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  • 特許-ジギング用ハンドルアーム構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】ジギング用ハンドルアーム構造
(51)【国際特許分類】
   A01K 89/015 20060101AFI20231122BHJP
【FI】
A01K89/015 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023060459
(22)【出願日】2023-04-03
【審査請求日】2023-05-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年3月23日、令和5年3月20日、令和5年3月12日、令和5年3月11日、令和5年2月28日、令和5年2月26日、令和5年2月4日、令和5年2月2日、令和5年1月31日、令和5年1月29日、令和5年1月19日、令和5年1月11日、令和5年1月10日、令和5年1月9日、令和5年1月8日、令和5年1月4日、令和4年12月28日、令和4年12月17日、令和4年12月15日、令和4年12月10日、令和4年12月1日、令和4年11月10日、令和4年10月26日、令和4年10月23日、令和4年10月16日、令和4年10月13日、令和4年10月7日、令和4年8月11日https://instagram.com/korede_kimaru_ze?igshid=YmMyMTA2M2Y=において公開
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314008851
【氏名又は名称】有限会社太田紙工
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】太田 静雄
【審査官】吉原 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-009735(JP,A)
【文献】特開2005-013155(JP,A)
【文献】登録実用新案第3193871(JP,U)
【文献】特開2014-064494(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0246589(US,A1)
【文献】ゴメクサス リールハンドル 90/95/110mm ダイワ (Daiwa) シマノ (Shimano) ベイトリール対応 シングルハンドル オシアジガー トリウム シーボーグ ソルティガ 両軸リール ハンドル交換 ハンドルノブ付き ジギング 青物 タイラバ ハタ 船釣り 左右兼用,2020年05月25日,[2023年6月13日検索],<URL:https://www.amazon.co.jp/リールハンドル-Shimano-ベイトリール対応-シングルハンドル-ハンドルノブ付き/dp/B0897QNNJ2?th=1&psc=1>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 89/00 - 89/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッドを装着するリール本体に取り付けられ、前記リール本体の回転軸の側方に回転可能に一端部が設けられるハンドルアームと、該ハンドルアームの他端部に取り付けられるハンドルノブと、を備え、
前記ハンドルアームは、
前記ロッドと平行な第1直線部と、
前記第1直線部から前記ロッドに対して近接するように傾斜して折り曲げられ、第1直線部に対する傾斜角度が30度~50度に設定される傾斜部と、
前記傾斜部から延び出し、前記ロッドと平行な第2直線部と、を有し、
前記ハンドルアームの全長を120mm~150mmに設定し、前記第2直線部とロッドとの間隔を2.5cm~3.5cmに設定し、前記傾斜部と前記第2直線部の成す角度を角度30~50°、ハンドルアームの横幅を25~40mmに設定することを特徴とするジギング用ハンドルアーム構造。
【請求項2】
前記ハンドルアームは、前記第1直線部と前記第2直線部の端部から前記傾斜部の中央部に向かって、高さが漸減することを特徴とする請求項1に記載のジギング用ハンドルアーム構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣り用のジギング用ハンドルアーム構造、特に、海の沖でのジギング用リールに用いる。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示す通り、リール本体の側方にハンドルアームが回転可能に設けられた釣り用リールにおける操作性等の向上を図るため、リール本体と、リール本体の側方で中央部が回転可能に支持されたハンドルアームと、ハンドルアームの両端に設けられたハンドルノブと、ハンドルアームよりもリール本体側に配設されたスタードラッグとを備えたベイト型の釣り用リールであって、ハンドルアームに折り曲げ部5を形成して、ハンドルアームのうちハンドルノブが設けられた両端部をリール本体側にオフセットさせるとともに、スタードラッグをハンドルアームの両端部より内側に配置したものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3097320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1は、ベイトリール・オフセットハンドルといわれ、ブラックバス釣り等、水深の浅い海、沼、川等で使用する発明であり、水深の深い釣りに用いるジギング用(「ルアー釣り」ともいわれる)とは用途が異なっており、もともと、ジギング用には適用が非常に困難である。また、特許文献1は、オフセットもわずかに曲げられているだけであり、力点であるリールのハンドルノブとロッド(釣り竿)の距離が依然として離れているので、リールを巻きあげる際にロッドとハンドルノブにブレが生じる。これらがブレることにより、魚を巻き上げる人の負担が上がってしまうので、手首を痛めてしまうおそれがあるなどの弊害があった。また、水深の深い場所での、魚の食いつきが判りづらく、魚の引き上げに力が入り難く、体の踏ん張りが効かないなどの弊害もあった。
【0005】
本発明は、ジギング用釣り具の使用において、魚を巻き上げる人の負担を軽減し、手首を痛めてしまうことを防止するとともに、魚の食いつきが判りやすく、魚の引き上げに力が入りやすく、踏ん張りのきく、ジギング用ハンドルアーム構造の提供を課題とする。
【0006】
ジギングは、特許第6979709号の図2に示す通り、竿、リール、メインライン、リーダー、ジグ、釣針から成る仕掛けを使用する。メインラインとしては、細くても強く伸びの少ない釣り糸であるPEラインが良く使用され、その太さや強さは号数やkgで表示され、号数が多くなるほど釣り糸は太くなり強くなる。例えば2号なら14kg、3号なら20kgの負荷まで耐えるものであり、釣り人は自分の好みや釣り物などにより号数を選択する。リーダーは、メインラインの根ズレや歯ズレによる糸切れを防ぐために結ぶラインのことであり、2~3メートル程度メインラインの先に結んだものである。リーダーとしては、メインラインの強度より強く太いフロロカーボンやナイロンラインと言ったメインラインに使用するものとは異なった性質をもつ釣り糸を使用する。ジグや釣針はリーダーの先に結ばれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ロッドを装着するリール本体に取り付けられ、前記リール本体の回転軸の側方に回転可能に一端部が設けられるハンドルアームと、該ハンドルアームの他端部に取り付けられるハンドルノブと、を備え、前記ハンドルアームは、前記ロッドと平行な第1直線部と、前記第1直線部から前記ロッドに対して近接するように傾斜して折り曲げられ、第1直線部に対する傾斜角度が30度~50度に設定される傾斜部と、前記傾斜部から延び出し、前記ロッドと平行な第2直線部と、を有し、前記ハンドルアームの全長を120mm~150mmに設定し、前記第2直線部とロッドとの間隔を2.5cm~3.5cmに設定し、前記傾斜部と前記第2直線部の成す角度を角度30~50°、ハンドルアームの横幅を25~40mmに設定することを特徴とするジギング用ハンドルアーム構造である。
【0008】
記ハンドルアームは、前記第1直線部と第2直線部の端部から前記傾斜部の中央部に向かって、高さが漸減することが好ましい。

【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ハンドルノブの力点を従来の物より極端に内側に曲げた形状とし、ハンドルノブの力点の位置を、ロッドに限りなく近づけることにより、前述のブレを軽減し、無理のないポジションでリールを巻きあげることが可能になる。ジギングが使用される環境では、長時間、巻き上げる状況が多く、更にはスピーディーに巻き上げる必要のある釣りに使用されるので、ロッドとハンドルノブがブレずに極めて円滑に巻き上げられることの効果は大である。また、海の沖でのジギング用リールに使用すると、その効果は絶大である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態のジギング用ハンドルアーム構造の平面図である。
図2】本発明の実施形態のジギング用ハンドルアーム構造の斜視図である。
図3】本発明の実施形態のジギング用ハンドルアーム構造の傾斜を設ける前の板材としてのハンドルアームの側面図である。
図4】本発明の実施形態のジギング用ハンドルアーム構造の傾斜を設けた後の傾斜材としてのハンドルアームの平面図である。
図5】比較例のジギング用ハンドルアーム構造の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1~4を参照して、本実施形態に係るジギング用ハンドルアーム構造1の好適な実施形態について説明する。
【0012】
図1図2は、本実施形態のジギング用ハンドルアーム構造1が取り付けられるリール本体103に、ロッド101のグリップ部102が装着された状態を示す図である。ジギング用ハンドルアーム構造1は、リール本体103に取り付けられ、リール本体103の機構部の回転軸104の側方に回転可能に一端部が設けられるハンドルアーム2と、ハンドルアーム2の他端部にハンドル軸3を介して取り付けられるハンドルノブ4と、を備えている。
【0013】
リール本体103の両側部間にはスプール106が回転可能に収容され、図示しないギヤ群等を介して、ハンドルアーム2に連動する。ハンドルアーム2は、釣り糸(ライン)の巻き取り方向には回転可能で、スプール106を回転させて糸を巻き取ることができるが、釣り糸の送り出し方向には回転規制される。リール本体103の前方には、スプール106に釣り糸を均一に巻き取るためにハンドルアーム2の回転に連動して釣り糸を案内するレベルワインダ107が設けられる。リール本体103にメカニカルブレーキ108が設けられている。
【0014】
ハンドルアーム2は、ロッド101と平行な第1直線部21と、第1直線部21からロッド101に対して近接するように傾斜して折り曲げられ、第1直線部21に対する傾斜角度が30度~50度に設定される傾斜部22と、傾斜部22から延び出し、ロッド101と平行な第2直線部23と、を有している。
【0015】
回転軸104の中心から、ハンドル軸3の中心までの有効長をETとする。第1直線部21と傾斜部22とのなす角度をα、第2直線部23と傾斜部22とのなす角度をβ、第2直線部23とロッド101との距離をWとする。力点をEとする。
【0016】
ハンドルアーム2の全長T(図4参照)を120mm~150mm、有効長ETを100~130mmとし、第2直線部23の端部をリール本体103から遠ざかるように(回転軸104から遠ざかる方向に)延長する。全体の長さが上限を超えると回しにくいという不都合を生じ、下限を下回ると第1直線部21や傾斜部22の長さが十分にとれずに指への接触が生じたりハンドルアーム2を回転させるために強い力が必要になるという不都合を生じる。第2直線部23とロッド101との間隔Wを2.5cm~3.5cmに設定する。間隔Wが2.5cmを下回るとグリップ部102を握る指と接触してしまうという不都合が生じ、間隔Wが3.5cmを超えるとブレによってハンドルアーム2を回転させるために強い力が必要になるという不都合が生じる。
【0017】
図3は原料となる板材であり、これを折り曲げ線に対して、特定の角度を折り曲げて、図4のハンドルアーム2とする。板材は、全長がT、高さがHであり、折曲位置M10と、折曲位置M20の2か所で折り曲げられて、図4の折曲部7、8がそれぞれ構成される。回転軸104に取り付けるための第1取付孔5(例えば、縦5mm、横8mmの長孔)、ハンドル軸3を取り付けるための第2取付孔6(例えば、M6のネジ孔)を設けている。
【0018】
図3に示す通り、第1直線部21と第2直線部23の端部から傾斜部22の中央部に向かって、高さがH1からHまで漸減するように傾斜させる。これにより、ハンドルアーム2を巻くときの力(特にハンドルアーム2を押し出し回転するとき)を低減させるという効果が生じる。
【0019】
図4において、ハンドルアーム2の全長がT、有効長がET、非有効長がET、ET、第1直線部21の有効長さがC、傾斜部22の長さがG、第2直線部の有効長さがS、横幅がY、板の厚さがTHである。
【0020】
ジギング用ハンドルアーム構造1は、リール本体103の回転軸104に軸着されるハンドルアーム2と、ロッド101と直交するハンドル軸3と、ハンドル軸3に取り付けられるハンドルノブ4と、を備えている。ハンドルアーム2には折曲部7、8を設けている。
【0021】
ハンドルアーム2は一端部で回転軸104に回転可能に支持されており、他端部にハンドルノブ4が回転可能に設けられる。ハンドルアーム2には折曲部7、8が形成され、ハンドルアーム2の他端部をリール本体103側にオフセットさせるよう屈曲させている。
【0022】
リール本体103のハンドルアーム2側にはスタードラッグ109が配設される。スタードラッグ109はハンドルアーム2の第2直線部23より内側(回転軸104側)に配置され、両者が干渉しないようにされている。また、リール本体103のハンドルアーム2側にはスプール106の回り方を調節するメカニカルブレーキ108が設けられる。
【0023】
キャスティング時の動作については一般的技術と同様であるので、説明を省略する。
【0024】
キャスティング動作によってルアーが着水した後は、ロッド101のグリップ部102を左手に持ち替えるとともに、右手でハンドルノブ4を握ってハンドル操作を行う。
【0025】
魚が釣針にかかった場合、ロッド101のグリップ部102を左手で保持しながら、ハンドルノブ4と、レベルワインダ107等を操作しながら、糸をスプール106に巻き上げてゆく。
【0026】
図5は、ジギング用ハンドルアーム構造の比較例を示したものであり、対応する要素は、200番台を付加した番号とし、寸法等の英文字にはダッシュを付す。
【0027】
ジギング用ハンドルアーム構造1では、図1~4に示すように、図5の比較例と対比すると、ハンドルアーム2の片端部をリール本体103側に2か所で極端に折り曲げたので、ハンドルノブ4を回転操作する際に、ハンドルノブ4の力点Eの位置を、ロッド101に限りなく近づけ、ハンドルノブ4も延長させることにより、前述のブレを軽減し、無理のないポジションで小さな力で糸を巻きあげることが可能になる。ジギングが使用される環境では、長時間、巻き上げる状況が多く、更にはスピーディーに巻き上げる必要のある釣りに使用されるので、ロッド101とハンドルアーム2がブレずに極めて円滑に巻き上げられることの効果は大である。また、海の沖でのジギング用リールに使用すると、その効果は絶大である。さらに、魚の食いつきの有無が判断しやすく、引き上げに力が入れやすく、体の踏ん張りが効く効果がある。
【実施例
【0028】
実施例のハンドルアーム2の折り曲げ前のサイズは、図3を参照すると、全長T=128mm、高さH=30mm、高さH=6mm(6mm~8mmでもよい。)、折曲位置M10と折曲位置M20の距離=56mm(55~57mmでもよい。)である。
【0029】
図4を参照すると、ハンドルアーム2の折り曲げ後のサイズは、角度α=32°(30~50°でもよい。)、角度β=32°(30~50°でもよい)、横幅Y=36mm(25~40mmでもよい。)、厚さTH=5mm(3~5mmでもよい。)、ハンドルアーム2の全長T=120mm(120~150mmでもよい。)、有効長ET=100mm、非有効長ET=14mm(14~16mmでもよい。)、ET=6mm、第1直線部21の有効長さC=28mm(28~40mmでもよい。)、傾斜部22の長さG=56mm(55~57mmでもよい。)、第2直線部の有効長さS=25mmである。
【0030】
本発明は、複数の課題を同時に解決できるものであり、漁業、遊漁、レジャーにおいて、その産業上の利用価値は大である。
【0031】
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、改変等を加えることが出来るものであり、それらの改変、均等物等も本発明の技術的範囲に含まれることとなる。
【符号の説明】
【0032】
1 ジギング用ハンドルアーム構造
2 ハンドルアーム
3 ハンドル軸
4 ハンドルノブ
5 第1取付孔
6 第2取付孔
7、8 折曲部
21 第1直線部
22 傾斜部
23 第2直線部
101 ロッド
102 グリップ部
103 リール本体
104 回転軸
106 スプール
107 レベルワインダ
108 メカニカルブレーキ
109 スタードラッグ
E 力点
ET 有効長
ET、ET 非有効長
T 全長
全長
W 間隔
Y 横幅
α 角度
β 角度
【要約】
【課題】ジギング用釣り具の使用において、魚を巻き上げる人の負担を軽減し、手首を痛めてしまうことを防止するとともに、魚の食いつきが判りやすく、魚の引き上げに力が入りやすく、踏ん張りのきく、ジギング用ハンドルアーム構造の提供を課題とする。
【解決手段】本発明のジギング用ハンドルアーム構造1は、ロッド101を装着するリール本体103に取り付けられ、リール本体103の回転軸104の側方に回転可能に一端部が設けられるハンドルアーム2と、ハンドルアーム2の他端部に取り付けられるハンドルノブ4と、を備え、ハンドルアーム2は、ロッド101と平行な第1直線部21と、第1直線部21からロッド101に対して近接するように傾斜して折り曲げられ、第1直線部21に対する傾斜角度が30度~50度に設定される傾斜部22と、傾斜部22から延び出し、ロッド101と平行な第2直線部23と、を有する。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5