(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】METエキソン14欠失の検出と、関連する治療法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6886 20180101AFI20231122BHJP
C12Q 1/6844 20180101ALI20231122BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20231122BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20231122BHJP
【FI】
C12Q1/6886 Z ZNA
C12Q1/6844 Z
G01N33/53 M
C12N15/09 Z
(21)【出願番号】P 2018559197
(86)(22)【出願日】2017-05-11
(86)【国際出願番号】 EP2017061310
(87)【国際公開番号】W WO2017194668
(87)【国際公開日】2017-11-16
【審査請求日】2020-03-04
【審判番号】
【審判請求日】2022-03-31
(32)【優先日】2016-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(72)【発明者】
【氏名】シンディ チェング
(72)【発明者】
【氏名】グラントランド ヒルマン
(72)【発明者】
【氏名】シャオジュ マックス マ
(72)【発明者】
【氏名】チャイトラ マノーハー
(72)【発明者】
【氏名】リリー ウォン
【合議体】
【審判長】福井 悟
【審判官】吉森 晃
【審判官】飯室 里美
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-520228(JP,A)
【文献】Oncotarget,2015年 9月10日,6(29),pp.28211-28222
【文献】JOURNAL OF CLINICAL ONCOLOGY,2016年 1月 4日,34(7),pp.721-730
【文献】PLOS ONE,2014年,Vol.9,No.11,e110780,pp.1-7
【文献】Clinical Cancer Research,2016年,Vol.22,No.4,pp.915-922
【文献】Journal of Clinical Pathology,2013年 6月25日,Vol.66,pp.985-991
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
C12Q
CAplus/BIOSIS/MEDLINE/EMBASE/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
がんを有する個人を同定する方法であって、
(a)当該個人からの
取得されたサンプルからRNAを
調製し;
(b)当該RNAに対して逆転写反応を実施してcDNAを生成させ;
(c)当該cDNAを、(i)METエキソン13-14接合部を特異的に増幅して検出するためのプライマーセットおよび第1の標識で標識された第1プローブと、(ii)METエキソン14-15接合部を特異的に増幅して検出するためのプライマーセット及び第2の標識で標識された第2プローブと、並びに(iii)METエキソン13-15接合部を特異的に増幅して検出するためのプライマーセットと、第3の標識で標識された第3プローブと接触させることを含む増幅反応を実施し;
(d)(iii)のプライマーセット及びプローブによって増幅産物が形成されて検出される場合にはMETエキソン14欠失の存在を検出することを含んでいて、
その個人のサンプル中にMETエキソン14欠失変異が存在することが、癌及びその個人がMET阻害剤化合物に対して感受性であることを示しており、ここで前記サンプルが、血漿またはホルマリン固定パラフィン包埋組織(FFPET)であり、ここで工程(b)及び(c)が同じ容器内で行われ、そしてここで前記第1プローブがMETエキソン13-14接合部の接合点に特異的であり、前記第2プローブがMETエキソン14-15接合部の接合点に特異的であり、そして前記第3プローブがMETエキソン13-15接合部の接合点に特異的である、前記方法。
【請求項2】
METエキソン14欠失を検出する方法であって、
(a)個人から
取得された血漿又はまたはホルマリン固定パラフィン包埋組織(FFPET)サンプル
からRNAを調製し;
(b)そのRNAに対して逆転写反応を実施してcDNAを生成させ;
(c)そのcDNAを、(i)METエキソン13-14接合部を特異的に増幅して検出するためのプライマーセットおよび第1の標識で標識された第1プローブ、(ii)METエキソン14-15接合部を特異的に増幅して検出するためのプライマーセットおよび第2の標識で標識されたプローブ、(iii)METエキソン13-15接合部を特異的に増幅して検出するための第3の標識で標識されたプライマーセットおよびプローブと接触させ;
(d)(iii)のプライマーセットおよびプローブによって増幅産物が形成されて検出される場合にはMETエキソン14欠失を検出すること
を含み、ここで、工程(b)及び(c)が同じ容器内で行われ、そしてここで前記第1プローブがMETエキソン13-14接合部の接合点に特異的であり、前記第2プローブがMETエキソン14-15接合部の接合点に特異的であり、そして前記第3プローブがMETエキソン13-15接合部の接合点に特異的である、前記方法。
【請求項3】
工程(c)が、前記cDNAを、(iv)内部対照を特異的に増幅して検出するためのプライマーセットおよび第4の標識で標識されたプローブと接触させることをさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記個人が、がんを患っている、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記個人が非小細胞肺がん(NSCLC)を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
METエキソン14欠失の存在を検出することが、MET阻害剤による治療に対して、前記個人がプラスの治療応答性であるかを予測する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程(c)が、さらにcDNAを、内部対照を特異的に増幅して検出するためのプライマーセット及び標識されたプローブと接触させることをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
METエキソン13-14接合部を増幅するための前記プライマーセットが、配列番号1~8からなる群から選ばれる配列を含むフォワードプライマーと、配列番号17~24からなる群から選ばれる配列を含むリバースプライマーとを含み;及び/又は
METエキソン14-15接合部を増幅するための前記プライマーセットが、配列番号9~16からなる群から選ばれる配列を含むフォワードプライマーと、配列番号25~38からなる群から選ばれる配列を含むリバースプライマーとを含み;及び/又は
METエキソン13-15接合部を増幅するための前記プライマーセットが、配列番号1~8からなる群から選ばれる配列を含むフォワードプライマーと、配列番号25~38からなる群から選ばれる配列を含むリバースプライマーとを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
METエキソン13-14接合部を検出するための前記プローブが、配列番号44~46からなる群から選ばれる配列を含み;及び/又は
METエキソン14-15接合部を検出するための前記プローブが、配列番号47~50からなる群から選ばれる配列を含み;及び/又は
METエキソン13-15接合部を検出するための前記プローブが、配列番号39~43及び51~54からなる群から選ばれる配列を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
(a)METエキソン13-14接合部を特異的に増幅して検出するためのプライマーセットおよび第1の標識で標識された第1のプローブと;
(b)METエキソン14-15接合部を特異的に増幅して検出するためのプライマーセットおよび第2の標識で標識された第2のプローブと;
(c)METエキソン13-15接合部を特異的に増幅して検出するためのプライマーセットおよび第3の標識で標識された第3のプローブ
を含み、ここで前記第1のプローブが、METエキソン13-14接合部の接合点に特異的であり、前記第2のプローブが、METエキソン14-15接合部の接合点に特異的であり、前記第3のプローブが、METエキソン13-15接合部の接合点に特異的である、
請求項1又は2に記載の方法に使用するためのキット。
【請求項11】
(d)内部対照を特異的に増幅して検出するためのプライマーセットおよび第4の標識で標識されたプローブをさらに含む、請求項10に記載のキット。
【請求項12】
METエキソン14欠失を有する陽性対照をさらに含むか、又はMETエキソン14欠失が欠けた陰性対照をさらに含む、請求項10又は11に記載のキット。
【請求項13】
METエキソン13-14接合部を増幅するための前記プライマーセットが、配列番号1~8からなる群から選ばれる配列を含むフォワードプライマーと、配列番号17~24からなる群から選ばれる配列を含むリバースプライマーとを含み;及び/又は
METエキソン14-15接合部を増幅するための前記プライマーセットが、配列番号9~16からなる群から選ばれる配列を含むフォワードプライマーと、配列番号25~38からなる群から選ばれる配列を含むリバースプライマーとを含み;及び/又は
METエキソン13-15接合部を増幅するための前記プライマーセットが、配列番号1~8からなる群から選ばれる配列を含むフォワードプライマーと、配列番号25~38からなる群から選ばれる配列を含むリバースプライマーとを含む、請求項10~12のいずれか一項に記載のキット。
【請求項14】
METエキソン13-14接合部を検出するための前記プローブが、配列番号44~46からなる群から選ばれる配列を含み;及び/又は
METエキソン14-15接合部を検出するための前記プローブが、配列番号47~50からなる群から選ばれる配列を含み;及び/又は
METエキソン13-15接合部を検出するための前記プローブが、配列番号39~43及び51~54からなる群から選ばれる配列を含む、請求項10~13のいずれか一項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
METは、ヒト第7染色体上にコードされているチロシンキナーゼかつがん原遺伝子である。そのプレタンパク質は切断されてαサブユニットとβサブユニットを形成するが、それらサブユニットはジスルフィド結合を通じて結合したままに留まり、肝細胞増殖因子の受容体として機能する。活性化されたMETは、細胞の生存に関与するPI3K-AKT-mTOR経路と、細胞の増殖に関与するRAS-RAF-MEK-ERK経路を誘導する。
【背景技術】
【0002】
MET内の変異は多数のがんと関係しており、そうしたがんに含まれるのは、腎臓がん、胃がん、神経系のがん、肉腫、肺がんである。活性または発現がより大きくなる変異、すなわち負の調節部位の欠失が、これらのがんに関与していることがしばしばある。特にエキソン14の欠失とTyr 1003の位置にある負の調節部位の欠失が、かなりの割合の非小細胞肺がん(NSCLC)および腺癌と関係づけられている。E3ユビキチンタンパク質リガーゼであるCBLはMETタンパク質のTyr 1003に結合する。この部位が欠失しているとMETは正常に分解されない。その結果としてMETの調節が異常になり、下流の細胞増殖経路と細胞生存経路の活性化が持続することになる。METエキソン14の欠失を検出することのほうが、遺伝子増幅を検出することや、mRNAまたはタンパク質の発現増加を検出することよりも、MET阻害剤に対するプラスの治療反応をよりよく予測する。
【0003】
METエキソン14欠失を引き起こす変異は多彩であり、スプライス受容部位またはスプライス供与部位に影響を与えることがしばしばある。この多彩さが理由で、現在の検出法は次世代シークエンシング(NGS)に限定される。
【発明の概要】
【0004】
本明細書では、ヒト核酸サンプル中のMETエキソン14欠失を検出するための方法と組成物が提供される。いくつかの実施態様では、METエキソン14欠失を検出する方法は、(a)個人から(例えばRNAを含むか、DNAを含むか、RNAとDNAの両方を含む)核酸サンプルを取得し;(b)そのサンプルを用いて増幅/検出反応を実施することにより、METエキソン13-エキソン14接合部と、METエキソン14-エキソン15接合部と、METエキソン13-エキソン15接合部を選択的に増幅して検出し;(c)METエキソン13-エキソン15接合部が検出される場合にはMETエキソン14欠失の存在を検出することを含んでいる。いくつかの実施態様では、この方法はさらに、工程(b)の前にサンプルを用いて逆転写反応を実施してcDNAを生成させることを含んでいる。いくつかの実施態様では、逆転写反応と工程(b)は、単一の容器(試験管、ウエル、マイクロ流体チェンバーなど)の中で起こる。いくつかの実施態様では、工程(b)は、cDNAを、(i)METエキソン13-14接合部を特異的に増幅して検出するためのプライマーセットおよび第1の標識で標識されたプローブ、(ii)METエキソン14-15接合部を特異的に増幅して検出するためのプライマーセットおよび第2の標識で標識されたプローブ、(iii)METエキソン13-15接合部を特異的に増幅して検出するためのプライマーセットおよび第3の標識で標識されたプローブと接触させることを含んでいる。いくつかの実施態様では、工程(c)は、第3の標識で標識されたプローブの検出を含んでいる。
【0005】
いくつかの実施態様では、工程(b)は多重反応であるため、例えば(i)、(ii)、(iii)のプライマーセットおよびプローブは単一の容器に含まれる。いくつかの実施態様では、この多重反応にはさらに、内部対照(例えば内部対照を特異的に増幅して検出するためのプライマーセットおよび第4の標識で標識されたプローブ(例えば標識されたICプローブ))が含まれる。いくつかの実施態様では、工程(b)は、別々の容器(例えば各容器が、(i)、(ii)、(iii)のプライマーセットおよびプローブのうちの1つを含む)の中で実施され、場合によっては内部対照を用いて多重化される。いくつかの実施態様では、逆転写反応と増幅/検出反応は、定量逆転写-PCR(qRT-PCR)を利用して実施される。
【0006】
いくつかの実施態様では、METエキソン13-14接合部を増幅するためのプライマーセットは、配列番号1~8からなるグループから選択された配列を有する順プライマーと、配列番号17~24からなるグループから選択された配列を有する逆プライマーを含んでいる。いくつかの実施態様では、METエキソン13-14接合部を検出するためのプローブは、配列番号44~46からなるグループから選択された配列を有する。いくつかの実施態様では、METエキソン13-14接合部を検出するためのプローブは、配列番号44を有する。いくつかの実施態様では、METエキソン13-14接合部を検出するためのプローブは、配列番号45を有する。いくつかの実施態様では、METエキソン13-14接合部を検出するためのプローブは、配列番号46を有する。いくつかの実施態様では、METエキソン14-15接合部を増幅するためのプライマーセットは、配列番号9~16からなるグループから選択された配列を有する順プライマーと、配列番号25~38からなるグループから選択された配列を有する逆プライマーを含んでいる。いくつかの実施態様では、METエキソン14-15接合部を検出するためのプローブは、配列番号47~50からなるグループから選択された配列を有する。いくつかの実施態様では、METエキソン14-15接合部を検出するためのプローブは、配列番号47を有する。いくつかの実施態様では、METエキソン14-15接合部を検出するためのプローブは、配列番号48を有する。いくつかの実施態様では、METエキソン14-15接合部を検出するためのプローブは、配列番号49を有する。いくつかの実施態様では、METエキソン14-15接合部を検出するためのプローブは、配列番号50を有する。いくつかの実施態様では、METエキソン13-15接合部を増幅するためのプライマーセットは、配列番号1~8からなるグループから選択された順プライマーと、配列番号25~38からなるグループから選択された逆プライマーを含んでいる。いくつかの実施態様では、METエキソン13-15接合部を検出するためのプローブは、配列番号39~43と51~54からなるグループから選択された配列を有する。いくつかの実施態様では、METエキソン13-15接合部を検出するためのプローブは、配列番号39を有する。いくつかの実施態様では、METエキソン13-15接合部を検出するためのプローブは、配列番号40を有する。いくつかの実施態様では、METエキソン13-15接合部を検出するためのプローブは、配列番号41を有する。いくつかの実施態様では、METエキソン13-15接合部を検出するためのプローブは、配列番号42を有する。いくつかの実施態様では、METエキソン13-15接合部を検出するためのプローブは、配列番号43を有する。いくつかの実施態様では、METエキソン13-15接合部を検出するためのプローブは、配列番号51を有する。いくつかの実施態様では、METエキソン13-15接合部を検出するためのプローブは、配列番号52を有する。いくつかの実施態様では、METエキソン13-15接合部を検出するためのプローブは、配列番号53を有する。いくつかの実施態様では、METエキソン13-15接合部を検出するためのプローブは、配列番号54を有する。
【0007】
いくつかの実施態様では、METエキソン14欠失を検出する方法は、(a)個人から(例えばRNAを含むか、DNAを含むか、RNAとDNAの両方を含む)核酸サンプルを取得し;(b)そのサンプルを用いて増幅/検出反応を実施することにより、METエキソン13-エキソン15接合部を選択的に増幅して検出し;(c)METエキソン13-エキソン15接合部が検出される場合にはMETエキソン14欠失の存在を検出することを含んでいる。いくつかの実施態様では、この方法はさらに、工程(b)の前にサンプルを用いて逆転写反応を実施してcDNAを生成させることを含んでいる。いくつかの実施態様では、逆転写反応と工程(b)は、単一の容器(試験管、ウエル、マイクロ流体チェンバーなど)の中で起こる。いくつかの実施態様では、工程(b)は、cDNAを、METエキソン13-15接合部を特異的に増幅して検出するためのプライマーセットおよび(例えば非天然の蛍光体で、または蛍光体とクエンチャで)標識されたプローブと接触させることを含んでいる。いくつかの実施態様では、プライマーセットは、METエキソン13内の配列と相補的な順プライマーと、METエキソン15内の配列と相補的な逆プライマーを含んでいる。いくつかの実施態様では、標識されたプローブは、そのプライマーセットの増幅産物に特異的にハイブリダイズし、エキソン13だけに相補的な配列、またはエキソン15だけに相補的な配列、またはエキソン13と15の両方からの配列を含んでいる。いくつかの実施態様では、工程(c)は、標識されたプローブの検出を含んでいる。いくつかの実施態様では、この方法は、工程(b)において、サンプルを用いて増幅/検出反応を実施することにより、内部対照を選択的に増幅して検出し、工程(c)において、その内部対照が検出される場合にはその内部対照の存在を検出することを含んでいる。いくつかの実施態様では、内部対照の増幅と検出は、cDNAを、その内部対照を特異的に増幅して検出するためのプライマーセットおよび(非天然の蛍光体で、または蛍光体/クエンチャで)標識されたICプローブと接触させることを含んでいる。いくつかの実施態様では、工程(c)は、標識されたICプローブの検出を含んでいる。
【0008】
いくつかの実施態様では、METエキソン13-15接合部を増幅するためのプライマーセットは、配列番号1~8からなるグループから選択された順プライマーと、配列番号25~38からなるグループから選択された逆プライマーを含んでいる。いくつかの実施態様では、METエキソン13-15接合部を検出するためのプローブは、配列番号39~43と51~54からなるグループから選択された配列を有する。いくつかの実施態様では、METエキソン13-15接合部を検出するためのプローブは、配列番号43、配列番号52、配列番号53からなるグループから選択された配列を有する。いくつかの実施態様では、METエキソン13-15接合部を検出するためのプローブは、配列番号39を有する。いくつかの実施態様では、METエキソン13-15接合部を検出するためのプローブは、配列番号40を有する。いくつかの実施態様では、METエキソン13-15接合部を検出するためのプローブは、配列番号41を有する。いくつかの実施態様では、METエキソン13-15接合部を検出するためのプローブは、配列番号42を有する。いくつかの実施態様では、METエキソン13-15接合部を検出するためのプローブは、配列番号43を有する。いくつかの実施態様では、METエキソン13-15接合部を検出するためのプローブは、配列番号51を有する。いくつかの実施態様では、METエキソン13-15接合部を検出するためのプローブは、配列番号52を有する。いくつかの実施態様では、METエキソン13-15接合部を検出するためのプローブは、配列番号53を有する。いくつかの実施態様では、METエキソン13-15接合部を検出するためのプローブは、配列番号54を有する。
【0009】
いくつかの実施態様では、工程(b)は多重反応であるため、プライマーセットおよびプローブは単一の容器に含まれる。いくつかの実施態様では、逆転写反応と増幅/検出反応は、定量逆転写-PCR(qRT-PCR)を利用して実施される。
【0010】
いくつかの実施態様では、逆転写の前にサンプルのRNAを豊富にする。いくつかの実施態様では、サンプルは、非侵襲的供給源(例えば血液、血漿、血清、尿、粘膜スワブ、唾液、皮膚など)に由来する。いくつかの実施態様では、サンプルは、生検サンプル(例えば腫瘍生検サンプル)であり、場合によってはFFPETサンプルである。いくつかの実施態様では、個人はがん(例えば肺がん、腎臓がん、胃がん、神経がん、肉腫、腺癌)を有する。いくつかの実施態様では、個人はNSCLCを有する。
【0011】
いくつかの実施態様では、上記の方法はさらに、METエキソン14欠失が検出される場合に、個人にMET阻害剤を用いた治療を施すことを含んでいる。いくつかの実施態様では、この方法はさらに、METエキソン14欠失が検出される場合に、METの下流エフェクタの阻害剤(例えばPI3K-AKT-mTOR経路またはRAS-RAF-MEK-ERK経路の阻害剤)を用いた治療、または標準的な化学療法を個人に施すことを含んでいる。
【0012】
個人に治療を施す方法として、(a)個人から(例えばRNAを含むか、RNAとDNAの両方を含む)核酸サンプルを取得し;(b)そのサンプルを用いて増幅/検出反応を実施することにより、METエキソン13-エキソン14接合部と、METエキソン14-エキソン15接合部と、METエキソン13-エキソン15接合部を選択的に増幅して検出し;(c)METエキソン13-エキソン15接合部が検出される場合にはMETエキソン14欠失の存在を検出し;(d)METエキソン14欠失が存在する場合には、その個人にMET阻害剤を用いた治療を施すことを含む方法がさらに提供される。いくつかの実施態様では、この方法はさらに、工程(b)の前にサンプルを用いて逆転写反応を実施してcDNAを生成させることを含んでいる。いくつかの実施態様では、逆転写反応と工程(b)は、単一の容器(試験管、ウエル、マイクロ流体チェンバーなど)の中で起こる。いくつかの実施態様では、工程(b)は、cDNAを、(i)METエキソン13-14接合部を特異的に増幅して検出するためのプライマーセットおよび第1の標識で標識されたプローブ、(ii)METエキソン14-15接合部を特異的に増幅して検出するためのプライマーセットおよび第2の標識で標識されたプローブ、(iii)METエキソン13-15接合部を特異的に増幅して検出するためのプライマーセットおよび第3の標識で標識されたプローブと接触させることを含んでいる。いくつかの実施態様では、工程(c)は、第3の標識で標識されたプローブの検出を含んでいる。
【0013】
いくつかの実施態様では、工程(b)は多重反応であるため、例えば(i)、(ii)、(iii)のプライマーセットおよびプローブは単一の容器に含まれる。いくつかの実施態様では、この多重反応にはさらに、内部対照(例えば内部対照を特異的に増幅して検出するためのプライマーセットおよび第4の標識で標識されたプローブ(例えば標識されたICプローブ))が含まれる。いくつかの実施態様では、工程(b)は、別々の容器(例えば各容器が、(i)、(ii)、(iii)のプライマーセットおよびプローブのうちの1つを含む)の中で実施され、場合によっては内部対照を用いて多重化される。いくつかの実施態様では、逆転写反応と増幅/検出反応は、定量逆転写-PCR(qRT-PCR)を利用して実施される。
【0014】
いくつかの実施態様では、個人に治療を施す方法は、(a)個人から(例えばRNAを含むか、DNAを含むか、RNAとDNAの両方を含む)核酸サンプルを取得し;(b)そのサンプルを用いて増幅/検出反応を実施することにより、METエキソン13-エキソン15接合部を選択的に増幅して検出し;(c)METエキソン13-エキソン15接合部が検出される場合にはMETエキソン14欠失の存在を検出し;(d)METエキソン14欠失が存在する場合には、その個人にMET阻害剤を用いた治療を施すことを含んでいる。いくつかの実施態様では、この方法はさらに、工程(b)の前にサンプルを用いて逆転写反応を実施してcDNAを生成させることを含んでいる。いくつかの実施態様では、逆転写反応と工程(b)は、単一の容器(試験管、ウエル、マイクロ流体チェンバーなど)の中で起こる。いくつかの実施態様では、工程(b)は、cDNAを、METエキソン13-15接合部を特異的に増幅して検出するためのプライマーセットおよび標識されたプローブと接触させることを含んでいる。いくつかの実施態様では、プライマーセットは、METエキソン13内の配列と相補的な順プライマーと、METエキソン15内の配列と相補的な逆プライマーを含んでいる。いくつかの実施態様では、標識されたプローブは、そのプライマーセットの増幅産物に特異的にハイブリダイズし、エキソン13だけに相補的な配列、またはエキソン15だけに相補的な配列、またはエキソン13と15の両方からの配列を含んでいる。いくつかの実施態様では、工程(c)は、標識されたプローブの検出を含んでいる。いくつかの実施態様では、この方法は、工程(b)において、サンプルを用いて増幅/検出反応を実施することにより、内部対照を選択的に増幅して検出し、工程(c)において、その内部対照が検出される場合にはその内部対照の存在を検出することを含んでいる。いくつかの実施態様では、内部対照の増幅と検出は、cDNAを、その内部対照を特異的に増幅して検出するためのプライマーセットおよび(非天然の蛍光体で、または蛍光体とクエンチャで)標識されたICプローブと接触させることを含んでいる。いくつかの実施態様では、工程(c)は、標識されたICプローブの検出を含んでいる。
【0015】
いくつかの実施態様では、工程(b)は多重反応であるため、プライマーセットおよびプローブは単一の容器に含まれる。いくつかの実施態様では、逆転写反応と増幅/検出反応は、定量逆転写-PCR(qRT-PCR)を利用して実施される。
【0016】
がんを有する個人を同定する方法として、(a)個人からのRNAを含むサンプルを取得し;(b)そのRNAに対して逆転写反応を実施してcDNAを生成させ;(c)そのcDNAを、METエキソン13-15接合部を特異的に増幅して検出するためのプライマーセットおよび標識されたプローブ(エキソン13-15プライマーセットおよび標識されたエキソン13-15プローブ)と接触させることを含む増幅反応を実施し;(d)エキソン13-15プライマーセットおよび標識されたエキソン13-15プローブによって増幅産物が形成されて検出される場合には、METエキソン14欠失の存在を検出することを含んでいて;その個人のサンプル中にMETエキソン14欠失変異が存在することが、その個人がMET阻害剤化合物に対して感受性であることを示している方法がさらに提供される。いくつかの実施態様では、この方法はさらに、METエキソン14欠失の存在が検出される場合に、METの下流エフェクタの阻害剤(例えばPI3K-AKT-mTOR経路またはRAS-RAF-MEK-ERK経路の阻害剤)に対する感受性を示す個人、または標準的な化学療法に対する感受性を示す個人を同定することを含んでいる。
【0017】
がんを有する個人を同定する方法として、(a)個人から(例えばRNAを含むか、RNAとDNAの両方を含む)核酸サンプルを取得し;(b)そのサンプルを用いて増幅/検出反応を実施することにより、METエキソン13-エキソン14接合部と、METエキソン14-エキソン15接合部と、METエキソン13-エキソン15接合部を選択的に増幅して検出し;(c)METエキソン13-エキソン15接合部が検出される場合にはMETエキソン14欠失の存在を検出することを含んでいて;(d)その個人のサンプル中にMETエキソン14欠失変異が存在することが、その個人がMET阻害剤化合物に対して感受性であることを示している方法がさらに提供される。いくつかの実施態様では、この方法はさらに、工程(b)の前にサンプルを用いて逆転写反応を実施してcDNAを生成させることを含んでいる。いくつかの実施態様では、逆転写反応と工程(b)は、単一の容器(試験管、ウエル、マイクロ流体チェンバーなど)の中で起こる。いくつかの実施態様では、工程(b)は、cDNAを、(i)METエキソン13-14接合部を特異的に増幅して検出するためのプライマーセットおよび第1の標識で標識されたプローブ、(ii)METエキソン14-15接合部を特異的に増幅して検出するためのプライマーセットおよび第2の標識で標識されたプローブ、(iii)METエキソン13-15接合部を特異的に増幅して検出するためのプライマーセットおよび第3の標識で標識されたプローブと接触させることを含んでいる。いくつかの実施態様では、工程(c)は、第3の標識で標識されたプローブの検出を含んでいる。いくつかの実施態様では、工程(b)は多重反応であるため、例えば(i)、(ii)、(iii)のプライマーセットおよびプローブは単一の容器に含まれる。いくつかの実施態様では、この多重反応にはさらに、内部対照(例えば内部対照を特異的に増幅して検出するためのプライマーセットおよび第4の標識で標識されたプローブ(例えば標識されたICプローブ))が含まれる。いくつかの実施態様では、工程(b)は、別々の容器(例えば各容器が、(i)、(ii)、(iii)のプライマーセットおよびプローブのうちの1つを含む)の中で実施され、場合によっては内部対照を用いて多重化される。いくつかの実施態様では、逆転写反応と増幅/検出反応は、定量逆転写-PCR(qRT-PCR)を利用して実施される。
【0018】
いくつかの実施態様では、がんを有する個人を同定する方法は、(a)個人から(例えばRNAを含むか、DNAを含むか、RNAとDNAの両方を含む)核酸サンプルを取得し;(b)そのサンプルを用いて増幅/検出反応を実施することにより、METエキソン13-エキソン15接合部を選択的に増幅して検出し;(c)METエキソン13-エキソン15接合部が検出される場合にはMETエキソン14欠失の存在を検出することを含んでいて;その個人のサンプル中にMETエキソン14欠失変異が存在することが、その個人がMET阻害剤化合物に対して感受性であることを示している。いくつかの実施態様では、この方法はさらに、工程(b)の前にサンプルを用いて逆転写反応を実施してcDNAを生成させることを含んでいる。いくつかの実施態様では、逆転写反応と工程(b)は、単一の容器(試験管、ウエル、マイクロ流体チェンバーなど)の中で起こる。いくつかの実施態様では、工程(b)は、cDNAを、METエキソン13-15接合部を特異的に増幅して検出するためのプライマーセットおよび標識されたプローブと接触させることを含んでいる。いくつかの実施態様では、プライマーセットは、METエキソン13内の配列と相補的な順プライマーと、METエキソン15内の配列と相補的な逆プライマーを含んでいる。いくつかの実施態様では、標識されたプローブは、そのプライマーセットの増幅産物に特異的にハイブリダイズし、エキソン13だけに相補的な配列、またはエキソン15だけに相補的な配列、またはエキソン13と15の両方からの配列を含んでいる。いくつかの実施態様では、工程(c)は、標識されたプローブの検出を含んでいる。いくつかの実施態様では、この方法は、工程(b)において、サンプルを用いて増幅/検出反応を実施することにより、内部対照を選択的に増幅して検出し、工程(c)において、その内部対照が検出される場合にはその内部対照の存在を検出することを含んでいる。いくつかの実施態様では、内部対照の増幅と検出は、cDNAを、その内部対照を特異的に増幅して検出するためのプライマーセットおよび(非天然の蛍光体で、または蛍光体とクエンチャで)標識されたICプローブと接触させることを含んでいる。いくつかの実施態様では、工程(c)は、標識されたICプローブの検出を含んでいる。
【0019】
いくつかの実施態様では、工程(b)は多重反応であるため、プライマーセットおよびプローブは単一の容器に含まれる。いくつかの実施態様では、逆転写反応と増幅/検出反応は、定量逆転写-PCR(qRT-PCR)を利用して実施される。
【0020】
いくつかの実施態様では、上記の方法はさらに、METエキソン14欠失の存在が検出される場合に、METの下流エフェクタの阻害剤(例えばPI3K-AKT-mTOR経路またはRAS-RAF-MEK-ERK経路の阻害剤)を用いた治療、または標準的な化学療法を個人に施すことを含んでいる。
【0021】
いくつかの実施態様では、逆転写の前にサンプルのRNAを豊富にする。いくつかの実施態様では、サンプルは、非侵襲的供給源(例えば血液、血漿、血清、尿、粘膜スワブ、唾液、皮膚など)に由来する。いくつかの実施態様では、サンプルは、生検サンプル(例えば腫瘍生検サンプル)であり、場合によってはFFPETサンプルである。いくつかの実施態様では、個人はがん(例えば肺がん、腎臓がん、胃がん、神経がん、肉腫、腺癌)を有する。いくつかの実施態様では、個人はNSCLCを有する。
【0022】
いくつかの実施態様では、上記の方法は、がんを有する個人を同定することをさらに含んでおり、その個人のサンプル中でMETエキソン14欠失が検出される場合には、その個人のサンプルは、その個人が、METの下流エフェクタの阻害剤(例えばPI3K-AKT-mTOR経路、またはRAS-RAF-MEK-ERK経路の阻害剤)、または標準的な化学療法に対して感受性であることを示している。
【0023】
キットがさらに提供される。それは、例えば核酸サンプル中のMETエキソン14欠失を検出するためのキットである。いくつかの実施態様では、このキットは、(a)METエキソン13-14接合部を特異的に増幅して検出するためのプライマーセットおよび第1の標識で標識されたプローブと;(b)METエキソン14-15接合部を特異的に増幅して検出するためのプライマーセットおよび第2の標識で標識されたプローブと;(c)METエキソン13-15接合部を特異的に増幅して検出するためのプライマーセットおよび第3の標識で標識されたプローブを含んでいる。いくつかの実施態様では、プライマーとプローブの配列は、上に示したものである。いくつかの実施態様では、キットさらに、(d)内部対照を特異的に増幅して検出するためのプライマーセットおよび第4の標識で標識されたプローブを含んでいる。いくつかの実施態様では、第1の標識、第2の標識、第3の標識は(例えば別々の容器の中で検出するため)同じである。いくつかの実施態様では、第1の標識と第2の標識は同じだが、第3の標識とは異なっている。いくつかの実施態様では、第1の標識、第2の標識、第3の標識は(例えば多重反応を目的として)異なっている。
【0024】
いくつかの実施態様では、キットは、METエキソン13-15接合部を特異的に増幅して検出するためのプライマーセットおよび標識されたプローブ(非天然の標識をされたプローブ、例えば蛍光体で、または蛍光体/クエンチャで標識されたプローブ)を含んでいる。いくつかの実施態様では、プライマーセットは、METエキソン13内の配列と相補的な順プライマーと、METエキソン15内の配列と相補的な逆プライマーを含んでいる。いくつかの実施態様では、標識されたプローブは、そのプライマーセットの増幅産物に特異的にハイブリダイズし、エキソン13だけに相補的な配列、またはエキソン15だけに相補的な配列、またはエキソン13と15の両方からの配列を含んでいる。いくつかの実施態様では、プライマーとプローブの配列は上に示したものである。いくつかの実施態様では、キットはさらに、(d)内部対照を特異的に増幅して検出するためのプライマーおよび標識されたプローブ(例えばMETエキソン13-15接合部増幅産物に対して特異的な標識をされたプローブとは明確に異なる標識をされたICプローブ)を含んでいる。
【0025】
いくつかの実施態様では、キットはさらに、1つの逆転写酵素と1つの熱安定DNAポリメラーゼを含むか、両方の活性を有する1つの酵素を含んでいる。いくつかの実施態様では、キットはさらに、緩衝液(例えば増幅を容易にする緩衝液)および/またはdNTPを含んでいる。いくつかの実施態様では、キットはさらに、METエキソン14欠失をコードする核酸を含む陽性対照を含んでいる。いくつかの実施態様では、キットはさらに、METエキソン14欠失をコードしていない核酸を含む陰性対照を含んでいる。いくつかの実施態様では、キットはさらに、個人のサンプルからRNAを精製する(RNAを豊富にする)ための諸成分を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は成熟METのαサブユニットとβサブユニットの図であり、Y1003にあるユビキチン化部位の位置を示している。CBLはリン酸化される(活性化状態)とY1003に結合してMETに向かい、ユビキチンを媒介とした分解を受ける。エキソン14が欠失したMETにはY1003が存在しない。
【
図2】
図2は、METエキソン14欠失を検出するためのアッセイの設計の一例を示している。変異体は、エキソン13-エキソン15接合部に対して特異的なFAM標識プローブを用いて検出されるのに対し、野生型は、エキソン13-エキソン14接合部に対して特異的なHEX標識プローブと、エキソン14-エキソン15接合部に対して特異的なJA270標識プローブを用いて検出される。内部対照は、例えば核酸の濃度と品質に関して標準化するため、Cy5.5標識プローブを用いて検出される。
【
図3】
図3は、例示したそのアッセイ設計に関する追加情報を提供している。野生型MET転写産物のエキソン13、14、15を上図の上部に示してある。プライマーは矢印で表示してあり、プライマーによって生じるアンプリコンは、そのすぐ下に、標識された特異的プローブにハイブリダイズした状態で示してある。下図は、エキソン13と15が接合されていることと、プライマーの位置の例と、得られたアンプリコンが標識された特異的プローブにハイブリダイズしていることを示している。
【
図4】
図4は、変異体(FAMチャネル)について、
図2と
図3に示した多重反応の結果を示している。x軸は変異体配列のコピー数を示し、y軸はCtを示している。この図は、コピー数が増えるとCtが線形に減少することと、アッセイが30コピーを検出するのに十分な感度であることを示している。
【
図5】
図5は、野生型エキソン13-エキソン14接合部(HEXチャネル)についての多重反応の結果を示している。変異体の反応と同様、Ctは野生型のコピー数が増えると減っていく関係があり、反応は線形であり、30コピーを検出するのに十分な感度である。
【
図6】
図6は、野生型エキソン14-エキソン15接合部(JA270チャネル)についての多重反応の結果を示している。ここでも、Ctは野生型のコピー数が増えると減っていく関係があり、反応は線形であり、30コピーを検出するのに十分な感度であることをデータは示している。
【
図7】
図7は、エキソン13-エキソン15接合部の検出が特異的であることを示している。x軸はサイクル数を示し、y軸はFAM信号を示している。Mut1とMut2は、METエキソン14が欠失した細胞系からのサンプルである。WT1、WT2、UHR(普遍的ヒトRNA)からの野生型サンプルは信号を出さない。
【
図8】
図8は、エキソン13-エキソン15接合部の感度を示している。Ctは、野生型血漿中の変異体細胞系RNAのコピー数が100と30の間では約2倍に増加するのに対し、変異体細胞系RNAのコピー数がわずか10個だとより大きなCtの増加が見られる。右図は内部対照の結果を表示しており、サンプル間で入力がほぼ等しいことを示している。
【
図9】
図9は、アッセイ設計の一例を示している。上部の転写産物は、欠失のない野生型METと表わしており、下部の転写産物は、エキソン14が除去されたMETを表わしている。プライマーセット(矢印)は、エキソン13内に位置する第1の(順)プライマーと、エキソン15内に位置する第2の(逆)プライマーを含んでいるため、エキソン14が除去されると増幅産物が形成される。プローブはその増幅産物に特異的に結合するように設計されており、それは、エキソン13の中だけにある配列、またはエキソン15の中だけにある配列、または(図示した)エキソン13-エキソン15接合部にまたがる配列である。
【
図10】
図10は、
図9に示したアッセイ設計の特異性を示している。エキソン13-エキソン15増幅産物に対して特異的なプローブはFAMで標識してある(左のグラフ)のに対し、内部対照RNAに対して特異的なプローブはCY5.5で標識してある(右のグラフ)。(左のグラフ内に注記した)エキソン14が除去された2つの細胞系からのRNAと、2つの野生型細胞系からのRNAと、UHR(普遍的ヒトRNA)についてのqRT-PCRを示してある。
【
図11】
図11は、0.1 ng/反応UHRに添加したMETエキソン14欠失転写産物の量(x軸)を用いた検出限界(LOD)と線形性のデータを示している。スプライス産物は、線形な範囲内で下は10コピーまで検出可能である。
【
図12】
図12は、FFPET(ホルマリン固定パラフィン包埋組織)からの50 ngのRNAに添加した2つの異なる細胞系からのMETエキソン14欠失転写産物の量(x軸)を用いたLODと線形性を示している。スプライス産物は、線形な範囲内で下は10コピーまで検出可能である。
【
図13】
図13は、健康なドナーの血清cfRNAからのRNAに添加した2つの異なる細胞系からのMETエキソン14欠失転写産物の量(x軸)を用いたLODと線形性を示している。ここでも、LODは線形な範囲内で約10コピーである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
I.はじめに
本明細書では、METエキソン14欠失を引き起こす変異の性質はさまざまであるにもかかわらず、エキソン14欠失を検出するための新規な定量逆転写(qRT)-PCRアッセイが提供される。ここに記載するアッセイは、例えば検証されて広く採用されている技術に基づいているため、正確かつ再現可能かつ迅速な結果を提供する。本明細書に提示する結果は、アッセイを効率的に多重化して単一の試験管の中で実施できるようにしても異常に特異的かつ高感度の結果が提供されることを示している。
【0028】
II.定義
「多重」という用語は、2つ以上の標的を検出できるアッセイを意味する。例えば多重反応には、1つの遺伝子または1つの転写産物の異なる部分または異なるバリアントに対して特異的であるか、異なる遺伝子または異なる転写産物に対して特異的な2つ以上のプライマーセットと2つ以上のプローブを含めることができる。
【0029】
「貯蔵器」、「容器」、「試験管」、「ウエル」、「チェンバー」、「マイクロチェンバー」などは、試薬の保持またはアッセイの実施が可能な入れ物を意味する。貯蔵器がキットに含まれていて試薬を保持している場合、または貯蔵器が増幅反応に用いられている場合には、汚染または蒸発を回避するためその貯蔵器を閉じるか密封することができる。貯蔵器がアッセイに使用されている場合には、少なくともアッセイの準備中はその貯蔵器を開放するか、その貯蔵器にアクセスできるようにすることができる。
【0030】
「METエキソン14欠失」、「METエキソン14スキッピング」などの用語は、染色体が再編成されたり変異したりしているMET遺伝子を意味するか、METのエキソン14の少なくとも一部(すなわちMETタンパク質の膜隣接領域内にあって負の調節部位Tyr 1003をコードする部分)が除去されたMET転写産物を意味する。DNAレベルでのさまざまな変異によってエキソン14のスキッピングが起こる可能性がある(例えばKong-Beltran他(2006年)Cancer Res. 第66巻:283~289ページ;Dhanasekaran他(2014年)Nature Communications doi:10.1038/ncomms6893を参照されたい)。いくつかの実施態様では、本明細書で説明するアッセイにより、47個のアミノ酸をコードするMETエキソン14全体の欠失を検出する。
【0031】
「個人からサンプルを取得する」という表現は、個人からの生物サンプルを試験のために用意することを意味する。個人から直接取得すること、またはその個人からサンプルを直接取得した第三者から取得することができる。
【0032】
「個人に治療を施す」という表現は、治療が実際にその個人に対してなされること(例えば入院患者への注射)、またはその個人が治療を受けられることを意味する。そのため、その個人または第三者が実際に治療を施す。
【0033】
増幅産物に関する「形成されて検出される」という表現は、ベースライン以下のレベルよりも高いレベルでその増幅産物が形成されて検出されることを示す。ベースラインは、陰性対照を基準にすること(例えば変異配列を増幅して検出する場合には、野生型サンプルから生じる信号のレベルに設定すること)ができる。ベースラインを陰性対照の信号よりもわずかに(例えば1~5%)上に設定して、変異体配列に関する偽陽性結果を回避しつつ、アッセイの性能がいくらか変動してもよいようにすることもできる。核酸検出の当業者は、適切な対照と、所与のアッセイに関する変動レベルがわかるであろう。
【0034】
「核酸」、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチド(例えばリボヌクレオチドやデオキシリボヌクレオチド)のポリマーを意味し、その中に含まれるのは、天然の核酸(アデノシン、グアニジン、シトシン、ウラシル、チミジン)、非天然の核酸、修飾された核酸である。この用語は、ポリマーの長さ(例えばモノマーの数)による制限を受けない。核酸は一本鎖でも二本鎖でもよく、一般に5'-3'ホスホジエステル結合を含有するが、ヌクレオチド類似体は他の結合を有する場合がある。モノマーは、典型的にはヌクレオチドと呼ばれる。「非天然ヌクレオチド」または「修飾されたヌクレオチド」という用語は、修飾された窒素含有塩基、糖、リン酸基のいずれかを含有するヌクレオチド、または構造中に非天然部分が組み込まれたヌクレオチドを意味する。非天然ヌクレオチドの例に含まれるのは、ジデオキシヌクレオチド、ビオチニル化されたヌクレオチド、アミノ化されたヌクレオチド、脱アミノ化されたヌクレオチド、アルキル化されたヌクレオチド、ベンジル化されたヌクレオチド、蛍光体で標識されたヌクレオチドである。
【0035】
「プライマー」という用語は、適切な条件下で核酸ポリメラーゼによるポリヌクレオチド鎖合成の開始点として機能する短い核酸(オリゴヌクレオチド)を意味する。ポリヌクレオチドの合成反応と増幅反応は、典型的には、適切な緩衝液と、dNTPおよび/またはrNTPと、場合によっては1つ以上の補因子を含んでおり、適切な温度で実施される。プライマーは、典型的には、標的配列と少なくとも実質的に相補的で(例えば0個、または1個、または2個、または3個のミスマッチを含んでいて)標的にハイブリダイズする少なくとも1つの領域を含んでいる。この領域は、典型的には長さが約8個~約40個のヌクレオチド(例えば12~25個のヌクレオチド)である。「プライマーセット」は、標的配列に対して互いに逆方向を向いていて、増幅条件下で増幅産物を生成させる順プライマーと逆プライマーを意味する。プライマーセットはさらに、追加の順プライマーまたは逆プライマーを含むことができる。それは、例えばアレル特異的増幅を実施するためである。プライマーセットは、順プライマーまたは逆プライマーを別のプライマーセットと共有することもできる(例えば共通の順プライマーまたは逆プライマー)。順プライマーと逆プライマーという用語は任意に割り当てられているため、特に断わらない限り、コード配列などに関する方向を示していない。
【0036】
本明細書では、「プローブ」は、特定の標的生体分子(例えばプローブにハイブリダイズする興味ある核酸配列)に選択的に結合できるあらゆる分子を意味する。プローブは、検出可能な少なくとも1つの非ヌクレオチド部分(すなわち非天然部分)で標識される。いくつかの実施態様では、プローブは蛍光体とクエンチャで標識される。
【0037】
「特異的に増幅する」という表現は、プライマーセットが、非標的配列よりも標的配列のほうを統計的に有意に高いレベルで増幅することを示す。「特異的に検出する」という表現は、プローブが非標的配列よりも標的配列のほうを統計的に有意に高いレベルで検出することを示す。本分野で理解されているように、特異的な増幅と検出は、陰性対照(例えば試験核酸と同じ核酸を含むが標的核酸は含まないサンプル)を用いて確認することができる。例えば標的配列を特異的に増幅して検出するプライマーおよびプローブだとCtをバックグラウンド(非標的配列)から容易に識別でき、例えばCtは、バックグラウンドよりも少なくとも2、3、4、5、5~10、10~20、10~30サイクル少なくなる。
【0038】
「相補的」または「相補性」という用語は、あるポリヌクレオチドの中の核酸が第2のポリヌクレオチドの中の別の核酸と塩基対を形成する能力を意味する。例えば配列A-G-T(RNAではA-G-U)は、配列T-C-A(RNAではU-C-A)と相補的である。相補性は、部分的でも(その場合には、いくつかの核酸だけが塩基対合に従ってマッチする)、完全でもよい(その場合には、すべての核酸が塩基対合に従ってマッチする)。プローブまたはプライマーが標的配列に対して「特異的」であると見なされるのは、そのプローブまたはプライマーがその標的配列と少なくとも部分的に相補的である場合である。条件によって異なるが、標的配列に対する相補性の程度は、典型的には、より長い配列よりもより短い核酸配列(例えばプライマー)に対してより大きくなる(80%超、90%超、95%超、またはそれ以上)。
【0039】
2つ以上の核酸、または2つ以上のポリペプチドの文脈における「一致」または「パーセント一致」という用語は、BLASTまたはBLAST 2.0という配列比較アルゴリズムをデフォルトパラメータで用いて測定したとき、または手作業のアラインメントと目視によって測定したとき、ヌクレオチドまたはアミノ酸が同じであるか、ヌクレオチドまたはアミノ酸の特定の割合が同じである(比較ウインドウまたは指定された領域の全体で対応が最大になるようにアラインメントして比較したとき、特定の領域全体で例えば約60%が一致する、例えば65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上が一致する)2つ以上の配列または部分配列を意味する。例えばNCBIのウェブサイトncbi.nlm.nih.gov/BLASTを参照されたい。このような配列はそのため「実質的に一致する」と言われる。パーセント一致は、典型的には、最適なアラインメントにした配列全体で判断されるため、定義は、欠失および/または付加を有する配列と、置換を有する配列に適用される。本分野で一般に用いられるアルゴリズムは、ギャップなどを説明する。典型的には、一致は、アミノ酸またはヌクレオチドの長さが少なくとも約8~25個である領域全体、またはアミノ酸またはヌクレオチドの長さが50~100個である領域全体、または参照配列の全長に存在する。
【0040】
「キット」という用語は、本明細書に記載したように、RNAまたはDNAを特異的に増幅し、捕獲し、タグ付け/変換し、検出するための少なくとも1つの試薬(例えば核酸プローブやプローブプールなど)を含むあらゆる製造物(例えば包装や容器)を意味する。
【0041】
「増幅条件」という用語は、核酸増幅反応(例えばPCR増幅)においてプライマーがハイブリダイズして鋳型に依存して伸長することを可能にする条件を意味する。「アンプリコン」または「増幅産物」という用語は、標的核酸配列の全体または断片を含有していて、適切な任意の増幅法によってインビトロ増幅の産物として形成される核酸分子を意味する。当業者は、順プライマーと逆プライマー(プライマー対)が増幅産物の境界を規定することがわかるであろう。「増幅産物を生成させる」という表現は、プライマーに適用するとき、適切な条件下(例えばヌクレオチドポリメラーゼとNTPの存在下)で規定の増幅産物を生成させることになるプライマーを示す。さまざまなPCR条件が、『PCR Strategies』(Innis他、1995年、Academic Press社、サン・ディエゴ、カリフォルニア州)の第14章と;『PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications』(Innis他、Academic Press社、ニューヨーク、1990年)に記載されている。
【0042】
「増幅産物」という用語は、増幅反応の生成物を意味する。増幅産物は、1回ごとにポリヌクレオチドの合成を開始させるのに用いるプライマーを含んでいる。「アンプリコン」は増幅の標的となる配列であり、この用語は、増幅産物を呼ぶのにも使用できる。アンプリコンの5'と3'の境界は、順プライマーと逆プライマーによって規定される。
【0043】
「サンプル」または「生物サンプル」という用語は、核酸を含有しているか、核酸を含有すると考えられるあらゆる組成物を意味する。この用語には、細胞、組織、血液の精製された成分または分離された成分(例えばDNA、RNA、タンパク質、無細胞部分、細胞ライセート)が含まれる。ここに開示するアッセイの文脈では、サンプルは、典型的にはFFPETであり、例えば腫瘍または転移した病巣に由来する。サンプルは、凍結された組織または新鮮な組織からのものや、液体サンプル(例えば血液または血液成分(血漿または血清)、尿、精液、唾液、痰、粘液、涙、リンパ球、脳脊髄液、口内/喉うがい液、気管支肺胞洗浄液、スワブからの洗浄材料など)も可能である。サンプルは、個人から得られた細胞(細胞系も含む)のインビトロ培養物の構成要素と成分も含むことができる。サンプルは、個人から直接得られたサンプルから一部を処理することもできる(例えば細胞ライセート、または赤血球細胞を減らした血液)。
【0044】
「対照」サンプルまたは「対照」値は、試験サンプルまたは試験条件と比較するための基準(通常は既知の基準)として役立つ値を意味する。例えば試験サンプルを1つの試験条件(例えばがんを有することが疑われる個人)から取り出し、既知の条件(がんのない個人(陰性対照)またはがんを有することが知られている個人(陽性対照))からのサンプルと比較することができる。対照は、多数の試験または結果から集めた平均値または範囲を表わすこともできる。1つの対照をいろいろな反応条件のために用意することもできる。例えば核酸の存在および/または品質および/または量のための対照(例えば内部対照)は、サンプル中に存在することがわかっている配列(例えばハウスキーピング遺伝子であるβ-アクチン、β-グロビン、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、リボソームタンパク質L37とL38、PPIアーゼ、EIF3、真核生物翻訳伸長因子2(eEF2)、DHFR、コハク酸デヒドロゲナーゼ)を検出することになるプライマーまたはプローブを含むことができる。例えば指定された長さおよび/または配列を有する既知の追加ポリヌクレオチドも追加することができる。陰性対照の一例は、核酸を含まない対照、またはサンプル中に存在しないと考えられる配列(例えば異なる種に由来する配列)に対して特異的なプライマーまたはプローブを含む対照である。当業者は、対照の選択が個々のアッセイによって異なるため、例えば選ばれた対照は、細胞のタイプと生物にとって適切なものになることがわかるであろう。当業者は、任意の数のパラメータを評価するため複数の対照を設計できることを認識しているであろう。例えば薬理学的データ(例えば半減期)または治療の指標(例えば効果および/または副作用の比較)に基づいて治療の効果を比較するための対照を考案することができる。インビトロでの用途のための対照を設計することができる。当業者は、所与の状況ではどの対照が有用であるかを理解していて、対照値との比較に基づいてデータを分析することができるであろう。対照は、データの有意性を求めるのにも有用である。例えば所与のパラメータに関する値が対照間で広く変動する場合には、試験サンプルにおける変動は有意であると見なされない。
【0045】
「標識」、「タグ」、「検出可能な部分」などの用語は、分光手段、光化学的手段、生化学的手段、免疫化学的手段、化学的手段や、他の物理的手段によって検出できる組成物を意味する。例えば有用な標識に含まれるのは、蛍光染料、発光剤、放射性同位体(例えば32P、3H)、高電子密度試薬、親和性に基づく部分(例えば(ポリ-Tと相互作用する)ポリ-Aタグ、(ポリ-Aと相互作用する)ポリ-Tタグ、(Niと相互作用する)ヒスチジンタグ、(ビオチンを用いて分離できる)ストレプトアビジンタグ)である。本明細書では、標識、タグ、検出可能な部分のいずれかに付着した生体分子(DNA、RNA、タンパク質など)は、自然に生じる組成物ではない。
【0046】
特に断わらない限り、本明細書で用いる科学技術用語は、当業者が一般に理解しているのと同じ意味を持つ。例えばLackie、『DICTIONARY OF CELL AND MOLECULAR BIOLOGY』、Elsevier社(第4版、2007年);Sambrook他、『MOLECULAR CLONING, A LABORATORY MANUAL』、Cold Springs Harbor Press (コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク州、1989年)を参照されたい。「1つの」という用語は、「1つ以上」を意味することを想定している。「含む」、「含んでいる」という用語は、1つの工程または要素の後に記載されているときには、追加の工程または要素を付加することが選択肢として存在し、除外されないことを意味することを想定している。
【0047】
III.核酸サンプル
核酸を増幅するためのサンプルは、核酸を含有することが疑われる任意の供給源から取得することができる。本開示の文脈では、サンプルはヒト供給源に由来する。いくつかの実施態様では、サンプルは、非侵襲的に得られる(例えば血液または血液分画、尿、皮膚、スワブ、唾液)。サンプルは、(例えば患者から得られるか、対照を表わす)ホルマリン固定パラフィン包埋組織(FFPET)、組織生検、気管支肺胞洗浄液、培養した細胞から取得することもできる。いくつかの実施態様では、サンプルは、肺細胞(例えば肺がん細胞)を含む肺組織または細胞集団から取得する。
【0048】
細胞を含むサンプルでは、(例えばサイズに基づく濾過、または遠心分離を利用して)細胞を分離し、そのことによって無細胞核酸(cfNA)を残すことができる。そのような核酸に含まれるのは、エキソーム、微小水疱、ウイルス粒子の中の核酸や、自由に循環している核酸である。あるいは細胞を溶解させ、磁性ガラス粒子(MGP)の存在下で、またはその細胞ライセートをMGPに添加する前に、細胞の核酸を得ることができる。
【0049】
いくつかの実施態様では、核酸(DNA、またはRNA、またはその両方)をサンプルの他の諸成分(例えばタンパク質、膜、脂質など)から単離した後、増幅および/または検出を行なう。「単離された」、「分離された」、「精製された」などの用語は、核酸に他の物質が100%含まれないことは示しておらず、その核酸が元のサンプルと比べて実質的に豊富になっていることを示す。例えば精製された核酸は、元のサンプルと比べて2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、またはそれ以上豊富にすることができる。いくつかの実施態様では、精製された核酸は、サンプルからの非核酸残留物が20%未満、または10%未満、または5%未満、または2%未満、または1%未満、または0.5%未満、または0.1%未満含まれた水溶液の中にある。
【0050】
いくつかの実施態様では、本明細書に記載するアッセイは、METをコードするmRNAに依存している。エキソン14欠失を引き起こす変異の多くは体性細胞であるため、欠失は、METを発現するあらゆる種類の細胞(例えば上皮細胞)からの転写産物で起こることが予想される。サンプルは、腫瘍の核酸を含むことが疑われる任意の細胞供給源または無細胞供給源(例えばがん生検または循環している核酸)から取得することができる。
【0051】
生物サンプルから核酸を単離する方法は公知であり、例えばSambrook(上掲文献)に記載されており、いくつかのキットが市販されている(例えばRoche社から入手できるcobas(登録商標)cfRNA Sample Preparation Kit、High Pure RNA Isolation Kit、High Pure Viral Nucleic Acid Kit、MagNA Pure LC Total Nucleic Acid Isolation Kit、DNA Isolation Kit for Cells and Tissues、DNA Isolation Kit for Mammalian Blood、High Pure FFPET DNA Isolation Kit)。本開示の方法の文脈ではRNAを回収するが、いくつかの実施態様では、あらかじめ用意したcDNAで試験することができる。
【0052】
IV.増幅と検出
(単離された、または単離されていない)核酸サンプルを用い、例えば核酸増幅(例えばプライマーに依存する任意の方法)を利用して検出と定量を行なうことができる。いくつかの実施態様では、予備的逆転写工程(RT-PCRとも呼ばれるが、リアルタイムPCRと混同しないこと)を実施する。例えばHierro他、Appl Environ Microbiol(2006年)第72巻:7148ページを参照されたい。本明細書では、「qRT-PCR」という用語は、逆転写後の定量PCRを意味する。両方の反応を、例えば試薬を添加するために中断することなく、単一の試験管の中で実施することができる。例えばポリTプライマーを用いてサンプル中のポリA尾部を有する全mRNAを逆転写すること、またはランダムなオリゴヌクレオチドを用いること、またはcDNAへと逆転写されることになる特定の標的転写産物に対して特異的なプライマーを設計することができる。cDNAは、定量的増幅(リアルタイムPCRまたは定量PCR、すなわちRT-PCRまたはqPCR)のための初期鋳型鎖を形成することができる。qPCRにより、PCRプロセスの各サイクルの間に生成した産物の検出と測定を信頼性よく行なうことが可能になる。そのような技術は本分野で周知であり、キットと試薬が例えばRoche Molecular Systems社、Life Technologies社、Bio-Rad社などから市販されている。例えばPfaffl、Methods: The ongoing evolution of qPCR 第50巻(4)、(2010年)、215~216ページを参照されたい。
【0053】
別々になった逆転写酵素と熱安定DNAポリメラーゼを例えば2工程反応(逆転写の後にDNAポリメラーゼを添加して増幅)または組み合わせ反応(両方の酵素を一度に添加)で用いることができる。いくつかの実施態様では、逆転写活性とDNA鋳型依存活性の両方を有する1つの熱安定ポリメラーゼを用いて標的核酸を増幅する。酵素の例に含まれるのは、Tth DNAポリメラーゼ、C. thermポリメラーゼ系、アメリカ合衆国特許出願公開第20140170730号と第20140051126号に開示されている酵素である。いくつかの実施態様では、TaqまたはTaq誘導体を増幅に用いる(Z05、C21など)。いくつかの実施態様では、逆転写酵素は、MMLV、AMVに由来するもの、またはその誘導体である。
【0054】
本明細書に記載したようにして用いるプローブは、蛍光体とクエンチャで標識することができる(例えばTaqMan、LightCycler、Molecular Beacon、Scorpion、二重標識プローブ)。適切な蛍光体に含まれるのは、FAM、JOE、JA270、TET、Cal Fluor Gold 540、HEX、VIC、Cal Fluor Orange 560、TAMRA、Cyanine 3、Quasar 570、Cal Fluor Red 590、Rox、Texas Red、Cyanine 5、Quasar 670、Cyanine 5.5である。適切なクエンチャに含まれるのは、(FAM、JOE、TETのための)TAMRA、DABCYL、BHQ1~3である。
【0055】
検出装置は本分野で知られており、選択した標識に適したものを選ぶことができる。定量PCRに適した検出装置に含まれるのは、cobas(登録商標)システムとLight Cycler(登録商標)システム(Roche社)、PRISM 7000システムと7300リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems社)などである。CFX96 Real Time PCR Detection System(Bio-Rad社)とRotorgene Q(Qiagen社)では6チャネル検出を利用できるため、多重化の程度を高めることが可能である。
【0056】
結果は、閾値サイクル(Ctと略記し、場合によってはCqまたはCpと表記する)で表示することができる。より小さなCt値は、例えば標的核酸の濃度がより大きいとか、増幅がより効率的であるという理由で、所定の閾値レベルに迅速に到達したことを反映している。より大きなCt値は、標的核酸の濃度がより小さいとか、増幅が非効率であったり抑制されたりしていることを反映している可能性がある。閾値サイクルは、一般に、所与の標的について増幅の線形範囲内になるように選択される。いくつかの実施態様では、Ctは、増殖信号が、例えばベースラインとの関係であらかじめ決めてある閾値線を超えるサイクルに設定するか、増殖曲線の二次微分の最大値を求めることによって設定する。Ctの決定法は本分野で知られており、例えばアメリカ合衆国特許第7363168号に記載されている。
【0057】
V.キット
本明細書では、サンプル中のMETエキソン14欠失を検出することを目的とした多重qRT-PCRアッセイのためのキットが提供される。いくつかの実施態様では、キットは、METエキソン13-エキソン14接合部、エキソン14-エキソン15接合部、エキソン13-エキソン15接合部をコードする転写産物の増幅および/または検出および/または定量のためのプライマーとプローブを含んでいる。
【0058】
接合部に特異的なプライマーセットとプローブを任意の組み合わせで混合してマッチさせることができる。4チャネルある検出系では、3つの接合部のそれぞれを内部対照とともに単一の容器内で検出することができる。あるいはアッセイをより低い多重度で実施すること、または多重化せずにアッセイを実施することができる。例えばそれぞれの接合部を別々の容器内で例えば内部対照とともに個別に検出することができる。
【0059】
いくつかの実施態様では、キットは、METエキソン13-エキソン15接合部をコードする転写産物の増幅および/または検出および/または定量のためのプライマーとプローブを含んでいる。これらのプライマー(例えばMETエキソン13-エキソン15接合部増幅産物を特異的に増幅するRTプライマー、順プライマーおよび逆プライマー)とプローブ(METエキソン13-エキソン15接合部増幅産物に対して特異的なプローブ)を、内部対照を特異的に増幅して検出するプライマーおよびプローブと混合すること、または別々の容器に提供することができる。
【0060】
いくつかの実施態様では、混合物はさらに、逆転写と増幅にとって適切な緩衝液、dNTPや、他の要素(例えば補因子やアプタマー)を含んでいる。典型的には、混合物を濃縮し、アリコートを、サンプル(例えばRNA)および/または酵素および/または水とともに最終反応体積に添加する。いくつかの実施態様では、キットはさらに、逆転写酵素(または逆転写活性を有する酵素)および/またはDNAポリメラーゼ(例えばTaq、ZO5などの熱安定DNAポリメラーゼと、その誘導体)を含んでいる。
【0061】
いくつかの実施態様では、キットはさらに、サンプル(例えば血漿サンプルまたはFFPETサンプル)からRNAを精製するための諸成分を含んでいる。例えばキットは、cobas(登録商標)6800/8800 Sample Prep Kits、High PureまたはMagNA Pure RNA Isolation Kit (Roche社)、miRNeasyまたはRNeasy FFPE Kit(Qiagen社)、PureLink FFPE RNA Isolation Kit(Thermo Fisher社)、ThruPLEX Plasma-seq(Beckman Coulter社)などからの諸成分を含むことができる。
【0062】
いくつかの実施態様では、キットはさらに、少なくとも1つの対照サンプル(例えば非がんサンプル(またはプールされているサンプル)からの核酸、または既知のMETエキソン14欠失サンプル(またはプールされているサンプル)からの核酸)を含んでいる。いくつかの実施態様では、キットはさらに、消費される材料(例えば核酸を調製するためのプレートや試験管、サンプル回収のための試験管など)を含んでいる。いくつかの実施態様では、キットはさらに、使用するための指示、ウェブサイトへの参照、ソフトウエアを含んでいる。
【0063】
VI.METが関係するがんと治療法
MET変異は多数の異なるがんと関係しており、そのようながんに含まれるのは、腎臓がん、胃がん、中枢神経系のがん、肉腫である。METエキソン14欠失は特に非小細胞肺がん(NSCLC)と肺腺癌に関係しており、これらのがんのそれぞれ2%と4%で見られる。2016 National Comprehensive Cancer Network(NCCN)ガイドラインには、今や、遺伝子変化を有する肺がん患者のための新たに出現しつつある標的薬のためのカテゴリー2AにMETエキソン14欠失が含まれている。
【0064】
MET阻害剤クリゾチニブ(ALKとROS1も抑制する)とカボザンチニブ(VEGFR2とRETも抑制する)は、METエキソン14スキッピングを有する肺腺癌患者にとって有効であることが示されている。それに加えて他の小分子MET阻害剤が試験中であり、そのような阻害剤に含まれるのは、INCB28060 (Incyte社)、AMG-458 (Amgen社)、PF-04217903 (Pfizer社)、PF-02341066 (Pfizer社)、E7050 (Eisai社)、MK-2461 (Merck社)、BMS-777607 (BMS社)、JNJ-38877605 (Johnson & Johnson社)、ARQ197 (ArQule社)、GSK/1363089/XL880 (GSK/ Exelexis社)、XL184 (BMS/ Exelexis社)である。追加のMET阻害剤には、生物学的製剤、例えばMET(例えば活性化したMET)に対して特異的な抗体または抗体フラグメントが含まれる。
【0065】
METエキソン14欠失を有する患者は、標準的な化学療法からの効果も得ることができる。その化学療法には、CHOP(シクロホスファミド;ドキソルビシン;ビンクリスチン;プレドニゾロン)またはR-CHOP(リツキシマブおよび/またはエトポシドをさらに含む)が含まれる。このカクテルは、設定した期間にわたって定期的に投与すること、または腫瘍のサイズ減少および/または症状の軽減が検出されるまで投与することができる。例えばCHOPまたはR-CHOPは、2または3週間ごとに投与することができる。治療は、副作用を判断できるよう典型的には低用量から始まり、副作用が現われるまで、または患者の耐容性の範囲で用量を増やしていく。
【0066】
VII.実施例
A.アッセイの設計(
図2と
図3)
エキソン13-エキソン15(変異体、すなわちエキソン14欠失)の接合部と、エキソン13-エキソン14およびエキソン14-エキソン15(野生型)の接合部を増幅するためのプライマーを設計した。各アンプリコンの接合点に対して特異的なプローブも調製し、多重化した増幅と検出のため異なる標識で標識した。内部対照(ここではSDH(コハク酸デヒドロゲナーゼ))のためのプライマーとプローブも設計した。
【0067】
非天然核酸と標的配列からのミスマッチを導入して特異的な標的-オリゴハイブリダイゼーションを安定化させた。ミスマッチに関する最良の修飾と位置は予測できない。適切なオリゴヌクレオチド配列を下記の表1に示す。MET13-FWDは、METエキソン13の中の順プライマーを意味し、MET14-FWDは、METエキソン14の中の順プライマーを意味し、MET14-REVは、METエキソン14の中の逆プライマーを意味し、MET15-REVは、METエキソン15の中の逆プライマーを意味し、MET13-15-PRBは、METエキソン13と15の接合部の位置にあるヌクレオチドとハイブリダイズするプローブを意味し、MET13-14-PRBは、METエキソン13と14の接合部の位置にあるヌクレオチドとハイブリダイズするプローブを意味し、MET14-15-PRBは、METエキソン14と15の接合部の位置にあるヌクレオチドとハイブリダイズするプローブを意味する。MET13-15-PRB9は、METエキソン13-エキソン15増幅産物にハイブリダイズしないアンチセンス方向プローブであるため、対照として用いることができる。
【0068】
【表1-1】
【表1-2】
pdU=C-5プロピニル-dU(Tの非天然置換基)
pdU=C-5プロピニル-dC(Cの非天然置換基)
5 Me dC=5-メチル-2'-dC(Cの非天然置換基)
G clamp=AP-dC(Cの非天然置換基)
N6 Bz dA=N6-ベンゾイル-2'-デオキシアデノシン(Aの非天然置換基)
FAM、HEX、JA270=蛍光体
BHQ 2=クエンチャ
【0069】
B.細胞系核酸とMETエキソン14の多重反応
MET13-FWDプライマー、MET14-FWDプライマー、MET14-REVプライマー、MET15-REVプライマーと、異なる標識を付けたMET13-14-PRBプローブ、MET13-15-PRBプローブ、MET14-15-PRBプローブのうちの1つを用いて多重アッセイを実施した。内部対照プライマーと、Cy5.5で標識したプローブも含めた。
【0070】
結果を
図4~
図6に示す、
図4は、METエキソン14欠失サンプルの信号と、エキソン14欠失RNAのコピー数の関係を示している。
図5と
図6は、野生型MET(それぞれ、エキソン13-エキソン14と、エキソン14-エキソン15)の信号と、野生型RNAのコピー数の関係を示している。それぞれのグラフは、アッセイが、30コピーの標的RNA入力を検出するのに十分な感度であることを示している。
【0071】
図7は、アッセイが特異的でもあることを示している。エキソン13-エキソン15接合部の信号(FAM)が、変異体細胞系(Mut1とMut2)と、野生型細胞系(WT1とWT2)と、普遍的ヒトRNA(UHR)について示されている。
図7からわかるように、METエキソン14欠失が欠けているサンプルでは信号が検出されなかった。
【0072】
C.野生型血漿に添加した変異細胞系RNAとMETエキソン14の多重反応
変異細胞系からの核酸を野生型(正常な)血漿に添加し、血漿成分(野生型核酸を含む)が変異体の信号の検出に干渉しないようにした。
図8からわかるように、変異体RNAを30コピー含むサンプルでMETエキソン14欠失を容易に検出することができ、ほんの10コピーだと信号がわずかに低下した。
【0073】
D.アッセイの設計(
図9)
図2と
図3に示したアッセイの設計を利用すると、サンプルがMET野生型であるか、METエキソン14欠失を含むかに関係なく、エキソン13-エキソン14増幅産物と、エキソン14-エキソン15増幅産物がほぼ常に生成する。エキソン13-エキソン15接合部の増幅と検出に注目するため、異なる形式のアッセイを設計した。この場合には、エキソン13内の配列と相補的な順プライマーと、エキソン15内の逆向きの配列と相補的な逆プライマーを用い、MET増幅反応を1つだけ実施する。得られる増幅産物は、エキソン13からの配列と、エキソン15からの配列を有するため、この増幅産物の任意の部分に対して特異的なプローブで検出することができる。すなわちプローブは、エキソン13の配列だけに対して、またはエキソン15の配列だけに対して、またはエキソン配列の接合部に対して特異的なものが可能である。METのスプライシングは多彩であるため、多数の変異体増幅産物を生成させることができる。さまざまなエキソン14スプライス変異体を捕獲する1つのプローブを設計すること、またはさまざまなエキソン14スプライス変異体を捕獲する多数のプローブを設計することができる。
【0074】
E.METエキソン13-エキソン15の増幅と検出の性能
適切なMET13-FWDプライマー、MET15-REVプライマー、MET13-15-PRBプローブを上記の表1に示してある。1つの例外は、METエキソン13-エキソン15増幅産物にハイブリダイズしないMET13-15-PRB9アンチセンス方向プローブであり、それを対照として用いることができる。
【0075】
図10は、
図9に示したアッセイの設計の特異性を示している。エキソン13-エキソン15増幅産物に対して特異的なプローブはFAMで標識してある(左のグラフ)のに対し、内部対照RNAに対して特異的なプローブはCY5.5で標識してある(右のグラフ)。(左のグラフ内に注記した)エキソン14が除去された2つの細胞系からのRNAと、2つの野生型細胞系からのRNAと、UHR(普遍的ヒトRNA)についてのqRT-PCRを示してある。エキソン14が除去されたサンプルだけが信号を出す。
【0076】
図11は、0.1 ng/反応UHRに添加したMETエキソン14欠失転写産物の量(x軸)を用いた検出限界(LOD)と線形性のデータを示している。エキソン14が除去された転写産物は、線形な範囲内で下は10コピーまで検出可能である。内部対照は正方形で示されており、エキソン14が除去された転写産物は菱形で示されている。
【0077】
図12は、FFPET(ホルマリン固定パラフィン包埋組織)からの50 ngのRNAに添加した2つの異なる細胞系からのMETエキソン14欠失転写産物の量(x軸)を用いたLODと線形性を示している。エキソン14が除去された転写産物は、線形な範囲内で下は10コピーまで検出可能である。細胞系からのエキソン14欠失細胞系転写産物は、(直線に沿った)正方形と菱形で示されており、内部対照は正方形と三角形で示されている。
【0078】
図13は、健康なドナーの血清cfRNAからのRNAに添加した2つの異なる細胞系からのMETエキソン14欠失転写産物の量(x軸)を用いたLODと線形性を示している。ここでも、LODは線形な範囲内で約10コピーである。細胞系からのエキソン14欠失細胞系転写産物は、(直線に沿った)正方形と菱形で示されており、内部対照は正方形と三角形で示されている。
【配列表】