本発明の実施形態の教示によると、光学材料サンプルの光学試験のためのコンピューター可読コードが埋め込まれた、非一時的なコンピューター可読記憶媒体が提供され、前記コンピューター可読コードは、一般円筒体の第1の側の表面領域に対して法線状の、光学的な光ビームの入力を開始し;光ビームの経路が、一般円筒体の第1の側を経由して前記窪みに達するまで通過し、その後、サンプルの第1の側の前記窪みの中の流体の中へと通過し、サンプルを通って、サンプルの他の側の流体を通って、前記一般円筒体の第2の側の中へ、第2の側を通過し、出力信号として、前記一般円筒体の第2の側の表面領域に対して法線状に外に出るように、前記一般円筒体を位置させ;および、光検知器による出力信号捕捉を起動するための、プログラムコードを含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
実施形態は、添付の図面を参照してほんの一例として本明細書に記載されている。
図1A】全範囲の光学サンプル特性評価(検査)のための装置の概略図である。
図1B】装置の断面の概略図ある。
図2】円筒体の平面概略図である。
図3】円筒体の側面概略図である。
図4】検査中に回転した、コーティングされたプレートを伴う円筒体の平面概略図である。
図5A】光学的なサンプルの透過率を試験するための槽-治具(bath-jig)装置の概略図である。
図5B】槽-治具装置の断面概略図である。
図6A】光学サンプルの特性評価の方法のフローチャートである。
図6B】光学サンプルの特性評価のための試験方法を使用する、試験の手順のフローチャートである。
図7A】角度(X軸)対透過率(y軸)のグラフである。
図7B図7Aの透過率グラフのクローズアップ(ズームイン)である。
図8】典型的なコントローラーの上層部の部分的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な記載 -装置- 図1Aから図4
本発明の実施形態に係る装置および方法の原則と作動は、図面および付随する記載を参照して一層よく理解されることもある。本発明は、光学サンプルの特性評価のための装置および方法である。本発明は、空気よりも高い屈折率を有するガラスを通る光の伝搬の全角度範囲の測定および試験を容易にする。
【0022】
一般に、革新的である回転可能なアセンブリーは、窪みを有するガラス円筒体を含む。前記窪みは回転可能なアセンブリーにおける差込口の一部である。差込口は異なるサイズのコーティングされたガラスプレートのために寸法決めされる。差込口は、ガラス円筒体の屈折率と一致する屈折率を有する流体も含んでいる。光ビームは、試験光源から、平行光学系を介して、円筒体の表面に法線状(90度)に進入するように伝搬し、前記円筒体を通って、その後、屈折率整合流体を介して、コーティング、(コーティングされた)ガラスプレート、前記流体、前記円筒体の他の側、を通って伝搬し、および分析のために集められる。コーティングされたプレートを囲む屈折率整合流体に少なくとも部分的に起因して、前記プレートは、コーティングの全範囲試験におけるあらゆる個々の角度のために、全角度範囲(例えば±90度)を通じて回転することができる。好ましくは、円筒体とプレートは同じ材料でできており、それにより、一致する屈折率を有している。典型的な材料の例はBK7ガラスであるが、この具体例は制限するものではなく、他のガラスおよびガラス以外の他の材料をテストすることができる。この装置と方法は、コーティングされたプレートの反射率を直接測定するために使用することもできる。
【0023】
現在のデバイスおよび方法は、ガラスに対する投射角の全範囲にわたって、現在の、および予見されたコーティングの特性を評価することにおいては十分ではない。従来の技術は、存在する要求を満たすには不十分である。コーティングについて、最大限の角度範囲の、好ましくは、全角度範囲の測定を実施するための技術が要求される。本明細書の文脈において、用語「全範囲」は、一般に180度の領域、または試験されているコーティングされたプレートへの法線に対して、±90度を指す。前記全範囲は、特定の実施のために±90度以外であり得る。これに対して、従来の測定技術は、典型的には空気中で一範囲の個々の角度のみを測定する。例えば、標準の単一または二重ビーム分光光度計に追加された随意の特定の単位によって、空気において70度透過、および空気において45度反射、のように。ガラスに関する測定については、従来手法は、プリズムアセンブリーにおいてコーティングをアセンブルし、次に、±5度までの領域における性能を測定することである。計測角はアセンブリーにおけるプリズムの角度(±5度)に制限される。
【0024】
スネルの法則は、全内部反射(TIR)および材料を通って進む光の経路の依存性に関して、測定されるプレートの入射角を制限する。例えば、一例のガラスから空気へ移動する光を検討する。ある光学媒体から別の光学媒体へ通過する光についてのスネルの法則を使用すると、臨界角θctはガラスへの入射角θ1の値であり、θ2は空気への出射角であり、90度と等しく、すなわち一例のガラスn1と空気n2の屈折率は、それぞれおよそ1.52および1であって41度までの値を与える。したがって、空気中の測定は、ガラスへの41度を超えた角度の測定を再現することができない。
【0025】
この記載における簡潔さのために、用語「コーティングされたプレート」は「プレート」または「コーティング」としても言及される場合があるが、文脈から明白であろう。現在の典型的なプレートの寸法は、70x70mm(ミリメートル)および60x30mmを含む。本明細書の文脈において、用語「コーティングされたプレート」は、一般にプレートの表面に光学コーティングを有するプレートを指す。コーティングは典型的には多層の薄膜フィルムである。この記載において、コーティングされたガラスプレートは全般的に使用されるが、制限せず、および、他の材料および形状が使用されてもよい。一般に、プレートは、光源と光検出器間に自由な非散乱の光学経路をもたらす、任意の、非空気の、形状であり得る。試験装置は、薄膜フィルムまたはプラスチック製偏光子、4分の1波フィルターのような、およびさらに多くの、あらゆる光学材料(サンプル、光学エレメント)のサンプルを測定してもよい。光学フィルター(コーティング)は指定された反射率、透過率、吸収、偏光などへ入射光(コーティングされたプレートへの入射)を操作するために使用される。コーティングを試験(調査および測定)するために、および/またはは、コーティングの実際の性能と指定された必要とされる性能を比較するために、光学測定が使用される。
【0026】
本明細書の装置と方法の実施形態は、特性評価、測定および試験のために使用することができる。装置は、コーティングのデバイスとプロセス(ガラスプレートなどの材料コーティング)のための合否測定を含む、様々な機能のために実行されることができる。本明細書における簡潔さのために、用語「試験」は使用されるが、制限するものと見なされるべきでない。
【0027】
ここで図1Aを参照すると、全範囲の光学サンプル特性評価(試験)装置の概略図であり、および、図1Bは装置の断面の概略図である。試験装置(400)は、本明細書の文脈において全般的に「治具」と呼ばれる。試験装置(400)は、試験における反復性、精度、および互換性をもたらすように、試験されるプレートを保持し、構造を支持し、および要素を誘導する。試験装置(400)は、様々な他の要素が固定される基部(402)を含む。試験される典型的な光学材料は、回転可能なアセンブリーにおける差込口(110)に据え付けられた、コーティングされたプレート(102)である。回転可能なアセンブリーは、円筒体(100)とターンテーブルを含む。円筒体(100)は窪み(111)を含む。ターンテーブルは、モーター(408A)が接続したモーター取り付け領域(408B)を備えた下部(406)によって実装することができる。差込口(110)は屈折率整合流体(112)で満たされる。ポジションピン(410)は、上部(404)と下部(406)の間の円筒体(100)を留めるために使用することができる。流体(112)のための典型的な付帯容器は、リブ(100S)として示される。試験光源(4)は、随意の入力ケーブル(6F)を介して、平行光学系(6)へ光入力信号を供給する。平行光学系(6)は、回転可能な円筒体(100)の中に入力するための入力信号を調製する。出力光学系(106)は、出力集光器(光検出器)(104)に随意の出力ケーブル(104F)を送り込む。
【0028】
参照の便宜上、回転可能な円筒体(100)は本明細書の文脈において円筒体(100)と呼ばれる。回転可能な円筒体(100)は典型的に固体材料であり、光学的な光ビームに対して透過性である。円筒体(100)の形状は、一般に、“general-cylinder”(一般円筒体)として数学の分野において、いくらかの著者に知られているものであり得る。一般円筒体は、円筒体の一形態としてプリズムを含む、固体のカテゴリーとして定義される。円筒体とプリズムの両方の内に差込口(110)を形成することができるとき、用語「一般円筒体」は円筒体またはプリズムのいずれかを使用する実施形態を含めるように使用される。例えば、円筒体の丸い表面は、円筒体(100)の表面に対して実質的に垂直な光の入力と出力を維持している間、あらゆる回転角が円筒体のために(従ってコーティングされたプレート(102)の測定のために)使用されることを可能にする。例えば、5や10といった、限られた個々の測定が必要な場合、10または20の側面を持つ多角形の外周を使用することができ、および18度または9度ずつ刻むようにモーターは制限され得る。さらに一般に、円塔体(100)の形状は、光源(4)から光検知器(104)までの、自由な、非散乱の光学経路を可能にする、随意の、非空気の、形状であり得る。従って、本明細書に基づき、当業者は他の装置およびシステムコンポーネントを設計することができるだろう。
【0029】
様々な入射角およびプレートの領域の試験のために、円筒体(100)は静止しているか、または、プレート(102)を動かすために、単一の軸線において回転するか、または、1つ以上の軸線において回転することができる。本明細書の記載と図面は、固定軸(円筒体の高さ軸)のまわりで回転する円筒体(100)のものだけとなっている。この記載に基づき、当業者は、プレート(102)をより多くの方向で動かし、試験できるものを設計し、実施することができるだろう。
【0030】
参照の便宜上、入力信号は、図の左側から円筒体(100)に進入するように示され、および、対応するラベルされた第1の側は円筒体の左側(100L)である。ラベルされた第2の側は、円筒体の右側(100R)であり、出力集光器(104)に随意の出力ケーブル(104F)を送り込んでいる出力光学系(106)に隣接している。円筒体100が一般的に実質上対称であることは当業者にとって明白だろう。円筒体(100)は水平に回転することができ、および、円筒体の左側(100L)と右側(100R)は交替し得る。非限定的な一例において、円筒体(100)は、中央に差込口(110)のための窪み(111)を備えた単一ピース(ガラスの)としての実装することができる。この場合、円筒体の左側(100L)と円筒体の右側(100R)は、同じピースの両側である。窪み(111)は円筒体の全高さ(上部から下部)に延在する場合があり、または、例えば円筒体におけるポケットを形成するように、部分的である。別の非限定的な一例において、円筒体(100)は、円筒体の第1の、左側(100L)である第1のピースと、円筒体の第2の、右側(100R)である、第2のピース、の2つのピースから形成される。
【0031】
平行光学系(6)と出力光学系(106)は、初期とその後のキャリブレーションの、光ビームの調整を可能とする少なくとも2つの自由度で、好適に調節可能である。例えば、平行光学系(6)および出力光学系(106)は、光ビーム進路のx軸およびy軸に沿って±0.5mmで調整され得る。
【0032】
参照の便宜上、屈折率整合流体(112)は、本明細書の文脈において「流体(112)」と呼ばれる。好ましくは、流体(112)は円筒体(100)のガラスの屈折率と一致する屈折率を有する。好ましくは、円筒体(100)およびプレート(102)は、同じ材料(従って、それぞれの屈折率は一致する)である。特定の率の整合、および要素の屈折率の間の差の範囲に関して、当業者は許容差を認識するであろう。
【0033】
入力ケーブル(6F)および出力ケーブル(104F)は、典型的に光ファイバーであるが、実施の詳細に依存して、どの適切な送信媒体であってもよい。
【0034】
試験装置(400)は、様々な円筒体(100)を支持し、固定するための、上部(404)および下部(406)を典型的に含む。ポジションピン(410)は下部(406)に上部(404)を取り付けるために使用されることができ、上部と下部の間の円筒体(100)を留めて、代替の円筒体(100)、上部(404)および下部(406)が使用されることを容易にする。例えば、上部(404)は、異なるプレートを試験するために、寸法および/または構成の異なる差込口を含む第2の上部に交換することができる。または、例えば、第1の屈折率を有するプレートの試験のために第1の屈折率を有する第1の材料からできている円筒体は、第2の屈折率を有するプレートの試験のために第2の屈折率を有する第2の材料からできている円筒体に取り替えることができる。別の一例において、円筒体、上部、および下部はすべて、より厚いプレートを試験するために、または異なる形状の、例えば丸い、光学サンプルを試験するために異なる形状の差込口を形成するために、より広い/厚い差込口を有する(形成する)、代替の要素に取り替えられる。
【0035】
円筒体(100)は様々な手段によって回転させることができる。本図において、典型的なモーター取り付け領域(408B)は、下部(406)の底に提供され、モーター(408A)が接続した状態で示される。モーター(408A)は、下部(406)との典型的な組合せにおけるこの場合に、円筒体(100)の高さ軸のまわりで円筒体(100)を回転させるための一般的なターンテーブルとして機能する。円筒体(100)とターンテーブルは、回転可能なアセンブリーを形成する。回転可能なアセンブリーを回転させることは、円筒体(100)を回転させ、それによって、差込口(110)とサンプル(コーティングされたプレート(102))を回転させる。コントローラー(800)は、本図におけるモーター(408A)に作動的に接続され、および、明確性のために、すべての図面には示されていない。回転可能なアセンブリーに作動的に接続されたエンコーダーは、図面において示されていない。エンコーダーは、回転可能なアセンブリーの少なくとも回転角に関する位置情報を提供し、従って、コーティングされたプレート(102)の位置は、円筒体(100)の軸線に対して、および、コーティングされたプレート(102)(試験される光学サンプル)への法線に関する角度に対して知られる。当該技術分野において既知であるように、位置エンコーダーはモーター(408A)の一部であるか、または分離した構成要素であり得る。
【0036】
反射率測定のために、出力光学系(106)は、試験中のプレート(102)から反射されたビームを集めるために、典型的には図面において示されたのとは異なる角度に配置される。
【0037】
基部(402)は、特定の試験の構成に応じて、モーター(408A)、モーター取り付け領域(408B)、下部(406)などの、様々な治具構成要素のために、および、光学的配置(光学試験光源(4)、入力ケーブル(6F)、平行光学系(6)、出力光学系(106)、出力ケーブル(104F)、および出力集光器(104))を収容し、調節し、および、位置合わせするために、搭載配置を提供する。
【0038】
ここで図面を参照すると、図2は円筒体(100)の平面の概略図である。随意の入力ケーブル(6F)および随意の出力ケーブル(104F)は、本図において示されていない。試験光源(4)は、平行光学系(6)に光入力信号を供給する。同様に、出力光学系(106)は出力集光器(104)に供給する。随意に、光入力信号は、固定レンズの後または前に、偏光子および90度±1度回転装置を介して入力される。コーティングされたプレート(102)は、差込口(110)に固定され、流体(112)に囲まれる。本平面図において、流体(112)のための付帯容器は示されない。本明細書に基づいて、当業者は、例えば、円筒体(100)のまわりで拡張された上部(404)を使用することによって、流体のための適切な容器を設計し、実装することができるだろう。コントローラー(800)は、典型的に少なくとも試験光源(4)および出力集光器(104)に作動的に接続される。
【0039】
プレート(102)は、プレート幅(102W)として第1の次元を水平に(本図のページの上下方向に、円筒体(100)の軸に沿って)有し、および、プレート厚(102T)として(本図のページの左右方向に)示された第2の次元を有している。同様に、および、類似して、差込口(110)は、第1の次元を差込口幅(110W)(本図のページの上下方向に、円筒体(100)の軸に沿って)有し、および、差込口厚(110T)として(本図のページの左右方向に)示された第2の次元を有している。差込口幅(110W)は、流体(112)のための付帯容器の実装寸法に応じて、円筒体(100)の直径(100W)よりわずかに小さいものであり得る。上に留意されるように、本図において、付帯容器は示されておらず、および、差込口幅(110W)は円筒体(100)の直径(100W)と同じ寸法で示される。差込口厚(110T)は、円筒体の左側(100L)と円筒体の右側(100R)の間の距離である。あるいは、差込口幅(110W)は、円筒体の直径(100W)とは異なる寸法、例えば、円筒体の直径(100W)より小さい差込口幅(110W)であり得る。
【0040】
典型的には、プレート(102)と差込口(110)は実質的に平行であり、すなわち、プレートの幅(プレート幅(100W))と差込口の幅(差込口幅(110W))は位置合わせされる。差込口(110)の両側面(プレート(102)の測定を実行するために使用される差込口(110)の領域から遠い、差込口のエッジ)は、典型的には平行であるが、平行であることは必須ではない。必要とされる特定の測定に応じて、差込口のエッジにおける差込口の両側面の間の距離は、測定が実行されるコア領域(110C)における差込口の両側面の間の距離よりも接近している場合も、または、好適には、より遠く離れている場合もある。「クリティカルエリア」としても知られるコア領域(110C)は、コーティングが試験される場所であり、すなわち、光ビームがコーティングされたプレート(102)に遭遇する場所である。典型的には、コア領域(110C)は小さく、および、差込口(110)の残りの領域は、主としてサンプルテストのプレート(102)を支持するように設計することができる。典型的なコア領域(110C)は、±10mmに定められた最小の円筒体測定区画を含む。
【0041】
試験装置(400)の本実施形態の1つの特徴は、槽-治具(500)の槽(5100)と比較すると、差込口(110)が小さいことである。流体の槽を使用する代替の実施形態は、図5Aの槽-治具(500)を参照して記載される。槽(5100)は、典型的には300cc(立方センチメートル)から2000ccの流体を保持する。従来の槽は最低限300ccの流体を必要とし、そうでなければ、流体の水準が光源の入出力より低く、および、測定は(流体中ではなく)空気中になるであろう。典型的には、槽の体積はおよそ500~600ccである。
【0042】
これに対して、差込口(110)は、典型的には0.5ccから50ccの流体を保持する。差込口(110)は、プレート(102)の大小各種を適応させるために1以上の次元において調整可能であり得る。試験装置(400)の本実施形態の別の特徴は、円筒体(100)が回転可能なアセンブリーの一部として回転するということであり、従って、試験されるサンプル、コーティングされたプレート(102)は流体(112)と差込口(110)に対して静止している。これに対して、槽-治具(500)のうち、サンプル(コーティングされたプレート(102))は、屈折率整合流体内で、つまり槽(5100)内で回転する。流体(112)の高粘度により、槽-治具(500)内の流体(112)におけるプレート(102)の回転は、流体(112)に外乱を引き起こし、および、今度は、これが測定されるスペクトルに影響を及ぼす。この問題は、円筒体(100)のユーザーによって少なくとも部分的に解決される。
【0043】
ここで図面を参照して、図3は、円筒体(100)と下部(406)の側面から見た断面の概略図である。プレート(102)にはプレート高(102H)としての垂直に(本図のページ上の上下方向、円筒体(100)の高さ軸に沿って)示された第3の次元がある。同様に、および類似して、差込口(110)には差込口高(110H)として示された第3の次元がある。差込口高(110H)は、円筒体(100)の円筒体高(100H)と同じ寸法でありえる。あるいは、差込口高(110H)は円筒体高(100H)とは異なる寸法でありえる。例えば、円筒体の左側(100L)と右側(100R)間の窪み(111)の中で窪み(111)の底に流体を封じ込める措置(密封)を許容するために、差込口高(110H)は円筒体高(100H)より小さくなり得る。または、例えば、本図において示されたように、差込口高(110H)は円筒体高(100H)より大きくなってもよく、および、下部(406)は、差込口(110)の窪みの底(より下に)に密閉をもたらす。
【0044】
ここで図面を参照すると、図4は、試験の間に回転した、コーティングされたプレート(102)を伴う円筒体(100)の平面概略図である。この非限定的な一例において、コーティングされたプレート(102)は、上記の図において示される開始位置から時計回りにほとんど90度回転している。
【0045】
本図において見られるように、光ビーム(420)、この場合は光学の光(試験信号としての)、は、試験光源(4)(随意の入力ケーブル(6F)は示されない)によって供給された(420A)である。供給された光ビーム(420A)は、平行光学系(6)によって調製および平行化され、次に、回転可能な円筒体(100)の表面領域に対して法線状に入力される(420B)。円筒体(100)の形状の精度は、プレート(102)上のコーティングの測定が要求する精度によって確定することができる。光ビームは、円筒体の(左側(100L)を介して差込口(110)に達するまで(420C)を進む。光ビームは、円筒体の左側(100L)から差込口(110)の中の流体(112)の中へ、コーティングされたガラスプレート(102)(ガラスプレート上のコーティングは図示されないことに留意せよ)を通って、プレート(102)の反対側の流体(112)を通って、そして、円筒体の右側(100R)の(420E)の中へと、(420D-420E)を通過する。その後、信号は円筒体右側(100R)の(420F)を通過し、そして、回転可能な円筒体(100)の表面に対して垂直に(420G)を出る。出力光学系(106)は、出力信号(420H)を出力集光器(104)へ渡す(随意の出力ケーブル(104F)は本図において示されない)。
【0046】
円筒体が1つの円周表面しか持たないため、光学の光ビームを入力し、光学の光ビームを出す/出力することへの言及は、表面の様々な領域または部分に及ぶ。同様に、ページに示された図において見ることができるように、円筒体の第1の側と第2の側は、方向参照である。
【0047】
詳細な記載 -代替装置- 図5Aから5B
ここで図面を参照すると、図5Aは、光学のサンプルの透過率を試験するための槽-治具装置の概略図であり、および、図5Bは、槽-治具装置の断面の概略図である。試験槽-治具装置(500)は、本明細書の文脈において一般的に「槽-治具」(500)と呼ばれる。試験装置(治具)(400)に類似して、槽-治具(500)は、試験されるプレートを保持し、構造を支持し、および要素を誘導する。槽-治具(500)は、様々な他の要素が固定される基部(5402)を含む。試験されるコーティングされたプレート(102)は、槽(5100)内のプレート載置部(5110)に据え付けられる。槽(5100)は、槽-治具(500)の、流体を包含するために構築された領域である。槽(5100)は、流体封じ込め領域として設計された、槽-治具(500)内部の中空空間である。槽(5100)は、屈折率整合流体(112)で充填される(本図では示されない)。試験光源(4)は、随意の入力ケーブル(6F)(図示せず)を介して、平行光学系(5006)へ光入力信号を供給する。平行光学系(5006)(調製およびフォーカス)は、槽(5100)の中への入力信号を平行にする。
【0048】
プレート載置部(5110)は様々な手段によって回転させることができる。本図において、典型的なモーター取り付け領域(5408B)は、槽(500)の上部に提供され、モーターが接続した(5408A)状態で示される。
【0049】
図5Bにおいて見られるように、光ビーム(5420)は(この場合光学の光)、試験光源(4)によって供給される(5420A)。供給された(5420A)光ビームは、平行光学系(5006)によって調製および拡張され、および槽(5100)内の流体(112)の中を通過する。その後、光ビームは槽(5100)内の流体(112)を通って、コーティングされたガラスプレート(102)(ガラスプレート上のコーティングは示されていないことに留意されたい)を通って、(プレート(102)の)反対側の流体(112)を通って(5420F)進む(5420C)。槽(5100)が屈折率整合流体(112)で満たされるため、槽-治具(500)を通る光ビームのこの進行は、実質上、屈折を伴わない。その後、信号は、流体(112)から出力光学系(5106)へと抜け出し(5420E)、出力集光器(104)に出力信号を与える(5420H)。
【0050】
内部槽(5100)、プレート載置部(5110)、コーティングされたプレート(102)、および他の構成要素が見られることを可能にする随意の前面窓(5130F)および背面窓(5130B)を備えた槽-治具(500)が示される。
【0051】
試験装置(治具)(400)および槽-治具(500)の両方は、随意の構成、付加的な構成、および代替的な構成を含み得る。ある代替案において、治具は、流体(112)から溶存空気を引き出すために、バキュームベルなどの減圧手段を含めるように応用され得る。別の代替案において、治具における動揺を扱い、および防ぐために、機械的な、および/または他の拡張機能を使用することができる。光ファイバーに対して硬い固定(剛体ルーティング)を使用することができる。差込口(110)およびプレート載置部(5110)は、様々な寸法のプレート(102)が適合するように調整可能であり得る。ポジションピン(410)に関して上に記載されるように、治具、上部(404)、および下部(406)は、異なる屈折率の円筒体と交換を容易にし、および作業(例えばサンプルの配置や掃除)を簡単にするために、分離可能(取り外し可能に取り付けられる)であり得る。
【0052】
治具のための付加的な代替案は、治具全体を覆うための暗(光不透過)箱、プレート(102)を引っ掻かないようにするための試験プレート用の動的なプレート差込口、エンジンおよび駆動機構を含む回転ステージ、随意の内部洗浄機構、大気泡抽出機構(貯留領域)、および、サンプルプレート絞り器を含み得る。
【0053】
詳細な記載 -方法- 図6Aから図7B
ここで参照する図6Aは、光学サンプル特性評価の方法のフローチャートである。下の試験手順に記載されるように、本方法は試験装置(治具)(400)および槽-治具(500)の両方に使用することができる。光学サンプルの特性評価のための試験方法(610)は工程(600)から始まり、光ビーム(420)を円筒体(100)に対して法線状に供給する。この記載の文脈から当業者にとって明らかであるように、光ビームは、典型的に光学的な光ビームであり、「入力光」または単に「光」として言及される。円筒体(100)に一定の法線状の光を供給することは、光の大部分が円筒体(100)の中へと結合することを促進し、その結果、円筒体に進入する際の光の損失がまったく、あるいはほとんど起こらない。典型的なコーティングは、可視スペクトルの一部を伝達し、および、別の部分を反射するフィルター、1つの偏波状態を伝達して別の偏波状態を反射する偏光フィルター、または、可視光線の一部を吸収する吸収コーティング、を含む。
【0054】
工程(601)において、以下に記載されるように、随意の構成が使用される。
【0055】
工程(602)において、上に記載されたように、出力光は、円筒体(100)、差込口(110)、およびプレート(102)を通過した後に集められる。例えば、分光計を用いて出力光を収集することができる。
【0056】
工程(604)において、プレート(102)を回転させる。どの単位でプレートを回転させるかは、実行される試験および所望の測定の特定の条件に依存する。典型的な回転は0.5度と1度を含む。プレートを回転させた後に、出力光は再び、新たな、既知の角度で収集することができる(工程602)。回転させる工程と収集する工程のこのサイクルは、試験される所望の角度範囲上のデータを集めるのに必要なだけ繰り返す(工程(604)から工程(602)に返る)ことができる。
【0057】
工程(606)において、収集された信号に対して随意の計算(処理、信号処理)を実行することができる。1つの典型的な計算はコーティングの透過率であり、それは以下の公式を使用して計算することができ、:
T=(Is-Id)/(Ir-Id)
式中、
“T”はコーティングの透過率であり、
“Is”は測定された光信号の光強度であり、
“Id”は、いかなる入力光も伴わないで得られる、光強度の‘闇’の測定値であり、および、
“Ir”はコーティングされていないガラスプレートの光強度の測定値である。
【0058】
工程(608)において、随意に、収集と処理の結果を表示させることができる。
【0059】
ここで参照する図6Bは、上記の光学サンプルの特性評価のための試験方法(610)を使用する、試験の手順(620)のフローチャートである。典型的な試験の手順(620)は、ダークノイズの測定と呼ばれることもある、バックグラウンドノイズ(622)の測定から始まる。工程(622)は試験方法(610)を使用し、および、随意の構成である工程(601)において、一連の測定のために偏光させるポジションを選択する工程によって、偏光子が使用される。
【0060】
次に、コーティングされていないプレートの測定(624)が実行される。工程(624)は、試験方法(610)を使用し、ここでプレート(102)はコーティングされていない(コーティングを施されていない)プレートである。コーティングされていないプレートは試験されるコーティングされたプレート(102)と同じ屈折率を有するべきであり、コーティングされていないプレートとコーティングされたプレートは典型的には同じ材料でできている。コーティングされていないプレートは、すべての必要とされる角度で、すなわちコーティングされたプレート(102)によって必要とされる全角度範囲にわたって、試験される。
【0061】
工程(626)において、コーティングされていないプレートを特性評価した後、コーティングされたプレート(102)の測定が実行される。コーティングされたプレート(102)は、通常、コーティングされていないプレートの試験に使用された全角度範囲にわたって試験される。
【0062】
ここで参照する図7Aは、透過率(y軸)対角度(X軸)のグラフを示し、および、図7Bは、図7Aの透過率グラフのクローズアップ(ズームイン)を示す。一般的に、優れたコーティングは、ある角度範囲にわたってコーティングが一貫した透過率を有することを示す、水平に方向付けられたグラフによって示される。透過率(供給された光量と収集された光量の差)は、s偏光またはp偏光のものであり得る。
【0063】
詳細な記載 -コントローラー- 図8
図8は、本発明の光学サンプルの特性評価の方法(610)を実行するように構成された、典型的なコントローラー(800)の高水準の部分的なブロック図である。コントローラー(処理システム)(800)はプロセッサー(802)(1以上)および4つの典型的な記憶デバイス:ランダムアクセスメモリー(RAM)(804)、ブート・リードオンリーメモリー(ROM)(806)、大容量記憶デバイス(ハードディスク)(808)、およびフラッシュメモリー(810)、を含み、すべてが共通バス(812)を介して通信する。当該技術分野において知られるように、処理とメモリーは、ソフトウェアおよび/またはファームウェアを保存するいかなるコンピューター可読媒体も、および/または、フィールドプログラマブルロジック・アレイ(FPLA)要素、ハードワイヤード論理要素、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)要素、および特定用途向け集積回路(ASIC)要素を、これらに限定されずに含む、いかなるハードウェア要素も、含み得る。縮小命令セットコンピューター(RISC)アーキテクチャーおよび/または複雑命令セットコンピューター(CISC)アーキテクチャーを含み、これらに限定されない、あらゆる命令セットアーキテクチャーがプロセッサー(802)において使用されてもよい。モジュール(処理モジュール)(814)は大容量記憶デバイス(808)上に示されているが、当業者にとって明白であるように、どの記憶デバイス上に置かれてもよい。
【0064】
大容量記憶デバイス(808)は、本明細書に記載された試験方法を実装するためのコンピューター可読コードを保持する非一時的なコンピューター可読記憶媒体の非限定的な一例である。そのようなコンピューター可読記憶媒体の他の例は、そのようなコードを保持するCDなどのリードオンリーメモリーを含む。
【0065】
コントローラー(800)は、オペレーティングシステムを記憶デバイス上に保存してもよく、ROMは、システムのためのブートコードを含んでもよく、および、プロセッサーは、オペレーティングシステムをRAM(804)へロードするためにブートコードを実行するように構成されてもよく、オペレーティングシステムを実行してRAM(804)にコンピューター可読コードをコピーし、およびコードを実行する。
【0066】
ネットワーク接続(820)は、コントローラー(800)への、および、コントローラー(800)からの通信を提供する。典型的には、1つのネットワーク接続は、仮想接続を含めて、ローカルおよび/またはリモートネットワーク上の他のデバイスへの1つ以上のリンクを提供する。あるいは、コントローラー(800)は2つ以上のネットワーク接続(図示せず)を含み、各ネットワーク接続が他のデバイスおよび/またはネットワークへの1つ以上の接続を提供することができる。
【0067】
コントローラー(800)は、ネットワークを通じてクライアントに接続されたサーバー、または、サーバーに接続されたクライアントとして実装され得る。
【0068】
上述の例、使用された符号、および例示的な計算は、この実施形態の説明を支援するものであることを留意されたい。不注意な誤字、数学的な誤差、および/または、単純化した計算を使用しても、本発明の有用性および基礎的な利点は損なわれない。添付された請求項が複数の従属関係なしに起草された点について、これは、単にそのような複数の従属関係を許容しない法的管轄区域において方式要件に対応するために行われた。請求項を複合的に従属させるようにすることにより意味される特徴のあらゆる組み合わせが、明示的に想定され、本発明の一部として考慮されるべきであることを留意されたい。上の記載は、単に例として役立つように意図され、多くの他の実施形態は、添付された請求項に規定されるような本発明の範囲内で可能であることが理解されるだろう。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8