(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】熱交換器及びマニホールドを有する熱交換器コアを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
F28F 3/08 20060101AFI20231122BHJP
F28D 9/00 20060101ALI20231122BHJP
F28F 9/00 20060101ALI20231122BHJP
F28F 9/26 20060101ALI20231122BHJP
B23K 9/00 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
F28F3/08 301Z
F28D9/00
F28F9/00 331
F28F9/26
B23K9/00 501H
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019077739
(22)【出願日】2019-04-16
【審査請求日】2022-04-15
(32)【優先日】2018-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515150597
【氏名又は名称】ボーサル エミッション コントロール システムズ エヌベー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ルイック,マーティン
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01376041(EP,A2)
【文献】仏国特許発明第02497565(FR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0254598(US,A1)
【文献】特開平06-003076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 3/08
F28D 9/00
F28F 9/00
F28F 9/26
B23K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器であって、
各々が熱交換器コアの4つの異なる側部に配置された、第1の流体注入口、第1の流体排出口、第2の流体注入口、及び第2の流体排出口と、
前記熱交換器コアの前記4つの異なる側部のうちの1つの側部を覆うマニホールドであって、前記マニホールドの第1の側壁が前記マニホールドによって覆われた前記熱交換器コアの前記1つの側部に対して90度未満の角度で配置された、前記マニホールドと
を備え、
前記マニホールドによって覆われた前記熱交換器コアの前記1つの側部と前記熱交換器コアの前記4つの異なる側部のうちの隣接側部との間の前記熱交換器コアのエッジが、前記マニホールドの前記第1の側壁の接続エッジとともに共通の溶接線を形成
し
前記熱交換器は、熱転送プレートの積層体であって、第1のフローチャネル及び第2のフローチャネルが前記熱転送プレートの間に間隙要素を配置することによって前記熱転送プレートの間に設けられ、前記間隙要素は、前記第1の流体注入口、前記第1の流体排出口、前記第2の流体注入口及び前記第2の流体排出口を開放したまま前記熱転送プレートの4つのエッジ部に沿って延在する、前記熱転送プレートの積層体を備え、
前記間隙要素が熱交換器コアを形成する前記4つのエッジ部に沿って前記熱転送プレートに溶接され、
前記マニホールドの前記接続エッジとともに前記共通の溶接線を形成する前記熱交換器コアの前記エッジが、間に間隙要素を有する積層された前記熱転送プレートの全体に沿って延在し且つ前記熱転送プレートの全体によって形成される4つのエッジのうちの1つである、熱交換器。
【請求項2】
前記マニホールドによって覆われた前記1つの側部に隣接する前記熱交換器コアの前記4つの異なる側部のうちの第2の側部を覆う更なるマニホールドを備え、
前記更なるマニホールドの第1の側壁の接続エッジが前記共通の溶接線の一部を形成する、請求項1
に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記更なるマニホールドの前記第1の側壁が、前記更なるマニホールドによって覆われた前記熱交換器コアの前記第2の側部に対して90度未満の角度で配置されている、請求項
2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記マニホールドの前記第1の側壁及び前記更なるマニホールドの前記第1の側壁が同一平面に配置されている、請求項
2又は
3に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記マニホールドが第2の側壁を備え、
前記第2の側壁の接続エッジは、前記マニホールドによって覆われた前記熱交換器コアの前記1つの側部と、前記熱交換器コアの前記4つの異なる側部のうちの他の対向隣接側部との間で、前記熱交換器コアのエッジとともに共通の溶接線を形成する、請求項1~
4のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記マニホールドが非対称上盤の形状を有する、請求項1~
5のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記熱交換器コアの前記4つの異なる側部の各1つがマニホールドによって覆われ、マニホールドによって覆われない前記熱交換器コアの2つの対向側部が各々側部プレートによって覆われ、当該側部プレートは対向側部において前記マニホールドにわたる容積部を閉じる、請求項1~
6のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記熱交換器コアの前記異なる側部の各1つがマニホールドによって覆われ、各マニホールドが、その隣接マニホールド及び前記熱交換器コアのエッジと共通の溶接線を共有する、請求項1~
7のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記マニホールドの各々における共通の開口部を備える矩形状の熱交換器ボックスの形態を有し、2つの共通の開口部が前記熱交換器ボックスの1つの側部に配置され、2つの更なる共通の開口部が前記前記熱交換器ボックスの対向側部に配置された、請求項
7又は
8に記載の熱交換器。
【請求項10】
熱シールドが、マニホールドと、前記マニホールドによって覆われた前記熱交換器コアの側部との間の空間内に配置された、請求項1~
9のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項11】
マニホールドを有する熱交換器コアを製造する方法であって、
熱転送プレートの積層体を設けるステップであって、前記熱転送プレートが略平面に延在し、4つのエッジ部を備える、ステップと、
前記熱転送プレートの間に間隙要素を配置することによって前記熱転送プレートの間に第1のフローチャネル及び第2のフローチャネルを設けるステップであって、前記間隙要素は、前記積層体の4つの異なる側部に各々配置された第1の注入口、第1の排出口、第2の注入口、及び第2の排出口を開放したまま前記熱転送プレートの前記4つのエッジ部に沿って延在している、ステップと
前記4つのエッジ部に沿って熱転送プレートに間隙要素を溶接し、それによって熱交換器コアを形成するステップであって、前記熱交換器コアは、間に間隙要素を有する積層された前記熱転送プレートの全体に沿って延在し且つ前記熱転送プレートの全体によって形成される4つのエッジを有する、ステップと、
マニホールドを設けるとともに、前記マニホールドで前記熱交換器コアの前記4つの異なる側部のうちの1つの側部を覆うステップと、
前記熱交換器コアの前記4つのエッジのうちの1つに前記マニホールドの接続エッジを溶接し、それによって前記4つのエッジのうちの前記1つに沿って前記熱交換器コアを溶接し、前記マニホールドの前記接続エッジとともに共通の溶接線を形成するステップとを備える方法。
【請求項12】
前記熱交換器コアの前記4つの異なる側部のうちの第2の隣接側部を覆う更なるマニホールドを準備するステップと、
前記更なるマニホールドの接続エッジを、前記マニホールドの前記接続エッジ、及び前記熱交換器コアの前記4つのエッジのうちの前記1つに溶接し、それによってマニホールドと、更なるマニホールドと、前記熱交換器コアの前記1つのエッジとの間に前記共通の溶接線を形成するステップと
をさらに備える請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
4つのマニホールドを設けるステップと、
前記熱交換器コアの前記4つの異なる側部の各1つを前記4つのマニホールドのうちの1つで覆うステップと、
マニホールドの接続エッジの各2つを相互に、及び前記熱交換器コアの前記4つのエッジのうちの1つに溶接するステップと
を備える請求項
11又は
12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記熱交換器コアの周囲に前記4つのマニホールドを配置及び設計し、それによって、前記4つのマニホールドの各々に共通の開口部を備える熱交換器ボックスを形成するステップと、
前記熱交換器ボックスの1つの側部に2つの共通の開口部及び前記熱交換器ボックスの対向側部に2つの更なる共通の開口部を配置するステップと
を備える請求項
13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器及びマニホールドを有する熱交換器コアを製造するための方法に関し、特に、プレート式熱交換器及びマニホールドを有するプレート式熱交換器を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器において、特に、個々の熱交換器セルが積層されて熱交換器積層体を形成する熱交換器において、異なる流体フローの注入口及び排出口は、コレクタに組み合わされるので、流体の各々に対する単一の供給管及び単一の排出管を有するマニホールドと呼ばれる。マニホールドの構築及びその熱交換器コアの搭載は、多くの場合緻密であり費用がかさむ。
【0003】
したがって、熱交換器の製造コストを低減可能とする簡素なマニホールドを有する熱交換器が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
発明によると、第1の流体注入口と、第1の流体排出口と、第2の流体注入口と、第2の流体排出口とを備える熱交換器が提供され、第1の流体注入口、第1の流体排出口、第2の流体注入口及び第2の流体排出口の各々は、熱交換器コアの4つの異なる側部に配置される。熱交換器は、熱交換器コアの4つの異なる側部のうちの1つを覆うマニホールドをさらに備える。マニホールドは、第1若しくは第2の排出口からマニホールドにおける共通の排出口に流体を収集するために、又はマニホールドにおける共通の注入口から熱交換器コアの第1若しくは第2の流体注入口に流体を方向付けるために設けられる。
【0005】
マニホールドの第1の側壁は、マニホールドによって覆われた熱交換器コアの1つの側部に対して90度未満の角度で配置される。したがって、マニホールドは、マニホールドの共通の垂直配置、すなわち、マニホールドの側壁及び熱交換器コアの側部によっては熱交換器コアに接続されない。
【0006】
マニホールドによって覆われた熱交換器コアの1つの側部と熱交換器コアの4つの異なる側部のうちの隣接側部との間の熱交換器コアのエッジは、マニホールドの第1の側壁の接続エッジとともに共通の溶接線を形成する。これによって、熱交換器コアは共通の溶接線においてそれに沿って溶接され、マニホールドは同じ共通の溶接線によって熱交換器コアに溶接される。エッジにおける熱交換器コアの溶接は、熱交換器コアへのマニホールドの溶接と同様の製造ステップにおいて好適に実行される。
【0007】
共通の溶接線によって、製造は溶接ステップを低減することによって簡略化され得る。傾斜した熱交換器コアの側部にマニホールドを適用することによって、マニホールドは相互に直接接続され得るので、更なる溶接ステップは省略されてもよく、単純な形態のマニホールドが、以下でより詳細に概説するように形成され得る。これは、材料コストと、さらにマニホールドの製造ステップとを低減し得る。さらに、単純なマニホールドの形状は、高圧力降下を引き起こすことなくマニホールドにおいて、流体、特にガスを均一に誘導することを可能とする。熱交換器コアへのマニホールドの傾斜した適用によって、例えば、熱交換器の高圧用途に対する設置、断熱又は補強を簡略化し得るマニホールドを含む熱交換器の非常に単純な配置の設計も可能となる。
【0008】
熱交換器は積層熱交換器コアを備え、好適には、いくつかの熱交換器セルが1つの熱交換器コアに組み合わされる。好適には、熱交換器は、熱転送プレートの積層体を備える。
【0009】
好適な実施形態において、熱交換器は熱転送プレートの積層体を備え、第1のフローチャネル及び第2のフローチャネルが、熱転送プレートの間に間隙要素を配置することによって熱転送プレートの間に設けられる。間隙要素は、第1の流体注入口、第1の流体排出口、第2の流体注入口及び第2の流体排出口を開放したまま熱転送プレートの4つのエッジ部に沿って延在する。間隙要素は、4つのエッジ部に沿って熱転送プレートに溶接される。好適には、溶接は、導管を通じて誘導される流体の漏出を防止するために、4つのエッジ部に沿って全体的に実行される。ただし、溶接は、所望量の漏出を規定するために、特定の場所では部分的であってもよい。積層熱交換器において、マニホールドの接続エッジとともに共通の溶接線を形成する熱交換器コアのエッジは、間に間隙要素を有する積層された熱転送プレートの全体に沿って延在し、それによって形成される4つのエッジ又は角部のうちの1つである。共通の溶接線は、積層体の高さを超えて実質的に延在する。積層体の4つのエッジのうちの1つへのマニホールドの接続エッジの溶接によって、熱交換器積層体又は熱交換器コアはまた、共通の溶接線を形成する4つのエッジのうちの1つに沿って溶接される。
【0010】
好適には、本発明において、EP3217132に記載されるような熱交換器積層体は、ここで説明するマニホールドと組み合わせて用いられる。EP3217132の開示は、参照によりここにともに取り込まれる。特に、熱交換器積層体の要素と、積層体の要素の材料及び位置決めと、溶接の位置及び方法とは、EP3217132において記載されるように実行及び選択されてもよく、参照によりここにともに取り込まれる。
【0011】
EP3217132の熱交換器では、プレート積層体は、積層体を形成するプレートの全体を超えて、それにより積層体の高さ全体を超えて積層体のエッジに沿って溶接される。これは、第1の導管と第2の導管の間の漏出と、それによる熱交換器においてそれを通じて誘導される2つの流体の熱交換又は混合を阻止するためになされる。本発明において、プレートエッジ及び中間間隙要素を組み合わせるこれらの溶接は、熱交換器コアへの1以上のマニホールドの溶接により直接組み合わされ得る。
【0012】
好適には、1つのマニホールドは、熱交換器コアのエッジが溶接されるのと同時に熱交換器コアに溶接され、それによって、1つの共通の溶接線をなす。これによって、熱交換器は、エッジにおいて液密に、好適には気密になり、マニホールドが熱交換器コアに取り付けられる。より好適には、2つの隣接マニホールドは、熱交換器コアのエッジが溶接されるのと同時に熱交換器コアのエッジに溶接される。好適には、溶接が、ある単一の溶接処理ステップにおいてなされる。
【0013】
好適には、熱交換器は、マニホールドによって覆われた1つの側部に隣接する熱交換器コアの4つの異なる側部のうちの第2の側部を覆う更なるマニホールドを備える。そして、更なるマニホールドの第1の側壁の接続エッジは、マニホールドの接続されたエッジ及び熱交換器コアのエッジに溶接される。そして、更なるマニホールドの接続エッジはまた、共通の溶接線の一部も形成する。これによって、2つの隣接マニホールドは、熱交換器コアの1つのエッジと、かつ相互に接続され得る。これは、2つの、又は好適にはある単一の溶接ステップにおいてなされ得る。
【0014】
好適には、更なるマニホールドの第1の側壁は、更なるマニホールドによって覆われた熱交換器の(第2の)側部に対して90度未満の角度で配置される。2つのマニホールドの傾斜した配置は、より単純な製造処理だけでなく、熱交換器コア及びマニホールドの単純な設計も可能とする。例えば、隣接マニホールドは、1つのマニホールドから隣接マニホールドへの円滑な外側遷移をなすなどのように配置され得る。
【0015】
好適には、マニホールドの第1の側壁及び更なる隣接マニホールドの第1の側壁は、同一平面に配置される。好適には、マニホールドの第1の側壁は各々、1つの共通の開口部を備える。共通の開口部は、熱交換器コアの注入開口部又は排出開口部と流体接続した共通の注入口又は共通の排出口であってもよい。この配置によって、2つの共通の開口部は、隣り同士で同一平面に配置され得る。これは、熱交換器の配管、並びに共通の注入口及び共通の排出口のアクセス性を簡素化する。
【0016】
本発明のマニホールドは、非常に単純な構造のものである。マニホールドの接続エッジは、マニホールドによって覆われた熱交換器コアの1つの側部のエッジに溶接され、マニホールドの他の接続エッジは、マニホールドによって覆われた側部の対向エッジに溶接される。
【0017】
好適には、マニホールドは、共通の開口部を備える第1の側壁を備え、さらに第2の側壁を備える。第1及び第2の側壁は、例えば、シート材料の矩形状ピースから形成されて接続される。好適には、第1の側壁又は第2の側壁が、より好適には、第1の側壁及び第2の側壁が、単一平面によって各々形成される。第1の側壁は共通の開口部を備え、開口部は第1の側壁の平面から外部に延在するカラーを備え得る。好適には、マニホールドの第1の側壁の接続エッジは、マニホールドによって覆われた熱交換器コアの1つの側部のエッジに溶接され、マニホールドの第2の側壁の接続エッジは、マニホールドによって覆われた側部の対向エッジに溶接される。第1及び第2の側壁の接続エッジは、好適には、マニホールドを形成するシート材料のピースの対向端部に配置される。好適には、第2の側壁の接続エッジは、マニホールドによって覆われた熱交換器の1つの側部と、熱交換器積層体の4つの異なる側部のうちの他の対向隣接側部との間で、熱交換器のエッジとともに共通の溶接線を形成する。これによって、熱交換器コアの2つのエッジに対する溶接ステップは、熱交換器コアへのマニホールドの取付具と直接組み合わされ得る。
【0018】
好適には、マニホールドは、共通の開口部を備える第1の側壁及び第2の側壁からなる。
【0019】
第1及び第2の側壁は、180度未満の角度を含む。好適には、第1及び第2の側壁は、60度~140度の範囲の、より好適には80度~120度の範囲の、最も好適には90度の角度を含む。角度は、例えば、マニホールドに配置される共通の開口部の位置及びサイズにも依存して、マニホールドを通じるフローを最適化するために選択及び適合され得る。
【0020】
好適には、マニホールドは、非対称上盤の形状を有する。マニホールドは2つの側壁を備え、第1の側壁がマニホールドの第2の側壁よりも大きい又は小さい断面を有する。マニホールドの1つの寸法が熱交換器積層体の寸法によって与えられるので、2つの側壁の間に形成される角度の大きさに依存して、2つの側壁は基本的に長さが異なる。マニホールドは、シート材料、例えば、ステンレス鋼の単一ピースから作製され得る。2つの側壁のうちの一方は共通の開口部を備え、それは熱交換器を通じて誘導される流体の共通の注入口又は共通の排出口を形成する。
【0021】
マニホールドの側壁とマニホールドによって覆われた熱交換器の側部との間の角度は、好適には、90度未満である。したがって、マニホールドの第1及び第2の側壁並びに熱交換器コアの側部にわたる三角形の2つの底角は双方とも、好適には、90度未満である。好適には、マニホールドは、2つの底角が等しくならないように非対称となる。一方の底角は、例えば、20度~40度の範囲であってもよく、他方の底角は50度~80度の範囲であってもよい。いずれの場合にも、底角及び頂角の合計は、180度となる。
【0022】
好適には、熱交換器コアの4つの異なる側部、すなわち、第1の流体注入口、第1の流体排出口、第2の流体注入口及び第2の流体排出口を備える側部のうちの各1つが、マニホールドによって覆われる。好適には、各マニホールドは、その隣接マニホールド及び熱交換器コアの2つのエッジとともに、共通の溶接線を共有する。
【0023】
マニホールドによって覆われない熱交換器コアの2つの対向側部は、側部プレートによって各々覆われてもよい。側部プレートは、好適には、マニホールドの対向側部においてマニホールドにわたる容積を閉じる。したがって、マニホールド及び側部プレートは、熱交換器コアを覆い隠す。2つの側部プレートは、好適には、側部プレートの外周全体に沿ってマニホールドに接続、例えば、溶接される。2つの側部プレートはまた、例えば、熱交換器コアの2つの対向する端線に沿って熱交換器コアに固定、例えば、溶接されてもよい。これは、熱交換器の構築をさらに安定化し得る。
【0024】
発明による熱交換器は、マニホールドを有する従来の熱交換器よりも少ない溶接ステップで製造されるので、製造コストを低減し得る。マニホールドの形状及び配置に依存して、熱交換器は単純な外部形態ももたらされるので、熱交換の適用及び設置を容易にし得る。
【0025】
好適には、マニホールドを搭載した熱交換器は、矩形状の熱交換器ボックスの形態を有する。熱交換器ボックスは、マニホールドの各々において共通の開口部を備える。好適には、2つの共通の開口部が熱交換器ボックスの1つの側部に配置され、更なる2つの共通の開口部が熱交換器ボックスの対向側部に配置される。これは、既述したように、共通の開口部への良好なアクセス性をもたらすだけではない。熱交換器ボックスの4つの平坦な側部次第で、熱交換器の設置における多様性を可能とする。平坦な側部には、例えば、熱交換器の高圧用途に対する補強及び/又は断熱が非常に容易に与えられ得る。
【0026】
熱交換器における流体フローのうちの1つが加圧されることによって1.5bar以上の圧力を有する場合には、補強が設けられ得る。補強は、例えば、国内又は国際規制に、例えば、高圧用途のための欧州圧力機器指令(PED)に準拠するように熱交換器に設けられ得る。
【0027】
熱交換器における流体の圧力が1.5bar未満の場合には、補強は省略されてもよく、好適には省略される。
【0028】
熱交換器は、外部の断熱及び補強を備え得る。断熱及び補強は、1つの要素と組み合わされてもよいし、別個の要素に設けられてもよい。特に、熱交換器における流体、特にガスが1.5barより高い、例えば、5bar~10barの圧力を有する高圧用途においては、側部プレートは変形を防止又は軽減するために補強され得る。
【0029】
発明による熱交換器は、高温用途、特に、2つの流体のうちの一方が最高で約1000℃の温度を有し得る高温用途において用いられ得る。流体は気体又は液体であってもよいし、1つが気体であり他の1つが液体であってもよい。好適には、第1の流体は気体である。好適には、第1の流体は、熱吸収流体、すなわち低温流体である。好適には、第2の流体は気体である。好適には、第2の流体は、熱放出流体、すなわち高温流体である。高温流体の温度は、最高で約1000℃であってもよく、例えば、600℃~950℃であり得る。
【0030】
熱交換器の熱効率を向上させるために、熱交換器には1以上の熱シールドが設けられ得る。熱シールドは、マニホールドとマニホールドによって覆われた熱交換器コアの側部との間の空間内に配置される。好適には、熱シールドは、流体フローがマニホールドによって覆われた熱交換器コアの側部の一部に接触しないようにする。これによって、マニホールドにおける流体と熱交換器コアの側部のその部位との間には、熱交換が生じない又はほとんど生じないことになる。好適には、熱シールドは、マニホールドにおける流体とマニホールドによって覆われた側部の一部との間の接触を防止又は制限するように配置され、熱交換器コアの側部のその部位は側部プレートによって閉じられる。したがって、熱シールドは、流体注入口又は流体排出口によって形成される熱交換器コアの側部のその部位を覆わない。熱シールドはまたフローを方向付ける要素であってもよく、流体フローをマニホールドにおける共通の注入口から熱交換器コアにおける流体注入口に方向付けし、又は流体フローを熱交換器コアにおける流体排出口からマニホールドにおける共通の排出口に方向付ける。
【0031】
マニホールドを有する熱交換器コアを備える熱交換器を製造する方法も、提供される。方法は、熱転送プレートの積層体を設けるステップであって、熱転送プレートが略平面に延在して4つのエッジ部を備える、ステップと、熱転送プレートの間に間隙要素を配置することによって熱転送プレートの間に第1のフローチャネル及び第2のフローチャネルを設けるステップとを備える。間隙要素は、積層体の4つの異なる側部に各々配置された第1の注入口、第1の排出口、第2の注入口及び第2の排出口を開放したまま熱転送プレートの4つのエッジ部に沿って延在する。方法は、4つのエッジ部に沿って熱転送プレートに間隙要素を溶接するステップをさらに備え、それによって、熱交換器コアを形成する。熱交換器コアは、間に間隙要素を有する積層された熱転送プレート全体に沿って延在してそれによって形成される4つのエッジを有する。方法は、マニホールドを設けるステップと、マニホールドで熱交換器コアの4つの異なる側部のうちの1つの側部を覆うステップと、熱交換器コアの4つのエッジのうちの1つにマニホールドの接続エッジを溶接するステップとをさらに備え、それによって、4つのエッジのうちの1つに沿って熱交換器コアを溶接し、マニホールドの接続エッジとともに共通の溶接線を形成する。
【0032】
方法の効果は、熱交換器に関連して説明したので繰り返さない。
【0033】
好適には、方法は、熱交換器コアの4つの異なる側部のうちの更なる隣接側部を更なるマニホールドで覆う更なるマニホールドを設けるステップと、更なるマニホールドの接続エッジをマニホールドの接続エッジ及び熱交換器コアの4つのエッジのうちの1つに溶接するステップとをさらに備え、それによってマニホールドと、更なるマニホールドと、熱交換器コアの1つのエッジとの間に共通の溶接線を形成する。
【0034】
方法は、4つのマニホールドを設けるステップと、熱交換器コアの4つの異なる側部の各1つを4つのマニホールドのうちの1つで覆うステップと、マニホールドの接続エッジの各2つを相互に及び熱交換器コアの4つのエッジのうちの1つに溶接するステップとを備え得る。各溶接するステップは別々に実行され得るが、熱交換器コアのエッジを溶接するステップと、マニホールドを熱交換器コアに接続するステップとは、好適には、1つの溶接ステップにおいて実行される。また、2つの隣接マニホールドを相互にかつ熱交換器コアに接続するステップは、個別の溶接するステップにおいて実行され得るが、それは、好適には、ある単一の溶接するステップにおいて実行される。
【0035】
好適には、方法は、熱交換器コアの周囲に4つのマニホールドを配置及び設計するステップを備え、それによって熱交換器ボックスを形成する。熱交換器ボックスは、4つのマニホールドの各々に共通の開口部を備える。方法は、好適には、熱交換器ボックスの1つの側部に2つの共通の開口部及び熱交換器ボックスの対向側部に更なる2つの共通の開口部を配置するステップをさらに備える。
【0036】
以下の図面によって示す実施形態に関して、発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1-3】
図1は、マニホールド及び熱交換器コアの共通の溶接線の部分図を示す。
図2は、プレート式熱交換器に搭載されたマニホールドを示す。
図3は、2つのマニホールド及び熱交換器コアのエッジの共通の溶接線の図を示す。
【
図4-6】
図4は、2つのマニホールド(
図4)を有する熱交換器コアにおける斜視図である。
図5は、4つのマニホールド(
図5)を有する熱交換器コアにおける斜視図である。
図6は、側部プレートを備える
図5の熱交換器における斜視図である。
【
図7-9】
図7は、補強及び断熱を有する
図6の熱交換器ボックスを示す。
図8は、更なる補強を有する
図7の実施形態を示す。
図9は、熱交換器積層体にマニホールドを溶接する従来技術の例である。
【0038】
図面において、同一又は類似の要素には同じ符号が用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、熱転送プレート4の間にチャネルを形成するように間隙要素11、14によって分割された矩形状の熱転送プレート4の積層体を備えるプレート式熱交換器コア1における部分図を示す。プレート4は、ダブルスペーサを形成する1mmの厚さの間隙要素14及び間隙要素11と比べて薄い約0.15mmの厚さのプレートに起因して、間隙要素14の間において視認されなくてもよい。
【0040】
図1に示す熱交換器の積層体において、矩形状のプレートは垂直に配置される。例えば、20~30枚のプレートは、積層体を形成するように相互に上に又は隣り合って配置され得る。
【0041】
第1の流体、好適には、冷却ガスは、積層体の4つの側部のうちの第1の側部100の第1の注入ポート区画13において積層体に浸入し得る。第1の流体は、第1のチャネルを流通することによって積層体を通過した後に、対向する第3の側部120(図面において図示しない底部)において熱交換器から出ることになる。
【0042】
第2の流体、好適には、高温ガスは、積層体の第2の側部110の第2の注入ポート区画18において積層体に浸入し得る。第2の流体は、第2のチャネルを流通することによって積層体を通過した後に、対向する第4の側部130(
図1には図示せず)において熱交換器から出ることになる。
【0043】
第1の側壁201の一部のみ示されるマニホールド20は、熱交換器コア1に溶接される。共通の溶接線3は、マニホールド20の第1の側壁201の接続エッジ203と、熱交換器のエッジ101との間に形成される。共通の溶接線3は、エッジ101に沿って熱交換器コアの熱転送プレート4及び間隙要素11を緊密に接続する。共通の溶接線3はまた、マニホールド20と熱交換器積層体のエッジ101を接続する。
【0044】
熱交換器コア1は、好適には、EP3217132に記載されるように、熱交換器積層体である。熱転送プレート4は、上部エッジに沿ってハーフスペーサ11を備える積層体の1つの側部を形成する。このスペーサは、以下でさらに説明するように、側部プレートに溶接されるように作用し得る。熱転送プレート4のプロファイルでは、流体の分配及び収集を向上させるプロファイルを備えるプレートの中心が平坦なプレート部分によって取り囲まれることが明確に確認される。次のレベルでは、第2の側部110は、スペーサ14の上及び下に横向き溶接を通じて熱転送プレート4に溶接されたスペーサ14によって閉じられる。第1の側部100は開放され、注入開口部にわたって延在し得る又は側部100の全体に沿って延在し得る波形シート12が設けられる。この第1のチャネルは、次の熱転送プレート4によって閉じられる。更なる層において、第1の側部100はスペーサ11によって閉じられ、一方の第2の側部110は開放され、波形シート12が設けられる。この第2のチャネルは、更なる熱転送プレート4によって再度閉じられる。更なる層のスペーサ14は、横向きでこの更なる熱転送プレート4に溶接される。
【0045】
次のレベルは、第1のチャネルの繰返しであり、それにより形成され、一方、次後のレベルは第2のチャネルの繰返しである。
【0046】
スペーサ11、14と熱転送プレート4の間の溶接接合は、熱転送プレートの側部全体に沿ったエッジ部に沿って設けられる。溶接接合はまた、第1及び第2の注入開口部15を備えていない積層体の側部におけるスペーサ11、14と熱転送プレート4の間に設けられる。
【0047】
溶接接合は、溶接されていない波形シート12と熱転送プレート4の間に漏出経路が形成されるように、上記波形シート12と熱転送プレート4の間には設けられない。2つの間隙要素11、14の間は溶接されないため、2つの流体チャネルの間のエッジ部分を閉じるのに共通の溶接線3に沿った封止が必要とされる。
【0048】
第2の流体チャネルのスペーサ11は、2つの熱転送プレート4の距離及び第2のチャネルの高さを規定するダブルスペーサの一部である。好適には、ダブルスペーサ11は相互にセルを積層することに応じて形成され、各セルがその外部に配置されたスペーサ11を有する。スペーサの配置及び横向き溶接の更なる詳細は、EP3217132に記載され、参照によりここにともに取り込まれる。
【0049】
図2は、プレート式熱交換器1に搭載されたマニホールド20を示す。
【0050】
第1のカバープレート16は、注入ポート区画13に対する以外、熱交換器の上部又は第1の側部100を覆う。第1の排出ポート区画(図示せず)は、同様にではあるが、熱交換器の対向側部に構築される。このカバープレートのセットアップは、熱交換器の実施形態に使用され得るものであり、波形シート12などの開放内側間隙要素が熱交換器の側部全体に沿って配置される。そして、注入及び排出ポート区画のサイズは、カバープレートの配置によって主に規定される。このカバープレートのセットアップはまた、熱交換器の実施形態にも使用され得るものであり、波形シートなどの間隙要素又は開放内側間隙要素が注入又は排出開口部において単独では、すなわち、熱交換器コアの側部の一部のみに沿っては配置されることはない。そして、注入ポート区画13は、注入開口部によって主に画定される。
【0051】
カバープレート16(及びそれによる積層体の対向側部)は、積層体の上部側部100の約2/3又は4/5を覆う。
【0052】
注入ポート区画18は、熱交換器コア1の長さ全体(図面における高さ)にわたって延在する。熱交換器コアの対向側部130に配置された対応する排出ポート区画(図示せず)もまた、熱交換器コア1の長さ全体(図面における高さ)にわたって延在する。2つの流体は、積層体を通じて実質的に相互に平行に、第1及び第2のチャネルに交互に誘導される。
【0053】
カバープレート16は、角部に沿って積層体に溶接される。
【0054】
マニホールド20は、熱交換器積層体の上部側部100を覆う。マニホールド20は上盤の形態を有し、上盤の大きな方の第1の側壁201は共通の注入口204を備える。共通の注入口204は、注入管の用途に対するカラー2040を備える。カラーは、例えば、シート材料の射出によってマニホールドで一体形成され得る。ただし、カラーはまた、マニホールドにおける共通の開口部に溶接された別個の部分であってもよい。
【0055】
マニホールド20の第1の側壁201は、共通の溶接線3に沿って上部側部100のエッジ101に溶接される。マニホールドの第2のより急勾配の側壁202は、他の共通の溶接線に沿って上部側部の対向エッジ102に溶接される。上盤は、90度の頂角206を有する。マニホールドの大きな方の第1の側壁201に起因して、第1の側壁及び上部側部100は、約20度~30度、例えば25度の底角207を含む。第2の側壁202及び上部側部100は、約70度~80度、例えば75度の底角208を含む。第1の側壁201及び第2の側壁202は、共通の注入開口部204の周囲のカラー2040から離れて、各々ある単一の平面に延在する平坦なプレートである。
【0056】
図3は、例えば
図2のような、2つのマニホールド及び熱交換器コアのエッジの共通の溶接線3を示す。
【0057】
図3で分かるように、第2のマニホールド21の第1の側壁211は、第2のマニホールド21の接続エッジ213に沿って、第1のマニホールド20及び熱交換器コア1のエッジ101の共通の溶接線3に溶接される。2つのマニホールドの2つの第1の側壁201、211が、1つの平面に配置される。概観において
図4で分かるように、第2のマニホールド21は、熱交換器コアの第2の側部110を覆う。第2のマニホールド21における共通の注入口214は、第2の側部110の注入開口部15に方向付けられる流体フローに対する共通の注入口を形成する。第2のマニホールド21において、第2の側壁212は、共通の注入口214から熱交換器コアの第2の側部110に第2の流体を誘導する第1の側壁211よりも大きい。2つの共通の開口部204、214は、同一平面に配置され、同一方向から共通の開口部へのアクセスを可能とする。
【0058】
第2のマニホールド21も上盤の形態を有し、上盤の小さい方の第1の側壁211は共通の注入口214を備える。上盤は、90度の頂角を有する。第2のマニホールドの小さい方の第1の側壁211及びそのより急勾配な配置に起因して、第1の側壁及び第2の側部110は、約70度~80度、例えば25度の底角を含む。第2の側壁212及び第2の側部110は、約20度~30度、例えば25度の底角を含む。
【0059】
図5は、4つのマニホールド20、21、22、23が設けられた
図4の熱交換器コアを示し、各マニホールドは熱交換器コア1の1つの側部100、110、120、130を覆う。第1及び第3のマニホールド20、22は同一形状及びサイズを有し、第2及び第4のマニホールド21、23は同一形状及びサイズを有する。第3のマニホールド22は、熱交換器コア1の第3の、すなわち底側部120を覆う。第4のマニホールド23は、熱交換器コア1の第4の側部130を覆う。
【0060】
マニホールドの各々は、熱交換器コア1の2つのエッジ及びそれらの2つの隣接マニホールドに溶接される。
【0061】
図5において、熱シールド5は、第1のマニホールド20によって作られる容積中に挿入される。熱シールド5は、共通の注入口204とカバープレート16の間にバリアを形成するシート材料の湾曲ピースである。シールドは、第1のマニホールド20の第1の側壁201に対して平行に配置されるので、共通の注入口204に浸入する流体フローを注入ポート区画13に方向付ける。熱シールド5によって、流体フローとカバープレート16の間の直接接触が防止又は最小化される。したがって、低温流体と、高温流体によって加熱される通常高温のカバープレート16との間の不用な熱交換が最小化され得る。
【0062】
そのような熱シールド5が1つのマニホールド20に対してのみ示されるが、マニホールドの一部のみ又はすべてに熱シールド5が設けられてもよい。
【0063】
注入口又は排出口を備えていない熱交換器コアの2つの側部140、150は、
図6(後側は図示せず)に示すように、側部プレート28によって覆われる。側部プレート28は、マニホールド20、21、22、23にわたる容積を閉じる。側部プレート28は、それらの外周に沿って、すなわち、それらの4つのエッジの各々に沿ってマニホールドの側部に溶接される。これによって、熱交換器ボックスは、ボックスの1つの側部に2つの共通の開口部204、214及びボックスの対向側部に2つの共通の開口部224、234を備える単純な矩形状形態を有して形成される(
図5参照)。
【0064】
図7及び
図8は、断熱としても作用する補強を有する
図6の熱交換器ボックスを示す。
図7において、熱交換器ボックスの大きな側部を形成する側部プレート28は、一連の矩形状中空管600によって覆われる。矩形状中空管600は、並列配置された矩形状中空管600の壁60を形成する。矩形状中空管600は、好適には、金属であってもよいが、例えば、断熱材料でもあり得る機械的に安定な材料から作製される。矩形状中空管600の中空コアは、空気絶縁を形成し、そのようにして熱交換器を断熱する。矩形状中空管600の内部はまた、断熱材料でも充填され得る。
図8においても、共通の開口部を備えていない熱交換器ボックスの2つの小さな側部には、矩形状中空管600のアレイが設けられる。管は各々、矩形状中空管600の壁61を形成する。また壁61は、金属又は断熱材料から作製され得る。壁は、空気絶縁をもたらし、又は断熱材料で充填され得る。通常、補強は、熱交換器を通じる流体フローの一方又は双方が1.5bar以上の圧力を有する場合に設けられる。図示する補強は、例えば、3barを上回る、例えば5barを上回る圧力を有するガスを用いる高圧用途に対して効果的である。
図9は、熱交換器積層体、例えば、EP3217132に記載された熱交換器積層体にマニホールドを溶接する周知の方法の例である。
【0065】
熱交換器コア1の2つの側部100、110を覆う従来のマニホールドの一部としての、プレート9のみ示す。プレートは各々、熱交換器の角部に対して垂直に配置される。プレート9は、マニホールドの底部において、熱交換器コア1の角部に溶接される。図示する2本の溶接線91はまた、プレート9若しくはマニホールドのまさに底部にそれぞれ、又はプレート9の
図9に示すのと対向する底部側にあってもよい。
【0066】
熱交換器コアにマニホールドを取り付けるための2本の溶接線91の隣りには、注入ポート18に浸入する流体フローが注入ポート13に浸入する流体フローと混合するのを防止するために、熱交換器コアのエッジ101に沿って追加の溶接部(図示せず)が存在する。
【0067】
したがって、3つの個々の溶接部及び溶接ステップが必要とされる。さらに、プレート9及びマニホールドの垂直配置では、非常に単純なマニホールド及び熱交換器の形状を構築できない。
【0068】
発明を、主にEP3217132に開示されるような熱交換器の実施形態と組み合わせて説明した。そのような組合せは、特に、上記のように効果的である。ただし、1つ又は特に4つのマニホールドの特定の設計及び配置はまた、本出願に明記していない異なる熱交換器との好ましい組合せも可能とする。好適には、積層体の異なる側部に配置された注入開口部及び排出開口部を備える熱交換器積層体は、一般的に、発明の方法によるマニホールドが設けられるのに適しており、好適に選択される。
なお、本発明には以下の態様が含まれることを付記する。
[態様1]
熱交換器であって、
各々が熱交換器コアの4つの異なる側部に配置された、第1の流体注入口、第1の流体排出口、第2の流体注入口、及び第2の流体排出口と、
前記熱交換器コアの前記4つの異なる側部のうちの1つの側部を覆うマニホールドであって、前記マニホールドの第1の側壁が前記マニホールドによって覆われた前記熱交換器コアの前記1つの側部に対して90度未満の角度で配置された、前記マニホールドと
を備え、
前記マニホールドによって覆われた前記熱交換器コアの前記1つの側部と前記熱交換器コアの前記4つの異なる側部のうちの隣接側部との間の前記熱交換器コアのエッジが、前記マニホールドの前記第1の側壁の接続エッジとともに共通の溶接線を形成する、前記熱交換器。
[態様2]
熱転送プレートの積層体であって、第1のフローチャネル及び第2のフローチャネルが前記熱転送プレートの間に間隙要素を配置することによって前記熱転送プレートの間に設けられ、前記間隙要素は、前記第1の流体注入口、前記第1の流体排出口、前記第2の流体注入口及び前記第2の流体排出口を開放したまま前記熱転送プレートの4つのエッジ部に沿って延在する、前記熱転送プレートの積層体を備え、
前記間隙要素が熱交換器コアを形成する前記4つのエッジ部に沿って前記熱転送プレートに溶接され、
前記マニホールドの前記接続エッジとともに共通の溶接線を形成する前記熱交換器コアの前記エッジが、間に間隙要素を有する積層された前記熱転送プレートの全体に沿って延在し且つ前記熱転送プレートの全体によって形成される4つのエッジのうちの1つである、態様1に記載の熱交換器。
[態様3]
前記マニホールドによって覆われた前記1つの側部に隣接する前記熱交換器コアの前記4つの異なる側部のうちの第2の側部を覆う更なるマニホールドを備え、
前記更なるマニホールドの第1の側壁の接続エッジが前記共通の溶接線の一部を形成する、態様1または2に記載の熱交換器。
[態様4]
前記更なるマニホールドの前記第1の側壁が、前記更なるマニホールドによって覆われた前記熱交換器コアの前記第2の側部に対して90度未満の角度で配置されている、態様3に記載の熱交換器。
[態様5]
前記マニホールドの前記第1の側壁及び前記更なるマニホールドの前記第1の側壁が同一平面に配置されている、態様3又は4に記載の熱交換器。
[態様6]
前記マニホールドが第2の側壁を備え、
前記第2の側壁の接続エッジは、前記マニホールドによって覆われた前記熱交換器コアの前記1つの側部と、前記熱交換器コアの前記4つの異なる側部のうちの他の対向隣接側部との間で、前記熱交換器コアのエッジとともに共通の溶接線を形成する、態様1~5のいずれか一項に記載の熱交換器。
[態様7]
前記マニホールドが非対称上盤の形状を有する、態様1~6のいずれか一項に記載の熱交換器。
[態様8]
前記熱交換器コアの前記4つの異なる側部の各1つがマニホールドによって覆われ、マニホールドによって覆われない前記熱交換器コアの2つの対向側部が各々側部プレートによって覆われ、当該側部プレートは対向側部において前記マニホールドにわたる容積部を閉じる、態様1~7のいずれか一項に記載の熱交換器。
[態様9]
前記熱交換器コアの前記異なる側部の各1つがマニホールドによって覆われ、各マニホールドが、その隣接マニホールド及び前記熱交換器コアのエッジと共通の溶接線を共有する、態様1~8のいずれか一項に記載の熱交換器。
[態様10]
前記マニホールドの各々における共通の開口部を備える矩形状の熱交換器ボックスの形態を有し、2つの共通の開口部が前記熱交換器ボックスの1つの側部に配置され、2つの更なる共通の開口部が前記前記熱交換器ボックスの対向側部に配置された、態様8又は9に記載の熱交換器。
[態様11]
熱シールドが、マニホールドと、前記マニホールドによって覆われた前記熱交換器コアの側部との間の空間内に配置された、態様1~10のいずれか一項に記載の熱交換器。
[態様12]
マニホールドを有する熱交換器コアを製造する方法であって、
熱転送プレートの積層体を設けるステップであって、前記熱転送プレートが略平面に延在し、4つのエッジ部を備える、ステップと、
前記熱転送プレートの間に間隙要素を配置することによって前記熱転送プレートの間に第1のフローチャネル及び第2のフローチャネルを設けるステップであって、前記間隙要素は、前記積層体の4つの異なる側部に各々配置された第1の注入口、第1の排出口、第2の注入口、及び第2の排出口を開放したまま前記熱転送プレートの前記4つのエッジ部に沿って延在している、ステップと
前記4つのエッジ部に沿って熱転送プレートに間隙要素を溶接し、それによって熱交換器コアを形成するステップであって、前記熱交換器コアは、間に間隙要素を有する積層された前記熱転送プレートの全体に沿って延在し且つ前記熱転送プレートの全体によって形成される4つのエッジを有する、ステップと、
マニホールドを設けるとともに、前記マニホールドで前記熱交換器コアの前記4つの異なる側部のうちの1つの側部を覆うステップと、
前記熱交換器コアの前記4つのエッジのうちの1つに前記マニホールドの接続エッジを溶接し、それによって前記4つのエッジのうちの前記1つに沿って前記熱交換器コアを溶接し、前記マニホールドの前記接続エッジとともに共通の溶接線を形成するステップとを備える方法。
[態様13]
前記熱交換器コアの前記4つの異なる側部のうちの第2の隣接側部を覆う更なるマニホールドを準備するステップと、
前記更なるマニホールドの接続エッジを、前記マニホールドの前記接続エッジ、及び前記熱交換器コアの前記4つのエッジのうちの前記1つに溶接し、それによってマニホールドと、更なるマニホールドと、前記熱交換器コアの前記1つのエッジとの間に前記共通の溶接線を形成するステップと
をさらに備える態様12に記載の方法。
[態様14]
4つのマニホールドを設けるステップと、
前記熱交換器コアの前記4つの異なる側部の各1つを前記4つのマニホールドのうちの1つで覆うステップと、
マニホールドの接続エッジの各2つを相互に、及び前記熱交換器コアの前記4つのエッジのうちの1つに溶接するステップと
を備える態様12又は13のいずれか一項に記載の方法。
[態様15]
前記熱交換器コアの周囲に前記4つのマニホールドを配置及び設計し、それによって、前記4つのマニホールドの各々に共通の開口部を備える熱交換器ボックスを形成するステップと、
前記熱交換器ボックスの1つの側部に2つの共通の開口部及び前記熱交換器ボックスの対向側部に2つの更なる共通の開口部を配置するステップと
を備える態様14に記載の方法。